説明

姿勢制御機能診断装置

【課題】三次元的な検査及び解析を行うことができ、より早期かつ正確に診断が可能な姿勢制御機能総合診断装置を提供すること。
【解決手段】情報処理装置と、情報処理装置に接続された足底圧中心計測装置及び診断対象者用表示装置と、を有し、情報処理装置は、足底圧中心計測装置からの出力を三次元的に処理する三次元処理部を有する姿勢制御機能診断装置とする。直子の場合において、情報処理装置に接続された眼球変位計測装置、身体部位変位計測装置、及び、指標表示装置の少なくともいずれかを有することも好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、姿勢制御機能診断装置に関し、より具体的には、静止立位の静的姿勢制御機能から、身体各部位の運動による動的姿勢制御機能までをまとめて総合的に診断することが可能な装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
姿勢制御機能は日常的な家庭生活や社会生活における行動の基本であり、姿勢制御機能の障害(フラツキ・浮遊感・めまいなど)に対しては早期の診断が必要である。一方で、フラツキなどを感じても寝台に横臥位で静止して計測するコンピュータ断層スキャン(CT)や磁気共鳴イメージング(MRI)などを用いた形態学的精密診断では病態が見つからないことが多く、姿勢制御機能の障害の診断のためには、実際に姿勢を動かして身体が機能している最中の動的な精密検査が極めて重要である。なおこの際、眼球運動機能、頭部運動機能、腰部運動機能等の躯幹や、下肢関節運動機能等の姿勢制御に関与する諸機能の総合的情報量として定量的に機能診断を行うことも非常に重要である。
【0003】
姿勢制御機能診断装置に関する従来の技術として、負荷のない静止起立状態の重心を、足底圧中心から推測する静的姿勢制御機能を解析する負荷のない重心動揺計に関する記載が例えば下記特許文献1乃至4に記載されている。
【特許文献1】特開平07−255705
【特許文献2】特開平08−215176
【特許文献3】特開平09−285458
【特許文献4】特開2005−152215
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献のいずれの技術においても検査内容は、負荷のない静止直立不動で静的な計測に限られており、姿勢制御に重要な各部位の身体運動機能を考慮していない。
【0005】
更に、上記特許文献いずれの技術においても、解析方法は、足底圧中心を水平面の二次元平面内に限られている。厳密に姿勢制御機能を検査するためには、三次元空間の検査と解析をすることが極めて望ましい。
【0006】
そこで本発明は、以上を鑑み、三次元的な検査及び解析を行うことができ、より早期かつ正確に診断が可能な姿勢制御機能総合診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、上記課題を解決する本発明の一観点による姿勢制御機能診断装置は、情報処理装置と、情報処理装置に接続された足底圧中心計測装置及び診断対象者用表示装置と、を有し、情報処理装置は、足底圧中心計測装置からの出力を三次元的に処理する三次元処理部を有する。
【0008】
また、この観点において、情報処理装置に接続された眼球変位計測装置、身体部位変位計測装置、及び、指標表示装置の少なくともいずれかを有することは好ましい一例である。
【0009】
また、この観点において、情報処理装置に接続された眼球変位計測装置、身体部位変位計測装置、及び、指標表示装置を有することも好ましい一例である。
【0010】
また、この観点において、情報処理装置は、更に、予め求めてある基準値を記録する基準値記録部と、三次元処理部の処理結果と基準値記憶部に記録された基準値と比較処理する比較処理部と、を有することも好ましい。
【発明の効果】
【0011】
以上の手段により、足底圧中心から重心を立体的三次元空間に推測でき、姿勢制御に重要な影響をあたえる全身の運動機能を静的と動的の総合的な診断ができる姿勢制御機能総合診断装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面をもとに説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す最良の実施形態にのみ限定されるものではない。
【0013】
図1は本実施形態に係る姿勢制御機能診断装置(以下「本装置」という。)の概略図である。
【0014】
