説明

容器詰飲料

【課題】本発明は、黄色色素を含有する飲料が透明性容器に収容された容器詰飲料において、光劣化による黄色の減退を抑制するとともに、容器内の飲料の外観を向上させるための手段を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の容器詰飲料は、飲料と、該飲料を収容する容器とを備え、飲料が、水系媒体と、該水系媒体中に分散された黄色色素とを含有する飲料であり、容器が透明性容器であり、透明性容器の外表面の少なくとも一部が、遮光性を有するフィルムにより被覆されており、且つ、該フィルムの、透明性容器の外表面に接する面の外観色が黄色であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術は、ウコン色素等の黄色色素を含有する飲料と、該飲料を収容する透明性容器とを備える容器詰飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
ウコン(ショウガ科ウコン,Curcuma longa LINNE)は東南アジアを中心に、世界中の熱帯・亜熱帯地域で栽培されるショウガ科ウコン属の薬用植物である。
【0003】
ウコンの根茎には3〜5%のクルクミン(黄色色素)が含有される。ウコン抽出物及びクルクミンには様々な有用性が知られている。例えば非特許文献1ではウコン抽出物含有飲料はアルコールと一緒に摂取することにより、アルコール本来の「酔い」を適度に発現させながら、悪酔いを防止する作用を有することが示唆されている。
【0004】
ウコンの有用性に着目し、ウコン色素を配合した飲料が開発されている。
【0005】
例えば、特開2009−263638号公報には、ウコン色素の水中での分散性と体内での吸収性を高めるために、ガティガムと平均粒子径が1μm以下のウコン色素とを含有するウコン色素組成物が開示されている。そしてこのウコン色素組成物を配合して、ウコン色素(クルクミン)含量が0.3質量%(1500mg/500ml)の飲料組成物を配合することが開示されている。このほか、ウコン色素含有飲料を開示する特許文献として、特開2001−206844号公報、特開2008−92806号公報、特開2009−28042号公報、特開2009−201371号公報、特開2004−208555号公報、特開2009−247283号公報等が例示できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−263638号公報
【特許文献2】特開2001−206844号公報
【特許文献3】特開2008−92806号公報
【特許文献4】特開2009−28042号公報
【特許文献5】特開2009−201371号公報
【特許文献6】特開2004−208555号公報
【特許文献7】特開2009−247283号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】浜野拓也ら、「ウコン抽出物が健常成人のアルコール代謝に及ぼす影響の検討」、応用薬理、72(1/2)、31−38(2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
素早い水分補給により喉の渇きを軽減するために、飲みやすく比較的多量に飲用できるウコン飲料に対する需要があると本発明者らは予測している。従来のウコン飲料は、ウコン抽出物の作用を得るためにウコン抽出物を高濃度で含み容量の比較的小さい容器詰飲料として市販されていることが一般的であり、多量には飲みにくく、前記の需要に十分応えるものではなかった。
【0009】
ウコン飲料等の天然黄色色素を含有する飲料をポリエチレンテレフタレート(PET)製等の透明性容器に入れて容器詰飲料とする場合、保存中に色素が光劣化してしまい黄色が減退するという問題がある。しかしながら、従来の天然黄色色素含有飲料は金属製の遮光性容器に収容されることが通常であり、色素の光劣化による黄色の減退が問題として認識されることはなく、この問題の解決手段は従来提供されていない。
【0010】
そこで本発明は、黄色色素を含有する飲料が透明性容器に収容された容器詰飲料において、光劣化による黄色の減退を抑制するための手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、遮光性フィルムにより透明性容器の外表面を被覆することにより、黄色色素を含有する飲料の保存中の光劣化を抑制し、黄色を保持することを検討した。しかしながら、遮光性フィルムの内側の外観色が黒色、白色、赤色等である場合には、透明性容器の遮光性フィルムにより被覆されていない部分から視認される内容物(飲料)が暗い黄色又は薄い黄色に見え、ウコン飲料の鮮やかな黄色が損なわれる、という新たな技術的課題が明らかとなった。
