説明

定着装置及び画像形成装置

【課題】本発明は、記録媒体の画像に定着ローラから記録媒体を分離するための爪部やその後の搬送をガイドするガイド部のコスレ跡又は光沢スジなどの画像不良が発生するのを防止し、水滴跡の発生も防止する。
【解決手段】本発明の定着装置は、定着ニップNを形成する定着ローラ21及び加圧ローラ22と、両回転体の少なくとも一方を加熱する加熱源24と、定着ニップNを通過する記録媒体を定着回転体から分離させる爪部23aを有する複数の分離部材23と、複数の分離部材23の各々に回転可能に保持されて爪部23aで分離された記録媒体を排出方向に案内する爪部コロ40と、爪部コロ40を通過した記録媒体を排出方向に案内する定着出口ガイド41と、定着出口ガイド41に回転可能に保持されて記録媒体を排出方向に案内するガイドコロ43とを有し、爪部コロ40の少なくとも一つの外周面に植毛部材51、53を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置において、記録媒体上に担持されたトナー画像を定着させる定着装置として、加熱加圧方式の定着装置が多く採用されている。この種の定着装置は、一般的に、ハロゲンヒータ等の加熱源によって加熱される定着回転体と、これに接触して定着ニップを形成する加圧回転体とを備える。画像の定着処理を行う場合、定着ニップに記録媒体を通すことで記録媒体を加熱及び加圧し、この記録媒体に担持されたトナー画像を加熱溶融させて記録媒体に定着させる。このとき溶融したトナー自体の粘着力を媒介として記録媒体が定着回転体の表面に貼り付くことがあり、そうすると記録媒体が定着ニップから良好に排出されなくなる不具合が生じることがある。
【0003】
前記不具合を解決するため種々の手段が提案されており、例えば特許文献1(特開平7−140831号公報)では、記録媒体を定着回転体から剥離(分離)させるために、ブレード形状ないし楔形状の分離爪等を先端に有する分離部材を定着ニップの出口側に設けることが提案されている。この分離部材の爪部等を定着回転体に対してカウンタ方向に接触させることで、定着ニップの出口側で定着回転体から記録媒体を分離する。
【0004】
特許文献1の分離爪は、定着ローラから分離した記録媒体を搬送経路の下流側へ案内する機能も有しているが、この案内機能があるために、かえって記録媒体に形成された画像に分離爪による引っかき傷が付きやすいという問題がある。
【0005】
そこで、特許文献2(特開2004−061854)では、分離爪先端から比較的近い位置にガイド部材を別途配置し、分離爪によって定着ローラから分離された記録媒体を、当該分離爪からガイド部材へ受け渡して搬送経路下流側へ案内するようにしている。これにより、記録媒体に形成された画像に分離爪による引っかき傷が発生するのを防止することができる。
【0006】
しかし、定着ニップ通過直後の記録媒体はまだ高温のため画像のトナーが柔らかい。このため、特許文献2の装置で記録媒体が分離爪先端からガイド部材に受け渡されて移動する途中に柔らかいトナーが分離爪やガイド部材と接触し、この接触によって記録媒体に形成された画像にコスレ跡又は光沢スジが発生するという問題がある。
【0007】
前記特許文献2(特開2004−061854)には、記録媒体の画像が分離爪と接触することによってコスレ跡又は光沢スジが発生しないように、分離爪保護部材に回転自在のコロを設けている。分離爪保護部材はジャム時における分離爪や定着ローラの破損防止のために分離爪の両側に設けられ、前記コロは分離爪保護部材よりも搬送経路側に突き出して設けられている。このような回転自在のコロは記録媒体上のコスレ跡又は光沢スジの発生防止に一定の効果がある。しかしながら、コシの強い記録媒体を使用した場合、記録媒体をコロで案内する途中に記録媒体上の画像が前記コロに強く押し付けられながら排出される結果となるため、コロとの接触によるコスレ跡が発生する現象が見受けられる。
【0008】
また、前述した引っかき傷の問題とは別に、記録媒体が定着ニップで加熱・加圧されることにより記録媒体に含まれた水分が蒸発し、この蒸発した水分が搬送路の通紙面側に付着し溜まることにより水滴となり、この水滴が画像に付着することで水滴跡が付くという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献3(特開2003−043836)は、このような水滴の付着防止を目的として、定着手段の用紙案内手段である入口ガイドを、吸湿特性を有する材料で構成することを開示している。しかし、吸湿特性を有する入口ガイドによって定着入口での水滴付着を防止して記録媒体に対する水滴付着を防止することができても、定着出口に対する水滴付着は考慮されていないので、水滴跡の画像不良が発生するという問題を根本的には解消できていない。
【0010】
本発明は、記録媒体が分離爪やガイド部材に案内され接触しながら排出される過程で、その画像に分離爪やガイド部のコスレ跡又は光沢スジなどの画像不良が発生するのを防止し、なおかつ水滴跡の発生も防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明の定着装置は、回転可能に構成される定着回転体と、前記定着回転体に当接することで当該当接部分に記録媒体を通すための定着ニップを形成するように回転可能に構成される加圧回転体と、前記定着回転体又は加圧回転体の少なくとも一方を加熱する熱源と、前記定着回転体の軸方向に複数設けられ、該定着回転体に対して接触及び離間自在であって、前記定着回転体に対する接触状態で、前記定着ニップを通過する前記記録媒体を前記定着回転体から分離させる爪部を有する分離部材と、前記複数の分離部材の各々に回転可能に保持されて前記爪部で分離された前記記録媒体を排出方向に案内する第1回転部材と、前記第1回転部材を通過した前記記録媒体を排出方向に案内する定着出口ガイドと、前記定着出口ガイドに回転可能に保持されて前記記録媒体を排出方向に案内する第2回転部材とを備え、前記第1回転部材の少なくとも一つの外周面に植毛部材を設けたことを特徴とする。
【0012】
これにより、記録媒体が定着ニップ通過後、分離部材の爪部→第1回転部材→第2回転部材の順で受け渡されることにより、記録媒体の接触圧を爪部、第1回転部材、第2回転部材に分散することができる。しかも第1回転部材に植毛部材を設けているので、記録媒体上の定着直後のトナー画像のトナーが熱で柔らかい状態であっても、植毛部材が記録媒体との接触による衝撃を緩和吸収することで前記トナー画像にコスレ跡又は光沢スジが発生するのを防止することができる。さらに、記録媒体が第2回転部材に到達する時はトナー画像が冷却して固まっているので、記録媒体と第2回転部材との接触によるコスレ跡又は光沢スジの発生という画像不良を防止することができるという効果が得られる。また、第1回転部材に加えて第2回転部材にも植毛部材を設けることにより、前記コスレ跡又は光沢スジの発生をさらに確実に防止することができるという効果が得られる。
【0013】
