説明

容器、包装体及びレンズ包装品

【課題】搬送時の揺れや振動等によって衝撃が加わってもレンズを傷つけないように保持する。
【解決手段】容器2は、凹陥部11と、支持部12と、8つの保持部22とを備える。凹陥部11は、レンズの径よりも小さい径の開口を有しており、この凹陥部11の周縁には、レンズの周縁部を支持する支持部12が設けられている。保持部22は、支持部12に連続して凹陥部11とは反対側に突出すると共に、レンズの外周面に加圧接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズを収容する容器、包装体及びレンズを収容したレンズ包装品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に用いられる光学レンズとしては、例えば、ガラスレンズやプラスチックレンズなどがある。これらのレンズは、汚れの付着や傷がつくことを防ぐために包装された状態で保管或いは搬送される。
【0003】
プラスチックレンズは、ガラスレンズに比べて軽量であり、割れ難いなどの利点がある。そのため、プラスチックレンズは、眼鏡用レンズを始めとして種々のレンズに用いられているが、傷がつきやすいという短所がある。したがって、プラスチックレンズの搬送には、揺れや振動によって生じる衝撃からプラスチックレンズを保護する包装材が必須となる。
【0004】
プラスチックレンズを包装する技術としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1には、包装されたプラスチックレンズが記載されている。この特許文献1に記載されたプラスチックレンズは、表が透明部材で、裏が帯電防止した部材からなる包装袋に、レンズの凸面が前記帯電防止した部材に接するように入れられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−156559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された包装袋では、搬送時の揺れや振動によって加わる衝撃でプラスチックレンズに傷がついてしまう可能性があった。例えば、一方の面に光学面が形成されており、他方の面には光学面が形成されていないセミフィニッシュレンズは、未加工面を切削研磨加工するために余剰分が確保され、重くて厚い形状になる。そのため、セミフィニッシュレンズは、搬送時の揺れや振動等によって加わる衝撃が大きくなりやすく、袋状の包装体に収容しても損傷を防ぐことが難しい。
【0007】
また、セミフィニッシュレンズは、未加工面に汚れが付着しても、その汚れが未加工面を切削研磨加工するときに除去される。したがって、セミフィニッシュレンズを保管或いは搬送する場合の包装材は、少なくとも加工済みの光学面を覆うものであればよい。つまり、レンズの種類によっては、包装材がレンズ全体を覆うものでなくてもよい。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、搬送時の揺れや振動等によって衝撃が加わってもレンズを傷つけないように保持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の容器は、凹陥部と、支持部と、少なくとも3つの保持部とを備える。凹陥部は、レンズの径よりも小さい径の開口を有しており、この凹陥部の周縁には、レンズの周縁部を支持する支持部が設けられている。保持部は、支持部に連続して凹陥部とは反対側に突出すると共に、レンズの外周面に加圧接触する。
【0010】
本発明の包装体は、レンズを挿脱するための開口部を有する容器と、容器の開口部を塞ぐ蓋体を備えている。そして、容器は、凹陥部と、支持部と、少なくとも3つの保持部とを有する。凹陥部は、レンズの径よりも小さい径の開口を有しており、この凹陥部の周縁には、レンズの周縁部を支持する支持部が設けられている。保持部は、支持部に連続して凹陥部とは反対側に突出すると共に、レンズの外周面に加圧接触する。
【0011】
