説明

孟宗竹塩及びその製造方法

【課題】竹エキスに含有される有効性成分を保ちながら、塩を核として結晶化した孟宗竹塩及びその製造方法を提供する。
【解決手段】孟宗竹から抽出した竹エキスに塩を20〜30%重量溶解させ、水分を70%〜90%蒸発させて濃縮して後に乾燥させて成る孟宗竹塩であり、粉砕若しくは微細に割った孟宗竹を水に浸漬し、前記水を95℃以上100℃以下に加熱し、3時間〜5時間程度煮詰めて竹エキスを抽出し、前記竹エキスを第1容器に入れて後に20〜30%重量の塩を溶解し、該溶解液を攪拌しながら95℃以上100℃以下に保温して水分を70%〜90%、望ましくは75%〜80%蒸発させて濃縮して第2容器に入れて乾燥させると共に、15分乃至30分おきに掻き混ぜて製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、孟宗竹から抽出した竹エキスと塩を主成分とする孟宗竹塩及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
竹を水に浸して、95℃〜100℃に水を加熱して2時間45分〜3時間15分程度温度を保持して抽出することによって得られる竹エキスを主成分とした飲料や、患部に塗布するための塗布剤が市場に展開されている。竹エキスは、糖尿病、糖尿病による合併症、癌、肝機能障害、肩こり、アトピー、アレルギー、花粉症、生活習慣病、更年期障害、疲労回復、精力回復、リュウマチ、神経痛、不眠症、便秘、下痢、体臭、シミ、ソバカス、しわ、ふけ、水虫の痒み、アカギレ、育毛促進、四十肩、五十肩、腱鞘炎の疾病の改善に好適に用いられる。
【0003】
竹エキスに海塩又は海水を混合した混合液が特開2003−171293号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1によれば、竹笹を圧搾、熱水、アルコール等で抽出して得られるエキスは、雑菌やカビが繁殖し品質劣化するため、菌やカビの繁殖を阻止するために、竹エキスに海水や海塩を混合している。この混合液は化粧品、雑貨、食品、医療品として使用される。
【特許文献1】特開2003−171293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
竹エキスが含有する還元力の強いアブシジン酸、人体内外の傷などの細胞を修復するジベレリン等のホルモンの有効性を保ちながら粉体化させるには、結晶化させることが必要である。
【0005】
特許文献1には、竹エキスに海塩又は海水を混合した混合液が開示されているが、竹エキスと塩の溶解液を結晶化することについては全く触れられていない。
【0006】
一方、現代においては健康管理や健康維持の面から塩の効用が喧伝されているが、塩のみでは、竹エキスに含有されているアブシジン酸、ジベレリン等の各種ホルモンやミネラル、ビタミン等の効果を得ることはできない。そのため、塩と竹、特に効能に優れた孟宗竹との融合化が要請されている。
【0007】
本発明は上述のような事情からなされたものであり、本発明の目的は、竹エキスの有効成分を保持すると共に、大量生産の可能な塩を核として結晶化させて成る孟宗竹塩及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は孟宗竹塩に関し、本発明の上記目的は、孟宗竹から抽出した竹エキスに塩を20〜30%重量溶解させ、水分を70%〜90%蒸発させて濃縮して後に乾燥させて成ることによって達成され、前記竹エキスにマジョラムエキスを添加することにより、或いは前記竹エキスに赤紫蘇エキスを添加することにより、より効果的に達成される。
【0009】
また、本発明は孟宗竹塩の製造方法に関し、本発明の上記目的は、粉砕若しくは微細に割った孟宗竹を水に浸漬し、前記水を95℃以上100℃以下に加熱し、3時間〜5時間程度煮詰めて竹エキスを抽出し、前記竹エキスを第1容器に入れて後に20〜30%重量の塩を溶解し、該溶解液を攪拌しながら95℃以上100℃以下に保温して水分を70%〜90%、望ましくは75%〜80%蒸発させて濃縮して第2容器に入れて乾燥させると共に、15分乃至30分おきに掻き混ぜることによって達成される。
【0010】