また、植毛部材は吸湿性があるので、記録媒体に含まれる水分が定着ニップで加熱・加圧されることにより蒸発した水分が植毛部材で吸収される。このため、従来のように記録媒体から蒸発した水分が搬送路の通紙面側に付着し溜まることにより水滴となり、この水滴が画像に付着することで水滴跡として記録媒体に付くのを防止することができるという効果が得られる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、第1回転部材の植毛部材が記録媒体との接触による衝撃を緩和吸収することでトナー画像にコスレ跡又は光沢スジが発生するのを防止することができる。また、第1回転部材に加えて第2回転部材にも植毛部材を設けることにより、前記コスレ跡又は光沢スジの発生をさらに確実に防止することができる。また、記録媒体から蒸発した水分を植毛部材で吸収することができるので、記録媒体の搬送路に水滴が付着するのを防止することができ、記録媒体に水滴跡が付くのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係るカラー画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係る定着装置の斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る定着装置の正面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る定着装置に使用するガイドコロの斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係る定着装置の要部側面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る定着装置の要部拡大側面図である。
【図7】爪部コロと植毛部材の斜視図である。
【図8】ガイドコロと植毛部材の斜視図である。
【図9】静電植毛をしたコロの断面図である。
【図10】本発明の実施形態に係る定着装置の非通紙時の概略構成図である。
【図11】本発明の実施形態に係る定着装置の通紙時の概略構成図である。
【図12】本発明の実施形態に係る定着装置の用紙案内状態を示す側面図である。
【図13】比較例に係る定着装置の用紙案内状態を示す側面図である。
【図14】本発明の実施形態に係る定着装置の試験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0017】
(画像形成装置)
まず、図1に基づいて、本発明を適用する画像形成装置の全体構成について説明する。
図1は、本発明に係るカラー画像形成装置の概略構成図である。図1に示す画像形成装置本体100には、画像形成ユニットとしての4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkが着脱可能に装着されている。各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成となっている。
【0018】
具体的には、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、像担持体(潜像担持体)としてのドラム状の感光体2と、感光体2の表面を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ3と、感光体2の表面にトナー(現像剤)を供給する現像手段としての現像装置4と、感光体2の表面をクリーニングするクリーニング手段としてのクリーニングブレード5を備えている。なお、図1では、イエローのプロセスユニット1Yの感光体2、帯電ローラ3、現像装置4、クリーニングブレード5のみに符号を付しており、その他のプロセスユニット1C,1M,1Bkにおいては符号を省略している。
【0019】
各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの上方には、感光体2の表面を露光する露光手段(静電潜像形成手段)としての露光装置6が設けられている。露光装置6は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を有し、画像データに基づいて各感光体2の表面へレーザ光を照射するようになっている。
【0020】
各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの下方には、転写装置7が設けられている。転写装置7は、転写体としての無端状のベルトから構成される中間転写ベルト8を有する。中間転写ベルト8は、支持部材としての駆動ローラ9と従動ローラ10に張架されており、駆動ローラ9が図の反時計回りに回転することによって、中間転写ベルト8は図の矢印に示す方向に周回走行(回転)するように構成されている。
【0021】
4つの感光体2に対向した位置に、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ11が設けられている。各一次転写ローラ11はそれぞれの位置で中間転写ベルト8の内周面を押圧しており、中間転写ベルト8の押圧された部分と各感光体2とが接触する箇所に一次転写ニップが形成されている。各一次転写ローラ11は、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が一次転写ローラ11に印加されるようになっている。
【0022】
また、駆動ローラ9に対向した位置に、二次転写手段としての二次転写ローラ12が設けられている。この二次転写ローラ12は中間転写ベルト8の外周面を押圧しており、二次転写ローラ12と中間転写ベルト8とが接触する箇所に二次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ12は、一次転写ローラ11と同様に、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が二次転写ローラ12に印加されるようになっている。
【0023】
中間転写ベルト8の図の右端側の外周面には、中間転写ベルト8の表面をクリーニングするベルトクリーニング装置13が設けられている。このベルトクリーニング装置13から伸びた図示しない廃トナー移送ホースは、転写装置7の下方に配設された廃トナー収容器14の入り口部に接続されている。
【0024】
画像形成装置本体100の下部には、記録媒体としての紙やOHP等のシートP(以下、「用紙P」と呼称する)を収容した給紙カセット15が設けられている。給紙カセット15には、収容されている用紙Pを送り出す給紙ローラ16が設けてある。一方、画像形成装置本体100の上部には、用紙Pを外部へ排出するための一対の排紙ローラ17と、排出された用紙Pをストックするための排紙トレイ18が設けられている。
【0025】
また、画像形成装置本体100内には、用紙Pを給紙カセット15から二次転写ニップを通って排紙トレイ18へ搬送するための搬送路Rが設けられている。搬送路Rにおいて、二次転写ローラ12の位置よりも用紙搬送方向上流側に一対のレジストローラ19が設けられている。また、二次転写ローラ12の位置よりも用紙搬送方向下流側に定着装置20が設けられている。
【0026】
