説明

始動制御ユニット、及びそれに対する始動指令信号発生装置

【課題】始動指令スイッチに流れる電流を抑制すると共に、余分な補助電磁リレーを必要としない限流始動回路の始動制御ユニットを得る。
【解決手段】始動制御ユニット20Aは、始動用電動機70に設けられた電磁シフトリレー60の出力接点61と直列接続される電流抑制抵抗50と、該抵抗50を短絡接点31Aで短絡する短絡用リレー30Aと、始動指令スイッチ12の動作に応動し始動電流が減少した所定時期に接点31Aを閉路するタイマ回路40Aを一体化する。リレー30Aの励磁コイル32Aはスイッチ12を経由せず、抵抗50の一方の端子と逆接保護素子47Aと駆動トランジスタ46aとを介して車載バッテリ10から直接給電される。抵抗50には、タイマ回路40Aの遅延設定時間T0と、励磁コイル32Aを消勢してから接点31Aが閉路復帰するまでの時間t2bとを加算した時間帯において、電動機70に対する抑制始動電流が流れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、始動電流を抑制するために始動開始直後の所定時間において、始動用電動機に対して電流抑制抵抗を介して給電するようにした始動制御ユニット、及びそれに対する始動指令信号発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジン始動時の過大な始動電流と、車載バッテリの内部抵抗及び配線抵抗による電源電圧の異常低下を抑制するために、エンジン始動時に始動用電動機に対して電流抑制抵抗を直列接続し、始動用電動機の回転上昇に伴って駆動電流が減衰した所定時間後に短絡用リレーの出力接点によって電流抑制抵抗を短絡する限流始動用のタイマ回路を使用することが行われている。例えば、特許文献1によれば、始動電動機と、この始動電動機を通電付勢する電磁シフトスイッチとからなる電流路に直列接続した固定抵抗器と、この固定抵抗器を短絡制御する開閉手段と、この開閉手段を遅延作動させる遅延作動手段とからなる機関始動装置が開示されており、遅延作動装置は電磁シフトスイッチの出力電圧を受けた後に作動するタイマ回路によって構成されている。
【0003】
また、特許文献2によれば、モータ回路に設けられるメイン接点を開閉する電磁スイッチと、モータ回路に前記メイン接点と直列に接続される電流抑制抵抗と、この電流抑制抵抗を短絡可能に設けられた短絡用リレーと、この短絡用リレーを遅延作動させるタイマ回路とを備えたスタータが開示されており、タイマ回路は、電磁スイッチに通電した後に短絡用リレーに通電するまでの遅延時間を設定するもので、短絡用リレーの通電時にモータに流れる最大電流値を電磁スイッチの通電時にモータに流れる最大電流値以下になるように遅延時間を設定している。
【0004】
更に、特許文献3によれば、ピニオンギアをリングギア方向に押し出す励磁コイルと、当該励磁コイルが付勢されてから所定時間を置いて付勢され、モータ回路のメイン接点を閉路駆動するスイッチコイルを分離設置し、ピニオンギアとリングギアが確実に係合してからメイン接点を閉路するスタータが開示されている。
【0005】
また、特許文献4によれば、エンジン始動時の電圧低下で集中演算装置が動作を停止しても、エンジンの始動を継続可能にするために、ECU(エンジン制御装置)のマイコンが始動スイッチのオンを検知すると駆動回路にスタータリレーをオンさせてスタータを動作させるが、そのスタータリレーのコイルへは、始動スイッチとノーマルクローズ型リレーを介しても通電されるようになっており、ECUにはマイコンからの信号に応じてノーマルクローズ型リレーをオフさせる回路を設けている。このため、電圧低下でマイコンが動作を停止しても始動スイッチがオンであればスタータリレーはオンし続ける。またマイコンは、スタータの動作が不要と判断すればノーマルクローズ型リレーをオフさせれば良いようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭59―30564号公報(実用新案登録請求範囲の欄、図2)
【特許文献2】特開2009−287459号公報(要約の欄、図1)
【特許文献3】特開2009−191843号公報(要約の欄、段落0032、図1、図7、)
【特許文献4】特開2005−16388号公報(要約の欄、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1による機関始動装置は、短絡用リレー(リレー14に相等)が電磁シフトリレー(電磁シフトスイッチ2に相等)の出力接点を介して車載バッテリ7から給電されるようになっており、始動指令スイッチ(キースイッチ6に相等)は電磁シフトリレーのみを駆動すれば良いようになっている。従って、始動指令スイッチには短絡用リレーの通電電流は流れない利点があると共に、タイマによる設定時間は電源電圧の変動による影響を受けないように安定化できる特徴がある。
【0008】
しかし、電流抑制抵抗(固定抵抗器13に相等)にはタイマによる設定時間と短絡用リレーの閉路駆動応答遅延時間を加算した期間において始動電流が流れ、短絡用リレーの応答時間は電源電圧に反比例して変動し、安定した限流始動時間を得ることができない欠点がある。また、短絡用リレーは電磁シフトリレーと始動用電動機との間に接続され、短絡接点と電流抑制抵抗が直接並列接続されていないため、3個の大電流端子が必要となる欠点がある。
【0009】
一方、前記特許文献2によるスタータの電磁シフトリレー(電磁スイッチ7に相等)は、スタータリレーを介して車載バッテリから給電され、始動指令スイッチ(IGスイッチ26に相等)は、スタータリレーと短絡用リレーとタイマ回路とを駆動するようになっている。従って、タイマ回路は始動指令スイッチが閉路してから所定時間後に動作して短絡用リレーを駆動するが、始動用電動機(モータ2に相等)にはスタータリレーの閉路応答遅延時間と電磁シフトリレーの閉路応答遅延時間を加算した遅れ時間を置いて給電開始されるため、限流始動時間は電源電圧の変動によって不安定となる欠点がある。
【0010】
また、スタータリレーが余分に必要であって、もしもスタータリレーを廃止して始動指令スイッチから電磁シフトリレーを直接駆動するようにした場合には、始動指令スイッチには短絡用リレーの駆動電流も加算されるため、接点の電流容量を大きくする必要があると共に、始動指令スイッチを開路したときに電磁シフトリレーが誤動作して開路できなくなる危険性がある。
【0011】
更に、前記特許文献3によるスタータは、エンジン始動時の電圧低下でエンジン制御装置であるECUが不作動になると励磁コイル及びスイッチコイルを付勢することができなくなる欠点がある。
【0012】
また、前記特許文献4によるエンジン始動制御装置は、エンジン始動時の電圧低下で集中演算装置が動作を停止してもエンジンの始動を継続可能にするためにノーマルクローズ型リレーが追加されており、電磁シフトリレーを駆動するために比較的大電流が流れる始動指令信号が一元化されておらず、全体として大型高価となる欠点がある。
【0013】
この発明は、前記のような課題を解決するためになされたもので、第1の目的は、始動指令スイッチに流れる電流を抑制すると共に、余分な補助電磁リレーを必要としない限流始動回路を構成することができる始動制御ユニットを得るものである。
また、第2の目的は、関連する電磁リレーの応答時間が電源電圧によって変動しても限流始動時間の変動を抑制し、安定した限流始動時間が得られる始動制御ユニットを得るものである。
更に、第3の目的は、消費電力を抑制して小型安価な始動制御ユニットを得るものである。
【0014】
また、第4の目的は、該始動制御ユニットに対する始動指令信号発生装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明による始動制御ユニットは、車載エンジンを始動する始動用電動機と車載バッテリとの間に接続されて前記始動用電動機の限流始動を行う始動制御ユニットであって、前記始動制御ユニットは、前記始動用電動機に設けられた電磁シフトリレーの出力接点と直列接続される電流抑制抵抗と、当該電流抑制抵抗を短絡接点により短絡する短絡用リレーと、始動指令スイッチの動作に応動して始動電流が減少した所定時期に前記短絡接点を閉路するタイマ回路とを一体化して構成され、
前記電磁シフトリレーは、前記車載バッテリから前記始動指令スイッチを介して給電されるシフトコイルによって前記始動用電動機に設けられたピニオンギアを推進移動させ、エンジンのクランクシャフトに設けられたリングギアと前記ピニオンギアを係合させると共に、当該シフトコイル又は当該シフトコイルと分割設置されたリレーコイルによって前記出力接点を閉路させ、
前記短絡接点は、前記短絡用リレーの励磁コイルを付勢することによって開路する常閉接点であると共に、前記励磁コイルは前記始動指令スイッチを経由しないで、前記電流抑制抵抗の一方の端子と逆接保護素子と駆動トランジスタとを介して前記車載バッテリから直接給電され、
前記逆接保護素子は、前記車載バッテリが正常極性で接続されているときには前記励磁コイルへの給電は可能であるが、前記車載バッテリが異常逆極性で接続されているときには前記励磁コイルへの給電を阻止するトランジスタ又はダイオードであり、
前記駆動トランジスタは、前記始動指令スイッチが閉路して前記シフトコイル又はリレーコイルが付勢されると同時に導通駆動されて前記短絡用リレーを開路付勢し、前記出力接点が閉路するまでには前記短絡接点が開路動作を完了し、
前記タイマ回路は、前記電磁シフトリレーの出力接点の閉路動作に応動して計時動作を開始して、所定の遅延設定時間を置いて前記駆動トランジスタを遮断し、
前記電流抑制抵抗には、前記タイマ回路の遅延設定時間と、前記短絡用リレーの励磁コイルを消勢してから前記短絡接点が閉路復帰するまでの閉路応答時間を加算した時間帯において、前記始動用電動機に対する抑制始動電流が流れることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係る始動制御ユニットは、始動指令スイッチに応動する電磁シフトリレーの閉路動作後の所定期間において、始動用電動機に対して電流抑制抵抗を直列接続して限流始動を行うタイマ回路と、当該タイマ回路によって付勢制御される常閉接点型の短絡用リレーとを備え、当該短絡用リレーは始動指令スイッチを経由しないで、逆接保護素子と駆動トランジスタとを介して車載バッテリから直接給電されるようになっている。従って、短絡用リレーの励磁コイルに対する電源配線が不要であって、しかも始動指令スイッチには短絡用リレーの付勢電流が流れないため、スイッチの電流容量を抑制して小型安価な始動指令スイッチを使用することができる効果がある。
また、電流抑制始動時間は、電源電圧の大小によって変動する電磁シフトリレーの動作応答時間や短絡用リレーの開路応答時間の影響を受けることがなく、タイマ回路の遅延設定時間と短絡用リレーの閉路復帰遅延時間によって決定されるため、電源電圧の変動の影響が少なくなり安定した電流抑制始動時間を得ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の実施の形態1に係る始動制御ユニットの外部接続図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る始動制御ユニットの内部回路図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る始動制御ユニットの上面構造図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る始動制御ユニットの側面構造図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る始動制御ユニットのタイマ回路の駆動電圧の特性線図と消費電力を説明するための部分回路図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る始動制御ユニットの動作を説明するタイムチャートである。
【図7】この発明の実施の形態2に係る始動制御ユニットの外部接続図である。
【図8】この発明の実施の形態2に係る始動制御ユニットの動作を説明するタイムチャートである。
【図9】この発明の実施の形態3に係る始動制御ユニットの外部接続図である。
【図10】この発明の実施の形態3に係る始動制御ユニットの内部回路図である。
【図11】この発明の実施の形態3に係る始動制御ユニットの上面構造図である。
【図12】この発明の実施の形態3に係る始動制御ユニットの側面構造図である。
【図13】この発明の実施の形態3に係る始動制御ユニットの動作を説明するタイムチャートである。
【図14】この発明の実施の形態4に係る始動制御ユニットの外部接続図である。
【図15】この発明の実施の形態4に係る始動制御ユニットの動作を説明するタイムチャートである。
【図16】この発明の実施の形態5に係る始動指令信号発生装置の回路構成図である。
【図17】この発明の実施の形態6に係る始動指令信号発生装置の回路構成図である。
【図18】この発明の実施の形態7に係る始動指令信号発生装置の回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る始動制御ユニットとそれに対する始動指令信号発生装置について好適な実施の形態を説明する。なお、これらの実施の形態によりこの発明が限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲における設計的変更をも含むものである。
【0019】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る始動制御ユニットの外部接続図である。図1において、車載バッテリ10の負端子は車体11に接続され、正端子は始動指令スイッチ12を介して始動制御ユニット20Aに給電するようになっている。始動制御ユニット20Aは、図2で後述するとおり、主として短絡リレー30Aとタイマ回路40Aによって構成され、電流抑制抵抗50がアドオンされて一体化されている。電流抑制抵抗50と電磁シフトリレー60の出力接点61とは直列接続され、車載バッテリ10の正端子と始動用電動機70との間に接続されている。
【0020】
始動指令スイッチ12は、キースイッチである手動始動スイッチ103と、アイドルストップ後の再始動や寒冷時の遠隔暖機運転を行うための自動始動スイッチ104とが並列接続されており、指令端子A1、A2を介してタイマ回路40Aへ給電すると共に、電磁シフトリレー60の吸引コイル62と保持コイル63に給電するようになっている。なお、始動指令スイッチ12は、後述する実施の形態5(図16参照)の指令用電磁リレー105の出力接点12を用いることも可能である。
【0021】
短絡用リレー30Aは、常閉接点である短絡接点31Aを備え、励磁コイル32Aを給電駆動することによって短絡接点31Aが開路するようになっており、配線端子X、Yを介して電流抑制抵抗50に対して並列接続されている。励磁コイル32Aは、タイマ回路40Aの電源端子B1、B2から逆接保護素子47Aと駆動トランジスタ46a、及び駆動端子Dを介して給電されるようになっている。また、電源端子B1、B2は、端子間接続配線49bによって相互に接続されており、車載バッテリ10の正端子に接続される配線端子Yと電源端子B2は、端子間接続片33bによって接続されている。なお、始動タ
イマ回路部40aは、タイマ回路40Aから逆接保護素子47Aと駆動トランジスタ46aを除外した弱電回路部で構成されている。
【0022】
タイマ回路40Aの計時開始信号を得るために使用される信号端子C1、C2は、端子間接続配線49cによって相互に接続されており、電流抑制抵抗50の負側の配線端子Xと信号端子C1は、端子間接続片33cによって接続されている。なお、図2で後述するとおり、始動指令スイッチ12が閉路すると直ちに駆動トランジスタ46aが導通駆動されると共に、タイマ回路部40aで設定された所定時間後に駆動トランジスタ46aは遮断されるようになっている。また、励磁コイル32Aの他方の端子やタイマ回路40Aの負側配線は、グランド端子E1、E2を介して車体11に接続され、電磁シフトリレー60の保持コイル63の負側端子や始動用電動機70の負側端子も車体11に接続されている。
【0023】
電磁シフトリレー60は、車載バッテリ10から始動指令スイッチ12を介して給電される吸引コイル62と保持コイル63によって構成されたシフトコイル64を備え、当該吸引コイル62と保持コイル63が協働して始動用電動機70に設けられたピニオンギアを推進移動させ、エンジンのクランクシャフトに設けられたリングギアとピニオンギアとを係合させると共に、後述するように出力接点61を閉路させて始動用電動機70と直列接続されている吸引コイル62を短絡消勢するようになっている。
【0024】
始動用電動機70と直列接続されている吸引コイル62に給電されて出力接点61が閉路すると、吸引コイル62の両端は電流抑制抵抗50又は短絡用リレー30Aの出力接点である短絡接点31Aと始動指令スイッチ12を介して短絡接続される。そして、電流抑制抵抗50の抵抗値が吸引コイル62の抵抗値に比べて圧倒的に小さな値となっているため、吸引コイル62は消勢され、保持コイル63によって電磁シフトリレー60の動作状態が維持されるようになっている。しかし、始動指令スイッチ12が開路されると、既に閉路していた出力接点61から吸引コイル62を逆流する電流が保持コイル63に流れ、磁力が相殺しあって電磁シフトリレー60が復帰するようになっている。
【0025】
次に、図1で示された始動制御ユニット20Aの内部回路を図2により説明する。図2において、始動制御ユニット20Aの外部に設けられた車載バッテリ10、始動指令スイッチ12、電磁シフトリレー60、始動用電動機70と始動制御ユニット20Aとの配線、及び始動制御ユニット20A内部の短絡用リレー30Aと励磁コイル32Aに対する給電回路の構成は、図1において説明したとおりとなっている。
【0026】
タイマ回路40Aにおいて、駆動電源電圧Vcは、車載バッテリ10から始動指令スイッチ12、指令端子A1、A2、給電抵抗41aを介して供給される。この駆動電源電圧Vcは、電圧制限ダイオード48Aによって所定の上限電圧以上とならないように制限されていると共に、電源コンデンサ41bによって車載バッテリ10の電源電圧Vbの一時的な異常低下に対して駆動電源電圧Vcが所定の下限電圧以下とならないように平滑化されている。また、第1、第2の比較トランジスタ42a、43aは、共通のエミッタ抵抗42dを介して駆動電源電圧Vcが印加されるPNP型トランジスタとなっており、第1の比較トランジスタ42aのベース端子には、駆動電源電圧Vcを分圧抵抗42b、42cによって分圧して得られる第1の比較電圧V1が印加されている。
【0027】
また、第2の比較トランジスタ43aのベース端子には、PNP型の通電検出トランジスタ80が閉路することによって充電抵抗44aと計時開始トランジスタ83とを介して充電されるタイマコンデンサ44bの漸増電圧である第2の比較電圧V2が印加されている。通電検出トランジスタ80のエミッタ端子は電源端子B2に接続され、ベース抵抗81は信号端子C1に接続されており、電流抑制抵抗50に電流が流れているときにその両
端電圧によって通電検出トランジスタ80が導通し、指令抵抗82を介して計時開始トランジスタ83が導通駆動されるようになっている。なお、NPN型のトランジスタである計時開始トランジスタ83のエミッタ端子とベース端子間には、暗電流による誤導通を防止するための開路安定抵抗84が接続されている。NPN型のラッチトランジスタ43bと第2の比較トランジスタ43aのベース端子及びコレクタ端子は相互に接続されており、第2の比較電圧V2の値が第1の比較電圧V1以上となって第2の比較トランジスタ43aが導通すると、タイマ回路40Aがタイムアップしてラッチトランジスタ43bが導通し、その結果ラッチトランジスタ43bのコレクタ端子から保持給電ダイオード43cを介して第2の比較トランジスタ43aの導通状態が維持されるようになっている。
【0028】
