説明

容器をライニングするための方法及び容器のライニング

本発明は、容器(1)、特にリザーバ、タンク、あるいはくぼ地を水密態様でライニングするための方法に関する。可能性のある漏れ及び/又は汚染を回避するために、大きな容器(1)の壁(2)には面タイプの固定要素(4)が設けられている。密封ウェブ(5)が固定要素(4)によってこれらの固定要素(4)に取り付られている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲の請求項1の序文に記載の容器をライニングするための方法、及び、特許請求の範囲の、装置に係る独立請求項の序文に記載のライニングに関する。
【背景技術】
【0002】
液体を収容するための容器は、なかんずく、水リザーバとして、特に飲料水リザーバに使用される。こうした設備の場合には、貯蔵された液体は全ての種類の汚染から信頼し得る仕方で保護しなければならない。このために、これらの水リザーバの壁には、一般的に、特に適切なコーティングが設けられているか又はプラスチック材料がライニングされている。残念なことに、保護コーティングが使用されるとき、壁にクラックが存在するか、あるいは石積みが経年変化を被っている場合には、貯蔵された水が汚染されるのを防ぐか又は水がリザーバから流出するのを防ぐことは不可能である。これは、勿論、水泳プール、及び、化学薬品又は食品のためのタンク、のような全ての種類の液体リザーバに当て嵌まる。
【0003】
従って、例えば、特許文献1におけるような、強化繊維が設けられている、プラスチック製保護カバーを使用することも提案されてきた。時が経つにつれて、こうしたカバーは、湿気交換の欠如のために、下敷き面から再び離れ去る。こうした保護容器を有する大きな容器の場合には、交換は、極めて骨が折れるものである。
【0004】
特許文献2は、水リザーバをプラスチックシートでライニングする方法を開示している。これは、リザーバの石積みが、瘤状フィルム、ボール紙、あるいはニット編みされた織物の形態をしたスペーサで覆われることを供し、しかも、このスペーサは、防水効果を有して硬化するプラスチック層で水側で被覆されている。残念ながら、こうしたライニングの取付は極めて骨の折れるものであり、こうしたライニングには、覆い被さる態様で傾斜する領域で均一且つ均質な仕方で設け得る非常に大きな困難性を有するのみである。
【0005】
不織織物をレイアウトし、かつ該不織織物を釘で下敷き面に固定することも周知である。プラスチック製織物は、前記プラスチック製シートをこれらのエッジに沿って下敷き面に固定するために釘を使用することによってこの不織織物に固定される。プラスチック製シート内に、釘で作り出された損傷した領域/穴は、プラスチック製シートのラップ溶接による防水効果によって再び閉じられる。残念ながら、こうしたライニングの取付も骨が折れるものであることが判明している。
【特許文献1】欧州特許第1002412号明細書
【特許文献2】欧州特許第1426528号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、取り付けることが容易であり、かつ取り替えが容易である、プラスチック製防水シートによって容器をライニングするための方法を提供することである。
【0007】
本発明の目的は、周知のライニングの欠点を有さず、かつ、覆い被さる態様で傾斜する容器の部分に容易な仕方で固定もし得る、容器のための防水ライニングを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、特許請求の範囲の請求項1に記載のライニング、及び装置に係る独立装置請求項に記載のライニングの特徴を有するライニングによって達成される。
【0009】
特に、この方法の場合、容器の内側には、バンド、及び/又は、プラスチック製密封シートが固定要素によって適用される面ファスナに類似したストリップが設けられている。面ファスナに類似したバンドが密封シートの固定要素のループと協働するホックを具備するか、あるいは、これらのバンドには、密封シートの固定要素のホックと協働するループが設けられていることは言うまでもない。
【0010】
Velcro(登録商標)のような互いに対して自身を取り付ける要素の使用は有利である。下敷き面、すなわち、容器の内側にこの様に固定される密封シートは、防水ライニングを構成するために、互いに対して重複する態様で連結、特に溶接されるのが有利である。面ファスナに類似して作用するこの積層体が部分的のみにも適用し得ることは言うまでもない。
【0011】
本発明による方法及び本発明によるライニングの利点は、当業者には直ちに明らかであり、かつ、特に取付費用を減じ得る極めて容易な取付であり、及び長期間の信頼性の更なる改良であることが理解し得る。この構造は下敷き面に対して移動可能であり、かつ、クラックが形成されるか、容器の他の移動がある場合には何れの損傷も被らない。湿気交換に有利な、空気浸透性の中間空間が密封シートと下敷き又は容器壁との間に創出される。本発明は特に大きな容器をライニングするのに適している。
【0012】
本発明の更なる有利な改良は特許請求の範囲の従属項に記載されている。
