説明

定着装置及び画像形成装置

【課題】 熱容量の小さい定着ベルトの急速立ち上げを得るために、定着ベルトをより効率的に発熱してエネルギーの節約を図る。
【解決手段】 実施形態の定着装置は、発熱層を備え回転走行する発熱部と、前記発熱部の外部の周囲にあって、励磁コイル及び前記励磁コイルの外周を覆う外部フェライトコアを備える誘導電流発生部と、前記発熱部の外周面に接する対向部と、前記励磁コイルと対向する位置にて前記発熱部の内部に、前記発熱部の形状に沿って配置される内部フェライトコアであって、前記内部フェライトコアの両翼と前記発熱部の回転中心を結ぶ第1の中心角度が、前記外部フェライトコアの両翼と前記発熱部の前記回転中心を結ぶ第2の中心角度より大きい内部フェライトコアとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、複写機、プリンタ或いは複合機等の画像形成装置に搭載され、定着ベルトを効率よく発熱する定着装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ或いは複合機等の画像形成装置に使用する定着装置として、熱容量の小さい定着ベルトの内部にフェライトコアを備え、発熱層を誘導電流発生コイル(IHコイル)で発熱する定着装置がある。
【0003】
定着ベルト内部にフェライトコアを備える定着装置では、フェライトコアの配置によっては、定着ベルトをより効率的に発熱出来ない恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−75666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このが解決しようとする課題は、熱容量の小さい定着ベルトの急速立ち上げを得るために、定着ベルトをより効率的に発熱してエネルギーの節約を図る定着装置及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するために、実施形態の定着装置は、発熱層を備え回転走行する発熱部と、前記発熱部の外部の周囲にあって、励磁コイル及び前記励磁コイルの外周を覆う外部フェライトコアを備える誘導電流発生部と、前記発熱部の外周面に接する対向部と、前記励磁コイルと対向する位置にて前記発熱部の内部に、前記発熱部の形状に沿って配置される内部フェライトコアであって、前記内部フェライトコアの両翼と前記発熱部の回転中心を結ぶ第1の中心角度が、前記外部フェライトコアの両翼と前記発熱部の前記回転中心を結ぶ第2の中心角度より大きい内部フェライトコアとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施形態の定着装置を搭載したMFPを示す概略構成図。
【図2】実施形態の定着ユニットを側面から見た概略構成図。
【図3】実施形態の定着ベルトの層構成を示す概略説明図。
【図4】実施形態の定着ユニットを長手方向から見た概略説明図。
【図5】実施形態の支持部材を示す概略斜視図。
【図6】実施形態の支持部材及び内部フェライトコアを示す概略斜視図。
【図7】実施形態の内部フェライトコアの傾きを示す概略説明図。
【図8】実施形態の外部フェライトコアと内部フェライトコアの中心角度を示す概略説明図。
【図9】実施形態のIHコイルにより定着ベルトに生じる磁路を示す概略説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下実施形態について説明する。
【0009】
図1は、実施形態の定着装置を搭載したタンデム方式の画像形成装置であるカラーのMFP(Multi Functional Peripheral)1を示す概略構成図である。MFP1は、画像形成部であるプリンタ部10、ピックアップローラ34を備える給紙部11、排紙部12、スキャナ13を備える。
【0010】
プリンタ部10は、中間転写ベルト15に沿って並列に配置される、Y(イエロ)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の4組の画像形成ステーション16Y、16M、16C、16Kを備える。各画像形成ステーション16Y、16M、16C、16Kは、感光体ドラム17Y、17M、17C、17Kをそれぞれ備える。
【0011】