また、本発明のレンズ包装品は、レンズを挿脱するための開口部を有する容器と、容器の開口部を塞ぐ蓋体と、容器に収容されたレンズとを備えている。そして、容器は、凹陥部と、支持部と、少なくとも3つの保持部とを有する。凹陥部は、レンズの径よりも小さい径の開口を有しており、この凹陥部の周縁には、レンズの周縁部を支持する支持部が設けられている。保持部は、支持部に連続して凹陥部とは反対側に突出すると共に、レンズの外周面に加圧接触する。
【0012】
本発明では、容器の支持部によってレンズの周縁部を支持すると共に、少なくとも3つの保持部によってレンズの外周面を加圧する。これにより、搬送時の揺れや振動等によって容器に衝撃が加えられても、容器内でレンズが移動することはなく、レンズを安定して保持することができる。また、レンズの一方の面が凹陥部の内部空間に配置されるため、容器がレンズの一方の面に接触しないようにすることができる。その結果、搬送時の揺れや振動等による衝撃が容器を介してレンズの一方の面に伝わることはなく、レンズの一方の面を傷つけないようにすることができる。
【0013】
例えば、収容するレンズがセミフィニッシュレンズである場合は、加工済みの光学面を凹陥部の空間に配置させる。これにより、加工済みの光学面は、内部空間を介して凹陥部に覆われる。その結果、加工済みの光学面を容器で傷つけることはなく、しかも、加工済みの光学面にゴミや汚れが付着することを防止できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、搬送時の揺れや振動等によって衝撃が加わってもレンズに傷がつかないように保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の包装体の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の包装体の一実施形態に係る容器の斜視図である。
【図3】本発明の包装体の一実施形態に係る容器の平面図である。
【図4】図4(a)は図3のA−A線に沿う断面図、図4(b)は図3のB−B線に沿う断面図、図4(c)は図3のC−C線に沿う断面図である。
【図5】本発明の包装体の一実施形態に係る蓋体の内側を上方に向けた状態の斜視図である。
【図6】本発明の包装体の一実施形態に係る蓋体の底面図である。
【図7】本発明のレンズ包装品の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の容器、包装体及びレンズ包装品を実施するための形態について、図1〜図7を参照して説明する。各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0017】
<包装体の構成>
まず、本発明の包装体の一実施形態の構成について、図1を参照して説明する。
図1は、包装体の一実施形態を示す斜視図である。
【0018】
包装体1は、レンズを挿脱するための開口部19(図2参照)を有する容器2と、この容器2の開口部19を塞ぐ蓋体3を備えている。また、レンズ包装品5(図7参照)は、包装体1と、この包装体1に包装されたレンズ4から構成される。
【0019】
容器2には、レンズ4が収容される。蓋体3は、容器2に嵌合される。これら容器2及び蓋体3は、例えば、ポリスチレン(PS)やポリプロピレン(PP)などのプラスチック材料をプレス成形することにより可撓性を有するように形成されている。なお、本発明に係る容器及び蓋体は、プラスチック材料から形成されることに限定されるものではなく、例えば、ゴム材料から形成してもよい。
【0020】
[容器]
次に、容器2について図2〜図4を参照して説明する。
図2は、容器2の斜視図である。図3は、容器2の平面図である。図4(a)は図3のA−A線に沿う断面図、図4(b)は図3のB−B線に沿う断面図、図4(c)は図3のC−C線に沿う断面図である。
【0021】
まず、容器2に収容されるレンズ4について説明する。
図4に示すように、容器2に収容されるレンズ4は、セミフィニッシュレンズであり、加工済みの光学面である凸面4aと、未加工面である凹面4bと、外形を形成する外周面4cを有している。
【0022】
図2に示すように、容器2は、有底の容器であり、包装体1の底面を形成する凹陥部11と、凹陥部の周縁に設けられた支持部12と、この支持部12に連続して形成された側壁13を備えている。
