対立遺伝子増幅バイアス
核酸解析の方法を提供する。例示の方法では、対立遺伝子増幅バイアスを使用して、低い対立遺伝子画分で存在する標的核酸を選好的に増幅する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願番号61/112,495及び61/117,371に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
ヒトゲノムプロジェクトは、ヒトDNAのほとんどの領域を配列決定することに成功した。疾患に関連した遺伝子及び配列変化を同定する作業が速いペースで進行している。連鎖試験を使用して単純な配列反復又は一塩基多型(SNP)のような遺伝子マーカーと表現型を関連付けて、候補遺伝子が同定されている。それで、ミスセンス、フレームシフト、又はスプライシング変異を引き起こす、SNP、挿入、及び欠失が含まれる配列変化を使用して、原因となる突然変異の遺伝子及び範囲が特定される場合がある。
【0003】
しかしながら、遺伝子の詳細が分かったときでも、大抵はDNAを解析する方法が高価で複雑であるために、この知識を常套的な医療行為に使用することは難しい。費用が著しく下がって、この方法が劇的に単純化されれば、DNA解析は、有効な疾患検出とより良い治療のために、日常の臨床実践における使用に利用可能になることが期待される。理想的なDNA解析は、迅速、単純で、安価である。
【0004】
疾患が限られた数の突然変異により引き起こされるとき、又はごく少数の配列変化が疾患症例の大きな比率を構成するときは、直接的な遺伝子型決定が実現可能である。従来の方法は、典型的なPCR産物の制限酵素消化から閉管蛍光法に及ぶ。DNA解析の閉管法は、実施するのが簡単であり得る。一度PCRを開始すれば、さらなる試薬の追加も分離も必要でない。しかしながら、ある対立遺伝子が少量で存在するとき、その対立遺伝子を検出することは、困難であり得る。
【0005】
現在、配列決定は、配列変異を同定するための黄金律である。たとえコストが減少しつつあるとしても、配列決定は、依然として複雑な方法であって、特定の遺伝子診断や薬理遺伝学へ応用されるときには、迅速でも、単純でも、安価でもない。標準的な配列決定には、7つの工程:1)PCRによる増幅、2)PCR産物の精製(clean up)、3)サイクル配列決定試薬の添加、4)ジデオキシ終結のためのサイクル配列決定、5)終結産物の精製、6)電気泳動による分離、及び7)データ解析が求められる。この複雑性は自動化することができて、ある配列決定センターでは、すでに自動化されているが、配列決定は、依然として、本発明の方法よりずっと複雑である。さらに、大量又は多数の遺伝子を解析するときは、配列決定した産物の90%以上が正常と帰着されるものである。その上、現行の配列決定法では、特に対立遺伝子が20%未満の対立遺伝子画分で存在しているとき、少量の対立遺伝子コピーを同定することができない。これらの少量コピー対立遺伝子の存在を同定することは、いくつかの状況において(具体的には、腫瘍試料や血液のような末梢体液におけるある種の癌遺伝子の突然変異又は変化の存在を同定するときに)重要である。このような対立遺伝子の存在又は非存在は(具体的には、一般的な体細胞突然変異(p53、EGFR、BRAF)の検出/確定と標準療法が禁忌となる突然変異体の細菌感染症(例、マラリア)の早期同定を伴う)、治療プロトコールの選択にとって特に重要であり得る。優勢的に野生型のバックグラウンドに対して低レベルの突然変異対立遺伝子が見出され得る他の例は、ミトコンドリアDNAと母胎循環内に存在する胎児DNAにおいてである。加えて、低レベルの後成的な突然変異の検出が望まれている。例えば、BRCA1プロモーターのメチル化が1〜10%で乳癌表現型と関連することが最近見出された(Snell et. al, 2008, Breast Cancer Research)。
【0006】
試料中の少数の対立遺伝子及び突然変異の比率を濃縮するためのPCRベースの技術が知られている。突然変異の遺伝子型が未知であるときは、COLD-PCRを使用することができる(Li J, et al., Nat Med 2008; 14:579-84)。この技術により、野生型に対して1:100の比までの突然変異対立遺伝子を検出することができる。しかしながら、それは非特異的であって、生じるあらゆる変異体を検出するので、その産物を同定するには、追加の分析が必要である。既知のSNPを濃縮するのに、最も一般的な技術には、ARMS(Newton CR, et al., Nucleic Acids Res 1989; 17:2503-16)、PNA媒介性PCR(Nielsen PE, et al, Science 1991 ;254: 1497-500; Dabritz J, et al., Br J Cancer 2005; 92: 405-12)、LNA媒介性WTB-PCR(Dominguez PL, Kolodney MS.「臨床標本より少数の単一ヌクレオチド突然変異を検出するための野生型ブロッキングポリメラーゼ連鎖反応(Wild-type blocking polymerase chain reaction for detection of single nucleotide minority mutations from clinical specimens)」Oncogene 2005; 24: 6830-4)、MAMA-PCR(Cha RS, et al., PCR Methods Appl 1992; 2: 14-20)、TaqMAMA(Li B, et al., Genomics 2004; 83: 311-20; Easterday WR, et al., Biotechniques 2005; 38: 731-5)、及びSCORPION(登録商標)プライマー(Whitcombe D, et al., Nat Biotechnol 1999; 17: 804-7)がある。これらの方法は、定量化サイクルにおける差(ΔCq)に注目して、対立遺伝子特異的PCRによって突然変異を検出して、野生型に対して1:1000の比の突然変異対立遺伝子を検出することができる。
【0007】
PCRアンプリコンをヘテロ接合配列変異体について走査する均質法として、高分割融解(high resolution melting)が導入された。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,387,887号及び7,582,429号を参照のこと。dsDNA飽和色素の使用に基づいて、高分割融解は、400 bpまでのアンプリコンにおいてSNPと挿入/欠失を99%より高い感度で検出することが可能である。2003年におけるその導入以来、少量のアンプリコン又は非標識プローブ(LUNAPROBESTM)を使用する既知の配列変異体の遺伝子型決定を含めて、高分割融解の追加の応用が開発されてきた。非標識プローブは、PCRの間での伸長を妨げるために、3’端でブロックされて、DNA飽和色素、具体的には、LCGREEN(登録商標)Plus(Idaho Technology,ユタ州ソルトレークシティ)を使用して、プローブ融解温度(Tm)に基づいて、対立遺伝子の遺伝子型を識別することができる。このプローブ配列は、いずれか一方の対立遺伝子へ適合するように設計し得て、完全適合と不適合プローブの間のΔTmを最大化することに基づく。非標識プローブの使用に関するさらなる情報については、すでに参照により組み込んだ、米国特許第7,387,887号を参照のこと。
【0008】
プローブそのものを使用して、低画分の対立遺伝子の増幅を偏らせ得ることが見出された。以下の実施例1〜5では、非標識プローブを使用して提示する。実施例6〜8では、スナップバック(Snapback)プライマーを使用して提示する。スナップバックプライマーでは、プライマーは、標的核酸の遺伝子座に特異的なプローブエレメントと、鋳型特異的プライマー領域を含み、ここでプローブエレメントは、鋳型特異的プライマー領域の5’である。増幅後、プローブエレメントは、その遺伝子座へハイブリダイズして分子内反応においてヘアピンを形成しても、その相補鎖へ分子間反応においてハイブリダイズしてもよい。このように、スナップバックプライマーは、プローブエレメントを、プライマーと同じオリゴヌクレオチドへ取り込む。スナップバックプライマーは、標識してよいが、それらはしばしば、非標識プローブと同様のやり方で、非標識で使用される。スナップバックプライマーの詳細な考察については、その全体が本明細書に組み込まれる、WO2008/109823(PCT/US08/56217)を参照のこと。
【0009】
本発明では非標識プローブと非標識スナップバックプライマーを使用するが、プローブはまた、標識されてもよいと理解される。非標識プローブを使用するとき、それらは、dsDNA結合色素より十分な蛍光シグナルを産生するために、他のプローブ(しばしば、25〜30 bp)より幾分大きい傾向があり、この長さの故に、それらは、不適合な対立遺伝子の増幅を選好的に偏らせるのに十分適している。プローブ(非標識プローブ、スナップバックプローブエレメント、又は他のプローブのいずれであれ)は、より高い画分の対立遺伝子に適合して、「対立遺伝子増幅バイアス」は、PCRのアニーリング温度(又は、使用されるならば、伸長温度)を完全適合のTmと不適合なプローブのTm未満のどこかの間のどこか(具体的には、2つの対立遺伝子の融解ピークがどのくらい重なるかに依存して、より低画分の対立遺伝子のTm、又は2つのTm間のほぼ中間)に設定することによって、経験的に決定される。この中間Tmアニーリング温度では、完全適合のプローブは、その標的(しばしば、野生型対立遺伝子)へ結合していて、増幅を遅らせるほどに十分安定している。1つの態様では、標的アニーリング温度の厳密性を支援して、野生型対立遺伝子の増幅を妨げるために、LIGHTSCANNER(登録商標)32(「LS32」、Idaho Technology 社)で実施する迅速サイクルPCRを使用したが、他の機器も好適であり得ると理解される。プローブ消化を回避して、より低いTmの対立遺伝子の増幅に偏らせることを促進するのに、エクソ-ヌクレアーゼも使用してよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO2008/109823
【特許文献2】米国特許第7,387,887号
【特許文献3】米国特許第7,582,429号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Snell et. al, 2008, Breast Cancer Research
【非特許文献2】Li J, et al., Nat Med 2008; 14:579-84
【非特許文献3】Newton CR, et al., Nucleic Acids Res 1989; 17:2503-16
【非特許文献4】Nielsen PE, et al, Science 1991 ;254: 1497-500
【非特許文献5】Dabritz J, et al., Br J Cancer 2005; 92: 405-12
【非特許文献6】Dominguez PL, Kolodney MS. Oncogene 2005; 24: 6830-4
【非特許文献7】Cha RS, et al., PCR Methods Appl 1992; 2: 14-20
【非特許文献8】Li B, et al., Genomics 2004; 83: 311-20
【非特許文献9】Easterday WR, et al., Biotechniques 2005; 38: 731-5
【非特許文献10】Whitcombe D, et al., Nat Biotechnol 1999; 17: 804-7
【発明の概要】
【0012】
従って、本明細書において対立遺伝子増幅バイアスについて記載する。
本発明の1つの側面では、生体試料の増幅及び対立遺伝子検出のための方法を提供し、ここで生体試料は、標的核酸の第一対立遺伝子及び第二対立遺伝子を含み、第一対立遺伝子は、第二対立遺伝子より高い濃度で存在し、該方法は、標的核酸の増幅のために構成される耐熱性ポリメラーゼ、プローブ、及びプライマー対を生体混合物へ加える工程(ここで、プローブは、標的核酸へハイブリダイズするように構成されて、プローブは、第一対立遺伝子へハイブリダイズするときに第一Tmを有して、第二対立遺伝子へハイブリダイズするときに第二Tmを有し、ここで第一Tmは、第二Tmより高い)、生体混合物中の標的核酸を変性温度とアニーリング温度の間のサーマルサイクリングによって増幅する工程(ここでアニーリング温度は、第一Tm未満である)、及び第一対立遺伝子と第二対立遺伝子を検出する工程を含んでなる。
【0013】
例示の態様において、そのサイクリングは、少なくとも4℃/秒、そしてより具体的には、少なくとも6℃/秒のランプ速度で実施する。他の例示の態様において、第一対立遺伝子と第二対立遺伝子は、融解曲線解析を使用して検出される。1つの具体例において、融解曲線解析には、飽和色素と非標識プローブを使用する高分割融解が含まれる。
【0014】
別の例示の方法では、スナップバックプライマーを使用する、生体試料の増幅及び対立遺伝子検出を提供し、ここで生体試料は、標的核酸の第一対立遺伝子及び第二対立遺伝子を含み、第一対立遺伝子は、第二対立遺伝子より高い濃度で存在し、該方法は、耐熱性ポリメラーゼ、第一プライマー、及び第二プライマーを生体試料へ加える工程(このプライマーは、標的核酸を増幅するように構成されて、ここで第一プライマーは、標的核酸の遺伝子座に特異的なプローブエレメントと鋳型特異的プライマー領域を含み、ここでプローブエレメントは、鋳型特異的プライマー領域の5’であり、ここでプローブエレメントは、標的核酸へハイブリダイズするように構成されて、プローブエレメントは、第一対立遺伝子へハイブリダイズするときに第一Tmを有して、第二対立遺伝子へハイブリダイズするときに第二Tmを有し、ここで第一Tmは、第二Tmより高い)、生体混合物中の標的核酸を変性温度とアニーリング温度の間のサーマルサイクリングによって増幅する工程(ここでアニーリング温度は、第一Tm未満である)、及び第一対立遺伝子と第二対立遺伝子を検出する工程を含んでなる。
【0015】
なお別の態様では、本明細書に記載の方法のためのキットを提供する。このキットは、プライマー、追加のプローブエレメント(スナップバックプライマーの一部として、又は別のプローブとして)を含み、ポリメラーゼ、dNTP、蛍光色素、及びPCR緩衝液の1以上を含有してよい。
【0016】
なお別の態様では、対立遺伝子画分を決定するための方法を提供する。
本発明の追加の特徴は、現在わかっているように本発明を行う最良の形式を具体化する好ましい態様についての以下の詳細な記載を考察すれば、当業者に明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、マラリア P. falciparum CRT遺伝子の非標識プローブ遺伝子型決定アッセイ(同一3検体で)からの結果を示す。(−−−−)試料は、野生型(3D7)であり、(------)試料は、突然変異体(7G8)であり、そして(-・-・-・-)は、3種の異なる突然変異体の試料(FCR3)を示す。
【図2】図2は、非標識プローブを使用する、正規化した微分ピークを示す。野生型対立遺伝子は、62℃のTmを有し、突然変異対立遺伝子は、54℃のTmを有する。58℃のアニーリング温度を使用して、50-50混合試料中の突然変異対立遺伝子の増幅を偏らせた。試料は、以下の通りであった:(-・・-・・-)=100%突然変異体、(------)=50%突然変異体、(―――――)=25%突然変異体、(――-――-)=12.5%突然変異体、(-・-・-)=6.25%突然変異体、(――--――)=3.13%突然変異体、(−−−−)=1.5%突然変異体、(-・-・-・-)=0.75%突然変異体。この増幅バイアスにより、突然変異対立遺伝子の約10倍でのより大きな分割と、0.7〜1.5%までの感度が可能になる。
【図3】図3は、図2に使用したのと同じマラリア標的において遅い(1.5〜2.0℃/秒)サーマルサイクラーと8つの異なるアニーリング温度を使用して、対立遺伝子増幅バイアスを不成功に試みた結果を示す(野生型3D7株(----)、突然変異体の7G8株(-・-・-・-)、及び対立遺伝子比が等しいヘテロ接合体(------))。
【図4a】図4aは、8つの異なるアニーリング温度とエクソ+ポリメラーゼ(図4a)を使用する対立遺伝子増幅バイアスの不成功の結果と成功の結果を示す(野生型(----)、突然変異体(-・-・-・-)、及び対立遺伝子比が等しいヘテロ接合体((------)変化するアニーリング温度で、そして(-・・-・・-)69℃のアニーリング温度で))。
【図4b】図4bは、8つの異なるアニーリング温度とエクソ-ポリメラーゼ(図4b)を使用する対立遺伝子増幅バイアスの不成功の結果と成功の結果を示す(野生型(----)、突然変異体(-・-・-・-)、及び対立遺伝子比が等しいヘテロ接合体((------)変化するアニーリング温度で、そして(-・・-・・-)69℃のアニーリング温度で))。
【図5a】図5aは、遅い(1.5〜2.0℃/秒)サーマルサイクラーとアニーリング温度の勾配を使用する、PAH遺伝子のエクソン11の対立遺伝子増幅バイアス法の結果を示す(高いTmのホモ接合体(-・-・-・-)、ヘテロ接合体(50:50混合)(------)、低いTmのホモ接合体(----)):図5aは、全体の微分融解曲線を示す。
【図5b】図5bは、遅い(1.5〜2.0℃/秒)サーマルサイクラーとアニーリング温度の勾配を使用する、PAH遺伝子のエクソン11の対立遺伝子増幅バイアス法の結果を示す(高いTmのホモ接合体(-・-・-・-)、ヘテロ接合体(50:50混合)(------)、低いTmのホモ接合体(----)):図5bは、正規化したプローブ融解ピークを示す。
【図5c】図5cは、遅い(1.5〜2.0℃/秒)サーマルサイクラーとアニーリング温度の勾配を使用する、PAH遺伝子のエクソン11の対立遺伝子増幅バイアス法の結果を示す(高いTmのホモ接合体(-・-・-・-)、ヘテロ接合体(50:50混合)(------)、低いTmのホモ接合体(----)):図5cは、アニーリング温度だけに基づいて、差示的なプローブ:標的安定性には基づかない変動を表示する増幅曲線を示す。
【図6a】図6aは、60℃のアニーリング温度での速いサイクリング機器でのPAH遺伝子のエクソン11の増幅を示す(高いTmのホモ接合体(-・-・-・-)、ヘテロ接合体(50:50混合)(------)、低いTmのホモ接合体(----)):図6aは、全体の微分融解曲線を示す。
【図6b】図6bは、60℃のアニーリング温度での速いサイクリング機器でのPAH遺伝子のエクソン11の増幅を示す(高いTmのホモ接合体(-・-・-・-)、ヘテロ接合体(50:50混合)(------)、低いTmのホモ接合体(----)):図6bは、正規化したプローブ融解ピークを示す。
【図6c】図6cは、60℃のアニーリング温度での速いサイクリング機器でのPAH遺伝子のエクソン11の増幅を示す(高いTmのホモ接合体(-・-・-・-)、ヘテロ接合体(50:50混合)(------)、低いTmのホモ接合体(----)):図6cは、増幅曲線を示す。
【図7a】図7aは、62℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図7b】図7bは、62℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図7c】図7cは、62℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図8a】図8aは、64℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図8b】図8bは、64℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図8c】図8cは、64℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図9a】図9aは、65℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図9b】図9bは、65℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図9c】図9cは、65℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図10a】図10aは、67℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図10b】図10bは、67℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図10c】図10cは、67℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図11a】図11aは、68℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図11b】図11bは、68℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図11c】図11cは、68℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図12a】図12aは、69℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図12b】図12bは、69℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図12c】図12cは、69℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図13a】図13aは、70℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図13b】図13bは、70℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図13c】図13cは、70℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図14A】図14Aは、異なる変性温度を使用する、法医学的なSNP rs 1490413A/Gアンプリコンの融解を示す((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図14B】図14Bは、異なる変性温度を使用する、法医学的なSNP rs 1490413A/Gアンプリコンの融解を示す((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図14C】図14Cは、異なる変性温度を使用する、法医学的なSNP rs 1490413A/Gアンプリコンの融解を示す((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図14D】図14Dは、異なる変性温度を使用する、法医学的なSNP rs 1490413A/Gアンプリコンの融解を示す((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図15A】図15Aは、異なるアニーリング温度を使用すること以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図15B】図15Bは、異なるアニーリング温度を使用すること以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図15C】図15Cは、異なるアニーリング温度を使用すること以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図15D】図15Dは、異なるアニーリング温度を使用すること以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図16A】図16Aは、異なる伸長温度を使用すること以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図16B】図16Bは、異なる伸長温度を使用すること以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図16C】図16Cは、異なる伸長温度を使用すること以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図16D】図16Dは、異なる伸長温度を使用すること以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図17A】図17Aは、異なる伸長時間を使用すること以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図17B】図17Bは、異なる伸長時間を使用すること以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図18A】図18Aは、異なるマグネシウム濃度を使用すること以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図18B】図18Bは、異なるマグネシウム濃度を使用すること以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図18C】図18Cは、異なるマグネシウム濃度を使用すること以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図19A】図19Aは、異なる長さを有するプローブエレメントを示すこと以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=A;(------)=G;(−−−−)=A:G)。
