定着装置及び画像形成装置
【課題】加熱回転ベルトの非通紙領域の温度が過度に上昇することを抑制することができる定着装置を提供すること。
【解決手段】加圧回転体9bと、加熱回転ベルト9aと、誘導コイル71と、磁性体コア部72と、加熱回転ベルト9aの内面側に配置されるベルトガイド部材91であって、誘導コイル71側に配置され、昇温対応部941a、942a、943aと、非昇温対応部941d、942d、943dとを有するコイル側部分94と、加圧回転体9b側に配置され、通紙対応部951a、952a、953aと、通紙対応部951a、952a、953aの外側に配置され通紙対応部951a、952a、953aの熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する熱移動部955とを有するニップ側部分95と、を有するベルトガイド部材91と、を備える。
【解決手段】加圧回転体9bと、加熱回転ベルト9aと、誘導コイル71と、磁性体コア部72と、加熱回転ベルト9aの内面側に配置されるベルトガイド部材91であって、誘導コイル71側に配置され、昇温対応部941a、942a、943aと、非昇温対応部941d、942d、943dとを有するコイル側部分94と、加圧回転体9b側に配置され、通紙対応部951a、952a、953aと、通紙対応部951a、952a、953aの外側に配置され通紙対応部951a、952a、953aの熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する熱移動部955とを有するニップ側部分95と、を有するベルトガイド部材91と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置及びこれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置においては、熱容量を小さくすることができるベルト方式を備えた定着装置が注目されている。また、近年、急速加熱や高効率加熱の可能性をもった電磁誘導加熱(IH;induction heating)方式が注目されている。
【0003】
電磁誘導加熱方式の定着装置においては、定着装置に搬送(通紙)される被転写材としての用紙の幅(用紙の搬送方向に垂直な方向の用紙の幅:通紙幅)に合わせて、用紙が通過する通紙領域の外側の領域(非通紙領域)の温度が過度に上昇することを抑制するために、非通紙領域と通紙領域とにおける加熱回転体の発熱量を調整することができる技術が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0004】
特許文献1及び2に記載される定着装置は、加熱回転体と、加圧回転体と、磁束を発生させる誘導コイルと、磁性体コア部と、誘導コイルにより発生された磁束を低減又は遮蔽する磁束遮蔽部材と、磁束遮蔽部材を移動させる移動機構と、を備え、各サイズの用紙の通紙幅に対応する磁束遮蔽部材を移動させて、磁性体コア部を通る磁束の量を調整することにより、加熱回転体の非通紙領域の温度が過度に上昇することを抑制するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−74009号公報
【特許文献2】特開2002−83676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1及び2に記載される定着装置においては、小サイズ用紙が通紙された場合に、非通紙領域の温度が過度に上昇することや、小サイズ用紙の連続印刷後に大サイズ用紙を印刷した場合に、形成画像に画像オフセットが発生することがあった。また、小サイズ用紙の非通紙領域の温度が過度に上昇しないように調整した場合には、小サイズ用紙の非通紙領域の温度が下がりすぎて、その後に大サイズ用紙を通紙する際に、定着不良が発生する可能性もある。
この問題は、特許文献1及び2に記載される定着装置において、これら特許文献の加熱回転体に代えて熱容量を小さくすることができる加熱回転ベルトを適用した場合にも生じ得る。
【0007】
本発明は、加熱回転ベルトの非通紙領域の温度が過度に上昇することを抑制することができる定着装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、前記定着装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、加圧回転体と、前記加圧回転体に対向して配置される加熱回転ベルトであって、前記加圧回転体との間に定着ニップを形成すると共に、前記加圧回転体の回転によって従動して回転する加熱回転ベルトと、前記加熱回転ベルトの外面に対向して配置され、磁束を発生させる誘導コイルと、前記誘導コイルにより発生された磁束の磁路を構成する磁性体コア部と、前記加熱回転ベルトの内面側に配置され、前記加熱回転ベルトの内面の少なくとも一部に当接して前記加熱回転ベルトを位置決めすると共に前記加熱回転ベルトの回転をガイドするベルトガイド部材であって、前記誘導コイル側に配置され、昇温対応部と、前記昇温対応部の前記加熱回転ベルトの幅方向の外側の部分である非昇温対応部とを有するコイル側部分と、前記加圧回転体側に配置され、被転写材が通過する通紙領域に対応する通紙対応部と、前記通紙対応部の外側に配置され前記通紙対応部の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する熱移動部とを有するニップ側部分と、を有するベルトガイド部材と、を備える定着装置に関する。
【0009】
また、前記熱移動部は、前記加熱回転ベルトの回転方向の上流側に延びることが好ましい。
【0010】
また、前記熱移動部は、前記加熱回転ベルトの回転方向の上流側に延びる部分で、前記加熱回転ベルトの幅方向の内側に延びることが好ましい。
【0011】
また、前記熱移動部は、前記加熱回転ベルトの幅方向の内側に延びる部分が、前記加熱回転ベルトの幅方向の両方の外側から内側に延びて互いにつながっていることが好ましい。
【0012】
また、前記ベルトガイド部材は、前記被転写材のサイズに対応して回転可能であることが好ましい。
【0013】
また、前記磁性体コア部は、前記誘導コイルの内周縁の近傍に配置され、前記誘導コイルを挟まずに前記加熱回転ベルトの外面から所定距離離間して前記加熱回転ベルトの外面に対向する第1コア部を有し、前記昇温対応部が前記第1コア部に対向する位置に配置される場合の前記昇温対応部の前記加熱回転ベルトの幅方向の長さと、前記通紙対応部が前記定着ニップを形成する位置に配置される場合の前記通紙対応部の前記加熱回転ベルトの幅方向の長さとは、対応していることが好ましい。
【0014】
また、本発明は、表面に静電潜像が形成される像担持体と、前記像担持体に形成された静電潜像をトナー画像として現像する現像器と、前記像担持体に形成されたトナー画像を直接的又は間接的にシート状の被転写材に転写する転写部と、前記定着装置と、を備える画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、加熱回転ベルトの非通紙領域の温度が過度に上昇することを抑制することができる。
また、本発明によれば、前記定着装置を備える画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態のプリンター1の各構成要素の配置を説明するための図である。
【図2】第1実施形態のプリンター1の定着装置9の各構成要素を説明するための断面図である。
【図3】図2に示す定着装置9を用紙Tの搬送方向D1から視た図である。
【図4】第1実施形態のベルトガイド部材91の構成を示す断面図である。
【図5】図4に示すベルトガイド部材91をZ1方向から見た図である。
【図6】図4に示すベルトガイド部材91をZ2方向から見た図である。
【図7】第2実施形態のプリンター1の定着装置9Aの各構成要素を説明するための断面図である。
【図8】第2実施形態のベルトガイド部材91Aの構成を示す断面図である。
【図9】図8に示すベルトガイド部材91AをZ1方向から見た図である。
【図10】図8に示すベルトガイド部材91AをZ2方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1により、第1実施形態の画像形成装置としてのプリンター1の全体構造を説明する。図1は、本発明の第1実施形態のプリンター1の各構成要素の配置を説明するための図である。なお、以下の説明では、図1における上下方向を単に「垂直方向」と記す場合がある。
【0018】
図1に示すように、第1実施形態の画像形成装置としてのプリンター1は、装置本体Mを備える。装置本体Mは、画像情報に基づいて被転写材としての用紙Tにトナー画像を形成する画像形成部GKと、用紙Tを画像形成部GKに給紙すると共にトナー画像が形成された用紙Tを排紙する給排紙部KHとを有する。
装置本体Mの外形は、筐体としてのケース体BDにより構成される。
【0019】
図1に示すように、画像形成部GKは、像担持体(感光体)としての感光体ドラム2と、帯電部10と、露光ユニットとしてのレーザースキャナーユニット4と、現像器16と、トナーカートリッジ5と、トナー供給部6と、ドラムクリーニング部11と、除電器12と、転写部としての転写ローラー8と、定着装置9とを備える。
【0020】
図1に示すように、給排紙部KHは、給紙カセット52と、用紙Tの搬送路Lと、レジストローラー対80と、排紙部50とを備える。
【0021】
以下、画像形成部GK及び給排紙部KHの各構成について詳細に説明する。
まず、画像形成部GKについて説明する。
画像形成部GKでは、感光体ドラム2の表面に沿って順に、図1において矢印で示した感光体ドラム2の回転方向に沿って上流側から下流側に順に、帯電部10による帯電、レーザースキャナーユニット4による露光、現像器16による現像、転写ローラー8による転写、除電器12による除電、及びドラムクリーニング部11によるクリーニングが行われる。
【0022】
感光体ドラム2は、円筒形状の部材からなり、感光体又は像担持体として機能する。感光体ドラム2は、搬送路Lにおける用紙Tの搬送方向に対して直交する方向に延びる回転軸を中心に、図1に示した矢印の方向に回転可能である。感光体ドラム2の表面には、静電潜像が形成され得る。
【0023】
帯電部10は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。帯電部10は、感光体ドラム2の表面を一様に負(マイナス極性)又は正(プラス極性)に帯電させる。
【0024】
レーザースキャナーユニット4は、露光ユニットとして機能するものであり、感光体ドラム2の表面から離間して配置される。
【0025】
レーザースキャナーユニット4は、PC(パーソナルコンピューター)等の外部機器から入力された画像情報に基づいて、感光体ドラム2の表面を走査露光することで感光体ドラム2の表面に静電潜像を形成することができる。
【0026】
現像器16は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。現像器16は、感光体ドラム2に形成された静電潜像を単色(通常はブラック)のトナーを用いて現像して、単色のトナー画像を感光体ドラム2の表面に形成する。現像器16は、感光体ドラム2の表面に対向配置された現像ローラー17、トナー攪拌用の攪拌ローラー18等を有している。
【0027】
トナーカートリッジ5は、現像器16に対応して設けられており、現像器16に対して供給されるトナーを収容する。
【0028】
トナー供給部6は、トナーカートリッジ5及び現像器16に対応して設けられており、トナーカートリッジ5に収容されたトナーを現像器16に対して供給する。
【0029】
転写ローラー8は、感光体ドラム2の表面に形成されたトナー画像を用紙Tに転写させる。転写ローラー8は、感光体ドラム2に対して当接した状態で回転可能である。
【0030】
感光体ドラム2と転写ローラー8との間には、転写ニップNが形成される。転写ニップNにおいて、感光体ドラム2に形成されたトナー画像が用紙Tに転写される。
除電器12は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。
ドラムクリーニング部11は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。
【0031】
定着装置9は、用紙Tに転写されたトナー画像を構成するトナーを溶融及び加圧して、用紙Tに定着させる。
定着装置9の詳細については後述する。
【0032】
次に、給排紙部KHについて説明する。
図1に示すように、装置本体Mの下部には、用紙Tを収容する給紙カセット52が配置される。給紙カセット52には、用紙Tが積層された状態で載置される載置板60が配置される。載置板60に載置された用紙Tは、カセット給紙部51により搬送路Lに送り出される。カセット給紙部51は、載置板60上の用紙Tを取り出すための前送りコロ61と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すための給紙ローラー対63とからなる重送防止機構を備える。
【0033】
装置本体Mの上部には、排紙部50が設けられる。排紙部50は、第3ローラー対53により用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。排紙部50の詳細については後述する。
【0034】
用紙Tを搬送する搬送路Lは、カセット給紙部51から転写ニップNまでの第1搬送路L1と、転写ニップNから定着装置9までの第2搬送路L2と、定着装置9から排紙部50までの第3搬送路L3と、第3搬送路L3を上流側から下流側へ搬送する用紙を、表裏反転させて第1搬送路L1に戻す戻し搬送路Lbとを備える。
【0035】
また、第1搬送路L1の途中には、第1合流部P1が設けられている。第3搬送路L3の途中には、第1分岐部Q1が設けられている。第1分岐部Q1は、戻し搬送路Lbが第3搬送路L3から分岐する分岐部で、第1ローラー対54a及び第2ローラー対54bを有する。第1ローラー対54aの一方のローラーと第2ローラー対54bの一方のローラーとは兼用される。
【0036】
第1搬送路L1の途中(詳細には、第1合流部P1と転写ニップNとの間)には、用紙Tを検出するためのセンサー(不図示)と、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正や画像形成部GKにおけるトナー画像の形成と用紙Tの搬送のタイミングを合わせるためのレジストローラー対80とが配置される。
【0037】
第3搬送路L3の用紙搬送方向側の端部には、排紙部50が配置される。排紙部50は、装置本体Mの上部に配置される。排紙部50は、第3搬送路L3を搬送される用紙Tを第3ローラー対53によって装置本体Mの外部に排紙する。
【0038】
排紙部50の開口側には、排紙集積部M1が配置される。排紙集積部M1は、装置本体Mの上面(外面)に設けられている。
なお、各搬送路の所定位置には用紙検出用のセンサー(不図示)が配置される。
【0039】
次に、本実施形態のプリンター1の特徴部分である定着装置9に係る構成について詳細に説明する。図2は、第1実施形態のプリンター1の定着装置9の各構成要素を説明するための断面図である。図3は、図2に示す定着装置9を用紙Tの搬送方向D1から視た図である。図4は、第1実施形態のベルトガイド部材91の構成を示す断面図である。図5は、図4に示すベルトガイド部材91をZ1方向から見た図である。図6は、図4に示すベルトガイド部材91をZ2方向から見た図である。
【0040】
図2に示すように、定着装置9は、加熱回転ベルト9aと、加熱回転ベルト9aに圧接(当接)される加圧回転体としての加圧ローラー9bと、加熱ユニット70と、ベルトガイド部材91と、温度センサー96と、を備える。
【0041】
加熱回転ベルト9aは、その回転軸J1側から見た場合に環状(無端ベルト状)である。加熱回転ベルト9aは、熱容量が小さいベルトである。加熱回転ベルト9aは、後述する加熱ユニット70を用いることで、電磁誘導を利用した電磁誘導加熱(IH;induction heating)により発熱される。
【0042】
加熱回転ベルト9aは、第1周方向R1に直交する方向D2に平行な第1回転軸J1を中心に、第1周方向(回転方向)R1に回転可能である。加熱回転ベルト9aは、第1回転軸J1方向に所定幅を有する。本実施形態では、加熱回転ベルト9aの幅方向、第1周方向R1の接線に直交する直交方向又は第1回転軸J1方向を「用紙幅方向D2」ともいう。用紙幅方向D2と第1回転軸J1方向とは、略一致している。
【0043】
加熱回転ベルト9aの内面側には、後述するベルトガイド部材91が配置される。加熱回転ベルト9aは、所定の張力が付与された状態で、後述する円筒状のベルトガイド部材91に掛け渡される。
ベルトガイド部材91の詳細については後述する。
【0044】
本実施形態では、加熱回転ベルト9aの基材は、ニッケル等の強磁性材料で構成される。加熱回転ベルト9aは、後述する加熱ユニット70の誘導コイル71により発生される磁束が通る領域に配置されると共に、その基材が強磁性材料により構成されることで、加熱ユニット70の誘導コイル71により発生される磁束の磁路を構成する。誘導コイル71により発生される磁束は、磁路を構成する加熱回転ベルト9aに沿って通過する(導かれる)。また、加熱回転ベルト9aは、基材の外周面に形成される弾性層と、弾性層の外周面に形成される離型層と、をさらに有する。
