説明

容器の耐圧性試験装置、及びその試験装置を用いた容器の耐圧性試験方法

【課題】
【解決手段】本発明は、高圧縮状態で気体を貯留する容器の使用前に、耐圧性を試験する装置と、その装置を用いて容器の耐圧性を試験する方法とに関する。本発明の装置は、耐圧性試験の対象となる容器と、前記容器の内部に設けられ、内部に液体が満たされた弾性チューブと、前記弾性チューブ内に圧力を加えることで、前記弾性チューブを膨脹させる加圧手段と、前記容器内部の圧力を測定する圧力測定器とを含み、前記弾性チューブの膨脹により前記容器内部に圧力を加えるために、気体が前記容器内部に充填されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧縮状態で気体を貯留する容器の使用前に、容器の耐圧性を試験する装置と、その装置を用いて容器の耐圧性を試験する方法とに関する。更に詳しくは、水素貯留用の容器に対して、少量の低圧気体(特に、気体水素)を用いて、耐圧性を試験する装置、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
気体は、比較的多くの体積を占めるため、移送や運搬を行う場合、高圧に圧縮されて容器に貯留される。高圧の気体が繰り返し容器に充填または容器から排出される間、その容器には繰り返し負荷がかかるため破壊してしまう恐れがある。従って、そのような容器には、繰り返し負荷がかけられる状態においても破壊が発生しないような、所定の耐久性と信頼性が要求される。
【0003】
また、気体、特に、気体水素は、金属と反応して水素脆化(hydrogen embrittlement)(水素脆化とは、水素分子が金属分子の間を通過する際に、金属分子の間の距離を増加させて、金属分子の強度を低下させるプロセスである)を引き起こすため、水素貯留用容器(例えば、水素燃焼電池、水素配管)は、このような水素についての水素脆化に耐えなければならない。容器が高圧力で変形するか、容器からの水素漏れが発生した場合、水素脆化により、容器が破損したり爆発する危険さえある。
【0004】
従って、容器の耐圧性試験は、非常に重要である。液体貯留用容器の耐圧性試験は、先ず容器内に液体を満たし、加圧手段により容器の内部に注入液体を注入して、所定の圧力で容器が変形を起こすか否かを確認する。図1は、容器50に液体20を満たし、加圧手段200により注入液体210を注入する従来の液体貯留用容器の耐圧性試験装置の断面図を示している。また、図2は、図1の従来装置において、加圧手段20により注入液体210を容器50に注入した後に、容器50に圧力が加えられた状態を示している。
【0005】
しかし、容器50に液体(例えば水)20を満たして耐圧性試験を行う場合、どの程度の圧力で容器50が変形を起こすのかを分析、測定することは可能である。しかし、気体(特に、水素)に対して、容器50の脆性がどの程度発生するかを確認することはできない。従って、実使用における脆化により容器が破損する可能性があるか否かを見つけることはできない。
【0006】
また、図3は、実使用環境と同じ環境のように、容器50内に気体40を満たして、加圧手段200により容器50内に注入液体(または注入気体)210を注入して、別の従来の方法により容器の耐圧性試験を行う装置の断面図を示している。図3に示されている試験装置30の場合、試験装置30は、耐圧性試験において爆発性を有する気体(特に水素)40に対して総量の規制を受けるため、気体を用いて試験することが難しい。また、容器50に欠陥がある場合、耐圧性の試験中に爆発する可能性がある。従って、耐圧性試験に用いられる気体40の量を規制範囲内に制限しながら、気体40を容器50内部に接触させ、耐圧性試験の間所望する圧力を容器50に加えながら試験可能な容器の耐圧性試験装置の開発に対する明確な要望がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明は、従来技術において発生する上述した問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、容器の耐圧性試験に使用される高い爆発性を有する気体の使用を少量としながらも、容器の実使用状態と同じ環境下において、気体貯留用容器の耐圧性を試験するための装置および方法を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、大型の容器の内部全体に気体水素が満たされた状態において耐圧性試験を行う場合、爆発の危険性があるが、本発明によれば、容器内部に弾性チューブを設け、弾性チューブが設けられていない残りの空間に、少量の水素が満たされるため、容器の爆発の危険性を防止する気体貯留用容器の耐圧性を試験するための装置および方法を提供することである。
