説明

家庭,店舗および工場から排出される食物残渣の再資源化システム

【課題】
家庭,店舗および工場等から排出される食物残渣および有機廃棄物等を回収する場合,回収するまでに時間がかかり,食物残渣が腐敗し悪臭を放ち,長期の保存が出来ない。そのため,回収しても再資源化に適さない場合がある。

【解決手段】
食物残渣および有機廃棄物等の回収・再資源化システムの中に冷凍庫を利用することを組み込むだけで,悪臭,腐敗対策およびその回収を容易にし,加工工場へ持ち込むことにより再利用を容易にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,家庭,店舗および工場等から排出される食物残渣(生ゴミ)を有効に再資源化するビジネスシステムの仕組みである。
【背景技術】
【0002】
現在,行政の重要なサービスであるゴミ収集・処理業務は,「資源ゴミ」,「燃やせるゴミ」,「燃やせないゴミ」そして「粗大ゴミ」等に分別回収を行う事を前提に行なわれている。そのうち,瓶,缶,ペットボトルそして紙等は,「資源ゴミ」として既に再資源化システムが確立している。
【0003】
しかしながら,「燃やせるゴミ」に分別されることが多い食物残渣に代表される「生ゴミ」の処理についての再資源化システムは,問題が多くまだ確立していない。
【0004】
その理由として代表的なものは,食物残渣の水分含量が高いことである。これらの食物残渣は,水分含量が多いので時間の経過とともに容易に腐敗する。そのため再資源化加工処理をしても品質が一定になりにくい。
【0005】
また,燃焼処理するにしても,水分含量が高いので加熱して燃えるまでに時間を要する。その為,より高温で燃焼させなければいけない。その事は処理場の焼却炉に負担をかけ,そのことによって焼却炉の寿命が短くなる要因となっている。
【0006】
それならば,家庭,店舗および工場から,毎日排出される食物残渣をどのように再資源化すれば良いのか。これら食物残渣は一般的に含水率が高くて腐敗しやすく,燃焼によってエネルギーを回収することが困難であるという理由から,飼料,肥料,堆肥,その他残渣を利用した加工品として再資源化が図られている。
【0007】
しかしながら,食物残渣は通常水分が多いために,時間の経過と共に腐敗しやすく,その品質は劣化する。そのため,家庭,店舗および工場から排出される食物残渣を,毎日回収・処理する必要があった。
【0008】
この条件を満たす為には,回収車や人員を多く配置する必要があり,それでは回収業として運営することが難しくなる。
【0009】
そこで,家庭,店舗および工場に,自らが排出した食物残渣を一時的に保管するシステムを構築することができれば,食物残渣の回収にかかる費用の節約と残渣の品質の劣化を防ぐことで再資源化の材料の品質を保つことができる。
【0010】
本発明の目的は,家庭店舗および工場等から排出される食物残渣(生ゴミ)を,冷凍庫を利用して一時的に保存し,食物残渣の回収の費用を節約。そして食物残渣の品質劣化速度を遅らせる事で,悪臭等の二次汚染を防ぎ品質が安定した再資源化原料として利用することができるビジネスシステムの仕組みである。
【0011】
廃棄物を再資源化するためのビジネスモデル特許は、規模を大きく設定してあり、円滑なシステム運営が難しいように思える。
特開2003−288405号では古紙という資源ゴミの回収について記しているが、どちらかというと古紙回収の為のコンピューターネットワークの構築に主眼が置かれている。また特開2002−114307号でも同様にコンピューターを利用したネットワークの構築を目的にしている。
特開2002−186953号においては、食物残渣を再資源化するために、その残渣の安全性確保や有害・汚染物質の混入阻止について記されているが、具体的な行動については示されていない。
「腐敗しない資源ゴミ」であれば、コンピューターを利用したネットワークが有効となると考えられるが、食物残渣を回収再資源化する場合は、品質の低下防止に重点を置くことが望ましいと考える。
【特許文献1】特開2003−288405号
【特許文献2】特開2002−114307号
【特許文献3】特開2002−186953号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このビジネスモデルについての説明を下述した。
【0013】
このビジネスモデルは,4つの分野に分けて考える。
食物残渣排出元となる家庭,店舗および工場。回収業務を行い,中央集積所を兼ねる分野。回収された食物残渣を原料として製品化する加工・処理場。そして製品を利用する農家に代表される消費者に分けられる。
【0014】