本図で示すように、本装置1は、情報処理装置2と、情報処理装置2に接続された足底圧中心計測装置3と、眼球変位計測装置4と、身体部位変位計測装置5と、診断対象者用表示装置6と、印字装置7と、を有して構成されている。
【0015】
また、本図で示されるように、情報処理装置2と足底圧中心計測装置3は、A/D変換装置8を介して接続されている。これにより、足底圧中心計測装置3からの出力であるアナログ信号は、A/D変換装置8により、デジタル信号として情報処理装置2に出力することができる。
【0016】
本実施形態における情報処理装置2は、診断対象者用表示装置6に、診断のための画像を表示させること、足底圧中心計測装置3、眼球変位計測装置4、身体部位変位計測装置5からの情報を処理し、その結果を表示するためのものであって、具体的には、CPU等の中央演算処理装置211、RAM等のメモリ212、HDD等の記録装置213、キーボードやマウス等の入力装置214、モニター等の情報処理装置用表示装置215、これら各装置を接続するバス216、バス216に接続され足底圧中心計測装置3、眼球変位計測装置4及び身体部位変位計測装置5との接続を可能とするI/Oポート217、診断対象者用表示装置6及び印字装置7との接続を可能とする接続端子218と、を有している。本装置1の情報処理装置2におけるハードウェア構成を図2に示す。
【0017】
本実施形態における足底圧中心計測装置3は、足底圧中心を三次元的かつ経時的に計測し、診断の対象となる者(以下「診断対象者」という。)の足底圧中心のゆれを検知するためのものであり、限定されるわけではないが例えば多角形状のステージ31と、この多角形状のステージ31の各頂点に配置されるロードセル32と、を有していることが好ましい。本実施形態では、例えば図1で示すように、三角形状のステージ31、この三角形状のステージ31の各頂点に配置されるロードセル32a、32b、32cを有している。なお、診断対象者をステージに乗せて計測を開始する場合、その位置は、これらロードセルを配置する点を結ぶ多角形状の内部であることが好ましい。
【0018】
なお、本実施形態において、足底圧中心計測装置3とA/D変換装置8との間、具体的には各ロードセル32とA/D変換装置8との間には、出力を増幅する増幅器33を有して構成されていることも好ましい。
【0019】
本実施形態における眼球変位計測装置4は、眼球を計測するための装置であって、眼球のデータを経時的に取得することのできる装置であり、この限りにおいて限定されるわけではないが、例えば眼球電位を測定する装置であることは好ましい一形態である。眼球電位を測定する装置は、診断対象者の顔の眼球近傍に貼り付ける電極を備える接触式のものであっても良いし、光学的に眼球計測を行なうことのできる非接触式のものであっても良い。
【0020】
本実施形態において、身体部位変位計測装置5は、診断対象者の身体部位の各部位に配置され、その変位を計測するための装置である。変位の計測方法としては限定されるわけではないが、その各部位の加速度を調べることは有用な一手段であり、例えば加速度センサーを好適に採用することができる。このセンサーを配置する身体部位としては、これも限定されるわけではないが、頭頂部、肩部、腰部、膝部を好適な部位としてあげることができる。
【0021】
なお図1では、身体部位変位計測装置5として、上記身体の各部位に接触させて配置する接触式の加速度センサーを例示しているが、光学的な手法により身体各部位の変位計を可能とする非接触式のものであってもよい。
【0022】
本実施形態における計測対象者用表示装置6は、点、図形、文字等、診断対象者に対して表示を行ない、診断対象者に所望の動作を行なわせるために用いるものであり、いわゆる液晶モニター等の表示装置を用いることができるが、診断対象者に見やすいよう、液晶プロジェクター等の大型の表示装置を用いることがより好ましい。なお、単純な表示のみで足りると判断する場合、複数の発光ダイオードをマトリクス状に配置し、I/O経由で制御するという構成とすることも可能である。
【0023】
本実施形態における印字装置7は、診断の結果を紙などの媒体に印刷して表示を行うためのものであり、必須の構成要件ではないが、診断対象者に具体的に結果を示すためには極めて有用なものである。印字装置7としては、限定されることなく、市販されている印字装置を用いることができる。
【0024】
また、本実施形態に係る姿勢制御機能診断装置1は、情報処理装置2の記録装置213に基本プログラム(OS)や、姿勢制御機能診断を行なうためのプログラム(以下「本プログラム」という。)を格納しており、本プログラムを実行することで、複数の機能ブロック部位からなる装置として動作させることが可能となる。この場合における情報処理装置2の機能に関するブロック図を図3に示す。
