説明

定着装置および画像形成装置

【課題】本発明は、断熱スリーブの強度が低下することを抑制することが可能な定着装置および画像形成装置を提供することを課題とする。
【解決手段】レーザプリンタに設けられる定着装置は、ハロゲンヒータHHにより加熱される加熱ローラ41と、加熱ローラ41の端部41bを回転可能に支持する第1軸受け60と、加熱ローラ41の端部41bと第1軸受け60との間に介装された第2断熱スリーブ65とを備えている。そして、第1断熱スリーブ64の第1軸受け60の内周面に沿う部位は、加熱ローラ41の軸方向において、第1軸受け60の両側に突出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙(記録シート)に現像剤像を熱定着させる定着装置と、この定着装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、レーザプリンタなどの画像形成装置には、感光体から用紙に転写した現像剤像を熱定着させるための定着装置が設けられている。このような定着装置としては、従来、加熱ローラと、加熱ローラに向けて押圧される加圧ローラと、加熱ローラの回転軸を回転可能に支持する軸受けと、軸受けと加熱ローラの回転軸との間に配設される断熱スリーブとを備えたものが知られている(特許文献1参照)。この技術によれば、加熱ローラの熱が断熱スリーブによって遮られるので、軸受けに与える熱の影響を少なくすることが可能となっている。なお、この文献で開示された発明や従来技術で代表されるように、断熱スリーブのうち軸受けの内周面に接触する部位は、軸受けの幅(軸方向長さ)と同程度か、それよりも短いのが一般的だった。
【0003】
【特許文献1】特開昭54−59549号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、断熱スリーブが前記した技術のように配設されると、加熱ローラが熱により軸方向に伸縮したときに、断熱スリーブと軸受けとが互いに軸方向においてずれてしまうことがあり、その結果、断熱スリーブと軸受けの接触面積が減少するおそれがあった。そして、このように断熱スリーブと軸受けの接触面積が減少すると、断熱スリーブが磨耗して、断熱スリーブの強度が低下するおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、断熱スリーブの強度が低下することを抑制することが可能な定着装置および画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決する本発明は、現像剤像が転写された記録シートに、その現像剤像を熱定着させる定着装置であって、熱源により加熱される加熱ローラと、前記加熱ローラへ向けて押圧される加圧ローラと、前記加熱ローラの端部を回転可能に支持する軸受けと、前記加熱ローラの端部と前記軸受けとの間に介装された断熱スリーブと、前記加熱ローラおよび前記加圧ローラを保持する筐体とを備え、前記断熱スリーブの前記軸受けの内周面に沿う部位は、前記加熱ローラの軸方向において、前記軸受けの両側に突出していることを特徴とする。
【0007】
ここで、「軸受けの内周面に沿う部位」とは、軸受けの内周面に接触しうる部位であって、かつ、軸受けの内周面に対向しうる部位をいう。
【0008】
本発明によれば、断熱スリーブの軸受けの内周面に沿う部位が、加熱ローラの軸方向において、軸受けの両側に突出しているので、加熱ローラが熱により軸方向に伸縮したとしても、断熱スリーブと軸受けが軸方向においてずれて、それらの接触面積が減少するのを抑制することができる。なお、前記したような定着装置は、画像形成装置に設けられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、断熱スリーブと軸受けの接触面積の減少を抑えることができるので、断熱スリーブの磨耗を抑えて、断熱スリーブの強度の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[第1の実施形態]
<レーザプリンタの全体構成>
最初に、本発明の画像形成装置の一例としてのレーザプリンタの全体構成について簡単に説明する。参照する図面において、図1は、本発明の画像形成装置の一例としてのレーザプリンタの第1の実施形態を示す側断面図である。
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体ケーシング2内に用紙3を給紙するためのフィーダ部4や、給紙された用紙3に画像を形成するための画像形成部5などを備えている。
【0011】
<フィーダ部の構成>
フィーダ部4は、本体ケーシング2内の底部に着脱可能に装着される給紙トレイ6と、給紙トレイ6内に設けられた用紙押圧板7を備えている。また、フィーダ部4は、給紙トレイ6の一端側端部の上方に設けられる給紙ローラ8および給紙パット9と、給紙ローラ8に対し用紙3の搬送方向の下流側に設けられる紙粉取りローラ10,11を備えている。さらに、フィーダ部4は、紙粉取りローラ10,11に対して下流側に設けられるレジストローラ12を備えている。なお、以下の説明においては、用紙3の搬送方向下流側または上流側を、単に、下流側または上流側という場合がある。
