説明

容器用把手

【課題】操作性を損なうことなく、廉価に製造できる容器用把手を提供する。
【解決手段】口頸部51が設けられ内容物を収納する容体5と、該口頸部51に着脱自在に螺合されると共に前記内容物を注出する注出口が形成された注出キャップ6とを備える容器本体2に用いられ、前記注出キャップ64の側面部に突設される容器用把手20において、前記注出キャップ6の側面部から離れるに従い下方に向かう略円弧状とされ、その先端22が自由端とされ、間隙を隔てて設けられた外側板24と内側板26とを備え、かつ突設方向に延びる凹条29を形成するように前記外側板24と前記内側板26とを連結する連結リブ28を備え、前記凹条29内には、前記外側板24と前記内側板26とに接続された第一の補強リブ30が複数設けられていることよる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器用把手に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液体洗剤、液体漂白剤、柔軟仕上剤、調味料等の液体製品の容器としては、内容液を収容する容体と、容体の口頸部に設けられ、内容液を容器外に注出する注出ノズルが設けられた注出キャップと、注出キャップに嵌合された計量キャップとを備えるキャップ付き容器が用いられるようになってきた。この注出キャップには、容体の口頸部内に嵌合する略円筒状の主壁部が、注出ノズルを囲むように設けられ、主壁部と注出ノズルとの間には、容体内外を連通する連通孔が形成されている。
そして、内容液を量り取る際は、計量キャップを取り外し、注出ノズルから計量キャップへ注出する。
このようなキャップ付き容器においては、計量キャップと注出キャップとの嵌合に、ネジ方式が多く用いられ、注出キャップからの計量キャップの取り外しが容易とされている。
【0003】
一方、計量キャップを注出キャップから螺脱する際に、容体から注出キャップが外れることを防止するため、容体と注出キャップとの嵌合には、ラチェット方式や、ストッパを併用したネジ方式、打ち込み方式等が採用されている。このように、計量キャップ付き容器は、製品の流通・保管中に容体から注出キャップが外れたり、使用者が容体から注出ノズルを容易に取り外せたりしないような構造とされている。
【0004】
この種のキャップ付き容器は、内容液が少量となった場合、軟質の樹脂製シート等からなる包装体に収容された内容物が補充され、繰り返し使用される。
キャップ付き容器への内容液の補充は、補充容器内の内容液を注出キャップの連通孔から容体内に注入して行われる。このような補充作業においては、注出ノズルが障害となって、内容液を補充しにくいという問題がある。また、注出キャップを容易に取り外しできるように、容体に螺合させると、計量キャップを螺脱する際に、注出キャップが共回りして外れてしまうおそれがある。一方、注出キャップを容体に強固に螺合させると、補充作業の際に注出キャップを取り外しにくいという問題がある。
【0005】
こうした問題に対し、例えば、容体の口頸部に螺合により着脱自在に装着される注出キャップと、この注出キャップの側面部に設けられた把手とを備えるキャップ付き容器が開示されている(例えば、特許文献1)。この発明によれば、内容液を注出する際には、把手を把持して注出キャップの回転を阻止しながら、計量キャップを螺脱でき、内容液を補充する際には、把手を把持しながら回転させて、注出キャップを容体から螺脱できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−107724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、このような把手には、(1)握りやすい形状であること、(2)廉価に製造できること、(3)注出キャップの着脱が容易であること、が求められる。
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、上述の「(1)」、「(3)」を達成できるものの、「(2)」が考慮されていない。
単に、把手の樹脂量を減らすと、「(2)」を達成できるものの、把手が細くなりすぎたり、把手が短くなりすぎたりして、「(1)」が損なわれる。あるいは、把手の剛性が低くなって、注出キャップの着脱時の操作時に把手が撓みすぎ、「(3)」が損なわれる。即ち、操作性が損なわれることとなる。