定着装置20は、加熱源によって加熱される定着部材としての定着ローラ21と、その定着ローラ21に当接して定着ニップNを形成する対向部材としての加圧ローラ22と、定着ローラ21から用紙Pを分離させる分離部材23等を有する。本実施形態では、定着ローラ21と加圧ローラ22が図示しない加圧手段によって互いに圧接されることにより、圧接箇所において定着ニップNが形成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、定着部材と対向部材の少なくとも一方を無端状ベルトとし、そのベルトをローラ又はパッド等によって相手側に圧接させる構成としてもよい。また、定着部材と対向部材は、互いに圧接する場合に限らず、加圧を行わす単に接触させるだけの構成とすることも可能である。なお、前記加熱源としてはハロゲンランプや抵抗加熱ヒータなどを使用することができる。この加熱源は通常定着ローラ21に内蔵するが、加圧ローラ22に内蔵することも可能である。また、加熱源を定着ローラ21と加圧ローラ22の両方に内蔵することも可能である。
【0027】
以下、図1を参照して前記画像形成装置の基本的動作について説明する。
作像動作が開始されると、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの感光体2が図示しない駆動装置によって図の時計回りに回転駆動され、各感光体2の表面が帯電ローラ3によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された各感光体2の表面には、露光装置6からレーザ光がそれぞれ照射されて、それぞれの感光体2の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体2に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように感光体2上に形成された静電潜像に、各現像装置4によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像(現像剤像)として可視像化される。
【0028】
駆動ローラ9が図の反時計回りに回転駆動されることにより、中間転写ベルト8が図の矢印で示す方向に走行駆動される。また、各一次転写ローラ11に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加される。これにより、各一次転写ローラ11と各感光体2との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。そして、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの感光体2に形成された各色のトナー画像が、前記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト8上に順次重ね合わせて転写される。かくして中間転写ベルト8はその表面にフルカラーのトナー画像を担持する。また、中間転写ベルト8に転写しきれなかった各感光体2上のトナーは、クリーニングブレード5によって除去される。そして、図示しない除電手段によって、感光体2の表面が除電され、その表面電位が初期化されて次の画像形成に備えられる。
【0029】
また、作像動作が開始されると、給紙ローラ16が回転して、給紙カセット15から用紙Pが送り出される。送り出された用紙Pは、レジストローラ19によってタイミングを計られて、二次転写ローラ12と中間転写ベルト8との間の二次転写ニップに送られる。このとき二次転写ローラ12には、中間転写ベルト8上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、これにより、二次転写ニップに転写電界が形成されている。そして、二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト8上のトナー画像が用紙P上に一括して転写される。その後、用紙Pは定着装置20へ搬送され、定着ローラ21と加圧ローラ22によって用紙Pが加熱及び加圧されてトナー画像が定着される。トナー画像が定着された用紙Pは、分離部材23によって定着ローラ21から分離され、排紙ローラ17によって排紙トレイ18へ排出される。また、転写後の中間転写ベルト8上に残留するトナーは、ベルトクリーニング装置13によって除去され、除去されたトナーは、廃トナー収容器14へ搬送され回収される。
【0030】
以上の説明は、用紙P上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つのプロセスユニットを使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
【0031】
(定着出口ガイド)
前記定着装置の定着ローラ21の上方には、図2及び図3に示すように定着出口ガイド41が設けられている。この定着出口ガイド41は、定着ローラ21からの放射熱に耐えられる十分な耐熱性があって軽量であり、しかも複雑形状を成形可能な例えばガラス繊維入りPETで形成することができる。定着出口ガイド41の前面は用紙Pを案内するためのほぼ垂直なガイド面41aを構成し、このガイド面41aに用紙Pを案内する傾斜した複数のリブ41bが形成されている。このようにリブ41bを傾斜させることにより、用紙Pとの接触をスムーズにし接触時間を短縮することができる。定着出口ガイド41のガイド面41aの下端部41c(後述の爪部コロ40の両側に位置する下端部41c)は、定着ローラ21と接触して定着ローラ21を破損させないように、また用紙Pのジャムを発生させないように、定着ローラ21との間に所定の隙間を明けている。
【0032】
定着出口ガイド41には、そのガイド面41aから突き出すように複数箇所(図では3箇所)に図8の植毛部材52(54)を有するガイドコロ43−1〜43−3(第2回転部材)が回転自在に設けられている。ガイドコロ43−1〜43−3の基材は、PBT等の耐熱性の良い材料で構成することができる。これらガイドコロ43は、図4のように2個1対でガイドコロ軸42の長手方向に等間隔Dで3箇所に設けられている。従ってガイドコロ43の個数は合計6個であるが、この個数は必要に応じて変更することができる。ガイドコロ軸42は定着出口ガイド41に対してワンタッチで装着可能とされている。
【0033】
定着出口ガイド41には、前記ガイドコロ43の下側の複数箇所(図では4箇所)に図7の植毛部材51(53)を有する爪部コロ40−1〜40−4(第1回転部材)が回転自在に設けられている。爪部コロ40−1〜40−4の基材も、PBT等の耐熱性の良い材料で構成することができる。これら爪部コロ40は、図5、図6で後述するように、用紙Pを定着ローラ21から分離する4つの分離部材23−1〜23−4の爪部23aを挟むようにして、左右一対で回転自在に設けられている。従って爪部コロ40の個数は合計8個であるが、この個数は必要に応じて変更することができる。
【0034】
4つの分離部材23−1〜23−4は、図3のように用紙通過領域の幅方向中央から左右に各々距離Aだけ離れた位置に内側の2つの分離部材23−2、23−3、同じく距離Bだけ離れた位置に外側の2つの分離部材23−1、23−4を設けている。従って、これら4つの分離部材23−1〜23−4は用紙通過領域の幅方向中央に関して左右対称となっている。また、4つの分離部材23−1〜23−4の相互間隔Cは略等間隔にするのがよい。
【0035】
