説明

寄生虫症に対するワクチンまたは診断法としてのL3および/またはL5供給源の使用

本発明は、寄生虫症を治療または予防するための薬剤を調製するための、L3および/またはL5供給源および任意にアジュバントを含む組成物、ならびに、前記寄生虫症診断へのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寄生虫症を治療するため、予防するため、および/またはその診断に使用するための医薬品または薬剤を調製するためのL3および/またはL5供給源に関する。
【背景技術】
【0002】
リーシュマニア症は、ヒトとイヌとを含めた種々の哺乳動物のマクロファージに主に感染するリーシュマニア(Leishmania)属に属する細胞内の寄生原生動物によって引き起こされるいくつかの疾患を含む。主に寄生生物の種およびヒト宿主の免疫能の状態に応じて、疾患のスペクトルは、自己回復する皮膚リーシュマニア症(CL)から致死的な内臓リーシュマニア症(VL)またはカラアザールまでにわたる(18)。Leishmania infantumおよびL.chagasiによって引き起こされるイヌの内臓皮膚リーシュマニア症(VCL:viscerocutaneous leishmaniasis)は、地中海沿岸諸国において、中東において、およびラテンアメリカにおいて見出される重要な新興人畜共通感染症である(16);イヌはこれらの寄生生物の主要な保有宿主になっており、サシチョウバエ亜科スナバエによるヒトへの伝染において中心的な役割を果たしている(44)。感染の転帰は、宿主免疫系と種々の寄生生物種との間の相互作用によって決定されるが、リーシュマニア症の発病は、未だ不明のままであり、ヒトおよびイヌにおけるリーシュマニアに対する免疫応答に関与する機構に関する知見は今でも限られている。一般に、防御免疫は、T細胞に由来するサイトカインによるマクロファージの活性化を誘導する古典的な細胞性免疫応答を伴う。他方では、非治癒性疾患は強力な体液性応答の発生を伴う(15、24)。
【0003】
多様なアジュバントを使用したいくつかの実験モデルにおいてワクチン候補として試験されてきた種々の寄生生物の表面分子または分泌型分子を同定するために、粗製の寄生生物画分または定義済みの寄生生物抗原に基づく第2世代のワクチンを開発するための研究が取り組まれている(1、17、20、43、45、46、49、50)。感染した動物またはヒトからの血清を用いた発現ライブラリーをスクリーニングすることによっても、数種の抗原を候補ワクチンとして選択することが可能になった((9)に概説されている)。それらの中で、感染したマウスまたはヒト患者の細胞において主としてTh型の免疫応答を引き出すものは、それらの細胞位置に関係なく、種々の動物モデルにおける防御応答の発生に関係づけられている(48、51、52)。他方では、単離された抗原のいくつかは、VLに罹患しているヒトまたはイヌにおける体液性応答、または実験的に感染させたマウスにおけるTh媒介性体液性応答を主に刺激する細胞内の保存されたタンパク質である(3、33、35、37、39)。それらに対して誘導される、リーシュマニア症に罹患しているイヌにおける不適切な体液性応答は、主に免疫複合体の有害作用に起因して、免疫病理的状態、例えば、ぶどう膜炎(13)、中枢神経系の病変(14)または腎炎(21、22、30、31)などをもたらすと考えられている。VLのヒトにおけるIgG免疫複合体の存在は、感染を消散させることができないことと相関することも最近示され、これは、免疫複合体が感染した宿主にとって有害であり得ることを実証している(27)。
【0004】
最初は優良なワクチン候補と考えられていなかったにもかかわらず、感染プロセスの間に高い体液性応答を誘導するタンパク質が、防御応答の誘導に関連づけられている。例えば、寄生生物のチューブリンおよびヒストンH2Bは、免疫ドナーに由来するT細胞クローンによって認識された(36)。さらに、rK39により、免疫マウス由来のT細胞による増殖およびIFN−γの産生が引き起こされる(23)。寄生生物のH2B遺伝子、H3遺伝子およびH4遺伝子を用いて遺伝子免疫化することにより、マウスの内臓リーシュマニア症のモデルにおいて防御が誘導されることも示された(62)。また、活性化Cキナーゼ(LACK)(29)、いくつかの寄生生物のシステインプロテイナーゼ(38、41)または寄生生物のヌクレオソーム形成ヒストン(11、19)の受容体を、Th促進アジュバントを投与して免疫化することにより、マウスモデルにおける皮膚リーシュマニア症に対する防御と相関する免疫応答が発生する。
【0005】
進化的に保存されたリーシュマニアの抗原の中で、いくつかの証拠により、リボソームタンパク質が、リーシュマニアの感染の間に免疫学的に関連する分子であることが示唆されている。ある場合では、リボソームの構成要素が、感染の間に細胞活性およびサイトカインの放出を調節する力を通じて、宿主免疫系の機能障害に寄与し得る。したがって、L.majorのリボソームタンパク質であるS3aのBALB/cマウスへの注入は、B細胞クローンの多クローン性増殖を誘導し、T細胞の増殖を阻害した(10)。また、推定上の60Sリボソームタンパク質L31をコードするDNAワクチンを用いた遺伝的免疫化は、IL−10サイトカインおよびThサイトカインの誘導により、マウスモデルにおいて疾患を悪化させた(41、63)。さらに、寄生生物の酸性Pタンパク質のようないくつかの寄生生物のリボソームタンパク質は、リーシュマニア症に罹患しているイヌおよびヒトにおける強力な体液性応答の発生に関係している((39)に概説されている)。しかし、試験された幾つかのリボソームタンパク質は免疫原性の防御応答を誘導することができないか、または、得られた免疫原性の防御応答が最適以下であったことも示された(55、41)。
【0006】
これまでの全ての試みにもかかわらず、依然としてリーシュマニア症などの寄生虫症に対して価値があるワクチンは存在しない。したがって、そのようなワクチンに対する大きなニーズが依然として存在する。
【発明の概要】
【0007】
この研究において、我々は、驚いたことに、2種のL.majorのリボソームタンパク質であるL3およびL5が抗原性であることを示す。これは、これらの2種のタンパク質のそれぞれが、リーシュマニア症を患っている個体由来の血清によって認識されたことを意味する。さらに、皮膚リーシュマニア症のマウスモデルにおいて、IgG1アイソタイプの抗L3抗体および抗L5抗体が見出された。CpG−ODNの存在下において、BALB/cマウスにおける両タンパク質の免疫化は、それらに対するTh1応答を誘導した。ワクチン接種の結果、マウスは、L.majorの攻撃後におけるCLの発症から保護された。我々は、さらに、L.majorのタンパク質は、L.braziliensisへの感染に対する保護作用を付与すること実証している。我々は、L3リボソームタンパク質およびL5リボソームタンパク質が、少なくとも種々のリーシュマニア種の間で高度に保存されていることも実証している。そのような組成物は、医薬組成物として、好ましくは診断法、ワクチン、または治療への適用として使用するのに非常に魅力的である。本発明を以下にさらに説明する。
【0008】
使用
本発明の第1の側面において、対象における寄生虫症を治療または予防するための、L3および/またはL5の供給源、および任意に薬剤または医薬品を調製するためのアジュバントの使用が提供される。
【0009】
L3タンパク質およびL5タンパク質は、リボソームタンパク質である。リボソームタンパク質は、よく保存された細胞質タンパク質である。したがって、L3および/またはL5供給源は、植物または動物といった任意の真核生物から調製してよく、哺乳動物、は虫類、魚類、昆虫類、または原性生物といった染色体を有する任意の他の生物に由来してよい。好ましくは、L3および/またはL5供給源は、進化系統樹上、疾病の原因となる生物に近い生物、好ましくは寄生虫症の原因となる生物に近い生物から取得される。したがって、寄生虫症の予防および/または治療において使用されるL3および/またはL5供給源の供給源として特に興味深いのは、マラリア原虫(Plasmodium)、特にトリパノソーマファミリーのメンバー、さらに特にトリパノソーマ科の原生動物であるリーシュマニアの種々の種のような原生動物である。リーシュマニアの既知の種は20種を超え、それらとしては、L.majorを含めたL.majorコンプレックス、L.chagasiと、L.donovaniと、L.infantumとを含めたL.donovaniコンプレックス、L.amazonensisとL.mexicanaとを含めたL.mexicanaコンプレックスを含むリーシュマニア亜属、ならびにL.braziliensisと、L.peruvianaとを含めたL.braziliensisコンプレックス、およびL.guyanensisとL.panamensisとを含めたL.guyanensisコンプレックスを含むビアンニア(Viannia)亜種の種が挙げられる。特に興味深いマラリア原虫種は、Plasmodium falciparumおよびPlasmodium vivaxである。好ましい実施形態において、L3および/またはL5供給源は、リーシュマニア種から得られ、Leishmania major、Leishmania infantum、Leishmania donovani、Leishmania mexicana、Leishmania chagasiおよび/またはLeishmania braziliensisから得られることが好ましい。L3供給源は、リーシュマニア種から得られることがより好ましく、Leishmania major、Leishmania infantumおよび/またはLeishmania Mexicanaから得られることが好ましい。L5供給源は、リーシュマニア種から得られることがより好ましく、Leishmania major、Leishmania infantum、Leishmania braziliensisおよび/またはLeishmania mexicanaから得られることが好ましい。実施例2において、我々は、少なくとも3種の別個のリーシュマニア種において、高度に保存されたL3およびL5相同体(少なくとも90%の同一性、表1参照)が存在することを実証した。別の好ましい実施形態において、L3および/またはL5供給源は、マラリア原虫種から得られる。L3および/またはL5の供給源は、ここにおいて同定されているいくつかの別個の生物体由来のL3および/またはL5供給源を混合することによって調製することもできることは、当業者には理解されよう。ワクチンにおけるL3および/またはL5供給源の使用は、処置された対象において免疫防御応答を誘導することが示されているので、魅力的な免疫原特性を有することがここに実証されている。
【0010】
「L3および/またはL5供給源」という用語は、「L3のおよび/またはL5の供給源」に置き換えてもよい。L3および/またはL5供給源は、好ましくは、L3および/またはL5タンパク質、L3および/またはL5由来のペプチドもしくはタンパク質断片、および/または、L3および/またはL5タンパク質またはそれに由来するペプチドもしくはタンパク質断片をコードする核酸を含む。好ましいL3タンパク質は、配列番号1で表される。この好ましいL3タンパク質は、Leishmania majorに由来しており、好ましくは配列番号2によりコードされる。別の好ましいL3タンパク質は、配列番号48で表される。この好ましいL3タンパク質は、Leishmania infantumに由来しており、好ましくは配列番号49によりコードされる。別の好ましいL3タンパク質は、配列番号50で表される。この好ましいL3タンパク質は、Leishmania mexicanaに由来し、好ましくは配列番号51によりコードされる。
【0011】
好ましいL5タンパク質は、配列番号3で表される。この好ましいL5タンパク質は、Leishmania majorに由来し、好ましくは配列番号4によりコードされる。別の好ましいL5タンパク質は、配列番号52で表される。この好ましいL5タンパク質は、Leishmania infantumに由来し、好ましくは配列番号53によりコードされる。別の好ましいL5タンパク質は、配列番号54で表される。この好ましいL5タンパク質は、Leishmania mexicanaに由来し、好ましくは配列番号55によりコードされる。別の好ましいL5タンパク質は、配列番号56で表される。この好ましいL5タンパク質は、Leishmania braziliensisに由来し、好ましくは配列番号65によりコードされる。
【0012】
本願全体を通して、特定のヌクレオチド配列の配列番号(例として、配列番号2または4または49または51または53または55または65を挙げる)に言及した場合、それを配列番号2または4または49または51または53または55または65と少なくとも60%の配列の同一性または類似性を有するヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列に置き換えてよい。
【0013】
本願全体を通して、特定のアミノ酸配列の配列番号(例として、配列番号1または3または48または50または52または54または56を挙げる)に言及する場合、それを配列番号1または3または48または50または52または54または56のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列の同一性または類似性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドで置き換えてよい。
【0014】
したがって、好ましい実施形態において、L3供給源は、配列番号1または48または50のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列の同一性または類似性を有し、および/または、配列番号2または49または51と少なくとも60%の同一性を有するヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0015】
したがって、好ましい実施形態において、L5供給源は、配列番号3または52または54または56のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列の同一性または類似性を有し、および/または、配列番号4または53または55または65と少なくとも60%の同一性を有するヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0016】
したがって、好ましい実施形態において、L3供給源は、配列番号2または49または51のヌクレオチド配列と少なくとも60%の配列の同一性または類似性を有し、および/または、配列番号1または48または50と少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む核酸である。
【0017】
したがって、好ましい実施形態において、L5供給源は、配列番号4または53または55または65のヌクレオチド配列と少なくとも60%の配列の同一性または類似性を有し、および/または、配列番号3または52または54または56と少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸である。
【0018】
好ましくは、特定の同定されたアミノ酸配列またはヌクレオチド配列と少なくとも60%の同一性または類似性を有する前記アミノ酸配列またはヌクレオチド配列は、本発明に包含され、コードされるタンパク質またはポリペプチド、タンパク質断片、ペプチドが、依然として、少なくとも配列番号1または3または48または50または52または54または56によって得られる免疫応答を少なくともいくらかの程度で引き出すことができる場合、それは機能的であると言える。少なくともいくらかの程度とは、少なくとも50%、少なくとも60%、70%、80%、少なくとも90%または100%を意味することが好ましい。免疫応答の誘発は、ここにおいて後で定義されている:化合物は、処置された対象において免疫応答を誘発できる場合、機能的であり、このことは、好ましくは、化合物は、所定の抗原であるL3および/またはL5に対するTh免疫応答を促進または誘発できること、および/または、皮膚または粘膜の病変の発症を予防および/または遅延させることができ、および/または皮膚および/または粘膜の病変において、および/または耳において、および/またはこれらの感染した領域(皮膚の領域、粘膜の領域、耳)のいずれかの排液をすることが好ましい流入領域リンパ節(DLN)において、ならびに、内臓、例えば肝臓、脾臓、骨髄、腎臓、脳などにおいて寄生生物の負荷量(load)の有意な低下を誘導することを意味する。本発明に包含されるアミノ酸配列は、安定性、溶解性および免疫原性を増加させるために、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の置換および/または挿入および/または欠失および/または付加的なN末端またはC末端のアミノ酸または化学的部分を含んでよい。
【0019】
ここで定義されているL3および/またはL5タンパク質断片またはL3および/またはL5由来のペプチドは、好ましくは、対応するL3および/またはL5タンパク質の少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個またはそれ以上の連続したアミノ酸を含み且つここにおいて前に定義されている通り免疫応答を引き出すことができる断片である。したがって、好ましい実施形態において、ここで定義されているL3および/またはL5タンパク質断片またはL3および/またはL5由来のペプチドは、好ましくは、配列番号1または3または48または50または52または54または56の少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個またはそれ以上の連続したアミノ酸を含む断片である。
【0020】
好ましい実施形態として、好ましいL3タンパク質断片または好ましいL3由来のペプチドは、L3タンパク質のC末端部分の最後の40個、39個、38個、37個、36個、35個、34個、33個、32個、31個、30個、29個、28個、27個、26個、25個、24個、23個、22個、21個、20個の連続したアミノ酸を含むか、またはそれから成る。さらにより好ましくは、これは、配列番号1または48または50の最後の40個、39個、38個、37個、36個、35個、34個、33個、32個、31個、30個、29個、28個、27個、26個、25個、24個、23個、22個、21個、20個の連続したアミノ酸を含むか、またはそれから成る。さらにより好ましくは、これは、配列番号1のアミノ酸394−419を含むか、またはそれから成る。別の好ましい実施形態として、好ましいL5タンパク質断片または好ましいL5由来のペプチドは、L5タンパク質のN末端部分の最初の40個、39個、38個、37個、36個、35個、34個、33個、32個、31個、30個、29個、28個、27個、26個、25個、24個、23個、22個、21個、20個の連続したアミノ酸を含むか、またはそれから成る。さらにより好ましくは、これは、配列番号3または52または54または56の最初の40個、39個、38個、37個、36個、35個、34個、33個、32個、31個、30個、29個、28個、27個、26個、25個、24個、23個、22個、21個、20個の連続したアミノ酸を含むか、またはそれから成る。さらにより好ましくは、これは、配列番号3のアミノ酸1−23を含むか、またはそれから成る。別の好ましい実施形態として、好ましいL5タンパク質断片または好ましいL5由来のペプチドは、L5タンパク質のC末端部分の最後の40個、39個、38個、37個、36個、35個、34個、33個、32個、31個、30個、29個、28個、27個、26個、25個、24個、23個、22個、21個、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個の連続したアミノ酸を含むか、またはそれから成る。さらにより好ましくは、これは、配列番号3または52または54または56の最後の40個、39個、38個、37個、36個、35個、34個、33個、32個、31個、30個、29個、28個、27個、26個、25個、24個、23個、22個、21個、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個の連続したアミノ酸を含むか、またはそれから成る。さらにより好ましくは、これは、配列番号3のアミノ酸322−328を含むか、またはそれから成る。別の好ましい実施形態において、L3およびL5供給源は、L3タンパク質の少なくとも1つのタンパク質断片とL5タンパク質の少なくとも1つのタンパク質断片とを含むタンパク質を含む。より好ましくは、L3タンパク質断片およびL5タンパク質断片は、融合してキメラタンパク質を形成している。したがって、本発明は、さらに、核酸またはそのようなL3およびL5供給源をコードする核酸を包含する。
【0021】
好ましい実施形態において、L3および/またはL5供給源は、少なくとも1つのL3および/またはL5タンパク質、および/または少なくとも1つのL3および/またはL5のタンパク質断片を含む。より好ましい実施形態において、L3および/またはL5の供給源は、少なくとも2つのL3および/またはL5タンパク質および/または少なくとも2つのL3および/またはL5のタンパク質断片を含む。この実施形態は、タンパク質ベースの供給源、好ましくはタンパク質ベースのワクチンに関する。
【0022】
好ましい実施形態において、ここに同定されるL3および/またはL5供給源は、WO2009/090175において同定されたリボソームタンパク質抽出物(RPE)を包含すると理解することはできないことに留意すべきである。RPEは、対象中に存在すると寄生虫症を引き起こす寄生生物の細胞を用いて、以下のステップを実行することによって得ることができる:
a.寄生生物細胞と溶解緩衝液とを混合するステップ、
b.得られた混合物を遠心分離して、細胞質抽出物を得るステップ、
c.得られた細胞質抽出物からRPEを調製するステップ。
【0023】
したがって、好ましい実施形態において、L3および/またはL5供給源は、上で定義されたRPEではない。
【0024】
別の好ましい実施形態において、L3および/またはL5供給源は、少なくとも1つのL3および/またはL5をコードする核酸、および/または少なくとも1つのL3および/またはL5のタンパク質断片をコードする核酸を含む。より好ましい実施形態において、L3および/またはL5の供給源は、少なくとも2つのL3および/またはL5タンパク質をコードする核酸、および/または少なくとも2つのL3および/またはL5のタンパク質断片をコードする核酸を含む。この実施形態は、核酸ベースの供給源、好ましくは核酸ベースのワクチンに関する。
【0025】