各画像形成ステーション16Y、16M、16C、16Kは、矢印a方向に回転する感光体ドラム17Y、17M、17C、17Kの周囲に、各感光体ドラム17Y、17M、17C、17Kの表面を一様に帯電するチャージャ18Y、18M、18C、18K、各感光体ドラム17Y、17M、17C、17Kに形成される静電潜像にトナーを付与して顕像化する現像装置20Y、20M、20C、20K、and感光体クリーナ21Y、21M、21C、21Kを備える。プリンタ部10は、画像形成ユニットを構成するレーザ露光装置22を備える。レーザ露光装置22は、各感光体ドラム17Y、17M、17C、17Kに、各色に対応したレーザ光22Y、22M、22C、22Kを照射する。レーザ露光装置22はレーザ光を照射して、各感光体ドラム17Y、17M、17C、17Kに静電潜像を形成する。
【0012】
プリンタ部10は、中間転写ベルト15を支持するバックアップローラ27、従動ローラ28を備え、中間転写ベルト15を矢印b方向に走行する。プリンタ部10は、中間転写ベルト15を介して、各感光体ドラム17Y、17M、17C、17Kと対向する位置に、1次転写ローラ23Y、23M、23C、23Kを夫々備える。各1次転写ローラ23Y、23M、23C、23Kは、各感光体ドラム17Y、17M、17C、17Kに形成されるトナー像を中間転写ベルト15に1次転写して順次重ねる。各感光体クリーナ21Y、21M、21C、21Kは、1次転写後に各感光体ドラム17Y、17M、17C、17K上に残留するトナーを除去する。
【0013】
プリンタ部10は、中間転写ベルト15を介してバックアップローラ27と対向する位置に2次転写ローラ31を備える。2次転写ローラ31は、中間転写ベルト15に従動して矢印c方向に回転する。2次転写時、プリンタ部10は、中間転写ベルト15と2次転写ローラ31のニップに転写バイアスを形成して、ニップを通過するシートPに中間転写ベルト15上のトナー像を、一括2次転写する。
【0014】
プリンタ部10は、搬送路36に沿って、2次転写ローラ31の下流に定着装置である定着ユニット32、排紙ローラ対33を備える。
【0015】
プリント操作が開始されると、プリンタ部10は、形成した画像を、給紙部11から給紙された記録媒体であるシートPに転写し、定着後、排紙部12に排紙する。
【0016】
画像形成装置はタンデム方式に限らないし、現像装置の数も限定されない。画像形成装置は、感光体から直接記録媒体にトナー像を転写しても良い。
【0017】
定着ユニット32について詳述する。図2に示すように定着ユニット32は、回転走行する発熱部である定着ベルト60、対向部であるプレスローラ61、誘導電流発生部である誘導電流発生コイル(以下IHコイルと略称する。)70、加圧部である加圧パット74、内部フェライトコア76、温度センサ77、サーモスタット78を備える。
【0018】
定着ベルト60は、例えば図3に示すように、発熱層である導電層60aに弾性層60b、表面層60cを積層してなる。定着ベルト60の導電層60aは急速立ち上げを可能にするために、低熱容量化され、薄層化されている。定着ベルトの構造は、発熱層を備えていれば良く、発熱層表面に離型層を備えるのみであっても良い。導電層60aは、IHコイル70による磁界により誘導発熱する。
【0019】
導電層60aとして例えば鉄(Fe),ニッケル(Ni)、銅(Cu)等が用いられる。導電層60aは、例えばニッケル層の上に銅層を積層しても良い。導電層60aは、定着ベルト60の急速立ち上げを可能にするために、低熱容量化され、薄層化される。定着ベルト60は、導電層60aと表面層60cの間にシリコーンゴム等の弾性層60bを設けることにより定着ユニット32の定着性の向上を得る。表面層60cは、例えば離型性の良いPFA樹脂等のフッ素樹脂を用いる。図4に示すように、定着ベルト60の端部に嵌まるフランジ62は定着ベルト60を支持する。定着ベルト60の端部はフランジ62によりほぼ円形に保つ。定着ベルト60の長手方向(回転軸と平行な方向)の中間領域は、フリーであり無張力状態である。
【0020】
プレスローラ61は、例えば芯金61aの外側に、耐熱性のゴム層61bを備え、表面に例えばPFA樹脂等のフッ素系樹脂からなる離型層61cを備える。プレスローラ61は、プレスローラ61を定着ベルト60側に加圧するバネ63を備える。例えば駆動源64は、ギア群64aを介してプレスローラ61を駆動する。定着ベルト60はプレスローラ61に従動し、あるいはプレスローラ61と独立して、フランジ62と一体に回転する。定着ベルト60とプレスローラ61を独立して回転する場合は、定着ベルト60とプレスローラ61の速度差を生じないように、例えばワンウェイクラッチを介在させても良い。
【0021】