このように4つの分離部材23−1〜23−4を左右対称配置とすることで、定着ニップN通過後の用紙Pの左右変形態様を等しくし、用紙Pの耳折れやジャムなどを防ぎ、良好な用紙搬送性を確保することができる。また、4つの分離部材23−1〜23−4の間隔を略等間隔にすることで、定着ローラ21から用紙Pを分離する時に各爪部23aに均等な力が作用するようにし、これにより特定の爪部23aだけに負荷が集中して定着ローラ21を破損するなどの不具合を防止することができる。
【0036】
3つのガイドコロ43−1〜43−3は、図3に示すように、分離部材23−1〜23−4から見て用紙搬送方向下流側に配置されている。また、3つのガイドコロ43−1〜43−3の用紙通過領域の幅方向における位置は、中央に1個と、この中央から左右方向に距離Dだけ離れた位置に各1個配置されている。本実施形態では距離D=58mmと設定している。これにより、上側の3つのガイドコロ43−1〜43−3は、下側の4つの分離部材23−1〜23−4と互い違いに配置される関係になっている。
【0037】
このようにガイドコロ43−1〜43−3と分離部材23−1〜23−4を互い違いに配置することで、省スペースでかつ分離部材23−1〜23−4の爪部23a、爪部コロ40及びガイドコロ43−1〜43−3のコスレ跡又は光沢スジの発生を防止することができる。仮に、爪部23aの用紙搬送方向下流側にガイドコロ43−1〜43−3を配置しようとすると、ガイドコロ43−1〜43−3と干渉しないように分離部材23と爪部コロ40−1〜40−4を配置する必要がある。そうすると、ガイドコロ43−1〜43−3と爪部コロ40−1〜40−4の直径が大きければ大きい程、両者を離して配置しなければならなくなり、装置を小型化するのが難しくなる。ガイドコロ43−1〜43−3と爪部コロ40−1〜40−4を互い違いに配置することで、このような不都合が解消される。
【0038】
(定着装置)
図5に示すように、定着装置20が有する定着ローラ21は、内蔵の加熱源24によって加熱されるようになっている。そして、この加熱源24によって定着ローラ21が所定の目標温度まで加熱された状態で、未定着画像を担持した用紙Pが、図の矢印の方向に回転する定着ローラ21と加圧ローラ22との間の定着ニップNに進入することにより、用紙P上のトナーが溶融され、画像が定着される。
【0039】
定着ローラ21は、熱伝導性基体の周囲に弾性層を形成し、さらに被覆層で被覆された円筒状部材である。熱伝導性基体としては、所要の機械的強度を有し、熱伝導性の良好な炭素鋼材やアルミニウム材が主として用いられる。また、弾性層は、例えばシリコーンゴムやフッ素ゴム等の合成ゴムで形成される。さらに、弾性層の外側(外周面)の被覆層は、トナーとの離型性を良好にすると共に、弾性層の耐久性を高めるためのもので、熱伝導率が高く耐熱性に富む材料で形成される。例えば、フッ素樹脂(PFA)チューブで被覆したもの、フッ素樹脂(PFA又はPTFE)塗料を塗布したもの、あるいはシリコーンゴム層やフッ素ゴム層を形成したもの等が被覆層として用いられる。
【0040】
加圧ローラ22は、芯金、その芯金の外側(外周)に形成された弾性層、及び弾性層を被覆する被覆層から成る円筒状部材である。加圧ローラ22の芯金として、例えばSTKM等が用いられ、弾性層として、シリコーンゴムやフッ素ゴム、あるいはこれらの発泡体が用いられる。加圧ローラ22の被覆層は、例えば離型性に富むPFA,PTFA等の耐熱性フッ素樹脂のチューブで形成される。
【0041】
また、定着ローラ21の周囲には、図示しない温度検知手段としてのサーミスタや、異常温度防止用のサーモスタット等が配設され、サーミスタからの検出信号により、定着ローラ21の表面温度は所定の温度域内に維持されるように制御されている。
【0042】
(分離部材)
定着ニップNよりも用紙搬送方向の下流側(図5の上側)には、分離部材23が定着ローラ21に対向して設けられている。本実施形態では、図3に示すように、分離部材23(23−1〜23−4)は定着ローラ21の軸方向に沿って4個設けられている。分離部材23の先端には、定着ローラ21の外周面と接触したり離間したりする爪部23aが形成されている。この爪部23aの先端は定着ローラ21を損傷しないように所定の丸味を付けて形成され、定着ローラ21の回転方向に対してカウンタ方向で接触可能とされている。各分離部材23は、定着ローラ21や加圧ローラ22の両端を支持する側板によって両端が支持された支軸25を中心に、互いに独立して回転可能に構成されている。そして分離部材23が支軸25を中心に図の時計回り又は反時計回りに回転することにより、各分離部材23の爪部23aが定着ローラ21に対して(互いに独立して)接触したり離間したりするようになっている。図5は分離部材23が定着ローラ21に当接している状態を示している。
【0043】
定着ニップNの出口(用紙搬送方向の下流端部)を起点とし、分離部材23の爪部23aが定着ローラ21に当接する当接位置に至るまでの距離Dは、本実施形態では5mm〜6mmに設定している。この距離Dは、定着ローラ21からの用紙Pの分離に支障がない範囲内でできるだけ長く設定するのが望ましい。このように距離Dをできるだけ長く設定することによって、用紙Pの冷却時間を稼ぐことができ、分離部材23の爪部23aで用紙Pを分離する際に用紙Pのトナー画像が受けるダメージを可及的に小さくすることができる。
【0044】
分離部材23の素材としては、主にPFAやPEK、PEEK等の離型性や摺動性の良い材料が用いられる。また、分離部材23の表面をPFAやテフロン(登録商標)などの離型性や摺動性の良い材料でコーティングしてもよい。
【0045】
(爪部コロ)
前述した爪部コロ40は、分離部材23の爪部23aに近接した位置に設けられている。爪部コロ40は、図6に示すようにその中心軸線O40を定着ローラ21の中心軸線O21と平行に設けられている。爪部コロ40の中心軸線O40の位置は、詳しくは図6に示すように、爪部23aのスクイ面(定着ローラ21と反対側の面)の延長線L3よりも、やや定着ローラ21の側(図6で左側)に寄った位置である。延長線L3は、この実施形態では上下方向(垂直方向)に延びている。また、爪部コロ40の大きさ乃至直径は、分離部材23の爪部23aのスクイ面の延長線L3に対して、定着ローラ21とは反対側の爪部コロ40の外周から前記延長線L3と平行に真下に降ろした接線L4との間隔(突き出し量K)が、2mmとなる大きさである。
【0046】
爪部コロ40の植毛部材51(53)の突き出し量Kは、突き出し量Kを大きくすると普通紙や薄紙(坪量70g/m2以下)、コシの弱い用紙でも爪部23aから容易に用紙を離すことができ、爪部23aのコスレ跡又は光沢スジを防ぐ効果がある。しかし、逆にコシの強い用紙や厚紙(坪量150g/m2以上)などは、突き出し量Kが大きくなるほど爪部コロ40に強く押し付けられつつ排出されるため、爪部コロ40によるコスレ跡又は光沢スジが発生する可能性がある。そこで、薄紙と厚紙についての通紙シミュレーションにより分離部材23と爪部コロ40のコスレ跡又は光沢スジの発生状況を確認した結果、爪部23aの突き出し量KをK=2mmに設定することとした。
【0047】