【0009】
また、本発明の他の目的は、少量の気体水素が使用される場合でも、実使用条件と同様の条件により容器に圧力を加えることができ、気体水素によりどの程度の水素脆化が容器に発生するかを試験することが可能な気体貯留用容器の耐圧性を試験するための装置および方法を提供することである。
【0010】
本発明の上記およびその他の目的、特徴は、添付の図面を参照した好適な実施形態の以下の説明により明確になる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、耐圧性試験の対象となる容器と、前記容器の内部に設けられ、内部に液体が満たされた弾性チューブと、前記弾性チューブ内に圧力を加えることで、前記弾性チューブを膨脹させる加圧手段と、前記容器内部の圧力を測定する圧力測定器とを含み、前記弾性チューブの膨脹により前記容器内部に所定の圧力を加えるために、気体が前記容器内部と前記弾性チューブの外部との間に充填されている容器の耐圧性試験装置。
【0012】
本発明によれば、好ましくは、前記気体は水素である。
【0013】
本発明によれば、好ましくは、前記容器は水素貯留用容器である。
【0014】
本発明によれば、好ましくは、前記加圧手段は前記弾性チューブ内部に注入液体を注入することで、前記弾性チューブを膨脹させる。
【0015】
本発明によれば、好ましくは、前記弾性チューブはゴムチューブまたは高分子弾性体等である。
【0016】
本発明によれば、好ましくは、前記加圧手段は、前記弾性チューブ内に注入される前記注入液体が貯留されたタンクと、前記タンク内に貯留された前記注入液体を圧縮し、前記弾性チューブ内に前記注入液体を注入する圧縮機と、前記圧縮機と前記弾性チューブとを連結する注入管とを含む。
【0017】
本発明によれば、好ましくは、前記注入液体は不可燃性であり、前記タンク、前記圧縮機、前記注入管、及び前記弾性チューブと反応しない。
【0018】
本発明によれば、好ましくは、前記圧縮機の圧力の範囲は、1Mpa〜250Mpаである。
【0019】
本発明によれば、好ましくは、前記加圧手段は、前記圧縮機を制御して、前記容器内の圧力を調節する制御部を更に含む。
【0020】
本発明によれば、好ましくは、測定手段は、前記容器の外に連結され、前記容器の状態を測定及び観察する。
【0021】
本発明によれば、好ましくは、検出器は、前記測定手段と結合され、前記気体の圧力による前記容器の変形率及び気体漏れ率を演算及び分析する検出器を、更に含む。
【0022】
本発明によれば、好ましくは、遮断部は、前記注入液体を前記弾性チューブ内に注入する動作を遮断し、前記弾性チューブ内に注入された前記注入液体を排出する排出口を供えている。
【0023】
本発明によれば、好ましくは、前記検出器の演算により獲得された前記変形率が、予め設定された臨界変形率以上の場合、又は、前記気体漏れ率が予め設定された気体漏れ標準値以上の場合、前記遮断部は前記制御部によって前記注入液体を前記弾性チューブ内に注入する動作を停止するよう動作される。
【0024】
上記目的を達成するために、本発明の別の態様は、耐圧性試験の対象となる容器に気体を投入し、液体が貯留された弾性チューブを前記容器内に設けるステップと、前記弾性チューブと加圧手段とを連結し、前記加圧手段により前記弾性チューブ内に注入液体を注入して、前記弾性チューブを膨脹させるステップと、前記容器内に存在する前記気体を圧縮して、前記容器内部の圧力を増加させるステップと、圧力測定器により、前記容器内部の圧力を測定するステップとを含む容器の耐圧性試験方法が提供される。
【0025】
本発明によれば、好ましくは、前記気体は水素であり、前記容器は水素貯留用容器である。
【0026】
本発明によれば、好ましくは、前記弾性チューブを膨脹させるステップでは、タンク内に貯留された注入液体を圧縮機で圧縮して、注入管を介して前記弾性チューブ内に注入する。
【0027】
本発明によれば、好ましくは、制御部により前記圧縮機を制御して、前記容器内の圧力を調節する。
【0028】
前記容器内の圧力を測定するステップは、前記容器の外に連結された測定手段を介して、前記容器を測定及び観察するステップを更に含む。
【0029】
本発明によれば、好ましくは、前記容器内の圧力を測定するステップは、前記測定手段に連結された検出器で、前記気体の圧力による前記容器の変形率、及び前記気体による気体漏れ率を演算及び分析するステップを更に含む。
【0030】
本発明によれば、好ましくは、前記検出器で測定された前記変形率が予め設定された臨界変形率以上となった場合、又は、前記気体漏れ率が予め設定された気体漏れ標準値以上となった場合、前記制御部により動作された遮断装置により、前記注入液体の前記弾性チューブへの注入が停止する。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、爆発危険性の高い低圧の気体を少量使用して、容器の実使用状態と同じ環境下において、容器の耐圧性を試験することができる。