L3および/またはL5の供給源は、タンパク質、タンパク質の消化物および/またはその断片であってよく、それは精製された形態であってよく、または、粗組成物中に含まれてよく、好ましくは細菌溶解物、酵母溶解物、真菌溶解物、超音波処理物または固定物といった生物由来の粗組成物中に含まれてよい。あるいは、L3および/またはL5供給源は、インビトロで化学的にまたは酵素的に生成してよい。L3および/またはL5タンパク質、またはその断片の供給源は、RNAまたはDNA鋳型に由来する、前記をコードする核酸またはその断片であってよい。RNAまたはDNA分子は、「裸の」DNAであってよく、好ましくは小胞またはリポソームの中に含まれ、または、それらは、ベクター内に含まれてよい。ベクターは、当該分野で既知の任意の(組換え)DNAまたはRNAベクターであってよく、好ましくはプラスミドであり;この場合、潜伏抗原をコードする遺伝子は、コードされるメッセンジャーの発現および翻訳を付与する調節配列に作動可能に連結されている。ベクターは、任意のDNAまたはRNAウイルスであってよく、例えば、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルス、レンチウイルス、改変ワクシニアアンカラ(modified Vaccinia Ankara)ウイルス(MVA)または鶏痘ウイルス、または選択された対象にポリペプチドの発現を付与することができる任意の他のウイルスベクターであってよいが、これらに限定されない。DNAベクターは、エピソーム複製ベクターといった非組み込み型であってよく、またはランダムな組み込みによってまたは相同組換えによって宿主ゲノムに組み込まれるベクターであってよい。
【0026】
任意にウイルスまたはプラスミドなどのベクターに埋め込まれた、本発明によるL3および/またはL5タンパク質またはその断片をコードする遺伝子を含むDNA分子は、対象のゲノムに組み込むことができる。本発明の好ましい実施形態において、そのような宿主は微生物であってよい。好ましくは、そのような組換え微生物は、本発明によるポリペプチドまたはその断片を宿主に送達することができる、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、例えば、M.tuberculosis、M.smegmatis(Yue.Y.ら、(2007年)、J.Virol.Meth.、141巻:41〜48頁、Cayabiyab Y.ら、(2006年)、J.Virol.、80巻:1645〜1652頁)またはM.bovis、および最も好ましくは、M.bovis、Bacillus Calmette Guerin(BCG)またはM.smegmatisの種のマイコバクテリウムである。組換えBCGおよび組換えの方法は、当該分野で既知であり、例えば、WO2004094469にある。そのような組換え微生物は、組換え生ワクチンおよび/または弱毒生ワクチンとして製剤化することができる。例えば、Jacobsら、1987年、Nature、327巻(6122号):532〜5頁)。ベクターは、さらに、微生物由来の宿主に含まれていてよく、例えば、生の弱毒化および/または組換え型シゲラ(Shigella)菌またはサルモネラ(Salmonella)菌を含むがこれらに限定されないものに含まれていてよい。
【0027】
任意の既知のアジュバントを、本発明において使用することができる。いくつかの適切なアジュバントが当業者には既知である。アジュバントは、最も好ましくは、以下のアジュバントの一覧から選択される:カチオン性(抗菌性)ペプチド、サポニンおよびToll様受容体(TLR)リガンド、例えば、これらに限定されないが、poly(I:C)、CpGモチーフ、LPS、リピドA、リポペプチドPam3Cysおよび細菌のフラジェリンなど、またはその一部、および化学的な修飾を有するそれらの誘導体。本発明による方法および組成物において使用するためのその他の好ましいアジュバントは、生BCGまたは死菌BCGとの混合物、前記潜伏抗原を有する免疫グロブリン複合体またはその一部、IC31(www.intercell.comから;WO03047602)、QS21/MPL(US2003095974)、DDA/MPL(WO2005004911)、DA/TDB(WO2005004911;Holten−Andersenら、2004年Infect Immun.2004年3月;72巻(3号):1608〜17頁)および可溶性LAG3(CD223)(www.Immunotep.comから;US2002192195)である。さらに、別の好ましいアジュバントは、Corynebacterium paryumまたはPropionobacterium acnesの使用を含む(64、65、66)。
【0028】
特に好ましいアジュバントは、Toll様受容体を介して作用することが既知であるアジュバントである。先天性免疫系を活性化することができるアジュバントは、TLR1−10を含むToll様受容体(TLR)を介して、および/またはRIG−1(レチノイン酸誘導性遺伝子−1)タンパク質を介して、および/またはエンドセリン受容体を介して、特に良好に活性化することができる。TLR受容体、およびそれらの修飾体および誘導体を活性化することができる化合物は、当該分野において文書で十分に裏付けられている。TLR1は、細菌のリポタンパク質およびそのアセチル化された形態によって活性化することができ、TLR2は、さらに、グラム陽性細菌の糖脂質、LPS、LPA、LTA、線毛、外膜タンパク質、細菌由来または宿主由来の熱ショックタンパク質、およびマイコバクテリアのリポアラビノマンナンによって活性化することができる。TLR3は、dsRNA、特にウイルス起源のdsRNAによって、または化合物poly(I:C)によって活性化することができる。TLR4は、グラム陰性のLPS、LTA、宿主由来または細菌由来の熱ショックタンパク質、ウイルスのコートタンパク質または外被タンパク質、タキソールまたはそれらの誘導体、オリゴ糖を含有するヒアルロナンおよびフィブロネクチンによって活性化することができる。TLR5は、細菌の鞭毛またはフラジェリンを用いて活性化することができる。TLR6は、マイコバクテリアのリポタンパク質およびB群連鎖球菌(Streptococcus)の熱に不安定な可溶性因子(GBS−F)またはブドウ球菌(Staphylococcus)のモジュリンによって活性化することができる。TLR7は、イミダゾキノリンおよび誘導体によって活性化することができる。TLR9は、非メチル化CpG DNAまたはクロマチン−IgG複合体によって活性化することができる。とりわけ、TLR3、TLR4、TLR7およびTLR9は、ウイルスの感染に対する先天性免疫応答の媒介において重要な役割を果たし、これらの受容体を活性化することができる化合物は、本発明における使用に特に好ましい。特に好ましいアジュバントは、TLR3受容体およびTLR9受容体を誘発するdsRNA、poly(I:C)、非メチル化CpG DNAを含む合成的に生成した化合物、IC31、TLR9アゴニスト、IMSAVAC、TLR4アゴニストを含むが、これらに限定されない。別の好ましい実施形態において、アジュバントは、ここにおいて先に定義されたL3および/またはL5供給源に物理的に連結されている。アジュバントおよび共刺激化合物または共刺激官能基と、ペプチドを含むHLAクラスIエピトープおよびHLAクラスIIエピトープとの物理的連結は、内部移行し、代謝され、抗原を提示する抗原提示細胞、とりわけ樹状細胞が同時に刺激されることによって、免疫応答の増強がもたらされる。別の好ましい免疫修飾性化合物は、T細胞の接着阻害剤であり、より好ましくは、BQ−788などのエンドセリン受容体の阻害剤である(67)。BQ−788は、N−シス−2,6−ジメチルピペリジノカルボニル−L−ガンマ−メチルロイシル−D−1−メトキシカルボニルトリプトファニル−D−ノルロイシンである。しかし、BQ−788の誘導体または修飾されたBQ−788化合物はいずれも、同様に本発明の範囲に包含される。
【0029】
他のアジュバントは、MPL−SE(Glaxo Smithkline Biologicals、Belgium)またはEM005(IDRI America)を含む。
【0030】
好ましい実施形態において、アジュバントは、Th1促進アジュバント(例えば、CpG ODNモチーフを含むアジュバント)である。Th促進アジュバントは、所与の抗原(ここでは、L3および/またはL5供給源)と一緒に用いた場合に、この抗原に対するTh免疫応答を促進または誘発することができるアジュバントであって、この抗原とともに培養した、処置された対象の脾細胞の上清において検出されるアジュバントであると文献(68)に定義されている。コントロールとして、Th1免疫応答の促進または誘発を、抗原およびアジュバントで処置していない同じ対象の脾細胞集団において、または抗原でのみ処置した同じ集団に関して評価する。Th免疫応答の誘発または促進は、好ましくは、抗原で処置された対象の脾細胞を培養することによって検出されるIFNγの誘導によって、および/または抗原に特異的なIgG2a免疫グロブリンの生成を誘導することによって定義される。このサイトカインの誘導の評価は、好ましくは、実施例に記載されるように、脾細胞に対するELISAによって行われる。IgG2aの誘導の評価は、好ましくは、実施例1に記載されるように、ELISAまたはウェスタンブロットによって行われる。L3および/またはL5供給源およびアジュバントで脾細胞を刺激した際のIFNγおよび/またはIgG2aの誘導は、好ましくは、アジュバントがTh1促進アジュバントとして適していることを意味する。
【0031】
上述のようなTh免疫応答の誘発または促進の第1の定義の代わりに、またはそれとの組み合わせで、Th免疫応答の誘発または促進は、さらに、Th免疫応答がないこと(または、それが誘導されないこと)によって定義することができる。Th免疫応答は、無処置の脾細胞と比較した場合に、IL−4、IL−10の誘導の検出可能な増大、および/または検出可能なIgG1免疫グロブリンの生成を特徴とする。IL−4および/またはIL−10の誘導の評価は、好ましくは、実施例に記載されるように、脾細胞に対するELISAによって行われる。IgG1の誘導の評価は、好ましくは、実施例1に記載されるように、ELISAまたはウェスタンブロットによって行われる。
【0032】
上述のTh免疫応答の誘発または促進の2つの第1の定義に代えて、またはそれとの組み合わせで、Th免疫応答の誘発または促進は、さらに、定義された抗原に対する、この場合はL3および/またはL5に対する、IFNγ/IL−10比および/またはIFNγ/IL−4比の増大、および/またはIgG1/IgG2a比の減少によって定義することができる。好ましい実施形態において、これらの任意の比率における2を超える変化(上述の通り増大または減少)は、アジュバントがTh1特性を有することを示す。言及されたサイトカインのそれぞれの誘導の評価は、好ましくは、実施例に記載されるように、脾細胞に対するELISAによって行われる。免疫グロブリンであるIgG1またはIgG2aの誘導の評価は、好ましくは、実施例1に記載されるように、ELISAまたはウェスタンブロットによって行われる。
【0033】
好ましい実施形態において、Th−1促進アジュバントは、オリゴデオキシヌクレオチドであるか、またはそれを含むか、またはそれから成る。より好ましくは、オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)は、Cがメチル化されていないCpG(CpG ODN):3’プリン−CpG−5’ピリミジンを含むか、またはそれから成る。好ましいオリゴデオキシヌクレオチドは、ホスホロチオエートで修飾されたODN配列であるか、またはそれを含むか、またはそれから成る。使用されるオリゴデオキシヌクレオチドは、それゆえ、修飾されていないオリゴヌクレオチドより安定であり、したがって、それらが一度血流に入ってしまえば容易に分解されないため、そのような修飾を有するオリゴデオキシヌクレオチドの使用は有利である。好ましいTh−1促進アジュバントは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つのCpGモチーフから成るか、またはそれを含む。免疫賦活性ODN(5’から3’)の好ましい配列は、TCAACGTTGA(配列番号5)およびGCTAGCGTTAGCGT(配列番号6)であった。当業者は、ここに明確に記載された配列に制限されない。当業者は、他の配列を設計し、続いて、ここにおいて先に定義されるように、それらのTh−1促進特性について試験することができる。LRPEとこのTh1促進アジュバントとの共接種は、BALB/cマウス系統およびC57BL/6マウス系統の両方において、L.major寄生生物の攻撃に対する防御を誘導することが実施例において実証されたため、この好ましい同定されたアジュバントCpG ODNは非常に魅力的である。両モデルにおいて、防御はIFN−γの特異的な生成と相関する。BALB/cでは、IL−4およびIL−10の生成の制限も検出された。
【0034】
本発明は、1)予防的な(preventive)(予防的な(prophylactic))ワクチン、2)曝露/感染後のワクチン、または3)治療的な/治癒的なワクチンとして適したL3および/またはL5供給源の使用を提供する。本発明の1つの利点は、より広範なスペクトルの寄生虫症を治療するための医療用調製物、すなわち、異種間特異性を有する医療用調製物の調製を可能にすることである。多くの寄生虫症において、特定の種に対して生じたワクチンは、その特定の種に対してのみ働く。この事例である寄生虫症の一例はリーシュマニア症である。現在のところ、この疾患は、薬物によって制御されているが、薬物治療は疾患の蔓延を抑制することができず、多くの場合、あまり有効でない。好ましい実施形態において、寄生虫症はリーシュマニア症またはマラリアである。より好ましくは、寄生虫症は、リーシュマニアまたはマラリア原虫種によって引き起こされる寄生虫症である。さらに好ましい実施形態において、寄生虫症は、L3および/またはL5供給源が由来する種とは異なる種によって引き起こされる。特に、実験パートにおいて実証されている通り(実施例2を参照されたい)、幾つかのリーシュマニア種に由来するL3およびL5相同体は高度に保存されているため(少なくとも90%の同一性、表1参照)、リーシュマニア属に由来する1つの種に起因するリーシュマニア症は、別のリーシュマニア種に由来するL3および/またはL5供給源ベースの組成物の使用によって治療することができる。さらに、我々は、実験パートにおいて(実施例1および3を参照されたい)、Leishmania majorのL3およびL5タンパク質は、Leishmania majorまたはLeishmania braziliensisの感染を防御することができることをすでに実証した。一実施形態において、L.majorによって引き起こされるリーシュマニア症は、L.infantum、L.chagasi、L amazonensisまたはL.braziliensisに由来するL3および/またはL5供給源を含む組成物を用いて首尾よく治療される。別の実施形態において、L.chagasiまたはL.amazonensisによって引き起こされるリーシュマニア症は、L.infantumに由来するL3および/またはL5供給源を含む組成物を用いて首尾よく治療される。別の実施形態において、L.majorまたはL.braziliensisによって引き起こされるリーシュマニア症は、L.majorに由来するL3および/またはL5供給源を含む組成物を用いて首尾よく治療される。あるいは、マラリアなどの他の寄生虫症は、別の種のL3および/またはL5供給源ベースの組成物、例えば、L.infantumまたはL.majorまたはL.mexicanaまたはL.braziliensisのL3および/またはL5供給源ベースの組成物を用いて首尾よく治療することができる。
【0035】
本発明に関して、対象とは、ヒトまたは動物を意味する。本発明の範囲に包含される動物は哺乳動物を含み、好ましくはイヌを含む。
【0036】
好ましい実施形態において、ここに定義される薬剤(または医療用調製物または医薬組成物または医薬品)が使用され、感染症および/または疾患、より好ましくは寄生虫感染症および/または寄生虫症と戦う、ヒトまたは動物の免疫系の能力が向上する。特に、これはヒト対象または動物対象に対する投与に使用してよい。ここに定義される薬剤は、好ましくは、例えば、静脈内経路、皮下経路、腹腔内経路、筋肉内経路、動脈内経路、または病巣内経路で、注射または注入することによって非経口的に投与される。好ましい投与形式は皮下投与である。本発明は、L3および/またはL5供給源の特定の投与形式に限定されない。好ましい投与形式は、カプセル剤または錠剤を使用した経口投与である。あるいは、L3および/またはL5供給源は、カテーテルまたはポンプ、または坐剤によって局部的に投与することができる。あるいは、L3および/またはL5供給源は、局所的に投与することができる。L3および/またはL5供給源の処方またはL3および/またはL5供給源を含む組成物の処方は、意図された投与形式および(治療的な)適用に依存する。医薬担体は、対象に対するL3および/またはL5供給源の送達に適した、任意の適合性の無毒性物質であってよい。例えば、滅菌水、または不活性な固体または賦形剤を、通常、薬学的に許容されるアジュバント、緩衝剤、分散剤などで補完することで、担体として使用することができる。組成物は、液体の状態、例えばL3および/またはL5供給源の安定化された懸濁液、またはL3および/またはL5供給源を含む組成物、または固体の状態および/または乾燥した形態:例えば散剤のいずれかであろう。経口投与および直腸内投与のために、L3および/またはL5供給源は、固体剤形、例えば、カプセル剤、錠剤、坐剤および散剤の状態で、または液体剤形、例えば、エリキシル剤、シロップ剤、クリーム剤、軟膏剤および懸濁剤の状態で投与することができる。別の形態は、L3および/またはL5が、パッチ剤などの固体支持体の中にまたはそれに接して液体の形態で存在する半固体の形態または半液体の形態であってよい。
【0037】
薬剤は、当該分野で既知の従来の技術によって、薬学的に許容される媒体または送達ビヒクルと組み合わせることができる。例えば、L3および/またはL5供給源および任意にアジュバントは、リン酸緩衝食塩水(PBS)に溶解させることができる。非経口的に投与可能な組成物を調製するための方法は、当該分野で周知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、AR Gennaro編、第20版、2000年、Williams & Wilkins、PA、USAを含めた種々の情報源においてより詳細に記載されている。薬剤は、好ましくは、治療有効量で投与され、すなわち、ここに定義される感染症および/または疾患と戦う、ヒトまたは動物の免疫系の能力を増大させる量で投与される。好ましくは、治療有効量の本発明の医療用調製物は、ここで定義される免疫応答を引き出すことができる:用量は、処置された対象において免疫応答を引き出すことができる場合に治療的に有効であり、このことは、好ましくは、所与の抗原であるL3および/またはL5に対するTh免疫応答を促進または誘発することができることを意味し、および/または、皮膚の病変または粘膜の病変の発症を予防および/または遅延させることができ、および/または、皮膚および/または粘膜の病変において、および/または耳において、および/またはこれらの感染した領域(皮膚の領域、粘膜の領域、耳)のいずれかを好ましくは排液する流入領域リンパ節(DLN)において、ならびに、肝臓、脾臓、骨髄、腎臓、脳といった内臓において、寄生生物の負荷量の有意な低下を誘導することを意味する。皮膚の病変が存在することの評価は、実施例1に記載されている(図4参照:フットパッドの腫脹)。寄生生物の負荷量についての評価は、実施例に記載されている(図4参照)。治療有効量の本発明の薬剤は、好ましくは、皮膚の病変の発症を予防し、および/または、好ましくは、本発明の組成物を使用した最初の1回のワクチン接種、その後の逐次的な寄生生物での1回の感染と、およそ6週間の待ち時間とを含む期間後に、耳においておよそ3桁の寄生生物の負荷量の低減、および/またはDLNにおいておよそ同等の寄生生物の負荷量の低減を誘導するだろう。好ましい実施形態において、ここに定義される薬剤はワクチンである。より好ましい実施形態において、少なくとも12μgのL3および/またはL5供給源がワクチンに使用される。使用されるL3および/またはL5供給源の量は、使用されるL3およびL5の総量を指す。さらに好ましい実施形態において、免疫応答をもたらすために、少なくとも12〜20μgのL3および/またはL5供給源を、任意に少なくとも50μgのアジュバント、好ましくは、例えばCpG ODNなどのTh促進アジュバントとの組み合わせで、使用しなければならない。ここに定義されるワクチンは、予防的な(prophylactic)ワクチンまたは治療的なワクチンであってよい。L3および/またはL5供給源および任意にアジュバント、好ましくはTh1促進アジュバントを溶解させることができる容積は、100〜500マイクロリットルで変動してよい。
【0038】
組成物
別の側面において、L3および/またはL5供給源および任意にアジュバント、好ましくはTh促進アジュバントを含む組成物が提供される。L3および/またはL5供給源およびアジュバントは、ここにおいてすでに定義されている。好ましい実施形態において、組成物は、L3および/またはL5供給源、およびTh促進アジュバントから成る。好ましいTh促進アジュバントは、CpG ODNである。好ましい組成物は、PBSに溶解したL3および/またはL5供給源および任意にアジュバント、好ましくはTh促進アジュバントを含むか、またはそれから成る。さらに好ましい実施形態において、L3および/またはL5供給源およびアジュバント、好ましくはTh1促進アジュバントを逐次的に投与することも本発明に包含される。したがって、両方の成分は、それらが両方とも対象に投与される限りは、物理的に1つの単一の組成物中に存在する必要はない。
【0039】
そのような組成物は、薬学的に許容されるアジュバントおよび/または担体をさらに含んでよい。
【0040】
そのような組成物は、好ましくは、薬剤として使用される。薬剤は、好ましくは、ワクチンである。薬剤、アジュバントおよびワクチンは、すでにここにおいて広範囲にわたって定義されている。
【0041】
組成物は、ここにおいてすでに定義されている通り、液体の形態、固体の形態、または半液体の形態、または半固体の形態であってよい。
【0042】
好ましい実施形態において、治療的治療または予防的(prophylactic)治療の特異性を改善するために、他の化合物をL3および/またはL5供給源と逐次的にまたは同時に使用する。例えば、処置された対象の免疫応答をさらに増強する他の化合物を使用することが有利である。そのような化合物は、単一の組成物中でL3および/またはL5供給源と一緒に存在しないことがより好ましい。例えば、前記化合物は、リーシュマニア症などの寄生虫症を引き起こす寄生生物由来の他のタンパク質の供給源から成る群から選択される(19)。所与のタンパク質の供給源には、ここにおいて前に定義されているL3および/またはL5の供給源と同じ意味が与えられる。好ましいタンパク質は、この場合、H2A、H2B、H3、H4といったヒストン、Li2A(LiP)、LiP2b(LiP’)、LiP0、L2、L7、L8、L16、S6、L19およびS4といった別のリボソームタンパク質である。
