説明

定量吸入処方物を産生するためのプロセス

【課題】所望の溶解性、安定性、低毒性、正確な投薬量、的確な粒子サイズ(懸濁液の場合)、および/もしくは一般に使用される定量吸入器のバルブ構造物との適合性を提供するような、喘息の処置用のCFCを含まない処方物、およびそれを生産するプロセスを提供すること。
【解決手段】医薬(好ましくは、フランカルボン酸モメタゾン無水物)の懸濁液または溶液を、定量吸入器コンテナに導入する方法およびこの方法により産生される製品を提供する。上記コンテナは、コンテナに取り付けられたバルブを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への引用)
本出願は、米国仮特許出願第60/406,127号(2002年8月27日出願)および同第60/422,436号への優先権を主張する。両仮特許出願は、本明細書中において、参考として援用される。
【0002】
(背景技術)
定量吸入器は、気管支拡張性化合物およびステロイド性化合物を喘息患者に送達するため、ならびにペンタミジンおよび非気管支拡張性抗炎症薬のような他の化合物を送達するために広く使用されたきている、効果的な経口および鼻腔送達システムであった。この様式で投与された化合物は活性が迅速に開始し、および有意な副作用が全くないことにより、多くの化合物がこの経路での投与のために処方されている。代表的には、薬物は、適切な蒸気圧を有しかつ経口もしくは鼻腔投与に適切である、1つ以上の噴霧剤を一般的に含む噴霧システムによって、患者に送達される。噴霧システムは、代表的にはCFC噴霧剤11、CFC噴霧剤12、CFC噴霧剤114、もしくはそれらの混合物を含んだ。しばしば、噴霧システムの蒸気圧は、より揮発性の低い液体賦形剤をその噴霧剤に混合することによって調整される。
【0003】
しかし、噴霧剤CFC11、CFC12、およびCFC114は、クロロフルオロカーボンとして知られる化合物のクラスに属する。このクロロフルオロカーボンは、大気中のオゾンの減少に関連している。オゾンが特定の有害なUV線をブロックすること、従って、結果として大気中のオゾン含有量の減少が、皮膚がんの発生を増加させることが推定されている。1970年代に、エアロゾルからのCFCの放出を減少させるため、ある措置が取られた。炭化水素のような他の噴霧剤が使用されたか、または生成物が異なる様式で送達された。医療用用途におけるCFCの使用が相対的に低い(すなわち、総CFC放出量の1%より少ない)ため、ならびに定量吸入器に関する健康上の利益のため、その時には、定量吸入器内のCFC噴霧剤の使用を制限するような措置は取られなかった。
【0004】
しかし、継続的かつより洗練されたオゾン測定法は、以前のCFC使用制限が不十分であったこと、そしてCFC放出を大きく減らすためには、付加的な、有意義な措置が取られるべきであることを指摘した。CFC生産が事実上中止されるべきであるという提言がなされた。結果として、中長期でCFC噴霧剤を使用し続けることは不可能である可能性がある。一方で、非加圧式定量吸入器を使用するために、いくつかの努力がなされてきたが、それらの機器の多くが完全には成功しなかった。これらに関連する性能上の問題のいくつかは:均一の投薬量の送達、機械的複雑さ、エアロゾルコンテナ1単位当たりに必要な投薬量を提供する能力、厳重な規制標準を満たす能力、その吸入器が、個人にとって利用することが困難であり得ること、ならびに、特に患者が薬剤に対する緊急の必要性を有している場合、患者にとって使用するには大容量であるか、および/もしくは扱いにくいこと、である。
【0005】
結果として、加圧式エアロゾル処方物(例えば、実質的にCFCを含まない定量吸入器)に対する必要性がある。非CFC噴霧剤システムは加圧式定量吸入器としてのいくつかの基準を満たさなければならない。それらは無毒性で、安定で、かつバルブ/作動器内の医薬および他の主成分に対して非反応性でなければならない。適切であると見られている1つの噴霧剤は、CFCHFCFである。これらはまた、HFA227、HFC227、もしくは1,1,1,2,3,3,3ヘプタフルオロプロパンとしても知られている。別のそのような定量吸入器で使用するための噴霧剤は、CFCHFである。これらはまた、1,1,1,2−テトラフルオロエタンもしくはHFA134aとしても知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
薬剤を含む定量吸入器に使用される密閉容器(canister)の充填プロセスは、代表的に、密閉容器を充填するために2段階プロセスを採用する。そのようなプロセスの1つにおいて、薬物、界面活性剤(すなわち、オレイン酸)、および非揮発性の賦形剤(すなわち、エタノール)は、第1の段階でコンテナに充填され、そして第2の段階で噴霧剤がそのコンテナに加えられる。CFC噴霧剤処方物においては、代表的に、界面活性剤はより揮発性の低い噴霧剤(すなわち、P−11)と混合され、次いでより揮発性の高い噴霧剤がバルブを通して加えられる。
【0007】
モメタゾン(mometasone)MDI−APは、以前はそのような従来の加圧充填プロセスを用いて製造されてきた。このプロセスは、2段階プロセスである。第1段階においては、薬物は、代表的に「濃縮物」と呼ばれる、均質のよく分散された懸濁液を生成するため、オレイン酸およびアルコールと混合される。必要な量の濃縮物は、開いた缶へと充填される。第2段階においては、次いでバルブがその缶に圧着され、そして噴霧剤(HFA227)がそのバルブを通してその缶へと充填される。この処方物の重大な欠点は、この2段階製造プロセスが、代表的な製造および充填操作中に濃縮物が充填される間に、薬物の粒子サイズの増大をもたらしたことである。微粒子のサイズは、エアロゾル懸濁液の肺のより深い通路への送達のために、必須である。加えて、これはより正確でない充填方法である。薬物濃縮物は、代表的に5%より少ない処方物を含み、そして、これらの低い濃度での正確な充填に関する問題が生じ得る。
【0008】
しかし、上記の特定の組合せは、所望の溶解性、安定性、低毒性、正確な投薬量、的確な粒子サイズ(懸濁液の場合)、および/もしくは一般に使用される定量吸入器のバルブ構造物との適合性を提供し得ない可能性がある。従って、上述の弱点を被らないような、喘息の処置用のCFCを含まない処方物、およびそれを生産するプロセスに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本発明は、以下を提供する。
(項目1)フランカルボン酸モメタゾン無水物の懸濁液または溶液を定量吸入器コンテナに導入するためのプロセスであって、該コンテナは、該コンテナに取り付けられたバルブを有し、該方法は、以下
a)フランカルボン酸モメタゾン無水物、界面活性剤およびクロロフルオロカーボンを含まない噴霧剤を、加圧下で保持される容器に導入して、懸濁剤または溶液を形成する工程;
b)該懸濁液または溶液を、充填ヘッドを備えるラインを通して該容器から循環させる工程;
c)該充填ヘッドを、該定量吸入器コンテナの該バルブを介して該定量吸入器コンテナと連絡させる工程;
