説明

定着装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】加熱部材と加圧部材が加圧状態にあるか否かの検知とともに加熱部材の回転を検知する検知部が大型化することなく低コストで設けられる定着装置及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】第1検知部94は、光が通過可能な複数の第1スリット97aを周方向に配置した第1検知板97と、第1検知板97の複数の第1スリット97aを介して発光部から射出した光を受光部96aで受光し、第1スリット97aを通過するパルス光を検知することで第1駆動部90の回転を検知するセンサー96と、を有する。第2検知部95は、光が通過可能な第2スリット98aを周方向の所定位置に配置した正逆回動可能な第2検知板98を有し、加圧切り替え機構60が加圧状態または加圧解除状態にあるとき、第2検知板98の回動に伴う所定時間の受光状態の変化を受光部96aによって検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等の定着装置及びそれを備えた画像形成装置に関し、特に、定着ニップ部を加圧した状態と定着ニップ部の加圧を解除した状態とに切り替え可能な定着装置及びそれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、定着装置としては、互いに当接して回転する加熱ローラーと加圧ローラーを備えたローラー方式、また、加熱部材として無端状の加熱ベルトを使用するベルト方式等が知られている。例えば、ベルト方式の定着装置は、圧接される加熱ベルトと加圧ローラーとのニップ部で記録媒体上に担持されたトナー像を加熱及び加圧して記録媒体に定着している。
【0003】
このような定着装置において、加熱ベルトと加圧ローラーとのニップ圧を可変にするものがある。特許文献1に記載の定着装置は、加熱ベルトと加圧ローラーとの間には、バネを介して所定のニップ圧がかけられている。加熱ベルトと加圧ローラーとの加圧状態は、モーターからの駆動力を受けた加圧可変部材によって加圧解除部材を作動させることで、可変できるようになっている。また加熱ベルトと加圧ローラーとの間が加圧状態か否かは加圧解除部材に設けたフラグの上下移動によって、センサーで検知される。そして、モーターが回転駆動すると、加圧可変部材によって加圧解除部材が所定位置に移動させられ、加熱ベルトと加圧ローラーとの加圧状態が解除されるとともに、センサーが加圧解除部材のフラグを検知する。これによって、記録媒体がニップ部でジャムを起こした場合にジャム紙を定着装置より取り除き、 また画像形成状態以外は常に加圧解除をしておき、相互圧接による加熱ベルトと加圧ローラーとの変形を防止している。
【0004】
定着装置には、誘導加熱部の磁界により加熱ベルトに設けた誘導発熱層に発生した渦電流でジュール熱を生じさせ、加熱ベルトを電磁誘導発熱させるものがある。このような定着装置では、加熱ベルトは低熱容量であることから、加熱ベルトが停止した状態で加熱されると過度の加熱により加熱ベルトを破損するおそれがあるが、加熱ベルトの破損を防ぐために、加熱ベルトの回転を検知して、加熱ベルトが回転していない場合、加熱ベルトへの加熱を停止させている。
【0005】
例えば特許文献2に記載の定着装置は、加熱ベルトを介して定着ローラーに対向して配置され、加熱ベルトを電磁誘導により加熱するための誘導加熱部と、加熱ベルトの回転を検知する回転検知部とを備える。回転検知部は、定着ローラーに従動回転するローラーと一体で回転するとともに外周の一部を切り欠かれた回転検知板と、回転検知板を挟むようにして配設された発光部と受光部を備えるフォトセンサーとを有している。加熱ベルトが回転すると、回転検知板の切り欠きがフォトセンサーの受光部を通過するたびにフォトセンサーの発光部からの光が受光部により検知され、これにより加熱ベルトの回転が検知されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−26447号公報(段落[0027]〜[0028]、第3図)
【特許文献1】特開2005−70321号公報(段落[0069]〜[0071]、第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1の定着装置では、加熱ベルトと加圧ローラーとの間が加圧状態か否か検知するためのセンサーを備え、また、特許文献2の定着装置では、加熱ベルトの回転を検知するためのフォトセンサーを備える。