容量検出装置及び方法
【課題】人体の接触による電極の静電容量の変化を検出する容量検出装置において、判定速度の向上を可能とする。
【解決手段】n個(nは2以上の整数)の電極からm個(mはn≧m≧2である整数)の電極を選択し、m個の電極につながる容量に対して平行に、所定の期間放電を行った後、充電を行う。充電期間中、m個の電極それぞれの電位と基準電位とを比較し、m個の電極に対する比較結果に応じて、m個の電極につながる容量の違いを判定する。
【解決手段】n個(nは2以上の整数)の電極からm個(mはn≧m≧2である整数)の電極を選択し、m個の電極につながる容量に対して平行に、所定の期間放電を行った後、充電を行う。充電期間中、m個の電極それぞれの電位と基準電位とを比較し、m個の電極に対する比較結果に応じて、m個の電極につながる容量の違いを判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容量検出装置及び方法に関し、特に人体の接触による容量の変化を検出するものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電極などの静電容量の変化に基づいて、人体の接触を検出するタッチセンサが広く普及しつつある。例えば、携帯電話やデジタル音楽プレーヤ、ポータブル電子機器などである。これらの装置においては、バッテリー駆動が必要となるため、低消費電力化が求められる。一方、静電容量の変化の検出には、一般に、容量への充電・放電の動作が伴うため、計測に一定の時間を要し、電力消費につながる。よって、これらの装置においては、タッチセンサにおける容量検出に要する時間を極力短くする必要がある。
【0003】
非特許文献1には、スイッチドキャパシタを用いた静電容量の検出方法が記載されている。図14は非特許文献1が開示している検出回路である。図において、Cmod、Cinternalは検出回路内部に設けられた静電容量、Cxが測定対象の静電容量であり、人体(指)がセンサ上にある場合はこのCxの値は増えるようになっている。この回路の動作は次の通りである。まず、スイッチφ1、スイッチφ2のオン/オフが交互に行われる。すなわち、静電容量Cxがスイッチドキャパシタとして動作する。このときのCxの抵抗値はR=1/(Fs・Cx)と等価である(Fs:φ1、φ2のスイッチング周波数)。人体(指)がセンサ上にある場合は、Cxの値が増えるため、抵抗値Rは下がる。よって、指がセンサ上にない場合のVref(予め定められた電圧値)までのチャージ時間と、指がセンサ上にある場合のVrefまでのチャージ時間は違ってくることになる。Vrefまでにチャージされる時間をタイマで計測することにより、指がセンサ上にあるかどうかが検出可能となる。
【非特許文献1】Cypress‘s CapSense Approximation Algorithm(Cypress社)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タッチセンサが広く採用されている携帯電話、デジタル音楽プレーヤ、ポータブル電子機器などでは、ユーザインターフェースとして多数のスイッチ(ボタン)が必要であり、これらにタッチセンサが設けられる。
非特許文献1が開示しているセンサをこれら多数のスイッチ機器に採用する場合、スイッチの数に応じた容量の測定、nチャネルのスイッチがあればn回の測定が必要になってしまう。これは、各静電容量(Cx、Cmod、Cinternal)への放電、充電がn回行われることであり、装置の消費電力化を阻害する要因となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る容量検出装置は、n(nは2以上の整数)個の電極と、n個の電極からm個(mはn≧m≧2である整数)の電極を選択する選択部と、m個の電極に接続され、それぞれの電極につながる容量への充電・放電を並列して行うように制御する充放電制御部と、m個の電極に接続され、充放電制御部によるそれぞれの電極の充電中の電位と基準電位とを比較し、比較結果信号を出力する比較部と、比較部に接続され、m個の電極に対する比較結果信号に応じて、m個の電極につながる容量の違いを判定する判定部とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、人体の接触による電極の静電容量の変化を検出する容量検出装置において、判定速度の向上と、判定速度向上に伴う装置の消費電力化に有益である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
[第1の実施形態]
【0008】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る静電容量検出装置の概念を説明するための全体図である。2a、2b〜2nはnチャネルの電極、1a、1b〜1nは人体(指)が電極に接触した場合に変化する静電容量、セレクタ3、充放電制御部4a、4b、比較部5、判定部6で構成される。
【0009】
図2は、静電容量検出装置の詳細図である。セレクタ3は、nチャネルの入力から2チャネルを選択するための値が格納されるチャネル選択レジスタ7を更に備えている。充放電制御部4a、4bはそれぞれ、セレクタ3を介して接続される静電容量2a〜2nに対して、電源電位または接地電位に接続することで充電、放電を行うスイッチ8a、8b、10a、10bと、抵抗素子9a、9bを備える。比較部5は、セレクタ3を介して接続される静電容量2a〜2nの電位を、基準電位と比較するための比較器11、12を備える。判定部6は、比較器11、12それぞれの出力値の変化点をトリガとして、充電開始から変化点までをカウントするカウンタ17、2つのカウント値を保存するためのバッファ(記憶部)18、19、2つのカウント値に基づいて、セレクタ3を介して接続された2つの静電容量の容量値の違いを判定する結果判定部20と、比較器11、12の出力値を安定させるためのフィルタ15、16を備える。
【0010】
次に、図3と図4を用いて、第1の実施の形態に係る静電容量検出装置の動作を説明する。まず、セレクタ3によってnチャネルの入力から2チャネルを選択する(S1)。2チャネルの選択方法としては、様々な方法が考えられるが、ここでは、1番目と2番目、3番目と4番目という様に、端のチャネルから重複しないように2チャネルを選択する方法で説明する。よって、チャネル選択レジスタ7には、チャネル2a、2bを選択するための値が設定され、セレクタ3によりチャネル2aと2bが選択される。選択の結果、セレクタ3を介して、チャネル2aは充放電制御部4aに、チャネル2bは充放電制御部4bに接続される。
【0011】
次に、時刻t1において、充放電制御部4a、4bのスイッチ10a、10bをONにする(S2)。これにより、チャネル2a、2bは接地電位に接続され、チャネル2a、2bに接続された静電容量1a、1bの電荷がディスチャージされる。ディスチャージ後、時刻t2において、SW10a、10bをOFFにする(S3)。
【0012】
次に、時刻t3において、充電制御部4a、4bのスイッチ8a、8bと、判定部6のスイッチ13、14をONにするとともに、カウンタ17のカウント動作を開始する(S4)。スイッチ8a、8bのONにより、チャネル2a、2bは抵抗9a、9bを介して電源電位に接続され、チャネル2a、2bに接続された静電容量1a、1bへのチャージが開始される。チャネル2a、2bの電位は、時定数に基づいて変化する。
【0013】
比較器11、12は、チャネル2a、2bに接続された静電容量1a、1bへのチャージ中、チャネル2a、2bの電位と、基準電位とを比較し、基準電位より低い場合はLoを、高い場合はHiを出力する。なお、基準電位は予め設定しておくものであり、詳細は後述する。チャネルに人体(指)が触れていると、触れていない場合と比較して、チャネルに接続している静電容量が増加する。従って、人体が触れていない場合と比べてチャージによるチャネルの電位上昇は緩やかなものとなる。図4は、チャネル2aに人体が触れている場合を示しており、比較器11に接続されているチャネル2aの電位変化が、比較器12に接続されているチャネル2bの電位変化より緩やかなものとなっている。比較器11は、チャネル2aの電位が基準電位を超えた時刻t5において、その出力がLoからHiになる。比較器12は、チャネル2bの電位が基準電位を超えた時刻t4において、その出力がLoからHiになる。
