説明

媒染剤及び媒染剤を含む染毛製品

本発明は、染毛用媒染剤及びその媒染剤を含んだ染毛製品に関する。本発明の媒染剤は、有効量の第一鉄塩、酸化防止剤、及び、水を含む。本発明の染毛製品は、柔軟剤、染色剤、及び、媒染剤の3つの部分を含む。本発明の媒染剤およびその媒染剤を含む染毛製品は、チオグリコール酸、芳香族化合物(例えば、p−フェニレンジアミン)、および、過酸化水素を含んでいないため、安全で、刺激性もなく、発がんの恐れもない。本発明の染毛製品は、色度、及び、堅牢度に優れ、かつ、安定性及び使用に際の利便性を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧分野、詳しくは、染毛製品に有用な媒染剤(mordant)に関する。また、本発明は、媒染剤を含む染毛製品、特に、媒染剤を含む非酸化的、永久的な天然染毛製品に関する。
【背景技術】
【0002】
現に、市販されている大部分の染毛製品(hair dyeing product)は、浸透増強剤(penetration enhancing agent)としてチオグリコール酸(thioglycolic acid)、染料(dye)としてp−フェニレンジアミン(p-phenylenediamine)のような芳香族アミン、および、酸化剤として過酸化水素を含む酸化性染毛製品である。数多くの研究によれば、チオグリコール酸、p−フェニレンジアミン、過酸化水素等は、特定の毒性およびアレルギーを有している。したがって、安全性の高い染毛製品の開発に注目が集められている。近年、多くの天然染毛製品が利用できるようになったが、こうした製品は、次の2つの欠点を有している。先ず、一つ目、いわゆる「純粋な天然の」又は「有機」染毛製品は、単に一部の植物由来の成分を含んだだけで、依然としてp−フェニレンジアミンのような有害な化学成分を含むので、長期使用によって比較的深刻な副作用をもたらし得る。また、二つ目、天然染色成分は、概してより大きい分子であるため、永久的に染めて、その色を維持するのが難しく、よって、その染毛効果、製品の安定性、および、利便性が満足できる水準に至らなかった。また、中国公開公報第1401310A号(中国特許出願番号第01127328.3号)及び中国公開公報第1593375A(中国特許出願番号第200410009258.4号、公開日:2005年3月16日)に記載されたような天然の染毛製品では、その染毛効果(特に、白毛を黒く染める効果)が比較的弱く、その媒染剤成分の安定性もよくなかったので、最終製品は比較的より低濃度の遊離鉄イオンを含有していた。それが、製品(特に、保存期間中の製品)の染毛効果に影響を及ぼす。また、これらの製品を使う場合には、染毛過程において、又は、染毛の前に数回に亘って毛を洗い、途布する必要があったが、それが不便をもたらす。したがって、安全性(safety)、染色効果(coloring effect)、安定性(stability)、及び、利便性(convenience)に優れた純粋な天然染毛製品に対するニーズは依然として存在していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、非酸化的(non-oxidative)、永久的な(permanent)、天然の染毛製品、特に、毛を暗くする製品(hair darkening product)を提供することである。本発明者は、満足できる染毛効果をもたらす特定の成分を含んだ組成物を見出し、それに基づいて本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明では、前記課題を解決するために次の手段が提供される。
【0005】
(1)有効量の第一鉄塩及び酸化防止剤を含む、染毛製品用の媒染剤。
【0006】
(2)前記第一鉄塩が、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、硝酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、乳酸第一鉄、及び、フマル酸第一鉄からなる群から選択される、(1)に記載の媒染剤。
【0007】
(3)前記第一鉄塩が、前記媒染剤の総重量の0.5〜10重量%を構成している、(2)に記載の媒染剤。
【0008】
(4)前記酸化防止剤が、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、システイン、塩化システイン、N-アセチルシステイン、還元グルタチオン、D-システイン、L-システイン、DL-システイン、および、それらの塩のような、アスコルビン酸又はその塩、システイン又はその誘導体、及びその塩からなる群から選択される、(1)に記載の媒染剤。
【0009】
(5)前記酸化防止剤が、前記媒染剤の総重量の0.1〜2重量%を構成している、(4)に記載の媒染剤。
【0010】
(6)前記媒染剤が、水、浸透増強剤、増粘剤、及び、防腐剤からなる群から選択される1以上の成分をさらに含む、(1)〜(5)のいずれか一項に記載の媒染剤。
【0011】
(7)柔軟剤と、染色剤と、(1)〜(6)のいずれか一項に記載の媒染剤と、を含む、染毛製品。
【0012】
(8)前記染色剤が、有効量の有効染毛成分、及び、必要に応じて、水を含む、(7)に記載の染毛製品。
【0013】
(9)前記染色剤における前記有効染毛製品が、没食子酸、没食子酸のメチルエステル、エチルエステル、又は、プロピルエステルのような、没食子酸、及び、その塩又はエステル、並びに、これらの組み合わせから選択される、(8)に記載の染毛製品。
【0014】
(10)前記染色剤における前記有効染毛成分が、前記染色剤の総重量の0.5〜15重量%を構成している、(9)に記載の染毛製品。
【0015】
(11)前記染色剤が、安定化剤、浸透増強剤、及び、増粘剤からなる群から選択される1以上の成分をさらに含む、(8)に記載の染毛製品。
【0016】
(12)前記柔軟剤が、有効量のジスルフィド結合還元剤、及び、アルカリ化剤を含む、(7)〜(11)のいずれか一項に記載の染毛製品。
【0017】
(13)(i)前記柔軟剤における前記ジスルフィド結合還元剤が、システイン又はその誘導体及びその塩、アセチルシステイン又はその誘導体、及び、その塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、及び、それらに任意の組み合わせから選択され、
(ii)前記柔軟剤における前記アルカリ化剤が、オルニチン、アルギニン、リジン、アンモニア、エタノールアミン(例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、又は、トリエタノールアミン)、アルカノールアミド、または、炭酸塩を含む組成物、および、それらの任意の組み合わせからなる群から選択され、かつ、
(iii)前記柔軟剤が、水、浸透増強剤、及び、増粘剤からなる群から選択される1以上の成分をさらに含む、(12)に記載の染毛製品。
【0018】
(14)前記染毛製品が、前記染毛製品の使用方法に関する情報資料をさらに含む、(7)〜(13)のいずれか一項に記載の染毛製品。
【0019】
(15)前記情報資料が、少なくとも次の情報(a)及び(b)を含む、(14)に記載の染毛製品。
【0020】
(a)毛に柔軟剤を適用することで毛を処理するステップ
(b)毛に媒染剤及び染色剤を任意の順序で適用することで毛を処理するステップ。
【0021】
(16)前記情報材料が、次の(i)〜(iii)のうち1以上を含む、(14)に記載の染毛製品:
(i)(1)柔軟剤を毛に適用することで毛を処理するステップ、及び(2)使用前に媒染剤及び染色剤を混合して、その混合物を毛に適用することで毛を処理するステップ;又は、
(ii)(1)使用前に柔軟剤及び媒染剤を混合して、その混合物を毛に適用することで毛を処理するステップ、及び、(2)染色剤を毛に適用することで毛を処理するステップ;又は、
(iii)(1)使用前に柔軟剤及び染色剤を混合して、その混合物を毛に適用することで毛を処理するステップ、及び、(2)媒染剤を毛に適用することで毛を処理するステップ。
【0022】
(17)有効量の有効染色成分と、必要に応じて、水、安定化剤、浸透増強剤、及び、増粘剤からなる群から選択される1以上の成分と、を含む、染色剤。
【0023】
(18)前記有効染毛製品が、没食子酸、没食子酸のメチルエステル、エチルエステル、又は、プロピルエステルのような、没食子酸、及び、その塩又はエステル、並びに、これらの組み合わせから選択される、(17)に記載の染色剤。
【0024】
(19)次のステップ(a)及び(b)を含む、(7)〜(16)のいずれか一項に記載の染毛製品を用いる染毛方法。
(a)毛に柔軟剤を適用することで毛を処理するステップ、及び、
(b)毛に媒染剤及び染色剤を任意の順序で適用することで毛を処理するステップ。
【0025】
(20)次のステップ(i)〜(iii)のうち1以上をさらに含む、(7)〜(16)のいずれか一項に記載の染毛製品を用いる染毛方法:
(i)(1)柔軟剤を毛に適用することで毛を処理するステップ、及び(2)使用前に媒染剤及び染色剤を混合して、その混合物を毛に適用することで毛を処理するステップ;又は、
(ii)(1)使用前に柔軟剤及び媒染剤を混合して、その混合物を毛に適用することで毛を処理するステップ、及び、(2)染色剤を毛に適用することで毛を処理するステップ;又は、
(iii)(1)使用前に柔軟剤及び染色剤を混合して、その混合物を毛に適用することで毛を処理するステップ、及び、(2)媒染剤を毛に適用することで毛を処理するステップ。
【発明の効果】
【0026】
本発明の媒染剤およびその媒染剤を含む染毛製品は、チオグリコール酸、芳香族化合物(例えば、p−フェニレンジアミン)、および、過酸化水素を含んでいないため、安全で、刺激性もなく、発がんの恐れもない。本発明の染毛製品は、色度、及び、堅牢度に優れ、かつ、安定性及び使用に際の利便性を備えている。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の目的は、非酸化性(non-oxidative)、永久的な(permanent)、天然の染毛製品、特に、毛を暗くする製品を提供することである。こうした天然の染毛製品は、安全で、刺激性がなく、色度(chromaticity)及び堅牢度(fastness)に優れただけでなく、安定性及び使い勝手が良い。本発明者は、媒染剤の有効成分として第一鉄塩(ferrous salt)を用いたときに安定した媒染剤が得られること、タンニン中に自然に存在する没食子酸が染料(dye)として非常に安全であり、かつ、毛で鉄イオンと錯体を形成することで染められた毛において優れた色度及び堅牢度をもたらすことを見出した。したがって、本発明は、安定性に優れた染毛製品用の媒染剤を提供するとともに、その媒染剤を含む染毛製品を提供する。