d)一定量のこのような懸濁液または溶液を、該定量吸入器コンテナの該バルブを通して、該ラインの該充填ヘッドから該コンテナ内へと導入する工程;
e)該定量吸入器コンテナから該充填ヘッドを取り外す工程;ならびに
f)該定量吸入器コンテナに封をする工程
を包含する、プロセス。
(項目2)項目1に記載のプロセスにより産生される製品。
(項目3)前記クロロフルオロカーボンを含まない噴霧剤が、HFA227およびHFA134aからなる群から選択される、項目1に記載のプロセス。
(項目4)前記フランカルボン酸モメタゾン無水物が微粉化されており、かつ、該フランカルボン酸モメタゾン無水物の少なくとも90%が10μm未満の粒子サイズを有する、項目1に記載のプロセス。
(項目5)フランカルボン酸モメタゾン無水物およびフマル酸フォルモテロールの懸濁液または溶液を定量吸入器コンテナに導入するためのプロセスであって、該コンテナは、該コンテナに取り付けられたバルブを有し、該方法は、以下
a)フランカルボン酸モメタゾン無水物、フマル酸フォルモテロール、界面活性剤およびクロロフルオロカーボンを含まない噴霧剤を、加圧下で保持される容器に導入して、懸濁剤または溶液を形成する工程;
b)該懸濁液または溶液を、充填ヘッドを備えるラインを通して該容器から循環させる工程;
c)該充填ヘッドを、該定量吸入器コンテナの該バルブを介して該定量吸入器コンテナと連絡させる工程;
d)一定量のこのような懸濁液または溶液を、該定量吸入器コンテナの該バルブを通して、該ラインの該充填ヘッドから該コンテナ内へと導入する工程;
e)該定量吸入器コンテナから該充填ヘッドを取り外す工程;ならびに
f)該定量吸入器コンテナに封をする工程
を包含する、プロセス。
(項目6)項目5に記載のプロセスにより産生される製品。
(項目7)前記クロロフルオロカーボンを含まない噴霧剤が、HFA227およびHFA134aからなる群から選択される、項目5に記載のプロセス。
(項目8)前記フランカルボン酸モメタゾン無水物およびフマル酸フォルモテロールが微粉化されており、かつ、該フランカルボン酸モメタゾン無水物およびフマル酸フォルモテロールの少なくとも90%が10μm未満の粒子サイズを有する、項目5に記載のプロセス。
(項目9)前記定量吸入器コンテナの作動の際に、1用量あたり、約100μg〜約200μgのフランカルボン酸モメタゾン無水物と、約6μg〜約12μgのフマル酸フォルモテロールが調合される、項目6に記載の製品。
(項目10)フランカルボン酸モメタゾン無水物、フマル酸フォルモテロールおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される化合物の懸濁液または溶液を定量噴霧コンテナに導入するためのプロセスであって、該コンテナは、該コンテナに取り付けられたバルブを有し、該方法は以下、
a)該化合物、界面活性剤およびクロロフルオロカーボンを含まない噴霧剤を、加圧下で保持される容器に導入して、懸濁剤または溶液を形成する工程であって、該圧力が、約30psi以上である、工程;
b)該懸濁液または溶液を、充填ヘッドおよび二重ダイヤフラムポンプを備えるラインを通して該容器から循環させる工程;
c)該充填ヘッドを、該定量吸入器コンテナの該バルブを介して該定量吸入器コンテナと連絡させる工程;
d)一定量のこのような懸濁液または溶液を、該定量吸入器コンテナの該バルブを通して、該ラインの該充填ヘッドから該コンテナ内へと導入する工程;
e)該定量吸入器コンテナから該充填ヘッドを取り外す工程;ならびに
f)該定量吸入器コンテナに封をする工程
を包含する、プロセス。
(項目11)項目10に記載のプロセスにより産生される製品。
(項目12)前記クロロフルオロカーボンを含まない噴霧剤が、HFA227およびHFA134aからなる群から選択される、項目10に記載のプロセス。
(項目13)前記化合物が微粉化されており、かつ、該化合物の少なくとも90%が10μm未満の粒子サイズを有する、項目10に記載のプロセス。
(項目14)フランカルボン酸モメタゾン無水物、フマル酸フォルモテロールおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される化合物の懸濁液または溶液を定量噴霧コンテナに導入するためのプロセスであって、該コンテナは、該コンテナに取り付けられたバルブを有し、該方法は以下、
a)該化合物、界面活性剤およびクロロフルオロカーボンを含まない噴霧剤を、加圧下で保持される容器に導入して、懸濁剤または溶液を形成する工程であって、該圧力が、約10psi〜約15psiである、工程;
b)該懸濁液または溶液を、充填ヘッドおよび二重ダイヤフラムポンプを備えるラインを通して該容器から循環させる工程;
c)該充填ヘッドを、該定量吸入器コンテナの該バルブを介して該定量吸入器コンテナと連絡させる工程;
d)一定量のこのような懸濁液または溶液を、該定量吸入器コンテナの該バルブを通して、該ラインの該充填ヘッドから該コンテナ内へと導入する工程;
e)該定量吸入器コンテナから該充填ヘッドを取り外す工程;ならびに
f)該定量吸入器コンテナに封をする工程
を包含する、プロセス。
(項目15)項目14に記載のプロセスにより産生される製品。
(項目16)フランカルボン酸モメタゾン無水物、フマル酸フォルモテロールおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される化合物の懸濁液または溶液を定量噴霧コンテナに導入するためのプロセスであって、該コンテナは、該コンテナに取り付けられたバルブを有し、該方法は以下、
a)該化合物、界面活性剤およびクロロフルオロカーボンを含まない噴霧剤を、加圧下で保持される容器に導入して、懸濁剤または溶液を形成する工程であって、該圧力が、約0psi〜約10psiである、工程;
b)該懸濁液または溶液を、充填ヘッドおよび二重ダイヤフラムポンプを備えるラインを通して該容器から循環させる工程;
c)該充填ヘッドを、該定量吸入器コンテナの該バルブを介して該定量吸入器コンテナと連絡させる工程;
d)一定量のこのような懸濁液または溶液を、該定量吸入器コンテナの該バルブを通して、該ラインの該充填ヘッドから該コンテナ内へと導入する工程;
e)該定量吸入器コンテナから該充填ヘッドを取り外す工程;ならびに
f)該定量吸入器コンテナに封をする工程
を包含する、プロセス。
(項目17)項目16に記載のプロセスにより産生される製品。
【0010】
(発明の要旨)
従って、本発明は、フランカルボン酸モメタゾン(mometasone furoate)無水物の懸濁液もしくは溶液を定量吸入器コンテナへ導入するためのプロセスに関する。このコンテナは、それに取付けられたバルブを有し、この方法は、以下:a)懸濁液もしくは溶液を生成するため、フランカルボン酸モメタゾン無水物、界面活性剤、およびクロロフルオロカーボンを含まない噴霧剤を、加圧下におかれた容器内へ導入する工程;b)この懸濁液もしくは溶液を、この容器から充填ヘッドを備えるラインを通して循環させる工程;c)この充填ヘッドを、この定量吸入器コンテナのバルブを通して、この定量吸入器コンテナへ連絡するように導く工程;d)ある量のこのような懸濁液もしくは溶液を、このラインの充填ヘッドからこの定量吸入器コンテナのバルブを通して、このコンテナ内へ導入する工程;e)この充填ヘッドを、この定量吸入器コンテナから取り外す工程;ならびに、f)この定量吸入器コンテナに封をする工程、を包含する。本発明はまた、前述の方法によって生産された製品に関する。
