説明

安定化回路および安定化方法

【課題】多段接続された複数のスイッチング電源を含む電源システムの動作の安定性を向上させる。
【解決手段】変圧部は、外部電圧源からの電圧を降圧して複数のスイッチング電源へ出力する。また、制御部は、変圧部から出力された電圧とあらかじめ設定された基準電圧と外部から設定された増幅度とに基づいて、制御電圧を生成して出力する。変調部は、この制御電圧に基づいて、スイッチ部のオンとオフとのタイミング比を示すスイッチ制御信号を生成して出力する。スイッチ部は、このスイッチ制御信号が示すタイミング比で負荷に対する電圧の出力を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定化回路および安定化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路であるLSI(Large Scale Integration)の低消費電力化に伴い、当該LSIに対する入力電圧値の低電圧化が進められている。それにより、LSIへ電圧を供給する電源システムにおいてもLSIへ供給するための出力電圧の低電圧化が進められている。
【0003】
このような電源システムの一形態として、1段のコンバータで構成した電源システムが考えられている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0004】
図7に示すように、この電源システムに設けられたAC(Alternating Current)/DC(Direct Current)コンバータ1000は、AC電圧源3000から入力した電圧値を、LSI(図示せず)の入力規格として設定された所定の電圧値へ直接変圧する。そして、AC/DCコンバータ1000は、所定の電圧値の電圧を、LSI(図示せず)と接続されたスイッチング電源2000−1、2000−2、2000−3へ中間バス1300を介して出力する。
【0005】
しかし、この電源システムにおいては、スイッチング電源2000−1、2000−2、2000−3へ出力する所定の電圧値(図7の例では、DC5V〜DC12V)がAC電圧源3000から入力する電圧値(図7の例では、AC100V)よりも非常に低い場合、AC/DCコンバータ1000において入力電圧に対する出力電圧の変圧比を非常に小さくしなければならない。そのためには、AC/DCコンバータ1000が具備するスイッチング素子(図示せず)のデューティ比を極めて小さくするか、若しくはAC/DCコンバータ1000が具備するトランスの巻数比を極めて小さくすることが必要となる。
【0006】
しかし、スイッチング素子のデューティ比を非常に小さくした場合、電圧の変換効率の低下を招いてしまうという問題点がある。また、トランスの巻数比を非常に小さくした場合、当該トランスから漏れ出す磁束が大きくなるため、やはり電圧の変換効率の低下を招いてしまうという問題点がある。
【0007】
電圧の変換効率の低下を回避しつつ、入力された電圧値よりも非常に低い所定の電圧値まで降圧する方法としては、多段接続した複数のコンバータを用いる方法がある(例えば、非特許文献1参照。)。
【0008】
この方法によれば、図8に示すように、AC/DCコンバータ1000は、AC電圧源3000から出力されてきた電圧(図8の例では、AC100V)を、図7に示したAC/DCコンバータ1000の変圧比よりも大きな変圧比で、所定の電圧値(図8の例では、DC5V〜DC12V)よりも高い電圧値(図8の例では、DC −48V)まで一旦降圧する。続いて、中間バスコンバータ1100は、AC/DCコンバータ1000によって降圧された電圧を、所定の電圧値までさらに降圧する。そして、中間バスコンバータ1100は、所定の電圧値の電圧を、LSI(図示せず)と接続されたスイッチング電源2000−1、2000−2、2000−3へ中間バス1300を介して出力する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】R.V.White、「Emerging on-board power architectures」、APEC2003、p.781−785
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、コンバータを多段接続した場合、後段のコンバータ(図8の例では、スイッチング電源2000−1、2000−2、2000−3)がその前段に接続されているコンバータ(中間バスコンバータ1100)に対して定電力負荷の役割を果たし、当該中間バスコンバータ1100から出力されてきた電圧に対して負性抵抗性を示す。
【0011】
一般的なコンバータは、降圧した電圧の出力対象となる負荷が通常の抵抗負荷であることを想定して設計されている。そのため、コンバータを多段接続して構成された電源システムにおいては、当該電源システムを安定的に動作させるために選択可能な回路定数が制限されてしまい、ひいては、これらのコンバータを含む電源システムの動作の安定性が低下してしまうという問題点がある。
【0012】