【0028】
没食子酸(gallic acid)は、タンニンに含まれた加水分解性タンニンのモノマーであり、タンニンにもともと存在し、次の構造を有するものである。
【0029】
【化1】

【0030】
没食子酸は、170.12の分子量を有し、止血剤(医薬品)及び、収斂剤として用いられる。没食子酸は、白色又は琥珀色の針状の結晶粉末の形態である。分子構造内に複数のオルトフェノール性ヒドロキシル基が存在するため、没食子酸は、鉄イオンとの錯体形成反応において多ヒドロキシリガンド(multiple-hydroxy ligand)として用いられて、安定したコンパクトな黒いキレート−鉄ガラート(chelate-iron gallate)を形成する。本発明によれば、没食子酸のエステルをも用いられ、そして、その没食子酸のエステルは、没食子酸のカルボキシル基に由来するエステル構造を有する化合物である。
【0031】
一般的に、毛の外層(outer layer)は、多重層のケラチンからなる毛のスケール(scale)によって覆われているため、没食子酸及び金属イオンの浸透は良くない。本発明の一つの実施形態において、アセチルシステイン(acetylcysteine)は、ジスルフィド結合還元剤(「浸透促進剤(浸透増強剤)」とも呼ばれる。)として用いられて、クチクラケラチンの−S−S−を―SHとして還元して、毛を柔らかくし、緊張(tension)を解き、毛のスケールをある程度開放して、第一鉄イオンの毛の皮質層及び髄質層へ浸透を可能にする。そうすると、第一鉄イオンは、空気によって酸化されて、第二鉄イオンを形成するが、その第二鉄イオンは、毛の内部に浸透された没食子酸との錯体形成反応を経て、以下の黒色の染料(dye)巨大分子を形成する。
【0032】
【化2】

【0033】
その結果、黒色(hair black color)を提供し、かつ、毛のスケールがクローズ(close)した後、永久的な染毛製品を形成する。
【0034】
本発明の第1の特徴は、有効量の第一鉄塩及び酸化防止剤を含む、染毛製品用媒染剤(mortdant)を提供することである。
前記本発明の第1の特徴に基づく本発明の媒染剤は、水をさらに含み得る。水の量は、例えば、媒染剤の製造のときに加えられる適量(suitable amount)であり得る。その適量は、媒染剤における主成分の所定の濃度が得られるような量である。また、本発明の媒染剤に水が含まれていなくても、本発明の好ましい実施形態は、実施の利便性の観点からすでに水の中で調剤された媒染剤(例えば、いかなる後処理なしで直接に使用される、すぐに使えるタイプの(ready-to-use)媒染剤)、又は、使用前に希釈する必要がある濃縮媒染剤のいずれかを提供する。
【0035】
本発明の前記第1の実施形態に属する一つの媒染剤によれば、その第一鉄塩は、硫酸第一鉄(ferrous sulfate)、塩化第一鉄(ferrous chloride)、硝酸第一鉄(ferrous nitrate)、グルコン酸第一鉄(ferrous gluconate)、乳酸第一鉄(ferrous lactate)、及び、フマル酸第一鉄(ferrous fumarate)を含むが、それらに制限されない。本発明の媒染剤に係る一つの実施例において、第一鉄塩は、硫酸第一鉄又は塩化第一鉄からなる群から選択される。本発明の媒染剤に係る別の実施形態において、第一鉄塩は硫酸第一鉄である。本発明の媒染剤によれば、第一鉄塩は、単一の第一鉄塩であっても良く、複数の第一鉄塩の組み合わせであっても良い。本発明の前記第1の実施形態に属する任意の媒染剤によれば、第一鉄塩は、媒染剤の総重量の0.5〜10%(重量)を構成する。本発明の媒染剤に係る一つの実施形態において、第一鉄塩は、媒染剤の総重量の2〜8%(重量)を構成する。
【0036】
本発明の前記第1の実施形態のいずれかの媒染剤によれば、酸化防止剤(抗酸化剤)は、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、システイン、塩化システイン、N-アセチルシステイン、還元グルタチオンなどのような、アスコルビン酸又はその塩、ならびに、システイン又はその誘導体、及び塩を含むが、それらに制限されない。本発明の媒染剤に係る一つの実施形態によれば、酸化防止剤は、システインまたはその誘導体およびそれらの塩から選択される。本発明の媒染剤に係る実施形態において、酸化防止剤は、D-システイン、L-システイン、DL-システイン、N-アセチルシステイン、およびそれらの塩から選択される。本発明の媒染剤に係る一つの実施形態において、酸化防止剤は、塩酸システイン(cysteine hydrochloride)から選択される。本発明の媒染剤に係る実施形態において、酸化防止剤は、単一の酸化防止剤、または、複数の酸化防止剤の任意の組み合わせである。本発明の第1の特徴のいずれかの項目の媒染剤によれば、酸化防止剤は、媒染剤の総重量の0.1〜2%(重量)を構成している。本発明の媒染剤に係る一つの実施形態において、酸化防止剤は、媒染剤の総重量の0.2〜1%(重量)を構成している。
【0037】
本発明の第1の態様のいずれかの項目に係る媒染剤は、浸透増強剤(すなわち、浸透促進剤)をさらに含む。本発明の媒染の実施形態において、浸透増強剤は、アニオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び、両性界面活性剤のような界面活性剤、有機溶媒、有機酸及びそのエステル、アゾン(azone)及びその類似物(homologue)等の化学的浸透増強剤、漢方浸透増強剤(例えば、テルペン、エッセンシャルオイル、及び、ラクトンを含む)、ならびに、それらの組み合わせを含むが、それらに制限されない。本発明の媒染剤に係る一つの実施形態において、浸透増強剤は、オレイルアルコール、硫酸ドデシル、スルホン酸ドデシル、又は、その他のアニオン性界面活性剤、脂肪アルコールエーテルのような非イオン性界面活性剤、コカミドプロピルベタイン(cocamidopropyl betaine)、または、他の両性界面活性剤、ならびに、それらの組み合わせからなる群から選択され得る。本発明の媒染に係る一つの実施形態において、浸透増強剤は、単一であるか、または、オレイルアルコール、硫酸ドデシルまたは他のアニオン性界面活性剤、脂肪アルコールエーテルなどの非イオン性界面活性剤、コカミドプロピルベタイン、または、他の両性界面活性剤の組み合わせであり得る。本発明の媒染剤によれば、浸透増強剤は、単一の浸透増強剤であっても良く、また、複数の浸透増強剤の任意の組み合わせであっても良い。本発明の媒染剤に係る一つの実施形態において、浸透増強剤は、媒染剤の総重量の1〜10%(重量)を構成している。本発明の媒染剤に係る一つの実施形態において、浸透増強剤は、媒染剤の総重量の2〜8%(重量)を構成している。
【0038】
本発明の第1の特徴のいずれかの項目に係る媒染剤は、増粘剤(すなわち、液体、半固体等のように流体の状態を調節する粘度調整剤)をさらに含む。本発明の媒染の実施形態において、増粘剤は、カルボマー、ヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロースのような、1以上の脂肪アルコールまたはポリマーを含むが、それらに制限されない。本発明の媒染の実施形態では、媒染中増粘剤の重量割合(weight percentage)は、先行技術との組み合わせで本出願の教示にしたがって当業者が適宜決めることができる。好ましくは、本発明の媒染の実施例において、増粘剤は、媒染の総重量の1〜10%(重量)を構成している。本発明の媒染に係る一つの実施形態において、増粘剤は、媒染の総重量2〜8%を(重量)を構成している。
【0039】
本発明の第1の特徴のいずれかの項目に係る媒染は、防腐剤(preservative)をさらに含む。本発明の媒染に係る実施形態において、防腐剤は、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン及びブチルパラベンなどのパラベン類を含むが、それらに制限されない。防腐剤は、単一の防腐剤であってもよく、任意の比率でメチルパラベンとエチルパラベンを組み合わせたものなどの複数の防腐剤の任意の組み合わせであっても良い。本発明の媒染の実施形態において、媒染中防腐剤の重量割合(weight percentage)は、先行技術との組み合わせで本出願の教示に従い当業者が適宜決めることができる。好ましくは、本発明の媒染の実施例において、防腐剤は、媒染の総重量の0.1〜0.8%(重量)を構成している。本発明の媒染の実施形態において、防腐剤は媒染の総重量の0.2〜0.6%(重量)を構成している。
【0040】
本発明の前記第1の特徴のいずれかの項目に係る媒染剤は、エマルジョン、ペースト、又は、ゲルの形態で存在し得る。
【0041】
本発明の第2の特徴は、軟化剤(本明細書においては、「第1の成分」ともいう。)、染色剤(本明細書において「第3の成分」ともいう。)、および、本発明の前記第1の特徴のいずれかの項目に係る媒染剤(本明細書において「第2の成分」ともいう。)、という三つの部分を含む、染毛製品を提供する。本発明によれば、上記三つの部分は、好ましくは、物理的に独立しており、かつ、それらは毛毛の染色に使用されているときは、特定の順序で使用される。したがって、ある意味で、本発明の染毛製品はまた、多成分染毛製品であり得る。
【0042】
前記本発明の第2の特徴に基づく本発明の染毛製品によれば、染毛製品は、有効量の有効染毛成分を含む。本発明の前記第2の特徴に基づく本発明の染毛製品によれば、染毛剤がさらに水を含んでも良い。水の量は、例えば、染毛剤の製造のときに加えられる適量(suitable amount)であり得る。その適量は、染毛剤における主成分の所定の濃度が得られるような量である。また、本発明の染毛剤に水が含まれていない場合もあり得るが、本発明の好ましい実施形態は、実施の利便性の観点からすでに水中で調剤された染毛剤(例えば、いかなる後処理なしで直接に使用される、すぐに使えるタイプの(ready-to-use)染毛剤)、又は、使用前に希釈する必要がある濃縮染毛剤のいずれかを提供する。
【0043】
本発明の第2の特徴に基づく染毛製品に係る一つの実施形態において、染毛剤中の有効染毛成分は、没食子酸、及びその塩若しくはエステル、又は、それらの任意の組み合わせを含むが、それらに制限されない。没食子酸のエステルは、例えば、没食子酸メチル、没食子酸エチル、又は、没食子酸プロピルであっても良い。本発明の第2の特徴に基づく染毛製品に係る一つの実施形態によれば、染毛剤中の有効染毛物質は没食子酸である。本発明の染毛製品に係る一つの実施形態によれば、染毛剤中の有効染毛物質は、染毛剤の総重量の0.5〜15%(重量)を構成する。本発明の染毛製品に係る一つの実施形態によれば、染毛剤中の有効染毛物質は、染毛剤の総重量の1〜10%(重量)を構成する。