加熱ベルト等の加熱部材と加圧ローラー等の加圧部材との加圧状態を可変にする定着装置では、加熱部材と加圧部材との間が加圧状態か否か検知するためのセンサーとともに、加熱部材の回転を検知するためのセンサーが必要であるが、例えば、特許文献1に記載のフラグの上下移動を検知するセンサーと、特許文献2に記載の回転検知板の回転を検知するフォトセンサーとを夫々別に設けるのは装置が大型化し、また製造コストが上がるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、加熱部材と加圧部材が加圧状態にあるか否かの検知とともに加熱部材の回転を検知する検知部が大型化することなく低コストで設けられる定着装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために第1の発明は、加熱部材と該加熱部材に圧接される加圧部材とにより形成されるニップ部で未定着トナー像を担持した記録媒体を挟持して、記録媒体上の未定着トナー像を溶融定着する定着装置において、前記加熱部材と加圧部材の一方の部材を回転駆動する第1モーターを有する第1駆動部と、前記ニップ部を加圧した状態と前記ニップ部の加圧を解除した状態とに切り替え可能な加圧切り替え機構と、前記加圧切り替え機構を加圧状態と加圧解除状態とに切り替えるために正方向或いは逆方向に回動する第2モーターを有する第2駆動部と、前記第1駆動部の回転の有無を検知する第1検知部と、前記第2駆動部の正方向或いは逆方向の回動を検知する第2検知部と、を備え、前記第1検知部は、前記第1モーターによって回転させられる第1回転部材に設けられ、光が通過可能な複数の第1スリットを周方向に配置した第1検知板と、光を射出する発光部と該発光部から射出された光を受光する受光部とが配置され、前記発光部から射出された光をパルス光として前記受光部によって検知することで前記第1駆動部の回転を検知するセンサーと、を有し、前記第2検知部は、前記第2モーターによって正逆回動させられる第2回転部材に設けられ、光が通過可能な第2スリットを周方向の所定位置に配置した第2検知板を有し、前記加圧切り替え機構が加圧状態または加圧解除状態にあるとき、前記第2検知板の回動に伴う所定時間の受光状態の変化を前記受光部によって検知することで前記ニップ部が加圧状態或いは加圧解除状態であることを検知することを特徴としている。
【0010】
また、第2の発明では、上記の定着装置において、前記第2回転部材は前記第1回転部材に対して同軸で互いに独立して回転可能に設けられ、前記第2検知板は前記第1検知板の近傍に配置されることを特徴としている。
【0011】
また、第3の発明では、上記の定着装置において、前記第2回転部材は、正逆方向の回転量が1回転以下であることを特徴としている。
【0012】
また、第4の発明では、上記の定着装置において、前記第1回転部材は、前記一方の部材に設けられるギアに噛合する検知ギアからなり、前記第2回転部材は、前記第2モーターの回転駆動力を前記加圧切り替え機構に伝達するギア列に含まれるギアからなることを特徴としている。
【0013】
また、第5の発明では、上記の定着装置において、前記発光部と受光部は前記第1及び第2検知板を挟むように配置され、前記受光部は前記第1スリットを通過する光を受光するとともに前記第2スリットを通過する光を受光することを特徴としている。
【0014】
また、第6の発明では、上記の定着装置において、前記加熱部材に対向して配置され、磁束を発生させて該磁束によって前記加熱部材に設けた誘導発熱層を誘導加熱する誘導加熱部をさらに備え、前記加熱部材は前記誘導加熱部によって加熱されることを特徴としている。
【0015】
また、第7の発明では、上記の構成の定着装置を備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明によれば、第1検知部は第1駆動部の回転駆動にともなうパルス光を検知することで加熱部材の回転を検知する。第2検知部は、例えば第2駆動部の正方向の所定位置への回動にともない、回動している所定時間の経過後に第2スリットの通過光を検知することで、ニップ部が加圧状態であることを検知する。一方、第2検知部は、例えば第2駆動部の逆方向の所定位置への回動にともない、回動している所定時間の経過後に第2スリットの通過光を検知することで、ニップ部の加圧が解除された状態であることを検知する。第1検知部のセンサーが第2検知部の加圧状態或いは加圧解除状態の検知に用いられることで、検知部が大型化することなく検知部を低コストで配設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る定着装置を備える画像形成装置の全体構成を概略的に示す図
【図2】実施形態に係る画像形成装置に用いられる定着装置を示す断面図
【図3】実施形態に係る定着装置を示す斜視図
【図4】実施形態に係る定着装置のニップ部の加圧状態(a)と加圧解除状態(b)とを示す側面図
【図5】実施形態に係る定着装置の第1及び第2駆動部を示す斜視図
【図6】実施形態に係る定着装置の第1及び第2検知部を示す断面図
【図7】実施形態に係る定着装置のニップ部の加圧状態における第1及び第2検知部を示す平面図
【図8】実施形態に係る定着装置のニップ部の加圧解除状態における第1及び第2検知部を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、この実施形態に限定されない。また発明の用途やここで示す用語等はこれに限定されるものではない。
【0019】
図1は、胴内排紙方式の画像形成装置の全体構成を示す図である。画像形成装置1の下部には、カセットタイプの用紙給紙部10が配設されている。用紙給紙部10は上下2段の給紙カセット10a、10bを有し、給紙カセット10a、10bには印刷前の用紙が積載して収容されている。給紙カセット10a、10bに収容された用紙は、選択された給紙カセット10a(10b)から用紙ピックアップローラー10d(10e)により1枚ずつ繰り出され、繰り出された用紙は用紙搬送路11へと送り出される。
【0020】
