説明

容器

【課題】取っ手を用いて容易に持ち運び可能であり、かつ、安定して積み重ねることができる容器を提供する。
【解決手段】容器1は、上面部11を有する容器本体10と、上面部11に形成された開口部14と、開口部14を通って容器本体10の外部に突出可能であり、かつ、容器本体10の内部に収納可能である取っ手部21を有する取っ手とを備えるものとした。このとき、取っ手は、容器本体10の対向する2つの内壁に沿って位置する平板状の第1及び第2取っ手本体50と、取っ手部21を形成する第1及び第2取っ手部21と、第1及び第2取っ手本体50が容器本体10の内部に留まるための第1及び第2抜け留め面部51とを有するものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取っ手を用いて持ち運び可能である容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されるような、ジュースやビール等の飲料入りの缶を6本まとめて収納する紙製のケース等が知られている。
また、特許文献2には、酒等の飲料を収容する細首瓶を複数本収納する容器として、取っ手部を一方側へ折り曲げて瓶の頭部上面に当接させ、その取っ手部の上面と、取っ手部の反折り曲げ側に収納されている瓶の頭部上面とにより、他の容器等を積み重ねることが可能となる取っ手付き容器が開示されている。
さらに、特許文献3には、外容器の蓋の略中央に、切り込み形成された取っ手を有する持ち運び用紙製容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3030134号公報
【特許文献2】特開平10−203557号公報
【特許文献3】特開2004−106844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に示される紙製のケース等は、上面部に持ち運び用の指掛け穴等が形成され、この指掛け穴に指を挿入して持ち運ぶ形態であるため、持ち運びが不便であった。また、このようなケースでは、収納する本数が増えて例えば12本収納した場合には、その重量により、指掛け穴に指を挿入して持ち運ぶことが困難であり、別途袋に収納する等しなければ持ち運べないという問題があった。
持ち運びを容易にするために、容器の蓋等に取っ手等を形成すると、容器を上下方向に互いに積み重ねて店頭に陳列できなかったり、積み重ねた場合に不安定となって危険であったりするという問題があった。
【0005】
また、特許文献2に開示される取っ手付き容器は、取っ手部の反折り曲げ側に収納されている瓶の頭部上面と、折り曲げ側に収納された瓶の頭部上面に支持された取っ手部の上面全面によって、この容器の上に積み重ねられる容器の底面が支持される形態であるので、瓶を収納した状態でないと、上下方向に積み重ねることが困難であるという問題があった。
さらに、特許文献3のように、蓋に切り込み形成で、取っ手を形成した場合、複数本の飲料缶を収納する等、容器の内容物の重量が大きくなると、取っ手と蓋との境界部分が破損しやすくなるという問題があった。
【0006】
本発明の課題は、取っ手を用いて容易に持ち運び可能であり、かつ、安定して積み重ねることができる容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施例に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1の発明は、上面部(11)を有する容器本体(10)と、前記上面部に形成された開口部(14)と、前記開口部を通って前記容器本体の外部に突出可能であり、かつ、前記容器本体の内部に収納可能である取っ手部(21)を有する取っ手と、を備え、前記取っ手は、前記容器本体の内部に位置し、平板状である第1取っ手本体(50)及び第2取っ手本体(50)と、前記取っ手部を形成する第1取っ手部(21)及び第2取っ手部(21)と、前記第1取っ手部と前記第1取っ手本体との間、及び、前記第2取っ手部と前記第2取っ手本体との間に折り線(52,53)を介してそれぞれ設けられ、前記第1取っ手本体及び前記第2取っ手本体が前記容器本体の外部に突出せず、前記容器本体の内部に留まるための第1抜け留め面部(51)及び第2抜け留め面部(51)とを有し、前記第1取っ手本体と前記第1抜け留め面部と前記第1取っ手部と、前記第2取っ手本体と前記第2抜け留め面部と前記第2取っ手部とは、前記第1取っ手部と前記第2取っ手部との間に形成された中央折り線(22)で連接され、かつ、対称な形状であり、前記取っ手部は、前記中央折り線に沿って折り重ねて