【0044】
本発明の第2の態様のいずれかの項目に係る染毛製品によれば、染色剤は、有効色素物質の安定を保つための安定化剤をさらに含有する。その安定化剤は、EDTA- Na、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、アスコルビン酸塩、システイン、及び、それらの塩または誘導体を含むが、それらに限定されない。本発明の染毛製品に係る一つの実施形態において、染色剤中安定化剤の重量割合(weight percentage)は、先行技術を考慮した上で本出願の教示に従い当業者が適宜決めることができる。好ましくは、本発明の染毛製品に係る一つの実施例において、安定化剤は、染色剤の総重量の0.1〜1.5%(重量)を構成する。本発明の染毛製品に係る一つの実施形態において、安定化剤は、染色剤の総重量の0.2〜1%(重量)を構成する。
【0045】
本発明の第1の態様のいずれかの項目に係る染色剤は、浸透増強剤(すなわち、浸透促進剤)をさらに含む。本発明の染毛製品に係る一つの実施形態において、染色剤中の浸透増強剤は、アニオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び、両性界面活性剤のような界面活性剤、有機溶媒、有機酸及びそのエステル、アゾン(azone)及びその類似物(homologue)等の化学的浸透増強剤、漢方浸透増強剤(例えば、テルペン、エッセンシャルオイル、及び、ラクトンを含む)、ならびに、それらの組み合わせを含むが、それらに制限されない。本発明の染毛製品に係る一つの実施形態において、染色剤中の浸透増強剤は、オレイルアルコール、硫酸ドデシル、スルホン酸ドデシル、又は、その他のアニオン性界面活性剤、脂肪アルコールエーテルのような非イオン性界面活性剤、コカミドプロピルベタイン(cocamidopropyl betaine)、または、他の両性界面活性剤、ならびに、それらの組み合わせからなる群から選択され得る。本発明の染毛製品に係る一つの実施形態において、染色剤中の浸透増強剤は、単一であるか、または、オレイルアルコール、硫酸ドデシルまたは他のアニオン性界面活性剤、脂肪アルコールエーテルなどの非イオン性界面活性剤、コカミドプロピルベタイン、または、他の両性界面活性剤の組み合わせであり得る。本発明の染毛製品によれば、染色剤中の浸透増強剤は、単一の浸透増強剤であっても良く、また、複数の浸透増強剤の任意の組み合わせであっても良い。本発明の染毛製品に係る一つの実施形態において、染色剤中の浸透増強剤は、染色剤の総重量の2〜15%(重量)を構成する。本発明の染毛製品に係る一つの実施形態において、浸透増強剤は、染色剤の総重量の3〜10%(重量)を構成する。
【0046】
本発明の第2の特徴のいずれかの項目の染毛製品によれば、染色剤は、増粘剤(すなわち、液体、半固体等のように流体の状態を調節する粘度調整剤)をさらに含む。本発明の染毛製品に係る一つの実施形態において、増粘剤は、カルボマー、ヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロースのような、1以上の脂肪アルコールまたはポリマーを含むが、それらに制限されない。本発明の染毛製品に係る一つの実施形態において、染色剤中増粘剤の重量割合(weight percentage)は、先行技術を考慮した上で本出願の教示に従い当業者が適宜決めることができる。好ましくは、本発明の染毛製品に係る一つの実施形態において、染色剤中の増粘剤は、染色剤の総重量の1〜10%(重量)を構成している。本発明の染毛製品に係る一つの実施形態において、染色剤中の増粘剤は、染色剤の総重量の2〜8%を(重量)を構成している。
【0047】
本発明の前記第2の実施形態のいずれかの項目に係る染毛製品によれば、染色剤は、エマルジョン、ペースト、又は、ゲルの形態で存在し得る。
【0048】
本発明の第2の特徴のいずれかの項目に基づく染毛製品によれば、柔軟剤は、有効量のジスルフィド結合還元剤及びアルカリ化剤を含む。本発明の前記第2の特徴に基づく染毛製品によれば、染毛剤はさらに水を含んでも良い。水の量は、例えば、製造の際に加えられる適量(suitable amount)であり得る。その適量は、柔軟剤における主成分の所定の濃度が得られるような量である。また、本発明における柔軟剤に水が含まれていない場合もあり得るが、本発明の好ましい実施形態は、使用の利便性の観点からすでに水中で調剤された柔軟剤(例えば、いかなる後処理なしで直接に使用される、すぐに使えるタイプの(ready-to-use)柔軟剤)、又は、使用前に希釈する必要がある濃縮柔軟剤のいずれかを提供する。
【0049】
本発明の第2の特徴に基づく染毛製品に係る一つの実施形態において、軟化剤中のジスルフィド結合還元剤(disulfide bond reducing agent)は、システインまたはその誘導体およびその塩、尿素、チオ硫酸塩、亜硫酸塩、および、重硫酸塩、又は、それらの任意の組み合わせを含むが、それに限定されない。本発明の第2の特徴に基づく染毛製品に係る一つの実施形態において、軟化剤中のジスルフィド結合還元剤は、アセチルシステイン又はその塩、システイン又はその塩酸塩、還元グルタチオン、亜硫酸塩、及び、亜硫酸水素塩から選択される。本発明の染毛製品に係る一つの実施形態において、軟化剤中のジスルフィド結合還元剤は、軟化剤の総重量の2〜25%(重量)を構成している。本発明の染毛製品に係る一つの実施形態において、軟化剤中のジスルフィド結合還元剤は、軟化剤の総重量の4〜15%(重量)を構成している。
【0050】
本発明の第2の特徴に基づく染毛製品に係る一つの実施形態において、柔軟剤中のアルカリ化剤は、オルニチン、アルギニン、リジン、アンモニア、エタノールアミン(例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、又は、トリエタノールアミン)、アルカノールアミド、水酸化物、または、炭酸塩を含む組成物、および、それらの任意の組み合わせからなる群から選択される。本発明の染毛製品に係る実施形態において、軟化剤中のアルカリ化剤は、軟化剤の総重量の0.5〜20%(重量)を構成している。本発明の染毛製品に係る実施形態において、軟化剤中のアルカリ化剤は、軟化剤の総重量の2〜18%(重量)を構成している。
【0051】
本発明の第2の態様のいずれかの項目に係る染毛製品によれば、柔軟剤は浸透増強剤(すなわち、浸透促進剤)をさらに含む。本発明の染毛製品に係る一つの実施形態において、柔軟剤中の浸透増強剤は、アニオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び、両性界面活性剤のような界面活性剤、有機溶媒、有機酸及びそのエステル、アゾン(azone)及びその類似物(homologue)等の化学的浸透増強剤、漢方浸透増強剤(例えば、テルペン、エッセンシャルオイル、及び、ラクトンを含む)、ならびに、それらの組み合わせを含むが、それらに制限されない。本発明の染毛製品に係る一つの実施形態において、柔軟剤中の浸透増強剤は、オレイルアルコール、硫酸ドデシル、スルホン酸ドデシル、又は、その他のアニオン性界面活性剤、脂肪アルコールエーテルのような非イオン性界面活性剤、コカミドプロピルベタイン、または、他の両性界面活性剤、ならびに、それらの組み合わせからなる群から選択され得る。本発明の染毛製品に係る一つの実施形態において、柔軟剤中の浸透増強剤は、単一であるか、または、複数の浸透増強剤の任意の組み合わせであり得る。本発明の染毛製品によれば、柔軟剤中の浸透増強剤は、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、コカミドプロピルベタインからなる群から選択される1つの成分、又は、複数の成分の組み合わせであり得る。本発明の染毛製品に係る一つの実施形態において、柔軟剤中の浸透増強剤は、柔軟剤の総重量の1〜10%(重量)を構成する。本発明の染毛製品に係る一つの実施形態において、浸透増強剤は、柔軟剤の総重量の2〜8%(重量)を構成する。
【0052】
本発明の第2の特徴のいずれかの項目の染毛製品によれば、柔軟剤は、増粘剤(すなわち、液体、半固体等のように流体の状態を調節する粘度調整剤)をさらに含む。本発明の染毛製品に係る一つの実施形態において、増粘剤は、カルボマー、ヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロースのような、1以上の脂肪アルコールまたはポリマーを含むが、それらに制限されない。本発明の染毛製品に係る一つの実施形態において、柔軟剤中増粘剤の重量割合(weight percentage)は、先行技術を考慮した上で本出願の教示に従い当業者が適宜決めることができる。好ましくは、本発明の染毛製品に係る一つの実施形態において、柔軟剤中の増粘剤は、柔軟剤の総重量の0.1〜2%(重量)を構成している。本発明の染毛製品に係る一つの実施形態において、柔軟剤中の増粘剤は、柔軟剤の総重量の0.2〜1%を(重量)を構成している。
【0053】
本発明の前記第2の特徴に基づくいずれかの項目に係る染毛製品によれば、柔軟剤は、エマルジョン、ペースト、又は、ゲルの形態で存在し得る。
【0054】
本発明の第2の特徴のいずれかの項目に基づく染毛製品は、該染毛製品の使用方法に関する情報資料(information material)をさらに含む。一つの実施形態において、前記情報資料は、製品指示書、使用ガイドライン、技術的説明、及び、小冊子(leaflet)から選択される。
【0055】
本発明の第2の特徴の任意の項目に基づく染毛製品によれば、情報資料(information material)は少なくとも次の情報を含む:
(a)毛に柔軟剤を適用することで毛を処理するステップ、及び、
(b)毛に媒染剤及び染色剤を任意の順序で適用することで毛を処理するステップ。
【0056】
本発明の第2の特徴のいずれかの項目に基づく染毛商品によれば、情報資料中前記(a)は、毛に柔軟剤を適用した後、所定の温度で所定の時間前記柔軟剤を維持するステップをさらに含む。実施形態において、前記情報物質の(a)は、柔軟剤を毛に適用してから、15〜60℃(好ましくは、20〜40℃)で5〜60分間(好ましくは、20〜40分間、より好ましくは、20〜30分間)維持することをさらに含む。
【0057】