【0012】
そして、このように構成されるフィーダ部4では、給紙トレイ6内の用紙3が、用紙押圧板7によって給紙ローラ8側に寄せられ、この給紙ローラ8および給紙パット9で送り出されて各種ローラ10〜12を通った後一枚ずつ画像形成部5に搬送されるようになっている。
【0013】
<画像形成部の構成>
画像形成部5は、スキャナ部16、プロセスカートリッジ17、定着装置18などを備えている。
【0014】
<スキャナ部の構成>
スキャナ部16は、本体ケーシング2内の上部に設けられ、レーザ発光部(図示せず。)、回転駆動されるポリゴンミラー19、レンズ20,21、反射鏡22,23,24などを備えている。レーザ発光部から発光される画像データに基づくレーザビームは、鎖線で示すように、ポリゴンミラー19、レンズ20、反射鏡22,23、レンズ21、反射鏡24の順に通過あるいは反射して、プロセスカートリッジ17の感光ドラム27の表面上に高速走査にて照射される。
【0015】
<プロセスカートリッジの構成>
プロセスカートリッジ17は、スキャナ部16の下方に配設され、本体ケーシング2に対して着脱自在に装着される構造となっている。そして、このプロセスカートリッジ17の外枠を構成する中空の筐体51内には、現像カートリッジ28、感光ドラム27、スコロトロン型帯電器29および転写ローラ30が主に設けられている。
【0016】
現像カートリッジ28は、筐体51に対して着脱自在に装着されており、現像ローラ31、層厚規制ブレード32、供給ローラ33およびトナーホッパ34を備えている。そして、トナーホッパ34内のトナーは、供給ローラ33の矢印方向(反時計方向)への回転により、現像ローラ31に供給され、このとき、供給ローラ33と現像ローラ31との間で正に摩擦帯電される。現像ローラ31上に供給されたトナーは、現像ローラ31の矢印方向(反時計方向)への回転に伴なって、層厚規制ブレード32と現像ローラ31との間に進入し、一定厚さの薄層として現像ローラ31上に担持される。
【0017】
感光ドラム27は、筐体51に、矢印方向(時計方向)へ回転可能に支持されている。この感光ドラム27は、ドラム本体が接地されるとともに、その表面部分がポリカーボネートからなる正帯電性の感光層により形成されている。
【0018】
スコロトロン型帯電器29は、感光ドラム27の上方に、感光ドラム27に接触しないように、所定間隔を隔てて対向配置されている。このスコロトロン型帯電器29は、タングステンなどの帯電用ワイヤからコロナ放電を発生させる正帯電用のスコロトロン型の帯電器であり、感光ドラム27の表面を一様に正極性に帯電させるように構成されている。
【0019】
転写ローラ30は、感光ドラム27の下方において、この感光ドラム27に対向して接触するように配置され、筐体51に、矢印方向(反時計方向)へ回転可能に支持されている。この転写ローラ30は、金属製のローラ軸に、導電性のゴム材料が被覆されて構成されている。この転写ローラ30には、転写時に、転写バイアスが印加される。
【0020】
そして、感光ドラム27の表面は、スコロトロン型帯電器29により一様に正帯電された後、スキャナ部16からのレーザビームの高速走査により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、画像データに基づく静電潜像が形成される。ここで、「静電潜像」とは、一様に正帯電されている感光ドラム27の表面のうち、レーザビームによって露光されて電位が下がっている露光部分をいう。次いで、現像ローラ31の回転により、現像ローラ31上に担持されているトナーが、感光ドラム27に対向して接触するときに、感光ドラム27の表面上に形成される静電潜像に供給される。そして、トナーは、感光ドラム27の表面上で選択的に担持されることによって可視像化され、これによって反転現像によりトナー像が形成される。
【0021】
その後、感光ドラム27と転写ローラ30とは、用紙3を両者間で挟持して搬送するように回転駆動され、感光ドラム27と転写ローラ30との間を用紙3が搬送されることにより、感光ドラム27の表面に担持されているトナー像が用紙3上に転写される。
【0022】
<定着装置の構成>
定着装置18は、プロセスカートリッジ17の下流側に配設され、加熱ローラ41、加熱ローラ41に向けて押圧される加圧ローラ42、および、これら加熱ローラ41および加圧ローラ42の下流側に設けられる1対の搬送ローラ43を備えている。そして、このように構成される定着装置18では、用紙3上に転写されたトナー像を、用紙3が加熱ローラ41と加圧ローラ42との間を通過する間に熱定着させる。その後、その用紙3は、搬送ローラ43によって、排紙パス44に搬送される。なお、排紙パス44に送られた用紙3は、排紙ローラ45によって排紙トレイ46上に排紙される。
【0023】
<定着装置の構造の詳細>
次に、定着装置の構造の詳細について説明する。参照する図面において、図2は図1に示すレーザプリンタの定着装置を構成する各部品の関係を示す概略構成図であり、図3は