画像形成装置1の右側面には、手差しトレイ10cが配設されている。手差しトレイ10cは、給紙カセット10a、10bと異なるサイズの用紙を載置可能である。手差しトレイ10cに載置された用紙は用紙搬送路11へと送り出される。
【0021】
用紙搬送路11は、用紙給紙部10の左方にて装置本体2の上下方向に延設される。用紙給紙部10から送り出された用紙が、用紙搬送路11上方のレジストローラー対12に搬送される。レジストローラー対12は、用紙にトナー像を転写するタイミングと同期をとって、画像形成部3に向けて用紙を送り出す。
【0022】
画像形成装置1の上部には原稿読取装置6が配設され、原稿読取装置6の上面には、プラテン(原稿押さえ)24が開閉可能に設けられ、さらに、プラテン24上には原稿搬送装置27が付設されている。原稿のコピーを行う場合、原稿搬送装置27に載置された原稿が1枚ずつ分離されて原稿読取部に送り出され、原稿読取装置6によって原稿の画像データが読み取られる。
【0023】
画像形成装置1の略中央部には、画像形成部3が配設されている。画像形成部3は、像担持体である感光体5を備え、さらに感光体5の周辺にその回転方向(図中の矢印A方向)に沿って順に、帯電部4と、露光ユニット7と、現像部8と、転写ローラー19、及びクリーニング部18を備える。現像部8へのトナーの供給はトナーコンテナ9から行われる。クリーニング部18は、ブレードやブラシ或いは研磨ローラー等のクリーニング部材を有し、クリーニング部材によって感光体5の表面に残留するトナーを剥ぎ取り、回収する。
【0024】
感光体5の表面が帯電部4によって所定の極性および電位で一様に帯電されると、 露光ユニット7は、原稿読取装置6によって読み取られた原稿の画像データに基づいて、感光体5上に原稿画像の静電潜像を形成する。
【0025】
現像部8は、帯電したトナーを感光体5の表面に供給し、感光体5上の静電潜像を現像してトナー像を形成する。感光体5上のトナー像は転写ローラー19によって用紙上に転写される。トナー像が転写された用紙は、用紙搬送路11の上方に配設される定着装置13へと搬送される。用紙にトナー像が転写された後、感光体5の表面に残留するトナーがクリーニング部18によってクリーニングされて回収され、さらに図示しない除電装置によって感光体5の表面の残留電荷が除去される。
【0026】
定着装置13は、加熱ローラー131と加圧ローラー132とを有し、トナー像が転写された用紙を加熱ローラー131及び加圧ローラー132によって加圧加熱し、用紙上のトナー像を溶融定着させる。トナー像が定着された用紙は、用紙搬送路11において右上方に搬送され排出ローラー対20によって排出部である胴内排紙部17に排出される。
【0027】
定着装置13と排出ローラー対20との間の用紙搬送路11から分岐して反転搬送路16が設けられる。反転搬送路16は、用紙の一方の面にトナー像が定着された後、必要に応じて用紙の他方の面にもトナー像を形成するときに用いられるものであり、定着装置13の上方から定着装置13の周りを覆い、さらに用紙搬送路11と装置本体2の側面2aとの間を下方に延設され、レジストローラー対12の近傍の用紙搬送路11に合流している。
【0028】
両面印刷を行う場合には、一方の面にトナー像が定着された用紙は、胴内排紙部17に排出させる途中において、用紙搬送路11と反転搬送路16との分岐部を用紙の後端が通過したタイミングで排出ローラー対20を逆回転させる。これによって、用紙がスイッチバックされ、用紙の印刷面が表裏逆向きにされた状態で反転搬送路16に送られ、反転搬送路16から再び用紙搬送路11のレジストローラー対12に搬送される。その後、画像形成部3にて用紙の他方の面にもトナー像が転写されると、用紙は定着装置13によって定着処理され胴内排紙部17に排出される。
【0029】
図2は定着装置13周辺を示す断面図であり、図1の画像形成装値1の裏面側から見たものである。定着装置13は、加熱部材である加熱ローラー131と、加圧部材である加圧ローラー132とを備え、その他に、誘導加熱部133と温度センサー134を備え、これらの部材は定着部を構成する。
【0030】
定着装置13は、電磁誘導加熱方式の熱源を用いた定着方式であり、加熱ローラー131の外周に対向して配設される誘導加熱部133と、加熱ローラー131表面の温度を検知するサーミスタ等からなる温度センサー134とを備え、また、誘導加熱部133と温度センサー134は装置本体2に固定保持され、一方、加熱ローラー131と加圧ローラー132は装置本体2に回転可能に保持されている。
【0031】
加熱ローラー131は、円筒型ステンレスからなる基材131aと、加圧ローラー132に圧接するニップ部Nへ弾性と離型性の向上のためにシリコンゴムスポンジからなる弾性層131dとを備え、基材131aと弾性層131dとの間に、基材側から順に断熱層131bと誘導発熱層131cを備える。
【0032】
加圧ローラー132は、アルミニウム製の芯金からなる基材132aと、ニップ部Nへ弾性を付与するために基材132a上に形成されるシリコンゴムからなる弾性層132bと、ニップ部Nで未定着トナー像を溶融定着する際の離型性を向上させるために弾性層132bの表面を覆うフッ素樹脂チューブからなる離型層132cとを備える。
【0033】
