説明

家電機器制御システム

【課題】複数の使用者が建物内で使用する家電機器の制御システムにおいて、統合的に管理された使用者情報に基づいて、家電機器を制御し、使用者の一部が建物内に残っている場合に、誤って家電機器の動作等を停止させずに、円滑に制御を行うことができる。
【解決手段】家電機器制御システム1は、建物内に設置される家電機器2、3、4と、使用者識別情報を保持する非接触ICタグ5a、5bと、使用者識別情報を読取るリーダ装置7と、家電機器を制御する制御手段とを備える。リーダ装置7は、制御手段としての機能を併せ持つ。非接触ICタグ5a、5bは、使用者の装身物に取付けられ、リーダ装置7は、建物の出入り口近傍に設けられ、制御手段は、読取結果に基づいて、複数の非接触ICタグ5a、5bのうち、予め登録された非接触ICタグ5a、5bが建物外にあることを認識したとき、所定の家電機器の動作等を停止する制御指令を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の所持物や身に着ける装身物に取付けられたICタグ等の使用者特定情報を利用し、この情報に基づいて建物内に設置される家電機器を制御するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、使用者の携帯電話等の所持品や着衣等に使用者を特定する情報を保持するICタグ等を取り付け、この取り付けたICタグ等に保持される使用者特定情報を宅内の各所に配置した読取装置で読取ることにより、使用者を特定すると共に、その所在や動作等を検知し、使用者に応じて、建物内に設置されているエアコン、テレビ、照明機器等の家電機器等を制御するシステムが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1に記載の機器の制御システムは、使用者が常時携帯する携帯電話等に非接触ICタグを取付け、家屋内の各部屋の出入り口付近に設けたICタグ読取装置で検知することにより、使用者の移動を検知し、その検知情報に基づいて各種家電機器を制御するものである。また、特許文献2に記載の家電機器の遠隔制御システムは、携帯電話等の電波を発信する情報端末を用いて、この情報端末の電波を受信し、受信した電波と地図情報を参照して情報端末の位置を認識し、これに基づき自宅等の家電機器を遠隔制御するものである。
【特許文献1】特開2005−190274号公報
【特許文献2】特開2003−70076号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上に例示したような家電機器の制御システムでは、建物に居住する複数人により構成される家族等がこのようなシステムを利用する場合、複数人の行動に基づく、家電機器の制御については、特に考慮されていない。従って、例えば、家族全員が外出等のために建物外に出ている場合と、家族の一部が建物内に居る場合について、明確に認識し、処理する手段を有しないために、建物内に人が残っているにも拘らず、各個人の情報に基づいて家電機器の電源や動作を停止するなどして、誤動作を起こす虞があった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、複数の構成員を有する家族等が建物内で使用する家電機器の制御システムにおいて、複数人の情報を統合的に管理して、個人及び複数人の情報に基づいて、家電機器の制御を行い、使用者である家族の構成員の一部が建物内に残っている場合に、誤って家電機器の電源又は動作を停止させずに、円滑に制御を行うことができる家電機器制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、建物内に設置される家電機器と、使用者の識別情報を保持する使用者情報保持部と、使用者情報保持部から使用者情報を読取る使用者情報読取装置と、前記使用者情報読取装置で読取った使用者の識別情報を用いて家電機器を制御する制御手段とを有する家電機器制御システムにおいて、前記使用者情報保持部は、使用者の装身物に取り付けられ、使用者情報読取装置は、建物の出入り口近傍に設けられ、制御手段は、使用者情報読取装置の読取結果に基づいて、複数の前記使用者情報保持部のうち、予め登録された使用者情報保持部が建物外にあることを認識したとき、所定の家電機器の電源又は動作を停止する制御指令を出力することとした。