説明

定着装置、およびそれを備えた画像形成装置

【課題】本発明は、現像槽内の撹拌等の機械的外力によっても2液混合タイプの接着剤が混合硬化することなく、接着剤の液がトナーから漏れることもない圧力定着性トナーを提供することを課題とする。
【解決手段】少なくとも着色剤を含むトナーが、2種混合タイプの接着剤の第1成分を内包し、トナー外添剤が、前記接着剤の第2成分を内包することを特徴とする圧力定着性トナーにより、上記の課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置に用いられるトナー、定着装置及びこの定着装置を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置(例えばプリンタ)には、記録媒体(記録紙または用紙)上に形成されたトナー像を熱溶融することによって用紙上に定着させる定着装置が備えられている。この定着装置の一例として、定着ローラと加圧ローラとから構成されるローラ対方式の定着装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
定着ローラは、アルミなどの金属製中空芯金の表面に弾性層が形成されたローラ部材であり、この芯金の内部に熱源としてハロゲンランプが配置された構成である。
そして、上記の定着ローラには、温度制御装置が設けられており、定着ローラ表面に設けられた温度センサから出力される信号に基づいてハロゲンランプの電源をオン/オフ制御することによって、定着ローラ表面の温度が制御される。
【0004】
加圧ローラは、芯金上に被覆層としてシリコンゴムなどの耐熱性弾性層を設けたローラ部材である。この加圧ローラは、定着ローラ周面に対して圧接され、加圧ローラの上記弾性層の弾性変形によって、定着ローラと加圧ローラとの間にニップ領域が形成される。
【0005】
上記の構成において、定着装置では、未定着のトナー像が形成された用紙を定着ローラと加圧ローラとの間のニップ領域に挟み込み、これら両ローラを回転させることによって上記用紙を搬送するとともに、定着ローラ周面の熱により用紙上のトナー像を溶融させて用紙に定着させる。
【0006】
しかし、上記のローラ対方式は、電子写真方式の画像形成装置の電源投入前は、定着ローラ及び加圧ローラは、室温状態にあるため、電源ON後、定着ローラの所定温度にまで加熱する必要があるため、ウォームアップ時間を要する。
また、コピー動作が行われていない待機状態でも、ローラ表面を所定温度に保持するために、コピー動作が行われていない時も常に加熱していなければならない。
したがって、上記のローラ耐方式を備える電子写真方式の画像形成装置では、コピー動作以外にも、無駄なエネルギーを消費していることになる。
【0007】
上記の問題を解決するために、非加熱方式で1Mpa以上の高い圧力のみでトナーを定着させる圧力定着型定着装置が知られている(特許文献2)。
しかしながら、圧力のみでトナーを破壊して定着させるものであり、トナー同士が溶融せず、紙の繊維に対しても接着性が弱いため、十分な定着強度が得られないとの問題があった。
【0008】
その問題を解決するために、複数の液を混合させることにより硬化する樹脂を、マイクロカプセルを内包する二重構造のマイクロカプセルを用い、任意の1種類を内包されるマイクロカプセル内に、残りの樹脂を前記内包されるマイクロカプセルを外包するマイクロカプセル内にそれぞれ内包させることを特徴とする加圧定着用のトナーであって、定着装置により圧力を加えると、前記内包されるマイクロカプセル及び外包する第2のカプセルが破壊され、第一及び第2のカプセルから流出した樹脂は、混合し硬化するため、定着性が向上することが開示されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−38802号公報
【特許文献2】特開昭58−21282号公報
【特許文献3】特開平7−168351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献3では、2液混合硬化樹脂の液を2重構造のトナーカプセルにそれぞれ封入しているが、カプセルの厚みが全周に渡り均一な厚さにするのは非常に困難である。そのため、薄い膜の部分から液が漏れてしまい、現像槽内でも2液が混合されて硬化してしまうという不具合がある。
また、2液を2つのカプセルに封入しているため、トナー表面の厚さが薄くなり、現像槽内の撹拌等の機械的外力にも弱く、接着剤の液がトナーから漏れてしまう不具合がある。
【0011】
