説明

容器の評価装置、評価方法、及び2次電池の製造方法

【課題】簡便に容器を評価することができる評価装置、評価方法、並びにそれを用いた2次電池の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様にかかるセル容器27の評価装置は、加圧した気体を供給するコンプレッサ11と、コンプレッサ11から評価対象のセル容器27までの間の気体の流路中に配置されたエアサーボバルブ21と、セル容器27の圧力を調整するために、エアサーボバルブ21を制御する制御手段と、エアサーボバルブ21とセル容器27との間に配置された開閉弁25と、開閉弁25を閉じた状態でのセル容器27の圧力を測定する圧力センサ26と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の評価装置、評価方法、及びそれを用いた2次電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧力容器の耐圧試験装置としては、例えば、所定の加振パターンを繰り返し供給するものが開示されている。(特許文献1)。また、近年、Liイオン電池等の2次電池を用いた自動車が利用されている。このような2次電池においても、セルを収納するセル容器の耐久試験を行って、セル容器の性能を評価している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−123023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された耐圧強度試験装置では、油圧サーボ弁により加振パターンを加えている。このような耐圧強度試験装置を用いてセル容器の耐圧強度試験を行った場合、以下に示すような問題点がある。
【0005】
圧力媒体として用いるオイルが周囲の環境を汚染してしまう。例えば、2次電池の製造、評価はドライルームやクリーンルームなどの周囲環境をコントロールした環境下で行われる。そのため、圧力媒体としてオイルを用いた場合、耐久試験時にセルが劣化して破壊された際や、ワークの取り外しの際に、圧力媒体が周囲に漏れ出してしまう。また、圧力媒体が配管内を循環するようにして評価を行うが、長時間の使用により圧力媒体内に電極の一部が取り込まれると廃液処理も問題となる。
【0006】
さらに、容器の着脱の際に圧力媒体が漏れ出して圧力が低下してしまう。そのため、定期的に圧力媒体を補充することが必要となり、設備のメンテナンス頻度が増加してしまう。このように、オイルを圧力媒体として用いた場合、簡便に評価することができないという問題点がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、容器の耐久試験を簡便に実施することができる評価装置、評価方法、並びにそれを用いた2次電池の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様にかかる評価装置は、2次電池に用いられる容器を評価する評価装置であって、加圧した気体を供給する気体供給手段と、前記気体供給手段から前記容器までの間の前記気体の流路中に配置されたエアサーボバルブと、前記容器の圧力を調整するために、前記エアサーボバルブを制御する制御手段と、前記エアサーボバルブと前記容器との間に配置された開閉弁と、前記開閉弁を閉じた状態での前記容器の圧力を測定する第1の圧力センサと、を備えたものである。この構成では、圧力媒体として気体を用いているため、簡便に評価を行うことができる。
【0009】
上記の評価装置において、前記気体供給手段から前記エアサーボバルブを介して供給される前記気体を複数の前記容器に分配するマニホールドをさらに備え、前記開閉弁と前記第1の圧力センサが、前記複数の前記容器のそれぞれに対して設けられていてもよい。一度に複数の容器を評価することができるため、効率よく評価することができる。
【0010】
上記の評価装置において、前記マニホールドの圧力を測定する第2の圧力センサをさらに備え、前記第2の圧力センサで検出された圧力に基づいて、前記制御手段が前記エアサーボバルブを制御することで、前記容器の加圧と減圧を繰り返し実施するようにしてもよい。これにより、圧力制御を正確に行うことができ、評価の信頼性を向上することができる。
【0011】
上記の評価装置において、前記容器の温度を制御する温度制御手段が設けられていてもよい。これにより、評価中の容器の温度を調整することができるため、評価の信頼性を向上することができる。
【0012】
上記の評価装置において、前記気体供給手段から前記容器に供給される前記気体を乾燥する乾燥手段をさらに備えていてもよい。これにより、配管中の結露を防ぐことができる。
【0013】
上記の評価装置において、前記乾燥手段が冷凍式ドライアとしてもよい。これにより、簡便に配管中の結露を防ぐことができる。
【0014】
本発明の一態様にかかる評価方法は、2次電池に用いられる容器を評価する評価方法であって、気体供給手段からの加圧された気体をエアサーボバルブに供給するステップと、前記エアサーボバルブを制御することによって、前記気体供給手段から前記容器まで供給される気体の圧力を調整するステップと、前記エアサーボバルブと前記容器との間に設けられた開閉弁を閉状態にするステップと、前記開閉弁を閉じた状態で前記容器の圧力を測定するステップと、前記容器の圧力の測定結果に基づいて、前記容器を評価するステップと、備えるものである。この構成では、圧力媒体として気体を用いているため、簡便に評価を行うことができる。
【0015】
上記の評価方法において、前記気体供給手段と前記エアサーボバルブとの間に設けられたマニホールドによって、前記エアサーボバルブからの前記気体を複数の前記容器に分配し、前記複数の前記容器のそれぞれに対して設けられた前記開閉弁を閉じた状態で、前記複数の容器のそれぞれの圧力を測定するようにしてもよい。一度に複数の容器を評価することができるため、効率よく評価することができる。
【0016】
上記の評価方法において、前記マニホールドの圧力の測定結果に基づいて、前記エアサーボバルブを制御することで、前記容器の加圧と減圧を繰り返し実施してもよい。これにより、圧力制御を正確に行うことができ、評価の信頼性を向上することができる。
【0017】
上記の評価方法において、前記容器の温度を制御した状態で、前記エアサーボバルブが前記容器の圧力を調整してもよい。これにより、評価中の容器の温度を調整することができるため、評価の信頼性を向上することができる。
【0018】
上記の評価方法において、前記気体供給手段から前記エアサーボバルブに供給される気体を乾燥していてもよい。これにより、配管中の結露を防ぐことができる。
【0019】
上記の2次電池の製造方法は、上記の評価方法によって、前記容器の良否判定を行いステップと、前記良品と判定された前記容器を用いて2次電池を作製するステップと、を備えるものである。これにより、生産性を向上することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、簡便に容器を評価することができる評価装置、評価方法、並びにそれを用いた2次電池の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施の形態に係る評価装置の全体構成を示す図である。
【図2】エア直動方式のエアサーボバルブを示す図である。
【図3】加圧器方式のエアサーボバルブを示す図である。
【図4】本実施の形態にかかる評価装置に用いられる圧力波形を模式的に示す図である。
【図5】波形振幅と破壊回数の関係を示すグラフである。
【図6】本実施の形態にかかる評価装置におけるセル容器の接続を示す図である。
【図7】アルミニウムの強度の温度特性を示すグラフである。
【図8】セル圧力の温度依存性を示すグラフである。
【図9】本実施の形態にかかる評価方法を示すフローチャートである。
【図10】耐久試験時の圧力波形の一例を示す図である。
【図11】リーク試験時の圧力波形の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。但し、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0023】
実施の形態1.
