説明

容器製造用多層構造体及びその包装

多層構造体は、少なくとも1個の、少なくとも1種の塩化ビニリデンポリマーを含むバリヤー層、少なくとも1個のUV保護層及び少なくとも1個の反射層を含んでなる(ここで、これらの層のいずれもシーリング層としては機能しない)。この多層構造体は、好ましくはフィルムであり、好ましくは流動性製品、特にミルクを包装するためのパウチの形態にあるのが更に好ましい。ミルクパウチとして使用するとき、この構造体は、環境温度及び湿度でミルクを悪化から保護することで、エチレンビニルアルコールバリヤー層を有する同様の多層構造体に於けるよりも一層有効である。この多層構造体は、好ましくは1個超の反射層を有し、好ましくはピローパウチの形態にある。本発明には、また、(a)少なくとも1種の塩化ビニリデンポリマーを含む少なくとも1種の第一の組成物、UV吸収顔料又は薬剤を含む少なくとも1種の第二の組成物及び少なくとも1種の光反射性材料を含む少なくとも1種の第三の組成物を、共押出ダイに供給する工程並びに(b)第一の組成物、第二の組成物及び第三の組成物を、以後、それぞれ、バリヤー層、UV保護層及び反射層として参照する層として共押出する工程を含んでなるプロセスが含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
クロス−リファレンス記述
【0002】
本件特許出願は、2007年11月27日出願の米国仮特許出願第60/990,379号の利益を請求する。
【0003】
本発明には、少なくとも1個の、ポリ塩化ビニリデンを含むバリヤー層及び少なくとも1個の紫外線(UV)保護層を含む多層構造体並びにこの多層構造体を含んでなる包装(又は包装体)(packaging)が含まれる。この多層構造体は、好ましくは多層フィルムである。この包装は、好ましくは、パウチ(pouch)の形態にある。少なくとも1種のUV保護層は、好ましくは顔料入りである。
【背景技術】
【0004】
流動性物質は、長い間包装されてきた。比較的短い貯蔵寿命を有することが知られている品目、特に、食品及び飲料の場合に、包装は、しばしば、酸素、光及び香りに対するバリヤーとして機能するための箔内張又は箔ラミネートを有する硬質の箱、例えばジュースボックスである。箔は、非常に限定された伸長性を有し、従って、亀裂し、裂けることが知られている。ポリマー基体上の他の材料の堆積層も、亀裂及びピンホールを作りやすいという欠点を有する。特許文献1には、他のバリヤー、例えば酸化ケイ素が提案されており、特許文献1に於いては、酸化ケイ素がプラズマ堆積されている。酸化ケイ素又はガラスは、酸素及び香りに対するバリヤーであるが、広範囲の用途を見出すために貯蔵寿命を十分によく保持する問題を解決しなかった。
【0005】
箔ラミネート内張を有する箱は、それらが比較的長い貯蔵寿命のための適切な保護を提供するので、UHT(超高温)ミルクを無菌で包装するための標準品である。しかしながら、このような箱は、箔が応力に対して感受性であり、亀裂し、裂けるかもしれないので、厳格な製造プロセスを必要とする。更に、シーム、サイズ、クロージャー、注ぎ口、ストロー差し込み点、一体ストローなどのための比較的小さい許容範囲が存在する。
【0006】
パウチは、シームが、幅に於いて幾らかの変動を有することができ、他の包装構成は一体であってよいので、より広い製造許容範囲を含むので、パウチが提案された。パウチは、また、より低いコストの包装解決手段であり、より低い包装対製品比を提供する。即ち、それらが、性能を最大にし、不充分な資源を組み合わせての使用を最小にする点で、より良い持続性を提供する。パウチに於いて、エチレンビニルアルコール(EVOH)又はポリ塩化ビニリデン(PVDC)が、バリヤー層として提案されている。例えば特許文献2及び特許文献3を参照されたい。このようなパウチは、UHTミルクのような感受性食品のための適切な貯蔵寿命を与えることは立証されていない。UHTミルクのための標準的包装は、少なくとも約50%の相対湿度及び少なくとも約25℃の温度で、少なくとも90日間の貯蔵寿命を達成するために、ポリマー/箔/紙ラミネートのままである。このようなラミネートは、ミルクが1リットル(L)入りで包装されるとき、包装されたミルクの重量の通常約4%の重さである。
【0007】
流動性物質の包装である多層構造体、特に多層フィルムパウチは、ミルクよりもはるかに大量の製品に応用可能であるが、ミルクは、貯蔵後に消費可能なままであるために、多くの製品よりもさらなる保護を必要とするので、本明細書に於いて代表例包装内容物としてミルクを使用する。更に、消費可能と消費不可能との間の識別は、明瞭に認識できる。従って、ミルクを代表的内容物として使用するときでも、これは本発明を限定するとして解釈されるべきではない。
【0008】
非特許文献1及び特許文献4のような文献に於いて、カーボンブラックを含有する層がミルクを保護する助けになり得ることが認められてきた。しかしながら、カーボンブラックは本発明のものとは異なる構造体に於いて使用されてきた。
【0009】
少なくとも約90日間、好ましくは少なくとも約120日間、更に好ましくは少なくとも約150日間、最も好ましくは少なくとも約6ヶ月間の期間、UHTミルクを保護することができ、また、下記の特徴(characteristics)(特徴の数が増加すると好ましさが増加する)、即ち(1)UHTミルクのために標準的に使用されるポリマー/箔/紙硬質容器の重量よりも少ない、1000mL入りで包装されたミルクの、好ましくは約4重量%よりも少ない、更に好ましくは約3重量%よりも少ない、最も好ましくは約2.5重量%よりも少ない重量、(2)箔よりも小さい、バリヤー層に於ける亀裂に対する感受性、(3)異なったバリヤー層、例えばエチレンビニルアルコール(EVOH)を使用した同等のラミネートで、同じ条件下で達成されるものよりも長い期間、環境条件下で貯蔵されたミルクを保護する能力、(4)標準的ポリマー/箔/紙ラミネートミルクボックス若しくはミルクパウチのための、標準的ポリマー/箔若しくは金属化フィルム/ポリマーラミネートよりも低い厳格さを要する包装製品、(5)共押出によって製造可能である又は(6)冷蔵温度ではなく環境温度で輸送若しくは貯蔵(若しくは両方)を容易にするための又は包装された製品を、代替包装材料、例えば異なったバリヤー層、例えばエチレンビニルアルコール(EVOH)を使用して、消費可能な製品の同じ貯蔵寿命若しくはパーセントを達成するために必要な温度を超えて、包装された製品を貯蔵、輸送若しくは両方できる温度を少なくとも上昇させる能力の1個又はそれ以上を有する材料を有することが望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,508,075号明細書
【特許文献2】米国特許第6,177,465号明細書
【特許文献3】米国プレグラント特許公開第20070246391号明細書
【特許文献4】米国特許第4,521,437号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】H.T.Badings及びL.Rademaによる“Over de Smaak Van Gepasteuriseerde Milk Verpakt in Zakjas Van Polyetheen”,Nizo Nieuws 1966
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
少なくとも1個のポリ塩化ビニリデンバリヤー層及び少なくとも1個のダーク(暗色)顔料化層(dark pigmented layer)若しくは他のUV保護層又は少なくとも1個の暗色顔料化ポリ塩化ビニリデン層を有する包装が、包装された製品、例えばミルクの貯蔵寿命のための望ましい保護を与えることが見出された。この包装は、好ましくは、環境条件からミルクのような製品への、熱エネルギーの移動を最少にするための又は光を反射するための、少なくとも1個の反射(又は放射バリヤー)層も有する。更に好ましくは、少なくとも2個のこのような反射層が存在する。外部層は、好ましくは、印刷のために適している。
【0013】
本発明には、少なくとも1個の、少なくとも1種の塩化ビニリデンポリマーを含むバリヤー層及び少なくとも1個のUV保護層並びに少なくとも1個の反射層(これらの層は、いずれもシーラント層ではない)を含んでなる多層構造体が含まれる。このUV保護層には、好ましくはダーク顔料が含有されている。この反射層は、好ましくは、白色若しくは銀色顔料若しくはこれらの組合せからなり又は金属コーティングを有する。好ましい態様に於いて、1個より多い反射層が存在する。
【0014】
本発明には、更に、少なくとも1個の、少なくとも1種の塩化ビニリデンポリマーを含むバリヤー層及び少なくとも1個のUV保護層並びに少なくとも1個の反射層を含んでなる多層構造体を含んでなる包装が含まれる。この包装は、好ましくは、流動性材料のものであり、独立に、好ましくは、パウチ、好ましくはピローパウチの形である。このミルクパウチは、好ましくはASTM E3985の手順に従って測定された、同等の酸素バリヤーを有すると予想される相対厚さで比較された、バリヤー層がエチレンビニルアルコールである同様のパウチのものよりも長い期間、(冷蔵されていない)環境温度及び湿度で、ミルクの携帯性(許容できる感知できる品質)を維持することができる。
【0015】
更に、本発明には、(a)少なくとも1種の塩化ビニリデンポリマーを含む少なくとも1種の第一の組成物、UV吸収顔料又は薬剤を含む少なくとも1種の第二の組成物及び少なくとも1種の反射性顔料を含む少なくとも1種の第三の組成物を、共押出ダイに供給する工程並びに(b)第一の組成物及び第二の組成物を層として共押出する工程のプロセスが含まれる。このプロセスには、好ましくは共押出された層を膨張させて、多層構造体、好ましくはフィルムを形成する工程も含まれる。好ましくは、少なくとも1個の反射層、少なくとも1個のシーリング層又は更に好ましくは両方を形成するために、少なくとも1種の追加の組成物も供給される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図面は無い。
【発明を実施するための形態】
【0017】
定義
「流動性製品」は、本明細書に於いて、低粘度流体、例えばミルク、水、ジュース、ワイン及び非炭酸飲料(ここで、その粘度は、(ASTM D−2393の手順によって決定されたとき)約0.001〜0.5パスカル−秒の範囲であってよい);高粘度流体、例えば調味料、油、シロップ、ソース等(ここで、その粘度は、(ASTM D−2393の手順によって決定されたとき)0.51〜25パスカル−秒の範囲であってよい)並びに流体/固体混合物、例えばシロップ又はジュース中のさいの目に切断した果物、スープ、リンゴソース、プディング、香料入りゼラチン並びに小さい又は粉砕した固体、例えばナッツ又は皮付きナッツ、ヒマワリ種、トレイルミックス等並びに他の消費可能な食品、例えば豆及びフランクス(franks)、ヌードル入りスープ等を含む製品を意味するために使用される。同様に、サイズ化された(sized)又は織り目を入れた(textured)非食品製品も、流動性製品である。
【0018】
本明細書中に使用される用語「多層構造体」は少なくとも部分的に接触しており、好ましくは、任意的であるが同一の広がりを持つ、1個より多い層を有する任意の構造体を指す。
【0019】
