説明

容器入食品

【課題】 ゲル化物中に液状乃至泡状物を大小の塊状に封入した容器入食品を提供する。
【解決手段】 容器20に冷却原料液11を充填した後に,加温ゲル化剤溶液を充填して,ゲル化開始温度以下としたゲル化物溶液12を形成する。その後にゲル化物溶液12に対して,その上部からノズルを用いて液状乃至泡状物13を加圧充填する。ゲル化物溶液12の未ゲル化部位に液状乃至泡状物13が選択的に入って該未ゲル化部位に残留することによって,容器20の全体に大小適宜の独立し又は連続した液状乃至泡状物を封入分布させることができる。コーヒーゼリーにクリーム,ヨーグルト中に液状のジャムソースのように,ゲル化物10と液状乃至泡状物13の味覚を同時に味わう嗜好性に優れた商品とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,例えばコーヒーゼリー,プリンの如くにゲル化物とクリーム,カラメル等の液状乃至泡状物の双方を充填した容器入食品に関する。
【背景技術】
【0002】
この種コーヒーゼリー,プリン等は,例えばゲル化物とクリーム,カラメル等を容器中に複層に配置したものとされており,出願人は,ゲル化物の溶液に,例えばクリーム等のトッピングを供給するについて,該トッピングをゲル化物溶液に対して雨垂れ状に断続滴下して,その混濁を防止してこれらの境界を明確に確保するようにした提案を行っている(特許文献1)。
【0003】
一方,ゲル化物と液状乃至泡状物の双方を容器充填した食品として,食生活の多様化に伴い,新規な外観を呈する食品への嗜好性を高める目的で,容器底部に,クリーム,ホイップクリーム,ムース,メレンゲ等の比重の軽い食品を塊状に配置し,該容器上部にこれを覆うようにゼリー等の比重の重いゲル化した食品を配置した容器入食品が提案されており,これによれば底部に逆テーパーの凹陥部を配置した容器を用いて,クリーム等を先行充填して凹陥部のアンカー作用によってこれを容器底部に固定し,次いで容器内壁面に沿ってゼリー溶液を静かに後続充填し,先行充填物を囲み込んで盛上げ状とするようにしたものとされている(特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】特願2005−254824号
【特許文献2】特開平7−264988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように,例えばコーヒーゼリー等の容器入食品は完成度の高いものとなっているが,その形態がありふれているために,市場への訴求力が乏しくなる傾向もあり,一方では,後者の如くに,容器中でゲル化物と液状乃至泡状物を分離配置することによって,市場への訴求力を高める容器入食品の提案もなされているが,後者のものにあって,例えばそれ自体の保形性を期待し得ない,液状クリーム等を用いた場合,上記製造方法によってこれを容器底部に塊状に配置することには困難が予想される上,特殊容器を必要とすること,ゲル化物溶液の充填に特殊措置を必要とすること等,生産上の煩雑さが予想される。
【0006】
一方,例えばコーヒーゼリーにはクリームといったように,容器入食品のゲル化物とともに使用するトッピング等添加物は,その組合せが一般に定着しているものが多く,従ってゲル化食品に泡状物を配置することも可能であるが,該定着した組合せに従って液状物を用いることも,市場の訴求力を高める上で有効である。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので,その解決課題とするところは,ゲル状物と液状乃至泡状物の双方を容器充填して,市場に対する訴求力を確保するとともに嗜好性に優れた新規な容器入食品を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に沿って,本発明は,例えばコーヒーゼリー中に液状乃至ホイップしたクリーム,果汁ゼリー中に液状の果汁ソース乃至クリーム,ヨーグルト中に液状のジャムソース,プリン中に液状のカラメルの如くに,適宜なゲル化物中に適宜な液状乃至泡状物を大小適宜の塊状に封入配置することによって,ゲル化物と液状乃至泡状物の味覚を同時に味わい得る新規な形態として,市場への訴求力を確保するとともに嗜好性に優れた容器入食品としたものであって,即ち請求項1に記載の発明を,ゲル化物と液状乃至泡状物の双方を容器に充填した食品であって,上記液状乃至泡状物をゲル化物中に独立又は連続した大小適宜の塊状に封入配置してなることを特徴とする容器入食品としたものである。
