説明

容器およびその容器を用いた加熱機器

【課題】容器内の被加熱物の量や水量を様々な角度から確認することが容易になり、使用者の利便性を高めること。
【解決手段】被加熱物3や水を収容し、内側面に被加熱物3や水の容量(体積)を視覚的に計量するための目盛り8を有する容器4であって、目盛り8が、容器4の内側面から浮いたように見える加工を施すことにより、容器4の壁面に形成された目盛り8を様々な角度から確認することが容易にできるので、容器4内の被加熱物3の量や水量を様々な角度から確認することが容易になり、使用者の利便性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加熱物や水の量を示す目盛りが浮いたように見える加工を容器の内側面に施すことで、使用者の利便性を高めた容器およびその容器を用いた加熱機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の容器は、鍋(容器)の内面に凹凸上の刻印からなる水位表示手段と、鍋主体の内面色と異なる色調の水位表示部を併用した水位表示目盛部を構成することで、水位表示手段の配設位置や輪郭を明確に識別できる炊飯器などがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−174614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、水位表示手段の配設位置や輪郭を明確に識別できるものの、鍋(容器)に投入された被加熱物や水量を計量する際には、鍋(容器)の水位表示手段が被加熱物や水で覆われて見えなくなった位置(線)を使用者が目視で確認しなくてはならず、特に水位表示手段の目盛りの太さや幅が短い場合には確認することが難しく、鍋壁面に形成された水位表示手段と対面する位置からでなければ正確に水位が確認できないという課題を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、鍋壁面に形成された水位表示手段の目盛りを様々な角度から確認することが容易にでき、使用者の利便性を高めた容器およびその容器を用いた加熱機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の容器およびその容器を用いた加熱機器は、被加熱物や水を収容し、内側面に前記被加熱物や前記水の容量(体積)を視覚的に計量するための目盛りを有する容器であって、前記目盛りが、前記容器の前記内側面から浮いたように見える加工を施されたものである。
【0007】
これによって、容器内の被加熱物の量や水量を様々な角度から確認することが容易になり、使用者の利便性を高めることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の容器およびその容器を用いた加熱機器は、鍋壁面に形成された水位表示手段の目盛りを様々な角度から確認することが容易にでき、使用者の利便性を高め、所望の量を簡易に計量できることで、バラつきのない食味の被調理物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1における加熱機器の概略横断面図
【図2】本発明の実施の形態1における容器の主要構成要素の部分拡大断面図
【図3】本発明の実施の形態1における容器に被加熱物や水が収容されていない場合の容器の目盛りの状態を表す斜視図
【図4】本発明の実施の形態1における容器に水を収容した場合の容器の目盛りの状態を表す斜視図
【図5】本発明の実施の形態1における容器に被加熱物として米を収容した場合の容器の目盛りの状態を表す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の発明は、被加熱物や水を収容し、内側面に前記被加熱物や前記水の容量(体積)を視覚的に計量するための目盛りを有する容器であって、前記目盛りが、前記容器の前記内側面から浮いたように見える加工を施されたことにより、鍋壁面に形成された水位表示手段の目盛りを様々な角度から確認することが容易にできるので、容器内の被加熱物の量や水量を様々な角度から確認することが容易になり、使用者の利便性を高めることができる。
【0011】
第2の発明は、特に、第1の発明の前記容器は、前記目盛りの形成後、前記目盛りの上に微小のレンズが一面に並べられたように構成された層を配設したことにより、前記目盛りが、前記容器の前記内側面から浮いたように見えて、鍋壁面に形成された水位表示手段の目盛りを様々な角度から確認することが容易にできるので、容器内の被加熱物の量や水量を様々な角度から確認することが容易になり、使用者の利便性を高めることができる。