加熱ローラー131はモーター等の駆動源(図略)によって回転駆動させられ、加圧ローラー132は加熱ローラー131に対してその中心方向に加圧する。これにより、加熱ローラー131が加圧ローラー132に圧接し、加熱ローラー131が回転すると、加圧ローラー132がニップ部Nにおいて同方向に従動回転する。
【0034】
温度センサー134は、加熱ローラー131表面において軸方向の中央部の通紙領域と、小さいサイズの用紙やA4タテの用紙が通紙された時に非通紙領域となる軸方向の両端部とに対向するように配置され、夫々の領域の温度を検知する。温度センサー134にて検知された温度に基づいて、誘導加熱部133の電力が制御され、加熱ローラー131表面が所定の温度に保持される。
【0035】
誘導加熱部133は、電磁誘導により加熱ローラー131を加熱するものであり、加熱ローラー131の軸方向に延びて、加熱ローラー131の外周の一部を囲うように対向して配設され、励磁コイル133aとボビン133bと磁性体コア133cとを備える。
【0036】
励磁コイル133aは、磁性体コア133cの中央部の周りを加熱ローラー131の軸方向に周回するように巻回され、ボビン133b上に取り付けられる。また励磁コイル133aは、図示しない電源に接続されていて、電源から供給される高周波電流により磁束を発生させる。誘導加熱部133から発せられる磁束は、図2の紙面に平行な方向に導かれ、加熱ローラー131の誘導発熱層131cを貫通する。誘導発熱層131cの磁束の周りには渦電流が生じ、渦電流が流れることで、誘導発熱層131c内の電気抵抗によってジュール熱が発生し、加熱ローラー131が加熱されることになる。
【0037】
加熱ローラー131が所定の温度に加熱されるように、誘導加熱部133は温度センサー134の検知する温度に基づいて制御される。加熱ローラー131が加熱され所定の温度に昇温すると、ニップ部Nで挟持された用紙Pが加熱されるとともに、加圧ローラー132にて加圧されることにより、用紙P上の粉体状態のトナーが溶融定着される。
【0038】
図3は定着装置13を示す斜視図である。定着装置13は、前述の加熱ローラー131、加圧ローラー132等からなる定着部30の他に、加圧機構50と、加圧切り替え機構60と、定着部30を回転駆動する第1駆動部90と、加圧切り替え機構60を駆動する第2駆動部70と、を備える。
【0039】
加熱ローラー131及び加圧ローラー132は軸方向の両端側で回転可能に支持される。加圧ローラー132の軸方向の両端側には加圧機構50(右側の加圧機構50は不可視)及び加圧切り替え機構60が夫々配設される。加熱ローラー131の軸方向の右側端近傍には第1駆動部90が配設され、また右側の加圧切り替え機構60の近傍には第2駆動部70が配設される。
【0040】
第1駆動部90は、第1モーター91と、加熱ローラー131の軸方向の右側端に設けられる定着ギア92とを備える。第1モーター91が回転駆動すると、定着ギア92が回転して加熱ローラー131が回転させられ、加圧ローラー132が従動回転する。加熱ローラー131の回転の有無は、後述する第1検知部94(図6参照)によって検知され、この検知結果に基づいて加熱ローラー131が回転していない場合、誘導加熱部133(図2参照)による加熱ローラー131への加熱が停止される。
【0041】
加圧機構50は、加圧ローラー132と加熱ローラー131とを圧接させ、圧接するニップ部N(図2参照)でニップ圧を発生させるものであり、第1アーム部材51と、第2アーム部材52と、弾性部材53とを備え、加圧ローラー132の軸方向両端側に一対配設される。
【0042】
加圧切り替え機構60は、加圧機構50に設けた弾性部材53の付勢力を可変にするものであり、偏芯カム62と、偏芯カム62に係合するコロ61と、回転連結軸63とを備える。偏芯カム62及びコロ61は加圧ローラー132の軸方向の両端側に一対配設される。回転連結軸63は両側の偏芯カム62と一体に設けられる。
【0043】
第2駆動部70は、正方向或いは逆方向に回転可能な第2モーター72と、第2モーター72によって回転させられるギア列81とを備え、第2モーター72の回転駆動力はギア列81を介して加圧切り替え機構60に伝達される。第2駆動部70の正逆方向の回転駆動力は、加圧切り替え機構60に設けた右側の偏芯カム62と、回転連結軸63を介して左側の偏芯カム62とに伝達される。一対の偏芯カム62の作動によって、加圧機構50に設けた両側の弾性部材53の付勢力が切り替えられることになる。このように、加圧切り替え機構60によって加圧機構50に設けた弾性部材53の付勢力が切り替えられると、ニップ部Nが加圧された加圧状態と、ニップ部Nの加圧を解除した加圧解除状態とに切り替えられる。
【0044】
図4は加圧機構50と加圧切り替え機構60とを示す側面図であり、図4(a)はニップ部Nを加圧した状態を示し、図4(b)はニップ部Nの加圧を解除した状態を示すものである。
【0045】
図4(a)に示すように、加圧機構50の第1アーム部材51は鉄等の金属板で所定の形状に形成される。第1アーム部材51の略中央部には、加圧ローラー132が回転可能に軸支されている。第1アーム部材51の下部には、装置本体に固設された支軸54に嵌装する孔が形成され、第1アーム部材51は、支軸54を中心として左右方向に揺動自在に保持される。第1アーム部材51の上部には、左方向に延びる固定軸55の一端が固設され、また、固定軸55を固設する部分から左側に延在して設けられる第1当接部51aが屈曲して形成される。第1当接部51aは平板状をなし、第1当接部51aには固定軸55の他端が固設される。固定軸55には弾性部材53が巻装され、第1当接部51aには弾性部材53の一端が当接している。