【0013】
本発明の例示的実施形態を添付の図面に基づいて以下により詳細に説明する。種々の図面では、同一の要素には同一の参照符号が付されている。本発明を直接的に理解するために必要不可欠な要素のみを示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は容器1、特に、水リザーバのような大きな容器を空間的表現で示している。この水リザーバは、この場合において未完成なコンクリートから作り出された壁2を具備する。背面側には、面ファスナに類似した固定要素4が分かり、かつ、これらは密封シート5が貼付される前に壁2の未完成なコンクリートに固定される。この場合の密封シートは、何れか所望の材料とし得る。本発明によれば、密封シート5は、面ファスナに類似した固定要素4と協働する、固定要素6を具備する。固定要素6は、少なくとも部分的に密封シート上に配置される非織布積層体であることが有利である。しかしながら、固定要素6は、面ファスナに類似した或る他の要素、あるいは、非織布積層体と面ファスナに類似した要素との組合せともし得る。未完成のコンクリート上、特に底部側には、絶縁層7又は更なる排水層を設け得るものであり、この絶縁層7又は更なる排水層上に密封シート5が載せられる。
【0015】
本発明によるライニングの取付の間中、面バンド又は面ストリップは固定要素、特にハンマーで打たれたリベットによって未完成のコンクリートに固定される。マイター・ジョイントの領域には、面バンド4がマイター・ジョイントの全長に亘って取り付けられるのが好ましい一方で、壁領域では選択された点にのみ面バンド4を固定することで十分である。第2取付段階では、プラスチック製第1密封シートが固定、すなわち、面ファスナによって、鉛直に延在する面バンドに固定される。引き続くシートが数センチメートル、例えば6センチメートルのような重複した状態で壁2に同様な態様で載置され、かつ、引き続いて頂部から下向きに互いに対して溶接される。マイター・ジョイントの領域では、密封シート5は、カットすることなく、冷間状態で曲げられ且つ連続して載置される。最終的に、長手方向にのける最後の壁シートのみをカットする必要がある。全てのシートは周知のタイプの自動溶接機によって互いに対して溶接される。有利なことには、ライスター(Leister)X84リザーバ自動溶接機が使用されて溶接が面一に行われる。
【0016】
一旦、壁表面2が載置されたならば、エッジ仕上げレール11が頂部側に取り付けられる。個々の壁シート5は、それから、これらのエッジ仕上げレール11に沿ってカットされ、適切な密封剤12、特にマスチックによって未仕上げのコンクリート壁2に対して密封し得る。通気バルブ13は、これらのバルブが同じ高さで至る所に取り付け得るように、レールで仕上げた後にのみ溶接される。
【0017】
壁シート5は、所望される高さにおいてきっちりと底部側にマークが付けられ、かつ、レーザー装置で正確に切り戻しされると有利である。その後、隣接するシート5´が同様にして面ストリップ4に固定され、引き続いて、自動溶接機によって長手方向に溶接される。シートは、マイター・ジョイントの領域を横切って直線状に切断され、かつ、水平表面上ではプラスチック・バンド8によって超過溶接される。同様にして、鉛直溶接点はハンドヘルド溶接機によって引き続いて溶接される。同様にして、柱3をライニングし得る。柱3に対する測定が完了したときのみ、密封シートが寸法に合うように正しく切られているかどうかをチェックするために試験されたサンプルが得られる。密封シートはエッジの領域でガス・トーチによって暖められる。外側の2つのエッジの各々から約1.5mの距離で、ループが溶接される。予め成形されたシートは、このとき、柱3の周りに配置され、かつ引っ張り・ストラップによって緊密に縛り付けられる。このように、重複領域は自動溶接機によって溶接し得る。その後、引っ張り・ストラップ及び固定ループは再び取り除かれる。
【0018】
底面に対しては、隣接するシート5´を載せ及び/又は何れの重なりもなく切り得る。シートの床尾エッジはプラスチック・バンドと重なり得るものであり、有利には第1のバンドは隣接するシート5´上に溶接され、かつ引き続いて底面シート上に溶接される。同様にして、隣接する縫い目は、バンドによって及びハンドヘルド溶接機又は自動溶接機によって壁に共に溶接し得る。同じことが柱のベース部のライニングに対して意図されている。
【0019】
本発明によるライニングの構造は、図2から分かる。ここで、第1段階では、面バンド又は面ストリップ4は固定要素、特にハンマーで打たれたリベットによって見仕上げのコンクリート壁2に固定される。エッジ仕上げレール11によって、密封シート5は壁2に対して押圧される。密封シート5とコンクリート壁2との間の中間の空間は密封材料12によって気密な態様で閉じられる。引き続いて取り付けられた通気バルブ13はライニングされたチャンバと中間の空間との間の圧力の均一化を可能にする。言うまでもないが、ステップ又は送給シュートのような金属製の設置部品はライニングされた底面上に配置され、不織布織物又は発泡体の更なる部片を密封シート上に配置し得るものであり、かつ、今度は、カバーフィルムで覆い且つ密封シートにn溶接し得る。
