説明

官能化ポリ(アリーレンエーテル)組成物及び方法

硬化性組成物は、オレフィン性不飽和モノマーと、2つの重合性基を有し固有粘度が約0.05〜約0.30dl/gであるポリ(アリーレンエーテル)を含んでいる。この組成物は、成形中の高い流動性と硬化後の高い剛性及び衝撃強さとの改良された組合せを示す。この組成物は、プラスチック封止電子装置の製造に特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二官能化ポリ(アリーレンエーテル)組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
反応性をもつように末端封鎖したポリ(アリーレンエーテル)樹脂と共重合性モノマーとを含む硬化性組成物は、例えば、Nelissenらの米国特許第5071922号、Yeagerらの同第6352782号及び同第6627704号、並びにFanの米国法定発明登録第H521号に記載されている。これらの文献に記載された組成物は多種多様な熱硬化用途に有用であるが、既存の配合物はプラスチック封止電子装置の製造に望まれるバランスのとれた性質に欠ける。特に、剛性や衝撃強さのような硬化後の物理的性質を損なわずに成形時の流動性を向上させるニーズが存在する。
【特許文献1】米国特許第5071922号明細書
【特許文献2】米国特許第6352782号明細書
【特許文献3】米国特許第6627704号明細書
【特許文献4】米国法定発明登録第H521号明細書
【特許文献5】米国特許第4760118号明細書
【特許文献6】特開昭60−115609号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
型流れ性と硬化後の物理的性質とのバランスが改善された硬化性組成物は、25℃で約0.05〜約0.30dl/gの固有粘度を有する二官能化ポリ(アリーレンエーテル)と、オレフィン性不飽和モノマーとを含む。
【0004】
以下、硬化性組成物の製造方法、硬化組成物及び硬化組成物からなる物品を始めとする他の実施形態について詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明者は、鋭意研究した結果、ポリ(アリーレンエーテル)系熱硬化性樹脂に通常伴う高いガラス転移温度、低い熱膨張係数及び低い誘電定数のような望ましい特性を示しつつ、現在市場で好まれているエポキシ熱硬化樹脂と同様の成形特性を示す組成物を見出した。初期の研究では、この組成物は急速に硬化するが、硬化の初期段階には望ましいとはいえない流動性を示した。広範な実験の結果、官能化ポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度を下げることによって流動性は改良されるが、この変化によって硬化組成物の剛性と衝撃強さも低下することが判明した。さらに実験を行ったところ、固有粘度は低いが重合性官能基の増した官能化ポリ(アリーレンエーテル)を使用することによって、硬化後の物理的性質を損なわずに流動性を向上させることができるという予想外の知見が得られた。特に、ポリ(アリーレンエーテル)が2個の重合性基を有し(つまり「二官能化」ポリ(アリーレンエーテル))、25℃で約0.05〜約0.30dl/gの固有粘度を有するとき、実質的に改良された特性バランスが得られることが判明した。
【0006】
一実施形態は、25℃で約0.05〜約0.30dl/g(dL/g)の固有粘度を有する二官能化ポリ(アリーレンエーテル)とオレフィン性不飽和モノマーとを含む硬化性組成物である。上記の範囲内で、二官能化ポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度は、さらに具体的には約0.08dL/g以上、さらに一段と具体的には約0.12dL/g以上とし得る。同じく上記の範囲内で、二官能化ポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度は、さらに具体的には約0.25dL/g以下、さらに一段と具体的には約0.20dL/g以下とし得る。
【0007】
本明細書において、二官能化ポリ(アリーレンエーテル)は、分子の両端に重合性炭素−炭素二重結合を有するポリ(アリーレンエーテル)である。かかる分子の製造方法の一つでは、まず分子の両端にヒドロキシ基を有するポリ(アリーレンエーテル)(「ジヒドロキシポリ(アリーレンエーテル)」)を製造し、次いでジヒドロキシポリ(アリーレンエーテル)を、分子の両端に重合性封鎖基を形成するのに充分な封鎖剤と反応させる。
【0008】
ジヒドロキシポリ(アリーレンエーテル)樹脂を得る方法は幾つか公知である。最初に、一価フェノールと二価フェノールを、例えば、Heitzらの米国特許第4521584号及び同第4677185号、Mayskaらの米国特許第5021543号、Ishiiらの米国特許出願公開第2003/0194562号、W.Risseら、Makromolekulare Chemie(1985)、第186巻、第9号、第1835〜1853頁、並びにV.Percecら、Polymer Bulletin(1990)、第24巻、第5号、第493〜500頁に記載されているように共重合すればよい。第二に、モノヒドロキシポリ(アリーレンエーテル)樹脂を、例えば、Cooperらの米国特許第3496236号、Liskaらの同第5880221号及びHwangらの同第6569982号に記載されているように、酸化剤の存在下で二価フェノールと反応させればよい。第三に、モノヒドロキシポリ(アリーレンエーテル)樹脂を、例えば、Whiteの米国特許第4140675号及び同第4165422号及び同第4234706号、Braatらの同第6307010号、並びにAycockらの欧州特許出願公開第550209号に記載されているように、ジフェノキノンと平衡化させればよい。第四に、二価フェノールとジハロフェノールスルホンを、例えば、Percecの米国特許第4562243号及び同第4663402号及び同第4665137号及びHayaseの同第5965663号、並びにFanの米国法定発明登録第H521号に記載のように、塩基の存在下で共重合すればよい。第五に、ジヒドロキシ芳香族化合物からジカルボニル付加物を形成し、ジカルボニル付加物を対応するジエステルに酸化し、ジエステルを加水分解してヒドロキシ末端停止アリーレンエーテルを得ることができる。この方法は、例えばYeagerらの米国特許第4873371号に記載されている。第六に、モノヒドロキシポリ(アリーレンエーテル)樹脂を、酸触媒の存在下でホルムアルデヒドと反応させて、内部メチレン基を有するジヒドロキシポリ(アリーレンエーテル)を形成すればよい。この方法は、例えば、W.Risseら、Makromolekulare Chemie(1985)、第186巻、第9号、第1835〜1853頁に記載されている。第七に、二価フェノールを、塩基の存在下で4−ハロ−2,6−ジアルキルフェノールと共重合してもよい。この方法は、例えば、W.Risseら、Makromolekulare Chemie(1985)、第186巻、第9号、第1835〜1853頁に記載されている。
【0009】
ジヒドロキシポリ(アリーレンエーテル)は、重合性官能基をポリ(アリーレンエーテル)樹脂に付加する公知の方法を用いて二官能化ポリ(アリーレンエーテル)に変換できる。かかる方法はポリ(アリーレンエーテル)の「封鎖」とも呼ばれ、そのためかかる試薬は「封鎖剤」ともいわれる。例えば、ポリ(アリーレンエーテル)のヒドロキシ基を、例えば、Holochらの米国特許第3375228号、Whiteの同第4165422号、Nelissenらの同第5071922号、Yeagerらの同第6352782号及びBraatらの同第6384176号に記載されているように、酸無水物と反応させればよい。別の例として、ポリ(アリーレンエーテル)のヒドロキシ基を、例えば、Ishiiらの米国特許出願公開第2003/0194562号に記載されているように、エステル結合を形成するのに適した条件下で遊離酸と反応させればよい。もう一つの例として、ポリ(アリーレンエーテル)のヒドロキシ基を、例えば、Holochらの米国特許第3375228号及びWhiteの同第4165422号に記載されているように、酸ハライドと反応させればよい。別の例として、ポリ(アリーレンエーテル)のヒドロキシ基を、例えば、Holochらの米国特許第3375228号に記載されているように、ケテンと反応させればよい。さらに別の例として、ポリ(アリーレンエーテル)のヒドロキシ基を、例えば、Percecの米国特許第4562243号及びFanの米国法定発明登録第H521号に記載されているように、塩基性条件下でハロアルキル基と反応させてもよい。上記文献のすべてにエチレン性不飽和基を有する封鎖剤との反応が教示されているわけではないが、記載された方法をこの目的に適応させればよい。例えば、Holochらの米国特許第3375228号及びWhiteの同第4165422号の酸ハライド封鎖法は、アクリル酸クロライド又はメタクリル酸クロライドで使用できる。一実施形態では、封鎖剤とジヒドロキシポリ(アリーレンエーテル)の反応で(メタ)アクリレート封鎖基が生成する。(メタ)アクリル酸無水物がこの目的に適した封鎖剤である。接頭語「(メタ)アクリル−」が「アクリル−」と「メタクリル−」の両方を包含することは理解されよう。
【0010】
一実施形態では、二官能化ポリ(アリーレンエーテル)は次式の構造を有する。
【0011】
【化1】

式中、各Qは独立にハロゲン、第一又は第二C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アミノアルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12ヒドロカルビルオキシ、ハロゲン原子と酸素原子が2個以上の炭素原子で隔てられたC〜C12ハロヒドロカルビルオキシなどであり、各Qは独立に水素、ハロゲン、第一又は第二C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アミノアルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12ヒドロカルビルオキシ、ハロゲン原子と酸素原子が2個以上の炭素原子で隔てられたC〜C12ハロヒドロカルビルオキシなどであり、xの合計が3以上であることを条件として、各xは独立に0〜約100であり、各RはC〜C12ヒドロカルビレンであり、各mは0又は1であり、各nは0又は1であり、各R〜Rは独立に水素又はC〜C18ヒドロカルビルであり、Lは次式の構造を有する。
【0012】
【化2】

式中、各RとRは独立に水素、ハロゲン、第一又は第二C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アミノアルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12ヒドロカルビルオキシ、ハロゲン原子と酸素原子が2個以上の炭素原子で隔てられたC〜C12ハロヒドロカルビルオキシなどであり、zは0又は1であり、Yは次式の構造を有する。
【0013】
【化3】

式中、R、R及びRは各々独立に水素、C〜C12ヒドロカルビルなどである。最後の部分構造で、RとRは二重結合に対してシス配置でもトランス配置でもよい。一実施形態では、xの合計は4以上である。本明細書において、「ヒドロカルビル」とは、用語の場合も接頭語の場合も、炭素と水素のみからなる残基をいう。この残基は脂肪族若しくは芳香族、直鎖、環状、二環式、枝分れ、飽和若しくは不飽和又はこれらの組合せでよい。ただし、明示されている場合、ヒドロカルビル残基は、置換基の炭素及び水素原子に加えてヘテロ原子を含んでいてもよい。すなわち、特にかかるヘテロ原子を含有するとされている場合、ヒドロカルビル残基は、カルボニル基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボン酸基、ハロゲン原子などを含んでいてもよいし、ヒドロカルビル残基の主鎖中にヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0014】
別の実施形態では、二官能化ポリ(アリーレンエーテル)は次式の構造を有する。
【0015】
【化4】

式中、Qはメチルであり、各Qは独立に水素又はメチルであり、各Rは独立に水素又はメチルであり、RとRは水素であり、各RとRは独立に水素、ハロゲン、第一又は第二C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アミノアルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12ヒドロカルビルオキシ、ハロゲン原子と酸素原子が2個以上の炭素原子で隔てられたC〜C12ハロヒドロカルビルオキシなどであり、各xは1〜約100である。一実施形態では、xの合計は4以上である。
【0016】
別の実施形態では、二官能化ポリ(アリーレンエーテル)は次式の構造を有する。
【0017】
【化5】

式中、Qはメチルであり、各Qは独立に水素又はメチルであり、各Rは独立に水素又はメチルであり、RとRは水素であり、各RとRは独立に水素、ハロゲン、第一又は第二C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アミノアルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12ヒドロカルビルオキシ、ハロゲン原子と酸素原子が2個以上の炭素原子で隔てられたC〜C12ハロヒドロカルビルオキシなどであり、RとRは独立に水素又はC〜Cヒドロカルビルなどであり、各xは1〜約100である。
【0018】
別の実施形態では、二官能化ポリ(アリーレンエーテル)は次式の構造を有する。
【0019】
【化6】

