説明

対象物検索装置及びその処理方法とプログラム

【課題】検索条件となる情報に、検索の基準となる複数の単語が含まれ、またその単語のうちの複数に地理的特徴を示す抽象言語表現を示す単語が係る場合でも、それら検索条件に含まれる情報によって、詳細な検索を行うことができる対象物検索装置を提供する。
【解決手段】検索用文書情報に含まれる固有名称と地理的特徴を示す抽象言語表現とを抽出し、固有名称に対する前記抽象言語表現の係り受け関係に基づいて、当該係り受け関係のある固有名称と抽象言語表現との組み合わせを1つまたは複数特定し、それら組み合わせごとに、該組み合わせに含まれる固有名称に対する地図上の検索範囲を、該固有名称に対応する抽象言語表現に基づいて決定し、係り受けのない固有名称に対応する検索範囲と、組み合わせごとの検索範囲とに基づいて、検索用文書情報の末尾に出現する最後の固有名称を検索対象とする最終検索範囲を決定し、最終検索範囲内から検索対象を検索する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検索用文書情報に基づいて、検索対象をデータベース内から検索する対象物検索装置及び対象物検索方法ならびにそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電話会社が顧客に対してサービス提供する電話番号案内や、サービスの提供過程で顧客から指定された住所検索を行う場合、作業担当者が、電話番号や住所を検索することのできる検索装置を利用して、その検索作業を行っている。このような検索を行う検索装置では、検索の作業担当者より、当該担当者が電話越しに把握した施設や場所を示す単語や文書等の入力を受け付けて、検索処理を行い、その処理結果を出力する。このような検索技術に関する技術が、特許文献1および特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−65206号公報
【特許文献2】特開2005−181125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述の特許文献1の技術は、地図データに記憶されている場所名称と施設名称との位置関係を指定する位置指定語の組合せに基づいて施設を検索するものである。なお、位置関係を指定する位置指定語とは、例えば、「の近くの」,「の主要部の」,「にある」,「沿い」という言葉であり、特許文献1の技術では、明確な住所を覚えていない場合でも、施設がある地域の近くにあったということや、ある道路沿いにあったことを覚えている場合の検索を可能としている。
【0005】
また、上述の特許文献2の技術は、検索範囲に指向性を持たせた周辺施設検索を可能としてユーザの意図に沿った周辺施設検索を行う技術である。この技術においては、検索基点からみて全方位の指定ジャンル検索でリストアップして表示することで、ユーザが西側や東側といった指向性を持たせたい場合と比べ、検索結果数が相対的に多くなりスクロール操作等で絞込みが煩雑になる課題を解決している。
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術では、『○○駅近くのラーメン屋』という文章による検索処理の場合、検索の基準となる施設(上記例では「○○駅」)がどのような施設であっても、「近くの」という位置指定語に基づいて検索範囲が限られてしまい、これにより、検索範囲を変更した再検索の作業が発生する可能性がある。
また、特許文献1の技術や特許文献2の技術では、『船橋の375号沿いにあるコンビニの裏手の工場』などといった、検索の基準となる単語(「船橋」、「375号」、「コンビニ」、「工場」など)が複数あり、またその単語のうちの複数に地理的特徴を示す抽象言語表現(「沿い」、「裏手」など)が係る場合の検索を行うことができない。
【0007】
そこでこの発明は、検索条件となる情報(音声や文章など)に、検索の基準となる複数の単語が含まれ、またその単語のうちの複数に地理的特徴を示す抽象言語表現を示す単語が係る場合でも、それら検索条件に含まれる情報によって、詳細な検索を行うことができる対象物検索装置及び対象物検索方法ならびにそのプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、検索用文書情報に含まれ、検索の基準となる単語である固有名称と、地理的特徴を示す抽象言語表現とを抽出する文書情報解析手段と、前記固有名称に対する前記抽象言語表現の係り受け関係に基づいて、当該係り受け関係のある前記固有名称と前記抽象言語表現との組み合わせを1つまたは複数特定し、それら組み合わせごとに、当該組み合わせに含まれる固有名称に対する地図上の検索範囲を、当該固有名称に対応する抽象言語表現に基づいて決定し、前記係り受けのない固有名称に対応する検索範囲と、前記組み合わせごとの検索範囲とに基づいて、前記検索用文書情報の末尾に出現する最後の固有名称を検索対象とする前記地図上の最終検索範囲を決定する検索範囲決定手段と、前記最終検索範囲内から、前記検索対象を検索する検索手段と、を備えることを特徴とする対象物検索装置である。
【0009】
また、本発明は、上述の対象物検索装置において、検索範囲の位置情報に対応する住所情報を記憶する位置・住所記憶手段と、住所に対応する固有名称を記憶する住所・固有名称記憶手段と、を備え、前記検索手段は、前記最終検索範囲に対応する位置情報に基づいて、前記位置・住所記憶手段から住所情報を特定し、当該住所情報に基づいて、前記住所・固有名称記憶手段から、前記検索対象に相当する固有名称を特定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上述の対象物検索装置において、前記検索範囲決定手段は、前記抽象言語表現が前記固有名称の近くであることを示す表現である場合には、前記固有名称が示す前記地図上の位置を中心として、前記固有名称に応じた距離を半径とする円を、前記地図上の前記検索範囲と決定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上述の対象物検索装置において、前記検索範囲決定手段は、前記抽象言語表現が前記固有名称に沿うことを示す表現である場合には、前記固有名称が示す線または面の空間図形を基準として、前記線または前記面の端から前記固有名称に応じた距離だけ上下垂直に広げた範囲を、前記地図上の前記検索範囲と決定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上述の対象物検索装置において、前記検索範囲決定手段は、前記抽象言語表現が前記固有名称の中であることを示す表現である場合には、前記固有名称が示す前記地図上の範囲内を、前記地図上の前記検索範囲と決定することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上述の対象物検索装置において、前記検索範囲決定手段は、前記抽象言語表現が第1の固有名称から見て第2の固有名称の方向または方角または側の何れかを示す表現である場合には、前記第1の固有名称を第1検索基準、前記第2の固有名称を第2基準と特定し、前記第1検索基準から前記第2検索基準までの垂直線を中心として所定の左右角度までの範囲を、前記地図上の前記検索範囲と決定することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上述の対象物検索装置において、前記検索範囲決定手段は、前記抽象言語表現が前記固有名称の向かいを示す表現である場合には、前記固有名称が示す前記地図上の位置を中心とし、前記固有名称に応じた距離を半径とする円内において、空間図形が線であるものを特定し、当該線を基準として、前記固有名称で示されるものが存在する側を、前記地図上の前記検索範囲と決定することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上述の対象物検索装置において、前記検索範囲決定手段は、前記抽象言語表現が前記固有名称の裏手を示す表現である場合には、前記固有名称が示す前記地図上の位置を中心とし、前記固有名称に応じた距離を半径とする円内において、空間図形が線であるものを特定し、当該線を基準として、前記固有名称で示されるものが存在しない側を、前記地図上の前記検索範囲と決定することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上述の対象物検索装置において、前記検索範囲決定手段は、前記抽象言語表現が前記固有名称の隣を示す表現である場合には、前記固有名称が示す前記地図上の位置を中心とし、前記固有名称に応じた距離を半径とする円内を前記検索範囲と決定し、前記検索手段は、前記検索範囲の中において、前