【0043】
好ましいH2Aタンパク質は、配列番号7で表される。H2Aをコードする好ましい核酸は、配列番号8で表される。好ましいH2Bタンパク質は、配列番号9で表される。H2Bをコードする好ましい核酸は、配列番号10で表される。好ましいH3タンパク質は、配列番号11で表される。H3をコードする好ましい核酸は、配列番号12で表される。好ましいH4タンパク質は、配列番号13で表される。H4をコードする好ましい核酸は、配列番号14で表される。好ましいLi2Aは、LiP2aタンパク質とも称され、配列番号15または16で表される。Li2Aをコードする好ましい核酸は、配列番号17で表される。配列番号17は、ゲノム配列である。当業者は、好ましいコード配列をこのゲノム配列から得ることができる。そのような好ましいコード配列は、配列番号15または16で表されるLi2Aタンパク質をコードするmRNAをコードする核酸に対応する:1つは配列番号17のヌクレオチド791から1111までであり、1つは1662から1982までである。
【0044】
好ましいLiP2bタンパク質は、配列番号18で表される。LiP2bをコードする好ましい核酸は、配列番号19で表される。好ましいLiP0タンパク質は、配列番号20で表される。LiP0をコードする好ましい核酸は、配列番号21で表される。
【0045】
配列番号8、10、12、14、19および21は、ゲノム配列である。当業者は、他の好ましいコード配列をこれらのゲノム配列から得ることができる。そのような他の好ましいコード配列は、それぞれのタンパク質をコードするmRNAをコードする核酸に対応する:これらの核酸配列は、それぞれ配列番号68、69、70、71、72および73で表される。
【0046】
好ましいL2タンパク質は、配列番号22で表される。L2をコードする好ましい核酸は、配列番号23で表される。好ましいL7タンパク質は、配列番号24で表される。L7をコードする好ましい核酸は、配列番号25で表される。好ましいL8タンパク質は、配列番号26で表される。L8をコードする好ましい核酸は、配列番号27で表される。好ましいL16タンパク質は、配列番号28で表される。L16をコードする好ましい核酸は、配列番号29で表される。好ましいL19タンパク質は、配列番号30で表される。L19をコードする好ましい核酸は、配列番号31で表される。好ましいS4タンパク質は、配列番号32で表される。S4をコードする好ましい核酸は、配列番号33で表される。好ましいS6タンパク質は、配列番号34で表される。S6をコードする好ましい核酸は、配列番号35で表される。
【0047】
別の例は、いくつかの寄生生物抗原を含有するポリタンパク質を使用することである(63、65)。ポリタンパク質の例は、EP1 141 305において同定されたプロテインQである。プロテインQをコードする核酸分子は、配列番号36で表される。対応するコードされるプロテインQは、配列番号37で表される。プロテインQまたはその一部もしくは断片またはプロテインQの供給源またはプロテインQの断片の供給源を、L3および/またはL5の供給源と組み合わせて使用することができる。ポリタンパク質の別の例は、Leish−110fである(69)。Leish−110fまたはその一部もしくは断片またはLeish−110fの供給源またはLeish−110fの断片の供給源を、L3および/またはL5の供給源と組み合わせて使用することができる。
【0048】
次の段落において、L3タンパク質および/またはL5タンパク質の供給源と組み合わせて使用することができるタンパク質の例として、ヒストンタンパク質の供給源を取り上げている。これは上で定義されている他のタンパク質、好ましくはL3および/またはL5とは別のリボソームタンパク質についても同じである。好ましい化合物としては、ヒストンタンパク質またはその断片、または前記ヒストンまたは前記ヒストン断片をコードする核酸分子が挙げられる。ヒストンタンパク質は、EP 1 687 023において同定されたH2A、H2B、H3および/またはH4であることがより好ましい。ヒストンのH2A、H2B、H3およびH4は、よく保存された核タンパク質であり、それらの配列は当該分野で周知である。参照文献39を参照されたい。ヒストンは、進化系統樹において、疾患を引き起こす生物体に近い生物体から得ることが好ましい。したがって、リーシュマニア症などの寄生虫症の治療において使用されるヒストンの供給源として特に興味深いものは、原生動物、特にトリパノソーマファミリーのメンバー、さらに特定するとトリパノソーマ科の原生動物であるリーシュマニアの種々の種である。
【0049】
他の好ましい化合物としては、他のリボソームタンパク質もしくはその断片または前記タンパク質もしくはその断片をコードする核酸分子が挙げられる。他のリボソームタンパク質の例としては、L19およびS4が挙げられる。
【0050】
他の好ましい化合物としては、WO2009/090175において同定されたリボソームタンパク質抽出物が挙げられる。
【0051】
それぞれの化合物またはこれらの化合物の供給源のそれぞれは、L3および/またはL5供給源の供給源と組み合わせて使用することができる。組み合わせた使用は、逐次的または同時であってよい。
【0052】
好ましい実施形態において、L3および/またはL5供給源を、S4および/またはS6供給源と組み合わせて使用する。L3供給源と、L5供給源と、S4供給源と、S6供給源とを組み合わせて使用することがより好ましい。別のより好ましい実施形態において、L3供給源と、L5供給源と、S4供給源とを組み合わせて使用する。別のより好ましい実施形態において、L3供給源と、L5供給源と、S6供給源とを組み合わせて使用する。我々は、L3と、L5と、S4とを組み合わせて使用することにより、L3またはL5またはS4を単独で使用したときと比較して、相乗的な防御がもたらされることを実証した(実施例5を参照されたい)。この場合、好ましいS4タンパク質は、配列番号32で表される。S4をコードする好ましい核酸は、配列番号33で表される。好ましいS6タンパク質は、配列番号34で表される。S6をコードする好ましい核酸は、配列番号35で表される。「S4および/またはS6供給源」において使用される場合「供給源」という用語は、「L3および/またはL5供給源」において使用される場合「供給源」という用語と同じ意味を有する。
【0053】
したがって、好ましい実施形態において、S4供給源は、配列番号32のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列の同一性または類似性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、および/または、配列番号33と少なくとも60%の同一性を有するヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドである。
【0054】
したがって、好ましい実施形態において、S6供給源は、配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列の同一性または類似性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、および/または、配列番号35と少なくとも60%の同一性を有するヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドである。
【0055】
したがって、好ましい実施形態において、S4供給源は、配列番号33のヌクレオチド配列と少なくとも60%の配列の同一性または類似性を有するヌクレオチド配列を含む核酸であり、および/または、配列番号32と少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸である。
【0056】
使用する供給源の種類に応じて(タンパク質ベースまたは核酸ベース)、どの種類の処方が適しているかは当業者にはわかるであろう。供給源は、それ自体(裸のタンパク質または核酸)を投与することができる。あるいは、核酸ベースの供給源は、ここで定義されている核酸構築物を使用して投与することができる。
【0057】
S6供給源
別の側面において、S6供給源が提供され、またはS6供給源を含むか、またはS6供給源から成るが、L3および/またはL5供給源および/またはS4供給源を含まない組成物が提供される。我々は、S6を単独で使用することにより、リーシュマニア感染症への防御がもたらされることを実証した(実施例4を参照されたい)。
【0058】
「S6供給源」において使用される場合「供給源」という用語は、「L3および/またはL5供給源」において使用される場合「供給源」という用語と同じ意味を有する。
【0059】
ここにおいて定義されている、L3および/またはL5供給源を含む使用または方法または組成物の種類のそれぞれは、S6供給源にも適用される。
【0060】
したがって、好ましい実施形態において、S6供給源は、配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列の同一性または類似性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、および/または、配列番号35と少なくとも60%の同一性を有するヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドである。
【0061】
したがって、好ましい実施形態において、S6供給源は、配列番号35のヌクレオチド配列と少なくとも60%の配列の同一性または類似性を有する核酸配列を含む核酸であり、および/または、配列番号34と少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸である。
【0062】
方法
別の側面において、本発明は、寄生虫症を予防および/または治療し、および/またはその進行を遅らせ、および/またはここで定義されているように免疫応答を引き出すことを可能にするための方法を提供する:方法は、それによって処置された対象において免疫応答を引き出すことができる場合に治療的に有効であり、このことは、好ましくは、所与の抗原であるL3および/またはL5、および/または所与のL3および/またはL5供給源に対するTh免疫応答を促進または誘発することができることを意味し、および/または、皮膚の病変または粘膜の病変を予防し、および/またはその発症を遅らせることができ、および/または皮膚の病変および/または粘膜の病変における、および/または耳における、および/または好ましくはこれらの感染した領域(皮膚の領域、粘膜の領域、耳)のいずれかを排液する流入領域リンパ節(DLN)における、並びに、内臓、肝臓、脾臓、骨髄、腎臓、脳といった内臓における寄生生物の負荷量の有意な低下を誘導することを意味する。この方法では、本発明のワクチンは、治療的なワクチンとして機能する。一般には、感染と疾患との間には期間がある。この場合、ワクチンは、宿主において、感染症の病理学的な影響を打ち消す免疫応答を引き出すことによって疾患を予防および/または治療し、かつ/またはその進行を遅らせる薬理作用のある免疫製品として作用する。
【0063】
治療的なワクチンは、治療的なワクチンにより、すでにその感染症または疾患を有する患者において防御が誘導されるという点で、予防的な(prophylactic)ワクチンとは異なる。本発明は、治療的なワクチンまたは予防的な(prophylactic)ワクチンのいずれかを包含する。この方法では、任意に、S4および/またはS6供給源をL3および/またはL5供給源と組み合わせて使用することができる。
【0064】
使用
別の側面において、対象における寄生虫症を診断するための、L3および/またはL5供給源のさらなる使用が提供される。寄生虫症、L3および/またはL5供給源および対象はここにおいて前に定義されている。この使用では、任意に、S4および/またはS6供給源をL3および/またはL5供給源と組み合わせて使用することができる。
【0065】
本発明の1つの利点は、それによってより広範なスペクトルの寄生虫症の特異的かつ早期の診断が実現されることである。この事例の寄生虫症の1つの例は、リーシュマニア症である。好ましい実施形態において、寄生虫症は、リーシュマニア症またはマラリアである。寄生虫症はリーシュマニアによって、またはマラリア原虫種によって引き起こされる寄生虫症であることがより好ましい。さらに好ましい実施形態において、寄生虫症は、L3および/またはL5が由来する種とは異なる種によって引き起こされる。具体的には、リーシュマニア属由来のある種によって引き起こされるリーシュマニア症は、別のリーシュマニア種由来のL3および/またはL5供給源ベースの組成物を使用することによって診断することができる。一実施形態において、L.majorによって引き起こされるリーシュマニア症は、L.major、L.infantum、L.brazilienzisまたはL.mexicana由来のL3および/またはL5供給源を含む組成物を用いて首尾よく診断される。あるいは、マラリアなどの他の寄生虫症は、別の種のL3および/またはL5供給源ベースの組成物、例えば、L.infantum、L.major、L.brazilienzisまたはL.mexicanaのL3および/またはL5供給源ベースの組成物を用いて首尾よく診断することができる。
【0066】
原理上は、いかなる対象も、本発明を用いて診断することができる。対象において必要になるたびに診断方法を適用することができる。診断される対象は、前記寄生虫症を引き起こす前記寄生生物に感染している危険性を有する疑いがある対象であることが好ましい。前記寄生生物に感染している危険性を有する疑いがある対象は、流行地域に住んでいるか、または流行地域を訪れている可能性がある。流行地域としては、アルジェリアからサウジアラビア、ケニア、スーダン、エチオピアまでの北アフリカが挙げられる。流行地域としては、さらに、南欧:地中海諸国のスペイン、フランス、ギリシャなどが挙げられる。流行地域としては、中米(全ての国)および南米:ブラジル、ベネズエラ、ペルー、ボリビア、コロンビア アルゼンチンの北部、パラグアイ、ウルグアイ、中央〜南西アジア:インド、イラン、イラク、モンゴル、アフガニスタン、ネパール、バングラデシュも挙げられる。
【0067】
本発明に関しては、ここで定義されている使用は、インビトロでの使用またはエキソビボでの使用であることが好ましい。前記使用は、前記対象由来の試料に対して行うことを意味することが好ましい。好ましい試料としては、血液、血清、血漿、唾液、脳脊髄液または尿が挙げられる。試料は、対象から得た血液試料または血清試料であることがより好ましい。
【0068】
好ましい実施形態において、診断は、前記寄生虫症の症状が現れる前に達せられる、いわゆる前駆症状の診断または無症候性の対象の診断である。この場合、「前駆症状性」は、最初の症状が現れる少なくとも1日前、少なくとも2日前、少なくとも3日前、少なくとも4日前、少なくとも5日前、少なくとも6日前、少なくとも7日前、少なくとも8日前、少なくとも9日前、少なくとも10日前、少なくとも15日前、少なくとも20日前、少なくとも25日前、少なくとも30日前またはそれ以上前であることを意味することが好ましい。リーシュマニア症などの寄生虫症に付随する最初の症状または最初の臨床的な徴候は、以下の一覧から選択することができる:発熱、脾腫、肝腫、リンパ節腫脹、結膜炎、皮膚炎、爪甲鉤彎症、角結膜炎、アパシーおよび悪液質。それらの大部分は、外見的な身体検査によって簡単に検出することができる。結膜炎、皮膚炎、爪甲鉤彎症、角結膜炎はそれぞれ、皮膚の変質の形態である。
【0069】
リーシュマニア症に関連する好ましい最初の症状は、リンパ節腫脹である。これは、触診などの外見的な身体検査によって検出することができる。
【0070】
別の好ましい実施形態において、診断は、前記寄生虫症の症状のうちのいくつかが現れる前に達せられる、いわゆる症状の乏しい対象の診断である。この場合、「症状の乏しい」は、上で定義された症状を最大3つ有する対象を意味することが好ましい。
【0071】
別の好ましい実施形態において、診断は、前記寄生虫症の症状の全てが現れる前に達せられる、いわゆる症候性の対象の診断である。この場合、「症候性の」は、上で定義された皮膚の変質の形態を含めた、上で定義された症状の少なくとも4つを有する対象を意味することが好ましい。
【0072】
無症候性の対象の診断は、疾患がさらに蔓延することを予防するのに役立ち、また、無症候性の対象をそのような段階において診断すれば、その対象をより効率的に救い、治癒することができるので、最も重要な種類の診断が無症候性の対象の診断であることは、当業者には理解されよう。
【0073】
この使用では、L3および/またはL5供給源および/またはS4および/またはS6供給源は、次の節において説明されている通り試料中の抗体の存在を検出するために使用されるL3タンパク質もしくはタンパク質断片および/またはL5タンパク質もしくはタンパク質断片および/またはS4タンパク質もしくはタンパク質断片および/またはS6タンパク質もしくはタンパク質断片であってよい。
【0074】
あるいは、L3および/またはL5供給源および/またはS4および/またはS6供給源は、次の節において説明されている通り試料中のL3核酸および/またはL5核酸および/またはS4核酸および/またはS6核酸の存在を検出するために使用する核酸分子であってよい。
【0075】
方法
別の側面において、L3および/またはL5供給源を使用して対象における寄生虫症を診断するための方法であって、対象から得た試料中に、L3および/またはL5供給源を認識する抗体が存在するかどうかを決定することを含む方法が提供される。任意に、S4および/またはS6供給源も、L3および/またはL5供給源と組み合わせて使用することができる。好ましい本発明の方法は、本発明の好ましい使用のために、インビトロまたはエキソビボで行うことが好ましい。定義は、ここにおいて前に与えられている。
【0076】
好ましい方法では、L3および/またはL5供給源は、組成物中に存在する。好ましい実施形態において、前記組成物中に別の化合物が存在する。あるいは、前記組成物中に他の化合物は存在しない。
【0077】
好ましい実施形態において、方法の特異性を改善するために、他の化合物をL3および/またはL5供給源と逐次的にまたは同時に使用する。例えば、無症候性の対象と、症状の乏しい対象または症候性の対象と、ワクチン接種した対象との間を識別することを可能にする他の化合物を使用することが有利である。そのような化合物は、単一の組成物中でL3および/またはL5供給源と一緒に存在しないことがより好ましい。組成物という表題の節において同定されているタンパク質のそれぞれを、この状況において使用することができる。例えば、前記化合物は、リーシュマニア症などの寄生虫症を引き起こす寄生生物(19)由来の他のタンパク質の供給源から成る群から選択される。所与のタンパク質の供給源には、ここにおいて前に定義されているL3および/またはL5の供給源と同じ意味が与えられる。好ましいタンパク質は、この場合、H2A、H2B、H3、H4などのヒストン、Li2A(LiP)、LiP2b(LiP’)、LiP0、L2、L7、L8、L16、S6、L19およびS4などの別のリボソームタンパク質である。
【0078】
別の例は、いくつかの寄生生物抗原を含有するポリタンパク質の使用である(59、61)。ポリタンパク質の例は、EP 1 141 305において同定されたプロテインQである。プロテインQまたはその一部もしくは断片またはプロテインQの供給源またはプロテインQの断片の供給源は、L3および/またはL5の供給源と組み合わせて使用することができる。
【0079】
好ましい抗原としては、ヒストンタンパク質もしくはその断片または前記ヒストンをコードする核酸分子が挙げられる。ヒストンタンパク質は、EP 1 687 023において同定されたH2A、H2B、H3および/またはH4であることがより好ましい。ヒストンのH2A、H2B、H3およびH4は、よく保存された核タンパク質であり、それらの配列は当該分野で周知である。参照文献39を参照されたい。ヒストンは、進化系統樹において、疾患を引き起こす生物体に近い生物体から得ることが好ましい。したがって、リーシュマニア症などの寄生虫症の治療において使用されるヒストンの供給源として特に興味深いのは、原生動物、特にトリパノソーマファミリーのメンバー、例えば、Plasmodium falciparumなどのマラリア原虫であり、またはさらに特定するとトリパノソーマ科の原生動物であるリーシュマニアの種々の種である。
【0080】
より好ましい診断方法では、L3および/またはL5供給源、好ましくはタンパク質またはペプチドまたはタンパク質の一部を認識する抗体が検出可能な量で存在する場合、および/または、前記抗体の量が増加している場合に、寄生虫症が診断される。コントロールまたは健康な対象では、前記抗体は、一般に検出不可能である。
【0081】
前記抗体の存在の検出は、ELISAなどの当業者に既知の方法を使用して行う。好ましい検出のやり方は、実施例1に記載されている。
【0082】
L3および/またはL5供給源、好ましくはタンパク質またはペプチドまたはタンパク質の一部を認識する抗体とは、L3および/またはL5供給源中に存在する少なくとも1種の化合物を認識することができる少なくとも1種の抗体が存在することを意味することが好ましい。前記化合物は、L3タンパク質および/またはL5タンパク質、またはL3タンパク質断片もしくはタンパク質の一部もしくはペプチドおよび/またはL5タンパク質断片もしくはタンパク質の一部もしくはペプチドであってよい。これは、S4および/またはS6供給源を認識する抗体についても同じである。
【0083】
別の方法では、L3核酸分子および/またはL5核酸分子を、別の核酸分子を使用して検出する。L3核酸分子および/またはL5核酸分子は、ここにおいて前に同定されているL3分子および/またはL5分子をコードする核酸分子またはその一部であることが好ましい。別の核酸分子は、L3核酸分子および/またはL5核酸分子の存在を、PCR反応において、またはノーザンブロット法によって検出することができるように設計されたプライマーであることが好ましい。これは、S4核酸分子および/またはS6核酸分子の存在を検出することができるプライマーについても同じである。L3核酸分子および/またはL5核酸分子の存在を検出するために好ましいプライマーは、以下の配列を含む、またはそれから成る:
PCRによってL3を特異的に検出するためのプライマー配列
