説明

安定化型OLEDデバイス

特定色を発光する安定化型OLEDデバイスが、金属アノード、及び金属アノードから間隔を置いて配置された金属カソードを含む。このデバイスはまた、ホストと、該特定色の光を含むスペクトルを有する光を生成するように選択されたドーパントとを含む発光層と、OLEDデバイスの有効寿命を改善する、デバイス層のうちの1つに設けられた安定剤とを含む。安定剤は、発光層の発光スペクトルとは異なる発光スペクトルを有する。電極層のうちの一方は半透明であり、他方が実質的に不透明且つ反射性であって、安定化型OLEDデバイスが、特定色を有する狭帯域光を放射するマイクロキャビティを形成するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセント(EL)デバイスに関する。より具体的には、本発明は、安定性、効率、及び色純度が改善された有機ELデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセント(EL)デバイス又は有機発光ダイオード(OLED)は、加えられた電位に応答して発光する電子デバイスである。Tang他は、Applied Physics Letters 51, 第913頁、1987年;Journal of Applied Physics, 65, 第3610頁、1989年;及び同一譲受人による米国特許第4,769,292号明細書において、高効率のOLEDを示した。その後、高分子材料を含む、別の層構造を有する数多くのOLEDが開示されており、デバイス性能が改善されている。OLEDの商業的成功のために、デバイスの更なる改善が必要である。更なる改善を必要とする重要な分野の1つは、デバイスの動作安定性である。
【0003】
OLEDデバイスは今日、使用するにつれて輝度出力の連続的な劣化を示す。輝度出力のこのように徐々に生じる劣化は、多くの用途にとっては受け入れることができない。この劣化の問題を解決しようと、多くのアプローチが試みられている。より有望なアプローチの1つは、一般に、デバイスを安定化する安定剤と呼ばれる別の材料で有機層の1つをドーピングすることである。開示された米国特許出願公開第2003/0068524号明細書には、青色発光層(LEL)の隣の正孔輸送層(HTL)内にルブレン・ドーパントを組み込むことにより改善されたOLEDデバイスが開示されている。この安定化効果の詳細なメカニズムは、よくは理解されていないが、しかしこのアプローチの1つの重要な因果関係は、ルブレン・ドープ型HTLが橙色の光をも放射し、この光がLELから放射された青色光と組み合わさり、その結果、OLEDデバイスから白色発光が生じることである。安定化用ドーパントがOLEDデバイスに添加されると、OLEDデバイスは安定化される。それというのも安定剤からの放射光は、おそらくはOLEDデバイスのスペクトルとは全く異なるスペクトルを有するからである。結果として、OLEDデバイスからの放射光は、安定剤からの放射によって色が汚染される。この汚染は、多くの実際的な用途にとって受け入れられるものではない。
【0004】
フルカラーOLEDディスプレイを達成するための多くのアプローチのうちの1つは、色変換アプローチを使用することである。同一譲受人による米国特許第5,126,214号明細書においてTokailin他によって、色変換型OLEDが記載されている。色変換型OLEDデバイスは、発光層によって放射された光の色に対して応答する蛍光材料を含む色変換層を備え、この色変換層は、光の波長を変化させ、これにより、異なる色の光を再放射することができる。単一の色相の光(例えば青色光)を発生させるOLEDデバイスを形成し、そしてこの発生した光を、観察者によって知覚されることになる1つ又は2つ以上の異なる色相(例えば緑色、赤色)の光に変換する色変換層を含むことが特に有用であり得る。このように、光の単一の色相だけを生成する発光層を有するフルカラーOLEDデバイスを構成することが可能である。最も一般的には、OLEDディスプレイは、青色光を放射するように構成される。他の色相の光を放射するように構成されたサブ画素は、蛍光材料を備える。蛍光材料は、OLEDから放射された青色光を吸収し、そして他の所望の色を再放射することができる。このアプローチによって、フルカラー・ディスプレイは多くの利点を有するが、しかし主要な問題の1つは、青色発光OLEDは一般に安定性が最も低く、またOLEDデバイス効率も最も低いことである。
【0005】
安定的なOLEDデバイス、具体的には青色発光OLEDデバイスを色汚染なしに提供することが必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、安定性及び色品質が改善されたOLEDデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、特定の色の光を放出する安定化型OLEDデバイスであって:
a) 金属アノード、及び該金属アノードから間隔を置いて配置された金属カソードと、
b) 該アノードと該カソードとの間に配置された、ホストと、該特定の色の光を含むスペクトルを有する光を生成するように選択されたドーパントとを含む発光層と、
c) 該発光層の発光スペクトルとは異なる発光スペクトルを有する、該OLEDデバイスの有効寿命を改善する、該デバイス層のうちの1つに設けられた安定剤と、
を含み、
d) 電極層のうちの一方が半透明であり、他方が実質的に不透明且つ反射性であって、該安定化型OLEDデバイスが、該特定の色を有する狭帯域光を放出するマイクロキャビティを形成するようになっている、
安定化型OLEDデバイスによって達成される。
【0008】
半透明の電極層のための好ましい材料は、Ag又はAu、又はこれらの合金を含み、そして不透明であり且つ反射性の電極層のための材料は好ましくは、Ag、Au、Al、Mg又はCa、又はこれらの合金を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の利点は、安定性及び性能が改善されたモノカラーOLEDデバイスを提供することである。本発明の更なる利点は、望まれない波長における発光を有する安定化材料をOLEDデバイス内に使用することを可能にし、しかもこの場合、このような望まれない発光が所望の発光に影響を与えないことである。本発明の更なる利点は、効率及び安定性が改善された色変換型のOLEDディスプレイのための光源を提供することである。本発明の更なる利点は、マイクロキャビティ効果が改善され、しかも一般にマイクロキャビティに影響を及ぼす角度依存性が低減されたフルカラーOLEDディスプレイの使用を提供することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
「ディスプレイ」又は「ディスプレイ・パネル」という用語は、ビデオ画像又は文章を電子的に表示することができるスクリーンを意味するために採用される。「画素」という用語は、他の区域とは独立して発光するように刺激することができるディスプレイ・パネル区域を意味するために、当業者に認識された用法で採用される。「OLEDデバイス」という用語は、画素として有機発光ダイオードを含むディスプレイ・デバイスという当業者に認識された意味で使用される。カラーOLEDデバイスは、1以上の色を発光する。「多色」という用語は、種々異なる区域において異なる色相の光を放射することができるディスプレイ・パネルを記述するために採用される。具体的にはこの用語は、種々異なる色の画像を表示することができるディスプレイ・パネルを記述するために採用される。これらの区域は必ずしも隣接していない。「フルカラー」という用語は、赤、緑及び青色の可視スペクトル領域内で発光して、任意の色相又は色相の組み合わせの画像を表示することができる多色ディスプレイ・パネルを記述するために採用される。赤、緑及び青の色は三原色を構成し、これらの三原色からは、三原色を適切に混合することにより、他の全ての色を発生させることができる。「色相」という用語は、可視スペクトル内部の発光強度プロフィールを意味し、異なる色相は色の視覚的に識別可能な差を示す。画素又はサブ画素は一般に、ディスプレイ・パネルにおけるアドレス可能な最小ユニットを意味するために使用される。モノクローム・ディスプレイの場合、画素又はサブ画素間の区別はない。「サブ画素」という用語は、多色ディスプレイ・パネルにおいて使用され、そして特定色を発光するために独立してアドレス可能であり得る任意の画素部分を意味するために採用される。例えば青色サブ画素は、青色を発光するためにアドレス可能な画素部分である。フルカラー・ディスプレイにおいて、画素は一般に三原色サブ画素、つまり青、緑及び赤色を含む。本発明の目的上、「画素」及び「サブ画素」という用語が相互に置き換え可能に使用されることになる。「ピッチ」という用語は、ディスプレイ・パネル内の2つの画素又はサブ画素を隔離する距離を意味するために使用される。従って、サブ画素ピッチは2つのサブ画素間の距離間隔を意味する。