形成され、前記第1取っ手本体及び前記第2取っ手本体は、前記容器本体の対向する2つの内壁に沿って位置すること、を特徴とする容器(1)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の容器において、前記第1抜け留め面部(51)及び前記第2抜け留め面部(51)は、前記取っ手部(21)が前記容器本体(10)の外部に突出した状態で、前記上面部(11)に沿って略平行な面となること、を特徴とする容器(10)である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の容器において、前記第1取っ手部(21)は、取っ手用開口部(23)を有し、前記第2取っ手部は、前記取っ手用開口部に対応する位置に、切り抜き線(24)と開口部折り線(26)とによって形成された開口部片(25)を有し、前記開口部片が前記開口部折り線に沿って前記取っ手用開口部側へ折られることにより、前記取っ手部の取っ手用開口部が貫通して形成されること、を特徴とする容器(10)である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の容器において、前記開口部(14)は、前記開口部の他の部分に比べて、開口が大きく形成された部分(14a,14b)を有すること、を特徴とする容器である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本発明による容器は、開口部を通って容器本体の外部に突出可能であり、かつ、容器本体の内部に収納可能である取っ手部を有する取っ手本体を備えている。従って、取っ手部を容器本体の外部に突出させることより、容器を持ち運ぶことが可能である。また、取っ手部を容器本体の内部に収納することにより、容器を安定して積み重ねることができる。さらに、取っ手部が容器本体の外部に突出した状態と、容器本体の内部に収納された状態とを、容器を使用する状況等に応じて適宜選択できる。
【0009】
(2)取っ手本体は、容器本体の外部に突出せず、容器本体の内部に留まるための抜け留め部を有するので、取っ手部を掴んで容器を持ち運ぶ場合に、取っ手本体が開口部から容器本体外部に抜け出すことを防止し、安全に持ち運ぶことができる。
【0010】
(3)取っ手本体は、容器本体の内部の空間を仕切るので、内部に収納された収納物を安定して収納することができる。
【0011】
(4)開口部は、開口部の他の部分に比べて、開口が大きく形成された部分を有するので、指等が入れやすく、取っ手部を容器本体の外部に容易に突出させることができる。
【0012】
(5)取っ手部は、切り抜き線と折り線とによって形成された開口部片を有し、折り線に沿って折ることにより、取っ手用開口部が形成されるので、取っ手部の強度を向上させることができる。また、使用者が取っ手部を持った場合に、取っ手用開口部の端面に手が直接触れることがないので、持ち運びやすい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態の容器1を示す図である。
【図2】本実施形態の容器1の展開図である。
【図3】本実施形態の容器本体10と取っ手本体20とを組み立てる途中の様子を示す図である。
【図4】容器本体10の内部に飲料缶30と取っ手本体20とを収納する様子を示す図である。
【図5】使用時の取っ手本体20及び取っ手部21の様子を示している。
【図6】取っ手本体の変形形態の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、取っ手を用いて容易に持ち運び可能であり、かつ、安定して積み重ねることができる容器を提供するという目的を、容器本体と、容器本体の上面部に形成された開口部と、開口部を通って容器本体の外部に突出可能、かつ、容器本体の内部に収納可能な取っ手部を有する取っ手本体とを備える容器とすることにより実現した。
【0015】
(実施形態)
図1は、本実施形態の容器1を示す図である。図1(a)は、本実施形態の容器1の斜視図であり、図1(b)は、容器1の内部を示す透視図である。図1(c)は、取っ手部21を有する取っ手本体20を示す図である。
図2は、本実施形態の容器1の展開図である。図2(a)は、容器本体10の展開図であり、図2(b)は、取っ手本体20の展開図である。なお、図2において、折り線は、破線で示している。
図3は、本実施形態の容器本体10と取っ手本体20とを組み立てる途中の様子を示す図である。図3(a)は、容器本体10を組み立てる途中の様子を示し、図3(b)は、取っ手本体20を組み立てる途中の様子を示す。
