説明

定電流制御を用いる画像転写ニップの方法と装置

【課題】中間転写印刷装置を用いて媒体基材上へ画像をマーキングするための方法及び装置を提供する。
【解決手段】具体的には、ニップに渡って電界を発生させ、かつ中間転写表面から媒体基材へトナーを転写するために定電流源を利用する、画像の第2の転写に関連づけられる画像転写ニップ装置を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的な本実施形態は、プリンタ、コピー機、多機能デバイス、他等の文書処理システム、及び中間表面から媒体基材へ画像を転写するための動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第2の転写において半導体バックアップロール(BUR)及びバイアスされた画像転写ロール(ITR)を用いる伝統的な中間ベルト転写(IBT)システムは、BURまたはITRの絶え間ない電圧制御を必要とする。電圧は、転写電界を制御しかつ十分な転写寛容度を保全するために、用紙重量、用紙サイズ、温度、湿度及び片面対両面に依存する複雑なルックアップテーブルを有するフィードフォワード制御アルゴリズムによって決定される。このシステムは、膨大な量の感受性検査、アルゴリズムの開発及び確認検査を必要とする。実験は、熟慮され、慎重に構築された定電圧制御アルゴリズムであっても、画像品質を著しく低減させるほど最適電圧からかけ離れた電圧を設定している場合が多いことを示している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書では、より単純でより精確/ロバストな制御アルゴリズムを有効化する転写ニップの設計を開示する。第2の転写ニップは、第1の転写で使用されるものに類似する定電流制御システムを有効化するように修正される。
【0004】
(A1)本開示の一実施形態では、中間画像転写印刷装置を用いて媒体基材上へ画像をマーキングする方法が記述されていて、本中間画像転写印刷装置は、感光体表面と、感光体表面と機能的に関連づけられる露光ステーションと、感光体表面と機能的に関連づけられる現像剤システムと、感光体表面と機能的に関連づけられる中間画像転写表面と、中間画像転写表面と機能的に関連づけられる画像転写ニップとを含み、上記画像転写ニップは媒体シートに係合するためのバックアップロール及び用紙案内装置を含み、かつバックアップロール、用紙案内装置及び画像転写表面のうちの1つまたはそれ以上は誘電材料を含み、本方法は、a)露光システムを用いて、媒体基材上へマーキングされるべき画像を表す静電画像を感光体表面に形成することと、b)現像剤システムを用いて感光体表面にトナー材料で静電画像を現像し、現像画像を生成することと、c)現像画像を感光体表面から中間画像転写表面へ転写することと、d)中間画像転写表面上の現像画像を画像転写ニップへ前進させることと、e)バックアップロール及び用紙案内装置へ機能的に接続される定電流源を利用して画像転写ニップに渡って電界を発生することを含み、上記発生させられる電界は、現像画像を中間画像転写表面から媒体シートへ転写する。
【0005】
(A2)本開示の別の実施形態では、段落A1による、媒体基材上へ画像をマーキングする方法が記述されていて、上記感光体表面が感光体ドラムでありかつ上記中間画像転写表面がベルトである。
【0006】
(A3)本開示の別の実施形態では、段落A2による、媒体基材上へ画像をマーキングする方法が記述されていて、上記ベルトが誘電材料を含む。
【0007】
(A4)本開示の別の実施形態では、段落A1による、媒体基材上へ画像をマーキングする方法が記述されていて、f)上記転写された現像画像を媒体基材へ定着させることをさらに含む。
【0008】
(A5)本開示の別の実施形態では、段落A1による、媒体基材上へ画像をマーキングする方法が記述されていて、上記用紙案内装置は画像転写ロール及び画像転写ベルトのうちの1つまたはそれ以上である。
【0009】
(A6)本開示の別の実施形態では、段落A1による、媒体基材上へ画像をマーキングする方法が記述されていて、上記用紙案内装置は接地へ機能的に接続される導電材料を含み、用紙案内デバイスは誘電材料を含み、かつ用紙案内装置へは電荷中和システムが機能的に関連づけられ、ステップe)は、e1)バックアップロール及び用紙案内装置へ機能的に接続される定電流源を利用してニップに渡って電界を発生させ、これにより、発生させられた電界は現像画像を中間画像転写表面から媒体シートへ転写することと、e2)電荷中和システムを用いて誘電材料を中和することを含む。
【0010】
(A7)本開示の別の実施形態では、段落A1による、媒体基材上へ画像をマーキングする方法が記述されていて、上記バックアップロールは接地へ機能的に接続される導電材料を含み、上記バックアップロールは誘電材料を含み、かつバックアップロールへは電荷中和システムが機能的に関連づけられ、ステップe)は、e1)バックアップロール及び用紙案内装置へ機能的に接続される定電流源を利用してニップに渡って電界を発生させ、これにより、発生させられた電界は現像画像を中間画像転写表面から媒体シートへ転写することと、e2)電荷中和システムを用いて誘電材料を中和することを含む。
【0011】
(B1)本開示の別の実施形態において記述される中間画像転写マーキング装置は、感光体表面と、感光体表面と機能的に関連づけられる露光ステーションと、感光体表面と機能的に関連づけられる現像剤システムと、感光体表面と機能的に関連づけられる中間画像転写表面と、中間画像転写表面と機能的に関連づけられる画像転写ニップであって、媒体シートに係合するように構成されるバックアップロール及び用紙案内装置を含みかつバックアップロール、用紙案内装置及び中間画像転写表面のうちの1つまたはそれ以上は誘電材料を含む画像転写ニップと、感光体表面、露光ステーション、現像剤システム、中間画像転写表面及び画像転写ニップと機能的に関連づけられるコントローラであって、中間画像転写マーキング装置を用いて媒体基材上へ画像をマーキングするプロセスを実行するように構成されるコントローラとを備え、本プロセスは、a)露光システムを用いて、媒体基材上へマーキングされるべき画像を表す静電画像を感光体表面に形成することと、b)現像剤システムを用いて感光体表面にトナー材料で静電画像を現像し、現像画像を生成することと、c)現像画像を感光体表面から中間画像転写表面へ転写することと、d)中間画像転写表面上の現像画像を画像転写ニップへ前進させることと、e)バックアップロール及び用紙案内装置へ機能的に接続される定電流源を利用して画像転写ニップに渡って電界を発生することを含む。
【0012】
(B2)本開示の別の実施形態では、段落B1による中間画像転写マーキング装置が記述されていて、上記感光体表面が感光体ドラム及び感光体ベルトのうちの一方でありかつ上記中間画像転写表面がベルトである。
【0013】
(B3)本開示の別の実施形態では、段落B2による中間画像転写マーキング装置が記述されていて、上記ベルトが誘電材料を含む。
【0014】
