説明

室内スポーツ競技用土台

【課題】資材の保管や運搬を効率的に行なうことができ、誰にでも簡単に組み立てられ、緩衝性に優れた室内スポーツ競技用土台を提供する。
【解決手段】多数枚の段ボール製仕切板1,2に切溝3を設け、これらの仕切板1,2を切溝3で井桁状に噛み合わせて受架体4を形成し、受架体4上に、段ボール製敷板5、木製敷板6及び段ボール製敷板7を順次重なるようにそれぞれ多数枚敷き詰めて複層構造とした天板8を載置する。細分化された板状の部材から構成されるので、解体状態での保管や運搬に際して、嵩張ることがなく、特殊な技能をもたない者にも簡単に組み立てることができる。また、仕切板1,2及び敷板5,7の段ボールがクッションとなって、競技の際の衝撃が緩和されるほか、木製敷板6により曲げ強さも確保され、開会式等のイベント時に多数の者が載って大きな荷重が作用しても、耐えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、体育館等の室内で行なわれるレスリング等の競技に使用するため、床上に設置する土台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、柔道用の畳として、下記特許文献1には、ポリスチレン発泡体の上下にポリプロピレンの段ボールシートとポリエチレン発泡体とを順次積層して畳床を形成し、この畳床を畳表で被覆して形成したものが記載されている。このような畳は、体育館等の床上に直接敷き詰められる。
【0003】
一方、高校総体や国体等の競技会において、体育館等の室内で行なわれるレスリングの競技会場には、観覧性を考慮して、床上に高さ60cm程度の土台が設置され、その上にマットが載置される。
【0004】
この土台としては、通常、ブロック状のポリスチレン発泡体を多数並べたものや、鉄パイプを組み立てた構造物が使用される。
【0005】
【特許文献1】実開平7−5667号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように、ポリスチレン発泡体を多数並べる土台では、ポリスチレン発泡体が非常に嵩張るため、その運搬に多大な手間とコストを要するほか、大会の期間外に保管しておく際、広大なスペースを要し、その保管コストも問題となる。
【0007】
また、鉄パイプの構造物では、組み立てに特殊な技能を有する作業員を必要とし、大会の関係者やボランティアだけでは対処できないという問題があるほか、競技での使用時における緩衝性にも乏しいという問題がある。
【0008】
そこで、この発明は、資材の保管や運搬を効率的に行なうことができ、誰にでも簡単に組み立てられ、緩衝性に優れた室内スポーツ競技用土台を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような課題を解決するため、この発明に係る室内スポーツ競技用土台は、多数枚の段ボール製仕切板に切溝を設け、これらの仕切板を切溝で井桁状に噛み合わせて受架体を形成し、この受架体上に、段ボール製敷板、木製敷板及び段ボール製敷板を順次重なるようにそれぞれ多数枚敷き詰めて複層構造とした天板を載置したのである。
【発明の効果】
【0010】
この室内スポーツ競技用土台は、細分化された板状の部材から構成されるので、解体状態での保管や運搬に際し、嵩張ることがなく、仕切板を噛み合わせた受架体に、段ボール製及び木製敷板を積層した天板を載置するだけで、特殊な技能をもたない者にも簡単に組み立てることができる。
【0011】
また、受架体の仕切板及び天板の敷板として使用する段ボールがクッションとなって、競技の際の衝撃が緩和されるほか、木製敷板により天板の曲げ強さも確保され、開会式等のイベント時に多数の者が載って大きな荷重が作用しても、耐えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
この室内スポーツ競技用土台は、図5に示すように、体育館等の室内で行なわれるレスリングの競技用として、その会場の床上に設置されるものである。
【0014】
この土台を組み立てるには、まず、図1に示すように、多数枚の段ボール製仕切板1,2の上辺又は下辺に切溝3を設けておき、これらの仕切板1,2を切溝3で直交するように井桁状に噛み合わせて受架体4を形成する。
【0015】
仕切板1は、横幅が仕切板2の約2倍の大きさとされ、仕切板1は2本の切溝3を、仕切板2は1本の切溝3を有するものとされている。受架体4の形成に際しては、仕切板1を千鳥状にずらして2枚重ね、各列端部の仕切板1に仕切板2を重ねる。
【0016】
仕切板1,2の材料には、AB段の複両面段ボールを使用し、その段目は上下方向に向くようにする。
【0017】
次に、図2及び図3に示すように、この受架体4の上に、段ボール製敷板5、木製敷板6及び段ボール製敷板7を順次重なるようにそれぞれ多数枚敷き詰めて、3層構造とした天板8を載置する。
【0018】
下層となる敷板5は、AB段の複両面段ボールを材料とし、受架体4の縦横数枚の仕切板1,2に跨る大きさの正方形とされている。
【0019】
中層となる敷板6は、木製の合板とされ、単位面積当たりの重量が段ボールより大きいことから、敷板5よりも小さい長方形とされている。
【0020】
上層となる敷板7は、AAA段の複々両面段ボールを材料とし、敷板5と同一の大きさ及び形状とされている。
【0021】
そして、図4に示すように、敷板7同士を粘着テープTで固定すると共に、その粘着テープTを、天板8の周縁部で敷板6及び5へ巻き付ける。
【0022】
なお、受架体4と天板8とは、天板8に作用する荷重により、敷板5に仕切板1,2が食い込んで、水平方向のずれが防止されるので、特に固定する必要はない。
【0023】
その後、図5に示すように、受架体4の周囲に幕布9を張り、天板8上にカーペット10を敷設して、マット11を作成固定すると、レスリング用の土台が完成する。
【0024】
上記のような土台は、細分化された板状の部材である仕切板1,2及び敷板5,6,7から構成されるので、解体した状態で嵩張ることがなく、容易かつ効率的に運搬することができ、保管に広大なスペースを要することもない。
【0025】
また、仕切板1,2を噛み合わせた受架体4に、敷板5,6,7を積層した天板8を載置するだけで、特殊な技能をもたない者にも簡単に組み立てることができる。
【0026】
また、受架体4の仕切板1,2及び天板8の敷板5,7として使用する段ボールがクッションとなって、競技の際の衝撃が緩和されるほか、木製の敷板6により天板8の曲げ強さも確保され、開会式やチアリーディング等のイベント時に多数の者が天板8に載って大きな荷重が作用しても、耐えることができる。
【0027】
さらに、上記組立過程とは逆の手順により、大会終了後には、簡単かつ迅速に解体して撤収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明に係る室内スポーツ競技用土台の受架体の組立過程を示す斜視図
【図2】同上の敷板の敷き詰め過程を示す斜視図
【図3】同上の受架体に天板を載置した状態の拡大断面図
【図4】同上の土台の仕上げ過程を示す斜視図
【図5】同上の土台の完成状態を示す斜視図
【符号の説明】
【0029】
1,2 仕切板
3 切溝
4 受架体
5 敷板(下層段ボール製)
6 敷板(中層木製)
7 敷板(上層段ボール製)
8 天板
9 幕布
10 カーペット
11 マット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数枚の段ボール製仕切板(1,2)に切溝(3)を設け、これらの仕切板(1,2)を切溝(3)で井桁状に噛み合わせて受架体(4)を形成し、この受架体(4)上に、段ボール製敷板(5)、木製敷板(6)及び段ボール製敷板(7)を順次重なるようにそれぞれ多数枚敷き詰めて複層構造とした天板(8)を載置した室内スポーツ競技用土台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−65491(P2010−65491A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−234565(P2008−234565)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】