本明細書中に使用される用語「フィルム」は長さ及び幅寸法を有し、それらの間に厚さを有する2個の主表面を有する、シート、ラミネート、ウエブ等又はこれらの組合せを指す。フィルムは、単層フィルム(1個のみの層を有する)又は多層フィルム(2個又はそれ以上の層を有する)であってよい。殆どの場合に、フィルムは、約20ミル(5×10-4m)以下の厚さを有する。
【0020】
用語「多層フィルム」は2個又はそれ以上の層を有するフィルムを意味する。多層フィルムは、好ましくは少なくとも2種の異なった組成物から構成され、有利にはフィルムの長さ及び幅寸法を実質的に伸ばしている、1個より多い層から構成されている。多層フィルムの層は、通常、下記の方法、即ち共押出、押出被覆、蒸着被覆、溶媒被覆、エマルジョン被覆又は懸濁液被覆の1個又はそれ以上によって、一緒に結合されている。殆どの場合に、フィルムは、約30〜35ミル(7.5〜8×10-4m)以下の厚さを有する。
【0021】
用語「タイ層」又は「接着層」又は「結合層」は直接的に隣接する又は接触する層に中間層接着を与える(例えば中間層とガラスとの間で)主目的を有する内部層を意味する。このタイ層はそれが一部である多成分構造体に他の特徴を与えることもできる。
【0022】
本明細書中に使用される用語「バリヤー層」は1種又はそれ以上の浸透物、典型的には気体(例えば酸素、水蒸気又は液体、化合物、芳香剤又は着臭剤、好ましくは酸素及び水)の、多層フィルムの他の層よりも低い、浸透性又は透過性を有する、その多層フィルムの一層を指定する。「バリヤー樹脂」又は「バリヤーポリマー」は、バリヤー層を形成する際に使用するのに適しているポリマー又はポリマー組成物を意味する。バリヤー樹脂は、それを可溶性にすることができる化合物に、より低い浸透性又は透過性を与えないであろうが、非常に僅かなこのような化合物が典型的に存在するであろう。
【0023】
「スキン層」は外側層を含む外層を意味し、従って、フィルム又は他の多成分構造体の外部表面上にある任意の層を意味する。表面層は、耐摩耗性、劣化を一層受けやすい内部層の保護、それが接触するように適合されている材料又は対象物への接着又は接着に対する抵抗の所望の程度又は一般的に内部層のものとは異なる類似の特徴を、有利に与える。
【0024】
本明細書中に2個の層を参照するときに、使用される「接触する」又は「直接的に隣接する」は、お互いに対して直接的に触れている又は接着されている2個の層を指すように意図される。反対に、本明細書中に使用される、2個の他の特定された層の間にあるとして表現されたフィルム層に適用される語「間」は、主題層が間に存在する2個の他の層への主題層の直接的接着及び主題層が間に存在する2個の他の層のいずれか又は両方への直接的接着の欠落の両方を含み、即ち1個又はそれ以上の追加の層を、主題層と主題層が間に存在する1個又はそれ以上の層との間に置くことができる。
【0025】
「ラミネート」(名詞)は、一緒に結合された又は接着された、2個又はそれ以上の材料層から作られた材料を指し、多層フィルム、例えば共押出フィルムを含む。硬質ラミネートは、取扱いの際に垂れることを防止し、その形状を維持するために、十分な厚さ又は少なくとも1個の十分に硬い層を有するラミネートである。
【0026】
本明細書中に使用される「ラミネートする」(動詞)は、2個又はそれ以上の表面を一緒に接着又は結合すること、例えば別々に製造されたフィルムを一緒に結合して多層フィルムを形成することを指す。当該技術分野の技術に於いて、例えば熱、波動放射、接着剤、圧力等の使用によるラミネートする方法が多数存在する。
【0027】
「押出」及び「押出する」は、溶融したプラスチック材料をダイに通して押し進め、続いて冷却又は化学的硬化させることによって、連続形状を形成するプロセスを指す。ダイに通す押出直前に、比較的高粘度のポリマー材料を、ポリマー材料をダイに通して押し進める回転スクリューの中に供給する。
【0028】
「共押出」及び「共押出する」は、2種又はそれ以上の材料を、押出物が合流し、冷却又は急冷、即ちクエンチングの前に薄層状構造体に一緒に溶接されるように配置された2個又はそれ以上のオリフィスを有する単一ダイに通して押出するプロセスを指す。共押出は、しばしば、他のプロセス、例えばインフレート、フィルム流延及び押出被覆プロセスの一面として使用される。
【0029】
「インフレートフィルム(blown film)」又は「インフレート法(film blowing)」は、ポリマー又はコポリマーを押出して、加熱空気又は別の熱ガスによって充填されたバブル(bubble)を形成して、ポリマーを延伸する、フィルムを作るプロセスを指す。次いで、このバブルをつぶして、平らなフィルム形態で収集する。
【0030】
本明細書中に使用される「パウチ」は、袋(bag)又は実質的に可撓性の側面若しくは連続部分を有する同様の容器(container)若しくは包装(packaging)を含む。パウチは、任意的に、1個若しくはそれ以上の硬質若しくは半硬質部分、例えば棚上に立つことを容易にするための硬質底、ストロー、タップ、弁若しくは他の取り出し手段の挿入のためのより剛性の若しくは硬い部分、安定性のための1個若しくはそれ以上のバンド、ラベル;立つことを容易にするための1個若しくはそれ以上の背面、前面若しくは側面若しくはこれらの一部、閉鎖若しくは再閉鎖のためのより剛性の部分、取り付けた取り出し手段又はこれらの組合せを有する。パウチは、任意的に、前もって作られるか又は包装の時点で作られる。用語、パウチの使用は、一般的な形に限定されないが、一般的な形には、2個又はそれ以上の縁でシールされた半折フィルムから形成されたパウチ及び3個又はそれ以上の縁でシールされたフィルムの2個の接触層から形成されたパウチが含まれる。多くの例に於いて、半折フィルムの2個の縁又は接触層の3個の縁が、充填の前にシールされ、次いで、パウチに充填された後、残りの縁が一緒にシールされる。時には、直接共押出により又はフィルムのストリップの外側縁をシールすることにより、チューブが形成され、次いで、このチューブが、シールするか又はパウチに切断することによって、部分に分離される。用語、パウチは、これらの製造方法のいずれにも限定されないし、又はその枕状形状のためにしばしば、「ピローパウチ」として参照される一般的な形に限定されない。パウチは、任意的に、別の構造体、例えば箱又はボトルの内側に、例えばライナーとして使用される。パウチは、任意的に、別のこのような構造体に接着又はラミネートされる。
【0031】
「シール」(名詞)は、フィルム表面又はコンポーネント表面の第一の領域の、フィルム表面又はコンポーネント表面の第二の領域(又は反対表面)への結合を意味する。ヒートシールに於いて、これは、領域(又は表面)を少なくともそれらのそれぞれの軟化点まで、(例えば加熱バー、熱線、熱空気、赤外線及び超音波シーリングの手段により)加熱することによって作られる。
【0032】
「ヒートシール」(「熱溶接」としても知られている)は、2個のフィルムを、互いに接触状態又は少なくとも近い接近状態にし、次いでフィルムの予定の領域(又は領域群)に、予定の領域内のフィルムの接触表面が、溶融し、互いに混ざり合うようになるようにするために、十分な熱及び圧力を適用し、それによって、熱及び圧力がそれらから除かれ、この領域を冷却したとき、予定の領域内の2個のフィルムの間の本質的に分離できない結合を形成させる、結合を指す。
【0033】
用語「シールする」及び「シーリング」(動詞)は、本明細書に於いて、2個又はそれ以上の表面を、特に、表面の第一の領域を表面の第二の領域(又は反対表面)に接合する任意の方法を指定するために使用される。シーリングは、2個又はそれ以上の表面が接合されるとき、継ぎ合わせる、結合する、シールする、接合する、接着する等のために使用される。シーリングは、任意的に、熱シーリングの形を取る。シーリングは、任意的に、シールを得るために圧力が掛けられる圧力シーリングの形を取る。他の選択には、接着剤等の使用が含まれる。
【0034】
「シール層」(又は「シーリング層」若しくは「ヒートシール層」若しくは「シーラント層」)は、フィルムの、それ自体、同じ若しくは別のフィルムの別の層、フィルムではない別の物品又はこれらの組合せへのシーリングに含まれる外側層(群)を意味する。
【0035】
包装物(package)に関して「充填された」は、本明細書に於いて、商業的充填操作と一致する方法で、流動性製品が充填された包装物を指す。従って、充填された包装物は、その容量の100%まで充填されていてよく又は充填されていなくてよく、任意的に、その容量の、例えば50、60、70、80若しくは90%又はより高く若しくはより低くまで充填されている。
【0036】
「半折フィルム(centerfolded film)」は、本明細書に於いて、その縦中央軸に沿ってそれ自体の上に折り重ねられたフィルムを指し、そして代わりとして、それからパウチを作ることができるような、一致した配置で一緒にされた2個の分離したフィルムを含む。
【0037】
用語「ポリエチレン」は、エチレンのホモポリマー又はエチレンから誘導される、そのマー単位(mer unit)の大部分を有するエチレン/α−オレフィンコポリマーを意味する。
【0038】
用語「エチレン/α−オレフィンコポリマー」は、エチレンとC3〜C20α−オレフィンから選択される1種又はそれ以上のコモノマー、例えば1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、メチルペンテン等、とのコポリマーを指定する。低圧重合方法によって得られる、比較的僅かな側鎖枝を有する長鎖を含んでなるポリマー分子が含まれ、存在する側鎖枝分かれは、非線状ポリエチレン(例えばLDPE、低密度ポリエチレンホモポリマー)に対して比較して短い。エチレン/α−オレフィンコポリマーは、一般的に、約0.86g/cm3〜約0.94g/cm3の範囲内の密度を有する。用語「線状低密度ポリエチレン(LLDPE)」は、一般的に、約0.926〜約0.95g/cm3の密度範囲内の線状ポリエチレンが、線状中密度ポリエチレン(LMDPE)として参照されるとき、約0.915〜約0.94g/cm3又は0.930g/cm3の密度範囲内に入るエチレン/α−オレフィンコポリマーのグループを含むと理解される。より低い密度のエチレン/α−オレフィンコポリマーは、約0.88〜約0.915g/cm3の範囲内の密度を有する、ユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corporation)から市販されているエチレン/ブテンコポリマーを指すためにしばしば使用される、非常に低密度のポリエチレン(VLDPE)及び典型的にザ・ダウ・ケミカル社(The Dow Chemical Company)によって供給される或る種のエチレン/オクテンコポリマーを指すために使用される超低密度ポリエチレン(ULDPE)として参照することができる。LLDPEは、線状低密度ポリエチレンのための略語であり、(1)コモノマーとして少なくとも1種の高級α−オレフィン、例えばブテン、オクテン、ヘキセン等、(2)約0.915から約0.930g/cm3にまで達する密度、(3)枝又は架橋構造を僅かに有するか又は全く有しない長鎖を含んでなる分子及び(4)変化する原子価の遷移金属化合物をベースにする不均一触媒を使用する共重合により、低乃至中圧力で製造されることを有するエチレンのコポリマーを指す。
【0039】
