説明

定着装置およびそれを用いた画像形成装置

【課題】テンションレスの耐久性薄膜ベルト加熱定着方式の定着装置において、ベルトの端部の変形を防止して劣化を防止するとともに、ベルトの蛇行を防止しフランジ部材との擦れ音を減少させる。
【解決手段】定着側のベルトをテンションレスにする構成とした定着装置において、長手方向で支持する定着ベルト支持部材15を取り付けるフランジ17に定着ベルト12を規制する規制溝18を設けた。或いは、加圧側のベルトをテンションレスにする構成とした定着装置において、加圧ベルト21を内面から支持する加圧ベルト支持部材22を取り付けるフランジ23に加圧ベルト21の内外面を規制する溝を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、電子写真装置、複写機等の画像形成装置において、ベルトを使用した定着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の耐久性薄膜ベルト加熱定着方式は、ベルトとしてエンドレスの形態のものを用い、その周長の一部が常にテンションが加わらない状態(すなわち、ベルトの周長の一部が自由に動き回ることが可能な状態をいい、以下、「テンションレス」という)とし、ベルトの走行移動は加圧部材の回転駆動力により行うようにしたベルト加熱方式であり、テンションレスとすることにより駆動トルクの大幅な低減を実現し、ベルト(以下、「定着ベルト」という)の長手方向端部をフランジ部材で受け止めて定着ベルトの長手方向端部への寄りを規制する構成を採用することにより装置構成の簡略化を実現している。(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平5−11654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の定着ベルトの一部にテンションがかからないテンションレス方式では、加圧ローラ及び発熱体の部品精度にばらつきが発生したり、発熱体の幅方向で温度分布が発生したりすることによって、定着ベルトの搬送力が、その幅方向で不均一となった場合や定着ベルトと加圧ローラの幅方向に微妙な加圧力の差が生じた場合に、左側或いは右側へ定着ベルトの寄りが発生することがあった。
【0004】
そして、従来の定着装置では、図9に示した断面図のように、例えば左方向へ定着ベルト12が寄り、フランジ17に突き当たると寄り力で左端部が徐々に外側(或いは、図示していないが内側)にラッパ状に変形し始めるために、定着ベルト12の折れや皺が発生する場合があり、定着画像の劣化や定着ベルト12の走行不良などが発生する場合があった。さらに、定着ベルト12が前記変形に耐えられなくなると、変形部分に亀裂が生じて定着ベルト12が破壊するという問題があった。
【0005】
また、図10に示した定着ベルトの蛇行を示す図のように、定着ベルト12のテンションレス側が自由に動き回わり、定着ベルト12の長手方向端部を規制しているフランジ部材17と不規則に接触し、擦れ音が発生していた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述の課題を解決するため次の構成を採用する。すなわち、加熱部材と内面を接し回転可能なエンドレス形状の定着ベルトと、前記定着ベルトの内面を支持する支持部材と、前記定着ベルトを前記加熱部材側に押圧する加圧部材と、前記定着ベルトの長手方向への寄りを規制する規制部材を備え、前記定着ベルトと前記加圧部材間を通過させて現像画像を定着する定着装置において、前記規制部材に、前記定着ベルトの長手方向端部の内外面を規制する溝を設けた。
【0007】
或いは、もう一つの発明においては、加熱部材と外面を接し回転可能なエンドレス形状の加圧ベルトと、前記加圧ベルト内面を支持する支持部材と、前記加圧ベルトの長手方向への寄りを規制する規制部材を備え、前記加圧ベルトと前記加熱部材間を通過させて現像画像を定着する定着装置において、前記規制部材は、前記加圧ベルト長手方向端部の内外面を規制する溝を設けた。
【発明の効果】
【0008】