そこで、本発明は、操作性を損なうことなく、廉価に製造できる容器用把手を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の容器用把手は、口頸部が設けられ内容物を収納する容体と、該口頸部に着脱自在に螺合されると共に前記内容物を注出する注出口が形成された注出キャップとを備える容器本体に用いられ、前記注出キャップの側面部に突設される容器用把手において、前記注出キャップの側面部から離れるに従い下方に向かう略円弧状とされ、その先端が自由端とされ、間隙を隔てて設けられた外側板と内側板とを備え、かつ突設方向に延びる凹条を形成するように前記外側板と前記内側板とを連結する連結リブを備え、前記凹条内には、前記外側板と前記内側板とに接続された第一の補強リブが複数設けられていることを特徴とする。
任意の前記第一の補強リブと他の任意の前記第一の補強リブとは、前記連結リブの面上で略X字状に交差していることが好ましく、前記第一の補強リブは、前記略円弧の仮想中心に対し略放射状に延びるものとされ、前記基端から前記先端に向かって延び、前記第一の補強リブと交差する第二の補強リブが設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の容器用把手は、注出キャップの側面部から離れるに従い下方に向かう略円弧状とされ、その先端が自由端とされ、間隙を隔てて設けられた外側板と内側板とを備え、かつ突設方向に延びる凹条を形成するように前記外側板と前記内側板とを連結する連結リブとを備え、前記凹条内には、前記外側板と前記内側板とに接続された第一の補強リブが複数設けられているため、注出キャップを回動する際の操作性を損なうことなく、廉価に製造できる。
本発明の容器用把手は、任意の前記第一の補強リブと他の任意の前記第一の補強リブとが、前記連結リブの面上で略X字状に交差しているため、剛性が高まり、さらに操作性が向上する。
本発明の容器用把手は、前記第一の補強リブが、前記略円弧の仮想中心に対し略放射状に延びるものとされ、前記基端から前記先端に向かって延び、前記第一の補強リブと交差する第二の補強リブが設けられているため、剛性が高まり、さらに操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一の実施形態にかかる容器用把手を適用した容器の側面図である。
【図2】図1における把手ユニットの側面図である。
【図3】図1における把手ユニットの平面図である。
【図4】図1における把手ユニットの斜視図である。
【図5】本発明の第二の実施形態にかかる容器用把手の斜視図である。
【図6】本発明の第三の実施形態にかかる容器用把手の斜視図である。
【図7】実施例の容器用把手の斜視図である。
【図8】実施例の容器用把手の斜視図である。
【図9】実施例の容器用把手の斜視図である。
【図10】実施例の容器用把手の斜視図である。
【図11】実施例の容器用把手の斜視図である。
【図12】比較例の容器用把手の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第一の実施形態)
本発明の第一の実施形態にかかる容器用把手について、以下に図面を参照して説明する。
図1に示すように、容器1は、容器本体2と、この容器本体2に接続された把手ユニット8とを備えるものであり、容器本体2は、容体5と、容体5の口頸部51に着脱自在に螺合される注出キャップ6と、注出キャップ6に着脱自在に螺合されるカバーキャップ7とを備えるものである。把手ユニット8は、嵌合筒部10と、嵌合筒部10の側面に突設された容器用把手(以下、単に把手という)20とを備えるものであり、把手20は、嵌合筒部10を介して注出キャップ6に固定されている。
【0012】
容体5は、底部53から略筒状に起立した胴部54の上端部に、略円筒状に縮径された口頸部51が設けられたものであり、口頸部51の外周面には、ネジ部52が形成されている。容体5は、その前面57が膨出した形状とされると共に、背面56が凹状に凹んだ形状とされている。
容体5は、例えばポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂等の合成樹脂材料をブロー成形によりボトル状に成形したものである。
【0013】
注出キャップ6は、口頸部51の内側から上方に向かって立ち上がる略円筒状の注出ノズル62と、注出ノズル62を離間して囲む略円筒状の主壁部64と、注出ノズル62と主壁部64とを接続する接続体(不図示)とを備えるものである。主壁部64の外周面上部には、カバーキャップ7と螺合するネジ部66が形成され、主壁部64の内周面下部には、ネジ部52と螺合するネジ部(不図示)が形成されている。
注出キャップ6は、例えば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等の合成樹脂材料を射出成形してなるものである。
【0014】