句「エチレン/α−オレフィンコポリマー」には、均一ポリマー、例えばテキサス州Baytownのエクソン・ケミカル社(Exxon Chemical Company)から市販されている、メタロセン触媒作用EXACT(登録商標)線状均一エチレン/α−オレフィンコポリマー樹脂;三井石油化学社(Mitsui Petrochemical Corporation)から市販されているTAFMER(登録商標)線状均一エチレン/α−オレフィンコポリマー樹脂及び、例えばAFFINITY(登録商標)又はENGAGE(登録商標)樹脂として知られている、ザ・ダウ・ケミカル社から市販されている、長鎖分枝状メタロセン触媒作用均一エチレン/α−オレフィンコポリマーも含まれる。句「均一ポリマー」は、比較的狭い分子量分布及び比較的狭い組成分布の重合反応生成物を指す。均一ポリマーは、均一ポリマーが、鎖内のコモノマーの比較的等しいシーケンシング(sequencing)、全ての鎖内のシーケンス分布のミラーリング(mirroring)及び全ての鎖の長さの類似性、即ちより狭い分子量分布を示す点で、不均一ポリマー(例えばULDPE、VLDPE、LLDPE及びLMDPE)とは構造的に異なっている。更に、均一ポリマーは、ほとんどの場合、チーグラー−ナッタ型触媒を使用するのではなくて、メタロセン又は他の単一サイト型触媒を使用して製造される。このような単一サイト型触媒は、典型的には、1種類のみの触媒サイトを有し、重合から得られるポリマーの均一性のための基礎であると信じられる。
【0040】
用語「実質的に線状」は、均一なコモノマー含有に起因する短鎖枝に加えて、このエチレンポリマーが、更に、ポリマー主鎖が平均0.01〜3個の長鎖枝/1000個の炭素によって置換されている点で、長鎖枝を有するとして特徴付けられることを意味する。好ましい実質的に線状のポリマーは、0.01個の長鎖枝/1000個の炭素〜1個の長鎖枝/1000個の炭素、更に好ましくは0.05個の長鎖枝/1000個の炭素〜1個の長鎖枝/1000個の炭素によって置換されている。
【0041】
実質的に線状のエチレン/α−オレフィンポリマーは、適切な束縛構造触媒(constrained geometry catalyst)、好ましくは、米国特許第5,132,380号明細書、米国特許第5,703,187号明細書及び米国特許第6,013,819号明細書中に開示されているような束縛構造触媒を使用する連続方法によって製造される。米国特許第5,026,798号明細書中で教示されているモノシクロペンタジエニル遷移金属オレフィン重合触媒も、本発明のポリマーを製造する際に使用するために適している。
【0042】
長鎖枝分かれは、本明細書に於いて、コモノマー含有の結果である任意の短鎖枝のものよりも大きい鎖長を有する枝として定義される。この長鎖枝は、ポリマー主鎖の長さとほぼ同じだけの長さであってよい。長鎖枝分かれは、当該技術分野内の方法を使用して、例えばRandallの方法(Rev.Macromol.Chem.Phys.,C29(2&3)、第275−287頁)を使用する定量化で、例えば13C核磁気共鳴(NMR)分光学的測定を使用することによって決定することができる。
【0043】
実質的に線状のエチレン/α−オレフィンポリマーに於いて、I10/I2比は、長鎖枝分かれの程度を示す。即ちI10/I2比が高いほど、ポリマー中の長鎖枝分かれが多い。一般的に、実質的に線状のエチレン/α−オレフィンポリマーのI10/I2比は、少なくとも約5.63、好ましくは少なくとも約7、特に少なくとも約8以上であり、そして約25にまでなる。実質的に線状のエチレンポリマーのメルトインデックスは、ASTM D−1238条件190℃/2.16Kg(以前は、条件Eとして知られていた)に従って測定される。
【0044】
用語「単一サイト型触媒」は、当該技術分野に於いて、チーグラーナッタ触媒を使用して製造されたポリマー中に観察されるものよりも小さい、製造された個々のポリマー鎖中の多様性を有する触媒を参照するとして認識されている。この多様性は、より広いMWDに於いて立証される。単一サイト型触媒には、単一サイトメタロセン又は単一サイト束縛構造触媒が含まれ、これらは、米国特許第4,937,299号明細書(Ewenら)、米国特許第5,218,071号明細書(Tsutsuiら)、米国特許第5,278,272号明細書、米国特許第5,324,800号明細書、米国特許第5,084,534号明細書、米国特許第5,405,922号明細書、米国特許第4,588,794号明細書、米国特許第5,204,419号明細書によって例示されている。
【0045】
HDPEは、高密度ポリエチレンのための略語であり、約0.950〜0.965g/cm3の密度を有するポリエチレンを指定する。HDPEは、しばしば、エチレンホモポリマーである。
【0046】
本明細書中に使用される用語「エチレン/酢酸ビニルコポリマー」又は「EVA」は、エチレン及び酢酸ビニルモノマーから形成されるコポリマーを指定し、ここで、エチレン誘導単位は、少なくとも50重量%の量で存在し、酢酸ビニル誘導単位は、50重量%よりも少ない量で存在する。この酢酸ビニル含有量は、所望の特性によって、2又は3%の低いものから40〜50%の高いものまでの範囲であってよく、一般的に、1〜30重量%であり、12〜35重量%の酢酸ビニルのものは、しばしば、タイ層用途のために使用される。ポリマーブレンドに於いて、EVAは、しばしば、ポリマー相の間の結合を改良するために添加される。
【0047】
本明細書中に使用される用語「エチレン/ビニルアルコールコポリマー」又は「EVOH」は、例えば酢酸ビニルコポリマーの加水分解若しくは鹸化により又はポリビニルアルコールとの化学反応により製造された、エチレン及びビニルアルコールから形成されたコポリマーを指定する。加水分解の程度は、好ましくは少なくとも50%、更に好ましくは少なくとも85%である。エチレンコモノマーは、一般的に、約15〜約65重量%の範囲内で存在する。
【0048】
本明細書に於ける、全てのパーセント、好ましい量又は測定値、範囲及びそれらの終点は包括的である。即ち「約10よりも小さい」は約10を含む。従って、「少なくとも」は「以上」と等価であり、従って「最大」は「以下」と等価である。本明細書中の数字は記載したもの以上の精度を有しない。従って、「115」は、少なくとも114.5から115.49までを含む。更に、全てのリストは、リストの2個又はそれ以上の員の組合せを含む。「少なくとも」、「よりも大きい」、「以上」として又は同様に記載されたパラメーターから、「最大」、「以下」、「よりも小さい」、「以下である」として又は同様に記載されたパラメーターまでの全ての範囲は、それぞれのパラメーターについて示された好ましさの相対程度に無関係に好ましい範囲である。従って、最も好ましい上限と組み合わせられた有利な下限を有する範囲は、本発明の実施のために好ましい。全ての量、比、割合及び他の測定値は、他の方法で記載されていない限り、重量基準である。全てのパーセントは、他の方法で記載されていない限り、本発明の実施に従った全組成物基準の重量%を指す。実施例又は他の方法で示されている場合を除いて、本明細書に於いて、量、パーセント、OH数、官能基等を表す全ての数は、全ての場合に於いて、用語「約」によって修正されるとして理解されるべきである。他の方法で記載されていないか又は他の方法で不可能であると当業者によって認められていない限り、本明細書中に記載されたプロセスの工程は、工程が本明細書中で検討されている順序とは異なる順序で、任意的に実施される。更に、工程は、任意的に、分離して、同時に又はタイミングが重なって起こる。例えば加熱及び混合のような工程は、しばしば、当技術分野で時間的に、分離しており、同時であり又は部分的に重なっている。他の方法で記載されていない限り、望ましくない影響を及ぼしかねない要素、材料又は工程が、それが、許容できない程度までは影響を及ぼさないような、量又は形で存在するとき、それは、本発明の実施のために実質的に存在しないと考えられる。更に、用語「許容できない」及び「許容できなく」は、商業的に有用であり、それ以外には与えられた状況で有用である又は外側予定限界(outside predetermined limits)(この限界は、特定の状況及び適用で変化し、性能仕様のように予定により設定することができる)であるものからの逸脱を指すために使用される。当業者は、許容できる限界が、装置、条件、適用及びその他の変数と共に変化するが、それらが適用できるそれぞれの状況に於いて過度の実験なしに決定できることを認識している。幾つかの例に於いて、一つのパラメーターに於ける変動又は逸脱は、別の望ましい目的を達成するために許容できる。
【0049】
用語「を含んでなる(comprising)」は、「含有する」、「含む」又は「によって特徴付けられる」と同義であり、包括的であるか又は制限が無く、追加的、列挙されていない要素、材料又は工程を排除しない。用語「から本質的になる(consisting essentially of)」は、特定された要素、材料又は工程に加えて、列挙されていない要素、材料又は工程が、主題の少なくとも1個の基本的で新規な特徴に、許容できない程、著しく影響を及ぼさない量で任意的に存在することを示す。用語「のみからなる(consisting of)」は、列挙されていない要素、材料又は工程が、認識できる影響を及ぼさないか又は実質的に存在しない程度に存在してよいことを除いて、記載された要素、材料又は工程のみが存在することを示す。
【0050】
本発明は少なくとも1個のバリヤー層及び少なくとも1個のUV保護層を含む多層構造体を含む。
【0051】
このバリヤー層は、酸素の浸透に対するバリヤーであり、好ましくは少なくとも1種の塩化ビニリデンポリマーを含んでなる。塩化ビニリデンポリマー(塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニリデンの共重合体、塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデンのコポリマー及びPVDCとしても知られている)は当該技術分野で公知である。例えば米国特許第3,642,743号明細書及び米国特許第3,879,359号明細書参照。本明細書中に使用される用語「塩化ビニリデンの共重合体」、「塩化ビニリデン共重合体」又は「PVDC」は、主成分が塩化ビニリデンであり、任意的に、好ましくは、塩化ビニリデンモノマーと共重合性である1種又はそれ以上のモノ−エチレン性不飽和モノマー(モノ不飽和コモノマー)、例えば塩化ビニル、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルを有する、コポリマー、ターポリマー及び高級ポリマーを包含する。一つの態様に於いて、本発明は、特に、アクリル酸アルキル塩化ビニリデンポリマー(アクリレートPVDC)に適用可能である。この塩化ビニリデンポリマーは塩化ビニリデン及び少なくとも1種のアクリル酸アルキルからのモノマー単位を有する。このようなアクリル酸アルキルには、炭素数1〜5のアルキル基を有するアクリル酸アルキル及びこれらの組合せ、好ましくはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル若しくはアクリル酸ブチル又はこれらの組合せ、更に好ましくはアクリル酸メチル若しくはアクリル酸ブチル又はこれらの組合せ、更に好ましくはアクリル酸メチル又はこれとの組合せが含まれる。別の態様に於いて、この塩化ビニリデンポリマーは、任意的に、また、塩化ビニリデン及びアクリル酸アルキルと重合性である少なくとも1種の追加のモノ不飽和コモノマー、例えば塩化ビニル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル及びこれらの組合せ、好ましくはメタクリル酸アルキル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル又はこれらの組合せを有する。