本発明の第2の特徴のいずれかの項目に基づく染毛商品によれば、情報資料中前記(b)は、毛に媒染剤を適用した後、所定の温度で所定の時間前記媒染剤を維持することをさらに含む。一つの実施形態において、前記情報物質の(b)は、媒染剤を毛に適用してから、15〜60℃(好ましくは20〜40℃)で5〜60分間(好ましくは、20〜40分間、より好ましくは、20〜30分間)維持することをさらに含む。
【0058】
本発明の第2の特徴のいずれかの項目に基づく染毛商品によれば、情報資料中前記(b)は、毛に染色剤を適用した後、所定の温度で所定の時間前記媒染剤を維持するステップをさらに含む。一つの実施形態において、前記情報物質の(b)は、染色剤を毛に適用した後、15〜60℃(好ましくは20〜40℃)で5〜60分間(好ましくは、5〜35分間、より好ましくは、8〜20分間)維持することをさらに含む。
【0059】
本発明の第2の特徴のいずれかの項目に基づく染毛製品によれば、情報資料は、次の(i)〜(iii)のうち1以上を含む:
(i)(1)柔軟剤を毛に適用することで毛を処理するステップ、及び(2)使用前に媒染剤及び染色剤を混合して、その混合物を毛に適用することで毛を処理するステップ;又は、
(ii)(1)使用前に柔軟剤及び媒染剤を混合して、その混合物を毛に適用することで毛を処理するステップ、及び、(2)染色剤を毛に適用することで毛を処理するステップ;又は、
(iii)(1)使用前に柔軟剤及び染色剤を混合して、その混合物を毛に適用することで毛を処理するステップ、及び、(2)媒染剤を毛に適用することで毛を処理するステップ。
【0060】
上記情報の(i)〜(iii)のぞれぞれにおいて、ステップ(1)は、柔軟剤、柔軟剤及び媒染剤の混合物、又は、柔軟剤及び染色剤の混合物を、毛に適用した後15〜60℃(好ましくは、20〜40℃)で10〜40分間(好ましくは、15〜35分間、より好ましくは20〜30分間)維持することを含む。
【0061】
上記情報の(i)〜(iii)のぞれぞれにおいて、ステップ(2)は、媒染剤及び染色剤の混合物、染色剤、又は、媒染剤を、毛に適用した後15〜60℃(好ましくは、20〜40℃)で2〜30分間(好ましくは、5〜25分間、より好ましくは10〜20分間)維持すること含む。
【0062】
本発明の第2の特徴のいずれかの項目に基づく染毛製品によれば、情報資料は、次の情報のうち1以上をさらに含み得る。
‐毛に均一に柔軟剤を繰り返し適用することで毛を処理するステップ、および、前記処理後、必要に応じて水で毛を洗浄するステップ、
‐毛に均一に媒染剤を繰り返し適用することで毛を処理するステップ、および、前記処理後、必要に応じて水で毛を洗浄するステップ、
‐毛に均一に染色剤を繰り返し適用することで毛を処理するステップ、および、前記処理後、必要に応じて水で毛を洗浄するステップ、
‐毛に均一に柔軟剤および染色剤の混合物を繰り返し適用することで毛を処理するステップ、および、前記処理後、必要に応じて水で毛を洗浄するステップ、
‐毛に均一に柔軟剤および媒染剤の混合物を繰り返し適用することで毛を処理するステップ、および、前記処理後、必要に応じて水で毛を洗浄するステップ、
‐毛に均一に媒染剤および染色剤の混合物を繰り返し適用することで毛を処理するステップ、および、前記処理後、必要に応じて水で毛を洗浄するステップ。
【0063】
前記本発明の第2の特徴に基づく本発明の染毛製品によれば、染毛製品の染色剤に基づく染色剤が提供される。したがって、本発明の第3の特徴は、有効量の有効染毛成分(active dye substance)を含む染毛製品に有用な染色剤を提供する。本発明の前記第3の特徴のいずれかの項目に基づく本発明の染毛製品によれば、染毛剤はさらに水を含んでも良い。水の量は、例えば、染毛剤の製造のときに加えられる適量(suitable amount)であり得る。その適量は、染毛剤における主成分の所定の濃度が得られるような量である。また、本発明の染毛剤に水が含まれていない場合もあり得るが、本発明の好ましい実施形態は、実施の利便性の観点からすでに水中で調剤された染毛剤(例えば、いかなる後処理なしで直接に使用される、すぐに使えるタイプの(ready-to-use)染毛剤)、又は、使用前に希釈する必要がある濃縮染毛剤のいずれかを提供する。
【0064】
本発明の第3の特徴に基づく染色剤に係る一つの実施形態において、有効染毛成分は、没食子酸、及びその塩若しくはエステル、又は、それらの任意の組み合わせを含むが、それらに制限されない。没食子酸のエステルは、例えば、没食子酸メチル、没食子酸エチル、又は、没食子酸プロピルであっても良い。本発明の第3の特徴に染色剤に係る一つの実施形態によれば、有効染毛物質は没食子酸である。本発明の染色剤に係る一つの実施形態によれば、有効染毛物質は、染毛剤の総重量の0.5〜15%(重量)を構成する。本発明の染色剤に係る一つの実施形態によれば、有効染毛物質は、染毛剤の総重量の1〜10%(重量)を構成する。
【0065】
本発明の第3の態様のいずれかの項目に係る染色剤は有効色素物質を安定化させるための安定化剤をさらに含有する。その安定化剤は、EDTA- Na、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、アスコルビン酸塩、システイン、及び、それらの塩または誘導体を含むが、それらに限定されない。本発明の染色剤に係る一つの実施形態において、安定化剤の重量割合(weight percentage)は、先行技術を考慮した上で本出願の教示に従い当業者が適宜決めることができる。好ましくは、本発明の染色剤に係る一つの実施例において、安定化剤は、染色剤の総重量の0.1〜1.5%(重量)を構成する。本発明の染色剤に係る一つの実施形態において、安定化剤は、染色剤の総重量の0.2〜1%(重量)を構成する。
【0066】
本発明の第3の態様のいずれかの項目に係る染色剤は、浸透増強剤(すなわち、浸透促進剤)をさらに含む。本発明の染色剤に係る一つの実施形態において、浸透増強剤は、アニオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び、両性界面活性剤のような界面活性剤、有機溶媒、有機酸及びそのエステル、アゾン(azone)及びその類似物(homologue)等の化学的浸透増強剤、漢方浸透増強剤(例えば、テルペン、エッセンシャルオイル、及び、ラクトンを含む)、ならびに、それらの組み合わせを含むが、それらに制限されない。本発明の染色剤に係る一つの実施形態において、浸透増強剤は、オレイルアルコール、硫酸ドデシル、スルホン酸ドデシル、又は、その他のアニオン性界面活性剤、脂肪アルコールエーテルのような非イオン性界面活性剤、コカミドプロピルベタイン(cocamidopropyl betaine)、または、他の両性界面活性剤、ならびに、それらの組み合わせからなる群から選択され得る。本発明の染色剤に係る一つの実施形態において、浸透増強剤は、単一であるか、または、オレイルアルコール、硫酸ドデシルまたは他のアニオン性界面活性剤、脂肪アルコールエーテルなどの非イオン性界面活性剤、コカミドプロピルベタイン、または、他の両性界面活性剤の組み合わせであり得る。本発明の染色剤によれば、染色剤中の浸透増強剤は、単一の浸透増強剤であっても良く、また、複数の浸透増強剤の任意の組み合わせであっても良い。本発明の染色剤に係る一つの実施形態において、浸透増強剤は、染色剤の総重量の2〜15%(重量)を構成する。本発明の染色剤に係る一つの実施形態において、浸透増強剤は染色剤の総重量の3〜10%(重量)を構成する。
【0067】
本発明の第3の特徴のいずれかの項目の染色剤によれば、染色剤(dyeing agent)は、増粘剤(すなわち、液体、半固体等のように流体の状態を調節する粘度調整剤)をさらに含む。本発明の洗足剤に係る一つの実施形態において、増粘剤は、カルボマー、ヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロースのような、1以上の脂肪アルコールまたはポリマーを含むが、それらに制限されない。本発明の染色剤に係る一つの実施形態において、染色剤中増粘剤の重量割合(weight percentage)は、先行技術を考慮した上で本出願の教示に従い当業者が適宜決めることができる。好ましくは、本発明の染色剤に係る一つの実施形態において、増粘剤は染色剤の総重量の1〜10%(重量)を構成している。本発明の染色剤に係る一つの実施形態において、増粘剤は染色剤の総重量の2〜8%を(重量)を構成している。
【0068】
発明の前記第3の実施形態のいずれかの項目に係る染色剤は、エマルジョン、ペースト、又は、ゲルの形態で存在し得る。
【0069】
本発明の第4の特徴は、本発明の第2の特徴の任意の項目に基づく染毛製品を使用することで毛を染色する方法を提供する。その方法は、次のステップを含む:
(a)毛に柔軟剤を適用することで毛を処理するステップ、及び、
(b)毛に媒染剤及び染色剤を任意の順序で適用することで毛を処理するステップ。
【0070】
本発明の第4の特徴のいずれかの項目に基づく方法によれば、前記(a)は、毛に柔軟剤を適用した後、所定の温度で所定の時間前記柔軟剤を維持することをさらに含む。一つの実施形態において、前記(a)は、柔軟剤を毛に適用した後、15〜60℃(好ましくは、20〜40℃)で5〜60分間(好ましくは、20〜40分間、より好ましくは、20〜30分間)維持することをさらに含む。
【0071】
本発明の第4の特徴のいずれかの項目に基づく方法によれば、前記(b)は、毛に媒染剤を適用した後、所定の温度で所定の時間前記媒染剤を維持することをさらに含む。一つの実施形態において、前記(b)は、媒染剤を毛に適用した後、15〜60℃(好ましくは20〜40℃)で5〜30分間(好ましくは、5〜25分間、より好ましくは、10〜20分間)維持することをさらに含む。
【0072】
本発明の第4の特徴のいずれかの項目に基づく方法によれば、前記(b)は、毛に媒染剤を適用した後、所定の温度で所定の時間前記媒染剤を維持することをさらに含む。一つの実施形態において、前記(b)は、媒染剤を毛に適用した後、15〜60℃(好ましくは20〜40℃)で2〜20分間(好ましくは、5〜15分間、より好ましくは、8〜12分間)維持することをさらに含む。
【0073】
本発明の第4の特徴のいずれかの項目に基づく方法は、次のステップのうち1以上をさらに含み得る:
‐毛に均一に柔軟剤を繰り返し適用することで毛を処理するステップ、および、前記処理後、必要に応じて水で毛を洗浄するステップ、
‐毛に均一に媒染剤を繰り返し適用することで毛を処理するステップ、および、前記処理後、必要に応じて水で毛を洗浄するステップ、
‐毛に均一に染色剤を繰り返し適用することで毛を処理するステップ、および、前記処理後、必要に応じて水で毛を洗浄するステップ、