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の家電機器制御システムにおいて、建物内には、人を検知する検知部が設けられており、制御手段は、複数の使用者情報保持部のうち、予め登録された使用者情報保持部が、建物外にあることを認識したとき、前記検知部からの検知信号に基づき、侵入者を検知することとした。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の家電機器制御システムにおいて、使用者情報読取装置は、建物の出入り口ドアの鍵部又はハンドル部に設けられていることとした。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3に記載の家電機器制御システムにおいて、使用者情報保持部は、バーコード又はQRコード又はICタグであることとした。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、予め家電機器制御システムに登録された複数の使用者の識別情報を保持する使用者情報保持部を身に付けた使用者のうち、予め登録していた一群の使用者の全てが建物外に出たとき、これを認識して、テレビ、エアコン、照明機器等の所定の家電機器の電源や動作を停止するので、予め登録していた一群の使用者の一部が建物内にいる場合には、誤って家電機器の電源や動作を停止することがない。また、留守時の家電機器等の切り忘れ等を防いで、節電、防災を確実に行うことができる。更に、使用者情報保持部は、靴、鍵、携帯電話、コート等の使用者が通常身に着ける装身物に取り付けられているので、使用者は、意識して使用者情報保持部の所持を意識する必要がない。
【0011】
請求項2の発明によれば、予め登録した一群の使用者情報保持部を身に着けた使用者が、全て建物外に出て、制御手段が予め登録された一群の使用者情報保持部が、建物外にあることを認識したとき、侵入者を検知する防犯モードに設定し、建物内に設けられた検知部により、侵入者の検知を行う。よって、使用者が外出時に防犯モードに設定することを忘れた場合でも、確実に防犯モードに設定して、人為的ミスを補うので、防犯安全性が高まる。
【0012】
請求項3の発明によれば、使用者情報保持部から使用者情報を読取る使用者情報読取装置が、建物の出入り口ドアの鍵部やハンドル部に設けられているので、使用者情報読取装置を鍵部やハンドル部の内部や隙間に設けたり、予め使用者情報読取装置が組み込まれた鍵部やハンドル部のモジュールと交換することができ、ドアの外観を損ねることもない。建物へのシステム導入が簡便になる。また、使用者が建物外に出るときには、使用者に意識させることなく、外出時や帰宅時、確実に使用者情報を読取ることができ、誤認識や誤動作を防止することができる。更にモジュールの交換をする場合は、作業が簡便で取付けが簡単になる利点もある。
【0013】
請求項4の発明によれば、使用者情報保持部として、既存のバーコード又はQRコード又はICタグを用い、これらを靴、鍵、携帯電話、コート等、使用者の装身物に取り付けて利用するので、安価なシステムを提供することができる。また、使用者情報保持部として汎用性のあるものを使用していることにより、購入時に商品に付されているバーコード又はQRコード又はICタグ等を利用することができるので、改めて使用者情報保持部を取り付ける必要が無く、使用者のシステム維持管理負担を軽減すると共に、経済性と利便性が高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(実施形態1)
以下に、本発明の第1の実施形態に係る本システムについて図1乃至図4を参照して説明する。図1は、第1の実施形態に係る家電機器制御システム1(以下、本システムと言う)の概念的構成を表す。図2は、第1の実施形態に係る本システムのシステム構成を表す。本システムは、建物内に設けられたエアコン2、テレビ3、照明機器4等の家電機器と、主としてユーザが操作し、これらの各家電機器に操作指令を与え、操作スイッチ2b、3b、4bを有する機器操作部としてのリモコン2a、3a、4aと、使用者の識別情報を保持する使用者情報保持部としての非接触ICタグ5a、5bと、使用者毎、例えば使用者6a、6bの各識別情報を非接触ICタグ5a、5bから読取る読取部として、また本システムを統括的に制御する制御手段としてのリーダ装置7と、各家電機器に設けられた人感センサ2c、3c、4cと、を備える。
