説明

定着部材、定着装置、及び画像形成装置

【課題】表面層の耐久性を損なわずに、記録媒体との剥離性を向上させる定着部材を提供する。
【解決手段】基体と、フッ素樹脂を含有し、表面に高さの平均が10μm以上50μm以下で、高さの平均を該凸部の底面の長さの平均で割った値が、0.5以上5.0以下である凸部が形成された表面層1cとを有する定着部材で、外表面に凸部を形成することにより、トナー像の定着に必要なゴム弾性が維持され、記録媒体との剥離性も維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着部材、定着装置、及び画像形成装置に関する
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真プロセスを利用した複写機等においては、記録シート上に形成された未定着トナー像を定着して永久画像にする定着法として、溶剤定着法、圧力定着法、および加熱定着法が知られており、未定着トナー像の定着には、一般に加熱によってトナーを溶融させ、記録シート(記録媒体)上に融着させる加熱定着法が広く採用されている。
【0003】
従来、加熱定着法に用いる加熱定着装置としては、円筒状芯金の内部にヒーターランプを備え、その外周面に耐熱性離型層を形成した加熱ロールと、この加熱ロール(定着ロール)に対し圧接配置され、円筒状芯金の外周面に耐熱弾性体層を形成した加圧ロールとで構成されており、これら両ロール間に、1kg/cm以上15kg/cm以下、望ましくは3kg/cm以上10kg/cm以下の圧力を印加し、未定着トナー像の形成された普通紙等の支持体を挿通させて定着を行う加熱定着ロール方式のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記の加熱ロールを用いた定着方式に用いる定着ロールは、使用するロール材料により、主に大きく2つに分けられる。すなはち、アルミニウムや鉄等の芯金ロールの上に、プライマーと呼ばれる接着剤を塗布した後、ポリテトラフルオルエチレン(PTFE)や、テトラフルオルエチレンとパーフルオロアルコキシエチレンの共重合体(PFA)等のフッ素樹脂を薄く被覆したフッ素樹脂被覆ロールと、同様に芯金ロールの上にプライマーを介してシリコーンゴム等の弾性層を形成したシリコーンゴムロール、さらにそのシリコーンゴム弾性層の上に離型層としてフッ素ゴムやフッ素樹脂等を薄く被覆したフッ素ゴム被覆ロールやフッ素樹脂被覆ロールとに分けられる。
【0005】
前者は、比較的硬いのでハードロールと呼ばれ、後者は、柔らかく弾性を有するのでソフトロールと呼ばれている。前者は、主に白黒用複写機およびプリンターに使用され、そして後者は、主にカラー用複写機およびプリンター、高画質用白黒複写機等に使用されている。特にカラー画像を形成する場合には、弾性を有するゴムロールは、トナー画像をムラ無く定着させるのに優れているので、シリコンゴムロールやフッ素ゴム、フッ素樹脂等を被覆したソフトロールが採用されている。
【0006】
また、円筒状芯金の内部にヒーターランプを備え、その外周面に耐熱性離型層を形成した加熱ロールと、この加熱ロールに対し圧接配置され、耐熱性樹脂基体の外周面に耐熱性離型層を形成した加圧ベルトとで構成され、これら両ロール間に、1kg/cm以上15kg/cm以下、望ましくは3kg/cm以上10kg/cm以下の圧力を印加し、未定着トナー像の形成された普通紙等の記録媒体を挿通させて定着を行う加熱定着ロール/ベルト方式のものや、耐熱性樹脂基体の外周面に耐熱性弾性層と耐熱性離型層を積層した定着ベルトとこの定着ベルトに対し圧接配置され、円筒状芯金の外周面に耐熱弾性体層を形成した加圧ロールとで構成され、これらベルト/ロール間に、1kg/cm以上15kg/cm以下、望ましくは3kg/cm以上10kg/cm以下の圧力を印加し、未定着トナー像の形成された普通紙等の支持体を挿通させて定着を行う加熱定着ベルト/ロール方式のものが開発、採用されている。
【0007】
上記の加熱定着ロール/ベルト方式や加熱定着ベルト/ロール方式に用いられる定着ロールは、アルミニウムや鉄等の芯金ロールの上に、プライマーを介してシリコンゴム等の弾性層を形成し、さらにそのシリコーンゴム弾性層の上に接着剤を塗布した後、 ポリテトラフルオルエチレン(PTFE)や、テトラフルオルエチレンとパーフルオロアルコキシエチレンの共重合体(PFA)等のフッ素樹脂を薄く被覆したフッ素樹脂被覆ロールが採用されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−221991号公報
【特許文献2】特開2006−52301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、表面層の耐久性を損なわずに、記録媒体との剥離性を向上させる定着部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は下記の本発明により解決した。
即ち、請求項1に係る発明は、
基体と、フッ素樹脂を含有し、表面に凸部が形成された表面層と、を有することを特徴とする定着部材である。
【0011】
請求項2に係る発明は、
前記凸部の高さの平均が10μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の定着部材である。
【0012】
請求項3に係る発明は、