【0014】
比較器11、12は、チャネル2a、2bの電位が基準電位の近傍になるとノイズなどによる影響で出力が不安定となる。フィルタ15、16はこの対策のために設置するものである。ヒステリシスなども含まれる。比較器11、12のノイズ対策については、一般に知られている技術を用いればよく、詳細は省略する。
【0015】
カウンタ17は、チャージ開始時刻t3からカウント動作を開始し、比較器11または比較器12のどちらか一方の出力信号が変化した時点で、その時のカウント値をバッファ18またはバッファ19に格納する(S5)。図4では、比較器12の出力がまず時刻t4においてLoからHiに変化するため、その時のカウント値Aをバッファ19に格納する。次に、比較器13の出力が時刻t5においてLoからHiに変化するため、その時のカウント値Bをバッファ18に格納する。
【0016】
結果判定部20は、バッファ18、19に格納されたカウント値A、Bに基づいて、2つのチャネルに接続される静電容量の違い、すなわち人体が触れたチャネルを判定し、判定結果を出力する(S6)。上述した通り、人体が触れたチャネルは、静電容量が増加するため、基準電位に達するまでに時間がかかる。よって、結果判定部20は、カウント値AとBとを比較することにより2つの静電容量の大小を判定する。図4の場合、カウント値B>カウント値Aであるから、カウント値Bとなったチャネル2aの静電容量が大きく、人体の触れたチャネルと判定する。なお、バッファ18、19は、比較器11、12に対応して配置されている。結果判定部20は、チャネル選択レジスタの値を参照して、判定対象となっているチャネルが、2a〜2nのどのチャネルであるか、また、判定対象のチャネルが比較器11、12のどちらに接続されているかを認識することにより、カウント値AとBがそれぞれどのチャネルのものであるかを判別することができる。バッファ18、19は図2のようにセパレートされたものでなく、同じ記憶装置で、領域(アドレス)を分けるといった構成でも良い。
【0017】
結果判定部20の結果出力後、スイッチ8a、8b、13、14をOFFとする(S7)。そして、上述したS1〜S7の各ステップを、残りの2c〜2nのチャネルに対しても繰り返し行うことで、各チャネルに人体が接触しているかどうかの判定を順次行っていく。
【0018】
ここで基準電位について説明する。基準電位は上述したように、チャネルに人体が触れているかいないかを判定するためのものである。基準電位の設定は、充放電制御部4a、4bの電源電位以下の値で、時刻t4とt5の差、すなわち人体が触れている場合と触れていない場合とでチャネルの電位変化の差を、カウンタ17の分解能によって十分計測可能な範囲で予め決めておけばよい。
【0019】
図2における、充放電制御部4a、4bはセレクタ3の前に設置することも可能である。この場合、図5に示すように、充放電制御部は、各チャネルに設置されることになる(図5では、チャネル2a、2bのみ記載)。
【0020】
図5における、セレクタ3、スイッチ8a、8b、10a、10b、13、14、充放電制御部4a、4b、比較部5、判定部6、及び各スイッチなどの制御は、マイクロコンピュータと制御用プログラムにより実現可能である。以下、図6を用いて説明する。
【0021】
図6で示すように、マイクロコンピュータ100は、端子101a−1〜101n−1と101a−2〜101n−2を有する。端子101a−1〜101n−1は、抵抗素子9a、9b〜9nを介してチャネル2a〜2nに接続され、端子101a−2〜101n−2は、抵抗素子を介さずにチャネル2a〜2nに接続される。
【0022】
再度、図3を用いて、マイクロコンピュータ100の動作について説明する。まず、電極2a〜2nのうち、2aと2bを選択するようにチャネル選択レジスタ7に値を設定し(S1)、端子101a−2、101b−2をt1〜t2時間において接地電位とすることにより、チャネル2aと2bに接続された静電容量をディスチャージする(S2)。次に、時刻t3において、端子101a−2、101b−2への接地電位の供給を停止し、端子101a−1、1021−1を電源電位とすることにより、チャネル2aと2bに接続された静電容量へのチャージを開始する(S4)。
【0023】
チャネル2a、2bに接続された静電容量へのチャージ開始から、端子101a−1、101b−1のそれぞれの電位が基準電位となるまでをカウントし(S5)、カウント値の大きい方のチャネル、すなわちチャネル2aが静電容量の大きいチャネルと判定する(S6)。判定後、端子101a−1、101b−1への電源電位の供給と、カウントを停止し(S7)、S1〜S7の各ステップを、残りのチャネルに対して繰り返し行うことで、各チャネルの静電容量の大きさ、すなわち人体が接触しているかどうかの判定を順次行う。
【0024】
以上説明した通り、本実施の形態によれば、nチャネルから2つのチャネルを順次選択して人体が触れたかどうかを判定していく。これにより、従来技術ではnチャネル分の判定にn回の判定動作を要していたが、n/2回の判定動作で可能となる。
【0025】
結果判定部20には、更に次のような機能を持たせることができる。まず、次の2つの値を予め計測しておき、結果判定部20内の記憶部(図示なし)に格納しておく。第1の値は、チャネルに人体が触れていない場合に、チャネルの電位が基準電位になるまでのt3〜t4のカウント値Cである。また、第2の値は、チャネルに人体が触れている場合に、チャネルの電位が基準電位になるまでのt3〜t5のカウント値Dである。なお、図4は、チャネル2aは人体が触れている場合、チャネル2bは触れていない場合であるので、カウント値C、Dは、それぞれ図4のAとBと同じ値となる。
【0026】
次に、これら予め格納しておいた2つの値に基づいた結果判定部20の動作について説明する。図3のデータ比較判定ステップ(S6)以外に変更はない。結果判定部20は、バッファ18、19に格納されたカウント値A、Bと、予め計測しておいた値C、Dとの比較を更に行い、次のように判定を行う。
A、B=C・・・2チャネルとも触れられていない
A、B=D・・・2チャネルとも触れられている
また、温度変動などによる誤差を考慮して以下のようにしても良い。
C−a≦A、B≦C+a・・・2チャネルとも触れられていない
D−b≦A、B≦D+b・・・2チャネルとも触れられている
a、b:温度変動などによる電位変化、比較部の個体差等による変動分。これらも予め計測しておく。
【0027】
以上説明した通り、本実施の形態によれば、2チャネルのうちどちらに人体が触れているか、2チャネルとも触れられていないか、2チャネルとも触れられているかの判定を行うことが出来る。
【0028】
以上の本実施の形態の説明では、nチャネルのうち、2チャネルを選択する内容としたが、これに限られない。3チャネル以上とすることも可能である。この場合、チャネル選択数分の比較器が必要になるが、カウンタ17、結果判定部20の動作は同じである。
[第2の実施の形態]
【0029】
図7は、第2の実施の形態に係る静電容量検出装置である。第1の実施の形態とは、判定部6が、カウンタ17、排他的論理和(XOR)21、ラッチ回路(記憶部)22、23を備えていることに違いがある。なお、第1の実施の形態と同様、第2の実施の形態においても、図6のようにマイクロコンピュータと制御用プログラムにより実現可能である。
【0030】
次に、図7〜9を用いて、第2の実施の形態に係る静電容量検出装置の動作を説明する。まず、nチャネルの入力から2チャネル(チャネル2a、2b)を選択し(S21)、時刻t1〜t2において、充放電制御部4a、4bのスイッチ10a、10bをONにする(S22、S23)。これにより、チャネル2a、2bに接続された静電容量の電荷がディスチャージされる。