【0012】
そこで本発明は、黄色色素を含有する飲料が遮光性フィルムにより被覆された透明性容器に収容された容器詰飲料において、遮光性フィルムにより被覆されていない部分から視認される内容物(飲料)が鮮やかな黄色に見えるようにするための手段を提供することを別の目的とする。
【0013】
本発明者らは鋭意研究のすえ、透明性容器を被覆する遮光性フィルムの、透明性容器の外表面に接する面の外観色を黄色とした場合に、透明性容器の遮光性フィルムにより被覆されていない部分から視認される内容物(飲料)が鮮やかな黄色に見えることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
本発明は以下の発明を包含する。
(1)飲料と、該飲料を収容する容器とを備える容器詰飲料であって、
(A)飲料が、水系媒体と、該水系媒体中に分散された黄色色素とを含有する飲料であり、
(B)容器が透明性容器であり、
(C)透明性容器の外表面の少なくとも一部が、遮光性を有するフィルムにより被覆されており、且つ、該フィルムの、透明性容器の外表面に接する面の外観色が黄色である、
ことを特徴とする容器詰飲料。
【0015】
(2)透明性容器が首部、胴部及び底部を備え、胴部の外表面が前記フィルムにより被覆されている、(1)に記載の容器詰飲料。
(3)前記フィルムが熱収縮性フィルムである、(1)又は(2)に記載の容器詰飲料。
(4)前記飲料が、水系媒体と、該水系媒体中に分散された微粒子ウコン色素とを含有するウコン飲料である、(1)〜(3)の何れかに記載の容器詰飲料。
【0016】
(5)容器の外表面の少なくとも一部を被覆するためのフィルムであって、
遮光性層と
外観色が黄色の層とを備え、
該黄色の層が、フィルムの両側の面のうち、少なくとも、容器の外表面に接する側の面に配置される
ことを特徴とするフィルム。
(6)熱収縮性フィルムである、(5)に記載のフィルム。
(7)首部、胴部及び底部を備える透明性容器と、(5)又は(6)に記載のフィルムとを備え、該容器の胴部の外表面が該フィルムにより被覆されている、フィルム被覆容器。
【発明の効果】
【0017】
黄色色素を含有する飲料が透明性容器に収容された本発明の容器詰飲料では、光劣化による黄色の減退が抑制され、なおかつ透明性容器外部から視認される内部の飲料の黄色が鮮やかな黄色に見える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の透明性容器詰飲料の実施形態の一例の縦断面図を示す。
【図2】図2は、本発明の透明性容器詰飲料の実施形態の一例の外観の斜視図を示す。
【図3】図3は、本発明のフィルムの好ましい実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
飲料の組成
本発明において容器詰めされる飲料は、水系媒体と、該水系媒体中に分散された黄色色素とを含有する飲料である。本発明は光劣化による黄色の減退が起こりやすい天然黄色色素を含有する飲料に好適である。
【0020】
天然黄色色素としてはウコン色素(クルクミン)、クチナシ色素(クロシン)、マリーゴールド色素(ルテイン)、ベニバナ色素(サフロミン)が挙げられる。天然黄色色素以外の黄色色素としては食用黄色 4号(Tartrazine)、食用黄色5号(Sunset Yellow FCF)が挙げられる。
【0021】
以下ウコン色素について詳述する。
ウコン
本発明においてウコンとは、ショウガ科ウコン(Curcuma longa LINNE)の根茎を指す。
【0022】
ウコン抽出物
本発明においてウコン抽出物とは、下記するウコン色素及び他のウコン抽出物を含むものを指す。ウコン色素以外のウコン抽出物にもクルクミン類が含まれているため、本発明のウコン飲料にはウコン抽出物を含有する飲料も含まれる。
【0023】
ウコン色素
ショウガ科ウコンの根茎の乾燥品より、温時エタノールで、熱時油脂若しくはプロピレングリコールで、又は室温時〜熱時ヘキサン若しくはアセトンで抽出して得られるものであり、主色素はクルクミン類で黄色を呈するものを挙げることができる。
【0024】
ウコン色素以外のウコン抽出物
本発明のウコン飲料には前記のウコン色素以外に、他のウコン抽出物(例えばウコンの水、熱水、或いは、親水性有機溶媒(例えばエタノール)と水と混合溶媒による抽出物)が含まれてもよい。親水性有機溶媒と水との混合溶媒の混合比は特に限定されないが、例えば重量比で10:90〜90:10の範囲が好ましく、20:80〜50:50の範囲がより好ましい。
【0025】