【0052】
バリヤー層又はバリヤー層群は、有利には、少なくとも約80重量%、好ましくは少なくとも約85重量%、更に好ましくは少なくとも約90重量%、最も好ましくは少なくとも約95重量%の、ポリ塩化ビニリデンポリマー又はこれらの組合せを含んでなる。それぞれの層の残りは、任意的に、塩化ビニリデンポリマーと相容性である少なくとも1種のポリマー、当該技術分野内の添加剤、例えば安定剤、加工助剤、粘着防止剤、スリップ剤及びこれらの組合せである。
【0053】
このバリヤー層は、好ましくは、本発明の多層構造体の、少なくとも約8体積%、更に好ましくは少なくとも約10体積%、最も好ましくは少なくとも約12体積%で、独立に好ましくは最大約20体積%、更に好ましくは最大約18体積%、最も好ましくは最大約16体積%である。層が同一の広がりである好ましい構造体に於いて、相対体積は、実質的に、相対厚さに対応する。本発明の更に好ましい多層フィルムに於いて、全フィルム厚さは、好ましくは少なくとも約2.2ミル(55.9μm)、更に好ましくは少なくとも約2.7ミル(68.6μm)、最も好ましくは少なくとも約3.3ミル(83.8μm)で、独立に好ましくは最大約5.5ミル(139.7μm)、更に好ましくは最大約5.0ミル(127μm)、最も好ましくは最大約4.5ミル(114.3μm)である。
【0054】
本発明の実施に於いて、異なった用途のために適しているバリヤー層は、バリヤー特性を増加させるためにPVDC層の体積若しくは厚さを増加させる手段又は異なったバリヤー値を有する異なったPVDCコポリマーを使用するような手段によって達成できる。例えばより高いバリヤーPVDC材料のより薄い層又はより低いバリヤーPVDC材料のより厚い層を使用することができる。
【0055】
UV吸収層又はUVバリヤー層とも呼ばれるUV保護層には、好ましくは少なくとも1種のダーク顔料、即ち紫外(UV)光、即ち約200〜400nmの波長を有する光を吸収することができる顔料又は他のUV吸収剤を含む少なくとも1個の層が含まれる。UV光を吸収することができる顔料は当該技術分野内であり、例えばカーボンブラック、HALS(ヒンダードアミン光散乱添加剤)及びこれらの組合せを含む。このようなダーク顔料を含む層は、本明細書に於いて、ダーク層として参照される。あまり好ましくない態様に於いて、他のUV吸収剤、例えばHALS又はこれらの組合せが、UV光を吸収するために使用される。顔料は、初期露光の後、UV光を吸収し続けるという利点を有し、一方、化学吸収剤は、時々、吸収の結果として化学変化を受ける。このような吸収剤は、周りのポリマーに影響を与えるかもしれず又は食品がそれに露出される量に於いて制限されるかもしれない。使用される顔料又は吸収剤の量は、好ましくは、多層構造体から製造された包装の意図する内容物を、UV光によって起こされる悪化から保護するために充分なUV光を吸収するために充分なものである。当業者は、この量が、包装内容物、顔料又は吸収剤、UV光露出の量等のような因子と共に変化するであろうが、過度の実験無しに決定することができることを認識しているであろう。一般的に、好ましくは最大約2、更に好ましくは最大約1.5、最も好ましくは最大約1.0の、UV吸収材料との層の組合せの、ASTM E308−06の手順によって決定したときのL(透過率)値になるために充分なダーク顔料の量が、包装が露出されるUV光を吸収するために充分である。このLは、例えば一緒になって多層フィルムの体積の約20%を構成する1個又はそれ以上の層中に、好ましくは最大約5重量%、更に好ましくは最大約4重量%、最も好ましくは最大約3重量%のカーボンブラックを含有させることによって、適切に与えられる。
【0056】
UV吸収顔料又は添加剤に加えて、それぞれのUV保護層は、少なくとも1種のポリマーを含む。このポリマーは、適切には、多層構造体又はフィルムを製造するための当該技術分野内の任意のポリマーである。当業者は、このポリマーが、特定の最終用途に於いて望ましいその特性のために選択されることを認識している。包装する、特に流動性製品、特にミルクのような液体を包装するために、好ましいポリマーには、低密度ポリエチレン、エチレン−オクテンコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−アクリル酸メチルコポリマー又はこれらの組合せが含まれ、エチレンポリマー又はこれらの組合せが好ましい。バリヤー層の場合に於けるように、それぞれのUV保護層には、任意的に、当該技術分野内の添加剤、例えば安定剤、加工助剤、粘着防止剤、スリップ剤及びこれらの組合せが含有される。
【0057】
一つの態様に於いて、5層より多い層を有する多層フィルムに於いて、この課題を達成するために単一の厚い層を有することは、一般的に容易に実施することができないので、任意的に、1個より多いUV保護層、好ましくはダーク層が存在する。このようにすることは、1台の押出機がフィルムの1個の層の全体厚さを増加できるように、オペレータが、数台の押出機の押出速度を低下させることを必要とする。その代わりに、数個の層に顔料を添加し、押出機の全部を高速度で運転することが、より良い。これによって、オペレータは、速度不利益を得ることなく、顔料入り層の充分な厚さを形成することが可能になる。層の数は、好ましくは選択されたUV吸収剤又はこれらの組合せの便利な含有量で好ましいUV吸光度を与えるために適切な数である。しかしながら、殆どの例に於いて、適切なUV吸光度は、カーボンブラックのような顔料を含有する1個の層によって達成可能である。このようなUV保護層の組み合わせた厚さは、好ましくは少なくとも約0.3ミル(7.6μm)、更に好ましくは少なくとも約0.5ミル(12.7μm)、最も好ましくは少なくとも約0.7ミル(17.8μm)で、独立に好ましくは最大約1.5ミル(38.1μm)、更に好ましくは最大約1.3ミル(33.0μm)、最も好ましくは最大約1.1ミル(27.9μm)である。好ましい多層フィルムに於いて、このような層又は層群は、構造体の、好ましくは少なくとも約10体積%、更に好ましくは少なくとも約15体積%、最も好ましくは少なくとも約20体積%で、独立に好ましくは最大約40体積%、更に好ましくは最大約35体積%、最も好ましくは最大約30体積%である。
【0058】
UV保護と組み合わせた少なくとも1個のバリヤー層によって与えられる酸素からの保護及び少なくとも1個のUV保護層によって与えられる幾らかの温度保護によって、好ましくは、ミルクのような製品を、冷蔵を必要とするのではなくて、環境温度で輸送することが可能である。追加の保護は、少なくとも1個の反射層の使用によって好ましく加えられる。
【0059】
反射層は、可視光及び好ましくはUV光も反射する層である。これは、白又は薄い色、例えば銀又は他の金属色として認められる。このような層は、光からの保護及び好ましくはまた、熱放射、即ち熱からの幾らかの保護を与える。更に、消費者は、特にミルクのような製品のために、白い外層を好む傾向がある。薄い色は、印刷のための好ましい表面も与える。反射層は、当該技術分野内にあり、しばしば、銀、アルミニウム若しくは他の金属顔料若しくはコーティングを含有し又は白色顔料、例えば二酸化チタン若しくはこれらの組合せを有する。反射層は当該技術分野内である。本発明の実施に於いて、反射層は、好ましくは予め選択された最終用途のために適切な下記の目的、即ち光からの保護、熱からの保護、美的外観、印刷性又はこれらの組合せのものを達成するために充分に反射性である。ほとんどの場合、好ましくは少なくとも約75、更に好ましくは少なくとも約80、最も好ましくは少なくとも約85の、ASTM E308−06の手順によって決定したときのL(反射率)値になるために充分な反射性又は白色顔料の量は、所望の品質を与えるために充分である。このLは、例えば光層又は層群中のポリマーの重量基準で、好ましくは少なくとも約2重量%、更に好ましくは少なくとも約4重量%、最も好ましくは少なくとも約6重量%で、独立に、好ましくは最大約20重量%、更に好ましくは最大約15重量%、最も好ましくは最大約10重量%の二酸化チタンを含有させることによって、適切に与えられる。UV保護層について説明したのと同じ理由で、多層反射層がしばしば好ましい。組み合わせた反射層又は層群の厚さは、好ましくは、少なくとも約1ミル(25.4μm)、更に好ましくは少なくとも約1.25ミル(31.8μm)、最も好ましくは少なくとも約1.50ミル(38.1μm)で、独立に好ましくは最大約2.50ミル(63.5μm)、更に好ましくは最大約2.25ミル(57.2μm)、最も好ましくは最大約2.0ミル(50.8μm)である。好ましい多層フィルムに於いて、このような層は、構造体の、好ましくは少なくとも約10体積%、更に好ましくは少なくとも約20体積%、最も好ましくは少なくとも約30体積%で、独立に好ましくは最大約60体積%、更に好ましくは最大約50体積%、最も好ましくは最大約40体積%を含む。この反射層が、また、フィルム又は包装物が露光されるUV光の少なくとも約95%を反射するとき、UV吸収層は必要ではなく又は換言すると、反射層は、UV保護層でもある。UV光を反射する他の反射層は、減少した程度までであるが、UV吸収添加剤の量又はUV保護層若しくは層群の厚さについてのニーズを減少させる。当業者は、UV光の浸透又は反射を測定して、UV保護層によって吸収されるべき量を決定することができる。
【0060】
反射性顔料若しくはコーティング、印刷性を向上させるための他の添加剤又はこれらの組合せに加えて、それぞれの反射層は、少なくとも1種のポリマーを含む。このポリマーは、適切には、多層構造体又はフィルムを作るための、当該技術分野内の任意のポリマーである。当業者は、このポリマーが、特定の最終用途のために望ましいその特性のために選択されることを認識している。包装のために、特に、流動性製品、特に液体、例えばミルクを包装するために、特に、外側層のための好ましいポリマーには、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−オクテンコポリマー、実質的に線状のエチレンポリマー、低密度ポリエチレン、強靱なポリマー、例えばナイロン若しくはポリプロピレン又はこれらの組合せが含まれ、エチレンポリマー又はこれらの組合せが好ましく、LLDPE又は特に他のエチレンポリマーとのこれらの組合せが最も好ましい。好ましい態様に於いて、本発明の多層フィルムの1個より多い層が反射性であるとき、これらの層が、他の目的に同様にかなうことが好ましい。即ち光又は熱の反射を導入する又は増加する目的のためのみの層を追加するのではなくて、タイ層のような、他の方法で層中に存在する白色顔料又は薄色顔料を使用することが好ましい。この理由から、追加の反射層は、好ましくは、タイ層の目的のために有用なポリマー、例えばエチレン酢酸ビニル(EVA)又は実質的に線状のエチレンポリマー、更に好ましくはEVAからなる。バリヤー層の場合に於けるように、それぞれの反射層には、任意的に、当該技術分野内の添加剤、例えば安定剤、加工助剤、粘着防止剤、スリップ剤及びこれらの組合せが含有される。
【0061】
