説明

定電流回路、及び試験装置

【課題】帰還回路を用いて負荷回路に供給する電流を制御して、負荷変動による誤差を生じない定電流回路並びにその定電流回路を備えた試験装置を提供する。
【解決手段】変換回路Roは、負荷回路90の入力端に接続される。演算増幅器12は、出力端には変換回路Roを介して負荷回路90が接続され、変換回路Roから出力される信号と、演算増幅器12の出力端から出力される出力信号とを帰還信号とする。補償抵抗Rcは、演算増幅器12の一方の入力端と基準電位VGに接続され、帰還信号により生じる誤差を補償する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定電流回路、及び被試験対象に定電流付加試験を行う試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
定電流源として用いられる定電流回路は、演算増幅器を備えた帰還回路として構成することにより、制御目標となる電流値が変動する場合にも追従させることが可能となる。演算増幅器を備えた定電流回路では、帰還回路の負帰還路に負荷回路を挿入する構成が知られている。この構成では、負荷回路が演算増幅器の入力端と出力端に接続されることから、負荷回路を基準電位に対してフローティングさせる必要がある。そのため、負荷回路を構成する条件によっては適用できない場合がある。それに対し、接地電位に接続された負荷回路に定電流を供給する定電流回路を構成する技術について開示されたものがある(例えば、特許文献1及び2を参照)。
また、定電流回路を応用した例として半導体装置の製造プロセスにおける試験装置がある。このような試験装置では、半導体装置に対する試験品質を向上させるために、精密な定電流回路を備えることが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−327360号公報
【特許文献2】特開平10−283044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に示される定電流回路を図3に示す。この定電流回路30は、生成した電流を負荷回路90に供給する。定電流回路30では、基準電源11が出力する目標制御電圧Vrefに応じて演算増幅器12は、設定された増幅率に基づいてその出力信号を変化させて高精度に制御される電流Isを生成することができる。生成される電流Isを、式(1)に示す。
【0005】
【数1】

【0006】
式(1)において、rsとrfは、入力抵抗Rs1(インピーダンスrs1)、入力抵抗Rs2(インピーダンスrs2)、帰還抵抗Rf1(インピーダンスrf1)及び帰還抵抗Rf2(インピーダンスrf2)の比で示すことができ、その関係を、式(2)に示す。
【0007】
【数2】

【0008】
しかしながら、定電流回路30における電流Isは、出力電流IOとして負荷回路90に供給される前に、制御回路の帰還路に流れるバイアス電流Ibが分流される。それにより出力電流Ioは、電流Isに対して式(3)に示されるようにバイアス電流Ibによる誤差が発生することになる。
【0009】
【数3】