本実施形態の容器1は、略直方体形状であり、収納物を収納する容器本体10と、容器1を持ち運ぶ際に使用される取っ手部21を有する取っ手本体20とを備えている。容器本体10と取っ手本体20とは、別体である。本実施形態では、容器1は、紙製の段ボールを用いて形成されている。
この容器1は、本実施形態では、飲料缶30を収納しており、6本(3本×2列)配置した上に同様に6本配置し、合わせて12本収納可能である(図1(b)参照)。
なお、図1を含め以下に示す図3〜図6において、理解を容易にするために、XYZ座標を用いている。このXYZ座標は、X軸方向が容器1の奥行き方向に平行であり、Y軸方向が容器1の幅方向に平行であり、Z軸方向が容器1の高さ方向に平行である。
【0016】
容器本体10は、略直方体形状であり、容器1の上面を形成する上面部11と、側面を形成する側面部12と、底面を形成する底面部13と、上面部11に設けられた開口部14等を有している。
容器本体10は、図2(a)に示すように、1枚のシート状の部材を所定の折り線等に沿って折る等して組み立てることにより、立体形状となる。容器本体10の内寸は、奥行き(X軸方向の寸法)がD1、幅(Y軸方向の寸法)がW1,高さ(Z軸方向の寸法)がH1である。
【0017】
側面部12は、容器1の側面を形成する部分であり、図2(a)中に示す折り線に沿って折ることにより、4つの面部(12−1〜12−4)に区切られる。
本実施形態では、側面部12の端部(図2(a)に示す面部12−1の端部)には糊しろ19が形成されており、側面部12の他方の端部(図2(a)に示す面部12−4の端部)に接合することにより立体状態を形成できる。
【0018】
底面部13は、側面部12から延長された4つの面部13−1〜13−4によって構成され、4つの面部を互いに嵌め合うことにより、形成されている(図3(a)参照)。本実施形態では、面部13−1,13−3は、接合片13−1a,13−3aを有している。この接合片13−1a,13−3aは、面部13−1〜13−4を嵌め合って底面部13を形成したときに、それぞれ、面部13−2,13−4の一部の領域と重なる。その領域と接合片13−1a,13−3aとは、接着剤等を用いて接合されており、底面部13としての強度を補強している。
【0019】
上面部11は、側面部12から延長された4つの面部11−1〜11−4から形成されている。この4つの面部11−1〜11−4は、側面部12の底面部13を形成する4つの面部が延長された端部とは反対側の端部から延長されている。
上面部11の略中央には、略スリット形状の開口部14が形成されている。この開口部14は、図1(a)に示すように、容器1の幅方向(Y軸方向)に略平行に形成されている。
また、開口部14は、開口部14の他の部分より開口が大きく形成された部分である補助開口部14a,14bを有している。本実施形態の補助開口部14a,14bは、略円形形状であり、開口部14の中心に対して略対称な位置に形成されている。
【0020】
本実施形態の上面部11を形成する面部11−1,11−3は、容器本体10の上面部11と略等しい大きさであるが、面部11−2,11−4は、Y軸方向の寸法が上面部11のY軸方向の寸法の略1/2倍に等しいか、又は1/2倍より若干小さい。そのため、面部11−1,11−3には、開口部14の全部が形成され、面部11−2,11−4には、開口部14の一部(面部11−2には、補助開口部14bを含む開口部14の一方の端部、面部11−4には、補助開口部14aを含む開口部14の他方の端部)が形成されている。
さらに、上面部11を形成する面部11−1と側面部12(面部12−1)との境界部分の略中央部分には、係止孔17と、側面部12(面部12−1)から延長された係止爪18が形成されている。また、面部11−3の側面部12とは反対側の端部の略中央部分には、係止爪15が形成され、この係止爪15と面部11−3との境界部分には、係止孔16が形成されている。
【0021】
取っ手本体20は、略矩形であり、略平板状の部材であり、取っ手部21と、抜け止め部27等とを有している。また、本実施形態では、取っ手本体20は、容器本体10の内部の空間を仕切る機能を有している(図1(b)参照)。
この取っ手本体20の取っ手部21を含むZ軸方向の寸法(高さ)H2及び取っ手本体20のY軸方向の寸法(幅)W2は、それぞれ、容器本体10の高さ方向の内寸H1及び幅方向の内寸W1と略等しいか又は若干小さくなるように形成されている。従って、取っ手本体20及び取っ手部21は、容器本体10の内部に収納することができ、収納した場合に上面部11等が変形することがない。