好ましい態様に於いて、この多層構造体には、少なくとも1個のバリヤー層及び少なくとも1個のUV保護層及び好ましくは少なくとも1個の反射層に加えて、少なくとも1個のシーリング層又はシーラント層が含まれる。例えば米国特許第6,117,465号明細書、米国特許第5,288,531号明細書、米国特許第5,360,648号明細書、米国特許第5,364,486号明細書、米国特許第5,508,051号明細書、米国特許第5,721,025号明細書、米国特許第4,521,437号明細書、米国特許第5,288,531号明細書及び米国特許第6,919,407号明細書(これらを、法律によって許容される全範囲まで参照して本明細書に含める)のような文献中に開示されているような、当該技術分野内の任意のこのような層である。好ましいシーラントは、少なくとも1種の低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、実質的に線状のエチレンポリマー又はこれらの組合せからなり、好ましくは少なくとも1種の実質的に線状のエチレンポリマー、例えばザ・ダウ・ケミカル社から商品名Elite(登録商標)若しくはAffinity(登録商標)で市販されているもの又はこれらの組合せを含む。
【0062】
シーリング層の厚さは、好ましくは少なくとも約0.5ミル(12.7μm)、更に好ましくは少なくとも約0.75ミル(19.1μm)、最も好ましくは少なくとも約1.0ミル(25.4μm)で、独立に好ましくは最大約2.5ミル(63.5μm)、更に好ましくは最大約2.0ミル(50.8μm)、最も好ましくは最大約1.5ミル(38.1μm)である。好ましい多層フィルムに於いて、このような層は、構造体の、好ましくは少なくとも約15体積%、更に好ましくは少なくとも約22体積%、最も好ましくは少なくとも約30体積%で、独立に好ましくは最大約75体積%、更に好ましくは最大約60体積%、最も好ましくは最大約45体積%を含む。シーラント層の有効性は、しばしば、ポリマー密度と相関性がある。エチレンポリマーシーリング層の場合に、この密度は、好ましくは少なくとも約0.93g/cm3、更に好ましくは少なくとも約0.91g/cm3、最も好ましくは少なくとも約0.89g/cm3である。製品を封入するパウチ又は他の包装に於いて、シームを形成するために、シーリング層は内側層であり、従って、包装内容物と接触する。従って、顔料、特にカーボンブラックは、好ましい感覚刺激品質を達成し、幾つかの領域に於いて食品法規を満たすために、シーリング層から避けるのが好ましい。
【0063】
剪断減粘性を増加させることによってより容易な押出を可能にし、フィルムバブル形成の間の溶融強度を与えるために、任意的に、低密度ポリエチレン(LDPE)が1個又はそれ以上の層の中にブレンドされる。
【0064】
1個又はそれ以上のタイ層が、任意的に、本発明の多層構造体の任意の層、特に、タイ層無しにお互いに対して、望ましいものよりも小さい接着力を有する任意の層の間に使用される。タイ層は当該技術分野内である。これらの組成物は、タイ層が、それぞれの直に隣接する層に対して接着するように、直に隣接する層の組成物によって決定される。エチレン/酢酸ビニルコポリマー(EVA)を含むポリマーがポリ塩化ビニリデンに隣接するタイ層中に頻繁に使用される。酢酸ビニル誘導単位は、しばしば、タイ層用途のために、約12〜35重量%の量で存在する。
【0065】
当業者は、当該技術分野内の1個又はそれ以上の他の層、例えば補強層、バルク層(bulk layer)、補剛層等又はこれらの組合せが、任意的に、本発明の多層構造体中に含まれることを認識しているであろう。しかしながら、これらは、多層構造体がUHTミルクを包装するために使用されるとき、殆どの状況で好ましくない。
【0066】
内側層としてのシーリング層,スキン層としての最外層(これらの間に少なくとも1個のバリヤー層を有する)について言うと、反射層又はこれらの組合せは、望ましい美的外観を与えるように、反射層は、好ましくはUV保護層(これは、好ましくはシーリング層により近い)よりもスキン層(これは、任意的に、好ましくは反射層である)に近い。好ましい構造には、ACTABD、ATCTABD、AATCTAB、AATCTB、AATCB、ABCD、ACBD、ATBTCD、AAABTCTD、AAATCTBD、AABTCTD又はAATABBTCTD(式中、Aは少なくとも1個の反射層であり、Bは少なくとも1個のUV保護層であり、Cは少なくとも1個のバリヤー層であり、Dは少なくとも1個のシーリング層であり、そしてTは少なくとも1個のタイ層である)の少なくとも1個が含まれる。更に好ましい構造には、AACABD、ATCTBD、ACTABD、ATCTABD、AATCTAB、AATCTB及びAATCBが含まれ、AACABD、ATCTBD、ACTABD及びATCTABDが最も好ましい。本発明の範囲内の他の構造には、BC、ABC、ACB、BCD、CBD、ACD(式中、Aは、適切に反射性であり、UV保護性でもある)、ACABD、BTC、ABTC、ATCTB、BTCTD、CTBD、ATCTD(式中、Aは、適切に反射性であり、UV保護性でもある)、ATCTABD及びこれらの組合せが含まれる。これらの構造のそれぞれに於いて、Cは、任意的に、好ましくは、例えば米国特許第6,685,872号明細書又は米国特許第4,842,791号明細書(これらを、法律によって許容される範囲まで参照して本明細書に含める)中に記載されているように、それのいずれかの側にカプセルに入れられたポリマーの層を有する。好ましいカプセルに入れられたポリマーには、エチレン酢酸ビニル、エチレンメタクリレート又はこれらの組合せが含まれる。任意のタイ層は、任意的に、反射性若しくはUV保護性でもあり又はAT、TA、BT、TB組合せは、任意的に、両方の機能を有する単一層である。更に、当業者は、前記の層の間又はスキン層の外側にも追加の層、例えば透明な保護層、それらのいずれかの側上に印刷されるラベル層(印刷される場合、透明なラベルは内側表面上にある)又はこれらの組合せが、本発明の範囲から逸脱することなく任意的に存在することを理解するであろう。
【0067】
少なくとも1個のバリヤー層、少なくとも1個のUV保護層、任意的に少なくとも1個の白色顔料入り又は反射層、少なくとも1個のシーリング層及び任意的に他の層は、多層構造体、好ましくは多層フィルムの中に、当該技術分野内のいずれかのプロセスによって形成される。好ましくは、これらの層は、共押出され、更に好ましくは、共押出されそして吹込成形又は流延され、最も好ましくは、共押出されそして吹込成形されて、フィルムを形成する。このようなプロセスは当該技術分野内である。単純な吹込成形バブルフィルムプロセスは、例えばThe Encyclopedia of Chemical Technology、Kirk−Othmer、第3版、John Wiley & Sons、ニューヨーク、1981年、第16巻、第416〜417頁及び第18巻、第191〜192頁に記載されている。従って、本発明には、(a)少なくとも1種の塩化ビニリデンポリマーを含む少なくとも1種の第一の組成物、UV吸収顔料又は薬剤を含む少なくとも1種の第二の組成物及び少なくとも1種の反射性顔料を含む少なくとも1種の第三の組成物を、共押出ダイに供給する工程並びに(b)第一の組成物及び第二の組成物を層として共押出する;好ましくは、この共押出された層を膨張させて、多層構造体、好ましくはフィルムを形成する工程のプロセスが含まれる。好ましくは、少なくとも1個の追加の組成物も供給されて、少なくとも1個の印刷性層、少なくとも1個のシーリング層又は更に好ましくはこれらの組合せを形成する。当業者は、共押出されたフィルムに於いて層群が、溶融及び結合からの不規則な層を有するかもしれず又は追加の接着層を有するかもしれないラミネートされた又は結合されたフィルムに於けるよりも、一層一体的若しくは均一又は両方の組合せである点で、共押出されたフィルムが、ラミネートされた又は結合された多層フィルムとは構造的に異なることを認識する。
【0068】
本発明は、形成された多層構造体を含み、追加的に、本発明の少なくとも1種の多層構造体からなる物品を含む。このような物品には、包装又は他のコンテナー、特に、パウチ、ジッパーバッグ等又はこれらの組合せが含まれる。好ましい多層構造体は、横方向に少なくとも2個のシールを有し、好ましくは縦方向に0〜2個のシールを有する、更に好ましくは、縦及び横方向の両方にシールを有する(ピローパウチ)、一つの好ましい態様に於いて、最も好ましくは、それぞれの方向に2個のシールを有する、代替の最も好ましい態様に於いて、好ましくは、縦方向に1個のシール及び横方向に2個のシールを有するパウチである。この設計によって、包装業者は、市場の要求に応じて、種々の量で製品を包装するために任意のサイズのパウチも製造することが可能になる。このようなシールは、当該技術分野の技術内の任意の手段によって作られる。
【0069】
本発明の多層構造体又はフィルムが、包装、特にパウチの形態にあるとき、これは、好ましくは流動性物質、好ましくは、少なくとも充填の時に、少なくとも一部の液体、更に好ましくは液体製品を含む流動性物質を含有するために使用される。この包装は、好ましくは、食品、例えばナッツ、シリアル及び他の粉砕物質用に、更に好ましくは、液体を含む食品、例えば水、ジュース、ワイン、ブロス、肉汁、ソース又は油中の、さいの目に切った果実若しくは野菜、粉砕した、さいの目に切った若しくはフレークにした肉若しくは魚又は丸ごとの若しくは粉砕したスパイス用の、最も好ましくは、液体、例えばソース、ジュース、ワイン、炭酸なし飲料又は最も好ましくはミルク用に使用される。
【0070】
従って、本発明の実施によって、UHTミルクを、少なくとも約90日間、有利には少なくとも約105日間、好ましくは少なくとも約120日間、更に好ましくは少なくとも約150日間、最も好ましくは少なくとも約6ヶ月間の期間、好ましくは環境条件下で、更に好ましくは、少なくとも約24℃、更に好ましくは少なくとも約25℃、最も好ましくは少なくとも約26℃の平均温度の環境条件下で、有利には最高約25℃、好ましくは最高約29℃、更に好ましくは最高約30℃、最も好ましくは最高約31℃の、貯蔵時間に亘る平均毎日高温度(daily high temperature)で及び有利には少なくとも約50、好ましくは少なくとも約55、更に好ましくは少なくとも約60、最も好ましくは少なくとも約65で、独立に好ましくは最高約85、更に好ましくは最高約87、最も好ましくは最高約89の相対湿度で、保護することができる多層構造体が提供される。この多層構造体は、下記の特徴(特徴の数が増加すると好ましさが増加する)、即ち(1)UHTミルクのために標準的に使用されるポリマー/箔/紙硬質容器の重量よりも少ない、1000mL入りで包装されたミルクの、好ましくは約4重量%よりも少ない、更に好ましくは約3重量%よりも少ない、最も好ましくは約2.5重量%よりも少ない重量、(2)箔よりも小さい、バリヤー層に於ける亀裂若しくはピンホールに対する感受性、(3)異なったバリヤー層、例えばエチレンビニルアルコール(EVOH)を使用した同等のラミネートで、同じ条件下で達成されるものよりも長い期間、環境条件下で貯蔵されたミルクを保護する能力、(4)標準的ポリマー/箔/紙ラミネートミルクボックス若しくはミルクパウチのための、標準的ポリマー/箔若しくは金属化フィルム/ポリマーラミネートよりも少ない厳格さを要する包装製造、(5)共押出によって製造可能である又は(6)冷蔵温度ではなく環境温度で輸送若しくは貯蔵(若しくは両方)を容易にするための又は包装された製品を、代替包装材料、例えば異なったバリヤー層、例えばエチレンビニルアルコール(EVOH)を使用して、消費可能な製品の同じ貯蔵寿命若しくはパーセントを達成するために必要な温度を超えて、包装された製品を貯蔵、輸送若しくは両方できる温度を少なくとも上昇させる能力の1個又はそれ以上をも有する。EVOHバリヤー層及びPVDCバリヤー層を比較する際に、EVOHが、ASTM D−3985の試験条件、即ち23℃及び0%相対湿度(RH)の条件下で、等価標準寸法でポリ塩化ビニリデンポリマーよりも高い酸素バリヤー(即ちより低い絶対浸透値)を有することはよく知られている。従って、当業者は、同様の標準酸素バリヤーを有すると予想される層の比較は、多層構造体の同じ厚さ又は体積%を有するバリヤー層の比較よりも意味があることを認識している。この理由のために、本明細書に於ける有効性の比較は、ASTM D−3985の手順に従って測定したとき、同様の酸素バリヤー特性を有すると予想される層の比較を指す。バリヤー比較の編集したものは、例えばhttp://plastics.dow.com/plastics/na/techcenters/saran/perf/oxy.htmで公開されている。本発明の実施に従った多層構造体は、ASTM D3985の実施に従って測定した同様の酸素バリヤーを有すると予想されるEVOHバリヤー層を有する同様の構造体と比較したとき、環境(非冷蔵)条件下で、特に熱及び湿度の存在下で、試験製品としてミルクを保存する際に、EVOHを含有する多層構造体よりも驚くほど一層有効である。
