説明

家庭用機器および家庭用機器の制御方法

【課題】
従来の家庭用機器で注意事項を表示しているにもかかわらず、家庭用機器は正常に運転しているため、注意表示に注意を払わず、また、表示部の近くに必ずしも使用者がいるとは限らないので、使用者に注意表示を伝えることができないという問題があった。
【解決手段】
家庭用機器1は、機能を設定する操作部2と、操作部2に設けられた入力部20と、家庭用機器1の状態を文字、記号および図形の何れか一つまたはこれらの組合せとして表示する表示部21と、家庭用機器1に発生する注意事項を判別する注意事項判別手段14を有し、注意事項判別手段14で判別した前記注意事項の内容を注意表示として通常は表示部21の所定の位置に通常表示選択手段13で表示し、操作部2の入力部20に入力が行われたことを入力の有無判断手段11で判断して所定の時間の間、前記注意事項の表示方法を変化させる表示変更手段12を有する制御装置3を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力部と表示部を有する操作部を備えた家庭用機器および家庭用機器の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の機能を有し、前記複数の機能を制御する制御装置を有する家庭用機器において、前記複数の機能に対応する複数の入力手段の集合である入力部と、前記入力手段の何れかにより前記複数の機能の何れが選択された状態であるか、また、選択された機能が発揮された状態の程度等を示す表示部を有するものがあった。
【0003】
前記複数の機能に対応する入力手段としては、個々の機能を選択するために入力する入力手段や、選択された機能の能力の程度を選択する入力手段があった。また、前記複数の機能に対応する入力手段以外にも前記複数の機能に対応する入力手段に入力が可能なようにする入力手段、一般的には、運転スイッチや電源スイッチと呼ばれる入力手段や、前記表示部に時計表示を有する場合の、時刻を合わせるための入力手段や、所定の時刻に家庭用機器の機能を開始させる開始時刻の入力手段等があった。
【0004】
前記表示部の表示内容については、前記入力手段により前記複数の機能の何れが選択された状態であるか、また選択された機能が発揮された状態の程度等を示す表示内容以外にも、時刻表示や、家庭用機器の機能が開始する開始時刻を表示するものがあった。さらに、家庭用機器の選択された機能の状態の程度としての表示内容には、機能を正常に発揮している状態だけでなく、機能が正常でない状態を知らせる表示内容もあった。
【0005】
これは、家庭用機器においては様々な検知手段を有しており、この様々な検知手段の検知結果により、家庭用機器の制御装置が家庭用機器の機能が正常ではないと判断するものである。この正常でないと判断する必要がある場合には、何れも表示部に警報を表示するものであるが、警報として表示しても、大きく大別すると二つに分けられる。大きく大別した一方の第一の警報には、家庭用機器が機能を発揮できない状態である場合や、家庭用機器の機能を発揮させると使用者に危険を及ぼす、または家庭用機器の機能の発揮状態が検知できない場合等により、家庭用機器の運転を中止または、運転の開始をさせないという警報である。また他方の第二の警報には、現状では家庭用機器を運転することは問題ないが、近い将来において、何らかの問題が発生するため、使用者に注意を促すための警報で、準警報と分類できる警報があった。この第一の警報および第二の警報を明確に区別するための便宜上、以降文中において第一の警報が発生する場合を「警報事項の発生」と呼び、表示部における表示内容を「警報表示」と呼ぶものとする。また、第二の警報が発生する場合を、「注意事項の発生」と呼び、表示部における表示内容を「注意表示」と呼ぶものとする。
【0006】
具体的に、家庭用機器の一種である灯油燃焼装置を利用する家庭用灯油燃焼方式の給湯機や、家庭用灯油燃焼方式の暖房機を例に説明すると、警報事項の例としては、灯油燃焼装置の燃焼状態が正常でないことを検知した場合や、燃焼状態を検知する検知手段が異常の場合が警報事項であり、警報表示を表示して運転を停止する。また、注意事項の例としては、灯油燃焼装置に供給される灯油タンクの残量が少なくなっている場合や、連続して使用すると性能が劣化する部材、例えば給気側のフィルターや消耗材等が予測使用期限に近づいた場合には運転は継続しつつ、注意事項として注意表示を行うようにしたものがある。