(B4)本開示の別の実施形態では、定着器をさらに備える段落B1による中間画像転写マーキング装置が記述されていて、上記プロセスはさらに、f)上記転写された現像画像を媒体基材へ定着させることを含む。
【0015】
(B5)本開示の別の実施形態では、段落B1による中間画像転写マーキング装置が記述されていて、上記用紙案内装置は画像転写ロール及び画像転写ベルトのうちの1つまたはそれ以上である。
【0016】
(B6)本開示の別の実施形態では、段落B1による中間画像転写マーキング装置が記述されていて、上記用紙案内装置は接地へ機能的に接続される導電材料を含み、用紙案内装置は誘電材料を含み、かつ用紙案内装置へは電荷中和システムが機能的に関連づけられ、ステップe)は、e1)バックアップロール及び用紙案内装置へ機能的に接続される定電流源を利用してニップに渡って電界を発生させ、これにより、発生させられた電界は現像画像を中間画像転写表面から媒体シートへ転写することと、e2)電荷中和システムを用いて誘電材料を中和することを含む。
【0017】
(B7)本開示の別の実施形態では、段落B6による中間画像転写マーキング装置が記述されていて、上記用紙案内装置は、OPC、誘電コーティングを含む金属ドラム及び誘電コーティングを含むコンフォーマブル導電フォームのうちの1つを含む。
【0018】
(B8)本開示の別の実施形態では、段落B6による中間画像転写マーキング装置が記述されていて、上記用紙案内装置は、感光体ベルト及び誘電層を有する画像転写ベルトのうちの一方を含む。
【0019】
(B9)本開示の別の実施形態では、段落B6による中間転写画像マーキング装置が記述されていて、上記電荷中和システムは、光放電灯、ACコロトロン、ACスコロトロン及びAC BCR電荷中和部材のうちの1つを含む。
【0020】
(B10)本開示の別の実施形態では、段落B1による中間画像転写マーキング装置が記述されていて、上記バックアップロールは接地へ機能的に接続される導電材料を含み、上記バックアップロールは誘電材料を含み、かつバックアップロールへは電荷中和システムが機能的に関連づけられ、ステップe)は、e1)バックアップロール及び用紙案内装置へ機能的に接続される定電流源を利用してニップに渡って電界を発生させ、これにより、発生させられた電界は現像画像を中間画像転写表面から媒体シートへ転写することと、e2)電荷中和システムを用いて誘電材料を中和することを含む。
【0021】
(B11)本開示の別の実施形態では、段落B10による中間画像転写マーキング装置が記述されていて、上記用紙案内装置はITR、及びITBと機能的に関連づけられるITRのうちの一方であり、バックアップロールはOPC、誘電コーティングを含む金属ドラム及び誘電コーティングを含むコンフォーマブルフォームのうちの1つである。
【0022】
(B12)本開示の別の実施形態では、段落B10による中間画像転写マーキング装置が記述されていて、上記電荷中和システムは、光放電灯、ACコロトロン、ACスコロトロン及びAC BCR電荷中和部材のうちの1つを含む。
【0023】
(C1)本開示のさらに別の実施形態において記述される中間画像転写マーキング装置は、感光体ドラムと、感光体ドラムと機能的に関連づけられる露光ステーションと、感光体ドラムと機能的に関連づけられる現像剤システムと、感光体ドラムと機能的に関連づけられる中間画像転写表面と、中間画像転写表面と機能的に関連づけられる画像転写ニップであって、媒体シートに係合するように構成されるバックアップロール及び用紙案内装置を含みかつバックアップロール、用紙案内装置及び中間画像転写表面のうちの1つまたはそれ以上は誘電材料を含む画像転写ニップと、定着器と、感光体ドラム、現像剤システム、中間画像転写表面及び画像転写ニップと機能的に関連づけられるコントローラであって、中間画像転写マーキング装置を用いて媒体基材上へ画像をマーキングするプロセスを実行するように構成されるコントローラとを備え、本プロセスは、a)露光システムを用いて、媒体基材上へマーキングされるべき画像を表す静電画像を感光体ドラム上に形成することと、b)現像剤システムを用いて感光体ドラム上に静電画像を現像し、現像画像を生成することと、c)現像画像を感光体ドラムから中間画像転写表面へ転写することと、d)中間画像転写表面上の現像画像を画像転写ニップへ前進させることと、e)バックアップロール、用紙案内装置及び誘電材料へ機能的に接続される定電流源を利用して画像転写ニップに渡って電界を発生させ、これにより、発生させられた電界が現像画像を中間画像転写表面から媒体シートへ転写することと、f)定着器を用いて、媒体シートへ転写された画像を定着させることを含む。
【0024】
(C2)本開示の別の実施形態では、段落C1による中間画像転写マーキング装置が記述されていて、上記用紙案内装置は画像転写ロール及び画像転写ベルトと機能的に関連づけられる画像転写ロールのうちの1つまたはそれ以上である。
【0025】
(C3)本開示の別の実施形態では、段落C1による中間画像転写マーキング装置が記述されていて、上記用紙案内装置は接地へ機能的に接続される導電材料を含み、用紙案内装置は誘電材料を含み、かつ用紙案内装置へは電荷中和システムが機能的に関連づけられ、ステップe)は、e1)バックアップロール及び用紙案内装置へ機能的に接続される定電流源を利用してニップに渡って電界を発生させ、これにより、発生させられた電界は現像画像を中間画像転写表面から媒体シートへ転写することと、e2)電荷中和システムを用いて誘電材料を中和することを含む。
【0026】
(C4)本開示の別の実施形態では、段落C3による中間画像転写マーキング装置が記述されていて、上記用紙案内装置は、OPC、誘電コーティングを有する金属ドラム及び誘電コーティングを有するコンフォーマブル導電フォームのうちの1つを含む。
【0027】
(C5)本開示の別の実施形態では、段落C3による中間画像転写マーキング装置が記述されていて、上記用紙案内装置は、感光体ベルト及び誘電層を有する画像転写ベルトのうちの一方を含む。
【0028】
(C6)本開示の別の実施形態では、段落C3による中間転写画像マーキング装置が記述されていて、上記電荷中和システムは、光放電灯、ACコロトロン、ACスコロトロン及びAC BCR電荷中和部材のうちの1つを含む。
【0029】
(C7)本開示の別の実施形態では、段落C1による中間画像転写マーキング装置が記述されていて、上記バックアップロールは接地へ機能的に接続される導電材料を含み、上記バックアップロールは誘電材料を含み、かつバックアップロールへは電荷中和システムが機能的に関連づけられ、ステップe)は、e1)バックアップロール及び用紙案内装置へ機能的に接続される定電流源を利用してニップに渡って電界を発生させ、これにより、発生させられた電界は現像画像を中間画像転写表面から媒体シートへ転写することと、e2)電荷中和システムを用いて誘電材料を中和することを含む。
【0030】
(C8)本開示の別の実施形態では、段落C7による中間画像転写マーキング装置が記述されていて、上記用紙案内装置はITR、及びITBと機能的に関連づけられるITRのうちの一方であり、バックアップロールはOPC、誘電コーティングを含む金属ドラム及び誘電コーティングを含むコンフォーマブルフォームのうちの1つを含む。