分離部材23の爪部23aのスクイ面側と、爪部コロ40の外周面とが交差する部分には、図6に示すように爪部23aと一体を成す中継部分23bが形成されている。図では中継部分23bを分かりやすくするためにハッチングで示すが、中継部分23bは爪部23aないし分離部材23と一体に形成することができる。この中継部分23bは、ほぼ断面三角形で形成され、第1辺が爪部コロ40の外周面と対面し、第2辺が爪部23aのスクイ面に続いている。そしてこの第2辺の延長線L2と爪部23aのスクイ面の延長線L3との成す角度αが、α=23°に設定されている。また中継部分23bの第1辺の延長線L1(正確には中継部分23bの第1辺の右端における爪部コロ40の外周接線)と第2辺の延長線L2との成す角度βが、β=29°に設定されている。このようなαとβの角度は用紙Pができるだけスムーズに移動するように通紙シミュレーションを繰り返して決定するとよい。α=23°とβ=29°は一実施形態としての例示であって、本発明はこのような角度に限定されるものではないことは勿論である。
【0048】
分離部材23の爪部23aに近接配置した中継部分23bは、分離部材23の爪部23aから爪部コロ40に円滑に用紙Pを受け渡すために設けている。中継部分23bがない場合、爪部23aの延長線L3と爪部コロ40の外周面とが成す角度(α+β)が大きくなり過ぎ、用紙Pの先端が爪部コロ40の外周面に対して垂直に近い角度で衝突し、ジャムを発生させてしまう。また、αとβの角度は、各々30°よりも大きくなると、用紙Pが爪部23aから中継部分23b、或いは中継部分23bから爪部コロ40へ移動する際に、用紙Pのトナー画像がこれらに接触する圧力が高まり、画像不良やジャムなどを引き起こす可能性が高まる。このため、αとβの角度は各々30°未満に設定することとした。
【0049】
(ガイドコロ)
定着出口ガイド41に設けたガイドコロ43は、図5に示すように、その中心軸線O43の位置が、爪部コロ40の中心軸線のほぼ真上であって、かつ、定着ニップNの出口端から高さT=20mmの位置となるように設けられている。ただし、この位置関係は2つのコロ40、43を側面から見た場合の位置関係である。前述したように、2つのコロ40、43は図3のように正面から見た場合互い違いに配置するのがよい。図から分かるように、ガイドコロ43は爪部23aよりも大径であり、爪部コロ40の外周面の鉛直接線L5とガイドコロ43の外周面の鉛直接線L6との間の間隔S(突き出し量)はS=2mmに設定されている。
【0050】
ガイドコロ43の突き出し量Sは、突き出し量Sが多いほど分離部材23の爪部23aと爪部コロ40によるコスレ跡又は光沢スジなど画像不良を防止することができる。しかし、突き出し量Sを多くすることにより、定着ニップNの上方にあるガイドコロ43の突き出し部に用紙Pから蒸発した水分が付着しやすくなる。すなわち、定着ニップNで用紙Pが加熱・加圧されると、用紙Pの中に元々存在していた水分が水蒸気となって定着ニップN通過後に放出され、この水蒸気が上昇することでガイドコロ43の突き出し部に水蒸気が水滴となって付着しやすい。この水滴が用紙Pに移ると、当該用紙Pが排紙され乾いた時に水滴の跡が残ってしまう。また、両面印刷の場合では、水滴付着部の用紙Pの特性が変わってしまい、2面目(裏面)で用紙Pにトナーが転写されず、画像欠損を起こすことがある。
【0051】
定着ニップN出口からガイドコロ43までの距離Tは、ガイドコロ43を定着ニップN出口に近づけて短くするほど用紙Pとの接触圧を軽減することができるから、爪部23a、爪部コロ40のコスレ跡又は光沢スジの画像不良を防止することができる。また、ガイドコロ43を定着ニップN出口に近づけるほど爪部コロ40からの用紙Pの水平離間距離が少なくなるので、その分だけガイドコロ43の突き出し量Sが少なくて済む。但し、ガイドコロ43の突き出し量Sをいかに少なくしたとしても、用紙Pから蒸発した水蒸気がガイドコロ43にまったく付着しないようにするのは困難である。前述したようにガイドコロ43は爪部コロ40と互い違いに配置されているので、突き出し量Sが少なくても定着ニップNの出口側から発生する水蒸気に晒されることに変わりはない。そこで、以下に述べる植毛部材が有効な解決手段となる。
【0052】
(植毛部材)
本発明の実施形態では、爪部コロ40とガイドコロ43の外周面に、図7、図8のように植毛部材51、52(53、54)を設けている。図7と図8は、各々便宜的に2種類の植毛部材(図7の植毛部材51、53と図8の植毛部材52、54)を示すが、これら植毛部材は長手方向両端形状(即ち切断方向)が異なるだけで、構造的には同じものである。図7の植毛部材51、53は小径の爪部コロ40用で長さが短く、図8の植毛部材51、53は大径のガイドコロ43用で長さが長い。
【0053】
植毛部材51、52(53、54)は、ナイロン、アラミド、ポリウレタン等の耐熱性の繊維材料をシート状にしたもので構成する。本実施形態では、耐熱性と耐久性に優れたナイロンで構成された植毛シート部材を帯状にしたものを用い、その下面を接着面51a〜54aにする。植毛部材51、52(53、54)の植毛の長さは0.8mm以上、植毛密度は10000本/cm2以上、繊維径は1.5d(デニール)以下とするのがよい。こうすることで、これ以外の植毛部材、すなわち植毛長さが0.8mm未満であるか、植毛密度が10000本/cm2未満であるか、或いは繊維径が1.5d(デニール)超のものと比較した場合、用紙Pとの接触をよりソフトにし、コスレ跡又は光沢スジを改善することができる。また、爪部コロ40とガイドコロ43に植毛部材51、52(53、54)を設けることにより、用紙Pからの水蒸気がコロ40、43に付着したとしても植毛に吸収され、用紙Pや画像に水滴となって水滴跡が発生することを抑制することができる。爪部コロ40とガイドコロ43の各植毛部材51〜54に吸収された水分は、定着装置全体が暖まることで蒸発し、前述した水分吸収効果を繰り返し発揮する。
【0054】
植毛部材51〜54はコロ40、43の外周面に一回転で巻き付け可能な長さを有する帯状であって、一方の植毛部材51、52の両端形状は長手方向に対して直角であるが、他方の植毛部材53、54の両端形状は長手方向に対して角度γで傾斜している。
【0055】
植毛部材51、52のように両端形状を直角にした場合、形状を単純な長方形にすることができるため、コストを抑えて部品としての植毛部材51、52のバラツキを少なくできるという利点がある。この反面、用紙Pの端面が植毛部材51、52の継目J1を直撃した場合、用紙先端にダメージが残ったり用紙折れが発生したり、用紙Pがたわんでつまることでジャムが発生する原因になるという欠点がある。さらに、繰り返し植毛部材51、52の継目J1に用紙Pが当たると少しずつ植毛部材51、52の接着力が低下し、最終的には植毛部材51、52の剥れが発生してしまう可能性もある。
【0056】
これに対して、植毛部材53、54のように両端形状を角度γで傾斜させた場合、継目J2において用紙先端と植毛部材53、54端部との接触が徐々に行われ、用紙Pのダメージを軽減することができ、直角にした継目J1の場合よりも耐久性が向上する。角度γは、具体的には用紙搬送方向に対してγ=30°〜60°の範囲に設定するのが望ましい。γが30°未満では先端が細くなって剥がれやすくなり、γが60°超では直角の継目J1と同様の問題が起きやすくなる。
【0057】