図1に示すレーザプリンタの定着装置を構成する各部品の関係を示す側面図である。なお、前に示した図1の定着装置の構造は、説明の便宜上、適宜省略して示している。
【0024】
図2に示すように、定着装置18は、前記した加熱ローラ41および加圧ローラ42を主に備える他、加熱ローラ41用の第1軸受け60と、加圧ローラ42用の第2軸受け61と、筐体62と、加圧アーム63とを備えている。
【0025】
加熱ローラ41は、中空の円柱状に形成される部品であり、その内部に配設されたハロゲンヒータHHによって加熱されるようになっている。そして、この加熱ローラ41は、第1軸受け60を介して筐体62に回転可能に支持されている(支持部位は図示せず)。なお、この第1軸受け60としては、加圧ローラ42からの押圧力に十分耐えることができるボールベアリングを採用するのが望ましい。
【0026】
また、加熱ローラ41の一端には、ギヤGが固定されており、これにより図示せぬ駆動装置からの駆動力がギヤGを介して加熱ローラ41に伝わることで、加熱ローラ41が回転するようになっている。そして、加熱ローラ41の両端部と第1軸受け60との間には、加熱ローラ41から第1軸受け60への熱の伝達を抑えるための第1断熱スリーブ64および第2断熱スリーブ65が介装されている。なお、第1断熱スリーブ64と第2断熱スリーブ65の構造の詳細は、後述することとする。
【0027】
加圧ローラ42は、円柱状に形成される部品であり、その両端の中心から外方に突出するように回転軸42aが設けられている。そして、この回転軸42aは、第2軸受け61によって回転可能に支持されている。
【0028】
加圧アーム63は、図3に示すように、引きばねSによって加熱ローラ41側に付勢されることによって、加圧ローラ42を加熱ローラ41に向けて押圧(付勢)する長尺状の部品である。そして、この加圧アーム63は、その一端部63aが筐体62に回動可能に支持されるとともに、その略中央部で第2軸受け61を支持し、その他端側が引きばねSによって付勢されている。
【0029】
筐体62は、図2に示すように、加熱ローラ41の端面に対向する一対の側壁62a,62bと、加熱ローラ41を挟んで加圧ローラ42とは反対側に配設される上壁62cを主に備えた構造となっている。この筐体62は、加熱ローラ41を第1軸受け60を介して保持するとともに(図5参照)、加圧ローラ42を加圧アーム63を介して保持している。そして、前記した側壁62a,62bのうち一方の側壁62aには、ハロゲンヒータHHの一端部に接続される第1電極66が設けられるとともに、他方の側壁62bには、ハロゲンヒータHHの他端部に接続される第2電極67が設けられている。
【0030】
ここで、第2電極67は、ハロゲンヒータHHに接続される接続部67aと、側壁62bの内面に沿って設けられる第1導電部67bとによって断面視L字状に形成されている。また、第2電極67の第1導電部67bには、第2電極67に電力を供給するために外部電源からの電気を第2電極67へと伝達させる第2導電部68が一体に形成されている。この第2導電部68は、筐体62の上壁62cの内面に沿って設けられている。そして、この第2導電部68と前記した第1電極66に外部電源から図示しない電線等の経路を介して電力が供給されることによって、ハロゲンヒータHHが作動するようになっている。
【0031】
また、第2導電部68には、加熱ローラ41の温度が所定値以上となったときに断線する温度ヒューズ(図示せず)などが適宜設けられている。なお、本実施形態においては、第2導電部68や温度ヒューズを、電源部材の一例として挙げているが、本発明はこれに限定されず、例えば、第2導電部68や温度ヒューズの他に、電流制御を行うサーモスタットを加えたものを電源部材としてもよい。
【0032】
<断熱スリーブの構造の詳細>
次に、本発明の特徴部分となる第2断熱スリーブの構造の詳細について説明する。参照する図面において、図4は第1断熱スリーブ周りの構造を示す断面図であり、図5は第2断熱スリーブ周りの構造を示す断面図である。
【0033】
図4に示すように、第1断熱スリーブ64は、加熱ローラ41の中央部41aよりも小径となる端部41bに嵌合する円筒状の本体部64aと、本体部64aの一端部から径方向外側へ突出するフランジ部64bとを備えている。そして、この第1断熱スリーブ64は、加熱ローラ41の端部41bに取り付けられた状態において、その両端が第1軸受け60の両端面60a,60bから外側へ向かって突出している。また、このとき、フランジ部64bは、第1軸受け60の内側の端面60aと対向する位置に配置されており、これにより、加熱ローラ41が軸方向に膨張しても、第1断熱スリーブ64が第1軸受け60からずれないようになっている。
【0034】
なお、この第1断熱スリーブ64の軸方向の長さや、第1軸受け60からのはみ出し量や、加熱ローラ41の端部41bへの最初の取付位置は、加熱ローラ41の伸縮状態を考慮して、実験やシミュレーションなどによって適宜決めればよい。また、第1断熱スリーブ64の材料としては、導電性の材料であってもよいし、絶縁体であってもよい。