前記凸部の高さの平均を該凸部の底面の長さの平均で割った値((高さの平均)/(底面の長さの平均))が、0.5以上5.0以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着部材である。
【0013】
請求項4に係る発明は、
加熱部材と、前記加熱部材に圧接する加圧部材と、を有し、
前記加熱部材と前記加圧部材とにより加圧領域が形成され、
前記加熱部材及び前記加圧部材の少なくとも一方が、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の定着部材であることを特徴とする定着装置である。
【0014】
請求項5に係る発明は、
像保持体と、該像保持体表面を帯電する帯電手段と、該表面が帯電した像保持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記像保持体表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された未定着のトナー像を記録媒体に定着する定着手段と、を有し、
前記定着手段が請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の定着部材であることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、表面層の表面に凸部が形成されていない場合に比べて、表面層の耐久性を損なわずに、記録媒体との剥離性を向上させる定着部材が提供される。
請求項2および3に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、表面層の耐久性を損なわずに、記録媒体との剥離性を向上させるという効果が顕著になる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、繰り返し使用しても、オフセットによる画像の汚れの発生が抑制される定着装置が提供される。
請求項5に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、繰り返し使用しても、オフセットによる画像の汚れの発生が抑制される画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係る定着装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る定着装置の他の例を示す概略構成図である。
【図3】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図4】本実施形態に係る画像形成装置の他の例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<定着部材>
本実施形態に係る定着部材は、基体と、フッ素樹脂を含有し、表面に凸部が形成された表面層と、を有することを特徴とする。
従来のベルト状あるいはロール状の定着部材は、離型層としてのフッ素樹脂からなる表面層を用いていたが、この場合トナー像の定着に必要なゴム弾性と記録媒体との剥離性とを保つ為に、離型層としてのフッ素樹脂層(表面層)の厚みを薄くし、弾性層の厚みを厚くすると、定着する際の表面層と、記録媒体及びトナーとの摩擦の為に、表面層が摩滅しやすくなってしまう。一方、表面層の摩滅を防ぐ為に、表面層の厚みを厚くすると、ゴム弾性の低下により、トナー像がムラ無く定着されない上に、記録媒体との剥離性が低下してしまう。特にカラートナー像では、高画質への適正が得られない。
【0019】
本実施形態に係る定着部材は、表面層の表面(外表面)に凸部を形成することにより、表面層の厚みを表面層が摩滅しない程度にしても、トナー像の定着に必要なゴム弾性が維持され、記録媒体との剥離性も維持される。その結果、本実施形態に係る定着部材は、表面層の耐久性を損なわずに、記録媒体との剥離性を向上させ、更にトナー像がムラ無く記録媒体に定着される定着部材となる。また、上記のゴム弾性が維持されるという効果は、表面層の下層に弾性層が形成されているとより発揮される。
【0020】
尚、本実施形態における凸部は、高さが10μm以上で、かつ底面の長さが2.0μm以上のものをいう。また、表面層の表面に凸部が形成されているとは、前記表面層の表面1cm当たりに、底面積が0.3cm以上となる凸部が形成されている状態をいう。
【0021】
ここで、凸部の高さ、底面の長さ、個数は以下のように測定する。
(1) 表面層を基体又は下層(弾性層等)から剥離する。
(2) 剥離した表面層を、精密カッターで切断し、突起した部分(以下、単に「突起」といいます。)を採取する。
(3) 電子顕微鏡を用いて、採取した突起の底面(基体側の面)を観察し、底面の長さ及び底面積を測定する。
(4) 更に採取した突起の底面から先端(底面から最も離れた点)までの長さを 電子顕微鏡により測定して、この長さを突起の高さとする。
(5) (1)乃至(4)の測定を少なくとも剥離した表面層の表面10cm以上で実施し、10μm以上で、かつ底面の長さが2.0μm以上の要件を満たす突起(本実施形態における凸部)の底面積を突起の測定を行った面積で割ることにより、1cm当たりの凸部の底面積を求める。
以上の工程は、測定場所が偏らないように行う。
【0022】