【0011】
「マイクロキャビティOLED」は、反射率が30%を上回る2つの反射ミラーの間に配置された有機EL素子を含むOLEDデバイスを意味するために使用される。たいていの場合、反射ミラーの一方は、事実上不透明であり、そして他方は、光学濃度が1.0未満の半透明ミラーである。発光素子は、OLEDデバイスの動作中、印加された電圧下で発光する1つ又は2つ以上の有機層を含むことができる。2つの反射ミラーは、OLEDデバイスの発光特性に強く影響を与えるファブリー・ペローのマイクロキャビティを形成する。キャビティの共鳴波長に相当する波長近くの発光が増強され、そして他の波長を有する発光が抑制される。その正味結果は、放射光の帯域幅が有意に狭くなることであり、そして、その強度が有意に増強されることである。従来技術のたいていのマイクロキャビティOLEDデバイスは、半透明ミラーとして4分の1波長のスタック(QWS)を使用した。しかしQWSは構造が複雑であり高価である。広範囲なモデリング及び試験の取り組みによって、全く予期せぬことに、発光出力効率及び色品質を高める高性能マイクロキャビティOLEDデバイスを、全金属ミラーによって実際に製造できることが発見された。反射性金属電極及び半透明金属電極の両方の材料選択が重要であり、また、半透明金属電極の厚さも重要であることが発見された。Ag、Au、Al、Mg又はCa、又はこれらの金属のうちの1種以上を50原子%以上で有する合金として定義されるこれらの合金を含む少数の金属が、好ましくは反射性電極として使用される。他の金属が使用される場合には、マイクロキャビティ効果による輝度出力の増大及び色品質の改善という利点が大幅に低減される。同様に、半透明電極に関して、Ag及びAu、又はこれらの合金を含む材料は少数しか使用しないことが好ましい。半透明電極の厚さ範囲も限定される。層があまりにも薄いと、有意なマイクロキャビティ効果を提供せず、また層があまりにも厚いと、輝度出力を低減する。加えて、マイクロキャビティ内部に発光層を配置することはまた、輝度出力に強い影響を与え、最適化される必要がある。全てのこれらのファクターを適正に最適化することによってのみ、対応する無キャビティOLEDデバイスのものを凌ぐように発光出力効率及び色品質を著しく改善することができる。さらに、マイクロキャビティの外側の光透過電極層の隣に配置された吸収低減層が、マイクロキャビティ・デバイスの輝度性能をさらに改善することも発見された。
【0012】
金属ミラーは、QWSよりも構造がシンプルであり、そして製作が容易である。電極としても機能する2つの金属ミラーの使用は、分離した透明導電性電極の必要性を排除する。半透明金属電極のシート導電性は、従来技術に使用される透明導電性電極よりも著しく高いことが可能である。導電性の増大は、特にデバイス面積が大きい場合に、OLEDデバイスのオーム損失を低減する。適切に設計された金属ミラーを使用した発光帯域幅は、QWSを使用して得られるよりも広く、従って、輝度出力は増大させられる。他方において、発光帯域幅は依然として、優れた色選択性及び色品質(色度とも呼ばれる)を提供するのに十分に広い。
【0013】
OLEDの動作安定性を改善しようと、多くのアプローチが試みられている。最も成功したアプローチの1つは、安定剤を用いてOLED構造内の有機層のうちの1つ又は2つ以上をドープすることである。予期せぬことに、正孔輸送層内に黄色ルブレン・ドーパント又はスーパー・ルブレン誘導体ドーパント6,11-ジフェニル-5,12-ビス(4-(6-メチル-ベンゾチアゾル-2-イル)フェニル)ナフタセン(DBzR)、又は5,6,11,12-テトラ(2-ナフチル)ナフタセン(NR)を、そしてホスト発光層内にジスチリルアミン誘導体青色ドーパントをドーピングすることにより、高い輝度効率及び動作安定性を有するOLEDデバイスを得ることができることが発見された。ドープ型正孔輸送層からの黄色発光と、ホスト青色発光層からの青色発光とが組合わさって、OLEDデバイスからの白色発光を形成する。予期せぬことに、同じ青色発光層を使用するがしかし黄色ドーパントを有しない正孔輸送層を備えたOLEDデバイスを著しく上回るように、白色発光デバイスにおける青色輝度の安定性が著しく改善されることが発見された。従って、黄色ルブレン、DBzR又はNRのようなドーパントを正孔輸送層内に提供することにより、発光層からの青色発光が安定化されることを推定することができる。しかし、黄色ルブレン、DBzR又はNRのようなドーパントで正孔輸送層をドーピングする結果、黄色も同様に発光される。このOLEDデバイスはもはや青色発光デバイスではない。このアプローチによって、多くの用途にとって有用な白色光を生成することができるものの、色の汚染は安定化型デバイスを、純粋な青色光が必要とされる用途、例えば色変換OLEDデバイスには適していないものにしてしまう。
【0014】
本発明によれば、安定剤が添加されたOLEDデバイスは、上記マイクロキャビティ構造を有するように構成される。マイクロキャビティ構造は、その用途にとって望ましい特定色に対応する共鳴波長を有するように調整される。波長を選択して帯域幅を狭める、マイクロキャビティ構造の効果は、安定化用ドーパントからの望まれない汚染光の放射を効果的に抑制し、そして所望の特定色の発光を可能にする。マイクロキャビティ構造はさらに、所望の発光波長並びに発光される色の色度におけるOLEDデバイスの発光効率をさらに改善することができる。これらの全ての利点は、安定剤の安定化効果を維持しながら達成される。本発明はこうして、特定色を発光するための安定化型OLEDデバイス、すなわち安定性、発光効率及び色度が改善されたモノクロームOLEDデバイスを提供する上で効果的である。
【0015】
本発明はまた、改善された色変換型OLEDディスプレイ・デバイスを提供する上で効果的である。この実施態様の場合、発光層は、例えば青色を発光するように構成することができ、色変換層は、放射された青色光を吸収し、そして異なる色を再発光するように提供することができる。デバイスの安定性を改善するように、安定化用ドーパントが添加される。マイクロキャビティ構造は、青色発光の発光効率及び色度を改善し、そしてその結果、改善された色変換型OLEDディスプレイ・デバイスを提供する。
【0016】
マイクロキャビティOLEDデバイスは従来技術において、色度及び発光効率が改善されることが報告されている。しかしこれらのマイクロキャビティOLEDは、視角依存性を増大させた。マイクロキャビティの共鳴は視角とともに変化するので、放射された光は視角とともに色及び強度を変化させる。このことは多くの用途において望ましくない。本発明の好ましい実施態様によれば、マイクロキャビティ構造を成す青色発光OLEDを使用して、色変換ディスプレイ・デバイスが構成される。色変換層は、マイクロキャビティOLEDからの青色発光を吸収し、そしてこれを等方的に再発光する。ディスプレイは、マイクロキャビティOLEDデバイスから通常予期される改善された発光効率及び色度という利点を維持しつつ、視角依存性がこうして改善される。
