説明

家電機器及び家電機器ネットワークシステム

【課題】音声データを追加、または、変更することができる家電機器及びそれら家電機器のネットワークシステムについて提供する。
【解決手段】電子レンジ本体26とは別体にアダプタ28が設けられ、このアダプタ28にプロパティに対応する音声データが記憶され、この音声データはホームゲートウェイ12を介してアプリケーションサーバ24から取得できるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声発生部を有する家電機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家電機器は、年を重ねる毎にその機能が増えていく傾向にあり、ユーザによっては使いこなせない場合がある。そのため、最近ではその操作を音声で案内して、使い勝手を良くしていこうという家電機器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−356351公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような音声で情報を知らせる家電機器においては、実装されている音声データは限定されており、その音声データの内容を追加したり変更することはできない。
【0004】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、音声データを追加、または、変更することができる家電機器及びそれら家電機器のネットワークシステムについて提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、音声発生部を有する家電機器において、前記家電機器を動作させる主制御部と、前記家電機器の制御情報に対応した音声データを外部から受信する通信部と、前記音声データを記憶する記憶部と、前記主制御部からの制御情報に対応した音声データを前記記憶部から呼び出し、前記音声発生部から出力する音声制御部と、を備えたことを特徴とする家電機器である。
【0006】
また、本発明は、サーバと、前記サーバからインターネットを介してデータを送受信するホームゲートウエイと、前記ホームゲートウエイと有線または無線によって接続され、かつ、音声発生部を有する一または複数の家電機器と、を含む家電機器ネットワークシステムにおいて、前記各家電機器は、前記家電機器を動作させる主制御部と、前記ホームゲートウエイを介して前記サーバから、自己の家電機器の制御情報に対応した音声データを受信する通信部と、前記音声データを記憶する記憶部と、前記主制御部からの制御情報に対応した音声データを前記記憶部から呼び出し、前記音声発生部から出力する音声制御部と、を備えたことを特徴とする家電機器ネットワークシステムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、外部から制御情報に対応した音声データを受信することができるため、家電機器に記憶している音声データの追加や変更を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態の家電機器ネットワークシステム10について図1〜図6に基づいて説明する。
【0009】
(1)家電機器ネットワークシステム10の構成
図1に基づいて、家電機器ネットワークシステム10の構成について説明する。
【0010】
この家電機器ネットワークシステム10は、家庭内に設置されているホームゲートウェイ12にLANまたは無線LANを用いて複数の家電機器が接続されている。この家電機器としては、例えば電子レンジ14、冷蔵庫16、エアコン18であり、これ以外の家電機器としては、例えばIHクッキングヒーター、炊飯器、掃除機、インターホン、洗濯機、乾燥機、洗濯乾燥機等が接続されている。
【0011】
ホームゲートウェイ(HGW)12は、ISP20、インターネット22を介してアプリケーションサーバ(ASP)24と接続されている。即ち、ホームゲートウェイ12は、アプリケーションサーバ24の窓口となっており、このホームゲートウェイ12を通じて各家電機器がアプリケーションサーバ24からデータを送受信することができる。
【0012】
(2)家電機器の構成
次に、家電機器の構成を、電子レンジ14を例として図2及び図3に基づいて説明する。
【0013】
電子レンジ14は、電子レンジ本体26にアダプタ28が着脱自在に接続されている。
【0014】
アダプタ28は、ホームゲートウェイ12と通信を行うための通信部30と、音声制御部32と、プロパティデータベース34と音声データベース36とより構成されている。
【0015】
電子レンジ本体26は、調理を行う調理部27に加えて、主制御部38、機器データベース40、デコーダ42、アンプ44、スピーカ46を有している。主制御部38は、加熱調理を行うための調理部27を制御する。
【0016】
機器データベース40には、図4に示すようなプロパティデータが記憶されている。このプロパティデータには、家電機器を特定できる機器識別情報(例えば、電子レンジの型番)と共に、オン/オフの状態を示す情報や、異常の発生状態を示す情報や異常内容等の機能データが記憶されている。
【0017】
また、この機器データベース40には、その電子レンジ14に最低限必要な音声データがプロパティデータに対応して記憶されている。例えば、温め機能である場合には、「調理が完了しました」という音声データが記憶されている。そして、この記憶されている音声データは主制御部38から呼び出され、デコーダ42でアナログ音声データに変換され、アンプ44で増幅されてスピーカ46から出力される。
【0018】