本実施形態に係る定着部材は、前記凸部の高さの平均が10μm以上50μm以下であることが好ましく、また、前記凸部の高さの平均を該凸部の底面の長さの平均で割った値((高さの平均)/(底面の長さの平均)、以下「アスペクト比」という場合があります。)が、0.5以上5.0以下であることが好ましく、2.0以上4.0以下であることがより好ましい。アスペクト比が0.5未満であると、記録媒体との剥離性を向上させるという効果が発揮されない場合があり、5.0を超えると、定着される画像への影響が発生する場合がある。
【0023】
前記凸部の高さの平均は、10μm以上50μm以下であることが好ましく、20μm以上40μm以下であることがより好ましい。前記凸部の高さの平均が10μmより低いと、記録媒体との剥離性を向上させるという効果が発揮されない場合があり、50μmより高いと、定着される画像への影響が発生する場合がある。
【0024】
また、前記アスペクト比は、0.5以上5.0以下であることが好ましく、2.0以上4.0以下であることがより好ましい。前記アスペクト比が0.5より小さいと、記録媒体との剥離性を向上させるという効果が発揮されない場合があり、5.0より大きいと、定着される画像への影響が発生する場合がある。
【0025】
ここで、底面の長さについて説明する。本実施形態における凸部は、後述するように、連続している凸部と不連続の凸部とがあり、連続している凸部の場合は、長径(連続している方向)と直行する方向での長さを底面の長さとする。また、不連続の凸部の場合は、底面の円相当径を底面の長さとする。また、測定範囲は、前記(5)と同様に少なくとも剥離した表面層の表面10cm以上で実施する。
【0026】
本実施形態に係る定着部材は、前記表面層の表面1cm当たりの底面積が0.3cm以上0.7cm以下であることが好ましく、0.4cm以上0.6cm以下であることがより好ましい。前記表面層の表面1cm当たりの底面積が0.3cm未満であると、記録媒体との剥離性を向上させるという効果が発揮されない場合があり、0.7cmを超えると、定着画像への影響が発生する場合がある。
【0027】
また、不連続の凸部とは、各凸部が単独で存在している場合をいい、連続している凸部とは、凸部が筋状に連続して形成されている状態をいう。この場合、連続してある方向は、記録媒体との剥離性の確保の点で、定着部材の軸方向に対して、30°以上80°以下であることが好ましく、40°以上70°以下であることがより好ましい。また、軸方向に対する角度が異なる連続している凸部が交差していてもよい。
【0028】
本実施形態に係る定着部材は、表面層の耐久性を損なわずに、記録媒体との剥離性を向上させ、更にトナー像がムラ無く記録媒体に定着されるという効果が顕著になる点で、表面層の硬度がA10以上A100以下であることが好ましく、A30以上A80以下であることがより好ましい。ここで、表面層の硬度は、JIS K6253に準拠し、表面層をデュロメータータイプA(島津製作所製:デュロメータ タイプA)を用いて測定する。
【0029】
前記基体に含まれるフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレン系共重合体(PVdFまたはETFE)が挙げられ、この中でも、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)または、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が好ましい。
【0030】
前記表面層は、フィラーをさらに含んでいてもよい。表面層に配合されるフィラーは、金属酸化物粒子、ケイ酸塩鉱物、カーボンブラック、窒素化合物及びマイカからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
その中でも、より好ましくはBaSO、ゼオライト、酸化ケイ素、酸化スズ、酸化銅、酸化鉄、酸化ジルコニウム、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、窒化珪素、窒化ホウ素、窒化チタン及びマイカからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、更に好ましくは、BaSO、ゼオライト及びマイカからなる群より選ばれる少なくとも1種である。さらにより好ましくは、BaSOあるいはゼオライトであり、特に好ましいのはBaSOである。
【0031】
表面層の膜厚は、1μm以上300μm以下の範囲であることが望ましく、10μm以上100μm以下の範囲であることがより望ましい。表面層の膜厚が1μm未満であると、使用中に表面層が摩滅して、オフセット不良となる場合があり、300μmを超えると、表面層の硬度が上昇することにより定着される画質が不良となる場合がある。
【0032】
本実施形態に係る定着部材における基体の形状、素材等は特に限定されるものではないが、後述の定着装置を構成する加熱部材及び/又は加圧部材として用いる場合、該基体として円筒状芯金又は無端ベルトが用いられる。基体として円筒状芯金を用いると、本実施形態に係る定着部材はロール状の定着部材(定着ロール)となり、基体として無端ベルトを用いると、本実施形態に係る定着部材はベルト状の定着部材(定着ベルト)となる。
【0033】
円筒状芯金としては、金属製パイプを使用する。材質としては、Fe、Al、Cu等が挙げられる。円筒状芯金の外径及び肉厚はその使用目的により選択される。
例えば、定着装置として使用する際の所望ニップ幅に基づいて外径を決定する。また、例えば加熱部材として使用する際には、円筒状芯金の肉厚は加熱部材のウォームアップタイム短縮の観点から、定着装置として使用する際のニップ圧力に耐えうる範囲で最低とすることが望ましい。