【0015】
リーダ装置7は、建物の出入り口である玄関のドア9のハンドル部や鍵部10に設けられており、データ保持部、使用者情報登録部及び通信部を有し、非接触ICタグ5a、5bと夫々通信し、通信状態等に応じ、所定の判定方法に従って各非接触ICタグ5a、5bが建物外にあるかどうかを判定する。また、リーダ装置7は、各家電機器を赤外線、電波等で操作できる各リモコン2a、3a、4aと通信可能に構成されており、各リモコン2a、3a、4aに対して必要に応じて操作指令を送信し、エアコン2、テレビ3、照明機器4等の家電機器を遠隔操作する。そして、また、操作スイッチ2b、3b、4b及び人感センサ2c、3c、4cは、所定のモードにおいて、侵入者8等を検知する検知部として機能し、各検知信号は対応するリモコン2a、3a、4aから、リーダ装置7に送信される。
【0016】
リーダ装置7の読取部としては、非接触ICタグリーダ11が用いられ、非接触ICタグ5a、5bと接触することなく、非接触ICタグ5a、5bの保持情報を読取る。これにより、玄関のドア9を通過する非接触ICタグ5a、5bの保持情報が読取られる。また、このリーダ装置7に設けられた使用者情報登録部は、使用者6a、6bの各識別情報と各使用者が身に着けた装身物に取り付けられる非接触ICタグ5a、5bとを関連付けて、登録・保存・修正等の管理を行う。使用者情報登録部への使用者情報の登録は、例えばリーダ装置7にキーボード等の入力手段を接続し、登録する非接触ICタグ5a、5bを非接触ICタグリーダ11に認識させた状態で、使用者6a、6bの識別情報と非接触ICタグ5a、5bの関連付けを行い、データ保持部に保存することにより行う。なお、使用者情報登録部は、必ずしもリーダ装置7に設ける必要はなく、別個に設けておき、リーダ装置7と通信可能な図示しないパソコン等の情報機器により登録・保存・修正等の管理を行うこととしてもよい。
【0017】
また、このリーダ装置7は、通信部を用いてリモコン2a、3a、4aと通信し、相互にデータの送受信が行えるようになっており、リーダ装置7から出力される家電機器に対する制御指令は、リモコン2a、3a、4aを介して、対応するエアコン2、テレビ3、照明機器4等の家電機器に送信される。また、リモコン2a、3a、4aの操作スイッチ2b、3b、4b及びエアコン2、テレビ3、照明機器4の人感センサ2c、3c、4cの検知信号は、リモコン2a、3a、4aを介して、リーダ装置7に送信されるようになっている。なお、制御指令や検知信号の送信は、必ずしもリモコン2a、3a、4aを介する必要はなく、各家電機器にリーダ装置7との通信部を設けて、家電機器からリーダ装置7に直接送信してもよい。
【0018】
次に、非接触ICタグ5a、5bについて説明する。非接触ICタグ5a、5bとしては、自ら信号発信が可能なアクティブ型の非接触ICタグが用いられ、使用者6a、6bがいつも身に着けているような腕時計等の装身物に取り付けられている。非接触ICタグ5a、5bは、内部に情報記録部を有し、その情報を離れた位置に設置した非接触ICタグリーダ11から読取ることができるものである。各非接触ICタグ5a、5bには、各使用者6a、6bの識別情報(使用者の氏名、ニックネーム、識別番号等)が保持される。従って、非接触ICタグ5a、5bの情報を読取ることにより各使用者6a、6bを特定し、その所在を知ることができる。なお、この非接触ICタグ5a、5bが取り付けられる装身物としては、使用者6a、6bが意識せずに身に着ける装身物が好ましく、特に使用者6a、6bが意識せずに外出時に所持、着用するものであれば更に好ましい。非接触ICタグ5a、5bを取り付ける他の装身物としては、例えば、靴、メガネ、財布、カバン、帽子、鍵、ペンダント、ピアス、指輪、コート等の衣服等、携帯電話、PDA等の携帯端末等がある。また、保持する識別情報としては、上記に挙げたものの他、生年月日、記号等登録されている複数の使用者6a、6bを一意に区別することができるものであればよい。望ましくは、第3者の複製、偽造を防止するために、容易に想像できない識別記号や暗号化された識別記号がよい。
【0019】
