説明

官能基含有オレフィン化合物の製造方法

官能基含有オレフィン化合物の製造方法には、(a)少なくとも1種類のアルキリデンホスホランを、脱離基であるかまたは脱離基へと続いて変換できる少なくとも1つの基を含む少なくとも1種類のカルボニル含有化合物と反応させて、少なくとも1つの脱離基を含むオレフィン化合物を形成するステップと(カルボニル含有化合物は、ケトンおよびアルデヒドからなる群より選択される)、(b)オレフィン化合物を、少なくとも1種類の官能基含有求核試薬と反応させて、官能基含有オレフィン化合物を形成するステップと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、官能基含有オレフィン化合物、例えば、風味、香料、および情報化学物質の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
害虫、例えば、リーフローラー(Leafroller)、トマトのギョウチュウ(tomato pinworm)、ナシノヒメシンクイ(oriental fruit moth)、およびコドリンガ(codling moth)は、果実、ブドウおよびナッツの穀物、並びに、様々な他の穀物の生産に大きなダメージおよび経済的損失を引き起こす可能性がある。過去には、このような害虫は、典型的には、殺虫剤、例えば有機リン系殺虫剤で制御されていた。しかし、規制的および環境的圧力から、害虫制御は、専ら殺虫剤に依存することはなくなってきている。結果として、昆虫交尾阻害技術などの代替的な穀物防御戦略が、一般的に許容され着実に増加している。
【0003】
昆虫交尾阻害は、生物学的技術、培養学的技術、物理学的技術、および化学的技術を複合して費用および環境的撹乱を最小限にしつつ病害虫個体群を規制する、総合的病害虫管理として知られる、病害虫規制に対する現代的なアプローチの重要な要素である。典型的な交尾阻害技術は、同種雌の天然化学物質ブレンドのフェロモンを用いて雄昆虫を混乱させる。性フェロモン源を、穀物または環境中に、雌の存在を隠すに十分な濃度で入れる。このようにガの交尾を低減または遅延することにより、次世代の幼虫の個体群並びに将来的な穀物ダメージまたは環境的ダメージの可能性も低減する。
【0004】
しかし、交尾阻害技術に使用するフェロモン化合物を経済的に製造することは難しい場合が多い。多くのフェロモン化合物調製法では、標的化合物に到達するために複雑な多段階手順が必要であるか(例えば、ビンサー(Vincer)ら、Acta Chim.Hung.、124、737(1987);国際公開第94/17662号パンフレット;および特開平3240752号公報を参照)、または、例えば、容易に入手できず多段階工程による調製が必要であるシス−アルケニルクロリドなどの出発原料に依拠している(例えば、欧州特許第0038052B1号明細書を参照)。他の方法では、例えば50%未満の収率などほんの控えめな結果しか出せない(例えば、カン(Kang)ら、Bull.Korean Chem.Soc.7(6)、453(1986)を参照)。
【0005】
また、交尾阻害技術を効果的にするために、合成で調製したフェロモンは、昆虫により天然に産生されるフェロモンと極めて類似していなければならない。天然の昆虫フェロモンは、典型的には立体異性体のブレンドである。昆虫により放出されるフェロモンでは、異性体ブレンドが非常に特殊に調律されている。この調律が、種特異性および適切な生物学的効果を与える。異性体ブレンドが僅かに変化するだけで、フェロモン効果を妨害する可能性がある。しかし、フェロモン化合物を調製する場合、形成される二重結合の立体選択性を制御して所望の立体異性体を生成することは難しい場合が多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記を鑑みて、本発明者らは、容易に入手可能で安価な原材料を使用し容易にスケールアップできる、簡単なフェロモン化合物合成経路が必要であることを認識する。さらに、本発明者らは、形成される化合物の立体選択性に対する制御を向上することが有利であろうことを認識する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
簡潔には、本発明において、官能基含有オレフィン化合物、例えば風味、香料、および情報化学物質などを調製する簡単な2ステップ工程を提供する。本明細書で使用した「情報化学物質」は、例えば、レシピエント生物の挙動を改変するように、ある生物から別の生物へとシグナルを運ぶ化学物質(例えば、移動阻止、誘引、忌避、抑止、または刺激特性を示すことのできる、例えば、アロモン、カイロモン、シノモン、およびフェロモンを含む)を意味する。
【0008】
工程は、
(a)(1)アルキリデン部分と、リン原子に結合した3つの他の部分とを含む少なくとも1種類のアルキリデンホスホラン(アルキリデン部分は、任意に、1つ以上の炭素−炭素二重結合または三重結合を含む)を、(2)脱離基であるかまたは脱離基へと次いで変換できる少なくとも1つの基を含み、任意に1つ以上の孤立した炭素−炭素二重結合または三重結合を含む、少なくとも1種類のカルボニル含有化合物と反応させて、少なくとも1つの脱離基を含むオレフィン化合物を形成するステップと(カルボニル含有化合物は、ケトンおよびアルデヒドからなる群より選択される)、
(b)オレフィン化合物を、少なくとも1種類の官能基含有求核試薬と反応させて、対応する官能基含有オレフィン化合物を形成するステップと、
を含む。
【0009】
本発明の工程におけるアルキリデンホスホラン出発材料は、業者から入手できるか、または、ホスホニウム塩を塩基と反応させることにより容易に調製できる。
【0010】
それ故、本発明の工程は、容易に入手でき安価な原材料を使用した、スケールアップでき経済的なフェロモン化合物合成経路の当分野における必要性を充足する。
【0011】
さらに、好ましい実施形態において、二重結合形成ステップの立体選択性は、アルキリデンホスホラン出発化合物のリン上の置換基を注意深く選択することにより制御できることが発見された。驚くべきことに、置換基(すなわち、アルキリデン部分以外の3つの部分)がアリール基またはヘタリール基である場合、本発明の工程は、高収率のZ−立体配置の官能基含有オレフィンを提供することができ;置換基がアルキル基またはシクロアルキル基である場合には、本発明の工程は、高収率のE−立体配置の官能基含有オレフィンを提供することができる。本明細書で使用した「Z」および「E」の接頭辞は、2つの炭素原子間に二重結合が存在する幾何異性体の立体配置を示すために使用する。例えば、2つの原子または基が、炭素軸の一方の側に位置している場合、異性体はZ−異性体(またはシス−異性体)であり;逆の側に存在する場合、異性体はE−異性体(またはトランス−異性体)である。従って、本発明は、高収率の所望の異性体を与えることのできるフェロモン化合物の調製方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
アルキリデンホスホラン出発化合物
本発明の工程の実施に有用なアルキリデンホスホラン出発化合物には、アルキリデン部分と、ホスホランのリン原子に結合した3つの他の部分とを含む化合物が含まれる。アルキリデン部分は、任意に、1つ以上の炭素−炭素二重結合または三重結合を含む。好ましくは、アルキリデン部分は、炭素−炭素二重結合または三重結合を全く含まないか、または、1つの炭素−炭素二重結合を含む。
【0013】
本発明で使用するに適したアルキリデンホスホラン化合物には、以下の一般式:
【化1】