まず、本発明の実施の形態1にかかる評価装置について、図1を用いて説明する。図1は評価装置の全体構成を示す図である。評価装置は、分電盤10、コンプレッサ11、ドライア12、エアタンク13、マニホールド14、フィルタ15、レギュレータ16、開閉弁17、制御装置18、エアサーボバルブ21、排気弁22、圧力センサ23、マニホールド24、開閉弁25、圧力センサ26、恒温槽30を備えている。なお、以下の説明では、空気を圧力媒体として用いた例について説明するが、例えば、窒素などの他の気体を圧力媒体として用いてもよい。
【0024】
評価装置は、気体でセル容器27を加圧した時の耐久性を評価する。図1に示すように、評価装置には、ワークである複数のセル容器27が取り付けられている。すなわち、評価対象のセル容器27が評価装置の配管に接続されている。評価装置は、加減圧を繰り返し行った時のセル容器27の耐圧強度を試験する。このようにして、二次電池の密閉容器であるセル容器27に対して、耐久試験を行う。評価装置は、Liイオン電池などの2次電池のセル容器27に対して耐久試験を行い、その試験結果に基づいてセル容器27を評価する。そして、評価装置において、良品と判定されたセル容器27内にリチウムイオン電池のセルが封入される。これにより、2次電池を高い生産性で製造することができる。
【0025】
分電盤10は、コンプレッサ11、制御装置18に電源を供給する。もちろん、分電盤10が、他のバルブやセンサ等に電源を供給してもよい。コンプレッサ11は、分電盤10から供給された電源により、空気を圧縮する。コンプレッサ11で加圧された空気は、ドライア12によって乾燥され、バッファとなるエアタンク13に供給される。圧縮空気は、エアタンク13で脈動を取り、マニホールド14に供給される。マニホールド14には、5系統の配管が接続されている。すなわち、エアタンク13からの空気は、5系統に分岐される。ここで、5系統の配管ラインは同じ構成となっている。
【0026】
マニホールド14で分岐された圧縮空気がフィルタ15を通ることで、空気中の粉塵が除去される。フィルタ15を通過した空気は、レギュレータ16によって一定の圧力になる。レギュレータ16は、気体の異常な圧力上昇を防ぎ、評価装置中の配管の破壊を防止する。レギュレータ16の下流側には開閉弁17が設けられており、気体を遮断できるようになっている。開閉弁17の下流側には、エアサーボバルブ21が設けられている。すなわち、エアサーボバルブ21は、コンプレッサ11からセル容器27までの間の流路中に設けられている。エアサーボバルブ21は、制御装置18からの電気的な制御信号によって、出力圧力を調整する。制御装置18は、所望の圧力波形に応じた制御信号をエアサーボバルブ21に出力する。エアサーボバルブ21は、制御信号に応じて、出力圧力を制御する。エアサーボバルブ21の下流には、排気弁22が設けられている。排気弁22は、非常停止時等に強制排気を行うために設けられている。
【0027】
排気弁22の下流には、マニホールド24が設けられている。エアサーボバルブ21によって圧力が制御された空気は、マニホールド24によって、6系統の配管ラインに分配される。従って、1段目のマニホールド14と2段目のマニホールド24で空気を分配することによって、合計30個のセル容器27を一度に評価することができるようになる。そして、マニホールド24で分岐されたそれぞれの配管ラインには、開閉弁25を介して、セル容器27が接続される。マニホールド24で分岐された6系統の配管ラインは、それぞれ同様の構成を有している。
【0028】
開閉弁25の下流側には、それぞれのセル容器27の圧力を測定する圧力センサ26が取り付けられている。圧力センサ26は、セル容器27と開閉弁25の間に配置されている。圧力センサ26は、それぞれのセル容器27の圧力を測定できるように、セル容器27毎に圧力センサ26が設けられている。従って、圧力センサ26、及び開閉弁25は、セル容器27と同じ数(図1では30個)だけ設けられている。このように、圧力センサ26、及び開閉弁25を複数設けることによって、一度に多数の評価を行うことができ、効率的な試験を行うことができる。これにより、試験時間を短縮することができる。また、圧力センサ26が開閉弁25の下流側に配置されているため、開閉弁25を閉じた状態でのセル容器27の圧力を測定することができる。
【0029】
また、マニホールド24には、圧力センサ23が設けられている。圧力センサ23は、マニホールド24において、それぞれセル容器27に向かう配管に分岐される前の圧力を測定する。制御装置18は、上述した各機器の制御を行う。例えば、制御装置18は、圧力センサ23で検出された圧力に応じて、エアサーボバルブ21の出力圧力を制御する。さらに、開閉弁17、開閉弁25の開閉を制御する。
【0030】
制御装置18は、開閉弁25を開状態として、エアサーボバルブ21を制御する。そのため、制御装置18は、圧力センサ23で検出された圧力値に基づいて、エアサーボバルブ21をフィードバック制御する。これにより、セル容器27が所定の圧力になるよう制御することができる。また、セル容器27と圧力センサ26は、恒温槽30の中に収納されている。恒温槽30はセル容器27の温度を制御する温度制御手段である。具体的には、恒温槽30には、温度センサ、ヒータ、温調計等が設けられており、制御装置18によって設定された温度で一定になるように、恒温槽30が温度制御を行う。これにより、複数のセル容器27が同じ温度で保たれている状態で、耐久試験を行うことができる。さらに、各セル容器27に温度センサを取り付けて、各セル容器27の試験温度を測定してもよい。
