説明

孔径が制御された基体を有する空気処理装置

加熱すると同時に空気処理化学物質を分配するのに好適な基体を開示する。顆粒状粒子、好ましくはフェノール系バインダを有する砂が一緒に接着されて、気孔の網状組織を有する基体本体を形成する。揮発性空気処理化学物質は気孔内に配置される。基体の小径粒子が一端、好ましくは突出するノーズに隣接する端部に集合されるように粒径及び気孔が設けられる。この構造は、揮発性空気処理化学物質をノーズに向けて運ぶ傾向があり、その領域を加熱することによって、有効且つ再充填可能な分配をもたらすことを可能にする。かかる基体を使用するための方法、及びかかる基体を形成するための方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
適用なし。
【0002】
連邦政府によって提供された研究又は開発に関する陳述
適用なし。
【0003】
本発明は、化学物質を含浸させた、又は塗布した基体(サブストレート)を加熱することによって揮発性空気処理化学物質を分配する装置に関する。より詳細には、本発明は、孔径分散のアレイを設けるための基体を構成するための方法、その方法によって製造される基体、及び更に再充填可能な起動突起で形成されるかかる基体に関する。
【背景技術】
【0004】
基体(特に多孔性基体)は、昆虫防除剤(殺虫剤、防虫剤、昆虫発育調節剤、誘引物質、相乗剤など)、芳香剤、及び防臭剤などの空気処理化学物質用の担持体(キャリア)として以前から使用されている。例えば米国特許第6,551,560号を参照(特許文献1)。この特許の開示、及び本明細書中に参照される他の全て特許は、その全体が本明細書に示されるものとして参照により組み込まれる。
【0005】
基体を加熱すると同時に、揮発性空気処理化学物質は基体から分配されるようになっている。熱源は一般に電気ヒータであるが、一部の例では火炎を代用してもよい。
【0006】
種々の空気処理機能はこうした装置で達成することができる。たとえば、揮発性殺虫剤が含浸された多孔性基体は、密閉された寝室内で蚊に刺されないようにするために使用できる。あるいはまた、防臭物質又は臭気制御物質は、悪臭に対処し、又は単に所望の芳香をもたらすために分配することができる。
【0007】
こうした装置に関する1つの問題は、基体が通常はヒータにもたれて若しくはヒータの近くに置かれていることである。ヒータが基体を加熱すると、揮発性空気処理化学物質がヒータ表面から離れる方向に(基本的に垂直に)基体から押し出される。このことはある非効率性を生じることがある。たとえば、ヒータに隣接した基体の部分は、活性物質を放出している基体の部分に対する断熱材としての働きをすることがあり、分配の調整をより困難にする。
【0008】
このような装置に関する別の問題は、装置に隣接する限られた環境で空気を適切に処理するために使用を開始した後、時間がかかり得ることである。たとえば、ある人が寝ようとするときに寝室で装置を作動させる可能性がある。その寝室内で防虫に関して安心できるまで長い間待つ必要があることは望ましくない。
【0009】
可燃性蚊取り線香に関して、米国特許第5,948,425号(特許文献2)は、巻き線の拡張された外端において、燃焼速度を安定状態へと低速化する前に殺虫剤の噴出を引き起こすために最初に燃焼することを開示する。不燃性基体に関して、米国特許第6,551,560号(特許文献3を参照)は、活性剤を急速に噴出させる能力を有する中央領域が設けられ、その後、周囲の域がより低速の一定速度で活性剤を放出することを開示している。したがって、これらの特許文献は、作動の初めに室内を急速に処理する必要性に対応しているが、一方で、同一装置に複数の日数でこうした噴出を起こさせる方法には対応していなかった。
【0010】
米国特許第4,286,754号(特許文献4)及び米国特許出願公開番号第2004/0151747号において、種々のウィック(芯)がバインダと混合された砂(及び特定の他の微粒子材料)から形成され得ることが論議されている。ウィックはリザーバからウィックの上部に活性物質を引き上げ、ウィックの上部がヒータ・ユニットに隣接して(通常はそれを介して)位置付けられて活性物質を揮発させることができる。たとえば、米国特許出願公開番号第2004/0151747号には、ノボラック樹脂と結合される珪砂粒子のウィックを形成する論述がある。揮発性材料は、随意的に炭化水素溶媒及び/又は芳香剤に溶解される殺虫剤になるものとして記載されている。
