説明

安全装置付き作業機

【課題】作業機及び作業機の操作に由来する固有の振動や姿勢変化に伴う加速度の影響を抑えつつ、加速度センサを使って予期しない危険な状況を検出する。
【解決手段】刈払機100に組み込んだ加速度センサ24から供給される周波数成分を含む加速度情報に基づいて、加速度ピークが100Hzよりも低い周波数域にあるときには、S5に進んで、加速度ピークの増幅処理が実行され、次のS6で、この増幅処理後の加速度ピークの値としきい値との比較が行われる。加速度ピークがしきい値以上であるときにはS7に進んで安全信号が生成され、この安全信号がコントローラ26から高電圧発生回路30に出力され、高電圧発生回路30における高電圧生成が停止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈払機、チェーンソー、ヘッジトリマなどの刃物を備えた小型の室外作業機に関し、より詳しくは、作業中の安全性を確保するための安全装置を備えた作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
小型の手持ち作業機として、草刈りに適用される刈払機、樹木の伐採に適用されるチェーンソー、垣根を整えるのに適用されるヘッジトリマが知られている。刈払機、チェーンソー等は高速で動作する刈刃を備えた作業具であることから、作業中に予期しない状況が発生したときに刃物から作業者の安全を確保する安全装置を備えた作業機が開発されている。
【0003】
特許文献1は、肩掛けベルト式の刈払機の左右のハンドルに、夫々、作業者が把持することにより動作する停止レバーを設け、作業者が手を離して左右の停止レバーの少なくともいずれか一方が解放されたときには、この停止レバーに機械的に連係された燃料バルブを閉じることにより、エンジンへの燃料供給を強制的に停止する又は点火プラグへの電源供給を強制的に停止してエンジンの動作を停止させることを開示している。
【0004】
特許文献2は、肩掛けベルト式の刈払機において、ハンドルに停止レバー又は圧力センサを設け、この作業者がハンドルから手を離したときには、電磁式のブレーキ又は機械式のストッパが動作して刈刃の回転を強制的に停止させることを開示している。
【0005】
特許文献3は手持ち式の電動刈払機を開示しており、この電動刈払機は、駆動源であるモータと刈刃との間の動力伝達軸を包囲する操作チューブと当接する圧電素子からなる衝撃センサを有し、この衝撃センサが衝撃を検出したときに電動モータを強制停止させることを開示している。また、この特許文献3は、衝撃センサを含む安全装置に、衝撃センサに流れる電流を調整するための可変抵抗を設けることで、圧電素子の個体差による感度の不均一を解消することを提案している。
【0006】
特許文献4は、内燃エンジン又は電動モータを駆動源と、この駆動源と刈刃とを機械的に連結する動力伝達軸との間に介装した遠心クラッチを有する肩掛けベルト式の刈払機において、この遠心クラッチにクラッチシューを設け、駆動源と動力伝達軸との間に大きな相対変位が有ったときには、この相対変位によって機械的に動作するクラッチシューによって自動的に遠心クラッチに制動力を加えることを開示している。
【0007】
特許文献5は、肩掛けベルト式の刈払機において、この刈払機を肩掛けするためのベルトの先端に取り付けられたキャップを、刈払機側のスイッチ本体に係脱自在に設けることを提案している。この肩掛けベルト式の刈払機にあっては、刈刃が大きな石などに当たって刈払機が跳ね返されるキックバックの衝撃でキャップがスイッチ本体から離脱すると、点火プラグへの電源供給が強制的に停止されることによりエンジンが停止する。
【0008】
特許文献6は、電動モータの出力を刈刃に伝達する動力伝達シャフトを包囲する操作チューブの傾斜角度を検出する水銀スイッチを設け、操作チューブの傾斜角度が所定の範囲から逸脱したときに、電動モータへの電源供給を遮断され、これにより電動モータを強制的に停止させることを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】JP実用新案出願公開平2−131822号公報
【特許文献2】JP特開平4−158714号公報
【特許文献3】JP特開2006−288296号公報
【特許文献4】JP特開平8−187024号公報
【特許文献5】JP特開2008−118960号公報
【特許文献6】JP特開昭62−198320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の特許文献1〜6は刈払機に関する安全装置の例であるが、勿論、他の種類の刃物を備えた作業機に関しても同様に安全装置を搭載するのが好ましいことは言うまでもない。この種の作業機に関して、予期しない危険な状況について、刈払機を例に説明すると次のとおりである。
【0011】
刈払機において、作業者が刈払機を制御できない状態に陥ってしまう状況を想定してみると、第1に刈刃が岩石や切り株等の障害物に衝突してキックバックが発生したとき、第2に作業者が作業中に転倒したとき、第3に作業者が危険を感じて刈払機を放り投げたとき、の三つの態様を挙げることができ、この三つの態様で的確に動作する安全装置が望まれる。
【0012】
その一方で、上記第1〜第3の状況が発生して安全装置が動作したとしても、作業者の身に何事も無かったときには、直ぐに作業を再開するのが通常であると考えられることから、この要請に応じることのできる安全装置である必要がある。
【0013】
従来の安全装置のうち、例えば特許文献1、2のように、安全装置が作動する条件として、ハンドルの停止レバー又は圧力センサから手を離すことを条件とした安全装置では、作業者は常にこの条件を意識し続ける必要がある。しかし、例えば作業中の転倒を想定すると、作業者は転倒の方に気を取られてしまうのが通常であり、ハンドルから手を離すことを忘れてしまう場合もあると思われる。したがって、作業者の操作に依存しない安全装置である必要がある。
【0014】
刃物を備えた小型の作業機を使って作業している最中に作業者が危険な状況に陥る可能性のある上記三つの態様、つまり、(1)キックバックによって制御不能な状態に陥ったとき;(2)作業者が転倒したとき;(3)刈払機が地面に落下したときの三つの態様で共通するのは、刈払機に何らかの通常にはない揺れ及び刈払機の急激な姿勢変化を伴うことであり、この揺れ及び急激な姿勢変化を検知するには加速度センサが適している。このことは、例えばチェーンソーについても同様であり、チェーンソーの場合には、特にキックバックによって作業者がチェーンソーを制御することができない状態に陥ったときに作業者が危険な状況に陥ってしまう可能性がある。
【0015】
しかし、作業機には、動力源の振動やこの動力源から刃物までに至る経路で発生する振動に加えて作業者の操作(刈払機であれば刈刃を左右に移動させる)に伴って発生する振動又は姿勢変化があることから、加速度センサを採用するときには、この固有の振動や姿勢変化に対する対策が必要となる。本願発明者らは、典型例として、空冷式の内燃エンジン(単気筒2ストロークエンジン)を搭載した刈払機の駆動源部に加速度センサを設置して駆動源部の振動及び通常の草刈り作業に伴う駆動源部の姿勢変化に伴う加速度を計測する試みを行った。図1〜図3がその計測データである。なお、駆動源部に取り付けた加速度センサは、その検出軸が単一の一軸式加速度センサであった。また、この計測は、草刈りの作業と同じ操作、つまりハンドルを握って刈刃を左右に移動させながら行った。したがって、図1〜図3の計測データは実際に草刈り作業を行ったときの計測データではない。ここに、使用した刈払機は手持ち式であり、この刈払機の単気筒エンジンは、周知のように、シリンダボアの軸線が上下方向に延びる状態で刈払機に搭載されている。