【0071】
本発明の目的及び利点を、下記の実施例によって更に例示する。これらの実施例中に記載した、特別の材料及びその量並びに他の条件及び詳細は、本発明を限定するために使用されるべきではない。むしろ、これらは本発明全体の例示である。他の方法で記載しない限り、全てのパーセント、部及び比は、重量基準である。本発明の実施例には番号を付け、一方、本発明の実施例ではない比較例は、アルファベットで指定する。
【実施例】
【0072】
実施例1
多層構造体を、特定された層について下記の組成物から形成する。
【0073】
層A:構造体の12体積%、98.44重量%の、ダウ・ケミカル社から商品名ELITE(登録商標)5500で市販されている実質的に線状のポリエチレン。この層には、また、1重量%の、Ampacet社から名称102113で市販されている、LLDPE中のポリマー加工助剤マスターバッチが含有されている。更に、800ppmのステアラミド、800ppmのエルカミド及び4000ppmの珪藻土シリカ(SiO2)が添加されている。
【0074】
層B:構造体の21体積%、77.44重量%の、ダウ・ケミカル社から商品名ELITE(登録商標)5500で市販されている実質的に線状のポリエチレン;20重量%の、Ampacet社から名称190405で市販されている、LDPE中のカーボンブラックマスターバッチ。更に、800ppmのステアラミド、800ppmのエルカミド及び4000ppmの珪藻土シリカ(SiO2)が添加されている。
【0075】
層C:構造体の14体積%、82.44重量%の、E.I.DuPont de Nemours社から商品名ELVAX(登録商標)3170で市販されているEVA;15重量%の、Ampacet社から名称11560で市販されている、LDPE/LLDPE中のホワイトマスターバッチ。更に、800ppmのステアラミド、800ppmのエルカミド及び4000ppmの珪藻土シリカ(SiO2)が添加されている。
【0076】
層EN:構造体の14体積%。外側の2体積%(合計4体積%)は、50重量%の、Arkema社から商品名LOTRYL(登録商標)24MA005で市販されているEMA及び50重量%の、Arkema社から商品名LOTRYL(登録商標)29MA03で市販されているEMAを含む。内側の10体積%は、100重量%の、ダウ・ケミカル社から商品名SARAN(登録商標)XUS32019.10Lで市販されているPVDCからなる。
【0077】
層D:構造体の10体積%、82.44重量%の、E.I.DuPont de Nemours社から商品名ELVAX(登録商標)3170で市販されているEVA;15重量%の、Ampacet社から名称11560で市販されている、LDPE/LLDPE中のホワイトマスターバッチ。更に、800ppmのステアラミド、800ppmのエルカミド及び4000ppmの珪藻土シリカ(SiO2)が添加されている。
【0078】
層E:構造体の29体積%、82.44重量%の、ダウ・ケミカル社から商品名DOWLEX(登録商標)2247Gでの線状ポリエチレン;15重量%の、Ampacet社から名称11560で市販されている、LDPE/LLDPE中のホワイトマスターバッチ。この層には、また、1重量%の、Ampacet社から名称102113で市販されている、LLDPE中のポリマー加工助剤マスターバッチが含有されている。更に、800ppmのステアラミド、800ppmのエルカミド及び4000ppmの珪藻土シリカ(SiO2)が添加されている。
【0079】
実施例1のフィルムは、従来の上昇インフレートフィルムラインで製造される。このラインは、6個の別個のポリマー流によって供給される、22インチ(0.56m)直径インフレートフィルムダイからなる。これらの流の4個(A、B、D及びE)は、75mmのスクリューが取り付けられた単軸スクリュー押出機によって供給される。ポリマー流の1個(C)は、100mmのスクリューが取り付けられた単軸スクリュー押出機によって供給される。6番目の流は、米国特許第6,685,872号明細書(これを、法律によって許容される範囲まで参照して本明細書に含める)の教示に従って作られるカプセルに入れられたポリマー流(EN)を含む。このカプセルに入れられたポリマー流ENを作るために、2台の独立の単軸スクリュー押出機(S、SE)を使用して、カプセル化ダイに供給する。カプセル化ダイからの押出物は、別の流(SE)によって完全にカプセルに入れられたコア流(S)からなる、ポリマー流ENである。
【0080】
これらの押出機及びスクリューの全ては、Davis-Standard社から市販されている。インフレートフィルムダイ及びカプセル化ダイは、共に、Brampton Engineering社から商品名ISOtherm SCDで市販されている。流群は、インフレートフィルムダイに入り、下記、A、B、C、EN、D、Eのように「積み重ねられる」。押出機、A、B、C、D、E、S及びSEについての押出機及びダイ条件を、下記の表1に記載する。
【0081】
【表1】

【0082】
比較サンプルA
比較サンプルAのフィルムは、Carpak,Colombiaから市販されている、エチレンビニルアルコール(EVOH)バリヤー層を有する84ミクロン厚さのフィルムである。下記の同定及び層厚さは、ホットステージ、赤外(IR)、示差走査熱量測定(DSC)試験方法及び種々の光学顕微鏡検査技術並びに公知のポリマーとの比較に基づいている。
【0083】
層A:構造体の30体積%。これは、実質的に線状のポリエチレン又は線状低密度ポリエチレンであるポリエチレンを含有し、小成分の高圧低密度ポリエチレンを有してよい。この層の融点は約121℃である。
【0084】
層B:構造体の13体積%。高圧低密度ポリエチレン及びLDPE中のカーボンブラックマスターバッチ。
【0085】
層C及び層E:構造体の4体積%、約98〜99℃の融点を有する、層B及び層Dのためのタイ層。構成は不明である。試験は、無水マレイン酸グラフトポリマーに一致する。
【0086】
層D:構造体の5体積%。約44モル%のエチレン含有量を有する、エチレンビニルアルコール、EVOH。この層についての融点は、DSCに従って163℃、ホットステージ測定に従って170℃である。
【0087】
層F及び層G:これらは、構造体の43体積%(一緒にした両方の層について)を有する2つの連続した層である。これは、主としてポリエチレン、即ち、少量の高圧低密度ポリエチレンの可能性を有する、実質的に線状のポリエチレン又は線状低密度ポリエチレンである。これらの層には、LDPE/LLDPE中のホワイトマスターバッチ(及び/又は充填剤)が含まれる。
【0088】
実施例1と比較サンプルAとの比較
比較A及び実施例1のフィルムを使用してミルクパウチを形成し、1−Lパウチの中にUHTミルクを包装する。両方に、同じ無菌包装機から、同時に、同じ製品を包装する。
【0089】
全てのパウチ(実施例1及び比較サンプルAのそれぞれの15ユニット)を、エクアドル国、Guayaquilにある倉庫内で、環境−非冷蔵−条件下で貯蔵する。これらのパウチを、如何なる種類のコンディショニングもしないで、室温で、建物の中に置く。サンプルは、2007年2月2日に包装し、貯蔵寿命試験を同日に開始し、2007年7月31日まで続ける。2週間毎に、それぞれの物質の1個のパウチを、下記のことについて、官能パネル及び分析試験を使用して試験する。
【0090】
官能:ミルクについて、許容できる味、臭い、色、外観(官能パネル)。
【0091】
物理−化学:pH(方法Association of Analytical Communities(AOAC)18th981.12)、乳酸度(AOAC18th947.05)、エタノール含有量(方法Ecuadorian National Standards Institute(INEN)1500)、密度。
【0092】
微生物学:好気性生物含有量(AOAC18th986.33)、大腸菌含有量(AOAC18th986.33)。
エクアドル国Guayaquilに於いて、過去の気象データに従って、平均で、下記の温度である。
【0093】
【表2】

【0094】
比較サンプルAのフィルムから製造したパウチ内に包装したUHTミルクは、包装した後85日で実施した分析で、全ての仕様に合格し、包装した後101日で官能仕様に不合格である。実施例1のフィルムから製造したパウチ内に包装したUHTミルクは、包装した後158日で実施した分析で、全ての仕様に合格し、包装した後174日で官能仕様に不合格であった。当業者は、Dow.com及びEvalca.comのような情報源が、実施例1のフィルムの84ミクロン厚さの厚さの10%又は8.4ミクロンの塩化ビニリデン/アクリル酸メチルバリヤーフィルムが、ASTM D3985−05の手順に従って23℃及び0%RHの標準条件下で、3.4cc/m2−日−atmの予想される酸素透過を有し、一方、比較サンプルAの84ミクロン厚さの5%又は4.2ミクロンのエチレン酢酸ビニルバリヤーフィルムが、同じ条件下で1.5cc/m2−日−atmの酸素透過を与えると予想されるであろうことを教示していることを認識している。これらの結果は、このバリヤー層が、単独で標準条件下で、同様の結果を与えると予想されても、塩化ビニリデンポリマーバリヤー層を使用して本発明の実施に従って製造されたミルクパウチは、1年の最初の部分の間、海岸のエクアドルの環境温度及び湿度で、エチレン酢酸ビニルバリヤー層を使用する同様の商業的フィルムよりも、約73日間又は約85%長く、ミルクを予想外に保存することを示している。この結果は、冷蔵せずに、ミルクのような食品の輸送及び貯蔵を可能にすることで、本発明の驚くべき価値を示している。
【0095】
本発明の態様には、下記のものが含まれる。
1.少なくとも1個の、少なくとも1種の塩化ビニリデンポリマーからなるバリヤー層及び少なくとも1個のUV保護層を含んでなる多層構造体。
2.他の態様のいずれかの少なくとも1種の多層構造体を含んでなる物品。