なお、電子レンジ14以外の冷蔵庫16、エアコン18等の他の家電機器においてもアダプタ28と、主制御部38、機器データベース40、デコーダ42、アンプ44、スピーカ46を有し、それ以外の例えば冷蔵庫16における冷蔵/冷凍機能等は従来の冷蔵庫と同様に有している。
【0019】
(3)音声データベースの取得方法
上記の機器データベース40に記憶されている音声データは、最低限必要な基本的なデータであるため、ユーザによっては、よりわかり易く説明する音声データをアプリケーションサーバ24から取得する必要がある。以下、その取得方法について図5の取得シーケンスに基づいて説明する。
【0020】
まず、電子レンジ14を立ち上げると、アダプタ28も立ち上げ処理される。このときアダプタ28の音声制御部32は、機器データベース40に記憶されている機器識別情報とプロパティデータを取得し、プロパティデータベース34に記憶させる。
【0021】
次に、アダプタ28は、通信部30を通じてホームゲートウェイ12に立ち上げ通知を行い、それと共に機器識別情報とプロパティデータを送信する。
【0022】
次に、ホームゲートウェイ12では、受信された機器識別情報とプロパティデータに基づいて、その機器識別情報を登録すると共に、アプリケーションサーバ24に機器登録情報を送信する。
【0023】
次に、音声データを要求する音声ファイル設定要求をアプリケーションサーバ24に行う。
【0024】
次に、アプリケーションサーバ24では、ホームゲートウェイ12から送られてきた音声ファイル設定要求を受信したことを通知すると共に、音声ファイルのリストをホームゲートウェイ12に送信する。
【0025】
次に、ホームゲートウェイ12では、送られてきた音声ファイルのリストと、立ち上げた電子レンジ14の機器識別情報とを比較し、その機器識別情報に対応する音声ファイルのファイル識別番号を選択し、アプリケーションサーバ24に送信する。
【0026】
次に、アプリケーションサーバ24では、選択された音声ファイルと、ホームゲートウェイ12の識別情報(例えば、どの家庭に設置されているかの識別情報)と、機器識別情報とを関連付け記憶する。
【0027】
次に、ホームゲートウェイ12では、選択した音声ファイルの取得要求をアプリケーションサーバ24に送信する。
【0028】
次に、アプリケーションサーバ24では、音声ファイルの取得要求があったため、その音声ファイルをWaveファイルの形式でホームゲートウェイ12に送信する。
【0029】
次に、ホームゲートウェイ12は、その送信されてきた音声ファイルをアダプタ28に転送する。
【0030】
次に、アダプタ28は、その転送されてきた音声データを音声データベース36に格納する。
【0031】
次に、ホームゲートウェイ12では、音声ファイル選択処理の完了を行う。
【0032】
このようにすることで、電子レンジ14を立ち上げただけで、その電子レンジ14に必要な音声データがアダプタ28に記憶される。
【0033】
(4)音声データの内容
次に、取得した音声データの内容について説明する。
【0034】
この音声データには、まず音声の種類が複数記憶されている。例えば、男性の声、女性の声、イメージキャラクターの声等が記憶されている。
【0035】
再生内容としては、機器操作内容、機器の状態を示す内容、調理レシピ、音声メモ等が記憶されている。機器の状態内容としては、基本的に記憶されている「調理が完了しました」以外に、「温め3分間完了しました」等が記憶されている。また、「熱々ですので火傷に注意してください」等も記憶されている。
【0036】
調理レシピとしては、他の家電機器の連動動作に伴う内容が記憶されており、冷蔵庫16やIHクッキングヒータ等を連動させて調理を音声と表示で案内するデータが記憶されている。さらに、音声メモも記憶されている。この音声メモとは、冷蔵庫や電子レンジ等の普段良く使う家電機器に関して音声メモを転送させておき、家電機器の使用時にそのメモを再生するものである。
【0037】
さらに、上記調理レシピにおける再生内容とは別に、他の家電機器操作との連携内容も記憶させておく。この連携内容はホームゲートウェイ12に設定されており、ある家電機器を操作すると連帯先の他の家電機器についてどのように動いているかが分かるようなデータも記憶されている。
【0038】
(5)音声データの選択
アダプタ28の音声データベース36には、上記したように男性の声、女性の声、イメージキャラクターの声等が記憶されているため、ユーザは電子レンジ14の操作部によってその好きな音声を選択し、その音声によって必要な情報を再生することができる。
【0039】
これにより、従来は予め家電機器に記憶された音声の種類によってしか再生できなかったものであるが、音声の種類を増やし好きな音声で再生することができる。
【0040】
(6)家電機器の操作
次に、電子レンジ14と冷蔵庫16を連帯させて調理を行う場合について図6に基づいて説明する。
【0041】
ある料理のレシピを選択し、電子レンジ14で加熱が完了したとする。すると、電子レンジ本体26から加熱が完了したという状態変更通知がアダプタ28に送られる。
【0042】
次に、アダプタ28の音声制御部32では、その状態変更通知に基づいてプロパティデータベース34を検索し、そのプロパティに対応する音声データを音声データベース36から選択し、電子レンジ本体26に送る。
【0043】
次に、電子レンジ本体26では、送られてきた音声データをデコーダ42、アンプ44を介してスピーカ46で再生する。例えば、3分間の加熱が完了しましたの音声が再生される。レシピと連動しているため、「冷蔵庫で粗熱を取って下さい」の音声データが再生される。
【0044】
次に、アダプタ28は、状態変更通知をホームゲートウェイ12にも送信する。
【0045】