記固有名称に近いものを検索対象と特定することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上述の対象物検索装置において、前記検索範囲決定手段は、前記抽象言語表現が前記固有名称の並びを示す表現である場合には、前記固有名称が示す前記地図上の位置を中心とし、前記固有名称に応じた距離を半径とする円内において、空間図形が線である前記固有名称に一番近いものを特定し、当該線から前記固有名称に応じた距離だけ上下垂直に広げた矩形範囲を、前記地図上の前記検索範囲と決定することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上述の対象物検索装置において、前記検索範囲決定手段は、前記抽象言語表現が前記固有名称の位置より高い位置であることを示す表現である場合には、前記固有名称が示す前記地図上の位置を中心とし、前記固有名称に応じた距離を半径とする円内において、前記固有名称の位置より高い位置のものを、前記地図上のものそれぞれの位置を記憶したデータに基づいて特定し、当該特定したものを検索範囲と特定することを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上述の対象物検索装置において、前記検索範囲決定手段は、前記抽象言語表現が前記固有名称の位置より低い位置であることを示す表現である場合には、前記固有名称が示す前記地図上の位置を中心とし、前記固有名称に応じた距離を半径とする円内において、前記固有名称の位置より低い位置のものを、前記地図上のものそれぞれの位置を記憶したデータに基づいて特定し、当該特定したものを検索範囲と特定することを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、上述の対象物検索装置において、前記検索範囲決定手段は、前記抽象言語表現が前記固有名称の端であることを示す表現である場合には、前記固有名称の空間図形の端を中心とし、前記固有名称に応じた距離を半径とする円、または、前記固有名称の空間図形の縁から垂直に前記固有名称に応じた距離を広げた範囲、を前記地図上の前記検索範囲と決定することを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、上述の対象物検索装置において、前記検索範囲決定手段は、前記抽象言語表現が前記固有名称の角であることを示す表現である場合には、前記固有名称の空間図形の角を中心とし、前記固有名称に応じた距離を半径とする円を前記地図上の前記検索範囲と決定することを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、上述の対象物検索装置において、前記検索範囲決定手段は、前記抽象言語表現が第3の固有名称と第4の固有名称の間を示す表現である場合には、前記第3の固有名称を第3検索基準、前記第4の固有名称を第4検索基準と特定し、前記第3検索基準と前記第4検索基準とを結ぶ所定の扁平率の楕円の範囲を、前記地図上の前記検索範囲と決定することを特徴とする。
【0023】
また、本発明は、上述の対象物検索装置において、前記位置・住所記憶手段は、検索範囲の位置情報に対応する過去の住所情報を記憶し、前記住所・固有名称記憶手段は、前記過去の住所に対応する過去の前記地図上の固有名称を記憶することを特徴とする。
【0024】
また、本発明は、対象物検索装置の処理方法であって、前記対象物検索装置の文書情報解析手段は、検索用文書情報に含まれる固有名称と、地理的特徴を示す抽象言語表現とを抽出し、前記対象物検索装置の検索範囲決定手段は、前記固有名称に対する前記抽象言語表現の係り受け関係に基づいて、当該係り受け関係のある前記固有名称と前記抽象言語表現との組み合わせを1つまたは複数特定し、それら組み合わせごとに、当該組み合わせに含まれる固有名称に対する地図上の検索範囲を、当該固有名称に対応する抽象言語表現に基づいて決定し、前記係り受けのない固有名称に対応する検索範囲と、前記組み合わせごとの検索範囲とに基づいて、前記検索用文書情報の末尾に出現する最後の固有名称を検索対象とする前記地図上の最終検索範囲を決定し、前記対象物検索装置の検索手段は、前記最終検索範囲内から、前記検索対象を検索することを特徴とする処理方法である。
【0025】
また、本発明は、対象物検索装置のコンピュータを、検索用文書情報に含まれる固有名称と、地理的特徴を示す抽象言語表現とを抽出する文書情報解析手段、前記固有名称に対する前記抽象言語表現の係り受け関係に基づいて、当該係り受け関係のある前記固有名称と前記抽象言語表現との組み合わせを1つまたは複数特定し、それら組み合わせごとに、当該組み合わせに含まれる固有名称に対する地図上の検索範囲を、当該固有名称に対応する抽象言語表現に基づいて決定し、前記係り受けのない固有名称に対応する検索範囲と、前記組み合わせごとの検索範囲とに基づいて、前記検索用文書情報の末尾に出現する最後の固有名称を検索対象とする前記地図上の最終検索範囲を決定する検索範囲決定手段、前記最終検索範囲内から、前記検索対象を検索する検索手段、として機能させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、音声や文章の検索条件から生成した検索用文書情報を形態素解析し、所定の固有名称または固有名称とその係り受け先の抽象言語表現に基づいて、固有名称の属性が示す地図上の空間図形に応じた検索範囲を特定し、さらに、複数の固有名称が検索用文書情報に含まれる場合には、それぞれの検索範囲のAND条件で示される最終検索範囲の中から、検索用文書情報が示す、末尾に出現する最後の固有名称に一致するものを検索している。したがって、音声や文章の検索条件から生成した検索用文書情報に、検索の基準となる複数の単語が含まれ、またその単語のうちの複数に地理的特徴を示す抽象言語表現を示す単語が係る場合でも、それら検索条件に含まれる情報によって、詳細な検索を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】対象物検索装置の構成を示すブロック図である。
【図2】抽象言語表現テーブルのデータ例を示す図である。
【図3】固有名称テーブルのデータ例を示す図である。
【図4】検索基準空間図形特定テーブルのデータ例を示す図である。
【図5】個別設定テーブルのデータ例を示す図である。
【図6】位置・住所対応テーブルのデータ例を示す図である。
【図7】検索基準位置記憶テーブルのデータ例を示す図である。
【図8】第1の形態素テーブルを示す図である。
【図9】第2の形態素テーブルを示す図である。
【図10】第3の形態素テーブルを示す図である。
【図11】検索範囲決定処理の概要を示す図である。
【図12】検索範囲決定処理と検索処理の処理概要を示す第1の図である。
【図13】検索範囲決定処理と検索処理の処理概要を示す第2の図である。
【図14】検索範囲決定処理と検索処理の処理概要を示す第3の図である。
【図15】検索範囲決定処理と検索処理の処理概要を示す第4の図である。
【図16】検索範囲決定処理と検索処理の処理概要を示す第5の図である。
【図17】検索範囲決定処理と検索処理の処理概要を示す第6の図である。
【図18】検索範囲決定処理と検索処理の処理概要を示す第7の図である。
【図19】検索範囲決定処理と検索処理の処理概要を示す第8の図である。
【図20】検索範囲決定処理と検索処理の処理概要を示す第9の図である。
【図21】検索範囲決定処理と検索処理の処理概要を示す第10の図である。
【図22】検索範囲決定処理と検索処理の処理概要を示す第11の図である。
【図23】検索範囲決定処理と検索処理の処理概要を示す第12の図である。
【図24】検索範囲決定処理と検索処理の処理概要を示す第13の図である。
【図25】検索範囲決定処理と検索処理の処理概要を示す第14の図である。
【図26】最終検索範囲に含まれるかを判定する処理の概要を示す図である。
【図27】対象物検索装置の2つの異なる処理順序を示す概要図である。
【図28】対処物検索装置の処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態による対象物検索装置を図面を参照して説明する。
図1は同実施形態による対象物検索装置の構成を示すブロック図である。
この図において、符号1は対象物検索装置である。そして、対象物検索装置1は、文書情報解析部11、検索範囲決定部12、検索部13、出力部14、抽象表現データベース15、固有名称データベース16、検索基準空間図形データベース17、個別設定データベース18、リストデータベース19の処理部や記憶部を備えている。また文書情報解析部11は、地理情報抽出部111、係り受け解析部112の処理部によって構成され、また、検索範囲決定部12は、範囲絞込み部121、抽象表現解釈部122の処理部によって構成されている。各処理部の処理の詳細、および、各データベースに記録されている情報の内容については後述する。