【0031】
次に、時刻t3において、充放電制御部4a、4bのスイッチ8a、8bと判定部6のスイッチ13、14をONにする(S24)。これにより、チャネル2a、2bは抵抗9a、9bを介して電源電位に接続され、チャネル2a、2bに接続された静電容量へのチャージが開始される。
【0032】
比較器11、12の動作は第1の実施の形態と同じである。図9は、チャネル2aに人体が触れている場合を示している。人体の触れていないチャネル2bの電位は、時刻t4で基準電位を超えて、比較器12の出力がLoからHiとなる。人体の触れているチャネル2aの電位は、時刻t5で基準電位を超えて、比較器11の出力がLoからHiとなる。XOR21は、比較器11、12の出力のどちらか一方がHiになるとHiを出力する。すなわち、時刻t4でXOR21の出力はHiとなり、時刻t5でLoとなる。
【0033】
ラッチ回路22、23とカウンタ17は、XOR21の出力に応じて値のセットとカウントの制御が行われる(S25)。ラッチ回路22、23は、XOR21のHi出力をトリガとして、それぞれ比較器11、12の値をラッチする。すなわち、ラッチ回路23は、時刻t4にて比較器12のHiを取り込み、ラッチ回路22は、比較器11のLoを取り込む。カウンタ17は、時刻t4のXOR21のHi出力でカウントをスタートし、時刻t5のXOR21のLo出力でカウントをストップする。すなわち、カウンタ17は、時刻t4〜t5の間隔をカウントする。
【0034】
結果判定部20は、ラッチ回路22、23にセットされた値とカウンタ17のカウント値に基づいて、人体が触れたチャネルを判定する(S26)。図9の場合は、ラッチ回路22がLoであり、ラッチ回路23がHiであるから、チャネル2aの静電容量が大きく、人体の触れたチャネルであると判定する。
【0035】
判定後、スイッチ8a、8b、13、14をOFFにする(S27)。そして、上述したS21〜S27の各ステップを、残りの2c〜2nのチャネルに対しても繰り返し行うことで、各チャネルに人体が接触しているかどうかの判定を順次行っていく。
【0036】
なお、図9の場合とは異なり、チャネル2a、2bのどちらとも人体が触れていない場合、どちらとも人体が触れている場合を想定すると、比較器11、12は、時刻t4付近、あるいは時刻t5付近のほぼ同じ時刻で変化することになる。この場合、予め所定の値を計測しておき、結果判定部20内の記憶部(図示なし)に格納しておくことで判定を可能とすることができる。以下で説明する。
【0037】
どちらのチャネルも人体に触れていない、あるいはどちらも人体に触れていると判定するための値cである。温度変化による電位変動などの誤差、比較器の個体差などがなければ、2つのチャネルのどちらにも人体が触れていない、あるいは触れていれば、比較器11、12は同時刻に出力がHiとなるため、カウント値は0となるはずである。しかし、カウンタ17の分解能(動作周波数)にも依存するが、誤差があれば必ずしも0にはならない。そこで、温度変化などを考慮した測定を行うことにより、どちらも人体に触れていない、あるいは触れていると判定するための値cを決定しておく。これにより、結果判定部20は更に次のように判定することが可能となる。
カウント値≦0〜c・・・2チャネルとも触れられていない or 2チャネルとも触れられている
【0038】
更に、第1の実施の形態で説明したカウント値C、Dを用いて、以下のように判定することが可能となる。
カウント値=(D−C)・・・2チャネルのどちらかに人体が触れられている
どちらのチャネルに人体が触れられているかどうかは、上述の通り、ラッチ回路に格納されている値で判定される。
また、第1の実施の形態で説明した値a、bを用いれば、上式は以下のようにすることも可能である。
(D−b)−(C+a)<カウント値<(D+b)−(C−a)
【0039】
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様、nチャネル分の判定がn/2回の判定動作で可能となる。また、nチャネルから選択したチャネルのうち、いずれか1つが基準電位になったことをトリガとして、各チャネルの比較器の出力を取得している。これにより、選択したチャネル全てが基準電位になるのを待たずに、各チャネルにつながる静電容量の違いを判定することができるため、より高速な判定処理が可能となる。また、第1の実施の形態では、比較器11、12のノイズ対策のためフィルタ15、16を設けていたが、比較器の出力にXOR21を接続し、ラッチ回路22、23を接続した構成にすることにより、これらのフィルタを不要としている。
[第3の実施の形態]
【0040】
図10は、第3の実施の形態に係る静電容量検出装置である。第1、2の実施の形態とは、判定部6がカウンタ17、ラッチ回路(記憶部)22、23、コンペアレジスタ24を備えていることに違いがある。なお、第1、2の実施の形態と同様、第3の実施の形態においても、図6のようにマイクロコンピュータと制御用プログラムにより実現可能である。
【0041】
次に、図10〜12を用いて、第3の実施の形態に係る静電容量検出装置の動作を説明する。まず、nチャネルの入力から2チャネル(チャネル2a、2b)を選択し(S31)、時刻t1〜t2において、充放電制御部4a、4bのスイッチ10a、10bをONにする(S32、S33)。これにより、チャネル2a、2bに接続された静電容量の電荷がディスチャージされる。
【0042】
次に、時刻t3において、充放電制御部4a、4bのスイッチ8a、8bと判定部6のスイッチ13、14をONにするとともに、カウンタ17のカウントを開始する(S34)。これにより、チャネル2a、2bは抵抗9a、9bを介して電源電位に接続され、チャネル2a、2bに接続された静電容量へのチャージが開始される。
【0043】
比較器11、12の動作は第1の実施の形態と同じである。図12は、チャネル2aに人体が触れている場合を示している。人体の触れていないチャネル2bの電位は、時刻t4で基準電位を超えて、比較器12の出力がLoからHiとなる。人体の触れているチャネル2aの電位は、時刻t5で基準電位を超えて、比較器11の出力がLoからHiとなる。
【0044】
コンペアレジスタ24には、チャネルに人体が触れているかどうかを判定するためのカウント値Eが格納されている。この値Eは予め測定することにより求めておくもので、チャネルに人体が触れていない場合に、チャネルの電位が基準電位となるまでにカウントされる値と、チャネルが人体に触れている場合に、チャネルの電位が基準電位となるまでにカウントされる値との間の値が設定される。図13で説明する。図13は、電極に人体が触れていない場合と触れている場合の比較器の出力を示したものである。それぞれ基準電位となった時刻t4、t5近傍で出力が変化している。温度変動による電位変動、比較器の個体差、ノイズによる変動などを考慮し、人体が触れていないと判定する領域(期間)、人体が触れていると判定する領域にはマージンを持たせている。カウント値Eは、これらの領域の間の値、すなわち、時刻t4'(t4<t4'<t5)の時にカウンタ17がカウントする値が設定される。
【0045】
ラッチ回路22、23は、カウンタ17の値がコンペアレジスタ24の値Eになった時点での比較器11、12の値をラッチする(S35)。結果判定部20は、ラッチ回路22、23にセットされた値に基づいて、人体が触れたチャネルを判定する(S36)。図12の場合は、ラッチ22の値がLoであり、ラッチ23の値がHiであるから、チャネル2aの静電容量が大きく、人体の触れたチャネルであると判定する。
【0046】
なお、図12とは異なり、チャネル2a、2bのどちらも人体が触れていない場合や、どちらも人体が触れている場合であっても、結果判定部20は次のように判定をすることができる。
ラッチ回路22、23どちらの値もHi・・・両チャネルとも人体が触れていない
ラッチ回路22、23どちらの値もLo・・・両チャネルとも人体が触れている
【0047】