【0045】
本実施形態では、加熱回転ベルト9aの基材の厚さは、誘導コイル71によって発生された磁束が加熱回転ベルト9aを突き抜けるように設定されている。
加熱回転ベルト9aの基材には、加熱回転ベルト9aの基材を突き抜けずに基材に沿って通過する磁束による電磁誘導によって、渦電流(誘導電流)が発生する。基材には、渦電流が流れることで、基材が有する電気抵抗によりジュール熱が発生する。このように、加熱回転ベルト9aの基材は、後述する加熱ユニット70によって電磁誘導を利用した電磁誘導加熱(IH)により発熱される。
【0046】
加圧ローラー9bは、円筒状(円環状)である。加圧ローラー9bは、加熱回転ベルト9aの垂直方向下方側に加熱回転ベルト9aに対向して配置される。加圧ローラー9bは、用紙幅方向D2に平行な第2回転軸J2を中心に、第2周方向R2に回転可能である。第2回転軸J2は、第1回転軸J1に平行である。加圧ローラー9bは、第2回転軸J2方向に長い。
【0047】
加圧ローラー9bは、その外周面が加熱回転ベルト9aの外周面(外面)に当接するように配置される。加圧ローラー9bは、加熱回転ベルト9aを介してベルトガイド部材91(後述)を押圧するように配置される。加圧ローラー9bは、ベルトガイド部材91との間に加熱回転ベルト9aの一部を挟み込んで、加熱回転ベルト9aとの間に定着ニップFを形成する。定着ニップFでは、用紙Tは挟み込むまれると共に、搬送される。
【0048】
加圧ローラー9bは、加圧ローラー本体991と、第2回転軸J2と同軸の一対の軸部材992、992(図2及び図3参照)と、を有する。加圧ローラー本体991は、円筒状の金属部材と、金属部材の外周面に形成される弾性層と、弾性層の外周面に形成される離型層と、を有する。
【0049】
加圧ローラー9bの一方の軸部材992には、加圧ローラー9bを回転駆動させる回転駆動部(不図示)が接続される。この回転駆動部により、加圧ローラー9bが第2周方向R2に所定速度で回転駆動されると共に、加圧ローラー9bの回転に従動して、加圧ローラー9bの外周面に当接する加熱回転ベルト9aが回転される。
【0050】
加熱回転ベルト9aが加圧ローラー9bの回転に従動して回転することにより、定着ニップFに関する加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側で、加圧ローラー9bの回転による張力が加熱回転ベルト9aに作用して、加熱回転ベルト9aの内周面は、ベルトガイド部材91の外周面に密着する。
【0051】
定着ニップFに搬送される用紙Tは、定着装置9の通紙領域内を通過して搬送された場合に、トナー画像が定着される。「通紙領域」とは、用紙Tが定着ニップFに搬送される場合に、定着ニップFに搬送される用紙Tが加熱回転ベルト9aと加圧ローラー9bとに挟まれて通過する領域のことである。また、通紙領域から見て用紙幅方向D2の外側の領域である用紙Tが通過しない領域を「非通紙領域」という。非通紙領域は、複数のサイズの用紙Tに対応して設定される。
【0052】
図3に示すように、用紙幅方向D2の長さが最大の用紙Tが定着ニップFに搬送される場合の通紙領域として、最大通紙領域901を設定する。最大通紙領域901は、プリンター1ごとに設定される。最大通紙領域901の用紙幅方向D2の外側の領域は、最大非通紙領域901dである。
【0053】
また、用紙幅方向D2の長さが最小の用紙Tが定着ニップFに搬送される場合の通紙領域として、最小通紙領域903を設定する。最小通紙領域903の用紙幅方向D2の外側の領域は、最小非通紙領域903dである。
【0054】
また、本実施形態の定着装置9においては、用紙幅方向D2の長さが最大長さよりも短く且つ最小長さ(最小幅)よりも長い長さである中間長さ(中間幅)の用紙Tが定着ニップFに搬送される場合の通紙領域として、中間通紙領域902を設定する。中間通紙領域902の用紙幅方向D2の外側の領域は、中間非通紙領域902dである。
なお、用紙Tの通紙領域は、これに制限されず、各サイズの用紙Tに対応して適宜設定することができる。
【0055】
加熱ユニット70について説明する。図2及び図3に示すように、加熱ユニット70は、誘導コイル71と、磁性体コア部72と、を備える。
誘導コイル71は、加熱回転ベルト9aの外周面から所定距離だけ離間すると共に、加熱回転ベルト9aの外周面に沿って配置される。本実施形態では、誘導コイル71を、あらかじめ線材を巻き回した形状に形成している。誘導コイル71は、その長手方向が用紙幅方向D2と平行になるように加熱ユニット70に配置される。なお、誘導コイル71を、平面視(図2の上方から視た場合)した場合に、用紙幅方向D2に長い形状に線材を巻き回して形成してもよい。
【0056】
誘導コイル71は、用紙幅方向D2において加熱回転ベルト9aの長さよりも長い。誘導コイル71は、加熱回転ベルト9aの垂直方向の上方側の外周面に対向して配置される。誘導コイル71は、用紙幅方向D2に延びる中央領域718を囲むように配置される。中央領域718は、加熱回転ベルト9aの垂直方向の最も上方に位置する部分(搬送方向D1における略中央)の上方で、誘導コイル71の線材が配置されない用紙幅方向D2に長い領域である。
【0057】
誘導コイル71は、誘導コイル71が加熱ユニット70に配置された際に、以下のような配置になるように形成されている。すなわち、誘導コイル71の内周縁(線材711Aが配置されている部位)は、中央領域718を囲む。誘導コイル71を構成する線材は、用紙幅方向D2に延びる。また、誘導コイル71を構成する線材は、誘導コイル71の内周縁から加熱回転ベルト9aの周方向に沿って並ぶ。誘導コイル71の外周縁(線材711Bが配置されている部位)は、加熱回転ベルト9aの外周面に対向する。
本実施形態では、誘導コイル71は、耐熱性の樹脂材料により構成された不図示の支持部材の上に固定される。
【0058】
誘導コイル71は、不図示の誘導加熱用回路部に接続される。誘導コイル71には、誘導加熱用回路部から交流電流が印加される。誘導コイル71は、誘導加熱用回路部から交流電流が印加されることにより、加熱回転ベルト9aを発熱させるための磁束を発生させる。例えば、誘導コイル71には、周波数が30kHz程度の交流電流が印加される。
【0059】
誘導コイル71により発生された磁束は、加熱回転ベルト9a及び磁性体コア部72(後述)により構成された磁束の経路である磁路に導かれる。
【0060】
磁路は、誘導コイル71により発生された磁束が周回方向R3に周回するように、加熱回転ベルト9a及び磁性体コア部72(後述)により構成される。周回方向R3とは、誘導コイル71の内周縁711Aの内側と外周縁711Bの外側とを通り誘導コイル71の線材の部分を囲むように周回する方向である。誘導コイル71により発生された磁束は、磁路を通過する。
【0061】
誘導コイル71により発生される磁束は、誘導加熱用回路部(不図示)から交流電流が印加されるため、交流電流のプラス又はマイナスへの周期的な変動により、その大きさ及び方向が変化する。加熱回転ベルト9aには、この磁束の変化により誘導電流(渦電流)が発生する。
【0062】
磁性体コア部72は、図2に示すように、周回方向R3に周回する磁路を構成する。磁性体コア部72は、誘導コイル71により発生される磁束が通る領域に配置されると共に、主に強磁性材料で構成されているため、誘導コイル71により発生される磁束の経路である磁路を構成する。
【0063】
磁性体コア部72は、図2及び図3に示すように、センターコア部73と、複数のアーチコア部74と、一対のサイドコア部76とを有する。センターコア部73、アーチコア部74及びサイドコア部76は、例えば、強磁性材料であるフェライト粉末を焼結して成形される磁性体コアを主体として構成される。
【0064】
センターコア部73は、図2に示すように、誘導コイル71の内周縁711Aの近傍に配置される。センターコア部73は用紙幅方向D2に視た場合に、加熱回転ベルト9aの垂直方向の上方であり、加熱回転ベルト9aの用紙Tの搬送方向D1の略中央に配置される。すなわち、センターコア部73は、誘導コイル71の内周縁の内側の領域である中央領域718に配置されている。
【0065】
センターコア部73は、後述するアーチコア部74と加熱回転ベルト9aとの間に配置され、後述するアーチコア部74に連結される。センターコア部73は、誘導コイル71を挟まずに加熱回転ベルト9aの外周面から所定距離離間して配置される。センターコア部73の下側の面である対向面731は、加熱回転ベルト9aの上方側の外周面に対向する。
【0066】
センターコア部73は、図3に示すように、用紙幅方向D2に長い略直方体形状であり、最大通紙領域901よりも長い。
センターコア部73は、図2に示すように、磁路の周回方向R3において、アーチコア部74と加熱回転ベルト9aとの間の磁路を構成する。
【0067】
複数のアーチコア部74は、センターコア部73及び誘導コイル71を構成する線材を挟んで加熱回転ベルト9aの外周面に対向して配置される。複数のアーチコア部74は、誘導コイル71から離間して配置される。複数のアーチコア部74は、センターコア部73及び誘導コイル71の上方側の外方において、加熱回転ベルト9aの外周面に沿うように、用紙Tの搬送方向D1の下流側から上流側にわたって一体的に形成されており、アーチ状に延びている。アーチコア部74は、水平部742と、傾斜部743とを有する。
【0068】
複数のアーチコア部74は、図2に示すように、用紙幅方向D2の所定位置に、磁路の周回方向R3に沿ってセンターコア部73に並んで配置される。複数のアーチコア部74は、磁路の周回方向R3において、誘導コイル71に対して加熱回転ベルト9aとは反対側(誘導コイル71の外側)の磁路を構成する。
【0069】
また、複数のアーチコア部74は、図3に示すように、用紙幅方向D2に所定距離だけ離間して配置される。複数のアーチコア部74は、用紙幅方向D2に離間して周回方向R3に周回する複数の磁路を構成する。
【0070】
一対のサイドコア部76は、図2に示すように、磁路の周回方向R3において、加熱回転ベルト9aとアーチコア部74との間の磁路を構成する。一対のサイドコア部76は、磁路の周回方向R3において、複数のアーチコア部74に並んで配置される。
【0071】
一対のサイドコア部76は、誘導コイル71の外周縁711Bの近傍に、誘導コイル71を挟まずに、加熱回転ベルト9aの外周面から所定距離だけ離間して加熱回転ベルト9aの外周面に対向して配置される。
【0072】
一対のサイドコア部76は、用紙幅方向D2に長い略直方体形状で、且つ最大通紙領域901よりも長い。
【0073】
次に、ベルトガイド部材91について詳細に説明する。
ベルトガイド部材91は、図2及び図3に示すように、加熱回転ベルト9aの内面側に配置される。ベルトガイド部材91は、加熱回転ベルト9aの内周面側に加熱回転ベルト9aに沿うように配置される。
【0074】
ベルトガイド部材91は、図2に示すように、用紙幅方向D2に見た場合に、円筒状である。ベルトガイド部材91は、図3に示すように、用紙幅方向D2に長く、最大通紙領域901よりも長い。ベルトガイド部材91は、加熱回転ベルト9aの内周面の少なくとも一部に当接して、誘導コイル71に対して加熱回転ベルト9aを位置決めすると共に、第1回転軸J1を中心に回転する加熱回転ベルト9aの回転をガイドする。
【0075】
ベルトガイド部材91は、加熱回転ベルト9aの回転軸J1を中心に回転可能である。ベルトガイド部材91は、ベルトガイド部材91の端部に固定された不図示の支持回転板が、不図示のガイド回転部により回転駆動されることで回転される。
【0076】
ベルトガイド部材91は、内側円筒部92と、外側円筒部93とを有する。内側円筒部92及び外側円筒部93は、円筒状である。内側円筒部92及び外側円筒部93は、内側円筒部92の外周面が外側円筒部93の内周面に連結された状態で、一体的に構成される。
【0077】
内側円筒部92は、ベルトガイド部材91の内側の円筒状の部分である。内側円筒部92は、強磁性材料であるフェライト粉末を焼結して成形される磁性体コアを主体として構成される。
【0078】
内側円筒部92は、加熱回転ベルト9aの内部の誘導コイル71側(上方側)で、加熱回転ベルト9a及び外側円筒部93を突き抜けた誘導コイル71により発生される磁束の磁路を構成する。内側円筒部92は、加熱回転ベルト9aの内部で、センターコア部73及びサイドコア部76と並んで配置され、センターコア部73とサイドコア部76との間の磁路(図2参照)を構成する。
【0079】
外側円筒部93は、ベルトガイド部材91の外側の円筒状の部分である。外側円筒部93は、内側円筒部92の外側に、内側円筒部92の外周面を覆うように配置される。
【0080】
外側円筒部93は、コイル側部分94と、ニップ側部分95とを有する。
コイル側部分94は、外側円筒部93の誘導コイル71側(上方側)の半円筒状の部分である。ニップ側部分95は、外側円筒部93の加圧ローラー9b側(下方側)の半円筒状の部分である。
【0081】
コイル側部分94は、図4及び図5に示すように、最大通紙コイル側部分A1と、中間通紙コイル側部分B1と、最小通紙コイル側部分C1とを有する。最大通紙コイル側部分A1、中間通紙コイル側部分B1及び最小通紙コイル側部分C1は、加熱回転ベルト9aの回転方向R1に所定幅を有し、コイル側部分94の用紙幅方向D2の全域にわたって配置される。
【0082】
最大通紙コイル側部分A1、中間通紙コイル側部分B1及び最小通紙コイル側部分C1は、加熱回転ベルト9aの回転方向R1に沿って並んで、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側から下流側に向けて、最小通紙コイル側部分C1、中間通紙コイル側部分B1、最大通紙コイル側部分A1の順に連続して配置される。
【0083】
ベルトガイド部材91は、ガイド回転部(不図示)により回転されることで、用紙のサイズに対応する位置に位置される。具体的には、ベルトガイド部材91は、最大通紙コイル側部分A1がセンターコア部73の対向面731(図2参照)に対向する位置と、中間通紙コイル側部分B1がセンターコア部73の対向面731に対向する位置と、最小通紙コイル側部分C1がセンターコア部73の対向面731に対向する位置と、に位置を切り換えることが可能である。
【0084】
最大通紙コイル側部分A1は、用紙幅方向D2の長さが最大の用紙Tが定着ニップFに搬送される場合に、センターコア部73の対向面731に対向させる部分である。中間通紙コイル側部分B1は、用紙幅方向D2の長さが中間の用紙Tが定着ニップFに搬送される場合に、センターコア部73の対向面731に対向させる部分である。最小通紙コイル側部分C1は、用紙幅方向D2の長さが最小の用紙Tが定着ニップFに搬送される場合に、センターコア部73の対向面731に対向させる部分である。
【0085】
最大通紙コイル側部分A1、中間通紙コイル側部分B1及び最小通紙コイル側部分C1は、図5に示すように、最大通紙領域昇温対応部941a、中間通紙領域昇温対応部942a及び最小通紙領域昇温対応部943aと、最大通紙領域昇温対応部941a、中間通紙領域昇温対応部942a及び最小通紙領域昇温対応部943aの用紙幅方向D2の外側に配置される最大非通紙領域遮蔽部941d、中間非通紙領域遮蔽部942d及び最小非通紙領域遮蔽部943dと、を有する。
【0086】
本実施形態では、通紙領域昇温対応部941a、942a、943aは、非磁性材料により構成される。そのため、誘導コイル71により発生されて加熱回転ベルト9aを突き抜けた磁束は、通紙領域昇温対応部941a、942a、943aを突き抜けて、内側円筒部92に到達する。加熱回転ベルト9a及び通紙領域昇温対応部941a、942a、943aを突き抜けた磁束は、内側円筒部92が磁性材料により構成されるため、内側円筒部92に沿って通過する。
【0087】
また、非通紙領域遮蔽部941d、942d、943dは、誘導コイル71により発生した磁束を低減させ又は遮蔽する。そのため、非通紙領域遮蔽部941d、942d、943dは、非昇温対応部を構成する。非通紙領域遮蔽部941d、942d、943dは、図5に示すように、加熱回転ベルト9aの回転方向R1に、最小非通紙領域遮蔽部943d、中間非通紙領域遮蔽部942d、最大非通紙領域遮蔽部941dの順につながっており、用紙幅方向D2に所定の長さを有する階段状に配置される。
【0088】
非通紙領域遮蔽部941d、942d、943dは、非磁性体材料であり、且つ、導電率が高い導電部材により構成される。非通紙領域遮蔽部941d、942d、943dとしては、例えば、無酸素銅などが用いられる。
【0089】
非通紙領域遮蔽部941d、942d、943dは、その面に垂直な磁束が貫通することによる誘導電流で、貫通した磁束に対して逆方向の磁束を発生させる。そして、非通紙領域遮蔽部941d、942d、943dは、錯交磁束(垂直な貫通磁束)をキャンセルする方向の磁束を発生させることで磁路を通過する磁束を低減させ又は遮蔽する。
【0090】
