説明

安定走行可能なラジコン模型自動車

【課題】本発明の目的とするところは、操縦者の技量のみに頼るのではなく、模型自動車にスピン防止が可能となる装置を装備させることで、万人が模型自動車の自律安定走行の効果を享受できるようにした安定走行可能なラジコン模型自動車を提供することにある。
【解決手段】
コントロール信号で出力が調整される動力用モーターと、コントロール信号でタイヤの操舵角を調整するステアリングサーボとを備え、走行体がスピンを開始して回転角が変化したときに、その変化を回転角変化検知信号としてコントロール回路に送信できるジャイロセンサーを備え、このコントロール回路に回転角変化検知信号が送信された際に、ステアリング戻し信号がコントロール回路からステアリングサーボに対して発せられると共に、モーター出力低下信号がコントロール回路から動力用モーターに対して発せられることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定走行可能なラジコン模型自動車に係り、さらに詳しくは、ある程度の速度を保ちながらラジコン模型自動車(走行体)がカーブやコーナーを曲がるときに、スピンを起こしたり、転倒したりせずに走行体が自律安定性を保った状態で前進走行できるようにした安定走行可能なラジコン模型自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラジコン模型自動車(走行体)は、無線操縦用の送信機からの指示信号により、速度調整やハンドル操作を行いながら走行するが、操縦者は走行体の走行状態や走行路の状態を前提条件として、自らの意思を送信機に伝え、最も好ましいと思われる操縦を行って走行体を自由に操っていた。
【0003】
ところで、ラジコン模型自動車のような小型の自動車においては、走行体がカーブやコーナーに突入すると、操縦者は送信機からステアリングサーボに信号を送り、ラジコン模型自動車の前輪の操舵角を変更し、走行体は操舵角で調整された方向に進路を変更してカーブやコーナーを曲がろうとするが、一定の速度で進んでいる走行体には慣性による前進力が付与されているため、スピンを起こすことがよくあった。
【0004】
ラジコン模型自動車がこのようなスピンを起こしそうになった場合には、前記の操舵角を反対方向に戻す(カウンターをあてる)と同時に前進力を弱めるなど、操縦者の技量でスピンの回避をしていたが、このような対応はなかなか困難であり、多くの人には適切な対応ができないという問題点があった。
【特許文献1】実用新案登録第3046913号公報
【特許文献2】実開平5−53699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、操縦者の技量のみに頼るのではなく、模型自動車にスピン防止が可能となる装置を装備させることで、万人が模型自動車の自律安定走行の効果を享受できるようにした安定走行可能なラジコン模型自動車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、
送信機から送られてくるコントロール信号を受信し、そのコントロール信号の指示を動力用モーターとステアリングサーボに伝える働きをするコントロール回路を備えたラジコン模型自動車において、
コントロール回路から伝えられるコントロール信号で出力が調整される動力用モーターと、
コントロール回路から伝えられるコントロール信号でタイヤの操舵角を調整するステアリングサーボとを備え、
ラジコン模型自動車がスピンを開始して、ラジコン模型自動車の回転角が変化したときに、その回転角の変化を回転角変化検知信号としてコントロール回路に送信できるジャイロセンサーを備え、
このコントロール回路に回転角変化検知信号が送信された際に、タイヤの操舵角を戻すための、ステアリング戻し信号がコントロール回路からステアリングサーボに対して発せられると共に、動力用モーターの出力を低下させるための、モーター出力低下信号がコントロール回路から動力用モーターに対して発せられるように構成したことを特徴とする安定走行可能なラジコン模型自動車である。
【0007】
上述した本発明に係わる安定走行可能なラジコン模型自動車によれば、ラジコン模型自動車にコントロール回路とジャイロセンサーを設置しているため、ラジコン自動車がスピンして回転角が変化すると同時に、そのスピンを止めるための信号がコントロール回路から、ステアリングサーボ並びに動力用モーターに適切な信号が送られ、その信号に基づき模型自動車の不用意なスピンは未然に防止されるようになる。
【発明の効果】
【0008】
上述した本発明に係わる安定走行可能なラジコン模型自動車によれば、ラジコン模型自動車にコントロール回路とジャイロセンサーを設置しているため、操縦者が不慣れな場合であっても、模型自動車の不用意なスピンを未然に防止して、模型自動車が自律安定走行できるようになるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の最適な実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明にかかる安定走行可能なラジコン模型自動車の平面模式図、図2は、ジャイロセンサーがコントロール回路に各種の指示信号を送る際のジャイロセンサー処理に関するフローチャートである。
【0010】