【0046】
第2アーム部材52は鉄等の金属板で所定の形状に形成される。第2アーム部材52の右側部には、平板状をなす第2当接部52aが屈曲して形成される。第2当接部52aは、第1アーム部材51の第1当接部51aに対向するとともに、固定軸55に対して左右方向に移動可能であるように、固定軸55を貫通させる孔を有する。また、第2当接部52aには弾性部材53の他端が当接している。
【0047】
弾性部材53は、ニップ部Nを加圧するためのものであり、圧縮コイルスプリングからなり、縮小した状態でその両端部を第1当接部51aと第2当接部52aに当接している。このため、第1当接部51aには左方向の付勢力が作用し、第2当接部52aには右方向の付勢力が作用し、弾性部材53によって第1当接部51aと第2当接部52aとは互いに離間する方向に付勢されることになり、加圧ローラー132が加熱ローラー131に圧接する。
【0048】
また、第2アーム部材52は、第2当接部52aから左側に延びて形成され、その左端部には円筒状のコロ61が回転可能に取り付けられる。
【0049】
コロ61には偏芯カム62が係合する。偏芯カム62は、回転連結軸63(図3も参照)とともに回転連結軸63の回転中心の周りに回動可能であり、その回動中心から外周縁までの距離が周上において異なるように形成されている。偏芯カム62の外周縁には、凹状の第1凹部62a及び第2凹部62bが形成される。第1凹部62aと第2凹部62bは回動中心から異なる周面位置に設けられ、第1凹部62aの回動中心からの距離は、第2凹部62bの回動中心からの距離に対して大きくなるように設定されている。第1凹部62a及び第2凹部62bはコロ61に係合可能であり、回転連結軸63が第2駆動部70(図3参照)によって回動させられると、図4(a)に示す第1凹部62aがコロ61に係合した状態と、図4(b)に示す第2凹部62bがコロ61に係合した状態とに切り替えられる。
【0050】
図4(a)に示す第1凹部62aがコロ61に係合している場合には、第2アーム部材52の第2当接部52aと第1アーム部材51の第1当接部51aとの間隔は、所定の距離にあり、弾性部材53は所定量だけ縮小している。図4(b)に示す第2凹部62bがコロ61に係合している場合には、図4(a)の状態に対して、第2アーム部材52は、右方向に変位し、第2当接部52aと第1当接部51aとの間隔は大きくなり、弾性部材53は伸長している。
【0051】
従って、図4(a)の状態では、加熱ローラー131と加圧ローラー132とが加圧した状態にある。一方、図4(b)の状態では、図4(a)の状態に比べると、弾性部材53による付勢力は小さくなり、これにともなって、加熱ローラー131と加圧ローラー132との加圧が解除された状態にある。尚、図4(b)の状態では、ニップ部Nの加圧が解除されるので、第1アーム部材51は支軸54を中心として右方向に僅かに回動する。
【0052】
偏芯カム62の第1及び第2凹部62a、62bは、その回動中心に対して互いに対向する位置(180°位相のずれた位置)に配置される。従って、偏芯カム62が180°正方向に回動すると、第1凹部62aがコロ61に係合して加圧状態になり(図4(a)参照)、一方、偏芯カム62が180°逆方向に回動すると、第2凹部62bがコロ61に係合して加圧解除状態になる(図4(b)参照)。
【0053】
偏芯カム62を正方向或いは逆方向に回動させるための第2駆動部70、及び第2駆動部70の正逆回動を検知する第2検知部について、図5〜図8を用いて詳しく説明する。図5は第1及び第2駆動部を示す斜視図であり、図6は第1及び第2検知部を示す断面図である。図7、図8は第1及び第2検知部を示す平面図であり、図7はニップ部を加圧した状態を示し、図8はニップ部の加圧を解除した状態を示す。尚、図5は便宜上、一部のギア76、77をギア列から取り外して示している。
【0054】
図5に示すように、第1駆動部90は、一方向に回転駆動するDCモーターからなる第1モーター91と、第1モーター91の回転駆動によって回転させられ加熱ローラー131に一体に設けられる定着ギア92とを備える。第2駆動部70は、第2モーター72と、モーターギア73と、ギア列81と、装置本体に固設される台板71と、を備える。
【0055】
第2モーター72はDCモーターからなり台板71に取り付けられる。第2モーター72が図示しないモーター駆動回路によって正逆回転させられると、ギア列81(ギア74〜80)が正逆回転し、さらに回転連結軸63を介して偏芯カム62(図4も参照)が正回方向或いは逆方向に回動する。第2モーター72の回転軸にはウオームからなるモーターギア73が取り付けられる。
【0056】
ギア列81は、モーターギア73に噛合するホイールからなる第1ギア74と、平歯車からなる第2ギア75、第3ギア76、第4ギア77と、第5ギア78と、第6ギア79、第7ギア80とを有し、第2モーター72の回転駆動力を第1〜第7ギア74〜80へと順次伝達していく。
【0057】