(式中、
1は、水素、アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基からなる群より選択され(好ましくは、R1は、約1〜約24個の炭素原子を有する);各R2は、独立して、アリール基、ヘタリール基、アルキル基、およびシクロアルキル基からなる群より選択される)
により示すことのできる化合物が含まれる。本明細書で使用した「アリール基」、「ヘタリール基」、および「シクロアルキル基」なる用語には、置換アリール、置換ヘタリール、および置換シクロアルキルがそれぞれ含まれ;「アルキル基」なる用語には、置換または分岐アルキルが含まれる。
【0014】
Z−立体配置の官能基含有オレフィン化合物が望ましい場合、R1は、水素、アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基からなる群より選択され(好ましくは、R1は、炭素原子数1〜約24のアルキル基であり;より好ましくは、R1は、エチルおよびプロピルからなる群より選択される);各R2は、独立して、アリール基およびヘタリール基からなる群より選択される(好ましくは、各R2は、独立して選択されたアリール基であり;より好ましくは、各R2はフェニルである)。
【0015】
E−立体配置の官能基含有オレフィン化合物が望ましい場合、R1は、水素、アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基からなる群より選択され(好ましくは、R1は、炭素原子数1〜約24のアルキル基またはアルケニル基であり;より好ましくは、R1は、プロペニルおよびn−オクチルからなる群より選択される);各R2は、独立して、アルキル基およびシクロアルキル基からなる群より選択される(好ましくは、各R2は、独立して選択されたアルキル基であり;より好ましくは、各R2は、n−ブチルおよびn−ノニルからなる群より選択される)。
【0016】
約50:50のZ−立体配置とE−立体配置の官能基含有オレフィン化合物のブレンドが望ましい場合、R1は、好ましくは、炭素原子数1〜約24のアルキル基であり;一方のR2はアルキル基であり;他方の2つのR2基は、独立して選択されたアリール基である。
【0017】
他の有用なアルキリデンホスホラン化合物には、以下の一般式:
【化2】

(式中、
1は、水素、アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基からなる群より選択され;各R2は、独立して、アリール基、ヘタリール基、アルキル基、シクロアルキル基、およびアルコキシ基からなる群より選択される)
により示すことのできるホスフィンオキシドアニオンおよびホスホネートアニオンが含まれる。
【0018】
有用な出発材料であるアルキリデンホスホランの代表例には、例えば、ブチリデントリフェニルホスホラン、プロピリデントリフェニルホスホラン、ブテニリデントリ(n−ブチル)ホスホラン、ノニリデントリ(n−ノニル)ホスホラン、2−ペンテニリデントリ(n−ブチル)ホスホラン、プロピリデントリ(n−プロピル)ホスホラン、ブチリデントリ(n−ブチル)ホスホラン、ペンチリデンn−ペンチルジフェニルホスホラン、プロピリデンジフェニルホスフィンオキシドアニオン、ブテニリデンジフェニルホスフィンオキシドアニオン、ノニリデンジフェニルホスフィンオキシドアニオン、2−ペンテニリデンジフェニルホスフィンオキシドアニオン、ブテニリデンジエチルホスホネートアニオン、ノニリデンジエチルホスホネートアニオンなど、およびその混合物が含まれる。
【0019】
好ましいアルキリデンホスホラン出発化合物には、例えば、ブチリデントリフェニルホスホラン、プロピリデントリフェニルホスホラン、ブテニリデントリ(n−ブチル)ホスホラン、ノニリデントリ(n−ノニル)ホスホランなど、およびその混合物が含まれる。
【0020】
有用なアルキリデンホスホラン出発化合物は、例えば、ホスホニウム塩、ホスフィンオキシド、またはホスホネートを塩基と反応させることにより調製できる。
【0021】
本発明のアルキリデンホスホラン出発化合物の製造に有用なホスホニウム塩には、以下の一般式:
【化3】

(式中、
1は、水素、アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基からなる群より選択され;各R2は、独立して、アリール基、ヘタリール基、アルキル基、およびシクロアルキル基からなる群より選択され;Y-は、ハロゲン化物、アリールまたはアルキルスルホネート、およびボレートからなる群より選択される)
により示すことのできる化合物が含まれる。
【0022】
好ましくは、Y-は、ハロゲン化物である。より好ましくは、Y-は、Cl-またはBr-である。最も好ましくは、Y-は、Br-である。
【0023】
有用なホスホニウム塩の代表例には、例えば、テトラ(n−ノニル)ホスホニウムブロミド、n−プロピルトリフェニルホスホニウムブロミド、n−ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド、ブテニルトリ(n−ブチル)ホスホニウムブロミド、ジ(n−ペンチル)ジフェニルホスホニウムブロミド、テトラ(n−プロピル)ホスホニウムブロミド、テトラ(n−ブチル)ホスホニウムブロミド、2−ペンテニルトリ(n−ブチル)ホスホニウムブロミドなど、およびその混合物が含まれる。
【0024】
好ましいホスホニウム塩には、例えば、n−プロピルトリフェニルホスホニウムブロミド、n−ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド、ブテニルトリ(n−ブチル)ホスホニウムブロミド、テトラ(n−ノニル)ホスホニウムブロミドなど、およびその混合物が含まれる。
【0025】
本発明のアルキリデンホスホラン出発化合物の製造に有用なホスフィンオキシドおよびホスホネートには、以下の一般式:
【化4】