【0023】
凹陥部11は、円形の底面板15と、この底面板15に連続して上方に立ち上がる側面板16からなっている。側面板16は、開口に向かうにつれて径が連続的に大きくなるテーパー状に形成されている(図4参照)。これにより、凹陥部11は、円錐台形状の空間部17を形成している。また、側面板16の周縁の径は、レンズ4の径よりも小さく設定されている。つまり、空間部17における開口の径は、レンズの径よりも小さい。したがって、凹陥部11内(空間部17)には、レンズ4の外周面4cが挿入されないようになっている。
【0024】
支持部12は、側面板16の周縁から半径方向の外側に突出しており、周方向に連続するリング状に形成されている。この支持部12は、レンズ4における凸面4aの周縁部を支持する。そのため、支持部12の外径は、レンズ4の径と同等又はそれよりも大きくなっている。
【0025】
支持部12に支持されたレンズ4の凸面4aは、凹陥部11に配置される。つまり、レンズ4の凸面4aは、空間部17を介して凹陥部11に覆われる。そのため、搬送時の揺れや振動等による衝撃が凹陥部11を介してレンズ4の凸面4aに伝わることはなく、凸面4aを傷つけないようにすることができる。また、レンズ4の凸面4aにゴミや汚れが付着することを防止できる。
【0026】
側壁13は、支持部12の周縁から上方に向かって突出しており、略四角形の筒状に形成されている。この側壁13は、容器2の開口部19を形成すると共に、この開口部19から挿入されて支持部12に支持されたレンズ4の外周面4cに対向する。本実施の形態では、側壁13の軸方向の長さがレンズ4の外周面4cの高さ(厚み方向の長さ)と同等又はそれよりも長くなっており、側壁13がレンズ4の外周面4cを覆っている(図4(a)参照)。
【0027】
図2及び図3に示すように、側壁13は、レンズ4を把持する手指などが挿入される4つの把持用凹部21と、レンズ4の外周面4cに加圧接触する8つの保持部22と、先端に設けられたフランジ23を有している。
【0028】
4つの把持用凹部21は、側壁13の周方向に等間隔をあけて設けられている。これら把持用凹部21は、支持部12の半径方向の外側に凸となる円弧状に形成されており、レンズ4の外周面4cとの間に、レンズ4を把持するための間隙を生じさせている(図4(b)参照)。また、4つの把持用凹部21は、それぞれ側壁13の角部を形成している。つまり、側壁13は、4つの把持用凹部21を設けることにより略四角形の筒状に形成されている。
【0029】
8つの保持部22は、支持部12の周方向に隣り合う2つの把持用凹部21間に2つずつ設けられている。そして、2つの把持用凹部21間に配置される2つの保持部22は、支持部12の周方向に適当な間隔をあけて配置されている。保持部22は、支持部12の半径方向の内側に突出する円弧状の凸部として形成されている。
【0030】
側壁13は、保持部22の基部を支点に撓み変形可能に構成されており、各保持部22がレンズ4の外周面4cに加圧接触する(図4(c)参照)。つまり、側壁13は、レンズ4の外周面4cによって外側に押し広げられように撓み変形する。これにより、レンズ4は、8つの保持部22に挟持され、容器2に安定して保持される。
【0031】
フランジ23は、側壁13の先端から水平方向に突出しており、略四角形の枠状に形成されている。このフランジ23の上面23aは、蓋体3の後述する段部35,36に当接し、下面23bが蓋体3の後述する係止爪37A,37Bに係合される。
【0032】
本実施の形態では、凹陥部11が円錐台形状の空間部17を形成するようにしたが、本発明に係る凹陥部としては、レンズ4の凸面4aが配置可能な略半球形状、円柱状又は直方体状の空間部を形成するものであってもよい。また、本発明に係る凹陥部としては、レンズ4の凸面4aが配置可能な空間部を形成するものであればよく、例えば、中空ではない直方体状の部材に凹部を設けて形成してもよい。
【0033】
また、本実施の形態では、4つの把持用凹部21を設ける構成としたが、本発明に係る把持用凹部としては、少なくとも2つ設ければよい。なお、把持用凹部を2つ設ける場合は、それら2つの把持用凹部を支持部12の径方向に対向させて配置することが好ましい。
【0034】