カバーキャップ7は、計量部72と、外筒部74と、内筒部76とを備えるものであり、注出ノズル62から注出された内容物を計り取るいわゆる計量キャップを構成している。計量部72は、内筒部76を囲んで設けられた外筒部74の上方に突出するように、内筒部76の上方に延設された略ドーム形状のものである。外筒部74の内周面には、注出キャップ6の主壁部64の外周面上部に形成されたネジ部66と螺合するネジ部(不図示)が形成され、外筒部74の外周面には、このカバーキャップ7を回動させる際の滑り止めとなる複数の縦溝が形成されている。
カバーキャップ7の材質は、特に限定されず、例えば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等の合成樹脂材料が用いられる。
【0015】
把手ユニット8は、略円筒状の嵌合筒部10と、嵌合筒部10の側面に突設された把手20とを備え、嵌合筒部10が主壁部64に嵌合されることで、注出キャップ6に固定されるものである。
図2〜4に示すように、嵌合筒部10の下部には、複数の切欠部14が周方向に並んで形成されると共に、各切欠部14の間には、嵌合筒部10の径方向に弾性変形可能とされた複数の弾性片12が形成されている。弾性片12の下端部には、主壁部64の下端部に係止される係止爪16が設けられ、係止爪16は嵌合筒部10の内側に向かって突出形成されると共に、下面が外側に向かって傾斜した傾斜面とされている。
【0016】
図1に示すように、把手20は、嵌合筒部10の側面部に突設され、嵌合筒部10の側面部から離れるに従い下方に向かう略円弧状とされ、先端22に向かうに従い細くなると共に先端22が自由端とされたものである。把手20は、把手ユニット8が注出ノズル6に装着された際に、注出時に容体5を傾ける側とは反対側に位置し、把手20と容体5の背面56との間には、把持用の空間が形成されている。
【0017】
図1〜4に示すように、把手20は、外側板24と、内側板26と、連結リブ28と、第一の補強リブ30とを備えるものであり、嵌合筒部10側が基端21とされたものである。
外側板24は、基端21から先端22に向けて延びるものであり、内側板26は、外側板24と離間して対向すると共に、基端21から先端22に向けて延びるものである。外側板24と内側板26との間には、基端21から先端22に向けて延びる連結リブ28が設けられ、外側板24と内側板26とは、連結リブ28により連結されている。かかる構成により、把手20には、基端21から先端22に掛けて凹条29が形成され、把手20は、突設方向に延びる凹条把手20の突設方向に直交する断面が略H字状のものとされている。
外側板24は、基端21から先端22に向かって漸次縮幅する形状とされ、内側板26は、基端21から先端22に向かって漸次縮幅する形状とされている。連結リブ28は、基端21から先端22に向かって漸次縮幅する形状とされ、把手20は、全体として、基端21から先端22に向かって漸次細くなる形状とされている。
【0018】
凹条29内には、連結リブ28上に、外側板24と内側板28とに接続された7個の第一の補強リブ30が設けられており、この第一の補強リブ30は、把手20が形成する円弧の仮想中心O1に対し、放射状に延びる形状のものである。
【0019】
嵌合筒部10の材質は、特に限定されず、例えば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等の合成樹脂材料が用いられる。
把手20の材質は、特に限定されず、例えば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等の合成樹脂材料が用いられる。
把手ユニット8は、嵌合筒部10と把手20とが一体成形されたものでもよいし、嵌合筒部10と把手20と個別に成形し、これらを接合したものでもよい。
【0020】
把手20の上端から下端までの距離、即ち高さHは、容体5の大きさ等を勘案して決定でき、例えば、50〜100mmとされる。
把手20の突出距離、即ち、嵌合筒部10の軸線Oから最も離れた位置(最外点)Q2と、嵌合筒部10の側面との距離L(図2)は、容体5の大きさ等を勘案して決定でき、例えば、40〜90mmとされる。
【0021】
把手20の内側板26が描く円弧の曲率半径rは、容体5の大きさ等を勘案して決定でき、例えば、40〜60mmの範囲とされる。上記範囲内であれば、把手20を把持しやすいと共に、操作性が良好である。
【0022】
把手20の最大幅、本実施形態における基端21の幅W1(図4)は、把手20全体の長さ等を勘案して決定でき、例えば、20〜40mmとされる。20mm未満であると、剛性が不足して操作性に劣る場合があり、40mm超であると、把持しにくくなる傾向がある。