【図19B】図19Bは、異なる長さを有するプローブエレメントを示すこと以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=A;(------)=G;(−−−−)=A:G)。
【図19C】図19Cは、異なる長さを有するプローブエレメントを示すこと以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=A;(------)=G;(−−−−)=A:G)。
【図19D】図19Dは、異なる長さを有するプローブエレメントを示すこと以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=A;(------)=G;(−−−−)=A:G)。
【図20A】図20Aは、図20Aと同様の同一3検体の試行を示す((――-――-)=1:10000;(・・・・・・・・)=1:1000;(-・・-・・-)=1:100;(−−−−)=1:10;(------)=A:G;(――――)=G;(・・・・・・・・)=A)。図20Aは、プローブエレメントの融解を示す。
【図20B】図20Bは、図20Aと同様の同一3検体の試行を示す((――-――-)=1:10000;(・・・・・・・・)=1:1000;(-・・-・・-)=1:100;(−−−−)=1:10;(------)=A:G;(――――)=G;(・・・・・・・・)=A)。図20Bは、アンプリコン全体の融解を示す。
【図21A】図21Aは、スナップバックプライマーを使用する増幅に続く、B-raf突然変異V600Eアンプリコンの融解を示す((――-――-)=野生型;(-・・-・・-)=B-raf突然変異;(――――)=1:1000;(------)=1:100;(・・・・・・・・)=1:10;(−−−−)=1:1)。図21Aは、プローブエレメントの融解を示す。
【図21B】図21Bは、スナップバックプライマーを使用する増幅に続く、B-raf突然変異V600Eアンプリコンの融解を示す((――-――-)=野生型;(-・・-・・-)=B-raf突然変異;(――――)=1:1000;(------)=1:100;(・・・・・・・・)=1:10;(−−−−)=1:1)。図21Bは、アンプリコン全体の融解を示す。
【図22】図22は、B-raf突然変異の盲検試験の融解結果を示す。
【図23】図23は、スナップバックプライマーを使用する増幅に続く、EGFRエクソン19欠失の融解曲線解析を示す((――――)=野生型;(-・・-・・-)=欠失;(−−−−)=1:1;(―-――-)=1:10;(・・・・・・・・)=1:50;(――-――-)=1:100;(・・・・・・・・)=1:1000;(-・-・-・-)=1:5000;(−−−−)=1:10000)。
【図24】図24は、3つの試料:野生型、DW(T)、ホモ接合突然変異体、Dm(T)、及び画分混合試料、Df(T)の正規化融解曲線の負の導関数を示す。対立遺伝子ピークのより低い温度とより高い温度、TLとTHをともに示す。大きさの差:a〜eを使用して、重み係数、wL=a/(a+b)及びwH=b/(a+b)を用いて、2つの対立遺伝子画分推定値、f(TL)=a/d及びf(TH)=c/eの加重平均として突然変異対立遺伝子画分:Fmを計算する。次いで、突然変異対立遺伝子画分は、Fm=wLf(TL)+wHf(TH)=(a2e+bcd)/(de(a+b))として計算する。
【図25】図25は、突然変異体(又はマイナー)対立遺伝子と野生型(又はメジャー)対立遺伝子の両方へのミスマッチがあるスナップバックプローブエレメントを図示する。PCR伸長条件を慎重に選択すれば、ポリメラーゼは、不安定化した突然変異体のヘアピンを自由に伸長させるが、野生型の伸長は妨害されて、突然変異対立遺伝子の濃縮をもたらす。
【図26】図26a〜図26bは、5’-エクソヌクレアーゼ陰性ポリメラーゼとスナップバックプライマーPCRを使用する対立遺伝子濃縮に対する、伸長時間(図26a)及びMg++濃度(図26b)の効果を示す。マイナー対立遺伝子の比は、1:100(丸印)又は1:1000(三角形)のいずれかであった。図26aにおいて、野生型プローブのTmは75℃であるので、70℃の伸長温度を選択して、伸長時間は0〜20秒の間で変化させ、1.2 mMのフリーMg++濃度であった。図26bにおいて、使用したフリーMg++濃度は、0.8 mM、1 mM、1.2 mM、1.7 mM、及び2.2 mMであり、野生型プローブのTmは、それぞれ73℃、74℃、75℃、76℃、及び77℃であって、伸長温度は70℃、0秒間であった。伸長時間が短いほど、そしてMg濃度が低いほど、より高い突然変異対立遺伝子画分が得られた。実験は、同一3検体で実施して、標準偏差を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
対立遺伝子増幅バイアスを用いない突然変異対立遺伝子の検出感度は、約5%であるとかつて決定された(Wall, M, et al., American Society of Human Genetics, 2007)。本研究では、非標識プローブの使用とLIGHTSCANNERプレートベースの機器(Idaho Technology,ユタ州ソルトレークシティ)での高分割融解を伴った。いくつかの一般的な多型を標的として選択して、非標識プローブアッセイを開発して、いくつかのランダムDNA試料の遺伝子型を確認した。それぞれの遺伝子座について、可能な遺伝子型のそれぞれを表す3つの試料を選択した。ホモ接合型の遺伝子型を表す2つの試料を定量して、以下の比で混合した:95:5、90:10、75:25、50:50、25:75、10:90、及び5:95。非標識プローブの融解プロフィールを微分ピークへ変換して、このプローブの各融解温度でのピーク高さを計算した。この研究では、両方の対立遺伝子について5%までの対立遺伝子画分の識別が可能であった、しかしながら、対立遺伝子を5%未満の画分で識別することは、困難であった。
【0019】
LIGHTSCANNER 32(LS32)は、迅速なPCR、リアルタイムモニタリング、及び高分割融解を組み込んだ新しいハイブリッド機器である。PCRと融解プロファイリングによる解析を同じ機器において一貫的に実施する。飽和させるdsDNA結合色素、具体的にはLCGREEN Plusでの融解プロファイリングにより、断片、具体的には40〜1000 bp(塩基対)における配列変異が同定される。さらに、具体的には、LCGREEN色素と非修飾オリゴヌクレオチドプローブ又はスナップバックプライマーを使用して、部位特異的な遺伝子型決定も実施することができる(その全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO2008/109823を参照のこと)。SIMPLEPROBE、TAQMAN、HYBPROBEのような他のプローブ系も使用してよく、当該技術分野では、他のプローブ系も知られている。他の例示のプローブ系には、対立遺伝子間にTmの差があるように鋳型鎖へのその親和性において配列依存的で特異的である、PNA、LNA、又はあらゆる合成塩基類似体含有プローブ、ビオチン標識化、又はあらゆるハイブリダイズ性のタンパク質/核酸、又は巨大分子又は構造が含まれる。さらに、本発明の非標識プローブの例では、より長い非標識プローブを使用したが、2つの対立遺伝子間のTmにおける好適な差をもたらすには、変動する長さのプローブを使用してよい。アンプリコン融解プロファイリングとプローブベースの解析を同じ試行において同時に実施してよい。LS32は、PCRと高分割融解プロファイリングを統一された手間いらずの(walk-away)システムへ自動化する。
【0020】
高分割DNA融解解析は、2003年に開発された(例えば、すでに参照により組み込まれた、米国特許第7,387,887号及び7,583,429号を参照のこと)。この名称から示唆されるように、それは、DNAを加熱して、DNAの二重らせんが2つの一本鎖へ解離する(又は「融解する」)ときのシグナルを記録する方法である。DNAがどのように融解するかは、標本のDNA配列に厳密に依存する。飽和色素を利用すると、長さが800塩基を超える断片であっても、DNA配列中の単一位置が異なる試料間の差を識別することができる。
【0021】
高分割融解は、強力な遺伝子解析技術である。高分割融解の利点には、以下が含まれる:
・すべてが溶液中で行われる(この方法は、物理的な分離を必要としない)、
・このシステムは、閉管である(混入リスクがない)、
・PCR自体のコストよりほとんど追加コストがない(標識化プローブを使用してよいが、実質的にコストに加わる)、及び
・本方法は、単純である(自動化、試薬追加、又は中間体精製の必要がない)。
【0022】
LS32は、32までの試料の迅速PCRと高分割融解を統合して、15分未満での増幅と、それに続く自動の高分割融解を可能にする。迅速なサイクリングに続く高分割融解をするのに他のシステムが利用可能であり、本開示によって考慮されるが、LS32は、本方法に十分適していて、本発明の実施例の多くにおける例示の機器として使用される。
【0023】
実施例1.高分割融解を使用する遺伝子型決定
以下のプライマー及びプローブを使用して、マラリア P. falciparum のCRT遺伝子を増幅した:
pfCRT Fwd-5’TTCTTGTCTTGGTAAATGTGCTCA(SEQ ID NO: 1)
pfCRT Rev-5’CGGATGTTACAAAACTATAGTTACCAAT(SEQ ID NO: 2)
pfCRT プローブ-5’GTGTATGTGTAATGAATAAAATTTTTG-C3ブロッカー(SEQ ID NO: 3)
このプローブでは、下線を施した塩基がSNP部位であり、示す塩基は、野生型に適合している。5つのSNP部位を示すが、本試験では4つだけを使用した。
【0024】
マラリア P. falciparum のCRT遺伝子の3D7(野生型)と2つの突然変異株(7G8及びDd2)に対して、95℃で30秒のイニシャルホールドに95℃で2秒間、58℃で15秒間の55サイクルを続けて増幅を実施し、ランプ速度は、ほぼ4〜6℃/秒で測定した。サーマルサイクリングに続いて、試料を95℃で2秒間保持してから、10℃/秒の冷却ランプ速度で、40℃へ30秒間冷やした。融解は、45℃〜88℃であって、0.3℃/秒のランプ速度と連続取得を伴った。プローブ融解の結果を図1に示す(アンプリコン融解は、示さず)。プローブは、各遺伝子座(コドン72、75、及び76)で野生型対立遺伝子への完全適合物として設計する。従って、試料3D7(−−−−)は、このプローブで可能な最高の融解ピーク(Tm)を示す。試料7G8(------)は、このプローブへ72(TTミスマッチ)と76(CTミスマッチ)で不適合である。試料Dd2、V1/S、及びFCR3(-・-・-・-)は、すべて同じ遺伝子型であり(下記の配列決定結果を参照のこと)、このプローブへ75(GT及びAAミスマッチ、コドン75の第一及び第三塩基)及び76(CTミスマッチ)で不適合である。ある試料がこのプローブと唯1つの塩基部位で不適合であれば、融解ピークは、(------)ピークと(−−−−)ピークの間のどこかになろう。ある試料がこれら部位の4つのすべてで不適合であれば、その融解ピークは、(-・-・-・-)ピークより低いと予測されよう。
【0025】
実施例2.低い対立遺伝子画分の検出
上記に記載のプライマー及びプローブを使用して、マラリア P. falciparum のCRT遺伝子を増幅した。上記からの様々な比率の野生型及び7G8突然変異体を含有する混合物を調製した。
【0026】
非標識プローブで観測されたTm(野生型と突然変異対立遺伝子で、それぞれ62℃と54℃)に基づいて58℃のアニーリング温度(低いTm+1/2ΔTm)を使用して、希釈系列の混合試料において、突然変異対立遺伝子の対立遺伝子増幅バイアスを引き起こした。LS32で迅速なサイクリング(ランプ速度:6〜10℃)を実施して、この結果を図2に示す。このプロトコールは、ほぼ10倍の対立遺伝子増幅バイアスをもたらして、これにより突然変異対立遺伝子の0.75〜1.5%までの識別が可能になった。さらなる実験によりこの知見を確認して、ほぼ0.1%までの識別が可能となった。2つのTm間のほぼ中間のアニーリング温度を使用したが、適合したプローブ:標的ハイブリッドと比べて、不適合なプローブ:標的を反比例的に不安定化するどのTmも使用し得ると理解される。このことは、各プローブの相対的なTm値、プログラムされたアニーリング温度、特に50℃〜80℃の温度範囲における転移速度、及びポリメラーゼの温度依存的な活性に依存して、いくつかの状況で起こる可能性がある。具体的には、アニーリング温度は、不適合なプローブ:標的ハイブリッドのより低いTmより少なくとも1℃、より具体的には少なくとも2.0℃高い。不適合な対立遺伝子に対するプローブのアニーリング温度か又はそれよりやや低いアニーリング温度により、対立遺伝子増幅バイアスをもたらすのに十分に、不適合なプローブ:標的結合を低下させ得ることも見出された。ある特別な理論に束縛されずに言えば、ポリメラーゼの活性は、結合したプローブ(本具体例では、野生型)によって損なわれるのに対して、より低いTmを有する対立遺伝子(本具体例では、突然変異体)の増幅は、損なわれずに進行し得ると予測される。実施例4に示すように、KLENTAQのようなエクソ-ポリメラーゼ(即ち、5’→3’エクソヌクレアーゼ活性を欠くポリメラーゼ)を使用することが好ましい。しかしながら、結合したプローブの存在によって妨害されるどのポリメラーゼも使用し得ると理解される。さらに、「妨害される」とは、増幅が起こり得るものの、適合した対立遺伝子の増幅効率より低下した効率で、具体的には10%以上低下して、より具体的には50%以上低下して起こり得ることを意味する。
【0027】
PCRのアニーリング温度を設定する同じアプローチを標準サーマルブロックサイクラー(1.5〜2.0℃のランプ速度)で実施したとき、この標的配列に対して、対立遺伝子増幅バイアスは、観測されなかった。これは、おそらく、アニーリング温度と変性温度の間での転移速度がより遅いために、野生型のTmよりやや高い温度での伸長に追加の時間をもたらすからであろう。従って、マイナー対立遺伝子を選好的に増幅する組合せのような、優性対立遺伝子に対するプローブのハイブリダイゼーションを選好的に偏らせるアニーリング温度、結合したプローブの存在によって妨害されるポリメラーゼ、及び十分に速やかに、具体的には、伸長に特化するホールドを伴わずに(しばしば72℃付近である)加熱するランプ速度の組合せが望まれる。
【0028】
実施例3.サーマルサイクリング・ランプ速度の効果
本実施例では、1.5〜2.0℃のランプ速度を有する従来のブロックサーマルサイクラーを使用した。図3は、エクソ-ポリメラーゼの存在下に、95℃で2分ホールドのイニシャル変性に続き、94℃30秒間、50℃と68℃の間(50℃、51.4℃、53.6℃、56.8℃、61.4℃、64.6℃、66.8℃、及び68℃)での30秒のプログラムされた勾配アニーリング工程の55サイクル[即ち、各試料は、94℃の変性温度と、様々なアニーリング温度の1つを使用してサイクル処理された]でのマラリアCRT遺伝子:野生型3D7株(−−−−)、突然変異体の7G8株(-・-・-・-)、及び対立遺伝子比が等しいヘテロ接合体(------)の増幅を示す。図3は、8つの異なるアニーリング温度を使用したにもかかわらず、ヘテロ接合体において、より低いTmの対立遺伝子の選好的な増幅の証拠がないことを示す。56.8℃と61.4℃(最大の対立遺伝子増幅バイアスがこの範囲にあると予測される)のアニーリング温度を使用して増幅した4つの試料を(-・・-・・-)として示すが、これは、他のヘテロ接合体から基本的に識別し得ない。
【0029】
さらなる実験は、これまで試験したほとんどすべてのアッセイで、6℃/秒のランプ速度が満足すべき結果をもたらすことを示した。個々のアッセイで変動し得るものの、ほとんどのアッセイで、少なくとも4℃のランプ速度が十分な速度であることが予測される一方で、多くのアッセイは、2.0℃以下のランプ速度では、対立遺伝子増幅バイアスを示すことができない可能性がある。その上、変性温度とアニーリング温度の間の冷却ランプ速度は、プログラムされたアニーリング温度に達する前に、プライマーがハイブリダイゼーションを開始するのに十分安定で、ポリメラーゼがより高い温度で伸長させるのに十分活性がある限りは、増幅バイアスを産生する場合があると理解される。
【0030】
実施例4.低い対立遺伝子画分の検出
エクソ+ポリメラーゼ(NEB Taq)の使用の効果を、エクソ-ポリメラーゼ(Klentaq+eEnzyme抗体)の使用と比較して試験した。p53エクソン8の99 bp断片を以下のプライマー及びプローブで増幅した:
p53x8 FWD:CTACTGGGACGGAACAGCTT(SEQ ID NO: 4)
p53x8 REV:GTGAGGCTCCCCTTTCTTG(SEQ ID NO: 5)
p53x8 prb1プローブ:TGAGGTGCgTGTTTGTGCCTGTC(SEQ ID NO: 6)
このプローブは、伸長をブロックする3炭素スペーサーを3’端に有して、約75℃の観測Tmを有する。上記に小文字の「g」として示すミスマッチ(G→T)を9番目の塩基に有する突然変異体は、約69℃の観測Tmを有する。図4aは、エクソ+ポリメラーゼの存在下に、95℃で2分ホールドのイニシャル変性に続き、94℃30秒間、63℃と73℃の間のアニーリング温度勾配(各試料は、やや異なるアニーリング温度を有する)で30秒、及び77℃で伸長の55サイクルでの、野生型(−−−−)、突然変異体(-・-・-・-)、及び対立遺伝子比が等しいヘテロ接合体((------)の増幅を示す。図4aは、8つの異なるアニーリング温度を使用したにもかかわらず、ヘテロ接合体において、より低いTmの対立遺伝子の選好的な増幅の証拠がないことを示す。(-・・-・・-)試料は、69℃アニールのアニーリング温度を有したが、それでも増幅バイアスを示さなかった。
【0031】
図4bは、エクソ-ポリメラーゼを使用することを除けば、図4の反応に類似した反応を示す。これらの実験は、併行して設定して、図4aに見られるのとまさに同じプロトコールで実施した。図4bに見られるように、突然変異対立遺伝子の増幅が有利である。このように、具体的には、エクソ-ポリメラーゼ、又はプローブのハイブリダイゼーションによって影響を受ける他のポリメラーゼが望まれる。(-・・-・・-)試料は69℃に対応し、これは、本実施例では、最良の対立遺伝子増幅バイアスをもたらす。
【0032】
実施例5.アニーリング温度の解析
本実施例では、アニーリング温度の効果について検討する。本実施例で使用する標的は、ヒトPAHエクソン11である。ヒトゲノムDNAを以下のプライマー及び非標識プローブとともに15 ng/反応の濃度で使用する。
【0033】
フォワードプライマー:AAGACAGCCATCCAAAATTACAC(SEQ ID NO: 7)
リバースプライマー:TTTGTCACCACCTCACCTTACTT(SEQ ID NO: 8)
プローブ:GAGTTCCAGCCCCTgTATTACGTG-C3ブロッカー(SEQ ID NO: 9)
上記のプライマーを使用する増幅は、105 bpのアンプリコンをもたらす。G/C SNP rs772897を小文字で示す。本実施例のすべてにおいて、高いTmのホモ接合体を(-・-・-・-)として示し、ヘテロ接合体(50:50ミックス)を(------)として示し、低いTmのホモ接合体を(−−−−)として示す。
【0034】
図5a〜図5cは、iCycler(Bio-Rad)での以下のサイクリング条件での増幅の結果を示す:
95℃で2分間のイニシャル変性に続く、94℃で30秒間とX℃で30秒間の55サイクル(ここでXは、60℃と72℃の間で1℃増分のアニーリング温度である;即ち、各試料は、94℃の変性温度と様々なアニーリング温度の1つを使用してサイクル処理した)、1.5及び2.0℃/秒の間のランプ速度。PCRの後で、95℃で30秒の融解に28℃で30秒間を続けて、ヘテロ二重鎖を産生する。生じるアンプリコンを、LIGHTSCANNERにおいて標準加熱速度で45℃〜95℃の融解で、融解させた。図5bに見られるように、どのアニーリング温度を使用するかにかかわらず、ヘテロ接合体は、いずれも、2つの概して均等な融解ピークをもたらし、より低いTmを有する対立遺伝子の方へのバイアスがないことを示す。上記に考察したように、1.5〜2.0℃/秒のランプ速度は、あるアッセイではあまりに遅くて、非標識プローブがより高いTmの対立遺伝子から離れて融解することを可能にして、伸長を可能にする場合があると考えられている。図5cでの陰性対照(菱形)によって示されるように、このアッセイでは非特異的な増幅がいくらか生じることが注目される。この非特異的な増幅は、通常、増幅曲線における遅延した交点とより低い蛍光、並びに微分融解曲線における適切な融解ピークの不足をもたらす。