また、本実施の形態では、8つの保持部22を設ける構成としたが、本発明に係る保持部としては、少なくとも3つ設ければよい。なお、保持部を3つ設ける場合は、支持部12の周方向に等間隔をあけて配置するとよい。これにより、3つの保持部でレンズ4を安定して保持することができる。
【0035】
また、本実施の形態では、保持部22を支持部12の半径方向の内側に突出する凸部として形成したが、本発明に係る保持部としては、例えば、側壁13にゴム材料を貼り付けて形成することもできる。
【0036】
また、本実施の形態では、容器2が略四角形の筒状に形成された側壁13を備える構成としたが、本発明に係る容器としては、少なくとも保持部を備えていればよい。つまり、本発明に係る容器としては、支持部12の周方向に適当な間隔をあけて保持部を突出させる構成にすることもできる。
【0037】
また、本実施の形態では、フランジ23を略四角形の枠状に形成したが、本発明に係るフランジとしては、側壁13の先端に断続的に設けるようにしてもよい。例えば、保持部22に対応する先端にのみフランジを設けるようにしてもよい。また、本発明に係る支持部においても、周方向に連続するリング状に限定されるものではなく、周方向に断続的に設けることもできる。
【0038】
[蓋体]
次に、蓋体3について図1、図5及び図6を参照して説明する。
図5は、蓋体3の内側を上方に向けた状態の斜視図である。図6は、蓋体3の底面図である。
【0039】
蓋体3は、有底の四角形の筒状に形成されており、包装体1の上面を形成する上面板31と、の上面板31の周縁に連続して略垂直に突出する4つの側面板32A〜32Dを備えている。
【0040】
上面板31には、補強用の膨出部31a,31bが設けられている。これら膨出部31a,31は、それぞれ上面板31の外面側が膨らむように突出しており、上面板31の中央を中心とする円形のリング状に形成されている。膨出部31aは、膨出部31bよりも大きい径に設定されている。これら膨出部31a,31bを設けることにより、上面板31の変形や破損を防止することができる。なお、本発明に係る膨出部の形状としては、リング状に限定されるものではなく、突条や渦状など適宜変更することができる。
【0041】
また、膨出部31a,31bは、複数の包装体1(図1参照)或いは複数のレンズ包装品5(図7参照)を重ねる場合の位置決め及びずれ防止を行う係合部にすることもできる。膨出部31a,31bを係合部にするには、例えば、膨出部31aの内径を容器2の底面板15(図2参照)の外径と略同じ大きさにする。また、底面板15の外面に膨出部31bの外径と略同じ大きさの円形の凹部を形成する。これにより、複数の包装体1(レンズ包装品5)を重ねる場合に、上方の包装体1における底面板15が、下方の包装体1における上面板31の膨出部31a,31bに係合し、位置決め及びずれ防止を行うことができる。
【0042】
側面板32A〜32Dの先端には、水平方向に突出する蓋側フランジ34が設けられている。また、側面板32A〜32Cの内面には、第1の段部35と、複数の係止爪37Aが設けられており、側面板32Dの内面には、第2の段部36と、2つの係止爪37Bが設けられている。
【0043】
第1の段部35は、側面板32A〜32Cの高さ方向の中間部から上面板31までが内側に突出するように形成されている。この第1の段部35は、上面板31の3辺に沿って側面板32Aの端部から側面板32Cの端部まで連続しており、上方から見た形状がコ字状になっている。この第1の段部35を設けることにより、側面板32A〜32Cの強度を高めることができ、側方から押圧されても側面板32A〜32Cが撓み変形することを防止或いは抑制することができる。
【0044】
第2の段部36は、第1の段部35と同様に、側面板32Dの高さ方向の中間部から上面板31までが内側に突出するように形成されている。この第2の段部36は、側面板32Dの中央部に所定の長さで設けられている。そのため、側面板32Dは、側面板32A〜32Cよりも強度が低く、撓みやすくなっている。
【0045】