次に、リモコン2a、3a、4aについて説明する。リモコン2a、3a、4aは、エアコン2、テレビ3、照明機器4に各々備えられ、主にユーザがリモコン2a、3a、4aに設けられた操作スイッチ2b、3b、4bを操作して、赤外線や電波等によって遠隔から各々の家電機器の電源ON/OFFや各種操作を行う。各リモコン2a、3a、4aには、通信部が備えられており、リーダ装置7と相互にデータの送受信が行えるようになっている。これにより、リーダ装置7が出力した制御指令を受信し、対応する家電機器の動作制御を行う。また、リモコン2a、3a、4aは、対応する家電機器に設けられている人感センサ2c、3c、4cの検知信号を受信することができ、受信した検知信号をリーダ装置7に送信する。また、リモコン2a、3a、4aの操作スイッチ2b、3b、4bの操作信号も、リーダ装置7に送信される。なお、リモコン2a、3a、4aは、必ずしも各家電機器に対して個別に設ける必要はなく、各家電機器の操作を行え、かつ上記の機能を満たすものであれば何個でもよい。
【0020】
次に、検知部として機能する操作スイッチ2b、3b、4b及び人感センサ2c、3c、4cについて説明する。本実施形態で例示した家電機器は、対応するリモコン2a、3a、4a及びリモコン2a、3a、4aを介してリーダ装置7から遠隔操作できるようになっている。検知部は、人の存在を検知するために用いられるもので、本実施形態では、通常、家電機器自身の機能として搭載されているものが利用できる。すなわち、エアコン2の風向調整、テレビ3の人感知による省電力調整、照明機器4の人感知によるON/OFFの機能のために設けられた人感センサ2c、3c、4cや、リモコン2a、3a、4aの操作スイッチ2b、3b、4b等である。この他、家電機器自身に設けられた操作スイッチ等も利用することができる。なお、検知部としては、家電機器に付属のものに限られず、必要に応じて別途設けてもよい。また、本システムの制御対象である家電機器として、例示されたものの他、電子レンジ、コンロ、暖房機等、建物で使用される電気製品を利用することができる。
【0021】
本システムは、リーダ装置7が、複数の使用者が身に着けた非接触ICタグ5a、5bの情報を順次読取り、各非接触ICタグ5a、5bが建物外にあるかどうかを判定し、予め登録された一群の非接触ICタグ(例えば、非接触ICタグ5a、5bの両方)が建物外にあると認識したとき、リモコン2a、3a、4aを介してエアコン2、テレビ3、照明機器4等の家電機器の電源又は動作を停止する制御を行う。
【0022】
次に、本システムによる家電機器の制御について図3、図4を参照して説明する。図3は、本システムによる家電機器の動作の流れを表す。図4は、使用者の在不在判定方法の流れを表す。ここでは、予め、リーダ装置7にて使用者6a、6bの識別情報と関連付けて登録しておき、例えば、使用者6a、6b全員が建物の外に居ると判定したときには、防犯モードに移行し、エアコン2、テレビ3、照明機器4の電源や動作を停止するようにシステムに設定・登録しておくものとする。
【0023】
まず、登録された各使用者6a、6bの建物内の在不在の判定を行う(S1)。リーダ装置7は、後述する所定の方法により、各使用者6a、6bの装身物に取り付けられた各非接触ICタグ5a、5bと通信し、各使用者6a、6bについて在不在の判定を行う。登録された使用者6a、6b全てについて在不在判定がされれば(S2でYES)、次の処理に移行する。ここで、使用者6a、6bの全てが建物外(外出中)であると判定された場合(S3でYES)には、リーダ装置7は予め設定していたエアコン2、テレビ3、照明機器4の電源や動作を停止し(S4)、防犯モードに移行する(S5)。一部の使用者6a、6bが建物内に残っており、使用者6a、6bの全てが建物外(外出中)であると判定されない場合(S3でNO)には、再び、各使用者6a、6bの在不在の判定に戻る(S1)。システムが防犯モードに移行したとき、人感センサ2c、3c、4c、操作スイッチ2b、3b、4bが、侵入者8の検知を開始する(S6)。そして、人感センサ2c、3c、4cのいずれかが人の存在を検知したり、操作スイッチ2b、3b、4bのいずれかが操作されたりしたとき、直ちに、検知信号がリーダ装置7に送信され、リーダ装置7は侵入者8が建物内に居るものと判定して(S7でYES)、エアコン2、テレビ3、照明機器4を制御する指令を出力して、侵入者8に対する威嚇、外部への通報等の保安処理を行う(S8)。
【0024】