【0031】
(C9)段落C7による中間画像転写マーキング装置であって、上記電荷中和システムは、光放電灯、ACコロトロン、ACスコロトロン及びAC BCR電荷中和部材のうちの1つを含む。
【0032】
(C10)本開示の別の実施形態では、段落C1による中間画像転写マーキング装置が記述されていって、上記中間転写表面がベルトである。
【0033】
(C11)本開示の別の実施形態では、段落C1による中間画像転写マーキング装置が記述されていて、上記ベルトが誘電材料を含む。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本開示によるバイアスされた画像転写ロールの例示的な一実施形態を実装する電子写真プリンタを示す略図である。
【図2】本開示によるバイアスされた画像転写ロールを組み込む電子写真ステーションの例示的な一実施形態を示す略図である。
【図3】画像マーキング装置に関連づけられる従来型の二次画像転写ニップを示す略図である。
【図4】画像マーキング装置に関連づけられる別の二次画像転写ニップを示す略図であり、本二次画像転写ニップは、剥離ロールとバイアスされた画像転写ベルト(用紙案内ITBと称される)とを含む。
【図5】本開示の例示的な一実施形態による、二次画像転写ニップ制御システムに関連づけられる定電流を示すブロック図である。
【図6】本開示による、中間転写印刷装置を用いて画像をマーキングする例示的な方法を示すフローチャートである。
【図7】本開示の例示的な一実施形態による、例1:二次画像転写ニップ装置を示す略図である。
【図8】本開示の例示的な一実施形態による、例2:二次画像転写ニップ装置を示す略図である。
【図9】本開示の例示的な一実施形態による、定電流二次画像転写システムを実装する電子写真プリンタを示す略図である。
【図10】本開示の例示的な一実施形態による、例3:二次画像転写ニップ装置を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1及び図9を参照すると、本開示の特徴を組み込んだ、コピー機またはレーザプリンタ等の電子写真プリンタ10の略図が示されている。本開示については、図面に示された実施形態を参照して説明するが、本開示が多くの代替形式の実施形態において具現され得ることは理解されるべきである。さらに、エレメントまたは材料のサイズ、形状またはタイプは、任意の適切なものが使用される可能性もある。
【0036】
図1及び図9を参照すると、トナーを感光体ドラムの表面64から中間転写表面18へ転写するための少なくとも1つのバイアスされた第1の画像転写ロール12を含む電子写真プリンタ10が示されている。多くの電子写真プリンタ10は、少なくとも1つのバイアスされた第2の画像転写ロール82も使用して、現像されたトナー14を中間転写表面18からシート型の基材16へ転写する。画像化されたトナー14を中間転写表面へ、続いてシート型の基材16へ転写することが図示されかつ記述されるが、本開示はこれらに限定されず、バイアスされた画像転写ロールは、本開示のより広範な態様から逸脱することなく連続する紙ロールへ転写するために使用されることも可能である。高容量の電子写真プリンタ10の中には、5つ以上のバイアスされた第1の画像転写ロール12を有するものもあるが、多くの低容量の電子写真プリンタ10は少なくとも1つのバイアスされた第1の画像転写ロール12を有する。
【0037】
米国特許第3,781,105号は、電子写真プリンタに使用されるバイアスされた画像転写ロールの幾つかの例を開示している。とりわけ、画像転写ロールは、バイアス転写ロール(BTR)とも称されることが可能である。上記特許に開示されている詳細の中には、本明細書における実施形態の詳細の代替教示についての関心事であり得るものがある。
【0038】
次に図2を参照すると、バイアスされた第1の画像転写ロール12は、概して、一定の電流を保つために高電圧電源226がバイアスされた画像転写ロール12の鋼製シャフト228へ印加される電圧(VBTR)を変える定電流モードで動作される。ある実施形態において、バイアスされた画像転写ロール12の電圧レベルの変化は、バイアスされた画像転写ロール12と例えば光伝導体ドラム38との間に小さい空隙を有する、または空隙を持たない接触領域または略接触領域である各ニップと連通する空隙内の電界の変化を示すために用いられることが可能である。ニップ領域232は、概して、ニップの上流側(ニップ前領域)の空隙と、ニップの下流側(ニップ後領域)の空隙とを含む。第1のバイアスされた画像転写ロール12は、感光体、ベルト及びトナー等のコンポーネントがニップ領域232を通って移動していく動的モードで機能することができる。
【0039】
とりわけ、ニップ領域232内の第1のバイアスされた画像転写ロール12の電界は、ニップ領域232を通過する電子写真プリンタ10のコンポーネントにより発生させられる電界によって影響される可能性がある。第1のバイアスされた画像転写ロール12のシャフト228へ印加される電圧(VBTR)は、サブシステム22の動作特性の変化及びサブシステム22の様々なコンポーネントの電界に反応してシフトする。
【0040】
本開示の具体的な特徴を詳細に説明する前に、白黒または多色コピー機またはレーザプリンタであり得る例示的な電子写真プリンタ10についてさらに説明する。コピー処理を開始するために、多色の原文書はラスタ入力スキャナ(RIS)上へ位置合わせされ、ラスタ入力スキャナは原文書から画像全体を捕捉し、これが次にラスタ出力スキャナ(ROS)37へ送信される。或いは、プリンタの場合のように、RIS型データはレンダリングのためにプリンタへ伝達される。ラスタ出力スキャナ37は、電子写真プリンタ10の光伝導体ドラム(OPC)38の光伝導体64または光伝導体ドラム38の帯電部分を照射する。とりわけ、コロナ発生デバイスまたは他の帯電デバイスを含む帯電ステーション60は、ラスタ出力スキャナ37が光伝導体64を照射する前に光伝導表面64を帯電するために帯電電圧を発生する。光伝導体ドラム38が図示されかつ記述されているが、本開示はこれに限定されず、光伝導体64は、本開示のより広範な態様から逸脱することなく、あるタイプのベルトまたは他の構造体であってもよい。ラスタ出力スキャナ37は、各光伝導体ドラム38を露光して4つの減法混色原色潜像のうちの1つを記録する。
【0041】
引き続き図2を参照すると、1つの潜像は、トナーの1つのタイプであるシアン現像剤材料で現像される24。各々個々の光伝導体ドラム38上で、別の潜像はマゼンタ現像剤材料で現像され24、第3の潜像はイエロー現像剤材料で現像され24、かつ第4の潜像はブラック現像剤材料で現像される24。現像されたこれらの画像252は任意選択の転写前サブシステム51で帯電され、続いて中間表面18へ転写されかつ続いてコピー用紙上へ互いに見当を合わせて重ね合わされて転写され、コピー用紙上へ多色画像が形成される。次に、上記用紙は定着させられ、カラーコピーが形成される。転写後、光伝導体ドラム38は、任意選択の清浄前サブシステム48、清浄化サブシステム49及び消去ランプ50を用いて清浄化される。