本発明は、上述した課題を解決する安定化回路および安定化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の安定化回路は、互いに直列に接続されており、後段に接続された負荷へ電圧を出力する複数のスイッチング電源のうち初段の前記スイッチング電源に設けられた安定化回路であって、オンまたはオフのいずれかの動作により、前記後段に接続された負荷への電圧の出力を制御するスイッチ部と、前記スイッチ部の制御により前記負荷への電圧の出力が可能な間、外部から当該安定化回路へ入力された電圧を降圧して当該安定化回路が設けられたスイッチング電源と接続されている前記スイッチング電源へ出力する変圧部と、前記変圧部から出力された電圧とあらかじめ設定された基準電圧と外部から設定された増幅度とに基づいて、制御電圧を生成して出力する制御部と、前記制御部から出力された制御電圧に基づいて、前記スイッチ部がオンするタイミングとオフするタイミングとの比を示すスイッチ制御信号を生成して出力する変調部とを有し、前記スイッチ部は、前記スイッチ制御信号が示すオンとオフとのタイミング比で前記負荷への電圧の出力を制御する。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の安定化方法は、互いに直列に接続されており、後段に接続された負荷へ電圧を出力する複数のスイッチング電源のうち初段のスイッチング電源を用いて前記複数のスイッチング電源を安定的に動作させる安定化方法であって、前記初段のスイッチング電源に設けられたスイッチ部のオンまたはオフのいずれかの動作により、前記後段に接続された負荷への電圧の出力を制御するスイッチ処理と、前記スイッチ処理における制御により前記負荷への電圧の出力が可能な間、外部から当該安定化回路へ入力された電圧を降圧して当該初段のスイッチング電源と接続されている前記スイッチング電源へ出力する変圧処理と、前記変圧処理により出力された電圧とあらかじめ設定された基準電圧と外部から設定された増幅度とに基づいて、制御電圧を生成して出力する制御処理と、前記制御処理により出力された制御電圧に基づいて、前記スイッチ部がオンするタイミングとオフするタイミングとの比を示すスイッチ制御信号を生成して出力する変調処理とを有し、前記スイッチ処理では、前記スイッチ制御信号が示す前記スイッチ部に対するオンとオフとのタイミング比で前記負荷への電圧の出力を制御する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、多段接続された複数のスイッチング電源を含む電源システムの動作の安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に従った電源システムの構成を示す図である。
【図2】図1に示した中間バスコンバータおよび複数のスイッチング電源それぞれの各伝達関数に対応する経路を示す図である。
【図3】中間バスコンバータの伝達関数を示す図である。
【図4】図1に示した制御部の構成を示す図である。
【図5】図4に示した増幅部の比例ゲイン(増幅度)を変化させたときの、負性抵抗と初段出力キャパシタンスとの間の特性を示す図である。
【図6】中間バスコンバータと接続されている負性抵抗が変化したときの、電源システムを安定的に動作させることが可能な比例ゲイン(増幅度)と初段出力キャパシタンスとの間の関係の一例を示す図である。
【図7】1段のコンバータだけを備える電源システムの構成の一例を示す図である。
【図8】複数のコンバータが多段接続された電源システムの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に従った電源システム(安定化回路および安定化方法を含む)を説明する。
【0018】
本実施形態の電源システムにおいては、中間バスコンバータ1と、スイッチング電源2−1〜2−nとが、中間バス4を介して多段に接続されている。スイッチング電源の台数nは任意でよいが、本実施形態では、図1に示すように、その台数nが「2」である場合について説明する。
【0019】
なお、以下では、電源システム内の中間バスコンバータ1やスイッチング電源2−1〜2−nが直列に接続されている接続位置のうち当該電源システムにて電圧を供給する外部電圧源3と最も近い接続位置を「初段」といい、外部電圧源3から2番目に近い接続位置を「2段目」という。
【0020】
図1の例では、中間バスコンバータ1が、「初段に設けられたスイッチング電源」に相当する。また、スイッチング電源2−1、2−2が、2段目に設けられたスイッチング電源に相当する。
【0021】
さらに、以下では、2段目に設けられたn台(この例では、2台)のスイッチング電源2−1〜2−nのうちk番目のスイッチング電源を、スイッチング電源2−k(k:1〜n)と表記する。なお、スイッチング電源2−1、2−2の例としては、POL(Point Of Load)コンバータが挙げられる。
【0022】
中間バスコンバータ1が有する2つの入力端子には、外部電圧源3が接続されている。また、中間バスコンバータ1が有する2つの出力端子には、スイッチング電源2−1〜2−2のそれぞれが、中間バスコンバータ1に対して互いに並列に接続されている。