【0007】
この注意表示の場合には家庭用機器は各種の機能の発揮は可能であることから、通常の前記入力手段により前記複数の機能の何れが選択された状態であるか、選択された機能が発揮された状態の程度等を示す表示内容を表示しつつ、同時に注意表示もする必要があることから、注意表示自体を表示部の一部にのみ表示するしかなかった。
【0008】
このため、一般的に家庭用機器において注意事項の表示方法は、アルファベットおよびアラビア数字の組合せで、文字数としては1乃至3文字で表示する場合が多く、この1乃至3文字のアルファベットおよびアラビア数字の組合せで表した注意表示では、注意事項の内容まで表現することは出来ないので、単に符号としての意味だけであり、この符号としか理解できない注意表示を見た使用者は、家庭用機器に付属する取扱説明書等の対照表を取り出して、この意味を理解するしかなく、使用者は符号で表した注意事項の注意表示が表示されても余り気に留めないものであった。なお、警報事項の表示方法についてもアルファベットおよびアラビア数字を組合せ、1乃至3文字で表示する場合が多いが、警報事項の場合においては家庭用機器の運転の停止を伴うので、使用者は家庭用機器が運転しないことで、異常であることを判断して、その後、使用者が符号を見ることになるので、表示された警報事項であっても注意を払うものであった。なお、この1乃至3文字のアルファベットおよびアラビア数字を組合せた符号のことを一般的にはエラーコードと呼んでいる。
【0009】
また、家庭用機器ではないが、産業用のプラントで複数の表示部を有する監視装置において、警報表示となった場合には、表示方法を切換えるものが特許文献1に開示されている。産業用機器においては、機器の運転をコンピューター制御等の自動運転をする場合であっても、産業用機器の操作部には監視担当の運転者が常駐し、自動運転の状況を監視し、異常が発生すると運転者が調整するのが通常である。
【0010】
一方、家庭用機器の場合は、家庭用機器に使用者が一度入力手段により入力して運転を開始した後は、家庭用機器は正常に運転されているものとして注意を払わないことが通常である。
【0011】
産業用機器の場合にはその導入価格は一般的に高価であり、産業用機器が正常に運転できない場合に発生する損失は膨大なものとなるので、表示部を複数持つ必要性があり、特許文献1のように警報表示となった場合には通常の表示部から、スクリーン表示部に切り換えることも可能である。
【0012】
一方、一般的な家庭用機器の場合は産業用機器に比較して廉価であり産業用機器に比較して異常となった場合の被害も小さいものであり、一般的に家庭用機器には表示部が一個しかないのが通常である。
【0013】
さらには、産業用機器の場合は監視担当の運転者が常駐し、常に運転状況を把握しているので、早期に対処する必要がある警報表示は必要であっても、将来起こる可能性がある注意表示は監視担当の運転者により日常的に常に対処されていることが前提となっているので表示する必要性は乏しい。
【0014】
よって、特許文献1のような産業用機器においては本発明の家庭用機器における課題は生じ難いと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2002−251683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、従来の家庭用機器では、注意事項を注意表示として表示している場合であっても、家庭用機器が見かけ上は正常に運転しているため、家庭用機器の使用者は家庭用機器が正常と考えがちであり、注意表示に注意を払わないこと。また、表示部の大部分で家庭用機器の運転状態を表示しつつ、表示部の一部に注意表示をする方法であるために注意を引き難いこと。表示部の近くに必ずしも使用者がいるとは限らないこと等により、使用者に注意表示による注意事項を伝えることができないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0018】