まず,家庭,店舗および工場に生ゴミ専用の小型冷凍庫や冷凍庫を設置し,水切り後の食物残渣を投入することによって冷凍する。そして,食物残渣の状態が腐敗に走るのを防ぎ,悪臭の発生を防ぐ。
【0015】
食物残渣を、排出元に一時保管させ品質管理の一翼を担わせるという動作を行う事によって、食物残渣に異物等が混入しにくくなる体制をつくり、加工を容易にする。
【0016】
また、家庭、店舗および工場からの食物残渣回収に時間がかかった場合、水分が多いために当然ながら時間の経過とともに腐敗することになるが、食物残渣が各家庭で、冷凍保存されていることで、通常食物残渣を回収する場合、毎日行われる回収業務を、たとえば週に一回というように、効率的に行うことができる。
【0017】
冷凍庫の形状は問わないが、家庭内では場所をとらないコンパクトな形状で、洗浄等ができるものが望ましい。
【0018】
冷凍された生ゴミ等がたまり、家庭等の食物残渣がたまった時に、定期巡回する回収車や自ら集積所へ運搬する。
【0019】
回収・集積業務を行う団体は、一定量の食物残渣が集まった時点で、電話、ファックス、電子メール等の何らかの方法を利用して加工・処理場へ連絡する。
【0020】
加工及びその処理場は、冷凍保管されている食物残渣を常に一定量の受入れる事によって、残渣量の増減に影響を受けない加工・処理体制を作ることができる。
食物残渣の処理方法は、再加工および発酵、乾燥処理を行い、堆肥化、ボカシ化、飼料化そしてその他加工物を生産するものとする。
【0021】
加工・処理されて、堆肥や飼料となった製品・加工品は、農家等の消費者へ販売・提供する。
【0022】
農家等で生産された農産物は、回収・集積業務を行う団体等を通じて家庭、店舗または工場へ販売・提供する。
【課題を解決するための手段】
【0023】
以上のように本発明による食物残渣の再資源化システムは、食物残渣を排出する部分に冷凍庫を導入することによって、回収者が食物残渣を回収するまでに食物残渣の状態が腐敗の方向に行くことが防げることである。
【発明の効果】
【0024】
常に、自らが排出するゴミの量を視覚的に示すことによって、食物残渣量に対する自覚。減量によるゴミ処理費用の減少。ゴミ焼却炉の使用可能期間の延長。循環型社会を実現させる為の農業資材の提供。そして安全な農産物の提供を行う事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
この発明を実施するにあたり、効果的な実施例を示した。
【実施例1】
【0026】
家庭と自治体がメインの場合,中央集積所の設置。特に新興住宅地や団地等で行う場合。
【0027】
各家庭に小型冷凍庫を設置し食物残渣の一次管理を行わせる。そして地域の集会所等に冷凍コンテナを設置し中央集積所とする。各家庭は,食物残渣がたまった時点で、自ら集積所に食物残渣を運搬する。
集積所の管理者は,各家庭のからの冷凍食物残渣を異物の混入がないかどうか検査する。
加工・処理場は,集積所からの連絡または定期的に巡回することで,食物残渣を回収する。加工・処理場は堆肥化および飼料化を行い,農家や家庭菜園等を行う家庭へ販売する。生産された農産物は,集積所で販売し,各家庭へ還元する。
【実施例2】
【0028】
家庭と自治体がメインの場合,個別回収を行う。
【0029】
各家庭に小型冷凍庫を設置し,食物残渣の一次管理を行わせる。そして食物残渣回収車を定期的に巡回させて,食物残渣を回収する。加工・処理場は堆肥化および飼料化を行い,農家や家庭菜園等を行う家庭へ販売する。生産された農産物は、地域の公民館等で販売し,各家庭へ還元する。
【実施例3】
【0030】
店舗および工場の場合は個別回収を行う。
【0031】
店舗および工場に冷凍庫を設置し,食物残渣の一次管理を行わせる。そして食物残渣回収車を定期的に巡回させて,食物残渣を回収する。加工・処理場は堆肥化および飼料化を行い,農家や家庭菜園等を行う家庭へ販売する。生産された農産物は,店舗であれば残渣還元有機野菜として,工場だった場合は,注文によって販売する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭,店舗および工場等で排出される食物残渣の回収・再資源化システムを運用するにあたり,食物残渣を一時保存する手段として冷凍庫を,回収作業のために冷凍車を利用する。


【公開番号】特開2006−8298(P2006−8298A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−185816(P2004−185816)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(301038829)有限会社サン興産業 (1)
【Fターム(参考)】