本発明の定着装置によれば、テンションレスのベルトを支持する支持部材を取り付けるフランジにベルト端部の内外面を規制する規制溝を設けたので、ベルトに寄りが発生しても、ベルト端部の内外面が規制され、変形することがなく、劣化を防止することができる。
【0009】
また、規制溝によって、ベルトの回転経路が一定になるので、フランジと不規則に接触して発生する擦れ音も低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施の形態例を図面を用いて説明する。なお図面に共通する要素には同一の符号を付す。
【実施例1】
【0011】
実施例1の定着装置は、定着側にベルトを設け、当該ベルトをテンションレスにする構成とした定着装置において、定着ベルトを長手方向で支持する定着ベルト支持部材を取り付けるフランジに定着ベルトの内外面を規制する規制溝を設けたものである。
【0012】
(画像形成装置の構成)
図1は実施例1の定着装置を具備した、例えばカラー電子写真プリンタなどの画像形成装置の全体構成図であり、図2は現像画像を形成する現像器の構成図である。
【0013】
まず、画像形成装置は、それぞれ異なる色のトナーを供給し画像形成を行う図2の現像器が横方向に4個並べられており、前記4個の現像器30により右方向から搬送ベルト9により搬送する記録媒体25上に順次トナー画像を転写した後、左側に配置した定着装置40にて記録媒体25上のトナー画像を定着する構成となっている。
【0014】
(現像器の構成)
一方、現像器30は、所定の回転速度で図中矢印方向に回転する電子写真感光体(以下、「感光ドラム1」をいう)と、一定の圧力で感光ドラム1の表面に接触して感光ドラム1の回転に伴い図中矢印方向に回転し感光ドラム1の表面に所定の負電圧を印加する帯電ローラ2と、感光ドラム1の表面に静電潜像を形成するためのLEDヘッド3を具備している。
【0015】
さらに、感光ドラム1の表面に一定の圧力で接触し図中矢印のように回転する現像ローラ4と、一定のトナー層を形成するための現像ブレード5と、トナーを供給するために一定の圧力で現像ローラ4に接触しているトナー供給ローラ6と、トナー8を補充するためのトナーカートリッジ7を具備している。
【0016】
また、感光ドラム1の下方には、搬送ベルト9を感光ドラム1と接触するように配置し、搬送ベルト9の下方には転写ローラ10を配置し、転写ローラ10の押圧力により搬送ベルト9を感光ドラム1の表面に押付けるようにしている。感光ドラム1には、弾性材からなるクリーニングブレード11を、当該エッジ部を感光ドラム1表面に一定の圧力で接触するように配置している。
【0017】
(定着装置の構成)
次に、実施例1の定着装置の構成を、図3を用いて説明する。同図において、12は定着ベルトであり、耐熱性、強靭性、摺動性を有するポリエステルやポリイミドの単層フイルムの表面に離型層をコーティングしたり、単層フイルムの表面にシリコンゴム等の弾性材を成形しさらに離型層をコーティングしたり、或いは離型層としてPFAチューブなどを被せるようにしている。
【0018】
そして、定着ベルト12は、固定された発熱体13がその内面に所定の圧力で接触するように配置されている。この発熱体13の表面には、薄膜発熱抵抗部があり、定着ベルト12を介してその熱を記録媒体25へ伝達するようになっている。
【0019】
定着ベルト12は、エンドレスの円筒状であり、その円周上では加圧される部分を除いて張力が働いておらず、加圧ローラ14との摩擦力のみで周方向に回転走行するようになっている。また、定着ベルト12の内面には、定着ベルト12を長手方向に支持する定着ベルト支持部材15が配置されており、コイルバネ15a、15bによりフランジ17a、17bが加圧されて定着ベルト支持部材15を押圧することにより、定着ベルト支持部材15、発熱体13及び定着ベルト12が圧接されるようになっている。一方、加圧ローラ14は、図示せぬ軸受けにより固定され、駆動ギヤ16により回転駆動されるようになっている。
【0020】
また、定着ベルト12の端部は、図4に示すように、装置組立や保守等の際に定着ベルト支持部材15を取り付ける両側のフランジ17に設けた規制溝18によって規制されるようになっている。この規制溝18は、定着ベルト支持部材15を取り付ける側に設け、その中心ZZは定着ベルト支持部材15の中心Zから上方向に若干ずらした位置としている。そして、規制溝18は、奥行きをLxとし、間隙(図中ΔLr)を設けるために、周長を定着ベルト12の外径よりも若干長くしている。