第1発明の家庭用機器は、家庭用機器の有する機能を設定する操作部と、前記操作部に設けられた入力部と、前記入力部の近傍に配置され、前記家庭用機器の状態を文字、記号および図形の何れか一つ、またはこれらの組合せとして表示する表示部と、前記家庭用機器の所定期間内に発生する可能性がある注意事項を判別する注意事項判別手段とを有し、前記注意事項判別手段で判別した前記注意事項の内容を注意表示として、通常は前記表示部の所定の位置に表示する通常表示選択手段と、前記操作部の前記入力部に入力が行われたかどうかを判断する入力の有無判断手段と、前記入力の有無判断手段が入力ありと判断してから所定時間前記注意表示の表示内容を変化させる表示変更手段を有する制御装置を備える技術手段を講じている。
【0019】
第2発明の家庭用機器は、請求項1記載の発明において、前記表示変更手段は、前記入力の有無判断手段が入力ありと判断してから所定の時間の間、前記注意表示の表示サイズを大きくおよび/または情報量を大きく、変化させるものである技術手段を講じている。
【0020】
第3発明の家庭用機器の制御方法は、家庭用機器の有する機能を設定する操作部と、前記操作部に設けられた入力部と、前記入力部の近傍に配置され、前記家庭用機器の状態を文字、記号および図形の何れか一つ、またはこれらの組合せとして表示する表示部とを有し、前記家庭用機器の所定期間内に発生する可能性がある注意事項を判別する注意事項判別手段と、前記注意事項判別手段で判別した前記注意事項の内容を注意表示として、通常は前記表示部の所定の位置に表示する通常表示選択手段と、前記操作部の前記入力部に入力が行われたかどうかを判断する入力の有無判断手段と、前記入力の有無判断手段が入力ありと判断してから所定時間前記注意表示の表示内容を変化させる表示変更手段とを有する家庭用機器で、注意事項が発生し、前記注意事項判別手段により注意事項と判別され、前記表示部に前記通常表示選択手段により、通常の表示内容で前記注意事項が表示され、その後、使用者が前記操作部の前記入力部に入力すると、前記入力の有無判断手段により入力が行われたことが判断され、前記表示変更手段により前記通常の注意表示の表示方法を所定時間の間変化させる技術手段を講じている。
【0021】
第4発明の家庭用機器の制御方法は、請求項3記載の発明において、前記表示変更手段により前記通常の注意表示の表示内容を所定時間の間変化させる方法は、前記入力の有無判断手段が入力ありと判断してから所定の時間の間、前記注意表示の表示サイズを大きくおよび/または情報量を大きくするように、変化させるものである技術手段を講じている。
【発明の効果】
【0022】
以上のような、技術的手段を有することにより、以下の効果を有する。
【0023】
第1発明によれば、入力手段に入力が行われた場合には、入力手段の近傍に表示部があり、家庭用機器の使用者は表示部の近くにいると考えられ、入力手段に入力すると同時に表示部を注視している可能性が高い。このような時に表示部に表示されている注意事項を変化させれば、人間は動いているものに対してより多くの注意を払うので、使用者は注意事項に気付き、使用者が注意事項の注意内容に対して対応処置を取る可能性を増大させる家庭用機器を提供できる。
【0024】
なお、使用者が注意事項の注意内容に対して対応処置を取れば、最終的に注意事項が警報事項になることはなく、使用者の利便性が向上する。また、単一の表示部でこの変化が行われるが、変化する時間は入力手段を操作してから所定の時間だけであるので、家庭用機器の通常の運転のモニターという機能を損なうこともない。
【0025】
第2発明によれば、第1発明を利用し、注意事項の変化が、注意事項の表示サイズの拡大および/または情報量を大きくすることであることから、表示サイズが拡大されることによっては、注意事項の視認性が向上し、かつ、使用者にとっては注意事項の表示サイズの拡大という予期せぬ表示部の変化が起こることにより、使用者に対する注意喚起の効果もより高くなる。情報量が大きくなることによっては、説明書等を読むことなく、使用者がその内容を直接的かつ簡単に理解することができ、ひいては、注意事項の内容に応じた対処もすぐに採れる家庭用機器を提供できる。
【0026】