【0042】
再度図1及び図9を参照すると、電子写真プリンタ10は、第1のバイアスされた画像転写ロール12、第2の画像転写ロール82、バックアップロール40、テンションローラ54、ステアリングローラ55及び駆動ローラ56の周囲で引きずられる中間画像転写表面18を含むことが可能である。駆動ローラ56が回転するにつれて、中間画像転写表面18は矢印58の方向へ前進され、続いて中間画像転写表面18の連続する部分が上記表面の移動経路の周辺に配置される様々な処理ステーションを介して前進される。中間画像転写表面18は、通常、電子写真プリンタの動作に伴って連続的に前進する。
【0043】
再度図2を参照すると、まず、各光伝導体ドラム38の一部が帯電ステーション60を通過する。帯電ステーション60では、コロナ発生デバイスまたは他の帯電デバイスが、各光伝導体ドラム38の光伝導表面64を比較的高い略均一な電圧電位(Vopc)に帯電するために帯電電圧を発生する。
【0044】
図2に示されているように、帯電された各光伝導体ドラム38は露光ステーション65へと回転される。各露光ステーション65は、多色原文書がそこに位置合わせされているラスタ入力スキャナによって導出された情報に対応する変調された光ビームを受信する。或いは、レーザ印刷アプリケーションでは、露光はデジタル文書のコンテンツによって決定されてもよい。変調された光ビームは各光伝導体ドラム38の表面64に当たり、帯電表面64を選択的に照射して上記表面上に静電潜像を形成させる。各光伝導体ドラム38の光伝導表面64は、各色を表す3つの潜像のうちの1つを記録する。第4の光伝導体ドラム66はブラックトナーを含んでもよく、かつ白黒文書の印刷に使用されることが可能である。また、プリンタの色域の拡大、画像光沢の向上、他を目的として、1つまたは複数の他のステーション、例えば他のトナー色を含む第5及び第6のステーションが追加されてもよい。
【0045】
図1及び図9を参照すると、各光伝導体ドラム38上に静電潜像が記録された後、中間画像転写表面18は、参照数字68、70、72及び74により示される4つの電子写真ステーションの各々へ向かって前進される。フルカラー画像は、原色トナー色毎に1つである4つの第1の画像転写ステップにおいて中間画像転写表面18上に組み立てられる。電子写真ステーション68、70、72、74は各々、各光伝導体ドラム38の光伝導表面64上へ特定の色のトナー粒子を付着させる。
【0046】
再度図2を参照すると、中間画像転写表面18が各電子写真ステーション68、70、72、74を通過するにつれて、個々の光伝導体ドラム38は、先行する電子写真ステーション68、70、72によって中間画像転写表面18上へ付着されたトナー画像14の移動を各光伝導体ドラム38上のトナー252の回転と同期させるように中間画像転写表面18の移動に伴って回転する。各光伝導体ドラム38の光伝導表面64の各々に記録された各現像画像252は、互いに見当を合わせて重ね合わされて中間画像転写表面18へ転写され、着色された原文書の多色コピーが形成される。
【0047】
引き続き図2を参照すると、バイアスされた第1の画像転写ロール12と光伝導体ドラム38との収束は、光伝導表面64からのトナー粒子252と中間画像転写表面18とが同時的に進入するニップを形成する。バイアスされた第1の画像転写ロール12は、光伝導体ドラム38上のトナー画像252を中間画像転写表面18へ転写させ、かつ中間画像転写表面18へ先に転写された任意のトナー粒子14と合体させる。転写が始まるにつれて、光伝導体ドラム38の表面64、中間画像転写表面18及び何れかの表面上に存在する任意のトナー14、252は、ニップ領域232に関連づけられる空隙へ進入する。
【0048】
再度図1及び図9を参照すると、現像の後、トナー画像14は、トナー画像14が普通紙または他の任意の適切なサポート基材のシートであってもよいサポート材料16のシートへ転送される位置を画定する画像転写ステーション78へ移動される。シート輸送装置80は、シート16を動かして中間画像転写表面18と接触させる。シート輸送の間、シート16は、現像されたトナー画像14と同期して中間画像転写表面18と接触するように移動される。
【0049】
図1及び図9に示されているように、中間画像転写表面18上のトナー画像14は、カラー原文書の多色コピーを形成するために、互いに見当を合わせて重ね合わされてシート16へ転写される。バックアップロール40はバイアスされた第2の画像転写ロール82と共に、トナー画像14をシート型の基材16へ転写する。或いは(図4の場合のように)、用紙案内装置に関連づけられるバイアスされた画像転写ベルトは、トナー画像14をシート型の基材16へ転写するために使用されてもよい。従来、バックアップローラ40に関連づけられるバックアップローラ40の表面に高電圧を生成する鋼製ローラへは高電圧が印加され、一方でバイアスされた画像転写ロール82のシャフトは接地される。これにより、中間画像転写表面18からトナー14を基材16へ引っ張る電界が生成される。
【0050】
シート輸送システム80は、シートを定着ステーションへ輸送しかつキャッチトレイへ除去するように方向づける。各光伝導体ドラム38は、任意選択の清浄前サブシステム48と、残留トナーを除去するためのクリーナサブシステム49とを含むクリーニングステーションも含む。消去ランプサブシステム50は、残留電荷を除去する。
【0051】
これまでの説明は、本開示の目的に沿って本開示の特徴を組み込んだ電子写真プリンタ10またはコピー機の一般的動作を例示するに足るものであるはずである。説明した通り、電子写真プリンタ10は、幾つかの周知のデバイスまたはシステムのうちの任意のものの形式をとってもよい。特有の電子写真処理サブシステムまたはプロセスの変形例は、本開示の動作に影響することなく予期されてもよい。
【0052】
背景技術の項目で論じたように、第2の画像転写において、半導体バックアップロール(BUR)40、ベルト18等の中間転写表面及びバイアスされた画像転写ロール(ITR)82を用いる伝統的な中間ベルト転写(IBT)システムは、BURまたはITRの絶え間ない電圧制御を必要とする。従来、この電圧は、転写電界を制御しかつ十分な転写寛容度を保全するために、用紙重量、用紙サイズ、温度、湿度及び片面対両面に依存する複雑なルックアップテーブルを有するフィードフォワード制御アルゴリズムによって決定される。このシステムは、膨大な量の感受性検査、アルゴリズムの開発及び確認検査を必要とする。実験は、熟慮され、慎重に構築された定電圧制御アルゴリズムであっても、画像品質を著しく低減させるほど最適電圧からかけ離れた電圧を設定している場合が多いことを示している。
【0053】
本明細書では、より単純でより精確/ロバストな制御アルゴリズムを有効化する第2の転写ニップ設計を開示する。従来の第2の転写ニップは、第1の画像転写で使用されるものに類似する定電流制御システムを有効化するように修正される。以下に、4例を提示する。これらの例は、特有の単純な電気バイアススキームを記述するものであるが、他の電気バイアススキームも可能である。