一方、車載バッテリ10から配線端子Y、電源端子B2、逆接保護素子47Aを介して励磁コイル32Aに給電する駆動トランジスタ46aは、Pチャネル型電界効果トランジスタとなっており、この駆動トランジスタ46aは、NPN型の駆動補助トランジスタ45aが導通したときに分圧抵抗46b、46cを介して導通駆動されるようになっている。なお、駆動トランジスタ46aのソース端子とゲート端子間には、分圧抵抗46cと過電圧保護ダイオード46dが並列接続されている。また、駆動トランジスタ46aのゲート端子とドレイン端子間には、逆流阻止ダイオード46fとサージ吸収用ダイオード46eが並列接続されている。
【0029】
駆動補助トランジスタ45aは、第1の比較トランジスタ42aの出力であるタイムアップ出力Tdnから駆動抵抗45bを介して導通駆動される。但し、タイムアップ出力Tdnは、第1の比較トランジスタ42aが導通しているタイムアップ前の期間において、論理レベルが「H」となって駆動補助トランジスタ45aを導通駆動するが、ラッチトランジスタ43bが導通したタイムアップ後では第1の比較トランジスタ42aは不導通となり、タイムアップ出力Tdnの論理レベルが「L」となって駆動補助トランジスタ45aが不導通となるようになっている。
【0030】
なお、車載バッテリ10が誤った極性で接続された場合には、車載バッテリ10の正端子からグランド端子E1、励磁コイル32A、駆動トランジスタ46a内の寄生ダイオードに至る逆流通電回路は逆接保護素子47Aによって通電阻止され、電源端子B2、配線端子Yから車載バッテリ10の負端子に至る逆方向電流が流れないようになっている。
【0031】
一方、始動制御ユニット20Aの取り付け位置が反転して、車載バッテリ10を配線端子X側に接続し、電磁シフトリレー60を配線端子Y側に接続したい場合には、端子間接続片33bは、配線端子Xと電源端子B1との間に接続されるようになっており、電源端子B1、B2のどちら側に車載バッテリ10が接続されても良いようにするために、端子間接続配線49bが設けられている。
【0032】
同様に、始動制御ユニット20Aの取り付け位置が反転して、車載バッテリ10を配線端子X側に接続し、電磁シフトリレー60を配線端子Y側に接続したい場合には、端子間接続片33cは、配線端子Yと信号端子C2との間に接続されるようになっている。そして、信号端子C1、C2のどちら側に車載バッテリ10が接続されても良いようにするために、端子間接続配線49cが設けられている。
【0033】
次に、実施の形態1に係る始動制御ユニット20Aの上面構造図と側面構造図である図3及び図4について説明する。図3及び図4において、始動制御ユニット20Aは、筐体20AAの下部に一体取り付けされた短絡用リレー30Aと、筐体20AAの内部にあってタイマ回路40Aを構成する回路部品が搭載された電子基板40AAと、筐体20AAの上部に設けられた配線端子X、Yと、指令端子A1と、グランド端子E1とを備えている。
【0034】
電子基板40AAには、指令端子A2と、電源端子B1、B2と、信号端子C1、C2と、駆動端子Dと、グランド端子E2とが設けられ、配線端子X、Yのいずれか一方と電源端子B1、B2のいずれか一方との間は端子間接続片33bによって接続されている。また、配線端子X、Yの他方と信号端子C1、C2のいずれか一方との間は端子間接続片33cによって接続され、指令端子A1、A2間とグランド端子E1、E2間は相互に接続されている。配線端子X、Y間には電流抑制抵抗50が共締めで固定されており、電流抑制抵抗50の抵抗値は、適用される始動用電動機70の代表特性に応じて選択決定されるようになっている。
【0035】
次に、前記のように構成された実施の形態1に係る始動制御ユニット20Aの作用及び動作について説明する。
【0036】
まず、図5(A)で示すタイマ回路の駆動電圧の特性と、図5(B)で示す消費電力を説明するための部分回路について説明する。
図5(A)において、横軸は、12V系の車載バッテリ10から始動指令スイッチ12を介して指令端子A1、A2に印加された電源電圧Vbの値であり、始動制御ユニット20Aが正常動作するための電源電圧Vbの値は、例えばDC6〜24Vとなっている。なお、12V系の車載バッテリ単品では、通常はDC16V以上になることはないが、寒冷始動時に外部電源を用いてジャンピングスタートを行う場合を想定し、例えばDC24Vの上限電圧まで動作可能であって、許容変動範囲はDC6〜24Vとなっている。一方、縦軸で示された駆動電源電圧Vcは、図2における電圧制限ダイオード48Aによって制限されているため、電源電圧Vbの増加に伴って上昇し、例えばDC12V以上にならないように制限されている。これによって、図2における電源コンデンサ41bやタイマコンデンサ44bの印加電圧を抑制し、小型安価な低耐圧のコンデンサが使用できるようになっている。
【0037】
以上のとおり、駆動電源電圧Vcは、電源電圧VbがDC6〜12Vの低電圧領域においては安定化されておらず、電源電圧Vbに比例して変動することになるが、図2における第1、第2の比較電圧V1、V2は、共通の駆動電源電圧Vcが使用されていることによって、第2の比較電圧V2が第1の比較電圧V1以上となるまでの時間は駆動電源電圧Vcの影響を受けず、安定したタイマ特性が得られるようになっている。
【0038】
但し、タイムアップ前に駆動電源電圧Vcが急減すると、既に充電が進行していた第2の比較電圧V2よりも急減した第1の比較電圧V1が小さな値となり、誤ってタイムアップする危険性があるが、この実施形態では電磁シフトリレー60の出力接点61が閉路して電源電圧Vbが一時低下した後に計時を開始するため、この危険性は回避されている。なお、電圧制限ダイオード48Aによる制限電圧を例えばDC5.1Vとすれば、駆動電源電圧Vcは全電圧領域にわたって安定化することができるが、この場合には電源電圧Vbが増大したときのタイマ回路全体の消費電力が増大し、始動制御ユニット20Aの過熱の要因となる。
【0039】
図5(B)において、給電抵抗41a(図2参照)の抵抗値をR1とし、電圧制限ダイオード48Aに並列接続されたタイマ回路全体の等価抵抗をR2とすると、タイマ回路全体の消費電力Wは以下のとおり算出される。
電源電圧Vbが大きくて、Vc≦Vb×R2/(R1+R2)の関係にあるときには、給電抵抗41aに流れる電流Iは、I=(Vb−Vc)/R1となるため、消費電力Wは次式で示される。
W=Vb×I=Vb×(Vb−Vc)/R1
従って、駆動電源電圧Vcを小さくすれば消費電力Wは増大する関係にあることがわかる

【0040】
次に、動作について図6のタイムチャートに基づいて説明する。なお、図1及び図2を参照しながら説明する。
【0041】
図6(A)は、始動指令スイッチ12の閉路指令期間Tsにおいて、論理レベルが「H」となる指令信号の状態を示している。始動指令スイッチ12が閉路されると図1、図2で示すとおり、電磁シフトリレー60の吸引コイル62と保持コイル63が付勢され、始動用電動機70のピニオンギアがエンジンのリングギアと係合するように押し出し駆動されると共に、閉路応答遅延時間T1を置いて出力接点61が閉路するようになっている。
【0042】
図6(B)は、点線が電磁シフトリレー60の閉路応答時間T1の期間に対応した吸引コイル62の付勢期間を示し、一点鎖線は閉路指令期間Tsに対応した保持コイル63の付勢期間を示し、実線は出力接点61の閉路期間を示している。なお、吸引コイル62は、出力接点61が閉路すると電流抑制抵抗50と出力接点61との直列回路によって短絡されるが、電流抑制抵抗50の抵抗値は吸引コイル62の抵抗値に比べて圧倒的に小さな値となっているため、吸引コイル62は消勢され、保持コイル63によって出力接点61の閉路状態とピニオンギアの押し出し状態が維持されている。また、始動指令スイッチ12が開路して保持コイル63が消勢されると、電磁シフトリレー60の開路応答時間t1を置いて出力接点61が開路する。
【0043】
図6(C)は、出力接点61の閉路に伴って電流抑制抵抗50を通じて始動用電動機70に始動電流が流れることによって、通電検出トランジスタ80が導通している期間を示しており、やがて短絡接点31Aが閉路復帰すると通電検出トランジスタ80は不導通となる。なお、通電検出トランジスタ80が導通すると計時開始トランジスタ83も導通してタイマコンデンサ44bの充電が開始し、遅延設定時間T0後には第2の比較電圧V2が第1の比較電圧V1以上となって第2の比較トランジスタ43aが導通し、ラッチトランジスタ43bと協働して自己保持導通状態となってタイムアップ完了状態となる。
【0044】
図6(D)は、出力接点61が閉路してから遅延設定時間T0が経過した時点で導通するラッチトランジスタ43bの導通状態を示している。一方、短絡用リレー30Aの励磁コイル32Aは、始動指令スイッチ12が閉路すると、第1の比較トランジスタ42aから駆動抵抗45bを介して駆動補助トランジスタ45aが導通することによって駆動トランジスタ46aが導通駆動されるが、タイマ回路のタイムアップによってラッチトランジスタ43bが導通すると、第1の比較トランジスタ42aは不導通となり、その結果駆動補助トランジスタ45aが遮断されて駆動トランジスタ46aも遮断されるようになっている。
【0045】
図6(E)は、点線が短絡用リレー30Aの励磁コイル32Aの付勢期間を示しており、始動指令スイッチ12が閉路された時点からラッチトランジスタ43bが導通してタイムアップ出力が発生するまでの期間において付勢されている。励磁コイル32Aが付勢されると短絡用リレー30Aの開路応答時間T2bを置いて常閉の短絡接点31Aが開路動作し、励磁コイル32Aが消勢されると短絡用リレー30Aの閉路応答時間t2bを置いて短絡接点31Aが閉路復帰するようになっており、短絡接点31Aの開路状態が実線の論理「H」レベルで示されている。
【0046】
なお、短絡用リレー30Aの開路応答時間T2bは、電磁シフトリレー60の閉路応答時間T1よりも短い時間となっており、出力接点61が閉路するまでには短絡接点31Aが開路するようになっている。また、駆動トランジスタ46aが遮断されたときには、励磁コイル32Aに流れていた電流はサージ吸収用ダイオード46eによって急速遮断され
るため、閉路応答時間t2bは開路応答時間T2bよりも短い時間となり、電源電圧の影響を受け難いようになっている。
【0047】
図6(F)は、始動用電動機70に流れる始動電流の波形を示しており、始動指令スイッチ12が閉路すると始動用電動機70には吸引コイル62に対する付勢電流が流れ、やがて出力接点61が閉路すると電流抑制抵抗50を通して始動電流が急増し、始動用電動機70の回転上昇に伴って始動電流は漸減する。短絡接点31Aが閉路復帰すると再び始動電流は急増し、更なる始動用電動機70の回転上昇に伴って始動電流は漸減する。
【0048】
エンジンの自立回転に伴って始動指令スイッチ12が開路されると、電磁シフトリレー60の開路応答時間t1(図6B参照)を置いて出力接点61が開路し、始動電流が遮断されるようになっている。なお、始動指令スイッチ12が開路された直後においては、出力接点61はまだ閉路しているため、短絡接点31Aと出力接点61を介して吸引コイル62から保持コイル63に付勢電流が流れるが、この場合には吸引コイル62と保持コイル63の磁力が差動しているため、電磁シフトリレー60は消勢復帰されることになる。
【0049】
もしも始動指令スイッチ12から他の低抵抗負荷が駆動されていると、この負荷は保持コイル63と並列接続されることになるため、吸引コイル62に対する印加電圧が上昇すると共に、保持コイル63への印加電圧が減少し、差動磁力のバランスが崩れて電磁シフトリレー60が動作保持状態を継続する誤動作が発生する恐れがある。しかし、図1に示すこの実施形態の場合には、保持コイル63と並列接続されるのは高抵抗のタイマ回路40Aであって、励磁コイル32Aが並列接続されていないため、電磁シフトリレー60の開路誤動作が発生しないようになっている。
【0050】
これを可能にしているのは、励磁コイル32Aを逆接保護素子47Aと駆動トランジスタ46aを介して車載バッテリ10に直接接続するようにしているためであるが、逆接保護素子47Aと駆動トランジスタ46aには、図6(E)の付勢期間T0+T1において電流が流れ、これが始動制御ユニット20Aの温度上昇の原因となる。この温度上昇を抑制するためには、後述する実施の形態3(図9参照)のとおり、逆接保護素子としてトランジスタを使用することもできるが、図1、図2の実施形態の場合には、駆動電源電圧Vcを得るための電圧制限ダイオード48Aを比較的高電圧に設定し、安定化電圧を得るための電力消費を抑制していることも重要な対策となっている。
【0051】
また、始動指令スイッチ12の閉路指令期間Tsが延引しても、励磁コイル32Aに電流が流れる期間は確定しているため、逆接保護素子47Aと駆動トランジスタ46aの発熱が過大になる恐れがない利点がある。
【0052】
以上の説明では、配線端子X、Yは、どちらを車載バッテリ10の正端子に接続しても良いように構成しているが、車載バッテリ10と始動用電動機70の配置の関係に応じて始動制御ユニット20Aの取り付けの向きを変更して取り付け足の位置を変更するようにした場合には、例えば配線端子Yは常に車載バッテリ10の正端子に接続して端子間接続片33bによって電源端子B2に給電し、電源端子B1と端子間接続配線49bを廃止することができる。この場合、配線端子Xは常に電流抑制抵抗50の負側端子となり、端子間接続片33cによって信号端子C1に接続し、信号端子C2と端子間接続配線49cを廃止することができる。
【0053】
また、以上の説明では逆接保護素子47Aとしてダイオードを使用したが、これに代わってトランジスタを逆方向に通電させて電圧降下の小さなダイオードを得ることも可能である。
【0054】
また、以上の説明では、電磁シフトリレー60の出力接点61が閉路されたことを検出するために、電流抑制抵抗50の両端電圧によって通電検出トランジスタ80を導通させ、これによって計時開始トランジスタ83を介してタイマコンデンサ44bへの充電を開始するようにした。しかし、通電検出トランジスタ80を廃止し、始動用電動機70の両端電圧によって指令抵抗82に給電して計時開始トランジスタ83を導通させるようにすることも可能である。この場合には、始動制御ユニット20Aには信号端子C1、C2に代わる新たな信号端子が必要となり、この新たな信号端子と始動用電動機70との間を信号線で接続する必要がある。
【0055】
また、以上の説明では、駆動トランジスタ46aはサージ吸収用ダイオード46eを内蔵するものとしたが、これに代わるサージ吸収用ダイオードを駆動トランジスタ46aのソース端子とドレイン端子間に接続するようにしても良く、これ等のサージ吸収用ダイオードは、例えばその両端電圧がDC50V以上にならないように電圧制限を行うものである。この場合、例えば車載バッテリ10の出力電圧がDC10Vであった場合、駆動トランジスタ46aを閉路して励磁コイル32Aに給電したときの電流上昇率に比べ、駆動トランジスタ46aを開路して励磁コイル32Aを遮断したときの電流減少率は5倍の高速減衰となり、短絡接点31Aの開路応答時間T2bよりも閉路応答時間t2bのほうが大幅に短縮されるようになっている。なお、短絡接点31Aの開路応答時間や閉路応答時間には機械的な応答遅れ時間も加算されるが、この機械的応答時間は電源電圧の変動の影響を受けることがなくて安定しているため、電流抑制始動時間の変動要因にはならないものである。
【0056】
以上の説明で明らかなとおり、実施の形態1に係る始動制御ユニット20Aは、車載エンジンを始動する始動用電動機70と車載バッテリ10との間に接続されて始動用電動機70の限流始動を行う始動制御ユニット20Aであって、
始動制御ユニット20Aは、始動用電動機70に設けられた電磁シフトリレー60の出力接点61と直列接続される電流抑制抵抗50と、当該電流抑制抵抗50を短絡接点31Aにより短絡する短絡用リレー30Aと、始動指令スイッチ12の動作に応動して始動電流が減少した所定時期に短絡接点31Aを閉路するタイマ回路40Aとを一体化して構成され、
電磁シフトリレー60は、車載バッテリ10から始動指令スイッチ12を介して給電されるシフトコイル64によって始動用電動機70に設けられたピニオンギアを推進移動させ、エンジンのクランクシャフトに設けられたリングギアと前記ピニオンギアを係合させると共に、当該シフトコイル64によって出力接点61を閉路させる。
【0057】
短絡接点31Aは、短絡用リレー30Aの励磁コイル32Aを付勢することによって開路する常閉接点であると共に、励磁コイル32Aは、始動指令スイッチ12を経由しないで、電流抑制抵抗50の一方の端子と逆接保護素子47A、及び駆動トランジスタ46aを介して車載バッテリ10から直接給電されている。
【0058】
逆接保護素子47Aは、車載バッテリ10が正常極性で接続されているときには励磁コイル32Aへの給電は可能であるが、車載バッテリ10が異常逆極性で接続されているときには励磁コイル32Aへの給電を阻止するトランジスタ又はダイオードであり、
駆動トランジスタ46aは、始動指令スイッチ12が閉路してシフトコイル64が付勢されると同時に導通駆動されて短絡用リレー30Aを開路付勢し、出力接点61が閉路するまでには短絡接点31Aが開路動作を完了する。
【0059】
タイマ回路40Aは、電磁シフトリレー60の出力接点61の閉路動作に応動して計時動作を開始して、所定の遅延設定時間T0を置いて駆動トランジスタ46aを遮断し、
電流抑制抵抗50には、タイマ回路40Aの遅延設定時間T0と、短絡用リレー30A
の励磁コイル32Aを消勢してから短絡接点31Aが閉路復帰するまでの閉路応答時間t2bとを加算した時間帯において、始動用電動機70に対する抑制始動電流が流れるようになっている。
【0060】
従って、短絡用リレー30Aの励磁コイル32Aに対する電源配線が不要であって、しかも始動指令スイッチ12には短絡用リレー30Aの付勢電流が流れないため、スイッチの電流容量を抑制して小型安価な始動指令スイッチ12を使用することができる特徴がある。
【0061】
また、電磁シフトリレー60のシフトコイル64が吸引コイル62と保持コイル63を有するものにおいては、シフトコイル64に対して短絡用リレー30Aの励磁コイル32Aが並列接続されていないため、始動指令スイッチ12が開路されたときに電磁シフトリレー60が誤動作せず、確実に開路動作を行うことができる特徴がある。
【0062】
また、電流抑制始動時間は、電源電圧の大小によって変動する電磁シフトリレー60の動作応答時間や短絡用リレー30Aの開路応答時間の影響を受けることがなく、タイマ回路40Aの遅延設定時間T0と短絡用リレー30Aの閉路復帰遅延時間t2bによって決定されるため、電源電圧の変動の影響が少なくなり安定した電流抑制始動時間を得ることができる特徴がある。
【0063】
また、エンジンの始動が長引いた場合、電流抑制抵抗50は常閉接点型の短絡用リレー30Aの短絡接点31Aによって短絡されているため、電流抑制抵抗50及び短絡用リレー30Aの励磁コイル32Aへの通電が停止しており、始動制御ユニット20Aが過熱しないため、小型化できる特徴がある。
【0064】
更に、車載バッテリ10の接続極性を誤った場合に短絡用リレー30Aが継続付勢されて焼損する事故を防止することができる特徴がある。
【0065】
また、タイマ回路40Aは、電磁シフトリレー60の出力接点61が閉路したことに伴って電流抑制抵抗50の両端に発生する電圧降下を検出して計時動作を開始するものとなっている。即ち、タイマ回路40Aは電流抑制抵抗50に通電されたことによって計時動作を開始するようになっている。
【0066】
従って、電磁シフトリレー60の出力接点61が閉路したことを検出するために信号配線を増加させることなく、始動制御ユニット20A内の信号によって出力接点61が閉路されたことを検出することができる特徴がある。
【0067】
また、タイマ回路40Aは、始動指令スイッチ12の閉路動作に応動して車載バッテリ10から給電される駆動電源電圧Vcに比例した第1の比較電圧V1と、出力接点61が閉路したことによって共通の駆動電源電圧Vcから充電抵抗44aを介して充電されるタイマコンデンサ44bの漸増充電電圧である第2の比較電圧V2とを比較して、所定の遅延設定時間T0を置いて両者が一致したときにタイムアップ出力Tdnを発生して駆動トランジスタ46aを遮断するようになっている。即ち、タイマ回路40Aは車載バッテリ10から給電される非安定化電源によって動作するようになっている。