また、通紙領域昇温対応部941a、942a、943aの外面に当接する部分の加熱回転ベルト9aは、発熱されて昇温される。そのため、通紙領域昇温対応部941a、942a、943aは、昇温対応部を構成する。
【0091】
ニップ側部分95は、図4及び図6に示すように、最大通紙ニップ側部分A2と、中間通紙ニップ側部分B2と、最小通紙ニップ側部分C2と、を有する。最大通紙ニップ側部分A2、中間通紙ニップ側部分B2及び最小通紙ニップ側部分C2は、加熱回転ベルト9aの回転方向R1に沿って並んで、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側から下流側に向けて、最小通紙ニップ側部分C2、中間通紙ニップ側部分B2、最大通紙ニップ側部分A2の順に連続して配置される。
【0092】
最大通紙ニップ側部分A2、中間通紙ニップ側部分B2及び最小通紙ニップ側部分C2は、最大通紙コイル側部分A1、中間通紙コイル側部分B1及び最小通紙コイル側部分C1それぞれに対応して配置される。
詳細には、図4に示すように、最大通紙ニップ側部分A2、中間通紙ニップ側部分B2及び最小通紙ニップ側部分C2は、最大通紙コイル側部分A1、中間通紙コイル側部分B1及び最小通紙コイル側部分C1それぞれと、加熱回転ベルト9aの回転軸J1を挟んで対面する位置に配置されている。そのため、最大通紙コイル側部分A1、中間通紙コイル側部分B1及び最小通紙コイル側部分C1がセンターコア部73の対向面731(図2参照)に対向する位置に位置した場合に、同時に、最大通紙ニップ側部分A2、中間通紙ニップ側部分B2及び最小通紙ニップ側部分C2それぞれは、加圧ローラー9bに対向する位置であって定着ニップFを形成する位置に配置される。
【0093】
最大通紙ニップ側部分A2、中間通紙ニップ側部分B2及び最小通紙ニップ側部分C2は、図6に示すように、最大通紙対応部951a、中間通紙対応部952a及び最小通紙対応部953aそれぞれと、最大通紙対応部951a、中間通紙対応部952a及び最小通紙対応部953aの用紙幅方向D2の外側に配置される最大通紙外側部951d、中間通紙外側部952d及び最小通紙外側部953dそれぞれと、を有する。
最大通紙対応部951aは、用紙幅方向D2の長さが最大の用紙Tが定着ニップFに搬送される場合に、定着ニップFを形成する部分である。中間通紙対応部952aは、用紙幅方向D2の長さが中間の用紙Tが定着ニップFに搬送される場合に、定着ニップFを形成する部分である。最小通紙対応部953aは、用紙幅方向D2の長さが最小の用紙Tが定着ニップFに搬送される場合に、定着ニップFを形成する部分である。
【0094】
最大通紙対応部951a、中間通紙対応部952a及び最小通紙対応部953aは、最大通紙領域昇温対応部941a、中間通紙領域昇温対応部942a及び最小通紙領域昇温対応部943aにそれぞれ対応する。最大通紙対応部951a、中間通紙対応部952a及び最小通紙対応部953aは、加熱回転ベルト9aの最大通紙領域901、中間通紙領域902及び最小通紙領域903それぞれと対応している。通紙領域昇温対応部941a、942a及び943aの用紙幅方向D2の長さは、通紙対応部951a、952a及び953aそれぞれの長さと同じである。通紙外側部951d、952d及び953dは、非通紙領域遮蔽部941d、942d及び943dそれぞれに対応する。
【0095】
最大通紙外側部951d、中間通紙外側部952d及び最小通紙外側部953dは、図6に示すように、加熱回転ベルト9aの回転方向R1に、最小通紙外側部953d、中間通紙外側部952d、最大通紙外側部951dの順につながっており、用紙幅方向D2に所定の長さを有する階段状に配置される。
【0096】
また、図6に示すように、ニップ側部分95は、ニップ領域上流部分954を有する。ニップ領域上流部分954は、最小通紙ニップ側部分C2に対して加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側において、最小通紙ニップ側部分C2に連続して配置される。ニップ領域上流部分954は、加熱回転ベルト9aの回転方向R1に所定幅を有し、ニップ側部分95における用紙幅方向D2にニップ側部分95の全幅に等しい長さを有する。
【0097】
最大通紙外側部951d、中間通紙外側部952d、最小通紙外側部953d及びニップ領域上流部分954は、連続して配置されると共に熱伝導率が高い部材である。そのため、最大通紙外側部951d、中間通紙外側部952d、最小通紙外側部953d及びニップ領域上流部分954は、温度が高い側から低い側に速やかに熱が移動される熱移動部955として構成される。
【0098】
具体的には、熱移動部955は、通紙対応部951a、952a、953aの熱伝導率よりも熱伝導率が高い部材により構成される。熱移動部955の熱伝導率は、80W/mK以上であることが好ましい。例えば、熱移動部955の材料としては、鉄(熱伝導率:84W/mK)、アルミニウム(熱伝導率:236W/mK)、銅(熱伝導率:398W/mK)などの金属部材が好ましい。なお、通紙対応部951a、952a、953aの材料としては、例えば、シリコンゴム(熱伝導率:0.16W/mK)等の熱移動部955よりも熱伝導率が低い弾性部材が好ましい。
【0099】
熱移動部955は、以下のようになるように構成される。すなわち、熱移動部955は、定着ニップF(図2参照)に対して、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側に延びる。熱移動部955は、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側に延びる部分において、加熱回転ベルト9aの用紙幅方向D2の内側に延びる。熱移動部955は、加熱回転ベルト9aの用紙幅方向D2の内側に延びる部分が、加熱回転ベルト9aの用紙幅方向D2の両方の外側から内側に延びて、加熱回転ベルト9aの用紙幅方向D2の内側において互いにつながっている。
【0100】
具体的には、熱移動部955は、図6に示すように、加熱回転ベルト9aの非通紙領域に対応する領域に配置される部分、つまり最大通紙外側部951d、中間通紙外側部952d及び最小通紙外側部953dを含む部分であり、且つ、ニップ領域上流部分954を含んでいる。
【0101】
中間通紙外側部952dは、最大通紙外側部951dから伝導される非通紙領域の熱を、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側に移動させる。最小通紙外側部953dは、最大通紙外側部951d及び中間通紙外側部952dから伝導される非通紙領域の熱を、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側に移動させる。ニップ領域上流部分954は、最大通紙外側部951d、中間通紙外側部952d及び最小通紙外側部953dから伝導される非通紙領域の熱を、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側に移動させる。
【0102】
中間通紙外側部952d、最小通紙外側部953d及びニップ領域上流部分954は、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の下流側に隣接して配置される通紙外側部951d、952d、953dそれぞれよりも用紙幅方向D2の内側に延びている。そのため、中間通紙外側部952d、最小通紙外側部953d及びニップ領域上流部分954は、加熱回転ベルト9aの非通紙領域の熱を、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の下流側から上流側に伝導すると共に、上流側に伝達された熱を、用紙幅方向D2の内側にも伝導する。
【0103】
また、ニップ領域上流部分954は、用紙幅方向D2の全域にわたって配置される。そのため、ニップ領域上流部分954は、通紙外側部951d、952d、953dから伝導された熱を、定着ニップFの加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側において、用紙幅方向D2に均一になるように、用紙幅方向D2に伝導させる。ニップ領域上流部分954は、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側において上述のように加熱回転ベルト9aに密着しているので、用紙幅方向D2に均一になるように伝導された熱を、加熱回転ベルト9aに伝導する。これにより、加熱回転ベルト9aの用紙幅方向D2の温度ムラを抑制することができる。
【0104】
通紙対応部951a、952a、953aは、弾性部材により構成される。例えば、通紙対応部951a、952a、953aの材料としては、シリコンゴム等の弾性部材が好ましい。これにより、定着ニップFの用紙Tの搬送方向D1の幅を確保することができると共に定着の際の圧力を安定させることができる。
【0105】
温度センサー96は、加熱回転ベルト9aの外周面の温度を検知する。温度センサー96は、加熱回転ベルト9aの外周面に対向して非接触の状態で配置される。
【0106】
次に、本実施形態の定着装置9を含むプリンター1の動作について説明する。
まず、プリンター1の受け付け部(不図示)は、プリンター1の電源がONの状態の場合に、例えばプリンター1の外部に配置されている操作部(不図示)が操作されたことに基づいて発生する画像が形成される用紙Tのサイズ情報を含む画像形成指示情報を受け付ける。
【0107】
受け付けられた用紙Tのサイズ情報に基づいて、ベルトガイド部材91を、用紙Tのサイズに対応して、最大通紙コイル側部分A1、中間通紙コイル側部分B1又は最小通紙コイル側部分C1のいずれかをセンターコア部73の対向面731に対向させ、且つ、最大通紙ニップ側部分A2、中間通紙ニップ側部分B2又は最小通紙ニップ側部分C2のいずれかを加圧ローラー9bに対向する位置に位置させるように、ベルトガイド部材91を回転させる、又は、ベルトガイド部材91を回転させずに回転位置を維持する。
例えば、中間サイズの用紙Tに印刷する印刷命令を受け付けた場合には、記憶部(不図示)を参照してガイド回転部(不図示)を制御して、中間通紙コイル側部分B1をセンターコア部73の対向面731に対向させることと同時に、中間通紙ニップ側部分B2を加圧ローラー9bに対向するように位置させる。
【0108】
次に、プリンター1は、印刷動作を開始する。
そして、駆動制御部(不図示)への電力の供給が開始されると、回転駆動部(不図示)により加圧ローラー9bが回転駆動される。加圧ローラー9bの回転駆動に伴って加熱回転ベルト9aは、従動して回転される。
【0109】
次に、定着装置9は、発熱動作を開始する。
これにより、誘導コイル71には、誘導加熱用回路部(不図示)から交流電流が印加される。誘導コイル71は、加熱回転ベルト9aを発熱させるための磁束を発生させる。
【0110】
誘導コイル71により発生された磁束は、図2に示すように、一部が加熱回転ベルト9a及び外側円筒部93を突き抜けて内側円筒部92に導かれ、加熱回転ベルト9aを突き抜けない磁束が加熱回転ベルト9aへ導かれる。
加熱回転ベルト9aに導かれた磁束及び内側円筒部92に導かれた磁束は、加熱回転ベルト9a及び内側円筒部92を通り、サイドコア部76において合流される。
【0111】
そして、磁路を通過する磁束の大きさと方向が変化することにより、加熱回転ベルト9aの垂直方向の上方側の部分の基材には、電磁誘導により渦電流(誘導電流)が発生する。加熱回転ベルト9aの基材には、渦電流が流れることで、加熱回転ベルト9aの基材が有する電気抵抗によりジュール熱が発生する。
【0112】
各サイズの用紙Tの非通紙領域においては、誘導コイル71により発生されて加熱回転ベルト9aの基材を突き抜けた磁束は、内側円筒部92に達する前に、外側円筒部93のコイル側部分94の非通紙領域遮蔽部942d(図5参照)を通過する。これにより、外側円筒部93のコイル側部分94の非通紙領域遮蔽部942dは、その面に垂直な磁束が貫通することによる誘導電流によって貫通磁束とは逆方向の向きの磁束を発生させる。
【0113】
そして、非通紙領域遮蔽部942dは、錯交磁束(垂直な貫通磁束)をキャンセルする方向の磁束を発生させることで磁路を通過する磁束を低減させ又は遮蔽する。そのため、内側円筒部92を通過する磁束は、低減され又は遮蔽される。
【0114】
これにより、内側円筒部92を通る磁束の量は、内側円筒部92の非通紙領域遮蔽部942dがない場合よりも減少する。そして、サイドコア部76には、内側円筒部92の非通紙領域遮蔽部942dにより低減され又は遮蔽された内側円筒部92の非通紙領域遮蔽部942dを通る磁束が合流する。
【0115】
次に、加熱回転ベルト9aの回転により、加熱回転ベルト9aの電磁誘導加熱(IH)により発熱された部分は、定着装置9の加熱回転ベルト9aと加圧ローラー9bとにより形成される定着ニップFに向けて順次移動される。定着装置9は、定着ニップFにおいて、所定の温度になるように、誘導加熱用回路部(不図示)を制御している。
【0116】
そして、トナー画像が形成された用紙Tは、定着装置9の定着ニップFに導入される。定着ニップFにおいて、用紙Tに転写されたトナー像を構成するトナーが溶融し、トナーが用紙Tに定着される。
【0117】
用紙Tが通過する通紙領域においては、加熱回転ベルト9aの外周面に用紙Tが接触することにより、加熱回転ベルト9aから熱が奪われる。一方、用紙Tが通過しない非通紙領域においては、加熱回転ベルト9aの外周面に用紙Tが接触しないため、加熱回転ベルト9aの温度が過度に上昇する場合がある。特に小さいサイズの用紙Tが連続して印刷された場合には、非通紙領域が広範囲にわたっており、その広範囲な非通紙領域において加熱回転ベルト9aの温度が過度に上昇しやすくなる。
つまり、小さいサイズの用紙Tを連続して印刷した場合には、加熱回転ベルト9aは、用紙幅方向D2の両端部側では温度が高くなり、用紙幅方向D2の中央部側では温度が低くなる。
【0118】
本実施形態では、ベルトガイド部材91は、熱移動部955を有する。熱移動部955は、定着ニップFに対して加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側に延びる。熱移動部955の熱伝導率は、通紙対応部951a、952a、953aの熱伝導率よりも高い。そのため、用紙幅方向D2の両端部の熱は、定着ニップFよりも加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側に移動される。これにより、加熱回転ベルト9aの非通紙領域の温度が過度に上昇することを低減することができる。
【0119】
また、熱移動部955は、定着ニップFの加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側において、用紙幅方向D2の内側に延びる。そのため、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側に移動された熱は、熱移動部955の用紙幅方向D2の内側に移動される。これにより、加熱回転ベルト9aの非通紙領域の温度が過度に上昇することを低減することができる。
【0120】
また、熱移動部955は、定着ニップFの加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側において、ニップ領域上流部分954を有する。そのため、ニップ領域上流部分954に伝導された熱は、ニップ領域上流部分954の用紙幅方向D2に均一になるように伝導される。また、ニップ領域上流部分954が加熱回転ベルト9aに密着しているので、ニップ領域上流部分954の熱は、加熱回転ベルト9aに伝導される。これにより、加熱回転ベルト9aの用紙幅方向D2の温度ムラを低減することができる。また、小さいサイズの用紙を印刷した後に大きなサイズの用紙を印刷した場合でも、画像オフセットを低減することができ、画像形成不良を低減することができる。
【0121】
第1実施形態のプリンター1によれば、例えば、以下の効果が奏される。
第1実施形態のプリンター1では、加圧ローラー9bと、加圧ローラー9bに対向して配置され加圧ローラー9bの回転によって従動して回転する加熱回転ベルト9aと、誘導コイル71と、誘導コイル71により発生された磁束の磁路を構成する磁性体コア部72と、加熱回転ベルト9aの内面側に配置され加熱回転ベルト9aの回転をガイドするベルトガイド部材91であって、誘導コイル71側に配置され、通紙領域昇温対応部(昇温対応部)941a、942a、943aと、非通紙領域遮蔽部(非昇温対応部)941d、942d、943dとを有するコイル側部分94と、加圧回転体9b側に配置され、用紙Tが通過する通紙領域に対応する通紙対応部951a、952a、953aと、非通紙領域に対応する領域を含む領域に配置され通紙対応部951a、952a、953aの熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する熱移動部955とを有するニップ側部分95と、を有するベルトガイド部材91と、を備える。
そのため、加熱回転ベルト9aの用紙幅方向D2の非通紙領域の熱は、熱移動部955に伝導される。これにより、加熱回転ベルト9aの非通紙領域の温度が過度に上昇することを抑制することができる。