【0010】
このバイアス電流Ibは、変換抵抗Ro(インピーダンスro)を介して演算増幅器12によって構成される差動増幅回路のゲインを決めるフィードバック抵抗Rf2及び入力抵抗Rs2に流れる電流となる。また、このバイアス電流Ibは、負荷回路90のインピーダンスを示す負荷抵抗RLの変動によっても変動する。そのため、出力電流Ioは、目標制御電圧Vrefによる補正は不可能となり、出力される定電流値に誤差を生じるという問題がある。
【0011】
また、図4に示す定電流回路40では、上記の定電流回路30におけるバイアス電流Ibによる問題に対して、バイアス電流Ibを削減(Ib≒0)する対策を施す例を示す。定電流回路40では、フィードバック抵抗Rf2への接続にバッファーアンプ(B)13を挿入する構成とする。
この対策では、バッファーアンプ13を構成する回路及びその周辺回路に高精度部品の部品点数が増加する。さらに、出力電流の変動範囲が広範囲に渡る場合には、大きく変動する信号の変動範囲に追従できる制御回路が必要になる。そのため、広範囲の高精度定電流回路の実現が困難という問題がある。
【0012】
そこで、本発明は、帰還回路を用いて負荷回路に供給する電流を制御して、負荷変動による誤差を生じない定電流回路並びにその定電流回路を備えた試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記問題を解決するために、本発明は、接続された負荷回路に、信号源から入力される入力信号の電圧値に応じた電流を供給する定電流回路であって、前記負荷回路に供給される電流値を検出する電流検出回路と、前記検出された電流値及び前記入力信号の電圧値に基づいた電圧を出力する演算増幅器と、前記演算増幅器の一方の入力端に設けられ、前記電流検出回路の前記電流の検出感度に基づくインピーダンス値を有し、前記負荷回路に供給する電流の誤差を補償するインピーダンス素子と、を備えることを特徴とする定電流回路である。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記電流検出回路は、前記負荷回路の入力端に接続され、前記演算増幅器は、前記出力端には前記電流検出回路を介して前記負荷回路が接続され、前記電流検出回路から出力される信号と該出力端から出力される出力信号とを帰還信号とし、前記インピーダンス素子は、前記演算増幅器の一方の入力端と前記基準電位に接続されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、前記電流検出回路は、前記検出感度が内部抵抗Ro(インピーダンス:ro)に基づいて定められ、前記演算増幅器は、前記信号源に対する入力抵抗Rs1(インピーダンスrs1)及び帰還抵抗Rf2(インピーダンスrf1)に基づいて増幅率が(−rf1/rs1)として定められ、かつ、前記電流検出回路の検出信号が入力抵抗Rs2(インピーダンスrs2)及び帰還抵抗Rf2(インピーダンスrf2)に基づく分圧比(rs2/(rs2+rf2))によって帰還され、前記入力抵抗Rs1、前記帰還抵抗Rf2、前記入力抵抗Rs2及び前記帰還抵抗Rf2のインピーダンスは、関係式(rf1/rs1)=(rf2/rs2)によって示され、前記インピーダンス素子は、前記基準電位に接続されるインピーダンスrcが、演算式(rc=(rf1×(rs2/ro)))に基づいて定められることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記発明に記載の定電流回路を備え、該定電流回路によって出力される電流を被試験対象に印加することを特徴とする試験装置である。
【発明の効果】
【0017】
この本発明によれば、定電流回路は、接続された負荷回路に、信号源から入力される入力信号の電圧値に応じた電流を供給する。電流検出回路は、負荷回路に供給される電流値を検出する。演算増幅器は、検出された電流値及び入力信号の電圧値に基づいた値の電圧を出力する。インピーダンス素子は、演算増幅器の一方の入力端に設けられ、電流検出回路の電流の検出感度に基づくインピーダンス値を有し、負荷回路に供給する電流の誤差を補償する。
これにより、演算増幅器の一方の入力端に設けられたインピーダンス素子は、電流検出回路の電流の検出感度に基づくインピーダンス値を有する。電流検出回路で検出された電流に含まれる誤差を補償するように、演算増幅器の入力端に設けられたインピーダンス素子に設定された定数により、負荷回路に供給する電流の誤差を補償する。
【0018】
また、本発明によれば、上記発明において、電流検出回路は、負荷回路の入力端に接続される。演算増幅器は、出力端には電流検出回路を介して負荷回路が接続され、電流検出回路から出力される信号と該出力端から出力される出力信号とを帰還信号とする。インピーダンス素子は、演算増幅器の一方の入力端と基準電位に接続される。
これにより、負荷回路に供給される電流の誤差は、演算増幅器の入力端に生じる電位の影響をインピーダンス素子を設けることにより打ち消すことにより低減できる。
【0019】