【0016】
図1は、検出軸を上下方向に向けた状態で加速度センサをエンジンカバーに取り付けて計測したデータであり、換言すれば上下方向振動に含まれる加速度成分の計測データである。図2は、検出軸を前後方向に向けた状態で加速度センサをエンジンカバーに取り付けて計測したデータであり、換言すれば前後方向振動に含まれる加速度成分の計測データである。図3は、検出軸を左右方向に向けた状態で加速度センサをエンジンカバーに取り付けて計測したデータであり、換言すれば左右方向振動に含まれる加速度成分の計測データである。図1〜図3において、一点鎖線はエンジン回転数が8,500rpmの時の計測データを示し、実線は10,000rpmの時の計測データを示す。
【0017】
上記の「上下方向」、「前後方向」、「左右方向」を説明すると、「上下方向」とは、エンジンのシリンダボアの軸線方向つまり水平の台に刈払機を正規の姿勢で置いたときの垂直方向を意味する。「前後方向」とは、刈払機を操作する作業者から見て前後方向を意味し、概略的には、刈払機の操作チューブ(エンジンの動力を刈刃に伝達する動力伝達シャフト)の長手方向と言い換えることができる。「左右方向」とは、作業中の刈刃の移動方向を意味し、作業者から見て横方向と言い換えることができる。
【0018】
草刈り作業中のエンジン回転数は8,000〜10,000rpmであるが、この常用回転数領域において、図1〜図3を見ると、検出した加速度のピークは約100Hz以上の周波数域に見られ、100Hzよりも低い周波数域では、加速度のピークが見られない。なお、上下方向振動を計測したデータである図1を参照すると、前後方向の振動(図2)、左右方向の振動(図3)に比べて加速度の大きなピークが見られる。
【0019】
図1〜図3に見られる加速度は、概略的には、使用した刈払機のエンジン振動に由来する加速度に加えて、実験を行った者が、草刈り作業の模擬操作を行ったときの刈払機の姿勢変化に由来する加速度であると考えられる。このような、刈払機及びその作業操作に由来する固有の振動や姿勢変化に伴う加速度特性は、例えば操作チューブでも同様である。図4〜図6は、2ストロークエンジンを搭載した刈払機の操作チューブの先端部に加速度センサを設置したときの計測データである。
【0020】
図4は、検出軸を上下方向に向けた状態で加速度センサを操作チューブの先端部に取り付けて計測したデータである。図5は、検出軸を前後方向に向けた状態で加速度センサを操作チューブの先端部に取り付けて計測したデータである。図6は、検出軸を左右方向に向けた状態で加速度センサを操作チューブの先端部に取り付けて計測したデータである。図4〜図6によれば、操作チューブにおいても、検出した加速度のピークが約100Hz以上の周波数域にあることが分かる。
【0021】
また、上述した刈払機及びその操作に由来する固有の振動や姿勢変化に伴う加速度特性は、チェーンソー、ヘッジトリマにおいても同様である。図7〜図9は、2ストローク内燃エンジンを備えたチェーンソーに関する計測データである。図7は上下振動、図8は前後振動、図9は左右振動に関する。図10〜図12は、2ストローク内燃エンジンを備えたヘッジトリマに関する計測データである。なお、ヘッジトリマにあってはエンジンが横置きに搭載されており、このエンジンのシリンダボアの軸線は前後方向に延びている。図10は上下振動、図11は前後振動、図12は左右振動に関するが、このヘッジトリマに関しては図11の前後振動にエンジン振動が含まれている。
【0022】
チェーンソーに関する図7〜図9及びヘッジトリマに関する図10〜図12からも分かるように、加速度のピークは約100Hz以上の周波数域に見られ、100Hzよりも低い周波数域では加速度ピークが見られない。
【0023】
本願発明者らは、作業機及びその作業操作に由来する振動や姿勢変化に伴う加速度のピークが限定的な周波数域に見られ、特定の周波数域、図1〜図12に示す例では低周波数域では加速度のピークが見られない点に着目して本発明を案出するに至ったものである。
【0024】
本発明の目的は、作業機及び作業機の操作に由来する固有の振動や姿勢変化に伴う加速度の影響を抑えつつ、加速度センサを使って予期しない危険な状況を検出することのできる安全装置付き作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
キックバックや転倒など予期しない危険な状況に陥る可能性のある状態のときの衝撃波は比較的低周波数域である。これに対して図1などを参照して前述した作業機及びその作業操作に由来する固有の加速度ピークが現れる周波数は比較的高い周波数域である。
【0026】
基本的には、本発明は、予期しない危険な状況に陥る可能性のある状態のときに加速度ピークが現れる第1周波数域が、作業機及びその作業操作に由来する固有の加速度ピークが現れる第2周波数域から外れている作業機の場合に、加速度センサが検出した周波数成分を含む加速度情報を第1周波数域と第2周波数域とに分け、次いで第1周波数域の加速度情報から加速度ピークを求め、この加速度ピークとしきい値とを対比することで安全装置の作動制御を行うことに特徴を有する。これにより、作業機及びその作業操作に由来する振動や作業機の姿勢変化の影響を抑えて、予期しない危険な状況に陥る可能性のある状態を検出することができる。
【0027】
具体的には、本発明の第1の観点に従う作業機は、
加速度センサからの加速度情報に基づいて予期しない危険な状況に陥る可能性のある状態にあると判断したときに作業機に含まれる刃物の動きを停止する作業機を前提として、
作業機に取り付けられた加速度センサと、
該加速度センサから加速度情報を受け取って、該加速度情報に含まれる加速度のピークを求める加速度ピーク演算手段と、
該加速度ピーク演算手段により求めた加速度ピークが、予期しない危険な状況に陥る可能性のある状態のときに加速度ピークが現れる第1周波数域にあるか否かを判断する周波数域判断手段と、
該周波数域判断手段により前記加速度ピークが前記第1周波数域にあると判断されたときに、該加速度ピークをしきい値と比較する比較手段と、
該比較手段により、前記加速度ピークがしきい値以上であるときに、前記作業機に含まれる刃物の動きを直接的又は間接的に停止させるための機能停止手段に安全信号を出力して、前記刃物の動きを停止させる出力手段とを有する。
【0028】
上記周波数域判断手段により前記加速度ピークが前記第1周波数域にあるときに、該加速度ピークを増幅する処理を行った後に、増幅した加速度ピークとしきい値とを前記比較手段により比較するようにしてもよい。
【0029】
本発明の第2の観点に従う作業機は、
加速度センサからの加速度情報に基づいて、予期しない危険な状況に陥る可能性のある状態にあると判断したときに作業機に含まれる刃物の動きを停止する作業機を前提として、
作業機に取り付けられた加速度センサと、
該加速度センサから加速度情報を受け取って、該加速度情報に含まれる加速度の周波数から、予期しない危険な状況に陥る可能性のある状態のときに加速度ピークが現れる第1周波数域の加速度情報を抽出する一方で、作業機の固有の振動又は当該作業機の操作に伴う加速度のピークが現れる第2周波数域の加速度情報を除外するフィルタ手段と、