【0122】
また、第1実施形態のプリンター1では、熱移動部955は、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側に延びる。そのため、加熱回転ベルト9aの用紙幅方向D2の非通紙領域の熱は、熱移動部955により、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側に移動される。これにより、加熱回転ベルト9aの非通紙領域の温度が過度に上昇することを抑制することができる。
【0123】
また、第1実施形態のプリンター1では、熱移動部955は、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側に延びる部分において、加熱回転ベルト9aの用紙幅方向D2の内側に延びる。そのため、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側に移動された熱は、用紙幅方向D2の内側に移動される。これにより、加熱回転ベルト9aの端部の温度が過度に上昇することを一層抑制することができる。
【0124】
また、第1実施形態のプリンター1では、熱移動部955は、加熱回転ベルト9aの幅方向の内側に延びる部分が、加熱回転ベルト9aの用紙幅方向D2の両方の外側から内側に向けて延びて互いにつながっている。本実施形態では、熱移動部955は、定着ニップFの加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側において、用紙幅方向D2の全域にわたって配置されるニップ領域上流部分954を有する。そのため、ニップ領域上流部分954に伝導された熱は、ニップ領域上流部分954の用紙幅方向D2に均一になるように伝導される。これにより、加熱回転ベルト9aの非通紙領域の温度が過度に上昇することを低減することができると共に、用紙幅方向D2の温度ムラを低減することができる。
【0125】
また、加熱回転ベルト9aは、加圧ローラー9bの回転に従動して回転する。そのため、ニップ領域上流部分954には、加熱回転ベルト9aの内周面が密着する。これにより、ニップ領域上流部分954の熱は、加熱回転ベルト9aに伝導される。従って、加熱回転ベルト9aの用紙幅方向D2の温度ムラを低減することができる。
【0126】
また、第1実施形態のプリンター1では、ベルトガイド部材91は、用紙Tのサイズに対応して加熱回転ベルト9aの回転方向R1に回転可能である。そのため、用紙Tのサイズに応じた適切な位置にベルトガイド部材91を位置させて、加熱回転ベルト9aの非通紙領域の温度が過度に上昇することを抑制することができる。
【0127】
また、通紙領域昇温対応部941a、942a、943aの用紙幅方向D2の長さと、通紙対応部951a、952a、953aそれぞれの用紙幅方向D2の長さとは、対応している。そのため、通紙領域昇温対応部941a、942a、943aをセンターコア部73に対向する位置させる、及び、通紙対応部951a、952a、953aを定着ニップFを形成する位置に位置させることを同時に行うことができる。これにより、用紙Tのサイズに応じて、加熱回転ベルト9aの通紙領域を加熱することと、加熱回転ベルト9aの非通紙領域の温度の過度の上昇を抑制することとを、効率よく行うことができる。
【0128】
次に、本発明のプリンター1の他の実施形態としての第2実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、第2実施形態の説明にあたって、第1実施形態と同一の構成要件については同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
【0129】
第2実施形態のプリンター1について説明する。図7は、第2実施形態のプリンター1の定着装置9Aの各構成要素を説明するための断面図である。図8は、第2実施形態のベルトガイド部材91Aの構成を示す断面図である。図9は、図8に示すベルトガイド部材91AをZ1方向から見た図である。図10は、図8に示すベルトガイド部材91AをZ2方向から見た図である。
第2実施形態の定着装置9Aは、第1実施形態と比べて、主として、ベルトガイド部材91Aの構成、加熱回転ベルト9aの基材の材質が異なる。
【0130】
本実施形態では、加熱回転ベルト9aの基材は、ポリイミド(PI)により構成される。加熱回転ベルト9aの基材が樹脂材料であるポリイミド(PI)により構成されるため、加熱回転ベルト9aは、誘導コイル71により発生される磁束が通過しても、磁束の磁路を構成せずに、発熱しない。
【0131】
ベルトガイド部材91Aは、図7及び図8に示すように、円筒状である。ベルトガイド部材91Aは、誘導コイル71側に配置される半円筒状のコイル側部分97と、加圧ローラー9b側に配置される半円筒状のニップ側部分98とを有する。なお、第2実施形態の定着装置9Aには、第1実施形態の内側円筒部92に相当するものは存在しない。
【0132】
コイル側部分97は、図8及び図9に示すように、最大通紙コイル側部分A1と、無段階コイル側部分E1とを有する。最大通紙コイル側部分A1及び無段階コイル側部分E1は、加熱回転ベルト9aの回転方向R1に所定幅を有し、コイル側部分94の用紙幅方向D2の全域にわたって配置される。
【0133】
最大通紙コイル側部分A1及び無段階コイル側部分E1は、加熱回転ベルト9aの回転方向R1に沿って並んで、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側から下流側に向けて、無段階コイル側部分E1、最大通紙コイル側部分A1の順に連続して配置される。
【0134】
最大通紙コイル側部分A1及び無段階コイル側部分E1それぞれは、最大通紙領域発熱部971a及び無段階通紙領域発熱部972aと、最大通紙領域発熱部971a及び無段階通紙領域発熱部972aの用紙幅方向D2の外側の最大非通紙領域非発熱部971d及び無段階非通紙領域非発熱部972dとを有する。
【0135】
無段階通紙領域発熱部972aと無段階非通紙領域非発熱部972dとの境界線は、無段階状(直線状)に傾斜している。具体的には、無段階通紙領域発熱部972aと無段階非通紙領域非発熱部972dとの境界線は、無段階コイル側部分E1の加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側の端部における最小通紙領域903の用紙幅方向D2の端部に対応する部分と、無段階コイル側部分E1の加熱回転ベルト9aの回転方向R1の下流側の端部における最大通紙領域901の用紙幅方向D2の端部に対応する部分と、をつないだ直線状である。
【0136】
最大通紙領域発熱部971a及び無段階通紙領域発熱部972aは、磁性体材料により構成される。そのため、最大通紙領域発熱部971a及び無段階通紙領域発熱部972aには、それぞれを通過する磁束による電磁誘導によって、渦電流(誘導電流)が発生する。最大通紙領域発熱部971a及び無段階通紙領域発熱部972aには、渦電流が流れることで、最大通紙領域発熱部971a及び無段階通紙領域発熱部972aが有する電気抵抗によりジュール熱が発生する。このように、最大通紙領域発熱部971a及び無段階通紙領域発熱部972aは、加熱ユニット70によって電磁誘導を利用した電磁誘導加熱(IH)により発熱される。
最大通紙領域発熱部971a及び無段階通紙領域発熱部972aは、昇温対応部として構成される。
【0137】
最大非通紙領域非発熱部971d及び無段階非通紙領域非発熱部972dは、非磁性体材料により構成される。最大非通紙領域非発熱部971d及び無段階非通紙領域非発熱部972dは、非昇温対応部として構成される。
【0138】
ベルトガイド部材91Aは、ガイド回転部(不図示)により回転されることで、用紙のサイズに対応する位置に位置される。具体的には、ベルトガイド部材91は、最大通紙コイル側部分A1がセンターコア部73の対向面731(図2参照)に対向する位置と、無段階コイル側部分E1がセンターコア部73の対向面731に対向する位置とに位置を切り換えることが可能である。
ここで、無段階通紙領域発熱部972aは無段階状に傾斜している。そのため、ベルトガイド部材91Aの回転角度を調整してセンターコア部73の対向面731に対向する位置を変化させることで、用紙幅方向D2の長さが最大の用紙Tから最小の用紙Tまでの範囲で、様々な用紙Tのサイズに対応することができる。
【0139】
ニップ側部分98は、図8及び図10に示すように、最大通紙ニップ側部分A2と、無段階ニップ側部分E2とを有する。最大通紙ニップ側部分A2及び無段階ニップ側部分E2は、加熱回転ベルト9aの回転方向R1に沿って並んで、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側から下流側に向けて、無段階ニップ側部分E2、最大通紙ニップ側部分Aの順に連続して配置される。
【0140】
最大通紙ニップ側部分A2及び無段階ニップ側部分E2は、最大通紙コイル側部分A1及び無段階コイル側部分E1それぞれに対応して配置される。詳細には、図8に示すように、最大通紙ニップ側部分A2及び無段階ニップ側部分E2は、最大通紙コイル側部分A1及び無段階コイル側部分E1それぞれと、加熱回転ベルト9aの回転軸J1を挟んで対面する位置に配置されている。そのため、最大通紙コイル側部分A1及び無段階コイル側部分E1がセンターコア部73の対向面731(図7参照)に対向する位置に位置した場合に、同時に、最大通紙ニップ側部分A2及び無段階ニップ側部分E2それぞれは、加圧ローラー9bに対向する位置であって定着ニップFを形成する位置に配置される。
【0141】
最大通紙ニップ側部分A2及び無段階ニップ側部分E2それぞれは、図10に示すように、最大通紙対応部981a及び無段階通紙対応部982aと、最大通紙対応部981a及び無段階通紙対応部982aの用紙幅方向D2の外側に配置される最大通紙外側部981d及び無段階通紙外側部982dと、を有する。
【0142】
最大通紙対応部981a及び無段階通紙対応部982aは、最大通紙領域発熱部971a及び無段階通紙領域発熱部972aそれぞれに対応する。
最大通紙対応部981a及び無段階通紙対応部982aは、加熱回転ベルト9aの最大通紙領域901及び最大通紙領域901から最小通紙領域903までの領域それぞれに対応している。
【0143】
最大通紙外側部981d及び無段階通紙外側部982dは、図10に示すように、加熱回転ベルト9aの回転方向R1に、無段階通紙外側部982d、最大通紙外側部981dの順につながっており、無段階通紙対応部982a及び無段階通紙外側部982dの境界線は無段階状(直線状)に傾斜している。最大通紙外側部981d及び無段階通紙外側部982dの用紙幅方向D2の長さそれぞれは、用紙幅方向D2における各用紙Tの非通紙領域の長さに対応する。
【0144】
また、図10に示すように、ニップ側部分98は、ニップ領域上流部分984を有する。ニップ領域上流部分984は、無段階ニップ側部分E2に対して加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側において、無段階ニップ側部分E2に連続して配置される。ニップ領域上流部分984は、加熱回転ベルト9aの回転方向R1に所定幅を有し、用紙幅方向D2にニップ側部分98の全幅に等しい長さを有する。
【0145】
最大通紙外側部981d、無段階通紙外側部982d及びニップ領域上流部分984は、連続して配置されると共に熱伝導率が高い部材であって、前述の第1実施形態と同様に、熱移動部985として構成される。熱移動部985は、前述の第1実施形態と同様に、定着ニップFに対して、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側に延びる。熱移動部985は、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側に延びる部分において、加熱回転ベルト9aの用紙幅方向D2の内側に延びる。熱移動部985は、加熱回転ベルト9aの用紙幅方向D2の内側に延びる部分が、加熱回転ベルト9aの用紙幅方向D2の両方の外側から内側に延びて、加熱回転ベルト9aの用紙幅方向D2の内側において互いにつながっている。
【0146】
第2実施形態の定着装置9Aを含むプリンター1を動作させると、加熱回転ベルト9aは発熱せずに、電磁誘導を利用した電磁誘導加熱(IH)により、センターコア部73の対向面731に対向する通紙領域発熱部971a、972aのいずれかが発熱される。通紙領域発熱部971a、972aのいずれかにて発熱された熱は、加熱回転ベルト9aに伝導される。また、通紙領域発熱部971a、972aよりも外側の非通紙領域非発熱部971d、972dは、非通紙領域非発熱部971d、972dが非磁性部材で構成されるため、発熱しない。
【0147】
また、互いに対応する無段階通紙対応部982a及び無段階通紙領域発熱部972aが無段階状に形成されるため、ベルトガイド部材91Aの回転角度を調整することで、様々なサイズの用紙Tに対応して定着動作を行うことができる。
【0148】
また、熱移動部985により、加熱回転ベルト9aの非通紙領域の熱を、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側に移動させることができると共に、ニップ領域上流部分984において用紙幅方向D2に均一になるように移動させることができる。
これにより、加熱回転ベルト9aの非通紙領域の温度が過度に上昇することを低減することができると共に、用紙幅方向D2の温度ムラを低減することができる。
【0149】
第2実施形態のプリンター1によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0150】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。
【0151】
本発明の画像形成装置の種類は、特に限定がなく、プリンター以外に、コピー機、ファクシミリ、又はこれらの複合機などであってもよい。
シート状の被転写材は、用紙に制限されず、例えば、フィルムシートであってもよい。
【符号の説明】
【0152】
2……感光体ドラム(像担持体)、8……転写ローラー(転写部)、9……定着装置、9a……加熱回転ベルト、9b……加圧ローラー(加圧回転体)、16……現像器、70……加熱ユニット、71……誘導コイル、72……磁性体コア部、73……センターコア部(第1コア部)、91……ベルトガイド部材、94、97……コイル側部分、95、98……ニップ側部分、941a、942a、943a……通紙領域昇温対応部(昇温対応部)、941d、942d、943d、……非通紙領域遮蔽部(非昇温対応部)、951a、952a、953a……通紙対応部、955……熱移動部、F……定着ニップ、R1……第1周方向(回転方向)、T……用紙(被転写材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置及びこれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置においては、熱容量を小さくすることができるベルト方式を備えた定着装置が注目されている。また、近年、急速加熱や高効率加熱の可能性をもった電磁誘導加熱(IH;induction heating)方式が注目されている。
【0003】
電磁誘導加熱方式の定着装置においては、定着装置に搬送(通紙)される被転写材としての用紙の幅(用紙の搬送方向に垂直な方向の用紙の幅:通紙幅)に合わせて、用紙が通過する通紙領域の外側の領域(非通紙領域)の温度が過度に上昇することを抑制するために、非通紙領域と通紙領域とにおける加熱回転体の発熱量を調整することができる技術が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0004】
特許文献1及び2に記載される定着装置は、加熱回転体と、加圧回転体と、磁束を発生させる誘導コイルと、磁性体コア部と、誘導コイルにより発生された磁束を低減又は遮蔽する磁束遮蔽部材と、磁束遮蔽部材を移動させる移動機構と、を備え、各サイズの用紙の通紙幅に対応する磁束遮蔽部材を移動させて、磁性体コア部を通る磁束の量を調整することにより、加熱回転体の非通紙領域の温度が過度に上昇することを抑制するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−74009号公報
【特許文献2】特開2002−83676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1及び2に記載される定着装置においては、小サイズ用紙が通紙された場合に、非通紙領域の温度が過度に上昇することや、小サイズ用紙の連続印刷後に大サイズ用紙を印刷した場合に、形成画像に画像オフセットが発生することがあった。また、小サイズ用紙の非通紙領域の温度が過度に上昇しないように調整した場合には、小サイズ用紙の非通紙領域の温度が下がりすぎて、その後に大サイズ用紙を通紙する際に、定着不良が発生する可能性もある。
この問題は、特許文献1及び2に記載される定着装置において、これら特許文献の加熱回転体に代えて熱容量を小さくすることができる加熱回転ベルトを適用した場合にも生じ得る。