【0011】
しかしながら、こうしたウィックには、クイック起動噴出、ましてやなおさら再充填可能な起動噴出を引き起こす手段が設けられていなかった。さらに、これらウィックは、連続的にウィックに再供給するためにリザーバの使用を必要としていた。
【0012】
関連するものではないが、米国特許出願公開第2004/0140114号では、ハウジング内のテーパ状の多孔がバッテリーから離れて液体を運ぶことができることを開示している。
【特許文献1】米国特許第6,551,560号
【特許文献2】米国特許第5,948,425号
【特許文献3】米国特許第6,551,560号
【特許文献4】米国特許第4,286,754号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
いずれにしても、空気処理化学物質を有効に分配し、さらに再充填可能な起動噴出特性を有する多孔性基体を製造する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一態様において、本発明は、加熱されると同時に揮発性空気処理化学物質を活性的に分配できる基体を提供する。この基体は、多孔の網状組織を有する本体を形成するために共に接着される顆粒状粒子を有する多孔性基体が好ましい。揮発性空気処理化学物質は、(例えば、基体にそのままの空気処理化学物質を添加し、又は基体を活性物質で十分に充填し、該活性物質を基体に浸透させることによって)多孔に配置される。あるいはまた、基体を含浸させるための他の従来の手段を使用することができる。
【0015】
基体は第1の端部と第2の反対側の端部を有し、第1の端部に隣接する顆粒状粒子の平均サイズは第2の端部に隣接する顆粒状粒子の平均サイズよりも小さい。この基体は、空気処理化学物質が第1の端部から分配されるにつれて第1の端部がそれ自体に向けて空気処理化学物質を運ぶ傾向を有するように構成される。一形態において、顆粒状粒子はフェノール樹脂に結合される砂を有する。
【0016】
好ましい形態において、突起(例えば円錐台型ベースから延出する軸方向に突出するノーズ)は、基体が突起と隣接して最初に加熱される場合に揮発性空気処理化学物質の第1の噴出をもたらすように第1の端部に隣接して形成される。最も好ましくは、基体が最初に加熱された後に冷却されて二度目に加熱された場合に揮発性空気処理化学物質の第2の噴出をもたらすことができる。
【0017】
揮発性空気処理化学物質は、昆虫防除剤、芳香剤、及び防臭剤から成る群から選択される。たとえば、揮発性空気処理化学物質は、天然ピレスリン、ピレスラム抽出物、合成ピレスロイド、及びそれらの混合物からなる群から選択される昆虫防除剤であればよい。
【0018】
別の態様において、本発明は、基体から揮発性材料を分配するための方法を提供する。突出ノーズを有する多孔性基体を得て、この基体に揮発性空気処理化学物質を含浸させる。熱が少なくとも端部及び好ましくはノーズの側壁にも加えられて、揮発性空気処理化学物質の第1の噴出が基体から分配されるように基体を加熱する。基体のノーズを冷却させ、更なる揮発性空気処理化学物質を基体からノーズに引き出すことを可能にする。その後、熱が少なくとも端部と、好ましくはノーズの側壁に加えられて、揮発性空気処理化学物質の第2の噴出が基体から分配されるように、基体を再加熱する。
【0019】
さらに別の態様において、本発明は、加熱されると同時に揮発性空気処理化学物質を活性的に分配できる基体を形成するための方法を提供する。砂粒子をモールドに置き、モールドを揺すり、より小さな砂粒子をより大きな砂粒子に対してモールド内の下方に移動させ、その後、モールド内に基体を形成する。その結果、モールド内の基体の底部にある基体の平均粒子サイズは、モールド内の基体の上部にある基体の平均粒子サイズよりも小さくなる。
【0020】
砂は、振り混ぜ(シェーキング)ステップの後で形成ステップの前に含浸され得る。あるいはまた、砂は既に形成された基体を含浸流体に曝されることによって含浸できる。
【0021】
本発明の基体が安価で製造でき、極めて有効に熱を利用し、複数の始動噴出が可能であることを理解されたい。本発明の上記及び他の利点は以下の説明から明らかとなる。以下の記載において、その一部を構成する添付図面が参照され、一例として、かつ限定するものではなく、発明の予想される好ましい実施の形態が示される。このような実施の形態は発明の全範囲を必ずしも表わすとは限らず、従って発明の範囲を理解するために添付の特許請求の範囲を参照すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