したがって、本発明は、現像槽内の撹拌等の機械的外力によっても2液混合タイプの接着剤が混合硬化することなく、接着剤の液がトナーから漏れることもない圧力定着性トナーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意努力研究を重ねた結果、2液混合タイプの接着剤の第1成分をトナーが内包し、第2成分を外添剤が内包することにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完結した。
【0013】
かくして、本発明によれば、少なくとも着色剤を含むトナーが、2種混合タイプの接着剤の第1成分を内包し、トナー外添剤が、前記接着剤の第2成分を内包することを特徴とする圧力定着性トナーが提供される。
【0014】
また、本発明によれば、前記第1成分が、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンを縮合重合させたエポキシ樹脂プレポリマーであり、かつ前記第2成分が、アミン系硬化剤であるトナーが提供される。
【0015】
また、本発明によれば、前記トナーおよび前記外添剤が、マイクロカプセル粒子であり、前記トナーが、平均粒子径4〜13μmを有し、前記外添剤の平均粒子径よりも大きいカプセルの膜厚を有し、前記外添剤が、平均粒子径100nm〜3μmを有するトナーが提供される。
【0016】
また、本発明によれば、前記トナーを定着する定着装置が、2軸のローラを所定の圧力で荷重しながらトナーを定着させるものであり、かつ前記荷重が100〜1000kgfであり、該定着装置が、非加熱型または定着温度が30〜100℃である加熱型である定着装置が提供される。
さらに、本発明によれば、上記のトナーを用いるか、または上記の定着装置を備える画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、電子写真用トナーにおいて、複数の個体を混合すると硬化する接着用樹脂を用いて、一方の一つの樹脂をトナーの中央に内包し、もう一方の樹脂をトナー表面に外添剤として使用する。その構成により、所定の圧力でトナーを定着すると、トナー中のカプセルが破壊され、トナー表面に外添された第二接着樹脂と接触して硬化する。トナー中には一方の接着用樹脂しか存在しないため、トナー表面の厚さを十分にすることができる。また、他方の接着用樹脂をトナー表面に外添することにより、トナー内の第一の接着用樹脂がカプセルの破壊により露出した場合に、十分な接触の機会があるため、2つの接着用樹脂の混合により十分な硬化を得ることができる。
【0018】
本発明によるトナーは、現像槽中で機械的なストレスが加えられても、第一成分と第二成分が接触混合しづらく、硬化しないため、トナー同士が凝集しない。しかしながら、定着工程において、強い圧力がかかると、トナー外添剤が破壊され2液が混合されることで、強固な定着を可能とする。
本発明によるトナーは、トナーおよび外添剤をマイクロカプセルとすることで、外的応力に対するトナーおよび外添剤の強度が更に増す。
【0019】
また、一般に、複合機の印刷枚数を重ねると、現像槽中のトナーの外添剤は機械的応力によりトナー中に埋め込まれる場合がある。この場合、トナー中のカプセルの厚みがトナー表面のカプセル粒子の平均粒径よりも薄いと、トナー中の2種混合タイプの接着剤の第1成分と埋め込まれた外添剤中の第2成分とが接触し、硬化してしまう場合がある。
【0020】
しかしながら、本発明によるトナーは、前記外添剤の平均粒子径よりも大きい膜厚を有するマイクロカプセル粒子であるため、上記の問題を生じないという効果を有する。
さらに、耐水性、電気絶縁性等に優れ、安定した現像が可能となる。
【0021】
トナーおよび外添剤であるマイクロカプセルの平均粒径が小さすぎると、強い圧力をかけてもマイクロカプセルが破壊するのが困難となる。また、平均粒径が大きすぎると、トナー表面から外添剤が離脱しやすくなり、現像槽からの飛散の要因となるが、本発明によるトナーおよび外添剤であるマイクロカプセルは、それぞれ好適な粒子径を有しているため、十分な荷重によって、トナー中のカプセル、及び外添中のカプセルを完全に破壊することができる。
【0022】
また、トナーに2液混合タイプの接着剤を使用することで、圧力定着の課題であった定着性を十分なものとすることができる。よって非加熱でも十分な定着性を実現でき、省エネを達成できる。
また、さらに30〜100℃に加熱圧力定着することで、確実にカプセルを破壊させることができ、トナーを確実に定着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明による画像形成装置の断面模式図である。