式中、各xは1〜約100であり、zは0又は1である。
【0020】
上述の通り、二官能化ポリ(アリーレンエーテル)は様々な合成法で製造できる。一実施形態では、二官能化ポリ(アリーレンエーテル)は以下の方法の生成物である。すなわち、対応ポリ(アリーレンエーテル)と対応ジフェノキノンの形成に適した条件下において触媒存在下で一価フェノールを酸化重合し、ポリ(アリーレンエーテル)とジフェノキノンを触媒から分離し、ポリ(アリーレンエーテル)とジフェノキノンを平衡化して、2個の末端ヒドロキシ基を有するポリ(アリーレンエーテル)を形成し、2個の末端ヒドロキシ基を有するポリ(アリーレンエーテル)を封鎖剤と反応させて、二官能化ポリ(アリーレンエーテル)を形成する。対応ポリ(アリーレンエーテル)の具体例は、2,6−ジメチルフェノールの酸化重合で製造されるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)である。対応ジフェノキノンの具体例は、2,6−ジメチルフェノールの酸化で形成される3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジフェノキノンである。
【0021】
別の実施形態では、二官能化ポリ(アリーレンエーテル)は一価フェノールと二価フェノールの酸化共重合の生成物である。好適な一価フェノールは概して次式の構造を有する。
【0022】
【化7】

式中、Qはハロゲン、第一又は第二C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アミノアルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12アミノアルキル、C〜C12ヒドロカルビルオキシ、ハロゲン原子と酸素原子が2個以上の炭素原子で隔てられたC〜C12ハロヒドロカルビルオキシなどであり、Qは水素、ハロゲン、第一又は第二C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アミノアルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12アミノアルキル、C〜C12ヒドロカルビルオキシ、ハロゲン原子と酸素原子が2個以上の炭素原子で隔てられたC〜C12ハロヒドロカルビルオキシなどである。多くの特定の一価フェノールが、例えば、Hayの米国特許第3306875号に記載されている。一実施形態では、一価フェノールは2,6−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール又はこれらの混合物である。
【0023】
好適な二価フェノールは一般に次式の構造を有する。
【0024】
【化8】

式中、各RとRは独立に水素、ハロゲン、第一又は第二C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アミノアルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12ヒドロカルビルオキシ、ハロゲン原子と酸素原子が2個以上の炭素原子で隔てられたC〜C12ハロヒドロカルビルオキシなどであり、zは0又は1であり、Yは次式の構造を有する。
【0025】
【化9】

式中、R、R及びRは各々独立に水素、C〜C12ヒドロカルビルなどである。好適な二価フェノールの具体例としては、例えば、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(すなわち「ビスフェノールA」又は「BPA」)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ブタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−1−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン、ビス(ヒドロキシアリール)アルカン、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチルフェニル)プロパン(「テトラメチルビスフェノールA」又は「TMBPA」)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン、例えば1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなど及びこれらの混合物が挙げられる。
【0026】
一実施形態では、二官能化ポリ(アリーレンエーテル)は、脱揮押出による単離を含む方法で製造される。脱揮押出に適した手順は、例えば、Braatらの米国特許第6384176号に記載されている。別の実施形態では、二官能化ポリ(アリーレンエーテル)は100ppm未満の残留末端−OH基を有する。以下の実施例に記載した製造法では、この条件を満たす二官能化ポリ(アリーレンエーテル)樹脂を製造できる。以下の実施例に記載の製造法では、これらの条件を満たす二官能化ポリ(アリーレンエーテル)樹脂を製造することができる。
【0027】
一実施形態では、二官能化ポリ(アリーレンエーテル)は約1000〜約10000原子質量単位(AMU)の数平均分子量を有するが、数平均分子量約500AMU未満の二官能化ポリ(アリーレンエーテル)は10重量%未満であり、数平均分子量約1000AMU未満の二官能化ポリ(アリーレンエーテル)は25重量%未満である。別の実施形態では、二官能化ポリ(アリーレンエーテル)は約10000AMU以上の数平均分子量を有するが、数平均分子量約500AMU未満の二官能化ポリ(アリーレンエーテル)は2重量%未満であり、数平均分子量約1000AMU未満の二官能化ポリ(アリーレンエーテル)は5重量%未満、好ましい1重量%未満である。
【0028】
一実施形態では、二官能化ポリ(アリーレンエーテル)は以下の性質:5000AMU未満の数平均分子量を有すること、分子量500AMU未満のポリマーが1重量%未満であること、分子量30000AMU超のポリマーが5重量%未満であること、200マイクロモル/g以上の「ビニル」(すなわち、炭素−炭素二重結合)官能基を有すること、酸価が1ミリグラムKOH/g未満であること、分解開始温度が450℃超であること、のいずれか1以上の性質を有し得る。以下の実施例に記載する製造法で、これらの条件を満たす二官能化ポリ(アリーレンエーテル)樹脂を製造することができる。
【0029】
硬化性組成物は、二官能化ポリ(アリーレンエーテル)とオレフィン性不飽和モノマーの合計100重量部当たり約5〜約90重量部の二官能化ポリ(アリーレンエーテル)を含む。上記の範囲内で、二官能化ポリ(アリーレンエーテル)樹脂の量は具体的には約10重量部以上、さらに具体的には約15重量部以上とし得る。同じく上記の範囲内で、二官能化ポリ(アリーレンエーテル)樹脂の量は具体的には約80重量部以下、さらに具体的には約60重量部以下、さらに一段と具体的には約50重量部以下とし得る。
【0030】
二官能化ポリ(アリーレンエーテル)に加えて、硬化性組成物はオレフィン性不飽和モノマーを含むる。本発明において、オレフィン性不飽和モノマーは、炭素−炭素二重結合を含む重合性モノマーと定義される。好適なオレフィン性不飽和モノマーとしては、例えば、アルケニル芳香族モノマー、アリル系モノマー、アクリロイルモノマー、ビニルエーテル、マレイミドなど及びこれらの混合物が挙げられる。
【0031】
アルケニル芳香族モノマーには次式のものがある。
【0032】
【化10】

式中、各R10は独立に水素又はC〜C18ヒドロカルビルであり、各R11は独立にハロゲン、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシル又はC〜C18アリールであり、qは1〜4であり、rは0〜5である。芳香環上の特定されていない位置は水素原子で置換されている。好適なアルケニル芳香族モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−t−ブチルスチレン、3−t−ブチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、1,3−ジビニルベンゼン、1,4−ジビニルベンゼン、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、芳香環上に1〜5個のハロゲン置換基を有するスチレンなど及びこれらの組合せがある。一実施形態では、アルケニル芳香族モノマーはスチレンである。
【0033】
オレフィン性不飽和モノマーはアリル系モノマーであってもよい。アリル系モノマーは、1以上のアリル(−CH−CH=CH)基を含む有機化合物である。一実施形態では、アリル系モノマーは2個以上のアリル基を有する。別の実施形態では、アリル系モノマーは3個以上のアリル基を有する。好適なアリル系モノマーとしては、例えば、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、メリト酸トリアリル、メシン酸トリアリル、トリアリルベンゼン、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、これらの混合物、これらから製造された部分重合生成物など、並びにこれらの混合物がある。
【0034】
オレフィン性不飽和モノマーはアクリロイルモノマーであってもよい。アクリロイルモノマーは、次式の構造を有する1以上のアクリロイル基を含む化合物である。
【0035】
【化11】

式中、R12〜R14は各々独立に水素、C〜C12ヒドロカルビル、C〜C18ヒドロカルビルオキシカルボニル、ニトリル、ホルミル、カルボン酸、イミデート、チオカルボン酸などである。一実施形態では、アクリロイルモノマーは2個以上のアクリロイル基を有する。別の実施形態では、アクリロイルモノマーは3個以上のアクリロイル基を有する。好適なアクリロイルモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、エトキシル化(2)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートなど及びこれらの混合物がある。エトキシル化という語の後の数字は、ビスフェノールAの各酸素に結合したエトキシレート鎖中のエトキシ基の平均数をいう。一実施形態では、アクリロイルモノマーは2個以上のアクリロイル基を有する。別の実施形態では、アクリロイルモノマーは3個以上のアクリロイル基を有する。
【0036】
オレフィン性不飽和モノマーはビニルエーテルであってもよい。ビニルエーテルは1以上のビニルエーテル(−O−CH=CH)基を含む化合物である。一実施形態では、ビニルエーテルは2個以上のビニルエーテル基を含有する。別の実施形態では、ビニルエーテルは3個以上のビニルエーテル基を含有する。好適なビニルエーテルとしては、例えば、1,2−エチレングリコールジビニルエーテル、1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテルなど及びこれらの混合物がある。
【0037】
オレフィン性不飽和モノマーはマレイミドでもよい。マレイミドは次式の構造を1個以上含む化合物である。
【0038】
【化12】

好適なマレイミドとしては、例えば、N−フェニルマレイミド、1,4−フェニレン−ビス−メチレン−α,α′−ビスマレイミド、2,2−ビス(4−フェノキシフェニル)−N,N′−ビスマレイミド、N,N′−フェニレンビスマレイミド、N,N′−ヘキサメチレンビスマレイミド、N−N′−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N′−オキシ−ジ−p−フェニレンビスマレイミド、N,N′−4,4′−ベンゾフェノンビスマレイミド、N,N′−p−ジフェニルスルホンビスマレイミド、N,N′−(3,3′−ジメチル)メチレン−ジ−p−フェニレンビスマレイミド、ポリ(フェニルメチレン)ポリマレイミド、ビス(4−フェノキシフェニル)スルホン−N,N′−ビスマレイミド、1,4−ビス(4−フェノキシ)ベンゼン−N,N′−ビスマレイミド、1,3−ビス(4−フェノキシ)ベンゼン−N,N′−ビスマレイミド、1,3−ビス(3−フェノキシ)ベンゼン−N,N′−ビスマレイミドなど及びこれらの混合物がある。
【0039】
組成物は一般に、二官能化ポリ(アリーレンエーテル)とオレフィン性不飽和モノマーの合計100重量部当たり約10〜約95重量部のオレフィン性不飽和モノマーを含む。上記の範囲内で、オレフィン性不飽和モノマーの量は具体的には約20重量部以上、さらに具体的には約30重量部以上とし得る。同じく上記の範囲内で、オレフィン性不飽和モノマーの量は具体的には約80重量部以下、さらに具体的には約60重量部以下とし得る。
【0040】
硬化性組成物は複数の成分を含むと定義されるので、特に単一の化合物が2種以上の成分の定義を満足し得る場合各成分は化学的に区別可能である。
【0041】
硬化性組成物は、適宜、さらに硬化開始剤を含んでいてもよい。硬化開始剤は、硬化触媒ともいわれ、当技術分野で周知であり、数多くの熱可塑性材料及び熱硬化性材料、例えば不飽和ポリエステル、ビニルエステル及びアリル系熱硬化性材料の重合、硬化又は架橋を開始するのに使用できる。硬化開始剤の非限定的な例としては、Smithらの米国特許第5407972号及びKatayoseらの同第5218030号に記載されているものがある。硬化開始剤としては、高温でフリーラジカルを生成することができる化合物が挙げられる。かかる硬化開始剤には、ペルオキシ系と非ペルオキシ系の両方のラジカル開始剤が包含され得る。有用なペルオキシ開始剤の例としては、例えば、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ラウリルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−ブチルベンゼンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオクトエート、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−ヘキサ−3−イン、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α′−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジ(t−ブチルペルオキシ)イソフタレート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)オクタン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)ペルオキシド、トリメチルシリルフェニルトリフェニルシリルペルオキシドなど及びこれらの混合物がある。好適な非ペルオキシ開始剤としては、例えば、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、2,3−トリメチルシリルオキシ−2,3−ジフェニルブタンなど及びこれらの混合物がある。熱硬化性材料の不飽和基用の硬化開始剤としては、さらに、不飽和成分のアニオン重合を開始することができる化合物が挙げられる。かかるアニオン重合開始剤としては、例えば、ナトリウムアミド(NaNH)及びリチウムジエチルアミド(LiN(C)のようなアルカリ金属アミド、C〜C10アルコキシドのアルカリ金属及びアンモニウム塩、アルカリ金属及びアンモニウム水酸化物、アルカリ金属シアン化物、アルキルリチウム化合物(n−ブチルリチウム)のような有機金属化合物、臭化フェニルマグネシウムのようなGrignard試薬など、並びにこれらの組合せがある。一実施形態では、硬化開始剤はt−ブチルペルオキシベンゾエート又はジクミルペルオキシドからなる。硬化開始剤は約0〜約200℃の温度で硬化を促進し得る。
【0042】
存在する場合、硬化開始剤は二官能化ポリ(アリーレンエーテル)とオレフィン性不飽和モノマーの合計100重量部当たり約0.1〜約5重量部で使用できる。上記の範囲内で、硬化開始剤の量は具体的には約0.5重量部以上、さらに具体的には約1重量部以上とし得る。同じく上記の範囲内で、硬化開始剤の量は具体的には約4重量部以下、さらに具体的には約3重量部以下とし得る。また、硬化開始剤の量は樹脂1g当たりのマイクロモル単位で表すこともでき、この場合の「樹脂」は二官能化ポリ(アリーレンエーテル)とオレフィン性不飽和モノマーである。この実施形態では、硬化開始剤の量は樹脂1g当たり約100マイクロモル以上である。
【0043】
硬化性組成物は、適宜、さらに硬化抑制剤を含んでいてもよい。好適な硬化抑制剤としては、例えば、ジアゾアミノベンゼン、フェニルアセチレン、sym−トリニトロベンゼン、p−ベンゾキノン、アセトアルデヒド、アニリン縮合物、N,N′−ジブチル−o−フェニレンジアミン、N−ブチル−p−アミノフェノール、2,4,6−トリフェニルフェノキシル、ピロガロール、カテコール、ヒドロキノン、モノアルキルヒドロキノン、p−メトキシフェノール、t−ブチルヒドロキノン、C〜C−アルキル置換カテコール、ジアルキルヒドロキノン、2,4,6−ジクロロニトロフェノール、ハロゲン−オルト−ニトロフェノール、アルコキシヒドロキノン、フェノール及びカテコールのモノ−及びジ−及びポリスルフィド、キノンのチオール、オキシム及びヒドラゾン、フェノチアジン、ジアルキルヒドロキシルアミンなど、並びにこれらの組合せがある。好適な硬化抑制剤には、さらに、未封鎖ポリ(アリーレンエーテル)(すなわち、遊離ヒドロキシル基を有するポリ(アリーレンエーテル))もある。一実施形態では、硬化抑制剤はベンゾキノン、ヒドロキノン、4−t−ブチルカテコール又はこれらの混合物からなる。
【0044】
硬化抑制剤が存在する場合、二官能化ポリ(アリーレンエーテル)とオレフィン性不飽和モノマーの合計100重量部当たり約0.005〜約1重量部で使用できる。上記の範囲内で、硬化抑制剤の量は具体的には約0.05重量部以上、さらに具体的には約0.1重量部以上とし得る。同じく上記の範囲内で、硬化抑制剤の量は、具体的には約0.5重量部以下、さらに具体的には約0.3重量部以下とし得る。一実施形態では、硬化抑制剤の量は樹脂1g当たりのマイクロモル単位で表すことができ、この場合「樹脂」は二官能化ポリ(アリーレンエーテル)とオレフィン性不飽和モノマーである。この実施形態では、硬化抑制剤の量は樹脂1g当たり約50マイクロモル以上とし得る。
【0045】
組成物は適宜、さらに、硬化組成物と金属基材、特に半導体パッケージに使用するリードフレームとの接着性を改良するため接着促進剤を含んでいてもよい。好適な接着促進剤としては、金属(メタ)アクリル酸塩、芳香族エポキシ化合物と芳香族アミンの組合せ、ビニル芳香族化合物とα,β−不飽和環状無水物のコポリマー、部分(メタ)アクリレート化エポキシ化合物など及びこれらの混合物がある。金属(メタ)アクリル酸塩は次式の構造を有し得る。
【0046】
【化13】