【0035】
また、加熱ローラ41の端部41bのうち第1断熱スリーブ64が取り付けられている部位の外側には、前記したギヤGが固定されている。そして、このギヤGの内側の端面には、第1軸受け60の軸方向外側への変位を規制する規制部Gaが、第1軸受け60側に向かって突出するように形成されている。さらに、第1断熱スリーブ64の軸方向内側への変位は、加熱ローラ41の中央部41aと端部41bとの間の段差面によって規制される。そのため、ギヤG周辺の構造においては、第1軸受け60に対して第1断熱スリーブ64はほとんどずれない構造となっている。
【0036】
図5に示すように、第2断熱スリーブ65は、絶縁体で形成されており、加熱ローラ41の端部41bに嵌合する円筒状の本体部65aと、本体部65aの一端部から径方向外側へ突出するフランジ部65bを主に備えている。さらに、この第2断熱スリーブ65は、フランジ部65bとは反対側の端部から径方向内側へ突出するカバー部65cを備えている。そして、この第2断熱スリーブ65のうちの第1軸受け60の内周面に沿う部位となる外周面65dは、第1軸受け60の両端面60a,60bから軸方向外側へ向かって突出している。
【0037】
なお、この第2断熱スリーブ65の軸方向の長さや、第1軸受け60からのはみ出し量や、加熱ローラ41の端部41bへの最初の取付位置は、加熱ローラ41の伸縮状態を考慮して、実験やシミュレーションなどによって適宜決めればよい。例えば、第1軸受け60からのはみ出し量の一例として、常温時において、軸方向内側への突出量X1を2mmとし、軸方向外側への突出量X2を0.1mmとした形態を挙げることができる。
【0038】
そして、第2断熱スリーブ65のカバー部65cは、加熱ローラ41の端部41bの内面よりも径方向内側へ突出するように形成されることによって、加熱ローラ41の端面41cを覆っている。これにより、加熱ローラ41の端面41cと、この端面41cに対向して配置される第2電極67との距離を近づけても、これらの間で生じる放電を防止することができる。
【0039】
また、加熱ローラ41の外周面41dに対向して配設される第2導電部68は、加熱ローラ41の外周面41dから第2断熱スリーブ65の本体部65aの厚さDよりも長い距離Lだけ離れるように、配設されている。ここで、距離Lは、加熱ローラ41の径方向における加熱ローラ41の外周面41dから第2導電部68までの距離をいう。また、第2断熱スリーブ65の本体部65aの厚さDは、第2断熱スリーブ65の径方向における本体部65aの肉厚をいう。
【0040】
次に、第2断熱スリーブ65の作用について説明する。
加熱ローラ41が熱の影響によって軸方向に伸縮した場合、図5に示す第2断熱スリーブ65は、加熱ローラ41の端部41bとともに軸方向に移動する。このとき、第1軸受け60と、第2断熱スリーブ65との相対位置が変化することとなるが、第2断熱スリーブ65の外周面65dが第1軸受け60の両側に突出しているので、第2断熱スリーブ65は第1軸受け60の全幅と常に接触する。つまり、第2断熱スリーブ65と第1軸受け60との接触面積は常に一定に保たれることとなる。なお、第1断熱スリーブ64については、前記したようにギヤG等によって第1軸受け60と第1断熱スリーブ64との相対位置がほとんどずれないので、接触面積は常に一定に保たれている。
【0041】
続いて、仮に第2断熱スリーブ65が熱により溶けた場合における加熱ローラ41と第2導電部68との関係について説明する。
図5に示すように、仮に加熱ローラ41の端部41bの異常な温度上昇によって第2断熱スリーブ65が溶けた場合には、加熱ローラ41が第2断熱スリーブ65によって支持されなくなるので、加熱ローラ41が径方向に移動可能となる。ただし、この加熱ローラ41の移動は、第1軸受け60の内周面によって規制されるため、加熱ローラ41が径方向に移動できる最大距離は、第2断熱スリーブ65の本体部65aの厚さD分の距離となる。そのため、このように加熱ローラ41が径方向にがたついたとしても、加熱ローラ41の外周面41dから第2断熱スリーブ65の本体部65aの厚さDよりも長い距離Lだけ離れた第2導電部68に加熱ローラ41の外周面41dが接触することはない。
【0042】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
第2断熱スリーブ65の外周面65dが第1軸受け60の両端面60a,60bから突出しているので、加熱ローラ41が熱の影響により伸縮した場合であっても、常に第2断熱スリーブ65を第1軸受け60の内面全体に接触させておくことができる。すなわち、第2断熱スリーブ65と第1軸受け60の接触面積の減少を抑えることができるので、第2断熱スリーブ65の磨耗を抑えて、第2断熱スリーブ65の強度の低下を抑制することができる。
【0043】
第2断熱スリーブ65が、絶縁体で形成されるとともに、そのカバー部65cで加熱ローラ41の端面41cを覆うので、第2電極67を端面41c側に近づけて、定着装置18の小型化を図ることができる。