【0029】
そして、本実施形態において、対象物検索装置1は、文字入力や音声認識などによって生成した検索用文書情報に含まれる固有名称と、地理的特徴を示す抽象言語表現とを抽出する。そして、対象物検索装置1は、固有名称に対する抽象言語表現の係り受け関係に基づいて、当該係り受け関係のある固有名称と抽象言語表現との組み合わせを1つまたは複数特定し、それら組み合わせごとに、当該組み合わせに含まれる固有名称に対する地図上の検索範囲を、当該固有名称に対応する抽象言語表現に基づいて決定し、係り受けのない固有名称に対応する検索範囲と、組み合わせごとの検索範囲とに基づいて、検索用文書情報の末尾に出現する最後の固有名称を検索対象とする、地図上の最終検索範囲を決定する。そして、対象物検索装置1は、その最終検索範囲内から、検索対象を検索する処理を行う。
これにより、本実施形態の対象物検索装置1は、検索条件となる情報(音声や文章など)に、検索の基準となる複数の単語が含まれ、また、それら単語のうちの複数について、それぞれ地理的特徴を示す抽象言語表現を示す単語が係る場合でも、それら検索条件に含まれる情報によって、詳細な検索を行う。
【0030】
次に、各データベースが記憶するデータテーブルについて説明する。
図2は抽象表現データベースが記憶する抽象言語表現テーブルのデータ例を示す図である。
この図が示すように、抽象言語表現テーブルは、固有名称の地理的特徴を示す抽象言語表現とそのIDとを対応付けて記憶したテーブルである。例えば、図2においては、「近く」、「周辺」という抽象言語表現をパターン1区分のID1に、「沿い」という抽象言語表現をパターン1区分のID2に、「中」、「に」、「ある」という抽象言語表現をパターン1区分のID3に、「昔」、「以前」という抽象表現をパターン1区分のID4に、対応付けて記憶している例を示している。また、例えば、図2で示す抽象言語表現テーブルは、「裏手」という抽象言語表現をID7に、「中,に,ある」という抽象言語表現にパターン2区分のID4を対応付けて記憶している例を示している。
【0031】
図3は固有名称データベースが記憶する固有名称テーブルのデータ例を示す図である。
この図が示すように、固有名称テーブルは、検索の基準となる固有名称と、その属性(地名、道路名、施設名など)の情報が対応付けられて登録されている。図3では、「船橋」、「375号」、「コンビニ」、「工場」などの固有名称が登録されている例を示している。そして「船橋」の属性は「地名」であり、「375号」の属性は「道路」であり、「コンビニ」,「工場」の属性は「施設名」であることが登録されている。
【0032】
図4は検索基準空間図形特定データベースが記憶する検索基準空間図形特定テーブルのデータ例を示す図である。
検索基準空間特定テーブルは、図4で示すように固有名称の属性ごとに、その固有名称で表される物の検索基準空間図形を対応付けて記憶している。例えば、「船橋」のような地名が検索基準である場合には、その検索基準が示す地図上の空間図形は面であるから、面情報を示す識別子「A」が対応付けられて登録されている。また「375号」のような道路名が検索基準である場合には、その検索基準が示す地図上の空間図形は線であるから、線情報を示す識別子「B」が対応付けられて登録されている。また「コンビニ」のような施設名が検索基準である場合には、その検索基準が示す地図上の空間図形は点であるから、点情報を示す識別子「C」が対応付けられて登録されている。
この検索基準空間特定テーブルに登録された、検索基準空間図形の情報に基づいて、検索基準に基づいて検索する際の、地図上の検索範囲が決定されることとなる。
【0033】
図5は個別設定データベースが記憶する個別設定テーブルのデータ例を示す図である。
個別設定テーブルは、図5で示すように、固有名称ごとの検索距離を記憶するテーブルである。この検索距離の情報は、固有名称ごとに異なっており、例えば、固有名称の示す物の大きさが大きかったり、広さが広い場合などには、その固有名称によって特定される検索基準空間図形の位置からの検索距離が長く設定され、この検索距離の情報に基づいて、検索範囲が特定される。
【0034】
図6はリストデータベースが記憶する位置・住所対応テーブルのデータ例を示す図である。
位置・住所対応テーブルは、図6で示すように、各住所(都道府県名、市区町村名、大字・町丁目、街区符号・地番)に対応する位置(緯度・経度)を対応付けて記憶している。地図上の検索範囲に該当する住所を特定するための情報として、位置・住所対応テーブルが後述する処理において利用される。
【0035】
図7は検索基準位置記憶テーブルのデータ例を示す図である。
この図が示すように、検索基準位置記憶テーブルは、抽象言語表現が文書中において係る、検索基準となる固有名称の位置を記憶するデータである。例えば「近くの」という抽象言語表現であれば、『コンビニ近くの・・・』という文書のように、固有名称が前に位置するため、「近くの」という抽象言語表現を係り受け先とする固有名称の位置として「前」の情報が登録されている。この検索基点位置記憶テーブルに基づいて、抽象言語表現を係り受け先とする固有名称を特定すると共に、その固有名称を検索基準とした場合の、地図上の検索範囲の特定に利用される。
【0036】
図28は対処物検索装置の処理フローを示す図である。
次に、図28を用いて対象物検索装置1の処理フローの詳細について説明する。
以下、対象物検索装置1が電話番号案内のサービスに利用される場合の例を用いて説明する。
まず、電話番号案内のサービスを提供するコールセンタなどにおいて、対象物検索装置1が利用されているとする。この場合、コールセンタの案内担当者が、案内の提供を受けるユーザからの電話応対を行い、例えば、「船橋の375号沿いにあるコンビニの裏手の工場」の電話番号案内の要求を受けたとする。このとき、対象物検索装置1は、案内担当者より、「船橋の375号沿いにあるコンビニの裏手の工場」の検索用文書情報の入力を受け付ける(ステップS101)。この情報の入力は、キーボードを用いた文字入力により受け付けてもよいし、音声により入力を受け付けるようにしてもよい。対象物検索装置1の文書情報解析部11は、形態素解析を行い(ステップS102)、検索用文書情報を形態素に分割する。そして、文書情報解析部11は、図8(第1の形態素テーブルを示す図)で示すような形態素テーブルを生成し(ステップS103)、メモリなどに記憶させておく。
【0037】
次に、文書情報解析部11内の地理情報抽出部111が、形態素テーブルに登録された各形態素のうち、抽象言語表現テーブル(図2)に抽象言語表現として登録されている形態素があるかを判定する(ステップS104)。抽象言語表現は、例えば、「沿い」のように単一の形態素である場合と、「に」と「ある」を繋げて「沿いにある」のように複数の形態素の組み合わせからなる場合とがあり、抽象言語表現テーブルにおいて、「沿い」と組み合わせとなる可能性のある他の形態素「に」、「ある」が対応付けられて登録されている場合には、それらを1つの抽象言語表現として判定することもできる。そして、地理情報抽出部11は、「沿い」、「に」、「ある」の各形態素が対応付けられて、抽象言語表現テーブルに登録されているため、それらの全てについて、「沿い」の抽象言語表現をIDとして読み取り、形態素テーブル内の対応する形態素に対応付けて、そのIDを登録する(ステップS105)。これにより、図8で示すように、「沿い」、「に」、「ある」の各形態素にID(2)が、形態素テーブルに登録される。
【0038】
また、地理情報抽出部111は、同様に、「裏手」と「の」により特定される抽象言語表現のIDを抽象言語表現テーブルから読み取って、形態素テーブルにおいて、それら、「裏手」と「の」の形態素に対応付けて読み取ったIDを登録する。図8で示すように、「裏手」と「の」の各形態素にID(7)が、形態素テーブルに登録される。
【0039】
次に、地理情報抽出部111は、形態素テーブルに登録されている各形態素のうち、固有名称テーブル内に検索基準になり得る固有名称として登録された形態素があるかを判定する(ステップS106)。そして、固有名称テーブルに検索基準になり得るものとして登録されている固有名称がある場合には、その固有名称の属性を固有名称テーブルから読み取る。属性は、例えば、地名、道路名、施設名、などである。そして、地理情報抽出部111は、固有名称テーブル内に固有名称として登録されている形態素についての属性を、形態素テーブルに登録する(ステップS107)。図8で示すように、「船橋」という形態素については「地名」の属性が、また「375」,「号」の各形態素については「道路名」の属性が、また「コンビニ」,「工場」の各形態素については「施設名」の属性が、形態素テーブル内に登録される。