把手20の最小幅、本実施形態における先端22の幅W2(図4)は、特に限定されないが、例えば、10〜30mmとされる。
【0023】
把手20の最大厚み、本実施形態における基端21の厚みT1(図2)は、把手20の幅W1、W2等を勘案して決定でき、例えば、10〜30mmとされる。
把手20の最小厚み、本実施形態における先端22近傍の厚みT2(図2)は、把手20の幅W1、W2等を勘案して決定でき、例えば、5〜15mmとされる。
【0024】
外側板24の厚みt1(図2)は、外側板24の材質等を勘案して決定でき、例えば、1〜5mmとされる。内側板26の厚みt2(図2)は、外側板24の厚みt1と同様である。
【0025】
第一の補強リブ30の設置位置は、注出キャップ6を容体5へ螺合又は注出キャップ6を螺脱するために、先端22を矢印Y(図4)の方向に操作し、注出キャップ6を回動した際、最も応力が集中する場所(応力集中部)に設けることが好ましい。本実施形態における応力集中部は、把手20が下方に湾曲し始める点(開始点)Q1と最外点Q2との中間に位置する。
【0026】
本実施形態において、第一の補強リブ30は、任意の第一の補強リブ30と仮想中心O1とを結んだ放射線P1と、前記した任意の第一の補強リブ30に隣接する他の任意の第一の補強リブ30と仮想中心O1とを結んだ放射線P2とのなす角度が、θ1となるように等間隔で並設されている。角度θ1は、特に限定されないが、例えば、5〜20°とされる。
第一の補強リブ30の厚みt3(図2)は、把手20に求める剛性や、材質等を勘案して決定でき、例えば、1〜5mmとされる。
【0027】
次に本実施形態の容器1の使用方法について説明する。
まず、一方の手で把手20を把持した状態で、他方の手でカバーキャップ7を回動させながら、このカバーキャップ7を注出キャップ6から取り外す。次いで、容体5を傾けて注出ノズル6から注出された内容物をカバーキャップ7の計量部72で計り取る。この際、一方の手で把手20を把持しながら、他方の手でカバーキャップ7を回動させることで、注出キャップ6の共回りを防ぐことができる。
容体5に収納される内容物としては、例えば、液体洗剤、液体漂白剤、柔軟仕上剤、調味料等の液体製品が挙げられる。
【0028】
内容物を補充する際には、一方の手で容体5を把持し、他方の手で把手20を把持した状態で、この把手20と一体に注出キャップ6を回動させて容体5から取り外す。この際、注出キャップ6の側面部に突設された把手20を把持して回動させるため、注出キャップ6を直接回動させるよりも小さな力で、注出キャップ6を回動できる。加えてに、把手20には第一の補強リブ30が設けられているため、注出キャップ6を回動させるように把手20を操作した際、その撓みが少なく、容易に注出キャップ6を回動できる。
次いで、容体5の口頸部51から、補充容器に収納された内容物を容体5に補充する。容体5に内容物を補充した後、一方の手で容体5を把持し、他方の手で把手20を把持した状態で、この把手20と一体に注出キャップ6を回動させて容体5に注出キャップ6を螺合する。この際、注出キャップ6の側面部に突設された把手20を把持して回動させるため、注出キャップ6を直接回動させるよりも小さな力で、注出キャップ6と容体5とを強固に螺合できる。加えて、把手20には第一の補強リブ30が設けられているため、注出キャップ6を回動させるように把手20を操作した際、その撓みが少なく、容易に注出キャップ6を回動できる。
【0029】
本実施形態によれば、把手はその断面が略H字状とされているため、樹脂の使用量が少なく、廉価に把手を製造できる。加えて、把手が略円弧状に突設されており、注出キャップから離れた位置で把手を操作できるため、把手を把持しやすく、かつ小さな力で注出キャップを回動できる。さらに、凹条に第一の補強用リブが設けられているため、把手は、注出キャップを回動させる際に、撓みが少なく、より小さな力で注出キャップを回動できる。
【0030】
(第二の実施形態)
本発明の第二の実施形態にかかる容器用把手について、図5を用いて説明する。図5は、第二の実施形態にかかる把手100の斜視図である。なお、第一の実施形態と同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略し、主に第一の実施形態との相違点について説明する。
【0031】
図5に示すように、把手100は、凹条29内の連結リブ28上に、外側板24と内側板26とに接続された第一の補強リブ130が複数設けられたものであり、この第一の補強リブ130は、把手100が形成する円弧の仮想中心O2に対し、放射状に延びる形状のものである。また、凹条29内には、基端21から先端22に向かって延び、第一の補強リブ130と交差する第二の補強リブ140が設けられている。即ち、把手100は、凹条29内に、第一の補強リブ130と第二の補強リブ140とが格子状に配置されたものである。