【0035】
図6a〜図6cは、60℃のアニーリング温度を使用する、同じ標的のほぼ4〜6℃/秒の増幅ランプ速度での迅速サイクリング増幅の結果を示す。より低いTmの対立遺伝子が約67℃の観測Tmを有する一方、より高いTmの対立遺伝子は、約72℃の観測Tmを有する。このように、60℃のアニーリング温度は、より低いTmの対立遺伝子の融解ピークの最下端であり、より高いTmの対立遺伝子のピーク全体よりずっと下にある。図6bに見られるように、低いTmのホモ接合体とヘテロ接合体は、ほとんど同一の融解曲線を示し、高いTmのホモ接合体は、ほとんど非特異的な増幅を示し、より低いTmの対立遺伝子が、高いTmの対立遺伝子のほとんどすべての増幅が消失するほどに、完全に有利であることを示唆する。
【0036】
図7a〜図7cは、62℃のアニーリング温度を使用する、同様の結果を示す。しかしながら、低いTmのホモ接合体とヘテロ接合体がほとんど同一の融解曲線を示すものの、ヘテロ接合体では、ごく小さなピークが70℃で見られて、高いTmのホモ接合体は、いくらかの増幅を示す。高いTmの対立遺伝子の交点は、約6.5サイクルだけシフトしている。高いTmの対立遺伝子の融解ピークの検証は、62℃での融解ピークの下に、わずかな領域があることを示す。ハイブリダイゼーションは動的平衡であるので、62℃であっても、高いTmの対立遺伝子から数パーセントのプローブが融解して、それにより最小限の増幅が可能になると考えられている。それでも、高いTmの対立遺伝子に対するプローブの結合がごく安定しているので、低いTmの対立遺伝子の増幅がきわめて有利である。
【0037】
図8a〜図8cは、64℃のアニーリング温度を使用する、同様の結果を示す。高いTmの対立遺伝子の増幅が遅延されるが、62℃のアニーリング温度ほど大きくはない(6.5サイクルに対して、約4サイクル)。ヘテロ接合体では、小さいが容易に識別可能な融解ピークが70℃にあり、ヘテロ接合体における、より高いTmの対立遺伝子のいくらかの増幅を示す。
【0038】
図9a〜図9cは、65℃のアニーリング温度での結果を示す。高いTmのホモ接合体の増幅は、約2.5サイクルしか遅延せず、ヘテロ接合体は、より明確なピークを70℃に示す。それでも、低いTmの対立遺伝子がきわめて有利である。
【0039】
図10a〜図10cは、67℃のアニーリング温度での結果を示す。このアニーリング温度は、2つのTm間のほぼ中間である。高いTmのホモ接合体の増幅は、約1.5サイクルしか遅延しない。ヘテロ接合体が融解ピークを70℃に明瞭に示すが、低いTmの対立遺伝子は、それでも有利である。
【0040】
図1la〜図11cは、68℃のアニーリング温度での結果を示す。高いTmのホモ接合体の増幅は、約0.6サイクルしか遅延しない。ヘテロ接合体は、融解ピークを70℃で明瞭に示すが、65℃でのピークは、依然としてより大きい。
【0041】
図12a〜図12cは、69℃のアニーリング温度での結果を示す。このアニーリング温度は、高いTmの対立遺伝子のTmより約1℃だけ低い。高いTmのホモ接合体の増幅は、約0.7サイクルしか遅延しない。それでも、融解ピークは、低いTmの対立遺伝子の増幅が依然として有利であることを示す。
【0042】
図13a〜図13cは、70℃のアニーリング温度での結果を示す。このアニーリング温度は、高いTmの対立遺伝子のTmとほぼ同じ温度である。高いTmのホモ接合体の増幅は、約0.4サイクルしか遅延しない。融解ピークは、低いTmの対立遺伝子の増幅がごくわずかに有利であることを示す。
【0043】
本実施例におけるプライマーのTmにより、70℃より有意に高いアニーリング温度を使用して増幅を得ることは困難である。それでも、プライマーを伸長してそのTmを高めれば、高い対立遺伝子のTmより高いがその付近のアニーリング温度は、低いTmの対立遺伝子の増幅に干渉しない一方で、高いTmの対立遺伝子の増幅には干渉すると予測される(但し、そのアニーリング温度は、高いTmの融解ピーク曲線の下である)。
【0044】
いくつかの態様では、ごく小さな対立遺伝子画分で存在し得る、低いTmの対立遺伝子の存在を検出することだけが望ましい場合がある。その場合は、図6b又は図6bに示すように、低いアニーリング温度が望ましいかもしれない。他の態様では、低いTmの対立遺伝子に有利であるが、それでも、より高いTmの対立遺伝子の増幅も可能にするアニーリング温度を選択することが望ましいかもしれない。そのような態様では、図9b又は図10bに示すように、低いTmの対立遺伝子のTmでのアニーリング温度、又はそれよりわずかに高いアニーリング温度が望ましいかもしれない。特定のアッセイに依存して、他の度合いの対立遺伝子バイアスが望まれる場合がある。
【0045】
1つの態様では、突然変異対立遺伝子のTmを使用して、試料を50:50の野生型:突然変異ミックスで操作することによって、特別なアッセイのアニーリング温度を決定する。対立遺伝子増幅バイアスが存在するならば、WT(野生型)ピークの減少が観測されよう。WTピークが有意に減少しなければ、アニーリング温度を具体的には2℃の増分で(但し、他の増分も使用し得る)低下させてよく、WT対立遺伝子の完全な消失が生じるまで、この試料混合物を再操作する。この消失温度よりやや高いアニーリング温度を使用することがしばしば望ましい。このように、最適化アニーリング温度は、具体的には、この消失温度より2℃高い場合がある。アニーリング温度の適正性は、WT対立遺伝子の存在下での突然変異対立遺伝子の連続希釈を所望の感度レベルまで使用して、確かめることができる。
【0046】
実施例6.スナップバックプライマーを使用する対立遺伝子増幅バイアス
本実施例では、A/G変異があるrs149041370のSNPを使用して、スナップバックプライマーでの対立遺伝子濃縮を検討する。
【0047】
Puregen(Gentra Systems)からのDNA単離キットを使用することによって、ヒト血液よりDNAを抽出した。NanoDrop(Thermo Scientific)とPCR交点によってDNA濃度を定量した。同一のPCR交点は、DNA鋳型の同一の濃度を示すと理解されている。以下のプライマーを使用した:
フォワードプライマー:AGCTCAGAACTGCCTGGTGT(SEQ ID NO: 10)
リバースプライマー:acGTTCTTTGCAGAACTGGCTGGtctctgggctgtccacacctgaa(SEQ ID NO: 11)。
【0048】
プローブエレメントは、リバースプライマーにおいて大文字で示し、SNP部位は、その中で下線を施して示す。プライマーは、リバースプライマーの3’端にある23 bp切片である。リバースプライマーの5’端に小文字で示す2つの塩基は、不適合であって、プローブエレメントが相補体アンプリコンにおいて結合しているときに、伸長を妨げる。リバースプライマーのテールは、G対立遺伝子の完全な相補体である。アンプリコンサイズは、133 bpである。
【0049】
1.5、2、又は3ミリモル/L MgCl2、50ミリモル/Lトリス(pH8.3)、500 mg/Lウシ血清アルブミン、200マイクロモル/Lの各dNTP、0.4単位のKLENTAQポリメラーゼ(AB Peptides)、64 ng/μl Ati-Taqモノクローナル抗体(eENZYME)、0.5×LCGREEN Plus、0.05μmフォワードプライマー、0.5μmスナップバックプライマー(リバース)、及び50 ngヒトゲノムDNAを含有する10μl反応量において、PCRを実施した。LIGHTCYCLER(ロシュ)において、95℃(0秒ホールド)での変性、63℃(0ホールド)でのアニーリング、及び63℃(2秒ホールド)での伸長の70サイクルでPCRを実施した。次いで、PCRの後で、毛細管の試料をLIGHTCYCLERより取り出し、高分割融解機器HR-1(Idaho Technology)に入れて、60℃から92℃まで、0.5℃/秒のランプで融解させた。LIGHTCYCLERを使用するこのPCR法にHR-1での融解を続けることは、LS32における増幅とPCR後の融解に等しいと理解される。LIGHTCYCLERにおけるランプ速度は、LS32機器の迅速サイクリングに匹敵する。
【0050】
指数バックグラウンド除去(参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願番号2009-0222503を参照のこと)を使用して融解曲線を正規化して、Savitzky-Golay フィッティング(Palais R, Wittwer CT. Methods Enzymol 2009; 454: 323-43)を使用して、導関数を計算した。1つの態様では、図24に例示するように、特別なプロトコールの対立遺伝子画分を重み付きピーク高さによって計算する。具体的には、DW(T)は、野生型試料の正規化融解曲線の負の導関数であり、Dm(T)は、50:50ホモ接合体-突然変異体試料の正規化融解曲線の負の導関数であり、Df(T)は、この2つの画分混合物の正規化融解曲線の負の導関数である。スナップバックプローブエレメントが野生型対立遺伝子に適合すれば、Dm(T)は、ピークを低い温度TLに有して、DW(T)は、ピークを高い温度THに有して、TL<THである。Df(T)は、典型的には、不適合な対立遺伝子のTLでの融解と、適合した対立遺伝子のTHでの融解に対応する2つのピークを明示する。突然変異対立遺伝子画分は、Fm=wLf(TL)+wHf(TH)[ここでwLとwHは、重みであり、f(TL)とf(TH)は、各温度ピークでのそれぞれの推定値である]として、2つの推定値の加重平均として計算される。この重みは、より大きなピークを有利にする、非混合試料のベースライン上の混合試料の相対的な大きさによって決定される:wL=a/(a+b)、及びwH=b/(a+b)(図24)。個々の推定値、f(TL)及びf(TH)は、それぞれの温度で比例的に得られる:f(TL)=a/d、及びf(TH)=c/e。故に、Fm=(a2e+bcd)/(de(a+b))。ヘテロ接合体のピーク高さに影響を及ぼすようにプロトコールを変更すれば(例えば、アニーリング温度、Mg++濃度、伸長時間、等の変更)、a、b、c、d、及びeの値も変化して、この等式は、その特定の50:50ヘテロ接合体曲線の形状にも有効である。このように、この式は、それぞれの対立遺伝子の開始濃度に戻って計算する補正を提供する。本明細書に記載の態様のいずれにもよる対立遺伝子画分は、この方法や、希釈系列への比較によるような他の方法を使用して、計算し得ると理解される。当該技術分野では、他の方法も知られている。参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願番号2003-0104438を参照のこと。対立遺伝子画分を計算する方法についてのさらなる情報を以下の実施例9に提示する。
【0051】
PCRの間の稀な対立遺伝子の濃縮への効果
1.変性温度:95℃、90℃、89℃、又は88℃の変性温度でPCRを実施した。図14A〜図14Dに見られるように、90℃に対する95℃の変性温度は、ミスマッチピークを濃縮することに影響を及ぼさなかった。88℃は、あまりに低い変性温度であって、鋳型は十分増幅しなかった。
【0052】
2.アニーリング温度:図15A〜図15Dにおいて、変性温度は95℃に維持して、伸長を76℃に維持し、一方、アニーリング温度は、55℃、58℃、61℃、又は63℃であった。非標識プローブで見出されるように、アニーリング温度は、伸長温度を適合した対立遺伝子のTm付近に維持するとき、対立遺伝子増幅比に対して何ら影響を及ぼさなかった。
【0053】
3.伸長温度:図16A〜図16Dにおいて、変性温度は95℃に維持して、アニーリング温度を63℃に維持し、一方、伸長温度は、74℃、72℃、70℃、又は68℃であった。非標識プローブで見出されるように、伸長温度が(適合プローブのTm付近の温度に対して)より低いほど、増幅によりミスマッチ対立遺伝子がより多く濃縮される。
【0054】
4.伸長時間:図17A〜図17Bは、より短い伸長時間で、5秒から1秒へ減少させると、ミスマッチ対立遺伝子が有意に濃縮されたことを示す。68℃の伸長温度と1秒の伸長時間では、1:1及び1:10の混合物において、増幅産物は、ほとんどがA対立遺伝子となり、そして1:100の混合物において、増幅産物は、それぞれの対立遺伝子の約50%となる。1:1000の混合物は、純粋なG対立遺伝子とは、はっきり異なる。従って、対立遺伝子濃縮の度合いは、PCR伸長時間に強く関連している。図26aに要約されるように、伸長時間が20秒であるとき(慣用のPCRに典型的である)、1:1000(「突然変異」対「野生型」)の比の試料は、検出に十分なほどには濃縮されなかった。しかしながら、伸長時間を低下させるにつれて、これらの稀な対立遺伝子が容易に検出されるようになる。0秒の伸長時間という極端な場合、突然変異対立遺伝子の生じる画分は、0.1%(1:1000)から29%へ増加した。短い伸長時間での感度の向上には、PCRの完了を速める(具体的には、たった20〜25分、約20サイクルへ)というさらなる利点がある。
【0055】
5.Mg濃度:図18A〜図18Cにおいて、上記の工程4からのサイクリング条件を使用して、Mg濃度は、1.5 mM、2 mM、及び3 mMであった。最低のマグネシウム濃度(1.5 mM Mg緩衝液)は、1:1000混合物中のマイナー対立遺伝子の良好な増幅をもたらした。最高のマグネシウム濃度は、メジャー及びマイナーの対立遺伝子の本質的に均等な増幅をもたらすように見えた。図26bは、1:1000の比の「突然変異」対「野生型」の鋳型を用いて、フリーMg++濃度が2.2 mMから0.8 mMに及ぶ、さらなる試験について要約する。Mg++濃度を低下させるにつれて、見かけの突然変異画分は、検出不能から48%へ増加した。1つの説明は、より低いMg++濃度により、ヘテロ接合体の増幅が増加して、それによりヘテロ二重鎖の比を増加させるということであろう。もう1つの説明は、より低いMg++濃度では、突然変異対立遺伝子がヘアピンを形成しないので、それにより突然変異対立遺伝子がより容易に増幅することが可能になるということであろう。
【0056】
6.テール長さ:9 bp(Tm:64℃)、13 bp(Tm:72℃)、17 bp(Tm:74℃)、及び21 bp(Tm:77℃)を使用して、テール長さ(プローブエレメント)を変化させた。より長いテールは、より高いTmを有して、図19A〜図19Dに見られるように、より高いTmにより、ミスマッチ対立遺伝子が濃縮される。より短いテールを使用するときは、伸長温度を適合した対立遺伝子のTm未満へ下げることによって、マイナー対立遺伝子の濃縮を得ることが可能になる(但し、伸長温度は、ポリメラーゼの有効な温度未満へ低下させてはならない)。
【0057】
図14〜19に示す結果は、非標識プローブについて上記に示した結果と一致している。本実施例では、別々のアニーリング温度と伸長温度を使用したが、適合プローブエレメントの大部分又はすべてが結合していて、不適合なプローブエレメントの大部分が融解して離れるように伸長温度を選択したとき、不適合な対立遺伝子は、選好的に増幅される。図16は、伸長温度を下げるにつれて、不適合な対立遺伝子の増幅がますます有利になることを示す。さらに、本実施例では、スナップバックプライマーを用いると、短い伸長時間とより低いMg濃度により、図20に見ることができるように、1:1000又はさらに大きいDNA比でも解析し得るように、不適合な対立遺伝子の増幅が有利になることも見出された。これらの効果は、非標識プローブや、本発明による他のプローブでも見出されると予測される。
【0058】
特別な理論に束縛されずに言えば、スナップバックプライマーを使用する増幅は、非標識プローブに関して上記に考察した理由のために、不適合な対立遺伝子に有利であると考えられている。しかしながら、スナップバックプライマーは、分子内ループ構造を形成するので、適合プローブの切片は、別の標的配列との分子間相互作用において、又はそのループが下流にある(上記に考察したフォワードプライマーを使用するアンプリコンの増幅の場合のように)所で伸長に干渉するだけでなく、ループ化した増幅産物へのスナップバック(リバース)プライマーのアニーリングにも干渉すると考えられている。スナップバックプライマーによる対立遺伝子濃縮のあり得る機序を図25に示す。スナップバックプローブエレメントは、突然変異対立遺伝子に対して不適合であり、そのヘアピンを不安定化して、ポリメラーゼがその二次構造をほどいて、全長PCR産物の完全な伸長を可能にする(図25、左)。しかしながら、スナップバックプローブエレメントは、野生型対立遺伝子に対しては安全に適合して、より安定したヘアピンで伸長をブロックして、全長PCR産物の形成を妨げる(図25、右)。差示的な増幅は、単一のミスマッチより生じる相対的なヘアピン安定性に依存するので、濃縮の成功は、ポリメラーゼの転置(displacement)活性、ヘアピン安定性に対するアニーリング温度、及び伸長時間が含まれる増幅条件に依存する可能性がある。スナップバックプライマーは、非標識プローブのそれより大きい程度に、不適合な対立遺伝子の増幅を偏らせることが可能であり得ると考えられている。最後に、エクソ+ポリメラーゼは、非標識プローブとよりも、スナップバックプライマーを使用する対立遺伝子濃縮とより適合性があることが見出された。これは、プローブエレメントに対する5’ミスマッチによるものであろう。
【0059】
実施例7.スナップバックプライマーを使用する、盲検の腫瘍同定
甲状腺結節は、かなり一般的であり、女性の約5%と男性の1%で見出され、それによれば、90%より多くが良性の過形成結節又は濾胞状腺腫である。悪性腫瘍であれば、その診断は、通常、甲状腺乳頭癌、PTCである。しばしば、癌原遺伝子RET、チロシンキナーゼに関与する15種のキメラmRNAの1つがPTCの原因として言及される。甲状腺髄様癌と甲状腺乳頭癌は、ともに、RET遺伝子における活性化突然変異と厳密に結び付けられている。PTCの症例の20〜40%には、染色体の逆位又は転座によって引き起こされる、RETの再構成が存在している。しかしながら、最近、BRAF遺伝子の体細胞突然変異(c.1799T>A、バリンのグルタミン酸への置換、p.V600Eを引き起こす)が、甲状腺癌の80%より多くを生じる、PTCにおける最も一般的な変化として言及された。このアミノ酸置換は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路の構成的な活性化及び脱調節をもたらす。本実施例では、B-raf突然変異V600E(T→A)の点突然変異について検討する。
【0060】
Puregen(Gentra Systems)からのDNA単離キットを使用することによって、ヒト細胞系HTB-72(ATCC)よりB-raf V600Eホモ接合体突然変異DNAを抽出した。NanoDrop(Thermo Scientific)によってDNA濃度を定量して、PCR交点を使用することによって補正した。47対の検査済み腫瘍組織及び針穿刺(needle)甲状腺結節のDNA試料は、盲検用に、ARUP(ユタ州ソルトレークシティ)より提供された(Leslie R Rowe, et al. CytoJournal 2006, 3: 10)。実施例6と同じ表示法で、以下のプライマーを使用した:
フォワードプライマー:tgttttcctttacttactacacctcag(SEQ ID NO: 12)
リバースプライマー:aaTCTAGCTACAGTGAAATCTCGATGtcagtggaaaaatagcctcaattc(SEQ ID NO: 13)
アンプリコンサイズは、145 bpである。
【0061】
2ミリモル/L MgCl2、50ミリモル/Lトリス(pH8.3)、500 mg/Lウシ血清アルブミン、200マイクロモル/Lの各dNTP、0.4単位のKLENTAQポリメラーゼ(AB Peptides)、64 ng/μl Ati-Taqモノクローナル抗体(eENZYME)、0.5×LCGREEN Plus、0.05μmフォワードプライマー、0.5μmスナップバックプライマー(リバース)、及び50 ngヒトゲノムDNAを含有する10μl反応量において、PCRを実施した。LIGHTCYCLER(ロシュ)において、95℃(0秒ホールド)での変性、52℃(0ホールド)でのアニーリング、及び64℃(0秒ホールド)での伸長の70サイクルでPCRを実施した。次いで、PCRの後で、毛細管の試料をLIGHTCYCLERより取り出し、高分割融解機器HR-1に入れて、60℃から88℃まで、0.5℃/秒のランプで融解させた。
【0062】
比較のために、標準対称PCRにおいて同じフォワードプライマーを上記リバースプライマー由来のプライマーエレメント(tcagtggaaaaatagcctcaattc(SEQ ID NO: 14))とともに使用して、標準対称PCRにおいて183 bpのアンプリコンを増幅した。この標準PCRを使用すると、1:25の「B-raf突然変異」対「野生型」DNA比を検出し得るが、上記のパラグラフで概説したスナップバックプライマーPCRプロトコールでは、1:100を検出するほどにPCRを濃縮することができる(図21A〜図21B)。上記の結果を、配列決定を使用して確認した。
【0063】
盲検解析の後で、すべての試料は、スナップバックプライマーによって陽性であるが、ハイブリダイゼーションプローブによっては陰性である2つの試料を除いて、一致した。1つの針穿刺試料は、V600Eを1%未満の量で含有した。このような低頻度は、標準PCRによっては検出され得ないが、図22の(――-――-)ライン((−−−−)は、1:100の対照である)に見られるように、これは、スナップバックプライマー濃縮によって検出可能である。
【0064】
実施例8.スナップバックプライマーを使用する、小欠失の検出
小細胞肺癌(NSCLC)の患者では、表皮増殖因子受容体(EGFR)における体細胞突然変異が検出されて、薬物、ゲフィチニブ又はエルロチニブでの治療への感受性に関連付けられている。最も一般的な種類の体細胞EGFR突然変異の2つは、エクソン19の小欠失とL858Rの点突然変異(約85%を占める)である。本実施例では、EGFRエクソン19を使用して、スナップバックプライマー濃縮法により小欠失を検出することができることを示す。
【0065】
Puregen(Gentra Systems)からのDNA単離キットを使用することによって、ヒト細胞系CRL-5883(ATCC)より、EGFRホモ接合体の突然変異:E746-A750のDNAを抽出した。NanoDrop(Thermo Scientific)によってDNA濃度を定量して、PCR交点を使用することによって補正した。実施例6と同じ表示法で、以下のプライマーを使用した:
フォワードプライマー:TGGATCCCAGAAGGTGAGAA(SEQ ID NO: 15)
リバースプライマー:ccAGAGAAGCAACATCTCCGAAAGagcagaaactcacatcgagga(SEQ ID NO: 16)
上記のように、プローブエレメントは、野生型に適合する。野生型アンプリコンのサイズは、野生型において131 bpである。そのいずれもプローブエレメントと一部重なる、いくつかの欠失について検討した。
【0066】