【0007】
本発明は、加熱回転ベルトの非通紙領域の温度が過度に上昇することを抑制することができる定着装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、前記定着装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、加圧回転体と、前記加圧回転体に対向して配置される加熱回転ベルトであって、前記加圧回転体との間に定着ニップを形成すると共に、前記加圧回転体の回転によって従動して回転する加熱回転ベルトと、前記加熱回転ベルトの外面に対向して配置され、磁束を発生させる誘導コイルと、前記誘導コイルにより発生された磁束の磁路を構成する磁性体コア部と、前記加熱回転ベルトの内面側に配置され、前記加熱回転ベルトの内面の少なくとも一部に当接して前記加熱回転ベルトを位置決めすると共に前記加熱回転ベルトの回転をガイドするベルトガイド部材であって、前記誘導コイル側に配置され、昇温対応部と、前記昇温対応部の前記加熱回転ベルトの幅方向の外側の部分である非昇温対応部とを有するコイル側部分と、前記加圧回転体側に配置され、被転写材が通過する通紙領域に対応する通紙対応部と、前記通紙対応部の外側に配置され前記通紙対応部の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する熱移動部とを有するニップ側部分と、を有するベルトガイド部材と、を備える定着装置に関する。
【0009】
また、前記熱移動部は、前記加熱回転ベルトの回転方向の上流側に延びることが好ましい。
【0010】
また、前記熱移動部は、前記加熱回転ベルトの回転方向の上流側に延びる部分で、前記加熱回転ベルトの幅方向の内側に延びることが好ましい。
【0011】
また、前記熱移動部は、前記加熱回転ベルトの幅方向の内側に延びる部分が、前記加熱回転ベルトの幅方向の両方の外側から内側に延びて互いにつながっていることが好ましい。
【0012】
また、前記ベルトガイド部材は、前記被転写材のサイズに対応して回転可能であることが好ましい。
【0013】
また、前記磁性体コア部は、前記誘導コイルの内周縁の近傍に配置され、前記誘導コイルを挟まずに前記加熱回転ベルトの外面から所定距離離間して前記加熱回転ベルトの外面に対向する第1コア部を有し、前記昇温対応部が前記第1コア部に対向する位置に配置される場合の前記昇温対応部の前記加熱回転ベルトの幅方向の長さと、前記通紙対応部が前記定着ニップを形成する位置に配置される場合の前記通紙対応部の前記加熱回転ベルトの幅方向の長さとは、対応していることが好ましい。
【0014】
また、本発明は、表面に静電潜像が形成される像担持体と、前記像担持体に形成された静電潜像をトナー画像として現像する現像器と、前記像担持体に形成されたトナー画像を直接的又は間接的にシート状の被転写材に転写する転写部と、前記定着装置と、を備える画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、加熱回転ベルトの非通紙領域の温度が過度に上昇することを抑制することができる。
また、本発明によれば、前記定着装置を備える画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態のプリンター1の各構成要素の配置を説明するための図である。
【図2】第1実施形態のプリンター1の定着装置9の各構成要素を説明するための断面図である。
【図3】図2に示す定着装置9を用紙Tの搬送方向D1から視た図である。
【図4】第1実施形態のベルトガイド部材91の構成を示す断面図である。
【図5】図4に示すベルトガイド部材91をZ1方向から見た図である。
【図6】図4に示すベルトガイド部材91をZ2方向から見た図である。
【図7】第2実施形態のプリンター1の定着装置9Aの各構成要素を説明するための断面図である。
【図8】第2実施形態のベルトガイド部材91Aの構成を示す断面図である。
【図9】図8に示すベルトガイド部材91AをZ1方向から見た図である。
【図10】図8に示すベルトガイド部材91AをZ2方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1により、第1実施形態の画像形成装置としてのプリンター1の全体構造を説明する。図1は、本発明の第1実施形態のプリンター1の各構成要素の配置を説明するための図である。なお、以下の説明では、図1における上下方向を単に「垂直方向」と記す場合がある。
【0018】
図1に示すように、第1実施形態の画像形成装置としてのプリンター1は、装置本体Mを備える。装置本体Mは、画像情報に基づいて被転写材としての用紙Tにトナー画像を形成する画像形成部GKと、用紙Tを画像形成部GKに給紙すると共にトナー画像が形成された用紙Tを排紙する給排紙部KHとを有する。
装置本体Mの外形は、筐体としてのケース体BDにより構成される。
【0019】
図1に示すように、画像形成部GKは、像担持体(感光体)としての感光体ドラム2と、帯電部10と、露光ユニットとしてのレーザースキャナーユニット4と、現像器16と、トナーカートリッジ5と、トナー供給部6と、ドラムクリーニング部11と、除電器12と、転写部としての転写ローラー8と、定着装置9とを備える。
【0020】
図1に示すように、給排紙部KHは、給紙カセット52と、用紙Tの搬送路Lと、レジストローラー対80と、排紙部50とを備える。
【0021】
以下、画像形成部GK及び給排紙部KHの各構成について詳細に説明する。
まず、画像形成部GKについて説明する。
画像形成部GKでは、感光体ドラム2の表面に沿って順に、図1において矢印で示した感光体ドラム2の回転方向に沿って上流側から下流側に順に、帯電部10による帯電、レーザースキャナーユニット4による露光、現像器16による現像、転写ローラー8による転写、除電器12による除電、及びドラムクリーニング部11によるクリーニングが行われる。
【0022】
感光体ドラム2は、円筒形状の部材からなり、感光体又は像担持体として機能する。感光体ドラム2は、搬送路Lにおける用紙Tの搬送方向に対して直交する方向に延びる回転軸を中心に、図1に示した矢印の方向に回転可能である。感光体ドラム2の表面には、静電潜像が形成され得る。
【0023】
帯電部10は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。帯電部10は、感光体ドラム2の表面を一様に負(マイナス極性)又は正(プラス極性)に帯電させる。
【0024】
レーザースキャナーユニット4は、露光ユニットとして機能するものであり、感光体ドラム2の表面から離間して配置される。
【0025】
レーザースキャナーユニット4は、PC(パーソナルコンピューター)等の外部機器から入力された画像情報に基づいて、感光体ドラム2の表面を走査露光することで感光体ドラム2の表面に静電潜像を形成することができる。
【0026】
現像器16は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。現像器16は、感光体ドラム2に形成された静電潜像を単色(通常はブラック)のトナーを用いて現像して、単色のトナー画像を感光体ドラム2の表面に形成する。現像器16は、感光体ドラム2の表面に対向配置された現像ローラー17、トナー攪拌用の攪拌ローラー18等を有している。
【0027】
トナーカートリッジ5は、現像器16に対応して設けられており、現像器16に対して供給されるトナーを収容する。
【0028】
トナー供給部6は、トナーカートリッジ5及び現像器16に対応して設けられており、トナーカートリッジ5に収容されたトナーを現像器16に対して供給する。
【0029】
転写ローラー8は、感光体ドラム2の表面に形成されたトナー画像を用紙Tに転写させる。転写ローラー8は、感光体ドラム2に対して当接した状態で回転可能である。
【0030】
感光体ドラム2と転写ローラー8との間には、転写ニップNが形成される。転写ニップNにおいて、感光体ドラム2に形成されたトナー画像が用紙Tに転写される。
除電器12は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。
ドラムクリーニング部11は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。
【0031】
定着装置9は、用紙Tに転写されたトナー画像を構成するトナーを溶融及び加圧して、用紙Tに定着させる。
定着装置9の詳細については後述する。
【0032】
次に、給排紙部KHについて説明する。
図1に示すように、装置本体Mの下部には、用紙Tを収容する給紙カセット52が配置される。給紙カセット52には、用紙Tが積層された状態で載置される載置板60が配置される。載置板60に載置された用紙Tは、カセット給紙部51により搬送路Lに送り出される。カセット給紙部51は、載置板60上の用紙Tを取り出すための前送りコロ61と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すための給紙ローラー対63とからなる重送防止機構を備える。
【0033】
装置本体Mの上部には、排紙部50が設けられる。排紙部50は、第3ローラー対53により用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。排紙部50の詳細については後述する。
【0034】
用紙Tを搬送する搬送路Lは、カセット給紙部51から転写ニップNまでの第1搬送路L1と、転写ニップNから定着装置9までの第2搬送路L2と、定着装置9から排紙部50までの第3搬送路L3と、第3搬送路L3を上流側から下流側へ搬送する用紙を、表裏反転させて第1搬送路L1に戻す戻し搬送路Lbとを備える。
【0035】
また、第1搬送路L1の途中には、第1合流部P1が設けられている。第3搬送路L3の途中には、第1分岐部Q1が設けられている。第1分岐部Q1は、戻し搬送路Lbが第3搬送路L3から分岐する分岐部で、第1ローラー対54a及び第2ローラー対54bを有する。第1ローラー対54aの一方のローラーと第2ローラー対54bの一方のローラーとは兼用される。
【0036】
第1搬送路L1の途中(詳細には、第1合流部P1と転写ニップNとの間)には、用紙Tを検出するためのセンサー(不図示)と、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正や画像形成部GKにおけるトナー画像の形成と用紙Tの搬送のタイミングを合わせるためのレジストローラー対80とが配置される。
【0037】
第3搬送路L3の用紙搬送方向側の端部には、排紙部50が配置される。排紙部50は、装置本体Mの上部に配置される。排紙部50は、第3搬送路L3を搬送される用紙Tを第3ローラー対53によって装置本体Mの外部に排紙する。
【0038】
排紙部50の開口側には、排紙集積部M1が配置される。排紙集積部M1は、装置本体Mの上面(外面)に設けられている。
なお、各搬送路の所定位置には用紙検出用のセンサー(不図示)が配置される。
【0039】
次に、本実施形態のプリンター1の特徴部分である定着装置9に係る構成について詳細に説明する。図2は、第1実施形態のプリンター1の定着装置9の各構成要素を説明するための断面図である。図3は、図2に示す定着装置9を用紙Tの搬送方向D1から視た図である。図4は、第1実施形態のベルトガイド部材91の構成を示す断面図である。図5は、図4に示すベルトガイド部材91をZ1方向から見た図である。図6は、図4に示すベルトガイド部材91をZ2方向から見た図である。
【0040】
図2に示すように、定着装置9は、加熱回転ベルト9aと、加熱回転ベルト9aに圧接(当接)される加圧回転体としての加圧ローラー9bと、加熱ユニット70と、ベルトガイド部材91と、温度センサー96と、を備える。
【0041】
加熱回転ベルト9aは、その回転軸J1側から見た場合に環状(無端ベルト状)である。加熱回転ベルト9aは、熱容量が小さいベルトである。加熱回転ベルト9aは、後述する加熱ユニット70を用いることで、電磁誘導を利用した電磁誘導加熱(IH;induction heating)により発熱される。
【0042】
加熱回転ベルト9aは、第1周方向R1に直交する方向D2に平行な第1回転軸J1を中心に、第1周方向(回転方向)R1に回転可能である。加熱回転ベルト9aは、第1回転軸J1方向に所定幅を有する。本実施形態では、加熱回転ベルト9aの幅方向、第1周方向R1の接線に直交する直交方向又は第1回転軸J1方向を「用紙幅方向D2」ともいう。用紙幅方向D2と第1回転軸J1方向とは、略一致している。
【0043】
加熱回転ベルト9aの内面側には、後述するベルトガイド部材91が配置される。加熱回転ベルト9aは、所定の張力が付与された状態で、後述する円筒状のベルトガイド部材91に掛け渡される。
ベルトガイド部材91の詳細については後述する。
【0044】
本実施形態では、加熱回転ベルト9aの基材は、ニッケル等の強磁性材料で構成される。加熱回転ベルト9aは、後述する加熱ユニット70の誘導コイル71により発生される磁束が通る領域に配置されると共に、その基材が強磁性材料により構成されることで、加熱ユニット70の誘導コイル71により発生される磁束の磁路を構成する。誘導コイル71により発生される磁束は、磁路を構成する加熱回転ベルト9aに沿って通過する(導かれる)。また、加熱回転ベルト9aは、基材の外周面に形成される弾性層と、弾性層の外周面に形成される離型層と、をさらに有する。
【0045】
本実施形態では、加熱回転ベルト9aの基材の厚さは、誘導コイル71によって発生された磁束が加熱回転ベルト9aを突き抜けるように設定されている。
加熱回転ベルト9aの基材には、加熱回転ベルト9aの基材を突き抜けずに基材に沿って通過する磁束による電磁誘導によって、渦電流(誘導電流)が発生する。基材には、渦電流が流れることで、基材が有する電気抵抗によりジュール熱が発生する。このように、加熱回転ベルト9aの基材は、後述する加熱ユニット70によって電磁誘導を利用した電磁誘導加熱(IH)により発熱される。
【0046】
加圧ローラー9bは、円筒状(円環状)である。加圧ローラー9bは、加熱回転ベルト9aの垂直方向下方側に加熱回転ベルト9aに対向して配置される。加圧ローラー9bは、用紙幅方向D2に平行な第2回転軸J2を中心に、第2周方向R2に回転可能である。第2回転軸J2は、第1回転軸J1に平行である。加圧ローラー9bは、第2回転軸J2方向に長い。
【0047】
加圧ローラー9bは、その外周面が加熱回転ベルト9aの外周面(外面)に当接するように配置される。加圧ローラー9bは、加熱回転ベルト9aを介してベルトガイド部材91(後述)を押圧するように配置される。加圧ローラー9bは、ベルトガイド部材91との間に加熱回転ベルト9aの一部を挟み込んで、加熱回転ベルト9aとの間に定着ニップFを形成する。定着ニップFでは、用紙Tは挟み込むまれると共に、搬送される。
【0048】
加圧ローラー9bは、加圧ローラー本体991と、第2回転軸J2と同軸の一対の軸部材992、992(図2及び図3参照)と、を有する。加圧ローラー本体991は、円筒状の金属部材と、金属部材の外周面に形成される弾性層と、弾性層の外周面に形成される離型層と、を有する。
【0049】
加圧ローラー9bの一方の軸部材992には、加圧ローラー9bを回転駆動させる回転駆動部(不図示)が接続される。この回転駆動部により、加圧ローラー9bが第2周方向R2に所定速度で回転駆動されると共に、加圧ローラー9bの回転に従動して、加圧ローラー9bの外周面に当接する加熱回転ベルト9aが回転される。
【0050】
加熱回転ベルト9aが加圧ローラー9bの回転に従動して回転することにより、定着ニップFに関する加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側で、加圧ローラー9bの回転による張力が加熱回転ベルト9aに作用して、加熱回転ベルト9aの内周面は、ベルトガイド部材91の外周面に密着する。
【0051】
定着ニップFに搬送される用紙Tは、定着装置9の通紙領域内を通過して搬送された場合に、トナー画像が定着される。「通紙領域」とは、用紙Tが定着ニップFに搬送される場合に、定着ニップFに搬送される用紙Tが加熱回転ベルト9aと加圧ローラー9bとに挟まれて通過する領域のことである。また、通紙領域から見て用紙幅方向D2の外側の領域である用紙Tが通過しない領域を「非通紙領域」という。非通紙領域は、複数のサイズの用紙Tに対応して設定される。
【0052】
図3に示すように、用紙幅方向D2の長さが最大の用紙Tが定着ニップFに搬送される場合の通紙領域として、最大通紙領域901を設定する。最大通紙領域901は、プリンター1ごとに設定される。最大通紙領域901の用紙幅方向D2の外側の領域は、最大非通紙領域901dである。
【0053】
また、用紙幅方向D2の長さが最小の用紙Tが定着ニップFに搬送される場合の通紙領域として、最小通紙領域903を設定する。最小通紙領域903の用紙幅方向D2の外側の領域は、最小非通紙領域903dである。
【0054】
また、本実施形態の定着装置9においては、用紙幅方向D2の長さが最大長さよりも短く且つ最小長さ(最小幅)よりも長い長さである中間長さ(中間幅)の用紙Tが定着ニップFに搬送される場合の通紙領域として、中間通紙領域902を設定する。中間通紙領域902の用紙幅方向D2の外側の領域は、中間非通紙領域902dである。