本発明の第5の特徴は、本発明の第2の特徴のいずれかの項目に基づく染毛製品を用いて毛を染色する方法を提供する。その方法は、次の処理(i)〜(iii)のいずれか1以上を含む:
(i)(1)柔軟剤を毛に適用することで毛を処理するステップ、及び(2)使用前に媒染剤及び染色剤を混合して、その混合物を毛に適用することで毛を処理するステップ;又は、
(ii)(1)使用前に柔軟剤及び媒染剤を混合して、その混合物を毛に適用することで毛を処理するステップ、及び、(2)染色剤を毛に適用することで毛を処理するステップ;又は、
(iii)(1)使用前に柔軟剤及び染色剤を混合して、その混合物を毛に適用することで毛を処理するステップ、及び、(2)媒染剤を毛に適用することで毛を処理するステップ。
【0074】
本発明の第5の特徴のいずれかの項目の方法によれば、上記(i)〜(iii)のいずれか一つ以上において、ステップ(1)は、柔軟剤、柔軟剤及び媒染剤の混合物、又は、柔軟剤及び染色剤の混合物を、毛に適用した後15〜60℃(好ましくは、20〜40℃)で10〜40分間(好ましくは、15〜35分間、より好ましくは20〜30分間)維持することを含む。
【0075】
本発明の第5の特徴のいずれかの項目の方法によれば、上記(i)〜(iii)のいずれか一つ以上において、ステップ(2)は、媒染剤及び染色剤の混合物、染色剤、又は、媒染剤を、毛に適用した後15〜60℃(好ましくは、20〜40℃)で2〜30分間(好ましくは、5〜25分間、より好ましくは10〜20分間)維持すること含む。
【0076】
本発明の第5の特徴のいずれかの項目に基づく方法は、次のステップのうち1以上をさらに含み得る:
‐毛に均一に柔軟剤を繰り返し適用することで毛を処理するステップ、および、前記処理後、必要に応じて水で毛を洗浄するステップ、
‐毛に均一に媒染剤を繰り返し適用することで毛を処理するステップ、および、前記処理後、必要に応じて水で毛を洗浄するステップ、
‐毛に均一に染色剤を繰り返し適用することで毛を処理するステップ、および、前記処理後、必要に応じて水で毛を洗浄するステップ、
‐毛に均一に柔軟剤および染色剤の混合物を繰り返し適用することで毛を処理するステップ、および、前記処理後、必要に応じて水で毛を洗浄するステップ、
‐毛に均一に柔軟剤および媒染剤の混合物を繰り返し適用することで毛を処理するステップ、および、前記処理後、必要に応じて水で毛を洗浄するステップ、
‐毛に均一に媒染剤および染色剤の混合物を繰り返し適用することで毛を処理するステップ、および、前記処理後、必要に応じて水で毛を洗浄するステップ。
【0077】
本明細書に使用された用語は、特に規定しない限り、当該技術分野において通常の意味を持つ。次の用語は、本明細書において後述する意味を持つ。
【0078】
本明細書に使用する「毛(hair)」は、一般的に動物(例えば、ペット、ヒト、特に、ヒトのような哺乳類)の毛をいう。特に、動物の毛毛(特に、ヒトの毛毛)をいう。
本明細書に使用する「染毛製品(hair dyeing product)」は、動物(例えば、ペット、ヒト、特にヒトのような哺乳類)の毛を染めるための製品をいう。本発明において、色素(鉄ガラート)が黒色であるため、本発明の「染毛製品」は「暗色化製品(darkening product)」とも呼ばれる。
【0079】
本明細書において使用する用語「毛に媒染剤及び染色剤を任意の順序で適用することで毛を処理するステップ」は、毛を処理するために媒染剤及び染色剤が用いられるとき、媒染剤及び染色剤の使用順序は任意であることを意味する。
【0080】
本明細書において使用する用語「媒染剤(mordant)」は、染色剤が、媒体(medium)を通じて染めるべき物品(例えば、織物又は毛)を染めることを可能にする組成物をいう。本発明において、錯体形成反応によって染料分子(dye molecule)である没食子酸とともに色素(pigment)を形成できる第二鉄イオンは、第一鉄イオンから空気酸化によって生じるので、第一鉄イオンを含む組成物を、本明細書では、「媒染剤」ともいう。単に言えば、媒染剤は、本明細書において、柔軟剤である第1の成分と染色剤である第3の成分とは区別して、第2の成分として挙げられる。また、前述した「第1の成分」、「第2の成分」、および、「第3の成分」は、もっぱらそれらを区別するために用いられ、順序、サイズ、量、重要性等に関係するものではない。しかし、「第1の成分」、「第2の成分」、および、「第3の成分」と呼ばれる3つの部分は、染毛過程において柔軟効果、媒染効果、および、染色効果をそれぞれ引き起こし得る。また、本発明の第2の特徴に基づく染毛製品によれば、それが生産され、保管され、輸送され、かつ、最終ユーザーに売られるまで、前述した3つの部分、「第1の成分」、「第2の成分」、および、「第3の成分」は物理的に分離されていて、上記3つの成分が最終的に使われる前に、本発明の第4および第5の特徴に基づく方法に従って混合され得る。
【0081】
一般的に、本発明の概念によれば、本発明の第2の特徴に基づく染毛製品は、次の2つの方法にて使用され得る。その一つは、前述した3つの部分(「第1の成分」、「第2の成分」、および、「第3の成分」)を一定の順序で使用して、毛をそれぞれ処理することであり、もう一つは、3つの部分(「第1の成分」、「第2の成分」、および、「第3の成分」)のうち任意の2つの部分を使用する直前に混合して、それによって得た混合物を用いて毛を処理し、その後、残りの1つの部分を用いて毛を処理することである。本発明の染毛製品を使用する染毛過程において、本発明の染毛製品における柔軟剤、媒染剤、および、染色剤は、少なくとも次の組み合わせのうちいずれかで使用され得る:
1.ステップ(1):毛に柔軟剤を適用し、20〜30分間放置し、その毛を洗浄するか洗浄しないステップ;ステップ(2):その毛に媒染剤を適用し、10〜20分間放置し、その毛を洗浄するステップ;及び、ステップ(3):その毛に染色剤を適用し、10分間放置し、その毛を洗浄するステップ
2.ステップ(1):毛に柔軟剤を適用し、20〜30分間放置し、その毛を洗浄するか洗浄しないステップ;ステップ(2):その毛に染色剤を適用し、10〜20分間放置し、その毛を洗浄するステップ;及び、ステップ(3):その毛に媒染剤を適用し、10分間放置し、その毛を洗浄するステップ
3.ステップ(1):毛に柔軟剤を適用し、20〜30分間放置し、その毛を洗浄するか洗浄しないステップ;ステップ(2):予め媒染剤と染色剤を一定の割合で混合しておき、(その混合物を)を毛に適用し、10〜20分間放置し、毛を洗浄するステップ
4.ステップ(1):予め柔軟剤と媒染剤を一定の割合で混合しておき、(その混合物を)を毛に適用し、20〜30分間放置し、毛を洗浄するステップ;及び、ステップ(2):毛に染色剤を適用し、10〜20分間放置し、毛を洗浄するステップ
5.ステップ(1):予め柔軟剤と染色剤を一定の割合で混合しておき、(その混合物を)を毛に適用し、20〜30分間放置し、毛を洗浄するステップ;及び、ステップ(2):毛に媒染剤を適用し、10〜20分間放置し、毛を洗浄するステップ。
【0082】
また、前述の3つの部分(「第1の成分」、「第2の成分」、および、「第3の成分」)のうちいずれか2つの部分が使用前の段階で混合されるとき、混合された2つの成分の割合(重量)は、(0.1〜10):1、好ましくは、(0.2〜8):1、好ましくは、(0.5〜5):1、好ましくは、(0.8〜2):1(例えば、約0.5:1、約0.8:1、約1:1、約1.2:1、約1.5:1、約1.8:1、又は、約2:1)であり得る。
【0083】
本明細書に使用する用語「第一鉄塩」は、一般的に第一鉄イオン(即ち、二価鉄イオン)によって形成された塩をいう。本発明の第一鉄塩には、例えば、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、硝酸第一鉄(ferrous nitrate)等が含まれる。当業者は、第一鉄塩に第一鉄化合物から化学的転換によってその場で(in situ)形成された第一鉄塩が含まれること(即ちすなわち、第一鉄塩が第一鉄化合物までカバーできるものであること)を理解できるだろう。例えば、酸化第一鉄(ferrous oxide)は、塩酸によってその場で転換されて第一鉄塩として塩化第一鉄を形成するので、酸化第一鉄も本発明の第一鉄塩に含まれるとされる。
【0084】
本明細書において使用する用語「有効量(effective amount)」は、言及された成分の量(例えば、媒染剤中第一鉄塩の量)についていい、一般的な適用(途布)条件の下で所定の染毛効果を得るために十分な量をいう。
【0085】
本明細書において使用する用語「酸化防止剤」は、酸化しやすい成分(物質)の酸化を防げる成分(物質)をいう。例えば、本発明の媒染剤に使用された酸化防止剤は、そこに含まれた第一鉄塩の酸化を防止することができる。
【0086】
本明細書において使用する用語「浸透増強剤」は、他の成分(物質)の浸透を促す(向上させる)ために用いられる成分(物質)をいう。例えば、本発明の媒染剤中に使用された浸透増強剤は、第一鉄塩が毛の内部へ浸透する速度(rate)を加速する。
【0087】
本明細書において使用する用語「増粘剤」は、一般的に流体の粘度を調節するために用いられる成分(物質)をいい、流体の粘度を増加させることが多い。
【0088】
3つの部分:本発明の媒染剤、柔軟剤、及び、染色剤はエマルジョン、ペースト、又は、ゲルの形態で存在し得る。本発明によれば、3つの部分は、それ以外の別の形態(例えば、溶液の形態)で存在し得る。
【0089】
本明細書において使用する用語「柔軟剤」は、一般的に毛のクチクラのケラチンを柔らかくする組成物をいう。本発明において、ジスルフィド結合還元剤およびアルカリ化剤を含んで毛を柔らかくするとともに膨潤しうる組成物を「柔軟剤」と称する。
【0090】
本明細書において使用する用語「染色剤」は、一般的に繊維および他の物質を染めることができる組成物をいう。本発明において、有効染色成分、および、染色効果を向上させる副成分を含んで、毛を染めることができる組成物を「染色剤」と称する。
【0091】
本明細書において使用する用語「有効染色成分(active dye substance)」は、一般的に繊維、毛、および、その他の物質を染めることができる有効成分のことをいう。この有効染色成分は、本発明のより優れた効果を得るために使用される副成分とは異なる。本発明において、有効染色成分は、色止めのための金属イオンを含むものではないが、染色剤を処理する前後に媒染剤で毛を処理することによって得られた金属イオンと錯体を形成できる物質をいう。また、「有効染色成分」は、特に没食子酸、および、そのエステルのような物質をいう。