【0031】
本実施の形態では、エアサーボバルブ21を用いて、セル容器27の圧力制御を行っている。さらに、エア直動方式によるエア加圧を用いているため、圧力の応答性を向上することができる。ここで、本実施の形態で用いるエア直動方式を、加圧器方式と比較して説明する。図2は、エア直動方式の構成を模式的に示す図である。図3は比較例である加圧器方式の構成を模式的に示す図であり、油圧加振器等に用いられている加圧器方式を耐久試験に用いた例を示している。なお、図2、図3では、図1で示した一部の構成について省略して図示している。また、フィルタ15とエアサーボバルブ21の間の構成は、図1と同様なので説明を省略する。
【0032】
エア直動方式のエアサーボバルブ21では、コンプレッサ11から供給された空気が、エアサーボバルブ21を通って、セル容器27(図2では不図示)に供給される。すなわち、エアサーボバルブ21がセル容器27と連通され、コンプレッサ11からの空気がエアサーボバルブ21を介してセル容器27に供給される。制御装置18は、エアサーボバルブ21に指令値を入力すると、エアサーボバルブ21は、指令値に応じたエア圧力をセル容器27に供給する。このように、エア直動方式では、エアコンプレッサ11とセル容器27とがエアサーボバルブ21を介して連通する構成となっている。指令値としてエアサーボバルブ21が発生させたエア圧力が直接セル容器27に供給される。
【0033】
一方、比較例である加圧器方式では、図3に示すように、エアサーボバルブ21からの空気が、エアシリンダ40に供給される。制御装置18は、エアサーボバルブ21に指令値を入力すると、エアサーボバルブ21は、指令値に応じたエア圧力をエアシリンダ40に供給する。エアシリンダ40は、エアサーボバルブ21からの空気に応じて動作する。そして、エアシリンダ40の動作によって、加圧器41の圧力が変化する。加圧器41はセル容器27(図3では不図示)の圧力を変化させる。
【0034】
このように、エア直動方式を用いると、加圧器等の他のアクチュエータが不要となる。これにより、加圧器方式のような遅延が生じるのを防ぐことができる。よって、制御遅れによるオーバシュートを抑制することができ、試験精度を高めることができる。すなわち、所望の圧力波形を精度よく生成することができ、セル容器27の圧力を応答性良く制御することができる。さらに、加圧器41やエアシリンダ40等が不要となるため、構成部品が少なくシンプルな構成とすることができる。よって、設備としての信頼性が高くなり、かつ瀬対の低コスト化を図ることができる。
【0035】
次に、エアサーボバルブ21を用いた耐久試験の圧力波形の一例について、図4を用いて説明する。図4は圧力波形の一例を示す図であり、セル容器27の破壊判定を行うための圧力波形を示している。図4において、横軸が時間であり、縦軸が圧力である。
【0036】
まず、加圧と減圧を指定回数実施する(期間A)。例えば、エアサーボバルブ21はセル容器27を第1の圧力から第2の圧力まで加圧した後、第2の圧力から第1の圧力まで減圧する。この加減圧を1サイクルとして、エアサーボバルブ21は加減圧を指定回数繰り返し行う。加圧と減圧を行う圧力波形としては、例えば、三角波、方形波、台形波を用いることができる。
指定回数の加圧と減圧を行った後、リーク試験を行う。具体的には、まず、セル容器27を所定の圧力まで加圧する(期間B)。セル容器27が所定の圧力となったら、開閉弁25を閉じる(期間Bと期間Cの境界)。これにより、開閉弁25が各セル容器27を密閉する。すなわち、セル容器27がエアサーボバルブ21と切り離され、圧力のやり取りを行うことができなくなる。そして、開閉弁25を閉じた状態で一定時間放置して、圧力センサ26がセル容器27の圧力変動を測定する(期間C)。すなわち、開閉弁25を閉じた後の、空気のリーク量を測定する。そして、期間Cにおいて、圧力がしきい値以下となったセル容器27を不良品と判定する。
【0037】
例えば、加圧と減圧を繰り返す耐久試験によって、セル容器27が破壊された場合、空気のリーク量が大きくなる。すなわち、破壊されたセル容器27では、破壊箇所から空気が漏れるため、セル容器27の圧力低下が大きくなる。そこで、制御装置18は、一定時間放置後の圧力を予め設定されたしきい値と比較する。圧力がしきい値以下となっていれば、セル容器27が破壊されていると判定し、圧力がしきい値よりも高ければ、セル容器27が破壊されていないと判定する。このように、開閉弁25を閉じることで、破壊前の機密性が保たれているか否かを判定することができる。もちろん、圧力センサ26の計測結果を常時モニタして、しきい値以下となった時点で開閉弁25を閉じてもよい。
【0038】
リークにより圧力がしきい値以下となったセル容器27は、開閉弁25を閉じたままの状態として、試験を終了する。一定時間放置した後の圧力がしきい値より高いセル容器27は、期間Cが終了したら、次の試験ステップに移行する。すなわち、期間Cが終了した時点で、開閉弁25を開けて、再度、加圧と減圧を繰り返す。例えば、異なる圧力波形や同じ圧力波形を用いて、同様の耐久試験を行う。全ての試験を終了した後の、破壊時の振幅と破壊した個数の関係をプロットすると、図5に示すようになる。図5では、試験結果を示すグラフであり、横軸が波形の振幅を示し、縦軸が破壊したセル容器27の数を示している。セル容器27を密閉した状態の圧力に基づいて判定しているため、より正確に破壊したか否かを判定することができる。
【0039】