【0011】
本発明はまた、フランカルボン酸モメタゾン無水物およびフマル酸フォルモテロールの懸濁液もしくは溶液を定量吸入器コンテナに導入するためのプロセスに関する。このコンテナは、それに取付けられたバルブを有し、この方法は、以下:a)懸濁液もしくは溶液を生成するため、フランカルボン酸モメタゾン無水物、フマル酸フォルモテロール、界面活性剤、およびクロロフルオロカーボンを含まない噴霧剤を、加圧下におかれた容器内へ導入する工程;b)この懸濁液もしくは溶液を、この容器から充填ヘッドを備えるラインを通して循環させる工程;c)この充填ヘッドを、この定量吸入器コンテナのバルブを通して、この定量吸入器コンテナへ連絡するように導く工程;d)ある量のこのような懸濁液もしくは溶液を、このラインの充填ヘッドからこの定量吸入器コンテナのバルブを通して、このコンテナ内へ導入する工程;e)この充填ヘッドを、この定量吸入器コンテナから取り外す工程;ならびに、f)この定量吸入器コンテナに封をする工程、を包含する。
【0012】
フランカルボン酸モメタゾン無水物の懸濁液もしくは溶液を定量吸入器コンテナに導入するためのプロセスもまた、開示される。このコンテナは、それに取付けられたバルブを有し、この方法は、以下:a)懸濁液もしくは溶液を生成するため、フランカルボン酸モメタゾン無水物、界面活性剤、およびクロロフルオロカーボンを含まない噴霧剤を、加圧下におかれた容器内へ導入する工程であって、ここで、この圧力が約30psiより大きい、工程;b)この懸濁液もしくは溶液を、この容器から充填ヘッドおよび二重ダイアフラムポンプを備えるラインを通して循環させる工程;c)この充填ヘッドを、この定量吸入器コンテナのバルブを通して、この定量吸入器コンテナへ連絡するように導く工程;d)ある量のこのような懸濁液もしくは溶液を、このラインの充填ヘッドからこの定量吸入器コンテナのバルブを通して、このコンテナ内へ導入する工程;e)この充填ヘッドを、この定量吸入器コンテナから取り外す工程;ならびに、f)この定量吸入器コンテナに封をする工程、を包含する。
【0013】
フランカルボン酸モメタゾン無水物、フマル酸フォルモテロール、およびそれらの組合せからなる群から選択された化合物の懸濁液もしくは溶液を、定量吸入器コンテナに導入するためのプロセスを導入するためのプロセスもまた、開示される。このコンテナは、それに取付けられたバルブを有し、この方法は、以下:a)懸濁液もしくは溶液を生成するため、フランカルボン酸モメタゾン無水物、フマル酸フォルモテロール、およびそれらの組合せ、界面活性剤、およびクロロフルオロカーボンを含まない噴霧剤を、加圧下におかれた容器内へ導入する工程であって、ここで、この圧力が約10psi〜約15psiである、工程;b)この懸濁液もしくは溶液を、この容器から充填ヘッドおよび2つのダイアフラムポンプを備えるラインを通して循環させる工程;c)この充填ヘッドを、この定量吸入器コンテナのバルブを通して、この定量吸入器コンテナへ連絡するように導く工程;d)ある量のこのような懸濁液もしくは溶液を、このラインの充填ヘッドからこの定量吸入器コンテナのバルブを通して、このコンテナ内へ導入する工程;e)この充填ヘッドを、この定量吸入器コンテナから取り外す工程;ならびに、f)この定量吸入器コンテナに封をする工程、を包含する。
【0014】
フランカルボン酸モメタゾン無水物の懸濁液もしくは溶液を、定量吸入器コンテナに導入するためのプロセスもまた、開示される。このコンテナは、それに取付けられたバルブを有し、この方法は、以下:a)懸濁液もしくは溶液を生成するため、フランカルボン酸モメタゾン無水物、界面活性剤、およびクロロフルオロカーボンを含まない噴霧剤を、加圧下におかれた容器内へ導入する工程であって、ここで、この圧力が約0psi〜約10psiより大きい、工程;b)この懸濁液もしくは溶液を、この容器から充填ヘッドおよび1つのダイアフラムポンプを備えるラインを通して循環させる工程;c)この充填ヘッドを、この定量吸入器コンテナのバルブを通して、この定量吸入器コンテナへ連絡するように導く工程;d)ある量のこのような懸濁液もしくは溶液を、このラインの充填ヘッドからこの定量吸入器コンテナのバルブを通して、このコンテナ内へ導入する工程;e)この充填ヘッドを、この定量吸入器コンテナから取り外す工程;ならびに、f)この定量吸入器コンテナに封をする工程、を包含し、そしてこれによって、製品が生産される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
本発明に従って、定量吸入器処方物は、製造/充填工程における薬物粒子サイズの増大が排除される新しいプロセスを利用して製造される。
【0016】
本発明の1つの実施形態、この新しいプロセス、において、全処方物、薬物/オレイン酸/アルコール/HFA227は、圧力下で蓋によって覆われた1つの混合容器内で混合される。この加圧された容器は、ガス状の噴霧剤を液体状態で存在させる。次に、液体形態の処方物は(一部のHFA227はガス状であり得る)、あらかじめ圧着されたバルブを含む空の定量吸入器密閉容器のバルブを通して1段階で充填される。
【0017】
本発明の別の実施形態においては、新しいプロセスはまた、従来の2段階製造プロセスで見られる粒子サイズ増大と比較して、定量吸入器処方物中の薬物の粒子サイズ増大の著しい減少をもたらした。
【0018】
この新しいプロセスは、その新しいプロセスに関連するよりよい充填耐性に起因する、生成物の品質の改善を提供する。加えて、新しいプロセスはまた、a)1つの充填ステーション、b)濃縮物およびきちんとした噴霧剤サンプルの検査が不要、のような操作の改善をもたらす。
【0019】
最も好ましくは、本発明に従って、少なくとも1つの薬理学的に活性な薬剤もしくは薬理学的に活性な薬物を含む投薬システムは、肺を含む呼吸器系に投与され得る物質である。例えば、本発明に従う薬物は、それが肺を通して血流に吸収されるように投与され得る。
【0020】
特に好ましいコルチコステロイドは、フランカルボン酸モメタゾン、ELOCON(登録商標)ローション剤、クリーム、および軟膏、ならびにNASONEX(登録商標)鼻用スプレーの活性成分である。これは、化学名9,21−ジクロロ−11(β),17−ジヒドロキシ−16(α)−メチルプレグナ(methylpregna)−1,4−ジエン−3,20−ジオン17−(2フランカルボン酸)、を有する抗炎症用のコルチコステロイドである。フランカルボン酸モメタゾンは、他の活性成分および/またはそれらの組合せが本発明の範囲内において使用され得るにもかかわらず、好ましい活性成分である。フランカルボン酸モメタゾンは、実験式C273012を有する白色の粉末である。これは、実際的に水に不溶であり;メタノール、エタノール、およびイソプロパノールにわずかに溶け;アセトンおよびクロロホルムに可溶であり;そしてテトラヒドロフランに大量に溶ける。モメタゾンは、種々の水和物形態、結晶形態、および鏡像異性体形態、例えば一水和物として存在し得る。この製品は、Schering−Plough Corporation,Kenilworth,New Jerseyから入手可能である。