【0054】
例1:(図7)
用紙案内装置に関連づけられる従来の接地されるバイアスされた第2の画像転写ロール82を、下記のうちの1つで置換する。
a)転写後にドラムを中和するための、適切な消去ランプ、ACコロナデバイス(コロトロン、ジコロトロンまたはスコロトロン)またはAC BCR(バイアスされた帯電ロール)と結合される小径の負帯電感光体。BCRの例については、米国特許第4,851,960号、第5,164,779号、第5,613,173号及び第2,912,586号を参照されたい。(とりわけ、光放電消去ランプの代わりにAC放電デバイスを利用すれば、ドラムは、感光性コーティングではなく誘電コーティングを有するだけでよい。さらに、コンフォーマブル導電フォームの誘電保護膜は、転写ニップを最適化する追加的な機会を提供する。)
b)誘電被覆された金属ドラム。及び、
c)誘電被覆されたコンフォーマブル導電フォーム。
【0055】
a)、b)及びc)の各配置において、BURをバイアスするために一定の負のDC電流が印加され、かつa)感光体、b)金属ドラム、またはc)導電フォームは接地され、これにより、中間ITBから用紙へのトナーの転写が提供される。
【0056】
例2:(図8)
従来の導電バックアップロール(BUR)40を、下記のうちの1つで置換する。
a)転写後にドラムを中和するための、適切な消去ランプ、ACコロナデバイス(コロトロン、ジコロトロンまたはスコロトロン)またはAC BCRと結合される小径の正帯電感光体。(例1の場合のように、AC放電デバイスの場合、感光性ドラムは不要であり、導電フォームの誘電保護膜は転写ニップを最適化する追加的な機会を提供する。)
b)誘電被覆された金属ドラム。及び、
c)誘電被覆されたコンフォーマブル導電フォーム。
【0057】
a)、b)及びc)の各配置において、ITRをバイアスするために一定の正のDC電流が印加され、かつa)感光体BUR、b)誘電被覆された金属ドラム、またはc)コンフォーマブル導電フォームにより誘電被覆されたBURは接地され、これにより、中間ITBから用紙へのトナーの転写が提供される。
【0058】
例3:(図10)
用紙案内装置に関連づけられる半導体用紙案内ITBを、下記のうちの一方で置換する。
a)転写後にベルトを中和するための、適切な消去ランプ、ACコロナデバイス(コロトロン、ジコロトロンまたはスコロトロン)またはAC BCR(バイアスされた帯電ロール)と結合される接地された負帯電感光体ベルト。(例1の場合のように、光放電消去ランプの代わりにAC放電デバイスを利用すれば、ベルトは、感光性コーティングではなく誘電コーティングを有するだけでよい。)及び、
b)誘電被覆されたITB。
【0059】
a)及びb)の各配置において、BURをバイアスするために一定の負のDC電流が印加され、かつa)感光体ベルト、またはb)用紙案内装置内部のITRは接地され、これにより、中間ITBから用紙へのトナーの転写が提供される。
【0060】
例4:(不図示)
従来の半導体中間ITBを、誘電層を含む半導体ITBで置換する。この配置において、詳細な電気バイアススキームは他の設計詳細に依存する。ある実施形態では、用紙案内ITRをバイアスするために一定の正のDC電流が印加され、かつBURは接地され、これにより、中間ITBから用紙へのトナーの転写が提供される。別の実施形態では、BURをバイアスするために一定の負のDC電流が印加されてもよく、かつITRは接地され、これにより、ITBから用紙へのトナーの転写が提供される。
【0061】
以下、特に、上記例の他の変形例について説明する。
【0062】
先に述べたように、中間ベルト転写(IBT)システムは、感光体ドラムからITBへの第1の転写のためにベルト背面の複数の定電流バイアスITR(画像中間転写ロール)を使用する。上記システムはまた、用紙案内画像転写ベルトの背面に位置決めされるバイアスされたITRを含む用紙案内装置を利用するITBから用紙への第2の画像転写のために、バックアップロール(BUR)または画像転写ロール(ITR)へ印加される定電圧も使用する。電気及び電源制御設計は、トナーの転写に必要な力を提供する転写ニップ内の電界を試行しかつ制御するように設定される。
【0063】
第1の転写において、感光体ドラムは、暗闇で絶縁体として作用する。従って、略全ての電流の流れは、空気絶縁破壊の間に堆積された電荷を運ぶ表面の動作に起因する。この場合、定電流モードは定電荷堆積モードであり、これは、これが定電界モードに酷似するものであることを意味する。定電流モードをロバストにする(即ち、定電界モードにより近づける)ために、転写電流は、画像転写ロール(ITR)及び中間画像転写ベルト(ITB)の電気特性の関数として、製造上の変形、温度、湿度及び経時変化に起因するこれらの変化に伴って穏やかに変えられてもよい。しかしながら、典型的には、十分に一定である電界を保証するために電流を変える必要はない。
【0064】
従来のバイアスされたITR及びバイアスされた用紙案内ITBによる中間画像転写ベルト(ITB)から用紙システムへの第2の転写において、コンポーネントの電気特性は全て抵抗性である。ITR、バイアスされたITB、ITB及びBURコンポーネントの各層(図3及び図4参照)の抵抗性は、全て、パフォーマンスを最適化するように慎重に選ばれる。典型的には、印刷中に使用される高電界で絶縁する層は存在しない。第2の画像転写では、バイアスされたエレメントからこれらのコンポーネントを介して接地へ大きな可変静電(オーム)電流の流れが存在することから、定電流は定電界を保証しない。代わりに、バックアップロール(BUR)またはバイアスされた画像転写ロール(ITR)の電圧を制御することが従来の慣習である。(図3及び図4を参照されたい。)これは、全基材、全ゾーン及び全コンポーネントの変動に対する一定の電界の達成に近づくために、優に5倍は(500V未満から2500V以上にまで)変更されなければならない。BUR/ITR電圧制御の実装は、第2の画像転写システムの抵抗を測定するための特殊な診断モードを必要とする。これは次に、必要とされる印加電圧を温度、湿度、基材重量及び第1対第2のサイド転写の関数として計算するルックアップテーブルへ供給される。これは、著しく大量のマシン不揮発性メモリのオーバーヘッド、並びにアルゴリズムを規定するための大量の検査を必要とする。実験は、熟慮され、慎重に構築された定電圧制御アルゴリズムであっても、画像品質を著しく低減させるほど最適電圧からかけ離れた電圧を設定している場合が多いことを示している。言い替えれば、制御アルゴリズムは、トナーの転写に必要とされる力を発生させるピーク転写電界が最適であることを保証する電圧を選択するジョブをうまく行うことができない。
【0065】