本実施形態の取っ手本体20及び取っ手部21は、1枚のシート状の部材を、その略中央に形成された折り線22に沿って折り重ねることにより形成される(図2(b)及び図3(b)参照)。なお、説明を容易にするため、必要に応じて、取っ手本体20の折り線22に対して一方側を取っ手本体20−1、他方側を取っ手本体20−2と呼ぶこととする。
【0022】
取っ手部21は、使用状態において、取っ手本体20のZ軸の正の方向側の端部であり、Y軸方向の略中央となる位置に形成されており、取っ手用開口部23と、開口部片25等を有している。この取っ手部21は、容器本体10の開口部14を通って容器本体10の外部に突出可能、かつ、容器本体10の内部に収納可能である。
図2(b)に示すように、取っ手本体20−1側の取っ手部21−1には取っ手用開口部23が形成され、取っ手本体20−2側の取っ手部21−2には、切り込み部24と折り線26とによって、開口部片25が形成されている。この切り込み部24は、略U字形状であり、折り線26は、切り込み部24の端部を結ぶように、切り込み部24に対して使用状態においてZ軸の正の方向(垂直方向上側)となる位置に形成されている。
取っ手用開口部23と開口部片25とは、折り線22を挟んで略対称な位置に、略対称な形状で形成されている(図2(b)参照)。従って、折り線22に沿って取っ手本体20−1と取っ手本体20−2とが重なるように折った場合に、取っ手用開口部23と開口部片25とが略重なる形態となっている。
【0023】
取っ手本体20は、容器本体10の開口部14から突出せず、容器本体10の内部に留まるようにする抜け止め部27を有している。この抜け止め部27は、取っ手本体20の取っ手部21側の端部であり、取っ手部21が形成されていない部分である。
本実施形態では、取っ手部21の厚みd2は、開口部14のX軸方向の寸法d1より小さく、取っ手部21のY軸方向の寸法T2は、開口部14のY軸方向の寸法T1より小さい。従って、取っ手部21は、開口部14を通って容器本体10の外部に突出可能である。
取っ手本体20のY軸方向の寸法W2は、開口部14のY軸方向の寸法T1より大きい。そのため、取っ手部21が開口部14を通って容器本体10の外部に突出するとき、抜け止め部27は、容器本体10の上面部11の内側に当接し、取っ手本体20が容器本体10の外部に突出することを防ぎ、容器本体10の内部に位置するための抜け止めとして機能する。
【0024】
次に、本実施形態の容器1の使用方法の例を説明する。
図4は、容器本体10の内部に飲料缶30と取っ手本体20とを収納する様子を示す図である。
図5は、使用時の取っ手部21及び取っ手本体20の様子を示している。
まず、容器本体10に、飲料缶30と取っ手本体20とを収納する。取っ手本体20は、取っ手部21が上面部11側(Z軸の正の方向側)となるようにし、容器本体10のY軸方向に略平行にして、容器本体10の略中央に配置する(図4(a)参照)。
上面部11を形成する面部11−2,11−4を、容器本体10の内側へ折る(図4(b)参照)。このとき、取っ手部21は、その一部が面部11−2,11−4に形成されている開口部14(14−2,14−4)の内側に位置している。
【0025】
次に、上面部11を形成する面部11−1を、面部11−2,11−4を覆うように容器本体10の内側へ折り曲げ、この面部11−1を覆うように、面部11−3を容器本体10の内側へ向けて折る。
このとき、面部11−3に形成されている係止爪15を、面部11−1の係止孔17に差し込み、側面部12から延長された係止爪18を、面部11−3の係止孔16に差し込む(図4(c)参照)。これにより、上面部11は係止され、不用意に上面部11が開くことはない。
図4(d)に示す状態では、取っ手部21は、容器本体10の内部に位置しており、開口部14から容器本体10の内部に位置する取っ手部21が確認できるのみであり、容器本体10の外部へは突出していない。従って、保管時や店頭陳列時等では、容器1を安定して積み重ねることが可能である。
【0026】
ここで、図4(c)及び(d)等に示すように、開口部14には、他の部分より開口が大きく形成された補助開口部14a,14bが形成されている。上述のように、取っ手本体20のZ軸方向の寸法H2は、容器本体10のZ軸方向の内寸H1と略等しい、又は若干小さい。従って、補助開口部14a,14bに指を入れる等して、取っ手部21をZ軸の正の方向に容易に摘み出すことができ、容器本体10の外部へ容易に突出させることが可能である(図5(a)及び(b)参照)。
【0027】