【0032】
従って、大型の容器内部の全体に水素気体を満たして、耐圧性試験を行う場合、爆発の危険性があるが、本発明によれば、容器内部に弾性チューブを設け、弾性チューブが設けられない残りの空間に少量の水素が満たされるため、容器の爆発の危険を減少できる。
【0033】
また、低圧の気体を少量だけ使用するにもかかわらず、実使用条件と同様に、容器に所望する圧力を加えることができ、同時に、容器からの気体漏れが発生するかを確認することができる。本発明によれば、加圧手段は容器に直接連結されておらず、弾性チューブは容器内部に設けられている、そのため、弾性チューブ内部に注入液体を注入すると容器内部の圧力が増加するため、安定した状態で耐圧性を試験することができる。
【0034】
そして、本発明は、リアルタイムに容器内部の圧力を測定し、容器の圧力を調節することができるので、容器の種類によらず、耐圧性試験ができる。また、弾性チューブは、低コストで容器に設けることができるので、経済的な観点から広く使用され得る。弾性チューブの設置は、容器の形態、材質、及び種類によらないため、どのような種類の容器に対しても耐圧性試験が可能であるという有利な効果が得られる。
【0035】
本発明を特定の例示的な実施形態を参照して説明を行ったが、本発明はこのような実施形態により限定されるものではなく、添付された請求項のみにより限定されるものである。当業者であれば本発明の範囲や趣旨から離れることなく実施形態を変更したり修正したりすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、従来の液体貯留用の容器の耐圧性試験装置の断面図である。
【図2】図2は、図1の従来の液体貯留用の容器の耐圧性試験装置において、容器内部を加圧した状態の断面図である。
【図3】図3は、従来の気体貯留用の容器の耐圧性試験装置の断面図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施形態による容器の耐圧性試験装置の断面図である。
【図5】図5は、図4の容器の耐圧性試験装置で弾性チューブ内に注入液体が注入された状態の断面図である。
【図6】図6は、本発明の第2の実施形態による容器の耐圧性試験装置の断面図である。
【図7】図7は、本発明の好適な実施形態による容器の耐圧性試験方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、添付の図面を参照して、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が、本発明を容易に実施できる好適な実施形態を詳しく説明する。但し、本発明の好適な実施形態に関する動作原理を詳細に説明することにおいて、関連する公知機能、又は、構成についての具体的な説明が、本発明の要旨を不要にすると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。
【0038】
また、図面全体において、類似の機能及び作用をする部分については、同じ符号をつける。明細書全体において、ある部分が他の部分と'連結'されているとは、'直接的に連結'されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで、'間接的に連結'されている場合も含む。また、ある構成要素を'含む'とは、特別に、反対する記載がない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素を更に含むことができることを意味する。
【0039】
<容器の耐圧性試験装置の構成>
以下では、本発明の好適な実施形態による容器の耐圧性試験装置100の構成について説明を行う。図4は、本発明の第1の実施形態による容器の耐圧性試験装置100の断面図を示している。図示されるように、本発明の第1の実施形態による容器の耐圧性試験装置100は、容器50、液体20が満たされた弾性チューブ300と、弾性チューブ300内に注入液体210を注入する加圧手段200と、容器50内の圧力を測定する圧力測定器400とを含む。
【0040】
耐圧性測定の対象となる容器50には形態上の制限はなく、実使用状態の形状に製作された容器50が使用される。容器50は、気体貯留用の容器である。従って、容器50内には、実使用様態において、高圧縮状態で貯留される気体40が満たされる。本発明の好適な実施形態では、容器50は、水素貯留用容器であり、容器50に満たされる気体40は水素である。
【0041】