前記フィルタ手段により抽出した前記第1周波数域の加速度情報から加速度ピークを求める加速度ピーク演算手段と、
該加速度ピーク演算手段により求めた加速度ピークをしきい値と比較する比較手段と、
該比較手段により、前記加速度ピークがしきい値以上であるときに、前記作業機に含まれる刃物の動きを直接的又は間接的に停止させるための機能停止手段に安全信号を出力して、前記刃物の動きを停止させる出力手段とを有する。
【0030】
該加速度ピーク演算手段により求めた加速度ピークをしきい値と比較する前に、該加速度ピークを増幅する処理を行った後に、増幅した加速度ピークとしきい値とを前記比較手段により比較するようにしてもよい。
【0031】
本発明の第3の観点に従う作業機は、
加速度センサからの加速度情報に基づいて、予期しない危険な状況に陥る可能性のある状態にあると判断したときに作業機に含まれる刃物の動きを停止する作業機を前提として、
刃物を駆動する駆動源が配置された駆動源部に搭載された内燃エンジンと、
前記駆動源部に取り付けられた加速度センサであって、前記内燃エンジンのシリンダボアの軸線方向に対して検出軸が斜めに位置するように配置された加速度センサと、
該加速度センサから加速度情報を受け取って、該加速度情報から加速度のピークを求める演算手段と、
該演算手段により求めた加速度ピークが、予期しない危険な状況に陥る可能性のある状態のときに加速度ピークが現れる第1周波数域にあるか否かを判断する周波数域判断手段と、
該周波数域判断手段により、前記加速度ピークの周波数が前記第1周波数域にあると判断されたときに、該第1周波数域の加速度ピークを増幅する増幅手段と、
該増幅手段により増幅された前記第1周波数域の加速度ピークと第1しきい値を比較する第1比較手段と、
前記周波数域判断手段により前記加速度ピークの周波数が前記第1周波数域外の周波数域にあると判断された当該加速度ピークを第2しきい値と比較する第2比較手段と、
前記第1、第2の比較手段により、前記第1周波数域の加速度ピークが第1しきい値以上又は前記第1周波数域外の周波数域の加速度ピークが第2しきい値以上であるときに、前記作業機に含まれる刃物の動きを停止させるための機能停止手段に安全信号を出力して、前記刃物の動きを停止させる出力手段とを有する。
【0032】
この第3の観点の発明によれば、第2しきい値との対比で刃物に異常が発生したときに刃物の動きを停止させることができる。この第3の観点の発明の具体的な適用例は刈払機であり、作業中に円盤状の刈刃にアンバランスが発生したときに、これを検知して直ちに刈刃の回転を停止させることができる。
【0033】
本発明の第4の観点に従う作業機は、
加速度センサからの加速度情報に基づいて、予期しない危険な状況に陥る可能性のある状態にあると判断したときに作業機に含まれる刃物の動きを停止する作業機を前提として、
刃物を駆動する駆動源が配置された駆動源部に搭載された内燃エンジンと、
前記駆動源部に取り付けられた加速度センサであって、前記内燃エンジンのシリンダボアの軸線方向に対して検出軸が斜めに位置するように配置された加速度センサと、
該加速度センサから加速度情報を受け取って、該加速度情報の加速度の周波数が、予期しない危険な状況に陥る可能性のある状態のときに加速度ピークが現れる第1周波数域にあるか又はそれ以外の周波数域にあるかを区別する周波数域区別手段と、
前記第1周波数域にある前記加速度情報から加速度のピークを求める第1演算手段と、
該第1周波数域にある前記加速度情報から加速度のピークを増幅する増幅手段と、
前記第1周波数ではない周波数域にある加速度情報から加速度のピークを求める第2演算手段と、
前記増幅手段により増幅された前記第1周波数域の加速度ピークを第1しきい値と比較する第1比較手段と、
前記第2演算手段により求めた前記第1周波数域外の周波数域の加速度ピークを第2しきい値と比較する第2比較手段と、
前記第1、第2の比較手段により、前記第1周波数域の加速度ピークが第1しきい値以上又は前記第1周波数域外の周波数域の加速度ピークが第2しきい値以上であるときに、前記作業機に含まれる刃物の動きを直接的又は間接的に停止させるための機能停止手段に安全信号を出力して、前記刃物の動きを停止させる出力手段とを有する。
【0034】
この第4の観点の発明によれば、第2しきい値との対比で刃物に異常が発生したときに刃物の動きを停止させることができる。この第4の観点の発明の具体的な適用例は刈払機であり、作業中に円盤状の刈刃にアンバランスが発生したときに、これを検知して直ちに刈刃の回転を停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】内燃エンジンを駆動源とする刈払機の駆動源部で検出される上下振動の計測データである。
【図2】内燃エンジンを駆動源とする刈払機の駆動源部で検出される前後振動の計測データである。
【図3】内燃エンジンを駆動源とする刈払機の駆動源部で検出される左右振動の計測データである。
【図4】内燃エンジンを駆動源とする刈払機の操作チューブの先端で検出される上下振動の計測データである。
【図5】内燃エンジンを駆動源とする刈払機の操作チューブの先端で検出される前後振動の計測データである。
【図6】内燃エンジンを駆動源とする刈払機の操作チューブの先端で検出される左右振動の計測データである。
【図7】内燃エンジンを駆動源とするチェーンソーの駆動源部で検出される上下振動の計測データである。
【図8】内燃エンジンを駆動源とするチェーンソーの駆動源部で検出される前後振動の計測データである。
【図9】内燃エンジンを駆動源とするチェーンソーの駆動源部で検出される左右振動の計測データである。
【図10】横置きの内燃エンジンを駆動源とするヘッジトリマの駆動源部で検出される上下振動の計測データである。
【図11】横置きの内燃エンジンを駆動源とするヘッジトリマの駆動源部で検出される前後振動の計測データである。
【図12】横置きの内燃エンジンを駆動源とするヘッジトリマの駆動源部で検出される左右振動の計測データである。
【図13】実施例の肩掛けベルト式の刈払機の斜視図である。
【図14】図13の刈払機の駆動源を後方から見た図である。
【図15】加速度センサを使った安全装置及びその制御対象のブロック図である。
【図16】図13の刈払機を落下させたときの上下振動の計測データである。
【図17】図13の刈払機を落下させたときの前後振動の計測データである。
【図18】図13の刈払機を落下させたときの左右振動の計測データである。
【図19】図13の刈払機を意図的にキックバックさせたときの上下振動の計測データである。
【図20】図13の刈払機を意図的にキックバックさせたときの前後振動の計測データである。
【図21】図13の刈払機を意図的にキックバックさせたときの左右振動の計測データである。
【図22】図15のコントローラで行われる処理を説明するためのブロック図である。
【図23】加速度センサを使った安全装置に含まれるコントローラの処理の一例を示すフローチャートである。
【図24】図23のフローチャートの変形例であり、作業者が刈払機を制御不能な状態になったときの安全制御に加えて刈刃がアンバランスになったときに刈刃の回転を強制停止する制御を加えるコントローラの処理の一例を示すフローチャートである。
【図25】内燃エンジンを駆動源とする刈払機の刈刃を意図的にアンバランスな状態にしたときに駆動源部で検出される上下振動の計測データである。