【0021】
最適な奥行きLx、間隙ΔLrは、定着ベルト12やフランジ17の材質、加圧ローラの回転速度などにより変化するが、前述の構成での実験によれば、ΔLrを0.6〜1.0mm程度とし、奥行きLxを3.0mm〜4.0mm程度とするのがよい。
【0022】
(動作)
以上の構成により、実施例1の画像形成装置は以下のように動作する。この動作を、前述の図1ないし図4を用いて説明する。まず、図示せぬ画像形成装置の電源スイッチがオンされると、画像形成装置の初期動作が行われた後、帯電ローラ2に所定の負電圧が印加され、感光ドラム1が所定の回転速度にて図2の矢印方向に回転し始め、感光ドラム1の表面が所定の負電圧に帯電される。そして、印刷データに基づきLEDヘッド3が発光し、感光ドラム1の表面に静電潜像が形成される。
【0023】
そして、トナーカートリッジ7から供給されたトナー8が、トナー供給ローラ6により現像ローラ4に搬送され現像ブレード5によって薄層され、感光ドラム1上の静電潜像に付着することで可視化される。
【0024】
以上の動作が、カラー毎に設けられた現像器30にて行われる。そして、可視化された各静電潜像は、搬送ベルト9により記録媒体25が搬送され感光ドラム1と転写ローラ10が圧接されている各部分を通過するときに、記録媒体25に順次転写される。
【0025】
一方、定着ベルト12は、内部に配置された発熱体13により、図示せぬサーミスタにより温度コントロールされ設定温度まで加熱される。そして、定着ベルト12の温度が設定温度まで達すると、加圧ローラ14を駆動するギヤ16が回転し始め、定着ベルト12が加圧ローラ14によって従動的に回転を始める。そして、定着ベルト12が回転し始めると、左右どちらかの方向に定着ベルト12が寄り始める。なお、以下の説明では、図3に示すように定着ベルト12が左方向、すなわち左側のフランジ17aへ寄った場合を例として説明する。
【0026】
そして、前述のように記録媒体25の表面上に転写されたトナー画像は、定着ベルト12を介して発熱体13の熱と加圧ローラ14との圧力で加熱溶融されて記録媒体25上に定着される。
【0027】
また、定着ベルト12は、図4に示したように、フランジ17の定着ベルト支持部材15を取り付ける側面側に設けられた規制溝18にその両端部を嵌め込むように固定されているので、フランジ17a方向へ寄りはじめた定着ベルト12は、左側のフランジ17aの規制溝18に突き当たり、それ以上左側に寄ることはない。
【0028】
以上のように、フランジ17aの規制溝18に差し込まれた定着ベルト12は、摺動性を損なわないように外周を固定されるので、定着ベルト12が回転動作を行っても、定着ベルト12の回転経路が一定になるため、定着ベルト12のベルト端部がフランジ17aの規制面と不規則に摺動することが少なくなる。
【0029】
また、定着ベルト12に寄りが発生して定着ベルト12端部が溝18左端に突き当たっても定着ベルト12の内外面を規制されているため、寄り力にて定着ベルト12端部がラッパ状に変形することがない。
【0030】
以上の説明では、規制溝18の構造を図4のように単純な矩形として説明したが、図5(a)に示したように規制溝18'の外周側溝壁面をテーパ形状にするようにしてもよいし、同図(b)のように内周側壁面をテーパ形状にしてもよいし、或いは同図(c)のように、内外周両壁面をテーパ形状にしてもよい。このような形状とすることにより、後述のように寄り量と圧力の特性が若干劣化するが、装置組立時や保守等の際に、フランジ17に定着ベルト12を挿入し易くすることができる。
【0031】
図6は、規制溝18を設けていない場合および規制溝18を設けた場合の定着ベルト12の寄り量と圧力の関係を実験により求めたグラフである。図中Aグラフは、規制溝を設けていない場合であり、Cグラフは、図4に示した構造(間隙ΔLr=約1mm、奥行きLx=4mm)の規制溝18を設けた場合であり、Bグラフは、図5(a)に示したような規制溝をテーパ形状(間隙ΔLr=約1mm、テーパ角度約20度、奥行きLx=4mm)とした場合の寄り量と圧力の関係図である。