2ミリモル/L MgCl2、50ミリモル/Lトリス(pH8.3)、500 mg/Lウシ血清アルブミン、200マイクロモル/Lの各dNTP、0.4単位のKLENTAQポリメラーゼ(AB Peptides)、64 ng/μl Ati-Taqモノクローナル抗体(eENZYME)、0.5×LCGREEN Plus、0.05μmフォワードプライマー、0.5μmスナップバックプライマー(リバース)、及び50 ngヒトゲノムDNAを含有する10μl反応量において、PCRを実施した。LIGHTCYCLER(ロシュ)において、95℃(0秒ホールド)での変性、55℃(0ホールド)でのアニーリング、及び64℃(0秒ホールド-各試料につきこの温度で0.2℃ホールドの間、検出)での伸長の70サイクルでPCRを実施した。次いで、PCRの後で、毛細管の試料をLIGHTCYCLERより取り出し、高分割融解機器HR-1(Idaho Technology)に入れて、60℃から88℃まで、0.5℃/秒のランプで融解させた。
【0067】
本実施例では、この欠失により、融解ピークの実質的な分離があり、使用したアニーリング温度と伸長温度は、いずれもほとんど野生型ピーク全体のそれより下にある。図23に見られるように、野生型DNAに対して1:1000(突然変異体が稀な対立遺伝子である)の比のEGFRエクソン19欠失E476-A750は、野生型より容易に識別可能であって、1:10000の比であっても、スナップバックプライマー濃縮PCRによって、野生型より識別することができる。
【0068】
実施例9.対立遺伝子画分を定量するための方法
PCR産物がDNA色素の存在下で融解するとき、ロウ(raw)蛍光R(T)の温度Tに対する測定依存性には、2つの主要な構成要素が含まれる。飽和性のインターカレーション型(高分割)色素では、M(T)は、温度Tで、その二本鎖状態にあるDNA、dsDNAの全体量に緊密に比例する。ロウ蛍光の残り、B(T)は、具体的には、特に、現下の関心の温度領域(regimes)、即ち、短いオリゴヌクレオチド(非標識又はスナップバック)プローブがそのランダムコイル型へ変性する温度領域において、指数関数的な減衰によって形成される場合がある。具体的には、指数関数的なバックグラウンド除去法(すでに参照により本明細書に組み込んだ、米国特許出願番号2009-0222503を参照のこと)を使用してB(T)を除いて、正規化してバックグラウンド除去した蛍光F(T)へM(T)を具体的には[0,1]の範囲にして返すと、得られる曲線は、2状態ファントホッフ熱力学融解曲線の凸結合(即ち、その総和が1に等しい非負係数の和)によってよく近似される。B(T)及びF(T)についての上記モデルは、(Palais R and Wittwer CT, Methods in Enzymology 454: 323-43, 2009)にいずれも記載されている。
【0069】
本明細書に提示する例示の態様において、このモデルは、プローブが融解する温度領域での反応に関与する分子種の数の低減によってかなり簡略化される可能性がある。非標識プローブのようなプローブとスナップバックプライマーを使用するので、このプローブ温度範囲の融解曲線には、天然の二対立遺伝子二倍体のヘテロ接合体と合成混合アンプリコンの融解において通常生じる4つの可能な二重鎖のうち2つだけが存在する。
【0070】
この予測より、F(T)は、凸結合である:
F(T)=cMFM(T)+cWFW(T),
[即ち、ここで非負の対立遺伝子画分係数、cM及びcWは、cM+cW=1を満たす]
微分法の線形性により、適切に正規化した融解曲線の負の微分曲線、D(T)は、2つの二重鎖種(具体的には、WTとのプローブとMUTとのプローブ)に対応する、同様に定義されて正規化された負の微分曲線の凸結合となる:
D(T)=-F’(T)=cMDM(T)+cWDW(T)。
【0071】
故に、図24に例示されるように、負の導関数は、2つのピークを明示して、その大きさは、以下に記載するいくつかの方法のいずれによっても測定されて、この2つの種の産物(おそらく、一方は、逆相補体のセンスでプローブに適合して、より低いTmの他方は、いくつかのミスマッチを含有する)の相対的な割合を反映する。本明細書では、前者をWTと呼んで、後者をMUTと呼ぶが、完全な適合は必ずしも野生型対立遺伝子ではなくて、ミスマッチのある対立遺伝子が必ずしも突然変異を含有するわけではないと理解される。
【0072】
最初の鋳型画分を定量する問題では、元の対立遺伝子頻度を評価するのに、増幅の相対的な効率に関する情報が必要となることが重要な注意事項(caveat)である。上記の多数の実施例によって示したように、最初の対立遺伝子比が同じである2つの試料を、特別な対立遺伝子の選択的な濃縮の様々なレベルで増幅して、最終の対立遺伝子比がきわめて異なって測定される産物をもたらすことができる。逆に、最初の比が異なる試料より、具体的には、適正に異なる増幅プロトコールを使用すれば、同じ比の最終産物を生じることができる。本明細書に提示する方法に加えて、希釈系列より標準曲線を導くような方法、並びに様々な理論上の方法を使用して、ある特別な再現性のある増幅プロトコール(例、伸長時間、マグネシウム濃度)において、最終産物の比を変換して最初の鋳型比を得ることもできよう。
【0073】
対立遺伝子画分を計算する1つの具体的な方法において、Da(T)は、試料の正規化融解曲線の負の導関数を示すものとし、ここで下付き文字は、野生型(w)、ホモ接合突然変異体(m)、又は2つの画分混合物(f)のいずれかを表す。スナップバックプライマー(又は非標識プローブ又は他のプローブ)が野生型対立遺伝子に適合するならば、純粋な突然変異体の負の微分曲線、Dm(T)は、ピークを温度TLで明示し、純粋な野生型の負の微分曲線、DW(T)は、ピークを温度THで明示して、TL<THのように、Lは、より低い、Hは、より高い、の意味である(スナップバックが突然変異対立遺伝子に適合するならば、後続するものにおけるTL及びTHの役割を単に逆転させてよいと理解される)。画分混合物の負の微分曲線、Df(T)は、典型的には、スナップバックプライマーの融解に対応する2つのピーク(一方は、より低い温度、TLでの不適合な対立遺伝子に由来するものであり、他方は、より高い温度、THでの適合した対立遺伝子に由来するもの)を明示する。この対立遺伝子混合物の比率が同等からかけ離れている場合、少数派の対立遺伝子は、対応する温度で、弱いピークを明示するか、又はピークを全く明示しない。このことを考慮に容れると、突然変異対立遺伝子は、それぞれが上記の融解温度の1つで得られる、2つの推定値の加重平均を使用して、定量することができよう:
Fm=wLf(TL)+wHf(TH)
それぞれの温度ピークでの重みは、他の温度で融解する非混合試料のベースラインの高さ以上にある、混合試料の相対的な高さの大きさによって決定される:
wL=(Df(TL)-Dw(TL))/(Df(TL)+Df(TH)-(Dw(TL)+Dm(TH)))(=a/(a+b)、図24)、及び
wH=(Df(TH)-Dm(TH))/(Df(TL)+Df(TH)-(Dw(TL)+Dm(TH)))(=b/(a+b)、図24)。
【0074】
重みは正の数であって、その和は1であり、それらは、より明瞭に定義されるピークに有利である。
個々の推定値、f(TL)、f(TH)は、2つの温度でのDw(T)とDm(T)の間のDf(T)の線形内挿法によって得ることができる:
f(TL)=(Df(TL)-Dw(TL))/(Dm(TL)-Dw(TL))(=a/d、図24)、及び
f(TH)=(Df(TH)-Dw(TH))/(Dm(TH)-Dw(TH))(=c/e、図24)。
【0075】
Df=Dwであるように、混合物が純粋に野生型である極端な場合では、f(TL)=0かつf(TH)=0であり、また、wL=0かつwH=1であるので、Fm=0であることがわかる。Df=Dmであるように、混合物が純粋に突然変異体である極端な場合では、f(TL)=1かつf(TH)=1であり、また、wL=0かつwH=1であるので、Fm=wL+wH=1であることがわかる。
【0076】
まとめると、図24における数量に関しては、実施例6において上記に考察したように、
Fm=a/(a+b)(a/d)+b/(a+b)(c/e)=(aae+bcd)/(de(a+b))。
重み付けの選択を使用して、不適合な鋳型から適合した鋳型への、そして融解の間のプローブの再アニーリングによる非線形的な効果の一部消去をもたらすことができる。2つの対立遺伝子を使用して、上記や他の具体例を提示しているが、2より多い対立遺伝子の混合物への上記式の一般化も簡単であると理解される。
【0077】
代わりの実行例は、より高いピークに関連した数値、即ち、a/d又はc/eのいずれかだけを使用することである。このような態様では、aとcが直接関連しているので、これらの値の1つだけが使用されると理解される。別の代替例は、実験プロトコールに天然のヘテロ接合体の試料(HET)を含めて、上記の定量化手順に従って、本質的に等しい産物のピークをもたらすように設計された増幅条件を使用して、試料ピークとWT及びMUTのそれを内挿して、相対的な試料量を、上記では0と1の間で行ったように、0.5と1の間で逆に内挿することである。例えば:
f(TL)=0.5+0.5(Df(TL)-Dh(TL))/(Dm(TL)-Dh(TL))
f(TH)=0.5-0.5(Df(TL)-Dh(TL))/(Dw(TL)-Dh(TL))
そして、TLでのHET及びMUTのピークを使用して、突然変異対立遺伝子画分を推定して、THでのHET及びWTのピークを使用して、突然変異対立遺伝子画分を推定する。チェックとして、Df=Dhであれば、いずれの対立遺伝子画分も0.5であり、Df=Dwであれば、突然変異対立遺伝子画分は0.0であり、そしてDf=Dmであれば、突然変異対立遺伝子画分は1.0である。具体的には、次いで、先と全く同じように、上記の値を重み付けることができる。
【0078】
これらの値は、上記の式に従って重み付けても、より高いピークに対応する値に対して全部の重みを付与してもよい。
a、b、c、d、eという量は、代わりのやり方でも決定することができる。単に点ごとの最大値の温度と対応値を見出すのではなく、二次フィッティングを使用してピークをフィットさせて、最高ピークの二次フィットの最高点の温度及び値と、同じ温度での他の曲線のフィットの値を得ることができる。
【0079】
加えて、ピーク高さは、そのピークを含有する温度間隔にわたる対応曲線の間の面積[その幅は、具体的には、最高ピークが1/e(自然指数減衰因子)xその最大値まで減衰する所によって決定する]に置き換えてよい(具体的には、ピークを定位する上記のいずれかの方法を使用する)。
【0080】
米国特許出願番号2003-0104438中のTMBSP定量法のように、以下に記載する方法は、熱力学的に基礎付けられる。しかしながら、本明細書に提示する例示の方法は、非反復性である。むしろ、本明細書に提示する方法は、高度の正確性を保持する一方で、実行するのが迅速かつ容易である。また含まれるのは、ファントホッフ微分曲線の凸結合による、D(T)の単純レーベンバーグ・マルカート最良非線形最小2乗フィットに基づく方法であり、2つの二重鎖種(WTとのプローブとMUTとのプローブ)のそれぞれに関連した、その熱力学的変数、ΔH及びΔSは、対立遺伝子画分に加わる変数とみなされる。また、それらの値を既知の配列と近傍変数(標準実験条件下での高分割融解を使用することより導かれる専用変数が含まれる)より設定してもよく、この場合、フィットは、2変数線形最小2乗問題へ還元される。
【0081】
熱力学に基づく非線形最小2乗(TMBNLS):6つの未知変数、cM、ΔHM、ΔSM、cW、ΔHW、ΔSWに関して、D(T)の最良の非線形最小2乗フィットを得る。
D(T)=cMD(ΔHM,ΔSM)+cWD(ΔHW,ΔSW)。
【0082】
ここで、D(ΔH,ΔS)は、2つの変数、ΔH及びΔSと特別な実験条件によって独自に決定される解析用ファントホッフ融解曲線の負の導関数である。このフィットは、レーベンバーグ・マルカートアルゴリズムを使用して実施する。
【0083】
熱力学に基づく最小2乗(TMBLS):2つの未知変数、cM、cWに関して、D(T)の最良の線形最小2乗フィットを得る。
D(T)=cMD(ΔHM,ΔSM)+cWD(ΔHW,ΔSW)。
【0084】
ここで、D(ΔH,ΔS)は、2つの変数、ΔH及びΔSと特別な実験条件によって独自に決定される解析用ファントホッフ融解曲線の負の導関数である。ΔHM、ΔSM、ΔHW、ΔSWという変数は、標準実験条件下での高分割融解を使用して得られる既知の4つ組変数を用いて、近傍合計を使用して特定する。このフィットは、2×2マトリックスシステムの正規方程式を使用して実施する。
【0085】
好ましい態様を参照にして、本発明を詳しく記載したが、以下の特許請求項において記載されて規定される本発明の範囲及び精神内には、種々の変形態様及び修正態様が存在する。
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願番号61/112,495及び61/117,371に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
ヒトゲノムプロジェクトは、ヒトDNAのほとんどの領域を配列決定することに成功した。疾患に関連した遺伝子及び配列変化を同定する作業が速いペースで進行している。連鎖試験を使用して単純な配列反復又は一塩基多型(SNP)のような遺伝子マーカーと表現型を関連付けて、候補遺伝子が同定されている。それで、ミスセンス、フレームシフト、又はスプライシング変異を引き起こす、SNP、挿入、及び欠失が含まれる配列変化を使用して、原因となる突然変異の遺伝子及び範囲が特定される場合がある。
【0003】
しかしながら、遺伝子の詳細が分かったときでも、大抵はDNAを解析する方法が高価で複雑であるために、この知識を常套的な医療行為に使用することは難しい。費用が著しく下がって、この方法が劇的に単純化されれば、DNA解析は、有効な疾患検出とより良い治療のために、日常の臨床実践における使用に利用可能になることが期待される。理想的なDNA解析は、迅速、単純で、安価である。
【0004】
疾患が限られた数の突然変異により引き起こされるとき、又はごく少数の配列変化が疾患症例の大きな比率を構成するときは、直接的な遺伝子型決定が実現可能である。従来の方法は、典型的なPCR産物の制限酵素消化から閉管蛍光法に及ぶ。DNA解析の閉管法は、実施するのが簡単であり得る。一度PCRを開始すれば、さらなる試薬の追加も分離も必要でない。しかしながら、ある対立遺伝子が少量で存在するとき、その対立遺伝子を検出することは、困難であり得る。
【0005】
現在、配列決定は、配列変異を同定するための黄金律である。たとえコストが減少しつつあるとしても、配列決定は、依然として複雑な方法であって、特定の遺伝子診断や薬理遺伝学へ応用されるときには、迅速でも、単純でも、安価でもない。標準的な配列決定には、7つの工程:1)PCRによる増幅、2)PCR産物の精製(clean up)、3)サイクル配列決定試薬の添加、4)ジデオキシ終結のためのサイクル配列決定、5)終結産物の精製、6)電気泳動による分離、及び7)データ解析が求められる。この複雑性は自動化することができて、ある配列決定センターでは、すでに自動化されているが、配列決定は、依然として、本発明の方法よりずっと複雑である。さらに、大量又は多数の遺伝子を解析するときは、配列決定した産物の90%以上が正常と帰着されるものである。その上、現行の配列決定法では、特に対立遺伝子が20%未満の対立遺伝子画分で存在しているとき、少量の対立遺伝子コピーを同定することができない。これらの少量コピー対立遺伝子の存在を同定することは、いくつかの状況において(具体的には、腫瘍試料や血液のような末梢体液におけるある種の癌遺伝子の突然変異又は変化の存在を同定するときに)重要である。このような対立遺伝子の存在又は非存在は(具体的には、一般的な体細胞突然変異(p53、EGFR、BRAF)の検出/確定と標準療法が禁忌となる突然変異体の細菌感染症(例、マラリア)の早期同定を伴う)、治療プロトコールの選択にとって特に重要であり得る。優勢的に野生型のバックグラウンドに対して低レベルの突然変異対立遺伝子が見出され得る他の例は、ミトコンドリアDNAと母胎循環内に存在する胎児DNAにおいてである。加えて、低レベルの後成的な突然変異の検出が望まれている。例えば、BRCA1プロモーターのメチル化が1〜10%で乳癌表現型と関連することが最近見出された(Snell et. al, 2008, Breast Cancer Research)。
【0006】
試料中の少数の対立遺伝子及び突然変異の比率を濃縮するためのPCRベースの技術が知られている。突然変異の遺伝子型が未知であるときは、COLD-PCRを使用することができる(Li J, et al., Nat Med 2008; 14:579-84)。この技術により、野生型に対して1:100の比までの突然変異対立遺伝子を検出することができる。しかしながら、それは非特異的であって、生じるあらゆる変異体を検出するので、その産物を同定するには、追加の分析が必要である。既知のSNPを濃縮するのに、最も一般的な技術には、ARMS(Newton CR, et al., Nucleic Acids Res 1989; 17:2503-16)、PNA媒介性PCR(Nielsen PE, et al, Science 1991 ;254: 1497-500; Dabritz J, et al., Br J Cancer 2005; 92: 405-12)、LNA媒介性WTB-PCR(Dominguez PL, Kolodney MS.「臨床標本より少数の単一ヌクレオチド突然変異を検出するための野生型ブロッキングポリメラーゼ連鎖反応(Wild-type blocking polymerase chain reaction for detection of single nucleotide minority mutations from clinical specimens)」Oncogene 2005; 24: 6830-4)、MAMA-PCR(Cha RS, et al., PCR Methods Appl 1992; 2: 14-20)、TaqMAMA(Li B, et al., Genomics 2004; 83: 311-20; Easterday WR, et al., Biotechniques 2005; 38: 731-5)、及びSCORPION(登録商標)プライマー(Whitcombe D, et al., Nat Biotechnol 1999; 17: 804-7)がある。これらの方法は、定量化サイクルにおける差(ΔCq)に注目して、対立遺伝子特異的PCRによって突然変異を検出して、野生型に対して1:1000の比の突然変異対立遺伝子を検出することができる。
【0007】
PCRアンプリコンをヘテロ接合配列変異体について走査する均質法として、高分割融解(high resolution melting)が導入された。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,387,887号及び7,582,429号を参照のこと。dsDNA飽和色素の使用に基づいて、高分割融解は、400 bpまでのアンプリコンにおいてSNPと挿入/欠失を99%より高い感度で検出することが可能である。2003年におけるその導入以来、少量のアンプリコン又は非標識プローブ(LUNAPROBESTM)を使用する既知の配列変異体の遺伝子型決定を含めて、高分割融解の追加の応用が開発されてきた。非標識プローブは、PCRの間での伸長を妨げるために、3’端でブロックされて、DNA飽和色素、具体的には、LCGREEN(登録商標)Plus(Idaho Technology,ユタ州ソルトレークシティ)を使用して、プローブ融解温度(Tm)に基づいて、対立遺伝子の遺伝子型を識別することができる。このプローブ配列は、いずれか一方の対立遺伝子へ適合するように設計し得て、完全適合と不適合プローブの間のΔTmを最大化することに基づく。非標識プローブの使用に関するさらなる情報については、すでに参照により組み込んだ、米国特許第7,387,887号を参照のこと。
【0008】
プローブそのものを使用して、低画分の対立遺伝子の増幅を偏らせ得ることが見出された。以下の実施例1〜5では、非標識プローブを使用して提示する。実施例6〜8では、スナップバック(Snapback)プライマーを使用して提示する。スナップバックプライマーでは、プライマーは、標的核酸の遺伝子座に特異的なプローブエレメントと、鋳型特異的プライマー領域を含み、ここでプローブエレメントは、鋳型特異的プライマー領域の5’である。増幅後、プローブエレメントは、その遺伝子座へハイブリダイズして分子内反応においてヘアピンを形成しても、その相補鎖へ分子間反応においてハイブリダイズしてもよい。このように、スナップバックプライマーは、プローブエレメントを、プライマーと同じオリゴヌクレオチドへ取り込む。スナップバックプライマーは、標識してよいが、それらはしばしば、非標識プローブと同様のやり方で、非標識で使用される。スナップバックプライマーの詳細な考察については、その全体が本明細書に組み込まれる、WO2008/109823(PCT/US08/56217)を参照のこと。
【0009】
本発明では非標識プローブと非標識スナップバックプライマーを使用するが、プローブはまた、標識されてもよいと理解される。非標識プローブを使用するとき、それらは、dsDNA結合色素より十分な蛍光シグナルを産生するために、他のプローブ(しばしば、25〜30 bp)より幾分大きい傾向があり、この長さの故に、それらは、不適合な対立遺伝子の増幅を選好的に偏らせるのに十分適している。プローブ(非標識プローブ、スナップバックプローブエレメント、又は他のプローブのいずれであれ)は、より高い画分の対立遺伝子に適合して、「対立遺伝子増幅バイアス」は、PCRのアニーリング温度(又は、使用されるならば、伸長温度)を完全適合のTmと不適合なプローブのTm未満のどこかの間のどこか(具体的には、2つの対立遺伝子の融解ピークがどのくらい重なるかに依存して、より低画分の対立遺伝子のTm、又は2つのTm間のほぼ中間)に設定することによって、経験的に決定される。この中間Tmアニーリング温度では、完全適合のプローブは、その標的(しばしば、野生型対立遺伝子)へ結合していて、増幅を遅らせるほどに十分安定している。1つの態様では、標的アニーリング温度の厳密性を支援して、野生型対立遺伝子の増幅を妨げるために、LIGHTSCANNER(登録商標)32(「LS32」、Idaho Technology 社)で実施する迅速サイクルPCRを使用したが、他の機器も好適であり得ると理解される。プローブ消化を回避して、より低いTmの対立遺伝子の増幅に偏らせることを促進するのに、エクソ-ヌクレアーゼも使用してよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO2008/109823
【特許文献2】米国特許第7,387,887号
【特許文献3】米国特許第7,582,429号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Snell et. al, 2008, Breast Cancer Research
【非特許文献2】Li J, et al., Nat Med 2008; 14:579-84
【非特許文献3】Newton CR, et al., Nucleic Acids Res 1989; 17:2503-16
【非特許文献4】Nielsen PE, et al, Science 1991 ;254: 1497-500