第3発明によれば、入力手段に入力が行われた場合には、入力手段の近傍に表示部があるので、家庭用機器の使用者は表示部の近くにいると考えられ、入力手段に入力すると同時に表示部を注視している可能性が高いので、この場合に表示部に表示されている注意事項を変化させれば、人間は動いているものに対してより多くの注意を払うので、使用者は注意事項に気付き、使用者が注意事項の注意内容に対して対応処置を取る可能性を増大させる家庭用機器の制御方法を提供できる。
【0027】
なお、使用者が注意事項の注意内容に対して対応処置を取れば、最終的に注意事項が警報事項になることはなく、使用者の利便性が向上する。また、単一の表示部でこの変化が行われるが、変化する時間は入力手段を操作してから所定の時間だけであるので、家庭用機器の通常の運転のモニターという機能を損なうこともない。
【0028】
第4発明によれば、第3発明を利用し、注意事項の変化が、注意事項の表示サイズの拡大および/または情報量を大きくすることであることから、表示サイズが拡大されることによっては、注意事項の視認性が向上し、かつ、使用者にとっては注意事項の表示サイズの拡大という予期せぬ表示部の変化が起こることにより、使用者に対する注意喚起の効果もより高くなる。情報量が大きくなることによっては、説明書等を読むことなく、使用者がその内容を直接的かつ簡単に理解することができ、ひいては、注意事項の内容に応じた対処もすぐに採れる家庭用機器の制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る家庭用機器の概略構成図である。
【図2】本発明及び家庭用機器の一例である灯油燃焼方式の給湯機の操作部の説明図である。
【図3】本発明の家庭用機器の一例である灯油燃焼方式の給湯機のエラーコードの一覧を示す図である。
【図4】本発明に関する家庭用機器のフローチャートである。
【図5】本発明の家庭用機器の一例である灯油燃焼方式の給湯機の操作部の表示が変化した場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
発明を実施する形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0031】
(本発明の家庭用機器の構成)
本発明の家庭用機器1の概略の構成について図1に基づいて説明する。本発明の家庭用機器1には制御装置3が設けられており、家庭用機器1の機能を発揮する各種駆動部4、例えば電動機や電動機を利用したポンプや圧縮機、電磁石や電磁石を利用した電磁弁、電気ヒーター等の発熱体に対して駆動のための電圧を出力している。また、同時に制御装置3は、家庭用機器1の各所に設けられた各種の検出部5、例えば温度センサー、流量センサー、安全装置等の発する電圧等の入力を受けている。操作部2を家庭用機器1の外面、又は外部に設ける場合は遠隔制御装置(リモコン)として設けられており、操作部2には、使用者の家庭用機器1に対する運転の開始や運転の内容等の指令を与える各種スイッチ22〜28で構成する入力手段からなる入力部20と、家庭用機器1の運転の状況や、使用者により入力部20から入力された状態を示す表示部21とが設けられている。
【0032】
制御装置3には、各種検出部5の検出内容を受けて各種機能駆動部4に駆動電力を供給して、これを家庭用機器1の機能が正常に発揮できるように制御する制御手段を有している。前記制御手段以外にも、後述する入力の有無判断手段11、表示変更手段12、通常表示選択手段13および注意事項判別手段14を有している。制御装置3は、CPU(中央処理装置)の処理装置、ROM、RAM等の記憶装置より構成され、前記の各種制御を電気的に処理し、制御するものとなっている。
【0033】
操作部2と制御装置3は信号線30により接続され、操作部2の入力部20から制御装置3に対してその制御内容の変更が伝達され、制御装置3から操作部2に対しては制御状況やその結果としての家庭用機器1の運転の状況が表示部21に表示内容として伝達され、表示部21では、液晶や発光体により、文字、記号や図形、点の集合物として制御装置3の通常表示選択手段13の指令により表示する。通常表示選択手段13が有する記憶手段には、文字、記号や図形での表示内容のパターンが様々記憶されており、この記憶されたパターンを制御装置3の制御内容に従って家庭用機器1の運転状況が表示部21に表示されるよう制御されている。