開口部14を通して取っ手部21をZ軸方向に移動させて容器本体10の外部に突出させると、抜け止め部27は、容器本体10の内部に当接し、取っ手本体20が容器本体10の外部へ抜け出さないようにする。
取っ手部21を容器本体10の外部に突出させた後に、取っ手部21−2に形成された開口部片25を、折り線26に沿って取っ手部21−1側へ折り曲げる(図5(c)参照)。これにより、開口部片25によって塞がれていた取っ手用開口部23が開口し、取っ手部21を手で掴んで容器1を持ち運ぶことができる(図5(d)参照)。
持ち運んだ後に保管する場合等、取っ手部21を使用しない場合には、取っ手部21をZ軸の負の方向に移動させ、容器本体10の内部に収納することができる(図5(a)参照)。
【0028】
以上の通り、本実施形態によれば、取っ手部21を掴んで容易に持ち運ぶことができ、かつ、保管時等には安定して積み重ねることができる。
また、開口部片25を上述のように折り曲げることにより、取っ手用開口部23を形成する断面に直接手が触れないので、段ボールの断面で手を切る等の怪我を防止できる。また、容器1に収納された飲料缶等が重い場合にも、取っ手部21が十分な強度を保つことができる。
【0029】
さらに、持ち運んだ後に再び保管する等、取っ手部21を使用しない場合には、図5(a)に示すように、取っ手部21を開口部14を通して容器本体10の内部に収納することができる。従って、上面部11は、略平面状となり、上面部11の上に他の容器等を安定して積み重ねることができる。
さらにまた、容器1の使用状況に合わせて、取っ手部21が容器本体10の外部に突出した形態と容器本体10の内部に収納した形態とを適宜選択できるので、便利である。
その上、上面部11は、側面部12から延長された面部11−1〜11−4で構成され、係止孔17と係止爪15、及び、係止孔16と係止爪18とによって十分係止されており、抜け止め部27は、上面部11を形成する面部11−1〜11−3の3つの面部が積層された部分と、面部11−1,11−3,11−4の3つの面部が積層された部分とに当接するので、容器1の収納物が重い場合にも、安定して持ち運ぶことができる。
【0030】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)本実施形態では、取っ手本体20は、容器本体10の内部の空間を仕切る機能を有する例を示したが、容器本体10の内部の空間を仕切らない形態としてもよい。
図6は、取っ手本体の変形形態の例を示す図である。図6(a)は、変形形態の取っ手本体40の展開図であり、図6(b)は、変形形態の取っ手本体40を使用状態を示す容器2のYZ平面での断面図である。図6(c)は、変形形態の取っ手本体50を示す展開図であり、図6(d)は、変形形態の取っ手本体50を使用状態を示す容器3のXZ平面での断面図である。
変形形態の容器2,3は、取っ手本体40,50の形状が上述の実施形態に示した容器1と異なる点以外は、実施形態の容器1と略同様の形態である。よって、各変形形態において、上述した実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0031】
変形形態の取っ手本体40は、図6(a),(b)に示すように、取っ手本体40の内側部分が、使用状態における底面部13側に開口する形で略矩形形状に切り抜かれている。従って、取っ手本体40は、容器本体10内部の空間を仕切る機能を有していない。
また、変形形態の取っ手本体50は、図6(c)に示すように、取っ手本体50と取っ手部21との間に、抜け止め面部51を有している。この取っ手本体50は、折り線52,53に沿って折ることにより、図6(d)に示すように、使用状態において、抜け止め面部51は、上面部11と略平行な面となり、取っ手本体50の抜け止めとして機能する。また、このとき、取っ手本体50は、容器本体10の内壁に沿って位置する形態となり、取っ手本体50は、容器本体10の内部の空間を仕切る機能を有していない。
取っ手本体を図6に示すような変形形態とすることにより、例えば、ホールケーキや鉢植え、人形等のように、容器本体10内部の仕切りを不要とするような、容積の大きな単体を収納できる。
【0032】
(2)本実施形態では、容器1は、容器本体10及び取っ手本体20が共に段ボールを用いて作製される例を示したが、これに限らず、例えば、他の紙を用いて作製してもよいし、ポリプロピレン(PP)樹脂やポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等のプラスチックを用いて作製してもよい。例えば、透明なPP樹脂等を用いて容器1を作製した場合には、容器本体10外部から中身を確認できる。