3.(a)少なくとも1種の塩化ビニリデンポリマーからなる少なくとも1種の第一の組成物、UV吸収顔料又は薬剤からなる少なくとも1種の第二の組成物及び少なくとも1種の反射性材料を含む少なくとも1種の第三の組成物を、共押出ダイに供給する工程並びに(b)第一の組成物、第二の組成物及び第三の組成物を層として共押出する工程を含むプロセス。
4.少なくとも1種の追加の組成物も供給して、少なくとも1個の追加の反射層、少なくとも1個のシーリング層又は好ましくはこれらの組合せを形成するいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
5.前記プロセスが、追加的に、前記共押出された層を膨張させて、多層構造体を形成する工程からなる、いずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
6.前記多層構造体がフィルムであるいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
7.前記塩化ビニリデンポリマーが少なくとも1種のアクリル酸アルキル塩化ビニリデン共重合体であるいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
8.前記アクリル酸エステルがアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル若しくはアクリル酸ブチル又はこれらの組合せから選択されるいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
9.前記アクリル酸エステルがアクリル酸メチル若しくはアクリル酸ブチル又はこれらの組合せから選択されるいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
10.前記アクリル酸エステルがアクリル酸メチルであるいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
11.前記バリヤー層又は層群が少なくとも約80、85、90又は95重量%のいずれかのポリ塩化ビニリデンポリマーを含む、いずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
12.前記バリヤー層が、好ましくは多層構造体の、少なくとも約8、10、12体積%のいずれかで、独立に最大約20、18又は16体積%のいずれかである、いずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
13.全フィルム厚さが、少なくとも約2.2ミル(55.9μm)、2.7ミル(68.6μm)又は3.3ミル(83.8μm)のいずれかで、独立に最大約5.5ミル(139.7μm)、5.0ミル(127μm)又は4.5ミル(114.3μm)であるいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
14.前記UV保護層が少なくとも1種のダーク顔料、即ち紫外(UV)光を吸収することができる顔料若しくは他のUV吸収剤又はこれらの組合せを含む少なくとも1個の層を含んでなるいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
15.この顔料又はUV吸収剤が、カーボンブラック、HALS(ヒンダードアミン光散乱添加剤)及びこれらの組合せから選択されるいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
16.前記UV保護層が、好ましくはダーク顔料で着色したいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
17.前記ダーク顔料若しくはUV吸収剤又はこれらの組合せが最大約2、1.5又は1.0のいずれかのL(透過率)値になるために十分な量で存在するいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
18.前記UV吸収剤がカーボンブラックを含み、ポリマー中に最大約5、4、3重量%のカーボンブラックのいずれかの濃度で存在するいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
19.前記UV保護層又はこれらの組合せが多層フィルムの少なくとも約20体積%を構成することを含む、いずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
20.前記UV保護層が、低密度ポリエチレン、エチレン−オクテンコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−アクリル酸メチルコポリマー又はこれらの組合せから選択されたポリマーを含み、好ましくはエチレンポリマー又はこれらの組合せを含むいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
21.1個より多いUV保護層が存在するいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
22.前記多層構造体中のUV保護層又は層群の組み合わせた厚さが少なくとも約0.3ミル(7.6μm)、0.5ミル(12.7μm)、0.7ミル(17.8μm)のいずれかで、独立に好ましくは最大約1.5ミル(38.1μm)、1.3ミル(53.0μm)又は1.1ミル(27.9μm)のいずれかであるいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
23.前記多層構造体中のこのUV保護層又は層群の組み合わせた厚さ(体積)が構造体の少なくとも約10、15、20体積%のいずれかで、独立に最大約40、35、30体積%のいずれかであるいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
24.多層構造体中に、追加的に少なくとも1個の反射層が存在するいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
25.それぞれの反射層が、独立に、白色顔料、銀、アルミニウム若しくは他の金属顔料の少なくとも1種を含むか又は反射皮膜を有するか又はこれらの組合せである、いずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
26.白色顔料が二酸化チタン又はこれとの組合せを含むいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
27.前記反射層が、好ましくは、予め選択された最終用途のために適切な下記の目的、即ち光からの保護、熱からの保護、美的外観、印刷適性又はこれらの組合せを達成するために十分に反射性であるいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
28.前記反射層が好ましくは少なくとも約75、80又は85のいずれかの、ASTM E308−06の手順によって決定したときのL(反射率)値になるために十分な反射性又は白色顔料の量を含有するいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
29.前記反射性又は白色顔料が、それぞれの反射層の、少なくとも約2、4又は6重量%のいずれかで、独立に最大約20、15又は10重量%のいずれかの量で存在するいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
30.最外層又は外部層が印刷のために適しているいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
31.1個より多い反射層が存在するいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
32.前記反射層又は層群の組み合わせた厚さが少なくとも約1ミル(25.4μm)、1.25ミル(31.8μm)又は1.50ミル(38.1μm)のいずれかで、独立に最大約2.50ミル(63.5μm)、2.25ミル(57.2μm)又は2.0ミル(50.8μm)のいずれかであるいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
33.前記反射層又は層群の組み合わせた厚さ(体積)が、構造体の少なくとも約10、20又は30体積%のいずれかで、独立に最大約60、50、40体積%のいずれかであるいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
34.前記反射層又は層群(その上の任意の皮膜又は皮膜群を含む)が、構造体に到達するUV光の少なくとも約95%を反射もし、従って、UV保護層でもあるいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
35.前記反射層が線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−オクテンコポリマー、実質的に線状のエチレンポリマー、低密度ポリエチレン、ナイロン、ポリプロピレン又はこれらの組合せから選択された少なくとも1種のポリマーを含み、好ましくは少なくとも1種のエチレンポリマー又はこれらの組合せ、更に好ましくは少なくとも1種のLLDPE又はこれらの組合せ、最も好ましくは少なくとも1種の他のエチレンポリマーとを含むいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
36.前記多層が少なくとも1個のタイ層も含むいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
37.少なくとも1個の反射層が、印刷適性もあるいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
38.少なくとも1個の反射層が、タイ層でもあるいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
39.少なくとも1個のタイ層が反射層若しくはUV保護層又はこれらの組合せでもあるいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
40.少なくとも1個の反射層がエチレン酢酸ビニル(EVA)若しくは実質的に線状のエチレンポリマー又はこれらの組合せ、更に好ましくはEVA又はこれらの組合せを含むいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
41.前記多層構造体が、追加的に、1個のシーリング層又はシーラント層を含むいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
42.少なくとも1個の反射層、少なくとも1個のバリヤー層及び少なくとも1個のUV保護層がシーリング層として機能せず、好ましくは反射層、バリヤー層又はUV保護層のいずれもシーリング層として機能せず、最も好ましくはバリヤー層、反射層及びUV保護層とは別個にシーリング層が存在するいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