【図26】内燃エンジンを駆動源とする刈払機の刈刃を意図的にアンバランスな状態にしたときに駆動源部で検出される前後振動の計測データである。
【図27】内燃エンジンを駆動源とする刈払機の刈刃を意図的にアンバランスな状態にしたときに駆動源部で検出される左右振動の計測データである。
【図28】図13の刈払機の基本構成図である。
【図29】図23の処理の変形例を示すフローチャートである。
【図30】刈払機の駆動源部の背面に取り付けた加速度センサが上下方向に対して傾斜して取り付けられていることを説明するための図である。
【図31】加速度センサの検出軸を上下方向に傾斜して配置したときに、検出軸の傾斜角度と加速度センサの感度との関係を計測したデータである。
【図32】加速度センサを傾斜して取り付けた場合のコントローラの処理の一例を示すフローチャートである。
【図33】図32の処理の変形例を示すフローチャートである。
【図34】図32の処理の別の変形例を示すフローチャートである。
【図35】加速度センサが衝撃を検知したときに、安全対策として制御対象をエンジン停止に加えて、遠心クラッチの出力を制動する例を示す図である。
【図36】加速度センサが衝撃を検知したときに、刃物の機能を停止する機能停止手段つまり安全機構としてエンジンを停止させるのに加えて、刈刃部のベベルギアへの入力を制動する例を示す図である。
【図37】加速度センサを刈払機の操作チューブの先端部に取り付けて、この加速度センサが衝撃を検知したときに、エンジンを停止する例を示す図である。
【図38】加速度センサを刈払機の操作チューブの先端部に取り付けて、この加速度センサが衝撃を検知したときに、エンジンの停止に加えて、遠心クラッチと減衰ダンパとの間のブレーキによってエンジン出力を制動する例を示す図である。
【図39】加速度センサを刈払機の操作チューブの先端部に取り付けて、この加速度センサが衝撃を検知したときに、エンジンの停止に加えて、刈刃部のベベルギアへの入力を制動する例を示す図である。
【図40】加速度センサの検出軸を上下方向に対して傾斜させるときに、加速度センサの衝撃受け面の向きを変える自由度を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0036】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
【0037】
図13、図14は実施例の肩掛けベルト式の刈払機を示す図である。刈払機の斜視図である図13を参照して、刈払機100は、操作チューブ2の一端に配設された駆動源部4と、操作チューブ2の他端に配設された刈刃部6とを有し、操作チューブ2にはその長手方向中間部分にハンドル8が組み付けられている。この構成は、従来から周知の構成である。ハンドル6にはスロットルレバー10等が設けられ、作業者は、このスロットルレバー10を操作することで刈刃部6の動作速度を調整することができる。
【0038】
駆動源部4は、エンジンカバー12に包囲された単気筒の空冷2ストローク内燃エンジン14(図14)と、このエンジン14の下方に隣接して配設された燃料タンク16とを有し、この燃料タンク16から供給される燃料を受け取ってエンジン14の運転が実行される。単一気筒の内燃エンジン14はそのシリンダボアの軸線が垂直方向に沿って延びるように駆動源部4に搭載されている。図中、参照符号18は点火プラグを示し、点火プラグ18はエンジン14の頂部に取り付けられている。また、参照符号20はリコイルスタータを示す。リコイルスタータ20は、駆動源部4の後部において、後方に向けて突出する状態で取り付けられている。このリコイルスタータ20を操作することでエンジン14を始動することができる。リコイルスタータ20の下方且つ燃料タンク16の後方のデッドスペースには衝撃検出ボックス22が配設されている。
【0039】
図14は、刈払機100を後端面つまり刈刃部6とは反対側から刈払機100を見た図であり、この図14では、衝撃検出ボックス22の蓋22aを取り外した状態で図示してある。衝撃検出ボックス22には、加速度センサ24と、マイコンからなるコントローラ26とが収容されている。
【0040】
この実施例では、加速度センサ24は圧電センサで構成され、この圧電センサのピックアップは、圧電セラミックを薄い円盤状の金属板に貼り付けた構成を有しており、その検出軸は単一である。勿論、加速度センサとして半導体式センサを採用してもよい。半導体式センサの典型例はピエゾ素子型、圧電素子型のセンサである。半導体式センサは、検出軸が単一の一軸式、2つの検出軸を備えた二軸式、3つの検出軸を備えた三軸式が知られている。本発明は一軸、二軸、三軸のいずれの加速度センサでも採用することができるが、一軸式の加速度センサを採用することで、コントローラ26での処理を簡素化することができるという利点がある。
【0041】
この実施例では、加速度センサ24、コントローラ26及び点火プラグ18に高電圧を供給する高電圧発生回路30で安全装置32が構成される(図15)。すなわち、加速度センサ24から周波数成分を含む加速度情報がコントローラ26に入力される。コントローラ26では、後に説明する処理を行い所定の条件を満足したときに安全信号を出力する。この安全信号は、この実施例では、点火プラグ18に高電圧を供給する高電圧発生回路30に供給される。高電圧発生回路30が安全信号を受け取ると、高電圧発生回路30は、点火プラグ18に供給するための高電圧を生成する機能が停止される。具体的には、コントローラ26から出力される安全信号によって、高電圧発生回路30の一次コイルに対する電源供給が停止される。これにより点火プラグ18に対する高電圧の供給が停止され、その結果、エンジン14が停止する。そして、その結果、刈刃部6はその機能を停止し刈刃の回転が停止される。この刈刃48の回転を停止させる機能停止手段つまり安全機構として何を制御対象にするかに関して、上記のエンジン停止に代えて又はエンジン停止と共に刈刃48の回転を強制停止するようにブレーキ機構を設けてもよい。
【0042】
図16〜図18は、刈払機100を試験的に地面に落下させたときの上下振動(図16)、前後振動(図17)、左右振動(図18)の計測データである。また、図19〜図21は、刈払機100を丸太に意図的に打ち付けたときのキックバックの上下振動(図19)、前後振動(図20)、左右振動(図21)の計測データである。図16〜図18に見られる四角の印は、最も高い加速度ピークを示している。図16〜図18から分かるように、100Hz以下の周波数域の中でも相当に低い周波数で加速度ピークが見られる。
【0043】
図22を参照して、コントローラ26は、フィルタ処理手段34と、好ましくは増幅処理手段36と、判定処理手段38とを有し、その一連の処理の一例を図23のフローチャートに従って説明する。
【0044】