なお、用紙Tの通紙領域は、これに制限されず、各サイズの用紙Tに対応して適宜設定することができる。
【0055】
加熱ユニット70について説明する。図2及び図3に示すように、加熱ユニット70は、誘導コイル71と、磁性体コア部72と、を備える。
誘導コイル71は、加熱回転ベルト9aの外周面から所定距離だけ離間すると共に、加熱回転ベルト9aの外周面に沿って配置される。本実施形態では、誘導コイル71を、あらかじめ線材を巻き回した形状に形成している。誘導コイル71は、その長手方向が用紙幅方向D2と平行になるように加熱ユニット70に配置される。なお、誘導コイル71を、平面視(図2の上方から視た場合)した場合に、用紙幅方向D2に長い形状に線材を巻き回して形成してもよい。
【0056】
誘導コイル71は、用紙幅方向D2において加熱回転ベルト9aの長さよりも長い。誘導コイル71は、加熱回転ベルト9aの垂直方向の上方側の外周面に対向して配置される。誘導コイル71は、用紙幅方向D2に延びる中央領域718を囲むように配置される。中央領域718は、加熱回転ベルト9aの垂直方向の最も上方に位置する部分(搬送方向D1における略中央)の上方で、誘導コイル71の線材が配置されない用紙幅方向D2に長い領域である。
【0057】
誘導コイル71は、誘導コイル71が加熱ユニット70に配置された際に、以下のような配置になるように形成されている。すなわち、誘導コイル71の内周縁(線材711Aが配置されている部位)は、中央領域718を囲む。誘導コイル71を構成する線材は、用紙幅方向D2に延びる。また、誘導コイル71を構成する線材は、誘導コイル71の内周縁から加熱回転ベルト9aの周方向に沿って並ぶ。誘導コイル71の外周縁(線材711Bが配置されている部位)は、加熱回転ベルト9aの外周面に対向する。
本実施形態では、誘導コイル71は、耐熱性の樹脂材料により構成された不図示の支持部材の上に固定される。
【0058】
誘導コイル71は、不図示の誘導加熱用回路部に接続される。誘導コイル71には、誘導加熱用回路部から交流電流が印加される。誘導コイル71は、誘導加熱用回路部から交流電流が印加されることにより、加熱回転ベルト9aを発熱させるための磁束を発生させる。例えば、誘導コイル71には、周波数が30kHz程度の交流電流が印加される。
【0059】
誘導コイル71により発生された磁束は、加熱回転ベルト9a及び磁性体コア部72(後述)により構成された磁束の経路である磁路に導かれる。
【0060】
磁路は、誘導コイル71により発生された磁束が周回方向R3に周回するように、加熱回転ベルト9a及び磁性体コア部72(後述)により構成される。周回方向R3とは、誘導コイル71の内周縁711Aの内側と外周縁711Bの外側とを通り誘導コイル71の線材の部分を囲むように周回する方向である。誘導コイル71により発生された磁束は、磁路を通過する。
【0061】
誘導コイル71により発生される磁束は、誘導加熱用回路部(不図示)から交流電流が印加されるため、交流電流のプラス又はマイナスへの周期的な変動により、その大きさ及び方向が変化する。加熱回転ベルト9aには、この磁束の変化により誘導電流(渦電流)が発生する。
【0062】
磁性体コア部72は、図2に示すように、周回方向R3に周回する磁路を構成する。磁性体コア部72は、誘導コイル71により発生される磁束が通る領域に配置されると共に、主に強磁性材料で構成されているため、誘導コイル71により発生される磁束の経路である磁路を構成する。
【0063】
磁性体コア部72は、図2及び図3に示すように、センターコア部73と、複数のアーチコア部74と、一対のサイドコア部76とを有する。センターコア部73、アーチコア部74及びサイドコア部76は、例えば、強磁性材料であるフェライト粉末を焼結して成形される磁性体コアを主体として構成される。
【0064】
センターコア部73は、図2に示すように、誘導コイル71の内周縁711Aの近傍に配置される。センターコア部73は用紙幅方向D2に視た場合に、加熱回転ベルト9aの垂直方向の上方であり、加熱回転ベルト9aの用紙Tの搬送方向D1の略中央に配置される。すなわち、センターコア部73は、誘導コイル71の内周縁の内側の領域である中央領域718に配置されている。
【0065】
センターコア部73は、後述するアーチコア部74と加熱回転ベルト9aとの間に配置され、後述するアーチコア部74に連結される。センターコア部73は、誘導コイル71を挟まずに加熱回転ベルト9aの外周面から所定距離離間して配置される。センターコア部73の下側の面である対向面731は、加熱回転ベルト9aの上方側の外周面に対向する。
【0066】
センターコア部73は、図3に示すように、用紙幅方向D2に長い略直方体形状であり、最大通紙領域901よりも長い。
センターコア部73は、図2に示すように、磁路の周回方向R3において、アーチコア部74と加熱回転ベルト9aとの間の磁路を構成する。
【0067】
複数のアーチコア部74は、センターコア部73及び誘導コイル71を構成する線材を挟んで加熱回転ベルト9aの外周面に対向して配置される。複数のアーチコア部74は、誘導コイル71から離間して配置される。複数のアーチコア部74は、センターコア部73及び誘導コイル71の上方側の外方において、加熱回転ベルト9aの外周面に沿うように、用紙Tの搬送方向D1の下流側から上流側にわたって一体的に形成されており、アーチ状に延びている。アーチコア部74は、水平部742と、傾斜部743とを有する。
【0068】
複数のアーチコア部74は、図2に示すように、用紙幅方向D2の所定位置に、磁路の周回方向R3に沿ってセンターコア部73に並んで配置される。複数のアーチコア部74は、磁路の周回方向R3において、誘導コイル71に対して加熱回転ベルト9aとは反対側(誘導コイル71の外側)の磁路を構成する。
【0069】
また、複数のアーチコア部74は、図3に示すように、用紙幅方向D2に所定距離だけ離間して配置される。複数のアーチコア部74は、用紙幅方向D2に離間して周回方向R3に周回する複数の磁路を構成する。
【0070】
一対のサイドコア部76は、図2に示すように、磁路の周回方向R3において、加熱回転ベルト9aとアーチコア部74との間の磁路を構成する。一対のサイドコア部76は、磁路の周回方向R3において、複数のアーチコア部74に並んで配置される。
【0071】
一対のサイドコア部76は、誘導コイル71の外周縁711Bの近傍に、誘導コイル71を挟まずに、加熱回転ベルト9aの外周面から所定距離だけ離間して加熱回転ベルト9aの外周面に対向して配置される。
【0072】
一対のサイドコア部76は、用紙幅方向D2に長い略直方体形状で、且つ最大通紙領域901よりも長い。
【0073】
次に、ベルトガイド部材91について詳細に説明する。
ベルトガイド部材91は、図2及び図3に示すように、加熱回転ベルト9aの内面側に配置される。ベルトガイド部材91は、加熱回転ベルト9aの内周面側に加熱回転ベルト9aに沿うように配置される。
【0074】
ベルトガイド部材91は、図2に示すように、用紙幅方向D2に見た場合に、円筒状である。ベルトガイド部材91は、図3に示すように、用紙幅方向D2に長く、最大通紙領域901よりも長い。ベルトガイド部材91は、加熱回転ベルト9aの内周面の少なくとも一部に当接して、誘導コイル71に対して加熱回転ベルト9aを位置決めすると共に、第1回転軸J1を中心に回転する加熱回転ベルト9aの回転をガイドする。
【0075】
ベルトガイド部材91は、加熱回転ベルト9aの回転軸J1を中心に回転可能である。ベルトガイド部材91は、ベルトガイド部材91の端部に固定された不図示の支持回転板が、不図示のガイド回転部により回転駆動されることで回転される。
【0076】
ベルトガイド部材91は、内側円筒部92と、外側円筒部93とを有する。内側円筒部92及び外側円筒部93は、円筒状である。内側円筒部92及び外側円筒部93は、内側円筒部92の外周面が外側円筒部93の内周面に連結された状態で、一体的に構成される。
【0077】
内側円筒部92は、ベルトガイド部材91の内側の円筒状の部分である。内側円筒部92は、強磁性材料であるフェライト粉末を焼結して成形される磁性体コアを主体として構成される。
【0078】
内側円筒部92は、加熱回転ベルト9aの内部の誘導コイル71側(上方側)で、加熱回転ベルト9a及び外側円筒部93を突き抜けた誘導コイル71により発生される磁束の磁路を構成する。内側円筒部92は、加熱回転ベルト9aの内部で、センターコア部73及びサイドコア部76と並んで配置され、センターコア部73とサイドコア部76との間の磁路(図2参照)を構成する。
【0079】
外側円筒部93は、ベルトガイド部材91の外側の円筒状の部分である。外側円筒部93は、内側円筒部92の外側に、内側円筒部92の外周面を覆うように配置される。
【0080】
外側円筒部93は、コイル側部分94と、ニップ側部分95とを有する。
コイル側部分94は、外側円筒部93の誘導コイル71側(上方側)の半円筒状の部分である。ニップ側部分95は、外側円筒部93の加圧ローラー9b側(下方側)の半円筒状の部分である。
【0081】
コイル側部分94は、図4及び図5に示すように、最大通紙コイル側部分A1と、中間通紙コイル側部分B1と、最小通紙コイル側部分C1とを有する。最大通紙コイル側部分A1、中間通紙コイル側部分B1及び最小通紙コイル側部分C1は、加熱回転ベルト9aの回転方向R1に所定幅を有し、コイル側部分94の用紙幅方向D2の全域にわたって配置される。
【0082】
最大通紙コイル側部分A1、中間通紙コイル側部分B1及び最小通紙コイル側部分C1は、加熱回転ベルト9aの回転方向R1に沿って並んで、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側から下流側に向けて、最小通紙コイル側部分C1、中間通紙コイル側部分B1、最大通紙コイル側部分A1の順に連続して配置される。
【0083】
ベルトガイド部材91は、ガイド回転部(不図示)により回転されることで、用紙のサイズに対応する位置に位置される。具体的には、ベルトガイド部材91は、最大通紙コイル側部分A1がセンターコア部73の対向面731(図2参照)に対向する位置と、中間通紙コイル側部分B1がセンターコア部73の対向面731に対向する位置と、最小通紙コイル側部分C1がセンターコア部73の対向面731に対向する位置と、に位置を切り換えることが可能である。
【0084】
最大通紙コイル側部分A1は、用紙幅方向D2の長さが最大の用紙Tが定着ニップFに搬送される場合に、センターコア部73の対向面731に対向させる部分である。中間通紙コイル側部分B1は、用紙幅方向D2の長さが中間の用紙Tが定着ニップFに搬送される場合に、センターコア部73の対向面731に対向させる部分である。最小通紙コイル側部分C1は、用紙幅方向D2の長さが最小の用紙Tが定着ニップFに搬送される場合に、センターコア部73の対向面731に対向させる部分である。
【0085】
最大通紙コイル側部分A1、中間通紙コイル側部分B1及び最小通紙コイル側部分C1は、図5に示すように、最大通紙領域昇温対応部941a、中間通紙領域昇温対応部942a及び最小通紙領域昇温対応部943aと、最大通紙領域昇温対応部941a、中間通紙領域昇温対応部942a及び最小通紙領域昇温対応部943aの用紙幅方向D2の外側に配置される最大非通紙領域遮蔽部941d、中間非通紙領域遮蔽部942d及び最小非通紙領域遮蔽部943dと、を有する。
【0086】
本実施形態では、通紙領域昇温対応部941a、942a、943aは、非磁性材料により構成される。そのため、誘導コイル71により発生されて加熱回転ベルト9aを突き抜けた磁束は、通紙領域昇温対応部941a、942a、943aを突き抜けて、内側円筒部92に到達する。加熱回転ベルト9a及び通紙領域昇温対応部941a、942a、943aを突き抜けた磁束は、内側円筒部92が磁性材料により構成されるため、内側円筒部92に沿って通過する。
【0087】
また、非通紙領域遮蔽部941d、942d、943dは、誘導コイル71により発生した磁束を低減させ又は遮蔽する。そのため、非通紙領域遮蔽部941d、942d、943dは、非昇温対応部を構成する。非通紙領域遮蔽部941d、942d、943dは、図5に示すように、加熱回転ベルト9aの回転方向R1に、最小非通紙領域遮蔽部943d、中間非通紙領域遮蔽部942d、最大非通紙領域遮蔽部941dの順につながっており、用紙幅方向D2に所定の長さを有する階段状に配置される。
【0088】
非通紙領域遮蔽部941d、942d、943dは、非磁性体材料であり、且つ、導電率が高い導電部材により構成される。非通紙領域遮蔽部941d、942d、943dとしては、例えば、無酸素銅などが用いられる。
【0089】
非通紙領域遮蔽部941d、942d、943dは、その面に垂直な磁束が貫通することによる誘導電流で、貫通した磁束に対して逆方向の磁束を発生させる。そして、非通紙領域遮蔽部941d、942d、943dは、錯交磁束(垂直な貫通磁束)をキャンセルする方向の磁束を発生させることで磁路を通過する磁束を低減させ又は遮蔽する。
【0090】
また、通紙領域昇温対応部941a、942a、943aの外面に当接する部分の加熱回転ベルト9aは、発熱されて昇温される。そのため、通紙領域昇温対応部941a、942a、943aは、昇温対応部を構成する。
【0091】
ニップ側部分95は、図4及び図6に示すように、最大通紙ニップ側部分A2と、中間通紙ニップ側部分B2と、最小通紙ニップ側部分C2と、を有する。最大通紙ニップ側部分A2、中間通紙ニップ側部分B2及び最小通紙ニップ側部分C2は、加熱回転ベルト9aの回転方向R1に沿って並んで、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側から下流側に向けて、最小通紙ニップ側部分C2、中間通紙ニップ側部分B2、最大通紙ニップ側部分A2の順に連続して配置される。
【0092】
最大通紙ニップ側部分A2、中間通紙ニップ側部分B2及び最小通紙ニップ側部分C2は、最大通紙コイル側部分A1、中間通紙コイル側部分B1及び最小通紙コイル側部分C1それぞれに対応して配置される。
詳細には、図4に示すように、最大通紙ニップ側部分A2、中間通紙ニップ側部分B2及び最小通紙ニップ側部分C2は、最大通紙コイル側部分A1、中間通紙コイル側部分B1及び最小通紙コイル側部分C1それぞれと、加熱回転ベルト9aの回転軸J1を挟んで対面する位置に配置されている。そのため、最大通紙コイル側部分A1、中間通紙コイル側部分B1及び最小通紙コイル側部分C1がセンターコア部73の対向面731(図2参照)に対向する位置に位置した場合に、同時に、最大通紙ニップ側部分A2、中間通紙ニップ側部分B2及び最小通紙ニップ側部分C2それぞれは、加圧ローラー9bに対向する位置であって定着ニップFを形成する位置に配置される。
【0093】
最大通紙ニップ側部分A2、中間通紙ニップ側部分B2及び最小通紙ニップ側部分C2は、図6に示すように、最大通紙対応部951a、中間通紙対応部952a及び最小通紙対応部953aそれぞれと、最大通紙対応部951a、中間通紙対応部952a及び最小通紙対応部953aの用紙幅方向D2の外側に配置される最大通紙外側部951d、中間通紙外側部952d及び最小通紙外側部953dそれぞれと、を有する。
最大通紙対応部951aは、用紙幅方向D2の長さが最大の用紙Tが定着ニップFに搬送される場合に、定着ニップFを形成する部分である。中間通紙対応部952aは、用紙幅方向D2の長さが中間の用紙Tが定着ニップFに搬送される場合に、定着ニップFを形成する部分である。最小通紙対応部953aは、用紙幅方向D2の長さが最小の用紙Tが定着ニップFに搬送される場合に、定着ニップFを形成する部分である。
【0094】
最大通紙対応部951a、中間通紙対応部952a及び最小通紙対応部953aは、最大通紙領域昇温対応部941a、中間通紙領域昇温対応部942a及び最小通紙領域昇温対応部943aにそれぞれ対応する。最大通紙対応部951a、中間通紙対応部952a及び最小通紙対応部953aは、加熱回転ベルト9aの最大通紙領域901、中間通紙領域902及び最小通紙領域903それぞれと対応している。通紙領域昇温対応部941a、942a及び943aの用紙幅方向D2の長さは、通紙対応部951a、952a及び953aそれぞれの長さと同じである。通紙外側部951d、952d及び953dは、非通紙領域遮蔽部941d、942d及び943dそれぞれに対応する。
【0095】
最大通紙外側部951d、中間通紙外側部952d及び最小通紙外側部953dは、図6に示すように、加熱回転ベルト9aの回転方向R1に、最小通紙外側部953d、中間通紙外側部952d、最大通紙外側部951dの順につながっており、用紙幅方向D2に所定の長さを有する階段状に配置される。
【0096】
また、図6に示すように、ニップ側部分95は、ニップ領域上流部分954を有する。ニップ領域上流部分954は、最小通紙ニップ側部分C2に対して加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側において、最小通紙ニップ側部分C2に連続して配置される。ニップ領域上流部分954は、加熱回転ベルト9aの回転方向R1に所定幅を有し、ニップ側部分95における用紙幅方向D2にニップ側部分95の全幅に等しい長さを有する。