複数の係止爪37Aは、側面板32A〜32Dの高さ方向で第1の段部35に対向している。各側面板32A〜32Cには、6つの係止爪37Aが設けられている。一方、2つの係止爪37Bは、側面板32A〜32Dの高さ方向で第2の段部36に対向している。係止爪37A及び係止爪37Bは、蓋体3の内側に突出する凸部として同一形状に形成されている。これら係止爪37A及び係止爪37Bは、容器2のフランジ23と係合し、蓋体3が容器2から外れる方向(上方)への移動を係止する。
【0046】
ところで、側面板32Dに設けた係止爪37Bの数(2つ)は、各側面板32A〜32Cに設けた係止爪37Aの数(6つ)よりも少なく、且つ、側面板32Dが側面板32A〜32Cよりも撓みやすくなっている。側面板32Dに設けた2つの係止爪37Bは、各側面板32A〜32Cに設けた6つの係止爪37Aよりもフランジ23から外れやすくなっている。したがって、側面板32Dを持ち上げて撓ませることにより、蓋体3を容器2から容易に外すことができる。
【0047】
本実施の形態では、蓋体3を有底の四角形の筒状に形成したが、本発明に係る蓋体としては、容器2の形状に応じて適宜設定することができる。また、本実施の形態では、各側面板32A〜32Cに6つの係止爪37Aを設け、側面板32Dに2つの係止爪37Bを設ける構成とした。しかしながら、本発明に係る係止爪の数は、適宜設定することができるものであり、また、係止爪を少なくとも3つ以上もうければ、蓋体3が容器2から外れる方向への移動を係止することができる。
【0048】
<レンズ包装体の組立方法>
次に、レンズ包装品5の組立方法について、図7を参照して説明する。
図7は、レンズ包装品5の断面図である。
【0049】
レンズ包装品5を組み立てるには、まず、容器2にレンズ4を収容する。つまり、容器2の開口部19からレンズ4を挿入し、凸面4aの周縁部を支持部12に載置する。これにより、容器2の支持部12がレンズ4を支持すると共に、保持部22がレンズ4の外周面4cに加圧接触し、レンズ4が容器2に安定して保持される(図4(c)参照)。
【0050】
このとき、レンズ4の凸面4aと凹陥部11との間には、空間部17が介在されている。そのため、搬送時の揺れや振動等による衝撃が容器2に加わっても、その衝撃が凹陥部11を介してレンズ4の凸面4aに伝わらないようにすることができ、凸面4aに傷がつくことを防止できる。また、凹陥部11によってレンズ4の凸面4aを覆うため、凸面4aにゴミや汚れが付着することを防止できる。
【0051】
次に、レンズ4を収容した容器2に蓋体3を嵌合させて、容器2の開口部19(図4参照)を塞ぐ。このとき、容器2におけるフランジ23の上面23aが蓋体3の第1の段部35及び第2の段部36に当接し、フランジ23の下面23bが蓋体3の係止爪37A,37Bに係合する。これにより、蓋体3が容器2から外れる方向への移動が係止され、レンズ包装品5の組み立てが完了する。
【0052】
レンズ包装品5の組み立てが完了した状態において、レンズ4の凹面4bと蓋体3との間には、間隙が生じている。これにより、搬送時の揺れや振動等による衝撃が蓋体3に加わっても、その衝撃が蓋体3からレンズ4の凹面4bに伝わらないようにすることができ、凹面4bに傷がつくことを防止できる。
【0053】
また、蓋体3の側面板32A〜32Dは、適当な間隙をあけて容器2の側壁13を覆う。これにより、レンズ包装品5(包装体1)の側方から加わった衝撃を、側面板32A〜32Dで緩衝することができ、容器2の側壁13からレンズ4の外周面4cに加わる衝撃を抑制することができる。
【0054】
また、蓋体3の側面板32A〜32Dは、容器2におけるフランジ23の端部に当接する。これにより、側面板32A〜32Dは、レンズ4によって容器2の側壁13(保持部22)が外側に撓み変形することを規制する。その結果、側壁13の8つの保持部22をレンズ4の外周面4cに確実に加圧接触させることができる。なお、本発明に係る蓋体としては、容器2のフランジ23内側に押圧して側壁13(保持部22)を撓み変形させる構成としてもよい。このようにしても、容器の保持部をレンズの外周面に確実に加圧接触させることができる。
【0055】
レンズ包装品5における蓋体3には、収容しているレンズ4の情報を記載したラベルが貼り付けられる。これにより、レンズ包装品5を容易に管理することができる。また、包装体1は、ラベルを貼り替えることにより、繰り返し使用することができる。