このように、エアサーボバルブ21が加圧と減圧を繰り返し行っている。そして、セル容器27を密閉した時の圧力変動によって、破壊された否かを判定する。このようにすることで、簡便にセル容器27の耐久性を試験することができる。例えば、従来のようにオイル等を圧力媒体とした場合、破壊の有無を検出するために、セル容器27に液体を溜めたり、可視光によりセル容器27に付着したオイルを検出したりする必要が生じる。しかしながら、本実施の形態のように、空気等の気体を圧力媒体とすることで、簡便に試験することができる。例えば、電池の製造、評価等を行うドライルームやクリーンルームの汚染を防ぐことができる。また、圧力媒体として水を用いた場合、2次電池材料であるリチウムと水は反応しやすいため、発火や発煙に注意しながら作業を行わなければならない。しかしながら、本実施の形態のように空気等の気体を用いることで、簡便かつ安全に試験することができる。
【0040】
また、圧力媒体としてオイルや水などの液体を用いた場合、ワークの着脱の際に生じる圧力媒体の漏れによって、圧力媒体の定期的な補充が必要となる。しかしながら、本実施形態では、コンプレッサ11を用いて圧縮空気を供給しているため、圧力媒体の補充が不要となる。これにより、耐久試験をより簡便に行うことができる。さらに、実際の2次電池の使用環境は空気中となる。すなわち、2次電池セルの劣化は、日間/年間の寒暖差によるセル容器27内部の圧力変動、電池の充放電に伴う圧力変動によって生じる。実施の使用環境中と同様に気体による影響を評価することができる。よって、より正確に耐久試験を行うことができる。
【0041】
また、エア直動方式によるエアサーボを用いているため、所望の圧力波形を高精度に作り出すことができる。例えば、高圧発生源のコンプレッサ11と減圧発生源の真空ポンプのそれぞれに配管を接続して、バルブを切り替えることで圧力制御する場合、所望の波形を得ることが困難になってしまう。具体的には、台形波を発生させた際に終端部分が緩やかになってしまい、求める圧力波形と異なるものとなってしまう。さらに、高圧側と減圧側を切り替える際に、波形に歪みやノイズ成分が発生してしまう。また、経路切り替え部分は、経路が複雑になってしまうトラブルが発生しやすく、信頼性が低い。本実施の形態にかかる評価装置のように、直動方式のエアサーボにより制御することで、確実かつ簡便に所望の圧力波形を生成することができる。
【0042】
加圧及び減圧を短時間で行うことができ、試験時間を短縮することができる。例えば、耐久試験では、加減圧を数千回〜数万回繰り返すこともある。本発明者が試作した高圧側と低圧側を切り替える方式では1サイクルが数十秒程度であったのに対して、本実施形態のように直動方式のエアサーボを用いた場合、1サイクルを数秒程度に短縮することができる。これにより、試験時間を短縮することができるため、数倍の回数の耐久試験を実施することができる。よって、2次電池セルの開発期間を短縮することができる。
【0043】
さらに、エアを用いたサーボ方式の中でも、加圧方式による分類があり、これら構造に起因する違いから、耐久性や性能、入力からの遅延時間等の試験装置の特性が異なってくる。本実施の形態では、エア直動方式によるサーボにより圧力制御しているため、試験の信頼性を向上することができる。また、セル容器27を密閉した状態で、リークによる圧力変化を検出することで、セル容器27の破壊の有無を検出している。これにより、オイル等を検出するための光学式センサ、液面センサが不要となる。よって、簡便に耐久試験を行うことができる。
【0044】
本実施の形態では、マニホールド24を用いて、気体を複数のセル容器27に分配している。すなわち、各サーボ系に対して複数のセル容器27をクラスタ状に接続し、エアサーボバルブ21とセル容器27の間に設けた開閉弁25で各セル容器27を密閉可能な構成としている。これにより、1度に複数のセル容器27の耐久試験を行うことができるようになる。このための構成について、図6を用いて説明する。図6は、1つのサーボ系の構成を模式的に示す図である。図6は、1つのマニホールド24に接続された6chの配管ラインを示している。
【0045】
エアサーボバルブ21には、マニホールド24が接続されている。マニホールド24は、エアサーボバルブ21からの空気を複数のセル容器27に分配する。ここでは、1つのマニホールド24に、6つのセル容器27が接続されている。また、それぞれのセル容器27とマニホールド24の間には、上記の通り開閉弁25が設けられている。さらに、開閉弁25とセル容器27の間には、圧力センサ26が設けられている。このため、開閉弁25と圧力センサ26の数は、セル容器27の数と同数になっている。これにより、各開閉弁25を独立して密閉することができるとともに、各開閉弁25の圧力を独立して計測することができる。また、マニホールド24と、エアサーボバルブ21の間の配管には、非常停止時等に強制排気を行うための排気弁22が設けられている。
【0046】
複数のセル容器27に対して圧力制御するエアサーボバルブ21を共通化することにより、エアサーボバルブ21の個数を削減することができる。すなわち、セル容器27毎に、エアサーボバルブ21を設けなくてもよくなるため、セル容器27の数を増やした場合でも、コストアップを抑制することができる。
【0047】
さらに、セル容器27毎に、開閉弁25が設けられている。そして、あるセル容器27に破壊が生じた場合、破壊が生じたセル容器27に対応する開閉弁25を閉状態にする。これにより、破壊が生じたセル容器27を切り離すことができ、耐久試験を続行することができる。すなわち、図6において、一つのセル容器27に破壊が生じた場合でも、残りの5個のセル容器27に対する耐久試験を継続することができる。よって、より効率的に耐久試験を実施することができる。