図23を参照して、加速度センサ24から供給される周波数成分を含む加速度情報はステップS1でコントローラ26に取り込まれ、次のステップS2で、ステップS1で取り込んだ加速度情報から加速度ピークを求める演算処理を行った後に、該加速度ピークの有無の判定処理(S3)が実行される。このステップS3で加速度ピークが無いと判定されると、NOということで上記ステップS1に戻る。逆に、ステップS3で加速度のピークが「有り」と判定されると、YESということでステップS4に移行し、このステップS4で加速度のピークが100Hzよりも低い周波数域にあるか否かの判定処理が実行される。そして、このステップS4でNOつまり加速度ピークが100Hz以上の高い周波数域にあると判定されると、ステップS1に戻る。すなわち、このステップS4で、100Hz以上の周波数域にある加速度ピークを除外するフィルタ処理が実行される。逆に、ステップS4においてYESのとき、つまり加速度ピークが100Hzよりも低い周波数域にあるときには、ステップS5に進んで、この加速度ピークの増幅処理が実行され、次のステップS6で、この増幅処理後の加速度ピークの値としきい値との比較が行われ、このステップS6で加速度ピークがしきい値以上であるときには、ステップS7に進んで安全信号が生成され、この安全信号がコントローラ26から出力される。この安全信号はタイマにより一定時間(例えば5秒間)継続的に出力し続けるのが好ましい。なお、上記ステップS5において、増幅した加速度ピークの値がしきい値よりも小さいときにはステップS1に戻る。
【0045】
タイマに設定する上記一定時間は、次の条件を満たす時間であれば5秒に限定されない。すなわち、エンジンが高電圧の供給を遮断された後に、エンジンの慣性が残っている状態では点火プラグ18に高電圧を供給しない時間が設定される。例えばタイマの時間を2〜3秒に設定した場合、2〜3秒間安全信号が出力された直後に点火プラグ18への高電圧の供給を再開するとエンジン14が再起動してしまう可能性がある。タイマの時間として例えば5秒程度又はそれ以上の時間を設定すれば、エンジン14を確実に停止させることができる。以上の安全制御により、加速度センサ24から衝撃検知信号を受け取ると直ちに高電圧発生回路30の一次コイルに対する電源供給が停止される。この電源供給停止が一定時間継続されることにより、エンジン14を完全に停止させることができる。
【0046】
なお、変形例として、上記ステップS5の増幅処理は省いてもよい。また、他の変形例として、100Hzよりも低い周波数域の加速度に対して増幅処理を行い、その後、100Hzよりも低い周波数域での加速度ピークを求めるようにしてもよい。
【0047】
図24は上記図23のフローチャートの変形例である。この図24のフローチャートを参照して、ステップS4では、図23を参照して前述したフィルタ処理とは違って、実質的に、100Hzを挟んでこれよりも低い周波数域又は高い周波数域に加速度ピークが存在しているか否かの区分けが行われる。そして、このステップS4においてNO、つまり加速度ピークが100Hzよりも高い周波数域にあるときには、ステップS8に進んで当該加速度ピークが第2しきい値よりも大きいか否かの判定が行われる。
【0048】
図25〜図27は、刈刃の外周部に5グラム(g)の錘を付けて意図的に刈刃が周方向にアンバランスの状態を作ったときの上下振動(図25)、前後振動(図26)、左右振動(図27)を計測したデータである。図25の上下振動においてエンジン回転数が11,000rpmのときに約35Gという極めて大きな加速度ピークが周波数約200Hzで見られる。また、10,000rpmのときのアンバランス振動による最大加速度は約24G(約200Hz)と大きい。前述した図1と対比すると、図1の上下振動(エンジン振動)では最大の加速度ピークが約14Gである。図24のフローチャートのステップS8では、図1の14Gよりも大きく、アンバランス状態での上記24G(図25)よりも小さい値が上記第2しきい値として設定される。これにより、作業中に刈刃にアンバランスが発生したことを検出することができる。
【0049】
上記ステップS8においてYESのときは、刈刃にアンバランスが発生したとして、前述したステップS7に進んで安全信号を出力してエンジン停止する。その結果、刈刃(図28の参照符号48)の回転が停止する。刃物である刈刃48の回転を停止する機能停止手段つまり安全手段として、エンジン停止以外にも刈刃48に動力を伝達する経路にブレーキを設け、このブレーキを締結することで刈刃48の回転を強制的に停止させるようにしてもよい。
【0050】
上記の例では、加速度センサ24を、第1にキックバックなどで作業者が制御不能の状態に陥ったことを検出する手段として、第2に刈刃のアンバランスが発生したことを検出する手段として用いてあるが、この加速度センサ24を刈刃のアンバランス検出だけに用いてもよい。
【0051】
図28は、上述した刈払機100の基本構成図である。駆動源部4に配設されたエンジン14は、その出力が、操作チューブ2に挿入された動力伝達シャフト40を介して刈刃部6に供給される。駆動源部4には、エンジン14と動力伝達シャフト40との間に介装された遠心クラッチ42及び減衰ダンパ44が配設されている。また、刈刃部6にはベベルギア46が配設され、このベベルギア46を介して動力伝達シャフト40と円盤形の刈刃48とが連結されている。
【0052】
コントローラ26による上述した処理により、高電圧発生回路30(図15)は、コントローラ26から出力される安全信号を受けて高電圧の生成を停止し、これによりエンジン14は停止する。また、コントローラから約5秒間安全信号が継続して出力されることから、高電圧発生回路30による高電圧の生成を所定の時間停止することで、エンジン14を確実に停止させることができる。
【0053】
図23の処理の変形例として、上述したステップS5の増幅処理に代えて、ステップS3で加速度ピークが有りと判断されてステップS4に移行する前に、加速度ピークに対して増幅処理を行うようにしてもよい。
【0054】
図1〜図3を参照して前述したように、単気筒内燃エンジン14を搭載した刈払機100では、その駆動源部4に現れる固有の加速度のピークが約100Hz以上の周波数域に見られ、100Hzよりも低い周波数域には見られない。したがって、100Hz以上の高低周波数域の加速度のピークをフィルタ処理手段34で除外することで、刈払機100及び刈払機100の操作に伴う固有の加速度の影響を受けることなく、キックバックや作業者の転倒など予期しない危険な状況に陥る可能性のある状態を検知して、エンジン14を停止させることができる。
【0055】
また、好ましい例として、100Hzよりも低い周波数域の加速度又は加速度ピークを増幅した後に、そのピーク値としきい値とを比較することから、しきい値の設定が容易であり、予期しない危険な状況に陥る可能性のある状態を検知するのに適したしきい値の設定の自由度を向上することができる。
【0056】
図29は、図23で説明した一連の処理の変形例である。この図29のフローチャートを参照して、ステップS21は図23のステップS1に対応している。このステップS21で加速度センサ24から周波数成分を含む加速度情報を取り込み、次のステップS22で100Hz以上の高周波数域の加速度をフィルタ処理で除外することにより、加速度センサ24から取り込んだ加速度情報のうち100Hzよりも低い低周波数域の加速度が抽出される。そして、次のステップS23において、100Hzよりも低い低周波数域の加速度のピークを求める演算処理が行われ、この加速度ピークは次のステップS24でしきい値と対比されて100Hzよりも低い低周波数域の加速度ピークがしきい値よりも大きいときにはステップS25に進んで安全信号がコントローラ26から出力される。
【0057】
変形例として、ステップS22のフィルタ処理と次のステップS23との間で100Hzよりも低い低周波数域の加速度に対して増幅処理を行ってもよいし、ステップS23で加速度のピークを求めた後に、この加速度ピークに対して増幅処理を行ってもよい。