【0032】
本実施形態において、第一の補強リブ130は、任意の第一の補強リブ130と仮想中心O2とを結んだ放射線P3と、前記した任意の第一の補強リブ130に隣接する他の任意の第一の補強リブ130と仮想中心O2とを結んだ放射線P4とのなす角度が、θ2となるように等間隔で並設されている。角度θ2は、特に限定されないが、例えば、5〜20°とされる。
第一の補強リブ130の厚みt4は、把手100の大きさや、材質等を勘案して決定でき、例えば、1〜5mmとされる。
第二の補強リブ140の厚みt5は、把手100の大きさや、材質等を勘案して決定でき、例えば、1〜5mmとされる。
【0033】
本実施形態によれば、凹条内に補強リブが格子状に設けられているため、把手を操作した際に、把手の撓みがより少なくなり、操作性がさらに向上する。
【0034】
(第三の実施形態)
本発明の第三の実施形態にかかる容器用把手について、図6を用いて説明する。図6は、第三の実施形態にかかる把手200の斜視図である。なお、第一の実施形態と同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略し、主に第一の実施形態との相違点について説明する。
【0035】
図6に示すように、把手200は、凹条29内の連結リブ28上に、外側板24と内側板26とに接続されたX型補強リブ230が6個設けられたものであり、このX型補強リブ230は、第一の補強リブ232と第一の補強リブ234とが交差して形成されたものである。
【0036】
図6中、符号O3は、外側板24と内側板26との略中央を通る、把手200の中心線である。
第一の補強リブ230は、第一の補強リブ230が外側板24に接続された点と、第一の補強リブ230が内側板26に接続された点とを通る線(傾斜線)P5と、中心線O3とのなす角度θ3が、好ましくは30〜60°、より好ましくは40〜50°とされたものである。即ち、最も基端21側に位置する第一の補強リブ230は、基端21側から先端22側に向かって漸次下がる板状とされている。
第一の補強リブ232は、第一の補強リブ232が外側板24に接続された点と、第一の補強リブ232が内側板26に接続された点とを通る線(傾斜線)P6と、中心線O3とのなす角度θ4が、好ましくは30〜60°、より好ましくは40〜50°とされたものである。即ち、最も基端21側に位置する第一の補強リブ232は、基端21側から先端22側に向かって漸次上がる板状とされている。
【0037】
X型補強リブ230の設置位置は、注出キャップ6を容体5へ螺合又は注出キャップ6を容体5から螺脱するために、先端22を把持し注出キャップ6を回動した際、最も応力が集中する場所(応力集中部)に設けることが好ましい。本実施形態における応力集中部は、第一の実施形態と同様である。
【0038】
第一の補強リブ232の厚みt6は、把手200の大きさや、材質等を勘案して決定でき、例えば、1〜5mmとされる。第一の補強リブ234の厚みt7は、第一の補強リブ232の厚みt6と同様である。
【0039】
本実施形態によれば、第一の補強リブが交差し、互いに支え合うことで、把手の剛性がより向上し、操作性がさらに向上する。
【0040】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
第一の実施形態では、7個の第一の補強リブ30が設けられているが、第一の補強リブ30の数は、2以上であれば特に限定されず、6個以下であってもよいし、8個以上であってもよい。ただし、第一の補強リブ30の数が少なすぎると、把手20は十分な剛性を得られず、操作性に劣る場合があり、第一の補強リブ30が多すぎると、樹脂量が多くなって廉価に製造できない場合がある。
【0041】
第二の実施形態では、2個の第二の補強リブ140が設けられているが、例えば、第二の補強リブ140の数は、1個であってもよいし、3個以上であってもよい。
【0042】
第三の実施形態では、6個のX型補強リブ230が設けられているが、X型補強リブ230の数は、把手200に求める剛性等を勘案して決定でき、1〜5個であってもよいし、7個以上であってもよい。X型補強リブ230の数が少なすぎると、把手200は十分な剛性を得られず、操作性に劣る場合があり、X型補強リブ230が多すぎると、樹脂量が多くなって廉価に製造できない場合がある。なお、X型補強リブ230の数を少なくする場合には、X型補強リブ230を応力集中部に設けることが好ましい。
【0043】