【0040】
次に、文書情報解析部11内の係り受け解析部112が、構文解析の処理により、複数の形態素それぞれの係り関係を解析する(ステップS108)。そして、この解析処理により、意味のある最小単位ごとに各形態素をまとめ(ステップS109)、その最小単位ごとに、IDを割り当てて、形態素テーブル(図9の第2の形態素テーブルを示す図)に登録する。また、係り受け解析部112は、最小単位ごとに、他のどの最小単位を係り先とするかを解析し、当該最小単位ごとに、係り先の他の最小単を示すIDを形態素テーブル(図9の形態素テーブル(2))に登録する。なお、他の最小単位には既に係り先が決まっており、最後に残った、検索用文書情報内の末尾の最小単位に他の係り先がない場合には、その最小単位については最終係り先を示す情報を登録する。
【0041】
また、係り受け解析部112は、形態素テーブル内の最小単位のうち、他の最小単位を係り先とする最小単位を特定し、当該最小単位の中において、抽象言語表現の前に検索基準となる固有名称が存在するものと、抽象言語表現の後に検索基準となる固有名称が存在するものとを区分けする(ステップS110)。そして、最小単位において、抽象言語表現の前に固有名称が存在することによって、抽象言語表現の係り先となる固有名称が抽象言語表現の後ろにあり、且つ、形態素テーブルにおいて当該固有名称の“属性”が登録されているという場合(つまり、検索基準となり得る固有名称である場合)には、その固有名称を検索基準として特定する(ステップS111;図9)。また、最小単位において、抽象言語表現の後に固有名称が存在することによって、抽象表現の係り先となる固有名称が抽象言語表現の前にあり、且つ、形態素テーブルにおいて当該固有名称の“属性”が登録されているという場合(つまり、検索基準となり得る固有名称である場合)には、同様に、その固有名称を検索基準として特定する。
なお、抽象言語表現の前後両方に検索基準となる固有名称がある場合には、その2つの前後する抽象言語表現に挟まれた固有名称を検索基準として特定する。
【0042】
次に、検索範囲決定部12の範囲絞込み部121が、形態素テーブル内の各固有名称の属性に基づいて、当該固有名称が表す施設を検索基準とする時の空間図形を、検索基準空間図形テーブル(図4)から読み取り、該固有名称に対する空間図形として形態素テーブルに登録する(ステップS112)。例えば、図10(第3の形態素テーブルを示す図)に示す形態素テーブルの例では、「船橋」という固有名称の検索基準が示す地図上の空間図形が面、「375」および「号」という固有名称の検索基準が示す地図上の空間図形が線、「コンビニ」という固有名称の検索基準が示す地図上の空間図形が点、「工場」という固有名称の検索基準が示す地図上の空間図形が点であるため、それらを、形態素テーブルの該当する固有名称に対応付けて登録する。
【0043】
図11は検索範囲決定処理の概要を示す図である。
次に、検索範囲決定部12は、図11で示すように、形態素テーブルの最小単位ごとに特定された係り先の他の最小単位のIDの順番で、順に図形の論理積(AND条件)を求めて、最終的な検索範囲を特定する(ステップS113)。このとき、固有名称の数はいくつあってもよいが、固有名称に検索基点の属性が付与されている場合は、抽象表現の解釈を行い、最小単位内の形態素で示される地図上の範囲についての具現的な特定を行う。なお、本実施形態では検索用文書情報が肯定表現だけで構成された場合について説明しているが、検索用文書情報に、「・・・以外の」といった否定表現が含まれている場合には、例えば、排他的論理積をとるようにすればよい。そして、特定された検索範囲の中から、検索部13が情報の検索処理を行う(ステップS114)。そして、出力部14がその検索処理結果を出力する(ステップS115)。
【0044】
ここで、検索範囲決定処理と検索処理の詳細について説明する。
<近く+の、に、に/ある、を抽象言語表現とする場合の例>
図12は検索範囲決定処理と検索処理の処理概要を示す第1の図である。
抽象表現解釈部122により、抽象言語表現が、「近くの」、「近くに」、「近くにある」と判定された場合、範囲絞込み部121は、その抽象言語表現を係り受け先とする検索基準となる固有名称に応じた、検索範囲を決定する。この検索範囲の決定では、範囲絞込み部121が、個別設定テーブル(図5)において、検索基準となる固有名称に対応付けられて登録された検索距離を読み取り、検索基準となる固有名称の地図上の位置を中心、検索距離を半径とした円を、検索範囲として特定する。
なお、検索用文書情報の中に、この抽象言語表現(「近くの」、「近くに」、「近くにある」)を係り受け先とする検索基準となる固有名称のみが存在する場合には、検索部13は、その特定した検索範囲の円内に該当する情報中から、検索用文書情報の中の最終係り受け先の固有名称の示す情報に一致するものを特定して検索結果として出力する。検索部13は、検索範囲内で検索結果が得られなければ、徐々に所定の距離の検索距離を拡大した検索範囲を再度決定し、その検索範囲での検索処理を行うようにしてもよい(図12の(a))。図12(c)で示すように、検索基準となる固有名称の属性に対応する検索基準空間図形が、点である場合にはその点を円の中心し、線である場合には線分の中心を円の中心とし、面である場合にはその面の中心(または重心)を円の中心とすればよい。なお、検索距離は、検索基準となる固有名称によって異なる。そして、例えば、コールセンタにおける電話番号案内であれば、対象物検索装置1は、検索基準となる固有名称の施設の位置を中心として検索範囲を半径とする円内に含まれる地図上の住所を特定し、その住所内の施設のうち、検索用文書情報の中の最終係り受け先の固有名称で示される施設に一致するものの電話番号を特定する。
【0045】
<沿い+の、に、に/ある、を抽象言語表現とする場合の例>
図13は検索範囲決定処理と検索処理の処理概要を示す第2の図である。
抽象表現解釈部122により判定された抽象言語表現が、「沿いの」、「沿いに」、「沿いにある」などである場合には、その抽象言語表現を係り受け先とする検索基準の固有名称の属性が、検索基準空間図形のうちの線または面である可能性が高い。例えば、道路沿い、線路沿い、地理形状沿い(川沿い、山沿い、海沿い)などのうち、道路、線路、川は検索基準空間図形が線であり、山、海は検索基準空間図形が面である。この場合、範囲絞込み部121は、その抽象言語表現を係り受け先とする検索基準となる固有名称に応じた検索範囲を決定する。この検索範囲の決定では、範囲絞込み部121は、個別設定テーブル(図5)において、検索基準となる固有名称に対応付けられて登録された検索距離を読み取る。そして、検索基準の空間図形が線である場合には、その線に上下に垂直の検索距離までを、検索範囲として特定する(図13(c),(d))。また、検索基準の空間図形が面である場合には、その空間図形の縁からさらに検索距離だけ拡大した範囲を検索範囲として特定する。
なお、検索用文書情報の中に、この抽象言語表現を係り受け先とする検索基準となる固有名称のみが存在する場合には、検索部13は、その特定した検索範囲の範囲に該当する情報中から、検索用文書情報の中の最終係り受け先の固有名称の示す情報に一致するものを特定して検索結果として出力する。検索部13は、検索範囲内で検索結果が得られなければ、徐々に、所定の距離の検索距離を拡大した検索範囲を再度決定し、その検索範囲での検索処理を行うようにしてもよい。なお、検索距離は、検索基準となる固有名称によって異なる。ここで、この場合の具体的な処理は、例えば、コールセンタにおける電話番号案内であれば、対象物検索装置1は、検索基準となる固有名称が示す空間図形から検索距離だけ拡大した検索範囲に含まれる地図上の住所を特定し、その住所内の施設のうち、検索用文書情報の中の最終係り受け先の固有名称で示される施設に一致するものの電話番号を特定する。
【0046】
<中+の、に/ある、を抽象言語表現とする場合の例>
図14は検索範囲決定処理と検索処理の処理概要を示す第3の図である。
抽象表現解釈部122により判定された抽象言語表現が、「中の」、「中に」、「中にある」などである場合には、その抽象言語表現を係り受け先とする検索基準の固有名称の属性が、検索基準空間図形のうちの面である場合である。例えば、遊園地の中に、1丁目1番地の中に、といった文章の場合である。範囲絞込み部121は、その抽象言語表現を係り受け先とする検索基準となる固有名称の空間図形が示す面の範囲を、そのまま検索範囲と決定する。なお、「高層ビル群の中に」など、地図上においてどのような面であるか分からないような場合には、例えば、高層ビルを特定するための25階(所定定階数)以上のビルの位置を囲む地図上の範囲を、検索範囲とする(図14の(c))。「住宅街の中に」という文書であれば、階数が2階以下の情報に基づいて建物を特定して、それら建物の位置を囲む地図上の範囲を、検索範囲とすればよい。