【0017】
図1を参照すると、本発明の第1の実施態様によるOLEDデバイス10の1画素の断面図が示されている。いくつかの実施態様の場合、OLEDデバイス10は上記サブ画素であってよい。OLEDデバイス10は底部から発光するものとして(すなわち底部発光デバイス)示されているが、言うまでもなく、いくつかの実施態様の場合、OLEDデバイス10は頂部発光デバイスであってよい。画素は、基板20と、アノード30と、アノード30から所定の間隔を置いて設けられたカソード65と、発光層50とを最小限有している。画素は、色変換層25、正孔注入層40、正孔輸送層45、電子輸送層55、及び電子注入層60を含むこともできる。いくつかの実施態様は、透明な導電性スペーサー層35を含むこともできる。これらの構成部分に関してより詳しく説明する。
【0018】
基板20は、有機固体、無機固体、又は有機固体と無機固体との組み合わせであってよい。基板20は剛性又はフレキシブルであってよく、そして別個の独立片、例えばシート又はウェハーとして、又は連続的なロールとして加工することができる。典型的な基板は、ガラス、プラスチック、金属、セラミック、半導体、金属酸化物、半導体酸化物、半導体窒化物、又はこれらの組み合わせを含む。基板20は、均質な材料混合物、材料複合体、又は材料多層であってよい。基板20は、OLEDデバイスを調製するのに一般に使用される基板であるOLED基板、例えばアクティブ・マトリックス低温ポリシリコン又は非晶質シリコンTFT基板である。基板20は、意図された発光方向に応じて光透過性又は不透明であってよい。光透過特性は、基板を通してEL発光を見るために望ましい。このような場合には、透明なガラス又はプラスチックが一般に採用される。EL発光が頂部電極を通して見られる用途の場合、底部支持体の透過特性は重要ではなく、従って光透過性、光吸収性又は光反射性であってよい。このような事例において使用するための基板の一例としては、ガラス、プラスチック、半導体材料、セラミック、及び回路基板材料、又は、パッシブ・マトリックス・デバイス又はアクティブ・マトリックス・デバイスであってよいOLEDデバイスの形成において一般に使用されるその他の任意の材料が挙げられる。
【0019】
ある所定の環境において、OLEDデバイス10は、色変換型OLEDデバイスであってよく、そして色変換層25を含むことができる。色変換層25は、同一譲受人の米国特許第5,126,214号明細書にTokailin他によって記載されている。色変換層25は、発光層50によって放射された色の光に対して応答する蛍光材料を含み、そして光の波長を変化させ、これにより異なる色の光を再放射することができる。単一の色相の光(例えば青色光)を発生させるOLEDデバイスを形成し、そして発生した光を、観察者によって知覚されることになる1つ又は2つ以上の異なる色相(例えば緑色、赤色)の光に変換する色変換層25を含むことが特に有用であり得る。このように、光の単一の色相だけを生成する発光層を有するフルカラーOLEDデバイスを構成することが可能である。色変換層25において使用されるべき蛍光材料は、樹脂中の分散体状態を含む固体状態において強い蛍光を有する限り、重要ではない。蛍光材料はクマリン色素、例えば2,3,5,6-1H,4H-テトラヒドロ-8-トリクロロメチルキノリジノ(9,9a,1gh)クマリン、シアニン系色素、例えば4-ジシアノメチレン-2-メチル-6-(p-ジメチルアミノスチリレン)-4H-ピラン、ピリジン系色素、例えば1-エチル-2-(4-(p-ジメチルアミノフェニル)-1,3-ブタンジエニル)-ピリジウムペルクロレート、キサンテン系色素、例えばローダミンB、及びオキサジン系色素を含むことができる。蛍光材料は無機燐光物質を含むこともできる。蛍光材料は、真空蒸着によって、又はスパッタリングによって、又はスピン塗布によって形成されたフィルムの形を成すことができる。他の実施態様の場合、蛍光材料は樹脂、例えば結合用樹脂中に分散させることができる。色変換層25の厚さは、これが発光層50からの光を十分に吸収する限り重要ではない。
【0020】
色変換層25の位置決めは、OLEDデバイス10の特性に依存することになる。いくつかの実施態様、例えば頂部発光デバイスの場合、色変換層25はカソード65上に位置することが好ましい。
【0021】
基板25上には電極が形成され、この電極は最も一般にはアノード30として構成される。EL発光が基板20を通して見られる場合には、アノード30は反射性金属から形成されるべきであり、また、放射された光の波長において有限の透過率を有する(以降、半透明と言う)のに十分に薄く形成されるべきである。Ag又はAu、又はこれらの金属のうちの1種以上を50原子%以上で有する合金として定義されるこれらの合金を含む少数の金属だけが、半透明アノード30の好ましい材料である。アノード30の厚さ範囲は限定されており、さらに説明するように、OLEDデバイス10からの所定の波長における輝度光出力を最適化するように選択される。或る環境において、アノード30内で、薄い反射性金属層との組み合わせにおいて透明な導電性酸化物層を含むことも可能である。薄い反射性金属層によって横方向のコンダクタンスが提供されるので、透明な導電性酸化物層の導電率が高い必要はない。好適な材料は、酸化インジウム(InO)、酸化錫(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化アンチモン(SbO)又はこれらの混合物を含む。
【0022】
或いは、EL発光がカソード65を通して見られる場合、アノード30は好ましくは、実質的に不透明であり且つ反射性であるように光学濃度1.5以上をもたらす厚さを有する反射性金属である。OLEDデバイスの発光効率は、アノード30の反射率が増大するのに伴って増大する。不透明であり且つ反射性のアノード30の材料は好ましくは、Ag、Au、Al、Mg又はCa、又はこれらの合金を含むリストから選択される。
【0023】
いつも必要というわけではないが、有機発光ディスプレイにおいて、アノード30上に正孔注入層40が形成されるのがしばしば有用である。正孔注入材料は、後続の有機層の膜形成特性を改善し、そして正孔輸送層内への正孔の注入を容易にするのに役立つことができる。正孔注入層40において使用するのに適した材料の一例としては、米国特許第4,720,432号明細書に記載されたポルフィリン化合物、米国特許第6,208,075号明細書に記載されたプラズマ蒸着されたフルオロカーボン・ポリマー、及び酸化バナジウム(VOx)、酸化モリブデン(MoOx)、酸化ニッケル(NiOx)を含む無機酸化物などが挙げられる。有機ELデバイスにおいて有用であることが報告されている別の正孔注入材料が、欧州特許出願公開第0 891 121号明細書及び同第1 029 909号明細書に記載されている。
【0024】
いつも必要というわけではないが、正孔輸送層45が形成され、そしてこれがアノード30とカソード65との間に配置されることがしばしば有用である。任意の好適な手段、例えば供与体材料からの蒸発、スパッタリング、化学蒸着、電気化学手段、熱転写、又はレーザー熱転写によって、所望の正孔輸送材料をデポジットすることができる。正孔輸送層45内で有用な正孔輸送材料は、芳香族第三アミンのような化合物を含むことがよく知られており、芳香族第三アミンは、炭素原子にだけ結合される1つ以上の3価窒素原子を含有する化合物であることが理解されている。これらの炭素原子のうちの1つ以上が芳香環の員である。1形態において、芳香族第三アミンはアリールアミン、例えばモノアリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン、又は高分子アリールアミンであってよい。単量体トリアリールアミンの例が、Klupfel他によって米国特許第3,180,730号明細書に示されている。1つ又は2つ以上のビニル基と置換された、且つ/又は、1つ以上の活性水素含有基を含む他の好適なトリアリールアミンは、米国特許第3,567,450号明細書及び同第3,658,520号明細書においてBrantley他によって開示されている。