式中、各R15は独立に水素又はメチルであり、Mは周期律表の第1〜15族の金属であり、pはMの原子価に応じて1〜6の整数である。一実施形態では、Mは周期律表の第1、2、12又は13族の金属である。一実施形態では、Mは亜鉛であり、pは2である。芳香族エポキシ化合物と芳香族アミンの組合せとしては、芳香族エポキシ化合物がビスフェノール系エポキシ樹脂(例えば、ビスフェノールAグリシジルエーテル、ビスフェノールFグリシジルエーテル、4,4′−ジフェノールグリシジルエーテル、2,2′,6,6′−テトラメチル−4,4′−ジフェノールグリシジルエーテル)、ノボラック型エポキシ樹脂など又はこれらの混合物であり、芳香族アミンが単環式芳香族アミン(例えば、アニリン、トルイジン)、単環式芳香族ジアミン(例えば、ジアミノベンゼン、キシリレンジアミン)、単環式芳香族アミノアルコール(例えば、アミノフェノール)、多環式芳香族ジアミン(例えば、ジアミノジフェニルメタン、テトラメチルジアミノジフェニルメタン及びジアミノジフェニルスルホン)、多環式芳香族アミンなど又はこれらの混合物であるコポリマーがある。芳香族エポキシ化合物と芳香族アミンは、エポキシ基対アミノ水素原子のモル比が約1:2〜約2:1となる割合で使用できる。接着促進剤がビニル芳香族化合物とα,β−不飽和環状無水物とのコポリマーからなる場合、ビニル芳香族化合物はアルケニル芳香族モノマーに関して上述した構造のものでよく、α,β−不飽和環状無水物はC〜C12環状無水物でもよい。ビニル芳香族化合物とα,β−不飽和環状無水物の好ましいコポリマーは、スチレン含量が約50〜約95重量%で、無水マレイン酸含量が約5〜約50重量%であるスチレンと無水マレイン酸のコポリマーである。接着促進剤が部分(メタ)アクリレート化エポキシ化合物からなる場合、その化合物は上記芳香族エポキシ化合物とアクリル酸又はメタクリル酸との反応生成物であって、エポキシ基の約5〜約95%が反応して(メタ)アクリレートエステル基を形成しているものである。存在する場合、接着促進剤は二官能化ポリ(アリーレンエーテル)とオレフィン性不飽和モノマーの合計100重量部当たり約0.1〜約20重量部の量で使用できる。上記の範囲内で、接着促進剤の量は具体的には約1重量部以上、さらに具体的には約3重量部以上とし得る。同じく上記の範囲内で、接着促進剤の量は具体的には約15重量部以下、さらに具体的には約10重量部以下とし得る。
【0047】
一実施形態では、硬化性組成物は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)、オレフィン性不飽和モノマー、並びに金属(メタ)アクリル酸塩、芳香族エポキシ化合物と芳香族アミンの組合せ、ビニル芳香族化合物とα,β−不飽和環状無水物のコポリマー、部分(メタ)アクリレート化エポキシ化合物及びこれらの混合物から選択される接着促進剤からなる。この実施形態では、官能化ポリ(アリーレンエーテル)は、各々以下で定義する封鎖ポリ(アリーレンエーテル)又は環官能化ポリ(アリーレンエーテル)とし得る。
【0048】
官能化ポリ(アリーレンエーテル)は封鎖ポリ(アリーレンエーテル)であってもよい。本発明で、封鎖ポリ(アリーレンエーテル)は、対応する未封鎖ポリ(アリーレンエーテル)中に存在する遊離ヒドロキシル基の50%以上、好ましくは75%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに一段と好ましくは95%以上、さらに好ましくは99%以上が、封鎖剤との反応で官能化されたポリ(アリーレンエーテル)と定義される。
【0049】
封鎖ポリ(アリーレンエーテル)は次式の構造で表すことができる。
【0050】
Q(J−K)
式中、Qは一価、二価又は多価フェノール残基、好ましくは一価又は二価フェノール残基、さらに好ましくは一価フェノール残基であり、yは1〜100であり、Jは次式を有する繰返し構造単位からなる。
【0051】
【化14】

式中、mは1〜約200、好ましくは2〜約200であり、RとRは各々独立にハロゲン、第一又は第二C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アミノアルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12炭化水素オキシ、ハロゲン原子と酸素原子が2個以上の炭素原子で隔てられたC〜C12ハロ炭化水素オキシなどであり、RとRは各々独立に水素、ハロゲン、第一又は第二C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アミノアルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12炭化水素オキシ、ハロゲン原子と酸素原子が2個以上の炭素原子で隔てられたC〜C12ハロ炭化水素オキシなどである。また、式中のKはポリ(アリーレンエーテル)上のフェノール性ヒドロキシル基と封鎖剤との反応で生成した封鎖基である。得られる封鎖基は次式のようなものである。
【0052】
【化15】

式中、RはC〜C12アルキルなどであり、R〜Rは各々独立に水素、C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C18アリール、C〜C18アルキル置換アリール、C〜C18アリール置換アルキル、C〜C12アルコキシカルボニル、C〜C18アリールオキシカルボニル、C〜C18アルキル置換アリールオキシカルボニル、C〜C18アリール置換アルコキシカルボニル、ニトリル、ホルミル、カルボキシレート、イミデート、チオカルボキシレートなどであり、R〜R13は各々独立に水素、ハロゲン、C〜C12アルキル、ヒドロキシ、アミノなどであり、Yは次式のような二価基である。
【0053】
【化16】

式中、R14とR15は各々独立に水素、C〜C12アルキルなどである。
【0054】
一実施形態では、Qは多官能性フェノールを始めとするフェノール残基であり、次式の構造の基がある。
【0055】
【化17】

式中、R〜Rは各々独立に水素、ハロゲン、第一又は第二C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アミノアルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12アミノアルキル、C〜C12炭化水素オキシ、ハロゲン原子と酸素原子が2個以上の炭素原子で隔てられたC〜C12ハロ炭化水素オキシなどであり、Xは水素、C〜C12アルキル、C〜C18アリール、C〜C18アルキル置換アリール、C〜C18アリール置換アルキル又は以上の炭化水素基のいずれかでカルボン酸、アルデヒド、アルコール、アミノ基などの1以上の置換基を含有するものであり、またXは様々なビス−又はそれ以上のポリフェノールを生じるようにイオウ、スルホニル、スルフリル、酸素その他2以上の原子価を有する同様の橋かけ基であってもよく、yとnは各々独立に1〜約100、好ましくは1〜3、さらに好ましくは約1〜2であり、好ましい実施形態ではy=nである。Qはまた2,2′,6,6′−テトラメチル−4,4′−ジフェノール又はビスフェノールAのようなジフェノールの残基であってもよい。
【0056】
一実施形態では、封鎖ポリ(アリーレンエーテル)は、次式の構造の1種以上の一価フェノールの重合生成物から本質的になるポリ(アリーレンエーテル)を封鎖することによって製造される。
【0057】
【化18】

式中、R〜Rは各々独立に水素、ハロゲン、第一又は第二C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アミノアルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12炭化水素オキシ、ハロゲン原子と酸素原子が2個以上の炭素原子で隔てられたC〜C12ハロ炭化水素オキシなどである。好適な一価フェノールとしては、Hayの米国特許第3306875号に記載されているものがあり、極めて好ましい一価フェノールには2,6−ジメチルフェノール及び2,3,6−トリメチルフェノールがある。ポリ(アリーレンエーテル)は2,6−ジメチルフェノール及び2,3,6−トリメチルフェノールのような2種以上の一価フェノールのコポリマーでもよい。別の実施形態では、封鎖ポリ(アリーレンエーテル)は上記二官能化ポリ(アリーレンエーテル)からなる。
【0058】
好ましい実施形態では、封鎖ポリ(アリーレンエーテル)は次式の構造の1以上の封鎖基を含む。
【0059】
【化19】

式中、R〜Rは各々独立に水素、C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C18アリール、C〜C18アルキル置換アリール、C〜C18アリール置換アルキル、C〜C12アルコキシカルボニル、C〜C18アリールオキシカルボニル、C〜C18アルキル置換アリールオキシカルボニル、C〜C18アリール置換アルコキシカルボニル、ニトリル、ホルミル、カルボキシレート、イミデート、チオカルボキシレートなどである。極めて好ましい封鎖基としては、アクリレート(R=R=R=水素)及びメタアクリレート(R=メチル、R=R=水素)がある。
【0060】
官能化ポリ(アリーレンエーテル)は環官能化ポリ(アリーレンエーテル)でもよい。本発明で、環官能化ポリ(アリーレンエーテル)は、次式の繰返し構造単位を含むポリ(アリーレンエーテル)と定義される。
【0061】
【化20】