【0025】
本実施形態における情報処理装置2は、本プログラムの実行により、診断対象者の属性入力を行なう属性入力部2201と、診断の進捗に応じて診断対象者用表示装置に表示を行なわせるための診断用表示制御部2202と、診断対象者の診断中の足底圧中心計測装置、眼球変位計測装置、身体部位変位計測装置の各出力を記録する変位記録部2203と、足底圧中心計測装置からの出力を三次元的に処理する三次元処理部2204、眼球変位計測装置からの出力を処理する眼球変位処理部2205、身体部位変位計測装置からの出力を処理する身体部位変位計測処理部2206、診断の基準となる基準値を予め記録してある基準値記録部2207、上記三次元処理部2204、眼球変位処理部2205及び身体部位変位計測処理部2206の処理結果と基準値記録部2207に記録された各基準値との比較処理を行う比較処理部2208、診断処理結果を表示させるための結果表示制御部2209、を有して構成されている。
【0026】
ここで、図4に本実施形態に係る姿勢制御機能診断処理(以下「本診断処理」という。)のフローを示す。本図で示すように本診断処理のフローは、属性入力S1、変位測定及びデータ収集S2、データ処理S3、比較処理S4、結果表示S5を有している。
【0027】
診断処理を行おうとする者はまず、情報処理装置の記憶装置に格納される本プログラムを実行し、診断対象者の氏名、年齢、性別、身長、体重等個人の情報を入力する属性入力S1を行なう。この操作は、診断対象者の属性入力を行なう属性入力部2201により制御される。属性入力部2201は、まず情報処理装置用表示装置に、診断対象者の氏名、年齢、身長、体重などを入力させるためのテキストボックスを表示させ、キーボードやマウス等の入力装置による入力を受け付け、受け付けた氏名、年齢、身長、体重等のデータ(属性データ)を記録する。なお、体重や身長は、足底圧中心のゆれを正規化して診断処理を行うことができるため、属性として採用することが極めて好ましい。また、ここでは、診断対象者の属性は、診断対象者と異なる者であってもよいし、診断対象者が直接行なってもよい。なおこの場合における情報処理装置用表示装置に表示される画面の一例を、図5に示しておく。
【0028】
次に、診断対象者は、体に眼球変位計測装置、身体部位変位計測装置を装着するとともに、足底圧中心計測装置に乗り、様々な動作を行い、情報処理装置はこの動作に基づき変位測定及びデータ収集S2を行う。なお、この場合において診断対象者が行なう様々な動作は、起立し不動の状態を基本とし、診断対象者用表示装置に表示される課題に基づくものが含まれる。この操作は、診断の進捗に応じて診断対象者用表示装置に表示を行なわせるための診断用表示制御部2202により制御される。
【0029】
ここで、診断対象者に表示される課題の例について、図6にフローを示して説明する。このフローは、本図で示すように、開眼起立静止位S21、閉眼起立静止位S22、固視点注視起立静止位S23、運動視標眼球追視起立位S24、運動視標頭部追視起立位S25、膝部屈曲位静止位S26、を含む。本実施形態では診断対象者の動作しやすさの観点から上記課題を上記記載順に表示、実行させることとなっているが、適宜課題を追加、削除、入れ替えても良い。
【0030】
開眼起立静止位S21は、一定期間、診断対象者に目を開けた状態で起立静止させる課題である。診断用表示制御部は、この一定期間における診断対象者の足底圧中心計測装置、眼球変位計測装置、身体部位変位計測装置からの出力を受け付け、それぞれ開眼起立静止位足底圧中心データ、開眼起立静止位眼球変位データ、開眼起立静止位身体部位変位データ(以下総称して「開眼起立静止位変位データ」という。)として変位記録部に経時的に記録する。なおここで「一定期間」とは、適宜調整可能であり限定されるわけではないが、十分なデータ測定時間を確保する一方、診断対象者の負担をできるだけ軽くするべく30秒以上60秒以下であることは好ましい態様である。これは、動作が加わる後述の様々な課題において、診断対象者がどの程度揺れているかを判断するための基準として用いることができるものである。
【0031】
閉眼起立静止位S22も、一定期間、診断対象者に起立静止させる課題である。ただし、上記開眼起立静止位S21とは異なり、目を閉じた状態で行なわせる。診断用表示制御部は、この一定期間における診断対象者の足底圧中心計測装置、眼球変位計測装置、身体部位変位計測装置からの出力を受け付け、それぞれ閉眼起立静止位足底圧中心データ、閉眼起立静止位眼球変位データ、閉眼起立静止位身体部位変位データ(以下総称して「閉眼起立静止位変位データ」という。)として変位記録部に経時的に記録する。なおここで「一定期間」とは、適宜調整可能であり限定されるわけではないが、十分なデータ測定時間を確保する一方、診断対象者の負担をできるだけ軽くするべく30秒以上60秒以下とすることは好ましい一態様である。