【0025】
芳香族第三アミンのより好ましいクラスは、米国特許第4,720,432号明細書及び同第5,061,569号明細書に記載された2種以上の芳香族第三アミン部分を含む。このような化合物は構造式A:
【0026】
【化1】

【0027】
によって表され、上記式中、Q1及びQ2はそれぞれ独立して、芳香族第三アミン部分から選択され;そして
Gは、炭素間結合の結合基、例えばアリーレン、シクロアルキレン、又はアルキレン基である。1実施態様の場合、Q1及びQ2のうちの少なくとも一方は、多環式縮合環構造、例えばナフタレンを含有する。Gはこれがアリール基である場合には、フェニレン、ビフェニレン又はナフタレン部分であると好都合である。
【0028】
構造式Aを満たし、そして2つのトリアリールアミン部分を含有するトリアリールアミンの有用なクラスが、構造式B:
【0029】
【化2】

【0030】
によって表され、上記式中:
R1及びR2はそれぞれ独立して、水素原子、アリール基、又はアルキル基を表し、又はR1及びR2は結合して、シクロアルキル基を完成する原子を表し;そして
R3及びR4はそれぞれ独立してアリール基を表し、アリール基は、構造式C:
【0031】
【化3】

【0032】
によって示されているようなジアリール置換型アミノ基と置換されており、
上記式中、R5及びR6は独立して選択されたアリール基である。1実施態様の場合、R5又はR6のうちの少なくとも一方は、多環式縮合環構造、例えばナフタレンを含有する。
【0033】
別のクラスの芳香族第三アミンはテトラアリールジアミンである。望ましいテトラアリールジアミンは、アリーレン基を介して結合された2つのジアリールアミノ基、例えば式Cによって示される基を含む。有用なテトラアリールジアミンは、式D
【0034】
【化4】

【0035】
によって表されるものを含み、
上記式中、
各Areは独立して選択されたアリーレン基、例えばフェニレン部分又はアントラセン部分であり;
nは整数1〜4であり;そして
Ar、R7、R8及びR9は独立して選択されたアリール基である。
【0036】
典型的な実施態様の場合、Ar、R7、R8及びR9のうちの1つ以上は、多環式縮合環構造、例えばナフタレンである。
【0037】
前記構造式A、B、C、Dの種々のアルキル、アルキレン、アリール及びアリーレン部分はそれぞれ置換することができる。典型的な置換基は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、及びハロゲン、例えばフッ化物、塩化物、及び臭化物を含む。種々のアルキル部分及びアルキレン部分の典型的な炭素原子数は1〜6である。シクロアルキル部分は炭素原子数が3〜約10であることが可能であるが、しかし典型的には炭素原子数5、6又は7、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチル環構造を含有する。アリール部分及びアリーレン部分は通常、フェニル部分及びフェニレン部分である。
【0038】
OLEDデバイス内の正孔輸送層は、単一の芳香族第三アミン化合物又は芳香族第三アミン化合物の混合物から形成することができる。具体的には、式Dによって示されたようなテトラアリールジアミンと組み合わされた、トリアリールアミン、例えば式Bを満たすトリアリールアミンを採用することができる。トリアリールアミンがテトラアリールジアミンとの組み合わせで採用される場合には、テトラアリールジアミンは、トリアリールアミンと電子注入・輸送層との間に挟まれた層として位置決めされる。有用な芳香族第三アミンの例は下記の通りである:
1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)シクロヘキサン
1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)-4-フェニルシクロヘキサン
4,4'-ビス(ジフェニルアミノ)クアドリフェニル
ビス(4-ジメチルアミノ-2-メチルフェニル)-フェニルメタン
N,N,N-トリ(p-トリル)アミン
4-(ジ-p-トリルアミノ)-4'-[4(ジ-p-トリルアミノ)-スチリル]スチルベン
N,N,N',N'-テトラ-p-トリル-4-4'-ジアミノビフェニル
N,N,N',N'-テトラフェニル-4,4'-ジアミノビフェニル
N-フェニルカルバゾール
ポリ(N-ビニルカルバゾール)
N,N'-ジ-1-ナフタレニル-N,N'-ジフェニル-4,4'-ジアミノビフェニル
4,4'-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
4,4''-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]p-ターフェニル
4,4'-ビス[N-(2-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
4,4'-ビス[N-(アセナフテニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
1,5-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ナフタレン
4,4'-ビス[N-(9-アントリル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
4,4''-ビス[N-(1-アントリル)-N-フェニルアミノ]p-ターフェニル
4,4'-ビス[N-(2-フェナントリル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
4,4'-ビス[N-(8-フルオルアンテニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
4,4'-ビス[N-(2-ピレニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
4,4'-ビス[N-(2-ナフタセニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
4,4'-ビス[N-(2-ペリレニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
4,4'-ビス[N-(1-コロネニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
2,6-ビス(ジ-p-トリルアミノ)ナフタレン
2,6-ビス[ジ-(1-ナフチル)アミノ)ナフタレン
2,6-ビス[N-(1-ナフチル)-N-(2-ナフチル)アミノ]ナフタレン
N,N,N',N'-テトラ(2-ナフチル)-4,4''-ジアミノ-p-ターフェニル
4,4'-ビス{N-フェニル-N-[4-(1-ナフチル)-フェニル]アミノ}ビフェニル
4,4'-ビス[N-フェニル-N-(2-ピレニル)アミノ]ビフェニル
2,6-ビス[N,N-ジ(2-ナフチル)アミン]フルオレン
1,5-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ナフタレン。
【0039】
有用な正孔輸送材料の別のクラスは、欧州特許第1 009 041号明細書に記載された多環式芳香族化合物を含む。加えて、高分子正孔輸送材料、例えばポリ(N-ビニルカルバゾール)(PVK)、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン及びコポリマー、例えばPEDOT/PSSと呼ばれるポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)を使用することもできる。
【0040】