また、本発明によれば、上記発明において、電流検出回路は、検出感度が内部抵抗Ro(インピーダンスro)に基づいて定められる。演算増幅器は、信号源に対する入力抵抗Rs1(インピーダンスrs1)及び帰還抵抗Rf2(インピーダンスrf1)に基づいて増幅率が(−rf1/rs1)として定められる。そして、演算増幅器は、電流検出回路の検出信号が入力抵抗Rs2(インピーダンスrs2)及び帰還抵抗Rf2(インピーダンスrf2)に基づく分圧比(rs2/(rs2+rf2))によって帰還される。また、入力抵抗Rs1、帰還抵抗Rf2、入力抵抗Rs2及び帰還抵抗Rf2のインピーダンスは、式(rf1/rs1)=(rf2/rs2)によって示される関係にある。そして、インピーダンス素子は、基準電位に接続されるインピーダンスrcが、演算式(rc=rf1×(rs2/ro))に基づいて定められる。
これにより、インピーダンス素子のインピーダンスは、負荷回路のインピーダンスに影響されることなく、電流検出回路の内部抵抗Roのインピーダンスroによって定められる。また、インピーダンス素子のインピーダンスは、信号源が入力する電圧に影響されることなく、回路定数によって設定することができる。
【0020】
また、本発明によれば、試験装置は、上記発明のいずれかに記載の定電流回路を備え、該定電流回路によって出力される電流を被試験対象に印加する。
これにより、被試験対象の状態に影響されることなく、出力する電流の精度を確保できる試験装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態による定電流回路を示すブロック図である。
【図2】同実施形態における試験装置を示すブロック図である。
【図3】従来の実施形態における定電流回路を示すブロック図である。
【図4】従来の実施形態における定電流回路を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明の一実施形態による定電流回路を図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態による定電流回路10を示す概略ブロック図である。
定電流回路10と共に図示される負荷回路90は、一端が基準電位Vgを示す電源端子VGに接続される定電流回路10の負荷であり、定電流回路10によって生成された定電流Ioが供給される。
【0023】
定電流回路10は、基準電圧発生部11、演算増幅器12、入力抵抗Rs1(インピーダンスrs1)、入力抵抗Rs2(インピーダンスrs2)、帰還抵抗Rf1(インピーダンスrf1)、帰還抵抗Rf2(インピーダンスrf2)、変換抵抗Ro(インピーダンスro)及び補正抵抗Rc(インピーダンスrc)を備える。
定電流回路10における基準電圧発生部11は、一端が基準電位Vgを示す電源端子VGに接続され、基準電圧Vrefを出力する。基準電圧発生部11が出力する電圧によって、定電流回路10が出力する電流値が設定される。
演算増幅器12は、反転入力端と非反転入力端からなる差動入力端子を備える増幅回路である。演算増幅器12による増幅回路の増幅特性は、接続される回路素子を組み合わせた構成により設定される。
入力抵抗Rs1(インピーダンスrs1)及び帰還抵抗Rf1(インピーダンスrf1)は、基準電圧発生部11が出力する基準電圧Vrefの増幅率を定める。
入力抵抗Rs2(インピーダンスrs2)及び帰還抵抗Rf2(インピーダンスrf2)は、変換抵抗Roで検出された電流を制御する定数を定める。
変換抵抗Ro(インピーダンスro)は、演算増幅器12が出力する電流に基づいて電圧に変換する。
補正抵抗Rc(インピーダンスrc)は、出力電流Isに対しバイアス電流Ibによって生じる定電流Ioの誤差を補償する定数を定める。補正抵抗Rcによる設定は、基準電圧発生部11が出力する基準電圧Vrefの増幅率に影響を与えない。
【0024】
次に、定電流回路10における接続を示す。基準電圧発生部11の出力端は、入力抵抗Rs1を介して、演算増幅器12の反転入力端に接続される。演算増幅器12の反転入力端は、帰還抵抗Rf1を介して演算増幅器12の出力端に接続され、負帰還路を形成する。また、演算増幅器12の反転入力端は、補正抵抗Rcを介して電源端子VG(基準電位Vg)に接続される。
演算増幅器12の出力端は、変換抵抗Roを介して、出力端子Tb1に接続される。
演算増幅器12の非反転入力端は、帰還抵抗Rf2を介して出力端子Tb1に接続され、正帰還路を形成する。演算増幅器12の非反転入力端は、入力抵抗Rs2を介して電源端子VG(基準電位Vg)に接続される。
このような構成を有する定電流回路10は、基準電圧発生部11が出力する基準電圧Vrefによって定められる定電流Ioを生成する。生成された定電流Ioは、出力端子Tb1から出力され、一端が端子Tb2を介して電源端子VG(基準電位Vg)に接続された負荷回路90の他端に供給される。
【0025】
負荷回路90に供給される定電流Ioは、演算増幅器12から供給される。演算増幅器12は、電流Isを変換抵抗Roに供給する。電流Isが漏れなく定電流Ioに供給されれるとすれば、定電流Io及び電流Isは前述の式(1)によって示されることになるが、電流Isは、負荷回路90に供給される電流Io以外に、帰還抵抗Rf2及び入力抵抗Rs2を介してバイアス電流Ibが分流される。そのバイアス電流Ibは、式(4)によって示される。
【0026】
【数4】