【0068】
従って、タイマ回路40Aを駆動するために安定化電源回路が使用されていないため、広範囲な電源電圧の変動に対してタイマ回路40Aの消費電力を抑制することができると共に、タイマ回路40Aを構成する電圧比較回路は共通の駆動電源電圧Vcによって動作しているため、駆動電源電圧Vcが変動してもタイマ特性は変動せず、安定した遅延設定時間を得ることができる特徴がある。
【0069】
また、タイマ回路40Aの駆動電源回路には、給電抵抗41aと電圧制限ダイオード48Aが接続されており、電圧制限ダイオード48Aは、駆動電源電圧Vcの変動領域の高電圧領域において電圧制限機能を有し、低電圧領域においては電圧制限機能が作用しない動作電圧の定電圧ダイオードが使用されている。即ち、タイマ回路40Aへの給電電圧は高電圧領域においてのみ定電圧となるように制限されている。
【0070】
従って、始動用電動機70に対する印加電圧の広範囲な電圧変動の全領域において定電圧制御を行わないため、高電圧領域における消費電力を抑制することができると共に、タイマ回路40Aで使用されるタイマコンデンサ44bの耐圧を低くして小型で安価なコンデンサを使用することができる特徴がある。
【0071】
また、電流抑制抵抗50は、始動制御ユニット20Aを収納した筐体20AAの外壁に取り付け固定されて一体化されている。即ち、電流抑制抵抗50は始動制御ユニット20Aの外壁にアドオンされるようになっている。
【0072】
従って、始動制御ユニット20Aの筐体20AA内に電流抑制抵抗50を内蔵させるものに対し、電流抑制抵抗50の発生熱による始動制御ユニット20Aの温度上昇が抑制されると共に、適用車種に応じて電流抑制抵抗50の値を変更することが容易となる特徴がある。これは、後述する実施形態2、3、4における始動制御ユニット21A、20B、21Bの場合も同様である。
【0073】
また、短絡用リレー30Aの出力接点である短絡接点31Aと電流抑制抵抗50との並列回路は、始動用電動機70に接続された電磁シフトリレー60の出力接点61と車載バッテリ10との間に接続され、前記並列回路の一対の配線端子X、Yのどちらか一方は車載バッテリ10側に接続されると共に、
タイマ回路40Aは端子間接続配線49bによって内部接続された一対の電源端子B1、B2を備え、前記一対の配線端子X、Yの一方の配線端子Yが車載バッテリ10に接続されているときには、当該一方の配線端子Yと前記電源端子B1、B2の一方の電源端子B2とが接続され、前記一対の配線端子X、Yの他方の配線端子Xが車載バッテリ10に接続されているときには、当該他方の他方端子Xと前記電源端子B1、B2の他方の電源端子B1とが接続されるようになっている。即ち、短絡用リレー30Aは始動用電動機70と一体不可分の電磁シフトリレー60と車載バッテリ10との間に設けられていると共に、タイマ回路40Aは内部接続された一対の電源端子B1、B2を備えており、短絡接点31Aと電流抑制抵抗50の並列回路に対する一対の配線端子X、Yの接続極性に応じて接続される電源端子が選択できるようになっている。
【0074】
従って、車載バッテリ10、始動制御ユニット20A、及び始動用電動機70の配置関係が適用される車種によって変化しても、タイマ回路40Aに対する電源配線を手軽に行うことができる特徴がある。これは、後述する実施形態2、3、4における始動制御ユニット21A、20B、21Bの場合も同様である。
【0075】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2に係る始動制御ユニットについて説明する。図7は、実施の形態2に係る始動制御ユニットの外部接続図である。以下、前記実施の形態1との相違点を中心に説明する。なお、各図において同一符号は同一又は相当部分を示している。
【0076】
図7において、車載バッテリ10の負端子は車体11に接続され、正端子は始動指令スイッチ12を介して始動制御ユニット21Aに給電するようになっている。始動制御ユニット21Aは、主として短絡リレー30Aとタイマ回路90Aによって構成され、電流抑
制抵抗50がアドオンされて一体化されている。電流抑制抵抗50と電磁シフトリレー65の出力接点61は直列接続され、車載バッテリ10の正端子と始動用電動機70との間に接続されている。
【0077】
始動指令スイッチ12は、キースイッチである手動始動スイッチ103と、アイドルストップ後の再始動や寒冷時の遠隔暖機運転を行うための自動始動スイッチ104とが並列接続されており、指令端子A1、A2を介してタイマ回路90Aへ給電すると共に、電磁シフトリレー65のシフトコイル66に給電するようになっている。なお、始動指令スイッチ12は、後述する実施の形態6(図17参照)の指令用電磁リレー105の出力接点12を用いることも可能である。
【0078】
短絡用リレー30Aは、常閉接点である短絡接点31Aを備え、励磁コイル32Aを給電駆動することによって短絡接点31Aが開路するようになっており、配線端子X、Yを介して電流抑制抵抗50に対して並列接続されている。励磁コイル32Aは、タイマ回路90Aの電源端子B1、B2から逆接保護素子47Aと駆動トランジスタ46a、及び駆動端子Dを介して給電されるようになっている。また、電源端子B1、B2は、端子間接続配線49bによって相互に接続されており、車載バッテリ10に接続される配線端子Yと電源端子B2とは端子間接続片33bによって接続されている。
【0079】
タイマ回路90Aの計時開始信号を得るために使用される信号端子C1、C2は、端子間接続配線49cによって相互に接続されており、電流抑制抵抗50の負側の配線端子Xと信号端子C1とは端子間接続片33cによって接続されている。なお、始動タイマ回路部40aは、前記実施の形態1(図2参照)のとおり、始動指令スイッチ12が閉路すると直ちに駆動トランジスタ46aを導通駆動すると共に、始動タイマ回路部40aが計時開始してから所定時間後に駆動トランジスタ46aを遮断する遅延復帰動作を行うようになっている。
【0080】
これに対し遅延タイマ回路部90bは、始動指令スイッチ12が閉路してから所定の遅延時間Tdを置いてタイムアップ出力を発生して分割駆動トランジスタ96aを導通駆動し、逆接保護素子47Aと分割駆動トランジスタ96a、及び駆動端子F2、F1を介して後述のリレーコイル67に給電するようになっている。なお、逆接保護素子47Aは、駆動トランジスタ46aと分割駆動トランジスタ96aとのそれぞれに分割して接続し、集中発熱を防止することもできる。
【0081】
電磁シフトリレー65は、車載バッテリ10から始動指令スイッチ12を介して給電されるシフトコイル66を備え、当該シフトコイル66に給電されると始動用電動機70に設けられたピニオンギアを推進移動させ、エンジンのクランクシャフトに設けられたリングギアとピニオンギアを係合させるようになっている。
【0082】
シフトコイル66は吸引動作と保持動作を行う第1コイル66aによって構成されているが、吸引補助のための第2コイル66bを併用することもできる。しかし、第2コイル66bを併用した場合、出力接点61を閉路するためにリレーコイル67が分離設置されており、リレーコイル67を付勢して出力接点61を閉路させると、始動用電動機70と直列接続されている第2コイル66bを短絡消勢するようになっている。
【0083】
この形式の電磁シフトリレー65では、出力接点61を閉路するためのリレーコイル67とピニオンギアを押し出すためのシフトコイル66が機構分離されているため、確実にシフト動作を行ってから出力接点61を閉路することができる。シフトコイル66を付勢してからリレーコイル67を付勢するまでの遅延時間Tdは、遅延タイマ回路部90bで設定されており、遅延時間Tdの値は車載バッテリ10の電源電圧Vbが低下していると
きの最大シフト時間に対応した固定値であるか、又は電源電圧Vbが高いときには遅延時間Tdを漸減させる電圧補正が行われるようになっている。
【0084】
始動タイマ回路部40aには始動指令スイッチ12が閉路した時点で給電するようになっているが、遅延タイマ回路部90bがタイムアップした時点で給電することによって節電するようにしても良い。
【0085】
なお、シフトコイル66が始動用電動機70と直列接続されている第2コイル66bを有する場合には、リレーコイル67に給電されて出力接点61が閉路すると、第2コイル66bの両端は、電流抑制抵抗50又は短絡用リレー30Aの出力接点である短絡接点31Aが始動指令スイッチ12を介して短絡接続される。そして、電流抑制抵抗50の抵抗値は第2コイル66bの抵抗値に比べて圧倒的に小さな値となっているため、第2コイル66bは消勢され、第1コイル66aによって電磁シフトリレー65の動作状態が維持されるようになっている。しかし、始動指令スイッチ12が開路されると、リレーコイル67が消勢されて出力接点61は単独で開路復帰し、第1コイル66aと第2コイル66bは共に消勢されてピニオンギアが復帰するようになっている。
【0086】
次に、実施の形態2に係る始動制御ユニット21Aの動作について図8のタイムチャートに基づいて説明する。なお、図7及び図2を参照しながら説明する。
【0087】
図8(A)は、始動指令スイッチ12の閉路指令期間Tsにおいて論理レベルが「H」となる指令信号の状態を示している。始動指令スイッチ12が閉路されると、図7で示すとおり電磁シフトリレー65のシフトコイル66が付勢され、始動用電動機70のピニオンギアがエンジンのリングギアと係合するように押し出し駆動される。
【0088】
図8(B)は、点線が遅延時間Tdを置いて遅延タイマ回路部90bから付勢される電磁シフトリレー65のリレーコイル67の付勢期間を示し、実線は閉路応答遅延時間T1を置いて閉路する出力接点61の閉路期間を示している。なお、始動指令スイッチ12が開路してリレーコイル67が消勢されると、電磁シフトリレー65の開路応答時間t1を置いて出力接点61が開路する。
【0089】
図8(C)は、出力接点61の閉路に伴って電流抑制抵抗50を通じて始動用電動機70に始動電流が流れることによって、図2の通電検出トランジスタ80が導通している期間を示しており、やがて短絡接点31Aが閉路復帰すると通電検出トランジスタ80は不導通となる。なお、通電検出トランジスタ80が導通すると計時開始トランジスタ83も導通してタイマコンデンサ44bの充電が開始され、遅延設定時間T0後には第2の比較電圧V2が第1の比較電圧V1以上となって第2の比較トランジスタ43aが導通し、ラッチトランジスタ43bと協働して自己保持導通状態となってタイムアップ完了状態となる。
【0090】
図8(D)は、出力接点61が閉路してから遅延設定時間T0が経過した時点で導通するラッチトランジスタ43bの導通状態を示している。一方、短絡用リレー30Aの励磁コイル32Aは、始動指令スイッチ12が閉路すると、第1の比較トランジスタ42aから駆動抵抗45bを介して駆動補助トランジスタ45aが導通することによって駆動トランジスタ46aが導通駆動されるが、タイマ回路90Aのタイムアップによってラッチトランジスタ43bが導通すると、第1の比較トランジスタ42aは不導通となり、その結果、駆動補助トランジスタ45aが遮断されて駆動トランジスタ46aも遮断されるようになっている。
【0091】
図8(E)は、点線が短絡用リレー30Aの励磁コイル32Aの付勢期間を示しており
、リレーコイル67が付勢された時点からラッチトランジスタ43bが導通してタイムアップ出力が発生するまでの期間において付勢されている。励磁コイル32Aが付勢されると短絡用リレー30Aの開路応答時間T2bを置いて常閉の短絡接点31Aが開路動作し、励磁コイル32Aが消勢されると短絡用リレー30Aの閉路応答時間t2bを置いて短絡接点31Aが閉路復帰するようになっており、短絡接点31Aの開路状態が実線の論理「H」レベルで示されている。
【0092】
なお、短絡用リレー30Aの開路応答時間T2bは、電磁シフトリレー60の閉路応答時間T1よりも短い時間となっており、出力接点61が閉路するまでには短絡接点31Aが開路するようになっている。このためには、励磁コイル32Aは始動指令スイッチ12が閉路した時点でシフトコイル66の付勢と同時に付勢開始するようにしても良い。
【0093】
また、駆動トランジスタ46aが遮断されたときには、励磁コイル32Aに流れていた電流はサージ吸収用ダイオード46eによって急速遮断されるため、閉路応答時間t2bは開路応答時間T2bよりも短い時間となり、車載バッテリ10の電源電圧Vbの影響を受け難いようになっている。
【0094】
図8(F)は、始動用電動機70に流れる始動電流の波形を示しており、始動指令スイッチ12が閉路して遅延時間Tdと閉路応答時間T1が経過し、出力接点61が閉路すると電流抑制抵抗50を通して始動電流が急増し、始動用電動機70の回転上昇に伴って始動電流は漸減する。短絡接点31Aが閉路復帰すると再び始動電流は急増し、更なる始動用電動機70の回転上昇に伴って始動電流は漸減する。
【0095】
エンジンの自立回転に伴って始動指令スイッチ12が開路されると、電磁シフトリレー60の開路応答時間t1(図8B参照)を置いて出力接点61が開路し、始動電流が遮断されるようになっている。
【0096】
なお、逆接保護素子47Aと駆動トランジスタ46aには、図8(E)の付勢期間T0+T1において電流が流れ、これが始動制御ユニット21Aの温度上昇の原因となる。この温度上昇を抑制するためには後述する実施の形態3(図10参照)のとおり、逆接保護素子47Aとしてトランジスタを使用することもできるが、前記実施の形態1及び本実施形態の場合には、駆動電源電圧Vcを得るための電圧制限ダイオード48Aを比較的高電圧に設定し、安定化電圧を得るための電力消費を抑制していることも重要な対策となっている。
【0097】
また、始動指令スイッチ12の閉路指令期間Tsが延引しても、励磁コイル32Aに電流が流れる期間は確定しているため、逆接保護素子47Aと駆動トランジスタ46aの発熱が過大になる恐れがない利点がある。
【0098】
以上の説明で明らかなとおり、実施の形態2に係る始動制御ユニット21Aは、車載エンジンを始動する始動用電動機70と車載バッテリ10との間に接続されて始動用電動機70の限流始動を行う始動制御ユニット21Aであって、
始動制御ユニット21Aは、始動用電動機70に設けられた電磁シフトリレー65の出力接点61と直列接続される電流抑制抵抗50と、当該電流抑制抵抗50を短絡接点31Aにより短絡する短絡用リレー30Aと、始動指令スイッチ12の動作に応動して始動電流が減少した所定時期に短絡接点31Aを閉路するタイマ回路90Aとを一体化して構成され、
電磁シフトリレー65は、車載バッテリ10から始動指令スイッチ12を介して給電されるシフトコイル66によって始動用電動機70に設けられたピニオンギアを推進移動させ、エンジンのクランクシャフトに設けられたリングギアと前記ピニオンギアを係合させ
ると共に、当該シフトコイル66と分割設置されたリレーコイル67によって出力接点61を閉路させる。
【0099】
短絡接点31Aは、短絡用リレー30Aの励磁コイル32Aを付勢したことによって開路する常閉接点であると共に、励磁コイル32Aは、始動指令スイッチ12を経由しないで、電流抑制抵抗50の一方の端子と逆接保護素子47A、及び駆動トランジスタ46aを介して車載バッテリ10から直接給電されている。
【0100】
逆接保護素子47Aは、車載バッテリ10が正常極性で接続されているときには励磁コイル32Aへの給電は可能であるが、車載バッテリ10が異常逆極性で接続されているときには励磁コイル32Aへの給電を阻止するトランジスタ又はダイオードであり、
駆動トランジスタ46aは、始動指令スイッチ12が閉路してシフトコイル66又はリレーコイル67が付勢されると同時に導通駆動されて短絡用リレー30Aを開路付勢し、出力接点61が閉路するまでには短絡接点31Aが開路動作を完了する。
【0101】
タイマ回路90Aは、電磁シフトリレー65の出力接点61の閉路動作に応動して計時動作を開始して、所定の遅延設定時間T0を置いて駆動トランジスタ46aを遮断し、
電流抑制抵抗50には、タイマ回路90Aの遅延設定時間T0と、短絡用リレー30Aの励磁コイル32Aを消勢してから短絡接点31Aが閉路復帰するまでの閉路応答時間t2bを加算した時間帯において、始動用電動機70に対する抑制始動電流が流れるようになっている。
【0102】
電磁シフトリレー65は、車載バッテリ10から始動指令スイッチ12を介して給電されるシフトコイル66によって始動用電動機70に設けられたピニオンギアを推進移動させ、エンジンのクランクシャフトに設けられたリングギアと前記ピニオンギアを係合させると共に、当該シフトコイル66と分割設置されたリレーコイル67を分離駆動することによって出力接点61を閉路させ、
リレーコイル67は、シフトコイル66に給電されてからタイマ回路90A内に設けられた遅延タイマ回路部90bによって設定された所定の遅延時間Tdを置いて給電駆動され、遅延時間Tdは、車載バッテリ10の電源電圧Vbが低下しているときの最大シフト時間に対応した固定値であるか、又は電源電圧Vbが高いときには遅延時間Tdを漸減させる電圧補正が行われている。
【0103】
また、短絡接点31Aは、短絡用リレー30Aの励磁コイル32Aを付勢したことによって開路する常閉接点であると共に、
タイマ回路90A内に設けられた始動タイマ回路部40aは、出力接点61が閉路した時点において計時動作を開始し、
励磁コイル32Aとリレーコイル67は、始動指令スイッチ12を経由しないで、電流抑制抵抗50の一方の端子と逆接保護素子47A、及びそれぞれの駆動トランジスタ46aと分割駆動トランジスタ96aとを介して車載バッテリ10から直接給電され、
逆接保護素子47Aは、車載バッテリ10が正常極性で接続されているときには励磁コイル32Aとリレーコイル67への給電は可能であるが、車載バッテリ10が異常逆極性で接続されているときには励磁コイル32Aとリレーコイル67への給電を阻止するトランジスタ又はダイオードとなっている。
【0104】
このように、実施の形態2に係る始動制御ユニット21Aは、電磁シフトリレー65のシフトコイル66が付勢されてから所定時間後にリレーコイル67を付勢する遅延タイマ回路部90bと、電磁シフトリレー65の付勢開始後の所定期間において、始動用電動機70に直列接続された短絡用リレー30Aの短絡接点31Aによって短絡される電流抑制抵抗50を用いて限流始動を行う始動タイマ回路部40aとを備え、リレーコイル67と
短絡用リレー30Aは始動指令スイッチ12を経由しないで、逆接保護素子47Aと個別の駆動トランジスタ46a、96aとを介して車載バッテリ10から直接給電されるようになっている。
【0105】
従って、短絡用リレー30Aの励磁コイル32Aに対する電源配線が不要であって、しかも始動指令スイッチ12にはリレーコイル67と短絡用リレー30Aの付勢電流が流れないため、スイッチの電流容量を抑制して小型安価な始動指令スイッチ12を使用することができる特徴がある。
【0106】
また、電磁シフトリレー65はシフトコイル66とリレーコイル67に分離されているため、リレーコイル67の付勢電流を抑制して逆接保護素子47Aや駆動トランジスタ46a、96aの発熱を抑制することができる特徴がある。
【0107】
また、ピニオンギアのシフト動作を待ってからリレーコイル67が付勢されるようになっているため、電源電圧の変動によってシフト時間が変化しても、始動指令スイッチ12が閉路してからリレーコイル67が付勢されるまでの時間が安定し、その結果として限流始動制御の時間特性を安定化させることができる特徴がある。
【0108】
また、電磁シフトリレー65のシフトコイル66が吸引動作と保持動作を行う第1コイル66aと吸引補助のための第2コイル66bを併用するものであっても、シフトコイル66の状態とは無関係にリレーコイル67によって出力接点61が駆動されているため、始動指令スイッチ12が開路されたときに電磁シフトリレー65が誤動作せず、確実に開路動作を行うことができる特徴がある。