【非特許文献5】Dabritz J, et al., Br J Cancer 2005; 92: 405-12
【非特許文献6】Dominguez PL, Kolodney MS. Oncogene 2005; 24: 6830-4
【非特許文献7】Cha RS, et al., PCR Methods Appl 1992; 2: 14-20
【非特許文献8】Li B, et al., Genomics 2004; 83: 311-20
【非特許文献9】Easterday WR, et al., Biotechniques 2005; 38: 731-5
【非特許文献10】Whitcombe D, et al., Nat Biotechnol 1999; 17: 804-7
【発明の概要】
【0012】
従って、本明細書において対立遺伝子増幅バイアスについて記載する。
本発明の1つの側面では、生体試料の増幅及び対立遺伝子検出のための方法を提供し、ここで生体試料は、標的核酸の第一対立遺伝子及び第二対立遺伝子を含み、第一対立遺伝子は、第二対立遺伝子より高い濃度で存在し、該方法は、標的核酸の増幅のために構成される耐熱性ポリメラーゼ、プローブ、及びプライマー対を生体混合物へ加える工程(ここで、プローブは、標的核酸へハイブリダイズするように構成されて、プローブは、第一対立遺伝子へハイブリダイズするときに第一Tmを有して、第二対立遺伝子へハイブリダイズするときに第二Tmを有し、ここで第一Tmは、第二Tmより高い)、生体混合物中の標的核酸を変性温度とアニーリング温度の間のサーマルサイクリングによって増幅する工程(ここでアニーリング温度は、第一Tm未満である)、及び第一対立遺伝子と第二対立遺伝子を検出する工程を含んでなる。
【0013】
例示の態様において、そのサイクリングは、少なくとも4℃/秒、そしてより具体的には、少なくとも6℃/秒のランプ速度で実施する。他の例示の態様において、第一対立遺伝子と第二対立遺伝子は、融解曲線解析を使用して検出される。1つの具体例において、融解曲線解析には、飽和色素と非標識プローブを使用する高分割融解が含まれる。
【0014】
別の例示の方法では、スナップバックプライマーを使用する、生体試料の増幅及び対立遺伝子検出を提供し、ここで生体試料は、標的核酸の第一対立遺伝子及び第二対立遺伝子を含み、第一対立遺伝子は、第二対立遺伝子より高い濃度で存在し、該方法は、耐熱性ポリメラーゼ、第一プライマー、及び第二プライマーを生体試料へ加える工程(このプライマーは、標的核酸を増幅するように構成されて、ここで第一プライマーは、標的核酸の遺伝子座に特異的なプローブエレメントと鋳型特異的プライマー領域を含み、ここでプローブエレメントは、鋳型特異的プライマー領域の5’であり、ここでプローブエレメントは、標的核酸へハイブリダイズするように構成されて、プローブエレメントは、第一対立遺伝子へハイブリダイズするときに第一Tmを有して、第二対立遺伝子へハイブリダイズするときに第二Tmを有し、ここで第一Tmは、第二Tmより高い)、生体混合物中の標的核酸を変性温度とアニーリング温度の間のサーマルサイクリングによって増幅する工程(ここでアニーリング温度は、第一Tm未満である)、及び第一対立遺伝子と第二対立遺伝子を検出する工程を含んでなる。
【0015】
なお別の態様では、本明細書に記載の方法のためのキットを提供する。このキットは、プライマー、追加のプローブエレメント(スナップバックプライマーの一部として、又は別のプローブとして)を含み、ポリメラーゼ、dNTP、蛍光色素、及びPCR緩衝液の1以上を含有してよい。
【0016】
なお別の態様では、対立遺伝子画分を決定するための方法を提供する。
本発明の追加の特徴は、現在わかっているように本発明を行う最良の形式を具体化する好ましい態様についての以下の詳細な記載を考察すれば、当業者に明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、マラリア P. falciparum CRT遺伝子の非標識プローブ遺伝子型決定アッセイ(同一3検体で)からの結果を示す。(−−−−)試料は、野生型(3D7)であり、(------)試料は、突然変異体(7G8)であり、そして(-・-・-・-)は、3種の異なる突然変異体の試料(FCR3)を示す。
【図2】図2は、非標識プローブを使用する、正規化した微分ピークを示す。野生型対立遺伝子は、62℃のTmを有し、突然変異対立遺伝子は、54℃のTmを有する。58℃のアニーリング温度を使用して、50-50混合試料中の突然変異対立遺伝子の増幅を偏らせた。試料は、以下の通りであった:(-・・-・・-)=100%突然変異体、(------)=50%突然変異体、(―――――)=25%突然変異体、(――-――-)=12.5%突然変異体、(-・-・-)=6.25%突然変異体、(――--――)=3.13%突然変異体、(−−−−)=1.5%突然変異体、(-・-・-・-)=0.75%突然変異体。この増幅バイアスにより、突然変異対立遺伝子の約10倍でのより大きな分割と、0.7〜1.5%までの感度が可能になる。
【図3】図3は、図2に使用したのと同じマラリア標的において遅い(1.5〜2.0℃/秒)サーマルサイクラーと8つの異なるアニーリング温度を使用して、対立遺伝子増幅バイアスを不成功に試みた結果を示す(野生型3D7株(----)、突然変異体の7G8株(-・-・-・-)、及び対立遺伝子比が等しいヘテロ接合体(------))。
【図4a】図4aは、8つの異なるアニーリング温度とエクソ+ポリメラーゼ(図4a)を使用する対立遺伝子増幅バイアスの不成功の結果と成功の結果を示す(野生型(----)、突然変異体(-・-・-・-)、及び対立遺伝子比が等しいヘテロ接合体((------)変化するアニーリング温度で、そして(-・・-・・-)69℃のアニーリング温度で))。
【図4b】図4bは、8つの異なるアニーリング温度とエクソ-ポリメラーゼ(図4b)を使用する対立遺伝子増幅バイアスの不成功の結果と成功の結果を示す(野生型(----)、突然変異体(-・-・-・-)、及び対立遺伝子比が等しいヘテロ接合体((------)変化するアニーリング温度で、そして(-・・-・・-)69℃のアニーリング温度で))。
【図5a】図5aは、遅い(1.5〜2.0℃/秒)サーマルサイクラーとアニーリング温度の勾配を使用する、PAH遺伝子のエクソン11の対立遺伝子増幅バイアス法の結果を示す(高いTmのホモ接合体(-・-・-・-)、ヘテロ接合体(50:50混合)(------)、低いTmのホモ接合体(----)):図5aは、全体の微分融解曲線を示す。
【図5b】図5bは、遅い(1.5〜2.0℃/秒)サーマルサイクラーとアニーリング温度の勾配を使用する、PAH遺伝子のエクソン11の対立遺伝子増幅バイアス法の結果を示す(高いTmのホモ接合体(-・-・-・-)、ヘテロ接合体(50:50混合)(------)、低いTmのホモ接合体(----)):図5bは、正規化したプローブ融解ピークを示す。
【図5c】図5cは、遅い(1.5〜2.0℃/秒)サーマルサイクラーとアニーリング温度の勾配を使用する、PAH遺伝子のエクソン11の対立遺伝子増幅バイアス法の結果を示す(高いTmのホモ接合体(-・-・-・-)、ヘテロ接合体(50:50混合)(------)、低いTmのホモ接合体(----)):図5cは、アニーリング温度だけに基づいて、差示的なプローブ:標的安定性には基づかない変動を表示する増幅曲線を示す。
【図6a】図6aは、60℃のアニーリング温度での速いサイクリング機器でのPAH遺伝子のエクソン11の増幅を示す(高いTmのホモ接合体(-・-・-・-)、ヘテロ接合体(50:50混合)(------)、低いTmのホモ接合体(----)):図6aは、全体の微分融解曲線を示す。
【図6b】図6bは、60℃のアニーリング温度での速いサイクリング機器でのPAH遺伝子のエクソン11の増幅を示す(高いTmのホモ接合体(-・-・-・-)、ヘテロ接合体(50:50混合)(------)、低いTmのホモ接合体(----)):図6bは、正規化したプローブ融解ピークを示す。
【図6c】図6cは、60℃のアニーリング温度での速いサイクリング機器でのPAH遺伝子のエクソン11の増幅を示す(高いTmのホモ接合体(-・-・-・-)、ヘテロ接合体(50:50混合)(------)、低いTmのホモ接合体(----)):図6cは、増幅曲線を示す。
【図7a】図7aは、62℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図7b】図7bは、62℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図7c】図7cは、62℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図8a】図8aは、64℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図8b】図8bは、64℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図8c】図8cは、64℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図9a】図9aは、65℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図9b】図9bは、65℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図9c】図9cは、65℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図10a】図10aは、67℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図10b】図10bは、67℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図10c】図10cは、67℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図11a】図11aは、68℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図11b】図11bは、68℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図11c】図11cは、68℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図12a】図12aは、69℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図12b】図12bは、69℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図12c】図12cは、69℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図13a】図13aは、70℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図13b】図13bは、70℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図13c】図13cは、70℃のアニーリング温度を使用すること以外は、図6a〜図6cと同様である。
【図14A】図14Aは、異なる変性温度を使用する、法医学的なSNP rs 1490413A/Gアンプリコンの融解を示す((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図14B】図14Bは、異なる変性温度を使用する、法医学的なSNP rs 1490413A/Gアンプリコンの融解を示す((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図14C】図14Cは、異なる変性温度を使用する、法医学的なSNP rs 1490413A/Gアンプリコンの融解を示す((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図14D】図14Dは、異なる変性温度を使用する、法医学的なSNP rs 1490413A/Gアンプリコンの融解を示す((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図15A】図15Aは、異なるアニーリング温度を使用すること以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図15B】図15Bは、異なるアニーリング温度を使用すること以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図15C】図15Cは、異なるアニーリング温度を使用すること以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図15D】図15Dは、異なるアニーリング温度を使用すること以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図16A】図16Aは、異なる伸長温度を使用すること以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図16B】図16Bは、異なる伸長温度を使用すること以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図16C】図16Cは、異なる伸長温度を使用すること以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図16D】図16Dは、異なる伸長温度を使用すること以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図17A】図17Aは、異なる伸長時間を使用すること以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図17B】図17Bは、異なる伸長時間を使用すること以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図18A】図18Aは、異なるマグネシウム濃度を使用すること以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図18B】図18Bは、異なるマグネシウム濃度を使用すること以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図18C】図18Cは、異なるマグネシウム濃度を使用すること以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=1A:10G;(------)=1A:100G;(−−−−)=1A:1000G;(-・・-・・-)=A:G;(・・・・・・・・)=G;(――-――-)=A)。
【図19A】図19Aは、異なる長さを有するプローブエレメントを示すこと以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=A;(------)=G;(−−−−)=A:G)。
【図19B】図19Bは、異なる長さを有するプローブエレメントを示すこと以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=A;(------)=G;(−−−−)=A:G)。
【図19C】図19Cは、異なる長さを有するプローブエレメントを示すこと以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=A;(------)=G;(−−−−)=A:G)。
【図19D】図19Dは、異なる長さを有するプローブエレメントを示すこと以外は、図14A〜図14Dと同様である((――――)=A;(------)=G;(−−−−)=A:G)。
【図20A】図20Aは、図20Aと同様の同一3検体の試行を示す((――-――-)=1:10000;(・・・・・・・・)=1:1000;(-・・-・・-)=1:100;(−−−−)=1:10;(------)=A:G;(――――)=G;(・・・・・・・・)=A)。図20Aは、プローブエレメントの融解を示す。
【図20B】図20Bは、図20Aと同様の同一3検体の試行を示す((――-――-)=1:10000;(・・・・・・・・)=1:1000;(-・・-・・-)=1:100;(−−−−)=1:10;(------)=A:G;(――――)=G;(・・・・・・・・)=A)。図20Bは、アンプリコン全体の融解を示す。
【図21A】図21Aは、スナップバックプライマーを使用する増幅に続く、B-raf突然変異V600Eアンプリコンの融解を示す((――-――-)=野生型;(-・・-・・-)=B-raf突然変異;(――――)=1:1000;(------)=1:100;(・・・・・・・・)=1:10;(−−−−)=1:1)。図21Aは、プローブエレメントの融解を示す。
【図21B】図21Bは、スナップバックプライマーを使用する増幅に続く、B-raf突然変異V600Eアンプリコンの融解を示す((――-――-)=野生型;(-・・-・・-)=B-raf突然変異;(――――)=1:1000;(------)=1:100;(・・・・・・・・)=1:10;(−−−−)=1:1)。図21Bは、アンプリコン全体の融解を示す。
【図22】図22は、B-raf突然変異の盲検試験の融解結果を示す。
【図23】図23は、スナップバックプライマーを使用する増幅に続く、EGFRエクソン19欠失の融解曲線解析を示す((――――)=野生型;(-・・-・・-)=欠失;(−−−−)=1:1;(―-――-)=1:10;(・・・・・・・・)=1:50;(――-――-)=1:100;(・・・・・・・・)=1:1000;(-・-・-・-)=1:5000;(−−−−)=1:10000)。
【図24】図24は、3つの試料:野生型、DW(T)、ホモ接合突然変異体、Dm(T)、及び画分混合試料、Df(T)の正規化融解曲線の負の導関数を示す。対立遺伝子ピークのより低い温度とより高い温度、TLとTHをともに示す。大きさの差:a〜eを使用して、重み係数、wL=a/(a+b)及びwH=b/(a+b)を用いて、2つの対立遺伝子画分推定値、f(TL)=a/d及びf(TH)=c/eの加重平均として突然変異対立遺伝子画分:Fmを計算する。次いで、突然変異対立遺伝子画分は、Fm=wLf(TL)+wHf(TH)=(a2e+bcd)/(de(a+b))として計算する。
【図25】図25は、突然変異体(又はマイナー)対立遺伝子と野生型(又はメジャー)対立遺伝子の両方へのミスマッチがあるスナップバックプローブエレメントを図示する。PCR伸長条件を慎重に選択すれば、ポリメラーゼは、不安定化した突然変異体のヘアピンを自由に伸長させるが、野生型の伸長は妨害されて、突然変異対立遺伝子の濃縮をもたらす。
【図26】図26a〜図26bは、5’-エクソヌクレアーゼ陰性ポリメラーゼとスナップバックプライマーPCRを使用する対立遺伝子濃縮に対する、伸長時間(図26a)及びMg++濃度(図26b)の効果を示す。マイナー対立遺伝子の比は、1:100(丸印)又は1:1000(三角形)のいずれかであった。図26aにおいて、野生型プローブのTmは75℃であるので、70℃の伸長温度を選択して、伸長時間は0〜20秒の間で変化させ、1.2 mMのフリーMg++濃度であった。図26bにおいて、使用したフリーMg++濃度は、0.8 mM、1 mM、1.2 mM、1.7 mM、及び2.2 mMであり、野生型プローブのTmは、それぞれ73℃、74℃、75℃、76℃、及び77℃であって、伸長温度は70℃、0秒間であった。伸長時間が短いほど、そしてMg濃度が低いほど、より高い突然変異対立遺伝子画分が得られた。実験は、同一3検体で実施して、標準偏差を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
対立遺伝子増幅バイアスを用いない突然変異対立遺伝子の検出感度は、約5%であるとかつて決定された(Wall, M, et al., American Society of Human Genetics, 2007)。本研究では、非標識プローブの使用とLIGHTSCANNERプレートベースの機器(Idaho Technology,ユタ州ソルトレークシティ)での高分割融解を伴った。いくつかの一般的な多型を標的として選択して、非標識プローブアッセイを開発して、いくつかのランダムDNA試料の遺伝子型を確認した。それぞれの遺伝子座について、可能な遺伝子型のそれぞれを表す3つの試料を選択した。ホモ接合型の遺伝子型を表す2つの試料を定量して、以下の比で混合した:95:5、90:10、75:25、50:50、25:75、10:90、及び5:95。非標識プローブの融解プロフィールを微分ピークへ変換して、このプローブの各融解温度でのピーク高さを計算した。この研究では、両方の対立遺伝子について5%までの対立遺伝子画分の識別が可能であった、しかしながら、対立遺伝子を5%未満の画分で識別することは、困難であった。
【0019】
LIGHTSCANNER 32(LS32)は、迅速なPCR、リアルタイムモニタリング、及び高分割融解を組み込んだ新しいハイブリッド機器である。PCRと融解プロファイリングによる解析を同じ機器において一貫的に実施する。飽和させるdsDNA結合色素、具体的にはLCGREEN Plusでの融解プロファイリングにより、断片、具体的には40〜1000 bp(塩基対)における配列変異が同定される。さらに、具体的には、LCGREEN色素と非修飾オリゴヌクレオチドプローブ又はスナップバックプライマーを使用して、部位特異的な遺伝子型決定も実施することができる(その全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO2008/109823を参照のこと)。SIMPLEPROBE、TAQMAN、HYBPROBEのような他のプローブ系も使用してよく、当該技術分野では、他のプローブ系も知られている。他の例示のプローブ系には、対立遺伝子間にTmの差があるように鋳型鎖へのその親和性において配列依存的で特異的である、PNA、LNA、又はあらゆる合成塩基類似体含有プローブ、ビオチン標識化、又はあらゆるハイブリダイズ性のタンパク質/核酸、又は巨大分子又は構造が含まれる。さらに、本発明の非標識プローブの例では、より長い非標識プローブを使用したが、2つの対立遺伝子間のTmにおける好適な差をもたらすには、変動する長さのプローブを使用してよい。アンプリコン融解プロファイリングとプローブベースの解析を同じ試行において同時に実施してよい。LS32は、PCRと高分割融解プロファイリングを統一された手間いらずの(walk-away)システムへ自動化する。
【0020】
高分割DNA融解解析は、2003年に開発された(例えば、すでに参照により組み込まれた、米国特許第7,387,887号及び7,583,429号を参照のこと)。この名称から示唆されるように、それは、DNAを加熱して、DNAの二重らせんが2つの一本鎖へ解離する(又は「融解する」)ときのシグナルを記録する方法である。DNAがどのように融解するかは、標本のDNA配列に厳密に依存する。飽和色素を利用すると、長さが800塩基を超える断片であっても、DNA配列中の単一位置が異なる試料間の差を識別することができる。
【0021】