まず図1を参照すると、空気処理装置10は、後端16に電気プロング14を備えたハウジング12と、反対側の前端20に取り外し可能カートリッジ・ユニット18とを有する。
【0023】
カートリッジ・ユニット18は好ましくは、その後方端部を通して突出するように取り付けられる基体22と、その前方端部から突出するように取り付けられる個別に設置可能なインジケータ・ユニット26と、を有する。ユニット18の後方中心にほぼ円形のキャビティ38(図3参照)があり、これは基体22を保持するように後方がテーパになっている。
【0024】
インジケータ・ユニット26はカートリッジ・ユニット18から取り外し可能である。インジケータ・ユニット26は好ましくは個別のインジケータ化学物質を収容し、これは、基体22に残留する空気処理化学物質の量をユーザに表示することができる。取り外し可能インジケータ・ユニット26により、インジケータ・ユニット26及び/又は基体22を個別に交換することが可能である。しかしながら、インジケータ化学物質は、カートリッジ・ユニット18のウエル(井戸状の穴)に直接収容されてもよい。
【0025】
装置10は、垂直壁上の電気ソケットにプラグ接続されることが最も好ましい。ゆえに、本発明における方向を表わす用語は、その取り付けのタイプに留意して使用される。しかしながら、水平面若しくは他の表面上の適切な電気ソケットもまた、電力を供給するために使用され得る。このように、「前部」、「後部」、「上部」、「下部」及び「側部」などの用語は、装置がその取り付けのタイプに対して使用される場合に類推的に解釈されるべきである。
【0026】
この図に示されるプロング14は一例にすぎない。この種の円筒型プロングは、一部の国々では電力に連結するために好適である。しかしながら、他の国々では、ブレード・プロング、ブレード、円筒形、他の形状のプロング要素の混合物を用いて利用可能な電力へのリンケージを供給するために使用されることになる(当技術分野にで十分理解されているように)。
【0027】
ハウジング12は、その上下両側に一連の細長い通気孔30を有する。通気孔30は周囲から空気を内部に入れ、基体22から分配された空気処理化学物質とともにハウジング12の上側にある通気孔30に空気を通過させることを可能にする。基体22の突出部(ノーズ)25は好ましくは、加熱要素56と密に隣接して位置付けられ、突出部25の周囲に空気が完全に通過するために、突出部25の周囲に空間が設けられる。
【0028】
図2及び図3から明らかであるように、好ましいカートリッジ・ユニット18は、前方円錐台状部分23及び後方突出ノーズ25を有する基体22を有する。基体22の特定の形状は、本発明の最大範囲の態様が関係し得る範囲においては重要ではない。しかしながら、突出ノーズ25は、一部の好ましい実施の形態においてクイック起動のために特定の利点を有する。
【0029】
基体22は加熱されると、基体から分配され得る揮発性空気処理化学物質で含浸されることが好ましい。しかしながら、空気処理化学物質で完全に含浸される代替例として、基体22を代わりに部分的にのみ含浸してもよい。空気処理化学物質の分配の程度は可視的合図(キュー)によって表示することができ、この外観は、インジケータ・ユニット26に関連付けられるインジケータ化学物質28の分配の結果として生じる。
【0030】
図2を詳細に参照すると、第1の端部60と、第1の端部と反対側にある第2の端部62とを有し、第1の端部60に隣接する顆粒状粒子の平均サイズは、第2の端部62に隣接する顆粒状粒子の平均サイズよりも小さい。基体22はこのように、空気処理化学物質が第2の端部62から分配されるとき第1の端部60がそれ自体に向かって空気処理化学物質を運ぶ傾向を有するように構成されるのが好ましい。
【0031】
全体としての装置10のハウジング12は、加熱要素56がカートリッジ・ユニット18の後端に近接して位置付けられるように加熱要素56を囲むことが好ましい。加熱要素56は好ましくは、電気プロング14をアウトレット(図示せず)に挿入させることによって起動される。
【0032】