【0056】
本発明は、前述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施の形態では、容器2に収容するレンズとして、セミフィニッシュレンズを適用した。しかしながら、本発明に係る容器に収容するレンズは、凹凸両面が加工済みの光学面であるレンズ、凹凸両面が未加工面のレンズ、両面が凸面となるレンズ及び両面が凹面となるレンズ等を適用することもできる。
【0057】
また、本発明に係る容器に収容するレンズは、プラスチックレンズに限定されず、ガラスレンズであってもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…包装体、 2…容器、 3…蓋体、 4…レンズ、 4a…凸面、 4b…凹面、 4c…外周面、 5…レンズ包装品、 11…凹陥部、 12…支持部、 13…側壁、 15…底面板、 16…側面板、 17…空間部、 19…開口部、 21…把持用凹部、 22…保持部、 23…フランジ、 31…上面板、 31a,31b…膨出部、 32A〜32D…側面板、 34…蓋側フランジ、 35…第1の段部、 36…第2の段部、 37A,37B…係止爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズの径よりも小さい径の開口を有する凹陥部と、
前記凹陥部の周縁に設けられ、前記レンズの周縁部を支持する支持部と、
前記支持部に連続して前記凹陥部とは反対側に突出すると共に、前記レンズの外周面に加圧接触する少なくとも3つの保持部と、
を備える容器。
【請求項2】
前記保持部は、前記支持部に連続して形成されると共に前記レンズの外周面に対向する側壁の一部である請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記側壁は、前記レンズの外周面と間に、前記レンズを把持するための間隙を形成する把持用凹部を有する請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記凹陥部は、開口に向かうにつれて径が連続的に大きくなるテーパー状に形成されており、前記レンズの凸面が配置される請求項1〜3のいずれかに記載の容器。
【請求項5】
レンズを挿脱するための開口部を有する容器と、
前記容器の開口部を塞ぐ蓋体と、を備え、
前記容器は、
前記レンズの径よりも小さい径の開口を有する凹陥部と、
前記凹陥部の周縁に設けられ、前記レンズの周縁部を支持する支持部と、
前記支持部に連続して前記凹陥部とは反対側に突出すると共に、前記レンズの外周面に加圧接触する少なくとも3つの保持部と、
前記保持部の先端に形成されているフランジと、を有し、
前記蓋体は、前記フランジに係合する係止爪を有する包装体。
【請求項6】
前記容器の前記保持部は、可撓性を有する部材から形成され、
前記蓋体は、前記フランジの端部に当接して前記保持部が外側に撓み変形することを規制する又は前記保持部を内側に撓み変形させる請求項5に記載の包装体。
【請求項7】
レンズを挿脱するための開口部を有する容器と、
前記容器の開口部を塞ぐ蓋体と、
前記容器に収容された前記レンズと、を備え、
前記容器は、
前記レンズの径よりも小さい径の開口を有する凹陥部と、
前記凹陥部の周縁に設けられ、前記レンズの周縁部を支持する支持部と、
前記支持部に連続して前記凹陥部とは反対側に突出すると共に、前記レンズの外周面に加圧接触する少なくとも3つの保持部と、
を有するレンズ包装品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−116415(P2011−116415A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275868(P2009−275868)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【出願人】(509333807)ホヤ レンズ タイランド リミテッド (25)
【氏名又は名称原語表記】HOYA Lens Thailand Ltd
【Fターム(参考)】