【0032】
固視点注視起立静止位S23は、一定期間、診断対象者用表示装置の一点に基準となる点などのマークを表示させ、このマークを凝視させた状態で診断対象者に起立静止させる課題である。診断用表示制御部は、この一定期間における診断対象者の足底圧中心計測装置、眼球変位計測装置、身体部位変位計測装置からの出力を受け付け、それぞれ固視点注視起立静止位足底圧中心データ、固視点注視起立静止位眼球変位データ、固視点注視起立静止位身体部位変位データ(以下総称して「固視点注視起立静止位変位データ」という。)として変位記録部に経時的に記録する。なおここで「一定期間」とは、適宜調整可能であり限定されるわけではないが、十分なデータ測定時間を確保する一方、診断対象者の負担をできるだけ軽くするべく30秒以上60秒以下とすることは好ましい一態様である。なおこの場合における診断対象者用表示装置に表示される画面の一例を図7に示しておく。
【0033】
運動視標眼球追視起立位S24は、一定期間、診断対象者用表示装置に、基準となる点などのマークを、例えば表示装置の左右又は中心のいずれかの位置に現れるよう点滅させながら、眼球だけを動かし、頭部を動かさない状態で診断対象者に起立静止させて凝視させる課題である。診断用表示制御部は、この一定期間における診断対象者の足底圧中心計測装置、眼球変位計測装置、身体部位変位計測装置からの出力を受け付け、それぞれ運動視標眼球追視起立位足底圧中心データ、運動視標眼球追視起立位眼球変位データ、運動視標眼球追視起立位身体部位変位データ(以下総称して「運動視標眼球追視起立位変位データ」という。)として変位記録部に経時的に記録する。なおここで「一定期間」とは、適宜調整可能であり限定されるわけではないが、十分なデータ測定時間を確保する一方、診断対象者の負担をできるだけ軽くするべく30秒以上60秒以下とすることは好ましい一態様である。またここで、マークの移動方向は、左右であっても、上下であってもよく、適宜調整可能である。また、点滅する時間的順序は、ランダムであることが診断対象者の診断においては好ましいが、ランダムでなくても良い。
【0034】
運動視標頭部追視起立位S25は、一定期間、診断対象者用表示装置に、基準となる点などのマークを、例えば表示装置の左右又は中心のいずれかの位置に現れるよう点滅させながら、頭部を動かし、眼球を動かさない状態で診断対象者に起立静止させて凝視させる課題である。診断用表示制御部は、この一定期間における診断対象者の足底圧中心計測装置、眼球変位計測装置、身体部位変位計測装置からの出力を受け付け、それぞれ運動視標頭部追視起立位足底圧中心データ、運動視標頭部追視起立位眼球変位データ、運動視標頭部追視起立位身体部位変位データ(以下総称して「運動視標頭部追視起立位変位データ」という。)として変位記録部に経時的に記録する。なおここで「一定期間」とは、適宜調整可能であり限定されるわけではないが、十分なデータ測定時間を確保する一方、診断対象者の負担をできるだけ軽くするべく30秒以上60秒以下とすることは好ましい一態様である。またここで、マークの移動方向は、左右であっても、上下であってもよく、適宜調整可能である。また、点滅する時間的順序は、ランダムであることが診断対象者の診断においては好ましいが、ランダムでなくても良い。
【0035】
膝部屈曲位静止位S26は、一定期間、膝を曲げた状態で診断対象者に静止させる課題である。診断用表示制御部は、この一定期間における診断対象者の足底圧中心計測装置、眼球変位計測装置、身体部位変位計測装置からの出力を受け付け、それぞれ膝部屈曲位静止位足底圧中心データ、膝部屈曲位静止位眼球変位データ、膝部屈曲位静止位身体部位変位データ(以下総称して「膝部屈曲位静止位変位データ」という。)として変位記録部に経時的に記録する。なおここで「一定期間」とは、適宜調整可能であり限定されるわけではないが、十分なデータ測定時間を確保する一方、診断対象者の負担をできるだけ軽くするべく30秒以上60秒以下とすることは好ましい一態様である。また膝を曲げる角度は適宜調整可能であるが、例えば30度以上90度以下であることが好ましい。また膝を曲げる動作は、診断対象者が異なった場合でもできる限り一定にすることが好ましいため、例えばできる限り早く曲げてもらうようにすることは好ましい一態様である。なおこの場合において、診断対象者用表示装置には、膝を曲げてほしい旨の表示を行なわせることが好適である。