式中、各L〜Lは独立に水素、アルケニル基又はアルキニル基であり、アルケニル基は次式で表される。
【0062】
【化21】

式中、L〜Lは独立に水素又はメチルであり、aは1〜4の整数である。また、上記式中のアルキニル基は次式で表される。
【0063】
【化22】

式中、Lは水素、メチル又はエチルであり、bは1〜4の整数である。なお、環官能化ポリ(アリーレンエーテル)中の全L〜L置換基の約0.02〜約25モル%はアルケニル及び/又はアルキニル基である。上記の範囲内で、約0.1モル%以上、さらに好ましくは約0.5モル%以上がアルケニル及び/又はアルキニル基であるのが好ましいであろう。同じく上記の範囲内で、約15モル%以下、さらに好ましくは約10モル%以下がアルケニル及び/又はアルキニル基であるのが好ましいであろう。
【0064】
環官能化ポリ(アリーレンエーテル)は公知の方法で製造できる。例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)のような未官能化ポリ(アリーレンエーテル)をn−ブチルリチウムのような試薬で金属化し、その後臭化アリルのようなハロゲン化アルケニル及び/又は臭化プロパルギルのようなハロゲン化アルキニルと反応させればよい。この方法及びその他の環官能化ポリ(アリーレンエーテル)樹脂の製造法は、例えば、Katayoseらの米国特許第4923932号に記載されている。
【0065】
官能化ポリ(アリーレンエーテル)の分子量又は固有粘度に特別な制限はない。一実施形態では、組成物は、約10000原子質量単位(AMU)以下、好ましくは約5000AMU以下、さらに好ましくは約3000AMU以下の数平均分子量を有する官能化ポリ(アリーレンエーテル)を含んでいてもよい。かかる官能化ポリ(アリーレンエーテル)は、その粘度が低いことから組成物の製造及び加工処理の際に有用であろう。
【0066】
別の実施形態では、組成物は、クロロホルム中25℃で測定して約0.08〜約0.30dl/g(dL/g)、好ましくは約0.12〜約0.30dL/g、さらに好ましくは約0.15〜約0.25dL/gの固有粘度を有する官能化ポリ(アリーレンエーテル)を含んでいてもよい。一般に、官能化ポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度は、対応する未官能化ポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度とさほど大きくは変わらない。具体的には、官能化ポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度は、一般に、未官能化ポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度の10%以内である。これらの固有粘度は約5000〜約25000AMUの数平均分子量にほぼ対応する。上記の範囲内で、約8000AMU以上の数平均分子量が好ましいであろう。また、約10000AMU以上の数平均分子量がさらに好ましいであろう。さらに、上記の範囲内で、約20000AMU以下の数平均分子量が好ましいであろう。かかる官能化ポリ(アリーレンエーテル)は、望ましいバランスのとれた強靱性と加工性を有する組成物を与える。明らかに、分子量及び固有粘度の異なる2種以上の官能化ポリ(アリーレンエーテル)のブレンドを使用することも考えられる。
【0067】
官能化ポリ(アリーレンエーテル)の製造方法、並びに別の好適な官能化ポリ(アリーレンエーテル)構造が、Yeagerらの米国特許出願公開第2003−0096123号に記載されている。
【0068】
組成物が官能化ポリ(アリーレンエーテル)、オレフィン性不飽和モノマー及び接着促進剤からなる場合、官能化ポリ(アリーレンエーテル)は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)、オレフィン性不飽和モノマー及び接着促進剤の合計100重量部当たり約1〜約90重量部の量で配合し得る。上記の範囲内で、官能化ポリ(アリーレンエーテル)の量は、好ましくは約5重量部以上、さらに好ましくは約10重量部以上、さらに一段と好ましくは約15重量部以上で使用される。同じく上記の範囲内で、好ましくは約80重量部以下、さらに好ましくは約60重量部以下、さらに一段と好ましくは約40重量部以下、さらに一段と好ましくは約30重量部以下の官能化ポリ(アリーレンエーテル)が使用される。また組成物は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)、オレフィン性不飽和モノマー及び接着促進剤の合計100重量部当たり約10〜約95重量部のオレフィン性不飽和モノマーを含んでいればよい。上記の範囲内で、オレフィン性不飽和モノマーの量は、具体的には約20重量部以上、さらに具体的には約30重量部以上であろう。同じく上記の範囲内で、オレフィン性不飽和モノマーの量は具体的には約90重量部以下、さらに具体的には約80重量部以下であろう。さらに、組成物は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)、オレフィン性不飽和モノマー及び接着促進剤合計100重量部当たり約0.1〜約30重量部の量で接着促進剤を含んでいればよい。上記の範囲内で、接着促進剤の量は具体的には約1重量部以上、さらに具体的には約3重量部以上、さらに一段と具体的には5重量部以上であろう。同じく上記の範囲内で、接着促進剤の量は、具体的には約20重量部以下、さらに具体的には約15重量部以下であろう。
【0069】
一実施形態は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)、オレフィン性不飽和モノマー及び接着促進剤からなる硬化性組成物を硬化して得られる硬化組成物である。この硬化組成物は有用な物品の製造に使用できる。一実施形態は、硬化組成物と金属基材からなる物品であり、この物品は、硬化性組成物を金属基材と接触させて硬化させて硬化組成物と金属基材との接着結合を形成することによって形成される。金属基材は、例えば、銅箔からなる。
【0070】
組成物は、適宜、さらに粒状充填材及び繊維状充填材を始めとする1種以上の充填材を含んでいてもよい。かかる充填材の例は当技術分野で周知であり、「Plastic Additives Handbook、4th Edition」、R.Gachter及びH.Muller(編)、P.P.Klemchuck(共編)、Hanser Publishers、New York 1993、第901〜948頁に記載されているものがある。本発明で、粒状充填材とは、平均アスペクト比約5:1未満の充填材と定義される。充填材の非限定的な例としては、溶融シリカ及び結晶質シリカのようなシリカ粉末、高い熱伝導率、低い誘電定数及び低い誘電損失正接を有する硬化生成物を得るための窒化ホウ素粉末及びホウケイ酸塩粉末、高温伝導率のための上記粉末並びにアルミナ及び酸化マグネシウム(すなわちマグネシア)、並びに、表面処理ウォラストナイトを始めとするウォラストナイト、硫酸カルシウム(その無水、半水和、二水和又は三水和形態)、一般に98+%のCaCOを含み残りが炭酸マグネシウム、酸化鉄及びアルミノケイ酸塩のような他の無機物であることが多い粉砕粒状の形態のチョーク、石灰石、大理石及び合成沈降炭酸カルシウムを始めとする炭酸カルシウム、表面処理炭酸カルシウム、繊維状、団塊状、針状及びラメラ状タルクを始めとするタルク、中空及び中実の両方のガラス球、並びに通例シランカップリング剤のようなカップリング剤を有するか及び/又は導電性コーティングを含有する表面処理ガラス球、並びに、硬質、軟質、焼成カオリン及び熱硬化性樹脂への分散及びそれとの相溶性を助けることが当技術分野で公知の各種コーティングを含むカオリンを始めとするカオリン、金属化雲母及びコンパウンディングしたブレンドに良好な物理的性質を付与するためにアミノシラン又はアクリロイルシランコーティングで表面処理した雲母を始めとする雲母、長石及びカスミ石閃長岩、ケイ酸塩球、煙塵、セノスフェア、フィライト、シラン化及び金属化アルミノケイ酸塩を始めとするアルミノケイ酸塩(アルモスフェア)、天然珪砂、石英、石英岩、パーライト、トリポリ、ケイ藻土、各種のシランコーティングを有するものを始めとする合成シリカなどの充填材がある。
【0071】
一実施形態では、粒状充填材は約1〜約50μmの平均粒径を有する溶融シリカである。代表的な粒状充填材は、約0.03μm〜1μm未満のメジアン粒径を有する第1の溶融シリカ及び1μm以上〜約30μmのメジアン粒径を有する第2の溶融シリカからなる。溶融シリカは、通例再融解により達成される本質的に球状の粒子を有し得る。上記特定の粒径範囲内で、第1の溶融シリカは具体的には約0.1μm以上、具体的には約0.2μm以上のメジアン粒径を有し得る。また、上記粒径範囲内で、第1の溶融シリカは具体的には約0.9μm以下、さらに具体的には約0.8μm以下のメジアン粒径を有し得る。上記特定の粒径範囲内で、第2の溶融シリカは具体的には約2μm以上、具体的には約4μm以上のメジアン粒径を有し得る。また、上記粒径範囲内で、第2の溶融シリカは具体的には約25μm以下、さらに具体的には約20μm以下のメジアン粒径を有し得る。一実施形態では、組成物は約70:30〜約99:1の範囲、具体的には約80:20〜約95:5の重量割合で第1の溶融シリカと第2の溶融シリカを含む。
【0072】
繊維状充填材としては、1種以上のケイ酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム及び硫酸カルシウム半水和物からなるブレンドから得られたもののような加工処理した鉱物繊維を始めとする無機短繊維がある。また、繊維状充填材の中には、炭化ケイ素、アルミナ、炭化ホウ素、炭素、鉄、ニッケル、銅を含む単結晶繊維又は「ホィスカー」がある。また、繊維状充填材には、E、A、C、ECR、R、S、D及びNEガラス並びに石英のような織物用ガラス繊維を始めとするガラス繊維が包含される。代表的な繊維状充填材としては、約5〜約25μmの直径及び約0.5〜約4cmのコンパウンディング前の長さを有するガラス繊維がある。多くのその他の好適な充填材がYeagerらの米国特許第6627704号に記載されている。
【0073】
プラスチック封止電子装置には非導電性充填材を使用するのが好ましいであろうが、組成物は導電性充填材が望ましい他の用途にも使用できる。かかる用途の場合、好適な導電性充填材としては、グラファイト、導電性カーボンブラック、単層カーボンナノチューブ及び多層カーボンナノチューブを始めとする導電性炭素繊維、金属繊維、金属粒子、本来的に導電性ポリマー粒子など、並びにこれらの混合物がある。
【0074】
本配合物はまた、熱硬化性樹脂の充填材又は外部コーティング又は基材に対する接着を改良するために接着促進剤も含有し得る。接着を改良するための接着促進剤による前述の無機充填材の処理も可能である。接着促進剤としては、クロム錯体、シラン、チタン酸塩、ジルコアルミン酸塩、プロピレン無水マレイン酸コポリマー、反応性セルロースエステルなどがある。クロム錯体としては、DuPontから商標VOLAN(登録商標)で販売されているものがある。シランとしては、一般構造(RO)(4−n)SiYを有する分子があり、ここでn=1〜3、Rはアルキル又はアリール基、Yはポリマー分子との結合を形成することができる反応性官能基である。カップリング剤の特に有用な例は構造(RO)SiYを有するものである。典型的な例は、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシ)シラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどである。シランには、さらに、例えばトリメトキシフェニルシランのような反応性官能基を欠く分子がある。チタン酸塩としては、S.J.Monteらにより開発されたもの(Ann.Chem.Tech Conf.SPI(1980)、Ann.Tech Conf.Reinforced Plastics and Composite Inst.SPI 1979、Section 16E、New Orleans)及びS.J.Monteにより開発されたもの(Mod.Plastics Int.、第14巻、第6号、第2頁(1984))がある。ジルコアルミン酸塩としては、L.B.CohenによりPlastics Engineering、第39巻、第11号、第29頁(1983)に記載されているものがある。接着促進剤は熱硬化性樹脂自身の中に含ませるか又は上記いずれかの充填材上に塗布して充填材と熱硬化性樹脂との間の接着を改良することができる。例えば、かかる促進剤を用いて、ケイ酸塩繊維又は充填材を被覆して樹脂マトリックスの接着を改良することができる。
【0075】
存在する場合、粒状充填材は、組成物の総重量を基準にして約5〜約95重量%の量で使用できる。上記の範囲内で、粒状充填材の量は具体的には約20重量%以上、さらに具体的には約40重量%以上、さらに一段と具体的には約75重量%以上とし得る。同じく上記の範囲内で、粒状充填材の量は具体的には約93重量%以下、さらに具体的には約91重量%以下とし得る。
【0076】
存在する場合、繊維状充填材は、組成物の総重量を基準にして約2〜約80重量%の量で使用できる。上記の範囲内で、繊維状充填材の量は具体的には約5重量%以上、さらに具体的には約10重量%以上、さらに一段と具体的には約15重量%以上とし得る。同じく上記の範囲内で、繊維状充填材の量は具体的には約60重量%以下、さらに具体的には約40重量%以下、さらに一段と具体的には約30重量%以下とし得る。
【0077】
前述の充填材は、何の処理することもなく熱硬化性樹脂に添加してもよいし又は通常接着促進剤により表面処理した後に添加してもよい。
【0078】
硬化性組成物は、適宜、さらに、例えば、染料、顔料、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、可塑剤、滑剤、流動性改良剤、ドリップ抑制剤、難燃剤、粘着防止剤、帯電防止剤、流動促進剤、加工助剤、基板接着剤、離型剤、強靱化剤、低収縮剤、応力緩和剤など及びこれらの組合せのような当技術分野で公知の1種以上の添加剤を含んでいてもよい。当業者は、好適な添加剤を選択し、また過度の実験をすることなく適量を決定することができる。
【0079】
本発明の硬化性組成物の1つの利点はその改良された成形特性である。例えば、硬化性組成物は、以下に記載する手順に準拠して測定して約130〜約180℃の温度及び約3〜約7MPaの圧力で測定して約50cm以上のスパイラルフローを示し得る。
【0080】
一実施形態では、硬化性組成物は、25℃で約0.08〜約0.25dl/gの固有粘度を有する二官能化ポリ(アリーレンエーテル)、2個以上のアクリロイル基を含むアクリロイルモノマーからなるオレフィン性不飽和モノマー、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ラウリルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−ブチルベンゼンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオクトエート、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−ヘキサ−3−イン、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α′−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジ(t−ブチルペルオキシ)イソフタレート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)オクタン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)ペルオキシド、トリメチルシリルフェニルトリフェニルシリルペルオキシド及びこれらの混合物から選択される硬化開始剤、並びに、ジアゾアミノベンゼン、フェニルアセチレン、sym−トリニトロベンゼン、p−ベンゾキノン、アセトアルデヒド、アニリン縮合物、N,N′−ジブチル−o−フェニレンジアミン、N−ブチル−p−アミノフェノール、2,4,6−トリフェニルフェノキシル、ピロガロール、カテコール、ヒドロキノン、モノアルキルヒドロキノン、p−メトキシフェノール、t−ブチルヒドロキノン、C〜C−アルキル置換カテコール、4−t−ブチルカテコール、ジアルキルヒドロキノン、2,4,6−ジクロロニトロフェノール、ハロゲン−オルト−ニトロフェノール、アルコキシヒドロキノン、フェノール及びカテコールのモノ−及びジ−及びポリスルフィド、キノンのチオール、オキシム及びヒドラゾン、フェノチアジン、ジアルキルヒドロキシルアミン、並びにこれらの混合物から選択される硬化抑制剤からなる。ここで、二官能化ポリ(アリーレンエーテル)は次式の構造を有する。
【0081】
【化23】