上述の各使用者6a、6bの在不在の判定を行う方法として、図4(a)及び(b)に示す判定方法1、2を例示する。ここでは、使用者6aを例に説明を行う。判定方法1による使用者6aの在不在判定は、以下のようである。使用者6aの装身物に取り付けられた非接触ICタグ5aから信号を発信(常時、間欠、都度)して(S9)、この信号をリーダ装置7で受信できるようにしておき、各非接触ICタグ5aから発信される信号の受信可否を判断し(S10)、非接触ICタグ5aから発信される信号が受信できる間は、使用者6aは建物内に居るものと判定し(S11)、信号が受信できなくなったときには、この使用者6aは外出している(建物外に出ている)ものと判定する(S12)。
【0025】
また、判定方法2による使用者6aの在不在判定は、以下のようである。リーダ装置7が、使用者6aの装身物に取り付けられた非接触ICタグ5aに対して、信号発信依頼命令を送信したとき(S13)、非接触ICタグ5aは、これに応答して信号の発信を行う(S14)。リーダ装置7は、非接触ICタグ5aから発信される信号の受信可否を判断し(S15)、非接触ICタグ5aからの応答信号を受信した場合は、使用者6aは建物内に居るものと判定し(S16)、応答信号が受信できないときは、この使用者6aは外出している(建物外に出ている)ものと判定する(S17)。
【0026】
以上のような、家電機器制御システムを構築することにより、使用者6a、6bのうち一人でも建物内にいるものと判定されたときは、予め設定された防犯モードに移行する条件を満たさないので、防犯モードには移行することは無い。このように使用者6a、6b各人の情報と共に、一群の使用者6a、6bの情報を統合的に管理し、これに基づくモード移行等の条件を明示的に組み入れることにより、使用者6a、6b各人の情報に基づく家電機器制御と一群の使用者6a、6bの情報に基づく家電機器制御を矛盾することなく実現することができる。よって、例えば使用者6aの情報に基づいて、家電機器制御を行って、他の使用者6bが意図しない家電機器の制御が行われる等の誤動作等の不具合を防止することができる。
【0027】
また、防犯モードに移行する際、電源又は動作を停止する家電機器5としては、図1に示したエアコン2、テレビ3、照明機器4の他、電子レンジ、コンロ、暖房機等を含めることで、電気の無駄遣いを減らす省エネ効果の他、留守時における火災等を予防する防災効果を高めることができる。
【0028】
また、防犯モードで、侵入者8を検知したときの保安処理としては、リーダ装置7が建物外のネットワークに接続されているときは、予め設定・登録したセキュリティーセンターや使用者6a、6bの携帯情報端末等に通報することができる。その他、侵入者が居る部屋や建物内の各所にあるエアコン2、テレビ3、照明機器4等の家電機器を利用して、侵入者を威嚇したり、建物外に異常を報知して、防犯性を高めることができる。例えば、家電機器を用いた威嚇や異常報知の方法としては、テレビ、ラジオ等のオーディオ機器の電源を入れ、大音量を出力、照明機器や映像機器の明滅等により行うことができる。
【0029】
また、本実施形態では、リーダ装置7をドア9のハンドル部や鍵部10に設けているので、非接触ICタグ5a、5bを身に着けた使用者6a、6bが、外出時や帰宅時にドア9近傍を通過するとき、リーダ装置7は、その非接触ICタグ5a、5bに保持している使用者6a、6bの識別情報を確実に読取ることができるので、誤認識・誤動作を提言することができる。また、リーダ装置7は、ドア9のハンドル部や鍵部10の内部、隙間に一体的に組み込まれているので、ドア9の外観を保つことができる。また、例えば、既存のハンドル部や鍵部10をリーダ装置7が組み込まれたハンドル部や鍵部10に置き換えて用いるときは、既存のハンドル部や鍵部とモジュール毎交換して設置するので、取付けを容易に行うことができる。
【0030】
また、前記のドア9の鍵部に、鍵の開閉情報を取得し、その情報をリーダ装置7に発信する手段を設けることにより、非接触ICタグ5a、5bの読取り情報と併せて判定できるようになるので、より正確に使用者6a、6bの外出、帰宅の判定を行うことができ、誤認識・誤動作を低減させることができる。
【0031】
更に、ドア9の鍵部にリーダ装置7により制御可能な開閉機能を搭載することにより、防犯モードに移行する際に、自動的にドア9を施錠するようにすることもできる。この場合、外出時に使用者6a、6bが施錠し忘れた場合であっても、所定の使用者6a、6bが建物外に居ると認識したときには、自動的にドアが施錠されるので、人為的ミスによる不安全を防いで防犯性を更に高めることができる。