高分割融解は、強力な遺伝子解析技術である。高分割融解の利点には、以下が含まれる:
・すべてが溶液中で行われる(この方法は、物理的な分離を必要としない)、
・このシステムは、閉管である(混入リスクがない)、
・PCR自体のコストよりほとんど追加コストがない(標識化プローブを使用してよいが、実質的にコストに加わる)、及び
・本方法は、単純である(自動化、試薬追加、又は中間体精製の必要がない)。
【0022】
LS32は、32までの試料の迅速PCRと高分割融解を統合して、15分未満での増幅と、それに続く自動の高分割融解を可能にする。迅速なサイクリングに続く高分割融解をするのに他のシステムが利用可能であり、本開示によって考慮されるが、LS32は、本方法に十分適していて、本発明の実施例の多くにおける例示の機器として使用される。
【0023】
実施例1.高分割融解を使用する遺伝子型決定
以下のプライマー及びプローブを使用して、マラリア P. falciparum のCRT遺伝子を増幅した:
pfCRT Fwd-5’TTCTTGTCTTGGTAAATGTGCTCA(SEQ ID NO: 1)
pfCRT Rev-5’CGGATGTTACAAAACTATAGTTACCAAT(SEQ ID NO: 2)
pfCRT プローブ-5’GTGTATGTGTAATGAATAAAATTTTTG-C3ブロッカー(SEQ ID NO: 3)
このプローブでは、下線を施した塩基がSNP部位であり、示す塩基は、野生型に適合している。5つのSNP部位を示すが、本試験では4つだけを使用した。
【0024】
マラリア P. falciparum のCRT遺伝子の3D7(野生型)と2つの突然変異株(7G8及びDd2)に対して、95℃で30秒のイニシャルホールドに95℃で2秒間、58℃で15秒間の55サイクルを続けて増幅を実施し、ランプ速度は、ほぼ4〜6℃/秒で測定した。サーマルサイクリングに続いて、試料を95℃で2秒間保持してから、10℃/秒の冷却ランプ速度で、40℃へ30秒間冷やした。融解は、45℃〜88℃であって、0.3℃/秒のランプ速度と連続取得を伴った。プローブ融解の結果を図1に示す(アンプリコン融解は、示さず)。プローブは、各遺伝子座(コドン72、75、及び76)で野生型対立遺伝子への完全適合物として設計する。従って、試料3D7(−−−−)は、このプローブで可能な最高の融解ピーク(Tm)を示す。試料7G8(------)は、このプローブへ72(TTミスマッチ)と76(CTミスマッチ)で不適合である。試料Dd2、V1/S、及びFCR3(-・-・-・-)は、すべて同じ遺伝子型であり(下記の配列決定結果を参照のこと)、このプローブへ75(GT及びAAミスマッチ、コドン75の第一及び第三塩基)及び76(CTミスマッチ)で不適合である。ある試料がこのプローブと唯1つの塩基部位で不適合であれば、融解ピークは、(------)ピークと(−−−−)ピークの間のどこかになろう。ある試料がこれら部位の4つのすべてで不適合であれば、その融解ピークは、(-・-・-・-)ピークより低いと予測されよう。
【0025】
実施例2.低い対立遺伝子画分の検出
上記に記載のプライマー及びプローブを使用して、マラリア P. falciparum のCRT遺伝子を増幅した。上記からの様々な比率の野生型及び7G8突然変異体を含有する混合物を調製した。
【0026】
非標識プローブで観測されたTm(野生型と突然変異対立遺伝子で、それぞれ62℃と54℃)に基づいて58℃のアニーリング温度(低いTm+1/2ΔTm)を使用して、希釈系列の混合試料において、突然変異対立遺伝子の対立遺伝子増幅バイアスを引き起こした。LS32で迅速なサイクリング(ランプ速度:6〜10℃)を実施して、この結果を図2に示す。このプロトコールは、ほぼ10倍の対立遺伝子増幅バイアスをもたらして、これにより突然変異対立遺伝子の0.75〜1.5%までの識別が可能になった。さらなる実験によりこの知見を確認して、ほぼ0.1%までの識別が可能となった。2つのTm間のほぼ中間のアニーリング温度を使用したが、適合したプローブ:標的ハイブリッドと比べて、不適合なプローブ:標的を反比例的に不安定化するどのTmも使用し得ると理解される。このことは、各プローブの相対的なTm値、プログラムされたアニーリング温度、特に50℃〜80℃の温度範囲における転移速度、及びポリメラーゼの温度依存的な活性に依存して、いくつかの状況で起こる可能性がある。具体的には、アニーリング温度は、不適合なプローブ:標的ハイブリッドのより低いTmより少なくとも1℃、より具体的には少なくとも2.0℃高い。不適合な対立遺伝子に対するプローブのアニーリング温度か又はそれよりやや低いアニーリング温度により、対立遺伝子増幅バイアスをもたらすのに十分に、不適合なプローブ:標的結合を低下させ得ることも見出された。ある特別な理論に束縛されずに言えば、ポリメラーゼの活性は、結合したプローブ(本具体例では、野生型)によって損なわれるのに対して、より低いTmを有する対立遺伝子(本具体例では、突然変異体)の増幅は、損なわれずに進行し得ると予測される。実施例4に示すように、KLENTAQのようなエクソ-ポリメラーゼ(即ち、5’→3’エクソヌクレアーゼ活性を欠くポリメラーゼ)を使用することが好ましい。しかしながら、結合したプローブの存在によって妨害されるどのポリメラーゼも使用し得ると理解される。さらに、「妨害される」とは、増幅が起こり得るものの、適合した対立遺伝子の増幅効率より低下した効率で、具体的には10%以上低下して、より具体的には50%以上低下して起こり得ることを意味する。
【0027】
PCRのアニーリング温度を設定する同じアプローチを標準サーマルブロックサイクラー(1.5〜2.0℃のランプ速度)で実施したとき、この標的配列に対して、対立遺伝子増幅バイアスは、観測されなかった。これは、おそらく、アニーリング温度と変性温度の間での転移速度がより遅いために、野生型のTmよりやや高い温度での伸長に追加の時間をもたらすからであろう。従って、マイナー対立遺伝子を選好的に増幅する組合せのような、優性対立遺伝子に対するプローブのハイブリダイゼーションを選好的に偏らせるアニーリング温度、結合したプローブの存在によって妨害されるポリメラーゼ、及び十分に速やかに、具体的には、伸長に特化するホールドを伴わずに(しばしば72℃付近である)加熱するランプ速度の組合せが望まれる。
【0028】
実施例3.サーマルサイクリング・ランプ速度の効果
本実施例では、1.5〜2.0℃のランプ速度を有する従来のブロックサーマルサイクラーを使用した。図3は、エクソ-ポリメラーゼの存在下に、95℃で2分ホールドのイニシャル変性に続き、94℃30秒間、50℃と68℃の間(50℃、51.4℃、53.6℃、56.8℃、61.4℃、64.6℃、66.8℃、及び68℃)での30秒のプログラムされた勾配アニーリング工程の55サイクル[即ち、各試料は、94℃の変性温度と、様々なアニーリング温度の1つを使用してサイクル処理された]でのマラリアCRT遺伝子:野生型3D7株(−−−−)、突然変異体の7G8株(-・-・-・-)、及び対立遺伝子比が等しいヘテロ接合体(------)の増幅を示す。図3は、8つの異なるアニーリング温度を使用したにもかかわらず、ヘテロ接合体において、より低いTmの対立遺伝子の選好的な増幅の証拠がないことを示す。56.8℃と61.4℃(最大の対立遺伝子増幅バイアスがこの範囲にあると予測される)のアニーリング温度を使用して増幅した4つの試料を(-・・-・・-)として示すが、これは、他のヘテロ接合体から基本的に識別し得ない。
【0029】
さらなる実験は、これまで試験したほとんどすべてのアッセイで、6℃/秒のランプ速度が満足すべき結果をもたらすことを示した。個々のアッセイで変動し得るものの、ほとんどのアッセイで、少なくとも4℃のランプ速度が十分な速度であることが予測される一方で、多くのアッセイは、2.0℃以下のランプ速度では、対立遺伝子増幅バイアスを示すことができない可能性がある。その上、変性温度とアニーリング温度の間の冷却ランプ速度は、プログラムされたアニーリング温度に達する前に、プライマーがハイブリダイゼーションを開始するのに十分安定で、ポリメラーゼがより高い温度で伸長させるのに十分活性がある限りは、増幅バイアスを産生する場合があると理解される。
【0030】
実施例4.低い対立遺伝子画分の検出
エクソ+ポリメラーゼ(NEB Taq)の使用の効果を、エクソ-ポリメラーゼ(Klentaq+eEnzyme抗体)の使用と比較して試験した。p53エクソン8の99 bp断片を以下のプライマー及びプローブで増幅した:
p53x8 FWD:CTACTGGGACGGAACAGCTT(SEQ ID NO: 4)
p53x8 REV:GTGAGGCTCCCCTTTCTTG(SEQ ID NO: 5)
p53x8 prb1プローブ:TGAGGTGCgTGTTTGTGCCTGTC(SEQ ID NO: 6)
このプローブは、伸長をブロックする3炭素スペーサーを3’端に有して、約75℃の観測Tmを有する。上記に小文字の「g」として示すミスマッチ(G→T)を9番目の塩基に有する突然変異体は、約69℃の観測Tmを有する。図4aは、エクソ+ポリメラーゼの存在下に、95℃で2分ホールドのイニシャル変性に続き、94℃30秒間、63℃と73℃の間のアニーリング温度勾配(各試料は、やや異なるアニーリング温度を有する)で30秒、及び77℃で伸長の55サイクルでの、野生型(−−−−)、突然変異体(-・-・-・-)、及び対立遺伝子比が等しいヘテロ接合体((------)の増幅を示す。図4aは、8つの異なるアニーリング温度を使用したにもかかわらず、ヘテロ接合体において、より低いTmの対立遺伝子の選好的な増幅の証拠がないことを示す。(-・・-・・-)試料は、69℃アニールのアニーリング温度を有したが、それでも増幅バイアスを示さなかった。
【0031】
図4bは、エクソ-ポリメラーゼを使用することを除けば、図4の反応に類似した反応を示す。これらの実験は、併行して設定して、図4aに見られるのとまさに同じプロトコールで実施した。図4bに見られるように、突然変異対立遺伝子の増幅が有利である。このように、具体的には、エクソ-ポリメラーゼ、又はプローブのハイブリダイゼーションによって影響を受ける他のポリメラーゼが望まれる。(-・・-・・-)試料は69℃に対応し、これは、本実施例では、最良の対立遺伝子増幅バイアスをもたらす。
【0032】
実施例5.アニーリング温度の解析
本実施例では、アニーリング温度の効果について検討する。本実施例で使用する標的は、ヒトPAHエクソン11である。ヒトゲノムDNAを以下のプライマー及び非標識プローブとともに15 ng/反応の濃度で使用する。
【0033】
フォワードプライマー:AAGACAGCCATCCAAAATTACAC(SEQ ID NO: 7)
リバースプライマー:TTTGTCACCACCTCACCTTACTT(SEQ ID NO: 8)
プローブ:GAGTTCCAGCCCCTgTATTACGTG-C3ブロッカー(SEQ ID NO: 9)
上記のプライマーを使用する増幅は、105 bpのアンプリコンをもたらす。G/C SNP rs772897を小文字で示す。本実施例のすべてにおいて、高いTmのホモ接合体を(-・-・-・-)として示し、ヘテロ接合体(50:50ミックス)を(------)として示し、低いTmのホモ接合体を(−−−−)として示す。
【0034】
図5a〜図5cは、iCycler(Bio-Rad)での以下のサイクリング条件での増幅の結果を示す:
95℃で2分間のイニシャル変性に続く、94℃で30秒間とX℃で30秒間の55サイクル(ここでXは、60℃と72℃の間で1℃増分のアニーリング温度である;即ち、各試料は、94℃の変性温度と様々なアニーリング温度の1つを使用してサイクル処理した)、1.5及び2.0℃/秒の間のランプ速度。PCRの後で、95℃で30秒の融解に28℃で30秒間を続けて、ヘテロ二重鎖を産生する。生じるアンプリコンを、LIGHTSCANNERにおいて標準加熱速度で45℃〜95℃の融解で、融解させた。図5bに見られるように、どのアニーリング温度を使用するかにかかわらず、ヘテロ接合体は、いずれも、2つの概して均等な融解ピークをもたらし、より低いTmを有する対立遺伝子の方へのバイアスがないことを示す。上記に考察したように、1.5〜2.0℃/秒のランプ速度は、あるアッセイではあまりに遅くて、非標識プローブがより高いTmの対立遺伝子から離れて融解することを可能にして、伸長を可能にする場合があると考えられている。図5cでの陰性対照(菱形)によって示されるように、このアッセイでは非特異的な増幅がいくらか生じることが注目される。この非特異的な増幅は、通常、増幅曲線における遅延した交点とより低い蛍光、並びに微分融解曲線における適切な融解ピークの不足をもたらす。
【0035】
図6a〜図6cは、60℃のアニーリング温度を使用する、同じ標的のほぼ4〜6℃/秒の増幅ランプ速度での迅速サイクリング増幅の結果を示す。より低いTmの対立遺伝子が約67℃の観測Tmを有する一方、より高いTmの対立遺伝子は、約72℃の観測Tmを有する。このように、60℃のアニーリング温度は、より低いTmの対立遺伝子の融解ピークの最下端であり、より高いTmの対立遺伝子のピーク全体よりずっと下にある。図6bに見られるように、低いTmのホモ接合体とヘテロ接合体は、ほとんど同一の融解曲線を示し、高いTmのホモ接合体は、ほとんど非特異的な増幅を示し、より低いTmの対立遺伝子が、高いTmの対立遺伝子のほとんどすべての増幅が消失するほどに、完全に有利であることを示唆する。
【0036】
図7a〜図7cは、62℃のアニーリング温度を使用する、同様の結果を示す。しかしながら、低いTmのホモ接合体とヘテロ接合体がほとんど同一の融解曲線を示すものの、ヘテロ接合体では、ごく小さなピークが70℃で見られて、高いTmのホモ接合体は、いくらかの増幅を示す。高いTmの対立遺伝子の交点は、約6.5サイクルだけシフトしている。高いTmの対立遺伝子の融解ピークの検証は、62℃での融解ピークの下に、わずかな領域があることを示す。ハイブリダイゼーションは動的平衡であるので、62℃であっても、高いTmの対立遺伝子から数パーセントのプローブが融解して、それにより最小限の増幅が可能になると考えられている。それでも、高いTmの対立遺伝子に対するプローブの結合がごく安定しているので、低いTmの対立遺伝子の増幅がきわめて有利である。
【0037】
図8a〜図8cは、64℃のアニーリング温度を使用する、同様の結果を示す。高いTmの対立遺伝子の増幅が遅延されるが、62℃のアニーリング温度ほど大きくはない(6.5サイクルに対して、約4サイクル)。ヘテロ接合体では、小さいが容易に識別可能な融解ピークが70℃にあり、ヘテロ接合体における、より高いTmの対立遺伝子のいくらかの増幅を示す。
【0038】
図9a〜図9cは、65℃のアニーリング温度での結果を示す。高いTmのホモ接合体の増幅は、約2.5サイクルしか遅延せず、ヘテロ接合体は、より明確なピークを70℃に示す。それでも、低いTmの対立遺伝子がきわめて有利である。
【0039】
図10a〜図10cは、67℃のアニーリング温度での結果を示す。このアニーリング温度は、2つのTm間のほぼ中間である。高いTmのホモ接合体の増幅は、約1.5サイクルしか遅延しない。ヘテロ接合体が融解ピークを70℃に明瞭に示すが、低いTmの対立遺伝子は、それでも有利である。
【0040】
図1la〜図11cは、68℃のアニーリング温度での結果を示す。高いTmのホモ接合体の増幅は、約0.6サイクルしか遅延しない。ヘテロ接合体は、融解ピークを70℃で明瞭に示すが、65℃でのピークは、依然としてより大きい。
【0041】
図12a〜図12cは、69℃のアニーリング温度での結果を示す。このアニーリング温度は、高いTmの対立遺伝子のTmより約1℃だけ低い。高いTmのホモ接合体の増幅は、約0.7サイクルしか遅延しない。それでも、融解ピークは、低いTmの対立遺伝子の増幅が依然として有利であることを示す。
【0042】
図13a〜図13cは、70℃のアニーリング温度での結果を示す。このアニーリング温度は、高いTmの対立遺伝子のTmとほぼ同じ温度である。高いTmのホモ接合体の増幅は、約0.4サイクルしか遅延しない。融解ピークは、低いTmの対立遺伝子の増幅がごくわずかに有利であることを示す。
【0043】
本実施例におけるプライマーのTmにより、70℃より有意に高いアニーリング温度を使用して増幅を得ることは困難である。それでも、プライマーを伸長してそのTmを高めれば、高い対立遺伝子のTmより高いがその付近のアニーリング温度は、低いTmの対立遺伝子の増幅に干渉しない一方で、高いTmの対立遺伝子の増幅には干渉すると予測される(但し、そのアニーリング温度は、高いTmの融解ピーク曲線の下である)。
【0044】
いくつかの態様では、ごく小さな対立遺伝子画分で存在し得る、低いTmの対立遺伝子の存在を検出することだけが望ましい場合がある。その場合は、図6b又は図6bに示すように、低いアニーリング温度が望ましいかもしれない。他の態様では、低いTmの対立遺伝子に有利であるが、それでも、より高いTmの対立遺伝子の増幅も可能にするアニーリング温度を選択することが望ましいかもしれない。そのような態様では、図9b又は図10bに示すように、低いTmの対立遺伝子のTmでのアニーリング温度、又はそれよりわずかに高いアニーリング温度が望ましいかもしれない。特定のアッセイに依存して、他の度合いの対立遺伝子バイアスが望まれる場合がある。
【0045】
1つの態様では、突然変異対立遺伝子のTmを使用して、試料を50:50の野生型:突然変異ミックスで操作することによって、特別なアッセイのアニーリング温度を決定する。対立遺伝子増幅バイアスが存在するならば、WT(野生型)ピークの減少が観測されよう。WTピークが有意に減少しなければ、アニーリング温度を具体的には2℃の増分で(但し、他の増分も使用し得る)低下させてよく、WT対立遺伝子の完全な消失が生じるまで、この試料混合物を再操作する。この消失温度よりやや高いアニーリング温度を使用することがしばしば望ましい。このように、最適化アニーリング温度は、具体的には、この消失温度より2℃高い場合がある。アニーリング温度の適正性は、WT対立遺伝子の存在下での突然変異対立遺伝子の連続希釈を所望の感度レベルまで使用して、確かめることができる。
【0046】
実施例6.スナップバックプライマーを使用する対立遺伝子増幅バイアス
本実施例では、A/G変異があるrs149041370のSNPを使用して、スナップバックプライマーでの対立遺伝子濃縮を検討する。
【0047】
Puregen(Gentra Systems)からのDNA単離キットを使用することによって、ヒト血液よりDNAを抽出した。NanoDrop(Thermo Scientific)とPCR交点によってDNA濃度を定量した。同一のPCR交点は、DNA鋳型の同一の濃度を示すと理解されている。以下のプライマーを使用した:
フォワードプライマー:AGCTCAGAACTGCCTGGTGT(SEQ ID NO: 10)
リバースプライマー:acGTTCTTTGCAGAACTGGCTGGtctctgggctgtccacacctgaa(SEQ ID NO: 11)。
【0048】
プローブエレメントは、リバースプライマーにおいて大文字で示し、SNP部位は、その中で下線を施して示す。プライマーは、リバースプライマーの3’端にある23 bp切片である。リバースプライマーの5’端に小文字で示す2つの塩基は、不適合であって、プローブエレメントが相補体アンプリコンにおいて結合しているときに、伸長を妨げる。リバースプライマーのテールは、G対立遺伝子の完全な相補体である。アンプリコンサイズは、133 bpである。
【0049】
1.5、2、又は3ミリモル/L MgCl2、50ミリモル/Lトリス(pH8.3)、500 mg/Lウシ血清アルブミン、200マイクロモル/Lの各dNTP、0.4単位のKLENTAQポリメラーゼ(AB Peptides)、64 ng/μl Ati-Taqモノクローナル抗体(eENZYME)、0.5×LCGREEN Plus、0.05μmフォワードプライマー、0.5μmスナップバックプライマー(リバース)、及び50 ngヒトゲノムDNAを含有する10μl反応量において、PCRを実施した。LIGHTCYCLER(ロシュ)において、95℃(0秒ホールド)での変性、63℃(0ホールド)でのアニーリング、及び63℃(2秒ホールド)での伸長の70サイクルでPCRを実施した。次いで、PCRの後で、毛細管の試料をLIGHTCYCLERより取り出し、高分割融解機器HR-1(Idaho Technology)に入れて、60℃から92℃まで、0.5℃/秒のランプで融解させた。LIGHTCYCLERを使用するこのPCR法にHR-1での融解を続けることは、LS32における増幅とPCR後の融解に等しいと理解される。LIGHTCYCLERにおけるランプ速度は、LS32機器の迅速サイクリングに匹敵する。
【0050】
指数バックグラウンド除去(参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願番号2009-0222503を参照のこと)を使用して融解曲線を正規化して、Savitzky-Golay フィッティング(Palais R, Wittwer CT. Methods Enzymol 2009; 454: 323-43)を使用して、導関数を計算した。1つの態様では、図24に例示するように、特別なプロトコールの対立遺伝子画分を重み付きピーク高さによって計算する。具体的には、DW(T)は、野生型試料の正規化融解曲線の負の導関数であり、Dm(T)は、50:50ホモ接合体-突然変異体試料の正規化融解曲線の負の導関数であり、Df(T)は、この2つの画分混合物の正規化融解曲線の負の導関数である。スナップバックプローブエレメントが野生型対立遺伝子に適合すれば、Dm(T)は、ピークを低い温度TLに有して、DW(T)は、ピークを高い温度THに有して、TL<THである。Df(T)は、典型的には、不適合な対立遺伝子のTLでの融解と、適合した対立遺伝子のTHでの融解に対応する2つのピークを明示する。突然変異対立遺伝子画分は、Fm=wLf(TL)+wHf(TH)[ここでwLとwHは、重みであり、f(TL)とf(TH)は、各温度ピークでのそれぞれの推定値である]として、2つの推定値の加重平均として計算される。この重みは、より大きなピークを有利にする、非混合試料のベースライン上の混合試料の相対的な大きさによって決定される:wL=a/(a+b)、及びwH=b/(a+b)(図24)。個々の推定値、f(TL)及びf(TH)は、それぞれの温度で比例的に得られる:f(TL)=a/d、及びf(TH)=c/e。故に、Fm=(a2e+bcd)/(de(a+b))。ヘテロ接合体のピーク高さに影響を及ぼすようにプロトコールを変更すれば(例えば、アニーリング温度、Mg++濃度、伸長時間、等の変更)、a、b、c、d、及びeの値も変化して、この等式は、その特定の50:50ヘテロ接合体曲線の形状にも有効である。このように、この式は、それぞれの対立遺伝子の開始濃度に戻って計算する補正を提供する。本明細書に記載の態様のいずれにもよる対立遺伝子画分は、この方法や、希釈系列への比較によるような他の方法を使用して、計算し得ると理解される。当該技術分野では、他の方法も知られている。参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願番号2003-0104438を参照のこと。対立遺伝子画分を計算する方法についてのさらなる情報を以下の実施例9に提示する。
【0051】