【0020】
本願明細書では、本発明によるライニングをする方法を、実施例として、水リザーバに関して説明してきたが、この方法は所望される何れか他の領域、特に食品(例えば、ワイン又は油)、あるいは化学薬品、水泳プール、ごみ投棄場等のためのタンクのライニングのためにも使用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による構造体全体を通じて、断面図を有する容器を3次元で表した概略図である。
【図2】本発明によるライニングを通じた断面図を表わす概略図である。
【符号の説明】
【0022】
1 容器
2 壁面
3、3′ 柱
4、4′ 第1固定要素
5、5′、5′′ 密封シート
6 第2固定要素
7 絶縁層
8、8′ プラスチック製バンド
11 エッジ仕上げレール
12 密封剤
13 通気バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(1)、特にリザーバ、タンク、あるいはベイスンを、プラスチック製防水層でライニングするための方法であって、
第1段階では、
面ファスナに類似している、少なくとも1つの第1固定要素(4)が前記容器(1)の内側に固定され、及び
第2段階では、
少なくとも1つのプラスチック製密封シート(5)が、少なくとも1つの第2固定要素(6)によって、前記第1固定要素(4)に固定されることを特徴とする方法。
【請求項2】
面ファスナに類似している、前記第1固定要素(4)は、面ファスナ・バンド又は面ファスナ・ストリップの形態に構成されており、及び/又は、しかも、前記第2固定要素(6)は、面ファスナの態様で構成され及び/又は前記密封シート(5)の不織積層体であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
多数の密封部材(5)が配置され、かつ、しかも、前記密封シート(5)は続いて互いに対して、特に溶接によって、連結され、防水効果を有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記密封シート(5)は覆い被さる態様で且つ面一に溶接されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記密封シート(5)には、前記上部カット・エッジの領域に、エッジ仕上げレール(11)が設けられていることを特徴とする、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記密封シート(5)には通気バルブ(13)が設けられていることを特徴とする、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
容器(1)、特にリザーバ、タンク、あるいはベイスンを、プラスチック製防水層でライニングするためのライニングにおいて、
前記容器(1)の内側には、面ファスナに類似している、少なくとも1つの第1固定要素(4)が設けられており、及び
少なくとも1つのプラスチック製密封シート(5)が少なくとも1つの第2固定要素(6)によって固定されていることを特徴とするライニング。
【請求項8】
面ファスナに類似している、前記第1固定要素(4)は、面ファスナ・スナ又は面ファスナ・ストリップの形態に構成されており、及び/又は、しかも、前記第2固定要素(6)は、面ファスナの態様で構成されており及び/又は前記密封シート(5)の不織積層体であることを特徴とする、請求項7に記載のライニング。
【請求項9】
多数の密封部材(5)が配置され、かつ、しかも、前記密封シート(5)は引き続いて互いに対して、特に溶接によって、連結され、防水効果を有することを特徴とする、請求項7または請求項8に記載のライニング。
【請求項10】
前記密封シート(5)は覆い被さる態様で且つ面一に溶接されることを特徴とする、請求項9に記載のライニング。
【請求項11】
前記密封シート(5)には、前記上部カット・エッジの領域に、エッジ仕上げレール(11)が設けられていることを特徴とする、請求項7から請求項10までのいずれか1項に記載のライニング。
【請求項12】
前記密封シート(5)には通気バルブ(13)が設けられていることを特徴とする、請求項7から請求項11までのいずれか1項に記載のライニング。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−538731(P2008−538731A)
【公表日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504693(P2008−504693)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【国際出願番号】PCT/EP2006/003170
【国際公開番号】WO2006/105978
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(507332859)サルナ・パテント−ウント・リツェンツ・アーゲー (1)
【Fターム(参考)】