【0109】
更に、車載バッテリ10の接続極性を誤った場合に短絡用リレー30Aやリレーコイル67が継続付勢されて焼損する事故を防止することができる特徴がある。
【0110】
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3に係る始動制御ユニットについて説明する。図9は、実施の形態3に係る始動制御ユニットの外部接続図である。図9において、車載バッテリ10の負端子は車体11に接続され、正端子は始動指令スイッチ12を介して始動制御ユニット20Bに給電するようになっている。始動制御ユニット20Bは図10で後述するとおり主として短絡用リレー30Bとタイマ回路40Bによって構成され、電流抑制抵抗50がアドオンされて一体化されている。電流抑制抵抗50と電磁シフトリレー60の出力接点61とは直列接続され、車載バッテリ10の正端子と始動用電動機70との間に接続されている。
【0111】
始動指令スイッチ12は、図示省略されているが、前記実施の形態1の場合と同様に、キースイッチである手動始動スイッチと、アイドルストップ後の再始動や寒冷時の遠隔暖機運転を行うための自動始動スイッチとが並列接続されており、指令端子A1、A2を介してタイマ回路40Bへ給電すると共に、電磁シフトリレー60の吸引コイル62と保持コイル63に給電するようになっている。なお、始動指令スイッチ12は、後述する実施の形態5(図16参照)、実施の形態7(図18参照)の指令用電磁リレー105の出力接点12を用いることも可能である。
【0112】
短絡用リレー30Bは、常開接点である短絡接点31Bを備え、励磁コイル32Bを給電駆動することによって短絡接点31Bが閉路するようになっており、配線端子X、Yを介して電流抑制抵抗50に対して並列接続されている。励磁コイル32Bは、タイマ回路40Bの電源端子B1、B2から逆接保護素子47B、駆動トランジスタ46a、及び駆動端子Dを介して給電されると共に、電源端子B1、B2は、端子間接続配線49bによ
って相互に接続されている。また、車載バッテリ10に接続される配線端子Xと電源端子B1とは端子間接続片33bによって接続されている。
【0113】
なお、始動タイマ回路部40bは、タイマ回路40Bから逆接保護素子47Bと駆動トランジスタ46aを除外した弱電回路部を構成している。また、励磁コイル32Bの他方の端子やタイマ回路40Bの負側配線は、グランド端子E1、E2を介して車体11に接続され、電磁シフトリレー60の保持コイル63の負側端子や始動用電動機70の負側端子も車体11に接続されている。
【0114】
電磁シフトリレー60は、車載バッテリ10から始動指令スイッチ12を介して給電される吸引コイル62と保持コイル63によって構成されたシフトコイル64を備え、当該吸引コイル62と保持コイル63が協働して始動用電動機70に設けられたピニオンギアを推進移動させ、エンジンのクランクシャフトに設けられたリングギアとピニオンギアを係合させると共に、後述するように出力接点61を閉路させて始動用電動機70と直列接続されている吸引コイル62を短絡消勢するようになっている。
【0115】
始動用電動機70と直列接続されている吸引コイル62に給電されて出力接点61が閉路すると、吸引コイル62の両端は電流抑制抵抗50又は短絡用リレー30Bの出力接点である短絡接点31Bと始動指令スイッチ12を介して短絡接続される。そして、電流抑制抵抗50の抵抗値が吸引コイル62の抵抗値に比べて圧倒的に小さな値となっているため、吸引コイル62は消勢され、保持コイル63によって電磁シフトリレー60の動作状態が維持されるようになっている。しかし、始動指令スイッチ12が開路されると、既に閉路していた出力接点61から吸引コイル62を逆流する電流が保持コイル63に流れ、磁力が相殺しあって電磁シフトリレー60が復帰するようになっている。
【0116】
次に、図9で示された始動制御ユニット20Bの内部回路を図10により説明する。図10において、始動制御ユニット20Bの外部に設けられた車載バッテリ10、始動指令スイッチ12、電磁シフトリレー60、始動用電動機70と始動制御ユニット20Bとの配線、及び始動制御ユニット20B内部の短絡用リレー30Bと励磁コイル32Bに対する給電回路の構成は、図9において説明したとおりとなっている。
【0117】
タイマ回路40Bにおいて、駆動電源電圧V0は、車載バッテリ10から始動指令スイッチ12、指令端子A1、A2、及び給電抵抗41aを介して供給される。この駆動電源電圧V0は、定電圧ダイオード48Bによって、例えばDC5.1Vの一定値となるように制限されていると共に、電源コンデンサ41bによって車載バッテリ10の電源電圧Vbの一時的な異常低下に対して駆動電源電圧V0が所定の下限電圧以下とならないように平滑化されている。また、駆動電源電圧V0が印加される第1及び第2の比較トランジスタ92a、93aは、共通のエミッタ抵抗92dを介してグランド回路に接続されるNPN型トランジスタとなっており、第1の比較トランジスタ92aのベース端子には、駆動電源電圧V0を分圧抵抗92b、92cによって分圧して得られる第1の比較電圧V1が印加されている。
【0118】
また、第2の比較トランジスタ93aのベース端子には、駆動電源電圧V0によって充電抵抗44aを介して充電されるタイマコンデンサ44bの漸増電圧である第2の比較電圧V2が印加されている。PNP型のラッチトランジスタ93bと第2の比較トランジスタ93aのベース端子及びコレクタ端子は相互に接続されており、第2の比較電圧V2の値が第1の比較電圧V1以上となって第2の比較トランジスタ93aが導通すると、タイマ回路がタイムアップしてラッチトランジスタ93bが導通する。その結果ラッチトランジスタ93bのコレクタ端子から保持給電ダイオード93cを介して第2の比較トランジスタ93aの導通状態が維持されると共に、駆動抵抗45bを介して駆動補助トランジス
タ45aが導通駆動されるようになっている。なお、ラッチトランジスタ93bのベース端子とエミッタ端子間には、開路安定抵抗93dが接続されており、また、NPN形トランジスタである駆動補助トランジスタ45aのベース端子とエミッタ端子間には、開路安定抵抗45cが接続されている。
【0119】
一方、車載バッテリ10から、配線端子X、電源端子B1、及び逆接保護素子47Bを介して励磁コイル32Bに給電する駆動トランジスタ46aは、Pチャネル型電界効果トランジスタとなっており、この駆動トランジスタ46aは、NPN型の駆動補助トランジスタ45aが導通したときに分圧抵抗46bと逆流阻止ダイオード46gを介して導通駆動されるようになっている。なお、駆動トランジスタ46aのソース端子とゲート端子間には、分圧抵抗46cと過電圧保護ダイオード46dが並列接続されている。また、駆動トランジスタ46aのゲート端子とドレイン端子間には、逆流阻止ダイオード46fとサージ吸収用ダイオード46eが並列接続されている。
【0120】
逆接保護素子47Bは、Pチャネル型電界効果トランジスタを逆方向接続したものであり、ドレイン端子は電源端子B1に接続され、ソース端子は駆動トランジスタ46aのソース端子に接続されている。逆接保護素子となるトランジスタ47Bのゲート端子は分圧抵抗47dを介して駆動補助トランジスタ45aに接続され、ソース端子とゲート端子間には分圧抵抗47cと過電圧保護ダイオード47eが接続されている。
【0121】
従って、駆動補助トランジスタ45aを導通駆動するとトランジスタ47Bも導通駆動され、前記実施の形態1のダイオード47Aに比べて電源端子B1から駆動トランジスタ46a間を小さな電圧降下で接続することができるようになっている。しかし、車載バッテリ10が誤って逆極性で接続された場合には、前記実施の形態1のダイオード47Aと同様に逆方向電流を阻止するようになっている。
【0122】
なお、車載バッテリ10が誤った極性で接続された場合には、車載バッテリ10の正端子からグランド端子E1、励磁コイル32B、駆動トランジスタ46a内の寄生ダイオードに至る逆流通電回路は逆接保護素子47Bによって通電阻止され、電源端子B1、配線端子Xから車載バッテリ10の負端子に至る逆方向電流が流れないようになっている。
【0123】
一方、始動制御ユニット20Bの取り付け位置が反転して、車載バッテリ10を配線端子Y側に接続し、電磁シフトリレー60を配線端子X側に接続したい場合には、端子間接続片33bは配線端子Yと電源端子B2との間に接続されるようになっており、電源端子B1、B2のどちら側に車載バッテリ10が接続されても良いようにするために端子間接続配線49bが設けられている。
【0124】
次に、実施の形態3に係る始動制御ユニット20Bの上面構造図と側面構造図である図11及び図12について説明する。図11及び図12において、始動制御ユニット20Bは、筐体20BBの下部に一体取り付けされた短絡用リレー30Bと、筐体20BBの内部にあってタイマ回路40Bを構成する回路部品が搭載された電子基板40BBと、筐体20BBの上部に設けられた配線端子X、Y、指令端子A1、グランド端子E1とを備えている。
【0125】
電子基板40BBには、電源端子B1、B2と、指令端子A2と、駆動端子Dと、グランド端子E2とが設けられ、配線端子X、Yのいずれか一方と電源端子B1、B2のいずれか一方との間は端子間接続片33bによって接続されている。また、指令端子A1、A2間とグランド端子E1、E2間も相互に接続されている。配線端子X、Y間には電流抑制抵抗50が共締めで固定されており、電流抑制抵抗50の抵抗値は、適用される始動用電動機70の代表特性に応じて選択決定されるようになっている。なお、車載バッテリ1
0と始動用電動機70の配置の関係に応じて始動制御ユニット20Bの取り付けの向きを変更して取り付け足の位置を変更するようにした場合には、例えば配線端子Xは常に車載バッテリ10の正端子に接続して端子間接続片33bによって電源端子B1に給電し、電源端子B2と端子間接続配線49bは廃止することができる。
【0126】
次に、前記のように構成された実施の形態3に係る始動制御ユニット20Bの動作について図13のタイムチャートに基づいて説明する。なお、図9及び図10を参照しながら説明する。
【0127】
図13(A)は、始動指令スイッチ12の閉路指令期間Tsにおいて、論理レベルが「H」となる指令信号の状態を示している。始動指令スイッチ12が閉路されると、図9、図10で示すとおり、電磁シフトリレー60の吸引コイル62と保持コイル63が付勢され、始動用電動機70のピニオンギアがエンジンのリングギアと係合するように押し出し駆動されると共に、閉路応答遅延時間T1を置いて出力接点61が閉路するようになっている。
【0128】
図13(B)は、始動指令スイッチ12が閉路したことに伴ってタイマ回路40Bが計時動作を開始したことを示す始動信号の論理レベルを示している。
【0129】
図13(C)は、点線が電磁シフトリレー60の閉路応答時間T1の期間に対応した吸引コイル62の付勢期間を示し、一点鎖線は閉路指令期間Tsに対応した保持コイル63の付勢期間を示し、実線は出力接点61の閉路期間を示している。また、始動指令スイッチ12が開路して保持コイル63が消勢されると、電磁シフトリレー60の開路応答時間t1を置いて出力接点61が開路する。なお、吸引コイル62は、出力接点61が閉路すると電流抑制抵抗50と出力接点61との直列回路によって短絡されるが、電流抑制抵抗50の抵抗値は吸引コイル62の抵抗値に比べて圧倒的に小さな値となっているため、吸引コイル62は消勢され、保持コイル63によって出力接点61の閉路状態とピニオンギアの押し出し状態が維持されている。
【0130】
図13(D)は、始動指令スイッチ12が閉路してから遅延設定時間T0が経過した時点で導通するラッチトランジスタ93bの導通状態を示している。ラッチトランジスタ93bが導通すると、駆動補助トランジスタ45aが導通することによって駆動トランジスタ46aが導通駆動される。
【0131】
図13(E)は、点線が短絡用リレー30Bの励磁コイル32Bの付勢期間を示しており、タイマ回路40Bがタイムアップしてから始動指令スイッチ12が開路されるまでの期間において付勢されている。励磁コイル32Bが付勢されると、短絡用リレー30Bの閉路応答時間T2aを置いて常開の短絡接点31Bが閉路動作し、励磁コイル32Bが消勢されると、短絡用リレー30Bの開路応答時間t2aを置いて短絡接点31Bが開路復帰するようになっており、短絡接点31Bの閉路状態が実線の論理「H」レベルで示されている。
【0132】
図13(F)は、始動用電動機70に流れる始動電流の波形を示しており、始動指令スイッチ12が閉路すると始動用電動機70には吸引コイル62に対する付勢電流が流れ、やがて出力接点61が閉路すると電流抑制抵抗50を通して始動電流が急増し、始動用電動機70の回転上昇に伴って始動電流は漸減する。短絡接点31Bが閉路動作すると再び始動電流は急増し、更なる始動用電動機70の回転上昇に伴って始動電流は漸減する。
【0133】
エンジンの自立回転に伴って始動指令スイッチ12が開路されると、電磁シフトリレー60の開路応答時間t1(図13C参照)を置いて出力接点61が開路し、始動電流が遮
断されるようになっている。なお、始動指令スイッチ12が開路された直後においては、出力接点61はまだ閉路しているため、短絡接点31Bと出力接点61を介して吸引コイル62から保持コイル63に付勢電流が流れるが、この場合には吸引コイル62と保持コイル63の磁力が差動しているため、電磁シフトリレー60は消勢復帰されることになる。
【0134】
もしも始動指令スイッチ12から他の低抵抗負荷が駆動されていると、この負荷は保持コイル63と並列接続されることになるため、吸引コイル62に対する印加電圧が上昇すると共に、保持コイル63への印加電圧が減少し、差動磁力のバランスが崩れて電磁シフトリレー60が動作保持状態を継続する誤動作が発生する恐れがある。しかし、図9に示すこの実施形態の場合には、保持コイル63と並列接続されるのは高抵抗のタイマ回路40Bであって、励磁コイル32Bが並列接続されていないため、電磁シフトリレー60の開路誤動作が発生しないようになっている。
【0135】
これを可能にしているのは、励磁コイル32Bを逆接保護素子47Bと駆動トランジスタ46aを介して車載バッテリ10に直接接続するようにしているためであるが、逆接保護素子47Bと駆動トランジスタ46aには、図13(E)の付勢期間Ts−T0において電流が流れ、これが始動制御ユニット20Bの温度上昇の原因となる。この温度上昇を抑制するためには、図10で前記とおり、逆接保護素子47Bとしてトランジスタを使用することが有効である。
【0136】
また、励磁コイル32Bに対する付勢期間において、短絡接点31Bが閉路しているときには電流抑制抵抗50に始動電流が流れないため、電流抑制抵抗50の温度上昇が発生せず、電流抑制抵抗50の発生熱がタイマ回路40Bに伝熱してタイマ回路40Bが加熱されない有利な形態となっている。
【0137】
一方、電流抑制抵抗50による抑制通電期間は、図13(F)で示すとおり、遅延設定時間T0から電磁シフトリレー60の閉路応答遅延時間である第1の閉路応答時間T1と、短絡用リレー30Bの閉路応答遅延時間である第2の閉路応答時間T2aの差分を減じたものとなっている。このうち遅延設定時間T0は、電源電圧Vbの変動の影響を受けないように略一定の値となるように制御されているが、第1及び第2の閉路応答時間T1、T2aは、車載バッテリ10からの給電電圧と反比例して変動する。しかし、変動時間は差分時間T1−T2aとなって抑制通電期間に加算されるため、変動時間の影響が減殺されるようになっている。例えば、T1≒T2aであれば、抑制通電期間は電源電圧の変動の影響を受けないことになるが、実際には第1の閉路応答時間T1の値は第2の閉路応答時間T2aの値よりは若干大きな値となっており、減殺軽減された影響を受けることになる。
【0138】
以上の説明で明らかなとおり、実施の形態3に係る始動制御ユニット20Bは、車載エンジンを始動する始動用電動機70と車載バッテリ10との間に接続されて始動用電動機70の限流始動を行う始動制御ユニット20Bであって、
始動制御ユニット20Bは、始動用電動機70に設けられた電磁シフトリレー60の出力接点61と直列接続される電流抑制抵抗50と、当該電流抑制抵抗50を短絡接点31Bにより短絡する短絡用リレー30Bと、始動指令スイッチ12の動作に応動して始動電流が減少した所定時期に短絡接点31Bを閉路するタイマ回路40Bとを一体化して構成され、
電磁シフトリレー60は、車載バッテリ10から始動指令スイッチ12を介して給電されるシフトコイル64によって始動用電動機70に設けられたピニオンギアを推進移動させ、エンジンのクランクシャフトに設けられたリングギアと前記ピニオンギアを係合させると共に、当該シフトコイル64によって出力接点61を閉路させる。
【0139】
短絡接点31Bは、短絡用リレー30Bの励磁コイル32Bを付勢したことによって閉路する常開接点であると共に、励磁コイル32Bは、始動指令スイッチ12を経由しないで、電流抑制抵抗50の一方の端子と逆接保護素子47B、及び駆動トランジスタ46aを介して車載バッテリ10から直接給電されている。
【0140】
逆接保護素子47Bは、車載バッテリ10が正常極性で接続されているときには励磁コイル32Bへの給電は可能であるが、車載バッテリ10が異常逆極性で接続されているときには励磁コイル32Bへの給電を阻止するトランジスタ又はダイオードであり、
タイマ回路40Bは、始動指令スイッチ12が閉路したことによって車載バッテリ10から給電され、所定の遅延設定時間T0を置いて駆動トランジスタ46aを導通駆動すると共に、遅延設定時間T0の値は、電磁シフトリレー60が付勢されてから出力接点61が閉路するまでの第1の閉路応答時間T1よりも長い時間となるように設定されている。
【0141】
電流抑制抵抗50には、タイマ回路40Bの遅延設定時間をT0とし、出力接点61を閉路駆動するシフトコイル64又は電磁シフトリレー60が付勢されてから出力接点61が閉路するまでの第1の閉路応答時間をT1とし、短絡用リレー30Bが付勢されてから短絡接点31Bが閉路するまでの第2の応答遅延時間をT2aとしたときに、算式「T0+T2a−T1」によって得られる時間帯において始動用電動機70に対する抑制始動電流が流れるようになっている。
【0142】
このように、実施の形態3に係る始動制御ユニット20Bは、始動指令スイッチ12に応動する電磁シフトリレー60の付勢開始後の所定期間において、始動用電動機70に対して電流抑制抵抗50を直列接続して限流始動を行うタイマ回路40Bと、当該タイマ回路40Bによって付勢制御される常開接点型の短絡用リレー30Bとを備え、短絡用リレー30Bは始動指令スイッチ12を経由しないで、逆接保護素子47Bと駆動トランジスタ66aとを介して車載バッテリ10から直接給電されるようになっている。
【0143】
従って、短絡用リレー30Bの励磁コイル32Bに対する電源配線が不要であって、しかも始動指令スイッチ12には短絡用リレー30Bの付勢電流が流れないため、スイッチの電流容量を抑制して小型安価な始動指令スイッチ12を使用することができる特徴がある。
【0144】
また、電磁シフトリレー60のシフトコイル64が吸引コイル62と保持コイル63を有するものにおいては、シフトコイル64に対して短絡用リレー30Bの励磁コイル32Bが並列接続されていないため、始動指令スイッチ12が開路されたときに電磁シフトリレー60が誤動作せず、確実に開路動作を行うことができる特徴がある。
【0145】
また、電流抑制始動時間は、電源電圧の大小によって変動する電磁シフトリレー60の閉路応答時間T1と短絡用リレー30Bの閉路応答時間T2aが互いに減殺しあって影響を受けることが少なくなり、タイマ回路40Bの遅延設定時間T0が主要時間となって決定され、電源電圧の変動の影響が少なくなって安定した電流抑制始動時間が得られる特徴がある。
【0146】
また、車載バッテリ10の電源電圧が低く、エンジンの始動が長引いた場合、電流抑制抵抗50は短絡用リレー30Bの短絡接点31Bによって短絡されているため、電流抑制抵抗50による発熱は停止している。また、短絡用リレー30Bの励磁コイル32Bへの電流は電源電圧が低いことによって比較的小さな値となっていることによって始動制御ユニット20Bの過熱が抑制される。限流始動期間では電流抑制抵抗50は発熱するが、励磁コイル32Bには通電されないことによって集中発熱が回避されて始動制御ユニット2