PCRの間の稀な対立遺伝子の濃縮への効果
1.変性温度:95℃、90℃、89℃、又は88℃の変性温度でPCRを実施した。図14A〜図14Dに見られるように、90℃に対する95℃の変性温度は、ミスマッチピークを濃縮することに影響を及ぼさなかった。88℃は、あまりに低い変性温度であって、鋳型は十分増幅しなかった。
【0052】
2.アニーリング温度:図15A〜図15Dにおいて、変性温度は95℃に維持して、伸長を76℃に維持し、一方、アニーリング温度は、55℃、58℃、61℃、又は63℃であった。非標識プローブで見出されるように、アニーリング温度は、伸長温度を適合した対立遺伝子のTm付近に維持するとき、対立遺伝子増幅比に対して何ら影響を及ぼさなかった。
【0053】
3.伸長温度:図16A〜図16Dにおいて、変性温度は95℃に維持して、アニーリング温度を63℃に維持し、一方、伸長温度は、74℃、72℃、70℃、又は68℃であった。非標識プローブで見出されるように、伸長温度が(適合プローブのTm付近の温度に対して)より低いほど、増幅によりミスマッチ対立遺伝子がより多く濃縮される。
【0054】
4.伸長時間:図17A〜図17Bは、より短い伸長時間で、5秒から1秒へ減少させると、ミスマッチ対立遺伝子が有意に濃縮されたことを示す。68℃の伸長温度と1秒の伸長時間では、1:1及び1:10の混合物において、増幅産物は、ほとんどがA対立遺伝子となり、そして1:100の混合物において、増幅産物は、それぞれの対立遺伝子の約50%となる。1:1000の混合物は、純粋なG対立遺伝子とは、はっきり異なる。従って、対立遺伝子濃縮の度合いは、PCR伸長時間に強く関連している。図26aに要約されるように、伸長時間が20秒であるとき(慣用のPCRに典型的である)、1:1000(「突然変異」対「野生型」)の比の試料は、検出に十分なほどには濃縮されなかった。しかしながら、伸長時間を低下させるにつれて、これらの稀な対立遺伝子が容易に検出されるようになる。0秒の伸長時間という極端な場合、突然変異対立遺伝子の生じる画分は、0.1%(1:1000)から29%へ増加した。短い伸長時間での感度の向上には、PCRの完了を速める(具体的には、たった20〜25分、約20サイクルへ)というさらなる利点がある。
【0055】
5.Mg濃度:図18A〜図18Cにおいて、上記の工程4からのサイクリング条件を使用して、Mg濃度は、1.5 mM、2 mM、及び3 mMであった。最低のマグネシウム濃度(1.5 mM Mg緩衝液)は、1:1000混合物中のマイナー対立遺伝子の良好な増幅をもたらした。最高のマグネシウム濃度は、メジャー及びマイナーの対立遺伝子の本質的に均等な増幅をもたらすように見えた。図26bは、1:1000の比の「突然変異」対「野生型」の鋳型を用いて、フリーMg++濃度が2.2 mMから0.8 mMに及ぶ、さらなる試験について要約する。Mg++濃度を低下させるにつれて、見かけの突然変異画分は、検出不能から48%へ増加した。1つの説明は、より低いMg++濃度により、ヘテロ接合体の増幅が増加して、それによりヘテロ二重鎖の比を増加させるということであろう。もう1つの説明は、より低いMg++濃度では、突然変異対立遺伝子がヘアピンを形成しないので、それにより突然変異対立遺伝子がより容易に増幅することが可能になるということであろう。
【0056】
6.テール長さ:9 bp(Tm:64℃)、13 bp(Tm:72℃)、17 bp(Tm:74℃)、及び21 bp(Tm:77℃)を使用して、テール長さ(プローブエレメント)を変化させた。より長いテールは、より高いTmを有して、図19A〜図19Dに見られるように、より高いTmにより、ミスマッチ対立遺伝子が濃縮される。より短いテールを使用するときは、伸長温度を適合した対立遺伝子のTm未満へ下げることによって、マイナー対立遺伝子の濃縮を得ることが可能になる(但し、伸長温度は、ポリメラーゼの有効な温度未満へ低下させてはならない)。
【0057】
図14〜19に示す結果は、非標識プローブについて上記に示した結果と一致している。本実施例では、別々のアニーリング温度と伸長温度を使用したが、適合プローブエレメントの大部分又はすべてが結合していて、不適合なプローブエレメントの大部分が融解して離れるように伸長温度を選択したとき、不適合な対立遺伝子は、選好的に増幅される。図16は、伸長温度を下げるにつれて、不適合な対立遺伝子の増幅がますます有利になることを示す。さらに、本実施例では、スナップバックプライマーを用いると、短い伸長時間とより低いMg濃度により、図20に見ることができるように、1:1000又はさらに大きいDNA比でも解析し得るように、不適合な対立遺伝子の増幅が有利になることも見出された。これらの効果は、非標識プローブや、本発明による他のプローブでも見出されると予測される。
【0058】
特別な理論に束縛されずに言えば、スナップバックプライマーを使用する増幅は、非標識プローブに関して上記に考察した理由のために、不適合な対立遺伝子に有利であると考えられている。しかしながら、スナップバックプライマーは、分子内ループ構造を形成するので、適合プローブの切片は、別の標的配列との分子間相互作用において、又はそのループが下流にある(上記に考察したフォワードプライマーを使用するアンプリコンの増幅の場合のように)所で伸長に干渉するだけでなく、ループ化した増幅産物へのスナップバック(リバース)プライマーのアニーリングにも干渉すると考えられている。スナップバックプライマーによる対立遺伝子濃縮のあり得る機序を図25に示す。スナップバックプローブエレメントは、突然変異対立遺伝子に対して不適合であり、そのヘアピンを不安定化して、ポリメラーゼがその二次構造をほどいて、全長PCR産物の完全な伸長を可能にする(図25、左)。しかしながら、スナップバックプローブエレメントは、野生型対立遺伝子に対しては安全に適合して、より安定したヘアピンで伸長をブロックして、全長PCR産物の形成を妨げる(図25、右)。差示的な増幅は、単一のミスマッチより生じる相対的なヘアピン安定性に依存するので、濃縮の成功は、ポリメラーゼの転置(displacement)活性、ヘアピン安定性に対するアニーリング温度、及び伸長時間が含まれる増幅条件に依存する可能性がある。スナップバックプライマーは、非標識プローブのそれより大きい程度に、不適合な対立遺伝子の増幅を偏らせることが可能であり得ると考えられている。最後に、エクソ+ポリメラーゼは、非標識プローブとよりも、スナップバックプライマーを使用する対立遺伝子濃縮とより適合性があることが見出された。これは、プローブエレメントに対する5’ミスマッチによるものであろう。
【0059】
実施例7.スナップバックプライマーを使用する、盲検の腫瘍同定
甲状腺結節は、かなり一般的であり、女性の約5%と男性の1%で見出され、それによれば、90%より多くが良性の過形成結節又は濾胞状腺腫である。悪性腫瘍であれば、その診断は、通常、甲状腺乳頭癌、PTCである。しばしば、癌原遺伝子RET、チロシンキナーゼに関与する15種のキメラmRNAの1つがPTCの原因として言及される。甲状腺髄様癌と甲状腺乳頭癌は、ともに、RET遺伝子における活性化突然変異と厳密に結び付けられている。PTCの症例の20〜40%には、染色体の逆位又は転座によって引き起こされる、RETの再構成が存在している。しかしながら、最近、BRAF遺伝子の体細胞突然変異(c.1799T>A、バリンのグルタミン酸への置換、p.V600Eを引き起こす)が、甲状腺癌の80%より多くを生じる、PTCにおける最も一般的な変化として言及された。このアミノ酸置換は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路の構成的な活性化及び脱調節をもたらす。本実施例では、B-raf突然変異V600E(T→A)の点突然変異について検討する。
【0060】
Puregen(Gentra Systems)からのDNA単離キットを使用することによって、ヒト細胞系HTB-72(ATCC)よりB-raf V600Eホモ接合体突然変異DNAを抽出した。NanoDrop(Thermo Scientific)によってDNA濃度を定量して、PCR交点を使用することによって補正した。47対の検査済み腫瘍組織及び針穿刺(needle)甲状腺結節のDNA試料は、盲検用に、ARUP(ユタ州ソルトレークシティ)より提供された(Leslie R Rowe, et al. CytoJournal 2006, 3: 10)。実施例6と同じ表示法で、以下のプライマーを使用した:
フォワードプライマー:tgttttcctttacttactacacctcag(SEQ ID NO: 12)
リバースプライマー:aaTCTAGCTACAGTGAAATCTCGATGtcagtggaaaaatagcctcaattc(SEQ ID NO: 13)
アンプリコンサイズは、145 bpである。
【0061】
2ミリモル/L MgCl2、50ミリモル/Lトリス(pH8.3)、500 mg/Lウシ血清アルブミン、200マイクロモル/Lの各dNTP、0.4単位のKLENTAQポリメラーゼ(AB Peptides)、64 ng/μl Ati-Taqモノクローナル抗体(eENZYME)、0.5×LCGREEN Plus、0.05μmフォワードプライマー、0.5μmスナップバックプライマー(リバース)、及び50 ngヒトゲノムDNAを含有する10μl反応量において、PCRを実施した。LIGHTCYCLER(ロシュ)において、95℃(0秒ホールド)での変性、52℃(0ホールド)でのアニーリング、及び64℃(0秒ホールド)での伸長の70サイクルでPCRを実施した。次いで、PCRの後で、毛細管の試料をLIGHTCYCLERより取り出し、高分割融解機器HR-1に入れて、60℃から88℃まで、0.5℃/秒のランプで融解させた。
【0062】
比較のために、標準対称PCRにおいて同じフォワードプライマーを上記リバースプライマー由来のプライマーエレメント(tcagtggaaaaatagcctcaattc(SEQ ID NO: 14))とともに使用して、標準対称PCRにおいて183 bpのアンプリコンを増幅した。この標準PCRを使用すると、1:25の「B-raf突然変異」対「野生型」DNA比を検出し得るが、上記のパラグラフで概説したスナップバックプライマーPCRプロトコールでは、1:100を検出するほどにPCRを濃縮することができる(図21A〜図21B)。上記の結果を、配列決定を使用して確認した。
【0063】
盲検解析の後で、すべての試料は、スナップバックプライマーによって陽性であるが、ハイブリダイゼーションプローブによっては陰性である2つの試料を除いて、一致した。1つの針穿刺試料は、V600Eを1%未満の量で含有した。このような低頻度は、標準PCRによっては検出され得ないが、図22の(――-――-)ライン((−−−−)は、1:100の対照である)に見られるように、これは、スナップバックプライマー濃縮によって検出可能である。
【0064】
実施例8.スナップバックプライマーを使用する、小欠失の検出
小細胞肺癌(NSCLC)の患者では、表皮増殖因子受容体(EGFR)における体細胞突然変異が検出されて、薬物、ゲフィチニブ又はエルロチニブでの治療への感受性に関連付けられている。最も一般的な種類の体細胞EGFR突然変異の2つは、エクソン19の小欠失とL858Rの点突然変異(約85%を占める)である。本実施例では、EGFRエクソン19を使用して、スナップバックプライマー濃縮法により小欠失を検出することができることを示す。
【0065】
Puregen(Gentra Systems)からのDNA単離キットを使用することによって、ヒト細胞系CRL-5883(ATCC)より、EGFRホモ接合体の突然変異:E746-A750のDNAを抽出した。NanoDrop(Thermo Scientific)によってDNA濃度を定量して、PCR交点を使用することによって補正した。実施例6と同じ表示法で、以下のプライマーを使用した:
フォワードプライマー:TGGATCCCAGAAGGTGAGAA(SEQ ID NO: 15)
リバースプライマー:ccAGAGAAGCAACATCTCCGAAAGagcagaaactcacatcgagga(SEQ ID NO: 16)
上記のように、プローブエレメントは、野生型に適合する。野生型アンプリコンのサイズは、野生型において131 bpである。そのいずれもプローブエレメントと一部重なる、いくつかの欠失について検討した。
【0066】
2ミリモル/L MgCl2、50ミリモル/Lトリス(pH8.3)、500 mg/Lウシ血清アルブミン、200マイクロモル/Lの各dNTP、0.4単位のKLENTAQポリメラーゼ(AB Peptides)、64 ng/μl Ati-Taqモノクローナル抗体(eENZYME)、0.5×LCGREEN Plus、0.05μmフォワードプライマー、0.5μmスナップバックプライマー(リバース)、及び50 ngヒトゲノムDNAを含有する10μl反応量において、PCRを実施した。LIGHTCYCLER(ロシュ)において、95℃(0秒ホールド)での変性、55℃(0ホールド)でのアニーリング、及び64℃(0秒ホールド-各試料につきこの温度で0.2℃ホールドの間、検出)での伸長の70サイクルでPCRを実施した。次いで、PCRの後で、毛細管の試料をLIGHTCYCLERより取り出し、高分割融解機器HR-1(Idaho Technology)に入れて、60℃から88℃まで、0.5℃/秒のランプで融解させた。
【0067】
本実施例では、この欠失により、融解ピークの実質的な分離があり、使用したアニーリング温度と伸長温度は、いずれもほとんど野生型ピーク全体のそれより下にある。図23に見られるように、野生型DNAに対して1:1000(突然変異体が稀な対立遺伝子である)の比のEGFRエクソン19欠失E476-A750は、野生型より容易に識別可能であって、1:10000の比であっても、スナップバックプライマー濃縮PCRによって、野生型より識別することができる。
【0068】
実施例9.対立遺伝子画分を定量するための方法
PCR産物がDNA色素の存在下で融解するとき、ロウ(raw)蛍光R(T)の温度Tに対する測定依存性には、2つの主要な構成要素が含まれる。飽和性のインターカレーション型(高分割)色素では、M(T)は、温度Tで、その二本鎖状態にあるDNA、dsDNAの全体量に緊密に比例する。ロウ蛍光の残り、B(T)は、具体的には、特に、現下の関心の温度領域(regimes)、即ち、短いオリゴヌクレオチド(非標識又はスナップバック)プローブがそのランダムコイル型へ変性する温度領域において、指数関数的な減衰によって形成される場合がある。具体的には、指数関数的なバックグラウンド除去法(すでに参照により本明細書に組み込んだ、米国特許出願番号2009-0222503を参照のこと)を使用してB(T)を除いて、正規化してバックグラウンド除去した蛍光F(T)へM(T)を具体的には[0,1]の範囲にして返すと、得られる曲線は、2状態ファントホッフ熱力学融解曲線の凸結合(即ち、その総和が1に等しい非負係数の和)によってよく近似される。B(T)及びF(T)についての上記モデルは、(Palais R and Wittwer CT, Methods in Enzymology 454: 323-43, 2009)にいずれも記載されている。
【0069】
本明細書に提示する例示の態様において、このモデルは、プローブが融解する温度領域での反応に関与する分子種の数の低減によってかなり簡略化される可能性がある。非標識プローブのようなプローブとスナップバックプライマーを使用するので、このプローブ温度範囲の融解曲線には、天然の二対立遺伝子二倍体のヘテロ接合体と合成混合アンプリコンの融解において通常生じる4つの可能な二重鎖のうち2つだけが存在する。
【0070】
この予測より、F(T)は、凸結合である:
F(T)=cMFM(T)+cWFW(T),
[即ち、ここで非負の対立遺伝子画分係数、cM及びcWは、cM+cW=1を満たす]
微分法の線形性により、適切に正規化した融解曲線の負の微分曲線、D(T)は、2つの二重鎖種(具体的には、WTとのプローブとMUTとのプローブ)に対応する、同様に定義されて正規化された負の微分曲線の凸結合となる:
D(T)=-F’(T)=cMDM(T)+cWDW(T)。
【0071】
故に、図24に例示されるように、負の導関数は、2つのピークを明示して、その大きさは、以下に記載するいくつかの方法のいずれによっても測定されて、この2つの種の産物(おそらく、一方は、逆相補体のセンスでプローブに適合して、より低いTmの他方は、いくつかのミスマッチを含有する)の相対的な割合を反映する。本明細書では、前者をWTと呼んで、後者をMUTと呼ぶが、完全な適合は必ずしも野生型対立遺伝子ではなくて、ミスマッチのある対立遺伝子が必ずしも突然変異を含有するわけではないと理解される。
【0072】
最初の鋳型画分を定量する問題では、元の対立遺伝子頻度を評価するのに、増幅の相対的な効率に関する情報が必要となることが重要な注意事項(caveat)である。上記の多数の実施例によって示したように、最初の対立遺伝子比が同じである2つの試料を、特別な対立遺伝子の選択的な濃縮の様々なレベルで増幅して、最終の対立遺伝子比がきわめて異なって測定される産物をもたらすことができる。逆に、最初の比が異なる試料より、具体的には、適正に異なる増幅プロトコールを使用すれば、同じ比の最終産物を生じることができる。本明細書に提示する方法に加えて、希釈系列より標準曲線を導くような方法、並びに様々な理論上の方法を使用して、ある特別な再現性のある増幅プロトコール(例、伸長時間、マグネシウム濃度)において、最終産物の比を変換して最初の鋳型比を得ることもできよう。
【0073】
対立遺伝子画分を計算する1つの具体的な方法において、Da(T)は、試料の正規化融解曲線の負の導関数を示すものとし、ここで下付き文字は、野生型(w)、ホモ接合突然変異体(m)、又は2つの画分混合物(f)のいずれかを表す。スナップバックプライマー(又は非標識プローブ又は他のプローブ)が野生型対立遺伝子に適合するならば、純粋な突然変異体の負の微分曲線、Dm(T)は、ピークを温度TLで明示し、純粋な野生型の負の微分曲線、DW(T)は、ピークを温度THで明示して、TL<THのように、Lは、より低い、Hは、より高い、の意味である(スナップバックが突然変異対立遺伝子に適合するならば、後続するものにおけるTL及びTHの役割を単に逆転させてよいと理解される)。画分混合物の負の微分曲線、Df(T)は、典型的には、スナップバックプライマーの融解に対応する2つのピーク(一方は、より低い温度、TLでの不適合な対立遺伝子に由来するものであり、他方は、より高い温度、THでの適合した対立遺伝子に由来するもの)を明示する。この対立遺伝子混合物の比率が同等からかけ離れている場合、少数派の対立遺伝子は、対応する温度で、弱いピークを明示するか、又はピークを全く明示しない。このことを考慮に容れると、突然変異対立遺伝子は、それぞれが上記の融解温度の1つで得られる、2つの推定値の加重平均を使用して、定量することができよう:
Fm=wLf(TL)+wHf(TH)
それぞれの温度ピークでの重みは、他の温度で融解する非混合試料のベースラインの高さ以上にある、混合試料の相対的な高さの大きさによって決定される:
wL=(Df(TL)-Dw(TL))/(Df(TL)+Df(TH)-(Dw(TL)+Dm(TH)))(=a/(a+b)、図24)、及び
wH=(Df(TH)-Dm(TH))/(Df(TL)+Df(TH)-(Dw(TL)+Dm(TH)))(=b/(a+b)、図24)。
【0074】
重みは正の数であって、その和は1であり、それらは、より明瞭に定義されるピークに有利である。
個々の推定値、f(TL)、f(TH)は、2つの温度でのDw(T)とDm(T)の間のDf(T)の線形内挿法によって得ることができる:
f(TL)=(Df(TL)-Dw(TL))/(Dm(TL)-Dw(TL))(=a/d、図24)、及び
f(TH)=(Df(TH)-Dw(TH))/(Dm(TH)-Dw(TH))(=c/e、図24)。
【0075】
Df=Dwであるように、混合物が純粋に野生型である極端な場合では、f(TL)=0かつf(TH)=0であり、また、wL=0かつwH=1であるので、Fm=0であることがわかる。Df=Dmであるように、混合物が純粋に突然変異体である極端な場合では、f(TL)=1かつf(TH)=1であり、また、wL=0かつwH=1であるので、Fm=wL+wH=1であることがわかる。
【0076】
まとめると、図24における数量に関しては、実施例6において上記に考察したように、
Fm=a/(a+b)(a/d)+b/(a+b)(c/e)=(aae+bcd)/(de(a+b))。
重み付けの選択を使用して、不適合な鋳型から適合した鋳型への、そして融解の間のプローブの再アニーリングによる非線形的な効果の一部消去をもたらすことができる。2つの対立遺伝子を使用して、上記や他の具体例を提示しているが、2より多い対立遺伝子の混合物への上記式の一般化も簡単であると理解される。
【0077】
代わりの実行例は、より高いピークに関連した数値、即ち、a/d又はc/eのいずれかだけを使用することである。このような態様では、aとcが直接関連しているので、これらの値の1つだけが使用されると理解される。別の代替例は、実験プロトコールに天然のヘテロ接合体の試料(HET)を含めて、上記の定量化手順に従って、本質的に等しい産物のピークをもたらすように設計された増幅条件を使用して、試料ピークとWT及びMUTのそれを内挿して、相対的な試料量を、上記では0と1の間で行ったように、0.5と1の間で逆に内挿することである。例えば:
f(TL)=0.5+0.5(Df(TL)-Dh(TL))/(Dm(TL)-Dh(TL))
f(TH)=0.5-0.5(Df(TL)-Dh(TL))/(Dw(TL)-Dh(TL))
そして、TLでのHET及びMUTのピークを使用して、突然変異対立遺伝子画分を推定して、THでのHET及びWTのピークを使用して、突然変異対立遺伝子画分を推定する。チェックとして、Df=Dhであれば、いずれの対立遺伝子画分も0.5であり、Df=Dwであれば、突然変異対立遺伝子画分は0.0であり、そしてDf=Dmであれば、突然変異対立遺伝子画分は1.0である。具体的には、次いで、先と全く同じように、上記の値を重み付けることができる。
【0078】
これらの値は、上記の式に従って重み付けても、より高いピークに対応する値に対して全部の重みを付与してもよい。
a、b、c、d、eという量は、代わりのやり方でも決定することができる。単に点ごとの最大値の温度と対応値を見出すのではなく、二次フィッティングを使用してピークをフィットさせて、最高ピークの二次フィットの最高点の温度及び値と、同じ温度での他の曲線のフィットの値を得ることができる。
【0079】
加えて、ピーク高さは、そのピークを含有する温度間隔にわたる対応曲線の間の面積[その幅は、具体的には、最高ピークが1/e(自然指数減衰因子)xその最大値まで減衰する所によって決定する]に置き換えてよい(具体的には、ピークを定位する上記のいずれかの方法を使用する)。
【0080】