【0023】
この中間バスコンバータ1は、外部電圧源3から出力されてきた電圧値Eiの電圧を入力し、その電圧を「所定の電圧値Vb」に降圧してスイッチング電源2−1、2−2のそれぞれへ出力する。
【0024】
本実施形態では、スイッチング電源2−1は、スイッチ部211が導通している間、中間バスコンバータ1から出力されてきた所定の電圧値Vbの電圧を、当該スイッチング電源2−1に対する出力負荷として接続されている負荷抵抗R21へ出力する。
【0025】
また、スイッチング電源2−2は、スイッチ部221が導通している間、中間バスコンバータ1から出力されてきた所定の電圧値Vbの電圧を、当該スイッチング電源2−2に対する出力負荷として接続されている負荷抵抗R22へ出力する。
【0026】
つぎに、中間バスコンバータ1の詳細な構成について説明する。
【0027】
中間バスコンバータ1には、安定化回路10と、ダイオード15と、ダイオード16と、基準電圧源17と、平滑化フィルタ18とが設けられている。
【0028】
安定化回路10は、外部電圧源3から出力されてきた電圧を降圧してスイッチング電源2−1、2−2へ出力する際に、中間バスコンバータ1およびスイッチング電源2−1、2−2を安定的に動作させるための回路である。
【0029】
この安定化回路10には、変圧部11と、制御部12と、変調部13と、スイッチ部14とが設けられている。
【0030】
変圧部11は、その入力側において、正極端子が外部電圧源3の正極側と接続され、負極端子がスイッチ部14と接続されている。
【0031】
また、変圧部11は、その出力側において、正極端子がダイオード15のアノードと接続され、負極端子がダイオード16のカソードと平滑キャパシタンスCiとバルクキャパシタンスCbとに接続されている。
【0032】
変圧部11は、スイッチ部14が外部電圧源3と変圧部11の入力側とを導通させた場合、外部電圧源3から出力されてきた電圧と制御部12から出力されてきた電圧とを入力し、これらの電圧を所定の電圧値Vbの電圧へ変圧してダイオード15へ出力する。
【0033】
ダイオード15は、変圧部11から出力されてきた電圧によって流れる電流を一方向のみ(当該ダイオード15のアノード側からカソード側)へ出力する。本実施形態では、ダイオード15は、当該電流を、変圧部11の出力側の正極端子から損失抵抗rLおよび平滑インダクタンスLiへ向かう方向のみへ出力する。
【0034】
ダイオード16は、ダイオード15から出力されてきた電流が変圧部11の出力側の負極端子へ流れることを防止する。
【0035】
平滑化フィルタ18は、変圧部11から出力されてきた電圧を平滑化するためのフィルタである。
【0036】
本実施形態では、平滑化フィルタ18には、平滑インダクタンスLiと、平滑キャパシタンスCiとが設けられている。なお、平滑化フィルタ18の内部には、平滑インダクタンスLiを有するコイル(図示せず)の抵抗成分である損失抵抗rLが存在する。
【0037】
平滑インダクタンスLiは、ダイオード15から出力されてきた電流の変動を抑制することで、複数のスイッチング電源2−1、2−2へ流れる電流を平滑化する。
【0038】
平滑キャパシタンスCiは、一方の端子が平滑インダクタンスLiおよび中間バスコンバータ1の出力側の正極端子と接続され、他方の端子が変圧部11の出力側の負極端子と接続されている。この平滑キャパシタンスCiは、変圧部11から出力されてきた電圧を一定値(この例では、所定の電圧値Vb)に保つ動作(いわゆる平滑化)を行う。
【0039】
制御部12は、入力側の正極端子が基準電圧源17と接続され、入力側の負極端子が平滑キャパシタンスCiと平滑インダクタンスLiとに接続されている。
【0040】
また、本実施形態では、制御部12が入力電圧を増幅する割合である「増幅度」は、「外部から設定可能」である。
【0041】
なお、この「増幅度」は、制御部12が入力した電圧と当該制御部12が出力する電圧との関係を示す伝達関数(具体的には、図3にて後述する「制御ゲインGc(s)」)に相当する。
【0042】
この制御部12は、基準電圧源17から出力されてきた「基準電圧」の基準電圧値Eriと、変圧部11から出力されてきた電圧の所定の電圧値Vbと、外部から設定された増幅度とに基づいて、スイッチ部14のデューティ比Dを制御するための「制御電圧」を生成して変調部13へ出力する。
【0043】
ここで、デューティ比Dとは、所定期間のうちのスイッチ部14のオンするタイミングとスイッチ部14のオフするタイミングとの「タイミング比」のことを指す。なお、本実施形態では、スイッチ部14の定常状態におけるデューティ比Dが、D=D1である場合を例に挙げて説明する。
【0044】
変調部13は、制御部12から出力されてきた制御電圧に基づいて、所定期間においてスイッチ部14を遮断する「オフ」のタイミングとスイッチ部14を遮断しない「オン」のタイミングとの比を示す「スイッチ制御信号」を生成してスイッチ部14へ出力する。なお、このタイミングが変化することにより、外部電圧源3から変圧部11へ入力される電圧の平均値が変化する。