センス、5’−AACACGAAGGAGGGCAAGGTC−3’(LmL3配列のヌクレオチド418〜438)(配列番号38)
アンチセンス、5’−CTTCTTCGCGGCCTTTGCCTTG−3’(リバースおよびLmL3配列のヌクレオチド1242〜1263に対して相補的)(配列番号39)
PCRによってL5を特異的に検出するためのプライマー配列
センス、5’−TGCACGCTGGCAAATTGGGTAC−3’(LmL5配列のヌクレオチド10〜31)(配列番号40)
アンチセンス、5’−CTT CTT CGT GCG CAC AGC AG−3’(リバースおよびLmL5配列のヌクレオチド464〜483に対して相補的)(配列番号41)
ノーザンブロット法によってL3を特異的に検出するためのプライマー配列
5’−CTTCTTCGCGGCCTTTGCCTTG−3’(リバースおよびLmL3配列のヌクレオチド1242〜1263に対して相補的)(配列番号42)
ノーザンブロット法によってL5を特異的に検出するためのプライマー配列
5’−CTT CTT CGT GCG CAC AGC AG−3’(リバースおよびLmL5配列のヌクレオチド464〜483に対して相補的)(配列番号43)。L3核酸分子および/またはL5核酸分子の発現レベルの検出または増加は、コントロールの対象における前記核酸分子の発現レベルと比較した、前記核酸分子の発現レベルの検出可能な変化であると定義されることが好ましい。通常コントロールの対象は、そのようなL3核酸分子および/またはL5核酸分子を含まない。L3核酸分子および/またはL5核酸分子の発現レベルの増加は、PCRを使用して、ヌクレオチド配列の発現レベルが少なくとも5%増加することを意味することが好ましい。
【0084】
アッセイ
別の側面において、対象における寄生虫症を診断するためのアッセイデバイスであって、L3および/またはL5供給源を含むアッセイデバイスが提供される。任意に、このアッセイデバイスの中に、L3および/またはL5供給源と組み合わせてS4および/またはS6供給源も存在してよい。前記供給源を特異的に認識する抗体の存在は、当業者に既知の任意の標準の方法によって検出することができる(例えば、参照によりここに組み込まれるHarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、1988年を参照されたい)。適切な方法としては、アフィニティークロマトグラフィー共電気泳動(ACE:affinity chromatography co−electrophoresis)アッセイおよび(酵素結合免疫吸着検定法)ELISAが挙げられる。アッセイは、ELISAを含むことが好ましい。いくつかのアッセイは、以下により広範囲にわたって記載されている。
【0085】
好ましい実施形態において、アッセイは、抗体を結合させ、試料から取り出すために、固体支持体上に固定されたL3および/またはL5供給源の使用を伴う。次いで、抗体/L3供給源複合体および/または抗体/L5供給源複合体に結合し、かつ検出可能なレポーター基を含有する検出試薬を使用して、前記結合した抗体を検出することができる。適切な検出試薬としては、抗体/L3供給源複合体および/または抗体/L5供給源複合体に結合する抗体およびレポーター基で標識した遊離のポリペプチドが挙げられる(例えば、半競合的(semi−competitive)アッセイにおいて)。あるいは、L3および/またはL5供給源に結合する抗体をレポーター基で標識し、供給源を試料と一緒にインキュベートした後、固定されたL3および/またはL5供給源に結合させる、競合的なアッセイを利用することができる。標識された抗体の前記L3および/またはL5供給源への結合が試料の成分によって阻害される程度により、固定されたL3および/またはL5供給源を有する試料の反応性が示される。
【0086】
固体支持体は、L3および/またはL5供給源を付着させることができる当業者に既知の任意の材料であってよい。例えば、支持体は、マイクロタイタープレートの試験ウェルまたはニトロセルロースまたは他の適切なメンブレンであってよい。あるいは、支持体は、ビーズまたはディスク、例えば、ガラス、ガラス繊維、ラテックスまたはポリスチレンもしくはポリ塩化ビニルなどのプラスティック材料などであってよい。支持体は、例えば、米国特許第5,359,681号に開示されているものなどの磁気粒子または光ファイバーセンサーであってもよい。
【0087】
L3および/またはL5供給源は、当業者に既知の様々な技術を使用して固体支持体に結合させることができる。本発明に関しては、「結合した」という用語は、吸着などの非共有結合性の会合と共有結合性の付着の両方を指す(抗原と支持体上の官能基との間の直接連結であってよい、または、架橋剤による連結であってよい)。マイクロタイタープレートのウェルまたはメンブレンに吸着によって結合させることが好ましい。そのような場合では、吸着は、適切な緩衝液中のL3および/またはL5供給源を、固体支持体と適切な時間接触させることによって実現することができる。接触させる時間は、温度と共に変動するが、一般には1時間から1日の間である。一般に、適切な量のL3および/またはL5供給源を結合させるためには、プラスティックのマイクロタイタープレート(ポリスチレンまたはポリ塩化ビニルなど)のウェルと、10ngから1gの範囲の量、好ましくは100ngのL3および/またはL5供給源を接触させれば十分である。ここでは、また、L3および/またはL5供給源の数量または量が示されている場合、それは使用されるL3および/またはL5供給源の総量を定義している。
【0088】
L3および/またはL5供給源の固体支持体への共有結合性の付着は、一般に、まず支持体を、支持体とポリペプチド上のヒドロキシル基またはアミノ基などの官能基の両方と反応する二機能性試薬と反応させることによって実現することができる。例えば、L3および/またはL5供給源は、適切なポリマーコーティングを有する支持体に、ベンゾキノンを使用して、または支持体上のアルデヒド基とポリペプチド上のアミンおよび活性水素の縮合によって結合させることができる(例えば、Pierce Immunotechnology Catalog and Handbook(1991年)、A12〜A13を参照されたい)。
【0089】
ある特定の実施形態において、アッセイは、酵素連結免疫吸着検定法(ELISA)である。このアッセイは、まず、試料中の前記L3および/またはL5供給源に特異的な抗体が、固定されたL3および/またはL5供給源に結合するように、固体支持体、一般にはマイクロタイタープレートのウェル上に固定されたL3および/またはL5供給源と試料を接触させることによって実施することができる。次いで結合していない試料を固定された供給源から除去し、固定された抗体−L3供給源複合体および/または抗体−L5供給源複合体に結合することができる検出試薬を加える。次に、固体支持体に結合したままである検出試薬の量を、特定の検出試薬に適した方法を用いて決定する。
【0090】
L3および/またはL5供給源が支持体に固定されたら、一般には、支持体上の残りのタンパク質結合部位をブロッキングする。当業者に既知の任意の適切なブロッキング剤、例えばウシ血清アルブミン(BSA)またはTween20(Sigma Chemical Co.、St.Louis、MO)などを使用することができる。次に、固定されたL3および/またはL5供給源を試料と一緒にインキュベートし、抗体(試料中に存在すれば)を前記供給源に結合させる。試料は、インキュベートする前にリン酸緩衝食塩水(PBS)などの適切な希釈剤で希釈することができる。一般に、適切な接触時間(すなわち、インキュベートする時間)は、試料中の抗体の存在を検出することを可能にするために十分な期間である。接触時間は、結合した抗体と結合していない抗体との間の平衡で実現される結合レベルの少なくとも95%の結合レベルを実現するために十分であることが好ましい。当業者は、平衡を実現するために必要な時間は、ある期間にわたって起こる結合のレベルをアッセイすることによって容易に決定することができることを理解されよう。室温では、一般に約30分間のインキュベート時間が十分である。
【0091】
次いで、固体支持体を、適切な緩衝液、例えば0.1%のTween20を含有するPBSなどで洗浄することによって結合していない試料を除去することができる。次いで、検出試薬を固体支持体に加えることができる。適切な検出試薬は、固定された抗体−L3供給源複合体および/または抗体−L5供給源複合体に結合し、当業者に既知の種々の手段のいずれかによって検出することができる任意の化合物である。検出試薬は、レポーター基とコンジュゲートした結合剤(例えば、プロテインA、プロテインG、免疫グロブリン、レクチンまたは遊離抗原など)を含有することが好ましい。好ましいレポーター基としては、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼなど)、基質、補因子、阻害剤、色素、放射性核種、発光基、蛍光基およびビオチンが挙げられる。結合剤のレポーター基へのコンジュゲーションは、当業者に既知の標準の方法を使用して実現することができる。種々のレポーター基とコンジュゲートした一般的な結合剤を多くの供給源(例えば、Zymed Laboratories、San Francisco、CAおよびPierce、Rockford、IL)から購入することもできる。
【0092】
次に、検出試薬を固定された抗体L3供給源複合体および/または抗体L5供給源複合体と一緒に、結合した抗体を検出するために十分な時間、インキュベートする。適切な時間は、一般に、製造者の説明書から、またはある期間にわたって起こる結合のレベルをアッセイすることによって決定することができる。次いで、結合していない検出試薬を除去し、レポーター基を使用して結合した検出試薬を検出する。
【0093】
レポーター基を検出するために使用する方法は、レポーター基の性質に左右される。放射性基については、シンチレーション測定またはオートラジオグラフィーによる方法が一般に適している。色素、発光基および蛍光基は分光法を使用して検出することができる。ビオチンは、種々のレポーター基(一般に、放射性基または蛍光基または酵素)にカップリングしたアビジンを使用して検出することができる。酵素レポーター基は、一般に、基質を加え(一般に、特定の期間にわたって)、その後、反応生成物の分光分析または他の分析を行うことによって検出することができる。
【0094】
試料中の、リーシュマニア症などの寄生虫症に特異的な抗体の存在または非存在を決定するために、固体支持体に結合したままであるレポーター基から検出されるシグナルを、一般に、所定のカットオフ値に対応するシグナルと比較する。好ましい一実施形態において、カットオフ値は、固定されたL3および/またはL5供給源を、感染していない対象由来の試料と一緒にインキュベートする場合に得られる平均シグナルであることが好ましい。一般に、所定のカットオフ値を3標準偏差上回るシグナルを発生する試料が陽性であるとみなされる(すなわち、L3および/またはL5供給源と反応する)。代わりの好ましい実施形態において、カットオフ値は、受信者動作曲線を使用して、Sackettら、Clinical Epidemiology:A Basic Science for Clinical Medicine、106〜7頁(Little Brown and Co.、1985年)方法に従って決定する。簡単に述べると、この実施形態において、診断的な試験結果についての、それぞれの可能性のあるカットオフ値に対応する真陽性率(すなわち、感度)と偽陽性率(100%−特異性)の対のプロットからカットオフ値を決定することができる。
【0095】
プロット上の左上隅に最も近いカットオフ値(すなわち、最も大きな領域を包含する値)が最も正確なカットオフ値であり、この方法によって決定されるカットオフ値よりも大きなシグナルを発生する試料を、陽性とみなすことができる。あるいは、カットオフ値は、偽陽性率を最小にするためにプロットに沿って左側にシフトさせることができる、または、偽陰性率を最小にするために右側にシフトさせることができる。
【0096】
関連する実施形態において、アッセイは、L3および/またはL5供給源をニトロセルロースなどのメンブレン上に固定し、フロースルー(flow−through)試験形式またはストリップ(strip)試験形式で実施する。フロースルー試験では、試料がメンブレンを通過するにつれて、試料中の抗体が固定されたL3および/またはL5供給源に結合する。次いで、メンブレンを通して検出試薬を含有する溶液を流すにつれて、検出試薬(例えば、プロテインA−コロイド金)が抗体−L3供給源複合体および/または抗体−L5供給源複合体に結合する。次いで、結合した検出試薬の検出を上記の通り実施することができる。ストリップ試験形式では、供給源を結合させたメンブレンの一端を、試料を含有する溶液に浸漬する。試料を、メンブレンに沿って検出試薬を含有する領域を通して、固定したポリペプチドの領域まで泳動させる。L3および/またはL5供給源に検出試薬が集中することよって、試料中の、リーシュマニア症などの寄生虫症を引き起こす寄生生物の抗原に特異的な抗体の存在が示される。一般には、その部位に検出試薬が集中することにより、視覚的に読み取ることができる線などのパターンが発生する。そのようなパターンがないことは、陰性の結果を示す。一般に、メンブレン上に固定するL3および/またはL5供給源の量は、上記の通り、ELISAにおいて試料が陽性シグナルを発生するために十分なレベルの抗体を含有する場合に視覚的に識別可能なパターンが発生するように選択する。メンブレン上に固定するL3および/またはL5の量は、25ng〜500ngの範囲であることが好ましい。そのような試験は、一般には、非常に少量(例えば、1滴)の対象の血清または血液を用いて行うことができる。
【0097】
このアッセイデバイスでS4および/またはS6供給源をL3および/またはL5供給源と組み合わせて使用する場合、L3および/またはL5供給源に適用した際のアッセイデバイスのそれぞれの要素の開示をS4および/またはS6供給源にも適用することができる。
【0098】
対象または医師は誰でも、診察室/家でこのデバイスを使用することができ、必要になるたびにそのようなデバイスの使用を繰り返すことができる。
【0099】
通常、アッセイでは、陽性コントロールまたは陰性コントロールとして追加的な分子を使用する。典型的な陽性コントロールは、試験される試料中に存在することがわかっている分子を認識する抗体であってよい。典型的な陰性コントロールは、試験される試料中に存在しないことがわかっている分子を認識する抗体であってよい。
【0100】
一般的な定義
本発明に関しては、タンパク質またはタンパク質断片は、アミノ酸配列で表される。
【0101】
本発明に関しては、核酸分子は、タンパク質またはポリペプチドまたはタンパク質断片をコードする核酸またはヌクレオチド配列で表される。核酸分子は、調節領域を含んでよい。
【0102】
ここにおいて所与の配列番号(SEQ ID NO:Sequence Identity Number)によって同定されているそれぞれの核酸分子またはタンパク質またはタンパク質断片は、開示されたこの特定の配列に限定されないことが理解されるべきである。ここにおいて同定されているそれぞれの遺伝子配列またはヌクレオチド配列は、所与のタンパク質またはポリペプチドまたはタンパク質断片をコードする、またはそれ自体がタンパク質またはタンパク質断片である。本出願全体を通して、特定のヌクレオチド配列の配列番号(例として配列番号2または4を挙げる)に言及するときはいつも、それを以下のもので置き換えることができる:
i.配列番号2または4または49または51または53または55または65に対して少なくとも60%の配列の同一性または類似性を有するヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列(例として)。
【0103】
ii.その相補鎖が、(i)の配列の核酸分子とハイブリダイズするヌクレオチド配列;
iii.遺伝暗号の縮重に起因してその配列が(iii)の核酸分子の配列と異なるヌクレオチド配列。
【0104】
iv.配列番号2または4または49または51または53または55または65のヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列に対して少なくとも60%のアミノ酸の同一性または類似性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列。
【0105】
本出願全体を通して、特定のアミノ酸配列の配列番号(例として、配列番号1または3または48または50または52または54または56を挙げる)に言及するときはいつも、それを以下のもので置き換えることができる:
配列番号1または3または48または50または52または54または56のアミノ酸配列に対して少なくとも60%の配列の同一性または類似性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド。
【0106】
ここにおいて所与のヌクレオチド配列またはアミノ酸配列に対するその同一性または類似性の百分率(少なくとも60%)によって記載されているそれぞれのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列は、それぞれ、さらに好ましい実施形態において、所与のヌクレオチドまたはアミノ酸配列に対して、それぞれ少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%またはそれ以上の同一性または類似性を有する。好ましい実施形態において、ここにおいて同定されている配列の全長を比較することによって配列の同一性または類似性を決定する。
【0107】
「配列同一性」は、ここでは、配列を比較することによって決定される、2つ以上のアミノ酸(ポリペプチドまたはタンパク質)配列または2つ以上の核酸(ポリヌクレオチド)配列の間の関係と定義される。好ましい実施形態において、配列同一性は、2つの所与の配列番号の全長に基づいて、またはその一部に基づいて算出する。その一部とは、両方の配列番号の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または100%を意味することが好ましい。当該分野では、「同一性」は、アミノ酸配列間または核酸配列間の配列の関連性の程度も意味し、それは、任意には、一連のそのような配列の間のマッチによって決定される。
【0108】
2つのアミノ酸配列間の「類似性」は、一方のポリペプチドのアミノ酸配列およびその保存されたアミノ酸置換を第2のポリペプチドの配列と比較することによって決定する。「同一性」および「類似性」は、これらに限定されないが、(Computational Molecular Biology、Lesk、A.M.編、Oxford University Press、New York、1988年;Biocomputing:Informatics and Genome Projects、Smith、D.W.編、Academic Press、New York、1993年;Computer Analysis of Sequence Data、Part I、Griffin、A.M.およびGriffin、H.G.編、Humana Press、New Jersey、1994年;Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heine、G.、Academic Press、1987年;およびSequence Analysis Primer、Gribskov、M.およびDevereux、J.編、M Stockton Press、New York、1991年;およびCarillo、H.およびLipman、D.、SIAM J.Applied Math.、48巻:1073頁(1988年)に記載のものを含めた既知の方法によって容易に算出することができる。
【0109】
同一性を決定するための好ましい方法は、試験される配列間に最も大きなマッチを生じるように設計する。同一性および類似性を決定するための方法は、公的に入手可能なコンピュータプログラムに体系化されている。2つの配列間の同一性および類似性を決定するための好ましいコンピュータプログラム方法としては、例えばGCGプログラムパッケージ(Devereux、J.ら、Nucleic Acids Research 12巻(1号):387頁(1984年))、BestFit、BLASTP、BLASTN、およびFASTA(Altschul、S.F.ら.、J.Mol.Biol.215巻:403〜410頁(1990年))が挙げられる。BLAST Xプログラムは、NCBIおよび他の供給源から公的に入手することができる(BLAST Manual、Altschul、S.ら、NCBI NLM NIH Bethesda、MD20894;Altschul、S.ら、J.Mol.Biol.215巻:403〜410頁(1990年))。周知のSmith Watermamアルゴリズムも、同一性を決定するために使用することができる。
【0110】
ポリペプチド配列を比較するための好ましいパラメータとしては、以下が挙げられる:アルゴリズム:NeedlemamおよびWunsch、J.Mol.Biol.48巻:443〜453頁(1970年);比較行列:BLOSSUM62、HentikoffおよびHentikoff、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.89巻:10915〜10919頁(1992年);ギャップペナルティ:12;およびギャップ長ペナルティ:4。これらのパラメータを用いて有用なプログラムは、Madison、WIに所在するGenetics Computer Groupによる「Ogap」プログラムとして公的に入手可能である。上述のパラメータは、アミノ酸を比較するための初期状態のパラメータである(末端ギャップに対するペナルティなしと一緒に)。
【0111】
核酸を比較するための好ましいパラメータとしては、以下が挙げられる:アルゴリズム:NeedlemamおよびWunsch、J.Mol.Biol.48巻:443〜453頁(1970年);比較行列:マッチ=+10、ミスマッチ=0;ギャップペナルティ:50;ギャップ長ペナルティ:3。Madison、Wisに所在するGenetics Computer Groupからギャッププログラムとして入手可能である。上記は、核酸を比較するための初期状態のパラメータである。
【0112】