【0034】
(操作部)
本発明の家庭用機器1が灯油燃焼方式の給湯機の場合の操作部2を図2に基づいて説明する。操作部2には、表示部21と入力部20が備えられている。入力部20の入力手段としてのスイッチには、機能スイッチ22、確定スイッチ23、設定スイッチ24、エネルックスイッチ25、給湯温度設定スイッチ26、ふろ予約スイッチ27および追いだきスイッチ28が設けられている。入力部20の上部近傍に備えられた表示部21においては、前記機能スイッチ22、確定スイッチ23、設定スイッチ24、エネルックスイッチ25、給湯温度設定スイッチ26、ふろ予約スイッチ27および追いだきスイッチ28で入力した内容が表示部21により、文字、記号や図形により表示内容が確認できるようになっている。これらの入力部20の機能スイッチ22、確定スイッチ23、設定スイッチ24、エネルックスイッチ25、給湯温度設定スイッチ26、ふろ予約スイッチ27および追いだきスイッチ28が使用者により押された場合(入力された場合)は、制御装置3内にある入力の有無判断手段11により、入力があったことが判断され、同じく制御装置3内にある表示変更手段12に対して注意表示の変更をするよう伝達される。
【0035】
(警報)
家庭用機器1の運転状況には、前述のような、第一の警報である警報事項を表示する警報表示と、第二の警報である注意事項を表示する注意表示がある。家庭用機器1が灯油燃焼方式の給湯機である場合に表示される警報の一例を図3に示す。図3によれば、左から第一欄が表示部21に表示される警報を表し、表示部21のサイズの関係より符号化されたエラーコードとして3桁のアラビア数字により表現している。そして図3の左から第二欄にはその3桁の数字に対応する警報事項や注意事項の内容の説明が記載されている。図2の表示部21において「830」とエラーコード46が表示されているが、使用者はこのエラーコードからその警報の意味をすぐに理解することはできないので、家庭用機器1に付属する取扱説明書に図3を記載し、使用者がエラーコードを読み取り取扱説明書の図3が記載された頁を開くことにより、表示されたエラーコードに対応する説明を読み表示されたエラーコードの内容が理解できるようになっている。
【0036】
例えば図3の左から第一欄、上から1番目「111」のエラーコードの場合は、その警報の内容は、「不着火検出」であり、これは家庭用機器1である灯油燃焼方式の給湯機の機能が発揮できない事項で、警報事項となり、警報表示として表示される。また、第一欄下から1番目「830」のエラーコードの場合は、その警報の内容は、「油切れ予告装置作動」であり、これは文字通り油切れの予告であり現状の運転は問題ないので、注意事項となり、表示部21(図1、図2、図5参照)に注意表示として表示される。なお、図3のエラーコードにおいて、「830」が注意事項であり、それ以外は警報事項となる。この注意事項を表示する場合は、制御装置3内にある注意事項判別手段14により注意事項であることを判別し、同じく制御装置3内にある通常表示選択手段13により通常の注意表示が表示部21に表示される。
【0037】
(フローチャート)
本発明の家庭用機器1の表示動作について、図4のフローチャートおよび図1に基づいて説明する。
【0038】
最初に操作部2の入力部20の運転スイッチ(図示せず)を押し、家庭用機器1を運転状態にすると通常表示選択手段13により表示部21には通常表示が表示される(ステップ1)。運転状態で、各種検出部5から制御装置3に対して、例えば別設の灯油タンク(図示せず)の灯油残量が少なくなったとの信号を送った場合には、注意事項に該当すると制御装置3の注意事項判別手段14が判断する(ステップ2)。また、制御装置3は、通常表示選択手段13により表示部21に通常の表示がされているものに注意表示を追加して表示させる(ステップ3)。入力部20の各種入力スイッチ22〜28により入力が行われたかどうかを入力の有無判断手段11で判断し、入力が行われない場合はステップ2の内容を維持し、入力の有無判断手段11により入力が行われたことが判断されると(ステップ4)、表示内容変更手段12により表示部21の表示内容を変更し(ステップ5)、これを所定時間維持する(ステップ6)。なお、この所定時間とは、使用者が変更した表示内容が読み取れる時間である必要があり、表示内容によっても異なるが、好ましくは5秒間程度必要である。また、余り長くした場合は、家庭用機器1は運転を継続しているので、他の表示が見えないことにより使用者にとっては不便なものとなり、余り長い時間を設定することはできない。所定時間が経過した後には通常表示選択手段13により通常の表示に戻す(ステップ7)。なお、ステップ7において、注意事項が解消してない場合は、通常の表示に注意事項を追加して表示したままとなる。