【0045】
スイッチ部14は、外部電圧源3の負極側と、変圧部11の入力側の2つの端子のうち1つの端子との間に設けられている。
【0046】
スイッチ部14は、変調部13から出力されてきたスイッチ制御信号が示す当該スイッチ部14をオフするタイミングで、外部電圧源3と変圧部11との間の接続状態を非導通状態とする。
【0047】
また、スイッチ部14は、スイッチ制御信号が示す当該スイッチ部14をオンするタイミングで、外部電圧源3と変圧部11とを導通させる。この場合、外部電圧源3から出力されてきた電圧値Eiの電圧が安定化回路10内の変圧部11へ入力されて、さらに変圧部11の負荷側から降圧された電圧が出力される。
【0048】
バルクキャパシタンスCbは、中間バス4上に設けられており、その一方の端子が中間バスコンバータ1の出力側の正極端子と接続され、他方の端子が中間バスコンバータ1の出力側の負極端子と接続されている。つまり、バルクキャパシタンスCbの両端には、中間バスコンバータ1から出力されてきた所定の電圧値Vbの電圧が印加される。
【0049】
つぎに、スイッチング電源2−1、2−2の構成について説明する。スイッチング電源2−1、2−2の構成は互いに同じであるため、以下では、スイッチング電源2−1について説明する。
【0050】
スイッチング電源2−1は、スイッチ部211と、ダイオード212と、ダイオード213と、平滑用インダクタンスL21と、平滑用キャパシタンスC21と、増幅部AMP21と、直流電圧源Er21とを有する。
【0051】
スイッチ部211は、中間バスコンバータ1の出力側正極端子とダイオード212が有するアノードとの間に設けられている。スイッチ部211は、増幅部AMP21から出力されてきた電圧の電圧値に応じて、中間バスコンバータ1とダイオード212との間の接続状態を導通または非導通のいずれかの状態に制御する。
【0052】
スイッチ部211が中間バスコンバータ1とダイオード212とを導通させた場合、中間バスコンバータ1から出力されてきた所定の電圧値Vbの電圧がダイオード212のアノードへ入力される。なお、スイッチ部211の例としては、スイッチング素子が挙げられる。
【0053】
ダイオード212は、中間バスコンバータ1から出力されてきた所定の電圧値Vbの電圧によって流れる電流を一方向のみへ出力する。本実施形態では、ダイオード212は、当該電流を、スイッチ部211から損失抵抗r21および平滑インダクタンスL21へ向かう方向のみへ出力する。
【0054】
ダイオード213は、ダイオード212から出力されてきた電流が負荷抵抗R21の負極端子へ直接流れ込むことを防止する。
【0055】
平滑インダクタンスL21と平滑キャパシタンスC21とは、中間バスコンバータ1から出力されてきた所定の電圧値Vbの電圧を平滑化するための平滑化フィルタを構成する。
【0056】
平滑用インダクタンスL21は、ダイオード212から出力されてきた電流の変動を抑制することで、負荷抵抗R21へ流れる電流を平滑化する。
【0057】
平滑キャパシタンスC21は、負荷抵抗R21の両端へ印加される電圧の電圧値V1を一定にする(いわゆる平滑化)する役割を果たす。
【0058】
増幅部AMP21は、直流電圧源Er21から出力されてきた電圧Er21と、平滑キャパシタンスC21から出力されてきた電圧との差を増幅した電圧を生成してスイッチ部211へ出力する。
【0059】
つぎに、図1に示した中間バスコンバータ1へ入力される電圧と、中間バスコンバータ1から出力される電圧との関係について、図2〜図3を参照して説明する。
【0060】
なお、中間バスコンバータ1における入力電圧に対する出力電圧の割合を表す一巡伝達関数T1(s)は、図2に矢印で示す経路に対応する。なお、sは、ラプラス演算子である。
【0061】
そして、図3に示すように、この一巡伝達関数T1(s)は、制御ゲインGc(s)と、変調ゲインGPWM(s)と、変圧ゲインGvdo(s)と、入出力ゲインGvvo(s)と、負荷ゲインGvro(s)と、交流ゲイン1/P(s)とを含んでいる。
【0062】
制御ゲインGc(s)は、図1に示した制御部12における入力電圧に対する出力電圧の割合、つまり制御部12の増幅度に相当する伝達関数である。
【0063】
制御ゲインGc(s)は、基準電圧源17から出力されてきた基準電圧値ΔEri(s)と、中間バスコンバータ1から出力されてきた所定の電圧値ΔVb(s)とを入力する。そして、制御ゲインGc(s)は、基準電圧値ΔEri(s)から所定の電圧値ΔVb(s)を減算した差分を算出し、この差分と制御ゲインGc(s)とを乗算した値をGPWM(s)へ出力する。
【0064】
変調ゲインGPWM(s)は、変調部13によって制御されるスイッチ部14のデューティ比Dに応じて定まる伝達関数である。
【0065】
この変調ゲインGPWM(s)は、制御ゲインGc(s)から出力されてきた値を入力し、この値と変調ゲインGPWM(s)とを乗算した値をデューティ比ΔD(s)として変圧ゲインGvdo(s)へ出力する。
【0066】
変圧ゲインGvdo(s)は、図1に示した変圧部11の入力電圧の直流成分に対する出力電圧の直流成分の変換比に対応する伝達関数である。
