説明

容器ホルダー

【課題】収容された容器の横倒れを確実に防止する。
【解決手段】容器の外径に対応する楕円状の容器支持穴4La,4Raを形成した左右の内面板4L,4Rをその中間折り目f,gに沿ってく字状に折り曲げ、貼着片5を左右の側板3L,3Rの内面に貼着することにより、容器ホルダー1を形成する。そして、対向する左右の容器支持穴4La,4Raに容器を収容すると、容器の外周面の略左右一半部が一方の容器支持穴4La,4Raの周縁部によって保持され、容器の外周面の略左右他半部が、一方の容器支持穴4La,4Raの周縁部による保持位置と異なる高さ位置において、他方の容器支持穴4La,4Raの周縁部によって保持される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バイアルびんなどの容器を輸送する際に使用する容器ホルダーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、バイアルびんなどの容器を輸送するに際し、容器ホルダーが使用されている。
【0003】この容器ホルダーは、底面板の長手方向中央部に仕切り板を備えるとともに、左右の側面板の内面にく字状に折曲された左右の内面板を備えて構成されており、左右の内面板には、容器の直径に対応する複数個の楕円状容器支持穴が形成されている。そして、容器を仕切り板に沿いつつ、内面板に形成された各容器支持穴にそれぞれ落とし込むことにより、容器の外周面の左右一半部が内面板の容器支持穴の周縁部によって保持されるように設定されている。このような容器ホルダーに設定個数の容器が保持された後、輸送容器に容器ホルダーが収容されて適宜輸送される(例えば、出願人の出願に係る実公昭57−49710号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述した容器ホルダーに収容された容器は、その外周面の略左右一半部がく字状に折曲された左右一方の内面板の容器支持穴の周縁部によって保持されるとともに、容器支持穴と対向する側において、仕切り板に線接触しているものである。このため、容器ホルダーの前後方向に意図しない外力が作用した場合、容器は、内面板の容器支持穴の周縁部を支点として前後方向に回動し、横倒れするという問題があった。
【0005】また、容器の底壁が薄くなることに伴い、誤って落下させた場合、落下時の衝撃を底面板が吸収することができず、容器の底壁が損傷し易いという欠点もあった。
【0006】本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、容器の横倒れを確実に防止することのできる容器ホルダーを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、底面板の左端縁に、左側面板、該左側面板よりも幅広の左内面板および貼着片が順に折り目を介して連設されるとともに、底面板の右端縁に、右側面板、該右側面板よりも幅広の右内面板および貼着片が順に折り目を介して連設され、また、前記左内面板および右内面板には、それぞれ左右の側面板との折り目から異なる間隔をおいて中間折り目が形成されるとともに、該中間折り目を挟んで収容する容器の外径に対応する複数個の楕円状の容器支持穴がそれぞれ左右対向して形成されてなり、前記左内面板および右内面板をその中間折り目に沿ってく字状に折曲するとともに、各貼着片を左右の側面板もしくは底面板に貼着した際、左内面板および右内面板にそれぞれ対向して形成された各容器支持穴の周縁部が、容器の外周面の略左右一半部をそれぞれ異なる高さ位置で保持することを特徴とするものである。
【0008】本発明によれば、折り目に沿って折り込むとともに、所定部分を貼着して容器ホルダーを組み立てた場合、内方に突出するようにく字状に折曲された左内面板および右内面板の各中間折り目がなす頂点は異なる高さ位置にある。したがって、左右の内面板の対向する容器支持穴に容器を収納した場合、容器の外周面の略左右一半部が左内面板に形成された容器支持穴の周縁部によって保持されるとともに、その容器の外周面の略左右他半部が、異なる高さ位置において、左内面板の容器支持穴と対向して右内面板に形成された各容器支持穴の周縁部によって保持される。
【0009】この結果、容器ホルダーに前後方向の外力が作用したとしても、異なる高さ位置で保持されている容器が横倒れすることを確実に防止することができる。
【0010】本発明において、前記底面板の左右端縁近傍には、それぞれ左端縁および右端縁を始点とする複数個のコ字状切り込みが設定間隔をおいて形成され、また、底面板と左右の側面板との各折り目がコ字状切り込みの始点に連続するように間欠的に形成されていると、容器ホルダーを組み立てた際、左右の側面板の下端縁に連続してコ字状切り込みによる支持片が垂設される。したがって、容器ホルダーを誤って落下させたとしても、まず、支持片が床面に接触して衝撃を一部吸収することから、底面板に落下時の衝撃が直接作用することがなく、容器の破損を可及的に防止することができる。