43.少なくとも1個のシーリング層が少なくとも1種の低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、実質的に線状のエチレンポリマー又はこれらの組合せ、好ましくは、少なくとも1種の実質的に線状のエチレンポリマー又はこれらの組合せを含むいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
44.それぞれのシーリング層が少なくとも約0.5ミル(12.7μm)、0.75ミル(19.1μm)又は1.0ミル(25.4μm)のいずれかで、独立に最大約2.5ミル(63.5μm)、2.0ミル(50.8μm)又は1.5ミル(38.1μm)のいずれかの厚さを有するいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
45.前記シーリング層又はこれらの組合せが、多層構造体の、少なくとも約15、22又は30体積%のいずれかで、独立に最大約75、60又は45体積%のいずれかであるいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
46.シーリング層中の少なくとも1種のポリマーの密度が、少なくとも約0.93、0.91又は0.89g/cm3のいずれかであるいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
47.前記シーリング層に、白色顔料又は暗顔料、好ましくはカーボンブラックが本質的に含有されていないいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
48.前記多層構造体がABCD、ACBD、ATBTCD、AAABTCTD、AAATCTBD、AABTCTD若しくはAATABBTCTD、ACABD、BC、ABC、ACB、BCD、CBD、ACD(式中、Aは適切に反射性であり、UV保護性でもある)、BTC、ABTC、ATCTB、BTCTD、CTBD、ATCTD(式中、Aは適切に反射性であり、UV保護性でもある)、ATCTABD又はこれらの組合せ、好ましくは、ABCD、ACBD、ATBTCD、AAABTCTD、AAATCTBD、AABTCTD若しくはAATABBTCTD、ACABD又はこれらの組合せ、更に好ましくは、AACABD、ATCTBD、ACTABD、ATCTABD、AATCTAB、AATCTB、AATCB又はこれらの組合せ、最も好ましくは、AACABD、ATCTBD、ACTABD、ATCTABD又はこれらの組合せ(式中、Aは少なくとも1個の反射層であり、Bは少なくとも1個のUV保護層であり、Cは少なくとも1個のバリヤー層であり、Dは少なくとも1個のシーリング層であり、そしてTは少なくとも1個のタイ層であり、それぞれの例に於いて、Cは、任意的に、そのいずれかの側にカプセルに入れられた層を有する)を含むいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
49.少なくとも1個のバリヤー層がそのいずれかの側にカプセルに入れられたポリマーを有するいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
50.前記カプセルに入れられたポリマーがエチレン酢酸ビニル、エチレンメタクリル酸エステル又はこれらの組合せの少なくとも1種を含むいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
51.前記物品が、少なくとも1種の、パウチ、ジッパーバッグ、コンテナー、包装又はこれらの組合せから選択されるいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
52.前記物品がパウチであるいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
53.前記パウチが、縦方向に於いて、0〜2個、一つの態様に於いて、好ましくは1個、代替態様に於いて、好ましくは2個のシール及び横方向に於いて少なくとも2個のシールを有するいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
54.前記パウチ又は包装容器が流動性物質を含有するために適しているいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
55.前記物品がミルクパウチであるいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
56.前記ミルクパウチが、UHTミルクを、少なくとも約90日、105日、120日若しくは150日又は約6ヶ月の何れかの期間、好ましくは環境条件で、更に好ましくは、約24℃、25℃又は26℃の平均温度、最高約25℃、29℃、30℃又は31℃の何れかの貯蔵時間に亘る平均高温度で及び少なくとも約50、55、60又は65のいずれかの相対湿度で、最高約85、87又は89のいずれかの環境条件で、保護することができるいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。
57.前記多層構造体が、下記の特徴(特徴の数が増加すると好ましさが増加する)、即ち(1)UHTミルクのために商業的に使用されるポリマー/箔/紙硬質容器の重量よりも少ない、1000mL入りで包装されたミルクの、好ましくは約4、3、2.5重量%の何れかよりも少ない重量、(2)箔よりも小さい、バリヤー層に於ける亀裂若しくはピンホールに対する感受性、(3)バリヤー層としてエチレンビニルアルコール(EVOH)を使用した同等のラミネートで、同じ条件下で達成されるものよりも長い期間、環境条件で貯蔵されたミルクを保護する能力、(4)標準的ポリマー/箔/紙ラミネートミルクボックス若しくはミルクパウチのための、標準的ポリマー/箔若しくは金属化フィルム/ポリマーラミネートよりは厳格でない包装製品、(5)共押出によって製造可能である又は(6)冷蔵温度ではなく環境温度で輸送若しくは貯蔵(若しくは両方)を容易にするための又はバリヤー層としてエチレンビニルアルコール(EVOH)を有する代替包装材料を使用して、消費可能な製品の同じ貯蔵寿命若しくはパーセントを達成するために必要な温度を超えて、包装された製品を貯蔵、輸送若しくは両方できる温度を少なくとも上昇させる能力の1個又はそれ以上を有するいずれか他の態様の多層構造体、物品又はプロセス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個の、少なくとも1種の塩化ビニリデンポリマーを含むバリヤー層、少なくとも1個のUV保護層及び少なくとも1個の反射層を含んでなる多層構造体であって、これらの層のいずれもシーリング層としては機能しない多層構造体。
【請求項2】
1個より多い反射層が存在する請求項1に記載の多層構造体。
【請求項3】
前記バリヤー層が、少なくとも1種の塩化ビニリデン/アクリル酸メチルを含み、前記UV保護層が、少なくとも1種の、低密度ポリエチレン、エチレンオクテンポリマー、エチレン酢酸ビニル、実質的に線状のエチレンポリマー、エチレンアクリル酸メチル又はこれらの組合せ及び少なくとも1種のカーボンブラック若しくはHALS又はこれらの組合せを含み、前記反射層が、少なくとも1種の、低密度ポリエチレン、エチレンオクテンポリマー、エチレン酢酸ビニル、実質的に線状のエチレンポリマー、エチレンアクリル酸メチル又はこれらの組合せ及び二酸化チタン、金属顔料又はこれらの組合せを含み、任意のシーラント層が、少なくとも1種の、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、実質的に線状のポリエチレン又はこれらの組合せを含み、任意のタイ層が、エチレン酢酸ビニルを含み、そして任意のカプセルに入れられた層がエチレン酢酸ビニル、エチレンメタクリル酸エステル又はこれらの組合せを含む請求項1又は2に記載の多層構造体。
【請求項4】
前記バリヤー層が、前記構造体の少なくとも約8体積%で最大約20体積%を含み、前記UV保護層又は層群が、一緒に、前記多層構造体の少なくとも約10体積%で最大約40体積%を含み、前記反射層又は層群が、一緒に、前記多層構造体の少なくとも約10体積%で最大約60体積%を含み、そして任意のシーラント層が、前記多層構造体の少なくとも約20体積%で最大約40体積%を含む請求項1〜3のいずれかに記載の多層構造体。
【請求項5】
前記多層構造体が、示された順序でAACABD、ATCTBD、ACTABD、ATCTABD又はこれらの組合せ(式中、Aは少なくとも1個の反射層であり、Bは少なくとも1個のUV保護層であり、Cは少なくとも1個のバリヤー層であり、Dは少なくとも1個のシーリング層であり、そしてTは少なくとも1個のタイ層である)によって表される層を含む請求項1〜4のいずれかに記載の多層構造体。
【請求項6】
前記バイヤー層Cが、そのいずれかの側にカプセルに入れられた層を有する請求項1〜5のいずれかに記載の多層構造体。
【請求項7】
顔料が、いずれのシーラント層にも本質的に存在しない請求項1〜6のいずれかに記載の多層構造体。
【請求項8】
(a)少なくとも1種の塩化ビニリデンポリマーを含む少なくとも1種の第一の組成物、UV吸収顔料又は薬剤を含む少なくとも1種の第二の組成物及び少なくとも1種の光反射性材料を含む少なくとも1種の第三の組成物を、共押出ダイに供給する工程並びに(b)第一の組成物、第二の組成物及び第三の組成物を、以後、それぞれ、バリヤー層、UV保護層及び反射層として参照する層として共押出する工程を含んでなるプロセス。
【請求項9】
追加的に、前記共押出された層を膨張させて、多層構造体を形成させる工程を含んでなる、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
工程(a)が、追加的に、少なくとも1種の追加的組成物を供給して、少なくとも1個の追加的反射層、少なくとも1個のシーリング層又は更に好ましくは両方を形成することを含む請求項8又は9に記載のプロセス。
【請求項11】
少なくとも2個の横方向シール及び2個の縦方向シールを形成して、パウチを形成する工程が存在する請求項7〜10のいずれかに記載のプロセス。
【請求項12】
請求項1〜6のいずれかに記載の少なくとも1種の構造体を含んでなる物品。
【請求項13】
包装容器、容器、バッグ、パウチ又はこれらの組合せを含む請求項12に記載の物品。
【請求項14】
0〜2個の縦方向シーム及び2個の横方向シームを有するパウチの形態にある請求項13に記載の物品。
【請求項15】
少なくとも約25℃の平均及び少なくとも約50%の相対湿度の環境条件で、少なくとも約105日の期間又はASTM E3985の手順に従って測定した匹敵する酸素バリヤーを有すると予想される相対厚さで比較した、バリヤー層がエチレンビニルアルコールである同様のパウチのものよりも長い期間、ミルクの携帯性を維持することができる少なくとも1種のミルクパウチを含んでなる請求項12に記載の物品。

【公表番号】特表2011−504827(P2011−504827A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536071(P2010−536071)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/084264
【国際公開番号】WO2009/070494
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】