加圧パット74は、定着ベルト60を挟んでプレスローラ61と対向する位置にある。加圧パット74は定着ベルト60の内周面をプレスローラ61側に押圧する。加圧パット74で定着ベルト60をプレスローラ61側に押圧して、定着ベルト60とプレスローラ61の間にニップ75を形成する。
【0022】
加圧パット74は、例えば耐熱性のポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、フェノール樹脂(PF)等で形成する。定着ベルト60の長手方向における加圧パット74の長さは、定着ユニット32の通紙領域よりも少し広い。定着ベルト60と加圧パット74の間に、例えば摺動性が良く、耐摩耗性の良い低摩擦シート等を介在させても良い。加圧パット74の、プレスローラ61と対向する側の断面形状は、プレスローラ61の断面形状と同じである。
【0023】
定着ベルト60の長手方向に延在するステイ80は、加圧パット74を支持し、加圧パット74を定着ベルト60内部に固定する。ステイ80の両端は、フランジ62を貫通する。フランジ62は、ベアリング81を介して、ステイ80を支持する。
【0024】
IHコイル70は、励磁コイルであるコイル71とコイルの外周を覆って、コイル71の磁場を強化する円弧状の外部フェライトコア72を備える。IHコイル70は、コイル71に高周波電流を印加して、磁束を発生することにより、定着ベルト60の導電層60aに渦電流を発生させて導電層60aを発熱させ、定着ベルト60を加熱する。フェライトコアは、一般に高周波での損失が金属系と比べて小さいという特長を持つ。外部フェライトコア72として、例えば主成分Fe2O3 と一酸化マンガン(MnO)及び酸化亜鉛(ZnO)とを混合し混合物を焼結して得たMn-Zn 系フェライトあるいは、主成分Fe2O3 と酸化ニッケル(NiO)及び酸化亜鉛(ZnO)とを混合し焼結して得たNi-Zn 系フェライトを用いる。
【0025】
定着ベルト60内部のIHコイル70に対向する位置には、定着ベルト60の内周面に沿った円弧状に形成される内部フェライトコア76を備える。外部フェライトコア72と内部フェライトコア76は、例えばTDK製のMn-Zn系フェライトコアであるPE22を用いる。PE22は、200℃未満のキュリー温度を有する。外部フェライトコア72と内部フェライトコア76は、キュリー温度を境に作用が変わる。外部フェライトコア72と内部フェライトコア76は、キュリー温度に達していなければ、IHコイル70からの磁束を誘導して発熱して、定着ベルト60の急速ウォームアップを加速する。外部フェライトコア72と内部フェライトコア76は、キュリー温度に達することで、IHコイル70からの磁束を減少させて、定着ベルト60が異常発熱するのを防止する。可逆性を有する外部フェライトコア72と内部フェライトコア76は、温度が下がれば強磁性体に復帰する。
【0026】
内部フェライトコア76は、定着ベルト60の長手方向にて、複数個に分散している。複数個の内部フェライトコア76は、アルミ部材からなる支持部材82にそれぞれ固定される。支持部材82は、内部フェライトコア76の内径より径が小さい、円弧形状を備える。図5に示すように、支持部材82は、定着ベルト60の長手方向に連続して、それぞれが、内部フェライトコア76を位置決めする支持孔である複数の矩形の貫通孔82aを備える。内部フェライトコア76は貫通孔82aに嵌まる矩形の突起84を備える。図6、図7に示すように、内部フェライトコア76は、定着ベルト60の長手方向に対して、傾いて配置される。
【0027】
内部フェライトコア76を、定着ベルト60の長手方向に対して傾けて配置することにより、内部フェライトコア76の数量の削減を図り、隣接する内部フェライトコア76の間に隙間が生じるのを解消する。複数の内部フェライトコア76間の隙間を解消することにより、隙間を原因とする、定着ベルト60の発熱ムラを防止する。
【0028】
支持部材82の貫通孔82aに内部フェライトコア76の突起84を嵌めた場合に、内部フェライトコア76と支持部材82との間に生じる隙間に例えば固定材であるシリコン接着剤83を注入して、内部フェライトコア76を支持部材82に固定する。内部フェライトコア76の製造時に寸法ばらつきを生じたとしても、内部フェライトコア76を支持部材82に確実に固定でき、内部フェライトコア76の組立性を向上し、製造コストの低減を図れる。更にシリコン接着剤83の弾性により内部フェライトコア76の振動による異常音の発生を防止する。ステイ80は、支持部材82を固定支持する。
【0029】