本発明の上記目的は、前記竹エキスにマジョラムエキスを添加する工程を含むことにより、或いは前記竹エキスに赤紫蘇エキスを添加する工程を含むことにより、或いは前記塩が純粋な化学塩であることにより、或いは前記乾燥を天日に当てることによって行うことにより、或いは前記乾燥を乾燥室に入れて減圧することによって行うことにより、或いは前記乾燥を真空乾燥で行うことにより、或いは前記掻き混ぜる作業を天地を掻き混ぜることによって行うことにより、或いは前記第1容器がロート状の形状になっていることにより、或いは前記第2容器が皿型の形状になっていることにより、より効果的に達成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、竹エキスを、塩を核として化学処理することによって塩表面に結晶化させることにより、アブシジン酸、ジベレリン等の竹エキスのホルモンの有効性を保ちながら竹エキスを塩に結晶化することが可能である。また、結晶の大きさを、食用に適した細かな状態で析出させることが可能である。
【0012】
これにより、本発明に係る孟宗竹塩によれば、塩と竹エキスの成分を効率良く摂取することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明では、孟宗竹の竹エキスと塩を化学的に処理して、竹エキスが結晶化した孟宗竹塩を製造する。本発明の孟宗竹塩及びその製造方法について以下に説明する。
【0014】
粉砕又は微細に割った孟宗竹を水に浸漬させて、95℃以上100℃以下に加熱し、3時間から5時間煮詰めて孟宗竹を取り出すことにより竹成分が抽出された竹エキスが得られる。得られた竹エキスを図1に示される塩尻タイプ(漏斗型)の溶解用容器1に上部の開口部11から入れ、更に開口部11から塩を入れて20〜30%溶解する。溶解用容器1の形状は竹エキスや塩を入れ易いように、開口部11が大きく円形の漏斗型形状となっているが、図1のものに限定されるものではなく、筐体状であっても良い。なお、図1では溶解用容器1の底部12が円形の平坦形状となっているが、球面形状であっても良い。また、純粋な竹エキスを用いる代わりに、竹エキスにマジョラムエキスを添加したエキス、竹エキスに赤紫蘇エキスを添加したエキス、又は竹エキスにマジョラムエキスと赤紫蘇エキスを添加したエキスを用いても良い。マジョラムエキスは竹エキスの臭いを脱臭する効果があり、赤紫蘇エキスは鉄分を増強する効果がある。
【0015】
塩は不純物の含まれない純粋な化学塩NaClを用いることが望ましく、化学塩は大量生産が可能で安価である。海水から製造された塩や自然塩(岩塩等)であっても良い。また、溶解用容器1の素材は四酸化鉄(Fe)が最も好ましく、内表面をガラス等でコーティングすると一層良い。容器1の素材としてステンレス鋼を用いても良いが、ステンレス鋼を使用した場合、溶解用容器1を使用した後すぐに水で洗浄して塩分を除去し、乾燥させることにより使用可能な回数を10倍程度増加させることができる。
【0016】
次に、溶解用容器1に入れた溶解液の温度を95℃以上100℃以下に保温し、図2に示すような下部の平板状の攪拌部23に丸状の貫通穴21を具備した竹ヘラ2の柄22を持って攪拌し、水分を蒸発させて溶解液を濃縮させる。溶解液を攪拌する竹ヘラは、図3に示すように柄32に連接された攪拌部33の一端が滑らかに湾曲し、他の端部がほぼ垂直に切削されている竹ヘラ3を用いると、更に攪拌作業を容易に効率良く行うことができる。竹ヘラ3の攪拌部33にも、丸状の貫通穴31が設けられている。
【0017】
このようにして溶解用容器1内で溶解液が濃縮され、水分が70%〜90%、望ましくは75%〜80%減少した後、図4に示すような柄41の下部に連接された半球状の貯留部42を具備した柄杓4を用いて、濃縮された塩を溶解用容器1内から貯留部42に入れてすくい上げ、図6に示すような皿型の乾燥用容器6に移す。このような柄杓4による濃縮塩の乾燥用容器6への移し変え作業を繰り返し行う。なお、柄杓は、図5に示すような円形皿状の貯留部52を有する柄杓5であっても良い。
【0018】