加熱要素56からの熱はまた、一連の開口部を通してカートリッジ・ユニット18の他の面に対して通過可能とされることもある。しかしながら、セパレータ・パネル48(図3参照)がインジケータ・ユニット26に対しいくらか離れていることに留意されたい。
【0033】
基体22は、基体22(高濃度且つ最小孔径)の突出部25が加熱要素56に最も近接した状態で、加熱要素56の前方に位置付けられるのが好ましい。
【0034】
使用時に、少なくとも基体の突出部の端部及び側壁に熱が加えられる。これにより、揮発性空気処理化学物質の最初の噴出が基体から分配されることになる。
【0035】
空気処理化学物質の最初の噴出を分配すると同時に、一般には連続的な使用期間の後で、基体の突出部が冷却されることが好ましく、ゆえに更なる揮発性空気処理化学物質を基体から突出部25に対し引き出すことができる。そして、基体は、少なくとも突出部の後端及び側壁に熱が加えられるように再加熱され、揮発性空気処理化学物質の第2の噴出が基体から分配されることになる。
【0036】
次に図4から図9を参照すると、本発明の基体22を形成するための方法が概略図示される。基体22のモールド(型)64は突出ノーズ(鼻状部)70を有し、基体材料、好ましくは砂/樹脂混合物で充填される。モールド64はリッド(蓋)66で被覆され揺すられる。モールド64を揺することによって、小径の砂粒子68は下方、即ち、モールド64の突出部70に向かって移行される。このようにして、基体22は底端部にはより小さい粒径を有し基体上端にはより大きい粒径を有する基体22が形成される。
【0037】
好適な基体22の例は、ノボラック樹脂などのバインダを備えた多孔砂に限定されないが、ウレタン樹脂や、架橋ポリエチレンなどの高架橋熱可塑性物質を含む。特に好ましい砂基体は、米国特許出願公開第2005/0284952号に記載されるサンド・ウィックに類似する方法で形成できる。代替的基体として、金属、セルロース、及びセラミックの微粒子などの他の微粒子が挙げられる。
【0038】
空気処理化学物質は好ましくは、殺虫剤、芳香剤及び/又は殺菌剤である。ある場合において、1つ以上の空気処理化学物質が基体22において単独であるいは組み合わせて使用され得る。
【0039】
空気処理化学物質が殺虫剤及び/又は防虫剤である場合、有機リン系殺虫剤、リピドアミド殺虫剤、シトロネラ油、天然ピレスリンとピレスラム抽出物、及び合成ピレスロイド等の天然忌避剤が好ましい。好ましい合成ピレスロイドは、アクリナスリン、D−アレスリンなどのアレスリン、ピナミンR(PynaminR)(商標)、ベンフルスリン、ビフェンスリン、ピナミンフォルテR(Pynamin ForteR)(商標)などのバイオアレスリン、S−バイオアレスリン、エスビオスリン、エスビオール、ビスオレスメトリン、シクロプロスリン、サイフルスリン、β−サイフルスリン、サイハロスリン、λ−サイハロスリン、サイパーメスリン、α−サイパーメスリン、β−サイパーメスリン、サイフェノスリン、デルタメスリン、エンペンスリン、エスフェンバレレート、フェンプロパスリン、フェンバレレート、フルサイスリネート、タウフルバリネート、カデスリン、ペルメスリン、フェノトリン、エトックR(EtocR)(商標)などのプラレスリン、レスメスリン、テフルトリン、テトラメスリン、トラロメトリン、メトフルスリン、又はトランスフルスリンが挙げられる。例えば米国特許第4,439,415号に記載される他の揮発性殺虫剤もまた使用できる。
【0040】
特定の好ましいバージョンにおいて、揮発性殺虫剤は、トランスフルスリン、メトフルスリン、ベーパースリン、ペルメスリン、プラレスリン、テフルトリン、及びエスビオスリンから成る群から選択される。トランスフルスリンが最も好ましい殺虫剤である。
【0041】
こうした空気処理化学物質を運ぶための可能な溶媒は、イソパール(ISOPAR)(商標)C、イソパール(ISOPAR)(商標)E、イソパール(ISOPAR)(商標)L、ヘプタン、メタノール、アセトン、エタノール、イソプロピルアルコール、ドデセン、及びテトラヒドロフランを含むが、これらに限定されない。イソパール(ISOPAR)(商標)C、イソパール(ISOPAR)(商標)E、イソパール(ISOPAR)(商標)Lが鎖長を変化させる炭化水素溶剤であり、エクソン・ケミカル・カンパニー(Exxon Chemical Company)から入手できる。
【0042】