また、図4に示すように、弾性チューブ300は、気体水素40が満たされた容器50内に配置されている。従って、気体水素40は、弾性チューブ300の外部と容器50の内部との空間の間に満たされている。このような空間に満たされた気体水素の量は、耐圧性試験で制限されている最大気体水素量に該当する。水素は、圧縮性は良いが、試験中に爆発危険があるので、試験中の水素の量は制限する必要がある。容器50内部に弾性チューブ300が設けられているので、比較的少ない量の低圧水素で実使用様態と同一の環境下で耐圧性試験を行うことができる。
【0042】
また、弾性チューブ300内には、液体20が満たされている。本発明の第1の実施形態では、液体20は水であるが、液体20が弾性チューブ300内に注入される注入液体210と反応しない場合、液体の種類に制限はない。しかし、圧縮性の低い液体20を使用するのが望ましい。弾性チューブ300は、弾性力を有した材質であり、注入液体210の注入による圧力に対して、大きい耐久性を有した材質を使用しなければならない。例えば、弾性チューブ300は、ゴムチューブ、高分子弾性物質(PDMS)、ポリウレタン等により構成される。耐圧性が大きく、弾性力を有した材質であれば、材質の種類に制限はない。
【0043】
さらに、弾性チューブ300の内部に圧力を加えて、弾性チューブ300を膨脹させる加圧手段200が設けられている。図4に示されるように、加圧手段200は、容器50の外に設けられ、弾性チューブ300内部に注入液体を注入する。図5は、本発明の第1の実施形態による容器の耐圧性試験装置100において、加圧手段200により弾性チューブ300が膨脹した状態を示している。図5に示されるように、加圧手段200は、弾性チューブ300内部に注入液体210を注入する。弾性チューブ300と加圧手段200との間には、液体20の流出、又は、容器50内の気体40が流入することを防止するために、ガスケット、0リング等(図示せず)が設けられる。また、注入管220と容器50とが結合した箇所にも、ガスケット又は、Oリング等(図示せず)が設けられる。
【0044】
加圧手段200は、ポンプ230で構成され、注入液体210は、弾性チューブ300と、弾性チューブ300内に満たされた液体20と反応しない物質であれば、注入液体の種類に制限はない。注入液体210の注入により弾性チューブ300は膨脹する。
【0045】
弾性チューブ300が膨脹することにより、容器50内に満たされた気体水素は圧縮される。従って、容器50内の圧力Pは、増加する。図5に示されるように、気体水素が圧縮されることにより、容器50は圧力Pを受けるようになり、この圧力Pは、実使用様態と同様に、容器50の内面が気体水素と接触した状態で作用する。従って、容器50がどの程度の圧力Pで変形を起こすかを確認することができる。また同時に、容器50の水素脆化がどの程度発生するのか、または容器50からの水素漏れがどの程度発生するのかを測定することができる。
【0046】
また、圧力測定器400は、容器50内部の圧力Pを測定する。従って、加圧手段200により弾性チューブ300が膨脹することによって、容器50内部の圧力Pがどの程度であるかをリアルタイムに確認することができる。容器50の耐圧性試験は、実使用様態で水素貯留用容器50が受ける圧力よりも、1.0〜1.8倍の圧力で実行することが望ましい。
【0047】
図6は、本発明の第2の実施形態による容器の耐圧性試験装置の断面図を示している。図6に示されるように、本発明の第2の実施形態による装置100は、本発明の第1の実施形態と同様に、耐圧性試験の対象となる容器50と、容器50内に満たされた気体40と、液体20が貯留された弾性チューブ300と、加圧手段200とを含んでいる。さらに、本発明の第2の実施形態による装置100は、測定手段600と、検出器700と、制御部500とを含む。
【0048】
本発明の第2の実施形態では、加圧手段200は、更に、注入管220と、ポンプ230と、タンク240、ポンプ230の圧力を調節する制御部500とを含む。ポンプ230は、タンク240に貯留された液体を圧縮して、注入管220を介して、弾性チューブ300内に注入液体210を注入する。ポンプ230の圧力の範囲は、1Mpа〜250Mpа程度である。制御部500は、ポンプ230を調節して、容器50内の圧力が、実使用様態での容器50が受ける圧力よりも、1.0〜1.8倍程度になるように調節する。
【0049】
また、本発明の第2の実施形態では、容器50の外に設けられた測定手段600により、圧力を受けている容器50を測定する。従って、測定手段600により、容器50の内部圧力による容器50の変形の程度と水素漏れの程度が測定される。この測定手段600は、歪みケージ(strain gauge)、気体検出器等により構成される。この測定手段600は、検出器700と連結される。検出器700は、測定手段600により観察された現在の内部圧力に対する、容器50の変形率と水素漏れ率を演算する。検出器700は、変形率と水素漏れ率を演算可能なプログラムを備えたコンピュータ等により実現される。