判定後、スイッチ8a、8b、13、14をOFFにする(S37)。そして、上述したS31〜S37の各ステップを、残りの2c〜2nのチャネルに対しても繰り返し行うことで、各チャネルに人体が接触しているかどうかの判定を順次行っていく。
【0048】
第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様、nチャネル分の判定がn/2回の判定動作で可能となる。また、nチャネルから選択したチャネルにつながる各比較器からの出力を、チャネルに人体が触れていない場合に、チャネルの電位が基準電位となるまでの時間と、チャネルが人体に触れている場合に、チャネルの電位が基準電位となるまでの時間との間の時間で取得している。これにより、選択したチャネル全てが基準電位になるのを待たずに、各チャネルにつながる静電容量の違いを判定することができるため、より高速な判定処理が可能となる。また、第1の実施の形態では、比較器11、12のノイズ対策のためフィルタ15、16を設けていたが、ラッチ回路22、23が、コンペアレジスタ24に格納された値dが示す時刻t4'で、比較器11、12の値をラッチするという構成にしたため、これらのフィルタを不要としている。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】第1の実施の形態に係る容量検出装置の全体図である。
【図2】第1の実施の形態に係る容量検出装置の詳細図である。
【図3】第1の実施の形態に係る容量検出装置の動作フロー図である。
【図4】第1の実施の形態に係る容量検出装置のタイミングチャートである。
【図5】第1の実施の形態に係る容量検出装置の変形例の図である。
【図6】第1の実施の形態に係る容量検出装置をマイクロコンピュータで実現した図である。
【図7】第2の実施の形態に係る容量検出装置の詳細図である。
【図8】第2の実施の形態に係る容量検出装置の動作フロー図である。
【図9】第2の実施の形態に係る容量検出装置のタイミングチャートである。
【図10】第3の実施の形態に係る容量検出装置の詳細図である。
【図11】第3の実施の形態に係る容量検出装置の動作フロー図である。
【図12】第3の実施の形態に係る容量検出装置のタイミングチャートである。
【図13】第3の実施の形態に係る判定領域の説明図である。
【図14】従来技術の図である。
【符号の説明】
【0050】
1a〜1n・・・静電容量
2a〜2n・・・電極
3・・・セレクタ
4a、4b・・・充放電制御部
5・・・比較部
6・・・判定部
7・・・チャネル選択レジスタ
8a、8b、10a、10b、13、14・・・スイッチ
9a、9b・・・抵抗素子
11、12・・・比較器
15、16・・・フィルタ
17・・・カウンタ
18、19・・・バッファ
20・・・結果判定部
21・・・XOR
22、23・・・ラッチ回路
24・・・コンペアレジスタ
100・・・マイクロコンピュータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、容量検出装置及び方法に関し、特に人体の接触による容量の変化を検出するものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電極などの静電容量の変化に基づいて、人体の接触を検出するタッチセンサが広く普及しつつある。例えば、携帯電話やデジタル音楽プレーヤ、ポータブル電子機器などである。これらの装置においては、バッテリー駆動が必要となるため、低消費電力化が求められる。一方、静電容量の変化の検出には、一般に、容量への充電・放電の動作が伴うため、計測に一定の時間を要し、電力消費につながる。よって、これらの装置においては、タッチセンサにおける容量検出に要する時間を極力短くする必要がある。
【0003】
非特許文献1には、スイッチドキャパシタを用いた静電容量の検出方法が記載されている。図14は非特許文献1が開示している検出回路である。図において、Cmod、Cinternalは検出回路内部に設けられた静電容量、Cxが測定対象の静電容量であり、人体(指)がセンサ上にある場合はこのCxの値は増えるようになっている。この回路の動作は次の通りである。まず、スイッチφ1、スイッチφ2のオン/オフが交互に行われる。すなわち、静電容量Cxがスイッチドキャパシタとして動作する。このときのCxの抵抗値はR=1/(Fs・Cx)と等価である(Fs:φ1、φ2のスイッチング周波数)。人体(指)がセンサ上にある場合は、Cxの値が増えるため、抵抗値Rは下がる。よって、指がセンサ上にない場合のVref(予め定められた電圧値)までのチャージ時間と、指がセンサ上にある場合のVrefまでのチャージ時間は違ってくることになる。Vrefまでにチャージされる時間をタイマで計測することにより、指がセンサ上にあるかどうかが検出可能となる。
【非特許文献1】Cypress‘s CapSense Approximation Algorithm(Cypress社)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タッチセンサが広く採用されている携帯電話、デジタル音楽プレーヤ、ポータブル電子機器などでは、ユーザインターフェースとして多数のスイッチ(ボタン)が必要であり、これらにタッチセンサが設けられる。
非特許文献1が開示しているセンサをこれら多数のスイッチ機器に採用する場合、スイッチの数に応じた容量の測定、nチャネルのスイッチがあればn回の測定が必要になってしまう。これは、各静電容量(Cx、Cmod、Cinternal)への放電、充電がn回行われることであり、装置の消費電力化を阻害する要因となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る容量検出装置は、n(nは2以上の整数)個の電極と、n個の電極からm個(mはn≧m≧2である整数)の電極を選択する選択部と、m個の電極に接続され、それぞれの電極につながる容量への充電・放電を並列して行うように制御する充放電制御部と、m個の電極に接続され、充放電制御部によるそれぞれの電極の充電中の電位と基準電位とを比較し、比較結果信号を出力する比較部と、比較部に接続され、m個の電極に対する比較結果信号に応じて、m個の電極につながる容量の違いを判定する判定部とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、人体の接触による電極の静電容量の変化を検出する容量検出装置において、判定速度の向上と、判定速度向上に伴う装置の消費電力化に有益である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
[第1の実施形態]
【0008】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る静電容量検出装置の概念を説明するための全体図である。2a、2b〜2nはnチャネルの電極、1a、1b〜1nは人体(指)が電極に接触した場合に変化する静電容量、セレクタ3、充放電制御部4a、4b、比較部5、判定部6で構成される。
【0009】
図2は、静電容量検出装置の詳細図である。セレクタ3は、nチャネルの入力から2チャネルを選択するための値が格納されるチャネル選択レジスタ7を更に備えている。充放電制御部4a、4bはそれぞれ、セレクタ3を介して接続される静電容量2a〜2nに対して、電源電位または接地電位に接続することで充電、放電を行うスイッチ8a、8b、10a、10bと、抵抗素子9a、9bを備える。比較部5は、セレクタ3を介して接続される静電容量2a〜2nの電位を、基準電位と比較するための比較器11、12を備える。判定部6は、比較器11、12それぞれの出力値の変化点をトリガとして、充電開始から変化点までをカウントするカウンタ17、2つのカウント値を保存するためのバッファ(記憶部)18、19、2つのカウント値に基づいて、セレクタ3を介して接続された2つの静電容量の容量値の違いを判定する結果判定部20と、比較器11、12の出力値を安定させるためのフィルタ15、16を備える。