なお、検索用文書情報の中に、この抽象言語表現を係り受け先とする検索基準となる固有名称のみが存在する場合には、検索部13は、その特定した検索範囲に該当する情報の中から、検索用文書情報の中の最終係り受け先の固有名称の示す情報に一致するものを特定して検索結果として出力する。この場合の具体的な処理は、例えば、コールセンタにおける電話番号案内であれば、対象物検索装置1は、検索基準となる固有名称が示す空間図形の面内の検索範囲に含まれる地図上の住所を特定し、その住所内の施設のうち、検索用文書情報の中の最終係り受け先の固有名称で示される施設に一致するものの電話番号を特定する。
【0047】
<昔、以前+の、に/あった、を抽象言語表現とする場合の例>
図15は検索範囲決定処理と検索処理の処理概要を示す第4の図である。
抽象表現解釈部122により判定された抽象言語表現が、「昔の」、「昔に」、「昔あった」、「以前の」、「以前に」、「以前あった」などである場合には、その抽象言語表現を係り受け先とする検索基準の固有名称が現在は存在しない可能性がある。例えば、「以前あった駄菓子屋の近くの郵便局」などという文章である場合が考えられる。その場合、範囲絞込み部121は、過去の情報からの検索処理を検索部13に指示する。なお、検索範囲については、他の検索範囲を特定する例(「近くの」や「沿いに」や「中に」といった抽象言語表現による検索範囲の特定処理)を用いることとなる。
つまり、検索基準物は建替え等により現存しないが、時間軸をさかのぼった過去のある時点の同じ位置にその検索基準物が存在する場合に、それに対応する現在の位置(点)を中心として、周囲の領域を検索範囲として検索を行う。「昔の」が指すさかのぼる年数の範囲は、過去の地図情報が存在する範囲に限り、任意の指定年数間隔での検索を可能にすればよい。この例は、会社や官公庁など組織自体は位置をかえず、昔から存在していても、組織名は変更を重ねて、変遷を繰り返している場合などにも有用である。過去の地図情報に応じた位置・住所テーブルや、名称・住所テーブルを活用することで、このような昔の組織名組織名しか分からない場合でも対応する現在の組織名を検索し、それを検索基準点とすることも可能となる。これにより、時間軸を指定し過去の地図情報やリストをも検索対象としているので、「昔の」という抽象言語表現が使用できる。
【0048】
<方向、方角、側+の、に/ある、を抽象言語表現とする場合の例>
図16は検索範囲決定処理と検索処理の処理概要を示す第5の図である。
抽象表現解釈部122により判定された抽象言語表現が、AからBの「方向の」、AからBの「方向に」、AからBの「方向にある」、AからBの「方角の」、AからBの「方角に」、AからBの「方角にある」、Aから見てB「側の」、Aから見てB「側に」、Aから見てB「側にある」、などである場合には、範囲絞り込み部121は、その抽象言語表現を係り受け先とする検索基準の固有名称Aを第1検索基準、Bを第2検索基準として特定する。そして、範囲絞り込み部121は、個別設定テーブル(図5)において、第1検索基準となる固有名称に対応付けられて登録された検索距離を読み取り、第1検索基準Aから当該読み取った検索距離までの範囲であって、かつ第1検索基準Aの位置から、第2検索基準Bまでの垂直線の方角を中心として、所定の左右角度までの範囲を、検索範囲として特定する。所定の左右角度は例えば90度などとする。
なお、検索用文書情報の中に、この抽象言語表現を係り受け先とする検索基準となる固有名称のみが存在する場合には、検索部13は、その特定した検索範囲の範囲に該当する情報中から、検索用文書情報の中の最終係り受け先の固有名称の示す情報に一致するものを特定して検索結果として出力する。検索部13は、検索範囲内で検索結果が得られなければ、徐々に所定の距離の検索距離を拡大した検索範囲を再度決定し、その検索範囲での検索処理を行うようにしてもよい。なお、検索距離は、検索基準となる固有名称によって異なる。ここで、この場合の具体的な処理は、例えば、コールセンタにおける電話番号案内であれば、対象物検索装置1は、検索基準となる第1検索基準の固有名称と、第2検索基準の固有名称とによって、特定される上記検索範囲に含まれる地図上の住所を特定し、その住所内の施設のうち、検索用文書情報の中の最終係り受け先の固有名称で示される施設に一致するものの電話番号を特定する。
【0049】
<向かい、裏手+の、に/ある、を抽象言語表現とする場合の例>
図17は検索範囲決定処理と検索処理の処理概要を示す第6の図である。
抽象表現解釈部122により判定された抽象言語表現が、Aの「向かいの」、Aの「向かいに」、Aの「向かいにある」、Aの「裏手の」、Aの「裏手に」、Aの「裏手にある」、などである場合には、範囲絞り込み部121は、その抽象言語表現を係り受け先とする検索基準の固有名称Aを検索基準と特定する。そして、範囲絞り込み部121は、検索基準となる固有名称Aに対応付けられて個別設定テーブル(図5)に登録されている検索距離を読み取り、検索基準を中心とし、当該読み取った検索距離を半径とする円を特定する。次に、範囲絞り込み部121は、特定した円内の全方位において、空間図形情報が線または面となる他の固有名称が、検索対象群の中に登録されているかを判定する。例えば、検索対象群が地図情報であれば、地図内における円内の範囲に存在する全ての物(施設や道路、川、山、海など)の固有名称の中から、空間図形が線として登録されている固有名称を特定する。例えば、道路、線路などがそれにあたる。そして、範囲絞り込み部121は、円内における線を基準として、検索基準がない側の領域を向かい、検索基準がある側の領域を裏手と判定する(図17)。
なお、検索用文書情報の中に、この抽象言語表現を係り受け先とする検索基準となる固有名称のみが存在する場合には、検索部13は、その特定した検索範囲の範囲に該当する情報中から、検索用文書情報の中の最終係り受け先の固有名称の示す情報に一致するものを特定して検索結果として出力する。検索部13は、検索範囲内で検索結果が得られなければ、徐々に所定の距離の検索距離を拡大した検索範囲を再度決定し、その検索範囲での検索処理を行うようにしてもよい。なお、検索距離は、検索基準となる固有名称によって異なる。ここで、この場合の具体的な処理は、例えば、コールセンタにおける電話番号案内であれば、対象物検索装置1は、検索基準の固有名称と、その検索基準を中心、検索距離を半径とする円内の住所のうち、当該円内に存在する空間図形が線の物体を基準として、検索基準側の領域の住所を裏手、検索基準がない側の領域の住所を向かいとして、「向かい」または「裏手」の何れかの抽象言語表現であるかに基づいて、該当する領域内から、検索用文書情報の中の最終係り受け先の固有名称で示される施設に一致するものの電話番号を特定する。
【0050】
<隣+の、に/ある、を抽象言語表現とする場合の例>
図18は検索範囲決定処理と検索処理の処理概要を示す第7の図である。
抽象表現解釈部122により判定された抽象言語表現が、Aの「隣の」、Aの「隣に」、Aの「隣にある」、などである場合には、範囲絞り込み部121は、その抽象言語表現を係り受け先とする検索基準の固有名称Aを検索基準と特定する。そして、範囲絞り込み部121は、検索基準となる固有名称Aに対応付けられて個別設定テーブル(図5)に登録されている検索距離を読み取り、検索基準を中心とし、当該読み取った検索距離を半径とする円を検索範囲として特定する。次に、検索部13は、特定した円内の範囲に含まれる緯度経度に対応付けられて登録されている固有名称を特定し、その固有名称のうち、検索基準となる固有名称Aから最も距離の近い固有名称、または検索基準となる固有名称Aから最も距離の近いものから順の所定の数の複数の固有名称を特定して検索結果として出力する。
検索範囲内で検索結果が得られなければ、範囲絞り込み部121は、徐々に所定の距離の検索距離を拡大した検索範囲を再度決定し、検索部13は、その検索範囲での検索処理を行うようにしてもよい。なお、検索距離は、検索基準となる固有名称によって異なる。ここで、この場合の具体的な処理は、例えば、コールセンタにおける電話番号案内であれば、対象物検索装置1は、検索基準の固有名称と、その検索基準を中心、検索距離を半径とする円内の緯度経度に対応付けられて登録されている建物のうち、最も検索基準の施設と距離の近い施設、または検索基準の施設と最も距離の近いものから順に所定の数の複数の施設を特定し、それら施設のうち、検索用文書情報の中の最終係り受け先の固有名称で示される施設に一致するものの電話番号を特定する。
