説明

安定な液体配合物

本発明は、式(I)のアニオン性染料の塩及び遊離酸と、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノールとを含むアニオン性ジスアゾ染料の濃縮された水性溶液、並びにヒドロキシル含有基材を着色及び/又は印刷するため、そしてインクジェットインクを製造するためのこれらの溶液の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濃縮された、貯蔵安定性を有する水性染料溶液、特に、アニオン性ジスアゾ染料を含む、濃縮された、貯蔵安定性を有する水性染料溶液に関する。本発明は、特に、紙、例えば、カード又はボードを着色及び印刷するために、適切な場合には水で希釈した後、本発明の濃縮された染料溶液を使用することに関する。本発明は、同様に、本発明の濃縮された染料溶液を用いることにより、印刷インクを製造すること、特にインクジェット印刷インクを製造することに関する。
【背景技術】
【0002】
工業着色及び印刷は、通常、水性媒体において実施される。従って、粉状の染料は、印刷及び着色用にそれらを用いるべく、通常、温水又は熱水に、最初に溶解させなければならない。
【0003】
計量システムが近年改良され、染料を、質量又は容積により制御して添加し、そしてそれらは、粉末又は顆粒の代わりに安定な染料溶液を要求することが多い。
【0004】
上記染料溶液はまた、ほこりを払う必要がなく、且つ高価な溶解操作を要求しない優位性を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記溶液は、輸送又は貯蔵の際に沈殿しないように、一定の安定性を有するべきである。概して、上記溶液は、0〜5℃の間、また約50℃において、長期間、安定であるべきである。同様に、冷凍された溶液は、解凍後に安定であるべきであり、そしてポンピングの際に安定性の課題が存在すべきではない。沈殿物を含む溶液により、ポンプ又は計量システムが壊れ、そして許容できない装置の操業停止と、高価な洗浄及び保守が必要になる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本発明は、次の式(I):
【化1】

のアニオン性染料の塩及び/又は遊離酸と、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノールとを含むアニオン性ジスアゾ染料の濃縮された水性溶液を提供する。
【0007】
式(I)の染料は、公知である(CI.Direct Yellow 157;C.I.Constitution Number C.I.13965;CAS Registry Number 72705−26−1)。
本発明に従う溶液は、5重量%〜40重量%の式(I)の染料、特に5重量%〜20重量%、最も好ましくは10重量%〜12重量%の式(I)の染料を含む。
【0008】
本発明に従う溶液は、追加の成分、例えば、水溶性の有機可溶化剤及び/又は殺生物剤を含むことができる。
好適な水溶性の有機可溶化剤は、例えば、ウレア、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、水混和性多価アルコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、アルカノールアミン、例えば、エタノールアミン、トリエタノールアミンである。好ましい水溶性の有機可溶化剤は、ウレアである。
【0009】
従って本発明は、さらなる態様では、次の式(I):
【化2】

のアニオン性染料の塩及び/又は遊離酸と、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノールと、水溶性の有機可溶化剤とを含むアニオン性ジスアゾ染料の濃縮された水性溶液に関する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
好適な水溶性の有機可溶化剤は、それらが添加される場合には、1重量%〜6重量%、好ましくは1重量%〜4重量%の量において、さらに好ましくは2重量%〜4重量%の量において、そして最も好ましくは2重量%〜3重量%の量において添加される。
【0011】
ウレアである好ましい好適な水溶性の有機可溶化剤が添加される場合、当該ウレアは、1重量%〜6重量%、好ましくは1重量%〜4重量%の量において、さらに好ましくは2重量%〜4重量%の量において、そして最も好ましくは2重量%〜3重量%の量において添加される。
【0012】
任意の殺生物剤が好適である。しかし、FDA及び/又はBGVVに承認された殺生物剤を用いることが好ましい。グラム陽性若しくはグラム陰性菌、酵母又は真菌の成長を抑制することができる殺生物剤を、本発明の溶液内で用いることができる。好適な殺生物剤は、例えば、チアゾール−3−オン誘導体、例えば、アルキル及び/又は塩素化チアゾール−3−オン誘導体、並びにそれらの混合物である。概して、上記殺生物剤は、上記組成物の15ppm〜1000ppmの量で用いられる;50ppm〜500ppm(既に製造した組成物当たりの重量部)が特に好ましい。