【0010】
次に、図3と図4を用いて、第1の実施の形態に係る静電容量検出装置の動作を説明する。まず、セレクタ3によってnチャネルの入力から2チャネルを選択する(S1)。2チャネルの選択方法としては、様々な方法が考えられるが、ここでは、1番目と2番目、3番目と4番目という様に、端のチャネルから重複しないように2チャネルを選択する方法で説明する。よって、チャネル選択レジスタ7には、チャネル2a、2bを選択するための値が設定され、セレクタ3によりチャネル2aと2bが選択される。選択の結果、セレクタ3を介して、チャネル2aは充放電制御部4aに、チャネル2bは充放電制御部4bに接続される。
【0011】
次に、時刻t1において、充放電制御部4a、4bのスイッチ10a、10bをONにする(S2)。これにより、チャネル2a、2bは接地電位に接続され、チャネル2a、2bに接続された静電容量1a、1bの電荷がディスチャージされる。ディスチャージ後、時刻t2において、SW10a、10bをOFFにする(S3)。
【0012】
次に、時刻t3において、充電制御部4a、4bのスイッチ8a、8bと、判定部6のスイッチ13、14をONにするとともに、カウンタ17のカウント動作を開始する(S4)。スイッチ8a、8bのONにより、チャネル2a、2bは抵抗9a、9bを介して電源電位に接続され、チャネル2a、2bに接続された静電容量1a、1bへのチャージが開始される。チャネル2a、2bの電位は、時定数に基づいて変化する。
【0013】
比較器11、12は、チャネル2a、2bに接続された静電容量1a、1bへのチャージ中、チャネル2a、2bの電位と、基準電位とを比較し、基準電位より低い場合はLoを、高い場合はHiを出力する。なお、基準電位は予め設定しておくものであり、詳細は後述する。チャネルに人体(指)が触れていると、触れていない場合と比較して、チャネルに接続している静電容量が増加する。従って、人体が触れていない場合と比べてチャージによるチャネルの電位上昇は緩やかなものとなる。図4は、チャネル2aに人体が触れている場合を示しており、比較器11に接続されているチャネル2aの電位変化が、比較器12に接続されているチャネル2bの電位変化より緩やかなものとなっている。比較器11は、チャネル2aの電位が基準電位を超えた時刻t5において、その出力がLoからHiになる。比較器12は、チャネル2bの電位が基準電位を超えた時刻t4において、その出力がLoからHiになる。
【0014】
比較器11、12は、チャネル2a、2bの電位が基準電位の近傍になるとノイズなどによる影響で出力が不安定となる。フィルタ15、16はこの対策のために設置するものである。ヒステリシスなども含まれる。比較器11、12のノイズ対策については、一般に知られている技術を用いればよく、詳細は省略する。
【0015】
カウンタ17は、チャージ開始時刻t3からカウント動作を開始し、比較器11または比較器12のどちらか一方の出力信号が変化した時点で、その時のカウント値をバッファ18またはバッファ19に格納する(S5)。図4では、比較器12の出力がまず時刻t4においてLoからHiに変化するため、その時のカウント値Aをバッファ19に格納する。次に、比較器13の出力が時刻t5においてLoからHiに変化するため、その時のカウント値Bをバッファ18に格納する。
【0016】
結果判定部20は、バッファ18、19に格納されたカウント値A、Bに基づいて、2つのチャネルに接続される静電容量の違い、すなわち人体が触れたチャネルを判定し、判定結果を出力する(S6)。上述した通り、人体が触れたチャネルは、静電容量が増加するため、基準電位に達するまでに時間がかかる。よって、結果判定部20は、カウント値AとBとを比較することにより2つの静電容量の大小を判定する。図4の場合、カウント値B>カウント値Aであるから、カウント値Bとなったチャネル2aの静電容量が大きく、人体の触れたチャネルと判定する。なお、バッファ18、19は、比較器11、12に対応して配置されている。結果判定部20は、チャネル選択レジスタの値を参照して、判定対象となっているチャネルが、2a〜2nのどのチャネルであるか、また、判定対象のチャネルが比較器11、12のどちらに接続されているかを認識することにより、カウント値AとBがそれぞれどのチャネルのものであるかを判別することができる。バッファ18、19は図2のようにセパレートされたものでなく、同じ記憶装置で、領域(アドレス)を分けるといった構成でも良い。
【0017】
結果判定部20の結果出力後、スイッチ8a、8b、13、14をOFFとする(S7)。そして、上述したS1〜S7の各ステップを、残りの2c〜2nのチャネルに対しても繰り返し行うことで、各チャネルに人体が接触しているかどうかの判定を順次行っていく。
【0018】
ここで基準電位について説明する。基準電位は上述したように、チャネルに人体が触れているかいないかを判定するためのものである。基準電位の設定は、充放電制御部4a、4bの電源電位以下の値で、時刻t4とt5の差、すなわち人体が触れている場合と触れていない場合とでチャネルの電位変化の差を、カウンタ17の分解能によって十分計測可能な範囲で予め決めておけばよい。
【0019】
図2における、充放電制御部4a、4bはセレクタ3の前に設置することも可能である。この場合、図5に示すように、充放電制御部は、各チャネルに設置されることになる(図5では、チャネル2a、2bのみ記載)。
【0020】
図5における、セレクタ3、スイッチ8a、8b、10a、10b、13、14、充放電制御部4a、4b、比較部5、判定部6、及び各スイッチなどの制御は、マイクロコンピュータと制御用プログラムにより実現可能である。以下、図6を用いて説明する。
【0021】
図6で示すように、マイクロコンピュータ100は、端子101a−1〜101n−1と101a−2〜101n−2を有する。端子101a−1〜101n−1は、抵抗素子9a、9b〜9nを介してチャネル2a〜2nに接続され、端子101a−2〜101n−2は、抵抗素子を介さずにチャネル2a〜2nに接続される。
【0022】
再度、図3を用いて、マイクロコンピュータ100の動作について説明する。まず、電極2a〜2nのうち、2aと2bを選択するようにチャネル選択レジスタ7に値を設定し(S1)、端子101a−2、101b−2をt1〜t2時間において接地電位とすることにより、チャネル2aと2bに接続された静電容量をディスチャージする(S2)。次に、時刻t3において、端子101a−2、101b−2への接地電位の供給を停止し、端子101a−1、1021−1を電源電位とすることにより、チャネル2aと2bに接続された静電容量へのチャージを開始する(S4)。
【0023】
チャネル2a、2bに接続された静電容量へのチャージ開始から、端子101a−1、101b−1のそれぞれの電位が基準電位となるまでをカウントし(S5)、カウント値の大きい方のチャネル、すなわちチャネル2aが静電容量の大きいチャネルと判定する(S6)。判定後、端子101a−1、101b−1への電源電位の供給と、カウントを停止し(S7)、S1〜S7の各ステップを、残りのチャネルに対して繰り返し行うことで、各チャネルの静電容量の大きさ、すなわち人体が接触しているかどうかの判定を順次行う。
【0024】
以上説明した通り、本実施の形態によれば、nチャネルから2つのチャネルを順次選択して人体が触れたかどうかを判定していく。これにより、従来技術ではnチャネル分の判定にn回の判定動作を要していたが、n/2回の判定動作で可能となる。
【0025】
結果判定部20には、更に次のような機能を持たせることができる。まず、次の2つの値を予め計測しておき、結果判定部20内の記憶部(図示なし)に格納しておく。第1の値は、チャネルに人体が触れていない場合に、チャネルの電位が基準電位になるまでのt3〜t4のカウント値Cである。また、第2の値は、チャネルに人体が触れている場合に、チャネルの電位が基準電位になるまでのt3〜t5のカウント値Dである。なお、図4は、チャネル2aは人体が触れている場合、チャネル2bは触れていない場合であるので、カウント値C、Dは、それぞれ図4のAとBと同じ値となる。