【0067】
この変圧ゲインGvdo(s)は、変調ゲインGPWM(s)から出力されてきたデューティ比ΔD(s)を入力し、このΔD(s)と変圧ゲインGvdo(s)とを乗じた値を、変圧部11の出力電圧の直流成分として出力する。
【0068】
入出力ゲインGvvo(s)は、開ループにおける外部電圧源3から入力された電圧ΔEi(s)に対する変圧部11の出力電圧の割合を示す伝達関数である。
【0069】
負荷ゲインGvro(s)は、開ループにおける入力電圧に対する負荷電圧の割合を示す伝達関数である。
【0070】
交流ゲイン1/P(s)は、変圧部11へ入力された電圧の交流成分に対する変圧部11から出力される電圧の交流成分の割合を示す伝達関数であり、中間バスコンバータ1の一巡伝達関数T1(s)の分母に相当する。
【0071】
この交流ゲイン1/P(s)は、変圧ゲインGvdo(s)に付随する出力と、入出力ゲインGvvo(s)に付随する出力と、負荷ゲインGvro(s)に付随する出力とを加算した値を入力する。そして、交流ゲイン1/P(s)は、当該入力した値と交流ゲイン1/P(s)とを乗算した値を、所定の電圧値Vbの電圧として、スイッチング電源2−1、2−2と、制御部12の伝達関数である制御ゲインGc(s)とへ出力する。
【0072】
つぎに、図3に示した制御ゲインGc(s)を有する制御部12の具体的な構成例について説明する。
【0073】
この制御部12をP(比例)−D(微分)制御を行うように構成した場合、図4に示すような構成の一形態で実現することが可能である。
【0074】
この微分部122は、変圧部11から出力されてきた所定の電圧値Vbの時間変化に応じた電圧値を有する電圧を変調部13へ出力するD(微分)制御を行う。微分部122の例としては、微分回路が挙げられる。
【0075】
図4の例においては、微分部122には、第1微分回路123と、第2微分回路124とが設けられている。
【0076】
この第1微分回路123は、変圧部11から出力されてきた所定の電圧値Vbの電圧を微分して増幅部121の入力側の負極端子と第2微分回路124とへ出力する。
【0077】
なお、第1微分回路123には、第1のキャパシタCi2と、第1の抵抗Ri2と、第2の抵抗Ri1とが設けられている。
【0078】
第1のキャパシタCi2が有する2つの端子のうち一方の端子は、変圧部11が所定の電圧値Vbの電圧を出力する出力側と接続されている。
【0079】
また、第1の抵抗Ri2は、第1のキャパシタCi2と直列接続されている。
【0080】
また、第2の抵抗Ri1は、互いに直列に接続されている第1のキャパシタCi2および第1の抵抗Ri2に対して、並列に接続されている。
【0081】
また、第2微分回路124は、第1微分回路123から出力されてきた電圧を微分して変調部13へ出力する。
【0082】
この第2微分回路124には、第2のキャパシタCf1と、第3の抵抗Rf1と、第4の抵抗Rf2とが設けられている。
【0083】
第2のキャパシタCf1は、第1の抵抗Ri2および第2の抵抗Ri1と直列接続されている。
【0084】
また、第3の抵抗Rf1は、第2のキャパシタCf1と直列接続されている。
【0085】
また、第4の抵抗Rf2は、互いに直列に接続されている第2のキャパシタCf1および第3の抵抗Rf1に対して、並列に接続されている。
【0086】
なお、制御部12の増幅度(制御ゲインGc(s))は、微分部122が有する各素子(例えば、第1のキャパシタCi2、第1の抵抗Ri2、第2の抵抗Ri1、第2のキャパシタCf1、第3の抵抗Rf1、第4の抵抗Rf2)に付随して定まる「回路パラメータ」によって設定することが可能である。
【0087】
本実施形態においては、第1のキャパシタCi2、第1の抵抗Ri2、第2の抵抗Ri1、第2のキャパシタCf1、第3の抵抗Rf1、第4の抵抗Rf2のそれぞれは、その抵抗値やキャパシタンスを外部から変更可能に構成されている場合を例に挙げて説明する。
【0088】
また、本実施形態においては、増幅部121は、第1微分回路123から出力されてきた電圧と基準電圧源17から出力されてきた基準電圧値Eriとの差分を算出する。そして、増幅部121は、この差分と比例ゲインkpとの乗算値と同じ電圧値の電圧を変調部13へ出力するP(比例)制御を行う。
【0089】
この増幅部121の一例としては、比例回路が挙げられる。なお、増幅部121は、アナログの演算増幅器で構成するに限らず、DSP(Digital Signal Processor)などを用いてデジタル処理によりP制御を行うように構成してもよい。
【0090】
つぎに、上述した構成を有する電源システムが安定的に動作するための条件について説明する。
【0091】
中間バスコンバータ1の出力端子と接続されているスイッチング電源2−1〜2−n(本実施形態では、n=2)すべての入力アドミタンスの合計値Y2i(s)は、スイッチング電源2−1〜2−nすべての入力インピーダンスの合計値Z2i(s)の逆数であり、以下の式1で表わされる。
【0092】
【数1】