【図2】本発明によるトナー粒子の断面模式図である。
【図3】本発明による定着ローラの断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明によるトナーは、2種混合タイプの接着剤(2液混合硬化樹脂ともいう)の第1成分内包し、前記トナーに外添される外添剤が第2成分を内包することを特徴とする(図2参照)。
したがって、本発明において用いられる用語「外添剤」とは、上記の2種混合タイプの接着剤の1つの成分、より具体的にはアミン系硬化剤を含むマイクロカプセル粒子を意味する。
【0025】
本発明の実施の一形態について図1ないし図3に基づいて説明すれば、以下の通りである。尚、本実施の形態では、本発明の画像形成装置をカラー複合機に適用した場合であり、図1はカラー複合機の概略構成図である。
【0026】
本実施の形態に係るカラー複合機100は、図1に示すように、光学系ユニットE、4組の可視像形成ユニットpa、pb、pc、pd、中間転写ベルト11、二次転写ユニット14、定着ユニット15、内部給紙ユニット16および手差し給紙ユニット17を備えている。
【0027】
可視画像形成ユニットpaはトナー像担持体となる感光体ドラム101aの周囲に、帯電ユニット103a、現像ユニット102aおよびクリーニングユニット104aが配置されている。
一次転写ユニット13aは中間転写ベルト11を介して配置されている。他の3組の可視像形成ユニットpb、pc、pdは可視画像形成ユニットpaと同様の構成であり、各ユニットの現像ユニットにはそれぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(B)の各色トナーが収容されている。
【0028】
光学系ユニットEは光源4からのデータを4組の感光体ドラム101a、101b、101cおよび101dに届くように配置されている。
中間転写ベルト11はテンションローラ11a、11bによりたわむことなく配置され、テンションローラ11b側に廃トナーBOX12、テンションローラ11a側に二次転写ユニット14が当接して配置されている。
定着ユニット15は定着部材15a、搬送部材15bから構成され、二次転写ユニット14の下流に配置されている。
【0029】
画像形成の工程は以下のようになる。感光体ドラム101a表面を帯電ユニット103aで一様に帯電した後、光学系ユニットEにより感光体ドラム101a表面を画像情報に応じてレーザー露光し静電潜像が形成される。
帯電ユニット103aとしては、感光体ドラム101a表面を一様に、またオゾンを極力発生させることなく帯電するために、帯電ローラ方式が採用されている。その後現像ユニット102aにより感光体ドラム101a上の静電潜像に対しトナー像を現像し、この顕像化されたトナー画像をトナーとは逆極性のバイアス電圧が印加された一次転写ユニット13aにより中間転写ベルト11上に転写する。他の3組の可視像形成ユニットpb、pcおよびpdも同様に動作し順次中間転写ベルト11上に転写するようになっている。
【0030】
中間転写ベルト11上のトナー画像は、二次転写ユニット14まで搬送され、別途、内部給紙ユニット16の給紙ローラ16aまたは手差し給紙ユニット17の給紙ローラ17aから給紙された記録紙に、トナーとは逆極性のバイアス電圧が印加されて転写される。
記録紙上のトナー画像は定着ユニットに搬送され、一般的にはレーザー照射により加熱されて記録紙上に融着し、本発明の場合には、定着ローラおよび圧力ローラから構成される定着装置により加圧定着して外部へ排出される。
【0031】
次に、本発明の圧力定着装置について、図3を用いて詳細に説明する。
圧力定着装置は、定着ローラと圧力ローラから構成され、100〜1000kgfの荷重をかけることができる。
【0032】
なお、本実施例では圧力定着装置には500kgfの荷重をかけている。定着ローラ及び圧力ローラは共に中空円筒型であり40φの鉄の素材からなり、表面は硬質のクロムメッキがなされている。
定着ローラの中にはハロゲンランプが配置されていないが、定着性をアップさせるために、ハロゲンランプを配置する等の加熱手段を設けても良い。
【0033】
定着ローラと圧力ローラに、100〜1000kgfの高い荷重をかけることにより、トナーを変形させ、トナーマイクロカプセルと外添剤マイクロカプセルを破壊して、2液を混合させ、トナー同士およびトナーを紙に定着させることができる。
【0034】
本実施例の画像形成装置は、最大定着速度225mm/秒、最大複写速度50枚/分(A4横送り)に設定して用いた。
【0035】