【0034】
無端ベルトとしては、該無端ベルトを張架する支持ロールや圧力ロールを巻回するのに適した強度を有するものであればよく、例えば、高分子フィルム、金属フィルム、セラミックスフィルム、ガラス繊維フィルムあるいはこれらいずれか2種以上を複合して得られた複合化フィルムを使用する。
上記の高分子フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル類、ポリカーボネイト類、ポリイミド類、ポリフッ化ビニルやポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマー類、ナイロン等のポリアミド類、ポリスチレンやポリアクリル類、ポリエチレンやポリプロピレン類、ポリ酢酸セルロース類等のセルロース変性物類、ポリサルホン類、ポリキシリレン類、ポリアセタール類等のシート状あるいはクロス状成形物等を挙げることができ、更には汎用高分子シートにフッ素系、シリコーン系、架橋性ポリマー等の耐熱樹脂層を積層して得られた高分子複合化物を挙げることができる。
これらの中でも、無端ベルトは、耐熱性樹脂からなることが好適である。
【0035】
また、この高分子フィルムは、金属、セラミックス等で形成される耐熱層と複合化してもよく、また、内部に粒状、針状、繊維状等のカーボンブラック、グラファイト、アルミナ、シリコーン、カーバイト、ボロンナイトライド等の熱伝導性向上剤を添加したり、必要に応じて内部もしくは表面に導電化剤、帯電防止剤、剥離剤、補強剤等の添加剤を添加、もしくは適用してもよい。
更に、上記の高分子フィルムの他に、例えばコンデンサー紙、グラシン紙等の紙類や、セラミックス系フィルムや、ガラス繊維でクロス状に成形したガラス繊維フィルムや、ステンレスフィルムや、ニッケルフィルム等の金属フィルムが使用する。
【0036】
本実施形態に係る定着部材は、表面層−基体間の接着力を得る為に、基体上に接着剤としてのプライマー層を塗布してもよい。
このプライマーとしては、シラン化合物が代表的で、中でもアルコキシシランが多用
されている。さらに、この界面の接合を強固なものにする為に、接合前に基層表面もしくは被覆層裏面に対し、表面処理がなされることが一般的であり、この表面処理としては、アルカリ処理、超音波処理、エッチング処理等のウェット処理やコロナ処理、プラズマ処理、紫外線(UV)、照射処理、電子線照射処理、レーザー照射処理等のドライ処理あげられ、これらの処理は単独で、もしくは組み合わせて行なわれる。
【0037】
本実施形態に係る定着部材は、後述する加熱部材と加圧部材とにより形成される加圧領域を調節するように、表面層−基体間に弾性層を設けてもよい。弾性層は、シリコーンゴムやフッソゴム等に代表される耐熱性ゴムにより形成してもよい。ここで、弾性層とは、100Paの外力印加により変形しても、もとの形状に復元する材料から構成される層をいう。
【0038】
シリコーンゴムとしては、ビニルメチルシリコーンゴム、メチルシリコーンゴム、フェニルメチルシリコーンゴム、フルオロシリコーンゴムや、それらの複合材料が挙げられる。またフッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン/プロピレン系ゴム、四フッ化エチレン/パーフルオロメチルビニルエーテルゴム、フォスファゼン系ゴム、フルオロポリエーテル等及びその他のフッ素ゴムが使用される。これらは、それぞれ単独で使用してもよく、2種類以上の組み合わせで使用してもよい。
【0039】
弾性層の膜厚は、0.5μm以上500μm以下の範囲であることが望ましく、100μm以上300μm以下の範囲であることがより望ましい。
【0040】
また、弾性層の硬さは、JIS−K6253(1997)に規定されるデュロメータ硬さ試験で、タイプAデュロメータによる硬さがA5以上A40以下の範囲とすることが望ましい。弾性層60の硬さは、積層体から弾性層60を切り出して測定する。
この弾性層60の形成方法としては、リング塗布法、浸漬塗布法、注入成型法等が適用される。
【0041】
本実施形態に係る定着部材は、基体又は弾性層上にフッ素樹脂を少なくとも含むフッ素樹脂塗料を塗布する工程により表面層を形成して製造する。
フッ素樹脂の基体上への塗布方法としては、従来一般的に使用されている方法で、湿式法としてスプレー塗布、ディップ塗布が、乾式法として静電塗布などが用いられる。
【0042】
また、本実施形態に係る定着部材は、あらかじめ化学エッチング法で表面を加工したステンレス製等のロールを、表面層に押し当てることにより、凸部を形成する。
【0043】
本実施形態に係る定着部材は、電子写真用の定着部材は、例えばトナーの離型性に優れているという特徴を有しており、以下の様な種々の分野で利用される。
(1)電子写真複写機を含む画像形成をその目的とするあらゆる装置において、例えば、トナー、インク等の画像形成材料がその表面に付着することにより機能、性能、商品価値が低下するゴムロール、ゴムベルト、ゴムブレード等のゴム材料に応用される。
(2)電子写真複写機を含む一般の事務機あるいはその他の分野において、撥水、撥油が求められるゴム製品、ゴム部品に応用される。
【0044】
<定着装置>
本実施形態に係る定着装置は、加熱部材と、前記加熱部材に圧接する加圧部材と、を有し、前記加熱部材と前記加圧部材とにより形成される加圧領域に、未定着のトナー像を保持する記録媒体を通過させ、熱および圧力によって定着を行い、前記加熱部材及び前記加圧部材の少なくとも一方が、既述の本実施形態に係る定着部材であることを特徴とする。