式中、Qはメチルであり、各Qは独立に水素又はメチルであり、各Rは独立に水素又はメチルであり、RとRは水素であり、RとRは独立に水素又はC〜Cヒドロカルビルであり、各xは1〜約100である。
【0082】
別の実施形態では、硬化性組成物は、約5〜約90重量部の、25℃で約0.08〜約0.20dl/gの固有粘度を有する二官能化ポリ(アリーレンエーテル)、約5〜約90重量部の、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、エトキシル化(2)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート又は以上のアクリロイルモノマー2種以上の混合物から選択されるアクリロイルモノマー、約0.2〜約5重量部の、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ラウリルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−ブチルベンゼンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオクトエート、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−ヘキサ−3−イン、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α′−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジ(t−ブチルペルオキシ)イソフタレート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)オクタン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)ペルオキシド、トリメチルシリルフェニルトリフェニルシリルペルオキシド及びこれらの混合物から選択される硬化開始剤、並びに、約0.005〜約1重量部の、ジアゾアミノベンゼン、フェニルアセチレン、sym−トリニトロベンゼン、p−ベンゾキノン、アセトアルデヒド、アニリン縮合物、N,N′−ジブチル−o−フェニレンジアミン、N−ブチル−p−アミノフェノール、2,4,6−トリフェニルフェノキシル、ピロガロール、カテコール、ヒドロキノン、モノアルキルヒドロキノン、p−メトキシフェノール、t−ブチルヒドロキノン、C〜C−アルキル置換カテコール、4−t−ブチルカテコール、ジアルキルヒドロキノン、2,4,6−ジクロロニトロフェノール、ハロゲン−オルト−ニトロフェノール、アルコキシヒドロキノン、フェノール及びカテコールのモノ−及びジ−及びポリスルフィド、キノンのチオール、オキシム及びヒドラゾン、フェノチアジン、ジアルキルヒドロキシルアミン、並びにこれらの混合物から選択される硬化抑制剤からなり、ここで二官能化ポリ(アリーレンエーテル)は次式の構造を有する。
【0083】
【化24】

式中、各xは1〜約50であり、zは0又は1である。また、上記重量部はすべて二官能化ポリ(アリーレンエーテル)とアクリロイルモノマーの合計100重量部を基準にしている。
【0084】
別の実施形態は、25℃で約0.05〜約0.30dl/gの固有粘度を有する二官能化ポリ(アリーレンエーテル)とオレフィン性不飽和モノマーとをブレンドして均質ブレンドを形成することからなる、硬化性組成物を形成する方法である。
【0085】
一実施形態は、上記の硬化性組成物のいずれかを硬化して得られる硬化組成物である。用語「硬化」とは、部分硬化及び完全な硬化を含む。硬化性組成物の成分は硬化中互いに反応し得るので、硬化組成物は硬化性組成物の成分の反応生成物からなるともいえる。
【0086】
本硬化性組成物の1つの利点は、硬化後に優れた剛性と衝撃強さを示すことである。例えば、硬化組成物は、ASTM D790に準拠して測定して約90MPa以上の曲げ強度を示し得る。別の例として、硬化組成物は、ASTM D790に準拠して測定して0.8J以上の破断エネルギーを示し得る。
【0087】
硬化性組成物の別の利点は、硬化後にポリ(アリーレンエーテル)相の優れた分散を示すことである。例えば、硬化組成物は、透過型電子顕微鏡で求めて、約50nm〜約1μmのポリ(アリーレンエーテル)で覆われた硬化オレフィン性不飽和モノマー相のドメインサイズを呈する。この高度のポリ(アリーレンエーテル)分散は、表面外観の改良された均一性を含めて多くの特性上の利点となる。
【0088】
別の実施形態は、前記硬化組成物のいずれかからなる物品である。硬化性組成物は広範な物品の製造に有用であり、特に電子装置の封止材料として使用するのに適している。
【実施例】
【0089】
以下の非限定的な実施例で本発明をさらに例証する。
【0090】
実施例1
本例では、再分配ポリフェニレンエーテル樹脂の調製について記載する。三首フラスコに、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)(固有粘度=0.46dl/g(dL/g)、90g(g))、トルエン(260(mL))及びビスフェノールA(5.4g)を入れた。この反応混合物を90℃に加熱して均一な溶液を形成した。この加熱した溶液に、ベンゾイルペルオキシド(5.4g)を少しずつ加えた。添加が完了した後、反応を約2時間90℃に維持した。次に、この溶液を室温に冷却し、生成物のポリフェニレンエーテルをメタノールから沈殿させた。得られた物質は0.56重量%のヒドロキシル基を(−OHとして)含有していた。ヒドロキシル末端基は、K.P.Chan、D.S.Argyropoulos、D.M.White、G.W. eager及びA.S.Hay、Macromolecules、1994、第27巻、第6371頁以降に記載されているように、リン試薬で誘導体化し、31PNMRで定量することによって測定した。
【0091】
実施例2〜9、比較例1及び2
実施例1の手順を用い、ポリ(アリーレンエーテル)出発材料の固有粘度、ビスフェノールAの濃度及びベンゾイルペルオキシドの濃度を変化させて、幾つかの再分配ポリ(アリーレンエーテル)樹脂を調製した。反応はすべて、トルエン中25重量%の固形分で行った。1つの試料、すなわち実施例6では改変した仕上げ処理も使用した。すなわち、試料をピロリジンと共に還流して、安息香酸エステル基を再分配ポリフェニレンエーテルから除去した。反応混合物を室温に冷却した後、1容量の冷却した反応混合物を二倍容量のメタノールと共に混合することによって生成物を沈殿させた。沈殿をろ過し、追加のメタノールで洗浄した。ヒドロキシル基含量を上記のようにして決定した。固有粘度はクロロホルム中25℃で測定した。数平均分子量(M)及び重量平均分子量(M)は、いずれも原子質量単位(AMU)で表すが、ポリスチレン標準を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって決定した。各試料に対する官能性度(d)は、ポリ(アリーレンエーテル)鎖当たりのヒドロキシル基の平均数に相当しており、次式で計算される。
【0092】
=([OH]/17.01)×(M/10
ここで、[OH]は重量百万分率で表したポリフェニレンエーテルのヒドロキシル含量であり、Mは原子質量単位で表したポリフェニレンエーテルの数平均分子量である。比較のために、未反応の出発ポリフェニレンエーテルも特性を決定した(比較例1及び2)。
【0093】
反応条件及び生成物の特性決定結果をまとめて表1に示す。
【0094】
【表1】

【0095】
【表2】

【0096】
【表3】

実施例10
出発材料として、0.41dL/gの固有粘度と0.65重量%のヒドロキシル含量を有するポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)(PPE)、6重量%のビスフェノールA(PPE基準)及び6重量%のベンゾイルペルオキシド(PPE基準)を用いて、実施例1と同様にして再分配ポリフェニレンエーテルを調製した。この反応混合物をピロリジン(モルレベルでベンゾイルペルオキシドの2.4倍)と共に還流して安息香酸エステル基を除去した。得られた再分配PPEを、362gの再分配PPE、362gのスチレン、5gのジメチルアミノピリジン及び65.2gの無水メタクリル酸を用いた反応でメタクリレートで封鎖した。このメタクリレート封鎖ポリフェニレンエーテル生成物は重量で百万部当たり15部の検出限界未満のヒドロキシル含量を有していた。
【0097】
実施例11
実施例1に記載の手順を用い、出発材料として、0.25dL/gの固有粘度を有する450gのポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、1170mLのトルエン、18gのビスフェノールA及び18gのベンゾイルペルオキシドを用いて再分配ポリフェニレンエーテルを調製した。3時間後、33mLのピロリジンを加え、反応混合物をさらに20時間還流した。この生成物をメタノールで沈殿させ、ろ過し、洗浄し、真空オーブン中110℃で20時間乾燥した。得られた再分配ポリフェニレンエーテルを、363.6gの再分配ポリフェニレンエーテル、363.6gのスチレン、5gのジメチルアミノピリジン及び43.47gの無水メタクリル酸を含有する反応混合物中においてメタクリレートで封鎖した。この反応混合物を23時間85℃に維持して、重量で百万部当たり90.9部のヒドロキシル含量を有するメタクリレート封鎖ポリフェニレンエーテルを得た。
【0098】
実施例12及び13、比較例3〜5
5つの組成物を調製し、成形して、封鎖ポリ(アリーレンエーテル)の構造が成形部品の収縮及び外観に対して及ぼす効果を検査した。実施例12と13では、0.25dL/gの固有粘度を有するポリフェニレンエーテルの再分配とその後の封鎖によって調製された両端がメタクリレートで封鎖されたポリフェニレンエーテル(PPE−MA)を使用した。この両端封鎖PPE−MAは0.25dL/g未満の固有粘度を有していた。比較例3と4では、約0.40dL/gの固有粘度を有する未封鎖ポリフェニレンエーテルから調製した一端がメタクリレートで封鎖されたポリフェニレンエーテルを使用した。比較例5では、約0.12dL/gの固有粘度を有する未封鎖ポリフェニレンエーテルから調製された一端がメタクリレートで封鎖されたポリフェニレンエーテルを使用した。試験用の試料を調製するために、メタクリレート封鎖ポリフェニレンエーテル(PPE−MA)をスチレンと共に混合し、その混合物を80℃に加熱してポリフェニレンエーテルを溶解した。次に、この混合物を80℃において真空でガス抜きして気泡のない透明な溶液を得た。次いで、ベンゾイルペルオキシドを加え、得られた混合物を、75℃に予熱したflexbar金型中に注入した。この充填した金型を対流式オーブンに入れ、その後約3時間にわたって110℃まで上昇させ45℃に低下するという加熱プロフィールに付した。この成形部品を目視検査して、外観及び部品の金型からの収縮が均一であるか否かについて調べた。組成と結果をまとめて表2に示す。結果は、低固有粘度を有する両端がメタクリレートで封鎖されたポリフェニレンエーテルから調製された実施例12と13のみが、良好な全体外観を示し、均一な収縮を示し、クラックと気泡がないことを示している。
【0099】
【表4】