【0092】
本明細書において使用する用語「安定化剤」は、一般的に他の成分(物質)を安定化させることができる成分(物質)をいう。例えば、染色剤に使用された「安定化剤」によって、そこに含まれた没食子酸等の有効染色成分が物理的に又は化学的により安定なものとなり得る。
本明細書において使用する用語「ジスルフィド結合還元剤」は、一般的に毛のジスルフィド結合(−S−S−)を−SHに還元することができる還元剤をいう。こうした還元によって、テンション(tension)が解き、毛への有効成分の浸透が促進される。例を挙げると、本発明におけるアセチルシステイン又はその誘導体がある。ジスルフィド結合還元剤の例については、この明細書に詳細に記載されている。
本明細書において使用する(特に本発明の柔軟剤において使用する)用語「アルカリ化剤」は、一般的に得られたものを特定のpH値にする成分(物質)をいう。例えば、本発明の染毛製品において、柔軟剤におけるアルカリ化剤は、柔軟剤のpH値を7未満にするか、又は、8未満にするか、又は、9未満にするか、又は、10未満にするか、又は、11未満にする。このpH値は、pHペーパー、又は、周知の方法(pHメーター分析)を用いて直接測定することができる。その測定は、適切な処理を施してから(例えば、水で適切に希釈した後)行うことができる。
【0093】
本明細書において使用する用語「主成分」は、一般的に組成物における有効成分のことを意味する。例えば、本発明の第1の特徴に係る染毛製品に有用な媒染剤においては、有効成分としての第一鉄塩が「主成分」といえる。「主成分」の観点からすれば、組成物をなすそれ以外の成分は、「副成分」ともいえる。例えば、本発明の媒染剤に含まれた酸化防止剤は、「副成分」といえる。
【0094】
本発明に係る染毛製品における媒染剤、柔軟剤、および、染色剤に関して、それらの製造方法は関連テキストに基づいて当業者に容易に実施され得る。例えば、その製造方法は、混合、加熱、撹拌、milling, emulsifying, metered volume, subpackaging等のステップによって行うことができる。例えば、製剤化は、文献[Pharmacy, Edited by Xi Nianzhu, People's Health Publishing House, Beijing, 1994]における溶液、エマルジョン、および、ペーストに関する記載に基づいて実施することができる。このテキストの記載内容は、参考までに本明細書に組み込まれる。
【0095】
本発明の媒染剤およびその媒染剤を含む染毛製品は、チオグリコール酸、芳香族化合物(例えば、p−フェニレンジアミン)、および、過酸化水素を含んでいないため、安全で、刺激性もなく、発がんの恐れもない。
白髪(white hair)を持った被験者に適用したところ、アレルギー率は0%であった。天然ブラック色には染まった毛が存在し、約45日間維持された(優れた堅牢度)。また、第一鉄イオンは本発明の媒染剤中の有効成分として用いられる。それによって、市販期間中の製品の安定性および染色効果が保証される。また、本発明の染毛製品は、柔軟剤および染色剤に毛洗浄および毛のケアー成分を含んでも良く、染毛過程において数回(many times)も毛を洗う必要がない。したがって、本発明の染毛製品で染めた毛は、色度(chromaticity)及び堅牢度(fastness)に優れ、天然の光沢、安定性、使用の利便性を備えている。
本発明については、以下の実施例、比較実施例、および、テスト実施例に基づいてさらに説明する。これらの実施例、比較実施例、および、テスト実施例は、単に本発明を説明するために採用されたものに過ぎず、決して本発明を限定するものではない。
【0096】
本明細書では、実施例に使用された材料および方法が記載されている。本発明に用いられる多くの材料および方法は当業者によく知られているが、これらについて可能な限り詳細に記載した。当業者は、仮にそれらについて具体的に記載されていない場合であっても、本発明に用いられる材料および方法を理解できるだろう。
【実施例1】
【0097】
(1)柔軟剤(この明細書における「第1の成分」、総量100g):N-アセチルシステイン6g、亜硫酸ナトリウム1g、ドデシル硫酸ナトリウム4g、カルボマー0.5g、ヒダントイン0.2gを均一に混合し、その後、アルギニンおよびモノエタノールアミン(アルギニン:モノエタノールアミン= 1:1(重量比))の混合物を加えて最終pH9.5となるように調整した(試験紙)。その後、脱イオン水を加えて100 gにし、撹拌して均一に混合することでゲルを得た。
【0098】
(2)媒染剤(本明細書における第2の成分、総量100g):5gのセテアリルアルコール(cetearyl alcohol)、5gのセチアレス−6(ceteareth-6)、0.25gのメルパラベン、0.15gのエチルパラベン、5gの硫酸第一鉄、0.5gのシステインを均一に混合し、その後、余分の脱イオン水を加え、攪拌によって均一に混合して、ペーストを得た。
【0099】
(3)染色剤(本明細書における第3の成分、総量100g):5gのセテアリルアルコール、5gのセチアレス−6、2gのドデシル硫酸ナトリウム、2gのラノリン、2gのアルボレン(albolene)、6gの没食子酸、0.2gの亜硫酸ナトリウム、0.2gのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(disodium ethylenediamine tetraacetate)、0.25gのメチルパラベン、0.15gのプロピルパラベンを均一に混合し、その後、余分の脱イオン水を加え、攪拌によって均一に混合することでパーストを得た。
【0100】
(4)毛束(hair bundle)の染毛テスト(hair dyeing test):洗浄しない毛に軟化剤を直接繰り返し適用し(このとき櫛を用いる)、20〜30分間放置した。その毛を洗浄せずに、上記柔軟剤の適用方法に基づいて媒染剤を均一に適用し、10〜20分間放置した。その後、その毛を少量の温水で洗浄し、水が落ちない程度に拭いた。その毛に前述の適用方法に基づいて染色剤を均一に適用し、10分間放置し、ドライヤー又は空気で乾かした。その結果によれば、本発明の実施例に係る染毛製品で染めた毛束は色度(chromaticity)及び堅牢度(fastness)に優れ、かつ、その製剤が安定していた。
【0101】
以下の実施例1−1、2、2−1、3−1、4及び5においては、柔軟剤、媒染剤及び染色剤の組成のみが記載されているが、その製造工程などは、実施例1の記載に基づく。
[実施例1−1]
(1)柔軟剤(この明細書における「第1の成分」、総量100g):6gのN-アセチルシステイン、1gの亜硫酸ナトリウム、4gのドデシル硫酸ナトリウム、0.5gのカルボマー、アルギニン:モノエタノールアミン=1:1(重量比)(最終pH=9.5)(試験紙)に余分の脱イオン水を加え、攪拌によって混合し、処理して、ゲルを得た。
【0102】
(2)媒染剤(本明細書における第2の成分、総量100g):5gのセテアリルアルコール、5gのセチアレス−6(ceteareth-6)、0.25gのメチルパラベン、0.15gのエチルパラベン、5gの硫酸第一鉄、0.5gのシステインに余分の脱イオン水を加え、攪拌によって混合し、処理して、ペーストを得た。
【0103】
(3)染色剤(本明細書における第3の成分、総量100g):5gのセテアリルアルコール、5gのセチアレス−6、2gのドデシル硫酸ナトリウム、2gのラノリン、2gのアルボレン、6gの没食子酸、0.2gの亜硫酸ナトリウム、0.2gのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、0.25gのメチルパラベン、0.15gのプロピルパラベンに脱イオン水を加え、処理して、ペーストを得た。
【0104】
(4)毛束(hair bundle)の染毛テスト(hair dyeing test):洗浄しない毛に軟化剤を直接繰り返し適用し(このとき櫛を用いる)、20〜30分間放置した。その毛を洗浄せずに、上記柔軟剤の適用方法に基づいて媒染剤を均一に適用し、10〜20分間放置した。その後、その毛を少量の温水で洗浄し、水が落ちない程度に拭いた。その毛に前述の適用方法に基づいて染色剤を均一に適用し、10分間放置し、ドライヤー又は空気で乾かした。その結果によれば、本発明の実施例に係る染毛製品で染めた毛束は色度(chromaticity)及び堅牢度(fastness)に優れ、かつ、その製剤が安定していた。
【実施例2】
【0105】
(1)柔軟剤(この明細書における「第1の成分」、総量100g):1.5gのシステイン、0.5gの亜硫酸ナトリウム、4gのドデシル硫酸ナトリウム、6gのラウレス硫酸ナトリウム、0.5gのカルボマー、0.2gのヒダントイン、アルギニン:モノエタノールアミン=1:1(重量比)(最終pH=10.5)(試験紙)、及び、余分の脱イオン水。
【0106】
(2)媒染剤(本明細書における第2の成分、総量100g):1gのセテアリルアルコール、10gのセチアレス−6(ceteareth-6)、10gの塩化第一鉄、2gのアセチルシステイン、0.25gのメチルパラベン、0.15gのプロピルパラベン、及び、余分の脱イオン水。
【0107】
(3)染色剤(本明細書における第3の成分、総量100g):5gのセテアリルアルコール、5gのセチアレス−6、2gのドデシル硫酸ナトリウム、2gのラノリン、2gのアルボレン、15gの没食子酸、1gの亜硫酸ナトリウム、0.5gのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、0.25gのメチルパラベン、0.15gのプロピルパラベン、及び、余分の脱イオン水。
【0108】
(4)毛束(hair bundle)の染毛テスト(hair dyeing test):洗浄しない毛に軟化剤を直接繰り返し適用し(このとき櫛を用いる)、20〜30分間放置した。その毛を洗浄せずに、上記柔軟剤の適用方法に基づいて染色剤を均一に適用し、10〜20分間放置した。その後、その毛を少量の温水で洗浄し、水が落ちない程度に拭いた。その毛に前述の適用方法に基づいて媒染剤を均一に適用し、10分間放置し、ドライヤー又は空気で乾かした。その結果によれば、本発明の実施例に係る染毛製品で染めた毛束は色度(chromaticity)及び堅牢度(fastness)に優れ、かつ、その製剤が安定していた。
[実施例2−1]
(1)柔軟剤(この明細書における「第1の成分」、総量100g):1.5gのシステイン、0.5gの亜硫酸ナトリウム、4gのドデシル硫酸ナトリウム、6gのラウレス硫酸ナトリウム、0.5gのカルボマー、アルギニン:モノエタノールアミン=1:1(重量比)(最終pH=10.5)(試験紙)、及び、余分の脱イオン水。