第1及び第2ギア74、75は一体に回転軸に設けられ、台板71に回転可能に支持される。第3ギア76は第2ギア75に噛合し第4ギア77と一体に設けられる。第3及び第4ギア76、77は回転連結軸63から延びる回転軸63aに回転可能に支持される。第5ギア78は第4ギア77に噛合し、第6ギア79と一体に設けられる。第5及び第6ギア78、79は、台板71に回転可能に軸支された軸部材65に一体に設けられる。第7ギア80は第6ギア79と噛合し回転軸63aに一体に設けられる。
【0058】
ここで、ニップ部Nの加圧が解除された状態、つまり、偏芯カム62の第2凹部62bがコロ61に係合している状態(図4(b)参照)から、第2モーター72が所定の回数だけ正方向に回転すると、第7ギア80が180°回動し、コロ61への係合が偏芯カム62の第2凹部62bから第1凹部62aに切り替わることで(図4(a)参照)、ニップ部Nが加圧状態になる。一方、ニップ部Nの加圧状態、つまり、偏芯カム62の第1凹部62aがコロ61に係合している状態(図4(a)参照)から、第2モーター72が所定の回数だけ逆方向に回転すると、第7ギア80が逆方向に180°回動し、コロ61への係合が偏芯カム62の第1凹部62aから第2凹部62bに切り替わることで(図4(b)参照)、ニップ部Nの加圧が解除状態になる。尚、加圧状態と加圧解除状態の切り替えのために、第7ギア80が180°回動する構成に替えて、ギア列81の減速比を適宜設定して第7ギア80の切り替え回動角を1回転しない範囲で180°以外の角度に設定してもよい。
【0059】
図6に示すように、第1検知部94は、第1駆動部90の回転の有無を検知するものであり、第1検知板97とセンサー96とを有する。第2検知部95は、第2駆動部70の正方向或いは逆方向の所定位置への回動を検知するものであり、第2検知板98とセンサー96とを有する。第1及び第2検知部94、95の各センサー96は一つのセンサーで構成される。この構成によって、第1及び第2検知部94、95が大型化することなく第1及び第2検知部94、95を低コストで配設することができる。
【0060】
第1検知部94の第1検知板97はその外縁に第1スリット97aを有して円板状に形成される。第1スリット97aはその全周に所定のピッチで複数形成される(図7参照)。尚、第1スリット97aは、第1検知板97の外縁を切り欠いたものであっても、また、その外縁が切り欠かれていない開口であってもよい。
【0061】
第1検知板97は、第1回転部材である検知ギア93に一体に取り付けられる。検知ギア93は、定着ギア92に噛合し、また第5及び第6ギア78、79に設けられた軸部材65に回転可能に取り付けられている。加熱ローラー131を回転させるために、第1モーター91(図5参照)が回転駆動すると、検知ギア93は定着ギア92を介して回転する。検知ギア93の回転によって、第1検知板97は所定の方向に回転する。
【0062】
センサー96は、断面視コ字状に形成され、図示しないがコ字状の一方から光を射出する発光部と、コ字状の他方に設けられ発光部から射出した光を受光する受光部96a(図7参照)とを有する。第1検知板97の第1スリット97aは、センサー96の発光部と受光部96aとの間に挟まれて配置される。
【0063】
従って定着ギア92が回転すると、検知ギア93を介して第1検知板97が軸部材65の周りを回転する。第1検知板97の回転によって、複数の第1スリット97aが受光部96aを通過する毎に、受光部96aが発光部の光を受光する。受光部96aの受光によって、センサー96は第1スリット97aによるパルス光を検知する。第1検知部94が第1スリット97aを通過するパルス光を検知すると、第1駆動部90及び加熱ローラー131が回転状態にあることが把握される。一方、第1検知部94が第1スリット97aを通過するパルス光を所定時間以上検知しない場合、第1駆動部90及び加熱ローラー131が停止状態にあることが把握され、誘導加熱部133(図2参照)による加熱ローラー131への加熱が停止される。
【0064】
第2検知部95の第2検知板98は、第2回転部材である第6ギア79に一体に取り付けられる。第6ギア79は、前述のように第5ギア78とともに軸部材65に一体に設けられるとともに、偏芯カム62(図5参照)を正逆方向に回動させる第7ギア80(図5参照)に噛合し、第7ギア80を180°正逆方向に回動させる。第6ギア79と第7ギア80とは所定の減速比に設定され、第7ギア80を180°正逆方向に回動させるために、第6ギア79は例えば320°正逆方向に回動することになる。第6ギア79の回動によって、第2検知板98は320°正逆方向に回動する。ここで、第6ギア79と検知ギア93は同軸で互いに独立して回転可能に設けられる構成であるので、第2検知板98が正逆方向に回動するときに、第1検知板97が連れて回転することがなく、また、第1検知板97が回転するときに、第2検知板98が連れて回動することがない。
【0065】
また、第2検知板98はその外縁に第2スリット98aを有して円板状に形成され、第1検知板97に近接した位置に対向して配置される。第2検知板98の第2スリット98aは、第1検知板97の第1スリット97aとともにセンサー96の発光部と受光部96aとの間に挟まれて配置される。第1検知板97と第2検知板98を近接配置することで、第1検知部94と第2検知部95で共用するセンサー96が小型になる。
【0066】