【0032】
グラフA、B、Cにおいて、寄り量が少ない場合は、寄り量の増加に応じて定着ベルト12が圧縮され、それとともに圧力が増加する。そして、定着ベルト12がラッパ状に変形され始めると(それぞれa、b、c点)、寄り量の増加とともに一旦圧力は減少する。
【0033】
そして、定着ベルト12がラッパ状に変形され始めるa、b、c点における圧力は、図4の規制溝形状とした場合が最も高く、次いでテーパ状の規制溝の場合、規制溝がない場合と低下しており、規制溝18を設けた場合は、規制溝18を設けない場合の約2倍の圧力までラッパ状の変形が発生しないことが分かる。
【0034】
すなわち、規制溝18を設けることにより定着ベルト12長手方向端部への寄りに対する耐久性が大幅に改善され、例えば圧力Pb、Pc以下の通常の定着ベルト12の寄りであれば、定着ベルト12長手方向端部の変形をなくすことができることが分かる。
【0035】
なお、グラフAの場合、すなわち図4に示した規制溝18の場合でも、間隙ΔLrを狭くしたり、奥行きLxを増加したりすることにより、さらにa点における圧力を増加することができるが、摩擦力の増加などより回転駆動力への影響、定着ベルト12の寿命の劣化などが発生するので、定着ベルト12やフランジ17の材質とともに、これも考慮して、実験等により間隙ΔLr、奥行きLxを決定するのがよい。
【0036】
規制溝18、18'の形状としては、以上説明した形状以外の形状とすることも可能であり、例えば定着ベルト12端部と規制溝18との摩擦を極力少なくするために、多少コスト増となるが、これらが接触する規制溝18の一部または全部にベアリング等のローラを具備するようにしてもよいし、規制溝18の接触する定着ベルト12端部の一部または全部に、ローラ等を具備してもよいし、摩擦の少ない材料をコーティングする等の処理を行うようにしてもよい。或いは、定着ベルト12端部の劣化を防止するために。定着ベルト12端部のみを強化材にて構成するようにしてもよい。
【0037】
以上の説明では、規制溝18を全周に亘って設ける構成として説明したが、規制溝18と定着ベルト12端部の摩擦の発生を出来るだけ少なくするために、全周に亘って設けるのではなく、規制溝18の一部をフランジ23の内周側や外周側に削り取って幅を広くし、定着ベルト12端部とフランジ17とが部分的に接触しないような構造としてもよい。
【0038】
(実施例1の効果)
以上詳細に述べたように、実施例1の定着装置によれば、定着ベルト12を支持する定着ベルト支持部材15を取り付けるフランジ17に規制溝18を設けたので、定着ベルト12に寄りが発生しても、定着ベルト12端部の内外面が規制溝18によって規制され、変形することがなく、劣化を防止することができる。
【0039】
また、規制溝18によって、定着ベルト12の回転経路を一定にすることよりテンションレスの状態で不規則にフランジ17と接触することを防止できるので、擦れ音も防止することができる。
【実施例2】
【0040】
実施例2の定着装置は、加圧側にベルトを設け、当該ベルトをテンションレスとした定着装置において、当該ベルトを内面から支持する加圧ベルト支持部材を取り付けるフランジに規制溝を設けたものである。
【0041】
画像形成装置、現像器の構成並びに現像および転写の動作は、実施例1と同様であるので、簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0042】
(定着装置の構成)
図7及び図8は実施例2の定着装置の構成図である。実施例2の定着装置は、加圧側をテンションレスのベルトとする構成となっており、動きが特定されないベルトの走行による影響が印刷面側に現れにくく、印刷品質を向上することができる構成となっている。
【0043】
図7及び図8において、19は定着ローラであり、その内部には加熱部材であるハロゲンランプ20が配置されている。そして、定着ローラ19の表面には図示せぬサーミスタが定着ローラ19の表面と接触しており、定着ローラ19の表面温度を制御するようになっている。
【0044】