【0058】
上記の安全装置の制御系において、一軸式の加速度センサ24の取り付けに関して、その検出軸が上下方向となるように駆動源部4に取り付けてもよいが、以下に説明するように、上下方向に対して検出軸を傾斜させるようにしてもよい。すなわち、上述の説明は、検出軸が上下方向に沿って延びる姿勢で加速度センサ24を刈払機100に設置した場合であってもよいし、以下に説明するように検出軸が上下方向に対して傾斜した姿勢で加速度センサ24を刈払機100に設置した場合であってもよい。
【0059】
図14に戻って、加速度センサ24の単一の検出軸を矢印DAで示してある。図30は、刈払機100を水平面に着座させた状態で、駆動源部4の背面に取り付けられた加速度センサ24の検出軸DAの傾斜状態を説明するための図である。
【0060】
図30を参照すると直ちに理解できるように、刈払機100を水平面に着座させたときに、シリンダボアの軸線と平行な鉛直面において、加速度センサ24が上下方向Vに対して斜めの姿勢で取り付けられており、これにより検出軸DAが、鉛直面において、シリンダボアの軸線方向である上下方向Vに対して傾斜している。図30の参照符号θ1は、鉛直面において、上下方向Vに対する検出軸DAの傾斜角度である。
【0061】
加速度センサ24を上下方向Vに対して傾斜した状態で駆動源部4に搭載することにより、センサ24の衝撃受け面は上下方向に対して傾斜して位置決めされることになる。図30において、加速度センサ24の衝撃受け面の上下方向に対する傾斜角度をθ2で示してある。
【0062】
ここに、加速度センサ24は衝撃を受ける面を備えた衝撃検知部材を有し、この衝撃検知部材が備える衝撃受け面と直交する軸が、加速度センサ24の検出軸DAである。後に図40を参照して説明するが、検出軸DAを上下方向に傾斜して配置するときに、例えば加速度センサ24の衝撃受け面が前傾又は後傾するように加速度センサ24をエンジン14の近傍に配設してもよく、特に一軸の加速度センサ24を採用する場合に好ましい。これによれば、一軸式加速度センサ24の感度を上下方向の振動に関しては低下させながら、三次元の全方位の衝撃に対して一軸式加速度センサを感応させることができる。また、加速度センサ24として一軸式を採用することにより、コントローラ26での制御を簡素化できるという利点がある。
【0063】
刈払機100では、作業者が刈払機100を使って作業するときには、作業者から見て前方に且つ刈刃48を斜め下に位置させる作業姿勢を取る。したがって、実施例のように駆動源部4の背面(第1鉛直面)に関して、その上下方向に対して加速度センサ24を斜めに取り付けることで、実際の作業環境では、加速度センサ24を三次元の3つの面の全てに対して斜めに配置したのと同じ状態になる。
【0064】
図31は、加速度センサ24の検出軸DAの傾斜角度θ1とセンサユニット24の感度との関係を示す。この図31のデータは、刈払機100を地面に垂直落下させたときに、加速度センサ24が所定の出力値を出力するときの落下高さを計測したデータである。すなわち、刈払機100をどの高さ位置から落下させたときに、加速度センサ24が所定レベル以上の衝撃検知信号を出力するかを試験したときのデータが図31である。
【0065】
図31を参照して、加速度センサ24の取り付け角度を変えて刈払機100の落下方向つまり上下方向に対する検出軸DAの傾斜角度θ1を変更したときに、例えば、検出軸DAの傾斜角度θ1が45°の場合は、約10cmの高さ位置から刈払機100を自由落下させたときに衝撃検知信号を出力している。これに対して、傾斜角度θ1が70°の場合は、約30cmの高さ位置から刈払機100を自由落下させたときに衝撃検知信号を出力している。また、傾斜角度θ1が80°の場合は、約90cmの高さ位置から刈払機100を自由落下させたときに衝撃検知信号を出力している。図31から、検出軸DAの傾斜角度θ1が大きくなるほど、加速度センサ24の感度が低下することが分かる。
【0066】
図14に戻って、加速度センサ24の取付姿勢は、ビス50を弛めることより、実線で示す第1の傾斜位置から仮想線で示す第2の傾斜位置まで任意の傾斜角度に調整することができ、これにより検出軸DAの傾斜角度θ1を変更することができる。勿論、ビス50を締める付けることで、加速度センサ24の傾斜した取付姿勢を固定することができる。なお、図示の例では、ビス50を中心にして、図14に実線で示す第1傾斜位置と、仮想線で示す第2傾斜位置の二つの異なる傾斜角度から一つの傾斜位置をユーザが選択する設計となっているが、3以上の傾斜位置から選択させるようにしてもよく、また、第1、第2の傾斜位置の間で無段階に加速度センサ24の衝撃受け面の傾斜角度θ2を設定できるようにしてもよい。
【0067】
このように、加速度センサ24の傾斜した取付姿勢によって、検出軸DAが上下方向Vに対して傾斜しているため、図1を参照して前述したように刈払機100のエンジン14が動作することに伴う駆動源部4の上下振動つまりエンジン振動に対して、加速度センサ24が本来有している感度を低下させることができる。また、図25〜図27を参照して説明した刈刃48のアンバランスに起因した大きな上下振動に対して、加速度センサ24が本来有している感度を低下させることができる。
【0068】
図32のフローチャートは、100Hzよりも低い低周波数域での加速度によるキックバックなどの検出と、図25〜図27を参照して説明した刈刃48のアンバランス検出とを共通のしきい値を用いて行う処理の一例を示す。図32のフローチャートにおいて、ステップS21〜S27は、図23のステップS1〜S7に対応していることから、図32の各ステップS21〜S27の各ステップでの処理の説明を省略して、特徴部分を説明する。ステップS24(図32)の加速度ピークの周波数域の区分けにおいて、NOつまり加速度ピークが100Hz以上の高周波数域にあるときには、ステップS26に進んで、この高周波数域の加速度ピークが共通しきい値と対比され、高周波数域の加速度ピークが共通しきい値以上のときには、ステップS27に進んで、コントローラ26から安全信号が例えば5秒間継続される。この安全信号により前述したようにエンジンが停止及び/又はブレーキが締結されて刈刃48の回転が停止される。ステップS26の共通しきい値は、100Hzよりも低い周波数での加速度ピークに対しても適用され、キックバックや作業者の転倒などの検出に用いられるのは、先に図23のフローチャートで説明した通りである。
【0069】
上述したように、加速度センサ24の上下方向に対して傾斜して配置することで、刈刃48のアンバランスによる上下振動に対してセンサ24の感度が、本来の感度よりも低下しているため、刈刃48のアンバランスによる加速度ピークの値は実際よりも低い値になる。その一方で、100Hzよりも低い周波数域での加速度ピークの増幅率として、キックバックなどによる加速度ピークが、上述した刈刃48のアンバランスによる加速度ピークの値とほぼ同じになるように増幅率を設定することで、共通のしきい値で、刈刃48のアンバランス発生の検出及びキックバックなどの発生の検出を行うことができる。このことは、加速度センサ24として一軸式のセンサを採用した場合に限らず、二軸式や三軸式のセンサを採用したときであっても同様である。
【0070】