(式中、
1は、水素、アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基からなる群より選択され;各R2は、独立して、アリール基、ヘタリール基、アルキル基、シクロアルキル基、およびアルコキシ基からなる群より選択される)
により示すことのできる化合物が含まれる。
【0026】
有用な塩基には、例えば、金属アルコキシド、金属アミド、有機金属塩基など、およびその混合物が含まれる。
【0027】
好ましい塩基には、カリウムtert−ブトキシド、ヘキサメチルジシラジドナトリウム、n−ブチルリチウムなど、およびその混合物が含まれる。
【0028】
好ましくは、ホスホニウム塩と塩基との反応は、不活性雰囲気中で、無水溶媒の存在下で行なう。有用な無水溶媒の例には、無水アセトニトリル、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、メチルtert−ブチルエーテルなど、およびその混合物が含まれる。好ましくは、反応混合物を攪拌する。反応は、約−100℃〜約100℃(好ましくは、約0℃〜40℃;より好ましくは室温)の温度で行なうことができる。
【0029】
カルボニル含有出発化合物
本発明の工程に有用なカルボニル含有出発化合物には、脱離基であるかまたはその後に脱離基へと変換できる少なくとも1つの基を含み、任意に1つ以上の孤立した炭素−炭素二重結合または三重結合を含む化合物が含まれる。このような化合物は、ケトンおよびアルデヒドからなる群より選択できる。
【0030】
本明細書に使用した「脱離基」は、電子対と共に分子から抜け出す基を意味し、これにより分子は求核置換反応に参加でき;「脱離基へと続いて変換できる」基は、脱離基へと容易に変換されることのできる基(例えば、1つのステップで、例えば、還元ステップまたは酸化ステップで脱離基へと変換されることのできる基)を意味する。
【0031】
好ましくは、前記基は、脱離基である。適切な脱離基の代表例には、ハロゲン、カルボキシレート(例えば、アセテートまたはプロピオネート)、スルホネート(例えば、メシレート、トシレート、またはブロシレート(brosylate))、アンモニウム、オキソニウムなどが含まれる。
【0032】
本明細書に使用した「孤立した」炭素−炭素二重結合または三重結合は、炭素−炭素二重結合または三重結合が、カルボニル含有化合物のカルボニル部分と隣接し得ないことを意味する。しかし、好ましくは、カルボニル含有化合物は、炭素−炭素二重結合または三重結合を全く含まない。
【0033】
好ましいケトンおよびアルデヒドの1種は、以下の一般式
【化5】

(式中、
Xは脱離基であり;R3は、アルキレン、アルケニレン、およびアルキニレンからなる群より選択され;R4は、水素、アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基からなる群より選択される)
により示すことができる。
【0034】
好ましくは、Xは、Cl、Br、トシレート、メシレート、トリフルオロアセテート、およびIからなる群より選択され(より好ましくは、XはBrである);R3は、1〜約24個の炭素原子を有し;R4は、水素およびアルキル基からなる群より選択される(より好ましくは、R4は水素である)。
【0035】
Z−立体配置の官能基含有オレフィン化合物が望ましい場合、R3は、好ましくは、ヘプチレンおよびデシレンからなる群より選択される。
【0036】
E−立体配置の官能基含有オレフィン化合物が望ましい場合、R3は、好ましくは、プロピレンまたはヘプチレンである。
【0037】
有用なケトンおよびアルデヒドの代表例には、5−クロロペント−2−オン、5−ブロモペント−2−オン、4−ブロモブタン−1−アル、4−クロロブタン−1−アル、7−ブロモヘプタン−1−アル、7−クロロヘプタン−1−アル、8−ブロモオクタン−1−アル、8−クロロオクタン−1−アル、9−ブロモノナン−1−アル、9−クロロノナン−1−アル、11−ブロモウンデカン−1−アル、11−クロロウンデカン−1−アル、4−トシルオキシブタン−1−アル、7−トシルオキシヘプタン−1−アル、8−トシルオキシオクタン−1−アル、9−トシルオキシノナン−1−アル、11−トシルオキシウンデカン−1−アル、4−メシルオキシブタン−1−アル、7−メシルオキシヘプタン−1−アル、8−メシルオキシオクタン−1−アル、9−メシルオキシノナン−1−アル、11−メシルオキシウンデカン−1−アルなど、およびその混合物が含まれる。
【0038】
好ましくは、カルボニル含有化合物は、アルデヒドである。好ましいアルデヒドには、例えば、4−ハロブタン−1−アル、8−ハロオクタン−1−アル、9−ハロノナン−1−アル、11−ハロウンデカン−1−アルなど、およびその混合物が含まれる。より好ましいアルデヒドには、例えば、4−クロロブタン−1−アル、8−ブロモオクタン−1−アル、9−ブロモノナン−1−アル、11−ブロモウンデカン−1−アルなど、およびその混合物が含まれる。
【0039】
本発明の工程の所望の最終生成物(すなわち、官能基含有オレフィン化合物)がフェロモン化合物である場合、カルボニル含有化合物のカルボニル部分は、カルボニル含有化合物の最長鎖のα炭素原子に結合しており、脱離基であるかまたは脱離基へと続いて変換できる基は、典型的には、最長鎖のω炭素原子に結合している。
【0040】
有用なカルボニル含有出発化合物は、脱離基であるかまたは脱離基へと続いて変換できる少なくとも1つの基を有するアルコールを酸化して、対応するカルボニル含有化合物を形成することにより調製できる。この種類の酸化反応は、当分野で公知である。例えば、第一級アルコールの脱水素化(すなわち、化学的手段による水素の除去であって、酸化の一形態である)によりアルデヒドが生成されることは公知である。
【0041】
有用な酸化剤には、例えば、o−ヨードキシ安息香酸(IBX)、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシおよび誘導体(TEMPO)、1,1,1−トリス(アセチルオキシ)−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードキソール−3−(1H)−オン(デス−マーチン)、ジメチルスルホキシド、亜硝酸ナトリウム、三酸化硫黄/アミン複合体など、およびその混合物が含まれる。
【0042】
好ましくは、反応は、エーテル、ハロゲン化溶媒、またはスルホキシドなどの溶媒の存在下で行なう。有用な溶媒の例には、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、塩化メチレン、メチルtert−ブチルエーテルなど、およびその混合物が含まれる。所望であれば、反応混合物を攪拌できる。反応は、約−70℃〜約60℃(好ましくは室温)の温度で行なうことができる。
【0043】
カルボニル含有化合物の調製方法の他の例には、アルキルハロゲン化物を第3級アミンのN−オキシドと反応させる(J.Org.Chem.、35、244(1970))、Pd/BaSO4の存在下でアシルハロゲン化物を水素化する(ローゼンムント反応)、またはカルボン酸(Org.React.、8、218(1954))、アシルハロゲン化物(Syn.Commun.、12、839(1982))、エステル(Synthesis、617、(1975))、およびアミド(Org.React.、8、252(1954))を金属水素化物を用いて還元するなどが含まれる。
【0044】
官能基含有求核試薬出発化合物
本発明の工程には、官能基含有求核試薬出発材料の使用が含まれる。本明細書に使用した「求核試薬」なる用語は、原子核に一対の電子を供与して共有結合を形成することのできる、イオンまたは分子を意味する。
【0045】
有用な官能基含有求核試薬には、例えば、エステルまたはアルコール(ヒドロキシ)部分を含む求核試薬、および、官能基(例えば、アルデヒドおよびケトン部分)をインサイツで生成できる求核試薬が含まれる。有用な官能基含有求核試薬の代表例には、例えば、カルボキシレート、スルホキシド、酸化窒素、水酸化物など、およびその混合物が含まれる。有用な官能基含有求核試薬の具体例には、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、トリメチルアミンN−オキシド、ピリジン−N−オキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど、およびその混合物が含まれる。
【0046】
好ましくは、官能基含有求核試薬は、カルボキシレートまたは水酸化物である。より好ましくは、アセテートまたは水酸化物である。最も好ましくは、金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム)または金属アセテート(例えば、酢酸ナトリウムもしくは酢酸カリウム)である。
【0047】
官能基含有オレフィン化合物の調製
上記のアルキリデンホスホランおよびカルボニル含有出発化合物を一緒にして反応させて、少なくとも1つの脱離基を含むオレフィン中間化合物(「オレフィン中間化合物」)を形成できる。反応は、一般に、不活性ガス雰囲気下で(すなわち、酸素の非存在下で)無水条件下で行なう。好ましくは、反応混合物を攪拌する。
【0048】
オレフィン中間化合物の1種は、以下の一般式:
【化6】