【0027】
式(4)において、出力端子電圧Voは、基準電位Vgに対する出力端子Tb1の電位を示す。また、rs2は、入力抵抗Rs2のインピーダンスを示し、rf2は、帰還抵抗Rf2のインピーダンスを示す。
負荷回路90に、所定の定電流Ioを供給するにはバイアス電流Ibの減少分を補償して、電流Isを補正する必要がある。電流Isは、演算増幅器12の出力電圧を出力端子Tb1の出力端子電圧Voに対して、補正電圧ΔV分を補償することにより補正できる。補正電圧ΔVを式(5)に示す。
【0028】
【数5】

【0029】
また、演算増幅器12の非反転入力端子電圧Vs+は、バイアス電流Ibによって生じ、式(6)に示される。
【0030】
【数6】

【0031】
演算増幅器12の反転入力端子電圧Vs−は、非反転入力端子電圧Vs+と同電位になるように制御されることにより、仮想同電位となることから、式(7)で示される。
【0032】
【数7】

【0033】
ここで、演算増幅器12の出力電圧が補正抵抗Rcによって補正され、その補正される補正電圧ΔV’を導く。演算増幅器12の反転入力端子電圧Vs−を基準(コモン電位)と仮定すれば、図に示される電源端子VGの電位Vgは、(−Vs−)となるので、補正電圧ΔV’は、式(8)に示される。
【0034】
【数8】

【0035】
式(8)において、rs1、rs2及びrf2は、入力抵抗Rs1、入力抵抗Rs2及び帰還抵抗Rf2のインピーダンスを示す。
また、補正電圧ΔVと補正電圧ΔV’は、同じ電圧(ΔV=ΔV’)であることから、式(9)の関係が導かれる。
【0036】
【数9】