微粒子化されたウコン抽出物
微粒子化されたウコン抽出物とは、前記のウコン色素あるいはウコン色素以外のウコン抽出物を常法、例えば以下のような方法により粉砕処理(微粒子化処理)して調製したものを指す。特に微粒子ウコン色素を用いることが好ましい。
【0026】
微粒子化処理方法としては、水難溶性物質の微粒子化処理方法として公知の方法を用いることができる。例えば、ウコン色素を親水性有機溶媒に溶解させた溶液を水系溶媒中に分散させて微粒子化する方法や、ウコン色素を、乳化剤と混合した混合物を粉砕処理することにより、或いは、ウコン色素を乳化剤、多糖類等を含む水系溶媒中に分散させて得た分散液を粉砕処理することにより微粒子化する方法等が挙げられる。ウコン色素を乳化剤と混合した混合物を粉砕処理することにより、或いは、ウコン色素を乳化剤を含む水系溶媒中に分散させて得た分散液を粉砕処理することにより得られるウコン色素の乳化製剤は本発明において特に好ましく用いられる。
【0027】
微粒子化処理方法としては例えば以下の方法が挙げられる。
(1)ウコン色素を溶解したアルコール(エタノール)溶液を水中に分散させ、水系中にウコン色素が微粒子化された分散液を得る。この分散液中に乳化剤を添加して微粒子に結合させる。この方法は特開2005−328839号公報に開示された方法等である。
【0028】
(2)ウコン色素と、多価アルコールと、乳化剤とを、ホモミキサー等により粉砕することによりウコン色素の乳化製剤を製造する。この乳化製剤を水に添加すると、ウコン色素が均一に乳化または可溶化される。この方法は特開2004−208555号公報に開示された方法等である。
【0029】
(3)乳化剤を溶解又は分散させた水系溶媒の存在下、ウコン色素を微粒子化処理する。乳化剤としてはHLB値が9以上のポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、改質レシチンのうちから選択される1種又は2種以上を使用することができる。水系溶媒としては水、グリセリンのうちから選択される1種又は2種以上を使用することができる。粉砕は例えばビーズミル等の湿式粉砕機によって実施することができる。この方法は特開2009−201371号公報等に記載されている。
【0030】
(4)ガティガム含有水溶液に、ウコン色素を添加し、当該液中でウコン色素の平均粒子径が1μm以下になるまで粉砕する。この方法は特開2009−263638号公報等に記載されている。
【0031】
ウコン色素以外のウコン抽出物についても、以上のような方法等により微粒子化処理することができる。
【0032】
微粒子化されたウコン抽出物の粒子径は以下の特徴の少なくとも一方、好ましくは両方を備える。
【0033】
(1)中心粒子径(メジアン径:d50)が5μm以下、好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下である。上記中心粒子径の下限は任意であるが、0.5μm以上、好ましくは0.8μm以上がよい。本明細書中で中心粒子径は全てメジアン径:d50のものを指す。
(2)粒径10μm以上の粒子の分布率が5%以下、好ましくは3%以下である。
【0034】
微粒子化されたウコン抽出物の中心粒子径(メジアン径)および、粒径10μm以上の粒子の分布率は、水溶液中の粒子についてレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−950V2(株式会社堀場製作所製)を用いて測定することができる(条件;屈折率:1.60、測定範囲:0.001〜3000μm、粒子径基準:体積)。
【0035】
以下、水系媒体中に分散された黄色色素を含有する飲料について詳述する。
水系媒体とは水や、水にアルコールが溶解した媒体等を指す。
飲料としてはウコン色素を含有する飲料が好ましく、ウコン色素としては微粒子ウコン色素が好ましい。
【0036】
ウコン飲料のクルクミン量
飲料としてウコン飲料を用いる場合、該飲料は500ml当たり、好ましくは3〜50mg、より好ましくは5〜30mg、特に好ましくは6〜20mgのクルクミンを含有する。
【0037】
クルクミン量をこの範囲とすることによりウコン飲料の濁度が低減され、透明性を有する黄色が付与される。このため透明容器中に収容された状態で飲料として自然な印象を与えることができる。本発明のウコン飲料には二日酔い等による倦怠感を軽減する効果も期待し得る。
【0038】
クルクミン量が500ml当たり50mgを超えると、飲料の濁度が高くなり、透明性が損なわれるため好ましくない。一方、クルクミン量が3mg未満の場合、クルクミンに由来する生理活性が低くなり好ましくない。
【0039】