任意に、アミノ酸の類似性の程度の決定において、当業者は、いわゆる「保存された」アミノ酸置換も考慮に入れることができ、これは当業者に明らかであるだろう。保存されたアミノ酸置換とは、同様の側鎖を有する残基の互換性を指す。例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸の群は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンであり;脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸の群は、セリンおよびトレオニンであり;アミドを含有する側鎖を有するアミノ酸の群は、アスパラギンおよびグルタミンであり;芳香族側鎖を有するアミノ酸の群は、フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファンであり;塩基性側鎖を有するアミノ酸の群は、リシン、アルギニン、およびヒスチジンであり;硫黄を含有する側鎖を有するアミノ酸の群は、システインおよびメチオニンである。好ましい保存されたアミノ酸置換群は:バリン−ロイシン−イソロイシン、フェニルアラニン−チロシン、リシン−アルギニン、アラニン−バリン、およびアスパラギン−グルタミンである。ここに開示されているアミノ酸配列の置換変異体は、開示されている配列の少なくとも1つの残基が除去され、その場所に種々の残基が挿入されているものである。アミノ酸の変化は、保存的であることが好ましい。天然に存在するアミノ酸のそれぞれについての好ましい保存された置換は、以下の通りである:AlaからSer;ArgからLys;AsnからGlnまたはHis;AspからGlu;CysからSerまたはAla;GlnからAsn;GluからAsp;GlyからPro;HisからAsnまたはGln;IleからLeuまたはVal;LeuからIleまたはVal;LysからArg;GlnまたはGlu;MetからLeuまたはIle;PheからMet、LeuまたはTyr;SerからThr;ThrからSer;TrpからTyr;TyrからTrpまたはPhe;および、ValからIleまたはLeu。
【0113】
核酸構築物
核酸構築物は、ここで定義されているタンパク質またはタンパク質断片をコードするヌクレオチド配列を含む。ここで定義されている所与のタンパク質またはタンパク質断片をコードする核酸分子を含む核酸構築物により、処置された対象において所与の核酸分子、および対応するタンパク質またはタンパク質断片が発現されることが確実になる。より好ましい実施形態において、核酸構築物は、2つ以上の核酸分子を含み、それぞれの核酸分子は所与のタンパク質またはタンパク質断片をコードする。さらに好ましい実施形態において、核酸構築物は、2つの核酸分子、3つの核酸分子、4つの核酸分子を含み、それぞれの核酸分子は、所与のタンパク質またはタンパク質断片をコードする。好ましい実施形態において、核酸構築物は発現カセットを含み、前記発現カセットは、それぞれの必要とされる核酸分子を含む。それぞれの核酸分子は、存在する他の核酸分子に作動可能に連結されている。最も好ましくは、対象において核酸分子を確実に発現させるために、適切なプロモーターが発現カセットに作動可能に連結されている。
【0114】
本文書およびその特許請求の範囲において、「含む(to comprise)」という動詞およびその活用は、非限定的な意味で使用されており、その単語の次に続く項目が含まれるが、具体的に言及されていない項目が排除されるものではないことを意味する。さらに「成る(to consist)」という動詞は、「から本質的に成る(to consist essentially of)」に置き換えることができ、つまり、ここで定義されている生成物または組成物またはL3供給源またはL5供給源は、具体的に同定されているものに加えて追加的な成分(複数可)を含むことができ、前記追加的な成分(複数可)によって本発明の独特の特性は変化しない。
【0115】
さらに、「a(1つの)」または「an(1つの)」という不定冠詞によって要素に言及することにより、文脈によりたった1つのその要素があるということが明らかに必要とされている場合を除き、その要素が2つ以上存在する可能性は排除されない。したがって、「a(1つの)」または「an(1つの)」という不定冠詞は、通常、「少なくとも1つの(at least one)」を意味する。
【0116】
ここにおいて引用されている全ての特許および文献参照は、その全体が参照によりここに組み込まれる。
【0117】
本発明は以下の実施例によってさらに例示され、実施例は本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】組換えLeishmania majorのrLmL3およびrLmL5タンパク質の発現および精製を示す図。誘導後(ライン1)、Ni−NTAアガロースカラム通過後(ライン2)の、pQELmL3ベクター(パネルL3)またはpQELmL5ベクター(パネルL5)を形質移入されたEscherichia coli溶解液の溶解液ならびに精製された組換えrLmL3およびrLmL5(ライン3)のクマシーブルー染色された13%ポリアクリルアミドゲルである。
【図2a】L3およびL5タンパク質の抗原性を示す図。
【0119】
(a)12匹のBALB/cマウスに、5×10のL.major、静止期前鞭毛型を左フットパッドにs.c.感染させ、チャレンジ後8週で血清を得た。rLmL3およびrLmL5に対する、皮膚リーシュマニア症(MCL)を有するマウス由来の血清のIgG1およびIgG2抗体の関連性を、ELISAにより個別に決定した。感染前の同じマウス由来の血清の反応性の欠如もまた提示した。rLmL3(b)およびrLmL5(c)組換えタンパク質に対する、症候性CVLを有するイヌ由来の血清および対照血清のELISA反応性。
【図2b】L3およびL5タンパク質の抗原性を示す図。
【0120】
(a)12匹のBALB/cマウスに、5×10のL.major、静止期前鞭毛型を左フットパッドにs.c.感染させ、チャレンジ後8週で血清を得た。rLmL3およびrLmL5に対する、皮膚リーシュマニア症(MCL)を有するマウス由来の血清のIgG1およびIgG2抗体の関連性を、ELISAにより個別に決定した。感染前の同じマウス由来の血清の反応性の欠如もまた提示した。rLmL3(b)およびrLmL5(c)組換えタンパク質に対する、症候性CVLを有するイヌ由来の血清および対照血清のELISA反応性。
【図2c】L3およびL5タンパク質の抗原性を示す図。
【0121】
(a)12匹のBALB/cマウスに、5×10のL.major、静止期前鞭毛型を左フットパッドにs.c.感染させ、チャレンジ後8週で血清を得た。rLmL3およびrLmL5に対する、皮膚リーシュマニア症(MCL)を有するマウス由来の血清のIgG1およびIgG2抗体の関連性を、ELISAにより個別に決定した。感染前の同じマウス由来の血清の反応性の欠如もまた提示した。rLmL3(b)およびrLmL5(c)組換えタンパク質に対する、症候性CVLを有するイヌ由来の血清および対照血清のELISA反応性。
【図3a】BALB/cマウスにおけるワクチン接種により誘導されたサイトカイン産生を示す図。BALB/cマウス(6匹/群)を、10μgのrLmL3+50μgのCpG−ODN(L3+CpG)または10μgのrLmL5+50μgのCpG−ODN(L5+CpG)ならびに50μgのCpG−ODN(CpG)またはPBS(食塩水)を用いて、3回免疫化した。ワクチン接種4週後に脾臓細胞を得、rLmL3(a、cおよびe)、rLmL5(b、dおよびf)の存在下および媒体単独で48時間、インビトロ培養した。培養液上清中のIFN−γ(aおよびb)、IL−4(cおよびd)およびIL−10(eおよびf)のレベルを、ELISAにより査定した。個々のバーは、個別のマウス由来のデータの平均±SDを表す。
【図3b】BALB/cマウスにおけるワクチン接種により誘導されたサイトカイン産生を示す図。BALB/cマウス(6匹/群)を、10μgのrLmL3+50μgのCpG−ODN(L3+CpG)または10μgのrLmL5+50μgのCpG−ODN(L5+CpG)ならびに50μgのCpG−ODN(CpG)またはPBS(食塩水)を用いて、3回免疫化した。ワクチン接種4週後に脾臓細胞を得、rLmL3(a、cおよびe)、rLmL5(b、dおよびf)の存在下および媒体単独で48時間、インビトロ培養した。培養液上清中のIFN−γ(aおよびb)、IL−4(cおよびd)およびIL−10(eおよびf)のレベルを、ELISAにより査定した。個々のバーは、個別のマウス由来のデータの平均±SDを表す。
【図3c】BALB/cマウスにおけるワクチン接種により誘導されたサイトカイン産生を示す図。BALB/cマウス(6匹/群)を、10μgのrLmL3+50μgのCpG−ODN(L3+CpG)または10μgのrLmL5+50μgのCpG−ODN(L5+CpG)ならびに50μgのCpG−ODN(CpG)またはPBS(食塩水)を用いて、3回免疫化した。ワクチン接種4週後に脾臓細胞を得、rLmL3(a、cおよびe)、rLmL5(b、dおよびf)の存在下および媒体単独で48時間、インビトロ培養した。培養液上清中のIFN−γ(aおよびb)、IL−4(cおよびd)およびIL−10(eおよびf)のレベルを、ELISAにより査定した。個々のバーは、個別のマウス由来のデータの平均±SDを表す。
【図3d】BALB/cマウスにおけるワクチン接種により誘導されたサイトカイン産生を示す図。BALB/cマウス(6匹/群)を、10μgのrLmL3+50μgのCpG−ODN(L3+CpG)または10μgのrLmL5+50μgのCpG−ODN(L5+CpG)ならびに50μgのCpG−ODN(CpG)またはPBS(食塩水)を用いて、3回免疫化した。ワクチン接種4週後に脾臓細胞を得、rLmL3(a、cおよびe)、rLmL5(b、dおよびf)の存在下および媒体単独で48時間、インビトロ培養した。培養液上清中のIFN−γ(aおよびb)、IL−4(cおよびd)およびIL−10(eおよびf)のレベルを、ELISAにより査定した。個々のバーは、個別のマウス由来のデータの平均±SDを表す。
【図3e】BALB/cマウスにおけるワクチン接種により誘導されたサイトカイン産生を示す図。BALB/cマウス(6匹/群)を、10μgのrLmL3+50μgのCpG−ODN(L3+CpG)または10μgのrLmL5+50μgのCpG−ODN(L5+CpG)ならびに50μgのCpG−ODN(CpG)またはPBS(食塩水)を用いて、3回免疫化した。ワクチン接種4週後に脾臓細胞を得、rLmL3(a、cおよびe)、rLmL5(b、dおよびf)の存在下および媒体単独で48時間、インビトロ培養した。培養液上清中のIFN−γ(aおよびb)、IL−4(cおよびd)およびIL−10(eおよびf)のレベルを、ELISAにより査定した。個々のバーは、個別のマウス由来のデータの平均±SDを表す。
【図3f】BALB/cマウスにおけるワクチン接種により誘導されたサイトカイン産生を示す図。BALB/cマウス(6匹/群)を、10μgのrLmL3+50μgのCpG−ODN(L3+CpG)または10μgのrLmL5+50μgのCpG−ODN(L5+CpG)ならびに50μgのCpG−ODN(CpG)またはPBS(食塩水)を用いて、3回免疫化した。ワクチン接種4週後に脾臓細胞を得、rLmL3(a、cおよびe)、rLmL5(b、dおよびf)の存在下および媒体単独で48時間、インビトロ培養した。培養液上清中のIFN−γ(aおよびb)、IL−4(cおよびd)およびIL−10(eおよびf)のレベルを、ELISAにより査定した。個々のバーは、個別のマウス由来のデータの平均±SDを表す。
【図4a】チャレンジ後の、ワクチン接種されたBALB/cマウスにおけるL.major感染の経過を示す図。(a フットパッドの腫脹は、感染フットパッドおよび未感染の対側フットパッドの間の厚みの差として示される。(b 感染した脚および脾臓の膝窩流入領域リンパ節における生存寄生生物の数を、チャレンジ後8週に限界希釈により個別に決定した(*、P<0.01)
【図4b】チャレンジ後の、ワクチン接種されたBALB/cマウスにおけるL.major感染の経過を示す図。(a フットパッドの腫脹は、感染フットパッドおよび未感染の対側フットパッドの間の厚みの差として示される。(b 感染した脚および脾臓の膝窩流入領域リンパ節における生存寄生生物の数を、チャレンジ後8週に限界希釈により個別に決定した(*、P<0.01)
【図5a】L3+CpG ODNをワクチン接種されたマウスにおいて、感染によって誘発された細胞性免疫応答を示す図。寄生生物チャレンジ後8週に、脾臓細胞培養液を確立させた。細胞は、刺激されない(媒体)、またはLRP(リーシュマニアリボソームタンパク質)(12μg ml−1)、SLA(可溶性リーシュマニア抗原)(12μg ml−1)、MRP(マウスリボソームタンパク質)(12μg ml−1)もしくはL3(6μg ml−1)を用いて、48時間、5%CO中で37℃において別々に刺激された。IFN−γ(a)、IL−4(b)およびIL−10(c)のレベルを、培養液上清において、捕捉酵素結合免疫吸着測定法によって測定した。個々のバーは、6匹の個別のマウス/群において決定されたサイトカインレベルの平均プラス標準偏差を表す。
【図5b】L3+CpG ODNをワクチン接種されたマウスにおいて、感染によって誘発された細胞性免疫応答を示す図。寄生生物チャレンジ後8週に、脾臓細胞培養液を確立させた。細胞は、刺激されない(媒体)、またはLRP(リーシュマニアリボソームタンパク質)(12μg ml−1)、SLA(可溶性リーシュマニア抗原)(12μg ml−1)、MRP(マウスリボソームタンパク質)(12μg ml−1)もしくはL3(6μg ml−1)を用いて、48時間、5%CO中で37℃において別々に刺激された。IFN−γ(a)、IL−4(b)およびIL−10(c)のレベルを、培養液上清において、捕捉酵素結合免疫吸着測定法によって測定した。個々のバーは、6匹の個別のマウス/群において決定されたサイトカインレベルの平均プラス標準偏差を表す。
【図5c】L3+CpG ODNをワクチン接種されたマウスにおいて、感染によって誘発された細胞性免疫応答を示す図。寄生生物チャレンジ後8週に、脾臓細胞培養液を確立させた。細胞は、刺激されない(媒体)、またはLRP(リーシュマニアリボソームタンパク質)(12μg ml−1)、SLA(可溶性リーシュマニア抗原)(12μg ml−1)、MRP(マウスリボソームタンパク質)(12μg ml−1)もしくはL3(6μg ml−1)を用いて、48時間、5%CO中で37℃において別々に刺激された。IFN−γ(a)、IL−4(b)およびIL−10(c)のレベルを、培養液上清において、捕捉酵素結合免疫吸着測定法によって測定した。個々のバーは、6匹の個別のマウス/群において決定されたサイトカインレベルの平均プラス標準偏差を表す。
【図6a】L5+CpG ODNをワクチン接種されたマウスにおいて、感染によって誘発された細胞性免疫応答を示す図。寄生生物チャレンジ後8週に、脾臓細胞培養液を確立させた。細胞は、刺激されない(媒体)、またはLRP(12μg ml−1)、SLA(12μg ml−1)、MRP(12μg ml−1)もしくはL5(6μg ml−1)を用いて、48時間、5%CO中で37℃において別々に刺激された。IFN−γ(a)、IL−4(c)およびIL−10(b)のレベルを、培養液上清において、捕捉酵素結合免疫吸着測定法によって測定した。個々のバーは、6匹の個別のマウス/群において決定されたサイトカインレベルの平均プラス標準偏差を表す。
【図6b】L5+CpG ODNをワクチン接種されたマウスにおいて、感染によって誘発された細胞性免疫応答を示す図。寄生生物チャレンジ後8週に、脾臓細胞培養液を確立させた。細胞は、刺激されない(媒体)、またはLRP(12μg ml−1)、SLA(12μg ml−1)、MRP(12μg ml−1)もしくはL5(6μg ml−1)を用いて、48時間、5%CO中で37℃において別々に刺激された。IFN−γ(a)、IL−4(c)およびIL−10(b)のレベルを、培養液上清において、捕捉酵素結合免疫吸着測定法によって測定した。個々のバーは、6匹の個別のマウス/群において決定されたサイトカインレベルの平均プラス標準偏差を表す。
【図6c】L5+CpG ODNをワクチン接種されたマウスにおいて、感染によって誘発された細胞性免疫応答を示す図。寄生生物チャレンジ後8週に、脾臓細胞培養液を確立させた。細胞は、刺激されない(媒体)、またはLRP(12μg ml−1)、SLA(12μg ml−1)、MRP(12μg ml−1)もしくはL5(6μg ml−1)を用いて、48時間、5%CO中で37℃において別々に刺激された。IFN−γ(a)、IL−4(c)およびIL−10(b)のレベルを、培養液上清において、捕捉酵素結合免疫吸着測定法によって測定した。個々のバーは、6匹の個別のマウス/群において決定されたサイトカインレベルの平均プラス標準偏差を表す。
【図7a】チャレンジ後の、ワクチン接種されたBALB/cマウスにおけるL.braziliensis感染の経過を示す図。(A)感染した耳における炎症性病変。病変サイズ(ミリメーター)は、5匹のマウスを用いて実施された、1つの実験の平均±SDとして表される。*P<0.05、rLmL5+CpG−ODNまたはrLmL3+CpG−ODNをワクチン接種されたマウスと、両方の対照群との間(B)感染後5週に定量化された、耳の真皮中の寄生生物負荷量。結果は、5匹の耳/群の平均±SDとして表される。*P<0.05、rLmL5+CpG−ODNと両方の対照マウス群との間の有意な減少。
【図7b】チャレンジ後の、ワクチン接種されたBALB/cマウスにおけるL.braziliensis感染の経過を示す図。(A)感染した耳における炎症性病変。病変サイズ(ミリメーター)は、5匹のマウスを用いて実施された、1つの実験の平均±SDとして表される。*P<0.05、rLmL5+CpG−ODNまたはrLmL3+CpG−ODNをワクチン接種されたマウスと、両方の対照群との間(B)感染後5週に定量化された、耳の真皮中の寄生生物負荷量。結果は、5匹の耳/群の平均±SDとして表される。*P<0.05、rLmL5+CpG−ODNと両方の対照マウス群との間の有意な減少。
【図8a】LmL3およびLmL5タンパク質のリボソームの位置を示す図。1μgのrLmL3タンパク質(A)、1μgのrLmL5タンパク質(B)および10μgのLeishmania majorのLRP抽出液(AおよびB)10〜13%の線形勾配SDS−PAGEゲルにおいて電気泳動にかけた。ゲルのクマシーブルー染色を、左パネル(AおよびB)に示す。等価のゲルをブロットし、rLmL3(パネルα−LmL3)を用いて免疫化されたマウス由来の血清(A)および5匹のイヌ内臓リーシュマニア症血清の親和性精製された抗LmL5抗体分画(パネルα−LmL5)(B)を用いてプローブした。
【図8b】LmL3およびLmL5タンパク質のリボソームの位置を示す図。1μgのrLmL3タンパク質(A)、1μgのrLmL5タンパク質(B)および10μgのLeishmania majorのLRP抽出液(AおよびB)10〜13%の線形勾配SDS−PAGEゲルにおいて電気泳動にかけた。ゲルのクマシーブルー染色を、左パネル(AおよびB)に示す。等価のゲルをブロットし、rLmL3(パネルα−LmL3)を用いて免疫化されたマウス由来の血清(A)および5匹のイヌ内臓リーシュマニア症血清の親和性精製された抗LmL5抗体分画(パネルα−LmL5)(B)を用いてプローブした。
【図9a】CpGの存在下でリボソームタンパク質S6、L2、L7、L8およびL6をワクチン接種されたマウスにおける感染パラメータの分析を示す図。(A)感染群における病変の発生を、感染後8週まで、週に1回モニターした。(*P<0.05)S6+CpG ODNと対照(食塩水およびアジュバント)群との間のフットパッドの腫脹の差は、感染後8週において統計的に有意であった。
【図9b】CpGの存在下でリボソームタンパク質S6、L2、L7、L8およびL6をワクチン接種されたマウスにおける感染パラメータの分析を示す図。(B)感染後8週に分析されたDLNおよび脾臓における寄生生物負荷量の決定を示す図である。(*P<0.05)S6+CpG ODNをワクチン接種された群の脾臓および対照(食塩水およびアジュバント)群の脾臓における寄生生物のロード量の差は、統計的に有意であった。明確にするために、食塩水群およびS6+CpG ODNをワクチン接種された群由来のSDのみを示す。
【図10a】S6+CpG ODNのワクチン接種により誘発された免疫応答の図。血清試料を、S6+CpG ODN、CpG ODNおよび食塩水を用いて免疫化されたマウスから、最終用量の投与後4週に得た。血清を、ELISAにより個別に試験し、抗S6特異的IgG、IgG1およびIgG2a抗体の存在を決定した。(*P<0.05)S6+CpG ODN群と対照(食塩水およびCpG)群との間の統計的有意差。(B)脾臓細胞は、刺激されなかった(媒体)、またはS6を用いて、48時間、5%CO中で37℃において刺激された。IFN−γ、IL−4およびIL−10レベルを、培養液上清中で、捕捉酵素結合免疫吸着測定法により測定した。個々のバーは、4匹の個別のマウス/群において決定されたサイトカインレベルの平均+標準偏差を表す。(*P<0.05)S6+CpG ODN群と対照(食塩水およびCpG)群との間の統計的有意差。
【図10b】S6+CpG ODNのワクチン接種により誘発された免疫応答の図。血清試料を、S6+CpG ODN、CpG ODNおよび食塩水を用いて免疫化されたマウスから、最終用量の投与後4週に得た。血清を、ELISAにより個別に試験し、抗S6特異的IgG、IgG1およびIgG2a抗体の存在を決定した。(*P<0.05)S6+CpG ODN群と対照(食塩水およびCpG)群との間の統計的有意差。(B)脾臓細胞は、刺激されなかった(媒体)、またはS6を用いて、48時間、5%CO中で37℃において刺激された。IFN−γ、IL−4およびIL−10レベルを、培養液上清中で、捕捉酵素結合免疫吸着測定法により測定した。個々のバーは、4匹の個別のマウス/群において決定されたサイトカインレベルの平均+標準偏差を表す。(*P<0.05)S6+CpG ODN群と対照(食塩水およびCpG)群との間の統計的有意差。
【図11a】L3、L5およびS4を用いて個別に、またはCpGの不在下もしくは存在下で、混合調製品において免疫化されたマウスにおける病変の発生を示す図。病変を、感染後6週まで週に1回モニターした。(A)対照マウス群およびアジュバントを含まない組換えタンパク質をワクチン接種されたマウス群。(B)対照マウス群および組換えタンパク質+CpG ODNをワクチン接種されたマウス群。(*P<0.05)L3+CpG ODN、L5+CpG ODN、L3+L5+CpG ODNまたはL3+L5+S6+CpG ODNならびに対照(食塩水およびアジュバント)群の間のフットパッドの腫脹の差は、感染後6週で統計的に有意であった。
【図11b】L3、L5およびS4を用いて個別に、またはCpGの不在下もしくは存在下で、混合調製品において免疫化されたマウスにおける病変の発生を示す図。病変を、感染後6週まで週に1回モニターした。(A)対照マウス群およびアジュバントを含まない組換えタンパク質をワクチン接種されたマウス群。(B)対照マウス群および組換えタンパク質+CpG ODNをワクチン接種されたマウス群。(*P<0.05)L3+CpG ODN、L5+CpG ODN、L3+L5+CpG ODNまたはL3+L5+S6+CpG ODNならびに対照(食塩水およびアジュバント)群の間のフットパッドの腫脹の差は、感染後6週で統計的に有意であった。