【0050】
さらに、本発明の第2の実施形態の試験装置100は、ポンプ230と連結された遮断部250を備えている。遮断部250は、制御部500により制御される。そして、上述した検出器700は、制御部500と接続されている。検出器700には、容器50の種類に基づいて予め設定された臨界変形率と、水素漏れ標準値とを格納している。従って、検出器700により、現在の容器50の内部圧力による変形率が、予め設定された臨界変形率以上であるのか、または現在の水素漏れ率が、予め設定された水素漏れ標準値以上であるのかが判定される。そして、このような場合、遮断部250が制御部500によって作動されて注入液体210の注入を中断し、弾性チューブ300内に注入された注入液体210は、排出口251を通じて排出される。
【0051】
<容器の耐圧性試験方法>
【0052】
以下では、本発明の好適な実施形態による容器の耐圧性試験方法について説明する。まず、図7は、本発明の好適な実施形態による容器の耐圧性試験方法のフローチャートである。液体20が貯留された弾性チューブ300が、耐圧性試験の対象となる容器50内設置され、容器50と弾性チューブ300との間に構成された空間に低圧の気体水素が充填される(ステップS10)。
【0053】
次に、加圧手段200が弾性チューブ300と連結して、弾性チューブ300内に注入液体210を注入する(ステップS20)。加圧手段200は、タンク240に貯留された気体40を、ポンプ230により圧力を加えて、注入管220を介して弾性チューブ300内に注入する。注入液体210が注入された弾性チューブ300は膨脹する。そして、弾性チューブ300が膨脹することにより、容器50内の水素が圧縮され、容器50内の圧力が増加する(ステップS30)。
【0054】
圧力測定器400は、容器50内部の圧力をリアルタイムに測定する(ステップS40)。従って、ユーザは、弾性チューブ300の膨脹による現在の容器50内部の圧力を確認することができる。そして、現在の容器50内部の圧力が、容器50の耐圧性試験に要求される圧力であるかが確認される(ステップS50)。そして、圧力測定器400で測定された現在の容器50内部の圧力が、試験に要求される圧力と異なる場合、制御部500により、ポンプ230の圧力が制御される(ステップS60)。
【0055】
制御部500によるポンプ230の圧力制御により、弾性チューブ300の膨脹の程度が調整される。従って、容器内部の圧力が所望の圧力に調整される。そして、試験に要求される圧力が設定されると、容器50の外部に設けられた測定手段600により容器50が観察される(ステップS70)。つまり、測定手段600により、容器50内部の圧力によって発生する変形率と、気体漏れ率が観察される。そして、容器50の変形率と水素漏れ率を演算するために、検出器700が測定手段600に連結されている。このような測定手段600による観察と、検出器700による変形率及び水素漏れ率の演算とは、容器50内に圧力が加えられている間、継続して行われる。
【0056】
検出器700には、予め設定された変形率と、予め設定された水素漏れ率とが格納されている。従って、検出器700により演算された容器50の変形率が、予め設定された変形率以上であるか、または容器50から水素漏れが発生しているかが判定される。そして、そのような場合、制御部500により遮断部250が作動される。その結果、弾性チューブ300内への注入液体210の注入が停止し、弾性チューブ300内に注入された注入液体210は、排出口251を通じて排出される。
【0057】
本発明を特定の例示的な実施形態を参照して説明を行ったが、本発明はこのような実施形態により限定されるものではなく、添付された請求項のみにより限定されるものである。当業者であれば本発明の範囲や趣旨から離れることなく実施形態を変更したり修正したりすることができるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐圧性試験の対象となる容器と、
前記容器の内部に設けられ、内部に液体が満たされた弾性チューブと、
前記弾性チューブ内に圧力を加えることで、前記弾性チューブを膨脹させる加圧手段と、
前記容器内部の圧力を測定する圧力測定器とを含み、
前記弾性チューブの膨脹により前記容器内部に所定の圧力を加えるために、気体が前記容器内部と前記弾性チューブの外部との間に充填されている容器の耐圧性試験装置。
【請求項2】
前記気体は水素である請求項1に記載の容器の耐圧性試験装置。
【請求項3】