図32のフローチャートを参照した上述の一連の処理において、100Hz以上の高周波数域の加速度ピーク及び100Hzよりも低い低周波数域の加速度ピークを共通のしきい値と対比するようにしたが(S26)、図33に示すように、100Hzよりも低い低周波数域の加速度ピークを第1しきい値と対比させ、100Hz以上の高周波数域の加速度ピークを第2しきい値と対比させるようにしてもよい(図33のステップS28)。この第2しきい値の設定は、図24を参照して前述したように、図1の14Gよりも大きく、アンバランス状態での上記24G(図25)よりも小さい値が上記第2しきい値として設定される。これにより、作業中に刈刃48にアンバランスが発生したことを検出することができる。
【0071】
図34のフローチャートは、図32のフローチャートで説明した処理の変形例を示す。この図34のフローチャートに例示の処理にあっては、ステップS31で加速度センサ24から取り込んだ加速度情報から100Hzよりも低い低周波数域の加速度であるか又は100Hzよりも高い高周波数域の加速度であるかを区別し(S32)、次いでステップS33において、加速度情報の加速度が低周波数域であるか否かの判断が行われる。このステップS33でYESつまり低周波数域の加速度であるときにはステップS34に進んで、この低周波数域の加速度情報から加速度のピークを求める演算処理が行われ、次いで、この加速度ピークを増幅する増幅処理が行われる(S35)。
【0072】
他方、上記ステップS33においてNOつまり高周波数域の加速度であるときにはステップS36に移行して、このステップS36で、この高周波数域の加速度情報から加速度のピークを求める演算処理が行われる。
【0073】
ステップS35で増幅処理した低周波数域の加速度ピーク及びステップS36で高周波数域の加速度の加速度情報から求めた加速度ピークは、ステップS37において共通のしきい値と対比され、低周波数域及び/又は高周波数域の加速度ピークがしきい値以上であるときには、ステップS38に進んで、安全信号が生成され、この安全信号がコントローラ26から出力される。この図34において、100Hz以上の高周波数域の加速度ピーク及び100Hzよりも低い低周波数域の加速度ピークを共通のしきい値と対比するようにしたが(S37)、変形例として、図33のフローチャートを参照して前述したように、100Hzよりも低い低周波数域の加速度ピークを第1しきい値と対比させ、100Hz以上の高周波数域の加速度ピークを第2しきい値と対比させるようにしてもよい。
【0074】
また、上述した刈払機100によれば、ビス50を弛めることにより、加速度センサ24の衝撃受け面の傾斜角度θ2を調整できるため、仮にユーザが実際に刈払機100を使用して、もう少し安全装置がエンジン振動や刈刃48のアンバランスに伴う振動に対して鈍感の方が良いのであれば、加速度センサ24が上下方向Vに対して起立した状態に近づく傾斜姿勢になる図14の仮想線で示す第2傾斜位置にセットし直すことで、このユーザの要望を満足させることができる。
【0075】
上述した実施例の刈払機100にあっては、作業者が予期しない危険な状況に陥るのを回避するために又はこれに加えて刈刃48のアンバランス発生の際にエンジン14を停止するようにしたが、これに代えて又はエンジン停止と共に刈刃48の回転を直接的又は間接的に強制停止するようにブレーキ機構を設けてもよい。
【0076】
図35は、遠心クラッチ42と減衰ダンパ44との間にブレーキ52が設けられ、このブレーキ52のアクチュエータ54(機能停止手段)に安全信号を供給して遠心クラッチ42の出力に制動力を付与して刈刃48の回転を強制停止するようにしてある。なお、この図35の例では、コントローラ26が生成した安全信号を外部機器に供給する例を示す。外部機器とは例えば通信手段であり、コントローラ26から安全信号を受け取ると外部機器によって例えば作業者を雇用又は管理する作業又は業務管理会社や家族の携帯電話に通報が発信される。
【0077】
図36は、制御対象に関する他の例を示す。この図36の例では、刈刃部6においてベベルギア46の直ぐ上流側にブレーキ60を設け、コントローラ26からの安全信号をブレーキ60のアクチュエータ62(刈刃の機能停止手段)に入力してベベルギア46の直ぐ上流部に制動力を加えて刈刃48の回転を強制停止するようにしてもよい。このベベルギア46の直ぐ下流に刈刃48が位置しているため、刈刃48の回転を直接的に強制停止することができる。この図36の例に関する変形例として、操作チューブ2の先端部に機能停止手段としてのブレーキを設け、このブレーキで動力伝達シャフト40の先端部に制動力を加えることで刈刃48の回転を直接的に停止させるようにしてもよい。
【0078】
加速度センサ24は駆動源部4の任意の箇所、例えばエンジンカバー12の内面や駆動源部4のデッドスペースに設置してもよいのは勿論であるが、加速度センサ24の設置箇所は、駆動源部4に限定されない。上述したように刈払機100やこれを操作することに伴う固有の振動の加速度ピークが現れる振動数域と、予期しない危険な状況に陥る可能性のある状態で加速度ピークが現れる振動数域とを区別できるのであれば、ハンドル8(図13)に設けてもよいし、操作チューブ2の例えば先端部に設けてもよい。
【0079】
図37〜図39は操作チューブ2の先端部に加速度センサ24を設けた例であり、この場合にあっても、安全制御対象としてエンジンを停止してもよいし(図37)、遠心クラッチ42と減衰ダンパ44との間のブレーキ52によってエンジン出力に制動を加えるようにしてもよいし(図38)、刈刃部6のベベルギア46に対する入力に対して制動力を加えることで刈刃48の回転を直接的に停止するようにしてもよい(図39)。
【0080】
加速度センサ24は、その衝撃受け面(ピックアップ面)と直交する軸が、加速度センサ24の検出軸DAである。したがって、検出軸DAを上下方向に傾斜して配置するときに、加速度センサ24の衝撃受け面の向きに関して自由度がある。図40は、加速度センサ24の検出軸DAの上下方向に対して斜めに配置する場合に、加速度センサ24の衝撃受け面の向きに関する自由度を説明するための図である。図40に書いてある「左右」「前後」「上下」について刈払機100を例に説明すると、「左右」は草刈り作業中に作業者によって操作される刈刃48の移動方向を意味している。「前後」は概略的には操作チューブ2の延び方向を意味している。「上下」とは、単一気筒の内燃エンジン14を搭載した刈払機100を例に説明すれば、内燃エンジン14のシリンダボアの軸線方向を意味している。
【0081】
加速度センサ24の衝撃受け面を水平面に置き、この加速度センサ24の前後方向の軸線を中心に加速度センサ24を回転させれば、加速度センサ24の検出軸DAを上下方向に対して傾斜させることができる。この第1例では、加速度センサ24は上下方向の加速度及び左右方向の加速度を検出することができる。他の例として、水平面に衝撃受け面を置いた加速度センサ24の左右方向の軸線を中心に加速度センサ24を回転させれば、加速度センサ24の検出軸DAを上下方向に対して傾斜させることができる。この第2の例では、加速度センサ24は上下方向の加速度及び前後方向の加速度を検出することができる。勿論、第1、第2の例を合体させれば、加速度センサ24は左右方向、前後方向、上下方向の3方向の加速度を検出することができる。
【0082】