【0048】
さらに、マニホールド24にも圧力センサ23が設けられている。そして、この圧力センサ23に基づいて制御装置18がエアサーボバルブ21の出力圧力をフィードバック制御している。このようにすることで、特定のセル容器27に不良が発生して、開閉弁25が閉状態で維持されていたとしても、引き続き耐久試験を実施することができる。さらに、特定のセル容器27の圧力に基づいて、制御していないため、特定のセル容器27に破壊などが生じていた場合でも、正確に圧力波形を生成することができる。
【0049】
また、本実施の形態では、セル容器27を恒温槽30内に配置している。こうすることで、セル周囲の温度を制御した環境下において耐久試験を実施することができる。例えば、セル容器27に用いられる部材はアルミニウム等であり、耐力や引張り強さ等の機械的な強度は温度に依存する(図7参照)。さらに、セル容器27の内部の圧力は、図8に示すように、周囲の圧力に応じて変動してしまう。そこで、本実施の形態で、恒温槽30内にセル容器27を配置して、耐久試験の温度を管理している。さらに、基準となる温度を決めて評価を行う。これにより、温度に依存するばらつき要因を排除した状態で、評価を行うことができる。よって、信頼性の高い試験を行うことができる。
【0050】
さらに、想定される寒冷地や亜熱帯等の温度条件を設定して、この環境において評価することも可能である。こうすることで、温度条件が電池セルの寿命、耐久性に与える影響を調査することができる。これらの試験による結果を基に計測環境を考慮した試験パターンで評価することで、信頼性の高い試験データを得ることができる。
【0051】
本実施の形態では、コンプレッサ11からの空気をドライア12によって乾燥させている。ドライア12を乾燥手段として用いることで、配管内の結露を防止することができる。通常、コンプレッサ11によって圧縮された空気は、水分濃度が上昇する。圧縮時には断熱圧縮により温度が上昇しているが、配管内を伝わる過程で、温度が低下して結露が生じてしまうおそれがある。結露が生じてしまうと、錆の発生や機械的な部位に不具合が生じてしまうおそれがある。そこで、本実施の形態では、コンプレッサ11の下流側にドライア12を設けて、空気を乾燥させている。こうすることで、配管内での結露を防止することができる。
【0052】
ドライア12の種類としては、例えば、冷凍式ドライア、吸着式ドライア、中空糸膜式ドライアがあるが、圧縮空気を強制的に冷却して水分を取り除く冷凍式ドライアを用いることが好ましい。その理由としては、吸着式ドライアの場合には、より低い露点の乾燥空気を作り出すことができるが、コストが高くなってしまう。また、中空糸膜式ドライアでは、水分透過が酸素や窒素に比べて著しく速いことを利用して水蒸気を除去している。中空糸膜式ドライアでは、パージ空気として空気ロスが発生してしまうため、大容量のコンプレッサ11が必要となる。大容量のコンプレッサ11を用いた場合、エネルギーの観点だけでなく、騒音、振動量も大きく作業者への影響も大きくなる。上記の理由により、冷凍式ドライアを用いることが好ましい。
【0053】
コンプレッサ11での圧縮により高温になった空気が配管中を伝播している間に、冷却されて結露する前に水分を除去することが好ましい。このため、コンプレッサ11とエアタンク13の間にドライア12を設置することが好ましい。また、空気を乾燥させることでArやNe等の不活性気体で配管内をパージする必要が無くなるため、設備の大規模化を抑制することができる。よって、コストを低減できるとともに、メンテナンス性を向上することができる。なお、圧力媒体として窒素等を用いる場合は、ドライア12を用いずに、乾燥窒素を用いてもよい。
【0054】
このように、本実施の形態にかかる耐久試験装置では、セル容器27を高精度に評価することができる。そして、この評価結果を用いて、セル容器27の設計を行うことで、製品開発期間を短縮できるとともに、市場不具合を未然に防止することができるようになる。
【0055】
例えば、リチウムイオン2次電池では、充放電の繰り返しにより、ガスが発生して、セル容器内の圧力を高める。また、セル容器27内部の気体は周囲温度に依存して変化するため、セル容器27は、加圧/減圧を繰り返しながら、市場で使用される。一般的に民生用の2次電池では2〜3年程度の耐用年数を想定している。一方、自動車用の2次電池では、10年を耐用年数の目標に掲げており、民生用の2次電池の数倍もの期間で使用され続ける。さらに、屋外の厳しい使用環境にさらされるため、民生用の2次電池よりも高い信頼性が要求される。
【0056】
一方で、シール部と呼ばれる封缶の溶接部は、アンダーフィルやボイド等の発生により技術的な課題も多い。このため、これらを考慮しながら、試行錯誤の上、セル容器27の設計が進められる。従って、設計を進めていく上で、セル内部の圧力変動に対する耐久性を評価することが望ましい。本実施の形態では、エアサーボ方式を用いているため、セル内部の圧力を高精度に制御することができる。そして、加圧と減圧を繰り返すことで、セル容器27の耐久性を高精度に評価することができる。この評価結果を加味して、製品設計にフィードバックすることで信頼性を向上することができる。例えば、耐久試験の結果、破損が起きやすい箇所は、設計変更して、耐圧を強化すれば、耐久性を向上することができる。
【0057】