第2導電部68が、加熱ローラ41の外周面41dから第2断熱スリーブ65の本体部65aの厚さDよりも大きく離れているので、仮に第2断熱スリーブ65が溶けた場合であっても、加熱ローラ41と第2導電部68との接触による短絡を防止することができる。
【0044】
なお、本発明は第1の実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
第1の実施形態では、第1断熱スリーブ64、第2断熱スリーブ65といった2種類の断熱スリーブを加熱ローラ41の各端部にそれぞれ設けるようにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1断熱スリーブ64を加熱ローラ41の両端に設けて、ギヤGの反対側の構造においては、第1断熱スリーブ64の本体部64の外周面が第1軸受け60の両端面60a,60bから突出するようにしてもよい。この場合は、部品点数の削減を図ることができる。
【0045】
第1の実施形態では、第2導電部68を筐体62の内側に配設し、対向する加熱ローラ41の外周面41dから所定距離離すようにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図6に示すように、第2導電部68を筐体62’の外側に配設するとともに、この第2導電部68の外面をカバー69によって覆うようにしてもよい。これによれば、仮に第2断熱スリーブ65が溶けた場合であっても、加熱ローラ41が筐体62’内でがたつくだけで、筐体62’外の第2導電部68に接触することはない。さらには、仮に第1軸受け60が樹脂で形成されており、この第1軸受け60が第2断熱スリーブ65とともに溶けた場合であっても、第2導電部68と加熱ローラ41との接触は、筐体62’によって確実に阻止される。したがって、この構造によれば、加熱ローラ41と第2導電部68との接触による短絡を、筐体62’によって確実に防止することができる。また、第2導電部68の外側がカバー69で覆われているので、塵埃等の影響による不具合を抑制することができる。
【0046】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態は、前記した第1の実施形態に係る第1断熱スリーブ64の一部を変更したものであるため、第1の実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略することとする。参照する図面において、図7は、第2の実施形態に係る第1断熱スリーブを示す断面図である。
【0047】
図7に示すように、第2の実施形態に係る第3断熱スリーブ64’は、第1の実施形態に係る第1断熱スリーブ64と同様の本体部64aを備える他、この本体部64aの一端部に一体形成される延長部64cを備えている。そして、この延長部64cは、加熱ローラ41の端部41bと中央部41aとの間の段差面41eよりも軸方向内側に延びて中央部41aの一部を覆うように、加熱ローラ41の表面に沿って形成されている。
【0048】
以上によれば、第2の実施形態において以下のような効果を得ることができる。
第3断熱スリーブ64’の延長部64cが、加熱ローラ41の段差面41eよりも軸方向内側に延びるので、第1軸受け60を段差面41e側に寄せることが可能となる。そのため、第1軸受け60を段差面41e側に寄せた分だけ、第3断熱スリーブ64’や加熱ローラ41の端部41bの先端面を内側に寄せることが可能となるので、加熱ローラ41を軸方向において小型化することができる。
【0049】
なお、本発明は第2の実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
第2の実施形態では、第1の実施形態に係る第1断熱スリーブ64のフランジ部64bの代わりに延長部64cを設けたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1の実施形態に係る第2断熱スリーブ65のフランジ部65bの代わりに、延長部64cを設けてもよい。
【0050】
なお、本発明は前記した各実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
前記各実施形態では、レーザプリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
【0051】
前記各実施形態では、転写手段の一例として転写ローラ30を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば非接触型のものを採用してもよい。
前記各実施形態では、記録シートの一例として、厚紙、はがき、薄紙などの用紙3を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばOHPシートであってもよい。
【0052】
前記各実施形態では、付勢手段の一例として引きばねSを採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば押しばね、トーションばねなどであってもよい。