【0037】
式(9)を補正抵抗Rcのインピーダンスrcについて整理すると、インピーダンスrcは式(10)に示される。
【0038】
【数10】

【0039】
ゆえに、補正抵抗Rcのインピーダンスrcは、式(11)として導かれる。
【0040】
【数11】

【0041】
以上に示されたように、補正抵抗Rcを構成に追加することにより、正帰還路に分流されたバイアス電流Ibの影響を補償できることを示した。この構成では、バイアス電流Ibをなくすための正帰還路に配置されるバッファーアンプを設けることなく、バイアス電流Ibの影響を補償することができる。
【0042】
なお、定電流回路10は、接続された負荷回路90に、基準電圧発生部11から入力される入力信号の電圧値に応じた電流を供給する。変換抵抗Roは、負荷回路90に供給される電流値(Is)を検出する。演算増幅器12は、検出された電流値(Is)及び入力信号の電圧値(Vref)に基づいた値の電圧を出力する。補正抵抗Rcは、演算増幅器12の非反転入力端に設けられ、変換抵抗Roの電流Isの検出感度に基づくインピーダンス値rcを有し、負荷回路90に供給する電流Ioの誤差を補償する。
これにより、変換抵抗Roで検出された電流Isに含まれる誤差を補償するように、演算増幅器12の入力端に設けられた補正抵抗Rcに設定された定数により、負荷回路90に供給する電流の誤差を補償することができる。
【0043】
また、定電流回路10において、電流検出回路Roは、負荷回路90の入力端に接続される。演算増幅器12は、出力端には変換抵抗Roを介して負荷回路90が接続され、変換抵抗Roから出力される信号Voと該出力端から出力される出力信号とを帰還信号とする。補正抵抗Rcは、演算増幅器の一方の入力端と基準電位に接続される。
これにより、負荷回路に供給される電流の誤差は、演算増幅器の入力端に生じる電位の影響を補正抵抗Rcを設けることにより打ち消すことにより低減できる。
【0044】
また、定電流回路10において、変換抵抗Roは、検出感度が内部抵抗Ro(インピーダンスro)に基づいて定められる。演算増幅器12は、基準電圧発生部11に対する入力抵抗Rs1(インピーダンスrs1)及び帰還抵抗Rf2(インピーダンスrf1)に基づいて増幅率が(−rf1/rs1)として定められる。そして、演算増幅器12は、変換抵抗Roの検出信号が入力抵抗Rs2(インピーダンスrs2)及び帰還抵抗Rf2(インピーダンスrf2)に基づく分圧比(rs2/(rs2+rf2))によって帰還される。また、入力抵抗Rs1、帰還抵抗Rf2、入力抵抗Rs2及び帰還抵抗Rf2のインピーダンスは、式(rf1/rs1)=(rf2/rs2)によって示される関係にある。そして、補正抵抗Rcは、基準電位に接続されるインピーダンスrcが、演算式(rc=rf1×(rs2/ro))に基づいて定められる。
これにより、補正抵抗Rcのインピーダンスは、負荷回路90のインピーダンスに影響されることなく、電流検出回路Roのインピーダンスroによって定められる。また、補正抵抗Rcのインピーダンスrcは、基準電圧発生部11信号源が入力する電圧Vrefに影響されることなく、回路定数によって設定することができる。
【0045】
(第2実施形態)
以下、本発明の一実施形態による試験装置を図面を参照して説明する。
図2は、本実施形態による試験装置100を示す概略ブロック図である。
試験装置100と共に図示される負荷回路90は、試験装置100によって試験される半導体素子を示し、例えばダイオードなどが適用される。試験装置100によって、負荷回路90(例えば、ダイオード)の静特性試験が行われる。
【0046】
試験装置100は、逆方向特性試験部110、順方向特性試験部120、方向切換部130、制御部140及び電源部150を備える。
試験装置100において逆方向試験部110は、負荷回路90の逆方向バイアス試験を行う。逆方向試験部110は、試験電圧電流発生部10及び電圧電流測定部10Mを備える。試験電圧電流発生部10は、負荷回路90に逆方向特性試験に必要な電圧及び電流を発生する。試験電圧電流発生部10によって生成される電圧及び電流は、逆方向特性試験に適した高電圧及び小電流という特徴を有している。そのため、試験電圧電流発生部10は、第1実施形態に示した定電流回路10を適用して構成することが可能である。
電圧電流測定部10Mは、試験電圧電流発生部10によって負荷回路90に印加された電圧及び電流に基づいた電圧電流特性の測定を行う。
【0047】
試験装置100において順方向試験部120は、負荷回路90の順方向バイアス試験を行う。順方向試験部120は、試験電圧電流発生部20及び電圧電流測定部20Mを備える。試験電圧電流発生部20は、負荷回路90に順方向特性試験に必要な電圧及び電流を発生する。試験電圧電流発生部20によって生成される電圧及び電流は、順方向特性試験に適した低電圧及び大電流という特徴を有している。
電圧電流測定部20Mは、試験電圧電流発生部20によって負荷回路90に印加された電圧及び電流に基づいた電圧電流特性の測定を行う。
測定された結果から、静特性試験による性能を示す値が示される。
【0048】
方向切換部130は、試験装置100に接続された負荷回路90の接続を変更せずに、逆方向特性試験部110及び順方向特性試験部120で発生する試験電圧及び試験電流の印加方向の切り換えを行う。