【0026】
次に、これら予め格納しておいた2つの値に基づいた結果判定部20の動作について説明する。図3のデータ比較判定ステップ(S6)以外に変更はない。結果判定部20は、バッファ18、19に格納されたカウント値A、Bと、予め計測しておいた値C、Dとの比較を更に行い、次のように判定を行う。
A、B=C・・・2チャネルとも触れられていない
A、B=D・・・2チャネルとも触れられている
また、温度変動などによる誤差を考慮して以下のようにしても良い。
C−a≦A、B≦C+a・・・2チャネルとも触れられていない
D−b≦A、B≦D+b・・・2チャネルとも触れられている
a、b:温度変動などによる電位変化、比較部の個体差等による変動分。これらも予め計測しておく。
【0027】
以上説明した通り、本実施の形態によれば、2チャネルのうちどちらに人体が触れているか、2チャネルとも触れられていないか、2チャネルとも触れられているかの判定を行うことが出来る。
【0028】
以上の本実施の形態の説明では、nチャネルのうち、2チャネルを選択する内容としたが、これに限られない。3チャネル以上とすることも可能である。この場合、チャネル選択数分の比較器が必要になるが、カウンタ17、結果判定部20の動作は同じである。
[第2の実施の形態]
【0029】
図7は、第2の実施の形態に係る静電容量検出装置である。第1の実施の形態とは、判定部6が、カウンタ17、排他的論理和(XOR)21、ラッチ回路(記憶部)22、23を備えていることに違いがある。なお、第1の実施の形態と同様、第2の実施の形態においても、図6のようにマイクロコンピュータと制御用プログラムにより実現可能である。
【0030】
次に、図7〜9を用いて、第2の実施の形態に係る静電容量検出装置の動作を説明する。まず、nチャネルの入力から2チャネル(チャネル2a、2b)を選択し(S21)、時刻t1〜t2において、充放電制御部4a、4bのスイッチ10a、10bをONにする(S22、S23)。これにより、チャネル2a、2bに接続された静電容量の電荷がディスチャージされる。
【0031】
次に、時刻t3において、充放電制御部4a、4bのスイッチ8a、8bと判定部6のスイッチ13、14をONにする(S24)。これにより、チャネル2a、2bは抵抗9a、9bを介して電源電位に接続され、チャネル2a、2bに接続された静電容量へのチャージが開始される。
【0032】
比較器11、12の動作は第1の実施の形態と同じである。図9は、チャネル2aに人体が触れている場合を示している。人体の触れていないチャネル2bの電位は、時刻t4で基準電位を超えて、比較器12の出力がLoからHiとなる。人体の触れているチャネル2aの電位は、時刻t5で基準電位を超えて、比較器11の出力がLoからHiとなる。XOR21は、比較器11、12の出力のどちらか一方がHiになるとHiを出力する。すなわち、時刻t4でXOR21の出力はHiとなり、時刻t5でLoとなる。
【0033】
ラッチ回路22、23とカウンタ17は、XOR21の出力に応じて値のセットとカウントの制御が行われる(S25)。ラッチ回路22、23は、XOR21のHi出力をトリガとして、それぞれ比較器11、12の値をラッチする。すなわち、ラッチ回路23は、時刻t4にて比較器12のHiを取り込み、ラッチ回路22は、比較器11のLoを取り込む。カウンタ17は、時刻t4のXOR21のHi出力でカウントをスタートし、時刻t5のXOR21のLo出力でカウントをストップする。すなわち、カウンタ17は、時刻t4〜t5の間隔をカウントする。
【0034】
結果判定部20は、ラッチ回路22、23にセットされた値とカウンタ17のカウント値に基づいて、人体が触れたチャネルを判定する(S26)。図9の場合は、ラッチ回路22がLoであり、ラッチ回路23がHiであるから、チャネル2aの静電容量が大きく、人体の触れたチャネルであると判定する。
【0035】
判定後、スイッチ8a、8b、13、14をOFFにする(S27)。そして、上述したS21〜S27の各ステップを、残りの2c〜2nのチャネルに対しても繰り返し行うことで、各チャネルに人体が接触しているかどうかの判定を順次行っていく。
【0036】
なお、図9の場合とは異なり、チャネル2a、2bのどちらとも人体が触れていない場合、どちらとも人体が触れている場合を想定すると、比較器11、12は、時刻t4付近、あるいは時刻t5付近のほぼ同じ時刻で変化することになる。この場合、予め所定の値を計測しておき、結果判定部20内の記憶部(図示なし)に格納しておくことで判定を可能とすることができる。以下で説明する。
【0037】
どちらのチャネルも人体に触れていない、あるいはどちらも人体に触れていると判定するための値cである。温度変化による電位変動などの誤差、比較器の個体差などがなければ、2つのチャネルのどちらにも人体が触れていない、あるいは触れていれば、比較器11、12は同時刻に出力がHiとなるため、カウント値は0となるはずである。しかし、カウンタ17の分解能(動作周波数)にも依存するが、誤差があれば必ずしも0にはならない。そこで、温度変化などを考慮した測定を行うことにより、どちらも人体に触れていない、あるいは触れていると判定するための値cを決定しておく。これにより、結果判定部20は更に次のように判定することが可能となる。
カウント値≦0〜c・・・2チャネルとも触れられていない or 2チャネルとも触れられている
【0038】
更に、第1の実施の形態で説明したカウント値C、Dを用いて、以下のように判定することが可能となる。
カウント値=(D−C)・・・2チャネルのどちらかに人体が触れられている
どちらのチャネルに人体が触れられているかどうかは、上述の通り、ラッチ回路に格納されている値で判定される。
また、第1の実施の形態で説明した値a、bを用いれば、上式は以下のようにすることも可能である。
(D−b)−(C+a)<カウント値<(D+b)−(C−a)
【0039】
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様、nチャネル分の判定がn/2回の判定動作で可能となる。また、nチャネルから選択したチャネルのうち、いずれか1つが基準電位になったことをトリガとして、各チャネルの比較器の出力を取得している。これにより、選択したチャネル全てが基準電位になるのを待たずに、各チャネルにつながる静電容量の違いを判定することができるため、より高速な判定処理が可能となる。また、第1の実施の形態では、比較器11、12のノイズ対策のためフィルタ15、16を設けていたが、比較器の出力にXOR21を接続し、ラッチ回路22、23を接続した構成にすることにより、これらのフィルタを不要としている。
[第3の実施の形態]
【0040】
図10は、第3の実施の形態に係る静電容量検出装置である。第1、2の実施の形態とは、判定部6がカウンタ17、ラッチ回路(記憶部)22、23、コンペアレジスタ24を備えていることに違いがある。なお、第1、2の実施の形態と同様、第3の実施の形態においても、図6のようにマイクロコンピュータと制御用プログラムにより実現可能である。
【0041】
次に、図10〜12を用いて、第3の実施の形態に係る静電容量検出装置の動作を説明する。まず、nチャネルの入力から2チャネル(チャネル2a、2b)を選択し(S31)、時刻t1〜t2において、充放電制御部4a、4bのスイッチ10a、10bをONにする(S32、S33)。これにより、チャネル2a、2bに接続された静電容量の電荷がディスチャージされる。
【0042】
次に、時刻t3において、充放電制御部4a、4bのスイッチ8a、8bと判定部6のスイッチ13、14をONにするとともに、カウンタ17のカウントを開始する(S34)。これにより、チャネル2a、2bは抵抗9a、9bを介して電源電位に接続され、チャネル2a、2bに接続された静電容量へのチャージが開始される。
【0043】