【0009】
請求項2に記載の発明は,上記に加えて,ゲル状物をストローで吸引飲食し得るようにすることによって,該ストローでゲル状物と液状乃至泡状物を同時且つ簡便に飲食し得るようにして,その嗜好性を高度化するとともに横臥状態での飲食を可能として,例えば高齢者,病人等もゲル化食品を容易に飲食し得るように,これを,上記食品を,ストローによる吸引飲食用の食品としてなることを特徴とする請求項1に記載の容器入食品としたものである。
【0010】
本発明はこれらをそれぞれ発明の要旨として上記課題解決の手段としたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は以上のとおりに構成したから,請求項1に記載の発明は,例えばコーヒーゼリー中に液状乃至ホイップしたクリーム,果汁ゼリー中に液状の果汁ソース乃至クリーム,ヨーグルト中に液状のジャムソース,プリン中に液状のカラメルの如くに,適宜なゲル化物中に適宜な液状乃至泡状物を大小適宜の塊状に封入配置することによって,ゲル化物と液状乃至泡状物の味覚を同時に味わい得る新規な形態として,市場への訴求力を確保するとともに嗜好性に優れた容器入食品を提供することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は,上記に加えて,ゲル状物をストローで吸引飲食し得るようにすることによって,該ストローでゲル状物と液状乃至泡状物を同時且つ簡便に飲食し得るようにして,その嗜好性を高度化するとともに横臥状態での飲食を可能として,例えば高齢者,病人等もゲル化食品を容易に飲食し得るものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下本発明を更に具体的に説明すれば,Aは容器入食品であり,該容器入食品Aは,ゲル化物10と液状乃至泡状物13の双方を容器に充填した食品であって,上記液状乃至泡状物13をゲル化物10中に独立又は連続した大小適宜の塊状に封入配置したものとしてある。本例にあって該容器入食品Aは,例えばゲル化物10をコーヒーゼリー乃至フルーツゼリーとし,液状乃至泡状物13,本例にあっては液状物をクリームとしてあり,このときコーヒーゼリー乃至フルーツゼリーは,例えばストロー吸引に適した粘度の,ゼリー強度をやや低下した軟質のものとして,上記液状のクリームがその外周でコーヒーゼリー乃至フルーツゼリーと部分的に混合してまだらのマーブル状を呈するようにするとともに,これを,ストロー22による吸引飲食用の食品としたものとしてある。
【0014】
本例にあって,該ストロー22は,これを太径の容器差込管23と細径の吸引管24とを伸縮自在にスライド嵌合することによって,吸引方向中間位置でストロー管の断面積を縮小変化して,可及的容易に,この種ゲル化した食品を吸引し得るようにしてある。このように吸引方向中間位置で断面積を縮小変化することによって,ゲル化した吸引流体の流速を加速し吸引流体の流れにおける乱れを減少して,ストロー管内での吸引力のロスを解消乃至減少して,ストロー管内の抵抗増加を解消乃至抑制し,その結果,例えば容器差込管の内径を8mm程度としたとき,従来の,細径の容器差込管と太径の吸引管を用いたストローに対して,その吸引力を10%乃至それ以上減少することによって,吸引飲食を容易に行い得るものとしてある。これは従来のストローが,吸引方向中間位置の断面積拡大変化に起因する吸引流体の流速の減少によって,吸引圧の増加,流れの乱流化,ストロー管内部の抵抗増加,吸引力のロス(圧力損失)を招くために,このロス分に応じて吸引力が大きくなって,この種ゲル化した食品の吸引飲食に不適当となるところ,本例のストロー22にはこのようなロスが生じないためと認められる。
【0015】
本例の上記ゲル化物10をコーヒーゼリー乃至フルーツゼリー,液状物13をクリームとした食品は,図1に示すように,コーヒーゼリー乃至フルーツゼリー中に独立し又は連続した塊状にクリームを封入したものとしてあり,その断面乃至側面においてマーブル模様の如き外観を呈するものとしてあり,上記ストロー22で吸引することによって,コーヒーゼリー乃至フルーツゼリーとクリームとを同時又は個別に,それぞれの味覚を味わいながら飲食し得るようにしてあり,これによって,従来のクリームを組み合わせた容器入のコーヒーゼリー乃至フルーツゼリーにない,吸引で崩れてツルっとしたゼリー感と,幾分粘度のある液状のクリーム感,上記外周の混和したコーヒーミルク乃至フルーツミルク感等の食感を賞味し得るものとしてある。