【0039】
この表示例を図2と図5を用いて説明する。
表示例は家庭用機器1が灯油燃焼方式の給湯機の場合の操作部2の場合であり、操作部2の表示部21の中央に大きく「39℃」と給湯設定温度41が表示され、左上部に時刻表示42として「AM10:34」、その他、家庭用機器1である灯油燃焼方式の給湯機の機能としての運転状態を示す様々な文字43、記号44および図形45が表示されている。また、図2の表示部21の右上には「830」のエラーコード46が表示されている。これは図3の「エラーコード一覧」によれば「油切れ予告装置作動」の場合である。よって、注意事項としての注意表示となり、図2の表示部21においては、「炎の図形」47により、灯油燃焼方式の給湯機は燃焼運転を行っていることを示している。
【0040】
図4のフローチャートにおいて図2の表示例は、運転スイッチが押され、運転状態にすると通常表示選択手段13により表示部21には通常表示が表示され(ステップ1)、注意事項判別手段14により注意事項が発生したと判断され(ステップ2)、そして通常表示選択手段13により家庭用機器1が運転状態であり、運転状態を示す通常の表示と共に、注意事項の注意表示も表示している状態(ステップ3)を表している。
【0041】
図2の状態で使用者が、給湯温度の設定を変えようと操作部2の給湯温度設定スイッチ26の上昇側のスイッチを押した場合(スイッチにより入力された場合)には、図4のフローチャートにおいては、ステップ4の入力の有無判断手段11により入力が有ったと判断され、ステップ5に移行して表示変更手段12により図2の表示例が、図5の表示例に変更される。
【0042】
変更された図5の表示例において、操作部2の表示部21の中央部で、表示部21の面積の約75パーセントを占める部分に、文字サイズを拡大し、かつ情報量を大きくした「灯油が少なくなりました」の文字43が表示され、上部の左から「警告」の文字43、「830」のエラーコード46、「40℃」の給湯設定温度41、燃焼中であることを表す「炎の図形」47が順に表示されている。
【0043】
図2の通常表示選択手段13による通常の表示においては、家庭用機器1が通常の運転状態を継続しているため、給湯設定温度41等を主体に表示しており、注意表示については右上に小さく表示していた。表示変更手段12による図5の表示においては、注意表示の「830」のエラーコード46の内容を、「灯油が少なくなりました」と使用者に分かり易い大きな文字43での表示に変更させたもので、操作部2の給湯温度設定スイッチ26を操作した、操作部2の近傍にいる使用者に対して、操作部2に有する表示部21に注意事項を主体として強調して、所定時間の間表示し、伝達させようとするものである。図5の上部の「警告」の文字43と「830」のエラーコード46は、「灯油が少なくなりました」の文字43の表示に対応しつつ、「830」のエラーコード46と「警告」の文字43を同時に表示することで「830」が警報であることを使用者により分かり易く表現したものである。なお、入力の有無判断手段11により入力があったと判断されたのは、給湯温度設定スイッチ26の上昇側のスイッチが押されたことによるものであるから、図5では給湯設定温度41の表示が「39℃」から「40℃」に変更されている。
【0044】
この様に、注意表示をより分かり易く表現し、かつ、使用者が近傍にいると考えられることにより、使用者は注意事項の内容を簡単に理解して、注意事項を解消すべく行動すると考えられ、図5の表示の場合は、使用者は灯油タンクに灯油を給油することにより、注意事項を解消する。
【0045】