実施例14
本例では、再分配ポリ(アリーレンエーテル)からのメタクリレート封鎖ポリ(アリーレンエーテル)の調製について記載する。実施例1の手順で調製した再分配ポリ(アリーレンエーテル)(100g)をトルエン(300mL)に溶解させた。得られた溶液に、4−ジメチルアミノピリジン(2.68g)、トリエチルアミン(6.68g)及び無水メタクリル酸(10.16g)を加えた。この反応混合物を90℃に加熱し、一晩加熱した。反応生成物のメタクリレート封鎖ポリ(アリーレンエーテル)をメタノールから沈殿させた。この生成物は10ppmの未封鎖ヒドロキシル末端基を含有していた。
【0100】
実施例15〜21
7つの重合反応を用いて、様々な官能化度を有するポリフェニレンエーテルを調製した。いずれの場合も、反応混合物の成分は、2,6−キシレノール(760.86g)、トルエン(2512.87g)、臭化第一銅(CuBr、6.1g)、ジ−t−ブチルエチレンジアミン(1.254g)、ジ−n−ブチルアミン(7.803g)、ジメチルブチルアミン(26.52g)及び第四アンモニウム界面活性剤(0.77g)であった。2,6−キシレノールはすべて反応の始めに加えた。記録された反応時間に試料を採取し、生成物のポリ(アリーレンエーテル)をメタノールで沈殿させ、乾燥し、分子量とヒドロキシル末端基含量を分析した。いずれの場合も、反応時間の終点は、ニトリロ三酢酸(NTA)水溶液の添加により反応触媒を失活させることで決定された。すなわち、表3で再平衡化時間がゼロである場合、NTA溶液を反応混合物と素早く混合しし、得られた二相混合物を遠心分離により分離し、効果的に再平衡化時間を数分に制限した。それより長い再平衡化時間の場合、NTA溶液を加え、二相混合物全体を特定の平衡化時間の間撹拌した後、遠心分離で分離した。再平衡化温度は実施例3を除くすべての試料で60℃であり、実施例3の平衡化温度は最初の2時間が60℃、最後の2時間が85℃であった。
【0101】
表3に、ポリ(アリーレンエーテル)のヒドロキシル含量と数平均分子量を、様々な酸素流量、発熱、反応時間、酸素圧力及び再平衡化時間の関数として示す。反応条件とポリ(アリーレンエーテル)の特性を表1にまとめて示す。結果は、高い酸素流と圧力で、1〜2時間の再平衡化後ポリ(アリーレンエーテル)の最高の官能性度が得られることを示している。
【0102】
【表5】

実施例21は、64.75gの2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(テトラメチルビスフェノールA、TMBPA)を反応時間中通して徐々に加えた以外は、上記の試薬を用いて調製した。表2の結果は、TMBPAを添加すると、ポリ(アリーレンエーテル)の官能性が増大したことを示している。
【0103】
【表6】

実施例22
本例では、テトラメチルビスフェノールAの存在下での2,6−ジメチルフェノールの重合による二官能化ポリ(アリーレンエーテル)の合成について記載する。オーバーヘッドスターラー、温度計、添加漏斗及び酸素導入管を備えたMortonフラスコに、180mLのトルエン、5.0gのテトラメチルビスフェノールA、0.56mLのトルエン中塩化メチルトリオクチルアンモニウム(ADOGEN(登録商標)464)10%溶液、13.2mLのトルエン中アミン溶液(1mLのジ−t−ブチルエチレンジアミン、20mLのジメチルブチルアミン、5.3mLのジブチルアミン及び61.4mLのトルエンを混合して調製)、12mLのトルエン中2,6−ジメチルフェノール50%溶液、並びに0.5mLの臭化銅溶液を仕込んだ。この混合物を激しく撹拌した後、酸素をほぼ0.4標準立方フィート/時(SCFH)の流量で溶液中に通気した。108mLトルエン中2,6−ジメチルフェノール50%溶液を約23分の時間をかけて添加漏斗を介して滴下して加えた。この時間中、氷水浴を使用して反応温度を約25℃に維持した。
【0104】
添加が完了したら、氷浴を外し、反応温度を約35℃に上げた。反応の発熱のため、この温度が15〜20分間維持された。温度が低下し始めたら、加熱水浴を用いて反応を35℃に戻した。この温度で1時間後、酸素流を止め、水浴を60℃まで加熱した。この温度をさらに60分間維持した。次いで、2mLの酢酸で反応を止め、室温に放冷した。
【0105】
メタノールによる沈殿を用いて生成物を単離した。ろ過及び真空オーブンでの乾燥後、56.87gの物質が得られた。ポリスチレン標準を用いたGPC分析により、数平均分子量が5334AMUで、重量平均分子量が11217AMUであることが示された。この生成物は鎖当たりで平均して1.7のヒドロキシ基を有していた。
【0106】
実施例23
本例では、両端封鎖ポリ(アリーレンエーテル)の合成について記載する。56gの実施例22で調製したポリマーを270mLのトルエン、8.7mLの無水メタクリル酸及び0.9gの4−ジメチルアミノピリジンと混合し、激しく掻き混ぜながらほぼ80℃の温度に加熱した。この温度で3時間後、反応混合物を室温に冷却し、次いでメタノール沈殿を用いて生成物を単離した。ろ過後生成物を真空オーブンで乾燥した。
【0107】
実施例24、比較例6〜9
本例では、ポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度とメタクリレート官能化が様々である硬化性組成物の調製、成形及び硬化、並びに硬化後の特性決定について記載する。実施例24と比較例7〜9は、14.5重量%のポリ(アリーレンエーテル)、82%のエトキシル化(2)ビスフェノールAジメタクリレート(Sartomer SR 348として入手)、0.5%の硬化抑制剤t−ブチルカテコール及び3%のジクミルペルオキシドを含有していた。比較例6は類似しているが、ポリ(アリーレンエーテル)を含有せず、96.5%のエトキシル化(2)ビスフェノールAジメタクリレートを含有していた。実施例24と比較例7〜9のポリ(アリーレンエーテル)は0.12又は0.30dL/gの固有粘度(IV)を有しており、未封鎖であるか(メタクリレート官能性=0)、一端が封鎖されているか(メタクリレート官能性=1)又は両端が封鎖されていた(メタクリレート官能性=2)。この両端封鎖ポリ(アリーレンエーテル)は実施例22及び23に記載の方法で調製した。
【0108】
ポリ(アリーレンエーテル)を含有する硬化性組成物を調製するために、まず最初に、ポリ(アリーレンエーテル)、抑制剤及びジメタクリレートモノマーの単一相混合物を、固体のポリ(アリーレンエーテル)と抑制剤を約150〜約170℃で液体のモノマー中に撹拌混入することによって得た。この混合物を清澄化した後、130℃未満に冷却し、ジクミルペルオキシドを加えた。得られた撹拌混合物を冷たいアルミニウムトレイ中に注入し、そこでタッフィー様のコンシステンシー(粘度)に冷却した。この物質の試料を、研磨ステンレススチール工具、上下部(top and bottom)及び円形の周辺を密閉するためのViton Oリングを用いて、寸法4インチ直径×1/8インチ厚さの円形ディスクに圧縮成形した(Pasadena、160℃、5トン、5min)。取り出した後、ディスクを、対流式オーブン内175℃で2時間後硬化させた。これらのディスクを、タイル用鋸のダイヤモンド被覆アルミニウムブレードを用いて3インチ×1/2インチ×1/8インチの真っ直ぐな試験片に湿式切断した。次に、これらの試験片を対流式オーブン中110℃で1時間乾燥した。
【0109】
曲げ試験
試料を、室温で、ASTM D790に準拠した3点曲げ試験で試験して表5の「曲げ強度」、「曲げ弾性率」、「破断歪み」及び「破断エネルギー」値を得、またASTM D5045に準拠した単一端ノッチ付き3点曲げ試験で試験して表5の「臨界応力拡大係数」を得た。曲げ弾性率は応力−歪み曲線の最初の部分の傾きであり、破断エネルギーはその曲線下の面積である。各試料について9〜11の試験片を試験し、表5の不確定性は1標準偏差を表す。
【0110】
透過型電子顕微鏡検査
試料を室温で超ミクロトームにかけて厚さ約90nmの薄切片を得た。連続する切片をダイヤモンドナイフボート内で水に浮かせ、標準300メッシュのCu TEM格子上に集めた。顕微鏡写真は、加速電圧100キロボルトで作動させたPhilips CM100透過型電子顕微鏡で撮った。気相四酸化ルテニウム染色はPPOリッチ相を優先的に暗くしてTEM像のコントラストを強くする。
【0111】
表5に示す結果は、低固有粘度の二官能化ポリ(アリーレンエーテル)が高固有粘度の一官能性ポリ(アリーレンエーテル)に近い高い曲げ強度と破断エネルギーを生じるが、低固有粘度の二官能化ポリ(アリーレンエーテル)が格段に優れた流動特性を示したことを示している。比較例6、比較例7、実施例24、比較例8及び比較例9についてそれぞれ図1〜5に示す顕微鏡写真は、実施例24(図3、0.12IVの両端封鎖PPE)に対応する硬化試料が、比較例7(図2、0.12IVの一端封鎖PPE)又は比較例9(図5、0.30の一端封鎖PPE)と比べて、ポリ(アリーレンエーテル)で覆われた硬化オレフィン性不飽和モノマー相の微細分散を示しており、オレフィン性不飽和モノマーとの相溶性が格段に高いことを示している。
【0112】
【表7】