【0016】
このような容器入食品を,その製造方法によって説明すれば,該容器入食品は,これを,容器20に先行充填したゲル化進行中のゲル化物溶液12に対して液状乃至泡状物13を後続充填することによって,該液状乃至泡状物を未ゲル化部位に対して独立又は連続した大小適宜の塊状に封入配置するように,その製造を行うものとしてある。
【0017】
即ち,本例にあって該容器入食品の製造は,これを,容器入食品の容器20に対して上記ゲル化進行中のゲル化物10,本例にあってコーヒーゼリー乃至フルーツゼリーの先行充填,その直後の液状乃至泡状物13,本例にあってはクリームの後続充填を行うことによって,原料充填とこれによる封入配置を一連工程で行うものとしてあり,該先行及び後続の原料充填工程後に,常法に従ってシール蓋22による容器密封及び冷却の工程を経て,容器入食品Aの完成品とするようにしてある。
【0018】
上記ゲル化物溶液の先行充填は,これをゲル化進行中のものとすることによって,その未ゲル化部位に,後続充填の液状乃至泡状物13を留置するように残留させ,上記塊状の封入配置を行うようにしてあり,このとき容器に先行充填したゲル化進行中のゲル化物溶液12に対する液状乃至泡状物13の後続充填は,該ゲル化物溶液12がゲル化する以前の未ゲル化部位が残存している状態で行うものとしてあり,未ゲル化部位の残存程度によって,上記液状乃至泡状物13の量を調整するものとしてある。このとき未ゲル化部位が多い方が,液状乃至泡状物13の量を増加できるとともにその分布を全体に亘るものとして,上記図1の如き形態のものとし得るから,該液状乃至泡状物13の後続充填は,これを上記ゲル化物溶液の先行充填後,特にその直後に行うことが好ましい。
【0019】
本例にあって該後続充填は,これを,該ゲル化進行中のゲル化物溶液を混合し,その未ゲル化部位に液状乃至泡状物を選択的に留置するように残留させる,好ましい形態のものとするために,該ゲル化進行中のゲル化物溶液12に対して,その上部からノズル(図示省略)を用いて,液状乃至泡状物13が容器20の,例えば底部又は底部近傍からゲル化進行中のゲル化物溶液12を撹拌するように,該ゲル化物溶液12に対して加圧充填して行うものとしてある。該後続充填は,ノズルを容器20の底部に挿入して加圧充填することも可能であるが,該挿入を避けて,ゲル化物溶液12上に配置したノズルから加圧充填するのが,製品の量産とその衛生確保の面から推奨される。このときノズルは細管,例えば直径5〜6mm程度の細管ノズルを用いて,数秒間で40〜50gを一気に加圧充填するようにすることによって,該ノズルから容器に供給される液状乃至泡状物13が,ゲル化物溶液12の底部に確実に到達するとともに,該ゲル化物溶液12を上向きにかき混ぜるようにして,その塊状の封入配置に有効且つ適切な撹拌作用を発揮し,該ゲル化物溶液12を混合しながら,その未ゲル化部位に浸透し,全体に亘って液状乃至泡状物の分布を可及的均一に行うものとすることができる。
【0020】
ゲル化進行中のゲル化物溶液12の先行充填は,例えば冷却した原料液と低温に加熱したゲル化剤を予め混合して形成したゲル化物溶液を容器に充填することによって行うことが可能であるが,上記ゲル化物溶液を,例えば5℃程度以下の冷却原料液と,40〜60℃程度以下の低温ゲル化剤液を容器充填することによって容器内でゲル化をスタートさせて容器内形成するのが,液状乃至泡状物の上記封入配置を可及的簡易且つ確実に行うゲル化進行中のゲル化物溶液とし得る,好ましい形態のものとすることができる。本例にあっては,該先行充填を,例えば5℃以下に冷却した冷却原料液11と,ゲル化剤をその融点で融解して凝固点以上の,例えば40〜60℃の低温とした低温ゲル化剤液を同時又は順次に容器充填して容器内でこれらのゲル化を開始することによって形成するものとしてある。即ち,冷却原料液11と低温ゲル化剤液とを容器充填することによって,これらを混合し,その混合液,即ちゲル化物溶液12の温度を,ゲル化剤の種類に応じて,例えば20〜40℃程度の凝固点,即ちゲル化剤に合せたゲル化開始温度乃至それ以下の温度に低下させて,該ゲル化物溶液12のゲル化のスタートとその緩やかな進行を行うようにしてある。こうすることにより,容器に先行充填したゲル化物溶液12における未ゲル化部位の相対的比率を可及的多く確保するようにしてある。
【0021】