次に、本実施の形態にかかる評価方法について、図9〜図11を用いて説明する。図9は、評価方法を示すフローチャートである。図10は、1サイクル分の加減圧の圧力波形を示す図である。図11は、開閉弁25を開状態にした時の圧力変動を示す図である。図10、図11において、横軸が時間、縦軸が圧力を示している。ここでは、図10に示すように、圧力波形として台形波を用いた例を説明する。制御装置18は、エアサーボバルブ21を制御することによって、図10、及び図11に示すような圧力となるよう制御する。
【0058】
耐久試験を開始すると、まず、制御装置18が各バルブを制御する(ステップS1)。ここでは、試験対象となるセル容器27が接続された開閉弁25を開状態とするとともに、排気弁22を閉じる。もちろん、レギュレータ16は配管を一定の圧力にしている。次に、制御装置18が恒温槽30に対する目標温度を出力する(ステップS2)。これにより、恒温槽30の温度が加熱あるいは冷却される。そして、恒温槽30が目標温度に到達したか否かを確認する(ステップS3)。目標温度に到達していない場合(ステップS3のNo)は、目標温度に到達するまで、恒温槽30を加熱あるいは冷却する。恒温槽30が目標温度に到達した場合(ステップS3のYes)、目標温度となった時間が、温度安定時間に到達したか否かを確認する(ステップS4)。すなわち、目標温度となってから温度安定時間経過したか否かを確認する。目標温度となった時間が温度安定時間に到達していない場合(ステップS4のNo)、温度安定時間に到達するまで、目標温度のまま待機する。
【0059】
目標温度となった時間が温度安定時間になった場合(ステップS4のYes)、恒温槽30の温度が十分安定したと判定して、圧力P1への加圧を開始する(ステップS5)。なお、図10に示すように、P1は台形波における圧力の下限値である。すなわち、エアサーボバルブ21を制御して、セル容器27とマニホールド24の圧力を調整する。そして、圧力センサ26の計測値が圧力P1に到達したか否かを確認する(ステップS6)。圧力センサ26の計測値が圧力P1に到達していない場合(ステップS6のNo)、圧力P1に到達するまで、引き続き、エアサーボバルブ21がセル容器27を加圧する。圧力P1に到達した場合(ステップS6のYes)、時間T1まで到達したか否か確認する(ステップS7)。なお、図10に示すように、時間T1は1サイクルの中の設定時間を示しており、具体的には、圧力P1からの加圧を開始する時間を示している。1サイクル開始からの時間が時間T1まで到達していない場合(ステップS7のNo)、時間T1に到達するまでセル容器27が圧力P1のままとなるようにエアサーボバルブ21を制御する。
【0060】
時間T1に到達したら(ステップS7のYes)、圧力P2までの加圧を開始する(ステップS8)。なお、図10に示すように、P2は台形波における圧力の上限値である。そして、制御装置18は、時間T2まで到達したか否かを確認する(ステップS9)。なお、時間T2は図10に示すように、1サイクルの中の設定時間を示しおり、具体的には、時間T2は圧力P2に到達するまでの時間を示している。もちろん、ステップS9では、時間T2までの到達を確認する代わりに、圧力センサ23の圧力が圧力P2に到達したか否かを確認してもよい。時間が時間T2に到達していない場合は、圧力P2に到達していないため、時間T2になるまで、引き続き、圧力P2への加圧を行う(ステップS9のNo)。そして、時間T2に到達したら(ステップS9のYes)、圧力P2で保持したままとし、時間T3に到達した否かを確認する(ステップS10)。時間T3は1サイクル中の設定時間を示しており、具体的には、圧力P2から圧力P1への減圧を開始する時間を示している。
【0061】
時間T3に到達していない場合(ステップS10のNo)、時間T3に到達するまで圧力P2のまま保持する。時間T3に到達したら(ステップS10のYes)、圧力P1への減圧を開始する(ステップS11)。そして、時間T4に到達したか否かを確認する(ステップS12)。時間T3は1サイクル中の設定時間を示しており、具体的には、1サイクルの終了時間を示している。もちろん、ステップS12では、時間T4への到達を確認する代わりに、圧力センサ23の圧力が圧力P1に到達したか否かを確認してもよい。時間T4に到達していない場合(ステップS12のNo)、圧力P1に到達していないため、時間T4に到達するまで、引き続きエアサーボバルブ21が圧力P1への減圧を行う。時間T4に到達していた場合(ステップS12のYes)、加減圧の1サイクルを終了して、次のステップ13に移行する。
【0062】
このような圧力制御は、上述したように、制御装置18が予め設定された圧力P1、P2、及び時間T1〜T4に基づいて、エアサーボバルブ21を制御することにより実施される。なお、圧力P1、P2、及び時間T1〜T4として、ユーザが任意の値を入力するようにしてもよく、メモリ等に予め格納しておいてもよい。
【0063】
1サイクルの加減圧が終了したら、制御装置18は、サイクル回数をインクリメントするとともに、サイクル回数がリーク試験回数に到達したか否かを判定する(ステップS13)。なお、リーク試験回数はリーク試験を行うサイクル回数を示す値であり、制御装置18に予め設定されている。例えば、総サイクル回数10000のうち1000サイクル毎にリーク試験を行う場合、リーク試験回数は1000、2000、3000、・・・10000と設定されている。
【0064】