未定着のトナー画像は、たとえば、非磁性トナーを含む非磁性1成分現像剤、非磁性トナーおよびキャリアを含む非磁性2成分現像剤、磁性トナーを含む磁性現像剤などの現像剤に含まれるトナーで形成される。
【0036】
本発明によるトナーは、2種混合タイプの接着剤の一方をトナー中に内包する。また、トナー表面には、もう一方の接着剤を内包するカプセル化した外添剤を外添する。
接着剤が固体である場合は必ずしもカプセル化する必要はない。
2種混合タイプの接着剤の成分の組み合わせとしては、ウレタン樹脂系接着剤としてポリオールとポリイソシアネート、または末端にイソシアネート基を持つウレタンポリマーとポリオールとの組み合わせがある。
【0037】
また、エポキ樹脂系接着剤としては、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとを縮合重合させたエポキシ樹脂プレポリマーと、アミン硬化剤との組み合わせがある。
変性シリコーン系接着剤としては、エポキシ樹脂および有機触媒の混合物と成形シリコーン樹脂とエポキシ樹脂用硬化剤の混合物との組み合わせがある。
しかしながら、2種混合タイプの接着剤としては、上記の接着剤に限定されるものではなく、2液を混合させることで硬化し接着できるものであれば何でも良い。
本発明のトナーに用いられる2種混合タイプの接着剤は、2成分を混合することにより常温で硬化するので、定着ローラ等の加熱を要せず、圧力のみで十分な定着が可能となる特徴を有する。
【0038】
カプセル化する方法としては公知の技術を使用できる。例えば、S/Oマイクロカプセル法、相分離法、界面重合法、in-situ重合法、スプレードライ法等でトナーマイクロカプセルおよび外添剤マイクロカプセルを製造できる。
【0039】
以下の本実施例では、トナーマイクロカプセルおよび外添剤マイクロカプセルの製造に界面重合法を採用する。2種混合タイプの接着剤の第1成分を内包するトナーマイクロカプセル表面に、第2成分を内包する外添剤マイクロカプセルを外添する方法としては、ヘンシェルミキサー等の混合装置が使用される。
【0040】
着色剤の例としては、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダミンレーキ、アリザリンレーキ、ベンガラ、フタロシアニンブルーおよびインダスレンブルーなどが挙げられる。
着色剤は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が併用されてもよい。着色剤は、トナーに要求される色に応じて適宜選択される。
【0041】
シェル部分、すなわちマイクロカプセルであるトナーの外層としては、例えば、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリエステル樹脂およびスチレンアクリル樹脂などが挙げられる。樹脂はこれに限定されず、トナーの結着樹脂として使用される公知の樹脂を用いることができる。
これらの樹脂は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0042】
トナーマイクロカプセルのコア部分またはシェル部分は離型剤を含有しても良い。
コア部分に離型剤を含有させることによって、トナーを記録媒体に定着させるときにトナーに離型性を付与することができるので、離型剤を用いない場合に比べて、定着ローラに対する剥離性を向上させることができる。
【0043】
離型剤としては、たとえばパラフィンワックス、エステル系ワックス、ポリオレフィンワックス、低分子量ポリウレタンなどのポリウレタンワックス、カルナウバワックス(カルナバワックス)、マイクロクリスタリングワックス、ホホバワックス、ライスワックス、モンタン酸ワックスなどのワックスが挙げられる。
離型剤は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が併用されてもよい。
【0044】
トナーマイクロカプセルのコア部分またはシェル部分に帯電制御剤を含有しても良い。
帯電制御剤をコア部分またはシェル部分に含有させることによって、トナーの帯電特性を制御することができる。帯電制御剤としては、例えば第4級アンモニウム化合物、モノアゾ染料の金属錯塩、ニトロフミン酸およびその塩、サリチル酸、クロムまたは鉄などの金属との金属錯体、アミノ化合物などが挙げられる。
また有機染料として知られる材料を帯電制御剤として用いることもできる。
帯電制御剤は、1種が単独で用いられてもよく、また2種以上が併用されてもよい。
本発明によるトナーマイクロカプセルは、平均粒子径4〜13μmを有することを特徴とする。
【0045】