【0011】本発明において、前記底面板の上下端縁にそれぞれ貼着片が折り目を介して連設されるとともに、左右の側面板の上下端縁にそれぞれ折り込み片が折り目を介して連設されていると、左右の折り込み片にそれぞれ貼着片を貼着して容器ホルダーを組み立てた際、容器ホルダーは、箱状に一体化される。このため、左右の側面板を底面板に対して垂直に保持する必要がなく、組み立てた容器ホルダーを輸送容器に収容する場合、作業を簡単に行うことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】図1には、本発明の容器ホルダー1の一実施形態が示されている。
【0014】この容器ホルダー1は、バイアルびんなどの容器B(図3参照)を保持するものであり、コートボールを図4に示す展開図にしたがって打ち抜いた後、折り目に沿って折り込むとともに、所定部分を貼着して組み立てられる。そして、容器ホルダー1に設定個数の容器Bを収納した後、2個の容器ホルダー1を一組として別途組み立てられた輸送容器10(図2参照)に収容されて輸送される。
【0015】この容器ホルダー1は、図4の展開図において、上下端縁にそれぞれ折り目dを介して貼着片6が連設された底面板2の左端縁に左側面板3L、該左側面板3Lよりも幅広の左内面板4Lおよび貼着片5が順に折り目a,b,cを介して連設され、また、底面板2の右端縁に右側面板3R、該右側面板3Rよりも幅広の右内面板4Rおよび貼着片5が順に折り目a,b,cを介して連設され、さらに、左右の側面板3L,3Rの上下端縁にそれぞれ折り込み片7が折り目eを介して連設されて構成されている。そして、これらの左側面板3L、左内面板4Lおよび貼着片5と、右側面板3R、右内面板4Rおよび貼着片5とは、底面板2に関して左右対称に形成されている。
【0016】一方、左内面板4Lには、貼着片5との折り目c近傍において、中間折り目fが形成されるとともに、この中間折り目fを挟んで複数個の楕円状容器支持穴4Laが形成されている。同様に、右内面板4Rにも、右側面板3Rとの折り目b近傍において、中間折り目gが形成されるとともに、この中間折り目gを挟んで複数個の楕円状容器支持穴4Raが形成されている。
【0017】各容器支持穴4La,4Raは、収容する容器Bをそれぞれ中心線に対して設定角度で切断した際に形成される楕円に対応するものであって、容器Bの直径に略相当する短軸を中間折り目f,gに位置させ、該短軸を共通として中間折り目f,gの左方に長軸の小さな楕円の半分が、その右方に長軸の大きな楕円の半分がそれぞれ形成されており、全体として略卵形状に形成されている。
【0018】ここで、左内面板4Lの容器支持穴4Laと、右内面板4Rの容器支持穴4Raは、同一形状であり、左右対向して形成されているが、左内面板4Lにおける中間折り目fと折り目bとの間隔は、右内面板4Rにおける中間折り目gと折り目bとの間隔と相違しており、また、長軸の大きな楕円を同一方向に向けて形成しているため、左右非対称の位置にある。
【0019】さらに、底面板2は、その左右端縁近傍において、それぞれ左端縁および右端縁を始点とする複数個のコ字状切り込みhが設定間隔をおいて形成されている。そして、底面板2と左右の側面板3L,3Rとの折り目a,aは、前述したコ字状切り込みhの始点に連続するように間欠的に形成されている。
【0020】ここで、底面板2の左右端縁近傍に形成された複数個のコ字状切り込みhは、左右対称に形成されている。
【0021】次に、このように構成された容器ホルダー1の組立要領について説明する。
【0022】まず、図4の展開図にしたがってコートボールを打ち抜いた後、底面板2を基準に、底面板2に対して左側面板3Lを折り目aに沿って谷折りするとともに、左側面板3Lに対して左内面板4Lを折り目bに沿って谷折りする。また、左内面板4Lを中間折り目fに沿って谷折りするとともに、左内面板4Lに対して貼着片5を山折りする。次いで、貼着片5の内面に接着剤を塗布し、貼着片5をその外端縁が底面板2と左側面板3Lとの折り目aに沿うように、左内面板3Lの内面に貼着する。
【0023】同様に、底面板2に対して右側面板3Rを折り目aに沿って谷折りするとともに、右側面板3Rに対して右内面板4Rを折り目bに沿って谷折りする。また、右内面板4Rを中間折り目gに沿って谷折りするとともに、右内面板4Rに対して貼着片5を山折りする。次いで、貼着片5の内面に接着剤を塗布し、貼着片5をその外端縁が底面板2と右側面板3Rとの折り目aに沿うように、右内面板3Rの内面に貼着する。
【0024】次いで、底面板2に対して各貼着片6を折り目dに沿って谷折りするとともに、左右の側面板3L,3Rに対して各折り込み片7をそれぞれ折り目eに沿って谷折りした後、各貼着片6の内面に接着剤を塗布し、貼着片6を左右の折り込み片7,7の外面に貼着することにより、図1に示すように、容器ホルダー1を形成する。
【0025】この状態では、上方から見て、左右の内面板4L,4Rにそれぞれ形成された各楕円状の容器支持穴4La,4Raによる略半円状の切欠が対向しており、また、貼着片6および折り込み片7,7を除去した状態で正面から見て、中間折り目f,gを頂点とする三角形の斜辺を形成するように、左右の内面板4L,4Rがく字状に折曲されて内方に突出している。ここで、中間折り目f,gの高さ位置は異なっている(図3参照)。
【0026】また、底面板2に形成されたコ字状切り込みhにより、左右の側面板3L,3Rを折り目aに沿って谷折りした際、左右の側面板3L,3Rの下端縁に連続して支持片31(図3参照)が垂設される。このため、底面板2は床面から離隔した位置に支持されている。