一般に、揮発性昆虫防除剤は、炭化水素などの有機溶媒に運ばれることになる。防蚊用のある特定の望ましい含浸製剤は、イソパールCの炭化水素に溶融された50重量%のトランスフルスリンである。あるいはまた、及びさらに多くの場合に好ましくは、トランスフルスリンはまず液化するために温められ、次に温められた基体にそのまま加えられる。
【0043】
選択的に昆虫防除特性をさらに有する多種多様の揮発性芳香剤が使用され得る。あるいはまた、一部の芳香剤では、臭気除去機能を付与するものが選択される(例えば、特定のテルペン類)。たとえば、種々の天然及び人工の香料が使用できる。これら香料の限定的ではない例としては、動物性及び植物性の天然香料、ならびに、アルコール類、フェノール類、アルデヒド類、ケトン類、テルペン類、エステル類などの人工的香料が挙げられる。
【0044】
揮発性空気処理化学物質が殺菌剤である場合、好ましい殺菌剤は限定されないが、グリコール類、トリメチレン類、ジプロピレン類が挙げられる。基体22の使用及び環境と適合する有機酸もまた使用され得る。
【0045】
粒子68、砂やその他のものの量に関して、モールド64が容積まで充填されるべきであり、これによって基体22を形成する。砂又は他の微粒子がモールド内で十分に(例えば十数秒間)揺すられることになるが、必要とされる正確な時間及び力の入れ具合は、微粒子68の種類及びユーザの必要性に依存することになる。
【0046】
蓋(リッド)66は振動の際に設けられることがある。しかしながら、加熱を開始する前に、砂の全面にブレードを引きずることによって砂の上部を滑らかにしてふたが取り外されていることが好ましい。
【0047】
一例として、前壁の直径が1.6cmであり、後部突出部の後方最大直径が0.5cmである図2の形状の基体を形成した。このために、1.85gの珪砂に0.07gのノボラック樹脂を均等に混合して、適切な形状のモールドに置いた。モールドを15分間揺すり、砂混合物の上部を滑らかにし、モールドを300℃で10分間加熱した。モールドを冷却させ、砂の上面上で静かに置くことによって300mgのトランスフルスリンを添加した。形成した基体を取り外し、それを図3と同様の装置に位置付け、昆虫を誘発して装置の動作を検査した。
【0048】
本発明の基体22を形成するために使用されるモールド64は、好適な材料に限定されないが、プラスチック製、金属製又は木製のモールドが挙げられる。ゆえに、モールド自体は決定的ではない。
【0049】
本発明の好ましい実施の形態を上述したが、一方、発明を種々の他の実施の形態で使用される可能性があることは理解されたい。たとえば、基体の形成後にそのままの活性物質又は含浸流体を添加する代わりに、基体の形成前に、モールド内の基体上に活性物質を添加することもできる。さらに50%のトランスフルスリン及び50%のイソパールCを含有する流体槽に形成した基体を浸漬することもできる。
【0050】
したがって、本発明の原理は、本明細書中に詳細に言及されたものから離れて広範囲の他の方法で適用することができる。さらに他の変形が、発明の精神及び範囲から逸脱することなく行なうこともできる。ゆえに、(好ましい実施の形態というよりむしろ)請求の範囲を発明の全範囲を理解するために検証すべきである。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、空気処理装置で使用するための改良基体を、かかる基体を形成するための改良方法とともに提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、本発明の好ましい基体を使用するのに好適な空気処理装置の下方前面斜視図である。
【図2】図2は、本発明の好ましい基体の前面斜視図である。
【図3】図3は、インジケータ・ユニット26が取り外された状態の図1のライン3−3に沿った図1の構造の断面図である。
【図4】図4は、図2の基体を作成するために使用されるモールドの断面図である。
【図5】図5は、モールドが部分的に充填された状態にある、図4に類似した図である。
【図6】図6は、モールドが充填され、振動され、カバー/リッドがモールドのキャビティ上に置かれた後の状態を示した、図5に類似した図である。
【図7】図7は、熱がモールドに加えられた状態を示した、図6に類似した図である。
【図8】図8は、モールドから取り外された後の、図7のモールドで形成された基体を示す図である。