【0012】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の前記容器は、前記容器の内側面に薄膜状の保護層を設けることにより、内側面の目盛りが磨耗や剥離などにより消去することを防ぐことができるので、長期間において視認性を保つことができる。
【0013】
第4の発明は、特に、第3の発明の前記薄膜状の保護層は、透明な材質とすることにより、容器の内側面の目盛りが見えにくくなることを防ぎ視認性を確保することができるので、使用者の利便性を高めることができる。
【0014】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか1つの発明の前記目盛りは、前記容器の内側面の一箇所以上に連続または不連続に設けられたことにより、容器の設置位置に関わらず、容器内の被加熱物の量や水量の確認が容易になり、使用者の利便性を高めることができる。
【0015】
第6の発明は、特に、第1〜4のいずれか1つの発明の前記目盛りは、前記容器の内側面の全周に連続または不連続に設けられたことにより、容器の設置位置に関わらず、容器内の被加熱物の量や水量の確認が容易になり、使用者の利便性を高めることができる。
【0016】
第7の発明は、特に、第1〜6のいずれか1つの前記容器を用いた加熱機器であって、外郭を構成する外枠と、前記外枠の上面開口部を開閉自在に覆う蓋を有し、前記外枠には前記容器と、前記容器を加熱する加熱手段と、前記容器の温度を測定する温度検知手段とを備えた加熱機器とすることにより、鍋壁面に形成された水位表示手段の目盛りを様々な角度から確認することが容易にできるので、容器内の被加熱物の量や水量を様々な角度から確認することが容易になり、使用者の利便性を高めることができる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における加熱機器の概略横断面図を示すものである。
【0019】
図1において、加熱機器は、外郭を構成する外枠1と、外枠1の上面開口部を開閉自在に覆う蓋2とで構成されている。
【0020】
外枠1には米である被加熱物3を収容する容器4と、容器4を加熱する加熱手段5と、容器4の底面温度を測定する温度検知手段6とを備えている。
【0021】
加熱手段5は、誘導加熱コイルやシーズヒータなどから構成される。温度検知手段6は、サーミスタや各種金属抵抗体、熱電対あるいは赤外線センサや光センサなどから構成され、容器4の底面と対向配設されている。
【0022】
図2は、本発明の第1の実施の形態における容器の主要構成要素の部分拡大断面図を、図3〜5は、それぞれ、本発明の第1の実施の形態における容器の目盛りの状態を表す斜視図であって、図3は、容器4に被加熱物3や水が収容されていない場合、図4は、容器4に水を収容した場合、図5は、容器4に被加熱物3として米を収容した場合を示すものである。
【0023】
図1〜図5において、容器4の主な構成要素である素材7は、金属やセラミックを成形したものであり、内側面には線状の目盛り8が形成されている。なお、素材7の成形は、特に方法を限定しないものとする。
【0024】
目盛り8は、刻印、印刷などの方法により容器4の内側面に一箇所以上あるいは全周に、連続または不連続に加工される。加工部分は内側面の未加工部分に対して凹凸の差が生じないように、内側面全周の表面を滑らかに整えておくことが望ましい。目盛り8の色調は、容器4の内側面と同じ色調でも、異なる色調でもかまわないものとする。
【0025】
目盛り8を容器4の内側面に一箇所以上あるいは全周に連続または不連続に形成することで、容器4内の被加熱物の量や水量の確認が容易になり、使用者の利便性を高めることができる。
【0026】
本実施の形態では、目盛り8は容器4内部において互いに対向するように不連続に2箇所に形成した。本実施の形態では、目盛り8は線状としたが、線以外の表示方法を用いてもかまわない。また、目盛り8の計量用の数字表記は、それぞれ形成する数や表示方法を限定するものではない。
【0027】
目盛り8の形成後、目盛り8の上には微小のレンズが一面に並べられたように構成された層9が配設される。層9の主要構造がレンズ状の形状を有することにより、目盛り8に照射された光が層9のレンズで反射される際に「視差」が生じ、層9と素材7の間に形成された目盛り8が容器4の内側面から離れ、容器4の空間部分に目盛り8が浮き上がったように見える効果を得ることができる。このことにより、使用者は様々な角度から目盛り8を確認することができるようになり、使用者の利便性を高めることができる。
【0028】
層9の上層には、目盛り8や層9の剥離、磨耗、汚れの付着を防止するために、透明な材質(例えば、フッ素樹脂など)からなる薄膜状の保護層10が配設される。保護層10は、透明な薄膜より構成されているため、目盛り8の浮き上がったように見える効果は維持できるものである。なお、層9、保護層10の接合は、特に方法を限定しないものとする。