図5は、定電流モードにおける転写ニップについてさらに説明するために、定電流(ITOTAL)モードにおける転写ニップをブロックで表示している。合計電流ITotal=IOhmic+IAir_Breakdownは、電源によって送られる合計電流である。これは、2つの成分、IOhmic及びIAir_Breakdownを有する。IOhmicは、ニップの全層を介する従来のオーム電流の流れに起因するオーム(または静電)電流である。例えば、図3及び図4において、IOhmicは、主としてバイアスされたITRシャフトから接地されたBURシャフトへ流れる電流から成る。この電流は、コンポーネントが動作中であってもなくても流れ、よってこれは、「動的な」電流の流れ(動作中のベルト及びローラ)に対して「静的な」電流の流れと呼ばれることがある。中間画像転写表面/部材(ベルトまたはドラム)から基材への転写においては、コンポーネント(ITR、用紙案内ITB、BUR、中間ITB)の層で絶縁体であるものはなく、よってIOhmicは非ゼロであり、かつ典型的には、空気絶縁破壊によって生じる動作表面上の電荷堆積に起因する電流、IAir_Breakdownと同じ次数である。IAir_Breakdownは、コンポーネントの動作を必要とすることから「動的な」電流の流れと呼ばれることがある。空気絶縁破壊は、ニップ前領域及びニップ後領域内の空隙における極めて大きい電界によって生じる。動作中の表面(中間ITB、用紙案内ITB、BUR、ITR、用紙)上に堆積される電荷は、電流IAir_Breakdown内でニップから運び出される。
【0066】
コンポーネントの何れかの1つまたは複数の層が絶縁体であれば、IOhmic=0であり、かつITotal=IAir_Breakdownである。この場合、ITotalは単に空隙における電界の関数であり、定ITotal制御は、空隙電界(E)が一定であることを保証する。最も重要な点として、これは、ITBと基材との間の空隙における電界ETransferが一定であることを保証する。一定のETransferは、基材、ITR、用紙案内ITB、BUR、中間ITB及び基材特性が経時的に、かつ製造上の変動により部品毎に著しく変わっても、トナーの一貫して高い転送効率及びロバスト(再生可能)な転送パフォーマンスを保証する。
【0067】
先に論じたように、図4は、2つのローラ、即ち画像転写ロール及び剥離ロール上で引きずられる用紙案内ITBを含む用紙案内装置を用いて中間画像転写部材から最終基材へトナーを転写するための従来的な1つの転写ニップを示している。ITR、用紙案内ITB、中間ITB及びBURは各々、制御された導電材料の1つまたは複数の層から成ってもよい。
【0068】
本明細書で開示されているようなロバストな定電流制御を有効化するために、ITR及び/または用紙案内ITB及び/またはBUR及び/または中間ITBのうちの少なくとも1つの層は、高電圧電源と接地との間の静電(オーム)電流の流れを防止するに足る絶縁性がなければならない。例えば、但し限定的ではなく、
・ ITR、用紙案内ITB、BUR及び中間ITBは各々、1つまたは複数の絶縁層(中心シャフトを含む)を含んでもよい。とりわけ、図3に示されているように、用紙案内装置にはバイアスされたITBは必要ない。
・ 絶縁層は、ITR、用紙案内ITB、BURまたは中間ITBの何れかの任意の層であってもよい。好適には、絶縁層は用紙案内ITB、ITRまたはBURのうちの1つの外層であるが、これは厳密な要件ではない。用紙案内ITB(または中間ITB)が絶縁層を含んでいれば、放電デバイスは用紙案内ITB(または中間ITB)上に位置決めされる。用紙案内ITB(または中間ITB)の内側及び外側の双方は(設計に依存して)帯電状態になる場合があることから、ベルトの両側に、好適には互いに面して中和デバイスが包含されてもよい。中間ITBは、中間ITBが転写ニップ内の空気絶縁破壊に起因して十分に放電されれば、中和デバイスを必要としない場合もある。
・ 用紙案内ITBは、導電性の内面を有する感光体ベルトであってもよい。この場合、中和デバイスは、ベルトのどちらかの側面上の消去ランプまたはベルト外側のACコロナデバイスの何れか1つしか必要ではない。
・ コンポーネント(用紙案内ITB、BUR、ITR、中間ITB)の絶縁層は、好適には、十分な転写電界(約ETransfer>〜50ボルト/ミクロン)を達成すべく超高電圧要件を防止するためにDINS<100ミクロン未満の誘電厚さ(DINS)を有するべきである。DINSが絶縁層の厚さでありかつkが誘電定数であれば、誘電厚さは、DINS=DINS/kによって与えられる。従って、k=3であれば、DINS<300ミクロンである。ある典型的な実装では、DINSは100ミクロンを遙かに下回ってもよい。
・ 絶縁層は、好適には、電荷緩和時間がニップ内のドウェル時間より少なくとも10倍は長い(τRELAX>10*tDWELL)ことを保証する抵抗を有するべきである。ニップを通っていく基材またはITBの薄い部分のドウェル時間は、tDWELL=WNIP/VPROCESSによって与えられる。但し、WNIPはニップの幅(典型的には、約3mm)であり、VPROCESSは処理速度(基材及びITBの表面速度、毎分60ページで約250mm/分)である。絶縁層の緩和時間は
【数1】


によって与えられる。但し、kは絶縁体の誘電定数であり、
【数2】


は絶縁体の抵抗率であり、
【数3】


は自由空間の誘電率であり、fは設計詳細に依存する、但し典型的には1<f<10の範囲内であってもよい定数である。従って、
【数4】


が好適である。概して、絶縁層が超高抵抗率を有していれば好適である。
【0069】
図6を参照すると、本開示の例示的な一実施形態による、中間画像転写印刷装置を用いて媒体基材上へ画像をマーキングするためのアルゴリズムのフローチャートが示されている。本アルゴリズムは、中間画像転写印刷装置へ機能的に接続される1つまたは複数のコントローラによって実行される。中間画像転写印刷装置は、感光体表面と、感光体表面と機能的に関連づけられる露光ステーションと、感光体表面と機能的に関連づけられる現像剤システムと、感光体表面と機能的に関連づけられる画像転写表面と、画像転写表面と機能的に関連づけられる画像転写ニップとを含み、上記画像転写ニップは媒体シートに係合するためのバックアップロール及び用紙案内装置を含み、かつバックアップロール及び用紙案内装置及び中間画像転写表面のうちの1つは誘電材料を含み、本方法は、a)402において、露光システムを用いて、媒体基材上へマーキングされるべき画像を表す静電画像を感光体表面に形成することと、b)404において、現像剤システムを用いて感光体表面にトナー材料で静電画像を現像し、現像画像を生成することと、c)406において、現像画像を感光体表面から画像転写表面へ転写することと、d)408において、画像転写表面上の現像画像を画像転写ニップへ前進させることと、e)410において、バックアップロールまたは用紙案内装置へ機能的に接続される定電流源、及び誘電材料を含むバックアップロール、用紙案内装置及び中間画像転写表面のうちの1つを利用して画像転写ニップに渡って電界を発生させ、これにより、発生させられた電界が現像画像を画像転写表面から媒体シートへ転写することと、f)412において、転写された現像画像を媒体基材へ定着させることを含む。