【0109】
(2)媒染剤(本明細書における第2の成分、総量100g):1gのセテアリルアルコール、10gのセチアレス−6(ceteareth-6)、10gの塩化第一鉄、2gのアセチルシステイン、0.25gのメチルパラベン、0.15gのプロピルパラベン、及び、余分の脱イオン水。
【0110】
(3)染色剤(本明細書における第3の成分、総量100g):5gのセテアリルアルコール、5gのセチアレス−6、2gのドデシル硫酸ナトリウム、2gのラノリン、2gのアルボレン、15gの没食子酸、1gの亜硫酸ナトリウム、0.5gのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、0.25gのメチルパラベン、0.15gのプロピルパラベン、及び、余分の脱イオン水。
【0111】
(4)毛束(hair bundle)の染毛テスト(hair dyeing test):洗浄しない毛に軟化剤を直接繰り返し適用し(このとき櫛を用いる)、20〜30分間放置した。その毛を洗浄せずに、上記柔軟剤の適用方法に基づいて染色剤を均一に適用し、10〜20分間放置した。その後、その毛を少量の温水で洗浄し、水が落ちない程度に拭いた。その毛に前述の適用方法に基づいて媒染剤を均一に適用し、10分間放置し、ドライヤー又は空気で乾かした。その結果によれば、本発明の実施例に係る染毛製品で染めた毛束は色度(chromaticity)及び堅牢度(fastness)に優れ、かつ、その製剤が安定していた。
【実施例3】
【0112】
(1)柔軟剤(この明細書における「第1の成分」、総量100g):24gのN−アセチルシステイン、1gの亜硫酸ナトリウム、2gのドデシル硫酸ナトリウム、2gのコカミドプロピルベタイン、0.5gのカルボマー、0.2gのヒダントイン、アルギニン:モノエタノールアミン=1:1(重量比)(最終pH=8.5)(試験紙)、及び、余分の脱イオン水。
(2)媒染剤(本明細書における第2の成分、総量100g):10gのセテアリルアルコール、1gのセチアレス−6、0.5gの硝酸第一鉄(ferrous nitrate)、0.1gの塩酸システイン、0.25gのメチルパラベン、0.15gのプロピルパラベン、及び、余分の脱イオン水。
【0113】
(3)染色剤(本明細書における第3の成分、総量100g):5gのセテアリルアルコール、5gのセチアレス−6、2gのドデシル硫酸ナトリウム、2gのラノリン、2gのアルボレン、0.25gのメチルパラベン、0.15gのプロピルパラベン、0.5gの没食子酸、0.05gの亜硫酸ナトリウム、0.05gのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、及び、余分の脱イオン水。
【0114】
(4)毛束(hair bundle)の染毛テスト(hair dyeing test):洗浄しない毛に軟化剤を直接繰り返し適用し(このとき櫛を用いる)、20〜30分間放置した。その毛を洗浄し、媒染剤と染色剤を1:1の割合で混合し、その混合物を上記柔軟剤の適用方法に基づいて均一に適用し、10〜20分間放置した。その後、その毛を温水で洗浄し、ドライヤー又は空気で乾かした。
【0115】
その結果によれば、本発明の実施例に係る染毛製品で染めた毛束は色度及び堅牢度に優れ、かつ、その製剤が安定していた。
[実施例3−1]
(1)柔軟剤(この明細書における「第1の成分」、総量100g):24gのN-アセチルシステイン、1gの亜硫酸ナトリウム、2gのドデシル硫酸ナトリウム、2gのコカミドプロピルベタイン、0.5gのヒドロキシエチルセルロース、アルギニン:モノエタノールアミン=1:1(重量比)(最終pH=8.5)(試験紙)、及び、余分の脱イオン水。
【0116】
(2)媒染剤(本明細書における第2の成分、総量100g):10gのセテアリルアルコール、1gのセチアレス−6、0.5gの 硝酸第一鉄、0.1gの塩酸システイン、0.25gのメチルパラベン、0.15gのプロピルパラベン、及び、余分の脱イオン水。
【0117】
(3)染色剤(本明細書における第3の成分、総量100g):5gのセテアリルアルコール、5gのセチアレス−6、2gのドデシル硫酸ナトリウム、2gのラノリン、2gのアルボレン、0.5gの没食子酸、0.05gの亜硫酸ナトリウム、0.05gのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、0.25gのメチルパラベン、0.15gのプロピルパラベン、及び、余分の脱イオン水。
【0118】
(4)毛束(hair bundle)の染毛テスト(hair dyeing test):洗浄しない毛に軟化剤を直接繰り返し適用し(このとき櫛を用いる)、20〜30分間放置した。その毛を洗浄し、媒染剤と染色剤を1:1の割合で混合し、その混合物を上記柔軟剤の適用方法に基づいて均一に適用し、10〜20分間放置した。その後、その毛を温水で洗浄し、ドライヤー又は空気で乾かした。
【0119】
その結果によれば、本発明の実施例に係る染毛製品で染めた毛束は色度及び堅牢度に優れ、かつ、その製剤が安定していた。
【実施例4】
【0120】
(1)柔軟剤(この明細書における「第1の成分」、総量100g):24gのN-アセチルシステイン、1gの亜硫酸ナトリウム、1gのドデシル硫酸ナトリウム、1gのキサンタンゴム、アルギニン:モノエタノールアミン=1:1(重量比)(最終pH=9.5)(試験紙)、及び、余分の脱イオン水。
【0121】
(2)媒染剤(本明細書における第2の成分、総量100g):10gのセテアリルアルコール、5gのセチアレス−6、5gのグルコン酸第一鉄、0.8gの塩酸システイン、0.25gのメチルパラベン、0.15gのプロピルパラベン、及び、余分の脱イオン水。
【0122】
(3)染色剤(本明細書における第3の成分、総量100g):5gのセテアリルアルコール、1gのセチアレス−6、2gのドデシル硫酸ナトリウム、2gのラノリン、2gのアルボレン、0.5gの没食子酸、0.05gの亜硫酸ナトリウム、0.05gのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、0.25gのメチルパラベン、0.15gのプロピルパラベン、及び、余分の脱イオン水。
【0123】
(4)毛束(hair bundle)の染毛テスト(hair dyeing test):洗浄していない毛を用い、軟化剤及び媒染剤を1:1の割合で予め混合しておき、毛にその混合物を均一に直接繰り返し適用して(このとき櫛を用いる)、20〜30分間放置した。その毛を洗浄し、櫛を利用して染色剤をその毛に均一に適用して、10〜20分間放置した。その後、その毛を温水で洗浄し、ドライヤー又は空気で乾かした。
【0124】
その結果によれば、本発明の実施例に係る染毛製品で染めた毛束は色度及び堅牢度に優れ、かつ、その製剤が安定していた。
【実施例5】
【0125】
(1)柔軟剤(この明細書における「第1の成分」、総量100g):24gのN-アセチルシステイン、1gの亜硫酸ナトリウム、1gのコカミドプロピルベタイン、0.1gのヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギニン:モノエタノールアミン=1:1(重量比)(最終pH=10.5)(試験紙)、及び、余分の脱イオン水。
【0126】
(2)媒染剤(本明細書における第2の成分、総量100g):10gのセテアリルアルコール、3gのセチアレス−6、0.5gの乳酸第一鉄、0.1gの塩酸システイン、0.25gのメチルパラベン、0.15gのプロピルパラベン、及び、余分の脱イオン水。
【0127】
(3)染色剤(本明細書における第3の成分、総量100g):5gのセテアリルアルコール、3gのセチアレス−6、2gのドデシル硫酸ナトリウム、2gのラノリン、2gのアルボレン、0.5gの没食子酸、0.05gの亜硫酸ナトリウム、0.05gのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、0.25gのメチルパラベン、0.15gのプロピルパラベン、及び、余分の脱イオン水。
【0128】
(4)毛束(hair bundle)の染毛テスト(hair dyeing test):洗浄しない毛を用い、染色剤と柔軟剤を予め定められた割合で混合し、その混合物を直接毛に繰り返し適用し(このとき、櫛を用いる)、20〜30分間放置した。その毛を洗浄し、櫛を用いて毛に媒染剤を適用し、10〜20分間放置した。その後、その毛を温水で洗浄し、ドライヤー又は空気で乾かした。
【0129】
その結果によれば、本発明の実施例に係る染毛製品で染めた毛束は色度及び堅牢度に優れ、かつ、その製剤が安定していた。
【0130】
[比較実施例1:CN1593375Aの方法に基づく染毛製品の製造]
(1)柔軟剤(総量100g):2.0gのN-アセチルシステイン、0.5gの亜硫酸ナトリウム、2.0gのナトリウムカルボキシメチルセルロース、0.1gのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、10.0gモノエタノールアミン、85.4gの脱イオン水を溶けるまで混合した。
【0131】
(2)染色剤(総量100g):2.0gのgardenia yellow、5.0gのナトリウムカルボキシメチルセルロース、1.0g of ドデシル硫酸ナトリウム、および、92gの脱イオン水を溶けるまで撹拌した。
【0132】
(3)媒染剤(総量100g):3gの塩化第一鉄、3gのキサンタンゴム、および、94gの脱イオン水を溶けるまで撹拌して、媒染剤を得た。
【0133】
(4)毛束(hair bundle)の染毛テスト(hair dyeing test):毛を洗浄し、毛上の水気を拭き取り、その毛に処理剤(treating agent)を均一に塗布し、35〜45℃に加熱し、15〜25分間放置した。その毛に染色剤を均一に塗布し、35〜45℃に加熱し、5〜10分間放置した。その毛に媒染剤を最終的に塗布し、35〜45℃に加熱し、4〜8分間放置した。その毛を温水で洗浄した。
【0134】
[比較実施例2: CN1401310Aの方法に基づく染毛製品の製造]
(1)柔軟剤(総量100g):10gのDL-塩酸システイン、4gのエタノールアミン、2gの脂肪アルコール、3gのアルボレン、1gの脂肪アルコール−ポリオキシエチレンエーテル、3gのポリオキシエチレンソルビタンモノステアラート(polyoxyethylene sorbitan monostearate)、1gの硫酸アルキル塩、3gのモノステアリン酸グリセリン(glyceryl monostearate)、3gのソルビタンモノステアラート、70gの精製水を撹拌によって混合した。