図7に示すように、第2スリット98aは、第2検知板98の周方向の所定の位置に一つ形成される。ニップ部Nの加圧状態と加圧解除状態とを検知するために、第2スリット98aは周方向に所定の幅を有する。具体的には、加圧状態或いは加圧解除状態にあるときには、センサー96の受光部96aは第2スリット98aを介して発光部の光を受光するが、加圧状態或いは加圧解除状態に切り替えにともなって第2検知板98が回動しているときには、第2検知板98がセンサー96の発光部から受光部96aに到達する光を遮るように、第2スリット98aの周方向の幅が構成される。本実施形態では、第2検知板98が320°正逆方向に回動している時間だけ、センサー96の検知光が遮断される。尚、第2検知板98の回動角を例えば180°等小さく構成する場合には、加圧状態に対応する位置と、加圧解除状態に対応する位置とに第2スリット98aを周方向に二つ設けるように構成してもよい。また、第2スリット98aの周方向の幅は、第1スリット97aの周方向の幅に対して同等以上の大きさで構成されるのであれば、第6ギア79の回動角に応じて適宜設定してもよい。また、第2スリット98aは、第2検知板98の外縁を切り欠いたものであっても、また、その外縁が切り欠かれていない開口であってもよい。
【0067】
上記の構成において、図7に示す加圧状態では、センサー96の受光部96aは第2スリット98aを介して発光部から射出される光を受光している。そして、加圧解除状態に切り替えるために第2駆動部70が駆動し、これにともなって第2検知板98が矢印B方向に所定量(320°)だけ回動させられる。第2検知板98が回動している間、センサー96の発光部からの射出光が第2検知板98によって遮られ、受光部96aは発光部からの射出光を受光することがない。第2検知板98が所定量(320°)だけ回動すると、図8に示すように、第2スリット98aが受光部96aに対向する位置に到達し、受光部96aは第2スリット98aの通過光を検知する。第2検知板98が所定量(320°)回動している時間の経過後に第2検知部95が第2検知板98のスリット通過光を検知することで、加圧状態から加圧解除状態に切り替えられたことが把握され、第2モーター72は回転駆動を停止させられる。
【0068】
一方、図8に示す加圧解除状態では、センサー96の受光部96aは第2スリット98aを介して発光部から射出される光を受光している。そして、加圧状態に切り替えるために第2駆動部70が駆動し、これにともなって第2検知板98が矢印C方向に所定量(320°)だけ回動させられる。第2検知板98が回動している間、センサー96の発光部からの射出光が第2検知板98によって遮られ、受光部96aは発光部からの射出光を受光することがない。第2検知板98が所定量(320°)だけ回動すると、図7に示すように、第2スリット98aが受光部96aに対向する位置し到達し、受光部96aは第2スリット98aの通過光を検知する。第2検知板98が所定量(320°)回動している時間の経過後に第2検知部95が第2検知板98のスリット通過光を検知することで、加圧解除状態から加圧状態に切り替えられたことが把握され、第2モーター72は回転駆動を停止させられる。
【0069】
尚、加圧状態或いは加圧解除状態への切り替えにともなって第2検知板98が回動している場合、センサー96の検知光が第2検知板98によって遮られるために、加熱ローラー131が回転していても、第1検知部94が第1スリット97aを通過するパルス光を検知することができない。しかし、本実施形態では、第1検知部94がパルス光を所定時間、即ち第2検知板98が回動している時間以上検知しないときに、加熱ローラー131が停止状態にあることが把握され、誘導加熱部133(図2参照)による加熱ローラー131への加熱を停止する構成であるために、加圧状態或いは加圧解除状態への切り替え時であっても、加熱ローラー131は誘導加熱部133によって加熱される。
【0070】
上記実施形態では、ローラー方式の定着装置に適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、加熱部材として無端状の定着ベルトを使用するベルト方式や、加熱部材は固定支持された加熱体と、この加熱体に密着して摺動する耐熱性フィルムとを有し、加熱体と加圧ローラーとを耐熱性フィルムを介して圧接させる方式の定着装置に適用してもよい。また、熱源にヒーターを用いてもよく、さらに加熱部材側に加圧機構を設けるようにしてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、第1検知板97が検知ギア93に一体に取り付けられる構成を示したが、本発明はこれに限らず、第1検知板97は、定着ギア92等の加熱ローラー131を回転させる第1モーター91の回転駆動力を伝達する回転部材の何れかに取り付けるように構成してもよい。また、第2検知板98が第6ギア79に一体に取り付けられる構成を示したが、本発明はこれに限らず、第2検知板98は、第7ギア80等の、ギア列81において回転が1回転以下に設定される他のギアに取り付けるように構成してもよい。また、第2検知板98を取り付けるための検知ギアを設けて、検知ギアがギア列81のギアから正逆回動力を伝達されるように構成してもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、発光部と受光部96aが第1及び第2検知板97、98を挟むように配置され、受光部96aが第1スリット97aを通過する光を受光するとともに第2スリット98aを通過する光を受光する構成を示したが、本発明はこれに限らず、発光部と受光部96aが第1または第2検知板97、98に対して並べて配置され、発光部によって射出される光のうち第1検知板97で反射される光を受光部96aが受光し、また、受光部96aが第2検知板98で反射される光を受光するように構成してもよい。