発光層50は、正孔-電子再結合に応答して光を生成する。発光層50は、アノード30上、及び形成された任意の他の層、例えば正孔輸送層45上に形成される。任意の好適な手段、例えば供与体材料からの蒸発、スパッタリング、化学蒸着、電気化学手段、又は輻射熱転写によって、所望の発光材料をデポジットすることができる。有用な有機発光材料がよく知られている。米国特許第4,769,292号明細書及び同第5,935,721号明細書により詳しく記載されているように、有機EL要素の発光層は、ルミネッセント材料又は蛍光材料を含み、この領域における電子-正孔対の再結合の結果として、エレクトロルミネッセンスが生成される。発光層は単独の材料から構成することができるが、しかしより一般的には、ゲスト化合物又はドーパントでドーピングされたホスト材料を含み、この場合、主としてドーパントから発光が生じ、この発光は任意の色を有することができる。ドーパントは、特定のスペクトルを有する色の光を生成するように選択される。色変換OLEDデバイスの場合、ドーパントはしばしば、青色光を生成するように選択される。発光層内のホスト材料は、下記のような電子輸送材料、上記のような正孔輸送材料、又は正孔-電子再結合を支持する別の材料であってよい。ドーパントは通常、高蛍光色素から選ばれるが、しかし燐光性化合物、例えば国際公開第98/55561号パンフレット、同第00/18851号パンフレット、同第00/57676号パンフレット、及び同第00/70655号パンフレットに記載された遷移金属錯体も有用である。ドーパントは典型的には、ホスト材料中0.01〜10重量%としてコーティングされる。
【0041】
ドーパントとして色素を選ぶための重要な関係は、バンドギャップ電位の比較である。バンドギャップ電位は、その分子の最高被占分子軌道と最低空分子軌道との間のエネルギー差として定義される。ホスト材料からドーパント分子への効率的なエネルギー移動の場合、必要な状態は、ドーパントのバンドギャップがホスト材料のバンドギャップよりも小さいことである。
【0042】
有用なことが知られているホスト分子及び発光分子の一例としては、米国特許第4,768,292号;同第5,141,671号;同第5,150,006号;同第5,151,629号;同第5,294,870号;同第5,405,709号;同第5,484,922号;同第5,593,788号;同第5,645,948号;同第5,683,823号;同第5,755,999号;同第5,928,802号;同第5,935,720号;同第5,935,721号;及び同第6,020,078号に開示された分子が挙げられる。
【0043】
8-ヒドロキシキノリンの金属錯体及び同様の誘導体(式E)が、エレクトロルミネッセンスを支持することができる有用なホスト材料の1クラスを構成し、そして、500 nmよりも長い波長、例えば緑、黄、橙及び赤色の発光に特に適している。
【0044】
【化5】

【0045】
上記式中:
Mは金属を表し;
nは整数1〜3であり;そして
Zは独立して、出現毎に、2つ以上の縮合芳香環を有する核を完成する原子を表す。
【0046】
以上から明らかなように、金属は一価、二価、又は三価金属であってよい。金属は例えば、アルカリ金属、例えばリチウム、ナトリウム、又はカリウム;アルカリ土類金属、例えばマグネシウム又はカルシウム;又は土類金属、例えばホウ素又はアルミニウムであってよい。一般に、有用なキレート金属であることが知られている任意の一価、二価、又は三価金属を採用することができる。
【0047】
Zは2つ以上の縮合芳香環を含有する複素環核を完成し、これらの縮合芳香環のうちの1つ以上がアゾール又はアジン環である。脂肪族環及び芳香環の両方を含む付加的な環は、必要な場合には、2つの所要の環と縮合することができる。機能を改善することなしに分子の嵩を加えることを避けるために、環内原子数は通常18以下に維持される。
【0048】
有用なキレート型オキシノイド化合物の例は、下記の通りである:
CO-1:アルミニウムトリソキシン[別名、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(III)]
CO-2:マグネシウムビソキシン[別名、ビス(8-キノリノラト)マグネシウム(II)]
CO-3:ビス[ベンゾ{f}-8-キノリノラト]亜鉛(II)
CO-4:ビス(2-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(III)-μ-オキソ-ビス(2-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(III)
CO-5:インジウムトリソキシン[別名、トリス(8-キノリノラト)インジウム]
CO-6:アルミニウムトリス(5-メチロキシン)[別名、トリス(5-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(III)]
CO-7:リチウムオキシン[別名、(8-キノリノラト)リチウム(I)]
CO-8:ガリウムオキシン[別名、(8-キノリノラト)ガリウム(III)]
CO-9:ジルコニムオキシン[別名、テトラ(8-キノリノラト)ジルコニム(IV)]
9,10-ジ-(2-ナフチル)アントラセンの誘導体(式F)が、エレクトロルミネッセンスを支持することができる有用なホスト材料の1クラスを構成し、そして、400 nmよりも長い波長、例えば青、緑、黄、橙及び赤色の発光に特に適している。
【0049】
【化6】

【0050】
上記式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、各環上の1つ又は2つ以上の置換基を表し、各置換基は下記基から個々に選択される:
群1:水素、又は炭素原子数1〜24のアルキル;
群2:炭素原子数5〜20のアリール又は置換型アリール;
群3:アントラセニル、ピレニル又はペリレニルの縮合芳香環を完成するのに必要な4〜24個の炭素原子;
群4:フリル、チエニル、ピリジル、キノリニル又はその他の複素環系の縮合芳香族複素環を完成するのに必要な炭素原子数5〜24のヘテロアリール又は置換型ヘテロアリール;
群5:炭素原子数1〜24のアルコキシルアミノ、アルキルアミノ、又はアリールアミノ;
群6:フッ素、塩素、臭素又はシアノ。
【0051】
ベンザゾール誘導体(式G)が、エレクトロルミネッセンスを支持することができる有用なホスト材料の別のクラスを構成し、そして、400 nmよりも長い波長、例えば青、緑、黄、橙及び赤色の発光に特に適している。
【0052】
【化7】

【0053】
上記式中:
nは整数3〜8であり;
ZはO、NR又はSであり;
R'は、水素;炭素原子数1〜24のアルキル、例えばプロピル、t-ブチル、及びヘプチルなど;炭素原子数5〜20のアリール又はヘテロ原子置換型アリール、例えばフェニル及びナフチル、フリル、チエニル、ピリジル、キノリニル、及びその他の複素環系;又はハロ、例えばクロロ、フルオロ;又は縮合型芳香環を完成するのに必要な原子であり;そして
Lは、複数のベンザゾールと共役又は非共役結合する、アルキル、アリール、置換型アルキル、又は置換型アリールを含む結合ユニットである。
【0054】
有用なベンザゾールの一例は、2,2',2''-(1,3,5-フェニレン)トリス[1-フェニル-1H-ベンズイミダゾール]である。
【0055】
望ましい蛍光ドーパントは、アントラセン、テトラセン、キサンテン、ペリレン、ルブレン、クマリン、ローダミン、キナクリドン、ジシアノメチレンピラン化合物、チオピラン化合物、ポリメチン化合物、ピリリウム及びチアピリリウム化合物、及びカルボスチリル化合物の誘導体を含む。有用なドーパントの一例として、下記のものが挙げられる:
【0056】
【化8】

【0057】
【化9】

【0058】
【化10】

【0059】
他の有機発光材料は、高分子物質、例えば、同一譲受人の米国特許第6,194,119号明細書及びこの中で引用された文献においてWolk他によって教示されたような、ポリフェニレンビニレン誘導体、ジアルコキシ-ポリフェニレンビニレン、ポリ-パラ-フェニレン誘導体、及びポリフルオレン誘導体であってよい。