【0135】
(2)媒染剤(総量100g):5gの硫酸第一鉄、4gのカルボキシメチルセルロース、91gの精製水を、溶けるまで撹拌した。
【0136】
(3)染色剤(総量100g):3gの没食子酸、4gのエタノールアミン、3gのアルボレン、1gの脂肪アルコール‐ポリオキシエチレンエーテル、2gのポリオキシエチレンソルビタンモノステアラート、3gのモノステアリン酸グリセリン、3gのソルビタンモノステアラート、76gの精製水を撹拌によって混合した。
【0137】
(4)毛束の染毛テスト:毛を水で濡らし、毛上の水気を拭き取り、櫛を利用してその毛に柔軟剤を直接繰り返し均一に塗布し、20〜30分間放置した。洗浄せずに、その毛に媒染剤を、柔軟剤と同じ要領で均一に塗布し、15〜30分間放置した。その後、その毛を少量の温水で洗浄し、水が落ちない程度まで水気を拭き取った。その毛に、上記柔軟剤および媒染剤と同じ要領で染色剤を均一に塗布し、10〜20分間放置した。その毛を温水で洗浄し、空気又はドライヤーで乾燥させた。
【0138】
[試験実施例1]製剤の安定性および毛束の色度および堅牢度の試験
(1)試験方法:
毛束の色度:乾燥した毛の色度を色度計で測定し、また肉眼で観察した。
【0139】
毛束の堅牢度:乾燥した毛を太陽光に呈して、その日光堅牢度を観察した。乾燥した毛を市販のシャンプーで洗浄して、その耐洗浄堅牢度(resistance fastness)を観察した。
【0140】
製品の安定性:サンプルを45℃のベーキングオーブンに保管し(2種間)、冷蔵庫(−10℃)に保管した。そのサンプルを状態の観点から観察し、染色試験に使用した。
【0141】
(2)試験結果
実施例1の3つの製剤、比較実施例1、および、比較実施例2をその方法に基づく染毛に使用し、その安定性を観察した。
【0142】
実施例1の染毛製品の染毛結果によれば、色度計によって黒が測定された。また、肉眼観察を行った。また、太陽光に45日間呈し、45回洗浄した後の堅牢度を観察した。3つの部分(柔軟剤、媒染剤、および、染色剤)に対し安定性試験を行ったが、試験前後を通してその外観に明らかな変化はなく、またその染毛結果にも変化はなかった。
【0143】
比較実施例1の染毛製品の毛束の染毛結果によれば、色度計によって淡黄色がかかった非黒色が測定され、肉眼では黄色が観察された。堅牢度試験では、太陽光に10日間呈し、5回洗浄した後、退色(color fading)が観察された。3つの部分(柔軟剤、媒染剤、染色剤)に対し安定性試験を行ったが、試験前後を通して外観に明らかな変化はなかった。媒染剤中の有効成分は三価の鉄であり、部分的に沈殿が起こり、時間の経過とともにその沈殿はさらに進み、その色も段々暗くなってきた。染毛結果は、淡黄色であった。
【0144】
比較実施例2の染毛製品の毛束の染毛結果によれば、色度計によって淡黄色がかかった非黒色が測定され、肉眼ではふじ色(light purple)が観察された。堅牢度試験では、太陽光に10日間呈し、5回洗浄した後、退色(color fading)が観察された。3つの部分(柔軟剤、媒染剤、染色剤)に対し安定性試験を行ったが、試験前後を通して外観に明らかな変化はなかった。媒染剤中の有効成分は三価の鉄であり、部分的に沈殿が起こり、時間の経過とともにその沈殿はさらに進み、その色も段々暗くなってきた。染毛結果は、ふじ色であった。
【0145】
また、本発明の実施例1の染毛製品を、白髪を持った被験者に塗布したら、毛は天然の黒色に染まり、その堅牢度は約45日間保たれ、そして、そのアレルギー率は0%であった。
【0146】
本発明の発明者は、本発明の別の実施例に基づいて製造されたサンプルに対しても上記試験実施例1に記載された方法と同じ要領で試験を行った。その結果は、実施例1のサンプルと同程度で、満足できるものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の第一鉄塩及び酸化防止剤を含む、染毛製品用の媒染剤。
【請求項2】
前記第一鉄塩が、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、硝酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、乳酸第一鉄、及び、フマル酸第一鉄からなる群から選択される、請求項1に記載の媒染剤。
【請求項3】
前記第一鉄塩が、前記媒染剤の総重量の0.5〜10重量%を構成している、請求項2に記載の媒染剤。
【請求項4】
前記酸化防止剤が、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、システイン、塩化システイン、N-アセチルシステイン、還元グルタチオン、D-システイン、L-システイン、DL-システイン、および、それらの塩のような、アスコルビン酸又はその塩、システイン又はその誘導体、及びその塩からなる群から選択される、請求項1に記載の媒染剤。
【請求項5】
前記酸化防止剤が、前記媒染剤の総重量の0.1〜2重量%を構成している、請求項4に記載の媒染剤。
【請求項6】
前記媒染剤が、水、浸透増強剤、増粘剤、及び、防腐剤からなる群から選択される1以上の成分をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の媒染剤。
【請求項7】
柔軟剤と、染色剤と、請求項1〜6のいずれか一項に記載の媒染剤と、を含む、染毛製品。
【請求項8】
前記染色剤が、有効量の有効染毛成分、及び、必要に応じて、水を含む、請求項7に記載の染毛製品。
【請求項9】
前記染色剤における前記有効染毛製品が、没食子酸、没食子酸のメチルエステル、エチルエステル、又は、プロピルエステルのような、没食子酸、及び、その塩又はエステル、並びに、これらの任意の組み合わせから選択される、請求項8に記載の染毛製品。
【請求項10】
前記染色剤における前記有効染毛成分が、前記染色剤の総重量の0.5〜15重量%を構成している、請求項9に記載の染毛製品。
【請求項11】
前記染色剤が、安定化剤、浸透増強剤、及び、増粘剤からなる群から選択される1以上の成分をさらに含む、請求項8に記載の染毛製品。
【請求項12】
前記柔軟剤が、有効量のジスルフィド結合還元剤、及び、アルカリ化剤を含む、請求項7〜11のいずれか一項に記載の染毛製品。
【請求項13】
(i)前記柔軟剤における前記ジスルフィド結合還元剤が、システイン又はその誘導体及びその塩、アセチルシステイン又はその誘導体及びその塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、及び、それらに任意の組み合わせから選択され、
(ii)前記柔軟剤における前記アルカリ化剤が、オルニチン、アルギニン、リジン、アンモニア、エタノールアミン(例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、又は、トリエタノールアミン)、アルカノールアミド、または、炭酸塩を含む組成物、および、それらの任意の組み合わせからなる群から選択され、かつ、
(iii)前記柔軟剤が、水、浸透増強剤、及び、増粘剤からなる群から選択される1以上の成分をさらに含む、請求項12に記載の染毛製品。
【請求項14】
前記染毛製品が、前記染毛製品の使用方法に関する情報資料をさらに含む、請求項7〜13のいずれか一項に記載の染毛製品。
【請求項15】
前記情報資料が、少なくとも次の情報(a)及び(b)を含む、請求項14に記載の染毛製品。
(a)毛に前記柔軟剤を適用することで前記毛を処理するステップ、および、
(b)毛に前記媒染剤及び前記染色剤を任意の順序で適用することで前記毛を処理するステップ。
【請求項16】
前記情報材料が、次の(i)〜(iii)のうち1以上を含む、請求項14に記載の染毛製品。
(i)(1)前記柔軟剤を毛に適用することで前記毛を処理するステップ、及び、(2)使用前に前記媒染剤及び前記染色剤を混合して、その混合物を前記毛に適用することで前記毛を処理するステップ、又は、
(ii)(1)使用前に前記柔軟剤及び前記媒染剤を混合して、その混合物を毛に適用することで前記毛を処理するステップ、及び、(2)前記染色剤を前記毛に適用することで前記毛を処理するステップ、又は、
(iii)(1)使用前に前記柔軟剤及び前記染色剤を混合して、その混合物を毛に適用することで毛を処理するステップ、及び、(2)前記媒染剤を前記毛に適用することで前記毛を処理するステップ。
【請求項17】
有効量の有効染色成分と、必要に応じて、水、安定化剤、浸透増強剤、及び、増粘剤からなる群から選択される1以上の成分と、を含む、染色剤。
【請求項18】
前記有効染毛製品が、没食子酸、没食子酸のメチルエステル、エチルエステル、又は、プロピルエステルのような、没食子酸、及び、その塩又はエステル、並びに、これらの任意の組み合わせから選択される、請求項17に記載の染色剤。
【請求項19】
次のステップ(a)及び(b)を含む、請求項7〜16のいずれか一項に記載の染毛製品を用いる染毛方法。
(a)毛に柔軟剤を適用することで前記毛を処理するステップ、及び、
(b)前記毛に媒染剤及び染色剤を任意の順序で適用することで前記毛を処理するステップ。
【請求項20】
次のステップ(i)〜(iii)のうち1以上をさらに含む、請求項7〜16のいずれか一項に記載の染毛製品を用いる染毛方法。
(i)(1)柔軟剤を毛に適用することで前記毛を処理するステップ、及び(2)使用前に媒染剤及び染色剤を混合して、その混合物を前記毛に適用することで毛を処理するステップ;又は、
(ii)(1)使用前に柔軟剤及び媒染剤を混合して、その混合物を毛に適用することで前記毛を処理するステップ、及び、(2)染色剤を前記毛に適用することで前記毛を処理するステップ;又は、
(iii)(1)使用前に柔軟剤及び染色剤を混合して、その混合物を毛に適用することで前記毛を処理するステップ、及び、(2)媒染剤を前記毛に適用することで前記毛を処理するステップ。

【公表番号】特表2012−518604(P2012−518604A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550403(P2011−550403)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【国際出願番号】PCT/CN2010/000122
【国際公開番号】WO2010/094207
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(511203248)浙江養生堂天然薬物研究所有限公司 (1)
【Fターム(参考)】