(式中、
Xは脱離基であり;R1は、水素、アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基からなる群より選択され;R3は、アルキレン、アルケニレン、およびアルキニレンからなる群より選択され;R4は、水素、アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基からなる群より選択される)
により示すことができる。
【0049】
E−立体配置の官能基含有オレフィン化合物が望ましい場合、アルキリデンホスホランとカルボニル含有出発化合物の反応混合物を、塩基で処理し、その後、上記の官能基含有求核試薬出発化合物と反応させる。典型的には、アリールまたはヘタリール置換基を有するアルキリデンホスホラン化合物を、本発明の工程において出発材料として使用する場合、得られる官能基含有オレフィン化合物は、圧倒的にZ−立体配置を有する。しかし、反応混合物を塩基で処理するステップを加える場合、反応を操作して、圧倒的にE−立体配置の官能基含有オレフィン化合物を生成するようにすることができる。このステップに有用な塩基には、有機金属塩基、例えばフェニルリチウムなどが含まれる。
【0050】
オレフィン中間化合物を、上記の官能基含有求核試薬出発化合物と反応させて、対応する官能基含有オレフィン化合物を形成することができる。好ましくは、反応は、非プロトン性双極性溶媒またはアルコール性溶媒の存在下で行なう。有用な溶媒の例には、例えば、エタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)など、およびその混合物が含まれる。好ましくは、反応混合物を攪拌する。反応は、一般に、約50℃〜約200℃(好ましくは約80℃〜約120℃)の温度で行なうことができる。
【0051】
または、官能基含有オレフィン化合物は、
(a)(1)少なくとも1種類の官能基含有求核試薬を、(2)脱離基であるかまたは脱離基へと続いて変換できる少なくとも1つの基を含み、任意に1つ以上の孤立した炭素−炭素二重結合または三重結合を含む、少なくとも1種類のカルボニル含有化合物と反応させて、対応する官能基含有カルボニル含有化合物を形成するステップと(カルボニル含有化合物は、ケトンおよびアルデヒドからなる群より選択される)、
(b)官能基含有カルボニル含有化合物を、アルキリデン部分とリン原子に結合した3つの他の部分とを含む少なくとも1種類のアルキリデンホスホランと反応させて(アルキリデン部分は、任意に、1つ以上の炭素−炭素二重結合または三重結合を含む)、官能基含有オレフィン化合物を形成するステップと、
を含む工程により調製できる。
【0052】
所望であれば、本発明の工程を使用して調製したオレフィンエステルを加水分解して、対応するアルコールを形成できる。
【0053】
従って、本発明は、官能基含有オレフィン化合物、例えば、風味、香料、および情報化学物質の調製方法を提供する。
【0054】
本発明の工程を使用して調製できる代表的な風味化合物には、例えば、Z−3−オクテン−1−オール(スイカ、キュリの風味)、Z−4−ヘプテン−1−アル(クリームおよびバターに使用)、Z−3−ヘキセニルピルベート(セロリの風味)、E−3−オクテン−2−オール(マッシュルーム、トマトの風味)、およびE,E−2,4−ヘキサジエン−1−オール(パイナップルの風味)が含まれる。
【0055】
本発明の工程を使用して調製できる代表的な香料には、例えば、Z−3−ヘキセニルアセテート(シャープ・フルーティ・グリーン(sharp fruity green))、Z−3−ヘキセニルメチルブチレート(グリーン・アップル(green apple))、E−2−ヘプテニルアセテート(ベリー・ノート(berry note))、およびE−2−オクテニルブチレートが含まれる。
【0056】
本発明の工程を使用して調製できる情報化学物質は、例えば、フェロモンに有用であることができる。フェロモン化合物は、典型的にはオレフィンアセテート、オレフィンアルコール、オレフィンアルデヒド、またはオレフィンケトンである。
【0057】
本発明の工程を使用して調製できる代表的なフェロモン化合物には、例えば、11−テトラデセナール(イースタン・スプルース・バドウォーム(Eastern Spruce Budworm)フェロモン)、10−ノナデセナール(イエロー・ヘディッド・スプルース・ソウフライ(Yellow Headed Spruce Sawfly)フェロモン)、8,10−ドデカジエノール(コドリンガ(codling moth)フェロモン)、11−テトラデセノール(タフテッド・アップル・バドモス(Tufted Apple Budmoth)フェロモン)、11−テトラデセニルアセテート(タフテッド・アップル・バドモス(Tufted Apple Budmoth)フェロモン、スパルガノシス・フルーツウォーム(Sparganothis Fruitworm)フェロモン、リーフローラー(Leafroller)フェロモン、およびブラックヘディッド・ファイアーウォーム(Blackheaded Fireworm)フェロモン)、9−ドデセニルアセテート(ブドウホソハマキ(Grape Berry Moth)フェロモンおよびティー・トルトリックス(Tea Tortrix)フェロモン)、4−トリデセニルアセテート(トマトのギョウチュウ(Tomato Pinworm)フェロモン)、7,11−ヘキサデカジエニルアセテート(ピンク・コットン・ブルウォーム(Pink Cotton Bullworm)フェロモン)、8−ドデセニルアセテート(ナシノヒメシンクイ(Oriental Fruit Moth)フェロモンおよびシトラス・フルーツ・モス(Citrus Fruit Moth)フェロモン)、および3,13−オクタデカジエニルアセテート(ピーチ・ツリー・ボーラー(Peach Tree Borer)フェロモンおよびレッサー・ピーチ・ツリー・ボーラー(Lesser Peach Tree Borer)フェロモン)が含まれる。
【0058】
好ましいフェロモン化合物には、例えば、8,10−ドデカジエノール、11−テトラデセニルアセテート、4−トリデセニルアセテート、および8−ドデセニルアセテートが含まれる。
【0059】
上述したように、本発明の方法を使用して、高収率で所望の立体異性体を製造できる。好ましい立体異性体には、例えば、E,E−8,10−ドデカジエノール(コドリンガ(Codling Moth)フェロモン)、Z−11−テトラデセニルアセテート(リーフローラー(Leafroller)フェロモン)、E−4−トリデセニルアセテート(トマトのギョウチュウ(Tomato Pinworm)フェロモン)、およびZ−8−ドデセニルアセテート(ナシノヒメシンクイ(Oriental Fruit Moth)フェロモン)が含まれる。
【0060】
本発明の方法により調製されるフェロモン化合物は、交尾阻害製品に使用できる。例えば、フェロモン化合物をマイクロカプセル化し、噴霧可能な組成物中に使用して、害虫活動を制御できる。
【0061】
工程の好ましい実施形態
本発明の工程の好ましい実施形態は、高収率のZ−異性体を提供し、
(a)(1)以下の一般式:
【化7】