0Bの過熱が抑制される特徴がある。
【0147】
更に、車載バッテリ10の接続極性を誤った場合に短絡用リレー30Bが継続付勢されて焼損する事故を防止することができる特徴がある。
【0148】
また、タイマ回路40Bは、始動指令スイッチ12の閉路動作に応動して車載バッテリ10から給電される駆動電源電圧V0に比例した第1の比較電圧V1と、駆動電圧V0から充電抵抗44aを介して充電されるタイマコンデンサ44bの漸増充電電圧である第2の比較電圧V2とを比較して、所定の遅延設定時間T0を置いて両者が一致したときにタイムアップ出力Tupを発生して駆動トランジスタ46aを導通駆動し、
駆動電源電圧V0は、車載バッテリ10から給電される電源電圧Vbが一時的に急減した場合に駆動電源電圧V0が異常低下することを防止する電源コンデンサ41b及び定電圧ダイオード48Bによって、変動電圧の全領域に対して安定化されている。
【0149】
このように、実施の形態3に係る始動制御ユニット20Bは、タイマ回路40Bが車載バッテリ10から給電される安定化電源によって動作するようになっている。
【0150】
従って、電磁シフトリレー60の出力接点61が閉路した直後において車載バッテリ10の電源電圧が一時的に急減しても、タイマ回路40Bが誤動作しない特徴がある。なお、安定化電源を使用することによって電源電圧が高いときのタイマ回路40Bの消費電力が増加するが、電源電圧が高いときの始動用電動機70の始動運転時間の中に占める短絡用リレー30Bの付勢時間は、常閉接点型の短絡用リレーに比べて短くなるため、逆接保護素子47Bや駆動トランジスタ46aの消費電力が減少し、全体として発熱が抑制される特徴がある。
【0151】
タイマ回路40Bは更に、第2の比較電圧V2が第1の比較電圧V1以上となった状態を記憶するラッチトランジスタ93bを備えているので、短絡用リレー30Bを駆動する駆動トランジスタ46aはラッチトランジスタ93bによって動作状態を維持するようになっている。
【0152】
従って、短絡接点31Bが閉路した時点で電源電圧が急減したり、始動指令スイッチ12の瞬断が発生したりしても、一旦電流抑制抵抗50が短絡されるとその状態を維持することができる特徴がある。これは前記実施の形態1におけるタイマ回路40Aの場合も同様であって、タイマ回路40Aの場合には短絡用リレー30Aを開路駆動する駆動トランジスタ46aはラッチトランジスタ43bによって遮断状態を維持するようになっている。
【0153】
また、逆接保護素子であるトランジスタ47BはPチャネル型電界効果トランジスタを逆接続したものであって、当該トランジスタ47Bは励磁コイル32Bが付勢されるときには逆方向に導通駆動されており、車載バッテリ10が正常極性で接続されているときには、トランジスタ47Bのドレイン端子からソース端子の方向に励磁コイル32Bの駆動電流が通電し、車載バッテリ10が異常逆極性で接続されているときには、励磁コイル32Bから駆動トランジスタ46aの内部寄生ダイオードを介して逆流しようとする電流がトランジスタ47Bによって遮断されるようになっている。
【0154】
このように、実施の形態3に係る始動制御ユニット20Bは、逆接保護素子47BがPチャネル型電界効果トランジスタを逆接続使用したものとなっており、当該トランジスタ47Bのゲート端子電圧は短絡用リレー30Bの駆動トランジスタ46aを通電駆動するための駆動補助トランジスタ45aの動作と連動して制御されるようになっている。
【0155】
従って、正常通電時における電圧降下が小さくて発熱が抑制されると共に、ゲート端子の駆動電圧は駆動トランジスタ46aが開路して短絡用リレー30Bが消勢されているときには遮断されているため、車載バッテリ10からの常時放電電流が発生しない特徴がある。なお、前記実施の形態1及び2の場合であっても、逆接保護素子47AとしてPチャネル型電界効果トランジスタを使用すれば、逆接保護素子47Aの発熱を抑制することができる。また、前記実施の形態2及び後述する実施の形態4の場合には、リレーコイルに対する逆接保護素子も同様である。
【0156】
実施の形態4.
次に、この発明の実施の形態4に係る始動制御ユニットについて説明する。図14は、実施の形態4に係る始動制御ユニットの外部接続図である。以下、前記実施の形態3との相違点を中心に説明する。なお、各図において同一符号は同一又は相当部分を示している。
【0157】
図14において、車載バッテリ10の負端子は車体11に接続され、正端子は始動指令スイッチ12を介して始動制御ユニット21Bに給電するようになっており、始動制御ユニット21Bは、主として短絡リレー30Bとタイマ回路90Bによって構成され、電流抑制抵抗50がアドオンされて一体化されている。電流抑制抵抗50と電磁シフトリレー65の出力接点61とは直列接続され、車載バッテリ10の正端子と始動用電動機70との間に接続されている。
【0158】
始動指令スイッチ12は、図示省略されているが、前記実施の形態1の場合と同様に、キースイッチである手動始動スイッチと、アイドルストップ後の再始動や寒冷時の遠隔暖機運転を行うための自動始動スイッチとが並列接続されており、指令端子A1、A2を介してタイマ回路90Bへ給電すると共に、電磁シフトリレー65のシフトコイル66に給電するようになっている。なお、始動指令スイッチ12は、後述する実施の形態6(図17参照)の指令用電磁リレー105の出力接点12を用いることも可能である。
【0159】
短絡用リレー30Bは、常開接点である短絡接点31Bを備え、励磁コイル32Bを給電駆動することによって短絡接点31Bが閉路するようになっており、配線端子X、Yを介して電流抑制抵抗50に対して並列接続されている。励磁コイル32Bは、タイマ回路90Bの電源端子B1、B2から逆接保護素子47Bと駆動トランジスタ46aと駆動端子Dとを介して給電されるようになっていると共に、電源端子B1、B2は、端子間接続配線49bによって相互に接続されており、車載バッテリ10に接続される配線端子Xと電源端子B1とは端子間接続片33bによって接続されている。
【0160】
遅延タイマ回路部90bは、始動指令スイッチ12が閉路してから所定の遅延時間Tdを置いてタイムアップ出力を発生して分割駆動トランジスタ96aを導通駆動し、逆接保護素子47Bと分割駆動トランジスタ96aと駆動端子F2、F1を介してリレーコイル67に給電するようになっている。
【0161】
これに対し始動タイマ回路部40bは、遅延タイマ回路部90bがタイムアップしてから所定の設定遅延時間T0を置いて駆動トランジスタ46aを導通駆動するようになっている。なお、逆接保護素子47Bは、Pチャネル型電界効果形トランジスタを逆方向接続したものであり、ドレイン端子は電源端子B1に接続され、ソース端子は駆動トランジスタ46aと分割駆動トランジスタ96aのソース端子に接続されている。但し、逆接保護素子47Bは、駆動トランジスタ46aと分割駆動トランジスタ96aとのそれぞれに分割して接続し、集中発熱を防止することもできる。
【0162】
電磁シフトリレー65は、車載バッテリ10から始動指令スイッチ12を介して給電さ
れるシフトコイル66を備え、当該シフトコイル66に給電されると始動用電動機70に設けられたピニオンギアを推進移動させ、エンジンのクランクシャフトに設けられたリングギアとピニオンギアを係合させるようになっている。
【0163】
シフトコイル66は吸引動作と保持動作を行う第1コイル66aによって構成されているが、吸引補助のための第2コイル66bを併用することもできる。しかし、第2コイル66bを併用した場合、出力接点61を閉路するためにリレーコイル67が分離設置されており、リレーコイル67を付勢して出力接点61を閉路させると、始動用電動機70と直列接続されている第2コイル66bを短絡消勢するようになっている。
【0164】
この形式の電磁シフトリレー65では、出力接点61を閉路するためのリレーコイル67とピニオンギアを押し出すためのシフトコイル66が機構分離されているため、確実にシフト動作を行ってから出力接点61を閉路することができる。シフトコイル66を付勢してからリレーコイル67を付勢するまでの遅延時間Tdは、遅延タイマ回路部90bで設定されており、遅延時間Tdの値は車載バッテリ10の電源電圧Vbが低下しているときの最大シフト時間に対応した固定値であるか、又は電源電圧Vbが高いときには遅延時間Tdを漸減させる電圧補正が行われるようになっている。
【0165】
遅延タイマ回路部90bの遅延時間Tdが一定値である場合には、始動タイマ回路部40bの設定時間をT0+Tdにしておくことによって、始動指令スイッチ12が閉路した時点で始動タイマ回路部40bに給電しても良いが、遅延タイマ回路部90bの動作時間が電源電圧Vbによって可変設定されている場合には、遅延タイマ回路部90bがタイムアップした時点で給電することによって安定した遅延設定時間T0を得ることができるものである。
【0166】
なお、シフトコイル66が始動用電動機70と直列接続されている第2コイル66bを有する場合には、リレーコイル67に給電されて出力接点61が閉路すると、第2コイル66bの両端は電流抑制抵抗50又は短絡用リレー30Bの出力接点である短絡接点31Bと始動指令スイッチ12を介して短絡接続される。そして、電流抑制抵抗50の抵抗値が第2コイル66bの抵抗値に比べて圧倒的に小さな値となっているため、第2コイル66bは消勢され、第1コイル66aによって電磁シフトリレー65の動作状態が維持されるようになっている。しかし、始動指令スイッチ12が開路されると、リレーコイル67が消勢されて出力接点61は単独で開路復帰し、第1コイル66aと第2コイル66bは共に消勢されてピニオンギアが復帰するようになっている。
【0167】
次に、実施の形態4に係る始動制御ユニット21Bの動作について図15のタイムチャートに基づいて説明する。なお、図14を参照しながら説明する。
【0168】
図15(A)は、始動指令スイッチ12の閉路指令期間Tsにおいて論理レベルが「H」となる指令信号の状態を示している。始動指令スイッチ12が閉路されると、図14で示すとおり電磁シフトリレー65のシフトコイル66が付勢され、始動用電動機70のピニオンギアがエンジンのリングギアと係合するように押し出し駆動される。
【0169】
図15(B)は、遅延時間Tdを置いて遅延タイマ回路部90bから付勢される電磁シフトリレー65のリレーコイル67の付勢期間を示し、リレーコイル67の付勢開始に伴って始動タイマ回路部40bが計時動作を開始する。
【0170】
図15(C)は、電磁シフトリレー65の閉路応答時間T1を置いて閉路する出力接点61の閉路期間を示している。なお、始動指令スイッチ12が開路してリレーコイル67が消勢されると、電磁シフトリレー65の開路応答時間t1を置いて出力接点61が開路
する。
【0171】
図15(D)は、リレーコイル67が付勢されてから遅延設定時間T0が経過した時点で導通するラッチトランジスタ93b(図10参照)の導通状態を示している。ラッチトランジスタ93bが導通すると、駆動補助トランジスタ45aが導通することによって駆動トランジスタ46aが導通駆動される。
【0172】
図15(E)は、点線が短絡用リレー30Bの励磁コイル32Bの付勢期間を示しており、始動タイマ回路部40bがタイムアップしてから始動指令スイッチ12が開路されるまでの期間において付勢されている。励磁コイル32Bが付勢されると短絡用リレー30Bの閉路応答時間T2aを置いて常開の短絡接点31Bが閉路動作し、励磁コイル32Bが消勢されると短絡用リレー30Bの開路応答時間t2aを置いて短絡接点31Bが開路復帰するようになっており、短絡接点31Bの閉路状態が実線の論理「H」レベルで示されている。
【0173】
図15(F)は、始動用電動機70に流れる始動電流の波形を示しており、始動指令スイッチ12が閉路して、遅延時間Tdと閉路応答時間T1が経過し、出力接点61が閉路すると電流抑制抵抗50を通して始動電流が急増し、始動用電動機70の回転上昇に伴って始動電流は漸減する。短絡接点31Bが閉路動作すると再び始動電流は急増し、更なる始動用電動機70の回転上昇に伴って始動電流は漸減する。
【0174】
エンジンの自立回転に伴って始動指令スイッチ12が開路されると、電磁シフトリレー65の開路応答時間t1(図15C参照)を置いて出力接点61が開路して、始動電流が遮断されるようになっている。
【0175】
なお、逆接保護素子47Bと駆動トランジスタ46aには、図15(E)の付勢期間Ts−T0−Tdにおいて励磁コイル32Bに対する励磁電流が流れ、これが始動制御ユニット21Bの温度上昇の原因となる。この温度上昇を抑制するためには、前記実施の形態3(図10参照)のとおり、逆接保護素子47Bとしてトランジスタを使用することが有効である。
【0176】
また、励磁コイル32Bに対する付勢期間において短絡接点31Bが閉路しているときには、電流抑制抵抗50に始動電流が流れないため、電流抑制抵抗50の温度上昇が発生せず、電流抑制抵抗50の発生熱がタイマ回路40Bに伝熱してタイマ回路40Bが加熱されない有利な形態となっている。
【0177】
一方、電流抑制抵抗50による抑制通電期間は、図15(F)で示すとおり、遅延設定時間T0から電磁シフトリレー65の閉路応答遅延時間である第1の閉路応答時間T1と短絡用リレー30Bの閉路応答遅延時間である第2の閉路応答時間T2aの差分を減じたものとなっている。このうち遅延設定時間T0は、電源電圧Vbの変動の影響を受けないように略一定の値となるように制御されているが、第1及び第2の閉路応答時間T1、T2aは車載バッテリ10からの給電電圧と反比例して変動する。しかし、変動時間は差分時間T1−T2aとなって抑制通電期間に加算されるため、変動時間の影響が減殺されるようになっている。
【0178】
電磁シフトリレーが出力接点61を閉路するためのリレーコイル67を持たず、シフトコイルによるピニオンギアの押し出し動作と連動する形式のものではT1>T2aとなっているが、分離されたリレーコイル67を有する場合にはT1≒T2aの関係が得られ、抑制通電期間は電源電圧の変動の影響を殆ど受けないようにすることができる。
【0179】
以上の説明で明らかなとおり、実施の形態4に係る始動制御ユニット21Bは、車載エンジンを始動する始動用電動機70と車載バッテリ10との間に接続されて始動用電動機70の限流始動を行う始動制御ユニット21Bであって、
始動制御ユニット21Bは、始動用電動機70に設けられた電磁シフトリレー65の出力接点61と直列接続される電流抑制抵抗50と、当該電流抑制抵抗50を短絡接点31Bにより短絡する短絡用リレー30Bと、始動指令スイッチ12の動作に応動して始動電流が減少した所定時期に短絡接点31Bを閉路するタイマ回路90Bとを一体化して構成され、
電磁シフトリレー65は、車載バッテリ10から始動指令スイッチ12を介して給電されるシフトコイル66によって始動用電動機70に設けられたピニオンギアを推進移動させ、エンジンのクランクシャフトに設けられたリングギアと前記ピニオンギアを係合させると共に、当該シフトコイル66と分割設置されたリレーコイル67によって出力接点61を閉路させる。
【0180】
短絡接点31Bは、短絡用リレー30Bの励磁コイル32Bを付勢することによって閉路する常開接点であると共に、励磁コイル32Bは、始動指令スイッチ12を経由しないで、電流抑制抵抗50の一方の端子と逆接保護素子47Bと駆動トランジスタ46aとを介して車載バッテリ10から直接給電されている。
【0181】
逆接保護素子47Bは、車載バッテリ10が正常極性で接続されているときには励磁コイル32Bへの給電は可能であるが、車載バッテリ10が異常逆極性で接続されているときには励磁コイル32Bへの給電を阻止するトランジスタ又はダイオードである。
【0182】
タイマ回路90Bは、始動指令スイッチ12が閉路して、リレーコイル67に対する給電が行われた時点で計時動作を開始して、所定の遅延設定時間T0を置いて駆動トランジスタ46aを導通駆動すると共に、遅延設定時間T0の値は、リレーコイル67が付勢されてから出力接点61が閉路するまでの第1の閉路応答時間T1よりも長い時間となるように設定されており、
電流抑制抵抗50には、タイマ回路90Bの遅延設定時間をT0とし、出力接点61を閉路駆動するリレーコイル67が付勢されてから出力接点61が閉路するまでの第1の閉路応答時間をT1とし、短絡用リレー30Bが付勢されてから短絡接点31Bが閉路するまでの第2の応答遅延時間をT2aとしたときに、算式「T0+T2a−T1」によって得られる時間帯において始動用電動機70に対する抑制始動電流が流れるようになっている。
【0183】
また、電磁シフトリレー65は、車載バッテリ10から始動指令スイッチ12を介して給電されるシフトコイル66によって始動用電動機70に設けられたピニオンギアを推進移動させ、エンジンのクランクシャフトに設けられたリングギアと前記ピニオンギアを係合させると共に、当該シフトコイル66と分割設置されたリレーコイル67を分離駆動することによって出力接点61を閉路させ、
リレーコイル67は、シフトコイル66に給電されてからタイマ回路90B内に設けられた遅延タイマ回路部90bによって設定された所定の遅延時間Tdを置いて給電駆動され、
遅延時間Tdは、車載バッテリ10の電源電圧Vbが低下しているときの最大シフト時間に対応した固定値であるか、又は電源電圧Vbが高いときには遅延時間Tdを漸減させる電圧補正が行われている。
【0184】
また、短絡接点31Bは、短絡用リレー30Bの励磁コイル32Bを付勢したことによって閉路する常開接点であると共に、
タイマ回路90B内に設けられた始動タイマ回路部40bは、リレーコイル67が付勢
された時点において計時動作を開始し、
励磁コイル32Bとリレーコイル67は始動指令スイッチ12を経由しないで、電流抑制抵抗50の一方の端子と逆接保護素子47Bとそれぞれの駆動トランジスタ46aと分割駆動トランジスタ96aとを介して車載バッテリ10から直接給電され、
逆接保護素子47Bは、車載バッテリ10が正常極性で接続されているときには励磁コイル32Bとリレーコイル67への給電は可能であるが、車載バッテリ10が異常逆極性で接続されているときには励磁コイル32Bとリレーコイル67への給電を阻止するトランジスタ又はダイオードとなっている。
【0185】
更に、短絡接点31Bは、短絡用リレー30Bの励磁コイル32Bを付勢したときに閉路する常開接点であり、
始動タイマ回路部40bは、リレーコイル67が付勢された時点において計時動作を開始して、所定の遅延設定時間T0を置いてタイムアップするか、又はシフトコイル66が付勢された時点において計時動作を開始するが、当該始動タイマ回路部40bは、遅延時間Tdと遅延設定時間T0を加算した設定時間を置いてタイムアップし、励磁コイル32Bを付勢するようになっている。
【0186】
このように、実施の形態4に係る始動制御ユニット21Bは、始動タイマ回路部40bが、電磁シフトリレー65の出力接点61を分割駆動するリレーコイル67が付勢されてから遅延設定時間T0を置いてタイムアップして短絡用リレー30Bを付勢するようになっている。
【0187】
従って、電源電圧の変動によって動作時間が変化するピニオンギアのシフト所要時間の影響が除外され、電流抑制抵抗に電流が流れている限流始動時間としては、遅延設定時間T0−(電磁シフトリレーのリレーコイルが付勢されてから出力接点が閉路するまでの第1の閉路応答時間T1)−(短絡用リレーの励磁コイルが付勢されてから短絡接点が閉路するまでの第2の閉路応答時間T2)となり、第1の閉路応答時間T1と第2の閉路応答時間T2は互いに減殺するため、電源電圧の変動によって閉路応答が変化しても限流始動時間に及ぼす影響は小さくなる特徴がある。特に、ピニオンギアのシフト動作をシフトコイルによって分離したことによって、電磁シフトリレーによる出力接点の閉路応答時間は、同じ始動電流を扱う短絡リレーによる短絡接点の閉路応答時間と近似したものとなる特徴がある。
【0188】
実施の形態5.