このようにして乾燥用容器6に移し変えられた濃縮塩を乾燥、例えば天日に当てたり、乾燥室に入れて乾燥させたりする。乾燥室を減圧すれば、乾燥効果を一層高めることもできる。或いは真空乾燥を行っても良い。このような乾燥作業の際、15分〜30分おきに天地を掻き混ぜるとより全体的な乾燥を迅速に行うことができる。天地の掻き混ぜは、図7に示すような柄71とほぼ楕円形の掻き混ぜ部72とを有する竹製の掻き混ぜ用ヘラ7で行う。掻き混ぜ用ヘラ7は、掻き混ぜ部72の縁に溶液や濃縮塩が硬くこびり着かないように、先端部は鋭利な刃型になっている。乾燥用容器6は四酸化鉄(Fe)を素材にし、内表面をガラスや腐食剤でコーティングしたもの、或いはプラスティック製の容器を用いる。
【0019】
上述のように竹から竹エキスを抽出し、塩を溶解し、水分を蒸発させ、乾燥させて孟宗竹塩を得る工程では温度管理が重要である。竹の成長ホルモンの中で細胞分裂を促すサイトカイニンには、極微量のインターフェロンとインターロイキンが含まれる。これらは共に、人体の免疫力を高める。インターフェロンとインターロイキンの一部に、融点が103℃の物があるため、孟宗竹塩の製造工程では、温度を100℃以下に保つ必要がある。
【0020】
竹エキスは、アブシジン酸やジベレリン、サイトカイニン、トリプトファン等のホルモンを含有する。これらのホルモンの有効性を保ちながら粉体化するには、塩を核とした結晶化が適している。アブシジン酸は、強い還元作用がある。成長−老化−腐敗(発酵)という一連の流れは酸化作用と呼ばれ、この流れと逆の工程が還元作用である。即ち、アブシジン酸は老化した細胞を若返らせたり、腐敗した食材を蘇生させる効果がある。人が直接摂取すれば細胞が若返り、疲労が回復し、肩凝り、体臭、シミ、ソバカス、しわ等に効果がある。また、核酸が酸化して生じた尿酸を解消するため、リューマチ、神経痛を改善する効果がある。ジベレリンは人体内外の傷等を修復する能力がある。
【0021】
サイトカイニンはほとんどの植物にある成長ホルモンで、細胞分裂を促がし、一般の細胞の増殖だけでなく、白血球、骨髄、リンパ球等の増殖にも関っている。サイトカイニンにはインターロイキンが含まれる。インターロイキン1及びインターロイキン2の影響を受けて、プラズマ細胞が免疫グロブリンを分泌する。その結果、免疫不全によって生じるとされる病気である癌、アトピー、アレルギー、水虫等が改善される。
【0022】
トリプトファンは、ビタミンBを触媒として太陽光線を受けることにより、人体内でセロトニンに変わる。セロトニンは肝機能障害、生活習慣病、不眠症、便秘や下痢等のストレスから来る症状を改善する。
【0023】
また、竹エキスは、カルシウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛、リン等、ミネラル類や、ビタミンB、ビタミンDを多く含む。孟宗竹塩には、これらのミネラル類、ビタミン類が濃縮した状態で、含有されている。
【0024】
竹エキスを塩を核として結晶化させた孟宗竹塩は、糖尿病の人に不足しがちなミネラルやビタミンを補充するのに適している。糖尿病の人は小食にするため、ミネラルやビタミンが不足しがちになる。尿から糖が排出される際、糖分と共にミネラルの亜鉛とマグネシウムが強制的に排出されるため、代謝異常を起こし易くなる。マグネシウムが不足すると、動脈硬化が起き易くなり、狭心症、心筋梗塞、網膜症、脳梗塞等が悪化し易い。亜鉛が不足するとリンパ球のT細胞機能が低下し、感染症になり易い。また、潰瘍になり易い。失明の原因となる網膜剥離や黄斑変性症も亜鉛の不足が原因となって起こることが多いとされる。その他、ビタミン不足は白内障を引き起こす原因となる。
【0025】
本発明の孟宗竹塩は、塩成分と共に、上述した竹エキスの有効成分を含有しているので、健康管理や健康維持に最適な効果をもたらす。
[実施例]
以下に、孟宗竹塩を鼻孔又は舌下に使用した実施例を示す。
【0026】
文京区在住の59歳女性は、時折飛蚊症で悩まされていたが、鼻孔の粘膜上に綿棒で孟宗竹塩を2度添加することにより、黒い斑点状のものが目の前に現れなくなった。千葉県流山市在住の65歳の男性は、顔が時折痙攣し、肩が常に重苦しかったが、鼻孔の粘膜上に綿棒で孟宗竹塩を少量だけ数度添加することにより、鼻の中に結石状のものが出て、顔の痙攣が取れ肩が楽になった。埼玉県川越市在住の60歳の男性は、煙を吸い込むと喉が痛くなる症状があったが、舌下に耳掻き一杯分の孟宗竹塩を投入することにより、たんが出て急速に改善された。この他鼻炎や扁桃痛等の改善例が多数有る。
【0027】