加熱部材及び加圧部材の少なくとも一方に本実施形態に係る定着部材を用いることにより、繰り返し使用しても、トナー像がムラ無く記録媒体に定着される。
【0045】
以下、本実施形態に係る定着装置を図面を参照しつつ説明するが、本発明は下記実施形態に限定されるものではない。
図1は、本実施形態に係る定着装置の一例である加熱ロール型(ロール・ロール型)定着装置の概略構成図を示す。図1に示す加熱ロール型定着装置は、定着ユニットとして、加熱ロール1及び加圧ロール2が対向して設けられ、圧接して加圧領域が形成されている。
加熱ロール1は、内部にヒーターランプ1dを有する金属製の中空芯金コア1aに弾性体層1b及びフッ素樹脂よりなる表面層1cが順次形成された本実施形態に係るフッ素樹脂被覆部材である。加熱ロール1の外周には、加熱ロール1表面をクリーニングするためのクリーニング装置5と、加熱ロール1表面に補助的な加熱を行う外部加熱装置6と、定着後の記録媒体3を剥離するための剥離爪7と、加熱ロール1表面の温度を制御するための温度センサー8が設けられている。
【0046】
加圧ロール2は、内部にヒーターランプ2dを有する金属製の中空芯金コア2aに弾性体層2bおよび表面層2cが順次形成されてなる。加圧ロール2の外周には、定着後の記録媒体3を剥離するための剥離爪7と、加圧ロール2表面の温度を制御するための温度センサー8が設けられている。
加熱ロール1と加圧ロール2とが形成する加圧領域に、未定着トナー4が形成された記録材3を通過させることで、未定着トナー4が定着される。
【0047】
図1に示す加熱ロール型定着装置においては、加熱ロール1として本実施形態に係る定着部材を用いたが、加圧ロール2に本実施形態に係る定着部材を用いてもよいし、加熱ロール1及び加圧ロール2の両方に本実施形態に係る定着部材を用いてもよい。
【0048】
図2は、本実施形態に係る定着装置の他の例である加熱ロール・ベルト型定着装置の概略構成図を示す。図2に示す加熱ロール・ベルト型定着装置は、加熱ロールと、加熱ロールに圧接する加圧ベルトと、を含む一対の定着ユニットを有し、加熱ロールと加圧ベルトとにより形成される加圧領域に未定着トナー像を保持する記録材を通過させ、熱および圧力によって定着を行なう装置である。
【0049】
図2に示す加熱ロール・ベルト型定着装置は、定着ユニットとして、加熱ロール1および加圧ベルト13が対向して設けられ、加圧ベルト13として本実施形態に係るフッ素樹脂被覆部材が用いられる。加圧ベルト13はその周内部に配置された加圧パッド12(加圧部材)と加圧ロール11(加圧部材)により加熱ロール1に押圧され、圧接してニップが形成されている。加圧パッド12(加圧部材)は加圧ベルト13との加圧部の形状がパッド状である。
【0050】
加圧パッド12は、記録材の進行方向に沿って、異なる硬度の複数の加圧部を有していてもよい。この場合、例えば、片方がゴム状弾性部材からなる加圧部と、もう片方が金属等の硬い圧力付与部材からなる加圧部と、で構成される場合が多く好適である。また、加圧パッド12は、異なる硬度の複数の加圧部で構成される場合、ニップ領域の圧力は記録材突入側より記録材排出側が高くなるほうが、記録材(特に薄い記録材)の剥離性が向上され好適である。例えば、加圧パッド12における記録材突入側の加圧部をゴム状弾性部材から構成させ、記録材排出側の加圧部を金属等の硬い圧力付与部材から構成させることで、好適に、ニップ領域の圧力を記録材突入側より記録材排出側が高くなるようにさせる。
【0051】
加圧パッド12と加圧ベルト13内面との摺動性を向上させる為に、耐熱性樹脂やフッ素樹脂で構成されたシートを摺動シート介して、加圧パッド12を配置してもよい。
【0052】
加熱ロール1は、内部にヒーターランプ1dを有する金属製の中空芯金属コア1aに弾性体層1bおよび表面層1eが順次形成されて構成されている。これらの金属コア1aや、弾性体層1bおよび表面層1eは、従来公知の材料により構成する。
【0053】
加圧ベルト13は、2本の支持ロール10と1本の加圧ロール11とにより張架されており、支持ロール10の一方は内部にヒーターランプ2dを有する。4は、普通紙等の記録材3上に形成された未定着トナー像である。
【0054】
加熱ロール1の周辺には、ロール表面をクリーニングするためのクリーニング装置5、加熱ロール1を表面から加熱するための外部加熱装置6、定着後の用紙を剥離するための剥離爪7、加熱ロール1表面の温度を制御するための温度センサー8が設けられている。
【0055】
図2に示す定着装置では、未定着トナー像4を表面に保持する記録材3が、矢印A方向に、不図示の搬送手段及び加圧ベルト13により搬送されて、矢印B方向に回転駆動される加熱ロール1と、加圧ベルト13とが圧接し形成されたニップ領域に挿通される。この際、記録材3の未定着トナー像4が形成された面と、加熱ロール1の表面とが、向き合うように記録材3が挿通される。このニップ領域を記録材3が通過した際に、熱及び圧力が記録材3に加えられることにより、未定着トナー像4が、記録材3に定着される。定着後の記録材はニップ領域を通過後、剥離爪7により加熱ロール1から剥離され、加熱ロール・ベルト型定着装置から排出される。このようにして定着処理がなされる。
【0056】
図2に示す定着装置においては、加圧ベルト13として本実施形態に係る定着部材を用いたが、加熱ロール1に本実施形態に係る定着部材を用いてもよいし、加熱ロール1及び加圧ベルト13の両方に本実施形態に係る定着部材を用いてもよい。