前記実施の形態1〜4においては、始動指令スイッチとして手動始動スイッチと自動始動スイッチとを並列接続した始動制御ユニットについて説明したが、始動指令スイッチとして指令用電磁リレーを使用し、この指令用電磁リレーをマイクロプロセッサの出力によって制御するようにすることも可能である。以下、実施の形態5として始動制御ユニットに対する始動指令信号発生装置の構成と作用動作について詳細に説明する。
【0189】
図16は、この発明の実施の形態5に係る始動指令信号発生装置の全体回路図である。図16において、エンジン制御装置である始動指令信号発生装置100Xには、車載バッテリ10が電源リレー102の出力接点102aを介して接続されており、電源リレー102の励磁コイル102bは、後述する駆動トランジスタ121によって駆動されるようになっている。そして、始動指令信号発生装置100Xに接続された電源スイッチ101は、操作キーの第1、第2、及び第3回動位置で閉路し、手動始動スイッチ103は、第3回動位置で閉路するようになっている。
【0190】
始動用電動機70は、電磁シフトリレー60の出力接点61と始動制御ユニット20(実施の形態1の始動制御ユニット20A又は実施の形態3の始動制御ユニット20Bに相当)を介して車載バッテリ10から給電され、図示しない電磁押し出し機構によってエンジンのリングギアに係合してエンジンを回転駆動する。電磁シフトリレー60のシフトコイル64は、指令用電磁リレー105の出力接点12を介して給電付勢されるようになっている。
【0191】
始動制御ユニット20は、前記実施の形態1の始動制御ユニット20A又は実施の形態3の20Bを代表するものとなっている。各種入力センサ107は、後述するマイクロプロセッサ110に対して図示しないインタフェース回路を介してセンサ出力を入力するもので、例えばエンジンの吸気量を測定するエアフロセンサ、アクセルペダルの踏み込み度合いを検出するアクセルポジションセンサ、スロットル弁開度を検出するスロットルポジションセンサ、エンジンのクランク角センサ等のエンジンに対する指令状態やエンジンの運転状況を監視する各種センサとなっている。また、各種電気負荷108は、マイクロプロセッサ110から図示しないインタフェース回路を介して給電駆動され、例えば燃料噴射弁の駆動用電磁コイル、エンジンの点火コイル(エンジン形式がガソリンエンジンの場合)、吸気スロットルの弁開度制御用モータ、排気循環弁の駆動用モータ、エアコン用の電磁クラッチ、警報・表示器などがある。
【0192】
始動指令信号発生装置100Xの内部構成として、マイクロプロセッサ110は、例えば不揮発フラッシュメモリであるプログラムメモリ111X、演算処理用のRAMメモリ112と協働するように互いにバス接続されている。プログラムメモリ111Xには、エンジン制御装置としての入出力制御プログラムに加えてアイドルストップの要否を判定したり、アイドルストップ後の再始動の要否を判定したりして自動始動指令信号STDを発生するための自動始動信号発生手段となる制御プログラムや、キースイッチに設けられた暗証コードが照合用の固有コードデータと不一致であるときに始動禁止指令信号STPを発生する始動禁止手段となる制御プログラムが格納されている。
【0193】
制御電源ユニット120は、電源リレー102の出力接点102aから給電され、車載バッテリ10の電源電圧をもとにして制御電圧Vcc(=5V)を発生し、マイクロプロセッサ110を初めとする各部に安定化電圧を供給するようになっている。
【0194】
励磁コイル102bを付勢する駆動トランジスタ121は、電源スイッチ101から互いに直列接続された駆動抵抗122a、122b、及びダイオード123を介してベース電流が供給されて導通し、電源リレー102の出力接点102aを閉路するようになっている。なお、出力接点102aが閉路して制御電源ユニット120に給電されたことによってマイクロプロセッサ110が動作を開始すると、マイクロプロセッサ110が発生する自己保持駆動指令DR1から自己保持駆動抵抗124、ダイオード125を介して駆動トランジスタ121のベース電流が供給され、その後は電源スイッチ101が開路しても電源リレー102は付勢動作を継続し、マイクロプロセッサ110が自己保持駆動指令DR1を停止することによって電源リレー102が消勢されるようになっている。
【0195】
反転論理素子126は、駆動抵抗122a、122bの接続点の電位の大/小、即ち電源スイッチ101のON/OFFに応じて論理レベル「L」/「H」となる電源投入モニタ信号PWSを発生して、マイクロプロセッサ110に入力するようになっている。
【0196】
電源リレー102の出力接点102aから逆接保護素子135を介して給電される直列開閉素子130aは、インターロックスイッチ106を介して指令用電磁リレー105の励磁コイル105cに接続されている。なお、インターロックスイッチ106は、変速機の選択位置が駐車位置であるか、又はニュートラル位置であることによって閉路するようになっている。
【0197】
Pチャネル型電界効果トランジスタである直列開閉素子130aのドレイン端子とゲート端子間には、サージ吸収用ダイオード131aが接続され、ソース端子とゲート端子間には、分圧抵抗132aが接続されている。直列開閉素子130aのゲート端子は、導通駆動抵抗133aと導通駆動トランジスタ134aを介してグランド回路に接続されている。導通駆動トランジスタ134aは、手動始動スイッチ103から互いに直列接続された始動抵抗140a、140b、及びダイオード140cを介してベース電流が供給されて導通し、直列開閉素子130aを介して指令用電磁リレー105を付勢するようになっている。また、始動抵抗140a、140bとダイオード140cを構成する直接始動回路141は、マイクロプロセッサ110が不作動であっても手動始動スイッチ103から導通駆動トランジスタ134aを介して直列開閉素子130aを導通させることができるようになっている。
【0198】
安定抵抗142は、NPN型トランジスタである導通駆動トランジスタ134aのベース端子とエミッタ端子間に接続されている。反転論理素子143は、直接始動抵抗140a、140bの接続点の電位の大/小、即ち手動始動スイッチ103のON/OFFに応じて論理レベル「L」/「H」となる始動指令監視信号STSを発生し、マイクロプロセッサ110に入力するようになっている。
【0199】
導通駆動トランジスタ134aのベース端子とエミッタ端子間に接続された禁止トランジスタ144aは、マイクロプロセッサ110が発生する導通禁止指令出力STPからベース抵抗145を介して駆動され、暗証コードが不一致であったり、エンジンが自立回転中であれば、禁止トランジスタ144aが導通することによって導通駆動トランジスタ134aを不導通にし、指令用電磁リレー105を消勢するようになっている。なお、マイクロプロセッサ110が不作動状態にあるときには、プルダウン抵抗146aによって禁止トランジスタ144aが不導通となっている。
【0200】
自動始動指令信号STDは、例えばマイクロプロセッサ110に対して図示しない遠隔始動装置の受信回路がシリアル接続されており、当該受信回路からエンジン始動指令を受け取った場合、或いはアイドルストップ後の自動始動運転を行うときに論理レベル「H」の出力信号を発生し、駆動抵抗154とダイオード155を介して導通駆動トランジスタ134aのベース電流を供給する。その結果、直列開閉素子130aが導通して指令用電磁リレー105が付勢され、始動用電動機70が回転駆動されるようになっている。
【0201】
なお、過放電状態の車載バッテリ10の出力電圧が始動用電動機70の始動電流によって異常低下し、始動指令信号発生装置100Xのマイクロプロセッサ110が不作動となっても、導通駆動トランジスタ134aは、手動始動スイッチ103から互いに直列接続された直接始動抵抗140a、140b、ダイオード140cを介してベース電流が供給されて導通し、直列開閉素子130aを介して指令用電磁リレー105を付勢するようになっている。
【0202】
エンジン回転速度の上昇に伴って始動電流が減少し、マイクロプロセッサ110が動作を開始すると、暗証コードが不一致であれば始動禁止指令信号STPを発生してエンジンの始動を禁止すると共に、エンジンが既に自立回転していれば燃料噴射や点火制御を停止してエンジンを停止するようになっている。
【0203】
アイドルストップ運転や遠隔始動運転は、車載バッテリ10が過放電状態であるときには無効とされ、マイクロプロセッサ110の制御動作に基づく自動始動指令信号STDによって指令用電磁リレー105を作動させ、エンジンの始動指令を指令用電磁リレー105の出力接点12に一元化することができるようになっている。従って、比較的大電流が流れる電磁シフトリレー60の駆動電流を指令用電磁リレー105の出力接点である始動指令スイッチ12に集約することができる。
【0204】
また、指令用電磁リレー105の動作応答時間が電源電圧の影響によって変動しても、電磁シフトリレー60に対する付勢開始と始動制御ユニット20内のタイマ回路に対する指令は、出力接点12の閉路と同時に行われるため、限流始動制御時間には影響しない特徴がある。
【0205】
以上の説明では、始動指令信号発生装置100Xは、直列開閉素子130aを介して指令用電磁リレー105を駆動して、その出力接点である始動指令スイッチ12を閉路するようにしたが、直列開閉素子130aの電流定格を大きくして始動指令スイッチ12としてそのまま使用し、指令用電磁リレー105を廃止することも可能である。
【0206】
また、インターロックスイッチ106は、図示位置から直接始動回路141の下流位置に変更し、アイドルストップ後の自動始動指令信号STDによるエンジンの始動は、変速機がドライブ位置であってもブレーキペダルが復帰したことによって始動可能なように変更することもできる。
【0207】
以上の説明で明らかなとおり、実施の形態5に係る始動指令信号発生装置100Xは、始動制御ユニット20に対する始動指令信号発生装置100Xであって、
始動指令スイッチ12は、少なくとも燃料噴射制御機能を包含した始動指令信号発生装置100Xの制御出力に応動する指令用開閉素子として機能する直列開閉素子130aであるか、当該直列開閉素子130aによって付勢制御される指令用電磁リレー105の出力接点であり、
始動指令信号発生装置100Xには、少なくともアイドルストップ運転を行うか否か、或いは無線電波による遠隔始動を行うか否かを決定するモードスイッチ信号と、アイドルストップを実行するエンジン停止要件と、遠隔始動要件又はアイドルストップ後の再始動要件を判定するための複数の入力センサ107と、手動始動スイッチ103とが入力信号として接続されるマイクロプロセッサ110とを有する共に、指令用開閉素子となる直列開閉素子130aを備え、
前記エンジン停止要件と遠隔始動要件と再始動要件は、少なくとも車載バッテリ10の電源電圧が所定値以上であることの要件を包含し、
マイクロプロセッサ110は、アイドルストップ後のエンジン始動又は遠隔始動を行うときには、自動始動指令信号STDを発生して直列開閉素子130aを導通駆動し、
直列開閉素子130aは、手動始動スイッチ103が閉路しているときには、車載バッテリ10の異常電圧低下によってマイクロプロセッサ110が不作動であっても導通状態を維持する直接始動回路141を備えている。
【0208】
このように、実施の形態5に係る始動指令信号発生装置100Xは、手動操作によるエンジンの直接始動と、マイクロプロセッサ110の自動始動指令信号STDに基づくアイドルストップ後のエンジン始動又は遠隔始動による自動始動を含む複数の始動指令とを1個の指令用電磁リレー105の出力接点又は指令用開閉素子として機能する直列開閉素子130aに集約して始動指令スイッチとして使用するようになっており、手動操作によるエンジンの始動は、マイクロプロセッサ110が不作動であっても有効となるようになっている。
【0209】
従って、マイクロプロセッサ110が自動始動指令信号STDを発生し、始動用電動機70に流れる始動電流によって車載バッテリ10の電源電圧が一時的に異常低下して、もしもマイクロプロセッサ110が不作動になり自動始動指令信号STDが消滅し、始動用電動機70が動作を停止するようなバッテリの能力が低下している状態が発生したとしても、手動操作によって手動始動スイッチ103を押し続けることで始動用電動機70の動
作を継続させることができる特徴がある。
【0210】
手動操作で始動用電動機70の動作を継続させた場合で車載バッテリ10にエンジン自立回転に必要な電力供給能力があれば、始動用電動機70の回転は上昇し、始動用電動機70の回転上昇に伴って始動電流が減少するため、これにより電源電圧が回復してマイクロプロセッサ110は動作を開始し、エンジンの自立回転が可能になる。
【0211】
また、電磁シフトリレー60を駆動するために、比較的大電流が流れる始動指令スイッチを一個の指令用電磁リレー105又は直列開閉素子130aによって代表することができる特徴がある。
【0212】
更に、指令用電磁リレー105の閉路応答遅延時間が電源電圧によって変動しても、電流抑制始動時間に影響を及ぼさない特徴がある。
【0213】
また、マイクロプロセッサ110は、回転中のエンジンに対する誤った再始動の防止又は手動始動スイッチ103に設けられた暗証番号が不適当である場合に、エンジンの始動を禁止する始動禁止指令信号STPを発生する。始動禁止指令信号STPが発生すると始動指令信号発生装置100Xに設けられた始動禁止トランジスタ144aが導通駆動され、当該始動禁止トランジスタ144aが導通したことによって直列開閉素子130aの導通が禁止される。始動禁止トランジスタ144aは、始動禁止指令信号STPが発生していないとき、又はマイクロプロセッサ110が不作動であるときには、プルダウン抵抗146aによって導通遮断されている。
【0214】
このように、実施の形態5に係る始動指令信号発生装置100Xは、マイクロプロセッサ110が始動禁止指令信号STPを発生すると、始動禁止トランジスタ144aが導通して指令用電磁リレー105を駆動する直列開閉素子130aの導通が禁止されるが、マイクロプロセッサ110が始動禁止指令信号STPを発生していないとき、又はマイクロプロセッサ110が不作動であるときには、始動禁止トランジスタ144aは不導通となり、手動始動スイッチ103が閉路しておれば直列開閉素子130aが導通して指令用電磁リレー105が動作するようになっている。
【0215】
従って、始動用電動機70に流れる始動電流によって車載バッテリ10の電源電圧が一時的に異常低下してマイクロプロセッサ110が不作動になっても、手動始動スイッチ103によるエンジン始動が可能であると共に、エンジン回転の上昇に伴って始動電流が減少して電源電圧が回復することによってマイクロプロセッサ110が動作を開始した場合には、不適切なエンジン始動を禁止することができる特徴がある。
【0216】
実施の形態6.