制御部140は、試験装置100における試験内容を指示する指示入力を検出し、検出された指示入力にしたがって、定められた手順に応じて特性試験を行う。制御部140は、試験装置100の各部の制御を行う。制御部140は、図示されないCPU(Central Processing Unit)、記憶部(RAM(Random Access Memory)とROM(Read Only Memory))、入出力部を含んで構成され、記憶部に記憶されたプログラムをCPUが参照し、記録された手順によって特性試験に必要な処理を行うプログラムを実行する。処理に必要な情報は、記憶部の書き換え可能な記憶領域に割り付けられた変数領域に記録される。また、測定結果は、入出力部を介して外部に出力される。
電源部150は、入力される電源に基づいて、試験装置100の各部の動作に必要な電源を供給し、試験電圧電流発生部10及び試験電圧電流発生部20から出力する試験電圧及び試験電流の供給を行う。
【0049】
以上に示したように、試験電圧電流発生部10によって逆方向特性試験時に生成される電圧及び電流は、逆方向特性試験に適した高電圧及び小電流という特徴を有している。また、出力される試験電圧及び試験電流は、接続される負荷回路90の特性によって影響されないことが必要である。そのため、試験電圧電流発生部10は、第1実施形態に示した定電流回路10を適用して構成することにより、出力する試験電圧及び試験電流の精度を確保することが可能となる。
【0050】
なお、本発明の定電流回路は、定電流回路10に相当する。また、本発明の負荷回路は、負荷回路90に相当する。また、本発明の試験装置は、試験装置100に相当する。また、本発明の被試験対象は、負荷回路90に相当する。また、本発明の信号源は、基準電源部11に相当する。また、本発明の演算増幅器は、演算増幅器12に相当する。また、本発明の電流検出回路は、変換抵抗Roに相当する。また、本発明のインピーダンス素子は、補正抵抗Rcに相当する。また、本発明の入力抵抗Rs1は、入力抵抗Rs1に相当する。また、本発明の入力抵抗Rs2は、入力抵抗Rs2に相当する。また、本発明の帰還抵抗Rf1は、帰還抵抗Rf1に相当する。また、本発明の帰還抵抗Rf2は、帰還抵抗Rf2に相当する。
【0051】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。本発明の試験装置100における定電流回路10は、定電流回路10の構成数や電流容量ついても特定されるものではない。また、本発明の定電流回路10における演算増幅器12は、増幅段数、回路構成について任意の構成を選択することができる。
【符号の説明】
【0052】
10 定電流回路
100 試験装置
90 負荷回路
11 基準電圧発生部
12 演算増幅器
Rs1 入力抵抗
Rs2 入力抵抗
Rf1 帰還抵抗
Rf2 帰還抵抗
Ro 変換抵抗
Rc 補正抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続された負荷回路に、信号源から入力される入力信号の電圧値に応じた電流を供給する定電流回路であって、
前記負荷回路に供給される電流値を検出する電流検出回路と、
前記検出された電流値及び前記入力信号の電圧に基づく値の電圧を出力する演算増幅器と、
前記演算増幅器の一方の入力端に設けられ、前記電流検出回路の前記電流の検出感度に基づくインピーダンス値を有し、前記負荷回路に供給する電流の誤差を補償するインピーダンス素子と、
を備えることを特徴とする定電流回路。
【請求項2】
前記電流検出回路は、
前記負荷回路の入力端に接続され、
前記演算増幅器は、
前記出力端には前記電流検出回路を介して前記負荷回路が接続され、前記電流検出回路から出力される信号と該出力端から出力される出力信号とを帰還信号とし、
前記インピーダンス素子は、
前記演算増幅器の一方の入力端と前記基準電位に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の定電流回路。
【請求項3】
前記電流検出回路は、
前記検出感度が内部抵抗Ro(インピーダンスro)に基づいて定められ、
前記演算増幅器は、
前記信号源に対する入力抵抗Rs1(インピーダンスrs1)及び帰還抵抗Rf2(インピーダンスrf1)に基づいて増幅率が(−rf1/rs1)として定められ、かつ、前記電流検出回路の検出信号が入力抵抗Rs2(インピーダンスrs2)及び帰還抵抗Rf2(インピーダンスrf2)に基づく分圧比(rs2/(rs2+rf2))によって帰還され、
前記入力抵抗Rs1、前記帰還抵抗Rf2、前記入力抵抗Rs2及び前記帰還抵抗Rf2のインピーダンスは、関係式(rf1/rs1)=(rf2/rs2)によって示され、
前記インピーダンス素子は、
前記基準電位に接続されるインピーダンスrcが、
演算式(rc=rf1×(rs2/r0))に基づいて定められる
ことを特徴とする請求項1に記載の定電流回路。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の定電流回路を備え、該定電流回路によって出力される電流を被試験対象に印加する
ことを特徴とする試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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