【0060】
本発明の有利な1実施態様において使用される発光層50の場合、特定色の光、具体的には青色光を含むスペクトルを有する光を生成するようにドーパントが選択されている。青色光に対して応答する蛍光材料を有する光変換層25のアレイを使用することにより、青色光の一部を異なる色、例えば赤及び緑の光に変換することができる。
【0061】
図示されてはいないが、デバイスは、結果として得られるOLEDデバイスの適正な発光特性のために望ましいのならば、2つ又は3つ以上の発光層を付加的に含むことができる。デバイスは、米国特許第6,107,734号;同第6,337,492号;同第6,274,980号の各明細書に開示されているように、スタック型構造であってもよい。
【0062】
いつも必要というわけではないが、OLEDデバイス10は、発光層50上に形成された電子輸送層55を含むことがしばしば有用である。任意の好適な手段、例えば供与体材料からの蒸発、スパッタリング、化学蒸着、電気化学手段、熱転写、又はレーザー熱転写によって、所望の電子輸送材料をデポジットすることができる。電子輸送層55内で使用するための好ましい電子輸送材料は、オキシン自体(一般に、8-キノリノール又は8-ヒドロキシキノリンとも呼ばれる)のキレートを含む、金属キレート型オキシノイド化合物である。このような化合物は、電子の注入及び輸送を助け、両方とも高レベルの性能を示し、そして薄膜の形態で容易に加工される。考えられるオキシノイド化合物の例は、前記構造式Eを満たしている。
【0063】
他の電子輸送材料は、米国特許第4,356,429号明細書に開示された種々のブタジエン誘導体、及び米国特許第4,539,507号明細書に開示された種々の複素環式蛍光増白剤を含む。構造式Gを満たすベンザゾールも、有用な電子輸送材料である。
【0064】
他の電子輸送材料は、高分子物質、例えばポリフェニレンビニレン誘導体、ポリ-パラ-フェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリチオフェン、ポリアセチレン、及びその他の導電性高分子有機材料、例えばHandbook of Conductive Molecules and Polymers, 第1〜4巻、H.S. Nalwa編、John Wiley and Sons, Chichester(1997)に挙げられた材料であってよい。
【0065】
言うまでもなく、当業者には知られているように、上記層のうちのいくつかが2つ以上の機能を有することができる。例えば発光層50が、OLEDデバイスの性能に対する必要に応じて、正孔輸送特性又は電子輸送特性を有することができる。正孔輸送層45又は電子輸送層55又はこれらの両方が、発光特性を有することができる。このような場合、所望の発光特性のためには、より少ない層で十分である。
【0066】
カソードと電子輸送層との間に電子注入層60が存在することもできる。電子注入材料の例は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリハロゲン化物塩、例えば上述のLiF、又は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属でドープされた有機層を含む。
【0067】
カソード65は、電子輸送層55上に、又は電子輸送層が使用されない場合には発光層50上に形成された電極である。発光がアノード30を通して行われる場合、カソード65材料は好ましくは、事実上不透明且つ反射性であるように光学濃度1.5以上をもたらす厚さの反射性金属である。OLEDデバイスの発光効率は、カソード65の反射率が増大するのに伴って増大する。不透明であり且つ反射性のカソード65の材料は好ましくは、Ag、Au、Al、Mg又はCa、又はこれらの合金を含むリストから選択される。
【0068】
或いは、発光がカソード65を通して見られる場合、カソード65は、放射された光を半分通すのに十分に薄い反射性金属を含むことを必要とする。半透明カソード65の材料は好ましくは、Ag又はAu、又はこの合金を含むリストから選択される。カソード65の厚さ範囲は限定されており、さらに説明するように、OLEDデバイス10からの所定の波長における輝度光出力を最適化するように選択される。或る環境において、カソード65内で、薄い反射性金属層との組み合わせにおいて透明な導電性酸化物層を含むことも可能である。薄い反射性金属層によって横方向のコンダクタンスが提供されるので、透明な導電性酸化物層の導電率が高い必要はない。好適な材料は、酸化インジウム(InO)、酸化錫(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化アンチモン(SbO)又はこれらの混合物を含む。
【0069】
蒸発、スパッタリング、又は化学蒸着によってカソード材料をデポジットすることができる。必要な場合には、例えばスルーマスク・デポジション、米国特許第5,276,380号明細書及び欧州特許0 732 868号明細書に記載されたインテグラル・シャドー・マスキング、レーザー・アブレーション、及び選択的化学蒸着を含むよく知られた多くの方法によって、パターニングを達成することができる。
【0070】
カソード65は、アノード30から鉛直方向に離隔されている。カソード65は、アクティブ・マトリックス・デバイスの一部であってよく、この場合にはディスプレイ全体のための単一の電極となる。或いは、カソード65はパッシブ・マトリックス・デバイスの一部であってよく、このデバイスにおいて、それぞれのカソード65は画素の列を活性化することができ、そしてカソード65はアノード30に対して直角に配列されている。
【0071】
アノード30及びカソード65は、ファブリー・ペローのマイクロキャビティを形成する。このマイクロキャビティは、放射光スペクトルの帯域幅を効果的に制限することにより、特定色の光を生成する。キャビティの共鳴波長に相当する波長近くの発光が、半透明の電極によって増強され、そして他の波長を有する発光が抑制される。
【0072】
図1はまた、マイクロキャビティにおける発光の効果を概略的に示している。シンプルにするために、正孔注入層40、正孔輸送層45、発光層50、電子輸送層55、及び電子注入層60を、まとめて有機EL要素95と呼ぶ。
【0073】
本発明によれば、有機EL要素95の厚さを変化させることにより、マイクロキャビティ共鳴波長を調節することができる。マイクロキャビティ共鳴波長を調節するための付加的な手段として、透明導電性スペーサー層35を使用することができる。金属電極のうちの一方と有機EL要素95との間には、透明導電性スペーサー層35を配置することができる。透明導電性スペーサー層35は、放射された光を通すことが必要となり、そして金属電極と有機EL要素95との間に電荷担体を運ぶために導電性である必要がある。膜貫通コンダクタンスだけが必要なので、バルク抵抗は約108オーム-cm未満で十分である。多くの金属酸化物、例えばインジウム-錫酸化物(ITO)、亜鉛-錫酸化物(ZTO)、錫酸化物(SnOx)、インジウム酸化物(InOx)、モリブデン酸化物(MoOx)、テルリウム酸化物(TeOx)、アンチモン酸化物(SbOx)、及び亜鉛酸化物(ZnOx)を使用することができる。
【0074】
この実施態様の場合、光は、正孔輸送層45と発光層50との界面で放射されるものとして図示されている。光105は、反射性カソード65の方向に放射され、そして反射光110として反射させられる。光115は、半透明反射性アノード30の方向に放射され、そして部分反射光120として部分反射させられ、そして部分透過光125として部分透過させられる。部分透過光125は、色変換層25によって吸収し、異なる色相の放射光130として再放射することができる。
【0075】
有機EL要素95と透明導電性スペーサー層35(もし存在するならば)との組み合わせ厚さを選択することにより、装置から放射されるべき所定の波長において共鳴を有するように、マイクロキャビティOLEDデバイス10を調整する。厚さは下記等式を満たす:
2 ΣniLi + 2nsLs + (Qm1 + Qm2)λ/2π = mλ 等式1
上記式中、niは有機EL要素95内のn番目のサブ層の屈折率であり、Liはn番目のサブ層の厚さであり;nsは、透明導電性スペーサー層35の屈折率であり;そしてLsは、透明導電性スペーサー層35の、ゼロであることが可能な厚さであり;Qm1及びQm2は、それぞれ、2つの有機EL要素-金属電極界面におけるラジアンの位相シフトであり;λは、デバイスから放射されるべき所定の波長であり;そしてmは負でない整数である。mは実際的な程度に小さいこと、典型的には2未満であることが好ましい。所定の放射波長を発光層50の波長になるように選択することにより、発光層50を安定化するように添加されたドーパントによって生成された光の強度を低減することができる。例えば、正孔輸送層45内の黄色発光ドーパント、例えばルブレン誘導体の存在によって安定化された青色発光層の上述の例の場合、青色の発光を高め(透過光125として)、そして望ましくない黄色波長の放射を低減するようにマイクロキャビティ効果を選択することができる。
【0076】
金属電極間の総厚は、マイクロキャビティ共鳴波長を決定する上で最も重要なファクターである。しかし、共鳴波長、及びより具体的には共鳴の強さ(ひいてはその結果としてのデバイス効率)は、発光層と2つの電極のそれぞれとの間隔にも依存する。具体的には、最適なデバイス性能を得るために、金属反射性カソード65と発光層(の中心)との間隔は、大雑把に言って、下記等式を満たすべきである:
2 ΣniLi + Qm1 λ/2π = mD λ 等式2
上記式中、niは有機EL要素95内のn番目のサブ層の屈折率であり、Liはn番目のサブ層の厚さであり;Qm1は、有機EL要素-金属電極界面におけるラジアンの位相シフトであり;λは、デバイスから放射されるべき所定の波長であり;そしてmDは負でない整数である。なお、等式1とは対照的に、この場合の和は、発光層(の中心)と金属反射性カソード65との間に位置する層だけに関する。発光層50と反射性カソード65との間に透明導電性スペーサー層35が配置されている場合には、この透明導電性スペーサー層35の厚さが含まれることになる。金属半透明反射性アノード30と発光層との間隔に関して同様の等式を書くことができる。しかし、等式1及び2を満たすことは、この第3の等式を満たすことを保証するので、このような等式は付加的な制約を提供しない。
【0077】
金属半透明反射性アノード30による光の吸収が可能な限り低いことが望ましいので、金属半透明反射性アノード30と基板20との間に吸収低減層が加えられることが有用である。この層の目的は、半透明反射性アノード30自体の内部の光波によって生成される電場(ひいては光波の吸収)を低減することである。おおまかに言うと、この結果は、吸収低減層と基板20との界面から反射し戻された光波の電場によって、デバイスから去る光の電場を破壊的に妨害させ、ひいては部分的に相殺させることにより最良に達成される。次いで初歩的な光学的考察によって、このことは、下記等式がほぼ満たされると、(屈折率が基板よりも高い吸収低減層の場合)発生することが暗示される:
2nALA + nTLT = (mA + 1/2)λ 等式3
上記式中、nA及びLAはそれぞれ、吸収低減層の屈折率及び厚さであり;nT及びLTはそれぞれ、半透明金属底部アノードの屈折率及び厚さであり;そしてmAは負でない整数である。mAは実際的な程度に小さいこと、通常は0、そして典型的には2未満であることが好ましい。デバイスの別の構成において、半透明電極はカソードであってよく、そして金属反射性電極はアノードであってよい。このような場合、有機EL要素95は好適に配向されて、正孔注入層及び正孔輸送層がアノードに近接し、そして電子注入層及び電子輸送層がカソードに近接するようになっている。
【実施例】
【0078】
例1
OLEDデバイス#1、#2及び#3を下記のように構成した。
【0079】
80 nm ITOでコーティングされた基板を順次、商業的な洗剤中で超音波処理し、脱イオン水中で濯ぎ、そしてトルエン蒸気中で脱脂した。これらの基板を約1分間にわたって酸素プラズマで処理し、そしてCHF3のプラズマ支援型デポジションによって1 nmのフルオロカーボン層でコーティングした。これらの基板を、有機層及びカソードをデポジットするためのデポジション・チャンバー内にローディングした。
【0080】
種々の量のルブレンでドーピングされた150 nm NPB正孔輸送層(HTL)、1.5 % TBP青色ドーパントを有するANDホストを含む20 nm青色発光層(EML)、35 nm Alq電子輸送層(ETL)、及びカソードとして100 nm Mg:10% Ag合金を順次デポジットすることにより、実施例1のデバイスを調製した。上記順序はOLEDデバイスのデポジションを完成した。デバイス#1は、HTL内へのルブレン・ドーピングを有さず;デバイス#2は、HTL内にドーピングされた0.5 %のルブレンを有し;そしてデバイス#3は、HTL内へドーピングされた2 %のルブレンを有した。
【0081】
次いでOLEDデバイスを、周囲環境に対する保護のための窒素が充填された乾燥グローブ・ボックス内に密封パッケージングした。これらのOLEDデバイスを調製するために使用される、ITOパターニングされた基板は、いくつかの試験パターンを含有した。デバイスのそれぞれを、電流電圧特性及びエレクトロルミネッセンス収率に関して試験した。電流密度20 mA/cm2で動作するデバイスのスペクトル出力を図2にプロットする。デバイス#1は、それぞれ464 nm及び492 nmにおける2つの発光ピーク、及びCIE色座標 (0.166,0.253)を示した。これは、TBPドープ型発光層を使用した青色発光OLEDデバイスに関して通常見られる典型的なものであった。デバイス#2は、著しく異なるスペクトルを示した。464 nm及び492 nmにおける2つのピークに加えて、ルブレン発光による560 nmにおける新しいピークをはっきりと見ることができた。CIE色座標は(0.245, 0.324)にシフトし、そして発光はもはや青色ではなかった。デバイス#3は、560 nmにおいてルブレン発光により支配されるスペクトルを示し、そして色座標は(0.383, 0.421)にシフトした。発光は橙-白色の外観を有し、従ってTBPからの青色発光は大幅に汚染された。
【0082】
平均電流密度20 mA/cm2の50% デューティサイクル方形波形AC電流を使用して、デバイスを連続的に運転することにより動作安定性を試験した。輝度出力を連続的にモニタリングし、そして出力データを図3にプロットする。HTL内にルブレン・ドーピングを有しないデバイス#1は、約250時間でその初期出力の70%に劣化し;HTL内にドーピングされた0.5% ルブレンを有するデバイス#2は、800時間を上回る時間でその初期出力の70%に劣化し;そしてHTL内にドーピングされた2.0%ルブレンを有するデバイス#3は、約600時間で劣化した。
【0083】
しかし、色汚染の理由から、これらのルブレン安定化型デバイスは、青色発光OLEDデバイスとしてはもはや使用することができなかった。
【0084】
例2-a(比較):OLEDデバイス#2-aを、実施例1の試料と同様に構成した。
【0085】