(式中、
1は、水素、アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基からなる群より選択され;各R2は、独立して、アリール基およびヘタリール基からなる群より選択される)
により示される化合物から選択されたホスホラン化合物を(2)以下の一般式:
【化8】

(式中、
Xは脱離基であり;R3は、アルキレン、アルケニレン、およびアルキニレンからなる群より選択される)
により示される化合物から選択されたアルデヒドと反応させて、以下の一般式:
【化9】

により示されるオレフィン化合物を形成するステップと、
(b)オレフィン化合物を、少なくとも1種類のカルボキシレート、スルホキシド、酸化窒素、または水酸化物と反応させて、対応するオレフィンアセテート、オレフィンアルコール、オレフィンアルデヒド、またはオレフィンケトンを形成するステップと、
を含む。
【0062】
本発明の工程の別の好ましい実施形態は、高収率のE−異性体を提供し、
(a)(1)以下の一般式:
【化10】

(式中、
1は、水素、アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基からなる群より選択され;各R2は、独立して、アルキル基およびシクロアルキル基からなる群より選択される)
により示される化合物から選択されたホスホラン化合物を(2)以下の一般式:
【化11】

(式中、
Xは脱離基であり;R3は、アルキレン、アルケニレン、およびアルキニレンからなる群より選択される)
により示される化合物から選択されたアルデヒドと反応させて、以下の一般式:
【化12】