次に、ホームゲートウェイ12では、その送られてきた加熱が完了したという状態変更通知と、予め記憶されたレシピに基づき、次の調理行為である冷蔵庫16へ急速冷却を指示する制御情報を送る。
【0046】
次に、冷蔵庫16では、その加熱が完了した料理を収納した後、急速冷却を開始する。このときに、冷蔵庫16のアダプタ28は、「粗熱を取ります」と「約30分お待ち下さい」の音声データを冷蔵庫本体に送信し、冷蔵庫本体のスピーカで再生する。
【0047】
次に、30分が経過し、粗熱処理が完了すると、冷蔵庫16は急速冷却を完了し、その状態変更通知を冷蔵庫16のアダプタ28に送る。アダプタ28では、急速冷却が完了したプロパティに対応し音声データベース36を音声制御部32が検索し、「粗熱処理が完了しました」「材料を切って盛り付けて下さい」の音声データを呼び出し、スピーカから再生させる。
【0048】
(7)効果
上記のように、本実施形態の家電機器であると、基本的な音声データ以外の音声データをアダプタ28がアプリケーションサーバ24から取得し、家電機器のプロパティに対応して再生することができる。
【0049】
また、1つの家電機器だけでなく、複数の家電機器をホームゲートウェイ12で連帯して動作させ、それに合わせた音声データをアダプタ28によって制御し再生することができる。
【0050】
さらに、ユーザが好みの音声データを選択することができる。
【0051】
本発明は上記各実施形態に限らず、その主旨を逸脱しない限り種々に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態を示す家電機器ネットワークシステムの構成図である。
【図2】電子レンジのブロック図である。
【図3】電子レンジ本体のブロック図である。
【図4】プロパティデータの説明図である。
【図5】音声ファイルの取得シーケンスである。
【図6】電子レンジと冷蔵庫とホームゲートウェイ等を使用したレシピの動作内容である。
【符号の説明】
【0053】
10 家電機器ネットワークシステム
12 ホームゲートウェイ
14 電子レンジ
16 冷蔵庫
24 アプリケーションサーバ
26 電子レンジ本体
28 アダプタ
30 通信部
32 音声制御部
34 プロパティデータベース
36 音声データベース
38 主制御部
46 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声発生部を有する家電機器において、
前記家電機器を動作させる主制御部と、
前記家電機器の制御情報に対応した音声データを外部から受信する通信部と、
前記音声データを記憶する記憶部と、
前記主制御部からの制御情報に対応した音声データを前記記憶部から呼び出し、前記音声発生部から出力する音声制御部と、
を備えた
ことを特徴とする家電機器。
【請求項2】
前記通信部、前記記憶部、前記音声制御部とが一体となり、前記家電機器本体と独立したアダプタとなっている
ことを特徴とする請求項1記載の家電機器。
【請求項3】
前記通信部は、前記音声データと共に前記家電機器を特定する識別情報も受信する
ことを特徴とする請求項1記載の家電機器。
【請求項4】
前記音声データは、外部からファイルで転送されてくる
ことを特徴とする請求項1記載の家電機器。
【請求項5】
前記音声制御部で発生する前記音声データをユーザが選択するための音声データ選択部を有する
ことを特徴とする請求項1記載の家電機器。
【請求項6】
前記制御情報が、前記家電機器のプロパティ情報と前記家電機器の状態変化を示す状態変更通知情報である
ことを特徴とする請求項1記載の家電機器。
【請求項7】
前記家電機器が、電子レンジ、IHクッキングヒータ、炊飯器、冷蔵庫、インターホン、エアコン、掃除機、洗濯機、乾燥機、または、洗濯乾燥機である
ことを特徴とする請求項1記載の家電機器。
【請求項8】
サーバと、
前記サーバからインターネットを介してデータを送受信するホームゲートウエイと、
前記ホームゲートウエイと有線または無線によって接続され、かつ、音声発生部を有する一または複数の家電機器と、
を含む家電機器ネットワークシステムにおいて、
前記各家電機器は、
前記家電機器を動作させる主制御部と、
前記ホームゲートウエイを介して前記サーバから、自己の家電機器の制御情報に対応した音声データを受信する通信部と、
前記音声データを記憶する記憶部と、
前記主制御部からの制御情報に対応した音声データを前記記憶部から呼び出し、前記音声発生部から出力する音声制御部と、
を備えた
ことを特徴とする家電機器ネットワークシステム。
【請求項9】
前記ホームゲートウエイは、前記複数の家電機器の制御情報をそれぞれ受信すると共に、前記複数の家電機器のそれぞれに、送信する家電機器以外の他の家電機器の制御情報を送信し、
前記各家電機器の通信部は、前記他の家電機器の制御情報を受信し、
前記各家電機器の音声制御部は、前記自己の家電機器の前記制御情報と前記他の家電機器の制御情報とに対応した音声データを前記記憶部から呼び出し、前記音声発生部から出力する
ことを特徴とする請求項8記載の家電機器ネットワークシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−46424(P2008−46424A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−222802(P2006−222802)
【出願日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューママーケティング株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝家電製造株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】