飲料中のクルクミンの量は、飲料を50%アセトニトリルで溶解させ、これを遠心分離して得られる上清液中のクルクミン量を高速液体クロマトグラフィー(Agilent technology社製Agilent1100)を用いて測定することにより求めることができる。
【0040】
飲料中のクルクミン量が上記範囲となるようにウコン色素の配合量を適宜設定することができる。
【0041】
ウコン飲料の濁度
本発明において、飲料又はその希釈液の波長660nmの吸光度を、当該飲料又は希釈液の「濁度」と定義する。例えば、島津製作所の分光光度計(型式UV−3100PC)を用い、常温でガラスセルに飲料をイオン交換水により3倍希釈したサンプルを入れ測定波長660nmで測定することにより、飲料の3倍希釈液の濁度を求めることができる。
【0042】
水系媒体中に分散された黄色色素を含有する飲料の3倍希釈液の濁度は、好ましくは0.200〜0.950であり、より好ましくは0.300〜0.800である。
【0043】
この範囲の濁度の飲料は適度な透明性を有しており、透明性容器に収容された場合に飲料として自然な印象と清涼感を与えることができる。
【0044】
飲料がウコン飲料である場合、その濁度は主としてクルクミン含有量に依存するが、他の成分の量にも若干は依存する。クルクミン量と他の成分の量を適宜決定することにより飲料の濁度を所望の範囲に調節することができる。
【0045】
透明性容器
飲料を収容する透明性容器は、飲料用容器であれば特に限定されない。典型的にはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリメチルペンテン、エチレン・テトラシクロドデセン・コポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリルスチレン、ガラス等により形成された透明性容器を用いることができる。
【0046】
透明性容器は好ましくは首部、胴部及び底部を備える、例えば図1,2において図示する形態の容器である。以下図1,2に基づいて容器の好ましい実施形態について説明する。
【0047】
容器詰飲料1は、透明性容器2と、透明性容器2に収容された黄色色素を含有する飲料3とを備える。透明性容器2は、首部21、肩部22、胴部23、底部24を備えた縦長型容器とすることができる。胴部23は、底部24の周縁から上方向に立設されている。肩部22は、胴部23の上端に接続され、上方向にゆくほど縮径された形状を有する。首部21は、肩部22の上端にその下端が接続された円筒状の形状を有しており、その上端は開放されて、飲料の出入口を提供している。首部21の外周面にはネジ山が設けられていてよく、更に、該ネジ山に係合するネジ山が設けられたキャップ5が開閉自在に取り付けられていてよい。
【0048】
容器詰飲料は、比較的多量の飲料として供するという観点から、例えば350〜2000mlであるのが好ましい。より具体的には350ml、500ml、750ml、1500ml、又は2000ml容量の容器詰ウコン飲料を例示することができる。
【0049】
フィルム
本発明の容器詰飲料は、透明性容器の外表面の少なくとも一部が、遮光性を有するフィルムにより被覆されており、且つ、該フィルムの、透明性容器の外表面に接する面の外観色が黄色であることを特徴とする。この特徴を有するフィルムは、黄色色素の光劣化を抑制するとともに、透明性容器を通じて視認される飲料の黄色を鮮やかに見せる効果を有する。
【0050】
前記特徴を有するフィルムは、遮光性層と、フィルムの少なくとも一方の面に配置された、外観色が黄色の層とを備えることにより形成することができる。該フィルムは、該黄色の層の設けられた面を容器の外表面に接する側に配置して透明性容器の外表面に被覆される。
【0051】
透明性容器の外表面の一部が上記特徴を有するフィルムにより被覆されていることが好ましい。なかでも、透明性容器が首部、胴部及び底部を備え、胴部の外表面が当該フィルムにより被覆されている実施形態が特に好ましい。この実施形態では、図1及び2に示すように、透明性容器2の胴部23の外周面が上記特徴を有するフィルム4により被覆される。
【0052】
上記の容器詰飲料1では、透明性容器の肩部22における遮光性フィルム4により被覆されていない部分から内容物(飲料)が視認される。
【0053】
遮光性層
遮光性層は、飲料に含まれる黄色色素の光劣化による減退を抑制するために所望の遮光性を有する層であり、遮光性を有する色調のインキを用いて印刷された印刷層や、紫外線吸収剤、前記のインキ等を添加して形成された基材樹脂層が挙げられる。基材樹脂層はフィルムにフィルム性と強度を与えるための基材となる層であり、熱収縮性フィルムの場合は熱収縮性合成樹脂フィルムがこれに当たる。下記する外観色が黄色となる印刷層に紫外線吸収剤等を添加して遮光性をもたせた場合には、遮光性層は上記印刷層と一体的に形成することも可能である。