【0032】
本実施形態の説明では、家族全員が外出する場合に防犯モードとするようにしていたが、他の例としては、家族のうち、ある高齢者等が、外出することなく建物内の居室に居るような場合において、登録された使用者6a、6bのうち、常に建物内にいると想定される高齢者等の使用者6bを防犯モードの判定対象から除外して、その他の一群の使用者6aが建物外に居ると判定したときに防犯モードに移行するようにしてもよい。この場合においては、例えば、この高齢者等の居室のみを防犯モード時の家電機器の電源又は動作停止対象から除外し、同様に同室については検知部による侵入者8検知対象から除外するように設定することもできる。
【0033】
以上のように、本システムは、モード切替の判定、モードの動作設定を柔軟に設定することが可能であるので、登録された使用者6a、6bの状況に応じて、防犯モードやその他各種のモードを好みに応じて適切に設定することができる。
【0034】
(実施形態2)
本発明の第2の実施形態に係る本システムについて図5乃至図7を参照して説明する。図5は、第2の実施形態に係る本システムの概念的構成を表す。図6は、第2の実施形態に係る本システムのシステム構成を表す。なお、前記第1の実施形態と共通する構成や機能については、その説明を省略し、第1の実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付している。
【0035】
本システムは、実施形態1の構成に加えて機器制御部12を有する。以下に、本システムを構成する各要素について第1の実施形態との相違点を中心に説明する。この機器制御部12は、建物内の任意の場所に設けられており、第1の実施形態で示したリーダ装置7に代わって、本システム全体を統括的に制御し、データ保持部、使用者情報登録部、及び通信部を有する。機器制御部12は、通信部を介して、複数のリーダ装置7a、7b、7cと通信し、リーダ装置7a、7b、7cで読取った非接触ICタグ5a、5bの情報を受信する。また、各リーダ装置7a、7b、7cを介して、非接触ICタグ5a、5bに信号発信命令や信号停止命令を送信する。
【0036】
リーダ装置7は、建物の出入り口13、通路14、門15の経路中に複数設けられており、非接触ICタグ5a、5bの保持情報の読取部と通信部を有している。このリーダ装置7a、7b、7cの読取部として、夫々非接触ICタグリーダ11a、11b、11cが用いられ、各リーダ装置7a、7b、7cは、読取った非接触ICタグ6a、6bの情報を機器制御部12に送信する。リーダ装置7a、7b、7cを、外出時、帰宅時に使用者が通過する建物の出入り口13から門15に至る経路に複数個設けることにより、機器制御部12は、各リーダ装置7a、7b、7cから時系列で非接触ICタグ5a、5bの情報を受信して、この非接触ICタグ5a、5bを身に着けた使用者6a、6bの識別情報に加えて、位置や移動方向を確実に検知する。
【0037】
本実施形態における使用者情報保持部は、アクティブ型の非接触ICタグ5a、5b等のデータキャリアを用い、使用者6a、6bの靴等の履物に取り付けて使用する。非接触ICタグ5a、5bは、リーダ装置7と双方向に通信可能であり、リーダ装置7a、7b、7cから指令を受けて、信号発信・停止を行う。なお、本実施形態においては、登録した使用者6a、6bの靴全てに非接触ICタグ5a、5bを設けている。
【0038】
次に、本システムによる家電機器の制御について第1の実施形態との相違点を中心に図7を参照して説明する。図7は、第2の実施形態に係る使用者6a、6bの在不在判定方法の流れを表す。なお、本実施形態のよる家電機器の制御については、図3に基づき第1の実施形態で説明したものと同様である。ここでは、各使用者6a、6bの在不在の判定を行う方法として図7(a)及び(b)に示す判定方法3、4を例示する。
【0039】
図7(a)に示す判定方法3による使用者6a、6bの外出時における在不在判定は次のようである。ここでは、使用者6aを例に説明を行う。非接触ICタグ5a取り付けた使用者6aの靴には、使用者6aが靴を履いているかを検知する図示しないセンサ(荷重センサ、インピーダンスセンサ等)が設けられている。外出時に使用者6aが靴を履いたとき(S18)、この状態を検知し、靴に設けられた非接触ICタグ5aが信号発信を開始する(S19)と、機器制御部12は、複数設けられた各リーダ装置7a、7b、7cを介してこの識別情報を受信し(S20)、使用者6aの位置を追跡する(S21)。そして、靴を履いた使用者6aの位置が建物外にあるどうか判定し(S22)、使用者6aが建物外にあると認識した場合、機器制御部12は、リーダ装置7a、7b、7cを介して非接触ICタグ5aに対して信号発信停止命令を発信し、信号発信を停止させると共に、この使用者6aが建物外に居るものと判定する(S23)。