【図9】図9は、図8の9−9で示された領域の詳細図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気孔の網状組織を有する本体を形成するために一緒に接着される顆粒状粒子と、
気孔内に配置される揮発性空気処理化学物質と、
を有し、
前記基体が第1の端部と反対側の第2の端部とを有し、
第1の端部に隣接する顆粒状粒子の平均サイズが第2の端部に隣接する顆粒状粒子の平均サイズよりも小さいく、空気処理化学物質が第1の端部から分配されると、第1の端部が第1の端部に向けて空気処理化学物質を運ぶ傾向を有する、
加熱すると揮発性空気処理化学物質を活性的に分配することができる基体。
【請求項2】
突起が第1の端部と隣接して形成され、前記基体が最初に突起に隣接して加熱される場合に揮発性空気処理化学物質の最初の噴出がもたらされる、請求項1に記載の基体。
【請求項3】
前記基体が軸方向に突出するノーズを有する円錐台の形状である、請求項2に記載の基体。
【請求項4】
前記基体は、最初に加熱された後に冷却され、二度目に加熱される場合に、揮発性空気処理化学物質の第2の噴出を行なうことができる、請求項2に記載の基体。
【請求項5】
前記揮発性空気処理化学物質が、昆虫防除剤、芳香剤、及び防臭剤から成る群から選択される、請求項1に記載の基体。
【請求項6】
前記揮発性空気処理化学物質が、天然ピレスリン、ピレスラム抽出物、合成ピレスロイド、及びそれらの混合物から成る群から選択される昆虫防除剤である、請求項5に記載の基体。
【請求項7】
前記顆粒状粒子が砂及びフェノール樹脂を含む、請求項1に記載の基体。
【請求項8】
突出するノーズを有し、揮発性空気処理化学物質で含浸された多孔性基体を取得し、
少なくともノーズの端部に熱が加えられて揮発性空気処理化学物質の第1の噴出が基体から分配させるように基体を加熱し、
基体のノーズを冷却し、更なる揮発性空気処理化学物質を基体からノーズに引き出すことを許容し、
少なくともノーズの端部に熱が加えられて揮発性空気処理化学物質の第2の噴出を基体から分配させるように基体を再加熱することを含む、
基体から揮発性材料を分配するための方法。
【請求項9】
前記基体が顆粒状粒子から形成される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記基体が、ノーズによって画定される第1の端部と反対側にある第2の端部とを有し、ノーズにおける顆粒状粒子の平均サイズが第2の端部に隣接する顆粒状粒子の平均サイズより小さい、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記基体が砂、フェノール樹脂、及び殺虫剤を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
顆粒状粒子をモールドに設置し、
モールドを揺すって、より小さい顆粒状粒子をモールド内のより大きい顆粒状粒子に対して下方に移動させ、
その後、基体の底部における基体の平均粒子サイズが基体の上部における基体の平均粒子サイズよりも小さくなるようにモールド内に基体を形成することを含む、
加熱すると揮発性空気処理化学物質を活性的に分配できる基体を形成するための方法。
【請求項13】
前記方法によって形成された基体が突出するノーズを有するように、前記モールドが基体の底部に突出するノーズを形成するための手段を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
顆粒状粒子が砂を含む、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−526056(P2009−526056A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554280(P2008−554280)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/002834
【国際公開番号】WO2007/092283
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(500106743)エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド (168)
【Fターム(参考)】