比較器11、12の動作は第1の実施の形態と同じである。図12は、チャネル2aに人体が触れている場合を示している。人体の触れていないチャネル2bの電位は、時刻t4で基準電位を超えて、比較器12の出力がLoからHiとなる。人体の触れているチャネル2aの電位は、時刻t5で基準電位を超えて、比較器11の出力がLoからHiとなる。
【0044】
コンペアレジスタ24には、チャネルに人体が触れているかどうかを判定するためのカウント値Eが格納されている。この値Eは予め測定することにより求めておくもので、チャネルに人体が触れていない場合に、チャネルの電位が基準電位となるまでにカウントされる値と、チャネルが人体に触れている場合に、チャネルの電位が基準電位となるまでにカウントされる値との間の値が設定される。図13で説明する。図13は、電極に人体が触れていない場合と触れている場合の比較器の出力を示したものである。それぞれ基準電位となった時刻t4、t5近傍で出力が変化している。温度変動による電位変動、比較器の個体差、ノイズによる変動などを考慮し、人体が触れていないと判定する領域(期間)、人体が触れていると判定する領域にはマージンを持たせている。カウント値Eは、これらの領域の間の値、すなわち、時刻t4'(t4<t4'<t5)の時にカウンタ17がカウントする値が設定される。
【0045】
ラッチ回路22、23は、カウンタ17の値がコンペアレジスタ24の値Eになった時点での比較器11、12の値をラッチする(S35)。結果判定部20は、ラッチ回路22、23にセットされた値に基づいて、人体が触れたチャネルを判定する(S36)。図12の場合は、ラッチ22の値がLoであり、ラッチ23の値がHiであるから、チャネル2aの静電容量が大きく、人体の触れたチャネルであると判定する。
【0046】
なお、図12とは異なり、チャネル2a、2bのどちらも人体が触れていない場合や、どちらも人体が触れている場合であっても、結果判定部20は次のように判定をすることができる。
ラッチ回路22、23どちらの値もHi・・・両チャネルとも人体が触れていない
ラッチ回路22、23どちらの値もLo・・・両チャネルとも人体が触れている
【0047】
判定後、スイッチ8a、8b、13、14をOFFにする(S37)。そして、上述したS31〜S37の各ステップを、残りの2c〜2nのチャネルに対しても繰り返し行うことで、各チャネルに人体が接触しているかどうかの判定を順次行っていく。
【0048】
第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様、nチャネル分の判定がn/2回の判定動作で可能となる。また、nチャネルから選択したチャネルにつながる各比較器からの出力を、チャネルに人体が触れていない場合に、チャネルの電位が基準電位となるまでの時間と、チャネルが人体に触れている場合に、チャネルの電位が基準電位となるまでの時間との間の時間で取得している。これにより、選択したチャネル全てが基準電位になるのを待たずに、各チャネルにつながる静電容量の違いを判定することができるため、より高速な判定処理が可能となる。また、第1の実施の形態では、比較器11、12のノイズ対策のためフィルタ15、16を設けていたが、ラッチ回路22、23が、コンペアレジスタ24に格納された値dが示す時刻t4'で、比較器11、12の値をラッチするという構成にしたため、これらのフィルタを不要としている。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】第1の実施の形態に係る容量検出装置の全体図である。
【図2】第1の実施の形態に係る容量検出装置の詳細図である。
【図3】第1の実施の形態に係る容量検出装置の動作フロー図である。
【図4】第1の実施の形態に係る容量検出装置のタイミングチャートである。
【図5】第1の実施の形態に係る容量検出装置の変形例の図である。
【図6】第1の実施の形態に係る容量検出装置をマイクロコンピュータで実現した図である。
【図7】第2の実施の形態に係る容量検出装置の詳細図である。
【図8】第2の実施の形態に係る容量検出装置の動作フロー図である。
【図9】第2の実施の形態に係る容量検出装置のタイミングチャートである。
【図10】第3の実施の形態に係る容量検出装置の詳細図である。
【図11】第3の実施の形態に係る容量検出装置の動作フロー図である。
【図12】第3の実施の形態に係る容量検出装置のタイミングチャートである。
【図13】第3の実施の形態に係る判定領域の説明図である。
【図14】従来技術の図である。
【符号の説明】
【0050】
1a〜1n・・・静電容量
2a〜2n・・・電極
3・・・セレクタ
4a、4b・・・充放電制御部
5・・・比較部
6・・・判定部
7・・・チャネル選択レジスタ
8a、8b、10a、10b、13、14・・・スイッチ
9a、9b・・・抵抗素子
11、12・・・比較器
15、16・・・フィルタ
17・・・カウンタ
18、19・・・バッファ
20・・・結果判定部
21・・・XOR
22、23・・・ラッチ回路
24・・・コンペアレジスタ
100・・・マイクロコンピュータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
n(nは2以上の整数)個の電極と、
前記n個の電極からm個(mはn≧m≧2である整数)の電極を選択する選択部と、
前記m個の電極に接続され、それぞれの電極につながる容量への充電・放電を平行して行うように制御する充放電制御部と、
前記m個の電極に接続され、前記充放電制御部によるそれぞれの電極の充電中の電位と基準電位とを比較し、比較結果信号を出力する比較部と、
前記比較部に接続され、前記m個の電極に対する比較結果信号に応じて、前記m個の電極につながる容量の違いを判定する判定部とを備える容量検出装置。
【請求項2】
前記比較部はm個の比較器を有し、
前記判定部は、前記m個の比較器それぞれに対応した記憶部を有し、当該記憶部は充電中における所定の1つのタイミングで前記m個の比較部からの比較結果信号を取得して格納し、前記判定部は、前記記憶部に格納された値に応じて前記m個の電極につながる容量の違いを判定する請求項1に記載の容量検出装置。
【請求項3】
前記判定部は、更に計測部を有し、当該計測部は前記m個の比較器それぞれの前記比較結果信号の変化点の時間間隔を計測し、前記判定部は、計測された時間間隔と前記記憶部に格納された値とに応じて前記m個の電極につながる容量の違いを判定する請求項2に記載の容量検出装置。
【請求項4】
前記所定の1つのタイミングは、前記m個の比較器からの比較結果信号のうち、いずれか1つの比較結果信号が変化したタイミングである請求項2または3に記載の容量検出装置。
【請求項5】
前記判定部は、更に排他的論理和算出部を有し、当該排他的論理和算出部は、前記m個の比較器からの比較結果信号が入力され、前記記憶部は、充電開始後、前記排他的論理和算出部の出力の最初の変化点で前記m個の比較結果信号の値を格納し、前記計測部は、充電開始後、前記排他的論理和算出部の出力の変化点の間隔を計測する請求項3に記載の容量検出装置。
【請求項6】
前記所定の1つのタイミングは、電極に人体が接触していない場合に前記基準電位までの充電に要する充電時間と、電極に人体が接触した場合に前記基準電位までの充電に要する充電時間との間の時間で設定される請求項2に記載の容量検出装置。
【請求項7】
前記判定部は、更に計測部を有し、
前記記憶部は、前記計測部の計測時間が前記所定の1つのタイミングが示す時間になった時に前記m個の比較器からの比較結果信号の値を格納する請求項6に記載の容量検出装置。
【請求項8】
前記判定部は計測部を有し、当該計測部は充電開始から前記比較結果信号のm個の変化点までの時間を計測し、計測した時間の違いにより前記m個の電極につながる容量の違いを判定する請求項1に記載の容量検出装置。
【請求項9】
前記比較部は、m個の比較器を有し、
前記判定部は、前記m個の比較器それぞれに対応した記憶部を有し、前記計測部は、前記比較結果信号のm個の変化点に対して計測した時間を、それぞれに対応する前記記憶部に記憶し、前記判定部は前記記憶部に格納された計測時間により前記m個の電極につながる容量の違いを判定する請求項8に記載の容量検出装置。