実施例25及び26、比較例10〜12
様々なタイプの官能化ポリ(アリーレンエーテル)樹脂の5つの試料を調製した。実施例25では、2,6−ジメチルフェノールと2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチルフェニル)プロパン(TMBPA)の共重合により合成したジヒドロキシポリ(アリーレンエーテル)のメタクリレート封鎖によって調製した二官能化(両端がメタクリレートで封鎖された)ポリ(アリーレンエーテル)を使用した。この二官能化ポリ(アリーレンエーテル)は3111AMUの数平均分子量と5838AMUの重量平均分子量を有していた。実施例26では、2,6−ジメチルフェノールの重合とその後のビスフェノールA及びベンゾイルペルオキシドを用いた再分配により合成したジヒドロキシポリ(アリーレンエーテル)のメタクリレート封鎖によって調製した二官能化(両端がメタクリレートで封鎖された)ポリ(アリーレンエーテル)を用いた。この二官能化ポリ(アリーレンエーテル)は数平均分子量が5712AMUで、重量平均分子量が16997AMUであった。比較例10では、固有粘度が約0.30dL/g、数平均分子量が17814AMU、重量平均分子量が37474AMUの一官能化(一端がメタクリレートで封鎖された)ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)を用いた。比較例11では、固有粘度が約0.25dL/g、数平均分子量が12869AMU、重量平均分子量が26300AMUの一官能化(一端がメタクリレートで封鎖された)ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)を用いた。比較例12では、固有粘度が約0.12dL/g、数平均分子量が4176AMU、重量平均分子量が7631AMUの一官能化(一端がメタクリレートで封鎖された)ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)を用いた。
【0113】
すべての硬化性組成物は、85.57重量部の溶融シリカ、1.245重量部のClariant OP1311として入手したオルガノホスフェート難燃剤、0.20重量部のCabot Black Pearls 120として入手したカーボンブラック顔料、0.063重量部の硬化抑制剤4−t−ブチルカテコール、9.60重量部のSartomer SR348として入手したエトキシル化(2)ビスフェノールAジメタクリレート、1.694重量部の官能化ポリ(アリーレンエーテル)、0.85重量部のポリ(スチレン−無水マレイン酸)コポリマー、0.40重量部の離型剤ステアリン酸及び0.378重量部の硬化開始剤t−ブチルペルオキシベンゾエートからなっていた。
【0114】
硬化性組成物配下のようにして調製した。官能化ポリ(アリーレンエーテル)、アクリロイルモノマー及び硬化抑制剤を混合してスラリーを形成した。このスラリーを250mLのビーカー中で掻き混ぜながら約13分間で170℃に加熱し、この時点でスチレン−無水マレイン酸コポリマーを加え、加熱をさらに2分間続けて透明な溶液を得た。この溶液を約130℃に冷却し、開始剤を除いて他の可溶性成分を加えた。さらに90℃に冷却した後、充分に混合しながら硬化開始剤を加え、次いで残りの成分をすべて加えて混合した。組成物を、「ローラー」ブレードを備えており60rpmで作動するBrabenderミキサー中に供給することによってコンパウンディングした。このミキサーを80℃に維持して、組成物を軟化すると共に充填材の濡れを促進した。合計のコンパウンディング時間は約5分であった。コンパウンディングした組成物を冷却し、使用するまで気密の容器中に保存した。
【0115】
スパイラルフローは、SEMI G11−88「Recommended practice for ram follower gel time and spiral flow of thermal setting molding compounds」に準拠して150℃、6.89MPaで測定した。曲げ強度、曲げ弾性率及び破断までの曲げ伸び率はASTM D790に準拠して23℃で測定した。
【0116】
吸湿率は、SEMI G66−96の修正版「Test Method for the measurement of water absorption characteristics for semiconductor plastic molding compounds」に準拠して測定した。この吸湿特性は、85℃、85%の相対湿度で168時間状態調節した試料の正味の重量増を測定することによって決定した。この試験に使用した装置は、85℃/85%RHに維持された環境チャンバー、±0.0001gの精度が可能な化学天秤、110±3℃に維持することができるオーブン、オーブン乾燥からの冷却中試料を収容する乾燥機、湿気状態調節からの冷却中試料を収容する「湿潤箱」(乾燥剤を取り除き、水を加えた乾燥機)、並びにオーブン乾燥及び湿気状態調節中試料を保持する保持器を含んでいた。
【0117】
試料は、「Izod」試験片を調製する標準のトランスファー成形プロセスにより、すなわち63.5mm×12.7mm×3.2mm(2.5″×0.5″×1/8″)の金型キャビティーを用いて調製した。これらの試料の寸法は、成形を容易にするためにSEMI標準とは異なっている(SEMIは50mm×1mmのディスクの使用を推奨している)。1つの化合物に対して4つ以上の試験片を調製した。これらの試料は175℃で2時間後硬化させた。
【0118】
基準の「乾燥」重量を決定するために、成形し後硬化試験片をオーブン中110℃で1時間乾燥した。次に、オーブンから試料を取り出し、乾燥機に入れて室温に冷却した。この冷却した試料を化学天秤を用いてほぼ0.0001gで秤量した。この重量が試料の乾燥重量Wである。
【0119】
乾燥重量を測定した後、試料を85℃/85%RHに維持された環境チャンバー中に168時間(1週間)入れた。この状態調節期間の終了時に、試料を環境チャンバーから取り出し、「湿潤箱」に入れて、冷却及び秤量中の湿気の損失を防いだ。試料は秤量するときに一つずつ箱から取り出した。凝縮した湿気はすべてリントフリーの布等で拭き取った。次に、試験片をほぼ0.0001gで再度秤量し、湿度状態調節後の重量Wとした。
【0120】
吸湿率は次の式で計算した。
【0121】
【数1】

Izod試験用の試験片を成形するように設計した標準的な4−キャビティー工具中に射出した充填不良品を用いてジェッティング挙動を調べた。12gのショットを工具中に射出して流頭の挙動に注目した。滑らかな流頭を示し、フィンガー様ジェットの徴候が全く又は殆どない材料はジェッティングなしと考えた。ジェッティングを定性的にスケール0(ジェッティングなし)〜5(酷いジェッティング)に等級付けした。
【0122】
熱機械分析を用いて、熱膨張係数(CTE)とガラス転移(T)を決定した。SEMI G13−88に概略が示されている手順を用いた。各寸法が3mm以上の成形され後硬化された試料をほぼ3mm×3mm×3mmの寸法にカットし、測定の方向(流れ方向、垂直〜流動面に対してなど)に注意した。
【0123】
0.05ニュートンの初期力を用いた。測定は窒素雰囲気下100ml/minで行った。加熱プログラムは次の通りであった。
1:25℃で平衡化、
2:1min等温、
3:5℃/minで250℃まで昇温、
4:1min等温、
5:5℃/minで0℃まで冷却、
6:0℃で平衡化、
7:1min等温、
8:5℃/minで250℃まで昇温。
【0124】
第2の加熱サイクルを用いて、CTEとTを計算した。
【0125】
組成と結果を表6に示す。結果は、低分子量の両端封鎖ポリ(アリーレンエーテル)を有する実施例25と26が、高分子量の一端封鎖ポリ(アリーレンエーテル)を有する比較例10と11と比べて、低下した(改良された)ジェッティング及び増大したスパイラルフローを示すことを示している。この改良は、吸湿率、CTE又はT値を低下させることなく達成された。
【0126】
これらの実験の結果を上記共に考えると、低分子量の両端封鎖ポリ(アリーレンエーテル)を使用すると、高いスパイラルフロー、低いジェッティング、高いオレフィン性不飽和モノマーとの相溶性及び低い収縮という従来達成できなかった組合せが可能になることが明らかである。分子量又は官能化の程度のいずれかが変化すると、これらの特性の1種以上が損なわれる。
【0127】
【表8】

実施例27〜30、比較例13
本例では、銅箔に対する組成物の接着を改良する点での接着促進剤の有効性について立証する。接着促進剤の種類と量が異なる5つの組成物を調製した。比較例13では接着促進剤を使用しなかった。実施例27は、1.17重量%のSartomerからSR705として入手したアクリル酸亜鉛を含んでいた。実施例28は、1.17重量%のSartomerからSMA EF30として入手したスチレン−無水マレイン酸コポリマーを含んでいた。実施例29は、1.17重量%のSurface Specialties/UCBからEBECRYL(登録商標)3605として入手した部分アクリレート化エポキシオリゴマーを含んでいた。実施例30は、1.125重量%の、それぞれResolution Chemicals及びAldrichから入手したビスフェノールAのジグリシジルエーテル及びメチレンジアニリンの3:1重量/重量混合物を含んでいた。これらの組成物はすべて、Aldrichから入手したDenka本質的に球状の溶融シリカ及びメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランから調製したシラン処理したシリカ、着色剤(カーボンブラック又は染料)、離型用ワックス(LICOWAX(登録商標)OP、Clariant)、難燃剤(Ciba Specialty ChemicalsのMELAPUR(登録商標)200又はClariantのOP1311)、ジクミルペルオキシド開始剤、4−t−ブチルカテコール抑制剤、アクリロイルモノマーエトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート(SartomerからSR348として)、並びに固有粘度が約0.3dL/gの一端がメタクリレートで封鎖されたポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)樹脂(PPO−MA)を含んでいた。全組成を表7に示す。
【0128】
次の一般的な手順を用いて硬化性組成物を調製した。モノマー、抑制剤及び粉末化PPO−MA(−35メッシュまで篩い分け)を一緒に混合してスラリーを形成した。こうして得られた250mLのビーカーに入っている混合物を約170℃に維持した油浴に入れた。このスラリー中に浸したスターラーで混合した。この混合物を溶液が透明になるまで、撹拌しながらほぼ15分加熱した。溶解プロセスの終了時近くに、接着促進剤、例えばアクリル酸亜鉛、部分アクリレート化エポキシオリゴマー及びスチレン−無水マレイン酸を加えた。得られた混合物を油浴から取り出し、空気中で室温に冷却した。
【0129】
得られた樹脂混合物を、Brabenderミキサーを用いて他の構成成分(処理したシリカ、難燃剤、ワックス、開始剤、カーボンブラック顔料)と共にコンパウンディングした。樹脂−充填材混合物を、「ローラー」ブレードを備え60rpmで作動させたBrabenderミキサーに供給した。このミキサーを80℃に維持して樹脂を軟化/液化すると共に充填材を濡れさせた。約5分の合計混合時間を使用した。次に、このコンパウンドをミキサーから取り出し、冷却し、気密の容器中に保存した。
【0130】
銅基材に対する接着を、SEMI G69−0996「Test Method for measurement of adhesive strength between leadframes and molding compounds」に準拠して測定した。「引張」法を使用し、5ミルの厚さの銅基材を155℃(実施例30では175℃)でトランスファー成形して2.8mmの厚さの成形用コンパウンドのブロックにした。使用した銅基材はFurukawaのEFTEC 64T 1/2 H グレードであった。接着面積(成形用コンパウンド中に成形される銅の三角形部分)は両面を入れて約15.2mmであった。成形した試験片を175℃で2時間アニール/後硬化した。試験前に、ほぼ24時間室温で状態調節した。Instron引張試験器で2mm/分の速度を用いて、成形したコンパウンドから銅「タブ」を引っ張ることにより、成形したコンパウンドと銅の接着を試験した。ピーク負荷を記録し、接着強度として示す。測定したピーク負荷はポンドで示すが、1ポンドは公称接着面積が15.2mmとして0.297MPaの界面剪断強度に相当する。タブ引張接着値に対する平均及び標準偏差は組成物当たり6つ以上の試料に対して決定したものである。
【0131】
表7に挙げた結果は、各接着促進剤が硬化組成物と銅箔とのタブ引張接着を実質的に増大するのに効果的であることを示している。
【0132】
【表9】

以上、好ましい実施形態に関して本発明を説明してきたが、本発明の技術的範囲内で様々な変形が可能であり、均等物で本発明の要素を置き換えることができることは当業者には明らかであろう。また、特定の材料及び状況を本発明の教示に適応させるべく、本発明の本質的な範囲から逸脱せずに多くの修正が可能である。従って、本発明は、発明の最良の実施形態と思料される開示した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に属するあらゆる実施形態を包含する。
【0133】
引用した特許、特許出願その他の文献の開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】図1は、比較例6に対応する透過型電子顕微鏡写真である。
【図2】図2は、比較例7に対応する透過型電子顕微鏡写真である。
【図3】図3は、実施実施例24に対応する透過型電子顕微鏡写真である。
【図4】図4は、比較例8に対応する透過型電子顕微鏡写真である。
【図5】図5は、比較例9に対応する透過型電子顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
25℃で約0.05〜約0.30dl/gの固有粘度を有する二官能化ポリ(アリーレンエーテル)と
オレフィン性不飽和モノマーと
を含んでなる硬化性組成物。
【請求項2】
二官能化ポリ(アリーレンエーテル)が次式の構造を有する、請求項1記載の硬化性組成物。
【化1】

式中、各Qは独立にハロゲン、第一又は第二C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アミノアルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12ヒドロカルビルオキシ及びハロゲン原子と酸素原子が2個以上の炭素原子で隔てられたC〜C12ハロヒドロカルビルオキシから選択され、各Qは独立に水素、ハロゲン、第一又は第二C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アミノアルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12ヒドロカルビルオキシ及びハロゲン原子と酸素原子が2個以上の炭素原子で隔てられたC〜C12ハロヒドロカルビルオキシから選択され、各xは独立に1〜約100であり、各RはC〜C12ヒドロカルビレンであり、各nは0又は1であり、各R〜Rは独立に水素又はC〜C18ヒドロカルビルであり、Lは次式の構造を有する。
【化2】

式中、各R及びRは独立に水素、ハロゲン、第一又は第二C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アミノアルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12ヒドロカルビルオキシ及びハロゲン原子と酸素原子が2個以上の炭素原子で隔てられたC〜C12ハロヒドロカルビルオキシから選択され、zは0又は1であり、Yは以下のものから選択される構造を有する。
【化3】