【0070】
先に論じたように、本開示及び本明細書に含まれる例示的な実施形態は、定電流第2転写バイアス制御の実装を可能にする第1の転写電気設計をシミュレートするために、ベースエレメント(ITR、用紙案内ITB、BURまたは中間ITB)の1つを容量性(即ち、絶縁性または誘電性)エレメントで置換することによって、第2の画像転写システムの設計を変更する。容量性のアイテムは第2の転送ステップ後も帯電されたままになることから、放電ステップの追加が必要とされる。感光性デバイス(感光体OPCドラムまたは感光体ベルト等)が使用されていれば、これは、低コストの消去ランプで達成されることが可能である。非感光性のデバイスが使用されていれば、これは、ACバイアスされた帯電ロール(BCR)またはACコロトロン、スコロトロン、ジコロトロン、他等のAC帯電デバイスを必要とすることになる(感光体の場合にAC放電デバイスが使用される可能性もある)。(第1の転写においてベルトを中和するに足る空気絶縁破壊が存在すれば、中間転写表面内の絶縁層は追加の放電デバイスを必要としない場合がある。)
【0071】
容量性エレメントは、第2の転送システムの「上部」または「底部」の何れかに追加されることが可能である。第2の電流転写システムでは、バックアップロール(BUR)によって中間転写ベルト(表面)(ITB)の背後に負電圧が印加されるか、ITRへ正電圧が印加される。(図3を参照されたい。)例1(図7)は、用紙の背後(または、ITRと用紙との間に位置決めされるバイアスされた画像転写ベルトの背後)に位置決めされるバイアスされた画像転写ロール(ITR)を小型の負帯電OPCドラムで置換するものである。中間ITB(中間転写ベルト)内のBURは、OPC内部の「接地平面」に対して負にバイアスされる。電源は、定電流モードで動作される(図7)。例2は、中間ITB内部のBURを小型の正帯電感光体で置換するものである(図8)。ITRは、OPC接地平面に対して正にバイアスされる。この場合もやはり、電源は定電流モードで動作される。用紙案内ITBを含む例3(図10)は、ITBを接地された感光体ベルトで置換するものである。中間ITB内のBURは、OPC内部の「接地平面」に対して負にバイアスされる。電源は、定電流モードで動作される(図10)。3例全てにおいて、ドラムまたはベルトの表面から残留電荷を全て放電するために、転写後の消去ランプを追加することができる。或いは、AC帯電システムを放電に使用することもできる。この場合は、AC高電圧源が必要であるが、望ましければ非感光性のロールまたはドラムの使用も可能にする。非感光性ロールの選択肢としては、導電フォームロール上へ重ね合わされる絶縁スリーブが含まれる。これは、機械的適合性という追加的利点を提供して転写ニップの最適化に別の手段を加える。他の選択肢には、ITRではなくOPC接地平面へ定電流を印加することが含まれる。非感光体を任意選択する場合、ITRではなくAC放電システムへ定電流を印加することが可能である。最後の例(例4)は、中間画像転写ベルトへ容量性エレメントを追加するものである。この例では、第1の転写において中間画像転写ベルトを中和するに足る空気絶縁破壊が存在すれば、追加的な放電は必要とされない場合がある(例の要約には下記表1を参照のこと)。
【0072】
【表1−1】

【0073】
【表1−2】

【0074】
本開示は、転写電界を発生する高電圧電源の単純な定電流制御アルゴリズムを有効化する。最も単純な実装において、一定の転写電界を保証するために必要とされる電流は、用紙重量、温度、RH、片面/両面及び用紙コーティングとは独立したものになる。実際には、電流は転写電界の完全な代理でなくてもよく、完全な代理である場合には、応力条件に応じて制御電流の僅かな変更が必要とされる場合がある。また電流は、異なる用紙幅に対応するために変更される場合がある。要するに、本開示は、現時点で使用されている定電圧システムが必要とする高度に複雑なLUT(ルックアップテーブル)の必要性をなくす。
【0075】
本開示は、遙かにロバストな制御アルゴリズム及びより安定的/ロバストな印刷品質を提供する。即ち、(OPCのような)誘電表面を含む転写ニップにおいて、電流は、転写電界の直接的尺度である。定電流を保全するために、高電圧電源は、温度、RH、基材特性、ITR特性(抵抗率、k=誘電定数、他)、中間ITB特性(抵抗率、k、他)及び用紙案内ITB特性(抵抗率、k、他)の変化とは独立したほぼ一定の転写電界を保証するように印加電圧を自動的に変更する。
【0076】
本開示は、設計及び/またはシステム/プラットフォームに大きな変更があるとしても、バイアス制御アルゴリズムの迅速、単純かつ低コストな最適化を有効化する。主要なニップコンポーネントに設計変更があれば、または処理速度が変更されれば(プラットフォームの変動)、標的転写電流は変更を余儀なくされる場合があるが、新しい最適電流設定点の発見にさほど努力は要さない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間画像転写印刷装置を用いて媒体基材上へ画像をマーキングする方法であって、前記中間画像転写印刷装置は、感光体表面と、前記感光体表面と機能的に関連づけられる露光ステーションと、前記感光体表面と機能的に関連づけられる現像剤システムと、前記感光体表面と機能的に関連づけられる中間画像転写表面と、前記中間画像転写表面と機能的に関連づけられる画像転写ニップとを含み、前記画像転写ニップは媒体シートに係合するためのバックアップロール及び用紙案内装置を含み、かつ前記バックアップロール、用紙案内装置及び前記中間画像転写表面のうちの1つまたはそれ以上は誘電材料を含み、前記方法は、
a)前記露光システムを用いて、媒体基材上へマーキングされるべき画像を表す静電画像を前記感光体表面に形成することと、
b)前記現像剤システムを用いて、前記感光体表面にトナー材料で前記静電画像を現像し、現像画像を生成することと、
c)前記現像画像を前記感光体表面から前記中間画像転写表面へ転写することと、
d)前記中間画像転写表面上の前記現像画像を前記画像転写ニップへ前進させることと、
e)前記バックアップロール及び前記用紙案内装置へ機能的に接続される定電流源を利用して前記画像転写ニップに渡って電界を発生することを含み、
発生させられた前記電界は、前記現像画像を前記中間画像転写表面から媒体シートへ転写する方法。
【請求項2】
前記用紙案内装置は接地へ機能的に接続される導電材料を含み、前記用紙案内デバイスは前記誘電材料を含み、かつ前記用紙案内装置へは電荷中和システムが機能的に関連づけられ、ステップe)は、
e1)前記バックアップロール及び前記用紙案内装置へ機能的に接続される定電流源を利用して前記ニップに渡って電界を発生させ、
これにより、発生させられた前記電界は前記現像画像を前記中間画像転写表面から媒体シートへ転写することと、
e2)前記電荷中和システムを用いて前記誘電材料を中和することを含む、請求項1に記載の媒体基材上へ画像をマーキングする方法。
【請求項3】