次に、この発明の実施の形態6に係る始動指令信号発生装置について説明する。図17は、実施の形態6に係る始動指令信号発生装置の全体回路図である。以下、前記実施の形態5との相違点を中心にその構成と作用動作を詳細に説明する。なお、各図において同一符号は同一又は相当部分を示している。
【0217】
図17において、エンジン制御装置である始動指令信号発生装置100Yは、プログラムメモリ111Yと協働するマイクロプロセッサ110を中心として構成されており、前記実施の形態5に係る始動指令信号発生装置100Xの直列開閉素子130a(図16参照)から始動禁止トランジスタ144a(図16参照)に至る一連の回路を包含した直列開閉回路150を備えている。この直列開閉回路150は、電源リレー102の出力接点102aから逆接保護素子135を介して給電され、直接始動回路141からの指令信号、及び自動始動指令信号STD、始動禁止指令信号STPからの指令信号に応動して指令用電磁リレー105の指令コイル105cを付勢制御する。
【0218】
始動指令信号発生装置100Yの外部には、前記実施の形態5と同様に電源スイッチ101、電源リレー102、手動始動スイッチ103、指令用電磁リレー105、入力センサ群107、電気負荷群108が接続されている。但し、始動用電動機70は、電磁シフトリレー65の出力接点61と始動制御ユニット21(実施の形態2の始動制御ユニット21A又は実施の形態4の始動制御ユニット21Bに相当)を介して車載バッテリ10から給電され、図示しない電磁押し出し機構によってエンジンのリングギアに係合してエンジンを回転駆動する。なお、電磁シフトリレー65のシフトコイル66は、指令用電磁リレー105の出力接点12を介して給電付勢されるようになっている。
【0219】
始動制御ユニット21は、前記実施の形態2の始動制御ユニット21A又は実施の形態4の始動制御ユニット21Bを代表するものとなっており、始動指令スイッチ12が閉路してから遅延時間Tdを置いて駆動端子F1からリレーコイル67に対する駆動信号を発生する。従って、前記実施の形態5に比べると、実施の形態5の始動制御ユニット20と電磁シフトリレー60が、始動制御ユニット21と電磁シフトリレー65に置き換えられたのみであり、始動指令信号発生装置100Yは、始動指令信号発生装置100Xと同様に指令用電磁リレー105の出力接点12によって始動指令信号を発生すれば良いようになっている。
【0220】
従って、前記実施の形態5に係る始動指令信号発生装置100Xと同様に、電磁シフトリレー65を駆動するために比較的大電流が流れる始動指令スイッチ12を一個の指令用電磁リレー105によって代表することができる特徴がある。
【0221】
また、指令用電磁リレー105の閉路応答遅延時間が電源電圧によって変動しても、電流抑制始動時間に影響を及ぼさない特徴がある。
【0222】
更に、始動用電動機70に流れる始動電流によって車載バッテリ10の電源電圧が一時的に異常低下してマイクロプロセッサ110が不作動になっても、手動始動スイッチ103によるエンジン始動が可能であると共に、エンジン回転の上昇に伴って始動電流が減少して電源電圧が回復することによってマイクロプロセッサ110が動作を開始した場合には、不適切なエンジン始動を禁止することができる特徴がある。
【0223】
また、分離設置された指令コイル105cに対して遅延給電を行う遅延タイマ回路部が、始動制御ユニット21内のハードウェアによって構成されているため、車載バッテリ10の電源電圧が異常低下しても指令コイル105cに対する遅延駆動を行うことができる特徴がある。
【0224】
実施の形態7.
次に、この発明の実施の形態7に係る始動指令信号発生装置について説明する。図18は、実施の形態7に係る始動指令信号発生装置の全体回路図である。以下、前記実施の形態5との相違点を中心にその構成と作用動作を詳細に説明する。なお、各図において同一符号は同一又は相当部分を示している。
【0225】
図18において、エンジン制御装置である始動指令信号発生装置100Zは、プログラムメモリ111Zと協働するマイクロプロセッサ110を中心として構成されており、前記実施の形態5に係る始動指令信号発生装置100Xの直列開閉素子130a(図16参照)から始動禁止トランジスタ144a(図16参照)に至る一連の回路を包含した直列開閉回路150を備えている。この直列開閉回路150は、電源リレー102の出力接点102aから逆接保護素子135を介して給電され、直接始動回路141からの指令信号
、及び自動始動指令信号STD、始動禁止指令信号STPからの指令信号に応動して指令用電磁リレー105の指令コイル105cを付勢制御する。
【0226】
始動指令信号発生装置100Zの外部には、前記実施の形態5(図16参照)の場合と同様に電源スイッチ101、電源リレー102、手動始動スイッチ103、指令用電磁リレー105、入力センサ群107、電気負荷群108が接続されている。但し、始動用電動機70は電磁シフトリレー65の出力接点61と始動制御ユニット20(20A又は20Bに相当)を介して車載バッテリ10から給電され、図示しない電磁押し出し機構によってエンジンのリングギアに係合してエンジンを回転駆動する。但し、電磁シフトリレー65のシフトコイル66は、指令用電磁リレー105の出力接点12を介して給電付勢されるようになっている。
【0227】
始動制御ユニット20は、前記実施の形態1の始動制御ユニット20A又は実施の形態3の始動制御ユニット20Bを代表するものとなっているが、電磁シフトリレー65のリレーコイル67に対する駆動信号を発生するようにはなっていない。これに代わるものとして、始動指令信号発生装置100Zは、マイクロプロセッサ110が発生する遅延付勢許可信号STTと、後述する付勢許可記憶回路160から直列開閉素子130bに至る一連の回路によって補助指令信号ASGを発生して、リレーコイル67を付勢するようになっている。
【0228】
電源リレー102の出力接点102aから逆接保護素子135を介して給電される直列開閉素子130bは、リレーコイル67に接続されると共に、始動制御ユニット20の指令端子A1に接続されている。また、Pチャネル型電界効果トランジスタである直列開閉素子130bのドレイン端子とゲート端子間には、サージ吸収用ダイオード131bが接続され、ソース端子とゲート端子間には、分圧抵抗132bが接続されている。そして、直列開閉素子130bのゲート端子は、導通駆動抵抗133bと導通駆動トランジスタ134bを介してグランド回路に接続されている。
【0229】
付勢許可記憶回路160を構成するPNP型の記憶用トランジスタ161とNPN型の導通駆動トランジスタ134bのベース端子及びコレクタ端子は、ベース抵抗162、164を介して相互に接続され、ベース端子とエミッタ端子間には、開路安定抵抗163、166が接続されている。
【0230】
次に、実施の形態7に係る始動指令信号発生装置100Zと始動制御ユニット20を用いた始動用電動機70の始動制御について詳細に説明する。
【0231】
図18において、電源スイッチ101を閉路すると駆動トランジスタ121が導通して電源リレー102の励磁コイル102bが付勢され、出力接点102aが閉路して始動指令信号発生装置100Zに給電される。その結果、制御電源ユニット120は、電源リレー102の出力接点102aから給電されて車載バッテリ10の電源電圧をもとにして制御電圧Vcc(=5V)を発生し、マイクロプロセッサ110を初めとする各部に安定化電圧を供給する。
【0232】
マイクロプロセッサ110が動作を開始すると、マイクロプロセッサ110が発生する自己保持駆動指令DR1から駆動トランジスタ121のベース電流が供給される。その後は電源スイッチ101が開路しても電源リレー102は付勢動作を継続し、マイクロプロセッサ110が自己保持駆動指令DR1を停止することによって電源リレー102が消勢されるようになっている。
【0233】
続いて、手動始動スイッチ103が閉路されると、直接始動回路141を介して直列開
閉回路150内の直列開閉素子130aが導通駆動されてインターロックスイッチ106を介して指令用電磁リレー105の励磁コイル105cが付勢され、その出力接点である始動指令スイッチ12が閉路することによって電磁シフトリレー65のシフトコイル66に給電され、ピニオンギアの押し出し動作が行われる。一方、マイクロプロセッサ110は、手動始動スイッチ103が閉路したことに伴って遅延時間Tdを置いて遅延付勢許可信号STTを発生し、付勢許可記憶回路160と直列開閉素子130bを介して補助指令信号ASGを発生する。これによってリレーコイル67を付勢すると共に、始動制御ユニット20の指令端子A1に給電する。
【0234】
その後は、始動制御ユニット20によって電流抑制抵抗50を用いた限流始動が行われるが、始動用電動機70に対する始動電流によって車載バッテリ10の電源電圧Vbが異常低下して一時的にマイクロプロセッサ110が不作動になって、遅延付勢許可信号STTが一時的に中断しても、付勢許可記憶回路160の記憶作用によってリレーコイル167に対する付勢は継続され、手動始動スイッチ103が開路されたことによってシフトコイル66やリレーコイル67に対する給電が遮断され、付勢許可記憶回路160の記憶も消去される。
【0235】
なお、付勢許可記憶回路160は、遅延付勢許可信号STTによって導通駆動トランジスタ134bが導通すると、記憶用トランジスタ161のベース電流がベース抵抗164と導通駆動トランジスタ134bを通して流れることによって記憶用トランジスタ161が導通し、その結果としてベース抵抗162を介して導通駆動トランジスタ134bが駆動されるため、一旦導通駆動トランジスタ134bが導通すると、遅延付勢許可信号STTが消滅しても導通駆動トランジスタ134bの導通状態は維持されており、付勢許可記憶回路160の電源回路に設けられた直列開閉素子130aが開路したときに、この記憶状態が解除されるようになっている。
【0236】
手動始動スイッチ103に代わって、例えばアイドルストップ後の再始動においてマイクロプロセッサ110が自動始動指令信号STDを発生した場合も同様であって、まずは指令用電磁リレー105を介してシフトコイル66に給電され、続いて遅延時間Tdを置いてリレーコイル67が付勢されると共に、始動制御ユニット20による限流始動が開始される。但し、自動始動指令信号STDによるエンジンの始動時は、電源電圧Vbの異常低下によってマイクロプロセッサ110が不作動になると始動制御は停止することになるため、元々は車載バッテリ10の過放電状態では、アイドルストップ運転や遠隔始動運転は行えないように制限されている。
【0237】
回転中のエンジンに対する2重始動や、キースイッチに設けられた暗証コードが不一致であるときには、マイクロプロセッサ110は自動始動指令信号STDや遅延付勢許可信号STTは発生せず、例え手動始動スイッチ103が閉路されていても、始動禁止指令信号STPを発生して直列開閉素子130aを遮断するようになっている。また、手動始動スイッチ103によって正常始動が開始された後に、車載バッテリ10の電源電圧Vbの異常低下によってマイクロプロセッサ110が一時的に不作動となった場合には、誤って始動禁止指令出力STPが発生しないようにプルダウン抵抗146aが設けられている。
【0238】
なお、始動制御ユニットが、前記実施の形態3の始動制御ユニット20Bであって、リレーコイル67が付勢された時点でタイマ回路40Bを計時開始したい場合であっても、遅延付勢許可信号STTの遅延時間Tdが所定の固定値である場合には、タイマ回路40Bの設定遅延時間T0をT0+Tdに延長しておくことによって、シフトコイル66が付勢された時点でタイマ回路40Bの計時開始を行うことができる。
【0239】
また、始動制御ユニットが、前記実施の形態1の始動制御ユニット20Aであって、出
力接点61が閉路した時点でタイマ回路40Aが計時開始する場合も同様で、指令用電磁リレー105の出力接点である始動指令スイッチ12によってシフトコイル66を付勢すると同時に、始動制御ユニット20の指令端子A1に対して制御電源を供給するようにしても良い。
【0240】
また、補助指令信号ASGによってリレーコイル67を直接駆動する代わりに、補助リレーを介在させてリレーコイル67を付勢し、直列開閉素子130bの電流定格を小さなものにして、複数トランジスタを集合したパワートランジスタモジュールを使用することもできる。
【0241】
以上の説明では、始動指令信号発生装置100Zは、直列開閉素子130aを介して指令用電磁リレー105を駆動し、その出力接点である始動指令スイッチ12を閉路するようにしたが、直列開閉素子130aの電流定格を大きくして始動指令スイッチ12としてそのまま使用し、指令用電磁リレー105を廃止することも可能である。この場合、直列開閉素子130aの開閉デューティを制御することによって、シフトコイル66の通電電流を可変制御することも可能である。
【0242】
以上の説明で明らかなとおり、実施の形態7に係る始動指令信号発生装置100Zは、電磁シフトリレー65がシフトコイル66と分割設置されたリレーコイル67を有するものであり、始動制御ユニット20は、当該リレーコイル67に対する遅延給電出力を持たないものであって、
始動指令信号発生装置100Zは、電磁シフトリレー65のシフトコイル66を直接駆動するか又は指令用電磁リレー105の出力接点を介して間接駆動するための直列開閉素子130aを包含した直列開閉回路150と、電磁シフトリレー65のリレーコイル67を駆動するための直列開閉素子130bを通電駆動する付勢許可記憶回路160と、自動始動指令信号STDと遅延付勢許可信号STTを発生するマイクロプロセッサ110と、直接始動回路141とを備え、
マイクロプロセッサ110は、アイドルストップ後のエンジン始動又は遠隔始動を行うときには、自動始動指令信号STDを発生して直列開閉回路150を導通駆動し、電磁シフトリレー65のシフトコイル66に給電すると共に、
手動始動スイッチ103の閉路信号が入力されたとき、又は自動始動指令信号STDを発生したときには、所定の遅延時間Tdを置いて遅延付勢許可信号STTを発生する。
【0243】
直接始動回路141は手動始動スイッチ103が閉路しているときには、車載バッテリ10の異常電圧低下によってマイクロプロセッサ110が不作動であっても直列開閉回路150の駆動状態を維持し、付勢許可記憶回路160は、遅延付勢許可信号STTが発生したことを記憶し、リレーコイル67を付勢するための直列開閉素子130bを介して補助指令信号ASGを発生する。
【0244】
遅延付勢許可信号STTの記憶状態は、マイクロプロセッサ110が不作動になっても維持されているが、手動始動スイッチ103が開路し、しかも自動始動指令信号STDが消滅した時点で記憶解除され、遅延時間Tdは、車載バッテリ10の電源電圧Vbが低下しているときの最大シフト時間に対応した固定値であるか、又は電源電圧Vbが高いときには遅延時間Tdを漸減させる電圧補正が行われている。
【0245】
このように、実施の形態7に係る始動指令信号発生装置100Zは、手動操作によるエンジンの直接始動と、マイクロプロセッサ110の自動始動指令信号STDに基づくアイドルストップ後のエンジン始動又は遠隔始動による自動始動を含む複数の始動指令とを1個の指令用電磁リレー105の出力接点又は指令用開閉素子に集約し、その出力接点を電磁シフトリレー65のシフトコイル66に対する始動指令スイッチ12として使用するよ
うになっている。また、所定の遅延時間Tdを置いてリレーコイル67を付勢する補助指令信号ASGを発生するようになっている。
【0246】
従って、電磁シフトリレー65は、始動指令信号発生装置100Zによって一括制御され、そのリレーコイル67は、シフトコイル66よりも所定時間遅れて付勢され、ピニオンギアの押し出し操作を確実に行うことができる特徴がある。
【0247】
また、過大な始動電流によって電源電圧が異常低下して始動過程においてマイクロプロセッサ110が不作動になった場合でも、手動始動スイッチ103が閉路しておれば付勢許可記憶回路160によってリレーコイル67の動作状態を維持し、エンジン回転の上昇に伴ってマイクロプロセッサ110が動作を開始したときには、そのまま始動操作を継続することができる特徴がある。
【0248】
また、始動指令信号発生装置100Zから指令される始動制御ユニット20は、電流抑制抵抗50を短絡するための短絡用リレー30Bの励磁コイル32B(図10参照)を付勢したときに閉路する常開接点である短絡接点31B(図10参照)を備え、始動指令信号発生装置100Zが発生するリレーコイル67に対する駆動信号は、始動制御ユニット20に設けられたタイマ回路40B(図10参照)の計時動作開始信号として使用されるようになっている。
【0249】
このように、始動制御ユニット20のタイマ回路40Bは、始動指令信号発生装置100Zが発生するリレーコイル駆動用信号に応動して計時動作を開始し、始動制御ユニット20は、常開接点型の短絡用リレー30Bを備えている。
【0250】
従って、電源電圧の変動によって動作時間が変化するピニオンギアのシフト所要時間の影響が除外され、電流抑制抵抗50に電流が流れている限流始動時間としては、遅延設定時間T0−(電磁シフトリレー65のリレーコイル67が付勢されてから出力接点61が閉路するまでの第1の閉路応答時間T1)−(短絡用リレー30Bの励磁コイル32Bが付勢されたから短絡接点31Bが閉路するまでの第2の閉路応答時間T2)となり、第1の閉路応答時間T1と第2の閉路応答時間T2は互いに減殺するため、電源電圧の変動によって閉路応答が変化しても限流始動時間に及ぼす影響は小さくなる特徴がある。特に、ピニオンギアのシフト動作をシフトコイルによって分離したことによって、電磁シフトリレー65による出力接点61の閉路応答時間は、同じ始動電流を扱う短絡用リレー30Bによる短絡接点31Bの閉路応答時間が近似したものとなる特徴がある。
【符号の説明】
【0251】
10 車載バッテリ
12 始動指令スイッチ
20、20A、20B、21、21A、21B 始動制御ユニット
20AA 筐体
30A、30B 短絡用リレー
31A、31B 短絡接点
32A、32B 励磁コイル
40A、40B、90A、90B タイマ回路
40a 始動タイマ回路部
41a 給電抵抗
41b 電源コンデンサ
44a 充電抵抗
44b タイマコンデンサ
46a 駆動トランジスタ
47A、47B 逆接保護素子
48A 電圧制限ダイオード
48B 定電圧ダイオード
49b、49c 端子間接続配線
50 電流抑制抵抗
60、65 電磁シフトリレー
61 出力接点
62 吸引コイル
64、66 シフトコイル
67 リレーコイル
70 始動用電動機