図9は、本発明の変形実施形態としての静電植毛の構成を示す。この静電植毛は、コロ40(43)の基材(PBT等)周面に予め接着剤57を塗布し、この接着剤57に植毛部材となる多数の繊維58を植毛した状態でコロ40(43)の基材を静電帯電するものである。繊維58は、例えば長さ0.8mm以上、植毛密度10000本/cm2以上、繊維径1.5d(デニール)以下のナイロン繊維を使用する。繊維58を植毛した状態でコロ40(43)の基材を静電帯電すると、静電気力によって繊維同士が反発し合うことで各繊維が基材周面に垂直に立つので、この状態を接着剤57が固化するまで保持する。静電植毛では植毛1本1本がコロ40、43の接着剤57により保持されるから、植毛シート部材の継ぎ目のように剥れる起点がなく、端部を斜めにカットした植毛部材53、54よりも耐久性が良い。
【0058】
また、コロに対する植毛部材の貼り付け作業性を考えると、植毛シート部材はそれ自体の寸法上のバラツキや貼り付け誤差があるため、コロ周面に対する貼り付け範囲を全周面とすることができず、前記バラツキや誤差を見込んである程度貼り付け範囲を縮小せざるを得ない。しかし、静電植毛ではコロ全周面をそのまま貼り付け範囲として使用することができるので、同じ寸法のコロで比較すると植毛シート部材を貼り付けたものよりも用紙Pとの接触面積を増大させることができる。これにより、用紙Pとの接触をよりソフトにし、コスレ跡又は光沢スジの発生をさらに確実に抑制することができる。
【0059】
(分離部材の移動機構の構成)
図10、図11は、本発明の実施形態に係る定着装置の分離部材23を移動させる移動機構の一例を示す概略構成図である。図10又は図11に示すように、各分離部材23の爪部23aとは反対側の基端23b側には、当接方向付勢手段26が設けられている。本実施形態では、当接方向付勢手段26として引張コイルバネを用いているが、設置スペースや製造コストなどの諸条件に応じて、その他の付勢手段を当接方向付勢手段26として用いることも可能である。この当接方向付勢手段26によって、各分離部材23は定着ローラ21に対して当接させる方向に付勢されている。
【0060】
また、各分離部材23の基端23b側には、分離部材23の定着ローラ21への当接を解除可能な当接解除部材27が設けられている。当接解除部材27は、支点28を中心に回転可能に支持されている。当接解除部材27が支点28を中心に図の時計回り又は反時計回りに回転することにより、当接解除部材27の分離部材23側の先端27aは分離部材23の基端23bに対して接近したり離間したりするようになっている。当接解除部材27は、定着ローラ21の軸方向と平行な方向に渡って延在しており、複数の分離部材23の全てに対して当接可能に構成されている。
【0061】
当接解除部材27の素材としては、軽量でかつ所要の機械的強度を有するPPSやPEK等の耐熱や耐摩耗性に優れた樹脂材量を用いることができる。本実施形態では、当接解除部材27の軸方向(長手方向)に渡る撓み防止の観点から、特に支点28となる回転軸部分をSUS材にて別体で形成しているが、装置の大きさや分離部材23への付勢力に応じて材料選定を行うことが望ましい。
【0062】
当接解除部材27に駆動連結された図示しないリンク部材には、分離部材23を定着ローラ21に対して離間させるように当接解除部材27を付勢する当接解除方向付勢手段29が設けられている。なお、図10、図11においては、模式的に当接解除部材27の基端27bに当接解除方向付勢手段29を配設している。当接解除方向付勢手段29により当接解除部材27の基端27bが引っ張られることによって、当接解除部材27の先端27aは分離部材23の基端23bに当接する方向に付勢されている。なお、設置スペースや製造コストなどの諸条件に応じて、その他の付勢手段を当接解除方向付勢手段29として用いることも可能である。前記当接方向付勢手段26と当接解除方向付勢手段29の力関係は、後者の付勢力によって分離部材23が当接解除位置に移動するように設定されている。
【0063】
また、当接解除部材27を駆動させる駆動手段としてソレノイド30が設けられている。ソレノイド30は、コイルを内蔵するソレノイド本体31と、前記コイル内で進退可能に装着されたプランジャ32を有する。進退可能なプランジャ32は、当接解除部材27に駆動連結された図示しないリンク部材に連結されている。なお、図10、図11においては、模式的に当接解除部材27の基端27bにプランジャ32を連結させている。そして、ソレノイド本体31内のコイルが励磁され、プランジャ32がソレノイド本体31内へ吸引されて後退することにより、当接解除部材27が駆動(回転)されるようになっている。
【0064】
各分離部材23の図の上側には、各分離部材23を所定の離間位置に位置決めする離間位置決め手段33が設けてある。このように、離間位置決め手段33を設けることにより、部品寸法のばらつきや部品組付けのばらつきがあっても、各分離部材23を定着ローラ21の表面に対して適切な離間量をもって保持可能となっている。
【0065】
定着ニップNよりも用紙搬送方向の上流側(図10、図11の下側)には、用紙Pを検知する用紙検知手段34が設けられている。用紙検知手段34は、支点35を中心に揺動(又は回転)可能に支持された検知部36を有する。通常、検知部36は用紙Pの搬送路Rに交差した位置に配設されており(図10参照)、搬送される用紙Pが検知部36に接触することで検知部36が揺動し(図11参照)、用紙Pを検知する仕組みとなっている。また、用紙Pの通過後、検知部36は、自重又は図示しない捩りコイルバネ等の付勢手段によって元の位置に戻り、図示しない位置決め部に当接して図10に示す所定の位置に保持されるようになっている。
【0066】
用紙Pが検知部36と接触することによって用紙Pの搬送姿勢に傾き(スキュー)が生じないように、検知部36は搬送路Rの幅方向中央近傍に配設することが好ましい。このように検知部36を配設することで、用紙Pを正しい姿勢で搬送することができ、画像の歪みや紙シワの発生などを防止して搬送信頼性を確保できる。
【0067】
また、用紙検知手段34を、前記のような用紙Pに接触することによって用紙Pを検知する接触式検知手段でなく、用紙Pに接触せずに用紙Pを検知する非接触式検知手段とすることも可能である。非接触式検知手段としては、例えば、反射型や透過型の光センサを用いることができる。非接触式検知手段を用いた場合は、用紙Pの搬送姿勢に傾き(スキュー)が生じる虞はない。
【0068】
また、定着ニップNの用紙搬送方向の上流側で用紙Pの詰まりの発生を検知する詰まり検知手段を設けている場合は、これを用紙検知手段34として兼用してもよい。この場合は、用紙Pを検知するための専用の検知手段を設ける必要がなくなるので、装置の小型化や低コスト化を図れる。
【0069】
前記ソレノイド30は、用紙検知手段34の検知信号に基づいて駆動されるように構成されている。詳しくは、ソレノイド30と用紙検知手段34とが、制御部37及び駆動回路38を介して電気的に接続されている。前記制御部37は、内部にI/Oポートを有するCPUである。搬送される用紙Pが用紙検知手段34によって検知されると、その検知信号に基づいて制御部37は駆動回路38を介してソレノイド30を駆動させるように構成されている。
【0070】
(分離部材の移動機構の動作)
以下、分離部材の移動機構の動作について説明する。