【0093】
上述した式1に示したY2ki(s)は、k番目のスイッチング電源2−kの入力アドミタンスであり、以下の式2で求められる。
【0094】
【数2】

【0095】
なお、式2に示したZ2ki(s)は、k番目のスイッチング電源2−kの入力インピータンスであり、各スイッチング電源2−kの入力アドミタンスY2ki(s)の逆数と同じ値を有する。
【0096】
また、式2に示したT2k(s)は、k番目のスイッチング電源2−kの一巡伝達関数である。また、式2に示したD2kは、k番目のスイッチング電源2−kの定常状態におけるスイッチング素子(図1に示したスイッチ部211、221)のデューティ比である。
【0097】
また、式2に示したZ2ki_o(s)は、k番目のスイッチング電源2−kにおいて帰還をかけない開ループのときの、当該スイッチング電源2−kが具備する平滑インダクタンスと平滑キャパシタンス(スイッチング電源2−1の例では、平滑用インダクタンスL21と平滑キャパシタンスC21)とによって構成される平滑化フィルタの入力インピーダンスである。また、R2Kは、k番目のスイッチング電源2−kの出力側に接続された負荷抵抗(スイッチング電源2−1の例では、負荷抵抗R21)である。
【0098】
一般的に、2段目のスイッチング電源2−1、2−2のそれぞれには、小型化と高速応答性とが要求される。そのため、k番目のスイッチング電源2−kに付随する一巡伝達関数T2k(s)のクロスオーバ周波数は、初段に設けられた中間バスコンバータ1に付随する一巡伝達関数T1(s)のクロスオーバ周波数よりも十分高く設定する必要がある。
【0099】
そのため、初段の一巡伝達関数T1(s)が有意の範囲では、一巡伝達関数T2k(s)は「1」と比べて非常に大きく、一巡伝達関数T2k(s)>>1とみなすことが可能である。
【0100】
従って、2段目に設けられたk番目のスイッチング電源2−kの入力アドミタンスY2ki(s)は、以下の式3で表わされる。
【0101】
【数3】

【0102】
この式3に示したように、スイッチング電源の入力インピーダンスZ2ki(s)は、負性抵抗Rnegで近似することが可能である。
【0103】
さらに、式3を式1へ代入することにより、以下の式4に示す関係が得られる。
【0104】
【数4】

【0105】
図2および図3に示した中間バスコンバータ1の一巡伝達関数T1(s)は、以下の式5で表わされる。
【0106】
【数5】

【0107】
さらに、式3を式5へ代入することにより、中間バスコンバータ1の一巡伝達関数T1(s)は、以下の式6で表すことができる。
【0108】
【数6】

【0109】
なお、式6に示したCは、変圧部11の出力側に接続されているキャパシタンスの合計値(以下、「初段出力キャパシタンスC」という)である。本実施形態では、初段出力キャパシタンスCは、中間バスコンバータ1の平滑用キャパシタンスCiと、中間バス用に設けられたバルクキャパシタンスCbとを用いて、C=Ci+Cbと表わすことができる。
【0110】
また、式6に示した変圧ゲインGvdo、ωoおよびδのそれぞれは、以下に示す式7〜9で表わされる。
【0111】
【数7】

【0112】
【数8】

【0113】
【数9】

【0114】
また、図4に示したように、制御部12がP−D制御を行うように構成されている場合、制御部12の伝達関数である制御ゲインGc(s)は、以下の式10で表わすことができる。
【0115】
【数10】

【0116】
この式10を式6へ代入して、中間バスコンバータ1の一巡伝達関数T1(s)に付随する特性方程式を求めることにより、以下の式11に示す関係式が得られる。
【0117】
【数11】

【0118】
ここで、電源システムが安定的に動作するための必要十分条件は、式11におけるラプラス演算子sの1次の項の係数が正であることである。そのため、式7〜式9を考慮した場合、電源システムが安定的に動作するための関係式として以下の式12に示す関係式が得られる。
【0119】
【数12】

【0120】
また、式12を用いて、電源システムが安定的に動作する初段出力キャパシタンスCの最小値Cminを算出すると、以下の式13に示す関係式が得られる。
【0121】
【数13】