【0057】
<画像形成装置>
以下、本実施形態に係る定着装置を備えた画像形成装置(本実施形態に係る画像形成装置)について、図面を参照して、説明する。本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、該像保持体表面を帯電する帯電手段と、該表面が帯電した像保持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記像保持体表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された未定着のトナー像を記録媒体に定着する定着手段と、を有し、前記定着手段が既述の本実施形態の定着装置であることを特徴とする
【0058】
図3は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図3に示す画像形成装置200は、電子写真感光体(像保持体)207と、電子写真感光体207を接触帯電方式により帯電させる帯電装置(帯電手段)208と、帯電装置208に接続された電源209と、帯電装置208により帯電される電子写真感光体207を露光して静電潜像を形成する露光装置(潜像形成手段)210と、露光装置210により形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置(現像手段)211と、現像装置211により形成されたトナー像を被転写媒体に転写する転写装置(転写手段)212と、クリーニング装置213と、除電器214と、本実施形態に係る定着装置215とを備える。なお、図3には示していないが、トナーを現像装置211に供給するトナー供給装置も備えている。また除電器214が設けられていなくてもよい。
電子写真感光体207と、帯電装置208と、電源209と、露光装置210と、現像装置211と、転写装置212と、クリーニング装置213と、除電器214と、によりトナー像形成部が構成される。
【0059】
帯電装置208は、電子写真感光体207の表面に導電性部材(帯電ロール)を接触させて感光体に電圧を均一に印加し、感光体表面を帯電させるものである。なお、本実施形態に係る画像形成装置が備える帯電装置は、コロトロン、スコロトロンによる非接触方式のものでもあってもよい。
【0060】
これらの導電性部材を用いて電子写真感光体207を帯電させる際には、導電性部材に電圧が印加されるが、かかる印加電圧は直流電圧、直流電圧に交流電圧を重畳したもののいずれでもよい。なお、本実施形態において示した帯電ロールの他、帯電ブラシ、帯電フィルム若しくは帯電チューブなどを用いて接触帯電方式による帯電を行ってもよい。また、コロトロン若しくはスコロトロンを用いた非接触方式による帯電を行ってもよい。
【0061】
露光装置210としては、電子写真感光体207の表面に、半導体レーザー、LED(light emitting diode)、液晶シャッター等の光源を所望の像様に露光する光学系装置等が用いられる。これらの中でも、非干渉光を露光する露光装置を用いると、電子写真感光体207の導電性基体−感光層間での干渉縞が防止される。
【0062】
現像装置211としては、例えば、磁性若しくは非磁性の一成分系現像剤又は二成分系現像剤等を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置を用いて行う。その現像装置としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択する。
【0063】
転写装置212としては、ローラー状の接触帯電部材の他、ベルト、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、あるいはコロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等が挙げられる。
【0064】
クリーニング装置213は、転写工程後の電子写真感光体の表面に付着した残存トナーを除去するためのもので、これにより清浄面化された電子写真感光体は上記の画像形成プロセスに繰り返し供される。クリーニング装置としては、図示したクリーニングブレードを用いたものの他、ブラシクリーニング、ロールクリーニング等の手法を用いるが、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが好ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
【0065】
本実施形態の画像形成装置は、図3に示したように、除電器(イレーズ光照射装置)214を備える。これにより、電子写真感光体が繰り返し使用される場合に、電子写真感光体の残留電位が次の画像形成サイクルに持ち込まれる現象が防止されるので、画像品質がより高められる。
【0066】
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の他の例を示す概略構成図を示す。図4に示す画像形成装置220は中間転写方式の電子写真装置であり、ハウジング400内において4つの電子写真感光体401a〜401d(例えば、電子写真感光体401aがイエロー、電子写真感光体401bがマゼンタ、電子写真感光体401cがシアン、電子写真感光体401dがブラックの色からなる画像をそれぞれ形成される)が中間転写ベルト409に沿って相互に並列に配置されている。
【0067】