【0051】
<並び+の、に/ある、を抽象言語表現とする場合の例>
図19は検索範囲決定処理と検索処理の処理概要を示す第8の図である。
抽象表現解釈部122により判定された抽象言語表現が、Aの「並びの」、Aの「並びに」、Aの「並びにある」、などである場合には、範囲絞り込み部121は、その抽象言語表現を係り受け先とする検索基準の固有名称Aを検索基準と特定する。そして、範囲絞り込み部121は、検索基準となる固有名称Aに対応付けられて個別設定テーブル(図5)に登録されている検索距離を読み取り、検索基準を中心とし、当該読み取った検索距離を半径とする円を特定する。また、次に、範囲絞り込み部121は、特定した円内の範囲に含まれる緯度経度に対応付けられて登録されている固有名称のうち、その属性の空間図形が線であるものを検索する。そして、円内に空間図形が線の固有名称がある場合には、当該円内であって、その円内の線から上下垂直に所定距離だけ伸ばした平面内(つまり、線を中心とする矩形の範囲)を検索範囲と特定する。なお、円内に空間図形が線の固有名称のデータが複数ある場合には、検索基準から線に対して垂直下ろした線分の距離が最も短い線を利用する。
なお、検索用文書情報の中に、この抽象言語表現を係り受け先とする検索基準となる固有名称のみが存在する場合には、次に、検索部13は、特定した検索範囲に含まれる緯度経度に対応付けられて登録されている固有名称を特定し、その固有名称のうち、検索用文書情報の中の最終係り受け先の固有名称の示す情報に一致するものを特定して検索結果として出力する。検索部13は、検索範囲内で検索結果が得られなければ、徐々に所定の距離の検索距離を拡大した検索範囲を再度決定し、その検索範囲での検索処理を行うようにしてもよい。なお、検索距離は、検索基準となる固有名称によって異なる。ここで、この場合の具体的な処理は、例えば、コールセンタにおける電話番号案内であれば、対象物検索装置1は、検索基準を中心、検索距離を半径とする円内の、空間図形が線となる物(川や道路、線路)から垂直に所定の距離広げた範囲を検索範囲として、当該検索範囲の緯度経度の住所に対応付けられて登録されている施設を検索する。そしてそれら施設のうち、検索用文書情報の中の最終係り受け先の固有名称で示される施設に一致するものの電話番号を特定する。
【0052】
<○○より高い、○○より低い、を抽象言語表現とする場合の例>
図20は検索範囲決定処理と検索処理の処理概要を示す第9の図である。
抽象表現解釈部122により判定された抽象言語表現が、○○「より高い」、○○「より低い」、などである場合には、範囲絞り込み部121は、その抽象言語表現を係り受け先とする固有名称を検索基準と特定する。そして、範囲絞り込み部121は、検索基準となる固有名称に対応付けられて個別設定テーブル(図5)に登録されている検索距離を読み取り、検索基準を中心とし、当該読み取った検索距離を半径とする円を特定する。次に、範囲絞り込み部121は、抽象言語表現が○○「より高い」である場合には、特定した円内の全方位において、標高データ(固有名称と標高値とを対応付けたデータ)に基づいて、検索基準の標高よりも高い標高の領域を検索範囲と決定する。また、範囲絞り込み部121は、抽象言語表現が○○「より低い」である場合には、特定した円内の全方位において、標高データ(固有名称と標高値とを対応付けたデータ)に基づいて、検索基準の標高よりも低い標高の領域を検索範囲と決定する。
なお、検索用文書情報の中に、この抽象言語表現を係り受け先とする検索基準となる固有名称のみが存在する場合には、検索部13は、その特定した検索範囲の範囲に該当する情報中から、検索用文書情報の中の最終係り受け先の固有名称の示す情報に一致するものを特定して検索結果として出力する。検索部13は、検索範囲内で検索結果が得られなければ、徐々に所定の距離の検索距離を拡大した検索範囲を再度決定し、その検索範囲での検索処理を行うようにしてもよい。なお、検索距離は、検索基準となる固有名称によって異なる。ここで、この場合の具体的な処理は、例えば、コールセンタにおける電話番号案内であれば、対象物検索装置1は、検索基準となる固有名称を中心、検索距離を半径として円に含まれる地図上の住所を特定し、その住所内の施設のうち、検索基準の標高よりも高い標高として登録され、かつ、検索用文書情報の中の最終係り受け先の固有名称で示される施設に一致するものの電話番号を特定する。
【0053】
<端、角+の、に/ある、を抽象言語表現とする場合の例>
図21は検索範囲決定処理と検索処理の処理概要を示す第10の図である。
抽象表現解釈部122により判定された抽象言語表現が、Aの「端の」、Aの「端に」、Aの「端にある」、Aの「角の」、Aの「角に」、Aの「角にある」、などである場合には、範囲絞り込み部121は、その抽象言語表現を係り受け先とする固有名称を検索基準と特定する。ここで、この固有名称が示す属性の空間図形は線または面である可能性が高い。そして、範囲絞り込み部121は、固有名称の示す属性の空間図形が線である場合には、その線の両端の2つの端点をそれぞれ中心とし、検索基準となる固有名称に対応付けられて個別設定テーブル(図5)に登録されている検索距離を半径とする2つの円を、検索範囲と決定する。または、範囲絞り込み部121は、固有名称の示す属性の空間図形が面である場合には、空間図形の縁から固有名称で特定される検索距離だけ拡大した面の範囲を、検索範囲と決定する。
なお、検索用文書情報の中に、この抽象言語表現を係り受け先とする検索基準となる固有名称のみが存在する場合には、検索部13は、その特定した検索範囲の範囲に該当する情報中から、検索用文書情報の中の最終係り受け先の固有名称の示す情報に一致するものを特定して検索結果として出力する。検索部13は、検索範囲内で検索結果が得られなければ、徐々に所定の距離の検索距離を拡大した2つの円を検索範囲と再度決定し、その検索範囲での検索処理を行うようにしてもよい。なお、検索距離は、検索基準となる固有名称によって異なる。ここで、この場合の具体的な処理は、例えば、コールセンタにおける電話番号案内であれば、検索基準となる固有名称が○○橋であれば、その○○橋の両端を中心、検索距離を半径とした2つ円に含まれる地図上の住所を特定し、その住所内の施設のうち、検索用文書情報の中の最終係り受け先の固有名称で示される施設に一致するものの電話番号を特定する。
【0054】
他方、範囲絞り込み部121は、固有名称が面であり、抽象言語表現が、Aの「端の」、Aの「端に」、である場合には、その面の縁(境,外周)から、検索基準となる固有名称に対応付けられて個別設定テーブル(図5)に登録されている検索距離を広げた範囲を、検索範囲と決定する。または、範囲絞り込み部121は、固有名称が矩形の面であり、抽象言語表現が、Aの「角の」、Aの「角に」、である場合には、その矩形の面の4つの角をそれぞれ中心とし、検索基準となる固有名称に対応付けられて個別設定テーブル(図5)に登録されている検索距離を半径とする4つの円を、検索範囲と決定する。
【0055】
<間+の、に/ある、を抽象言語表現とする場合の例>
図22は検索範囲決定処理と検索処理の処理概要を示す第11の図である。
抽象表現解釈部122により判定された抽象言語表現が、AとBの「間の」、AとBの「間に」、AとBの「間にある」、などである場合には、範囲絞り込み部121は、その抽象言語表現を係り受け先とする検索基準の固有名称Aを第1検索基準、Bを第2検索基準として特定する。そして、範囲絞り込み部121は、個別設定テーブル(図5)において、第1検索基準となる固有名称に対応付けられて登録された検索距離を読み取り、第1検索基準Aから当該読み取った検索距離までの範囲であって、かつ第1検索基準Aの位置から、第2検索基準Bまでの垂直線の方角を中心として、第1検索基準Aと第2検索基準Bを通り、所定の扁平率fの楕円の範囲を、検索範囲として特定する。
なお、検索用文書情報の中に、この抽象言語表現を係り受け先とする検索基準となる固有名称のみが存在する場合には、検索部13は、その特定した検索範囲の範囲に該当する情報中から、検索用文書情報の中の最終係り受け先の固有名称の示す情報に一致するものを特定して検索結果として出力する。検索部13は、検索範囲内で検索結果が得られなければ、徐々に扁平率を下げて、拡大した検索範囲を再度決定し、その検索範囲での検索処理を行うようにしてもよい。ここで、この場合の具体的な処理は、例えば、コールセンタにおける電話番号案内であれば、検索基準となる第1検索基準の固有名称と、第2検索基準の固有名称と、扁平率fとによって、特定される楕円の検索範囲に含まれる地図上の住所を特定し、その住所内の施設のうち、検索用文書情報の中の最終係り受け先の固有名称で示される施設に一致するものの電話番号を特定する。