用紙搬送装置は、搬送ベルト、駆動ローラ、従動ローラ、吸着チャージャー、分離チャージャー、除電チャージャー、分離爪、駆動モーターとを備えている。搬送ベルトはベルト厚75μm、体積抵抗率1016Ω・cmのポリイミド樹脂からなり、駆動ローラと従動ローラに張架されている。駆動ローラは駆動モーター(図示せず)により、任意の速度で回転駆動するよう構成されており、搬送ベルトは駆動ローラの回転により矢印方向に任意の速度で回転する。
【0046】
また、搬送ベルトの周囲には吸着チャージャー、分離チャージャー、除電チャージャー、分離爪が設けられている。このような装置において、二次転写ユニットから搬送されてきた未定着トナー像が形成された用紙は従動ローラ上の搬送ベルトと吸着チャージャーの間に搬送される。従動ローラは導電性材料で構成され接地されており、吸着チャージャーによって用紙に電荷を与えることで用紙と搬送ベルトはそれぞれ誘電分極を起こし、用紙は搬送ベルト上に静電吸着する。
【0047】
用紙は駆動ローラの駆動によってレーザー照射部に搬送される。レーザー照射部まで搬送された用紙上の未定着トナー像にはレーザーヘッドによって画像情報に応じてレーザーが照射され、定着が行われる。レーザー照射部でのトナー画像の定着を終了した用紙は搬送ベルトに静電吸着された状態で分離チャージャーと駆動ローラとの間に搬送される。
【0048】
駆動ローラは導電性材料で構成され接地されており、分離チャージャーによって用紙上を除電してやることで搬送ベルトと用紙との間の静電吸着力が弱まる。その状態で搬送ベルトは駆動ローラに沿って回動し大きな曲率を持つため、用紙の先端部は搬送ベルトから浮き、さらに分離爪にて用紙は完全に搬送ベルトから分離する。用紙が剥離された搬送ベルトは、除電チャージャーにより外面および内面が除電された後、再び用紙の吸着位置へ駆動される。
【実施例】
【0049】
実施例1
<トナー>
図2に本発明を適用したトナーを示す。トナーは、2液混合タイプの接着材の第1成分をコアとして内包するコアシェル構造のマイクロカプセル(シェル1)となっている。また、前記のトナーであるマイクロカプセルは、その表面に2液混合タイプの接着剤の第2成分を内包する外添剤(シェル2)を保持している。
図2ではシェルは1層となっているが、現像槽中の機械的外力により破壊されないよう、複数層で構成されていても良い。
【0050】
本実施例では界面重合法等でコアシェルを作成したが、しかしこれらの作製方法に限定されるものではない。
【0051】
前記コア成分としては、少なくとも、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンを縮合重合させたエポキシ樹脂10gとカーボブラックを0.2gとを混合し、これに二塩化テレフタロイル0.5gを投入して溶解させる。溶解した成分を1%保護コロイド水溶液100mlに加え、乳化させた。
【0052】
次に、4%ヘキサメチレンジアミン水溶液8gと12%水酸化ナトリウム水溶液3gを上記乳化溶液に加えた。両溶液を混合すると直ちに油相と水相の界面において界面重合反応が起こり、シェルが生成した。その後pH4〜5に調節した。
【0053】
予め水100mlに水酸化ナトリウム0.04mgを加えることでpH9にした溶液にメラミン2gとホルマリン3mlを溶かしたものを加えた。温度を上げていくと重合反応が進行し、コアの表面にメラミン−ホルムアルデヒド樹脂が徐々に生成した。約80℃にて5時間撹拌を行うと、殆ど反応は完結しシェルが形成された。pH8にし、冷却後乾燥してトナー10gを得た。この際には必要に応じて濾過を行ってもよい。
得られたトナーを電子顕微鏡(SEM)で測定したところ、トナーの平均粒半径は10μmであり、シェルの厚さは3μmであった。
【0054】
<外添剤の作成>
この場合も上記と同じように界面重合法で作成する。前記コア成分としては、アミン硬化剤10gに二塩化テレフタロイル0.4gを溶解させる。左記成分を1%保護コロイド水溶液100mlに加え、乳化させた。
【0055】
次に、4%ヘキサメチレンジアミン水溶液8gと12%水酸化ナトリウム水溶液3gを上記乳化溶液に加える。両溶液を混合すると直ちに油相と水相の界面において界面重合反応が起こり、シェルが生成した。コアが生成したならば、pH4〜5に調節した。
【0056】
予め水100mlに水酸化ナトリウム0.04mgを加えることでpH9にした溶液にメラミン2gとホルマリン3mlを溶かしたものを加えた。温度を上げていくと重合反応が進行し、コアの表面にメラミン−ホルムアルデヒド樹脂が徐々に生成する。約70℃にて2時間撹拌を行うと、殆ど反応は完結しシェルが形成される。pH8にし、冷却後乾燥して外添剤9gを得た。この時必要に応じて濾過を行ってもよい。