電子写真感光体401a〜401dのそれぞれは所定の方向(紙面上は反時計回り)に回転可能であり、その回転方向に沿って帯電ロール402a〜402d、現像装置404a〜404d、1次転写ロール410a〜410d、クリーニングブレード415a〜415dが配置されている。現像装置404a〜404dのそれぞれにはトナーカートリッジ405a〜405dに収容されたブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナーが供給可能であり、また、1次転写ロール410a〜410dはそれぞれ中間転写ベルト409を介して電子写真感光体401a〜401dに当接している。
電子写真感光体401と、帯電ロール402と、現像装置404と、1次転写ロール410と、クリーニングブレード415と、によりトナー像形成部が構成される。
【0068】
さらに、ハウジング400内にはレーザー光源(露光装置)403が配置されており、レーザー光源403から出射されたレーザー光を帯電後の電子写真感光体401a〜401dの表面に照射することが可能となっている。
これにより、電子写真感光体401a〜401dの回転工程において帯電、露光、現像、1次転写、クリーニングの各工程が順次行われ、各色のトナー像が中間転写ベルト409上に重ねて転写される。
【0069】
中間転写ベルト409は駆動ロール406、ロール408及びロール407により支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく回転されるようになっている。また、2次転写ロール413は、中間転写ベルト409を介してロール408と接するように配置されている。ロール408−2次転写ロール413間を通った中間転写ベルト409は、例えばクリーニングブレード416により清浄面化された後、次の画像形成プロセスに繰り返し供される。
【0070】
また、ハウジング400内には供給装置(記録媒体供給装置)411が設けられており、供給装置411内の紙などの記録媒体500が移送ロール412により中間転写ベルト409−2次転写ロール413間、さらには本実施形態に係る定着装置414に順次移送された後、ハウジング400の外部に排紙される。
【0071】
なお、上述の説明においては中間転写体として中間転写ベルト409を使用する場合について説明したが、中間転写体は、上記中間転写ベルト409のようにベルト状であってもよく、ドラム状であってもよい。
【0072】
なお、記録媒体とは、電子写真感光体上に形成されたトナー像を転写する媒体であれば特に制限はない。例えば、電子写真感光体から直接、紙等の被転写媒体に転写する場合は、紙等が記録媒体である。
【実施例】
【0073】
以下、本実施形態を実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例により限定されるものではない。なお、以下の文中における「部」は、全て「質量部」を示すものとする。
【0074】
以下の実施例及び比較例で用いる定着部材(加熱ロール、加圧ロール、加圧ベルト)は以下の方法により作製した。
[加熱ロール]
チューブ内面に接着用プライマーを塗布した外径50mm、長さ340mm、厚さ30μmのフッ素樹脂チューブと金属製の中空芯金コアを成形金型内にセットし、フッ素樹脂チューブとコア間に液状シリコーンゴム、層厚:3mmを注入後、加熱処理(150℃×2hrs)によりシリコーンゴムを加硫させ、ゴム弾性を有した加熱ロールを作製した。
この加熱ロール表面に、あらかじめ化学エッチング法で表面を加工したステンレス製のロールを押し当てることにより、表1に示す凸部を形成した。
【0075】
[加圧ロール]
チューブ内面に接着用プライマーを塗布した外径50mm、長さ340mm、厚さ30μmのフッ素樹脂チューブと金属製の中空芯金コアを成形金型内にセットし、フッ素樹脂チューブとコア間に液状シリコーンゴム、層厚:2mmを注入後、加熱処理(150℃で2時間)により、シリコーンゴムを加硫させゴム弾性を有した加熱ロールを作製した。
この加熱ロール表面に、あらかじめ化学エッチング法で表面を加工したステンレス製のロールを押し当てることにより、表1に示す凸部を形成した。
【0076】
[加圧ベルト]
外径68mm、長さ340mm、厚さ75μmのポリイミド製エンドレスベルトの表面にプライマーを塗布後、フッ素樹脂ディスパージョン塗料をディップコートにより塗布し、加熱処理(350℃で1時間)によりフッ素樹脂を焼き付けることにより加圧ベルトを作製した。この加圧ベルト表面に、あらかじめ化学エッチング法で表面を加工したステンレス製のロールを押し当てることにより、表1に示す凸部を形成した。
【0077】
<実施例1>
フッ素樹脂としてPTFEを用い、既述の方法により、表1に記載の凸部の形状(連続・不連続の何れか、高さの平均、アスペクト比、表面層の表面1cm当たりの凸部の底面積)、及び表1に記載の表面層の硬度を有する加熱ロールを作製した。
一方、フッ素樹脂としてPTFEを用い、既述の方法により、表1に記載の凸部の形状(連続・不連続の何れか、高さの平均、アスペクト比、表面層の表面1cm当たりの凸部の底面積)、及び表1に記載の表面層の硬度を有する加圧ロールを作製した。
【0078】