【0013】
本発明の濃縮された溶液は、式(I)の遊離の染料の酸を、水及び2−(2−ブトキシエトキシ)エタノールの混合物と、均一の溶液状態まで攪拌することにより一般的に製造される。
【0014】
本発明に従う染料溶液を調製するために、式(I)の染料は、好ましくは、溶液を供給するための脱塩水に溶解し、そして20〜50℃(好ましくは30〜45℃)の温度、及び10〜40バール(さらに好ましくは20〜30バール)の圧力において、膜ろ過によりダイアフィルターし、次いである重量まで濃縮する。上記濃縮された染料溶液を、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール及び所望による水溶性の有機可溶化剤、並びに必要に応じた殺生物剤と混合し、そして脱塩水で所望の濃度に希釈し、そして均一になるまで攪拌する。得られた溶液は、次の条件:14日、0〜5℃、25℃及び50℃の下、増粘及び分離のいずれもせず、貯蔵において安定である。
【0015】
本発明の安定な溶液は、1重量%以上且つ8重量%以下の(2−(2−ブトキシエトキシ)エタノールを含むことが好ましい。本発明の安定な溶液は、2重量%以上且つ5重量%以下の(2−(2−ブトキシエトキシ)エタノールを含み、本発明に従う染料溶液は、3〜5重量%の(2−(2−ブトキシ−エトキシ)エタノールを含む。
【0016】
上記溶液は、概して、下記;
10〜12重量%のアニオン性染料(遊離酸として計算される);
1〜8重量%の2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール;及び
8〜89重量%の水:
を含むことが好ましい。
【0017】
本発明の溶液が、可溶化剤をさらに含む場合、本発明に従う溶液の組成は、下記;
10〜12重量%のアニオン性染料(遊離酸として計算される);
1〜8重量%の(2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール;
1〜6重量%の水溶性の有機可溶化剤;及び
74〜88重量%の水:
であることが好ましい。
【0018】
本発明の溶液は、好ましくは下記;
10〜12重量%のアニオン性染料(遊離酸として計算される);
2〜5重量%の2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール;
1〜4重量%の水溶性の有機可溶化剤;及び
79〜87重量%の水:
を含む。
【0019】
本発明のさらに好ましい溶液は、下記;
10〜12重量%のアニオン性染料(遊離酸として計算される);
2〜5重量%の(2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール;
2〜3重量%の水溶性の有機可溶化剤;及び
80〜86重量%の水:
を含む。
【0020】
本発明の溶液が好ましい可溶化剤をさらに含む場合には、本発明に従う溶液の組成は、一般的に、下記;
10〜12重量%のアニオン性染料(遊離酸として計算される);
1〜8重量%の(2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール;
1〜6重量%のウレア;及び
74〜88重量%の水:
であることが好ましい。
【0021】
本発明の溶液は、下記;
10〜12重量%のアニオン性染料(遊離酸として計算される);
2〜5重量%の2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール;
1〜4重量%のウレア;及び
79〜87重量%の水:
を含むことが好ましい。
【0022】
本発明のさらに好ましい溶液は、下記;
10〜12重量%のアニオン性染料(遊離酸として計算される);
2〜5重量%の(2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール;
2〜3重量%のウレア;及び
80〜86重量%の水:
を含む。
【0023】
本発明の濃縮された溶液は、室温及び室温未満の温度(例えば、0〜5℃)において、顕著に低粘度であり、そして貯蔵における顕著に優れた安定性を有する。詳細には、本発明の濃縮された溶液は、2日間、−20℃で冷凍した場合でさえも安定であり、そして解凍後、それらは、0〜5℃、又は25℃及び50℃において、14日間、沈殿の兆候なく、安定のままである。本発明に従う濃縮された溶液の粘度は、凍結直前まで冷却させた場合であっても、ほんのわずかにのみ上昇し、その結果、それらは、低温並びに通常の温度において、容易に測定可能である。
【0024】
本発明の濃縮された染料溶液は、ヒドロキシル含有基材を着色及び/又は印刷するために、適切な場合は水で希釈した後に用いられる。詳細には、本発明の溶液は、カード及びボードを含む紙を着色するために用いられ、これらの材料は、例えば、コーティング又はディッピングによりパルプを着色することができる。加えて、上記液体配合物はまた、繊維材料、特にセルロースのための連続又はバッチ着色工程向けに用いられうる。