40 nm ITOでコーティングされた基板を順次、商業的な洗剤中で超音波処理し、脱イオン水中で濯ぎ、そしてトルエン蒸気中で脱脂した。この基板を約1分間にわたって酸素プラズマで処理し、そしてCHF3のプラズマ支援型デポジションによって1 nmのフルオロカーボン層でコーティングした。次いでこれらの基板を、ドーピングされていない87 nm NPB正孔輸送層(HTL)、2.5 %のルブレンでドーピングされた20 nm NPB正孔輸送層、1.5 % TBP青色ドーパントを有するTBADNホストを含む30 nm青色発光層(EML)、32 nm Alq電子輸送層(ETL)、0.5 nm Li電子注入層、及びカソードとして50 nm Ag合金を順次デポジットするための真空蒸発デポジション・チャンバー内にローディングした。上記順序はOLEDデバイスのデポジションを完成した。次いでOLEDデバイスを、周囲環境に対する保護のための窒素が充填された乾燥グローブ・ボックス内に密封パッケージングした。これらのOLEDデバイスを調製するために使用される、ITOパターニングされた基板は、いくつかの試験パターンを含有した。デバイスのそれぞれを、電流電圧特性及びエレクトロルミネッセンス収率に関して試験した。電流密度20 mA/cm2で動作するデバイスのスペクトル出力を図4にプロットする。デバイス#2-aは、560 nmにおいてルブレン発光により支配されるスペクトルを示し、そして色座標は(0.376, 0.461)にシフトした。発光は強い橙-白色の外観を有し、従ってTBPからの青色発光は大幅に汚染された。
【0086】
試料2-b(本発明)を、マイクロキャビティ構造を有するように調製した。ガラス基板を順次、商業的な洗剤中で超音波処理し、脱イオン水中で濯ぎ、そしてトルエン蒸気中で脱脂した。次いでこの基板を、DC-スパッタリングされた93 nm厚Ag膜で金属マスクを通してコーティングすることにより、アノード・パターンを形成した。次いでこの基板を、ドーピングされていない139 nm NPB正孔輸送層(HTL)、2.5 %のルブレンでドーピングされた20 nm NPB正孔輸送層、1.5 % TBP青色ドーパントを有するTBADNホストを含む20 nm青色発光層(EML)、20 nm Alq電子輸送層(ETL)、0.5 nm Li電子注入層、及び半透明カソードとして22.5 nm Ag合金を順次デポジットするための真空蒸発デポジション・チャンバー内に配置した。上記順序はOLEDデバイスのデポジションを完成した。次いでOLEDデバイスを、周囲環境に対する保護のための窒素が充填された乾燥グローブ・ボックス内に密封パッケージングした。このOLED構造は、反射ミラーとしてのAgアノード層及びAgカソード層を有するマイクロキャビティを形成した。層の厚さは、マイクロキャビティの共鳴波長が青色領域内にあり、そして発光が良好な効率を有するように選択された。デバイスのスペクトル出力も図4に示す。スペクトル出力は、色座標(0.145,0.079)とともに460 nmで単一の狭いピークを含んだ。460 nmにおけるラジアンスは、この波長においてキャビティなしの試料2-aよりもほとんど10倍高い。本発明により構成されたOLEDデバイスはこうして、著しく改善された色及び発光効率を示した。デバイスは、HTL内にドーピングされたルブレンの安定化効果を維持することが予期され、しかもルブレン・ドーピングによる色汚染は完全に排除される。特に青色発光OLEDの安定化に関して本発明を詳細に説明してきたが、言うまでもなく、本発明を他の色のOLEDデバイスに同様に当てはめることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の第1の実施態様によるOLEDデバイスの1画素を示す断面図であり、また、結果として得られるマイクロキャビティにおける発光の効果を概略的に示す図である。
【図2】従来の(マイクロキャビティなしの)OLEDデバイスの発光スペクトルに対する安定化用ドーパントの効果を示す図である。
【図3】OLEDデバイスの安定性に対する安定化用ドーパントの効果を示す図である。
【図4】安定化用ドーパントからの汚染発光の排除における、本発明の1実施態様によるマイクロキャビティ構造の効果を示す図である。
【0088】
デバイス構成要件の寸法、例えば層の厚さはしばしば、サブミクロンの範囲にあるので、図面は寸法の正確さのためというよりもむしろ見易さのために拡大されている。
【符号の説明】
【0089】
10 OLEDデバイス
20 基板
25 色変換層
30 アノード
35 透明導電性スペーサー層
40 正孔注入層
45 正孔輸送層
50 発光層
55 電子輸送層
60 電子注入層
65 カソード
95 有機EL要素
105 光
110 反射光
115 光
120 部分反射光
125 部分透過光
130 透過光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の色の光を放出する安定化型OLEDデバイスであって:
a) 金属アノード、及び該金属アノードから間隔を置いて配置された金属カソードと、
b) 該アノードと該カソードとの間に配置された、ホストと、該特定の色の光を含むスペクトルを有する光を生成するように選択されたドーパントとを含む発光層と、
c) 該発光層の発光スペクトルとは異なる発光スペクトルを有する、該OLEDデバイスの有効寿命を改善する、該デバイス層のうちの1つに設けられた安定剤と、
を含み、
d) 電極層のうちの一方が半透明であり、他方が実質的に不透明且つ反射性であって、該安定化型OLEDデバイスが、該特定の色を有する狭帯域光を放出するマイクロキャビティを形成するようになっている、
安定化型OLEDデバイス。
【請求項2】
該半透明の電極層のための材料が、AgもしくはAu又はこれらの合金を含む、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項3】
該反射性の電極層のための材料が、Ag、Au、Al、MgもしくはCa又はこれらの合金を含む、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項4】
さらに、該アノードと該カソードとの間に配置された正孔輸送層を含む、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項5】
該安定剤が、該発光層もしくは該正孔輸送層又はその両方内に設けられている、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項6】
さらに、電子輸送層を含み、そして該安定剤が、この電子輸送層もしくは該発光層もしくは該正孔輸送層又は任意の組み合わせ内に設けられている、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項7】
該ドーパントが青色光を生成する、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項8】
色変換型OLEDデバイスであって:
a) 金属アノード、及び該金属アノードから間隔を置いて配置された金属カソードと、
b) 該アノードと該カソードとの間に配置された、ホストと、青色光を生成するように選択されたドーパントとを含む発光層と、
c) 該発光層の発光スペクトルとは異なる発光スペクトルを有する、該OLEDデバイスの有効寿命を改善する、該デバイス層のうちの1つに設けられた安定剤と;
d) 該青色光に応答することにより異なる色の光を再放出する蛍光材料を含む色変換層と
を含む、色変換型OLEDデバイス。
【請求項9】
該半透明の電極層のための材料が、AgもしくはAu又はこれらの合金を含む、請求項8に記載の色変換型OLEDデバイス。
【請求項10】
該反射性の電極層のための材料が、Ag、Au、Al、MgもしくはCa又はこれらの合金を含む、請求項8に記載の色変換型OLEDデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−505470(P2007−505470A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526149(P2006−526149)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【国際出願番号】PCT/US2004/028259
【国際公開番号】WO2005/034258
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】