【0040】
図7(b)に示す判定方法4による使用者6aの帰宅時における在不在判定は次のようである。靴に設けられた非接触ICタグ5aは、各リーダ装置7a、7b、7cと通信可能領域に入った後、リーダ装置7a、7b、7cから定期的に発信される信号発信命令(S24)に応答して、応答信号を発信する(S25)。リーダ装置7a、7b、7cのいずれかによって、この応答信号が受信されたとき(S26)、この通知を受けた機器制御部12は、使用者6aの位置追跡を開始する(S27)。そして靴を履いた使用者6aの位置が建物外にあるかどうか判定し(S28)、使用者6aが建物内にあると認識した場合、機器制御部12は、リーダ装置7a、7b、7cを介してこの非接触ICタグ5aに対して信号発信停止命令を発信し、信号発信を停止させると共に、この使用者6aが建物内に居るものと判定する(S29)。なお、使用者6a、6bの外出時における在不在判定の判定方法としては、本実施形態で示した判定方法3、4の他、既に第1の実施形態で示した判定方法1、2を用いることもできる。
【0041】
以上のような、家電機器制御システムを構築することにより、第1の実施形態と同様の効果が得られる他、更に次に挙げるような効果を得ることができる。まず、使用者情報保持部である非接触ICタグ5a、5bを靴に設けることの効果としては、通常、外出時には靴を履くので、特に使用者6a、6bに対して使用者情報保持部の携行を意識させる必要がなく、また、常に地表近傍に存在するので、非接触ICタグ5a、5bとリーダ装置7a、7b、7cの位置関係が安定するために、安定した信号の授受を行うことができ、誤認識・誤動作を低減することができる。
【0042】
また、複数のリーダ装置7a、7b、7cが備えられ、使用者6a、6bの在不在の判定方法として判定方法3、4を用いることにより、使用者6a、6bの位置を的確に追跡できるので、誤認識・誤動作を効果的に予防することができると共に、非接触ICタグ5a、5bの信号発信を必要最小限に抑えることができるので、非接触ICタグ5a、5bの使用電力を抑えて、省エネが図れる。従って、非接触ICタグ5a、5bの電池等を交換することなく長期間使用でき、使用者6a、6bの利便性が高まる。
【0043】
また、リーダ装置7a、7b、7cとは別に、家電機器の制御を統合的に行う機器制御部12を設けることにより、リーダ装置7a、7b、7cを小型化できる他、機器制御部12としてホームサーバ等を利用することもできるので、より高い処理能力を利用して、更に多くの機器と連動した多様な家電機器を制御できるシステムを構築して、使用者6a、6bの利便性を高めることができる。
【0044】
なお、第2の実施形態の説明においては、建物に居住している複数人で構成される家族等の全員を使用者として登録したが、複数人で構成される家族等のうち特定の人(例えば、建物内に長時間居る主婦等)の靴に非接触ICタグを取り付けることもできる。この場合、識別情報受信時から一定期間、検知部による人の検知を行い、人を検知しない場合には、その特定の人が建物外に居るものと判定し、防犯モードに自動的に切替わるようにすることで、この特定の使用者の外出を確実に知ることができる。
【0045】
本発明は、上記各種実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、第1の実施形態、第2の実施形態で例示したシステム構成は、夫々の実施形態に依存するものではなく、いずれの家電機器制御システムにおいても利用可能であり、同様の作用効果を得ることができるものである。
【0046】
また、例えば、上述では使用者情報保持部として、非接触ICタグを例示して説明したが、使用者情報保持部は、非接触ICタグに限られるものではなく、複数の使用者を識別できる情報を保持し、外部からその使用者情報保持部の情報を読取れるものであればよい。従って、例えば、バーコード、QRコード、その他ICチップ(アクティブ型、パッシブ型)等のデータキャリアを使用することができる。同様に、使用者情報読取装置も、使用者情報保持部の構成に併せて、使用者情報保持部が保持する情報の読み取りに最適なものを選択できる。