【0122】
図5は、式13の関係式において、比例ゲインkpを変更したときの、負性抵抗Rnegと初段出力キャパシタンスCとの関係を示す特性線の例である。
【0123】
なお、図5に示す特性線41は、比例ゲインkp=0(Unregulated)であり、かつ初段出力キャパシタンスC=Cminである場合における特性線である。また、特性線42は、比例ゲインkp=0.15であり、かつ初段出力キャパシタンスC=Cminである場合における特性線である。また、特性線43は、比例ゲインkp=0.3であり、かつ初段出力キャパシタンスC=Cminである場合における特性線である。
【0124】
各特性線41、42、43の上側の領域が、比例ゲインkp=0、0.15、0.3である場合に電源システムが安定的に動作する領域であり、各特性線41、42、43の下側の領域が、比例ゲインkp=0、0.15、0.3である場合に電源システムの動作が不安定となる領域である。
【0125】
以下、中間バスコンバータ1から出力された所定の電圧値Vbの電圧に対する負性抵抗Rnegが小さくなったとき、つまり、中間バスコンバータ1に対する負荷が重くなったときの、中間バスコンバータ1の動作について説明する。
【0126】
なお、以下では、中間バスコンバータ1が、図6に示す点P1に対応する負性抵抗Rneg_1に対して、初段出力キャパシタンスC=C1および比例ゲインkp=0.15で動作している場合を例に挙げて説明する。
【0127】
ここで、負性抵抗Rnegの値がRneg_1からRneg_2へ変化した場合、増幅部121の比例ゲインkp(この例では、kp=「0.15」)を変更することなく電源システムを安定的に動作させるためには、初段出力キャパシタンスCの値を大きくすることが必要となる。図6に示した例では、中間バスコンバータ1の初段出力キャパシタンスCを、C1からC2以上となるように変更する必要がある。
【0128】
しかし、本発明によれば、初段出力キャパシタンスCの値の変更を行わない場合でも、増幅部121の比例ゲインkp(増幅度)を大きくすることにより電源システムを安定的に動作させることが可能となる。なお、図5に示した例では、負性抵抗RnegがRneg_1からRneg_2へ変化した場合に、点P2に対応するC1に初段出力キャパシタンスCを固定したままの状態で比例ゲインkpを0.15から0.3へ変更することにより、電源システムを安定的に動作させることが可能である。
【0129】
このことは、平滑インダクタンスLiと初段出力キャパシタンスCとから定まる回路定数を選定するときの自由度が拡大することに相当する。
【0130】
つぎに、上述した構成を有する電源システムの動作について説明する。
【0131】
なお、以下の説明の前提として、中間バスコンバータ1が有するスイッチ部14は、変調部13から出力されてきたスイッチ制御信号が示すオンとオフとのタイミング比に応じて、デューティ比D1で外部電圧源3と変圧部11との間の接続状態を導通または非導通のいずれかの状態に制御している。
【0132】
まず、変圧部11は、スイッチ部14が外部電圧源3と変圧部11とを導通させた場合、外部電圧源3から出力されてきた電圧を入力し、その電圧を所定の電圧値Vbへ変圧してダイオード15へ出力する。
【0133】
すると、ダイオード15は、変圧部11から出力されてきた電圧によって流れる電流を損失抵抗rLおよび平滑インダクタンスLiへ出力する。なお、ダイオード16は、ダイオード15から出力されてきた電流が変圧部11の出力側の負極端子へ流れることを防止する。
【0134】
その後、平滑化フィルタ18は、ダイオード15から出力されてきた所定の電圧値Vbの電圧を平滑化し、平滑化した電圧をスイッチング電源2−1、2−2と制御部12とへ出力する。
【0135】
すると、制御部12は、基準電圧源17から出力されてきた基準電圧の基準電圧値Eriと、変圧部11から出力されてきた電圧の所定の電圧値Vbと、外部から設定された増幅度とに基づいて、スイッチ部14のデューティ比Dを制御するための制御電圧を生成して変調部13へ出力する。
【0136】
すると、変調部13は、制御部12から出力されてきた制御電圧に基づいて、所定期間においてスイッチ部14をオフするタイミングとスイッチ部14をオンするタイミングとの比を示すスイッチ制御信号を生成してスイッチ部14へ出力する。
【0137】
なお、負性抵抗Rnegが小さくなった場合(つまり、中間バスコンバータ1に対する負荷が重くなった場合)、制御部12の増幅度(制御ゲインGc(s))を大きくすることにより電源システムを安定的に動作させることが可能である。図4に示した構成例では、制御部12が具備する増幅部121の比例ゲインkp(増幅度)を大きくすることにより、電源システムを安定的に動作させることができる。
【0138】
以上で、初段に設けられた中間バスコンバータ1が、外部電圧源3から出力されてきた電圧を所定の電圧値Vbに降圧してスイッチング電源2−1、2−2のそれぞれへ出力するときの一連の動作が終了する。
【0139】
以上説明したように、本発明によれば、制御部12に微分部122を設け、その微分部122の「回路パラメータ」を変更することにより、電源システムを安定的に動作させるための回路定数を変更する。
【0140】
これにより、複数のスイッチング電源が互いに直列に接続された多段接続方式の電源システムにおいて、電源システムを安定的に動作させることのできる回路定数の自由度を拡大することができ、ひいてはこのような電源システムの安定性を改善することができる。
【0141】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が理解し得る各種の変形が可能である。
【符号の説明】
【0142】