第一の実施形態では、把手20は、嵌合筒部10に突設され、嵌合筒部10を介して注出キャップ6の側面部に接続されているが、例えば、把手20が注出キャップ6の側面部に、直接設けられていてもよい。
【0044】
第一の実施形態では、容体5は、前面57が膨出し、かつ背面56が凹状に凹んだ形状のものとされているが、本発明はこれに限定されず、例えば、口頸部51から底部53に掛けて、略同一径の有底円筒状であってもよい。ただし、胴部54と把手20との間に手指を挿入する適度な空間が形成される形状であることが好ましい。
【実施例】
【0045】
(実施例1)
第一の実施形態の把手20と同様の把手を下記仕様にて製造した。得られた把手について、反力及び質量を測定、ならびに操作性を評価し、これらの結果に基づき総合評価を行った。その結果を表1に示す。
【0046】
<把手仕様>
材質:ポリプロピレン
把手の高さ:87mm
把手の突出距離:60mm
基端の幅:30mm
先端の幅:15mm
外側板の厚み:1.5mm
内側板の厚み:1.5mm
連結リブの厚み:1.5mm
補強リブ種類:把手20と同様の形状(表中、放射型と記載)
第一の補強リブの数:7個
第一の補強リブの厚み:1.5mm
【0047】
(実施例2)
第二の実施形態の把手100と同様の把手を下記仕様にて製造した。得られた把手について、反力及び質量を測定、ならびに操作性を評価し、これらの結果に基づき総合評価を行った。その結果を表1に示す。
【0048】
<把手仕様>
材質:ポリプロピレン
把手の高さ:87mm
把手の突出距離:60mm
基端の幅:30mm
先端の幅:15mm
外側板の厚み:1.5mm
内側板の厚み:1.5mm
連結リブの厚み:1.5mm
補強リブ種類:把手100と同様の形状(表中、格子型と記載)
第一の補強リブの数:16個
第一の補強リブの厚み:1.5mm
第二の補強リブの数:2個
第二の補強リブの厚み:1.5mm
【0049】
(実施例3)
第三の実施形態の把手200と同様の把手を下記仕様にて製造した。得られた把手について、反力及び質量を測定、ならびに操作性を評価し、これらの結果に基づき総合評価を行った。その結果を表1に示す。
【0050】
<把手仕様>
材質:ポリプロピレン
把手の高さ:87mm
把手の突出距離:60mm
基端の幅:30mm
先端の幅:15mm
外側板の厚み:1.5mm
内側板の厚み:1.5mm
連結リブの厚み:1.5mm
補強リブ種類:把手200と同様の形状(表中、X型と記載)
X型補強リブの数:6個
第一の補強リブの厚み:1.5mm
【0051】
(実施例4)
第三の実施形態の把手200の最外点Q2側のX型補強リブ1個を削除し、X型補強リブの数を5個とした以外は、実施例3と同様にして、図7に示す把手300と同様の把手を製造した。得られた把手について、反力及び質量を測定、ならびに操作性を評価し、これらの結果に基づき総合評価を行った。その結果を表1に示す。
【0052】
(実施例5)
第三の実施形態の把手200の開始点Q1側のX型補強リブ1個と、最外点Q2側のX型補強リブ1個とを削除し、X型補強リブの数を4個とした以外は、実施例3と同様にして、図8に示す把手310と同様の把手を製造した。得られた把手について、反力及び質量を測定、ならびに操作性を評価し、これらの結果に基づき総合評価を行った。その結果を表1に示す。
【0053】
(実施例6)
第三の実施形態の把手200の開始点Q1側のX型補強リブ1個と、最外点Q2側のX型補強リブ2個とを削除し、X型補強リブの数を3個とした以外は、実施例3と同様にして、図9に示す把手320と同様の把手を製造した。得られた把手について、反力及び質量を測定、ならびに操作性を評価し、これらの結果に基づき総合評価を行った。その結果を表1に示す。
【0054】
(実施例7)
第三の実施形態の把手200の開始点Q1側のX型補強リブ2個と、最外点Q2側のX型補強リブ1個とを削除し、X型補強リブの数を3個とした以外は、実施例3と同様にして、図10に示す把手330と同様の把手を製造した。得られた把手について、反力及び質量を測定、ならびに操作性を評価し、これらの結果に基づき総合評価を行った。その結果を表1に示す。
【0055】
(実施例8)
第三の実施形態の把手200の開始点Q1側のX型補強リブ1個と、最外点Q2側のX型補強リブ3個とを削除し、X型補強リブの数を2個とした以外は、実施例3と同様にして、図11に示す把手340と同様の把手を製造した。得られた把手について、反力及び質量を測定、ならびに操作性を評価し、これらの結果に基づき総合評価を行った。その結果を表1に示す。
【0056】
(比較例1)