【0097】
最大通紙外側部951d、中間通紙外側部952d、最小通紙外側部953d及びニップ領域上流部分954は、連続して配置されると共に熱伝導率が高い部材である。そのため、最大通紙外側部951d、中間通紙外側部952d、最小通紙外側部953d及びニップ領域上流部分954は、温度が高い側から低い側に速やかに熱が移動される熱移動部955として構成される。
【0098】
具体的には、熱移動部955は、通紙対応部951a、952a、953aの熱伝導率よりも熱伝導率が高い部材により構成される。熱移動部955の熱伝導率は、80W/mK以上であることが好ましい。例えば、熱移動部955の材料としては、鉄(熱伝導率:84W/mK)、アルミニウム(熱伝導率:236W/mK)、銅(熱伝導率:398W/mK)などの金属部材が好ましい。なお、通紙対応部951a、952a、953aの材料としては、例えば、シリコンゴム(熱伝導率:0.16W/mK)等の熱移動部955よりも熱伝導率が低い弾性部材が好ましい。
【0099】
熱移動部955は、以下のようになるように構成される。すなわち、熱移動部955は、定着ニップF(図2参照)に対して、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側に延びる。熱移動部955は、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側に延びる部分において、加熱回転ベルト9aの用紙幅方向D2の内側に延びる。熱移動部955は、加熱回転ベルト9aの用紙幅方向D2の内側に延びる部分が、加熱回転ベルト9aの用紙幅方向D2の両方の外側から内側に延びて、加熱回転ベルト9aの用紙幅方向D2の内側において互いにつながっている。
【0100】
具体的には、熱移動部955は、図6に示すように、加熱回転ベルト9aの非通紙領域に対応する領域に配置される部分、つまり最大通紙外側部951d、中間通紙外側部952d及び最小通紙外側部953dを含む部分であり、且つ、ニップ領域上流部分954を含んでいる。
【0101】
中間通紙外側部952dは、最大通紙外側部951dから伝導される非通紙領域の熱を、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側に移動させる。最小通紙外側部953dは、最大通紙外側部951d及び中間通紙外側部952dから伝導される非通紙領域の熱を、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側に移動させる。ニップ領域上流部分954は、最大通紙外側部951d、中間通紙外側部952d及び最小通紙外側部953dから伝導される非通紙領域の熱を、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側に移動させる。
【0102】
中間通紙外側部952d、最小通紙外側部953d及びニップ領域上流部分954は、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の下流側に隣接して配置される通紙外側部951d、952d、953dそれぞれよりも用紙幅方向D2の内側に延びている。そのため、中間通紙外側部952d、最小通紙外側部953d及びニップ領域上流部分954は、加熱回転ベルト9aの非通紙領域の熱を、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の下流側から上流側に伝導すると共に、上流側に伝達された熱を、用紙幅方向D2の内側にも伝導する。
【0103】
また、ニップ領域上流部分954は、用紙幅方向D2の全域にわたって配置される。そのため、ニップ領域上流部分954は、通紙外側部951d、952d、953dから伝導された熱を、定着ニップFの加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側において、用紙幅方向D2に均一になるように、用紙幅方向D2に伝導させる。ニップ領域上流部分954は、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側において上述のように加熱回転ベルト9aに密着しているので、用紙幅方向D2に均一になるように伝導された熱を、加熱回転ベルト9aに伝導する。これにより、加熱回転ベルト9aの用紙幅方向D2の温度ムラを抑制することができる。
【0104】
通紙対応部951a、952a、953aは、弾性部材により構成される。例えば、通紙対応部951a、952a、953aの材料としては、シリコンゴム等の弾性部材が好ましい。これにより、定着ニップFの用紙Tの搬送方向D1の幅を確保することができると共に定着の際の圧力を安定させることができる。
【0105】
温度センサー96は、加熱回転ベルト9aの外周面の温度を検知する。温度センサー96は、加熱回転ベルト9aの外周面に対向して非接触の状態で配置される。
【0106】
次に、本実施形態の定着装置9を含むプリンター1の動作について説明する。
まず、プリンター1の受け付け部(不図示)は、プリンター1の電源がONの状態の場合に、例えばプリンター1の外部に配置されている操作部(不図示)が操作されたことに基づいて発生する画像が形成される用紙Tのサイズ情報を含む画像形成指示情報を受け付ける。
【0107】
受け付けられた用紙Tのサイズ情報に基づいて、ベルトガイド部材91を、用紙Tのサイズに対応して、最大通紙コイル側部分A1、中間通紙コイル側部分B1又は最小通紙コイル側部分C1のいずれかをセンターコア部73の対向面731に対向させ、且つ、最大通紙ニップ側部分A2、中間通紙ニップ側部分B2又は最小通紙ニップ側部分C2のいずれかを加圧ローラー9bに対向する位置に位置させるように、ベルトガイド部材91を回転させる、又は、ベルトガイド部材91を回転させずに回転位置を維持する。
例えば、中間サイズの用紙Tに印刷する印刷命令を受け付けた場合には、記憶部(不図示)を参照してガイド回転部(不図示)を制御して、中間通紙コイル側部分B1をセンターコア部73の対向面731に対向させることと同時に、中間通紙ニップ側部分B2を加圧ローラー9bに対向するように位置させる。
【0108】
次に、プリンター1は、印刷動作を開始する。
そして、駆動制御部(不図示)への電力の供給が開始されると、回転駆動部(不図示)により加圧ローラー9bが回転駆動される。加圧ローラー9bの回転駆動に伴って加熱回転ベルト9aは、従動して回転される。
【0109】
次に、定着装置9は、発熱動作を開始する。
これにより、誘導コイル71には、誘導加熱用回路部(不図示)から交流電流が印加される。誘導コイル71は、加熱回転ベルト9aを発熱させるための磁束を発生させる。
【0110】
誘導コイル71により発生された磁束は、図2に示すように、一部が加熱回転ベルト9a及び外側円筒部93を突き抜けて内側円筒部92に導かれ、加熱回転ベルト9aを突き抜けない磁束が加熱回転ベルト9aへ導かれる。
加熱回転ベルト9aに導かれた磁束及び内側円筒部92に導かれた磁束は、加熱回転ベルト9a及び内側円筒部92を通り、サイドコア部76において合流される。
【0111】
そして、磁路を通過する磁束の大きさと方向が変化することにより、加熱回転ベルト9aの垂直方向の上方側の部分の基材には、電磁誘導により渦電流(誘導電流)が発生する。加熱回転ベルト9aの基材には、渦電流が流れることで、加熱回転ベルト9aの基材が有する電気抵抗によりジュール熱が発生する。
【0112】
各サイズの用紙Tの非通紙領域においては、誘導コイル71により発生されて加熱回転ベルト9aの基材を突き抜けた磁束は、内側円筒部92に達する前に、外側円筒部93のコイル側部分94の非通紙領域遮蔽部942d(図5参照)を通過する。これにより、外側円筒部93のコイル側部分94の非通紙領域遮蔽部942dは、その面に垂直な磁束が貫通することによる誘導電流によって貫通磁束とは逆方向の向きの磁束を発生させる。
【0113】
そして、非通紙領域遮蔽部942dは、錯交磁束(垂直な貫通磁束)をキャンセルする方向の磁束を発生させることで磁路を通過する磁束を低減させ又は遮蔽する。そのため、内側円筒部92を通過する磁束は、低減され又は遮蔽される。
【0114】
これにより、内側円筒部92を通る磁束の量は、内側円筒部92の非通紙領域遮蔽部942dがない場合よりも減少する。そして、サイドコア部76には、内側円筒部92の非通紙領域遮蔽部942dにより低減され又は遮蔽された内側円筒部92の非通紙領域遮蔽部942dを通る磁束が合流する。
【0115】
次に、加熱回転ベルト9aの回転により、加熱回転ベルト9aの電磁誘導加熱(IH)により発熱された部分は、定着装置9の加熱回転ベルト9aと加圧ローラー9bとにより形成される定着ニップFに向けて順次移動される。定着装置9は、定着ニップFにおいて、所定の温度になるように、誘導加熱用回路部(不図示)を制御している。
【0116】
そして、トナー画像が形成された用紙Tは、定着装置9の定着ニップFに導入される。定着ニップFにおいて、用紙Tに転写されたトナー像を構成するトナーが溶融し、トナーが用紙Tに定着される。
【0117】
用紙Tが通過する通紙領域においては、加熱回転ベルト9aの外周面に用紙Tが接触することにより、加熱回転ベルト9aから熱が奪われる。一方、用紙Tが通過しない非通紙領域においては、加熱回転ベルト9aの外周面に用紙Tが接触しないため、加熱回転ベルト9aの温度が過度に上昇する場合がある。特に小さいサイズの用紙Tが連続して印刷された場合には、非通紙領域が広範囲にわたっており、その広範囲な非通紙領域において加熱回転ベルト9aの温度が過度に上昇しやすくなる。
つまり、小さいサイズの用紙Tを連続して印刷した場合には、加熱回転ベルト9aは、用紙幅方向D2の両端部側では温度が高くなり、用紙幅方向D2の中央部側では温度が低くなる。
【0118】
本実施形態では、ベルトガイド部材91は、熱移動部955を有する。熱移動部955は、定着ニップFに対して加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側に延びる。熱移動部955の熱伝導率は、通紙対応部951a、952a、953aの熱伝導率よりも高い。そのため、用紙幅方向D2の両端部の熱は、定着ニップFよりも加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側に移動される。これにより、加熱回転ベルト9aの非通紙領域の温度が過度に上昇することを低減することができる。
【0119】
また、熱移動部955は、定着ニップFの加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側において、用紙幅方向D2の内側に延びる。そのため、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側に移動された熱は、熱移動部955の用紙幅方向D2の内側に移動される。これにより、加熱回転ベルト9aの非通紙領域の温度が過度に上昇することを低減することができる。
【0120】
また、熱移動部955は、定着ニップFの加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側において、ニップ領域上流部分954を有する。そのため、ニップ領域上流部分954に伝導された熱は、ニップ領域上流部分954の用紙幅方向D2に均一になるように伝導される。また、ニップ領域上流部分954が加熱回転ベルト9aに密着しているので、ニップ領域上流部分954の熱は、加熱回転ベルト9aに伝導される。これにより、加熱回転ベルト9aの用紙幅方向D2の温度ムラを低減することができる。また、小さいサイズの用紙を印刷した後に大きなサイズの用紙を印刷した場合でも、画像オフセットを低減することができ、画像形成不良を低減することができる。
【0121】
第1実施形態のプリンター1によれば、例えば、以下の効果が奏される。
第1実施形態のプリンター1では、加圧ローラー9bと、加圧ローラー9bに対向して配置され加圧ローラー9bの回転によって従動して回転する加熱回転ベルト9aと、誘導コイル71と、誘導コイル71により発生された磁束の磁路を構成する磁性体コア部72と、加熱回転ベルト9aの内面側に配置され加熱回転ベルト9aの回転をガイドするベルトガイド部材91であって、誘導コイル71側に配置され、通紙領域昇温対応部(昇温対応部)941a、942a、943aと、非通紙領域遮蔽部(非昇温対応部)941d、942d、943dとを有するコイル側部分94と、加圧回転体9b側に配置され、用紙Tが通過する通紙領域に対応する通紙対応部951a、952a、953aと、非通紙領域に対応する領域を含む領域に配置され通紙対応部951a、952a、953aの熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する熱移動部955とを有するニップ側部分95と、を有するベルトガイド部材91と、を備える。
そのため、加熱回転ベルト9aの用紙幅方向D2の非通紙領域の熱は、熱移動部955に伝導される。これにより、加熱回転ベルト9aの非通紙領域の温度が過度に上昇することを抑制することができる。
【0122】
また、第1実施形態のプリンター1では、熱移動部955は、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側に延びる。そのため、加熱回転ベルト9aの用紙幅方向D2の非通紙領域の熱は、熱移動部955により、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側に移動される。これにより、加熱回転ベルト9aの非通紙領域の温度が過度に上昇することを抑制することができる。
【0123】
また、第1実施形態のプリンター1では、熱移動部955は、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側に延びる部分において、加熱回転ベルト9aの用紙幅方向D2の内側に延びる。そのため、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側に移動された熱は、用紙幅方向D2の内側に移動される。これにより、加熱回転ベルト9aの端部の温度が過度に上昇することを一層抑制することができる。
【0124】
また、第1実施形態のプリンター1では、熱移動部955は、加熱回転ベルト9aの幅方向の内側に延びる部分が、加熱回転ベルト9aの用紙幅方向D2の両方の外側から内側に向けて延びて互いにつながっている。本実施形態では、熱移動部955は、定着ニップFの加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側において、用紙幅方向D2の全域にわたって配置されるニップ領域上流部分954を有する。そのため、ニップ領域上流部分954に伝導された熱は、ニップ領域上流部分954の用紙幅方向D2に均一になるように伝導される。これにより、加熱回転ベルト9aの非通紙領域の温度が過度に上昇することを低減することができると共に、用紙幅方向D2の温度ムラを低減することができる。
【0125】
また、加熱回転ベルト9aは、加圧ローラー9bの回転に従動して回転する。そのため、ニップ領域上流部分954には、加熱回転ベルト9aの内周面が密着する。これにより、ニップ領域上流部分954の熱は、加熱回転ベルト9aに伝導される。従って、加熱回転ベルト9aの用紙幅方向D2の温度ムラを低減することができる。
【0126】
また、第1実施形態のプリンター1では、ベルトガイド部材91は、用紙Tのサイズに対応して加熱回転ベルト9aの回転方向R1に回転可能である。そのため、用紙Tのサイズに応じた適切な位置にベルトガイド部材91を位置させて、加熱回転ベルト9aの非通紙領域の温度が過度に上昇することを抑制することができる。
【0127】
また、通紙領域昇温対応部941a、942a、943aの用紙幅方向D2の長さと、通紙対応部951a、952a、953aそれぞれの用紙幅方向D2の長さとは、対応している。そのため、通紙領域昇温対応部941a、942a、943aをセンターコア部73に対向する位置させる、及び、通紙対応部951a、952a、953aを定着ニップFを形成する位置に位置させることを同時に行うことができる。これにより、用紙Tのサイズに応じて、加熱回転ベルト9aの通紙領域を加熱することと、加熱回転ベルト9aの非通紙領域の温度の過度の上昇を抑制することとを、効率よく行うことができる。
【0128】
次に、本発明のプリンター1の他の実施形態としての第2実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、第2実施形態の説明にあたって、第1実施形態と同一の構成要件については同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
【0129】