により示されるオレフィン化合物を形成するステップと、
(b)オレフィン化合物を、少なくとも1種類のカルボキシレート、スルホキシド、酸化窒素、または水酸化物と反応させて、対応するオレフィンアセテート、オレフィンアルコール、オレフィンアルデヒド、またはオレフィンケトンを形成するステップと、
を含む。
【実施例】
【0063】
本発明の目的および利点は、以下の実施例によりさらに説明されているが、これらの実施例に列挙された特定の材料およびその量並びに他の条件および詳細は、本発明を不当に限定するものと捉えるべきではない。
【0064】
ホスホニウム塩の調製(テトラ(n−プロピル)ホスホニウムブロミドの調製)
Ar雰囲気下で、250mLの丸底フラスコにおいて、n−プロピルブロミド(21.1g、171.5mmol)(シグマ・アルドリッチ・カナダ(Sigma−Aldrich Canada)から入手可能)を、無水アセトニトリル(100mL)に溶かし、トリプロピルホスフィン(25g、156.0mmol)(シグマ・アルドリッチ・カナダ(Sigma−Aldrich Canada)から入手可能)を加えた。反応混合物を穏やかな還流下で35時間加熱した。室温まで冷却した後、溶媒を減圧下で除去した。固体残渣をトルエン(50mL)に懸濁し、溶媒を減圧下で除去した。この工程を1回繰り返した。固体残渣をヘキサン(100mL)に懸濁し、ろ過し、ヘキサン(3×50mL)で洗浄し、風乾した。所望のテトラ(n−プロピル)ホスホニウムブロミドを、無色結晶として得た(42.5g、96%)。
【0065】
酸化プロトコル(8−ブロモオクタン−1−アルの調製)
250mLの丸底フラスコにおいて、8−ブロモオクタン−1−オール(4.0g、19.1mmol)(シグマ・アルドリッチ・カナダ(Sigma−Aldrich Canada)から入手可能)を室温でCH2Cl2(40mL)に溶かした。2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシフリーラジカル(TEMPO)(24.6mg、0.16mmol)(シグマ・アルドリッチ・カナダ(Sigma−Aldrich Canada)から入手可能)を加えて、赤色溶液を調製した。NaOCl(5.25%、36.7g、25.9mmol)および飽和NaHCO3(25.9mL)の予め混合した溶液を加えた。反応混合物を室温で45分間激しく攪拌した。変換の進行は、ガスクロマトグラフィー−質量分析(GC−MS)(バリアン・サターン(Varian Saturn)2000GC−MS)によりモニタリングした。完全な変換が得られるまで、追加のNaOClを加えた。飽和Na2SO3(20mL)を加えた。水相を分離し、CH2Cl2(2×20mL)で抽出した。得られた有機層を、水(20mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)した。有機層の溶媒を蒸発して、8−ブロモオクタン−1−アル(3.82g、96%)をオレンジ色の液体として得た。
【0066】
実施例1:Z/E−8−ドデセニルアセテートの調製(ナシノヒメシンクイ(oriental fruit moth)のフェロモン)
Ar雰囲気下で、50mLの丸底フラスコ中のn−ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド(1.75g、4.39mmol)(ホスホニウム塩の調製に実質的に従って調製、ただしn−ブチルブロミドおよびトリフェニルホスフィンを反応物として使用し、無水トルエンを反応溶媒として使用した;また、シグマ・アルドリッチ・カナダ(Sigma−Aldrich Canada)からも入手可能)のトルエン(20mL)の無色懸濁液に、カリウムtert−ブトキシド(544mg、4.85mmol)を室温で加えた。懸濁液は強い橙赤色に変化した。混合物を室温で1時間攪拌し、その後、色は変化しなかった。8−ブロモオクタン−1−アル(1.37g、6.61mmol)(実質的に酸化プロトコルに記載の通りに調製)をシリンジにより滴下して加えた。色は明黄色に変化した。弱い発熱が観察された。反応混合物を30分間室温で攪拌した。飽和NH4Cl水(10mL)および水(10mL)を加えた。水層をヘキサン(2×20mL)で抽出した。得られた有機層を、CH3OH:H2O(1:1)(3×15mL)および食塩水(20mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)した。有機層の溶媒を蒸発して、オレンジ色の液体(2.29g)を得、これをSiO2上でフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン(1:9))により精製し、Z/E−8−ドデセニルブロミド(1.01mg、93%)を無色液体として得た。
【0067】
上記のように調製したZ/E−8−ドデセニルブロミド(520mg、2.2mmol)を、磁気攪拌棒の入った50mL丸底フラスコに秤量した。新しく融解した酢酸ナトリウム(540mg、6.6mmol)を一度に加え、その後ジメチルホルムアミド(5mL)を加えた。フラスコに冷却器を取り付け、予め加熱した油浴(55℃)に入れた。油浴は、3時間かけてさらに110℃まで加熱した。反応の進行を、溶出液として9:1の比のヘキサン:酢酸エチルを使用して薄層クロマトグラフィー(TLC)によりモニタリングした。5時間後、反応混合物を加熱から外し、周囲温度まで冷却した。水(10mL)を加えて反応混合物を希釈し、得られた水層をヘキサン(3×15mL)で抽出した。合わせたヘキサン抽出物を水(2×10mL)および食塩水(10mL)で洗浄した。得られた有機層をNa2SO4で乾燥し、ろ過し、溶媒を減圧下で蒸発して、Z/E−8−ドデセニルアセテート生成物(360mg、73%)を透明な液体として得た。Z/E比は、DB−XLBカラムを使用したガスクロマトグラフィー(GC)により92:8であると決定された。
【0068】
実施例2:Z/E−11−テトラデセニルアセテート(オブリーク・バンディッド・リーフローラー(Oblique−banded Leafroller)のフェロモン)の調製
Ar雰囲気下で、50mLの丸底フラスコ中のn−プロピルトリフェニルホスホニウムブロミド(1.41g、3.6mmol)(実質的にホスホニウム塩の調製に従って調製、ただし、n−プロピルブロミドおよびトリフェニルホスフィンを反応物として使用し、無水トルエンを反応溶媒として使用した;また、シグマ・アルドリッチ・カナダ(Sigma−Aldrich Canada)からも入手可能)のトルエン(20mL)の無色懸濁液に、カリウムtert−ブトキシド(451mg、4.0mmol)を室温で加えた。懸濁液は強い赤色に変わった。混合物を室温で1時間攪拌し、その後、色は変化しなかった。11−ブロモウンデカン−1−アル(1.0g、4.0mmol)(実質的に酸化プロトコルに従って調製したが、出発材料として11−ブロモウンデカン−1−オールを使用)をシリンジにより滴下して加えた。色は明黄色に変化した。弱い発熱が観察された。反応混合物を室温で30分間攪拌した。飽和NH4Cl水(10mL)および水(10mL)を加えた。水層をヘキサン(2×20mL)で抽出した。得られた有機層をCH3OH:H2O(1:1)(3×15mL)および食塩水(20mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)した。有機層の溶媒を蒸発して、黄色の液体(2.13g)を得、これをSiO2上でフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン(1:9))により精製し、Z/E−11−テトラデセニルブロミド(864mg、86%)を無色液体として得た。
【0069】
25mL丸底フラスコ中の上記のように調製したZ/E−11−テトラデセニルブロミド(466mg、1.7mmol)のジメチルホルムアミド(3mL)溶液に、融解した酢酸ナトリウム(415mg、5.1mmol)を加え、混合物を90〜120℃まで24時間加熱した。室温まで冷却した後、水(20mL)を加え、混合物を酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。得られた有機層を、水(2×20mL)および食塩水(20mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)した。溶媒を蒸発し、褐色液体(377mg)を得、これをSiO2上でフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン(1:9))により精製し、Z/E−11−テトラデセニルアセテート生成物(283mg、66%)を無色液体として得た。Z/E比は、DB−Waxカラムを使用したGCにより91:9であると決定された。
【0070】
実施例3:8,10−ドデカジエノール(コドリンガ(codling moth)のフェロモン)の調製
Ar雰囲気下で、50mLの丸底フラスコ中のブテニルトリ(n−ブチル)ホスホニウムブロミド(1.48g、4.38mmol)(実質的にホスホニウム塩の調製に従って調製、ただし、ブテニルブロミドおよびトリ(n−ブチル)ホスフィンを反応物として使用した)のトルエン(20mL)の無色懸濁液に、n−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、1.95mL、4.88mmol)を室温で加えた。得られた黄色の懸濁液を1時間室温で攪拌した。8−ブロモオクタン−1−アル(1.0g、4.83mmol)(実質的に酸化プロトコルに記載のように調製)を、シリンジにより滴下して加えた。弱い発熱が観察された。反応混合物を室温で30分間攪拌した。飽和NH4Cl水(10mL)および水(10mL)を加えた。水相を分離し、ヘプタン(2×20mL)で抽出した。得られた有機層を、水(2×20mL)および食塩水(20mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)した。有機層の溶媒を蒸発し、黄色の固体(1.45g)を得、これをSiO2上でフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン)により精製し、8,10−ドデカジエニルブロミド(736mg、68%)を無色液体として得た。定量的13C−NMR(核磁気共鳴)分析(バリアン・イノバ600モデル(Varian Inova 600 model)を使用)により、8,10−ドデカジエニルブロミド生成物は、以下の相対量の可能性ある4つ全ての立体異性体の混合物からなることが示された:
E8,E10−異性体:67%
Z8,E10−異性体:16%
E8,Z10−異性体:14%
Z8,Z10−異性体:3%
【0071】
Ar雰囲気下で、上記のように調製した8,10−ドデカジエニルブロミド(1.0g、4.08mmol)を、N−メチルピロリジノン(0.96mL)に溶かし、50%NaOH(0.22mL、4.18mmol)をシリンジにより加えた。反応混合物を4時間95℃まで加熱した。無色の沈殿物が観察された。室温まで冷却した後、水(10mL)を加え、得られた混合物をヘプタン(3×6mL)で抽出した。得られた有機層を水(10mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)した。有機層の溶媒を蒸発して、8,10−ドデカジエノール生成物(487mg、66%)を黄色の液体として得た。
【0072】
実施例4:E/Z−ドデセニルアセテート(シトラス・フルーツ・モス(Citrus Fruit Moth)のフェロモン)の調製
Ar雰囲気下で、50mL丸底フラスコ中のテトラ(n−ブチル)ホスホニウムクロリド(サイフォス(Cyphos)(登録商標)443T(オンタリオ州ナイアガラフォールズのサイテック・カナダ・インコーポレイテッド(Cytec Canada Inc.(Niagara Falls、Ontario))から入手可能)の50%トルエン(2.59g、4.38mmol)の無色溶液に、トルエン(18.5mL)およびヘキサメチルジシラジドナトリウム(888mg、4.84mmol)を室温で加えた。得られた黄色の懸濁液を1時間室温で攪拌した。8−ブロモオクタン−1−アル(1.0g、4.83mmol)(実質的に酸化プロトコルに記載のように調製)をシリンジにより滴下して加えた。弱い発熱が観察された。反応混合物を室温で30分間攪拌した。飽和NH4Cl水(10mL)および水(10mL)を加えた。水相を分離し、ヘプタン(2×20mL)で抽出した。得られた有機層を、水(25mL)および食塩水(25mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)した。有機層の溶媒を蒸発して、黄色の液体(1.88g)を得、これをSiO2上でフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン)により精製し、E/Z−8−ドデセニルブロミド(621mg、57%)を無色液体として得た。GC分析(バリアン3600GC(Varian3600GC))により、E/Z比は89:11であると測定された。
【0073】
実施例1でZ/E−8−ドデセニルブロミドをZ/E−8−ドデセニルアセテートに変換したように、E/Z−8−ドデセニルブロミドは、実質的に、E/Z−8−ドデセニルアセテートに変換される。
【0074】
実施例5:E/Z−11−テトラデセニルアセテート(スパルガノシス・フルーツウォーム(Sparganothis Fruitworm)フェロモン)の調製
Ar雰囲気下で、50mLの丸底フラスコ中のテトラ(n−プロピル)ホスホニウムブロミド(1.04g、3.65mmol)(実質的にホスホニウム塩の調製に従って調製)のトルエン(20mL)の無色部分溶液に、ヘキサメチルジシラジドナトリウム(738mg、4.02mmol)を室温で加えた。黄色がかった溶液を1時間室温で攪拌した。新しく調製した11−ブロモウンデカン−1−アル(1.0g、4.01mmol)(実質的に酸化プロトコルに従って調製したが、出発材料として11−ブロモウンデカン−1−オールを使用)をシリンジにより滴下して加えた。弱い発熱が観察された。反応混合物を室温で30分間攪拌した。飽和NH4Cl水(10mL)および水(10mL)を加えた。水相を分離し、ヘプタン(2×20mL)で抽出した。得られた有機層を水(25mL)および食塩水(25mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)した。有機層の溶媒を蒸発し、黄色の液体(1.39g)を得、これをSiO2上でフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン)により精製し、E/Z−11−テトラデセニルブロミド(582mg、58%)を無色液体として得た。GC分析(バリアン3600GC(Varian 3600GC))により、E/Z比は88:12であると測定された。
【0075】
実施例2でZ/E−11−テトラデセニルブロミドをZ/Z−11−テトラデセニルアセテートに変換したように、E/Z−11−テトラデセニルブロミドは、実質的にE/Z−11−テトラデセニルアセテートに変換される。
【0076】
本発明に対する様々な改変および変更が、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者には明らかとなろう。本発明は、本明細書で示した例示的な実施形態および実施例により不当に限定されず、このような実施例および実施形態は、単に例として提示され、本発明の範囲は、以下のような本明細書で示した特許請求の範囲によってのみ限定されるものであることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(1)アルキリデン部分と、リン原子に結合した3つの他の部分とを含む少なくとも1種類のアルキリデンホスホラン(前記アルキリデン部分は、任意に、1つ以上の炭素−炭素二重結合または三重結合を含む)を、(2)脱離基であるかまたは脱離基へと続いて変換できる少なくとも1つの基を含み、任意に1つ以上の孤立した炭素−炭素二重結合または三重結合を含む、少なくとも1種類のカルボニル含有化合物と反応させて、少なくとも1つの脱離基を含むオレフィン化合物を形成するステップと(前記カルボニル含有化合物は、ケトンおよびアルデヒドからなる群より選択される)、
(b)前記オレフィン化合物を、少なくとも1種類の官能基含有求核試薬と反応させて、対応する官能基含有オレフィン化合物を形成するステップと、
を含む、官能基含有オレフィン化合物の製造方法。
【請求項2】
ホスホニウム塩、ホスフィンオキシド、またはホスホネートを塩基と反応させて、前記アルキリデンホスホランを形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
脱離基であるかまたは脱離基へと続いて変換できる少なくとも1つの基を有するアルコールを酸化して、前記カルボニル含有化合物を形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記官能基含有オレフィン化合物はオレフィンエステルであり、前記官能基含有エステルを加水分解して、対応するアルコールを形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アルキリデンホスホランの前記アルキリデン部分は、炭素−炭素二重結合または三重結合を全く含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アルキリデンホスホランの前記アルキリデン部分は、1つの炭素−炭素二重結合を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記アルキリデンホスホランの前記3つの他の部分は、独立して、アリールおよびヘタリールからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記アルキリデンホスホランの前記3つの他の部分は、独立して、アルキルおよびシクロアルキルからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記アルキリデンホスホランの前記3つの他の部分の中の1つの部分は、オキシアニオンであり、前記アルキリデンホスホランの前記3つの他の部分の中の他の2つの部分は、独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘタリール、およびアルコキシからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記カルボニル含有化合物は、炭素−炭素二重結合または三重結合を全く含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記カルボニル含有化合物は、アルデヒドである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記アルデヒドは、4−ハロブタン−1−アル、8−ハロオクタン−1−アル、9−ハロノナン−1−アル、および11−ハロウンデカン−1−アルからなる群より選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記アルデヒドは、4−クロロブタン−1−アル、8−ブロモオクタン−1−アル、9−ブロモノナン−1−アル、および11−ブロモウンデカン−1−アルからなる群より選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記カルボニル含有化合物のカルボニル部分は、前記カルボニル含有化合物の最長鎖のα炭素原子に結合しており、脱離基であるかまたは脱離基へと続いて変換できる前記基は、前記最長鎖のω炭素原子に結合している、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記カルボニル含有化合物の前記基は脱離基である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記脱離基は、ハロゲン、カルボキシレート、スルホネート、アンモニウム、およびオキソニウムからなる群より選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記官能基含有求核試薬は、カルボキシレート、スルホキシド、酸化窒素、水酸化物、およびその混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記官能基含有求核試薬は、カルボキシレートおよび水酸化物からなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記カルボキシレートは、アセテートである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記官能基含有求核試薬は、金属水酸化物および金属アセテートからなる群より選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
(a)(1)以下の一般式:
【化1】