リーク試験回数に到達していない場合(ステップS13のNo)、サイクル回数が終了したか否かを判定する(ステップS14)。すなわち、予め規定された回数だけ加減圧を繰り返し行ったか否かを判定する。上記の場合、サイクル回数が、10000に到達したか否かを判定する。サイクル回数が10000に到達した場合(ステップS14のYes)、耐久試験を終了すべく、ステップS15に移行する。耐久試験を終了するサイクル回数は、制御装置18に予め設定されていても良く、ユーザが入力するようにしても良い。
【0065】
耐久試験を終了する場合、圧力を0(大気圧)に減圧し(ステップS15)、各バルブの開閉を制御する(ステップS16)。例えば、セル容器27をマニホールド24から取り外すために、圧力を0(大気圧)にして、開閉弁25を閉じる。これにより、耐久試験が終了したセル容器27を取り外すことができる。
【0066】
また、ステップS14において、サイクル回数が終了していない場合(ステップS14のNo)、ステップS5に戻る。そして、次の1サイクルの加減圧が同様に行われる。
【0067】
ステップS5〜ステップS12に示す加減圧サイクルを繰り返して、リーク試験回数に到達した場合(ステップS13のYes)、リーク試験を開始する。リーク試験を開始する場合、時間が時間T11に到達したか否かを確認する(ステップS17)。なお、時間T11は、図11に示すように、リーク測定時の設定時間であり、具体的には、圧力P11から圧力P12への加圧を開始する時間を示している。また、圧力P11は、加減圧サイクルの圧力波形に基づいて規定されており、圧力波形が図10に示すような台形波の場合、圧力P11は圧力P1と等しくなる。また、圧力波形が方形波、三角波、又は正弦波のような場合、圧力P11は、例えば、圧力波形の中心値となる。
【0068】
時間T11に到達していない場合(ステップS17のNo)、時間T11に到達するまで圧力P11で保持する。時間T11に到達した場合(ステップS17のYes)、圧力P11から圧力P12への加圧を開始する(ステップS18)。これにより、セル容器27が加圧されていく。なお、圧力P12は、制御装置18に予め設定されていてもよく、ユーザが任意の値を入力してもよい。そして、時間がT12に到達したか否かを確認する(ステップS19)。なお、時間T12は、図11に示すように、リーク量測定時の設定時間であり、具体的には、圧力P12に到達する時間を示している。もちろん、ステップS19において、時間T12への到達を確認する代わりに、圧力センサ23の圧力がP12に到達したか否かを確認してもよい。時間T12に到達していない場合、圧力P12に到達していないため、時間T12に到達するまで、加圧を行う。これにより、セル容器27の圧力が圧力P12となる。時間T12に到達したら、次のステップS20に移行する。
【0069】
次に、時間が時間T13に到達したか否かを確認する(ステップS20)。時間T13に到達していない場合(ステップS20のNo)、時間T13に到達するまで、圧力P12を維持する。時間T13に到達したら(ステップS20のYes)、開閉弁25を閉じる(ステップS21)。
【0070】
そして、複数の圧力センサ26によって、各セル容器27の初期圧力データを取得する(ステップS22)。ここでの初期圧力データは、圧力P12とほぼ等しくなる。そして、リークの測定試験を開始して、各セル容器27の圧力データを取得する(ステップS23)。そして、初期圧力データと現在の圧力データとの差圧を算出して、しきい値P13と比較する(ステップS24)。ここで、差圧がしきい値P13以下となった場合、そのセル容器27を不良品として記憶する。不良品と判定されたセル容器27の開閉弁25を閉じてもよい。
【0071】
次に、時間T14に到達したか否かを確認する(ステップS25)。時間T14は、リーク試験終了時間を示している。時間T13〜時間T14の間、開閉弁25を閉じた状態にして、圧力センサ26が圧力を測定する。圧力センサ26が測定した圧力は、例えば制御装置18で蓄積される。時間T14に到達していない場合(ステップS25のNo)、ステップS24に戻り、引き続き、差圧をしきい値P13と比較する。すなわち、時間T14に到達するまで、圧力データを取得し、差圧としきい値P13との比較を続ける。これにより、耐久試験によって破壊されたセル容器27を検出することができる。すなわち、制御装置18が圧力センサ26での圧力データに基づいて、セル容器27の良否判定を行う。時間T14までに差圧がしきい値P13以下とならないセル容器27は良品と判定され、しきい値P13以下となったセル容器27は不良品と判定される。
【0072】
時間T14に到達したら、各バルブを制御する(ステップS26)。ここでは、良品のセル容器27に対する開閉弁25を開ける。これにより、良品のセル容器27が再び、エアサーボバルブ21と接続される。また、不良品と判定されたセル容器27については開閉弁25を開けなくてもよい。そして、エアサーボバルブ21が圧力P11への減圧を開始する(ステップS27)。時間T15に到達したか否かを確認する(ステップS28)。時間T15に到達していない場合(ステップS28のNo)、圧力P11への減圧が完了していないため、時間T15に到達するまで減圧して、セル容器27を圧力P11にする。
【0073】
時間T15に到達した場合(ステップS28のYes)、ステップS14と同様に、サイクル回数が終了したか否かを判定する(ステップS29)。サイクル回数が終了していない場合(ステップS29のNo)、ステップS5に戻り、次の台形波の加減圧サイクル(ステップS5〜ステップS13)を実施する。ステップS5に戻った後の手順は、上記と同様であるため説明を省略する。一方、サイクル回数が終了した場合(ステップS29のNo)、ステップS15に進む。そして、上記と同様にステップS15、及びステップS16を経て、試験を終了する。