【0056】
図23は検索範囲決定処理と検索処理の処理概要を示す第12の図である。
図24は検索範囲決定処理と検索処理の処理概要を示す第13の図である。
図25は検索範囲決定処理と検索処理の処理概要を示す第14の図である。
複数の異なる検索範囲決定処理とその場合の検索処理について説明したが、検索用文書情報が「船橋の375号沿いにあるコンビニの裏手の工場」である場合の例について話を戻すと、まず、「船橋の」という2つの形態素からなる単位に基づいて、地図上から「船橋」の領域が地図上から特定される(図23の(a))。次に、「船橋」の領域のうち、次の「375号沿いにある」という5つの形態素からなる単位に基づいて、375号の道路の線から当該道路によって特定される距離だけ垂直に広げた375号沿いの領域が特定される(図23の(b))。次に、375号沿いの領域に基づいて「コンビニの」という2つの形態素からなる単位に基づいて、375号沿いのコンビニが検索基準として特定される(図24の(a))。図24のaの例ではコンビニAおよびコンビニBの2つのコンビニが検索基準として特定される。そして、「裏手の」という2つの形態素からなる単位に基づいて、検索基準となるコンビニA、コンビニBの裏手の領域が最終検索範囲として特定される。そして、検索部13は、最終検索範囲の中から、検索用文書情報の中の最終係り受け先の固有名称である「工場」に一致する施設を特定する。この特定においては、検索部は、位置(緯度経度)・住所対応データから、最終検索範囲に該当する住所を導き、住所・施設名対応データから、最終検索範囲に該当する住所にある施設名の属性が工場である施設名を特定し、施設名・電話番号対応データから、最終的な工場の電話番号の一覧を出力する。これにより、電話番号案内のサービスにおいて、対象物検索装置が、「船橋の375号沿いにあるコンビニの裏手の工場」という検索用文書情報に基づいた、検索対象の電話番号を出力することができる。
【0057】
図26は最終検索範囲に含まれるかを判定する処理の概要を示す図である。
なお、最終検索範囲に含まれる検索対象の候補を抽出する処理は、図26で示すように、ある施設の位置(緯度経度)を通り、赤道と平行な直線において、当該施設の位置より右方向の直線と最終検索範囲との交点の数が奇数でるか偶数であるかを判定する。そして、その施設の位置より右方向の直線と最終検索範囲との交点の数が奇数であれば、その施設は、最終検索範囲に含まれ、偶数であれば、その施設は最終検索範囲に含まれないと判定することができる。なお、図26で示すような多角形だけでなく、様々な閉領域について、この処理手法を用いることができる。
【0058】
図27は対象物検索装置の2つの異なる処理順序を示す概要図である。
対象物検索装置1の処理例としては、2種類の処理形態が存在する。上述のように、まず、検索用文書中の固有名称の属性に基づいて空間図形を捕らえ、固有名称の係り受け先の抽象表現に応じて検索範囲を特定し、当該特定した検索範囲の緯度経度に対応する住所情報を位置・住所対応テーブルから検索し、またに基づいて、検索した住所情報に合致する名称の中から、検索用文書情報の中の最終係り受け先の固有名称に一致するものを特定する。この例は、上述した対象物検索装置の処理である。
他方、他の例としては、住所と固有名称の対応テーブルに基づいて、各固有名称の住所の地図上の緯度経度を算出し、地図上にマッピング情報として対応付けてマッピングする。そして、検索用文書中の固有名称の属性に基づいて空間図形を捕らえ、固有名称の係り受け先の抽象表現に応じて検索範囲を特定し、その検索範囲に含まれるマッピング情報の住所と固有名称の対応関係のリストの中から、検索用文書情報の中の最終係り受け先の固有名称に一致するものを特定する。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述の対象物検索装置の処理によれば、音声や文章の検索条件から生成した検索用文書情報を形態素解析し、所定の固有名称または固有名称とその係り受け先の抽象言語表現に基づいて、固有名称の属性が示す地図上の空間図形に応じた検索範囲を特定し、さらに、複数の固有名称が検索用文書情報に含まれる場合には、それぞれの検索範囲のAND条件で示される最終検索範囲の中から、検索用文書情報が示す、最終係り受け先の固有名称に一致するものを検索している。したがって、音声や文章の検索条件から生成した検索用文書情報に、検索の基準となる複数の単語が含まれ、またその単語のうちの複数に地理的特徴を示す抽象言語表現を示す単語が係る場合でも、それら検索条件に含まれる情報によって、詳細な検索を行うことができる。
【0060】
また、本発明によれば、指向性を持たせた抽象表現を用いて地図上の検索範囲を絞込み、これにより利用者の意図に応じたきめ細かな指向性の検索範囲の特定を行うことができるため、検索用文書情報の指定回数が少ない場合でも、その検索用文書情報内の説明を詳しくすることで、何度も検索しなおすといった検索の手間を軽減することができる。
また、本発明によれば、第1検索基準からみて第2検索基準(方角を含む)がある方向への検索範囲の絞込みにおいて、方角が分かる場合には方角で絞り込むことができ、また、全方位検索で検索したエリアだけでは特定できない場合には、段階的に検索範囲を拡大して絞り込むことができる。このとき、方角がすぐに分からない場合でも延長線上にある地名や施設を覚えていれば、それを第2検索基準として特定の方向への検索範囲の絞込みを行うことができる。
また、本発明によれば、検索基準から何らかの目標物に対しての反対側(または手前側)への絞込を行う場合、検索基準の近くには、要求者に向かい/裏手と言わしめた目標物が存在している可能性が高い。そして、その目標物を明示しなくてもその目標物を特定している。そしてその目標物を境にして検索基準が存在する側が「裏手」、検索基準が存在しない側が「向かい」とすることにより、利用者の意に即した絞り込みを行うことができる。
また、本発明によれば、検索基準に隣接する方向への絞込みを可能とすることにより、道路等の分界により従来の住所・固有名称対応テーブルのリストでは判断が困難な隣接するかどうかの判定を行うことができる。
また、本発明によれば、検索基準近くに位置する線状の目標物沿いへの検索範囲の絞込みを可能とすることにより、その線状の目標物を検索用文書情報内で明示しなくても意に即した絞込みができる。
また、本発明によれば、検索基準より標高が高い、または低い範囲に対応する方向への絞込みを可能とすることにより、住所や地名が分からない場合でも検索基準より標高が高いか低いかを覚えていれば、その方向への検索範囲の絞込みを行うことができる。
また、本発明によれば、検索基準の角や端に位置する方向への絞込みを可能とすることにより、住所や地名が分からない場合でもある地名や範囲など検索基準の点(面)の角や端に位置することを覚えていればその方向へ絞込みができる。
また、本発明によれば、複数の検索基準の間の領域への絞込みを可能とすることにより、住所や地名が分からない場合でも、おぼろげながら、ある地点(や建物)と他の地点(や建物)の間に位置していたことを覚えていれば領域の絞込みができる。
また、本発明によれば、現在は建替えや組織名変更により現在の名称は分からないが、時間軸をさかのぼって過去に存在した検索基準を知っている場合に、その検索基準を手がかりとして検索ができる。
また、本発明によれば、抽象言語表現が同じであっても、検索基準物が何であるかに応じて検索範囲を伸縮できるため、検索の繰り返し数を低減でき、利便性を向上できる。検索基準物が、点、線、面(小)、面(大)それぞれの場合に応じて、例えば、利用者アンケートの結果を基に設定でき、更に詳細に設定したい場合についても、コンビニ(点/「近く」、「昔の」)や国道375号(線/「沿い」)のように固有設備と抽象表現に応じた検索範囲の記述ができる。
また、コールセンタ向けに対象物検索装置1を適用した場合は、お客様が携帯電話や固定電話を使用して発話した音声に対して、音声認識でテキスト化した文章を処理の対象とすることができる。この場合、検索基点に関してGPS付き携帯電話を使うとカーナビゲーションシステムのようにGPS装置から現在位置取得ができるばかりでなく、固定電話を使うと発信電話番号の市内局番から大まかな一を推定し検索基点とすることも可能となる。
【0061】
なお、上述の対象物検索装置は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0062】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0063】
1・・・対象物検索装置
11・・・文書情報解析部
12・・・検索範囲決定部
13・・・検索部
14・・・出力部
15・・・抽象表現データベース