【0047】
また、使用者情報保持部は、本システム専用のものの他、販売時に製品に付されているバーコード、QRコード、ICタグ等を利用してもよい。これらの例としては、ICチップを搭載した銀行カード、クレジットカード、会員カード、定期券等のカード等やバーコードやQRコード付の商品タグ等がある。これらの予め製品に取り付けられたバーコード、QRコード、ICタグ等を利用することにより、別に専用の使用者情報保持部を作成する必要がないので、使用者情報保持部の作成や取付けに要する使用者の負担を軽減できる他、安価にシステムを構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る家電機器制御システムの構成を示す概念図。
【図2】同上システムの構成図。
【図3】同上システムによる家電制御の動作を示すフローチャート。
【図4】(a)、(b)は、同上システムの使用者の在不在判定方法を示すフローチャート。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る家電機器制御システムの構成を示す概念図。
【図6】同上システムの構成図。
【図7】(a)、(b)は、同上システムの靴に使用者情報保持部を設けた場合における使用者の在不在判定方法を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0049】
1 家電機器制御システム
2 エアコン(家電機器)
2a リモコン(機器操作部)
2b 操作スイッチ(検知部)
2c 人感センサ(検知部)
3 テレビ(家電機器)
3a リモコン(機器操作部)
3b 操作スイッチ(検知部)
3c 人感センサ(検知部)
4 照明機器(家電機器)
4a リモコン(機器操作部)
4b 操作スイッチ(検知部)
4c 人感センサ(検知部)
5a、5b 非接触ICタグ(使用者情報保持部)
6a、6b 使用者
7、7a、7b、7c リーダ装置(使用者情報読取装置、制御手段)
8 侵入者
11、11a、11b、11c 非接触ICタグリーダ
12 機器制御部(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内に設置される家電機器と、使用者の識別情報を保持する使用者情報保持部と、前記使用者情報保持部から使用者情報を読取る使用者情報読取装置と、前記使用者情報読取装置で読取った使用者の識別情報を用いて前記家電機器を制御する制御手段とを有する家電機器制御システムにおいて、
前記使用者情報保持部は、使用者の装身物に取り付けられ、
前記使用者情報読取装置は、建物の出入り口近傍に設けられ、
前記制御手段は、前記使用者情報読取装置の読取結果に基づいて、複数の前記使用者情報保持部のうち、予め登録された使用者情報保持部が建物外にあることを認識したとき、所定の家電機器の電源又は動作を停止する制御指令を出力すること特徴とする家電機器制御システム。
【請求項2】
前記建物内には、人を検知する検知部が設けられており、
前記制御手段は、複数の前記使用者情報保持部のうち、予め登録された使用者情報保持部が、建物外にあることを認識したとき、前記検知部からの検知信号に基づき、侵入者を検知することを特徴とする請求項1に記載の家電機器制御システム。
【請求項3】
前記使用者情報読取装置は、建物の出入り口ドアの鍵部又はハンドル部に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の家電機器制御システム。
【請求項4】
前記使用者情報保持部は、バーコード又はQRコード又はICタグであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の家電機器制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−227991(P2007−227991A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−43272(P2006−43272)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】