凹条に補強リブを設けなかった以外は、実施例1と同様にして把手を製造した。得られた把手について、反力及び質量を測定、ならびに操作性を評価し、これらの結果に基づき総合評価を行った。その結果を表1に示す。
【0057】
(比較例2〜3)
把手の基端の幅W1と、把手の先端の幅W2とを表1に示す仕様とした以外は、比較例1と同様にして把手を製造した。得られた把手について、反力及び質量を測定、ならびに操作性を評価し、これらの結果に基づき総合評価を行った。その結果を表1に示す。
【0058】
(評価方法)
<反力の測定>
反力は、以下のモデル試験により測定した。各例で得られた把手の基端を固定した後、FB型プッシュプルゲージ(株式会社今田製作所製)の測定部分を把手の先端に押し当てて、把手の先端をその幅方向(図4の矢印Yの方向)に5mmずらした。この際、FB型プッシュプルゲージで測定された値を把手に掛かる反力とし、この測定値を下記評価基準に分類した。
【0059】
≪評価基準≫
◎:1.2kg超
○:1.0kg以上、1.2kg以下
△:0.5kg以上、1.0kg未満
×:0.5kg未満
【0060】
<操作性>
各例の把手を用い、図1に示す容器1と同様の容器を作製した。この容器について、専門パネラが、注出キャップの容体への螺合、注出キャップの容体からの螺脱を行い、下記基準に従い操作性を評価した。
【0061】
≪評価基準≫
◎:把持しやすく、操作しやすい。
○:把持でき、操作可能である。
△:把持しにくい、又は操作しにくい。
×:把持しにくく、操作しにくい。
【0062】
<総合評価>
反力、質量、操作性の結果を下記評価基準に分類して評価した。
≪評価基準≫
◎:質量が10.5g以下であり、反力及び操作性が「◎」。
○:質量が10.5g超であり、反力及び操作性が「◎」もしくは「○」、又は質量が10.5g以下であり、反力もしくは操作性のいずれかが「○」で、他方が「◎」。
△:質量が10.5g以下であり、反力又は操作性の評価に「△」もしくは「×」がある。
×:質量が10.5g超であり、反力又は操作性の評価に「△」もしくは「×」がある。
【0063】
【表1】

【0064】
表1に示すように、本発明を適用した実施例1〜8はいずれも反力が「◎」又は「○」であり、操作性が「◎」あった。さらに、補強リブをX型とし、かつX型補強リブの数を2〜3とした実施例6〜8は、総合評価が「◎」であった。
一方、補強リブを設けなかった比較例1〜3は、総合評価が「△」であり、実施例1〜8に比べて劣っていた。
以上の結果から、本発明を適用した把手は、良好な操作性を損なわずに、廉価に製造できることが判った。
【符号の説明】
【0065】
1 容器
2 容器本体
5 容体
6 注出キャップ
7 カバーキャップ
10 嵌合筒部
20 把手
21 基端
22 先端
24 外側板
26 内側板
28 連結リブ
29 凹条
30、130、232、234 第一の補強リブ
51 口頸部
62 注出ノズル
140 第二の補強リブ
230 X型補強リブ
O1、O2 仮想中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口頸部が設けられ内容物を収納する容体と、該口頸部に着脱自在に螺合されると共に前記内容物を注出する注出口が形成された注出キャップとを備える容器本体に用いられ、前記注出キャップの側面部に突設される容器用把手において、
前記注出キャップの側面部から離れるに従い下方に向かう略円弧状とされ、その先端が自由端とされ、
間隙を隔てて設けられた外側板と内側板とを備え、かつ突設方向に延びる凹条を形成するように前記外側板と前記内側板とを連結する連結リブを備え、
前記凹条内には、前記外側板と前記内側板とに接続された第一の補強リブが複数設けられていることを特徴とする容器用把手。
【請求項2】
任意の前記第一の補強リブと他の任意の前記第一の補強リブとは、前記連結リブの面上で略X字状に交差していることを特徴とする、請求項1に記載の容器用把手。
【請求項3】
前記第一の補強リブは、前記略円弧の仮想中心に対し略放射状に延びるものとされ、
前記基端から前記先端に向かって延び、前記第一の補強リブと交差する第二の補強リブが設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の容器用把手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−235927(P2011−235927A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108583(P2010−108583)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】