【0025】
本発明はまた、適切な場合には水で(さらに)希釈した後に、本発明の濃縮された染料溶液で着色及び/又は印刷したヒドロキシル含有基材を含む。詳細には、本発明はまた、本発明の濃縮された染料溶液で着色及び/又は印刷した紙(例えば、カード及びボード)を含む。加えて、上記液体配合物はまた、繊維材料、特にセルロース用の連続又はバッチ着色工程向けに用いられうる。
【0026】
さらに、本発明の濃縮された染料溶液は、水性及び非水性のインクジェットインク、並びにホットメルトインクにおける着色剤として有用である。
インクジェットインクは、一般的に、総計0.5〜15重量%、そして好ましくは1.5重量%〜8重量%(ドライと計算される、すなわち、純粋な染料含有率として計算される)の1種又は2種以上の本発明の濃縮された染料溶液を含む。
【0027】
マイクロエマルションインクは、追加のヒドロトロープな物質(hydrotropic substance)と共に、又は追加のヒドロトロープな物質を伴わず、有機溶媒及び水に基づく。マイクロエマルションインクは、一般に、0.5重量%〜15重量%、好ましくは1.5重量%〜8重量%の1種又は2種以上の本発明の濃縮された染料溶液と、5重量%〜99重量%の水と、0.5重量%〜94.5重量%の有機溶媒及び/又はヒドロトロープな化合物とを含む。
【0028】
溶媒型(solvent−borne)インクジェットインクは、好ましくは0.5重量%〜15重量%の1種又は2種以上の本発明の濃縮された染料溶液と、85重量%〜99.5重量%の有機溶媒及び/又はヒドロトロープな化合物とを含む。
【0029】
ホットメルトインクは、室温で固体であり、そして加熱の際に溶融する、ワックス、脂肪酸、脂肪アルコール又はスルホンアミドに基づくのが通常であり、好ましい溶融範囲は、約60℃〜約140℃である。ホットメルトインクジェットインクは、例えば、20重量%〜90重量%のワックスと、1重量%〜10重量%の1種又は2種以上の本発明の濃縮された染料溶液とから本質的になる。それらは、0重量%〜20重量%の追加のポリマー(染料ディソルバーとして)、0重量%〜5重量%の分散助剤、0重量%〜20重量%の粘度調整剤、0重量%〜20重量%の可塑剤、0重量%〜10重量%の粘着剤、0重量%〜10重量%の透明性安定化剤(例えば、ワックスの結晶化を予防する)、及び0重量%〜2重量%の酸化防止剤をさらに含むことができる。本発明の濃縮された染料溶液は、添加剤向けだけでなく減色生成向けのカラーフィルター用の着色剤として、そして電子インク(e−ink)又は電子ペーパー(e−paper)向けの着色剤としてさらに有用である。
【実施例】
【0030】
続く例により、本発明を具体的に説明する。明細書及び例中の全ての%データは、特に明記しない限り、重量%(=%w/w)と理解されるべきである。貯蔵安定性試験の場合、調製された溶液は、等しいサイズの3つの部分に分け、そして3つの部分は、それぞれ、3種の異なる試験の1種を受けた:試験1:14日、0〜5℃、試験2:14日、25℃及び試験3:14日、50℃。
【0031】
[例1]
次の式(I):
【化3】

の染料660gを、4200mLの脱塩水に溶解し、4500mL(4860g)の溶液を得て、そして40℃の温度及び20バールの圧力において膜ろ過によりダイアフィルターし、次いで、4125g(3750mL)の重量まで濃縮した。
【0032】
次いで、423gの濃縮された染料溶液を、20gの2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール(4%w/w)と、10gのウレア(2%w/w)と、0.75gの殺生物剤(0.15%)(Proxel GXL TM;Proxelは、Zeneca AG Products,Inc.の商標であり、そして1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(CAS No.:2634−33−5)を含む)と混合し、そして脱塩水で500gまで希釈し、そして均一になるまで攪拌した。
得られた溶液は、次の条件:14日、0〜5℃、25℃及び50℃の下、増粘及び分離のいずれもせず、貯蔵において安定であった。
【0033】
[例2]
次いで、423gの濃縮された染料溶液を、20gの2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール(4%w/w)と、15gのウレア(3%w/w)と、0.75gの殺生物剤(0.15%)(Proxel GXL TM;Proxelは、Zeneca AG Products,Inc.の商標であり、そして1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(CAS No.:2634−33−5)を含む)と混合し、そして脱塩水で500gまで希釈し、そして均一になるまで攪拌した。
得られた溶液は、次の条件:14日、0〜5℃、25℃及び50℃の下、増粘及び分離のいずれもせず、貯蔵において安定であった。
【0034】
[例3]