90b 遅延タイマ回路部
96a 分割駆動トランジスタ
100X、100Y、100Z 始動指令信号発生装置
103 手動始動スイッチ
105 指令用電磁リレー
107 入力センサ
110 マイクロプロセッサ
130a、130b 直列開閉素子
141 直接始動回路
144a 始動禁止トランジスタ
146a プルダウン抵抗
150 直列開閉回路
160 付勢許可記憶回路
X、Y 配線端子
B1、B2 電源端子
Tdn、Tup タイムアップ出力
STD 自動始動指令信号
STP 始動禁止指令信号
STT 遅延付勢許可信号
ASG 補助指令信号
Vc、V0 駆動電源電圧
V1 第1の比較電圧
V2 第2の比較電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載エンジンを始動する始動用電動機と車載バッテリとの間に接続されて前記始動用電動機の限流始動を行う始動制御ユニットであって、
前記始動制御ユニットは、前記始動用電動機に設けられた電磁シフトリレーの出力接点と直列接続される電流抑制抵抗と、当該電流抑制抵抗を短絡接点により短絡する短絡用リレーと、始動指令スイッチの動作に応動して始動電流が減少した所定時期に前記短絡接点を閉路するタイマ回路とを一体化して構成され、
前記電磁シフトリレーは、前記車載バッテリから前記始動指令スイッチを介して給電されるシフトコイルによって前記始動用電動機に設けられたピニオンギアを推進移動させ、エンジンのクランクシャフトに設けられたリングギアと前記ピニオンギアを係合させると共に、当該シフトコイル又は当該シフトコイルと分割設置されたリレーコイルによって前記出力接点を閉路させ、
前記短絡接点は、前記短絡用リレーの励磁コイルを付勢することによって開路する常閉接点であると共に、前記励磁コイルは前記始動指令スイッチを経由しないで、前記電流抑制抵抗の一方の端子と逆接保護素子と駆動トランジスタとを介して前記車載バッテリから直接給電され、
前記逆接保護素子は、前記車載バッテリが正常極性で接続されているときには前記励磁コイルへの給電は可能であるが、前記車載バッテリが異常逆極性で接続されているときには前記励磁コイルへの給電を阻止するトランジスタ又はダイオードであり、
前記駆動トランジスタは、前記始動指令スイッチが閉路して前記シフトコイル又はリレーコイルが付勢されると同時に導通駆動されて前記短絡用リレーを開路付勢し、前記出力接点が閉路するまでには前記短絡接点が開路動作を完了し、
前記タイマ回路は、前記電磁シフトリレーの出力接点の閉路動作に応動して計時動作を開始して、所定の遅延設定時間を置いて前記駆動トランジスタを遮断し、
前記電流抑制抵抗には、前記タイマ回路の遅延設定時間と、前記短絡用リレーの励磁コイルを消勢してから前記短絡接点が閉路復帰するまでの閉路応答時間を加算した時間帯において、前記始動用電動機に対する抑制始動電流が流れることを特徴とする始動制御ユニット。
【請求項2】
前記タイマ回路は、前記出力接点が閉路したことに伴って前記電流抑制抵抗の両端に発生する電圧降下を検出して計時動作を開始するものであることを特徴とする請求項1に記載の始動制御ユニット。
【請求項3】
前記タイマ回路は、前記始動指令スイッチの閉路動作に応動して前記車載バッテリから給電される駆動電源電圧に比例した第1の比較電圧と、前記出力接点が閉路したことによって共通の前記駆動電源電圧から充電抵抗を介して充電されるタイマコンデンサの漸増充電電圧である第2の比較電圧とを比較して、所定の遅延設定時間を置いて両者が一致したときにタイムアップ出力を発生して前記駆動トランジスタを遮断することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の始動制御ユニット。
【請求項4】
前記タイマ回路の駆動電源回路には、給電抵抗と電圧制限ダイオードが接続され、前記電圧制限ダイオードは、前記駆動電源電圧の変動領域の高電圧領域において電圧制限機能を有し、低電圧領域においては、電圧制限機能が作用しない動作電圧の定電圧ダイオードであることを特徴とする請求項3に記載の始動制御ユニット。
【請求項5】
車載エンジンを始動する始動用電動機と車載バッテリとの間に接続されて前記始動用電動機の限流始動を行う始動制御ユニットであって、
前記始動制御ユニットは、前記始動用電動機に設けられた電磁シフトリレーの出力接点と直列接続される電流抑制抵抗と、当該電流抑制抵抗を短絡接点により短絡する短絡用リ
レーと、始動指令スイッチの動作に応動して始動電流が減少した所定時期に前記短絡接点を閉路するタイマ回路とを一体化して構成され、
前記電磁シフトリレーは、前記車載バッテリから前記始動指令スイッチを介して給電されるシフトコイルによって前記始動用電動機に設けられたピニオンギアを推進移動させ、エンジンのクランクシャフトに設けられたリングギアと前記ピニオンギアを係合させると共に、当該シフトコイル又は当該シフトコイルと分割設置されたリレーコイルによって前記出力接点を閉路させ、
前記短絡接点は、前記短絡用リレーの励磁コイルを付勢することによって閉路する常開接点であると共に、前記励磁コイルは前記始動指令スイッチを経由しないで、前記電流抑制抵抗の一方の端子と逆接保護素子と駆動トランジスタとを介して前記車載バッテリから直接給電され、
前記逆接保護素子は、前記車載バッテリが正常極性で接続されているときには前記励磁コイルへの給電は可能であるが、前記車載バッテリが異常逆極性で接続されているときには前記励磁コイルへの給電を阻止するトランジスタ又はダイオードであり、
前記タイマ回路は、前記始動指令スイッチが閉路して前記シフトコイル又はリレーコイルに対する給電が行われた時点で計時動作を開始し、所定の遅延設定時間を置いて前記駆動トランジスタを導通駆動すると共に、前記遅延設定時間の値は、前記シフトコイル又はリレーコイルが付勢されてから前記出力接点が閉路するまでの第1の閉路応答時間よりも長い時間となるように設定されており、
前記電流抑制抵抗には、前記タイマ回路の遅延設定時間をT0とし、前記出力接点を閉路駆動するシフトコイル又はリレーコイルが付勢されてから前記出力接点が閉路するまでの第1の閉路応答時間をT1とし、前記短絡用リレーが付勢されてから前記短絡接点が閉路するまでの第2の応答遅延時間をT2aとしたときに、算式「T0+T2a−T1」によって得られる時間帯において前記始動用電動機に対する抑制始動電流が流れることを特徴とする始動制御ユニット。
【請求項6】
前記タイマ回路は、前記始動指令スイッチの閉路動作に応動して前記車載バッテリから給電される駆動電源電圧に比例した第1の比較電圧と、前記駆動電源電圧から充電抵抗を介して充電されるタイマコンデンサの漸増充電電圧である第2の比較電圧とを比較して、所定の遅延設定時間を置いて両者が一致したときにタイムアップ出力を発生して前記駆動トランジスタを導通駆動し、
前記駆動電源電圧は、前記車載バッテリから給電される電源電圧が一時的に急減した場合に前記駆動電源電圧が異常低下することを防止する電源コンデンサ及び定電圧ダイオードによって、変動電圧の全領域に対して安定化されていることを特徴とする請求項5に記載の始動制御ユニット。
【請求項7】
前記タイマ回路は更に、前記第2の比較電圧が前記第1の比較電圧以上となった状態を記憶するラッチトランジスタを備えていることを特徴とする請求項3又は請求項6に記載の始動制御ユニット。
【請求項8】
車載エンジンを始動する始動用電動機と車載バッテリとの間に接続されて前記始動用電動機の限流始動を行う始動制御ユニットであって、
前記始動制御ユニットは、前記始動用電動機に設けられた電磁シフトリレーの出力接点と直列接続される電流抑制抵抗と、当該電流抑制抵抗を短絡接点により短絡する短絡用リレーと、始動指令スイッチの動作に応動して始動電流が減少した所定時期に前記短絡接点を閉路するタイマ回路とを一体化して構成され、
前記電磁シフトリレーは、前記車載バッテリから前記始動指令スイッチを介して給電されるシフトコイルによって前記始動用電動機に設けられたピニオンギアを推進移動させ、エンジンのクランクシャフトに設けられたリングギアと前記ピニオンギアを係合させると共に、当該シフトコイルと分割設置されたリレーコイルを分離駆動することによって前記
出力接点を閉路させ、
前記リレーコイルは、前記シフトコイルに給電されてから前記タイマ回路内に設けられた遅延タイマ回路部によって設定された所定の遅延時間を置いて給電駆動されると共に、前記遅延時間は、前記車載バッテリの電源電圧が低下しているときの最大シフト時間に対応した固定値であるか、又は電源電圧が高いときには遅延時間を漸減させる電圧補正が行われており、
前記短絡接点は、前記短絡用リレーの励磁コイルを付勢したことによって開路又は閉路する常閉接点又は常開接点であると共に、
前記タイマ回路内に設けられた始動タイマ回路部は、前記シフトコイルが付勢された時点、又は前記リレーコイルが付勢された時点、又は前記出力接点が閉路した時点において計時動作を開始し、
前記励磁コイルと前記リレーコイルは前記始動指令スイッチを経由しないで、前記電流抑制抵抗の一方の端子と逆接保護素子とそれぞれの駆動トランジスタと分割駆動トランジスタとを介して前記車載バッテリから直接給電され、
前記逆接保護素子は、前記車載バッテリが正常極性で接続されているときには前記励磁コイルと前記リレーコイルへの給電は可能であるが、前記車載バッテリが異常逆極性で接続されているときには前記励磁コイルと前記リレーコイルへの給電を阻止するトランジスタ又はダイオードであることを特徴とする始動制御ユニット。
【請求項9】
前記短絡接点は、前記短絡リレーの励磁コイルを付勢したときに閉路する常開接点であり、
前記始動タイマ回路部は、前記リレーコイルが付勢された時点において計時動作を開始し、所定の遅延設定時間を置いてタイムアップするか、又は前記シフトコイルが付勢された時点において計時動作を開始するが、当該始動タイマ回路部は、前記遅延時間と前記遅延設定時間とを加算した設定時間を置いてタイムアップして前記励磁コイルを付勢することを特徴とする請求項8に記載の始動制御ユニット。
【請求項10】
前記逆接保護素子であるトランジスタは、Pチャネル型電界効果トランジスタを逆接続したものであって、当該トランジスタは、前記励磁コイル又はリレーコイルが付勢されるときには逆方向に導通駆動されており、
前記車載バッテリが正常極性で接続されているときには、前記トランジスタのドレイン端子からソース端子の方向に前記励磁コイル又はリレーコイルの駆動電流が通電し、前記車載バッテリが異常逆極性で接続されているときには、前記励磁コイル又はリレーコイルから前記駆動トランジスタ又は分割駆動トランジスタの内部寄生ダイオードを介して逆流しようとする電流が前記トランジスタによって遮断されることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の始動制御ユニット。
【請求項11】
前記電流抑制抵抗は、前記始動制御ユニットを収納した筐体の外壁に取付け固定されて一体化されていることを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の始動制御ユニット。
【請求項12】
前記短絡用リレーの出力接点である短絡接点と前記電流抑制抵抗との並列回路は、前記始動用電動機に接続された電磁シフトリレーの出力接点と前記車載バッテリとの間に接続され、前記並列回路の一対の配線端子のどちらか一方は前記車載バッテリ側に接続されると共に、
前記タイマ回路は、端子間接続配線によって内部接続された一対の電源端子を備え、前記一対の配線端子の一方の配線端子が前記車載バッテリに接続されているときには、当該一方の配線端子と前記電源端子の一方の電源端子とが接続され、前記一対の配線端子の他方の配線端子が前記車載バッテリに接続されているときには、当該他方の配線端子と前記電源端子の他方の電源端子とが接続されることを特徴とする請求項11に記載の始動制御
ユニット。
【請求項13】
請求項1〜12の何れか一項に記載の始動制御ユニットに対する始動指令信号発生装置であって、
前記始動指令スイッチは、少なくとも燃料噴射制御機能を包含した始動指令信号発生装置の制御出力に応動する指令用開閉素子であるか、当該指令用開閉素子によって付勢制御される指令用電磁リレーの出力接点であり、
前記始動指令信号発生装置には、少なくともアイドルストップ運転を行うか否か、或いは無線電波による遠隔始動を行うか否かを決定するモードスイッチ信号と、アイドルストップを実行するエンジン停止要件と、遠隔始動要件又はアイドルストップ後の再始動要件を判定するための複数の入力センサと、手動始動スイッチが入力信号として接続されるマイクロプロセッサとを備えると共に、前記指令用開閉素子となる直列開閉素子を備え、
前記エンジン停止要件と遠隔始動要件と再始動要件は、少なくとも前記車載バッテリの電源電圧が所定値以上であることの要件を包含し、
前記マイクロプロセッサは、アイドルストップ後のエンジン始動又は遠隔始動を行うときには、自動始動指令信号を発生して前記直列開閉素子を導通駆動し、
前記直列開閉素子は、前記手動始動スイッチが閉路しているときには、前記車載バッテリの異常電圧低下によって前記マイクロプロセッサが不作動であっても導通状態を維持する直接始動回路を備えたことを特徴とする始動指令信号発生装置。
【請求項14】
前記マイクロプロセッサは、回転中のエンジンに対する誤った再始動の防止又は前記手動始動スイッチに設けられた暗証番号が不適当である場合に、エンジンの始動を禁止する始動禁止指令信号を発生し、前記始動禁止指令信号が発生すると、前記エンジン制御装置に設けられた始動禁止トランジスタが導通駆動され、当該始動禁止トランジスタが導通したことによって前記直列開閉素子の導通が禁止され、
前記始動禁止トランジスタは、前記始動禁止指令信号が発生していないとき、又は前記マイクロプロセッサが不作動であるときには、プルダウン抵抗によって導通遮断されていることを特徴とする請求項13に記載の始動指令信号発生装置。
【請求項15】
請求項1〜4、又は請求項7の何れか一項に記載の始動制御ユニットと電磁シフトリレーに対する始動指令信号発生装置であって、前記電磁シフトリレーが前記シフトコイルと分割設置されたリレーコイルを有するものであり、前記始動制御ユニットは、当該リレーコイルに対する遅延給電出力を持たないものにおいて、
前記始動指令信号発生装置は、前記電磁シフトリレーのシフトコイルを直接駆動するか、又は指令用電磁リレーの出力接点を介して間接駆動するための直列開閉素子を包含した直列開閉回路と、前記電磁シフトリレーのリレーコイルを駆動するための直列開閉素子を通電駆動する付勢許可記憶回路と、自動始動指令信号と遅延付勢許可信号を発生するマイクロプロセッサと、直接始動回路とを備え、
前記マイクロプロセッサは、アイドルストップ後のエンジン始動又は遠隔始動を行うときには、前記自動始動指令信号を発生し、前記直列開閉回路を導通駆動して前記電磁シフトリレーのシフトコイルに給電すると共に、
手動始動スイッチの閉路信号が入力されたとき、又は前記自動始動指令信号を発生したときには、所定の遅延時間を置いて前記遅延付勢許可信号を発生し、
前記直接始動回路は、前記手動始動スイッチが閉路しているときには、前記車載バッテリの異常電圧低下によって前記マイクロプロセッサが不作動であっても前記直列開閉回路の駆動状態を維持し、
前記付勢許可記憶回路は、前記遅延付勢許可信号が発生したことを記憶して前記リレーコイルを付勢するための直列開閉素子を介して補助指令信号を発生し、
前記遅延付勢許可信号の記憶状態は、前記マイクロプロセッサが不作動になっても維持されているが、前記手動始動スイッチが開路し、前記自動始動指令信号が消滅した時点で
記憶解除され、
前記遅延時間は、前記車載バッテリの電源電圧が低下しているときの最大シフト時間に対応した固定値であるか、又は前記電源電圧が高いときに遅延時間を漸減させる電圧補正が行われていることを特徴とする始動指令信号発生装置。
【請求項16】
請求項5〜7、又は請求項10〜12の何れか一項に記載の始動制御ユニットと電磁シフトリレーに対する始動指令信号発生装置であって、前記電磁シフトリレーが前記シフトコイルと分割設置されたリレーコイルを有するものであり、前記始動制御ユニットは、当該リレーコイルに対する遅延給電出力を持たないものにおいて、
前記始動指令信号発生装置は、前記電磁シフトリレーのシフトコイルを直接駆動するか、又は指令用電磁リレーの出力接点を介して間接駆動するための直列開閉素子を包含した直列開閉回路と、前記電磁シフトリレーのリレーコイルを駆動するための直列開閉素子を通電駆動する付勢許可記憶回路と、自動始動指令信号と遅延付勢許可信号を発生するマイクロプロセッサと、直接始動回路とを備え、
前記マイクロプロセッサは、アイドルストップ後のエンジン始動又は遠隔始動を行うときには、前記自動始動指令信号を発生し、前記直列開閉回路を導通駆動して前記電磁シフトリレーのシフトコイルに給電すると共に、
手動始動スイッチの閉路信号が入力されたとき、又は前記自動始動指令信号を発生したときには、所定の遅延時間を置いて前記遅延付勢許可信号を発生し、
前記直接始動回路は、前記手動始動スイッチが閉路しているときには、前記車載バッテリの異常電圧低下によって前記マイクロプロセッサが不作動であっても前記直列開閉回路の駆動状態を維持し、
前記付勢許可記憶回路は、前記遅延付勢許可信号が発生したことを記憶して前記リレーコイルを付勢するための直列開閉素子を介して補助指令信号を発生し、
前記遅延付勢許可信号の記憶状態は、前記マイクロプロセッサが不作動になっても維持されているが、前記手動始動スイッチが開路し、前記自動始動指令信号が消滅した時点で記憶解除され、
前記遅延時間は、前記車載バッテリの電源電圧が低下しているときの最大シフト時間に対応した固定値であるか、又は前記電源電圧が高いときに遅延時間を漸減させる電圧補正が行われていることを特徴とする始動指令信号発生装置。
【請求項17】
前記始動指令信号発生装置から指令される始動制御ユニットは、電流抑制抵抗を短絡するための短絡用リレーの励磁コイルを付勢したときに閉路する常開接点である短絡接点を備え、
前記始動指令信号発生装置が発生する前記リレーコイルに対する駆動信号は、前記始動制御ユニットに設けられたタイマ回路の計時動作開始信号として使用されることを特徴とする請求項16に記載の始動指令信号発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−57588(P2012−57588A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204337(P2010−204337)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】