【請求項10】
前記充放電制御部は、所定の期間前記電極を接地電位に接続して放電を行い、抵抗を介して電源電位に接続して充電を行う請求項1に記載の容量検出装置。
【請求項11】
前記判定部は、計測部を有し、当該計測部は前記m個の比較器それぞれの前記比較結果信号の変化点の時間間隔を計測し、前記判定部は、計測された時間間隔に応じて前記m個の電極につながる容量の違いを判定する請求項1に記載の容量検出装置。
【請求項12】
n個(nは2以上の整数)の電極につながる容量の検出を行う方法であって、
前記n個の電極からm個(mはn≧m≧2である整数)の電極を選択する選択ステップと、
前記m個の電極につながる容量に対して平行して、所定の期間放電を行った後、充電を行う充放電ステップと、
前記m個の電極のそれぞれの充電中の電位を基準電位と比較し、比較結果を出力する比較ステップと、
前記m個の電極に対する比較結果に応じて、前記m個の電極につながる容量の違いを判定する判定ステップとを備え、
前記選択ステップ、充放電ステップ、比較ステップ、判定ステップをn/m回行う容量検出方法。
【請求項13】
前記判定ステップは、前記m個の比較結果を、充電中における所定の1つのタイミングで取得し、取得した比較結果に応じて前記m個の電極につながる容量の違いを判定する請求項12に記載の容量検出方法。
【請求項14】
前記判定ステップは、前記m個の電極それぞれに対する前記比較結果を取得した時間の間隔と前記取得した比較結果とに応じて、前記m個の電極につながる容量の違いを判定する請求項13に記載の容量検出方法。
【請求項15】
前記所定のタイミングは、電極に人体が接触していない場合に前記基準電位までの充電に要する充電時間と、電極に人体が接触した場合に前記基準電位までの充電に要する充電時間との間の時間で設定される請求項13に記載の容量検出方法。
【請求項16】
前記判定ステップは、充電開始から前記比較結果が出力されるまでの時間を計測し、計測した時間の違いにより前記m個の電極につながる容量の違いを判定する請求項12に記載の容量検出方法。
【請求項17】
前記判定ステップは、前記m個の電極それぞれに対する前記比較結果を取得した時間の間隔に応じて、前記m個の電極につながる容量の違いを判定する請求項12に記載の容量検出方法。
【請求項1】
n(nは2以上の整数)個の電極と、
前記n個の電極からm個(mはn≧m≧2である整数)の電極を選択する選択部と、
前記m個の電極に接続され、それぞれの電極につながる容量への充電・放電を平行して行うように制御する充放電制御部と、
前記m個の電極に接続され、前記充放電制御部によるそれぞれの電極の充電中の電位と基準電位とを比較し、比較結果信号を出力する比較部と、
前記比較部に接続され、前記m個の電極に対する比較結果信号に応じて、前記m個の電極につながる容量の違いを判定する判定部とを備える容量検出装置。
【請求項2】
前記比較部はm個の比較器を有し、
前記判定部は、前記m個の比較器それぞれに対応した記憶部を有し、当該記憶部は充電中における所定の1つのタイミングで前記m個の比較部からの比較結果信号を取得して格納し、前記判定部は、前記記憶部に格納された値に応じて前記m個の電極につながる容量の違いを判定する請求項1に記載の容量検出装置。
【請求項3】
前記判定部は、更に計測部を有し、当該計測部は前記m個の比較器それぞれの前記比較結果信号の変化点の時間間隔を計測し、前記判定部は、計測された時間間隔と前記記憶部に格納された値とに応じて前記m個の電極につながる容量の違いを判定する請求項2に記載の容量検出装置。
【請求項4】
前記所定の1つのタイミングは、前記m個の比較器からの比較結果信号のうち、いずれか1つの比較結果信号が変化したタイミングである請求項2または3に記載の容量検出装置。
【請求項5】
前記判定部は、更に排他的論理和算出部を有し、当該排他的論理和算出部は、前記m個の比較器からの比較結果信号が入力され、前記記憶部は、充電開始後、前記排他的論理和算出部の出力の最初の変化点で前記m個の比較結果信号の値を格納し、前記計測部は、充電開始後、前記排他的論理和算出部の出力の変化点の間隔を計測する請求項3に記載の容量検出装置。
【請求項6】
前記所定の1つのタイミングは、電極に人体が接触していない場合に前記基準電位までの充電に要する充電時間と、電極に人体が接触した場合に前記基準電位までの充電に要する充電時間との間の時間で設定される請求項2に記載の容量検出装置。
【請求項7】
前記判定部は、更に計測部を有し、
前記記憶部は、前記計測部の計測時間が前記所定の1つのタイミングが示す時間になった時に前記m個の比較器からの比較結果信号の値を格納する請求項6に記載の容量検出装置。
【請求項8】
前記判定部は計測部を有し、当該計測部は充電開始から前記比較結果信号のm個の変化点までの時間を計測し、計測した時間の違いにより前記m個の電極につながる容量の違いを判定する請求項1に記載の容量検出装置。
【請求項9】
前記比較部は、m個の比較器を有し、
前記判定部は、前記m個の比較器それぞれに対応した記憶部を有し、前記計測部は、前記比較結果信号のm個の変化点に対して計測した時間を、それぞれに対応する前記記憶部に記憶し、前記判定部は前記記憶部に格納された計測時間により前記m個の電極につながる容量の違いを判定する請求項8に記載の容量検出装置。
【請求項10】
前記充放電制御部は、所定の期間前記電極を接地電位に接続して放電を行い、抵抗を介して電源電位に接続して充電を行う請求項1に記載の容量検出装置。
【請求項11】
前記判定部は、計測部を有し、当該計測部は前記m個の比較器それぞれの前記比較結果信号の変化点の時間間隔を計測し、前記判定部は、計測された時間間隔に応じて前記m個の電極につながる容量の違いを判定する請求項1に記載の容量検出装置。
【請求項12】
n個(nは2以上の整数)の電極につながる容量の検出を行う方法であって、
前記n個の電極からm個(mはn≧m≧2である整数)の電極を選択する選択ステップと、
前記m個の電極につながる容量に対して平行して、所定の期間放電を行った後、充電を行う充放電ステップと、
前記m個の電極のそれぞれの充電中の電位を基準電位と比較し、比較結果を出力する比較ステップと、
前記m個の電極に対する比較結果に応じて、前記m個の電極につながる容量の違いを判定する判定ステップとを備え、
前記選択ステップ、充放電ステップ、比較ステップ、判定ステップをn/m回行う容量検出方法。
【請求項13】
前記判定ステップは、前記m個の比較結果を、充電中における所定の1つのタイミングで取得し、取得した比較結果に応じて前記m個の電極につながる容量の違いを判定する請求項12に記載の容量検出方法。
【請求項14】
前記判定ステップは、前記m個の電極それぞれに対する前記比較結果を取得した時間の間隔と前記取得した比較結果とに応じて、前記m個の電極につながる容量の違いを判定する請求項13に記載の容量検出方法。
【請求項15】
前記所定のタイミングは、電極に人体が接触していない場合に前記基準電位までの充電に要する充電時間と、電極に人体が接触した場合に前記基準電位までの充電に要する充電時間との間の時間で設定される請求項13に記載の容量検出方法。
【請求項16】
前記判定ステップは、充電開始から前記比較結果が出力されるまでの時間を計測し、計測した時間の違いにより前記m個の電極につながる容量の違いを判定する請求項12に記載の容量検出方法。
【請求項17】
前記判定ステップは、前記m個の電極それぞれに対する前記比較結果を取得した時間の間隔に応じて、前記m個の電極につながる容量の違いを判定する請求項12に記載の容量検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−239666(P2009−239666A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−83733(P2008−83733)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]