図8に示すように、定着ユニット32の円弧状の内部フェライトコア76の第1の中心角度を例えばαとする。中心角度αは、定着ベルト60の回転中心Rと、内部フェライトコア76の両翼である、定着ベルト60の矢印y方向の回転方向における上流側の端部76aと下流側の端部76bとを結ぶ角度である。定着ユニット32の円弧状の外部フェライトコア72の第2の中心角度を例えばβとする。中心角度βは、定着ベルト60の回転中心Rと、外部フェライトコア72の両翼である、定着ベルト60の矢印y方向の回転方向における上流側の端部72aと下流側の端部72bとを結ぶ角度である。
【0030】
定着ユニット32は、内部フェライトコア76の中心角度αを、外部フェライトコア72の中心角度βより大きくする。又中心角度αは、中心角度βの両翼にΔt加算した角度である。定着ベルト60を透過後のIHコイル70の磁束が内部フェライトコア76の周囲に漏れるのを極力防止して、IHコイル70の磁束を効率的に利用する。IHコイル70の磁束を効率的に利用して、内部フェライトコア76の発熱効率を高める。
【0031】
温度センサ77は、定着ベルト60の温度を検知する。IHコイル70は、温度センサ77の検知結果に応じて、高周波電流の印加をフィードバック制御される。IHコイル70のフィードバック制御により定着ベルト60は、たとえば定着温度を保持する。サーモスタット78は、定着ベルト60の異常発熱を検知して、IHコイル70への電力供給を遮断する。
【0032】
電源ONによりウォームアップ操作を開始すると、定着ユニット32のプレスローラ61は、バネ63によりウォームアップ時の圧力で加圧パット74に加圧する。プレスローラ61は、ギア群64aを介して、駆動源64により矢印x方向に回転する。定着ベルト60は、プレスローラ61に従動して矢印y方向に回転する。
【0033】
IHコイル70は、高周波電流の印加により磁束を発生して、定着ベルト60の導電層60aに渦電流を発生させる。渦電流と導電層60aの抵抗値によりジュール熱を発生して、定着ベルト60は発熱する。IHコイル70が発生する磁束は、図9に示すように導電層60aに誘導されて第1の磁路86を形成する。
【0034】
定着ベルト60の導電層60aが、低熱容量化のため薄層化されることから、IHコイル70が発生する磁束の一部は、導電層60aを透過して、内部フェライトコア76に誘導されて第2の磁路87を形成する。内部フェライトコア76は、第2の磁路87を形成する磁束と内部フェライトコア76の抵抗値によりジュール熱を発生して発熱する。
【0035】
内部フェライトコア76の中心角度αが外部フェライトコア72の中心角度βより大きく、且つ中心角度αが、中心角度βの両翼にΔt加算した角度であり、内部フェライトコア76が定着ベルト60を覆う領域が広い。内部フェライトコア76の中心角度αを外部フェライトコア72の中心角度βより大きくすることにより、導電層60aを透過した磁束が、内部フェライトコア76の周囲に漏れるのを防止する。中心角度αを、中心角度βより大きくして、導電層60aを透過後に内部フェライトコア76に誘導される磁束を増大する。導電層60aを透過した磁束を効率的に活用して内部フェライトコア76の発熱量を高める。定着ベルト60は、導電層60aの発熱と、内部フェライトコア76からの熱伝導により急速なウォームアップを得る。
【0036】
定着ベルト60が定着可能温度に達すると、定着ユニット32はウォームアップを完了し、レディモードになる。レディモードの場合、定着ユニット32は、必要に応じて駆動源64によりプレスローラ61及び定着ベルト60を回転し、IHコイル70を励磁して、定着ベルト60をレディ温度に保持する。温度センサ77の検知結果をフィードバックして、定着ベルト60がレディ温度を保持するよう、IHコイル70の励磁を制御する。レディモードの場合、プレスローラ61は、バネ63を調整して加圧パット74に対するプレスローラ61の加圧力をレディモードの場合の圧力に減圧する。プレスローラ61の加圧力を減圧して、定着ベルト60あるいは加圧パット74が歪むのを防止する。
【0037】
MFP1がプリント操作を開始すると、定着ユニット32は、プリンタ部10で形成されたトナー画像をシートPに定着する。定着ユニット32は、バネ63を調整して、プレスローラ61を、加圧パット74に対して高い圧力で加圧して回転する。定着ベルト60は従動回転して、IHコイル70の励磁による導電層60aの発熱と、内部フェライトコア76の発熱により、定着ベルト60を定着温度に保持する。温度センサ77の検知結果により、IHコイル70の励磁をフィードバック制御して、定着ベルト60を定着温度に保持する。プリント操作を完了すると、定着ユニット32は、例えばウェイトモードで次のプリント操作を待機する。