実施例1においては、表示内容の変更は、表示部21の右上に小さく表示した注意表示のエラーコードを使用者に理解できる文字で大きく表示するものであるが、この他、様々な表示内容の変更方法が考えられる。例えば、使用者に対して注意を引くだけでよければ、各種スイッチにより入力がされたと判断した場合にエラーコードを点滅させる、または、エラーコードを右から左方向に流れるように動かす等の方法も可能である。また、使用者に直接伝達可能な表示とする場合も、表示部の大きさの範囲で、文字の大きさをさらに大きくする場合や、子供や外国人に分かり易い図形で表示する方法、この文字や図形を表示中に右から左に流れるように動かし、より注意を引かせる方法、図形が変化して一つの動画となり注意事項の内容を理解できるように使用者に伝達させる方法、なども本発明の適用範囲である。
【符号の説明】
【0046】
1:家庭用機器
2:操作部(遠隔制御装置)
3:制御装置
4:各種機能駆動部
5:各種検出部
11:入力の有無判断手段
12:表示変更手段
13:通常表示選択手段
14:注意事項判別手段
20:入力部
21:表示部
22:機能スイッチ
23:確定スイッチ
24:設定スイッチ
25:エネルックスイッチ
26:給湯温度設定スイッチ
27:ふろ予約スイッチ
28:追いだきスイッチ
30:信号線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭用機器の有する機能を設定する操作部と、前記操作部に設けられた入力部と、前記入力部の近傍に配置され、前記家庭用機器の状態を文字、記号および図形の何れか一つ、またはこれらの組合せとして表示する表示部と、前記家庭用機器の所定期間内に発生する可能性がある注意事項を判別する注意事項判別手段とを有し、前記注意事項判別手段で判別した前記注意事項の内容を注意表示として、通常は前記表示部の所定の位置に表示する通常表示選択手段と、前記操作部の前記入力部に入力が行われたかどうかを判断する入力の有無判断手段と、前記入力の有無判断手段が入力ありと判断してから所定時間前記注意表示の表示内容を変化させる表示変更手段を有する制御装置を備えた家庭用機器。
【請求項2】
前記表示変更手段は、前記入力の有無判断手段が入力ありと判断してから所定の時間の間、前記注意表示の表示サイズを大きくおよび/または情報量を大きく、変化させるものである請求項1記載の家庭用機器
【請求項3】
家庭用機器の有する機能を設定する操作部と、前記操作部に設けられた入力部と、前記入力部の近傍に配置され、前記家庭用機器の状態を文字、記号および図形の何れか一つ、またはこれらの組合せとして表示する表示部と、前記家庭用機器の所定期間内に発生する可能性がある注意事項を判別する注意事項判別手段とを有し、前記注意事項判別手段で判別した前記注意事項の内容を注意表示として、通常は前記表示部の所定の位置に表示する通常表示選択手段と、前記操作部の前記入力部に入力が行われたかどうかを判断する入力の有無判断手段と、前記入力の有無判断手段が入力ありと判断してから所定時間前記注意表示の表示内容を変化させる表示変更手段とを有する家庭用機器で、注意事項が発生し、前記注意事項判別手段により注意事項と判別され、前記表示部に前記通常表示選択手段により、通常の表示方法で前記注意事項が表示され、その後、使用者が前記操作部の前記入力部に入力すると、前記入力の有無判断手段により入力が行われたことが判断され、前記表示変更手段により前記通常の注意表示の表示内容を所定時間の間変化させる家庭用機器の制御方法。
【請求項4】
前記表示変更手段により前記通常の注意表示の表示内容を所定時間の間変化させる方法は、前記入力の有無判断手段が入力ありと判断してから所定の時間の間、前記注意表示の表示サイズを大きくおよび/または情報量を大きくするように、変化させるものである請求項3記載の家庭用機器の制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−214791(P2011−214791A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84762(P2010−84762)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(390002886)株式会社長府製作所 (197)
【Fターム(参考)】