前記バックアップロールは接地へ機能的に接続される導電材料を含み、前記バックアップロールは前記誘電材料を含み、かつ前記バックアップロールへは電荷中和システムが機能的に関連づけられ、ステップe)は、
e1)前記バックアップロール及び前記用紙案内装置へ機能的に接続される定電流源を利用して前記ニップに渡って電界を発生させ、
これにより、発生させられた前記電界は前記現像画像を前記中間画像転写表面から媒体シートへ転写することと、
e2)前記電荷中和システムを用いて前記誘電材料を中和することを含む、請求項1に記載の媒体基材上へ画像をマーキングする方法。
【請求項4】
中間画像転写マーキング装置であって、
感光体表面と、
前記感光体表面と機能的に関連づけられる露光ステーションと、
前記感光体表面と機能的に関連づけられる現像剤システムと、
前記感光体表面と機能的に関連づけられる中間画像転写表面と、
前記中間画像転写表面と機能的に関連づけられる画像転写ニップであって、前記画像転写ニップは媒体シートに係合するように構成されるバックアップロール及び用紙案内装置を含み、かつ前記バックアップロール、用紙案内装置及び前記中間画像転写表面のうちの1つまたはそれ以上は誘電材料を含む画像転写ニップと、
前記感光体表面、前記露光ステーション、前記現像剤システム、前記中間画像転写表面及び前記画像転写ニップと機能的に関連づけられるコントローラであって、前記中間画像転写マーキング装置を用いて媒体基材上へ画像をマーキングするプロセスを実行するように構成されるコントローラとを備え、前記プロセスは、
a)前記露光システムを用いて、媒体基材上へマーキングされるべき画像を表す静電画像を前記感光体表面に形成することと、
b)前記現像剤システムを用いて、前記感光体表面にトナー材料で前記静電画像を現像し、現像画像を生成することと、
c)前記現像画像を前記感光体表面から前記中間画像転写表面へ転写することと、
d)前記中間画像転写表面上の前記現像画像を前記画像転写ニップへ前進させることと、
e)前記バックアップロール及び前記用紙案内装置へ機能的に接続される定電流源を利用して前記画像転写ニップに渡って電界を発生することを含む中間画像転写マーキング装置。
【請求項5】
前記用紙案内装置は接地へ機能的に接続される導電材料を含み、前記用紙案内装置は前記誘電材料を含み、かつ前記用紙案内装置へは電荷中和システムが機能的に関連づけられ、ステップe)は、
e1)前記バックアップロール及び前記用紙案内装置へ機能的に接続される定電流源を利用して前記ニップに渡って電界を発生させ、
これにより、発生させられた前記電界は前記現像画像を前記中間画像転写表面から媒体シートへ転写することと、
e2)前記電荷中和システムを用いて前記誘電材料を中和することを含む、請求項4に記載の中間画像転写マーキング装置。
【請求項6】
前記バックアップロールは接地へ機能的に接続される導電材料を含み、前記バックアップロールは前記誘電材料を含み、かつ前記バックアップロールへは電荷中和システムが機能的に関連づけられ、ステップe)は、
e1)前記バックアップロール及び前記用紙案内装置へ機能的に接続される定電流源を利用して前記ニップに渡って電界を発生させ、
これにより、発生させられた前記電界は前記現像画像を前記中間画像転写表面から媒体シートへ転写することと、
e2)前記電荷中和システムを用いて前記誘電材料を中和することを含む、請求項4に記載の中間画像転写マーキング装置。
【請求項7】
中間画像転写マーキング装置であって、
感光体ドラムと、
前記感光体ドラムと機能的に関連づけられる露光ステーションと、
前記感光体ドラムと機能的に関連づけられる現像剤システムと、
前記感光体ドラムと機能的に関連づけられる中間画像転写表面と、
前記中間画像転写表面と機能的に関連づけられる画像転写ニップであって、前記画像転写ニップは媒体シートに係合するように構成されるバックアップロール及び用紙案内装置を含み、かつ前記バックアップロール、用紙案内装置及び前記中間画像転写表面のうちの1つまたはそれ以上は誘電材料を含む画像転写ニップと、
定着器と、
前記感光体ドラム、前記現像剤システム、前記中間画像転写表面及び前記画像転写ニップと機能的に関連づけられるコントローラであって、前記中間画像転写マーキング装置を用いて媒体基材上へ画像をマーキングするプロセスを実行するように構成されるコントローラとを備え、前記プロセスは、
a)前記露光システムを用いて、媒体基材上へマーキングされるべき画像を表す静電画像を前記感光体ドラム上に形成することと、
b)前記現像剤システムを用いて前記感光体ドラム上に前記静電画像を現像し、現像画像を生成することと、
c)前記現像画像を前記感光体ドラムから前記中間画像転写表面へ転写することと、
d)前記中間画像転写表面上の前記現像画像を前記画像転写ニップへ前進させることと、
e)前記バックアップロール、前記用紙案内装置、及び前記誘電材料へ機能的に接続される定電流源を利用して前記画像転写ニップに渡って電界を発生させ、これにより、発生させられた前記電界が前記現像画像を前記中間画像転写表面から媒体シートへ転写することと、
f)前記定着器を用いて、転写された前記画像を媒体シートへ定着させることを含む中間画像転写マーキング装置。
【請求項8】
前記用紙案内装置は接地へ機能的に接続される導電材料を含み、前記用紙案内装置は前記誘電材料を含み、かつ前記用紙案内装置へは電荷中和システムが機能的に関連づけられ、ステップe)は、
e1)前記バックアップロール及び前記用紙案内装置へ機能的に接続される定電流源を利用して前記ニップに渡って電界を発生させ、
これにより、発生させられた前記電界は前記現像画像を前記中間画像転写表面から媒体シートへ転写することと、
e2)前記電荷中和システムを用いて前記誘電材料を中和することを含む、請求項7に記載の中間画像転写マーキング装置。
【請求項9】
前記電荷中和システムは、光放電灯、ACコロトロン、ACスコロトロン及びAC BCR電荷中和部材のうちの1つを含む、請求項8に記載の中間画像転写マーキング装置。
【請求項10】
前記バックアップロールは接地へ機能的に接続される導電材料を含み、前記バックアップロールは前記誘電材料を含み、かつ前記バックアップロールへは電荷中和システムが機能的に関連づけられ、ステップe)は、
e1)前記バックアップロール及び前記用紙案内装置へ機能的に接続される定電流源を利用して前記ニップに渡って電界を発生させ、
これにより、発生させられた前記電界は前記現像画像を前記中間画像転写表面から媒体シートへ転写することと、
e2)前記電荷中和システムを用いて前記誘電材料を中和することを含む、請求項7に記載の中間画像転写マーキング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−48235(P2012−48235A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177376(P2011−177376)
【出願日】平成23年8月15日(2011.8.15)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】