次いで、423gの濃縮された染料溶液を、20gの2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール(4%w/w)と、20gのウレア(4%w/w)と、0.75gの殺生物剤(0.15%)(Proxel GXL TM;Proxelは、Zeneca AG Products,Inc.の商標であり、そして1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(CAS No.:2634−33−5)を含む)と混合し、そして脱塩水で500gまで希釈し、そして均一になるまで攪拌した。
得られた溶液は、次の条件:14日、0〜5℃、25℃及び50℃の下、増粘及び分離のいずれもせず、貯蔵において安定であった。
【0035】
[比較例1]
次いで、423gの濃縮された染料溶液を、15gの2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール(3%w/w)と、0.75gの殺生物剤(0.15%)(Proxel GXL TM;Proxelは、Zeneca AG Products,Inc.の商標であり、そして1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(CAS No.:2634−33−5)を含む)と混合し、そして脱塩水で500gまで希釈し、そして均一になるまで攪拌した。
得られた溶液は、0〜5℃試験の下で数日後に分離し、貯蔵において安定ではなかった。
【0036】
[比較例2]
次いで、423gの濃縮された染料溶液を、25gの2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール(5%w/w)と、0.75gの殺生物剤(0.15%)(Proxel GXL TM;Proxelは、Zeneca AG Products,Inc.の商標であり、そして1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(CAS No.:2634−33−5)を含む)と混合し、そして脱塩水で500gまで希釈し、そして均一になるまで攪拌した。
得られた溶液は、0〜5℃試験の下で数日後に分離し、貯蔵において安定ではなかった。
【0037】
[比較例3]
次いで、423gの濃縮された染料溶液を、50gの2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール(10%w/w)と、0.75gの殺生物剤(0.15%)(Proxel GXL TM;Proxelは、Zeneca AG Products,Inc.の商標であり、そして1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(CAS No.:2634−33−5)を含む)と混合し、そして脱塩水で500gまで希釈し、そして均一になるまで攪拌した。
得られた溶液は、0〜5℃試験の下で数日後に分離し、貯蔵において安定ではなかった。
【0038】
[比較例4]
次いで、423gの濃縮された染料溶液を、25gのウレア(5%w/w)と、0.75gの殺生物剤(0.15%)(Proxel GXL TM;Proxelは、Zeneca AG Products,Inc.の商標であり、そして1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(CAS No.:2634−33−5)を含む)と混合し、そして脱塩水で500gまで希釈し、そして均一になるまで攪拌した。
得られた溶液は、0〜5℃試験の下で1週間の後に分離し、貯蔵において安定ではなかった。
【0039】
[比較例5]
次いで、423gの濃縮された染料溶液を、20gの2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール(4%w/w)と、10gのJeffamin T 403(2%w/w)(Jeffamin T 403は、Huntsman Corp.の商標である(CAS No.:9423−51−3))と、0.75gの殺生物剤(0.15%)(Proxel GXL TM;Proxelは、Zeneca AG Products,Inc.の商標であり、そして1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(CAS No.:2634−33−5)を含む)と混合し、そして脱塩水で500gまで希釈し、そして均一になるまで攪拌した。
得られた溶液は、全ての試験の下、約1週間の後に分離し、貯蔵において安定ではなかった。
【0040】
[比較例6]
次いで、423gの濃縮された染料溶液を、15gの2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール(3%w/w)と、15gのJeffamin T 403(3%w/w)(Jeffamin T 403は、Huntsman Corp.の商標である(CAS No.:9423−51−3))と、0.75gの殺生物剤(0.15%)(Proxel GXL TM;Proxelは、Zeneca AG Products,Inc.の商標であり、そして1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(CAS No.:2634−33−5)を含む)と混合し、そして脱塩水で500gまで希釈し、そして均一になるまで攪拌した。