図中、符号1は送信機(図示しない)から送られてくる信号を受信するアンテナであり、アンテナ1で受信した信号はコントロール回路2に送られ、コントロール回路2を経由して、ステアリングサーボ3と動力用モーター4に必要なコントロール信号が送られ、そのコントロール信号の指示により、ステアリングサーボ3はタイヤ6の操舵角を調整するように作動し、動力用モーター4はその出力の調整を行う。
【0011】
さらに本発明の安定走行可能なラジコン模型自動車には、ジャイロセンサー5が備えられており、このジャイロセンサー5はラジコン模型自動車の回転角の変化を検知するもので、さらにその回転角が変化した場合にはコントロール回路2に回転角変化検知信号を送信するものである。
【0012】
本発明は上記の構成にかかるため、ラジコン模型自動車がスピンを起こそうとした瞬間、ジャイロセンサー5から回転角変化検知信号がコントロール回路2に送信され、その回転角変化検知信号を受信したコントロール回路2は、ステアリングサーボ3に対してステアリング戻し信号を送信する。このステアリング戻し信号を受信したステアリングサーボ3は、そのステアリング戻し信号の指示通り、タイヤ6の操舵角を戻すように調整することになる。
【0013】
さらに回転角変化検知信号を受信したコントロール回路2は、動力用モーター4に対してモーター出力低下信号を送信する。このモーター出力低下信号を受信した動力用モーター4は、そのモーター出力低下信号の指示通り、動力用モーター4の出力を低下させるように調整することになる。
このように、タイヤ6の操舵角を戻すだけでは不十分なスピン防止効果を、動力用モーター4も同時に制御することで、確実なスピン防止効果が図られるようになる。
【0014】
図2に、上記で説明したジャイロセンサー処理のフローチャートを示した。
送信機よりジャイロセンサー5をON状態にするため電圧入力が行われる。
次いでジャイロセンサー5の素子がラジコン模型自動車の回転角の変化を検知した場合には、その回転角変化検知信号は電圧値として検知されるため、その信号をAD変換し、そのデータにステアリングサーボ3に対する感度値を掛算する。
回転角変化検知信号を受信したコントロール回路2は、ステアリング戻し信号を加減算してステアリング戻し信号をステアリングサーボ3に送信する(ハンドルを戻す行為に相当する)。
【0015】
さらに電圧値として検知された回転角変化検知信号をAD変換したデータに、動力用モーター4に対する感度値を掛算する。
その値が、ラジコン模型自動車の前進中を示す場合には、動力用モーター4に対する上記掛算の結果を、動力用モーター4の出力を減じる出力低下信号を動力用モーター4に送信する(アクセルペダルを戻す行為に相当する)
ここで上記掛算の結果が、数値0以下となった場合は、異常なブレーキのかけすぎになるためその数値を0に戻す強制的処理を行い、一方上記掛算の結果が、数値0以下でない場合には、ジャイロセンサーの処理を終了させる。
なお、電圧値として検知された回転角変化検知信号をAD変換したデータに、動力用モーター4に対する感度値を掛算した値が、ラジコン模型自動車の前進中を示さない場合には、ジャイロセンサーの処理を終了させる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明によれば、ラジコン模型自動車を取り扱う業界並びに、そのラジコン模型自動車を操縦する人々にとって利用可能であり、楽しみのあるラジコン模型自動車の操縦を味わえるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明にかかる安定走行可能なラジコン模型自動車の平面模式図である。
【図2】ジャイロセンサーがコントロール回路に各種の指示信号を送る際のジャイロセンサー処理に関するフローチャートである。
【符号の説明】
【0018】
1…アンテナ
2…コントロール回路
3…ステアリングサーボ
4…動力用モーター
5…ジャイロセンサー
6…タイヤ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信機から送られてくるコントロール信号を受信し、そのコントロール信号の指示を動力用モーターとステアリングサーボに伝える働きをするコントロール回路を備えたラジコン模型自動車において、
コントロール回路から伝えられるコントロール信号で出力が調整される動力用モーターと、
コントロール回路から伝えられるコントロール信号でタイヤの操舵角を調整するステアリングサーボとを備え、
ラジコン模型自動車がスピンを開始して、ラジコン模型自動車の回転角が変化したときに、その回転角の変化を回転角変化検知信号としてコントロール回路に送信できるジャイロセンサーを備え、
このコントロール回路に回転角変化検知信号が送信された際に、タイヤの操舵角を戻すための、ステアリング戻し信号がコントロール回路からステアリングサーボに対して発せられると共に、動力用モーターの出力を低下させるための、モーター出力低下信号がコントロール回路から動力用モーターに対して発せられるように構成したことを特徴とする安定走行可能なラジコン模型自動車。


【図1】
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【図2】
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