【図12a】ワクチン接種されたマウスにおける寄生生物負荷量を示す図。寄生生物ロード量を、感染後7週に脾臓およびDLNにおいて決定した。(A)対照マウス群およびアジュバントを含まない組換えタンパク質をワクチン接種されたマウス群。(B)対照マウス群および組換えタンパク質+CpG ODNをワクチン接種されたマウス群。(*P<0.05)L3+CpG ODN、L5+CpG ODN、L3+L5+CpG ODNまたはL3+L5+S6+CpG ODNならびに対照(食塩水およびアジュバント)群の間の脾臓寄生生物負荷量の差は、統計的に有意であった。(*P<0.05)L3+L5+CpG ODNまたはL3+L5+S6+CpG ODNならびに対照(食塩水およびアジュバント)群の間の膝窩寄生生物負荷量の差は、統計的に有意であった。
【図12b】ワクチン接種されたマウスにおける寄生生物負荷量を示す図。寄生生物ロード量を、感染後7週に脾臓およびDLNにおいて決定した。(A)対照マウス群およびアジュバントを含まない組換えタンパク質をワクチン接種されたマウス群。(B)対照マウス群および組換えタンパク質+CpG ODNをワクチン接種されたマウス群。(*P<0.05)L3+CpG ODN、L5+CpG ODN、L3+L5+CpG ODNまたはL3+L5+S6+CpG ODNならびに対照(食塩水およびアジュバント)群の間の脾臓寄生生物負荷量の差は、統計的に有意であった。(*P<0.05)L3+L5+CpG ODNまたはL3+L5+S6+CpG ODNならびに対照(食塩水およびアジュバント)群の間の膝窩寄生生物負荷量の差は、統計的に有意であった。
【図13】提案されるキメラ構築体の図の表示。設計されたプライマーおよびクローニングのために選択された切断部位を示す。
【実施例】
【0122】
例1:Leishmania majorのL3およびL5タンパク質のクローニングならびにLeishmania major感染症に対する、これらのタンパク質によりもたらされる保護作用。
【0123】
材料および方法
マウスの血統および寄生生物
雌BALB/cマウス(6〜8週齢)は、Harlan Interfauna Iberica S.A.(バルセロナ、スペイン)から購入した。
【0124】
L.major寄生生物(WHOM/IR/−/173)は、BALB/cマウスにおける継代により毒性状態を維持した。L.majorの無鞭毛型を得、20%ウシ胎児血清を添加したSchneider’s媒体(Gibco、BRL、Grand Island、NY、USA)において、26℃において培養することによって前鞭毛型に形質転換させた。
【0125】
CpG−ODN
ホスホロチオエート修飾CpG−ODN(5’−TCAACGTTGA−3’および5’−GCTAGCGTTAGCGT−3’)(配列番号5、6)は、Isogen(オランダ)により合成された。
【0126】
L.majorのリボソームタンパク質L3およびL5をコードするDNA配列のクローニング
L.majorのL3およびL5タンパク質をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を、L.majorゲノムデータベース(www.genedb.org/genedb/leish)から、S.cerevisiaeのL3およびL5タンパク質配列をプローブとして使用して得た(56)。rLmL3およびrLmL5タンパク質の発現のために、これらのコーディング領域(CR)を、L.major(MHOM/IL/80(Friedlin))由来のDNAを鋳型として使用してPCR増幅させた。増幅させたDNAを、pBluescriptプラスミド(Stratagene、La Jolla CA)内にクローニングし、配列決定し、その後pQE30発現ベクター(QIAGEN、Hilden、ドイツ)内にクローニングした。
【0127】
LmL3のCRのクローニングのために用いたプライマーは:センス、5’−CGGGATCCATGTCTCACTGCAAGTTCGAG−3’(LmL3のCRの1から20位(LmjF34.2880))(配列番号44);アンチセンス、5’−AACTGCAGTTACTTCTTCGCGGCCTTTG−3’(LmL3のCR(LmjF34.2880)の1241から1260位に対してリバースおよび相補的)(配列番号45)。BamHIおよびPstI制限部位(下線付き)を、クローニングの目的のために含めた。
【0128】
LmL5のCRのクローニングにために用いたプライマーは:センス,5’−CGGGATCCATGTGCACGC TGGCAAATTG−3’(LmL5のCR(LmjF35.1890)の1から20位)(配列番号46);アンチセンス,5’−CCCAAGCTTTTACTTGCCGAGGCGCTCGC−3’(LmL5のCR(LmjF35.1890.319)の968−987位に対してリバースおよび相補的)(配列番号47)。BamHIおよびHindIII制限部位(下線付き)を、クローニングの目的のために含めた。
【0129】
タンパク質の精製
rLmL3およびrLmL5タンパク質を、pQE−LmL3またはpQE−LmL5のプラスミドを用いて形質転換させたEscherichia coliにおいて過剰発現させ、変性条件下でNi−ニトリロ三酢酸(Ni−NTA)アガロースカラム(Qiagen)において精製した。Ni−NTAアガロースに結合させた後、組換えタンパク質を、(57)に記載のように、親和性カラムにおいて再フォールディングさせた。組換えタンパク質を、ポリミキシン−アガロースカラム(Sigma、St.Louis、Mo.)に通した。残留エンドトキシン含有量(<12pg/μgの組換えタンパク質)を、Quantitative Chromogenic Limulus Amebocyte Assay QCL−1000(BioWhittaker、Walkersville、Md.)により測定した。
【0130】
免疫化、寄生生物のチャレンジおよび寄生生物の定量化
2つの独立したBALB/cマウス群(6匹/群)に、10μgのrLmL3または10μgのrLmL5を25μgの各CpG−ODNと混合して、右フットパッドに皮下(s.c.)接種した。対照として、2つの追加のマウス群に、25μgの各CpG−ODNを単独で、またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を接種した。個々の群に、2週および4週後に、プライミングに使用した同じ用量をブーストした。寄生生物のチャレンジを、5×10の静止期前鞭毛型のL.major(WHOM/IR/−/173)を、左(未処置)フットパッドに最終接種後4週間にs.c.接種することによって実施した。フットパッドの腫脹を、メートル法のキャリパーを用いて測定し、左フットパッドの厚み−右フットパッドの厚みとして計算した。寄生生物の数を、耳、流入領域リンパ節(DLN)および脾臓において、(70)に記載のように限界希釈によって決定した。
【0131】
リーシュマニアの抗原およびマウスリボソームタンパク質
L.majorのLRPの調製のために、10の前鞭毛型を収穫し、予備冷蔵の洗浄PBSで2回洗浄し、1mlのNP40溶解バッファー(10mMのTris HCl、pH8.0、150mMのNaCl、1.5mMのMgClおよび0.5%NP40)に再懸濁し、10回上下にピペッティングした。溶解後、試料を、3,000×gで2分間4℃において微量遠心分離し、核をペレット化した。上清を、13,000×gで15分間、4℃において2回微量遠心分離し、[57]に記載のようにサイトゾルの上清からリボソームを調製した。簡潔に言うと、サイトゾルを、90,000rpmで30分間、4℃においてBeckman TL100.3 ローターで高速遠心分離に供した。粗リボソームペレットを、バッファーA(20mMのTris−HCl、pH7.4、500mMのAcNH、100mMのMgCl、5mMのβ−メルカプトエタノール)に再懸濁し、バッファーA中不連続ショ糖勾配(20/40%)を介して、90,000rpmで4℃においてTL100.3ローターで遠心分離にかけた。洗浄されたリボソームのペレットをPBSに溶解し、リボソームのRNA分解が完了するまで超音波処理した。マウスリボソームタンパク質抽出液(MRP)を、5×10のRAW264.7マウスマクロファージ細胞から、同じ手順を使用して調製した。
【0132】
L.majorの全タンパク質(可溶性リーシュマニア抗原[SLA])を、(70)に記載のように調製した。簡潔に言うと、L.major前鞭毛型(1010)をPBSで2回洗浄し、500mlのPBSに再懸濁し、3回の凍結および解凍のサイクルによって溶解した。細胞溶解後、可溶性抗原を、微量遠心分離を使用する15分間、12,000×gの遠心分離によって不溶性分画から分離した。上清をアリコートに分け、−70℃において保存した。
【0133】
上清中のサイトカインの測定
IFN−γ、IL−10およびIL−4の放出を、組換えタンパク質を用いて刺激された脾細胞の細胞培養液の上清において、市販のELISAキット(Diaclone、Besancon、フランス)を使用して測定した。簡潔に言うと、3×10脾臓細胞を、48−ウェルプレートに、48時間37℃において、rLmL3(6μg ml−1)またはrLmL5(6μg ml−1)または媒体単独の存在下で播種した。
【0134】
マウスおよびイヌにおける抗L3および抗L5抗体の応答の検出
イヌ血清試料を、エストレマドゥーラ(Extremadura)地方(スペイン)のLeishmania infantumに自然に感染した、20匹の臨床的に症候性のイヌから採取した。感染した動物を、Department of Parasitology of the Veterinary School、Extremadura University、Caceres、スペインにおいて臨床的および分析的に評価した。間接的免疫蛍光法によって試験した場合、すべての血清は陽性であり、寄生生物の無鞭毛型の存在が、膝窩および前肩甲骨のリンパ節における直接観察によって確認された。対照血清は、Department of Parasitology(Extremadura University)において飼育された8匹の健康な動物から得た。
【0135】
5×10のL.major(WHOM/IR/−/173)の静止期前鞭毛型に実験的に感染させた12匹のBALB/cマウス由来の血清を、感染後8週に採取した。対照として、同じマウス由来の血清を、感染前に採取した。
【0136】
標準的ELISAプレートを、100μlの組換えリボソームタンパク質(PBS中2μg ml−1)のそれぞれ1つを用いて、室温において一晩コーティングした。イヌおよびマウスの血清試料を、PBS−Tween20(0.5%)−カゼイン(5%)中1/200希釈においてアッセイした。二次抗体として、Nordic Immunological Laboratories(Tilburg、オランダ)から購入したホースラッディシュペルオキシダーゼ標識された抗イヌIgG(1/1000)、抗マウスIgG1(1/1000)および抗マウスIgG2a(1/500)を使用した。オルトフェニレンジアミン二塩酸塩(OPD)(Dako、A/S、Glostrup、デンマーク)を、ELISAアッセイ用のペルオキシダーゼ基質として使用した。15分後、反応を、100μlのHSO 1Mの添加により停止させ、吸光度を、450nmにおいて読み取った。
【0137】
統計分析
統計分析を、スチューデントt検定によって実施した。P<0.05の場合、差は有意であると考えた。
【0138】
結果および考察
LmL3およびLmL5タンパク質の同定、クローニングおよび発現
L.majorのL3およびL5のコーディング領域を同定するために、本発明者らは、プローブとしてS.cerevisiaeのL3およびL5のアミノ酸配列(それぞれ、YOR063wおよびYPL131w)を使用して、BLASTP検索を実施した[58]。推定LmL3およびLmL5タンパク質として注釈を付けた、2つの異なるエントリ(LmjF34.2880およびLmjF35.1890)を、BLASTスコアの有意値を用いてレスキューした。データベースの配列データに基づき、PCRプライマーを設計し、クローニングを目的とするさまざまな制限酵素のためのカット部位を含む、LmL3およびLmL5のCRを増幅した。増幅されたDNAを、pBluescriptにサブクローニングし、配列決定した。L.majorの推定L3タンパク質は、分子量47.5kDaおよび予測等電点11.67を有する、419個のアミノ酸を保有する。L.majorの推定L5タンパク質は、分子量36.6kDaおよび予測等電点10.69を有する、328個のアミノ酸を保有する。L.majorのL3およびL5の推定アミノ酸配列と、それらのS.cerevisiaeカウンターパートとの比較により、高度の相同性:L3タンパク質に関して57%の同一性、73.5%の類似性、L5タンパク質に関して;51.2%の同一性、66.3%の類似性が明らかにされた(アライメントを参照されたい)。ここに提示されたアライメントは、LeishmaniaのL3およびL5タンパク質が、高度の類似性を有するいくつかのドメインを含有することを示す。両方の寄生生物タンパク質は酵母タンパク質より長く、LmL3に関してはカルボキシ末端およびLmL5に関しては両方の末端に余分なアミノ酸残基を提示することが観察されることもまた、注目に値する。感染期間中にこれらのタンパク質に対して誘発された液性応答および細胞性応答は、宿主カウンターパート由来の相同タンパク質との交差反応性を有さない寄生生物に対して特異的であるので、保存タンパク質ファミリーに属するLeishmaniaタンパク質の稀な一次構造は、免疫学的に関連していると思われる(39、36、58)。
【0139】
LmL3およびLmL5のCRを、pQE30発現ベクターにサブクローニングした。推定組換えタンパク質のアミノ酸配列を、アライメントのパートCおよびDに示す。両方のタンパク質は、親和性クロマトグラフィー精製に使用される6個のヒスチジンを含むN末端タグとして表す。その後、両方のタンパク質を、E.coli培養液中で過剰発現させ、精製した。図1に示されるように、精製されたrLmL3およびrLmL5タンパク質は、それぞれ、これらのN末端領域に12アミノ酸の追加のhisタグの伸張の存在に一致する、見かけの分子量48kDaおよび38kDaを示した。クマシーブルー染色されたSDS−PAGEゲルにおいて、両方の精製された組換えタンパク質に関する単一のバンドが観察されたので、タンパク質の純度が実証された(図1)。
【0140】
LmL3およびLmL5は、イヌ内臓リーシュマニア症(CVL)の血清によって、およびL.major(MCL)に感染したBALB/cマウス由来の血清によって認識される。
【0141】
VLの影響を受ける、イヌにおけるL.majorのL3およびL5タンパク質の抗原性を決定するために、組換えrLmL3およびrLmL5タンパク質を、20匹のL.infantumに感染したイヌ由来の血清を使用するELISAアッセイの抗原として用いた。対照として、両方の組換えタンパク質に対する、8匹の健康なイヌから得た血清の反応性をアッセイした。CVL血清のうち、75%(15/20)がrLmL3タンパク質(図2b)を認識し、90%(18/20)が、カットオフ値より高い反応性の値でrLmL5タンパク質を認識した(図2c)。rLmL5に対するCVL血清の反応性(平均=0.61±0.36)は、rLmL3に対して得られたもの(平均=0.28±0.10)より高かったので、rLmL3およびrLmL5に対する反応性の間の吸光度の値のスペクトルは異なった。両方の寄生生物タンパク質は、イヌ自然リーシュマニア症の期間に免疫系に曝露され、LmL5タンパク質は、LmL3より広く行き渡った免疫原であると結論付けることができる。ここにおいて、限られた数の血清を用いたが、得られたデータは、他の抗原と組み合わせて、CVLの血清診断試験の開発のために両方の組換え寄生生物タンパク質を使用できることの指摘であると解釈することができる。
【0142】
次に、本発明者らは、L.majorの感染による皮膚リーシュマニア症(MCL)を患うBALB/cマウスに由来する血清を使用して、LmL3およびLmL5タンパク質の抗原性を分析した。この目的のために、両方の組換えタンパク質に対するIgG1およびIgG2a抗体の存在を、ELISAにより分析した。両方のタンパク質は、それらに対して誘発された抗体、大部分はIgG1アイソタイプであるMCL血清により認識された(図2a)。感染前の同じマウスにおいて、両方のタンパク質に対する反応性は観察されなかった(図2a)。IgG1およびIgG2a抗体の誘導は、それぞれ、Th2−タイプおよびTh1タイプの免疫応答のマーカーとして使用されるので(8)、本発明者らは、L.major感染期間中に、Th2−様液性応答が、BALB/cマウスにおいてこれらの抗原に対して誘導されると結論付けることができる。
【0143】
CpG ODNの存在下のrLmL3およびrLmL5組換えリボソームのタンパク質による免疫化は、BALB/cマウスにおいて、それらに対するTh1タイプの応答を誘導する。
【0144】
それらに対するTh2介在性液性応答は、感染したBALB/cマウスにおいて誘発されるので、本発明者らは、Th1誘導性アジュバント(CpG−ODN)の存在下で、rLmL3およびrLmL5の免疫化の効果を分析した。この目的のために、6匹のマウスの群を、rLmL3およびrLmL5をCpG−ODNと組み合わせて用い、独立して免疫化した。対照として、6匹のマウスの群を、CpG−ODN単独を用いて、およびPBS(賦形剤として用いたバッファー)を用いて免疫化した。3用量後、免疫化により引き起こされた細胞性応答を分析した。脾臓細胞を得、対応するrLmL3またはrLmL5抗原の存在下、および不在下で培養した。rLmL3+CpG−ODNを用いて免疫化されたマウス由来の脾臓細胞は、rLmL3抗原を用いた刺激後、高レベルのIFN−ガンマを産生した(図3a)。同様のIFN−ガンマレベルが、rLmL5の刺激後に、rLmL5+CpG−ODNを用いて免疫化されたマウス由来の脾臓細胞培養液の上清において検出された(図3b)。対照的に、アジュバントまたは賦形剤を用いて免疫化されたマウス由来の脾臓細胞は、rLmL3またはrLmL5の刺激に対する応答において、低レベルのIFN−ガンマを産生した(図3ab)。IL−4の産生に関して、rLmL3+CpG−ODN(図3c)またはrLmL5+CpG−ODN(図4d)を用いて免疫化されたマウスから得られた脾臓細胞の、それぞれrLmL3またはrLmL5刺激後、非常に低レベルのこのサイトカインが検出された。最終的に、任意の群において、IL−10特異的産生は検出されなかった(図3ef)。したがって、CpG−ODNアジュバントが、Th1応答に向かう組換え抗原に対する免疫応答を歪めたことを結論付けることができる。
【0145】
rLmL3+CpG−ODNおよびrLmL5+CpG−ODNを用いたワクチン接種は、L.majorチャレンジに対してBALB/cマウスを保護する。
【0146】
本発明者らは、両方の組換えタンパク質の投与が、感受性BALB/cマウスにおいてL.major感染症に対する保護を誘導できるかどうかを分析した。rLmL3+CpG−ODNまたはrLmL5+CpG−ODNをワクチン接種されたマウスのフットパッドの腫脹は、PBSまたはCpG−ODN対照群のフットパッドの腫脹と比較して有意に低かった(図4a)。さらに、寄生生物負荷量におけるおよそ2−logの減少が、rLmL3+CpG−ODNまたはrLmL5+CpG−ODNにより免疫化されたマウス由来の流入領域リンパ節細胞において観察された。最終的に、脾臓において寄生生物は検出できず、一方、両方の対照群由来のマウスの脾臓において寄生生物が検出された(図3b。CpG−ODNと混合された、組換えタンパク質として発現された寄生生物LmL3およびLmL5タンパク質を用いて免疫化されたマウスは、L.major感染症に対して保護されたと結論付けることができる。ワクチン接種されたマウスにおいて、真皮の病状は存在しない、または非常に低かった。これらのマウスにおいて、寄生生物の存在は、膝窩流入領域リンパ節に制限された。観察された保護は、LeishmaniaのヌクレオソームヒストンをコードするプラスミドDNAカクテル(19)、DNAワクチンとして投与されたP0タンパク質(54)およびCpG−ODNと組み合わせたLRP抽出液(55)を用いたマウスの免疫化によって得られた保護と同様であった。したがって、本発明者らは、その免疫化がリーシュマニア症に対するワクチンに定義される有効な分子のより合理的な開発に寄与する、2種のリボソーム成分を特徴付けた。
【0147】
保護に関与する免疫学的パラメータの分析
保護に関与する免疫学的パラメータを決定するために、SLA、LRP、MRPおよび対応する組換えタンパク質(L3およびL5)により駆動されるサイトカインの産生(IFN−γ、IL−4およびIL−10)を、ワクチン接種されたマウス群および対照マウス群においてチャレンジ後8週に分析した。L3およびL5をワクチン接種されたマウス由来の脾臓細胞は、チャレンジ後8週に、対照マウス由来の脾臓細胞より多くのSLA、LRPおよび組換え抗原特異的IFN−γを産生した(L3に関して図5aおよびL5に関して図6a)。MRPを用いた脾臓細胞培養液の刺激は、IFN−γの産生をもたらさなかったので、このサイトカインの産生は、Leishmaniaのリボソームタンパク質により特異的に誘導されることが見出された(L3に関して図5aおよびL5に関して図6a)。さらに、対照マウス(CpGおよび食塩水)と比較した場合、低レベルのSLAおよびLRP特異的IL−10(L3に関して図5bおよびL5に関して図6b)およびIL−4(L3に関して図5cおよびL5に関して図6c)が、保護されたマウスから得られた脾臓細胞の上清において見出された。さらに、MRP特異的L3およびL5依存性のIL−10およびIL−4の産生は、保護されたマウスにおいて非常に低かった。したがって、感染後、保護の表現型は、寄生生物により誘導されるIL−4およびIL−10の応答を調節できる、L3およびL5のTh1応答の誘導と関連したことを結論付けることができる。
【0148】
LmL3およびLmL5の配列データのアライメント。Leishmania majorのL3(A)およびL5(B)タンパク質ならびにそれらのSaccharomyces cerevisiaeのオルソログのアミノ酸配列アライメント。保存されたアミノ酸は陰を付けた。LmL3およびLmL5のアミノ酸の数を示す。L.majorのアミノ酸配列を、それらの対応するDNA配列から予測した。(CおよびD)組換えLmL3(rLmL3)(C)およびLmL5(rLmL5)(D)タンパク質のアミノ酸配列または予測されたアミノ酸配列を、細菌において発現させた。それらのN末端に位置する追加のhis−タグ配列を、太字および下線付きで示す。rLmL3およびrLmL5タンパク質のアミノ酸の数を示す。
【表A−1】