孟宗竹エキスに胡麻・椿・ハーブシーズ等の油を混合し、ヒアルロン酸ナトリウムを調合する。この液を塗布した後に孟宗竹塩を塗布する。或いは、この液に孟宗竹塩を溶かした液を塗布する。この使用法で、アトピー性皮膚炎の痒み、痛み等の患部に塗布することによって、痒み、痛み等が急速に改善される。また、この使用法で、四十肩、五十肩、腱鞘炎などを改善させる効果がある。例えば肩凝りの症状のある人が、この使用法で鼻孔に約1ヵ月半塗布した。最初は淡い鼻水が流れ出る感じで、強く鼻をかむと、その後鼻の奥まで空気が通る感じで気持ちよくなった。次第に少量の鼻血が出るようになり、その後、黒ずんだどろっとした血液に変わり、強く噛まないと出なくなった。黒ずんでどろっとした血液が出なくなった頃、頭の中まで空気が通るような感じになり、肩の凝りは全く無くなった。頭部に淀んでいたリンパ液や血液が鼻孔に押し出された結果と考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に使用する容器の一例を示す外観図である。
【図2】本発明に使用する竹へらの一例を示す平面図である。
【図3】本発明に使用する竹へらの他の例を示す平面図である。
【図4】本発明に使用する柄杓の一例を示す外観図である。
【図5】本発明に使用する柄杓の他の例を示す外観図である。
【図6】本発明に使用する乾燥用容器の一例を示す外観図である。
【図7】本発明に使用する掻き混ぜ用ヘラの一例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 溶解用容器
2、3 竹ヘラ
4、5 柄杓
6 乾燥用容器
7 掻き混ぜ用ヘラ
21、31 貫通穴
22、32、71 柄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
孟宗竹から抽出した竹エキスに塩を20〜30%重量溶解させ、水分を70%〜90%蒸発させて濃縮して後に乾燥させて成ることを特徴とする孟宗竹塩。
【請求項2】
前記竹エキスにマジョラムエキスが添加されている請求項1に記載の孟宗竹塩。
【請求項3】
前記竹エキスに赤紫蘇エキスが添加されている請求項1又は2に記載の孟宗竹塩。
【請求項4】
粉砕若しくは微細に割った孟宗竹を水に浸漬し、前記水を95℃以上100℃以下に加熱し、3時間〜5時間程度煮詰めて竹エキスを抽出し、前記竹エキスを第1容器に入れて後に20〜30%重量の塩を溶解し、該溶解液を攪拌しながら95℃以上100℃以下に保温して水分を70%〜90%、望ましくは75%〜80%蒸発させて濃縮して第2容器に入れて乾燥させると共に、15分乃至30分おきに掻き混ぜることを特徴とする孟宗竹塩の製造方法。
【請求項5】
前記竹エキスにマジョラムエキスを添加する工程が含まれている請求項4に記載の孟宗竹塩の製造方法。
【請求項6】
前記竹エキスに赤紫蘇エキスを添加する工程が含まれている請求項4又は5に記載の孟宗竹塩の製造方法。
【請求項7】
前記塩が純粋な化学塩である請求項4乃至6のいずれかに記載の孟宗竹塩の製造方法。
【請求項8】
前記乾燥を天日に当てることによって行う請求項4乃至7のいずれかに記載の孟宗竹塩の製造方法。
【請求項9】
前記乾燥を乾燥室に入れて減圧することによって行う請求項4乃至7のいずれかに記載の孟宗竹塩の製造方法。
【請求項10】
前記乾燥を真空乾燥で行う請求項4乃至7のいずれかに記載の孟宗竹塩の製造方法。
【請求項11】
前記掻き混ぜる作業を天地を掻き混ぜることによって行う請求項4乃至10のいずれかに記載の孟宗竹塩の製造方法。
【請求項12】
前記第1容器がロート状の形状になっている請求項4乃至11のいずれかに記載の孟宗竹塩の製造方法。
【請求項13】
前記第2容器が皿型の形状になっている請求項4乃至12のいずれかに記載の孟宗竹塩の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−56648(P2008−56648A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−238870(P2006−238870)
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【出願人】(599139523)
【出願人】(506227334)
【Fターム(参考)】