また、定着ローラ19は、アルミまたは鉄に防錆処理を施した芯金構造となっており、当該芯金の表面には、主に耐熱性、耐久性に優れるシリコンゴムを成形し、さらに当該シリコンゴム表面には、離型性、耐熱性、強靭性を有する単層フイルム、またはコート層が設けられている。
【0045】
加圧ベルト21は、その内面に回転可能または固定された加圧ベルト支持部材22が設けられており、加圧ベルト支持部材22によって加圧ベルト21の長手方向全域にわたって支持されている。そして、コイルバネ15a、15bによりフランジ23a、23bが押圧されることにより、加圧ベルト支持部材22、加圧ベルト21及び定着ローラ19が圧接される構成となっている。
【0046】
そして、加圧ベルト21は、耐熱性、強靭性、摺動性を有するポリエステルやポリイミドの単層フイルムの表面に離型層がコーティングされたり、単層フイルムの表面にシリコンゴム等の弾性材を成形しさらに離型層がコーティングされたり、或いは離型層としてPFAチューブなどを被せるようにしている。そして、加圧ベルト21は、エンドレスの円筒状であり、その円周上では定着ローラ19と接している部分を除いて張力が働いておらず、定着ローラ19の回転により従動的に回転する。
【0047】
加圧ベルト21の端部は、図8に示すように装置組立や保守等の際に加圧ベルト支持部材22を取り付けるフランジ23a、フランジ23bに設けた規制溝18に加圧ベルト21の両端部を差し込められた状態で規制されている。この規制溝18は、加圧ベルト支持部材22を取り付ける面に加圧ベルト21の外径よりも若干周長が長くなるように設けられていることは実施例1と同様である。
【0048】
(定着装置の動作)
以上の構成により、実施例2の定着装置は以下のように動作する。まず、図示せぬ画像形成装置の電源スイッチがオンされると、ハロゲンランプ20をオンし定着ローラ19を加熱させる。定着ローラ19の表面温度は図示せぬサーミスタ等により所定の温度になるように制御され設定温度になると、図7左のF−F断面図に示す矢印方向に回転し、トナー像が表面に転写され矢印上流側から送られてくる記録媒体25を定着ローラ19と加圧ベルト21による圧接部を通過させて記録媒体25上のトナー像を加熱定着させる。
【0049】
定着ローラ19の回転により加圧ベルト21が従動的に回転すると、加圧ベルト21は、左右どちらかに寄りが発生する。以下は、実施例1と同様に図7中の寄り方向として矢印にて示した方向に、すなわち左側に加圧ベルト21の寄りが発生した場合を例として説明する。
【0050】
加圧ベルト21が図7に示す寄り方向に移動すると、加圧ベルト21端部は図8に示すように、フランジ23aに設けた規制溝18内の左端に突き当たる。そして、加圧ベルト21の端部は、フランジ23aの溝18の左端に突き当てられるので、これ以上の寄りは、フランジ23aによって規制される。
【0051】
そして、加圧ベルト21はフランジ23aに設けられた溝18によって加圧ベルト21内外面を規制されるので、加圧ベルト21の回転経路が一定になり、加圧ベルト21端部がフランジ23a規制面と不規則に摺動することが少なくなる。
【0052】
さらに、加圧ローラ21端部がフランジ23aに設けられた溝18の左端に突き当たって変形しようとしてもフランジ23aによって加圧ベルト21の内外面が規制されているので加圧ベルト21端部がラッパ状に押し広げられなくなる。
【0053】
以上説明した実施例2の定着装置においても、実施例1にて説明したように規制溝の間隙ΔLrや奥行きLxを変えたり、形状を変えたり、ローラ等を接触部分に具備したり、規制溝18の一部をフランジ23の内周側や外周側に削るような構造とすることもできることは言うまでもない。
【0054】
(実施例2の効果)
以上詳細に述べたように、実施例2の定着装置によれば、加圧側をテンションレスのベルトとした構成の定着装置において、フランジ23に加圧ベルト21端部の内外面を規制する溝を設けたので、加圧ベルト21端部の変形を防止することができ、劣化を防止することができる。
【0055】
また、規制溝18によって、加圧ベルト21の回転経路を一定とすることにより、テンションレスの状態で不規則にフランジ23と接触することを防止できるので、擦れ音も防止することができる。
【0056】
(その他の変形例)