冷却原料液11と低温ゲル化剤液は,例えばその同時又は順次の充填後に撹拌してその混合を行うことも可能であるが,本例にあっては,冷却原料液11に対して量的に多い低温ゲル化剤液を強制混合して上記ゲル化開始乃至それ以下の温度低下を行うように,例えば該低温ゲル化剤液の全量を,冷却原料液11を充填した容器に対して一気に落し込み供給してゲル化物溶液12を形成するようにしてあり,該落下供給による強制混合は,定量の低温ゲル化剤液を太径バルブを開放供給するように,これを行えばよい。
【0022】
このように容器20に先行充填したゲル化進行中のゲル化物溶液12に対してその直後に上記後続充填する液状乃至泡状物13は,本例にあって,これを,冷却した液状乃至泡状物とする形態のものとしてある。即ち該液状乃至泡状物13は,これを上記ゲル化剤の凝固点以下の温度,即ち5〜10℃程度,例えば5℃程度以下に冷却して上記後続充填することによって,該液状乃至泡状物が,ゲル化物溶液の未ゲル化部位のゲル化を促進して,その上記封入配置を可及的簡易にして確実になし得る,好ましい形態のものとするように,これを該冷却した冷却液状物乃至冷却泡状物として後続充填するものとしてあり,これによって,該液状乃至泡状物13は上記ゲル化進行中のゲル化物溶液12における未ゲル化部位に選択的に入り込むように残留するとともに,該未ゲル化部位をその内壁面側で冷却して,該未ゲル化部位を閉塞するようにゲル化して,その入り込んだ液状乃至泡状物13を留置するように取込み封止する結果,液状乃至泡状物13を上記独立又は連続した大小適宜の塊状に配置することができる。
【0023】
本例の製造方法にあって,上記ゲル化物溶液12の冷却原料液11とゲル化剤液及び液状乃至泡状物13は,その比重を可及的に同等とすることによって,液状乃至泡状物が底部や中間部に集中することなく,これをゲル化物中に可及的均一に分散した上記封入配置を可及的簡易にして確実になし得る,好ましい形態のものとするように,その比重を可及的に同等とするものとしてある。即ち,上記ゲル化物溶液12の冷却原料液11と低温ゲル化剤液の比重を可及的に同等とすることによって,上記同時又は順次の充填に際して,その有効な強制混合を行うとともに容器の全体に亘って可及的に均一なゲル化のスタートとその進行を行い,比重差によって生じる原料液とゲル化剤液の混合不良と未ゲル化部位の偏在を防止することができる。また液状乃至泡状物13の比重を,これら冷却原料液11,低温ゲル化剤液と可及的に同等とすることによって,上記ゲル化物溶液12に対してノズル,本例にあっては特に細管ノズルを用いた加圧充填によって,該液状乃至泡状物13を容器20の全体に亘るように可及的均一に分布させて,比重差によって生じるゲル化物10の下方や上方への偏在を防止することができ,それぞれ製品不良の要因を解消することができる。
【0024】
このように製造した容器入食品Aにおいては,上記冷却原料液11と低温ゲル化剤液の強制混合,液状乃至泡状物13の上記ノズル充填によって,ゲル化物10と液状乃至泡状物13の分布がランダムになされるとともに封止配置の液状乃至泡状物13の合計量は同一であるも,封止配置の形態,即ちその塊状の大きさ,塊状の独立又は連続性等は,自ずと容器毎に異なるものとなるが,チルド食品としては,その保存性から容器を半透明乃至不透明のものとするのが一般であるから,需要者が外観を観察することは一般にはないと考えられる。ゲル化物10,液状乃至泡状物13は,上記に示したもの以外にも,寒天と黒蜜,豆腐とだし汁等,各種のものを含めて多様なものとすることができるが,泡状物を用いるとき,時間の経過によってその消泡が生じる可能性があるが,例えば店頭で製造販売するものとすれば,これを避けることができる。上記先行充填するゲル化物溶液12に上記冷却原料液11と低温ゲル化剤液を強制混合する場合,これらの間に充填量の相違や比重の相違があるときを含めて,上記液状乃至泡状物13と同様に,その一方の充填を,ノズルを用いて加圧充填して行うようにすることができる。比重が略同等であり且つ充填量に相違があるとき,量の少ない一方を先行して充填し,量の多い他方を上記一気に落とし込み充填するようにするのが,一般に簡易且つ確実に適切な強制混合をなし得て都合がよい。
【0025】
更に上記ストローによる飲食用の他,スプーンによる飲食用とし,また容器から直接飲用状の飲食用とすること等を含めて,本発明の実施に当って,容器,ゲル化物,液状乃至泡状物,その封入配置,ゲル化物溶液,必要に応じて使用する冷却原料液,低温ゲル化剤液等の各具体的形状,構造,材質,これらの関係,これらに対する付加,製造方法,その充填,比重,液温の各具体的方法,数値等は,上記発明の要旨に反しない限り様々な形態のものとすることができる。