米国特許出願番号2003-0104438中のTMBSP定量法のように、以下に記載する方法は、熱力学的に基礎付けられる。しかしながら、本明細書に提示する例示の方法は、非反復性である。むしろ、本明細書に提示する方法は、高度の正確性を保持する一方で、実行するのが迅速かつ容易である。また含まれるのは、ファントホッフ微分曲線の凸結合による、D(T)の単純レーベンバーグ・マルカート最良非線形最小2乗フィットに基づく方法であり、2つの二重鎖種(WTとのプローブとMUTとのプローブ)のそれぞれに関連した、その熱力学的変数、ΔH及びΔSは、対立遺伝子画分に加わる変数とみなされる。また、それらの値を既知の配列と近傍変数(標準実験条件下での高分割融解を使用することより導かれる専用変数が含まれる)より設定してもよく、この場合、フィットは、2変数線形最小2乗問題へ還元される。
【0081】
熱力学に基づく非線形最小2乗(TMBNLS):6つの未知変数、cM、ΔHM、ΔSM、cW、ΔHW、ΔSWに関して、D(T)の最良の非線形最小2乗フィットを得る。
D(T)=cMD(ΔHM,ΔSM)+cWD(ΔHW,ΔSW)。
【0082】
ここで、D(ΔH,ΔS)は、2つの変数、ΔH及びΔSと特別な実験条件によって独自に決定される解析用ファントホッフ融解曲線の負の導関数である。このフィットは、レーベンバーグ・マルカートアルゴリズムを使用して実施する。
【0083】
熱力学に基づく最小2乗(TMBLS):2つの未知変数、cM、cWに関して、D(T)の最良の線形最小2乗フィットを得る。
D(T)=cMD(ΔHM,ΔSM)+cWD(ΔHW,ΔSW)。
【0084】
ここで、D(ΔH,ΔS)は、2つの変数、ΔH及びΔSと特別な実験条件によって独自に決定される解析用ファントホッフ融解曲線の負の導関数である。ΔHM、ΔSM、ΔHW、ΔSWという変数は、標準実験条件下での高分割融解を使用して得られる既知の4つ組変数を用いて、近傍合計を使用して特定する。このフィットは、2×2マトリックスシステムの正規方程式を使用して実施する。
【0085】
好ましい態様を参照にして、本発明を詳しく記載したが、以下の特許請求項において記載されて規定される本発明の範囲及び精神内には、種々の変形態様及び修正態様が存在する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体試料の増幅及び対立遺伝子検出のための方法であって、ここで生体試料は、標的核酸の第一対立遺伝子及び第二対立遺伝子を含み、第一対立遺伝子は、第二対立遺伝子より高い濃度で存在し:
生体試料中の標的核酸の増幅のために構成される耐熱性ポリメラーゼ、プローブ、及びプライマー対を加える工程(ここで、プローブは、標的核酸へハイブリダイズするように構成されて、プローブは、第一対立遺伝子へハイブリダイズするときに第一Tmを有して、第二対立遺伝子へハイブリダイズするときに第二Tmを有し、ここで第一Tmは、第二Tmより高い)、
生体試料中の標的核酸を変性温度とアニーリング温度の間のサーマルサイクリングによって増幅する工程(ここでアニーリング温度は、第一Tm未満である)、及び
第二対立遺伝子を検出する工程を含んでなる、前記方法。
【請求項2】
アニーリング温度が第二Tmと第一Tmの間のほぼ中間である、請求項1の方法。
【請求項3】
アニーリング温度が第二Tmより少なくとも1.0℃高い、請求項1〜2のいずれかの方法。
【請求項4】
アニーリング温度が第二Tmより少なくとも2.0℃高い、請求項1〜3のいずれかの方法。
【請求項5】
アニーリング温度が第二Tmにほぼ等しい、請求項1〜2のいずれかの方法。
【請求項6】
一本鎖平衡が適合した(matched)プローブ:アンプリコンハイブリッドより不適合な(mismatched)プローブ:アンプリコンハイブリッドにおいて有利であるようにアニーリング温度を選択する、請求項1〜5のいずれかの方法。
【請求項7】
サーマルサイクリングに、アニーリング温度と変性温度の間で少なくとも4℃/秒のランプ速度が含まれる、請求項1〜6のいずれかの方法。
【請求項8】
サーマルサイクリングに、アニーリング温度と変性温度の間で少なくとも6℃/秒のランプ速度が含まれる、請求項7の方法。
【請求項9】
ポリメラーゼがエクソ−ポリメラーゼである、請求項1〜8のいずれかの方法。
【請求項10】
第二対立遺伝子が5%以下の対立遺伝子画分で存在する、請求項1〜9のいずれかの方法。
【請求項11】
第二対立遺伝子が3%以下の対立遺伝子画分で存在する、請求項1〜10のいずれかの方法。
【請求項12】
第二対立遺伝子が1.5%以下の対立遺伝子画分で存在する、請求項1〜11のいずれかの方法。
【請求項13】
第一対立遺伝子が野生型である、請求項1〜12のいずれかの方法。
【請求項14】
第一対立遺伝子と第二対立遺伝子が融解曲線解析により検出される、請求項1〜13のいずれかの方法。
【請求項15】
融解曲線解析に、飽和色素を使用する高分割融解が含まれる、請求項14の方法。
【請求項16】
融解曲線解析に、非標識プローブの融解を検出する工程が含まれる、請求項14の方法。
【請求項17】
検出する工程に、増幅交点の解析が含まれる、請求項1〜16のいずれかの方法。
【請求項18】
第一対立遺伝子を検出する工程をさらに含んでなる、請求項1の方法。
【請求項19】
第一対立遺伝子及び第二対立遺伝子の対立遺伝子画分を計算する工程をさらに含んでなる、請求項18の方法。
【請求項20】
計算する工程が、第二対立遺伝子画分をFm=wLf(TL)+wHf(TH)(ここでwLとwHは、重みであり、f(TL)とf(TH)は、第一対立遺伝子及び第二対立遺伝子のそれぞれのホモ接合体と第一対立遺伝子及び第二対立遺伝子の50:50混合物の標準品より計算される、それぞれの温度ピークでの個別推定値である)として推定する工程を含む、請求項19の方法。
【請求項21】
プローブが、プライマー対の一方の5'端へ付くプローブエレメントである、請求項20の方法。
【請求項22】
生体試料の増幅及び対立遺伝子検出のための方法であって、ここで生体試料は、標的核酸の第一対立遺伝子及び第二対立遺伝子を含み、第一対立遺伝子は、第二対立遺伝子より高い濃度で存在し:
耐熱性ポリメラーゼ、第一プライマー、及び第二プライマーを生体試料へ加える工程(該プライマーは、標的核酸を増幅するために構成され、ここで第一プライマーは、標的核酸の遺伝子座に特異的なプローブエレメントと鋳型特異的プライマー領域を含み、ここでプローブエレメントは、鋳型特異的プライマー領域の5'であり、
ここでプローブエレメントは、標的核酸へハイブリダイズするように構成されて、プローブエレメントは、第一対立遺伝子へハイブリダイズするときに第一Tmを有して、第二対立遺伝子へハイブリダイズするときに第二Tmを有し、ここで第一Tmは、第二Tmより高い)、
生体試料中の標的核酸を変性温度とアニーリング温度の間のサーマルサイクリングによって増幅する工程(ここでアニーリング温度は、第一Tm未満である)、及び
第一対立遺伝子と第二対立遺伝子を検出する工程を含んでなる、前記方法。
【請求項23】
増幅する工程が伸長温度を通したサイクリングをさらに含み、伸長温度は、アニーリング温度より高くて、第一Tm未満である、請求項22の方法。
【請求項24】
増幅する工程に、アニーリング温度で5秒未満であるホールドが含まれる、請求項23の方法。
【請求項25】
ホールドが1秒である、請求項24の方法。
【請求項26】
伸長温度で0秒のホールドがある、請求項23の方法。
【請求項27】
加える工程に、Mg++を2.0 mM未満の濃度まで加えることが含まれる、請求項22〜26のいずれかの方法。
【請求項28】
Mg++濃度が約1.5 mMである、請求項27の方法。
【請求項29】
プローブエレメントが少なくとも17の塩基である、請求項22〜28のいずれかの方法。
【請求項30】
第二対立遺伝子が1%以下の対立遺伝子画分で存在する、請求項22〜29のいずれかの方法。
【請求項31】
第一対立遺伝子と第二対立遺伝子を融解曲線解析より検出する、請求項22〜30のいずれかの方法。
【請求項32】
融解曲線解析に、飽和色素を使用する高分割融解が含まれる、請求項31の方法。
【請求項33】
第一対立遺伝子及び第二対立遺伝子の対立遺伝子画分を計算する工程をさらに含んでなる、請求項22の方法。
【請求項34】
計算する工程が、第二対立遺伝子画分をFm=wLf(TL)+wHf(TH)(ここでwLとwHは、重みであり、f(TL)とf(TH)は、それぞれの温度ピークでの個別推定値である)として推定する工程を含む、請求項22の方法。
【請求項35】
生体試料の増幅及び対立遺伝子検出のためのキットであって、ここで生体試料は、標的核酸の第一対立遺伝子及び第二対立遺伝子を含み、第一対立遺伝子は、第二対立遺伝子より高い濃度で存在し、生体試料中の標的核酸の増幅のために構成される:
耐熱性ポリメラーゼ、
プローブ、
プライマー対(ここで、プローブは、標的核酸へハイブリダイズするように構成されて、プローブは、第一対立遺伝子へハイブリダイズするときに第一Tmを有して、第二対立遺伝子へハイブリダイズするときに第二Tmを有し、ここで第一Tmは、第二Tmより高い)、
生体試料中の標的核酸を変性温度とアニーリング温度の間のサーマルサイクリングによって増幅する(ここでアニーリング温度は、第一Tm未満である)ための説明書を含んでなる、前記キット。
【請求項36】
プローブが、プライマー対の一方の5'端へ付くプローブエレメントである、請求項35のキット。
【請求項37】
生体試料へ加えるときに2.0 mM未満のMg++濃度をもたらす緩衝液をさらに含んでなる、請求項35のキット。
【請求項38】
第二対立遺伝子が10%以下の対立遺伝子画分で存在する、請求項35のキット。
【請求項39】
第二対立遺伝子が5%以下の対立遺伝子画分で存在する、請求項35のキット。
【請求項40】
第一対立遺伝子と第二対立遺伝子を有する試料中の対立遺伝子画分を決定するための方法であって:
第一対立遺伝子を定義済みの増幅条件セットにおいて増幅する工程、
第二対立遺伝子を定義済みの増幅条件セットにおいて増幅する工程、
第一対立遺伝子及び第二対立遺伝子の既知混合物を定義済みの増幅条件セットにおいて増幅する工程、
増幅した第一対立遺伝子、第二対立遺伝子、及び既知混合物のそれぞれについて、微分融解曲線を作成する工程、
微分融解曲線を使用して、第一対立遺伝子画分についての等式を作成する工程、
第一対立遺伝子及び第二対立遺伝子の未知混合物を定義済みの増幅条件セットにおいて増幅する工程、及び
先の等式を使用して、未知混合物中の第一対立遺伝子の対立遺伝子画分を決定する工程を含んでなる、前記方法。
【請求項41】
既知混合物が第一対立遺伝子及び第二対立遺伝子の50:50混合物であり、等式は:
Fm=(a2e+bcd)/(de(a+b))[ここで、
Fm=第一対立遺伝子の対立遺伝子画分、
a=既知混合物の微分融解曲線における第一対立遺伝子のピーク高さ、
b=既知混合物の微分融解曲線における第二対立遺伝子のピーク高さ、
c=第二対立遺伝子の融解曲線における第二対立遺伝子のピーク高さと既知混合物の微分融解曲線における第二対立遺伝子のピーク高さの差、
d=第一対立遺伝子の融解曲線における第一対立遺伝子のピーク高さ、及び
e=第二対立遺伝子の融解曲線における第二対立遺伝子のピーク高さ]である、請求項40の方法。
【請求項42】
第一対立遺伝子及び第二対立遺伝子のそれぞれの微分融解曲線がそれぞれ1つのピークを有し、既知混合物の微分融解曲線は、第一対立遺伝子と第二対立遺伝子のぞれぞれの微分融解曲線におけるピークにそれぞれ対応する2つのピークを有し、そして等式は、ピーク高さの二次フィッテングを使用して作成する、請求項41の方法。
【請求項43】
D(T)=cMD(ΔHM,ΔSM)+cWD(ΔHW,ΔSW)[式中:
D(T)=未知混合物の微分融解曲線、
cM=第一対立遺伝子の対立遺伝子画分係数、
cW=第二対立遺伝子の対立遺伝子画分係数、
HMとSMは、第一対立遺伝子に関連した熱力学的変数であり、そして
HWとSWは、第二対立遺伝子に関連した熱力学的変数である]にフィットする最良の非線形最小2乗を得ることによって、等式を熱力学的に作成する、請求項41の方法。
【請求項1】
生体試料の増幅及び対立遺伝子検出のための方法であって、ここで生体試料は、標的核酸の第一対立遺伝子及び第二対立遺伝子を含み、第一対立遺伝子は、第二対立遺伝子より高い濃度で存在し:
生体試料中の標的核酸の増幅のために構成される耐熱性ポリメラーゼ、プローブ、及びプライマー対を加える工程(ここで、プローブは、標的核酸へハイブリダイズするように構成されて、プローブは、第一対立遺伝子へハイブリダイズするときに第一Tmを有して、第二対立遺伝子へハイブリダイズするときに第二Tmを有し、ここで第一Tmは、第二Tmより高い)、
生体試料中の標的核酸を変性温度とアニーリング温度の間のサーマルサイクリングによって増幅する工程(ここでアニーリング温度は、第一Tm未満である)、及び
第二対立遺伝子を検出する工程を含んでなる、前記方法。
【請求項2】
アニーリング温度が第二Tmと第一Tmの間のほぼ中間である、請求項1の方法。
【請求項3】
アニーリング温度が第二Tmより少なくとも1.0℃高い、請求項1〜2のいずれかの方法。
【請求項4】
アニーリング温度が第二Tmより少なくとも2.0℃高い、請求項1〜3のいずれかの方法。
【請求項5】
アニーリング温度が第二Tmにほぼ等しい、請求項1〜2のいずれかの方法。
【請求項6】
一本鎖平衡が適合した(matched)プローブ:アンプリコンハイブリッドより不適合な(mismatched)プローブ:アンプリコンハイブリッドにおいて有利であるようにアニーリング温度を選択する、請求項1〜5のいずれかの方法。
【請求項7】
サーマルサイクリングに、アニーリング温度と変性温度の間で少なくとも4℃/秒のランプ速度が含まれる、請求項1〜6のいずれかの方法。
【請求項8】
サーマルサイクリングに、アニーリング温度と変性温度の間で少なくとも6℃/秒のランプ速度が含まれる、請求項7の方法。
【請求項9】
ポリメラーゼがエクソ−ポリメラーゼである、請求項1〜8のいずれかの方法。
【請求項10】
第二対立遺伝子が5%以下の対立遺伝子画分で存在する、請求項1〜9のいずれかの方法。
【請求項11】
第二対立遺伝子が3%以下の対立遺伝子画分で存在する、請求項1〜10のいずれかの方法。
【請求項12】
第二対立遺伝子が1.5%以下の対立遺伝子画分で存在する、請求項1〜11のいずれかの方法。
【請求項13】
第一対立遺伝子が野生型である、請求項1〜12のいずれかの方法。
【請求項14】
第一対立遺伝子と第二対立遺伝子が融解曲線解析により検出される、請求項1〜13のいずれかの方法。
【請求項15】
融解曲線解析に、飽和色素を使用する高分割融解が含まれる、請求項14の方法。
【請求項16】
融解曲線解析に、非標識プローブの融解を検出する工程が含まれる、請求項14の方法。
【請求項17】
検出する工程に、増幅交点の解析が含まれる、請求項1〜16のいずれかの方法。
【請求項18】
第一対立遺伝子を検出する工程をさらに含んでなる、請求項1の方法。
【請求項19】
第一対立遺伝子及び第二対立遺伝子の対立遺伝子画分を計算する工程をさらに含んでなる、請求項18の方法。
【請求項20】
計算する工程が、第二対立遺伝子画分をFm=wLf(TL)+wHf(TH)(ここでwLとwHは、重みであり、f(TL)とf(TH)は、第一対立遺伝子及び第二対立遺伝子のそれぞれのホモ接合体と第一対立遺伝子及び第二対立遺伝子の50:50混合物の標準品より計算される、それぞれの温度ピークでの個別推定値である)として推定する工程を含む、請求項19の方法。
【請求項21】
プローブが、プライマー対の一方の5'端へ付くプローブエレメントである、請求項20の方法。
【請求項22】
生体試料の増幅及び対立遺伝子検出のための方法であって、ここで生体試料は、標的核酸の第一対立遺伝子及び第二対立遺伝子を含み、第一対立遺伝子は、第二対立遺伝子より高い濃度で存在し:
耐熱性ポリメラーゼ、第一プライマー、及び第二プライマーを生体試料へ加える工程(該プライマーは、標的核酸を増幅するために構成され、ここで第一プライマーは、標的核酸の遺伝子座に特異的なプローブエレメントと鋳型特異的プライマー領域を含み、ここでプローブエレメントは、鋳型特異的プライマー領域の5'であり、
ここでプローブエレメントは、標的核酸へハイブリダイズするように構成されて、プローブエレメントは、第一対立遺伝子へハイブリダイズするときに第一Tmを有して、第二対立遺伝子へハイブリダイズするときに第二Tmを有し、ここで第一Tmは、第二Tmより高い)、
生体試料中の標的核酸を変性温度とアニーリング温度の間のサーマルサイクリングによって増幅する工程(ここでアニーリング温度は、第一Tm未満である)、及び
第一対立遺伝子と第二対立遺伝子を検出する工程を含んでなる、前記方法。
【請求項23】
増幅する工程が伸長温度を通したサイクリングをさらに含み、伸長温度は、アニーリング温度より高くて、第一Tm未満である、請求項22の方法。
【請求項24】
増幅する工程に、アニーリング温度で5秒未満であるホールドが含まれる、請求項23の方法。
【請求項25】
ホールドが1秒である、請求項24の方法。
【請求項26】
伸長温度で0秒のホールドがある、請求項23の方法。
【請求項27】
加える工程に、Mg++を2.0 mM未満の濃度まで加えることが含まれる、請求項22〜26のいずれかの方法。
【請求項28】
Mg++濃度が約1.5 mMである、請求項27の方法。
【請求項29】
プローブエレメントが少なくとも17の塩基である、請求項22〜28のいずれかの方法。
【請求項30】
第二対立遺伝子が1%以下の対立遺伝子画分で存在する、請求項22〜29のいずれかの方法。
【請求項31】
第一対立遺伝子と第二対立遺伝子を融解曲線解析より検出する、請求項22〜30のいずれかの方法。
【請求項32】
融解曲線解析に、飽和色素を使用する高分割融解が含まれる、請求項31の方法。
【請求項33】
第一対立遺伝子及び第二対立遺伝子の対立遺伝子画分を計算する工程をさらに含んでなる、請求項22の方法。
【請求項34】
計算する工程が、第二対立遺伝子画分をFm=wLf(TL)+wHf(TH)(ここでwLとwHは、重みであり、f(TL)とf(TH)は、それぞれの温度ピークでの個別推定値である)として推定する工程を含む、請求項22の方法。
【請求項35】
生体試料の増幅及び対立遺伝子検出のためのキットであって、ここで生体試料は、標的核酸の第一対立遺伝子及び第二対立遺伝子を含み、第一対立遺伝子は、第二対立遺伝子より高い濃度で存在し、生体試料中の標的核酸の増幅のために構成される:
耐熱性ポリメラーゼ、
プローブ、
プライマー対(ここで、プローブは、標的核酸へハイブリダイズするように構成されて、プローブは、第一対立遺伝子へハイブリダイズするときに第一Tmを有して、第二対立遺伝子へハイブリダイズするときに第二Tmを有し、ここで第一Tmは、第二Tmより高い)、
生体試料中の標的核酸を変性温度とアニーリング温度の間のサーマルサイクリングによって増幅する(ここでアニーリング温度は、第一Tm未満である)ための説明書を含んでなる、前記キット。
【請求項36】
プローブが、プライマー対の一方の5'端へ付くプローブエレメントである、請求項35のキット。
【請求項37】
生体試料へ加えるときに2.0 mM未満のMg++濃度をもたらす緩衝液をさらに含んでなる、請求項35のキット。
【請求項38】
第二対立遺伝子が10%以下の対立遺伝子画分で存在する、請求項35のキット。
【請求項39】
第二対立遺伝子が5%以下の対立遺伝子画分で存在する、請求項35のキット。
【請求項40】
第一対立遺伝子と第二対立遺伝子を有する試料中の対立遺伝子画分を決定するための方法であって:
第一対立遺伝子を定義済みの増幅条件セットにおいて増幅する工程、
第二対立遺伝子を定義済みの増幅条件セットにおいて増幅する工程、
第一対立遺伝子及び第二対立遺伝子の既知混合物を定義済みの増幅条件セットにおいて増幅する工程、
増幅した第一対立遺伝子、第二対立遺伝子、及び既知混合物のそれぞれについて、微分融解曲線を作成する工程、
微分融解曲線を使用して、第一対立遺伝子画分についての等式を作成する工程、
第一対立遺伝子及び第二対立遺伝子の未知混合物を定義済みの増幅条件セットにおいて増幅する工程、及び
先の等式を使用して、未知混合物中の第一対立遺伝子の対立遺伝子画分を決定する工程を含んでなる、前記方法。
【請求項41】
既知混合物が第一対立遺伝子及び第二対立遺伝子の50:50混合物であり、等式は:
Fm=(a2e+bcd)/(de(a+b))[ここで、
Fm=第一対立遺伝子の対立遺伝子画分、
a=既知混合物の微分融解曲線における第一対立遺伝子のピーク高さ、
b=既知混合物の微分融解曲線における第二対立遺伝子のピーク高さ、
c=第二対立遺伝子の融解曲線における第二対立遺伝子のピーク高さと既知混合物の微分融解曲線における第二対立遺伝子のピーク高さの差、
d=第一対立遺伝子の融解曲線における第一対立遺伝子のピーク高さ、及び
e=第二対立遺伝子の融解曲線における第二対立遺伝子のピーク高さ]である、請求項40の方法。
【請求項42】
第一対立遺伝子及び第二対立遺伝子のそれぞれの微分融解曲線がそれぞれ1つのピークを有し、既知混合物の微分融解曲線は、第一対立遺伝子と第二対立遺伝子のぞれぞれの微分融解曲線におけるピークにそれぞれ対応する2つのピークを有し、そして等式は、ピーク高さの二次フィッテングを使用して作成する、請求項41の方法。
【請求項43】
D(T)=cMD(ΔHM,ΔSM)+cWD(ΔHW,ΔSW)[式中:
D(T)=未知混合物の微分融解曲線、
cM=第一対立遺伝子の対立遺伝子画分係数、
cW=第二対立遺伝子の対立遺伝子画分係数、
HMとSMは、第一対立遺伝子に関連した熱力学的変数であり、そして
HWとSWは、第二対立遺伝子に関連した熱力学的変数である]にフィットする最良の非線形最小2乗を得ることによって、等式を熱力学的に作成する、請求項41の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【図13a】
【図13b】
【図13c】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図19D】
【図20A】
【図20B】
【図21A】
【図21B】
【図22】
【図23】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【図13a】
【図13b】
【図13c】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図19D】
【図20A】
【図20B】
【図21A】
【図21B】
【図22】
【図23】
【図25】
【図26】
【公表番号】特表2012−508023(P2012−508023A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535707(P2011−535707)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/063634
【国際公開番号】WO2010/054254
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(504260058)ユニバーシティ・オブ・ユタ・リサーチ・ファウンデイション (19)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/063634
【国際公開番号】WO2010/054254
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(504260058)ユニバーシティ・オブ・ユタ・リサーチ・ファウンデイション (19)
【Fターム(参考)】
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