図10に示す状態で、用紙Pはまだ用紙検知手段34によって検知されていない。従って、ソレノイド30に駆動力は生じておらず、当接解除部材27はソレノイド30からの力を受けていない。一方、当接解除方向付勢手段29からの付勢力が当接解除部材27の基端27bに対して図の上方に作用しているので、当接解除部材27に図の時計回り方向の力(回転モーメントM3)が作用している。この回転モーメントM3が作用することによって、当接解除部材27の先端27aが各分離部材23の基端23bを図の下方に押圧している。
【0071】
当接解除部材27は各分離部材23の基端23bを図の下方に押圧している。これにより、各分離部材23には図の反時計回り方向の力(回転モーメントM2)が作用している。一方、当接方向付勢手段26からの付勢力が各分離部材23の基端23bに対して図の上方に作用しているので、各分離部材23に時計回り方向の力(回転モーメントM1)が作用している。このように、各分離部材23には互いに逆向きの力(回転モーメントM1と回転モーメントM2)が作用しているが、前述の2つの付勢手段26と29の力関係から、前記反時計回り方向の力(回転モーメントM2)の方が時計回方向の力(回転モーメントM1)よりも大きい。このため、各分離部材23の爪部23aは定着ローラ21から離間した状態となっている。このように分離部材23を離間させておくことで、分離部材23の当接による定着ローラ21の摩耗を抑制することができ、良好な画像形成を長期に亘って維持することが可能である。また、各分離部材23は、離間位置決め手段33に当接しており、それぞれ所定の離間位置に保持されている。
【0072】
次に、図11に示すように用紙Pが搬送されて用紙検知手段34の検知部36に接触すると、用紙検知手段34からの信号によって制御部37が駆動回路38を介してソレノイド30を駆動させる。詳しくは、ソレノイド30に所定の電流が印加されることにより、プランジャ32が吸引され当接解除方向付勢手段29に抗してソレノイド本体31内へ後退する。これにより、当接解除部材27の基端27bは図の下方に引っ張られ、当接解除部材27は図の反時計回りに回転する。その結果、当接解除部材27の先端27aが各分離部材23の基端23bから離間し、当接解除部材27による各分離部材23の押圧が解除される。
【0073】
当接解除部材27による各分離部材23の押圧が解除されると、各分離部材23には当接方向付勢手段26による前記時計回り方向の力(回転モーメントM1)のみが作用することになるため、各分離部材23は図の時計回り方向に回転して、それぞれの爪部23aが定着ローラ21に当接する。
【0074】
(爪部、爪部コロ、ガイドコロの作用)
爪部23aが定着ローラ21に当接すると、定着ニップNを通過した用紙Pがそのまま定着ローラ21に貼りついていたとしても、図12のように爪部23aによって定着ローラ21から分離される。すなわち、用紙先端が爪部23aのスクイ面に乗り上げると、そのままスクイ面に沿って爪部コロ40の外周面に向かって移動する。用紙先端が爪部コロ40に乗り上げる直前、用紙先端が爪部23aのスクイ面から当該スクイ面に対して角度を成す中継部分23bに乗り上げるが、この乗り上げる時の角度αがα=23°(<30°)であるため、スクイ面と中継部分23bに対する接触圧が過大になることがない。このため、用紙Pに熱が残っていても、柔らかいトナー像にコスレ跡又は光沢スジが発生するのを防止することができる。
【0075】
用紙先端が中継部分23bから爪部コロ40に乗り上げると、用紙先端が爪部コロ40の外周面の植毛部材にソフトに当接し、その当接の力で爪部コロ40を回転させつつ植毛部材の表面の多数の繊維の先端によって支えられた状態で上方に移動する。この際、角度β=29°(<30°)に設定されているので、中継部分23bと爪部コロ40に対する当接圧が過大になることがなく、用紙Pに熱が残っていても、柔らかいトナー像にコスレ跡又は光沢スジが発生するのを防止することができる。
【0076】
また、定着ニップNでの加熱・加圧によって用紙Pから発生した水分は、用紙Pの搬送に伴って当該搬送方向に沿って上昇し、分離部材23の表面に接触することによって冷却される。しかし、爪部コロ40の外周には植毛部材51(53)が設けられているので、この植毛部材51(53)によって水分が吸収され、用紙Pに水滴が移ることにより水滴跡が発生したり、両面印刷では水滴跡による画像欠損が発生したりするのを防止することができる。
【0077】
ここで、爪部コロ40の植毛部材51(53)の作用をより明確化するために、爪部コロ40に植毛部材がない場合(PFA被覆チューブが露出したコロ)の用紙Pの移動を図13に示す。爪部コロ40に植毛部材がないと、爪部コロ40の外周面が植毛部材51(53)よりも硬いために用紙先端が爪部コロ40の外周面と当接した時の衝撃力が大きくなる。この衝撃力によって用紙先端が図示するように屈曲すると、この先端屈曲がきっかけとなって用紙Pのジャムが発生しやすくなる。また、用紙Pのトナー像が爪部コロ40の外周面と接触することにより、コスレ跡又は光沢スジが発生しやすくなる。また、爪部コロ40の外周面に水分が付着してこの水分が用紙Pのトナー像に乗り移り、水滴跡を発生させる原因にもなる。このように、植毛部材51(53)がない場合は画像品質を低下させる様々な問題が発生しやすい。
【0078】
用紙Pの先端が爪部コロ40を通過すると、さらにその上のガイドコロ43に向かって上昇移動する。この上昇移動の間に用紙Pが自然に冷却されてそのトナー像が固まってくる。図5に示すように、ガイドコロ43の中心軸線O43の位置は定着ニップNの出口から高さTに設定してあるが、この高さTは用紙が移動する間の用紙の冷却も見込んで設定している。そして用紙Pの先端がガイドコロ43に乗り上げると、用紙先端がガイドコロ43の外周面の植毛部材に柔らかく当接し、ガイドコロ43を回転させつつ植毛部材の表面の多数の繊維の先端によって支えられた状態でさらに上方に移動する。
【0079】
この際、用紙Pの先端がガイドコロ43の外周面に当接する角度は、ガイドコロ43の外周面の突き出し量Sの大小により影響されるが、この実施形態では突き出し量Sを2mmに設定しているので、ガイドコロ43に対する用紙Pの先端の当接角度が大きくなり過ぎることがない。以上のように、ガイドコロ43の突き出し量S、用紙Pの冷却、ガイドコロ43に対する用紙の当接角度、及びガイドコロ43の植毛部材の作用により、用紙Pのトナー像にコスレ跡又は光沢スジが発生するのをさらに確実に防止することができ、水滴跡が発生するのを防止することができる。
【0080】
なお、用紙Pがガイドコロ43に到達する時には既に用紙のトナー画像が冷えて固まっていることが多い。また、植毛部材51(53)を設けた爪部コロ40を増設することでその植毛部材51(53)だけで十分な吸湿作用を期待できる場合もある。その場合、用紙Pがガイドコロ43に接触することによってトナー像のコスレ跡又は光沢スジが発生したり、用紙Pに水滴跡が残ったりすることがないので、植毛部材は爪部コロ40だけに設け、ガイドコロ43の植毛部材52(54)を一部又は全部省略することも可能である。
【0081】