【0027】このようにして容器ホルダー1が組み立てられると、左右の内面板4L,4Rの、対向している各容器支持穴4La,4Raに順次容器Bを収容することができる。この場合、各容器Bは、図3に示すように、容器Bの外周面の略左半部が、左内面板4Lに形成された容器支持穴4Laの周縁部によって保持され、また、容器Bの外周面の略右半部が、右内面板4Rに形成された容器支持穴4Raの周縁部によって保持される。しかも、前述したように、く字状に折曲された左右の内面板4L,4Rの各頂点(中間折り目f,g)の高さは異なっているため、容器Bの外周面の略左右各一半部は、前述した容器支持穴4La,4Raの周縁部によって異なる高さ位置でそれぞれ保持されている。
【0028】容器ホルダー1に設定個数の容器Bが収容されると、図2に示すように、2個の容器ホルダー1を一組として別途組み立てられた輸送容器10に収納され、適宜輸送される。
【0029】ここで、輸送時などにおいて、容器ホルダー1に前後方向の外力が作用したとしても、容器Bは、左右各一半部がそれぞれ異なる高さ位置で保持されているため、前後方向に横倒れすることが防止され、確実に正立状態に保持することができる。
【0030】また、輸送容器10に容器ホルダー1を収容する際などにおいて、容器ホルダー1を誤って落下させたとしても、まず、支持片31が床面に接地して衝撃を一部吸収することから、底面板2に落下時の衝撃が直接作用することはない。このため、容器Bが落下時の衝撃によって破損することを可及的に防止することができる。
【0031】なお、前述した実施形態においては、各貼着片5をそれぞれ左右の側面板3L,3Rの内面に貼着した場合を例示したが、底面板2の内面に貼着させるようにしてもよい。この場合は、貼着片5と左右の内面板4L,4Rとの折り目cを、底面板2と左右の側面板3L,3Rとの折り目aに沿わせて貼着すればよい。
【0032】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、容器ホルダーを組み立て、左右の内面板の対向する容器支持穴に容器を収納した場合、容器の外周面の略左右一半部が左内面板に形成された容器支持穴の周縁部によって保持されるとともに、その容器の外周面の略左右他半部が、異なる高さ位置において、左内面板の容器支持穴と対向して右内面板に形成された各容器支持穴の周縁部によって保持されることから、容器ホルダーに前後方向の外力が作用したとしても、異なる高さ位置で保持されている容器が横倒れすることを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の容器ホルダーの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の容器ホルダーを輸送容器に収容する工程を示す説明図である。
【図3】図1の容器ホルダーの縦断面図である。
【図4】図1の容器ホルダーの展開図である。
1 容器ホルダー
2 底面板
3L,3R (左右)側面板
31 支持片
4L,4R (左右)内面板
4La,4Ra 容器支持穴
5,6 貼着片
7 折り込み片
a,b,c,d,e 折り目
f,g 中間折り目
h コ字状切り込み

【特許請求の範囲】
【請求項1】 底面板の左端縁に、左側面板、該左側面板よりも幅広の左内面板および貼着片が順に折り目を介して連設されるとともに、底面板の右端縁に、右側面板、該右側面板よりも幅広の右内面板および貼着片が順に折り目を介して連設され、また、前記左内面板および右内面板には、それぞれ左右の側面板との折り目から異なる間隔をおいて中間折り目が形成されるとともに、該中間折り目を挟んで収容する容器の外径に対応する複数個の楕円状の容器支持穴がそれぞれ左右対向して形成されてなり、前記左内面板および右内面板をその中間折り目に沿ってく字状に折曲するとともに、各貼着片を左右の側面板もしくは底面板に貼着した際、左内面板および右内面板にそれぞれ対向して形成された各容器支持穴の周縁部が、容器の外周面の略左右一半部をそれぞれ異なる高さ位置で保持することを特徴とする容器ホルダー。
【請求項2】 前記底面板の左右端縁近傍には、それぞれ左端縁および右端縁を始点とする複数個のコ字状切り込みが設定間隔をおいて形成され、また、底面板と左右の側面板との各折り目がコ字状切り込みの始点に連続するように間欠的に形成されていることを特徴とする請求項1記載の容器ホルダー。
【請求項3】 前記底面板の上下端縁にそれぞれ貼着片が折り目を介して連設されるとともに、左右の側面板の上下端縁にそれぞれ折り込み片が折り目を介して連設されていることを特徴とする請求項1または2記載の容器ホルダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2002−53124(P2002−53124A)
【公開日】平成14年2月19日(2002.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−243924(P2000−243924)
【出願日】平成12年8月11日(2000.8.11)
【出願人】(000106885)シグマ紙業株式会社 (17)
【Fターム(参考)】