【表B−1】

【表C−1】

【表D−1】

【0149】
例2:L3およびL5のホモログの分析
L3およびL5のホモログのアライメント
本発明者らは、さまざまなリーシュマニア(Leishmania)種間のL3およびL5リボソームタンパク質の保存の程度を分析した。この目的のために、L.infantumおよびL.mexicana(配列番号48および50)由来のL3タンパク質ならびにL.infantum(クローンJPCM5[MCAN/ES/98/LLM−877])、L.braziliensis(MHOM/BR/75/M2904)およびL.mexicana(MHOM/GT/2001/U1103)(配列番号52、56および54)由来のL5タンパク質のアミノ酸配列を、ゲノムデータベース(www.genedb.org)からin silico分析によってレスキューし、L.majorオルソログ(L3に関して配列番号1およびL5に関して配列番号3)からのアミノ酸配列と比較した(次ページにアライメントを示す、パートAおよびB)。L.majorのL5タンパク質中のN末端の伸張の存在を除き、高度の保存が、さまざまな種の間で観察された。表1A−Bはそれぞれ、L3およびL5オルソログの間の同一性および類似性の百分率を示す。
【0150】
リボソーム中のLeishmania majorL3およびL5の位置
本研究に用いた組換えLmL3およびLmL5が、寄生生物リボソーム中に位置するタンパク質に対応することを実証するために、本発明者らは、組換えタンパク質に特異的な抗体を、組換えタンパク質およびLRP抽出液を含有するウェスタンブロットに用いた。図8Aは、組換えタンパク質を用いて免疫化されたマウスから得られた抗LmL3抗体が、LRP抽出液中の予想分子量(47.5kDa)を有する単一バンドを認識したことを示す。同様の結果が、L5タンパク質に関しても観察された(図8B)。本発明者らが、先に記載のようにrLmL5−Shepharose4Bカラムにおける親和性クロマトグラフィーによって、L.infantumに自然に感染したイヌ血清から精製された抗LmL5抗体を用いた場合、36.6kDaの単一バンドがLRP抽出液中に観察された(71)。陽性対照として、両方の事例において、対応する組換えタンパク質は、特異的抗体によって認識された。
【0151】
LeishmaniaのL3およびL5の配列比較。L.major、L.infantumおよびL.mexicanaのL3(A)(配列番号1、48および50)ならびにL.major、L.braziliensis、L.infantumおよびL.mexicanaのL5(B)(配列番号3、56、52および54)のアミノ酸配列アライメント。L.infantum(GeneDB識別子 LinJ32_V3.3320)およびL.mexicana(GeneDB識別子 LmxM33.2900)のLmL3タンパク質、推定L3タンパク質の配列ならびにL.braziliensis(GeneDB識別子 LbrM34_V2.1790)、L.infantum(GeneDB識別子 LinJ35_V3.1870)およびL.mexicana(GeneDB識別子 LmxM34.1880)のLmL5タンパク質および推定L5タンパク質の配列を、ClustalW(DNAstarプログラム)のデフォルト設定を使用してアライメントした。アミノ酸置換は陰を付けた。
【表A−2】