用紙Pは以上のようにして分離部材23の爪部23a→中継部分23b、爪部コロ40、ガイドコロ43の順に搬送され、用紙Pの後端が定着ニップNから抜け出して爪部23aを通過すると、爪部23aが定着ローラ21から離間する。すなわち、用紙Pの後端が定着ニップNを通過すると、ソレノイド30に印加されていた電流が遮断され、これによりプランジャ32の吸引が解除される。プランジャ32の吸引が解除されると、当接解除部材27が当接解除方向付勢手段29からの力(回転モーメントM3)によって各分離部材23を押圧する。そして、その押圧力によって、各分離部材23に再び図の反時計回り方向の力(回転モーメントM2)が作用する。
【0082】
上述したように、分離部材23に作用する反時計回り方向の力(回転モーメントM2)は、当接方向付勢手段26によって各分離部材23に作用する前記時計回り方向の力(回転モーメントM1)よりも大きいので、各分離部材23は図の反時計回りに回転し、それぞれの爪部23aが定着ローラ21から離間する。以降、用紙Pが定着ニップNに供給される度に、前記分離部材23の接触動作と離間動作が繰り返し行われる。
【0083】
(試験結果)
次に、前述した実施形態による効果を試験した結果を図14により説明する。この試験は植毛シート、静電植毛、植毛部材なしの三種に区分してコスレ跡又は光沢スジ、水滴跡、耐久性の3つについて試験をしたもので、図14はその結果をまとめたものである。「植毛部材なし」は比較例であり、コロ基体の外周面をフッ素樹脂(PFA)チューブで被覆したものである。コスレ跡・光沢スジの項目のランクは、5段階評価で「5」が最も良く「1」が最も悪いと設定している。
【0084】
ランク5はコスレ跡・光沢スジの発生がまったく認められないものである。
ランク4は画像を正面から見ると異常はないが、画像を見る角度によってはコスレ跡・光沢スジが認められるレベルである。
ランク3は画像を正面から見てコスレ跡・光沢スジが薄っすらと見える程度である。
ランク2は画像を正面から見てもコスレ跡・光沢スジがはっきりと認められるレベルである。
ランク1はどこから見てもコスレ跡・光沢スジがはっきり見え、所々で画像が削れていたり、白いスジ状のものがあったりして明らかな異常が認められるレベルである。
【0085】
水滴跡は、○が水滴跡なし、△が印刷初期の数枚程度など限定された条件で軽微に発生するレベル、×が水滴による画像異常が多発するレベルである。
耐久性については、○は問題なし、△は○より劣っていて使用条件によっては耐久性が短くなる可能性がある場合、×は耐久性不良の場合である。
【0086】
図14から、植毛部材なしではコスレ跡・光沢スジがランク3であり、水滴跡も△であるのに対し、「植毛部材あり」ではコスレ跡・光沢スジがランク4となり、水滴跡も発生しないレベルに改善することができる。さらに植毛部材を静電植毛にすることで、耐久性をより向上させることができることが分かる。
【符号の説明】
【0087】
1Bk、1M、1C、1Y プロセスユニット
2 感光体
3 帯電ローラ
4 現像装置
20 定着装置
21 定着ローラ(定着回転体)
22 加圧ローラ(加圧回転体)
23 分離部材
23a 爪部
24 加熱源
40 爪部コロ
41 定着出口ガイド
43 ガイドコロ
51〜54 植毛部材
57 接着剤
58 繊維
【先行技術文献】
【特許文献】
【0088】
【特許文献1】特開平7−140831号公報
【特許文献2】特開2004−061854号公報
【特許文献3】特開2003−043836号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に構成される定着回転体と、
前記定着回転体に当接することで当該当接部分に記録媒体を通すための定着ニップを形成するように回転可能に構成される加圧回転体と、
前記定着回転体又は加圧回転体の少なくとも一方を加熱する熱源と、
前記定着回転体の軸方向に複数設けられ、該定着回転体に対して接触及び離間自在であって、前記定着回転体に対する接触状態で、前記定着ニップを通過する前記記録媒体を前記定着回転体から分離させる爪部を有する分離部材と、
前記複数の分離部材の各々に回転可能に保持されて前記爪部で分離された前記記録媒体を排出方向に案内する第1回転部材と、
前記第1回転部材を通過した前記記録媒体を排出方向に案内する定着出口ガイドと、
前記定着出口ガイドに回転可能に保持されて前記記録媒体を排出方向に案内する第2回転部材とを備え、
前記第1回転部材の少なくとも一つの外周面に植毛部材を設けたことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
回転可能に構成される定着回転体と、
前記定着回転体に当接することで当該当接部分に記録媒体を通すための定着ニップを形成するように回転可能に構成される加圧回転体と、
前記定着回転体又は加圧回転体の少なくとも一方を加熱する熱源と、
前記定着回転体の軸方向に複数設けられ、該定着回転体に対して接触及び離間自在であって、前記定着回転体に対する接触状態で、前記定着ニップを通過する前記記録媒体を前記定着回転体から分離させる爪部を有する分離部材と、
前記複数の分離部材の各々に回転可能に保持されて前記爪部で分離された前記記録媒体を排出方向に案内する複数の第1回転部材と、
前記第1回転部材を通過した前記記録媒体を排出方向に案内する定着出口ガイドと、
前記定着出口ガイドに回転可能に保持されて前記記録媒体を排出方向に案内する複数の第2回転部材とを備え、
前記第1回転部材の少なくとも一つの外周面と、前記第2回転部材の少なくとも一つの外周面に、植毛部材を設けたことを特徴とする定着装置。
【請求項3】
前記植毛部材は、シート状基材の片側に植毛層を有し反対側に前記回転部材の外周面に接着可能な接着面を有するシート状植毛部材であることを特徴とする請求項1又は2の定着装置。
【請求項4】
前記シート状植毛部材が前記第1又は第2回転部材の周方向に延びた帯状を成すと共に、当該帯状の長手方向端縁が長手方向に対して直角であることを特徴とする請求項3の定着装置。
【請求項5】
前記シート状植毛部材が前記第1又は第2回転部材の周方向に延びた帯状を成すと共に、当該帯状の長手方向端縁が長手方向に対して30°〜60°で傾斜していることを特徴とする請求項3の定着装置。
【請求項6】
前記植毛部材は、前記第1又は第2回転部材の外周面に静電植毛して成ることを特徴とする請求項1又は2の定着装置。
【請求項7】
前記第1回転部材の外周面に設けた植毛部材を、前記分離部材の爪部の延長線から前記記録媒体の排出通路側に2mm突き出したことを特徴とする請求項1又は2の定着装置。
【請求項8】
前記第2回転部材の外周面に設けた植毛部材を、前記分離部材の爪部の延長線から前記記録媒体の排出通路側に4mm突き出したことを特徴とする請求項1又は2の定着装置。
【請求項9】
前記植毛部材の毛の長さが0.8mm以上であることを特徴とする請求項1又は2の定着装置。
【請求項10】
前記植毛部材の植毛密度が10000本/cm2以上であることを特徴とする請求項1又は2の定着装置。
【請求項11】
前記植毛部材の毛の繊維径が1.5デニール以下であることを特徴とする請求項1又は2の定着装置。
【請求項12】
前記植毛部材の毛がナイロン製であることを特徴とする請求項1又は2の定着装置。
【請求項13】
請求項1から12にいずれか1に記載の定着装置を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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