【0021】
本発明に従う好ましい薬理学的活性成分としては、例えば、(例えば、フマル酸塩もしくは酒石酸塩である)フォルモテロール(eフォルモテロール(eFormoterol)としても知られる)もまた挙げられる。これは、気管支拡張効果を有する高選択的な持続性のβ−アドレナリン作動性アゴニストであり、種々の起源の可逆性の閉塞性肺疾患、特に喘息状態の処置に有効である。
【0022】
別の特に好ましいβ−アゴニストは硫酸アルブテロールである。PROVENTIL(登録商標)HFA(硫酸アルブテロール)Inhalation Aerosolの活性成分は、硫酸アルブテロール、USPラセミ酸(α)[(tert−ブチルアミノ)メチル]−4−ヒドロキシ−m−キシレン−(α),(α)’−ジオール硫酸(2:1)(塩)であり、これは、比較的選択的であるβ−アドレナリン作動性気管支拡張剤である。硫酸アルブテロールは、米国における公式の一般名である。その薬物に対する世界保健機関の推奨名は硫酸サルブタモールである。硫酸アルブテロールは、白色もしくはオフホワイト色の結晶固形物である。これは、水に不溶であり、そしてエタノールにわずかに溶ける。PROVENTIL(登録商標)HFA Inhalation Aerosolは、経口吸入のための加圧式定量エアロゾル装置である。これは、噴霧剤HFA−134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)、エタノールおよびオレイン酸中に、硫酸アルブテロールの微結晶性の懸濁液を含有する。PROVENTIL(登録商標)HFAは、Schering−Plough Corp.,Kenilworth,New Jerseyから入手可能である。
【0023】
これらの化合物のいくつかは、薬理学的に受容可能なエステル、塩、溶媒和物(例えば、水和物)、または、もしあればそのようなエステルもしくは塩の溶媒和物の形態で投与され得る。この用語はまた、ラセミ混合物および1つ以上の光学異性体の両方を含むことを意味される。
【0024】
処方物がCFCを含まない加圧式エアロゾル処方物であるべきことが好ましい。非CFC噴霧剤システムは、加圧式定量吸入器のいくつかの基準を満たさなければならない。それらは無毒性で、安定で、かつバルブ/作動器内の医薬および他の主成分に対して非反応性でなければならない。本発明における使用のために適切であると見られている1つの噴霧剤は、CFCHFCFである。これらはまた、HFA227、HFC227、もしくは1,1,1,2,3,3,3ヘプタフルオロプロパンとしても知られているが、本明細書中において、以降は、HFA227とする。本発明における使用のための別のそのような噴霧剤は、CFCHFである。これらはまた、1,1,1,2−テトラフルオロエタンもしくはHFA134aとしても知られているが、本明細書中において、以降は、HFA134aとする。
【0025】
喘息のような下部呼吸器系障害を処置するために適切な本発明の処方物においては、薬物の少なくとも実質的な部分が、呼吸可能なサイズ(例えば、最大の寸法が約0.5μm〜約10μm)を有する懸濁された粒子として存在する。鼻炎のような上部呼吸器系障害を処置するために適切な処方物においては、多少はより大きな薬物粒子が許容され得るが、依然として前記のサイズ範囲が好ましい。
【0026】
本発明の処方物を生産するプロセスは、薬理学的に活性な薬剤、好ましくはフランカルボン酸モメタゾン無水物、必要に応じて液体賦形剤、および必要に応じて界面活性剤(しかしこれらに限定されない)と組合わせて、噴霧剤HFA227もしくはHFA134a、またはそれらの組合せを利用する。賦形剤は、医薬の噴霧剤への適合を容易にし、そして流出する圧力を許容できる範囲(すなわち、絶対値約2.76〜5.52×10ニュートン/m(40〜80psi)、好ましくは絶対値約3.45〜4.83×10ニュートン/m(50〜70psi))に低下させる。選ばれる賦形剤は、医薬に非反応性でかつ相対的に無毒性でなければならず、そして絶対値約3.45×10ニュートン/m(50psi)より低い蒸気圧を有するべきである。
【0027】
本明細書中において使用される用語「中鎖脂肪酸」とは、COOH基で終わり、6〜12個の炭素原子(好ましくは8〜10個の炭素原子)を有するアルキル基の鎖を指す。用語「短鎖脂肪酸」とは、COOH基で終わり、4〜8個の炭素原子を有するアルキル基の鎖を指す。用語「アルコール」は、メタノール、エタノールおよびイソプロパノールのようなC〜Cアルコールを含む。
【0028】
好ましい賦形剤としては:商品名Miglyol840(Huls America、Inc.Piscataway、N.J.製)として入手可能な中鎖脂肪酸のプロピレングリコールジエステル;商品名Miglyol812(Huls製)として入手可能な中鎖脂肪酸(medium chain fatty adds)のトリグリセリドエステル;商品名Vertrel245(E.I.DuPont de Nemours and Co.Inc.Wilmington,Del.製)として入手可能なパーフルオロジメチルシクロブタン;商品名オクタフルオロシクロブタン(PCR Gainsville,Fla.製)として入手可能なパーフルオロシクロブタン;商品名EG400(BASF Parsippany,N.J.製)として入手可能なポリエチレングリコール;メントール(Pluess−Stauffer International Stanford,Conn.製);商品名ラウログリコール(Gattefosse Elmsford、N.Y.製)として入手可能なプロピレングリコールモノラウレート;商品名Transcutol(Gattefosse製)として入手可能なジエチレングリコールモノエチルエーテル;商品名Labrafac Hydro WL 1219(Gattefosse製)として入手可能な中鎖脂肪酸(medium chain fatty adds)のポリグリコール化したグリセリド;エタノール、メタノール、およびイソプロパノールのようなアルコール;(Pluses−Stauffer Internationalより)入手可能なユーカリオイル;ならびにそれらの混合物、が挙げられる。
【0029】
界面活性剤は、医薬と噴霧剤との間の表面張力および界面張力を低下させるため、必要に応じて加えられ得る。医薬、噴霧剤および賦形剤が懸濁液を生成する場合、界面活性剤は必要とされても、または必要とされなくてもよい。医薬、噴霧剤および賦形剤が溶液を生成する場合、特定の医薬および賦形剤の溶解性に一部依存して、界面活性剤は必要であっても、または必要でなくてもよい。界面活性剤は、医薬に対して反応性でなく、かつ医薬、賦形剤および噴霧剤の間の表面張力を実質的に減少させ、かつ/または実質的にバルブ潤滑剤として作用する、任意の適切な無毒性の化合物であり得る。
【0030】