【実施例1】
【0026】
コーヒー抽出液に果糖ブドウ糖液等を混合して,例えば比重を1.03乃至1.05,液温を5℃とした冷却原料液と,果糖ブドウ糖液にゲル化剤等を混合して,例えば比重を原料液と略等しい1.03乃至1.05とし,液温を50℃とした低温ゲル化剤液と,牛乳に分離クリーム等を混合し,例えば比重を上記原料液及びゲル化剤液と略等しい1.03乃至1.05とし,液温を5℃とした液状のクリームを形成した。250ccの透明容器に冷却原料液10〜20部を供給充填し,続いて低温ゲル化剤液50〜70部を容器に一気に落し込み状に充填して,冷却原料液と低温ゲル化剤液を強制混合し,液温を,例えば35℃以下としてゲル化進行中のゲル化物溶液を形成した。該ゲル化物溶液の入った容器にノズルを用いて,液状のクリーム15〜25部を加圧充填した。その後,容器にシール蓋を溶着して該容器を密閉し且つ10℃以下に急冷して2時間冷蔵保管して,容器入りのクリーム封入コーヒーゼリーとした。濃褐色のコーヒーゼリー中に大小適宜の白色液状のクリーム部分が,容器の底部から上方に向けて独立し又は連続して塊状に封止配置されて分布し,液状のクリームの外周がコーヒーゼリーと部分的に混合して封入された,全体としてマーブル模様を呈するものであり,例えばクラッシュゼリーのように崩したゼリーに見られる離水現象は確認されなかった。トラック輸送に相当するように,振動板上に容器を載置して,該容器に上下方向及び横方向の振動を140分間付与した後に,容器中のコーヒーゼリーの崩れを観察したが,崩れ,離水,コーヒーゼリーと液状クリームの混濁も殆ど見られず,製造後の輸送に耐え得ることが確認された。ストローで吸引飲食したところ,ストロー先端位置に応じて,ツルっとしたコーヒーゼリーの食感とクリーミーにして粘度のあるクリームの食感の双方を個別に吸引賞味できるとともに外周の混和部分ではこれらの混和した食感を同時に吸引賞味できるものとなし得た。
【実施例2】
【0027】
ゲル化物溶液の冷却原料液を,コーヒー抽出液に代えて,すりおろしりんごを加えたりんごジュースを用いるとともに,これに加糖ブドウ糖液,果実酢等を混合した以外,実施例1と同様に,容器入りのクリーム封入フルーツゼリーを形成した。淡黄色のフルーツゼリー中に大小の白色液状のクリーム部分が,同様に封入されたマーブル模様を呈するものであり,同様に離水現象がなく,トラック輸送に耐えられるものであった。ストローで吸引飲食したところ,りんごジュース,すりおろしりんご,果実酢の複合した軽い酸味を呈するフルーツゼリーの食感と同じくクリームの食感の双方を個別に賞味でき,また同時に吸引賞味できるものとなし得た。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】容器入食品の外観図である。
【図2】液状物の分布状態を示す断面図である。
【図3】容器入食品の製造段階を示す工程図である。
【符号の説明】
【0029】
A 容器入食品
10 ゲル化物
11 冷却原料液
12 ゲル化物溶液
13 液状乃至泡状物
20 容器
21 シール蓋
22 ストロー
23 太径容器差込管
24 細径吸引管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル化物と液状乃至泡状物の双方を容器に充填した食品であって,上記液状乃至泡状物をゲル化物中に独立又は連続した大小適宜の塊状に封入配置してなることを特徴とする容器入食品。
【請求項2】
上記食品を,ストローによる吸引飲食用の食品としてなることを特徴とする請求項1に記載の容器入食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−295453(P2008−295453A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143287(P2008−143287)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【分割の表示】特願2007−147018(P2007−147018)の分割
【原出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(390001270)グリコ乳業株式会社 (29)
【Fターム(参考)】