以上の実施例の説明では、カラー電子写真プリンタなど現像器を4個もった搬送ベルト型の画像形成装置として説明したが、現像器が1個のものでも本発明を適用できるし、或いは逆に4個より多くの現像器をもった画像形成装置にも適用できる。
【0057】
或いは、中間転写ベルト上にカラー画像を形成した後、記録媒体上に再転写する中間転写ベルト方式の電子写真プリンタなどにも勿論適用できる。この場合は、トナー画像が形成される面が前述実施例1および2の説明とは逆となり記録媒体25の下側となるので、実施例1の形態である定着側にベルトを配置する構成の方が、テンションレスのベルトの不定性による影響が少なくなり、印刷品質が向上する。
【0058】
また、以上の実施例の説明では、発熱体側或いは加圧側いずれか一方をテンションレスのベルトを設けた定着装置として説明したが、双方ともテンションレスのベルトを設けた定着装置にも、本発明を適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上述べたように、本発明は、トナーなどの現像剤を用いて現像、定着を行うプリンタ、ファクシミリ、電子写真装置、複写機等の定着装置および画像形成装置に広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】画像形成装置の構成図の構成図である。
【図2】現像器の構成図の構成図である。
【図3】実施例1の定着装置の構成図である。
【図4】実施例1の定着装置のD−D断面図である。
【図5】別の定着装置のD−D断面図である。
【図6】定着ベルト変形発生時の寄り量と圧力の関係を説明する図である。
【図7】実施例2の定着装置の構成図である。
【図8】実施例2の定着装置のE−E断面図である。
【図9】従来技術の定着装置の断面図である。
【図10】従来の定着装置の定着ベルトの蛇行を説明する図である。
【符号の説明】
【0061】
12 定着ベルト
13 発熱体
14 加圧ローラ
15 定着ベルト支持部材
15a、15b コイルバネ
16 ギア
17、23 フランジ
18 規制溝
19 定着ローラ
20 ヒータ
21 加圧ベルト
22 加圧ベルト支持部材
25 記録媒体
40 定着装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱部材と内面を接し回転可能なエンドレス形状の定着ベルトと、
前記定着ベルトの内面を支持する支持部材と、
前記定着ベルトを前記加熱部材側に押圧する加圧部材と、
前記定着ベルトの長手方向への寄りを規制する規制部材を備え、
前記定着ベルトと前記加圧部材間を通過させて現像画像を定着する定着装置において、
前記規制部材は、前記定着ベルトの長手方向端部の内外面を規制する溝を設けたことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
加熱部材と外面を接し回転可能なエンドレス形状の加圧ベルトと、
前記加圧ベルト内面を支持する支持部材と、
前記加圧ベルトの長手方向への寄りを規制する規制部材を備え、
前記加圧ベルトと前記加熱部材間を通過させて現像画像を定着する定着装置において、
前記規制部材は、前記加圧ベルト長手方向端部の内外面を規制する溝を設けたことを特徴とする定着装置。
【請求項3】
前記規制部材に設けた溝は、テーパ状の形状としたことを特徴とする請求項1及び2記載の定着装置。
【請求項4】
前記規制部材に設けた溝の中心軸位置は、前記支持部材の中心軸位置と異なるようにしたことを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の定着装置。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれか記載の定着装置を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−39184(P2006−39184A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−218482(P2004−218482)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】