1 中間バスコンバータ
11 変圧部
12 制御部
121 増幅部
122 微分部
123 第1微分回路
124 第2微分回路
13 変調部
14 スイッチ部
15、16 ダイオード
17 基準電圧源
18 平滑化フィルタ
2−1、2−2 スイッチング電源
3 外部電圧源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直列に接続されており、後段に接続された負荷へ電圧を出力する複数のスイッチング電源のうち初段の前記スイッチング電源に設けられた安定化回路であって、
オンまたはオフのいずれかの動作により、前記後段に接続された負荷への電圧の出力を制御するスイッチ部と、
前記スイッチ部の制御により前記負荷への電圧の出力が可能な間、外部から当該安定化回路へ入力された電圧を降圧して当該安定化回路が設けられたスイッチング電源と接続されている前記スイッチング電源へ出力する変圧部と、
前記変圧部から出力された電圧とあらかじめ設定された基準電圧と外部から設定された増幅度とに基づいて、制御電圧を生成して出力する制御部と、
前記制御部から出力された制御電圧に基づいて、前記スイッチ部がオンするタイミングとオフするタイミングとの比を示すスイッチ制御信号を生成して出力する変調部とを有し、
前記スイッチ部は、前記スイッチ制御信号が示すオンとオフとのタイミング比で前記負荷への電圧の出力を制御する安定化回路。
【請求項2】
請求項1に記載の安定化回路において、
前記制御部は、前記変圧部から出力された電圧を微分する微分部と、該微分部が微分した電圧と前記基準電圧との差分を前記増幅度で増幅する増幅部とを有し、前記増幅部が増幅した電圧と前記微分部が微分した電圧とに基づいて、前記制御電圧を生成して出力することを特徴とする安定化回路。
【請求項3】
請求項2に記載の安定化回路において、
前記変圧部から出力された電圧を平滑化して当該安定化回路が設けられたスイッチング電源と接続されている前記スイッチング電源と前記微分部とへ出力する平滑化フィルタをさらに有し、
前記微分部は、前記平滑化フィルタから出力された電圧を微分して出力することを特徴とする安定化回路。
【請求項4】
請求項2に記載の安定化回路において、
前記微分部は、前記変圧部の出力端子と接続された第1のキャパシタと、該第1のキャパシタと直列接続された第1の抵抗と、該直列接続された第1のキャパシタおよび第1の抵抗に対して並列に接続された第2の抵抗とを有する第1微分回路と、前記第1の抵抗および前記第2の抵抗に直列接続された第2のキャパシタと、該第2のキャパシタと直列接続された第3の抵抗と、該直列接続された第2のキャパシタおよび第3の抵抗に対して並列に接続された第4の抵抗とを有する第2微分回路とを含み、前記第1および前記第2のキャパシタのそれぞれのキャパシタンスおよび前記第1、前記第2、前記第3、前記第4の抵抗のそれぞれの抵抗値は外部から変更可能であり、
前記増幅部は、入力側の正極端子が前記基準電圧を出力する基準電圧源と接続され、該入力側の負極端子が前記第1および前記第2の抵抗と前記第2のキャパシタとに接続され、当該増幅部の出力端子が前記第3および前記第4の抵抗と前記変調部とに接続されており、前記増幅度は前記第1および前記第2のキャパシタと前記第1、前記第2、前記第3、前記第4の抵抗とに付随して定まる回路パラメータにより設定されることを特徴とする安定化回路。
【請求項5】
互いに直列に接続されており、後段に接続された負荷へ電圧を出力する複数のスイッチング電源のうち初段のスイッチング電源を用いて前記複数のスイッチング電源を安定的に動作させる安定化方法であって、
前記初段のスイッチング電源に設けられたスイッチ部のオンまたはオフのいずれかの動作により、前記後段に接続された負荷への電圧の出力を制御するスイッチ処理と、
前記スイッチ処理における制御により前記負荷への電圧の出力が可能な間、外部から当該安定化回路へ入力された電圧を降圧して当該初段のスイッチング電源と接続されている前記スイッチング電源へ出力する変圧処理と、
前記変圧処理により出力された電圧とあらかじめ設定された基準電圧と外部から設定された増幅度とに基づいて、制御電圧を生成して出力する制御処理と、
前記制御処理により出力された制御電圧に基づいて、前記スイッチ部がオンするタイミングとオフするタイミングとの比を示すスイッチ制御信号を生成して出力する変調処理とを有し、
前記スイッチ処理では、前記スイッチ制御信号が示す前記スイッチ部に対するオンとオフとのタイミング比で前記負荷への電圧の出力を制御する安定化方法。
【請求項6】
請求項5に記載の安定化方法において、
前記制御処理は、前記変圧処理により出力された電圧を微分する微分処理と、該微分処理により微分した電圧と前記基準電圧との差分を前記増幅度で増幅する増幅処理とを有し、前記増幅処理により増幅した電圧と前記微分処理により微分した電圧とに基づいて、前記制御電圧を生成して出力することを特徴とする安定化方法。
【請求項7】
請求項6に記載の安定化方法において、
前記変圧処理により出力された電圧を平滑化して当該初段のスイッチング電源と接続されている前記スイッチング電源へ出力する平滑化フィルタ処理をさらに有し、
前記微分処理では、前記平滑化フィルタ処理により出力された電圧を微分して出力することを特徴とする安定化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−24372(P2011−24372A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−168883(P2009−168883)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】