作製した加熱ロール及び加圧ロールについて、図1と同様の構成の定着装置に装着した。装着した加熱ロール及び加圧ロール対は、それぞれ内部に800W、700Wのハロゲンランプが設けられており、定着条件は加熱ロールの表面温度:150℃で、設定圧力:33kg/mm、プロセススピード:200mm/secで行い、8mm幅のニップが形成された。この定着装置をDocuCentre Color f450に装着し、トナーとして富士ゼロックス社製オイルレス用カラートナー(シアン色)を使用し、同様に富士ゼロックス社製J紙上に形成された未定着トナー像を加熱ロール1と加圧ロール2によって形成される加圧領域に導入して通過させ、熱および圧力によって定着さる10万枚の連続定着テストを実施した。なお、その際の未定着トナー像のトナー密度は1.2mg/cmであった。
【0079】
(評価)
[紙詰まり評価]
薄紙(薄紙は用紙剥離においてストレスとなる)であるS紙を使用して、何万枚目で用紙(記録媒体)剥離による紙詰まりを起こすか評価した。その結果を表2に示す。尚、表2に「良好」と記載されたものは10万枚目でも紙詰まりを起こさなかったことを示す。
【0080】
[画質評価]
カラー画質評価用の標準パターン(日本画像学会テストチャートNo.5−1)を使用し、オフセットの発生の有無を確認して、10万枚目での画質を評価した。その結果を表2に示す。
【0081】
<実施例2乃至24、比較例1乃至8>
実施例1において、ステンレス製のロールの形状を変更すること以外実施例1と同様にして、表1に記載の凸部の形状(連続・不連続の何れか、高さの平均、アスペクト比、表面層の表面1cm当たりの凸部の底面積)、及び表1に記載の表面層の硬度を有する加熱ロールを作製した。
また、表1に記載の加圧部材の形状の欄にロールと記載されている実施例及び比較例については、フッ素樹脂の種類を表1の表面層の材質の欄に記載の樹脂に変更し、ステンレス製のロールの形状を変更すること以外実施例1と同様にして、表1に記載の凸部の形状(連続・不連続の何れか、高さの平均、アスペクト比、表面層の表面1cm当たりの凸部の底面積)、及び表1に記載の表面層の硬度を有する加圧ロールを作製した。
一方、フッ素樹脂の種類を表1の表面層の材質の欄に記載の樹脂に変更し、表1の加圧部材の形状の欄にベルトと記載されている実施例及び比較例については、ステンレス製のロールの形状を変更し、更に既述の加圧ベルトの作製方法に従って、表1に記載の凸部の形状(連続・不連続の何れか、高さの平均、アスペクト比、表面層の表面1cm当たりの凸部の底面積)、及び表1に記載の表面層の硬度を有する加圧ベルトを作製した。
【0082】
作製した加熱ロールと、加圧ロール又は加圧ベルトとについて、図1と同様の構成の定着装置に装着した。装着した加熱ロール及び加圧ロールロール対は、それぞれ内部に800W、700Wのハロゲンランプが設けられており、定着条件は加熱ロールの表面温度を表1に記載の値にし、設定圧力を表1に記載の値にして、プロセススピード:200mm/secで行った。この定着装置を用いて、実施例1と同様に評価した。その結果を表2に示す。
【0083】
尚、表1の凸部の形状の「連続/不連続」の欄において、連続の後に角度が記載されているものは、定着部材の軸方向に記載の角度で連続した凸部が形成されていることを示す。また、凸部の形状の欄において、「平滑」と記載されたものは、本実施形態における凸部が形成されていないものを示す。
【0084】
【表1】

【0085】
【表2】

【符号の説明】
【0086】
1 加熱ロール
2 加圧ロール
3 記録材
4 未定着トナー
5 クリーニング装置
6 外部加熱装置
7 剥離爪
8 温度センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、フッ素樹脂を含有し、表面に凸部が形成された表面層と、を有することを特徴とする定着部材。
【請求項2】
前記凸部の高さの平均が10μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の定着部材。
【請求項3】
前記凸部の高さの平均を該凸部の底面の長さの平均で割った値((高さの平均)/(底面の長さの平均))が、0.5以上5.0以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着部材。
【請求項4】
加熱部材と、前記加熱部材に圧接する加圧部材と、を有し、
前記加熱部材と前記加圧部材とにより加圧領域が形成され、
前記加熱部材及び前記加圧部材の少なくとも一方が、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の定着部材であることを特徴とする定着装置。
【請求項5】
像保持体と、該像保持体表面を帯電する帯電手段と、該表面が帯電した像保持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記像保持体表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された未定着のトナー像を記録媒体に定着する定着手段と、を有し、
前記定着手段が請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の定着部材であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−223417(P2010−223417A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74799(P2009−74799)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】