界面活性剤はまた、薬物の安定な懸濁を維持すること、および計量バルブ(metering valve)を潤滑することを補助することのような目的のために、頻繁に、エアロゾル処方物中に含まれ得る。本発明の処方物は、薬物が、処方物中で緩い綿状沈殿物(floccule)を形成し、アルコールが存在する場合に沈降する傾向もクリーム状になる(cream)傾向も示さないため、素早い分散性(例えば、使用直前の穏やかな攪拌によって)の維持のために界面活性剤を必要としない。分配されていない保管において、薬物粒子は、アルコールが存在する場合に綿状沈殿化した状態において懸濁を維持する。
【0031】
好ましい界面活性剤としては、商品名オレイン酸NF6321(Henkel Corp.Emery Group、Cincinnati、Ohio製)の下で入手可能なオレイン酸;塩化セチルピリジニウム(Arrow Chemical,Inc.Westwod,N.J.製);商品名Epikuron200(Lucas Meyer Decatur,III.製)の下で入手可能なダイズレシチン;商品名Tween20(ICI Specialty Chemicals,Wilmington,Del.製)の下で入手可能なポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート;商品名Tween60(ICI製)の下で入手可能なポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート;商品名Tween80(ICI製)の下で入手可能なポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート;商品名Brij76(ICI製)の下で入手可能なポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテル;商品名Brij92(ICI製)の下で入手可能なポリオキシエチレン(2)オレイルエーテル;商品名Tetronic150R1(BASF製)の下で入手可能なポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−エチレンジアミンブロックコポリマー;商品名Pluronic L−92、Pluronic
L−121およびPluronic F68(BASF製)の下で入手可能なポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックコポリマー;商品名Alkasurf CO−40(Rhone−Poulenc Mississauga Ontario,Canada製)の下で入手可能なヒマシ油エトキシレート;ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0032】
フランカルボン酸モメタゾンは、エタノールにわずかに可溶性である。エタノールに可溶性を有する他の薬物を用いる場合、フランカルボン酸モメタゾンがエタノール含有処方物中で結晶の増大を示す傾向がある。薬物粒子サイズの増大を促進しない処方パラメータが公知である。これらのパラメータは、必要なエタノール濃度を最小限にするという利点を提供して、不快な味覚についての可能性を減少し、子供および低いアルコール許容度を有する他の人による使用のためにより適切な組成物を与える。エタノールの特定の最小レベルは、定量ディスペンサーからの薬物の一貫しかつ予測可能な送達を提供するために好ましい。この最小レベルは、総処方物の約1重量パーセントであり、これは、わずかに受容可能な薬物送達を生じる。増加した量のエタノールは、一般的に、薬物送達特性を改善する。
【0033】
しかし、処方物中での薬物結晶の増大を予防するために、エタノールの濃度を制限することが好ましい。実験データは、エタノールの重量に対するフランカルボン酸モメタゾンの重量の比が、粒子サイズの増加を予防することにおいて重要であることを示す。
【0034】
利用可能な計量バルブ送達容積は、1回の作動当たり約25マイクロリットルから約100マイクロリットルまでの範囲であるが、特定の状態を処置するために1回の用量で必要とされる製剤原料(drug substance)の量は、一般的には、1回のバルブ作動当たり約10マイクログラム〜約500マイクログラムである。これらの組み合わされた2つの因子は、所定の処方物について上記のエタノールパラメーターのうちの要点を決定する制限をもたらす。このような量の決定は、当業者の技術範囲内である。
【0035】
活性な化合物が懸濁液を形成する場合、粒子サイズは、実質的に好ましくはすべての粒子が約0.1ミクロン〜25ミクロン、好ましくは0.5ミクロン〜10ミクロン、より好ましくは1ミクロン〜5ミクロンの間の範囲で、相対的に均一であるべきである。25ミクロンよりも大きい粒子は口腔咽頭腔内で進行を遮られ得、一方、約0.5ミクロンよりも小さい粒子は吐き出される傾向が強く、その結果、患者の肺に到達しないため、好ましくは利用されない。
【0036】
本発明の処方物は、従来の充填機器を使用してエアロゾル容器中に充填され得る。噴霧剤227および134は、本発明のエアロゾルバルブアセンブリで現在利用されるすべてのエラストマー化合物とは適合し得ないため、他の物質(例えば、白ブナゴム)で置き換えるか、あるいは賦形剤および必要に応じてバルブ構成要素における噴霧剤227または134の悪影響を緩和する界面活性剤を利用する必要があり得る。
【0037】
特定の適用に依存して、容器は、単回投薬または複数回投薬のための所定量の処方物で充填され得る。代表的には、この容器は、複数回投薬用の大きさに設定されるため、送達される処方物が、各々の投薬について実質的に均一であることが非常に重要である。例えば、処方物が、気管支拡張症用である場合、この容器は、代表的には、200回分の充填に十分な量の処方物で充填される。
【0038】
適切な懸濁液は、部分的には、処方物のいくつかの物理学的特性(すなわち、粒子の凝集速度、凝集体のサイズおよび粒子のクリーム状化/沈降の速度)を観察すること、およびこれらの特性を許容標準(acceptable standard)と比較することによってスクリーニングされ得る。このように、適切な溶液は、推奨される保管温度範囲の全体にわたって医薬の溶解度を測定することによって、スクリーニング/評価され得る。
【0039】
本発明の懸濁液は、好ましくは、当該分野で公知の圧力充填手順または冷却充填手順(cold filling)のいずれかによって調製され得る。定量吸入器について、懸濁液は、有効性および安定性を考慮して特に好まれ得る。
【0040】
当業者は、処方物の特性に依存して、1種以上の防腐剤、緩衝液、抗酸化剤、甘味料および/もしくは香料、または他の味覚マスキング剤を選択して、添加し得る。
【0041】
本発明のプロセスおよびそれによって生成される製品は、処方中に遭遇される安定性の問題(すなわち、調合/充填中の結晶の増大)を克服する。単段階での噴霧剤の添加は、薬学的活性剤(active)、特にフランカルボン酸モメタゾン無水物を含む活性剤の結晶の増大を和らげる。なぜなら、濃縮物における溶解度が、最終処方物における溶解度よりも非常に大きいからである。高い比率の薬物が溶解される懸濁液は、Ostwald
Ripeningとして公知の現象によって、粒子サイズの増大を示す傾向を有する。
【0042】