【0057】
得られたトナーを電子顕微鏡(SEM)で測定したところ、本実施例では平均粒半径は2μmであった。
なお、上記のトナーの製法では、界面重合法を用いたが、上記製法に限定されるものではなく、カプセル化できる製法なら何れの公知方法を用いても良い。
【0058】
上記方法で得られた外添前のトナーと外添加剤をミキサーで混合する。具体的にはトナー10gに対して、外添剤2g、シリカR202 0.1gを1000回転で30秒間撹拌した。
【0059】
上記により作成されたトナーを、図3に示す定着ローラと圧力ローラで構成され、非加熱で荷重500kgfにより加圧する圧力定着装置に通すと、定着強度が十分で良好な定着が得られた。
【0060】
実施例2
トナーは実施例1と同じであり、定着装置の設定温度を70℃とした結果、より定着強度が増した。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明によれば、現像槽内の撹拌等の機械的外力によっても2液混合タイプの接着剤が混合硬化することなく、接着剤の液がトナーから漏れることもない圧力定着性トナー、該トナー用定着装置および該定着装置を備える画像形成装置が提供される。
【符号の説明】
【0062】
4:光源
11:中間転写ベルト
11a:テンションローラ
11b:テンションローラ
12:廃トナーBOX
【0063】
13a:一次転写ユニット
14:二次転写ユニット
15:定着ユニット
15a:定着部材
15b:搬送部材
16:内部給紙ユニット
16a:給紙ローラ
【0064】
17:手差し給紙ユニット
17a:給紙ローラ
100:カラー複合機
101a:感光体ドラム
101b:感光体ドラム
101c:感光体ドラム
101d:感光体ドラム
【0065】
102a:現像ユニット
102b:現像ユニット
102c:現像ユニット
102d:現像ユニット
103a:帯電ユニット
103b:現像ユニット
103c:現像ユニット
103d:現像ユニット
【0066】
104a:クリーニングユニット
104b:クリーニングユニット
104c:クリーニングユニット
104d:クリーニングユニット
E:光学系ユニット
pa:可視像形成ユニット
pb:可視像形成ユニット
pc:可視像形成ユニット
pd:可視像形成ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも着色剤を含むトナーが、2種混合タイプの接着剤の第1成分を内包し、トナー外添剤が、前記接着剤の第2成分を内包することを特徴とする圧力定着性トナー。
【請求項2】
前記第1成分が、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンを縮合重合させたエポキシ樹脂プレポリマーであり、かつ前記第2成分が、アミン系硬化剤である請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
前記トナーおよび前記外添剤が、マイクロカプセル粒子である請求項1または2に記載のトナー。
【請求項4】
前記トナーが、平均粒子径4〜13μmを有し、前記外添剤の平均粒子径よりも大きい膜厚を有するマイクロカプセル粒子である請求項1〜3のいずれか1つに記載のトナー。
【請求項5】
前記外添剤が、平均粒子径100nm〜3μmを有する請求項1〜4のいずれか1つに記載のトナー。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載のトナーを定着する定着装置が、2軸のローラを所定の圧力で荷重しながらトナーを定着させるものであり、かつ前記荷重が100〜1000kgfであることを特徴とする定着装置。
【請求項7】
前記定着装置が、非加熱型である請求項6に記載の定着装置。
【請求項8】
前記定着装置が、加熱型であり、定着温度が30〜100℃である請求項6に記載の定着装置。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか1つに記載のトナーを用いる画像形成装置。
【請求項10】
請求項6〜8のいずれか1つに記載の定着装置を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−189698(P2012−189698A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51781(P2011−51781)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】