【0054】
外観色が黄色の層
外観色が黄色の層は、外観色が黄色であれば形態は制限されない。外観色が黄色の層は、通常、外観色が黄色の印刷層を少なくとも備える。該印刷層の外側の面には、透明や半透明の樹脂層(保護層)等が更に設けられてもよい。外観色が黄色の層は、フィルムの一方の面だけでなく両面に設けられてもよい。
【0055】
黄色の印刷層に使用されるインキとしては、フィルム製造に一般的に用いられているインキが使用でき、耐熱性に富むグラビアインキ等で印刷することが望ましい。熱収縮性合成樹脂フィルム等の基材樹脂層と接着性があり、必要な耐性を有しているインキを適宜用いればよい。
【0056】
黄色の印刷層は基材樹脂層等の全面に、または、部分的に、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷等の公知の印刷技術を用いて形成することができる。
【0057】
黄色
本発明でいう黄色とは、L***表色系で規定されるL*、a*、b*の測定値が、L*:69〜100、a*:−49〜15、b*:61〜100となる色のものを指す。光沢処理が施された金色等もL*、a*、b*の測定値が前記の数値範囲になるものは本発明でいう黄色に含む。
【0058】
***表色系は、国際照明委員会(CIE)が1976年に推奨した色空間であり、CIE1976(L***)表色系と称される色空間のことを意味している。L***表色系は、日本工業規格では、JIS Z 8729に規定されている。
【0059】
熱収縮性フィルム
前記のように、本発明のフィルムは遮光性層と少なくとも一方の面の外観色が黄色の層とを備えることにより形成することができる。
【0060】
上記特徴を有するフィルムは、熱収縮性フィルム(シュリンクフィルム)であることが好ましい。
【0061】
熱収縮性フィルムの好ましい実施形態の一例を図3に示す。図3は熱収縮性フィルム4の各層の透明性容器の壁部35との関係を示す。熱収縮性フィルム4は、容器壁部35から近い順に、透明樹脂層31、黄色の印刷層32、遮光性層33及び基材樹脂層34が積層された多層構造を有する。
【0062】
透明樹脂層31は、印刷層32を保護するための適宜樹脂で形成された透明樹脂層である。上記透明樹脂層31及び印刷層32が、外観色が黄色の層に相当する。
【0063】
基材樹脂層34としては、熱収縮性のポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、低密度ポリエチレンフィルム、中密度ポリエチレンフィルム、高密度ポリエチレンフィルム、低密度直鎖状ポリエチレンフィルム、環状ポリオレフィンフィルム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体等の樹脂から製膜されたポリオレフィン系フィルム、塩素化ポリエチレン,塩素化ポリプロピレンなどの樹脂から製膜された変性ポリオレフィンフィルム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の樹脂から製膜されたフィルム、アクリル系樹脂系フィルム等が使用できる。
【0064】
印刷層32、遮光性層33は前述のもので、例えば印刷層32は黄色インキ(全面ベタ刷り)層として、遮光性層33は遮光性のオレンジ色インキ(全面ベタ刷り)層として形成する。
【0065】
以上の層の間に適宜ラミネート用接着剤層等を設けてよいことは勿論である。
以上の層を重ね合わせ、熱融着あるいは接着剤を介して貼り合わせて熱収縮性フィルム4を製造し、筒状体、チューブ状等にすることができる。
【0066】
前記のようにして製造した熱収縮性フィルム4の筒状体、チューブ状等を例えば、自動ラベル装着装置に供給し、必要な長さに切断した後、飲料を充填した透明性容器の外表面に装着し、該容器をシュリンクトンネル等に通して、熱風、スチームや、赤外線等の輻射熱を作用させて熱収縮性フィルム4を周方向に高収縮させて、容器の外表面を熱収縮性フィルム4で被覆することができる。
【実施例】
【0067】
実施例1
微粒子ウコン色素を分散したウコン飲料を93℃に加熱したもの500mlを後記透明のPETボトルにホットパックして、PETボトル入りウコン飲料を調製した。ウコン飲料は500ml当たり12mgのクルクミンを含有する量の微粒子ウコン色素を分散したもので、3倍希釈液の濁度が0.351(660nmの吸光度)のものであった。
【0068】