さらに、このプロセス自体は、非常に強力なプロセスであり、再現可能(reproducible)である。各々のバッチについての製品の粒子サイズ分布は再現可能であり、そして各々の成分の充填重量は、各々の密閉容器において同一である。実際には、活性剤の粒子サイズは、プロセスの全体にわたって維持され、このことは、患者に投与されるべき最終生成物として極めて重要であり、そして吸入のために10ミクロン未満での粒子サイズの均一性が、非常に重要である。別の追加される利点は、製剤粒子サイズに対する製剤原料粒子サイズの良好な線形関係によって実証されるように、PSDについての優れたプロセス能力(相関係数0.98)である。そして、これはバッチ含量の均一性、再現可能性、粒子サイズ分布、および薬物含量の均一性の範囲内で、バッチ間および単位間の両方についてのストリンジェントなFDA要件に適合する。
【0043】
本発明は、さらに、懸濁したフランカルボン酸モメタゾン製剤原料の粒子サイズを制御することによる、単独かまたは他の製剤原料(例えば、フマル酸フォルモテロール)と組み合わせてのいずれかの、フランカルボン酸モメタゾンMDI経口用懸濁液およびフランカルボン酸モメタゾンMDI経鼻用懸濁液の、粒子サイズの均一性および処方物の安定性の両方に関する質の向上に関する。フランカルボン酸モメタゾンMDIについて、製剤の品質が、懸濁した製剤原料の粒子サイズ範囲と結び付けられることが見出されている。製品の品質と、この製品中に懸濁される対応する製剤原料のサイズ範囲における減少との順位相関が存在する。高い比率の大きい結晶(10ミクロンより大きい粒子サイズを有する結晶)を含有する製剤原料は、時間および温度と共に、受容不可能な粒子の増大を有する製品を生成することが決定された。しかし、製剤原料の粒子サイズが10ミクロンより小さい場合には、時間および温度と共に、顕著に驚くほど改善されかつ安定な粒子サイズプロフィールを有する均一に懸濁した薬物粒子を有する製品が生成されることが見出されている。
【0044】
フランカルボン酸モメタゾンを含有する経口MDIの場合、1回の作動強度当たりの100マイクログラムについて受容可能な生成物プロフィールの例は、(2回の作動用量について)Andersonカスケードインパクターおよび1リットル注入口を使用して、以下に与えられる:
第1群−注入口+0段階目=9〜14μg
第2群−1段階目+2段階目=18〜19μg
第3群−3段階目+4段階目=131〜132μg
第4群−5段階目−フィルター=26〜27μg
第5群−合計薬物回収=194〜198μg
%良質粒子(3段階目−フィルター)=79〜82%。
【0045】
製剤中に含有される懸濁したフランカルボン酸モメタゾン薬物のサイズは、以下の方法において制御され得る。第一に、製剤原料は、バッチ製品を生成する前により効率的に製粉され得る。これは、微粉化供給速度を減少させる工程、遠心分級を使用してより大きい粒子を除去する工程、および物質が微粉化装置(micronizer)(すなわち、二重微粉化)中に送られるサイクル数を増加させる工程を包含し得る。あるいは、この製剤原料は、バッチ製品を生成して(すなわち、超臨界流体技術を含む)均一に小さい製剤原料粒子を作成する前に、噴霧乾燥され得る。また、この製造方法は、種々の方法(すなわち、バッチ製品の温度を減少させること、薬物濃縮物を調製するために使用されるアルコールのレベルを減少させること、および/またはホモジェナイズする時間を減少させること)によって改変され得る。最後に、製剤原料粒子サイズを制御する他のプロセス(例えば、界面活性剤または他の粒子サイズ成長遅延アプローチを使用すること)は、当該分野で公知である。本発明のこの局面は、化合物に特異的でもなければもっぱらフランカルボン酸モメタゾンにも関連しない。これはまた、物質が液体培地中に懸濁される他の系にも適用する。
【0046】
本発明の種々の実施形態に関する上記の記載は、本発明の種々の局面の代表的なものであり、開示される詳細な形態を網羅するものでも限定するものでもないことが意図される。多くの変形および改変が、疑う余地なく当業者の考えにより想到される。本発明の範囲が、もっぱら添付の特許請求の範囲によって、完全に規定されることが意図される。
【実施例】
【0047】
(実施例1)
調合領域は、好ましくは、70°F以下の室温かつ60%RH以下の湿度レベルであるべきである。調合タンクは、最低限100psigに調整された圧力であるべきであり、そして圧力が100psigを超える場合に内容物のゆっくりとした放出を可能にする安全バルブを備えるべきである。
【0048】
約90%のアルコールを、適切な前混合容器中にチャージする。この前混合容器の内容物を、0±5℃まで冷却する。オレイン酸を、この前混合容器中にホモジェナイズ(Silverson、留置)しながらチャージする。秤量容器を、残りのアルコール(約10%)でリンスし、このリンス液を前混合容器中にホモジェナイズしながら加える。約5分間またはオレイン酸が完全に溶解するまでホモジェナイズする。
【0049】
微粉化した無水モメタゾンホロエートを、この前混合容器中にチャージし、約5分間または均一かつ滑らかな懸濁液が生成するまで高速でホモジェナイズ(Silverson、留置)する。この容器中に残った無水モメタゾンホロエートの重量を、バッチにチャージした後、決定する。この重量が理論上の活性剤のバッチチャージのうちの0.5%よりも大きい場合には、追加の活性剤(容器に残った量に対して当量)をバッチに加える。
【0050】
次に、前混合容器の内容物を、調合タンク中にチャージする。この調合タンクを完全に密閉する。密閉したタンクに、保全性を試験したフィルター(例えば、O−リングをカプセル化したテフロン(登録商標)を有するMillipore製のAerventカートリッジフィルター)を通して濾過したHFA227をチャージする。
【0051】
適切な攪拌機(プロペラ攪拌機)を用いて攪拌を開始し、充填操作の期間中継続する。エアロゾル充填器(Pamasol)を通して生成物の循環を開始し、調合タンクの温度を充填操作の期間の間、冷凍(約0±10℃)で維持する。
【0052】
缶の上にバルブをはめ、クリンプ(crimp)する。このバルブクリンプの高さの指針は、5.7±0.1mm(Socogeゲージにより測定)であるべきである。このバルブクリンプの直径は、17.7±0.1mm(マイクロメーターにより測定)であるべきである。この範囲は、当業者に公知のように変化し得る。定期的に測定し、必要な調整を行って推奨される指針値に到達させる。各々の缶に必要な製品の重量を計る。製品の充填重量を定期的に点検し、必要な調整を行ってインプロセス管理限界(in−process control limit)に到達させる。
【0053】
バッチ製造の完了の際に、缶(500個中少なくとも1缶)を55〜60℃の水浴中に5〜10分間浸すことによって、漏出試験を行う。漏出試験を行ったサンプルは、漏出または持続性の変形を示すべきではない。この漏出試験において、漏出または持続性の変形が観察されるバッチのいかなる部分も廃棄する。この漏出試験は、49 CFR 173.306(b)(3)に従った。
【0054】
噴霧試験の前に、缶を最低限10日間貯蔵(lagger)する。貯蔵の完了の際に、缶を当業者に公知の手順に従って、噴霧試験(最低限3作動/缶)および缶の秤量を行う。