第2実施形態のプリンター1について説明する。図7は、第2実施形態のプリンター1の定着装置9Aの各構成要素を説明するための断面図である。図8は、第2実施形態のベルトガイド部材91Aの構成を示す断面図である。図9は、図8に示すベルトガイド部材91AをZ1方向から見た図である。図10は、図8に示すベルトガイド部材91AをZ2方向から見た図である。
第2実施形態の定着装置9Aは、第1実施形態と比べて、主として、ベルトガイド部材91Aの構成、加熱回転ベルト9aの基材の材質が異なる。
【0130】
本実施形態では、加熱回転ベルト9aの基材は、ポリイミド(PI)により構成される。加熱回転ベルト9aの基材が樹脂材料であるポリイミド(PI)により構成されるため、加熱回転ベルト9aは、誘導コイル71により発生される磁束が通過しても、磁束の磁路を構成せずに、発熱しない。
【0131】
ベルトガイド部材91Aは、図7及び図8に示すように、円筒状である。ベルトガイド部材91Aは、誘導コイル71側に配置される半円筒状のコイル側部分97と、加圧ローラー9b側に配置される半円筒状のニップ側部分98とを有する。なお、第2実施形態の定着装置9Aには、第1実施形態の内側円筒部92に相当するものは存在しない。
【0132】
コイル側部分97は、図8及び図9に示すように、最大通紙コイル側部分A1と、無段階コイル側部分E1とを有する。最大通紙コイル側部分A1及び無段階コイル側部分E1は、加熱回転ベルト9aの回転方向R1に所定幅を有し、コイル側部分94の用紙幅方向D2の全域にわたって配置される。
【0133】
最大通紙コイル側部分A1及び無段階コイル側部分E1は、加熱回転ベルト9aの回転方向R1に沿って並んで、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側から下流側に向けて、無段階コイル側部分E1、最大通紙コイル側部分A1の順に連続して配置される。
【0134】
最大通紙コイル側部分A1及び無段階コイル側部分E1それぞれは、最大通紙領域発熱部971a及び無段階通紙領域発熱部972aと、最大通紙領域発熱部971a及び無段階通紙領域発熱部972aの用紙幅方向D2の外側の最大非通紙領域非発熱部971d及び無段階非通紙領域非発熱部972dとを有する。
【0135】
無段階通紙領域発熱部972aと無段階非通紙領域非発熱部972dとの境界線は、無段階状(直線状)に傾斜している。具体的には、無段階通紙領域発熱部972aと無段階非通紙領域非発熱部972dとの境界線は、無段階コイル側部分E1の加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側の端部における最小通紙領域903の用紙幅方向D2の端部に対応する部分と、無段階コイル側部分E1の加熱回転ベルト9aの回転方向R1の下流側の端部における最大通紙領域901の用紙幅方向D2の端部に対応する部分と、をつないだ直線状である。
【0136】
最大通紙領域発熱部971a及び無段階通紙領域発熱部972aは、磁性体材料により構成される。そのため、最大通紙領域発熱部971a及び無段階通紙領域発熱部972aには、それぞれを通過する磁束による電磁誘導によって、渦電流(誘導電流)が発生する。最大通紙領域発熱部971a及び無段階通紙領域発熱部972aには、渦電流が流れることで、最大通紙領域発熱部971a及び無段階通紙領域発熱部972aが有する電気抵抗によりジュール熱が発生する。このように、最大通紙領域発熱部971a及び無段階通紙領域発熱部972aは、加熱ユニット70によって電磁誘導を利用した電磁誘導加熱(IH)により発熱される。
最大通紙領域発熱部971a及び無段階通紙領域発熱部972aは、昇温対応部として構成される。
【0137】
最大非通紙領域非発熱部971d及び無段階非通紙領域非発熱部972dは、非磁性体材料により構成される。最大非通紙領域非発熱部971d及び無段階非通紙領域非発熱部972dは、非昇温対応部として構成される。
【0138】
ベルトガイド部材91Aは、ガイド回転部(不図示)により回転されることで、用紙のサイズに対応する位置に位置される。具体的には、ベルトガイド部材91は、最大通紙コイル側部分A1がセンターコア部73の対向面731(図2参照)に対向する位置と、無段階コイル側部分E1がセンターコア部73の対向面731に対向する位置とに位置を切り換えることが可能である。
ここで、無段階通紙領域発熱部972aは無段階状に傾斜している。そのため、ベルトガイド部材91Aの回転角度を調整してセンターコア部73の対向面731に対向する位置を変化させることで、用紙幅方向D2の長さが最大の用紙Tから最小の用紙Tまでの範囲で、様々な用紙Tのサイズに対応することができる。
【0139】
ニップ側部分98は、図8及び図10に示すように、最大通紙ニップ側部分A2と、無段階ニップ側部分E2とを有する。最大通紙ニップ側部分A2及び無段階ニップ側部分E2は、加熱回転ベルト9aの回転方向R1に沿って並んで、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側から下流側に向けて、無段階ニップ側部分E2、最大通紙ニップ側部分Aの順に連続して配置される。
【0140】
最大通紙ニップ側部分A2及び無段階ニップ側部分E2は、最大通紙コイル側部分A1及び無段階コイル側部分E1それぞれに対応して配置される。詳細には、図8に示すように、最大通紙ニップ側部分A2及び無段階ニップ側部分E2は、最大通紙コイル側部分A1及び無段階コイル側部分E1それぞれと、加熱回転ベルト9aの回転軸J1を挟んで対面する位置に配置されている。そのため、最大通紙コイル側部分A1及び無段階コイル側部分E1がセンターコア部73の対向面731(図7参照)に対向する位置に位置した場合に、同時に、最大通紙ニップ側部分A2及び無段階ニップ側部分E2それぞれは、加圧ローラー9bに対向する位置であって定着ニップFを形成する位置に配置される。
【0141】
最大通紙ニップ側部分A2及び無段階ニップ側部分E2それぞれは、図10に示すように、最大通紙対応部981a及び無段階通紙対応部982aと、最大通紙対応部981a及び無段階通紙対応部982aの用紙幅方向D2の外側に配置される最大通紙外側部981d及び無段階通紙外側部982dと、を有する。
【0142】
最大通紙対応部981a及び無段階通紙対応部982aは、最大通紙領域発熱部971a及び無段階通紙領域発熱部972aそれぞれに対応する。
最大通紙対応部981a及び無段階通紙対応部982aは、加熱回転ベルト9aの最大通紙領域901及び最大通紙領域901から最小通紙領域903までの領域それぞれに対応している。
【0143】
最大通紙外側部981d及び無段階通紙外側部982dは、図10に示すように、加熱回転ベルト9aの回転方向R1に、無段階通紙外側部982d、最大通紙外側部981dの順につながっており、無段階通紙対応部982a及び無段階通紙外側部982dの境界線は無段階状(直線状)に傾斜している。最大通紙外側部981d及び無段階通紙外側部982dの用紙幅方向D2の長さそれぞれは、用紙幅方向D2における各用紙Tの非通紙領域の長さに対応する。
【0144】
また、図10に示すように、ニップ側部分98は、ニップ領域上流部分984を有する。ニップ領域上流部分984は、無段階ニップ側部分E2に対して加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側において、無段階ニップ側部分E2に連続して配置される。ニップ領域上流部分984は、加熱回転ベルト9aの回転方向R1に所定幅を有し、用紙幅方向D2にニップ側部分98の全幅に等しい長さを有する。
【0145】
最大通紙外側部981d、無段階通紙外側部982d及びニップ領域上流部分984は、連続して配置されると共に熱伝導率が高い部材であって、前述の第1実施形態と同様に、熱移動部985として構成される。熱移動部985は、前述の第1実施形態と同様に、定着ニップFに対して、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側に延びる。熱移動部985は、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側に延びる部分において、加熱回転ベルト9aの用紙幅方向D2の内側に延びる。熱移動部985は、加熱回転ベルト9aの用紙幅方向D2の内側に延びる部分が、加熱回転ベルト9aの用紙幅方向D2の両方の外側から内側に延びて、加熱回転ベルト9aの用紙幅方向D2の内側において互いにつながっている。
【0146】
第2実施形態の定着装置9Aを含むプリンター1を動作させると、加熱回転ベルト9aは発熱せずに、電磁誘導を利用した電磁誘導加熱(IH)により、センターコア部73の対向面731に対向する通紙領域発熱部971a、972aのいずれかが発熱される。通紙領域発熱部971a、972aのいずれかにて発熱された熱は、加熱回転ベルト9aに伝導される。また、通紙領域発熱部971a、972aよりも外側の非通紙領域非発熱部971d、972dは、非通紙領域非発熱部971d、972dが非磁性部材で構成されるため、発熱しない。
【0147】
また、互いに対応する無段階通紙対応部982a及び無段階通紙領域発熱部972aが無段階状に形成されるため、ベルトガイド部材91Aの回転角度を調整することで、様々なサイズの用紙Tに対応して定着動作を行うことができる。
【0148】
また、熱移動部985により、加熱回転ベルト9aの非通紙領域の熱を、加熱回転ベルト9aの回転方向R1の上流側に移動させることができると共に、ニップ領域上流部分984において用紙幅方向D2に均一になるように移動させることができる。
これにより、加熱回転ベルト9aの非通紙領域の温度が過度に上昇することを低減することができると共に、用紙幅方向D2の温度ムラを低減することができる。
【0149】
第2実施形態のプリンター1によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0150】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。
【0151】
本発明の画像形成装置の種類は、特に限定がなく、プリンター以外に、コピー機、ファクシミリ、又はこれらの複合機などであってもよい。
シート状の被転写材は、用紙に制限されず、例えば、フィルムシートであってもよい。
【符号の説明】
【0152】
2……感光体ドラム(像担持体)、8……転写ローラー(転写部)、9……定着装置、9a……加熱回転ベルト、9b……加圧ローラー(加圧回転体)、16……現像器、70……加熱ユニット、71……誘導コイル、72……磁性体コア部、73……センターコア部(第1コア部)、91……ベルトガイド部材、94、97……コイル側部分、95、98……ニップ側部分、941a、942a、943a……通紙領域昇温対応部(昇温対応部)、941d、942d、943d、……非通紙領域遮蔽部(非昇温対応部)、951a、952a、953a……通紙対応部、955……熱移動部、F……定着ニップ、R1……第1周方向(回転方向)、T……用紙(被転写材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧回転体と、
前記加圧回転体に対向して配置される加熱回転ベルトであって、前記加圧回転体との間に定着ニップを形成すると共に、前記加圧回転体の回転によって従動して回転する加熱回転ベルトと、
前記加熱回転ベルトの外面に対向して配置され、磁束を発生させる誘導コイルと、
前記誘導コイルにより発生された磁束の磁路を構成する磁性体コア部と、
前記加熱回転ベルトの内面側に配置され、前記加熱回転ベルトの内面の少なくとも一部に当接して前記加熱回転ベルトを位置決めすると共に前記加熱回転ベルトの回転をガイドするベルトガイド部材であって、
前記誘導コイル側に配置され、昇温対応部と、前記昇温対応部の前記加熱回転ベルトの幅方向の外側の部分である非昇温対応部とを有するコイル側部分と、
前記加圧回転体側に配置され、被転写材が通過する通紙領域に対応する通紙対応部と、前記通紙対応部の外側に配置され前記通紙対応部の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する熱移動部とを有するニップ側部分と、
を有するベルトガイド部材と、を備える
定着装置。
【請求項2】
前記熱移動部は、前記加熱回転ベルトの回転方向の上流側に延びる
請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記熱移動部は、前記加熱回転ベルトの回転方向の上流側に延びる部分で、前記加熱回転ベルトの幅方向の内側に延びる
請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記熱移動部は、前記加熱回転ベルトの幅方向の内側に延びる部分が、前記加熱回転ベルトの幅方向の両方の外側から内側に延びて互いにつながっている
請求項3に記載の定着装置。
【請求項5】
前記ベルトガイド部材は、前記被転写材のサイズに対応して回転可能である
請求項1から4のいずれかに記載の定着装置。
【請求項6】
前記磁性体コア部は、前記誘導コイルの内周縁の近傍に配置され、前記誘導コイルを挟まずに前記加熱回転ベルトの外面から所定距離離間して前記加熱回転ベルトの外面に対向する第1コア部を有し、
前記昇温対応部が前記第1コア部に対向する位置に配置される場合の前記昇温対応部の前記加熱回転ベルトの幅方向の長さと、前記通紙対応部が前記定着ニップを形成する位置に配置される場合の前記通紙対応部の前記加熱回転ベルトの幅方向の長さとは、対応している
請求項1から5のいずれかに記載の定着装置。
【請求項7】
表面に静電潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体に形成された静電潜像をトナー画像として現像する現像器と、
前記像担持体に形成されたトナー画像を直接的又は間接的にシート状の被転写材に転写する転写部と、
請求項1から6のいずれかに記載の定着装置と、を備える
画像形成装置。
【請求項1】
加圧回転体と、
前記加圧回転体に対向して配置される加熱回転ベルトであって、前記加圧回転体との間に定着ニップを形成すると共に、前記加圧回転体の回転によって従動して回転する加熱回転ベルトと、
前記加熱回転ベルトの外面に対向して配置され、磁束を発生させる誘導コイルと、
前記誘導コイルにより発生された磁束の磁路を構成する磁性体コア部と、
前記加熱回転ベルトの内面側に配置され、前記加熱回転ベルトの内面の少なくとも一部に当接して前記加熱回転ベルトを位置決めすると共に前記加熱回転ベルトの回転をガイドするベルトガイド部材であって、
前記誘導コイル側に配置され、昇温対応部と、前記昇温対応部の前記加熱回転ベルトの幅方向の外側の部分である非昇温対応部とを有するコイル側部分と、
前記加圧回転体側に配置され、被転写材が通過する通紙領域に対応する通紙対応部と、前記通紙対応部の外側に配置され前記通紙対応部の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する熱移動部とを有するニップ側部分と、
を有するベルトガイド部材と、を備える
定着装置。
【請求項2】
前記熱移動部は、前記加熱回転ベルトの回転方向の上流側に延びる
請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記熱移動部は、前記加熱回転ベルトの回転方向の上流側に延びる部分で、前記加熱回転ベルトの幅方向の内側に延びる
請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記熱移動部は、前記加熱回転ベルトの幅方向の内側に延びる部分が、前記加熱回転ベルトの幅方向の両方の外側から内側に延びて互いにつながっている
請求項3に記載の定着装置。
【請求項5】
前記ベルトガイド部材は、前記被転写材のサイズに対応して回転可能である
請求項1から4のいずれかに記載の定着装置。
【請求項6】
前記磁性体コア部は、前記誘導コイルの内周縁の近傍に配置され、前記誘導コイルを挟まずに前記加熱回転ベルトの外面から所定距離離間して前記加熱回転ベルトの外面に対向する第1コア部を有し、
前記昇温対応部が前記第1コア部に対向する位置に配置される場合の前記昇温対応部の前記加熱回転ベルトの幅方向の長さと、前記通紙対応部が前記定着ニップを形成する位置に配置される場合の前記通紙対応部の前記加熱回転ベルトの幅方向の長さとは、対応している
請求項1から5のいずれかに記載の定着装置。
【請求項7】
表面に静電潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体に形成された静電潜像をトナー画像として現像する現像器と、
前記像担持体に形成されたトナー画像を直接的又は間接的にシート状の被転写材に転写する転写部と、
請求項1から6のいずれかに記載の定着装置と、を備える
画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−68730(P2013−68730A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206200(P2011−206200)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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