(式中、
1は、水素、アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基からなる群より選択され;各R2は、独立して、アリール基およびヘタリール基からなる群より選択される)
により示される化合物から選択されたホスホラン化合物を(2)以下の一般式:
【化2】

(式中、
Xは脱離基であり;R3は、アルキレン、アルケニレン、およびアルキニレンからなる群より選択される)
により示される化合物から選択されたアルデヒドと反応させて、以下の一般式:
【化3】

により示されるオレフィン化合物を形成するステップと、
(b)前記オレフィン化合物を、少なくとも1種類のカルボキシレート、スルホキシド、酸化窒素、または水酸化物と反応させて、対応するオレフィンアセテート、オレフィンアルコール、オレフィンアルデヒド、またはオレフィンケトンを形成するステップと、
を含む、フェロモン化合物の製造方法。
【請求項22】
(a)(1)以下の一般式:
【化4】

(式中、
1は、水素、アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基からなる群より選択され;各R2は、独立して、アルキル基およびシクロアルキル基からなる群より選択される)
により示される化合物から選択されたホスホラン化合物を(2)以下の一般式:
【化5】

(式中、
Xは、脱離基であり;R3は、アルキレン、アルケニレン、およびアルキニレンからなる群より選択される)
により示される化合物から選択されたアルデヒドと反応させて、以下の一般式:
【化6】

により示されるオレフィン化合物を形成するステップと、
(b)前記オレフィン化合物を、少なくとも1種類のカルボキシレート、スルホキシド、酸化窒素、または水酸化物と反応させて、対応するオレフィンアセテート、オレフィンアルコール、オレフィンアルデヒド、またはオレフィンケトンを形成するステップと、
を含む、フェロモン化合物の製造方法。
【請求項23】
以下の一般式:
【化7】

(式中、
1は、水素、アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基からなる群より選択され;各R2は、独立して選択されたアリールまたはヘタリール基であり;Y-は、ハロゲン化物、アリールまたはアルキルスルホネート、およびボレートからなる群より選択される)
により示されるホスホニウム塩を、塩基と反応させて、前記ホスホラン化合物を形成するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
以下の一般式:
【化8】

(式中、
1は、水素、アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基からなる群より選択され;各R2は、独立して選択されたアルキルまたはシクロアルキル基であり;Y-は、ハロゲン化物、アリールまたはアルキルスルホネート、およびボレートからなる群より選択される)
により示されるホスホニウム塩を、塩基と反応させて、前記ホスホラン化合物を形成するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
以下の一般式:
【化9】

(式中、
Xは脱離基であり;R3は、アルキレン、アルケニレン、およびアルキニレンからなる群より選択される)
により示されるアルコールを酸化して、前記アルデヒドを形成するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
以下の一般式:
【化10】

(式中、
Xは脱離基であり;R3は、アルキレン、アルケニレン、およびアルキニレンからなる群より選択される)
により示されるアルコールを酸化して、前記アルデヒドを形成するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記R1は、1〜約24個の炭素原子を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記R1は、アルキル基である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記R1は、エチルおよびプロピルからなる群より選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記R1は、1〜約24個の炭素原子を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
前記R1は、アルキル基またはアルケニル基である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記R1は、プロペニルおよびn−オクチルからなる群より選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
各前記R2はフェニルである、請求項21に記載の方法。
【請求項34】
各前記R2は、n−ブチルおよびn−ノニルからなる群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項35】
前記R3は、1〜約24個の炭素原子を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項36】
前記R3は、ヘプチレンおよびデシレンからなる群より選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記R3は、1〜約24個の炭素原子を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項38】
前記R3は、プロピレンまたはヘプチレンである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記Xは、Cl、Br、トシレート、メシレート、トリフルオロアセテート、およびIからなる群より選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項40】
前記Xは、ClまたはBrである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記Xは、Cl、Br、トシレート、メシレート、トリフルオロアセテート、およびIからなる群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項42】
前記Xは、ClまたはBrである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
(a)(1)少なくとも1種類の官能基含有求核試薬を、(2)脱離基であるかまたは脱離基へと続いて変換できる少なくとも1つの基を含み、任意に1つ以上の孤立した炭素−炭素二重結合または三重結合を含む、少なくとも1種類のカルボニル含有化合物と反応させて、対応する官能基含有カルボニル含有化合物を形成するステップと(前記カルボニル含有化合物は、ケトンおよびアルデヒドからなる群より選択される)、
(b)前記官能基含有カルボニル含有化合物を、アルキリデン部分と、リン原子に結合した3つの他の部分とを含む少なくとも1種類のアルキリデンホスホランと反応させて(前記アルキリデン部分は、任意に、1つ以上の炭素−炭素二重結合または三重結合を含む)、官能基含有オレフィン化合物を形成するステップと、
を含む、官能基含有オレフィン化合物の製造方法。
【請求項44】
(a)ブチリデントリフェニルホスホランを8−ブロモオクタン−1−アルと反応させて、8−ドデセニルブロミドを形成するステップと、
(b)前記8−ドデセニルブロミドを酢酸ナトリウムと反応させて、8−ドデセニルアセテートを形成するステップと、
を含む、8−ドデセニルアセテートの製造方法。
【請求項45】
(a)プロピリデントリフェニルホスホランを11−ブロモウンデカン−1−アルと反応させて、11−テトラデセニルブロミドを形成するステップと、
(b)前記11−テトラデセニルブロミドを酢酸ナトリウムと反応させて、11−テトラデセニルアセテートを形成するステップと、
を含む、11−テトラデセニルアセテートの製造方法。
【請求項46】
(a)ブテニリデントリ(n−ブチル)ホスホランを8−ブロモオクタン−1−アルと反応させて、8,10−ドデカジエニルブロミドを形成するステップと、
(b)前記8,10−ドデカジエニルブロミドを酢酸ナトリウムと反応させて、8,10−ドデカジエニルアセテートを形成し;
(c)前記アセテートを加水分解して、8,10−ドデカジエノールを形成するステップと、
を含む、8,10−ドデカジエノールの製造方法。
【請求項47】
(a)ブテニリデントリ(n−ブチル)ホスホランを8−ブロモオクタン−1−アルと反応させて、8,10−ドデカジエニルブロミドを形成するステップと、
(b)前記8,10−ドデカジエニルブロミドを水酸化ナトリウムと反応させて、8,10−ドデカジエノールを形成するステップと、
を含む、8,10−ドデカジエノールの製造方法。

【公表番号】特表2007−509142(P2007−509142A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536628(P2006−536628)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/030461
【国際公開番号】WO2005/042462
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】