式中、各R、R及びRは独立に水素及びC〜C12ヒドロカルビルから選択される。
【請求項3】
二官能化ポリ(アリーレンエーテル)が次式の構造を有する、請求項1記載の硬化性組成物。
【化4】

式中、Qはメチルであり、各Qは独立に水素又はメチルであり、各Rは独立に水素又はメチルであり、R及びRは水素であり、各R及びRは独立に水素、ハロゲン、第一又は第二C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アミノアルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12ヒドロカルビルオキシ及びハロゲン原子と酸素原子が2個以上の炭素原子で隔てられたC〜C12ハロヒドロカルビルオキシから選択され、各xは1〜約100である。
【請求項4】
二官能化ポリ(アリーレンエーテル)が、
対応ポリ(アリーレンエーテル)と対応ジフェノキノンとの形成に適した条件下で触媒存在下で一価フェノールを酸化重合し、
ポリ(アリーレンエーテル)及びジフェノキノンを触媒から分離し、
ポリ(アリーレンエーテル)とジフェノキノンを平衡化して、2つの末端ヒドロキシ基を有するポリ(アリーレンエーテル)を形成し、
2つの末端ヒドロキシ基を有するポリ(アリーレンエーテル)を封鎖剤と反応させて二官能化ポリ(アリーレンエーテル)を形成する
ことを含むプロセスの生成物である、請求項3記載の硬化性組成物。
【請求項5】
二官能化ポリ(アリーレンエーテル)が次式の構造を有する、請求項1記載の硬化性組成物。
【化5】

式中、Qはメチルであり、各Qは独立に水素又はメチルであり、各Rは独立に水素又はメチルであり、R及びRは水素であり、各R及びRは独立に水素、ハロゲン、第一又は第二C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アミノアルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12ヒドロカルビルオキシ及びハロゲン原子と酸素原子が2個以上の炭素原子で隔てられたC〜C12ハロヒドロカルビルオキシから選択され、R及びRは独立に水素又はC〜Cヒドロカルビルであり、各xは1〜約100である。
【請求項6】
二官能化ポリ(アリーレンエーテル)が次式の構造を有する、請求項1記載の硬化性組成物。
【化6】

式中、各xは1〜約100であり、zは0又は1である。
【請求項7】
二官能化ポリ(アリーレンエーテル)が、一価フェノールと二価フェノールの酸化共重合の生成物である、請求項6記載の硬化性組成物。
【請求項8】
一価フェノールが2,6−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール及びこれらの混合物から選択され、二価フェノールが3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ブタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−1−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン及びこれらの混合物から選択される、請求項7記載の硬化性組成物。
【請求項9】
二官能化ポリ(アリーレンエーテル)が約0.08〜約0.20dl/gの固有粘度を有する、請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項10】
二官能化ポリ(アリーレンエーテル)が脱揮押出で単離される、請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項11】
数平均分子量500AMU未満の二官能化ポリ(アリーレンエーテル)が10重量%未満であり、数平均分子量1000AMU未満の二官能化ポリ(アリーレンエーテル)が25重量%未満であることを条件として、二官能化ポリ(アリーレンエーテル)が約1000〜約10000原子質量単位(AMU)の数平均分子量を有する、請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項12】
数平均分子量500AMU未満の二官能化ポリ(アリーレンエーテル)が2重量%未満であり、数平均分子量1000AMU未満の二官能化ポリ(アリーレンエーテル)が5重量%未満であることを条件として、二官能化ポリ(アリーレンエーテル)が10000AMU以上の数平均分子量を有する、請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項13】
二官能化ポリ(アリーレンエーテル)とオレフィン性不飽和モノマーの合計100重量部当たり約5〜約90重量部の二官能化ポリ(アリーレンエーテル)を含む、請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項14】
オレフィン性不飽和モノマーがアルケニル芳香族モノマー、アリル系モノマー、アクリロイルモノマー、ビニルエーテル、マレイミド及びこれらの混合物から選択される、請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項15】
オレフィン性不飽和モノマーが2個以上のアクリロイル基を有するアクリロイルモノマーからなる、請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項16】
オレフィン性不飽和モノマーが、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、エトキシル化(2)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート及びこれらの混合物から選択されるアクリロイルモノマーからなる、請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項17】
二官能化ポリ(アリーレンエーテル)とオレフィン性不飽和モノマーの合計100重量部当たり約10〜約95重量部のオレフィン性不飽和モノマーを含む、請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項18】
さらに、硬化開始剤を含む、請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項19】
さらに、硬化抑制剤を含む、請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項20】
さらに、金属(メタ)アクリル酸塩、芳香族エポキシ化合物と芳香族アミンの組合せ、ビニル芳香族化合物とα,β−不飽和環状無水物とのコポリマー、部分(メタ)アクリレート化エポキシ化合物、及びこれらの混合物から選択される接着促進剤を含む、請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項21】
接着促進剤がスチレン−無水マレイン酸コポリマーからなる、請求項20記載の硬化性組成物。
【請求項22】
二官能化ポリ(アリーレンエーテル)とオレフィン性不飽和モノマーの合計100重量部当たり約0.1〜約20重量部の接着促進剤を含む、請求項20記載の硬化性組成物。
【請求項23】
さらに、当該組成物の総重量を基準にして約2〜約95重量%の充填材を含む、請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項24】
さらに、染料、顔料、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、可塑剤、滑剤、流動性改良剤、ドリップ抑制剤、難燃剤、粘着防止剤、帯電防止剤、流動促進剤、加工助剤、基板接着剤、離型剤、強靱化剤、低収縮剤、応力緩和剤及びこれらの組合せから選択される添加剤を含む、請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項25】
約130〜約180℃の温度及び約3〜約7MPaの圧力で測定して約50cm以上のスパイラルフローを有する、請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項26】
25℃で約0.08〜約0.25dl/gの固有粘度を有する以下の構造の二官能化ポリ(アリーレンエーテル)と、
2個以上のアクリロイル基を含むアクリロイルモノマーからなるオレフィン性不飽和モノマーと、
ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ラウリルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−ブチルベンゼンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオクトエート、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−ヘキサ−3−イン、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α′−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジ(t−ブチルペルオキシ)イソフタレート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)オクタン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)ペルオキシド、トリメチルシリルフェニルトリフェニルシリルペルオキシド及びこれらの混合物から選択される硬化開始剤と、
ジアゾアミノベンゼン、フェニルアセチレン、sym−トリニトロベンゼン、p−ベンゾキノン、アセトアルデヒド、アニリン縮合物、N,N′−ジブチル−o−フェニレンジアミン、N−ブチル−p−アミノフェノール、2,4,6−トリフェニルフェノキシル、ピロガロール、カテコール、ヒドロキノン、モノアルキルヒドロキノン、p−メトキシフェノール、t−ブチルヒドロキノン、C〜C−アルキル置換カテコール、4−t−ブチルカテコール、ジアルキルヒドロキノン、2,4,6−ジクロロニトロフェノール、ハロゲン−オルト−ニトロフェノール、アルコキシヒドロキノン、フェノール及びカテコールのモノ−及びジ−及びポリスルフィド、キノンのチオール、オキシム及びヒドラゾン、フェノチアジン、ジアルキルヒドロキシルアミン、並びにこれらの混合物から選択される硬化抑制剤と
を含んでなる硬化性組成物。
【化7】

式中、Qはメチルであり、各Qは独立に水素又はメチルであり、各Rは独立に水素又はメチルであり、R及びRは水素であり、各R及びRは独立に水素、ハロゲン、第一又は第二C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アミノアルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12ヒドロカルビルオキシ及びハロゲン原子と酸素原子が2個以上の炭素原子で隔てられたC〜C12ハロヒドロカルビルオキシから選択され、R及びRは独立に水素又はC〜Cヒドロカルビルであり、各xは1〜約100である。
【請求項27】
約5〜約90重量部の、25℃で約0.08〜約0.20dl/gの固有粘度有する以下の構造の二官能化ポリ(アリーレンエーテル)と、
約5〜約90重量部の、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、エトキシル化(2)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート及びこれらの混合物から選択されるアクリロイルモノマーと、
約0.2〜約5重量部の、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ラウリルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−ブチルベンゼンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオクトエート、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−ヘキサ−3−イン、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α′−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジ(t−ブチルペルオキシ)イソフタレート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)オクタン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)ペルオキシド、トリメチルシリルフェニルトリフェニルシリルペルオキシド及びこれらの混合物から選択される硬化開始剤と、
約0.005〜約1重量部の、ジアゾアミノベンゼン、フェニルアセチレン、sym−トリニトロベンゼン、p−ベンゾキノン、アセトアルデヒド、アニリン縮合物、N,N′−ジブチル−o−フェニレンジアミン、N−ブチル−p−アミノフェノール、2,4,6−トリフェニルフェノキシル、ピロガロール、カテコール、ヒドロキノン、モノアルキルヒドロキノン、p−メトキシフェノール、t−ブチルヒドロキノン、C〜C−アルキル置換カテコール、4−t−ブチルカテコール、ジアルキルヒドロキノン、2,4,6−ジクロロニトロフェノール、ハロゲン−オルト−ニトロフェノール、アルコキシヒドロキノン、フェノール及びカテコールのモノ−及びジ−及びポリスルフィド、キノンのチオール、オキシム及びヒドラゾン、フェノチアジン、ジアルキルヒドロキシルアミン、並びにこれらの混合物から選択される硬化抑制剤と
を含んでなり、重量部はすべて二官能化ポリ(アリーレンエーテル)とアクリロイルモノマーの合計100重量部を基準にしている、硬化性組成物。
【化8】

式中、各xは1〜約50であり、zは0又は1である。
【請求項28】
zが1であり、アクリロイルモノマーがエトキシル化(2)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートからなり、硬化開始剤がジクミルペルオキシドからなり、硬化抑制剤がt−ブチルカテコールからなる、請求項27記載の硬化性組成物。
【請求項29】
官能化ポリ(アリーレンエーテル)と、
オレフィン性不飽和モノマーと、
金属(メタ)アクリル酸塩、芳香族エポキシ化合物と芳香族アミンの組合せ、ビニル芳香族化合物とα,β−不飽和環状無水物とのコポリマー、部分(メタ)アクリレート化エポキシ化合物、及びこれらの混合物から選択される接着促進剤と
を含んでなる硬化性組成物。
【請求項30】
25℃で約0.05〜約0.30dl/gの固有粘度を有する二官能化ポリ(アリーレンエーテル)と、オレフィン性不飽和モノマーとをブレンドして、均質ブレンドを形成する
ことを含んでなる、硬化性組成物を形成する方法。
【請求項31】
請求項1記載の硬化性組成物を硬化して得られる反応生成物を含んでなる硬化組成物。
【請求項32】
ASTM D790に準拠して測定して約90MPa以上の曲げ強度を示す、請求項31記載の硬化組成物。
【請求項33】
ASTM D790に準拠して測定して0.8J以上の破断エネルギーを示す、請求項31記載の硬化組成物。
【請求項34】
約50nm〜約1μmのポリ(アリーレンエーテル)分散相粒径を示す、請求項31記載の硬化組成物。
【請求項35】
請求項31記載の硬化組成物を含んでなる物品。
【請求項36】
請求項26記載の硬化性組成物を硬化して得られる反応生成物を含んでなる硬化組成物。
【請求項37】
請求項36記載の硬化組成物を含んでなる物品。
【請求項38】
請求項27記載の硬化性組成物を硬化して得られる反応生成物を含んでなる硬化組成物。
【請求項39】
請求項38記載の硬化組成物を含んでなる物品。
【請求項40】
請求項29記載の硬化性組成物を硬化して得られる反応生成物を含んでなる硬化組成物。
【請求項41】
請求項40記載の硬化組成物を含んでなる物品。
【請求項42】
さらに、金属基材を含んでおり、硬化性組成物を金属基材と接触させて硬化させることにより形成されている、請求項41記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−510059(P2008−510059A)
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527881(P2007−527881)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【国際出願番号】PCT/US2005/028602
【国際公開番号】WO2006/023371
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】