【0036】
本実施形態において、三次元処理部2204は、足底圧中心計測装置からの出力を三次元的に処理するものであり、具体的には、上記開眼起立静止位S21、閉眼起立静止位S22、固視点注視起立静止位S23、運動視標眼球追視起立位S24、運動視標頭部追視起立位S25、膝部屈曲位静止位S26、における各足底圧中心データを処理するものである。
【0037】
本実施形態において「三次元的に処理する」とは、診断対象者が載る足底圧中心計測装置のステージ平面をX及びYの二次元平面とした場合に、その平面に垂直な方向であるZ方向をも含めて足底圧中心の変位を求めることをいう。本実施形態において具体的には、ステージの頂点に配置された各ロードセルの出力から三次元的な位置の変位を算出する。なおこの結果得られた三次元的な変位データもXYZ方向の値の時系列的なデータとして、再び変位記録部に記録される。また、後述の例から明らかなように、三次元処理には二次元処理が含まれており、三次元及び二次元の足底圧中心の移動距離、移動面積、移動体積を求める処理を含ませることができ、更にリサージュを求める処理を含ませることができる。なお、三次元処理部2204の処理には、平均化処理といった一般的な処理を含ませることが有用である。
【0038】
本実施形態において、眼球変位計測処理部2205は、眼球変位計測装置からの出力を処理するものであり、具体的には、上記開眼起立静止位S21、閉眼起立静止位S22、固視点注視起立静止位S23、運動視標眼球追視起立位S24、運動視標頭部追視起立位S25、膝部屈曲位静止位S26、における眼球変位データを処理するものである。なお、眼球変位計測処理部2205の処理には、平均化処理といった一般的な処理を行わせることが有用である。
【0039】
本実施形態において、身体部位変位計測処理部2206は、身体部位変位計測装置からの出力を処理するものであり、具体的には、上記開眼起立静止位S21、閉眼起立静止位S22、固視点注視起立静止位S23、運動視標眼球追視起立位S24、運動視標頭部追視起立位S25、膝部屈曲位静止位S26、における身体部位変位データを処理するものである。なお、身体部位変位計測処理部2206の処理には、平均化処理といった一般的な処理を行わせることが有用である。
【0040】
また比較処理部2208は、上記三次元処理部2204、眼球変位処理部2205及び身体部位変位計測処理部2206の処理結果と基準値記録部2207に記録された各基準値との比較処理を行うものである。例えば、処理の結果、基準値よりも大幅にずれが生じている場合に、姿勢制御機能において問題が生じているとする結果を出力することが可能である。比較処理としては様々な指標を用いることができ限定されるものではないが、時系列データの相関関係を求め、そのズレが一定以上(相関関数が一定以下)であれば問題を有しており、一定以下(相関関数が一定以上)であれば問題が無いと評価させることも有用である。
【0041】
なお、診断の基準となる基準値としては、基準値記録部2207に予め記録してある基準値を使用する。基準値としては、上記の記載から明らかなように、姿勢制御機能に問題が無いと思われる者の上記開眼起立静止位S21、閉眼起立静止位S22、固視点注視起立静止位S23、運動視標眼球追視起立位S24、運動視標頭部追視起立位S25、膝部屈曲位静止位S26、における身体部位変位計測処理部データ、身体部位変位計測処理部データ、身体部位変位計測処理部データ、における各足底圧中心データ、各眼球変位データ、各身体部位変位データを記録しておくことが好ましく、更にこれらを年代、性別といったカテゴリー毎に記録しておくことが好ましい。
【0042】
そして、上記処理が終了した場合、結果表示制御部2209は情報処理装置用表示装置に診断処理の結果を表示させる。これにより、診断対象者は、自身の姿勢制御機能について確認することが可能となる。なお、表示制御部2209はまた情報処理装置に接続されてなる印字装置に対し、この診断結果を印字させることができ、以後の治療診断に役立てることができる。
【0043】
ここで、図8、9を用いて本処理の結果の一例について説明する。
【0044】