【0038】
プリント操作中に内部フェライトコア76がキュリー温度に達すると、内部フェライトコア76は、磁束の透過を急速に減少して発熱を停止する。内部フェライトコア76の発熱を停止して、定着ベルト60の異常発熱を防止して定着ユニット32の安全性を得る。
【0039】
例えば定着ベルト60或いは内部フェライトコア76が温度上昇して、定着ユニット32が異常発熱する場合がある。定着ユニット32が異常発熱すると、サーモスタット78が切れて、IHコイル70への電力供給を遮断し、定着ユニット32の異常発熱を停止する。定着ユニット32の安全性を得る。
【0040】
実施形態によれば、IHコイル70と対向する位置であって、定着ベルト60内部に内部フェライトコア76を設ける。内部フェライトコア76の中心角度αを、外部フェライトコア72の中心角度βより大きくすることで、IHコイル70で発生し、導電層60aを透過した磁束を、より多く内部フェライトコア76に誘導する。低熱容量化のために、薄層化される導電層60aを透過した磁束を、内部フェライトコア76の発熱に有効に利用して、定着ベルト60の加熱効率を高める。定着ベルト60のウォームアップタイムを短縮し、且つ定着ユニット32の消費エネルギーの節約を得る。
【0041】
この発明は上記実施形態に限られるものではなく種々変更が可能である。例えば発熱部は定着ベルトを用いて説明をしたが、これに限定されることなく、定着ローラを有する構造を発熱部としてもよい。また、対向部はプレスローラを用いて説明をしたが、これに限定されることなく、加圧ベルトを有する構造を対向部としてもよい。
【0042】
この発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
32…定着ユニット
60…定着ベルト
61…プレスローラ
70…IHコイル
72…外部フェライトコア
76…内部フェライトコア
82…支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱層を備え回転走行する発熱部と、
前記発熱部の外部の周囲にあって、励磁コイル及び前記励磁コイルの外周を覆う外部フェライトコアを備える誘導電流発生部と、
前記発熱部の外周面に接する対向部と、
前記励磁コイルと対向する位置にて前記発熱部の内部に、前記発熱部の形状に沿って配置される内部フェライトコアであって、前記内部フェライトコアの両翼と前記発熱部の回転中心を結ぶ第1の中心角度が、前記外部フェライトコアの両翼と前記発熱部の前記回転中心を結ぶ第2の中心角度より大きい内部フェライトコアとを具備する定着装置。
【請求項2】
前記発熱部は、中間領域が周方向に無張力状態の定着ベルトであり、
前記定着ベルトの内部の前記対向部と対向する位置に、前記定着ベルトを前記対向部側に押す加圧部を更に備えることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
【請求項3】
前記内部フェライトコアは、前記発熱部の長手方向に複数個分散配置してなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の定着装置。
【請求項4】
前記複数個の内部フェライトコアは、前記発熱部の長手方向に対して傾斜して配置されることを特徴とする請求項3記載の定着装置。
【請求項5】
前記定着ベルトの内部に前記内部フェライトコアを支持する支持部材を更に備えることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の定着装置。
【請求項6】
前記支持部材は、前記内部フェライトコアを支持孔で支持し、更に前記内部フェライトコアと前記支持部材とを固定材で固定することを特徴とする請求項5記載の定着装置。
【請求項7】
記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記画像を前記記録媒体に定着する請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の定着装置とを備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−226349(P2012−226349A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−86312(P2012−86312)
【出願日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】