得られた溶液は、全ての試験の下、約1週間の後、分離し、貯蔵において安定ではなかった。
例1及び比較例1〜6の試験を、殺生物剤なしで繰り返した。差は見出されなかった。
【0041】
[着色処方A]
70部の化学漂白された松材スルファイトセルロースと、30部の化学漂白されたカンバ材スルファイトセルロースとを、ホランダー内の2000部の水の中で叩解した。例1の液体染料調製物1.5部を紙料に添加した。20分の混合時間の後、それから紙を抄いた。この方式で得られた吸収紙は、帯黄色のカラーを有していた。
【0042】
[着色処方B]
例1の液体染料調製物1.5部を、ホランダー内で2000部の水を用いて叩解した、化学漂白されたスルファイトセルロース100部に添加した。15分間の混合の後、樹脂サイズ及び硫酸アルミニウムを用いて慣用のサイジングを行った。この材料から抄いた紙は、それぞれのケースにおいて、帯黄色の色合いを示した。
【0043】
[着色処方C]
アンサイズペーパーの吸収性ウェブを、水95部と、例1の本発明の染料溶液5部とから成る水性染料溶液に、40〜50℃で通した。
過剰量の染料溶液を、2つのロールで絞った。紙の乾燥したウェブは、それぞれのケースにおいて、帯黄色のカラーを有していた。
【0044】
[着色処方D]
例1の着色調製物5部を、室温において、4000部の軟水に計量しながら供給した。100部の事前に湿潤させた綿織物を浴に導入し、続いて、30分にわたり、沸騰するまで加熱した。上記浴を、1時間の間、沸騰を保ち、その間、時折、蒸発した水を補った。次いで、着色物を液体から取り出し、水ですすぎ、そして乾燥した。得られた着色物は、帯黄色のカラーを有していた。
【0045】
[着色処方E]
新たになめされ且つ中和されたクロムグレインレザー100部を、水250部(55℃)と、例1に従って調製された染料調製物0.5部とのフロート内で30分間たたきつけ、そしてスルホネート化魚油に基づくアニオン性脂肪液体2部を用いて同一の浴内でさらに30分間処理した。上記レザーは、慣例に従って乾燥され、そして仕上げられた。得られたレザーは、平坦な帯黄色の色合いを有していた。
さらに低い親和性の、植物再なめしレザー(vegetable−retanned leather)を、公知の方法に従って、同様に着色することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の式(I):
【化1】

のアニオン性染料の塩及び/又は遊離酸と、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノールと、水溶性の有機可溶化剤とを含む濃縮された水性溶液。
【請求項2】
式(I)の染料を5重量%〜40重量%含むことを特徴とする、請求項1に記載の濃縮された水性溶液。
【請求項3】
10〜12重量%の式(I)のアニオン性染料(遊離酸として計算される);
1〜8重量%の2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール;
1〜6重量%の水溶性の有機可溶化剤;及び
74〜88重量%の水:
を含むことを特徴とする、請求項2に記載の濃縮された水性溶液。
【請求項4】
前記水溶性の有機可溶化剤がウレアであることを特徴とする、請求項1に記載の濃縮された水性溶液。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の濃縮された水性溶液を含むことを特徴とするインクジェットインク。
【請求項6】
ヒドロキシル含有基材を着色及び/又は印刷するための、並びにインクジェットインクを製造するための、請求項1〜4のいずれか一項に記載の濃縮された水性溶液の使用。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の濃縮された水性溶液で着色又は印刷されていることを特徴とするヒドロキシル含有基材。
【請求項8】
紙であることを特徴とする、請求項7に記載のヒドロキシル含有基材。

【公表番号】特表2010−528145(P2010−528145A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508832(P2010−508832)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【国際出願番号】PCT/EP2008/056220
【国際公開番号】WO2008/142089
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(397054015)クラリアント ファイナンス (ビーブイアイ) リミティド (9)
【Fターム(参考)】