図7は、頭部運動と眼球運動の結果について示す。本図の一番上の段は足底圧中心の左右方向及び前後方向に対するゆれを示しており、上から二番の段は眼球変位を示し、上から3番目の段は頭部の回転性変位を、最下段は足底圧中心の左右方向及び前後方向におけるパワーを示す。また本図において縦の列最も左列は、運動指標頭部追視起立位で左方にマークが移動したときの結果を、運動指標眼球追視起立位で左方にマークが移動したときの結果を、左から3列目は固視点注視起立静止位の結果を、左から4列目は運動指標眼球追視起立位で右方にマークが移動したときの結果を、運動指標頭部追視起立位で右方にマークが移動したときの結果をそれぞれ示す。なお全て1秒間のデータを示している。
【0045】
図8は鉛直方向を加えた三次元立体空間における解析結果について説明する図である。左一番上は足底圧中心計測装置における3つのロードセルからの信号を、左列2段目は左右方向と前後方向のゆれを、左列3段目は鉛直方向のゆれをそれぞれ示す。なおこれらの縦軸は体重を、横軸は経過時間を示す。なお各図中、横軸の目盛りにおいて0から400までの20秒間は開眼静止起立位を、横軸401から800までは閉眼静止起立位を、801から1200は膝関節屈曲静止位をそれぞれ示す。
【0046】
また本図中、中列最上段は水平面における移動距離を、2段目は水平面における移動面積を、三段目は三次元立体空間における移動体積をそれぞれ示す。
【0047】
なお本図中、右列のグラフは水平面における左右方向と前後方向からなるリサージュをあわらし、水平面における足底圧の移動を表す。
【0048】
以上、本装置は、このように構成することにより、負荷なし足底圧中心変動、負荷あり足底圧中心変動、眼球運動変位、身体部位変位といった多数項目に及ぶ姿勢制御機能診断を静的、動的に総合的にまとめて行うことができるようになり、様々な姿勢制御に重要な機能診断をまとめて一度に行える姿勢制御機能総合診断装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施形態に係る姿勢制御機能診断装置の概略図である。
【図2】実施形態に係る姿勢制御診断装置のハードウェア構成図である。
【図3】実施形態に係る姿勢制御機能診断装置の機能ブロック図である。
【図4】実施形態に係る姿勢制御機能診断装置における処理のフローを示す図である。
【図5】情報処理装置用表示装置に表示される画面の一例を示す図である。
【図6】実施形態におけるにおける診断フローを示す図である。
【図7】診断対象者用表示装置に表示される画面の一例を示す図である。
【図8】診断処理結果の一例を示す図である。
【図9】診断処理結果の他の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1…姿勢制御機能診断装置
2…情報処理装置
3…足底圧中心計測装置
4…眼球変位計測装置
5…身体部位変位計測装置
6…診断対象者用表示装置
7…印字装置
8…A/D変換装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置と、
前記情報処理装置に接続された足底圧中心計測装置及び診断対象者用表示装置と、を有し、
前記情報処理装置は、前記足底圧中心計測装置からの出力を三次元的に処理する三次元処理部を有する姿勢制御機能診断装置。
【請求項2】
前記情報処理装置に接続された眼球変位計測装置、身体部位変位計測装置、及び、指標表示装置の少なくともいずれかを有する請求項1記載の姿勢制御機能診断装置。
【請求項3】
前記情報処理装置に接続された眼球変位計測装置、身体部位変位計測装置、及び、指標表示装置を有する請求項1記載の姿勢制御機能診断装置。
【請求項4】
前記情報処理装置は、更に、
予め求めてある基準値を記録する基準値記録部と、
前記三次元処理部の処理結果と前記基準値記憶部に記録された基準値と比較処理する比較処理部と、を有する請求項1記載の姿勢制御機能診断装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−115378(P2010−115378A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291582(P2008−291582)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 「臨床神経生理学」第36巻 第5号の第587ページに発表
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、文部科学省、地域科学技術振興事業委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(304021831)国立大学法人 千葉大学 (601)
【出願人】(000101558)アニマ株式会社 (13)
【Fターム(参考)】