使用した透明性容器2は、図1及び2に示すように、開口を形成する首部21、肩部22、底部24と、前記肩部と前記底部との間で上下方向に延在する胴部23とを備えた縦長型の容量500mlのPETボトルである。上記PETボトルの肩部22の上下方向の高さは25mm、胴部の上下方向の高さは165mmである。
【0069】
上記ウコン飲料を収容したPETボトルに、図3に示すように、ポリエチレンテレフタレートフィルムの透明樹脂層31、黄色インキを全面ベタ刷りした印刷層32、遮光性を有するよう処理したオレンジ色インキを全面ベタ刷りした印刷層33及びポリエチレンテレフタレートフィルムの基材樹脂層34を記載の順に積層し接着剤を介して貼り合わせて熱収縮性フィルム4を製造した。黄色の印刷層32のL*、a*、b*の測定値は、L*:100、a*:−20、b*:100であった。
【0070】
上記の熱収縮性フィルム4を、透明樹脂層31が透明性容器2の壁部35の外表面に接し、フィルム4が透明性容器2の胴部23の外周を被覆するように熱収縮させて取り付けた。自動ラベル装着装置により、筒状体に形成した熱収縮性フィルム4をウコン飲料を収容した透明性容器2の外表面に嵌着し、フィルム4を収縮させて取り付けた。
【0071】
調製したPETボトル入りウコン飲料は、調製後から、15000ルクスの照度条件にて4日間保管後を通してボトルの肩部22から見える飲料3(内容物のウコン飲料)の色が鮮やかな黄色に見えるものであった。
【0072】
実施例2、比較例1〜3
熱収縮性フィルム4の黄色の印刷層32を次のものに変える以外は実施例1と同様にしてPETボトル入りウコン飲料を調製した。各々の印刷層は各々の色のインキを全面ベタ刷りして形成した。
実施例2:金色印刷層(L*、a*、b*の測定値 L*:70、a*:5、b*:70)
比較例1:黒色印刷層(L*、a*、b*の測定値 L*:10、a*:10、b*:10)
比較例2:白色印刷層(L*、a*、b*の測定値 L*:100、a*:0、b*:0)
比較例3:赤色印刷層(L*、a*、b*の測定値 L*:50、a*:70、b*:70)
各々のPETボトル入りウコン飲料を調製後及び15000ルクスの照度条件にて4日間保管後、ボトルの肩部22から見える飲料3(内容物のウコン飲料)の色調を調べた結果は次のとおりであった。
【0073】
【表1】

【符号の説明】
【0074】
1:容器詰飲料、2:透明性容器(21:首部、22:肩部、23:胴部、24:底部)、3:黄色色素を含有する飲料,4:フィルム(熱収縮性フィルム)、5:キャップ、31:透明樹脂層、32:黄色の印刷層、33:遮光性層、34:基材樹脂層、35:容器壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料と、該飲料を収容する容器とを備える容器詰飲料であって、
(A)飲料が、水系媒体と、該水系媒体中に分散された黄色色素とを含有する飲料であり、
(B)容器が透明性容器であり、
(C)透明性容器の外表面の少なくとも一部が、遮光性を有するフィルムにより被覆されており、且つ、該フィルムの、透明性容器の外表面に接する面の外観色が黄色である、
ことを特徴とする容器詰飲料。
【請求項2】
透明性容器が首部、胴部及び底部を備え、胴部の外表面が前記フィルムにより被覆されている、請求項1に記載の容器詰飲料。
【請求項3】
前記フィルムが熱収縮性フィルムである、請求項1又は2に記載の容器詰飲料。
【請求項4】
前記飲料が、水系媒体と、該水系媒体中に分散された微粒子ウコン色素とを含有するウコン飲料である、請求項1〜3の何れか1項に記載の容器詰飲料。
【請求項5】
容器の外表面の少なくとも一部を被覆するためのフィルムであって、
遮光性層と
外観色が黄色の層とを備え、
該黄色の層が、フィルムの両側の面のうち、少なくとも、容器の外表面に接する側の面に配置される
ことを特徴とするフィルム。
【請求項6】
熱収縮性フィルムである、請求項5に記載のフィルム。
【請求項7】
首部、胴部及び底部を備える透明性容器と、請求項5又は6に記載のフィルムとを備え、該容器の胴部の外表面が該フィルムにより被覆されている、フィルム被覆容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−250699(P2011−250699A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124665(P2010−124665)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000111487)ハウス食品株式会社 (262)
【Fターム(参考)】