【0055】
(実施例2)
初めに、製品充填重量要件を満たすために、最低限30psiの圧力を、製品調合容器内で維持しなければならないことを決定した。この圧力は、二重ピストンPamasolポンプの適切な操作のために必要であり、このPamasolポンプは、製品を調合タンクからPamasol充填器へ移す。
【0056】
この系における30psiの圧力は、生成容器の温度を10℃より高くまで増加させることによって得られ得る。これにより、混合容器の頭隙への噴霧剤(すなわち、HFA−227)の蒸発が生じ、これは、一連の充填操作中により顕著になる、すなわち生成物の除去に起因して容器中の頭隙が増加する。従って、噴霧剤濃度が減少するにつれて、生成物中の他の成分の濃度が対応して増加し、生成物の規格を満たし得ないレベルをもたらす。
【0057】
本発明の別の実施形態において、蒸発が製品の品質に影響を及ぼすのに有意に十分である時点で、噴霧剤をバッチに再チャージし得る。このアプローチは、バッチ製造に対して追加の工程を加えるが、加えられるレベルが制御困難でありかつ時間を消費するプロセスであるため、より小さい強さのプロセスもまたもたらし得る。
【0058】
容器中で30psiの圧力を有することの代替的手段は、同時に、温度を噴霧剤の蒸発を回避するのに十分なほど低くすることを可能にする一方で、高圧気体(すなわち、窒素、圧縮空気など)を製品の調合容器中にチャージすることである。このアプローチは、多くの欠点(例えば、製品中の増加したレベルの水の導入、空気に対する薬物分解および湿気に敏感な化合物および液体中に捕獲された気体のポケット(すなわち、気泡)の形成が挙げられる)を有し、これらの欠点は、異常な用量送達をもたらし得る。
【0059】
本発明は、実質的には、従来のPamasol 1段階充填操作の改善であり、製品が低い圧力(30psiよりはるかに小さい)で再現可能に充填されることを可能にし、このようにして上記の課題を解決する。本発明の1つの局面において、充填ラインを通じて再循環を維持する間に、調合タンクからのエアロゾル処方物の充填のための単一ポンプ系または二重ポンプ系の使用が存在する。これらのポンプは、以下のように機能する:タンク中の圧力が0〜10psiである場合には、単一ポンプを使用する。このポンプは、Versa−Matic Double Diaphragmポンプとして利用可能である。圧力が10psiよりも大きく依然として15psiよりも小さい場合について、代替的ポンプは、Versa−Matic Double DiaphragmポンプまたはPamasol Double Diaphragmポンプである。この二重系におけるポンプおよびタンクの順序は重要であり、以下の順序であるべきである。調合タンク、次いでVersa−Matic Double Diaphragmポンプ、Pamasol Double Diaphragmポンプ、そして最後にPamasolフィラー。本発明のこの局面は、2つのポンプの能力を維持する圧力、およびPamasolフィラーについての圧力要件によって指示される。
【0060】
両方のポンプ系は、別個か組み合わせてかのいずれでも(例えば、Versa−Matic Double Diaphragmポンプを利用する単一ポンプ系、ならびにVersa−Matic Double DiaphragmポンプとPamasol Double Diaphragmポンプとを利用する二重ポンプ系)、圧力を30psiより大きく維持する。この圧力は、エアロゾル缶中への再現可能な充填のために、ならびに充填ラインを通じての適切な再循環のために、Pamasol充填器によって必要とされる。
【0061】
この新しい系を用いて、製品充填重量要件が満たされ、バッチ収量が90%を超える。
【0062】
従って、本発明の1つの局面において、以下の手順が実行されている。初めに、調合容器、二重ピストンポンプ、Pamasolフィラーおよびすべてのラインを、窒素で約15分間フラッシングする。その後、真空によりすべての気体を排出させる。深冷器を作動させ、温度を約−20℃に設定する。すべての成分を、完全に密閉したエアロゾル調合容器中にチャージすることによって、エアロゾルバッチを調合する。生成物を冷却しながらこの成分の混合を開始する。調合容器の下部バルブを開き、生成物の再循環を開始し、調合容器の圧力が約5psi以下になるまで、二重ピストンポンプを通じて調合容器に戻す。ポンプを停止し、容器の戻りラインを取り外す。このラインをPamasolフィラーの入口に接続し、Pamasolフィラーの出口を調合容器の入口に接続する。生成物の再循環を開始し、蒸気圧が約3psi以下に到達するまで行う。約16g+/−0.3グラムの充填重量で、15mlのエアロゾル密閉容器を充填する。バッチの初期、中期、終期から10個の缶の重量を点検する。
【0063】
以下の結果を、以下に示すように得た。
【0064】
(表1)
【0065】
【表1】

【0066】
充填プロセスの全体にわたり、バッチの初期では調合容器を3psiにて−11.1℃の温度で操作し、プロセスの中期では調合容器を0.5psiにて−12.5℃の温度で操作し、そしてプロセスの終期では調合容器を0psiにて−13.3℃の温度で操作した。
【0067】
(実施例3)
本発明の別の局面は、新規の1段階充填方法および十分に混合した懸濁液の分散系(例えば、エタノール/オレイン酸懸濁培地中のフランカルボン酸モメタゾン)の製造方法/調合方法として規定され、このフランカルボン酸モメタゾンに、少量の噴霧剤(例えば、HFA−227、HFA−134a、CFC11.12、114)を、加圧した調合容器中で最終重量まで連続的に加える。
【0068】
本発明の基礎は、液相から気相への噴霧剤の漸次的損失(すなわち、蒸発)を補填および予防するための、気化噴霧剤または液体噴霧剤の連続添加である。この蒸発は、一連の充填中に生じ、そして最終生成物中の活性製剤原料、フランカルボン酸モメタゾンの濃度の漸次的増加をもたらす。この噴霧剤の損失は、液相および気相の組成物が同一ではないという事実によって駆動される。この蒸気は、より揮発性の成分(噴霧剤)においてより豊富になり、従って、このより揮発性の成分のモル分率が気相中でより高くなり、一方で、液相中でのこの噴霧剤のモル分率が減少し、このようにして、活性製剤原料およびエタノール/オレイン酸混合物の濃度が増加する。噴霧剤損失は、最終生成物の最終収量における減少(懸濁液の充填されない最後の部分に起因して約30%損失まで)をもたらす。このことは、非常に低い充填温度の維持(すなわち、(蒸発を減少させるための)冷却充填であり、これは、追加の技術およびプロセス化の困難性をもたらす)を必要とし得る。
【0069】
以下のアプローチは、蒸発性損失について補填するための噴霧剤添加のために適用され得る:(1)噴霧剤を、約30℃で維持し、そして一定の速度で調合容器に連続的に(蒸気として)添加する;(2)この噴霧剤蒸気生成はまた、液体噴霧剤を保持減圧容器に移すことによって達成され得、ここで、この液体噴霧剤は、拡散が可能にされ、従って蒸発が可能にされる。次いで、この減圧噴霧剤蒸気は、上記で詳述したように懸濁液調合容器に添加され得る;最後に(3)この噴霧剤はまた、バッチ製造の充填プロセスの全体にわたって、液体として添加され得る。