【0029】
次に、容器4に被加熱物3や水を収容する場合の目盛り8の状態について例を用いて説明する。
【0030】
図3は、容器4に被加熱物3や水が収容されていない場合の目盛り8を示している。目盛り8は容器4の内側面から浮いたように見える状態を示している。一方、図4は容器4に水を収容した場合、図5は容器4に被加熱物3として米を収容した場合の目盛り8を示している。薄い実線は容器4の内壁面に形成された目盛り8を示し、濃い実線は容器4の空間部分に浮いた状態の目盛り8を示している。
【0031】
図4に示したように、容器4に水を収容した場合、水は空気と屈折率が異なるため、層9に照射された光の反射角度が変化し、目盛り8のうち浸漬している部分は浮き上がる効果が消滅し、浸漬していない部分のみが浮き上がって見える。本実施の形態では、「3」の位置まで水が収容されていることを示している。
【0032】
一方、図5に示したように、容器4に被加熱物3を収容した場合、目盛り8は被加熱物3に覆われた部分は浮き上がる効果が消滅し、被加熱物3に覆われていない表示部分のみが浮き上がって見える。本実施の形態では、「2.5」の位置まで被加熱物3が収容されていることを示している。
【0033】
このように、容器4の内側面だけでなく、容器4の空間部分にも目盛り8が浮き上がって見える効果を利用したり、被加熱物3や水の収容によって浮き上がって見える効果が消滅することを利用することで、使用者は様々な角度から被加熱物3や水の量を容易に計量でき、また確認時の精度を向上できるため、利便性を高めることができるものである。
【0034】
本実施の形態では水と米を被加熱物の例として用いたが、被加熱物は米に限るものではない。また、目盛り8は容器4に収容される被加熱物の量や水量、あるいは炊飯器など調理器の場合は、被加熱物に対する最適水量を目盛りにするなど、目盛り8の表示対象は特に限定しないものとする。
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上のように、本発明にかかる容器およびその容器を用いた加熱機器は、被加熱物や水の量を示す目盛りが容器の内側面から浮いたように見える加工を施すことにより、使用者の利便性を高めることができるので、計量容器、炊飯器、湯沸しポット、鍋や鍋と一体化した加熱調理器等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0036】
1 外枠
2 蓋
3 被加熱物
4 容器
5 加熱手段
6 温度検知手段
7 素材
8 目盛り
9 層
10 保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物や水を収容し、内側面に前記被加熱物や前記水の容量(体積)を視覚的に計量するための目盛りを有する容器であって、前記目盛りが、前記容器の前記内側面から浮いたように見える加工を施されたことを特徴とする容器。
【請求項2】
前記容器は、前記目盛りの形成後、前記目盛りの上に微小のレンズが一面に並べられたように構成された層を配設したことを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記容器は、前記容器の内側面に薄膜状の保護層を設けることを特徴とする請求項1または2に記載の容器。
【請求項4】
前記薄膜状の保護層は、透明な材質とすることを特徴とする請求項3に記載の容器。
【請求項5】
前記目盛りは、前記容器の内側面の一箇所以上に連続または不連続に設けられたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の容器。
【請求項6】
前記目盛りは、前記容器の内側面の全周に連続または不連続に設けられたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の容器。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の前記容器を用いた加熱機器であって、外郭を構成する外枠と、前記外枠の上面開口部を開閉自在に覆う蓋を有し、前記外枠には前記容器と、前記容器を加熱する加熱手段と、前記容器の温度を測定する温度検知手段とを備えた加熱機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−245088(P2011−245088A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122557(P2010−122557)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】