【0033】
(3)本実施形態では、容器1に飲料缶30が収納される例を示したが、これに限らず、例えば、飲料等が入った細首瓶等の瓶でもよいし、切花や鉢植え等でもよいし、ケーキ等の食料品等でもよく、特に限定しない。
【0034】
(4)本実施形態では、容器1に飲料缶30が下段に6本、上段に6本の合計12本収納される例を示したが、飲料缶30の本数は6本でもよいし、4本や、18本でもよいし、容器1の強度に合わせて適宜選択してよい。
【0035】
(5)本実施形態では、容器本体10外側の側面部12等は無地である例を示したが、これに限らず、商品名やロゴマーク、絵柄、バーコード等を印刷し、宣伝効果や利便性、意匠性等を高めてもよい。
【0036】
(6)本実施形態では、取っ手本体20−2側の取っ手部21−2に開口部片25が形成される例を示したが、開口部片25ではなく、取っ手用開口部23を設けてもよい。
【0037】
(7)本実施形態では、開口部14の他の部分より開口が大きく形成された部分として、2つの補助開口部14a,14bが形成される例を示したが、これに限らず、補助開口部は開口部14の略中央に1つ形成する形態としてもよい。
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態及び変形形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0038】
1 容器
10 容器本体
11 上面部
12 側面部
13 底面部
14 開口部
20 取っ手本体
21 取っ手部
23 取っ手用開口部
24 切り込み
25 開口部片
26 折り線
27 抜け止め部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面部を有する容器本体と、
前記上面部に形成された開口部と、
前記開口部を通って前記容器本体の外部に突出可能であり、かつ、前記容器本体の内部に収納可能である取っ手部を有する取っ手と、
を備え、
前記取っ手は、
前記容器本体の内部に位置し、平板状である第1取っ手本体及び第2取っ手本体と、
前記取っ手部を形成する第1取っ手部及び第2取っ手部と、
前記第1取っ手部と前記第1取っ手本体との間、及び、前記第2取っ手部と前記第2取っ手本体との間に折り線を介してそれぞれ設けられ、前記第1取っ手本体及び前記第2取っ手本体が前記容器本体の外部に突出せず、前記容器本体の内部に留まるための第1抜け留め面部及び第2抜け留め面部とを有し、
前記第1取っ手本体と前記第1抜け留め面部と前記第1取っ手部と、前記第2取っ手本体と前記第2抜け留め面部と前記第2取っ手部とは、前記第1取っ手部と前記第2取っ手部との間に形成された中央折り線で連接され、かつ、対称な形状であり、
前記取っ手部は、前記中央折り線に沿って折り重ねて形成され、
前記第1取っ手本体及び前記第2取っ手本体は、前記容器本体の対向する2つの内壁に沿って位置すること、
を特徴とする容器。
【請求項2】
請求項1に記載の容器において、
前記第1抜け留め部及び第2抜け留め面部は、前記取っ手部が前記容器本体の外部に突出した状態で、前記上面部に沿って略平行な面となること、
を特徴とする容器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の容器において、
前記第1取っ手部は、取っ手用開口部を有し、
前記第2取っ手部は、前記取っ手用開口部に対応する位置に、切り抜き線と開口部折り線とによって形成された開口部片を有し、
前記開口部片が前記開口部折り線に沿って前記取っ手用開口部側へ折られることにより、前記取っ手部の取っ手用開口部が貫通して形成されること、
を特徴とする容器。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の容器において、
前記開口部は、前記開口部の他の部分に比べて、開口が大きく形成された部分を有すること、
を特徴とする容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−210981(P2012−210981A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−152672(P2012−152672)
【出願日】平成24年7月6日(2012.7.6)
【分割の表示】特願2007−300884(P2007−300884)の分割
【原出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】