【0070】
すべての3つのアプローチは、懸濁液を生じ、この懸濁液は、Pamasol充填装置を用いて予め適切なバルブでクリンプした個々のエアロゾル缶中に計量される。
【0071】
噴霧剤の連続添加によるこの製造方法の利点は、以下である:(1)最小限の蒸発性損失を備えるMDI(定量吸入器)の製造;(2)充填プロセスの全体にわたる一貫した薬物含量均一性(Drug Content Uniformity;「DCU」)示す生成物;(3)製造の容易性(例えば、過剰なサンプリングおよびDCU試験についての必要性を要さない);そして(4)最終生成物のより高い収量−30%までの追加の最終生成物が充填され得る。
【0072】
従って、約5℃より高い温度で、冷却しかつ密閉した調合タンク中でエアロゾルバッチを調製する。気化噴霧剤容器を噴霧剤で、その容量の約25%まで充填し、秤量し、次いでこの容器を30℃まで加熱して約70psiの圧力で噴霧剤を気化させる。この気化噴霧剤容器の気化端末を、バッチ調合容器に接続する。気化噴霧剤容器の気化端末でバルブを開放する。調合容器の調節バルブを開放し、充填操作中に30〜40psiの圧力を維持するように調整する。エアロゾル製品を15ml密閉容器上に充填する。充填した缶の充填重量を点検する。
【0073】
(表2)
【0074】
【表2】

【0075】
噴霧剤蒸気の添加に起因する充填中のHFA−227の蒸発の非存在についてのさらなる証拠は、充填実行の初期および終期から得られる薬物含量均一性の結果(例えば、約90%、好ましくは約92%)である。
【0076】
次に、上記のように製作した定量吸入器を使用して、好ましくはUSP参照標準に従って、カスケードインパクター試験を実施する。カスケードインパクター試験は、当業者に公知のような1リットル注入口を備えるAndersonカスケードインパクターを利用して実施した。このアッセイは、製剤原料中央値が増加するにつれて製剤粒子サイズが増加することを実証する。製剤原料中央値と製品の良質粒子の百分率との相関は、0.98である。Andersenカスケードインパクターは、浮遊粒子そしてより具体的には製剤エアロゾルの粒子サイズ分布を測定するために広範に使用される。8段階のAndersenカスケードインパクターは、最後の埋伏(impaction)段階の後にバックアップフィルター(backup filter)を使用する場合には、サンプルを9つのサイズ間隔に分離する。良質な粒子画分は、4.7μm未満の粒子サイズを有する粒子の百分率として定義する。良好な粒子用量は、各々の作動においてサイズが4.7μm未満である量(μg/用量)として定義する。μg/ショット(shot)は、作動の際に定量吸入器を出る放出された製剤の合計量である。粉末の粒子サイズ分布は、質量中央値空気力学的直径(mass median aerodynamic diameter)(MMAD)によって特徴付けられる。
【0077】
(表3)
以下の表は、本発明のプロセスに従って生成した、1回の作動あたり100μgフランカルボン酸モメタゾンの製品について、Andersenカスケードインパクターの結果を記載する。
【0078】
【表3】

【0079】
(表4)
以下の表は、本発明のプロセスに従って生成した、1回の作動あたり200μgフランカルボン酸モメタゾンの製品について、Andersenカスケードインパクターの結果を記載する。
【0080】
【表4】

【0081】
(表5)
以下の表は、2段階プロセスにより産生される1回の作動あたり100μgのフランカルボン酸モメタゾンの製品についてのAndersenカスケードインパクターの結果を記載する。
【0082】
【表5】

【0083】
充填プロセスの間の経時的な粒子サイズの比較から明らかなように、充填の実行の終わりでの粒子サイズと比較して、プロセスの初期段階における粒子サイズでは、かなりの変化が存在する。粒子サイズを、プロセスの間に一定に保つことが非常に重要である。
【0084】
(表6)
以下の表は、本発明のプロセスに従って産生された、1回の作動あたり100μgのフランカルボン酸モメタゾンの製品についての、1リットルの注入口を備えるAndersenカスケードインパクターの結果を記載する。
【0085】

【0086】
経時的な粒子サイズの比較から明らかなように、2段階充填プロセスを使用する製造の間に観察される変化と比較して、1段階プロセスについての一連のバッチ製造(例えば、0〜48時間)にわたる粒子サイズの変化において、かなりの減少が存在する。Andersenカスケードインパクターの種々の注入口は、当業者に公知であるように、表に提供される粒子サイズ分布を変化し得る。
【0087】
(表7)
以下の表は、別のバッチから、本発明のプロセスに従って産生された、1回の作動あたり100μgのフランカルボン酸モメタゾンの製品についての、Andersenカスケードインパクターの結果を記載する。
【0088】
【表7】

【0089】
ここでも、経時的な粒子サイズの比較から明らかなように、2段階充填プロセスを使用する製造の間に観察される変化と比較して、1段階プロセスについての一連のバッチ製造(例えば、0〜48時間)にわたる粒子サイズの変化において、かなりの減少が存在する。
【0090】
(表8)
以下の表は、1段階プロセスおよび2段階プロセスの両方により産生された、100μg/作動のフランカルボン酸モメタゾンの製品の分類を比較する、Andersenカスケードインパクターのまとめを記載する。
【0091】
【表8】

【0092】
明らかなように、1段階充填プロセスは、2段階充填プロセスよりも改善された様式で、製造の間の粒子サイズの増加を排除し、従って、製剤の、より細かく、再現性のある粒子サイズを維持するための厳しい要件を満たす。実際、1段階プロセスを用いると、2段階プロセスにより産生された処方物についての非常に広範囲(57.2%〜124%)に対して非常に望ましい、狭い範囲の粒子サイズ(91.5%〜101%)を得た。
【0093】
本発明の種々の実施形態の上記の記載は、本発明の種々の局面の例示であり、網羅的であることも、開示された厳密な形態に限定することも意図されない。多くの改変および種々の変更は、疑う余地なく、当業者が想到する。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ、完全に定義されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【公開番号】特開2011−46726(P2011−46726A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229135(P2010−229135)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【分割の表示】特願2004−532972(P2004−532972)の分割
【原出願日】平成15年8月26日(2003.8.26)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】