以上、添付の図面に基づいて本発明の実施例及びその変形例を説明したが、刈払機100の駆動源は内燃エンジンに限らず電動モータであってもよい。また、肩掛けベルト式の刈払機100を例示して実施例を説明したが、駆動源部4を背中に背負って作業を行う背負い式の刈払機に対しても本発明を適用することができる。ただし、背負い式の刈払機の場合には、作業者の背中に背負う駆動源部4以外の加速度センサ24は、操作チューブ2やハンドル8など部位を選択することでキックバック現象を検出することができる。また、チェーンソーやヘッジトリマにあっても、本発明を適用可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0083】
100 刈払機
2 操作チューブ
4 駆動源部
6 刈刃部
8 ハンドル
10 スロットルレバー
12 エンジンカバー
14 エンジン
16 燃料タンク
18 点火プラグ
20 リコイルスタータ
22 衝撃検出ボックス
24 加速度センサ
26 コントローラ
30 高電圧発生回路
32 安全装置
34 フィルタ処理手段
36 増幅処理手段
38 判定手段
40 動力伝達シャフト
42 遠心クラッチ
44 減衰ダンパ
46 ベベルギア
48 刈刃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速度センサからの加速度情報に基づいて予期しない危険な状況に陥る可能性のある状態にあると判断したときに作業機に含まれる刃物の動きを停止する作業機であって、
作業機に取り付けられた加速度センサと、
該加速度センサから加速度情報を受け取って、該加速度情報に含まれる加速度のピークを求める加速度ピーク演算手段と、
該加速度ピーク演算手段により求めた加速度ピークが、予期しない危険な状況に陥る可能性のある状態のときに加速度ピークが現れる第1周波数域にあるか否かを判断する周波数域判断手段と、
該周波数域判断手段により前記加速度ピークが前記第1周波数域にあると判断されたときに、該加速度ピークをしきい値と比較する比較手段と、
該比較手段により、前記加速度ピークがしきい値以上であるときに、前記作業機に含まれる刃物の動きを直接的又は間接的に停止させるための機能停止手段に安全信号を出力して、前記刃物の動きを停止させる出力手段とを有する安全装置付き作業機。
【請求項2】
前記比較手段により比較処理を行う前に、前記第1周波数域にある前記加速度ピークを増幅する増幅手段を更に有する、請求項1に記載の安全装置付き作業機。
【請求項3】
加速度センサからの加速度情報に基づいて、予期しない危険な状況に陥る可能性のある状態にあると判断したときに作業機に含まれる刃物の動きを停止する作業機であって、
作業機に取り付けられた加速度センサと、
該加速度センサから加速度情報を受け取って、該加速度情報に含まれる加速度の周波数から、予期しない危険な状況に陥る可能性のある状態のときに加速度ピークが現れる第1周波数域の加速度情報を抽出する一方で、作業機の固有の振動又は当該作業機の操作に伴う加速度のピークが現れる第2周波数域の加速度情報を除外するフィルタ手段と、
前記フィルタ手段により抽出した前記第1周波数域の加速度情報から加速度ピークを求める加速度ピーク演算手段と、
該加速度ピーク演算手段により求めた加速度ピークをしきい値と比較する比較手段と、
該比較手段により、前記加速度ピークがしきい値以上であるときに、前記作業機に含まれる刃物の動きを直接的又は間接的に停止させるための機能停止手段に安全信号を出力して、前記刃物の動きを停止させる出力手段とを有する安全装置付き作業機。
【請求項4】
前記比較手段により比較処理を行う前に、前記第1周波数域にある前記加速度ピークを増幅する増幅手段を更に有する、請求項3に記載の安全装置付き作業機。
【請求項5】
加速度センサからの加速度情報に基づいて、予期しない危険な状況に陥る可能性のある状態にあると判断したときに作業機に含まれる刃物の動きを停止する作業機を前提として、
刃物を駆動する駆動源が配置された駆動源部に搭載された内燃エンジンと、
前記駆動源部に取り付けられた加速度センサであって、前記内燃エンジンのシリンダボアの軸線方向に対して検出軸が斜めに位置するように配置された加速度センサと、
該加速度センサから加速度情報を受け取って、該加速度情報から加速度のピークを求める演算手段と、
該演算手段により求めた加速度ピークが、予期しない危険な状況に陥る可能性のある状態のときに加速度ピークが現れる第1周波数域にあるか否かを判断する周波数域判断手段と、
該周波数域判断手段により、前記加速度ピークの周波数が前記第1周波数域にあると判断されたときに、該第1周波数域の加速度ピークを増幅する増幅手段と、
該増幅手段により増幅された前記第1周波数域の加速度ピークと第1しきい値を比較する第1比較手段と、
前記周波数域判断手段により前記加速度ピークの周波数が前記第1周波数域外の周波数域にあると判断された当該加速度ピークを第2しきい値と比較する第2比較手段と、
前記第1、第2の比較手段により、前記第1周波数域の加速度ピークが第1しきい値以上又は前記第1周波数域外の周波数域の加速度ピークが第2しきい値以上であるときに、前記作業機に含まれる刃物の動きを停止させるための機能停止手段に安全信号を出力して、前記刃物の動きを停止させる出力手段とを有する安全装置付き作業機。
【請求項6】
前記第1、第2のしきい値が共通のしきい値である、請求項5に記載の安全装置付き作業機。
【請求項7】
加速度センサからの加速度情報に基づいて、予期しない危険な状況に陥る可能性のある状態にあると判断したときに作業機に含まれる刃物の動きを停止する作業機であって、
刃物を駆動する駆動源が配置された駆動源部に搭載された内燃エンジンと、
前記駆動源部に取り付けられた加速度センサであって、前記内燃エンジンのシリンダボアの軸線方向に対して検出軸が斜めに位置するように配置された加速度センサと、
該加速度センサから加速度情報を受け取って、該加速度情報の加速度の周波数が、予期しない危険な状況に陥る可能性のある状態のときに加速度ピークが現れる第1周波数域にあるか又はそれ以外の周波数域にあるかを区別する周波数域区別手段と、
前記第1周波数域にある前記加速度情報から加速度のピークを求める第1演算手段と、
該第1周波数域にある前記加速度情報から加速度のピークを増幅する増幅手段と、
前記第1周波数域ではない周波数域にある加速度情報から加速度のピークを求める第2演算手段と、
前記増幅手段により増幅された前記第1周波数域の加速度ピークを第1しきい値と比較する第1比較手段と、
前記第2演算手段により求めた前記第1周波数域外の周波数域の加速度ピークを第2しきい値と比較する第2比較手段と、
前記第1、第2の比較手段により、前記第1周波数域の加速度ピークが第1しきい値以上又は前記第1周波数域外の周波数域の加速度ピークが第2しきい値以上であるときに、前記作業機に含まれる刃物の動きを直接的又は間接的に停止させるための機能停止手段に安全信号を出力して、前記刃物の動きを停止させる出力手段とを有する安全装置付き作業機。
【請求項8】
前記第1、第2のしきい値が共通のしきい値である、請求項7に記載の安全装置付き作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2010−268730(P2010−268730A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123598(P2009−123598)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(509264132)株式会社やまびこ (65)
【Fターム(参考)】