【表B−2】

【表1】

【0152】
例3:rLmL3+CpG−ODNおよびrLmL5+CpG−ODNを用いたワクチン接種は、BALB/cマウスをL.braziliensisチャレンジに対して保護する
本発明者らは、L.braziliensisの感染により引き起こされた皮膚リーシュマニア症の発症における、Th1誘導性アジュバント(CpG−ODN)と組み合わせたL.majorの組換えタンパク質rLmL3およびrLmL5の免疫化の効果を分析した。この目的のために、5匹のマウスの群を、50μgのCpG−ODN(25μgのCpG−1[5’−TCAACGTTGA−3’]+25μgのCpG−2[5’−GCTAGCGTTAGCGT−3’)](配列番号5および6))と組み合わせて、10μgのrLmL3または10μgのrLmL5を用いて独立に免疫化した。対照として、5匹のマウスの群を、50μgのCpG−ODN単独またはPBS(賦形剤として用いたバッファー)を用いて免疫化した。マウスに、耳の真皮(左耳)に接種した。各群に、2週および4週後に、プライミングに使用した同じ用量をブーストした。寄生生物のチャレンジを、右(未処置)耳に10の静止前鞭毛型のL.braziliensis(MHOM/BR/01/BA788)を、2対のLutzomya intermediaスナバエの唾液腺と組み合わせて注射することにより実施した。感染のこのモデルにおいて、寄生生物のチャレンジ後、BALB/cマウスは、感染した耳において炎症性病変を発症し、着実に進行し、およそ5週に最大に達する。その後、病変サイズは退行し、完全な耳の瘢痕化が、感染後およそ9週に観察された(72)。本発明者らは、4匹のマウス群における皮膚病変の発症を、寄生生物チャレンジ5週まで、メートル法のキャリパーを用いて病変の厚みを測定して分析した。図7Aに示すように、rLmL3+CpG−ODNまたはrLmL5+CpG−ODNをワクチン接種されたマウスの耳病変は、PBSまたはCpG−ODNの対照群と比較して有意に低かった。さらに、寄生生物負荷量を、感染した耳において感染後5週に分析した。寄生生物の数を、(73)に記載のように限界希釈アッセイにより決定した。対照群と比較した場合、寄生生物負荷量の減少が、ワクチン接種されたマウスにおいて観察された。差は、両方の対照群に対してrLmL5+CpG−ODN群において有意であったことが見出された(P<0.05、スチューデントt検定)。さらに、5匹のマウスのうちの4匹(rLmL5+CpG−ODN群)および5匹のマウスのうちの1匹(rLmL3+CpG−ODN群の耳において寄生生物は検出できなかった(図7B)。したがって、組換えタンパク質として発現され、CpG−ODNと組み合わされたL.majorのL3およびL5リボソームタンパク質をワクチン接種されたマウスは、L.braziliensisによる異種チャレンジに対して保護されることが結論付けられた。
【0153】
例4:Leishmania major S6によりもたらされる、Leishmania major感染症に対する部分的保護
5つのマウス群(n=4/群)を、配列番号5および6(50μg)で先に同定されたCpG ODNの存在下で、10μgのS6(配列番号34)、L2(配列番号22)、L7(配列番号24)、L8(配列番号26)およびL16(配列番号28)を用いて独立に免疫化した。対照として、マウスの群を、アジュバントを用いて免疫化し、他の群を、賦形剤(PBS−食塩水)を用いて免疫化した。3用量を2週の間隔で投与した。すべての免疫化は、右のフットパッドに実施した。最終用量の1ヵ月後、マウスを、10の静止期前鞭毛型のL.majorを左フットパッドに皮下注射し、感染させた。真皮の病変の発症を、フットパッドの腫脹を、チャレンジ後8週まで測定することによって評価した(図9A)。S6+CpG ODNをワクチン接種されたマウス由来のフットパッドの腫脹は、対照および他の4種のタンパク質を用いて免疫化されたマウスにおいて観察されたフットパッドの腫脹に対して有意に低かったが、すべての群からのマウスが炎症性病変を発症した。さらに、マウスの流入領域リンパ節(DLN)および脾臓における寄生生物負荷量を分析した。S6+CpG ODNを用いて免疫化された動物は、それぞれ、食塩水およびCpG ODNの群と比較して、脾臓における寄生生物の数が2−logの減少を示した(図9B)。しかし、S6+CpG ODNの群のDLN中に見出される寄生生物負荷量は、対照において観察された寄生生物負荷量と同様であった。このアッセイから、CpG ODNアジュバントの存在下のS6組換えタンパク質を用いたワクチン接種は、BALB/cマウスにおいてL.major感染によるCLに対する部分的保護をもたらす免疫状態の誘導であると結論付けることができる:感染部位における対照より低い炎症性病変および脾臓における対照より低い寄生生物負荷量の存在。他方では、他の4種の抗原(L5、L7、L8およびL16)を用いたワクチン接種では、対照と比較してCLの進行に有意な変化はもたらされなかった。
【0154】
ワクチン接種により誘導された免疫応答を分析するために、S6+CpG ODNを用いたワクチン接種により、マウスにおいて誘導された液性応答および細胞性応答を、アジュバントおよびワクチン希釈剤を用いて免疫化したマウスと比較した。図10は、抗S6特異的IgG2aおよびgG1抗体が、ワクチン接種されたマウスの血清において検出されたので、ワクチン製剤が、S6タンパク質に対するTh1/Th2混合応答を誘発していたことを示す(図10Aを参照されたい)。さらに、ワクチン接種されたマウスから確立された脾臓細胞のインビトロのS6刺激後、IFNガンマが産生されたが、検出可能なIL−4サイトカインの存在が、培養液上清においても観察された(図10Bを参照されたい)。
【0155】
ワクチン接種は、S6タンパク質に対する優勢なTh1応答を誘導したが、タンパク質に対するTh2応答のわずかな刺激もまた観察されたと結論付けることができる(検出可能なレベルのS6特異的IL−4およびS6特異的IgG1抗体)。
【0156】
例5:L3、L5およびS4 Leishmania major組換えタンパク質に基づくワクチン
L3、L5およびS4リボソームタンパク質により誘導される保護をより詳細に分析するために、新たな免疫化−感染実験を実施した。マウスの12の群(n=4/群)が分析に含まれた。すべての場合において、マウスを、皮下に3回(2週間空けて)、右のフットパッドに免疫化した。次の群をアッセイした:
ワクチン賦形剤:食塩水。
ワクチンアジュバント:CpG−ODN。1回当たりの用量:50μgのCpG ODN(25μgCpG−ODN−1[5’−TCAACGTTGA−3’](配列番号5)および25μgのCpG−ODN−2[5’−GCTAGCGTTAGCGT−3’](配列番号6)。
L3(配列番号1)。1回当たりの用量:10μgの組換えタンパク質。
L3+CpG ODN。1回当たりの用量。10μgの組換えタンパク質および50μgのCpG ODN。
L5(配列番号3)。1回当たりの用量:10μgの組換えタンパク質。
L5+CpG ODN。1回当たりの用量。10μgの組換えタンパク質および50μgのCpG ODN。
S4(配列番号32)。1回当たりの用量:10μgの組換えタンパク質。
S4+CpG ODN。1回当たりの用量。10μgの組換えタンパク質および50μgのCpG ODN。
L3+L5。1回当たりの用量:10μgの合計組換えタンパク質;5μgの各タンパク質。
L3+L5+CpG ODN。1回当たりの用量。10μgの合計組換えタンパク質および50μgのCpG ODN。
L3+L5+S4。1回当たりの用量:10μgの合計組換えタンパク質;3.3μgの各タンパク質。
L3+L5+S4+CpG ODN。1回当たりの用量:10μgの合計組換えタンパク質および50μgのCpG ODN。
【0157】
簡潔に言うと、3種の抗原を、CpG ODNの存在下または不在下でアッセイした。さらに、L3+L5およびL3+L5+S4の組み合わせを、CpG ODNの存在下または不在下で分析した。最終用量の1ヵ月後、マウスに、10の静止期前鞭毛型のL.majorを左フットパッドに皮下注射して感染させた。
【0158】
真皮病変の発症を、チャレンジ後6週まで、フットパッドの腫脹を測定することによって評価した。図11Aにおいて、両方の対照群(食塩水およびCpG ODN)およびアジュバントを含まない抗原をワクチン接種された5つの群を示す。対照群とアジュバントの不在下でタンパク質をワクチン接種され5つのマウス群との間で、炎症性病変における差は観察されなかった。図11Bにおいて、両方の対照群(食塩水およびCpG ODN)およびアジュバントと組み合わせた抗原をワクチン接種された5つの群を示す。この場合において、アジュバントの存在下で組換えタンパク質をワクチン接種されたすべてのマウス群は、S4+CpG ODN群を除いて、フットパッドの腫脹の減少を示した。炎症性病変の低下は、L5+CpG ODN、L3+L5+CpG ODNおよびL3+L5+S4+CpG ODNの各群において観察された。
【0159】
すべてのマウス群のDLNおよび脾臓における寄生生物負荷量を、感染後7週に分析した。対照群に含まれるマウスとアジュバントを含まないリボソームタンパク質を用いて免疫化されたマウスとの間に、統計的差異は見出されなかった(図12A)。他方では、リボソームタンパク質+CpG ODNを用いて免疫化されたマウスは、S4+CpG ODN群を除いて、脾臓における寄生生物負荷量の有意な減少を示した(図12B)。膝窩リンパ節中の寄生生物のロード量に関しては、本発明者らは、2種(L3+L5)または3種(L3+L5+S4)のリボソームタンパク質+CpG ODNの組み合わせをワクチン接種された群においてのみ、有意な減少を見出した。L3+CpG ODNおよびL5+CpG ODNをワクチン接種されたマウスもまた、対照より低い寄生生物負荷量を示した。しかし、さまざまな動物間に見出される高度の変動性のため、結果は統計的に有意ではなかった。先のアッセイにおいて、本発明者らは、L3+CpG ODNおよびL5+CpG ODNをワクチン接種されたマウスと、対照との間に統計的差異を見出したので、これらのアッセイは、局所的寄生生物負荷量におけるワクチンの影響を分析するために、より多くの数のマウスを用いて反復されるべきである。
【0160】
個別の抗原またはさまざまな抗原の同時投与に基づくワクチンの使用に関して、本発明者らの結果は、組み合わせから生じるワクチンが、個別の抗原から構成されるワクチンより高度の保護を誘導していることを示す。
【0161】
例6:4種の既に特徴付けられた保護性リボソーム抗原(Leishmania major由来のL3、L5、S4およびS6)を組み合わせる組換え分子の構築のためのクローニング手順の設計
先の結果に基づいて、本発明者らは、Leishmania majorのL3(配列番号1)、L5(配列番号3)、S4(配列番号32)およびS6(配列番号34)タンパク質に基づく新しい組換え産物の調製を計画した。
【0162】
第1に、4種のタンパク質をコードするDNAインサートを、真核生物発現ベクター(pcDNA−3;Stratagene)にクローニングする。Leishmaniaタンパク質を哺乳動物細胞において発現できるこのベクターは、DNAワクチンの試験に用いることができる。第2に、本発明者らは、4種の抗原の異なる組み合わせによるさまざまなキメラタンパク質のクローニング手順を設計した(図13)。遺伝子キメラを、pBluescript(分析プラスミド)に最初にクローニングし、その後、DNAインサートを、2種の異なる発現プラスミド:
pQE30;原核生物発現プラスミド
pcDNA3、真核生物発現プラスミド
にクローニングするものとする。
【0163】
このクローニング戦略は、本発明者らが、E.coliにおいて発現されるDNAワクチンおよび組換えタンパク質と、提案される抗原の組み合わせとの両方を有することを可能にすると思われる。
【0164】
以下のプライマーを使用した:
LmL3 フォワード 5’−CGGGATCCATGTCTCACTGCAAGTTCGAG−3’(配列番号57)
リバース 5’−GCGATATCTCCCTTCTTCGCGGCCTTTGCC−3’(配列番号58)
LmS4 フォワード 5’−GCGATATCGGGATGGCCAAGAAGCACCTCAAG−3’(配列番号59)
リバース 5’−CGGAATTCTCCCTTGCGGGCCCTGCGGG−3’(配列番号60)
LmS6 フォワード 5’−CGGAATTCGGGATGAAGCTCAACATCGCGTAC−3’(配列番号61)
リバース 5’−GCGATATCTCCCTTCTTCTGGAATGCTGCCAC−3’(配列番号62)
LmL5 フォワード 5’−GCGATATCGGGATGTGCACGCTGGCAAATTG3’(配列番号63)
リバース 5’−GGGGTACCGGATCCTTACTTGCCGAGGCGCTCGC−3’(配列番号64)
得られたキメラタンパク質は、配列番号67から成るアミノ酸配列で表される。このキメラタンパク質は、配列番号66から成る核酸分子で表される核酸によってコードされる。
【参考文献】
【0165】
1.Aguilar-Be, I., R. da Silva Zardo, E. Paraguai de Souza, G. P. Borja-Cabrera, M. Rosado-Vallado, M. Mut-Martin, R. Garcia-Miss Mdel, C. B. Palatnik de Sousa, and E. Dumonteil. 2005. Cross-protective efficacy of a prophylactic Leishmania donovani DNA vaccine against visceral and cutaneous murine leishmaniasis. Infect Immun 73:812-9.
2. Anderson, C. F., M. Oukka, V. J. Kuchroo, and D. Sacks. 2007. CD4(+)CD25(-)Foxp3(-) Th1 cells are the source of IL-10-mediated immune suppression in chronic cutaneous leishmaniasis. J Exp Med 204:285-97.
3. Badaro, R., D. Benson, M. C. Eulalio, M. Freire, S. Cunha, E. M. Netto, D. Pedral-Sampaio, C. Madureira, J. M. Burns, R. L. Houghton, J. R. David, and S. G. Reed. 1996. rK39: a cloned antigen of Leishmania chagasi that predicts active visceral leishmaniasis. J Infect Dis 173:758-61.
4. Belkaid, Y., K. F. Hoffmann, S. Mendez, S. Kamhawi, M. C. Udey, T. A. Wynn, and D. L. Sacks. 2001. The role of interleukin (IL)-10 in the persistence of Leishmania major in the skin after healing and the therapeutic potential of anti IL-10 receptor antibody for sterile cure. J Exp Med 194:1497-506.
5. Belkaid, Y., S. Kamhawi, G. Modi, J. Valenzuela, N. Noben-Trauth, E. Rowton, J. Ribeiro, and D. L. Sacks. 1998. Development of a natural model of cutaneous leishmaniasis: powerful effects of vector saliva and saliva preexposure on the long-term outcome of Leishmania major infection in the mouse ear dermis. J Exp Med 188:1941-53.
6. Buffet, P. A., A. Sulahian, Y. J. Garin, N. Nassar, and F. Derouin. 1995. Culture microtitration: a sensitive method for quantifying Leishmania infantum in tissues of infected mice. Antimicrob Agents Chemother 39:2167-8.
7. Campos-Neto, A. 2005. What about Th1/Th2 in cutaneous leishmaniasis vaccine discovery? Braz J Med Biol Res 38:979-84.
8. Coffman, R. L. 1993. Mechanisms of helper T-cell regulation of B-cell activity. Ann N Y Acad Sci 681:25-8.
9. Coler, R. N., and S. G. Reed. 2005. Second-generation vaccines against leishmaniasis. Trends Parasitol 21:244-9.
10. Cordeiro-Da-Silva, A., M. C. Borges, E. Guilvard, and A. Ouaissi. 2001. Dual role of the Leishmania major ribosomal protein S3a homologue in regulation of T- and B-cell activation. Infect Immun 69:6588-96.
11. Chenik, M., H. Louzir, H. Ksontini, A. Dilou, I. Abdmouleh, and K. Dellagi. 2006. Vaccination with the divergent portion of the protein histone H2B of Leishmania protects susceptible BALB/c mice against a virulent challenge with Leishmania major. Vaccine 24:2521-9.
12. Chiaramonte, M. G., M. Hesse, A. W. Cheever, and T. A. Wynn. 2000. CpG oligonucleotides can prophylactically immunize against Th2-mediated schistosome egg-induced pathology by an IL-12-independent mechanism. J Immunol 164:973-85.
13. Garcia-Alonso, M., A. Blanco, D. Reina, F. J. Serrano, C. Alonso, and C. G. Nieto. 1996. Immunopathology of the uveitis in canine leishmaniasis. Parasite Immunol 18:617-23.
14. Garcia-Alonso, M., C. G. Nieto, A. Blanco, J. M. Requena, C. Alonso, and I. Navarrete. 1996. Presence of antibodies in the aqueous humour and cerebrospinal fluid during Leishmania infections in dogs. Pathological features at the central nervous system. Parasite Immunol 18:539-46.
15. Gradoni, L. 2001. An update on antileishmanial vaccine candidates and prospects for a canine Leishmania vaccine. Vet Parasitol 100:87-103.
16. Gramiccia, M., and L. Gradoni. 2005. The current status of zoonotic leishmaniases and approaches to disease control. Int J Parasitol 35:1169-80.
17. Handman, E., A. H. Noormohammadi, J. M. Curtis, T. Baldwin, and A. Sjolander. 2000. Therapy of murine cutaneous leishmaniasis by DNA vaccination. Vaccine 18:3011-7.
18. Herwaldt, B. L. 1999. Leishmaniasis. Lancet 354:1191-9.
19. Iborra, S., M. Soto, J. Carrion, C. Alonso, and J. M. Requena. 2004. Vaccination with a plasmid DNA cocktail encoding the nucleosomal histones of
Leishmania confers protection against murine cutaneous leishmaniosis. Vaccine 22:3865-76.
20. Jaafari, M. R., A. Ghafarian, A. Farrokh-Gisour, A. Samiei, M. T. Kheiri, F. Mahboudi, F. Barkhordari, A. Khamesipour, and W. R. McMaster. 2006. Immune response and protection assay of recombinant major surface glycoprotein of Leishmania (rgp63) reconstituted with liposomes in BALB/c mice. Vaccine 24:5708-17.
21. Lopez, R., R. Lucena, M. Novales, P. J. Ginel, E. Martin, and J. M. Molleda. 1996. Circulating immune complexes and renal function in canine leishmaniasis. Zentralbl Veterinarmed B 43:469-74.
22. Mancianti, F., A. Poli, and A. Bionda. 1989. Analysis of renal immune-deposits in canine leishmaniasis. Preliminary results. Parassitologia 31:213-30.
23. Martins, D. R., S. M. Jeronimo, J. E. Donelson, and M. E. Wilson. 2006.
Leishmania chagasi T-cell antigens identified through a double library screen. Infect Immun 74:6940-8.
24. McMahon-Pratt, D., and J. Alexander. 2004. Does the Leishmania major paradigm of pathogenesis and protection hold for New World cutaneous leishmaniases or the visceral disease? Immunol Rev 201:206-24.
25. Mendez, S., Y. Belkaid, R. A. Seder, and D. Sacks. 2002. Optimization of DNA vaccination against cutaneous leishmaniasis. Vaccine 20:3702-8.
26. Mendez, S., S. Gurunathan, S. Kamhawi, Y. Belkaid, M. A. Moga, Y. A. Skeiky, A. Campos-Neto, S. Reed, R. A. Seder, and D. Sacks. 2001. The potency and durability of DNA- and protein-based vaccines against Leishmania major evaluated using low-dose, intradermal challenge. J Immunol 166:5122-8.
27. Miles, S. A., S. M. Conrad, R. G. Alves, S. M. Jeronimo, and D. M. Mosser. 2005. A role for IgG immune complexes during infection with the intracellular pathogen Leishmania. J Exp Med 201:747-54.
28. Moore, K. W., R. de Waal Malefyt, R. L. Coffman, and A. O'Garra. 2001. Interleukin-10 and the interleukin-10 receptor. Annu Rev Immunol 19:683-765.
29. Mougneau, E., F. Altare, A. E. Wakil, S. Zheng, T. Coppola, Z. E. Wang, R. Waldmann, R. M. Locksley, and N. Glaichenhaus. 1995. Expression cloning of a protective Leishmania antigen. Science 268:563-6.
30. Nieto, C. G., R. Barrera, M. A. Habela, I. Navarrete, C. Molina, A. Jimenez, and J. L. Serrera. 1992. Changes in the plasma concentrations of lipids and lipoprotein fractions in dogs infected with Leishmania infantum. Vet Parasitol 44:175-82.
31. Nieto, C. G., I. Navarrete, M. A. Habela, F. Serrano, and E. Redondo. 1992. Pathological changes in kidneys of dogs with natural Leishmania infection. Vet Parasitol 45:33-47.
32. Noben-Trauth, N., R. Lira, H. Nagase, W. E. Paul, and D. L. Sacks. 2003. The relative contribution of IL-4 receptor signaling and IL-10 to susceptibility to Leishmania major. J Immunol 170:5152-8.
33. Pateraki, E., R. Portocala, H. Labrousse, and J. L. Guesdon. 1983. Antiactin and antitubulin antibodies in canine visceral leishmaniasis. Infect Immun 42:496-500.
34. Peters, N., and D. Sacks. 2006. Immune privilege in sites of chronic infection: Leishmania and regulatory T cells. Immunol Rev 213:159-79.
35. Pollock, K. G., K. S. McNeil, J. C. Mottram, R. E. Lyons, J. M. Brewer, P. Scott, G. H. Coombs, and J. Alexander. 2003. The Leishmania mexicana cysteine protease, CPB2.8, induces potent Th2 responses. J Immunol 170:1746-53.
36. Probst, P., E. Stromberg, H. W. Ghalib, M. Mozel, R. Badaro, S. G. Reed, and J. R. Webb. 2001. Identification and characterization of T cell-stimulating antigens from Leishmania by CD4 T cell expression cloning. J Immunol 166:498-505.
37. Rafati, S., A. Nakhaee, T. Taheri, A. Ghashghaii, A. H. Salmanian, M. Jimenez, M. Mohebali, S. Masina, and N. Fasel. 2003. Expression of cysteine proteinase type I and II of Leishmania infantum and their recognition by sera during canine and human visceral leishmaniasis. Exp Parasitol 103:143-51.
38. Rafati, S., A. H. Salmanian, T. Taheri, M. Vafa, and N. Fasel. 2001. A protective cocktail vaccine against murine cutaneous leishmaniasis with DNA encoding cysteine proteinases of Leishmania major. Vaccine 19:3369-75.
39. Requena, J. M., C. Alonso, and M. Soto. 2000. Evolutionarily conserved proteins as prominent immunogens during Leishmania infections. Parasitol Today 16:246-50.
40. Rhee, E. G., S. Mendez, J. A. Shah, C. Y. Wu, J. R. Kirman, T. N. Turon, D. F. Davey, H. Davis, D. M. Klinman, R. N. Coler, D. L. Sacks, and R. A. Seder. 2002. Vaccination with heat-killed Leishmania antigen or recombinant leishmanial protein and CpG oligodeoxynucleotides induces long-term memory CD4+ and CD8+ T cell responses and protection against Leishmania major infection. J Exp Med 195:1565-73.
41. Roberts, M. T., C. B. Stober, A. N. McKenzie, and J. M. Blackwell. 2005. Interleukin-4 (IL-4) and IL-10 collude in vaccine failure for novel exacerbatory antigens in murine Leishmania major infection. Infect Immun 73:7620-8.
42. Rodriguez-Gabriel, M. A., M. Remacha, and J. P. Ballesta. 2000. The RNA interacting domain but not the protein interacting domain is highly conserved in ribosomal protein P0. J Biol Chem 275:2130-6.
43. Rosa, R., C. Marques, O. R. Rodrigues, and G. M. Santos-Gomes. 2007. Immunization with Leishmania infantum released proteins confers partial protection against parasite infection with a predominant Th1 specific immune response. Vaccine 25:4525-32.
44. Santos-Gomes, G. M.-, R. Rosa, C. Leandro, S. Cortes, P. Romao, and H. Silveira. 2002. Cytokine expression during the outcome of canine experimental infection by Leishmania infantum. Vet Immunol Immunopathol 88:21-30.
45. Santos, W. R., V. M. de Lima, E. P. de Souza, R. R. Bernardo, M. Palatnik, and C. B. Palatnik de Sousa. 2002. Saponins, IL12 and BCG adjuvant in the FML-vaccine formulation against murine visceral leishmaniasis. Vaccine 21:30-43.
46. Saraiva, E. M., A. de Figueiredo Barbosa, F. N. Santos, G. P. Borja-Cabrera, D. Nico, L. O. Souza, C. de Oliveira Mendes-Aguiar, E. P. de Souza, P. Fampa, L. E. Parra, I. Menz, J. G. Dias, Jr., S. M. de Oliveira, and C. B. Palatnik-de-Sousa. 2006. The FML-vaccine (Leishmune) against canine visceral leishmaniasis: a transmission blocking vaccine. Vaccine 24:2423-31.
47. Serezani, C. H., A. R. Franco, M. Wajc, J. K. Umada Yokoyama-Yasunaka, G. Wunderlich, M. M. Borges, and S. R. Uliana. 2002. Evaluation of the murine immune response to Leishmania meta 1 antigen delivered as recombinant protein or DNA vaccine. Vaccine 20:3755-63.
48. Skeiky, Y. A., J. A. Guderian, D. R. Benson, O. Bacelar, E. M. Carvalho, M. Kubin, R. Badaro, G. Trinchieri, and S. G. Reed. 1995. A recombinant Leishmania antigen that stimulates human peripheral blood mononuclear cells to express a Th1-type cytokine profile and to produce interleukin 12. J Exp Med 181:1527-37.
49. Stager, S., D. F. Smith, and P. M. Kaye. 2000. Immunization with a recombinant stage-regulated surface protein from Leishmania donovani induces protection against visceral leishmaniasis. J Immunol 165:7064-71.
50. Tonui, W. K., J. S. Mejia, L. Hochberg, M. L. Mbow, J. R. Ryan, A. S. Chan, S. K. Martin, and R. G. Titus. 2004. Immunization with Leishmania major exogenous antigens protects susceptible BALB/c mice against challenge infection with L. major. Infect Immun 72:5654-61.
51. Webb, J. R., A. Campos-Neto, Y. A. Skeiky, and S. G. Reed. 1997. Molecular characterization of the heat-inducible LmSTI1 protein of Leishmania major. Mol Biochem Parasitol 89:179-93.
52. Webb, J. R., D. Kaufmann, A. Campos-Neto, and S. G. Reed. 1996. Molecular cloning of a novel protein antigen of Leishmania major that elicits a potent immune response in experimental murine leishmaniasis. J Immunol 157:5034-41.
53. Zimmermann, S., O. Egeter, S. Hausmann, G. B. Lipford, M. Rocken, H. Wagner, and K. Heeg. 1998. CpG oligodeoxynucleotides trigger protective and curative Th1 responses in lethal murine leishmaniasis. J Immunol 160:3627-30.
54. S. Iborra, M. Soto, J. Carrion, A. Nieto, E. Fernandez, C. Alonso, J.M. Requena, The Leishmania infantum acidic ribosomal protein P0 administered as a DNA vaccine confers protective immunity to Leishmania major infection in BALB/c mice, Infect Immun 71 (2003) 6562-6572.
55. S. Iborra, N. Parody, D.R. Abanades, P. Bonay, D. Prates, F.O. Novais, M. Barral-Netto, C. Alonso, M. Soto, Vaccination with the Leishmania major ribosomal proteins plus CpG oligodeoxynucleotides induces protection against experimental cutaneous leishmaniasis in mice, Microbes Infect 10 (2008) 1133-1141.
56. W.H. Mager, R.J. Planta, J.G. Ballesta, J.C. Lee, K. Mizuta, K. Suzuki, J.R. Warner, J. Woolford, A new nomenclature for the cytoplasmic ribosomal proteins of Saccharomyces cerevisiae, Nucleic acids research 25 (1997) 4872-4875.
57. P.Y. Shi, N. Maizels, A.M. Weiner, Recovery of soluble, active recombinant protein from inclusion bodies, BioTechniques 23 (1997) 1036-1038.
58. N. Santarem, R. Silvestre, J. Tavares, M. Silva, S. Cabral, J. Maciel, A. Cordeiro-da-Silva, Immune response regulation by leishmania secreted and nonsecreted antigens, J Biomed Biotechnol 2007 (2007) 85154.
59. Boarino, A., A. Scalone, L. Gradoni, E. Ferroglio, F. Vitale, R. Zanatta, M. G. Giuffrida, and S. Rosati. 2005. Development of recombinant chimeric antigen expressing immunodominant B epitopes of Leishmania infantum for serodiagnosis of visceral leishmaniasis. Clin Diagn Lab Immunol 12:647-53.
60. Porrozzi, R., M. V. Santos da Costa, A. Teva, A. Falqueto, A. L. Ferreira, C. D. dos Santos, A. P. Fernandes, R. T. Gazzinelli, A. Campos-Neto, and G. Grimaldi, Jr. 2007. Comparative evaluation of enzyme-linked immunosorbent assays based on crude and recombinant leishmanial antigens for serodiagnosis of symptomatic and asymptomatic Leishmania infantum visceral infections in dogs. Clin Vaccine Immunol 14:544-8.
61. Soto, M., J. M. Requena, L. Quijada, and C. Alonso. 1998. Multicomponent chimeric antigen for serodiagnosis of canine visceral leishmaniasis. J Clin Microbiol 36:58-63.
62. Melby P.C.G.B., Ogden H.A., Flores W., Zhao C., Geldmacher, N.M., Biediger S.K., Ahuja, J., Uranga and M. Melendez (2000), Identification of vaccine candidates for experimental visceral leishmaniasis by immunization with sequential fractions of a cDNA library. Infect. Immun., 68: 5595-5602.
63. Stober C.B.U.G., Lange M.T., Roberts B, Gilmartin R., Francis R., Almeida C.S., Peacok S., McCann and J.M. Blackwell, (2006), From genome to vaccines for leishmaniasis: screening 100 novel vaccine candidates against murine Leishmaniasis major infection. Vaccine., 24: 2602-2616.
64. Aebischer T., et al, (2000) Infection and Immunity., 68: 1328-1336.
65. Poot J et al, (2009), Vaccine, 27: 4439-4446.
66. Ferreira J.H. et al, (2008), Vaccine, 26: 67-685.
67. Buckanovich R.J., et al, (1994), Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91:4892.
68. Liu N., et al (2003), Nature Immunology, 687-693).
69. Bertholet S, Goto Y, Carter L, Bhatia A, Howard RF, Carter D, Coler RN, Vedvick TS, Reed SG.Vaccine. 2009 Nov 23;27(50):7036-45.
70. S. Iborra, J. Carrion, C. Anderson, C. Alonso, D. Sacks, M. Soto, Vaccination with the Leishmania infantum acidic ribosomal P0 protein plus CpG oligodeoxynucleotides induces protection against cutaneous leishmaniasis in C57BL/6 mice but does not prevent progressive disease in BALB/c mice, Infect Immun 73 (2005) 5842-5852
71. M. Soto, J.M. Requena, L. Quijada, M.J. Perez, C.G. Nieto, F. Guzman, M.E. Patarroyo, C. Alonso, Antigenicity of the Leishmania infantum histones H2B and H4 during canine viscerocutaneous leishmaniasis, Clin Exp Immunol 115 (1999) 342-349.
72. T.R. de Moura, F.O. Novais, F. Oliveira, J. Clarencio, A. Noronha, A. Barral, C. Brodskyn, C.I. de Oliveira, Toward a novel experimental model of infection to study American cutaneous leishmaniasis caused by Leishmania braziliensis, Infect Immun 73 (2005) 5827-5834.
73. S. Iborra, J. Carrion, C. Anderson, C. Alonso, D. Sacks, M. Soto, Vaccination with the Leishmania infantum acidic ribosomal P0 protein plus CpG oligodeoxynucleotides induces protection against cutaneous leishmaniasis in C57BL/6 mice but does not prevent progressive disease in BALB/c mice, Infect Immun 73 (2005) 5842-5852.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における寄生虫症を治療する、または予防する、または遅らせるための、L5および/またはL3供給源の使用。
【請求項2】
L3供給源が、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列の同一性または類似性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、および/または配列番号2と少なくとも60%の同一性を有するヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドであり、且つ、L5供給源が、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列の同一性または類似性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、および/または配列番号4と少なくとも60%の同一性を有するヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドである請求項1に記載の使用。
【請求項3】
S4および/またはS6供給源がL3および/またはL5供給源と併用される請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
対象における寄生虫症を治療する、または予防する、または遅らせるためのS6供給源の使用。
【請求項5】
アジュバントが存在する請求項1から4の何れか1項に記載の使用。
【請求項6】
前記L3および/またはL5および/またはS4および/またはS6供給源はワクチンである請求項1から5の何れか1項に記載の使用。
【請求項7】
前記L3および/またはL5および/またはS4および/またはS6供給源は、タンパク質、タンパク質断片、ペプチド、核酸である請求項1から6の何れか1項に記載の使用。
【請求項8】
前記アジュバントがTh促進アジュバントである請求項5から7の何れか1項に記載の使用。
【請求項9】
前記Th促進アジュバントがCpG ODNである請求項8に記載の使用。
【請求項10】
L3および/またはL5供給源を含む組成物。
【請求項11】
S4および/またはS6供給源が前記組成物に含まれている請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
S6供給源を含むか、またはS6供給源から成る組成物。
【請求項13】
アジュバントをさらに含む請求項10から12の何れか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記アジュバントがTh促進アジュバントである請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記Th促進アジュバントがCpG ODNである請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
薬学的に許容されるアジュバントおよび/または担体をさらに含む請求項10から15の何れか1項に記載の組成物。
【請求項17】
薬剤として使用するための請求項10から16の何れか1項に記載の組成物。
【請求項18】
前記薬剤がワクチンである請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
対象における寄生虫症をインビトロで診断するためのL3および/またはL5供給源の使用。
【請求項20】
S4および/またはS6供給源がさらに使用される請求項19に記載の使用。
【請求項21】
対象における寄生虫症をインビトロで診断するためのS6供給源の使用。
【請求項22】
前記L3および/またはL5および/またはS4および/またはS6供給源がリーシュマニア(Leishmania)種から得られる請求項1から9の何れか1項または請求項19から21の何れか1項に記載の使用。
【請求項23】
前記リーシュマニア種は、Leishmania major、Leishmania infantum、Leishmania braziliensisまたはLeishmania mexicanaである請求項22に記載の使用。
【請求項24】
前記寄生虫症はリーシュマニア症またはマラリアである請求項1から9の何れか1項または請求項19から23の何れか1項に記載の使用。
【請求項25】
前記寄生虫症は、リーシュマニアまたはマラリア原虫(Plasmodium)種によって引き起こされる請求項1から9の何れか1項または請求項19から24の何れか1項に記載の使用。
【請求項26】
前記寄生虫症は、前記L3および/またはL5および/またはS4および/またはS6供給源の由来となる種とは異なる種によって引き起こされる請求項1から9の何れか1項または請求項19から25の何れか1項に記載の使用。
【請求項27】
L3および/またはL5の供給源を使用して対象における寄生虫症を診断するための方法であって、前記対象から得た試料中に、前記供給源を認識する抗体が存在するかどうかを決定することを含む方法。
【請求項28】
S4および/またはS6供給源がさらに使用される請求項27に記載の方法。
【請求項29】
S6の供給源を使用して対象における寄生虫症を診断するための方法であって、前記対象から得た試料中に前記供給源を認識する抗体が存在するかどうかを決定することを含む方法。
【請求項30】
対象における寄生虫症を診断するためのアッセイデバイスであって、L3および/またはL5供給源を含むデバイス。
【請求項31】
S4および/またはS6供給源がさらにその中に存在する、請求項30に記載のアッセイデバイス。
【請求項32】
対象における寄生虫症を診断するためのアッセイデバイスであって、S6供給源を含むか、またはS6供給源から成るデバイス。
【請求項33】
前記アッセイはELISAである、請求項30から32の何れか1項に記載のアッセイ。

【図1】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図2c】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図3c】
image rotate

【図3d】
image rotate

【図3e】
image rotate

【図3f】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図5c】
image rotate

【図6a】
image rotate

【図6b】
image rotate

【図6c】
image rotate

【図7a】
image rotate

【図7b】
image rotate

【図8a】
image rotate

【図8b】
image rotate

【図9a】
image rotate

【図9b】
image rotate

【図10a】
image rotate

【図10b】
image rotate

【図11a】
image rotate

【図11b】
image rotate

【図12a】
image rotate

【図12b】
image rotate

【図13】
image rotate


【公表番号】特表2013−510823(P2013−510823A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538346(P2012−538346)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【国際出願番号】PCT/EP2010/067380
【国際公開番号】WO2011/058137
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(512011129)ラボラトリオス・エルイーティーアイ・エス.エル. (2)
【氏名又は名称原語表記】LABORARTORIOS LETI, S.L.
【Fターム(参考)】