【0074】
このように、加減圧を所定回数だけ繰り返し行って、リーク試験を行う。このようにすることで、セル容器27の耐久性を評価することができる。そして、良品と判定されたセル容器27のみを用いて、2次電池を作製する。例えば、セル容器27内に正極、負極、セパレータ、電解質等を配置して、溶接などにより封止する。このようにすることで、耐圧性の優れたセル容器27のみが利用されるため、2次電池の生産性を向上することができる。
【0075】
また、図1に示した複数のエアサーボバルブ21がそれぞれ異なる圧力波形を生成してもよい。もちろん、複数のエアサーボバルブ21が同じ圧力波形を生成してもよい。さらには、一つのエアサーボバルブ21に接続するセル容器27の数は特に限定されるものではない。また、それぞれのエアサーボバルブ21に接続されるセル容器27の数は、異なるものであってもよい。なお、圧力センサ23、圧力センサ26としては、例えば、ダイアフラム式圧力計を用いることができる。さらに、圧力センサ23、圧力センサ26が所定の閉空間との差圧を測定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0076】
10 分電盤
11 コンプレッサ
12 ドライア
13 エアタンク
14 マニホールド
15 フィルタ
16 レギュレータ
17 開閉弁
18 制御装置
21 エアサーボバルブ
22 排気弁
23 圧力センサ
24 マニホールド
25 開閉弁
26 圧力センサ
27 セル容器
30 恒温槽
40 エアシリンダ
41 加圧器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次電池に用いられる容器を評価する評価装置であって、
加圧した気体を供給する気体供給手段と、
前記気体供給手段から前記容器までの間の前記気体の流路中に配置されたエアサーボバルブと、
前記容器の圧力を調整するために、前記エアサーボバルブを制御する制御手段と、
前記エアサーボバルブと容器との間に配置された開閉弁と、
前記開閉弁を閉じた状態での前記容器の圧力を測定する第1の圧力センサと、を備えた評価装置。
【請求項2】
前記気体供給手段から前記エアサーボバルブを介して供給される前記気体を複数の前記容器に分配するマニホールドをさらに備え、
前記開閉弁と前記第1の圧力センサが、前記複数の前記容器のそれぞれに対して設けられている請求項1に記載の評価装置。
【請求項3】
前記マニホールドの圧力を測定する第2の圧力センサをさらに備え、
前記第2の圧力センサで検出された圧力に基づいて、前記制御手段が前記エアサーボバルブを制御することで、前記容器の加圧と減圧を繰り返し実施する請求項2に記載の評価装置。
【請求項4】
前記容器の温度を制御する温度制御手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の評価装置。
【請求項5】
前記気体供給手段から前記容器に供給される前記気体を乾燥する乾燥手段をさらに備える請求項1乃至4のいずれか1項に記載の評価装置。
【請求項6】
前記乾燥手段が冷凍式ドライアであることを特徴とする請求項5に記載の評価装置。
【請求項7】
2次電池に用いられる容器を評価する評価方法であって、
気体供給手段からの加圧された気体をエアサーボバルブに供給するステップと、
前記エアサーボバルブを制御することによって、前記気体供給手段から前記容器までに供給される気体の圧力を調整するステップと、
前記エアサーボバルブと前記容器との間に設けられた開閉弁を閉状態にするステップと、
前記開閉弁を閉じた状態で前記容器の圧力を測定するステップと、
前記容器の圧力の測定結果に基づいて、前記容器を評価するステップと、備える評価方法。
【請求項8】
前記気体供給手段と前記エアサーボバルブとの間に設けられたマニホールドによって、前記エアサーボバルブからの前記気体を複数の前記容器に分配し、
前記複数の前記容器のそれぞれに対して設けられた前記開閉弁を閉じた状態で、前記複数の容器のそれぞれの圧力を測定する請求項7に記載の評価方法。
【請求項9】
前記マニホールドの圧力の測定結果に基づいて、前記エアサーボバルブを制御することで、前記容器の加圧と減圧を繰り返し実施する請求項8に記載の評価方法。
【請求項10】
前記容器の温度を制御した状態で、前記エアサーボバルブが前記容器の圧力を調整することを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の評価方法。
【請求項11】
前記気体供給手段から前記エアサーボバルブに供給される気体を乾燥していることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載の評価方法。
【請求項12】
請求項7乃至11のいずれか1項に記載の評価方法によって、前記容器の良否判定を行うステップと、
前記良品と判定された前記容器を用いて2次電池を作製するステップと、を備える2次電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−88180(P2013−88180A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226927(P2011−226927)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000143949)株式会社鷺宮製作所 (253)
【Fターム(参考)】