前記容器は水素貯留用容器である請求項2に記載の容器の耐圧性試験装置。
【請求項4】
前記加圧手段は、前記弾性チューブ内部に注入液体を注入することで、前記弾性チューブを膨脹させる請求項1に記載の容器の耐圧性試験装置。
【請求項5】
前記弾性チューブは、ゴムチューブまたは高分子弾性体等である請求項1に記載の容器の耐圧性試験装置。
【請求項6】
前記加圧手段は、前記弾性チューブ内に注入される前記注入液体が貯留されたタンクと、前記タンク内に貯留された前記注入液体を圧縮し、前記弾性チューブ内に前記注入液体を注入する圧縮機と、前記圧縮機と前記弾性チューブとを連結する注入管とを含む請求項4に記載の容器の耐圧性試験装置。
【請求項7】
前記注入液体は、不可燃性であり、前記タンク、前記ポンプ、前記注入管、及び前記弾性チューブと反応しない請求項6に記載の容器の耐圧性試験装置。
【請求項8】
前記ポンプの圧力の範囲は、1MPa〜250Mpаである請求項7に記載の容器の耐圧性試験装置。
【請求項9】
前記加圧手段は、前記ポンプを制御して前記容器内の圧力を調節する制御部を更に含む請求項6に記載の容器の耐圧性試験装置。
【請求項10】
測定手段は、前記容器の外に連結され前記容器の状態を測定及び観察する請求項9に記載の容器の耐圧性試験装置。
【請求項11】
検出器は、前記測定手段と結合され、前記気体の圧力による前記容器の変形率及び気体漏れ率を演算及び分析する請求項10に記載の容器の耐圧性試験装置。
【請求項12】
遮断部は、前記注入液体を前記弾性チューブ内に注入する動作を遮断し、前記弾性チューブ内に注入された前記注入液体を排出する排出口を備えている請求項11に記載の容器の耐圧性試験装置。
【請求項13】
前記検出器の演算により獲得された前記変形率が、予め設定された臨界変形率以上の場合、又は、前記気体漏れ率が予め設定された気体漏れ標準値以上の場合、前記遮断部は前記制御部によって前記注入液体を前記弾性チューブ内に注入する動作を停止するよう動作される請求項12に記載の容器の耐圧性試験装置。
【請求項14】
耐圧性試験の対象となる容器に気体を投入し、液体が貯留された弾性チューブを前記容器内に設けるステップと、
前記弾性チューブと加圧手段とを連結し、前記加圧手段により前記弾性チューブ内に注入液体を注入して、前記弾性チューブを膨脹させるステップと、
前記容器内に存在する前記気体を圧縮して、前記容器内部の圧力を増加させるステップと、
圧力測定器により、前記容器内部の圧力を測定するステップとを含む容器の耐圧性試験方法。
【請求項15】
前記気体は水素であり、前記容器は、水素貯留用容器である請求項14に記載の容器の耐圧性試験方法。
【請求項16】
前記弾性チューブを膨脹させるステップでは、
タンク内に貯留された注入液体をポンプで圧縮して、注入管を介して前記弾性チューブ内に注入する請求項14に記載の容器の耐圧性試験方法。
【請求項17】
制御部により前記ポンプを制御して、前記容器内の圧力を調節する請求項16に記載の容器の耐圧性試験方法。
【請求項18】
前記容器内の圧力を測定するステップは、
前記容器の外に連結された測定手段を介して、前記容器を測定及び観察するステップを更に含む請求項17に記載の容器の耐圧性試験方法。
【請求項19】
前記容器内の圧力を測定するステップは、
前記測定手段に連結された検出器で、前記気体の圧力による前記容器の変形率、及び前記気体による気体漏れ率を演算及び分析するステップを更に含む請求項18に記載の容器の耐圧性試験方法。
【請求項20】
前記検出器で測定された前記変形率が予め設定された臨界変形率以上となった場合、又は、前記気体漏れ率が予め設定された気体漏れ標準値以上となった場合、前記制御部により動作された遮断装置により、前記注入液体の前記弾性チューブへの注入が停止する請求項19に記載の容器の耐圧性試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−509579(P2013−509579A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536655(P2012−536655)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際出願番号】PCT/KR2010/007235
【国際公開番号】WO2011/052926
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(508179419)コリア リサーチ インスティテュート オブ スタンダーズ アンド サイエンス (10)
【氏名又は名称原語表記】KOREA RESEARCH INSTITUTE OF STANDARDS AND SCIENCE
【Fターム(参考)】