前記各実施形態では、熱源の一例としてハロゲンヒータHHを採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば誘導加熱方式のIH(Induction Heating)ヒータや発熱抵抗体などを採用してもよい。
【0053】
前記各実施形態では、現像剤の一例としてトナー、現像手段の一例として現像カートリッジ28、露光装置の一例としてスキャナ部16、感光体の一例として感光ドラム27を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明の趣旨を逸脱しない限り、材料や構造を適宜変更可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の画像形成装置の一例としてのレーザプリンタの第1の実施形態を示す側断面図である。
【図2】図1に示すレーザプリンタの定着装置を構成する各部品の関係を示す概略構成図である。
【図3】図1に示すレーザプリンタの定着装置を構成する各部品の関係を示す側面図である。
【図4】第1断熱スリーブ周りの構造を示す断面図である。
【図5】第2断熱スリーブ周りの構造を示す断面図である。
【図6】第2導電部を筐体の外側に設けた形態を示す断面図である。
【図7】第2の実施形態に係る第1断熱スリーブを示す断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 レーザプリンタ(画像形成装置)
3 用紙(記録シート)
16 スキャナ部(露光装置)
18 定着装置
27 感光ドラム(感光体)
28 現像カートリッジ(現像手段)
30 転写ローラ(転写手段)
41 加熱ローラ
41a 中央部
41b 端部
41c 端面
41d 外周面
41e 段差面
42 加圧ローラ
42a 回転軸
60 第1軸受け
60a 端面
62 筐体
63 加圧アーム
64 第1断熱スリーブ
64a 本体部
64b フランジ部
65 第2断熱スリーブ
65a 本体部
65b フランジ部
65c カバー部
66 第1電極
67 第2電極
67a 接続部
67b 第1導電部
68 第2導電部(電源部材)
69 カバー
HH ハロゲンヒータ(熱源)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤像が転写された記録シートに、その現像剤像を熱定着させる定着装置であって、
熱源により加熱される加熱ローラと、
前記加熱ローラへ向けて押圧される加圧ローラと、
前記加熱ローラの端部を回転可能に支持する軸受けと、
前記加熱ローラの端部と前記軸受けとの間に介装された断熱スリーブと、
前記加熱ローラおよび前記加圧ローラを保持する筐体とを備え、
前記断熱スリーブの前記軸受けの内周面に沿う部位は、前記加熱ローラの軸方向において、前記軸受けの両側に突出していることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記熱源に接続される電極と、
前記電極に電力を供給する電源部材とを備え、
前記電極が、前記加熱ローラの端面に対向して配置されるとともに、
前記断熱スリーブが、絶縁体で形成されるとともに、前記加熱ローラの端面を覆っていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記電源部材が、前記加熱ローラの外周面に対向して配設されるとともに、前記加熱ローラの外周面から前記断熱スリーブの厚さよりも長い距離だけ離れるように、配設されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記電源部材が、前記筐体の外側に配設されるとともに、
前記電源部材の外面が、カバーによって覆われていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定着装置。
【請求項5】
前記加熱ローラは、両端部に挟まれた中央部が前記両端部よりも大径となるとともに、
前記断熱スリーブが、前記加熱ローラの両端部と中央部との間の段差面よりも内側に延びていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項6】
記録シート上に画像を形成する画像形成装置であって、
入力された前記画像の信号に応じてレーザ光を走査する露光装置と、
前記露光装置によりレーザ光が走査されて静電潜像が形成される感光体と、
前記感光体に現像剤を供給する現像手段と、
前記現像剤で形成された現像剤像を前記記録シート上に転写する転写手段と、
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の定着装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−52182(P2008−52182A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−230450(P2006−230450)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】