この場合にも上記実施形態と同様の効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等の定着装置及びそれを備えた画像形成装置に利用することができ、特に、定着ニップ部を加圧した状態と定着ニップ部の加圧を解除した状態とに切り替え可能な定着装置及びそれを備えた画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 画像形成装置
13 定着装置
131 加熱ローラー(加熱部材)
132 加圧ローラー(加圧部材)
133 誘導加熱部
30 定着部
50 加圧機構
60 加圧切り替え機構
65 軸部材
70 第2駆動部
71 台板
72 第2モーター
73 モーターギア
74〜80 ギア
79 第6ギア(第2回転部材)
81 ギア列
90 第1駆動部
91 第1モーター
92 定着ギア
93 検知ギア(第1回転部材)
94 第1検知部
95 第2検知部
96 センサー(第1検知部、第2検知部)
96a 受光部
97 第1検知板(第1検知部)
97a 第1スリット
98 第2検知板(第2検知部)
98a 第2スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱部材と該加熱部材に圧接される加圧部材とにより形成されるニップ部で未定着トナー像を担持した記録媒体を挟持して、記録媒体上の未定着トナー像を溶融定着する定着装置において、
前記加熱部材と加圧部材の一方の部材を回転駆動する第1モーターを有する第1駆動部と、
前記ニップ部を加圧した状態と前記ニップ部の加圧を解除した状態とに切り替え可能な加圧切り替え機構と、
前記加圧切り替え機構を加圧状態と加圧解除状態とに切り替えるために正方向或いは逆方向に回動する第2モーターを有する第2駆動部と、
前記第1駆動部の回転の有無を検知する第1検知部と、
前記第2駆動部の正方向或いは逆方向の回動を検知する第2検知部と、を備え、
前記第1検知部は、前記第1モーターによって回転させられる第1回転部材に設けられ、光が通過可能な複数の第1スリットを周方向に配置した第1検知板と、光を射出する発光部と該発光部から射出された光を受光する受光部とが配置され、前記発光部から射出された光をパルス光として前記受光部によって検知することで前記第1駆動部の回転を検知するセンサーと、を有し、
前記第2検知部は、前記第2モーターによって正逆回動させられる第2回転部材に設けられ、光が通過可能な第2スリットを周方向の所定位置に配置した第2検知板を有し、前記加圧切り替え機構が加圧状態または加圧解除状態にあるとき、前記第2検知板の回動に伴う所定時間の受光状態の変化を前記受光部によって検知することで前記ニップ部が加圧状態或いは加圧解除状態であることを検知することを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記第2回転部材は前記第1回転部材に対して同軸で互いに独立して回転可能に設けられ、前記第2検知板は前記第1検知板の近傍に配置されることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記第2回転部材は、正逆方向の回転量が1回転以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記第1回転部材は、前記一方の部材に設けられるギアに噛合する検知ギアからなり、
前記第2回転部材は、前記第2モーターの回転駆動力を前記加圧切り替え機構に伝達するギア列に含まれるギアからなることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の定着装置。
【請求項5】
前記発光部と受光部は前記第1及び第2検知板を挟むように配置され、前記受光部は、前記第1スリットを通過する光を受光するとともに前記第2スリットを通過する光を受光することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の定着装置。
【請求項6】
前記加熱部材に対向して配置され、磁束を発生させて該磁束によって前記加熱部材に設けた誘導発熱層を誘導加熱する誘導加熱部をさらに備え、前記加熱部材は前記誘導加熱部によって加熱されることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の定着装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の定着装置を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−57774(P2013−57774A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195711(P2011−195711)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】