16・・・固有名称データベース
17・・・数値地図情報データベース
18・・・個別設定データベース
19・・・リストデータベース
111・・・地理情報抽出部
112・・・係り受け解析部
121・・・範囲絞り込み部
122・・・抽象表現解釈部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検索用文書情報に含まれ、検索の基準となる単語である固有名称と、地理的特徴を示す抽象言語表現とを抽出する文書情報解析手段と、
前記固有名称に対する前記抽象言語表現の係り受け関係に基づいて、当該係り受け関係のある前記固有名称と前記抽象言語表現との組み合わせを1つまたは複数特定し、それら組み合わせごとに、当該組み合わせに含まれる固有名称に対する地図上の検索範囲を、当該固有名称に対応する抽象言語表現に基づいて決定し、前記係り受けのない固有名称に対応する検索範囲と、前記組み合わせごとの検索範囲とに基づいて、前記検索用文書情報の末尾に出現する最後の固有名称を検索対象とする前記地図上の最終検索範囲を決定する検索範囲決定手段と、
前記最終検索範囲内から、前記検索対象を検索する検索手段と、
を備えることを特徴とする対象物検索装置。
【請求項2】
検索範囲の位置情報に対応する住所情報を記憶する位置・住所記憶手段と、
住所に対応する固有名称を記憶する住所・固有名称記憶手段と、を備え、
前記検索手段は、前記最終検索範囲に対応する位置情報に基づいて、前記位置・住所記憶手段から住所情報を特定し、当該住所情報に基づいて、前記住所・固有名称記憶手段から、前記検索対象に相当する固有名称を特定する
ことを特徴とする請求項1に記載の対象物検索装置。
【請求項3】
前記検索範囲決定手段は、前記抽象言語表現が前記固有名称の近くであることを示す表現である場合には、前記固有名称が示す前記地図上の位置を中心として、前記固有名称に応じた距離を半径とする円を、前記地図上の前記検索範囲と決定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の対象物検索装置。
【請求項4】
前記検索範囲決定手段は、前記抽象言語表現が前記固有名称に沿うことを示す表現である場合には、前記固有名称が示す線または面の空間図形を基準として、前記線または前記面の端から前記固有名称に応じた距離だけ上下垂直に広げた範囲を、前記地図上の前記検索範囲と決定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の対象物検索装置。
【請求項5】
前記検索範囲決定手段は、前記抽象言語表現が前記固有名称の中であることを示す表現である場合には、前記固有名称が示す前記地図上の範囲内を、前記地図上の前記検索範囲と決定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の対象物検索装置。
【請求項6】
前記検索範囲決定手段は、前記抽象言語表現が第1の固有名称から見て第2の固有名称の方向または方角または側の何れかを示す表現である場合には、前記第1の固有名称を第1検索基準、前記第2の固有名称を第2基準と特定し、前記第1検索基準から前記第2検索基準までの垂直線を中心として所定の左右角度までの範囲を、前記地図上の前記検索範囲と決定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の対象物検索装置。
【請求項7】
前記検索範囲決定手段は、前記抽象言語表現が前記固有名称の向かいを示す表現である場合には、前記固有名称が示す前記地図上の位置を中心とし、前記固有名称に応じた距離を半径とする円内において、空間図形が線であるものを特定し、当該線を基準として、前記固有名称で示されるものが存在する側を、前記地図上の前記検索範囲と決定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の対象物検索装置。
【請求項8】
前記検索範囲決定手段は、前記抽象言語表現が前記固有名称の裏手を示す表現である場合には、前記固有名称が示す前記地図上の位置を中心とし、前記固有名称に応じた距離を半径とする円内において、空間図形が線であるものを特定し、当該線を基準として、前記固有名称で示されるものが存在しない側を、前記地図上の前記検索範囲と決定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の対象物検索装置。
【請求項9】
前記検索範囲決定手段は、前記抽象言語表現が前記固有名称の隣を示す表現である場合には、前記固有名称が示す前記地図上の位置を中心とし、前記固有名称に応じた距離を半径とする円内を前記検索範囲と決定し、
前記検索手段は、前記検索範囲の中において、前記固有名称に近いものを検索対象と特定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の対象物検索装置。
【請求項10】
前記検索範囲決定手段は、前記抽象言語表現が前記固有名称の並びを示す表現である場合には、前記固有名称が示す前記地図上の位置を中心とし、前記固有名称に応じた距離を半径とする円内において、空間図形が線である前記固有名称に一番近いものを特定し、当該線から前記固有名称に応じた距離だけ上下垂直に広げた矩形範囲を、前記地図上の前記検索範囲と決定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の対象物検索装置。
【請求項11】
前記検索範囲決定手段は、前記抽象言語表現が前記固有名称の位置より高い位置であることを示す表現である場合には、前記固有名称が示す前記地図上の位置を中心とし、前記固有名称に応じた距離を半径とする円内において、前記固有名称の位置より高い位置のものを、前記地図上のものそれぞれの位置を記憶したデータに基づいて特定し、当該特定したものを検索範囲と特定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の対象物検索装置。
【請求項12】
前記検索範囲決定手段は、前記抽象言語表現が前記固有名称の位置より低い位置であることを示す表現である場合には、前記固有名称が示す前記地図上の位置を中心とし、前記固有名称に応じた距離を半径とする円内において、前記固有名称の位置より低い位置のものを、前記地図上のものそれぞれの位置を記憶したデータに基づいて特定し、当該特定したものを検索範囲と特定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の対象物検索装置。
【請求項13】
前記検索範囲決定手段は、前記抽象言語表現が前記固有名称の端であることを示す表現である場合には、前記固有名称の空間図形の端を中心とし、前記固有名称に応じた距離を半径とする円、または、前記固有名称の空間図形の縁から垂直に前記固有名称に応じた距離を広げた範囲、を前記地図上の前記検索範囲と決定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の対象物検索装置。
【請求項14】
前記検索範囲決定手段は、前記抽象言語表現が前記固有名称の角であることを示す表現である場合には、前記固有名称の空間図形の角を中心とし、前記固有名称に応じた距離を半径とする円を前記地図上の前記検索範囲と決定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の対象物検索装置。
【請求項15】
前記検索範囲決定手段は、前記抽象言語表現が第3の固有名称と第4の固有名称の間を示す表現である場合には、前記第3の固有名称を第3検索基準、前記第4の固有名称を第4検索基準と特定し、前記第3検索基準と前記第4検索基準とを結ぶ所定の扁平率の楕円の範囲を、前記地図上の前記検索範囲と決定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の対象物検索装置。
【請求項16】
前記位置・住所記憶手段は、検索範囲の位置情報に対応する過去の住所情報を記憶し、
前記住所・固有名称記憶手段は、前記過去の住所に対応する過去の前記地図上の固有名称を記憶する
ことを特徴とする請求項2から請求項15の何れかに記載の対象物検索装置。
【請求項17】
対象物検索装置の処理方法であって、
前記対象物検索装置の文書情報解析手段は、検索用文書情報に含まれる固有名称と、地理的特徴を示す抽象言語表現とを抽出し、
前記対象物検索装置の検索範囲決定手段は、前記固有名称に対する前記抽象言語表現の係り受け関係に基づいて、当該係り受け関係のある前記固有名称と前記抽象言語表現との組み合わせを1つまたは複数特定し、それら組み合わせごとに、当該組み合わせに含まれる固有名称に対する地図上の検索範囲を、当該固有名称に対応する抽象言語表現に基づいて決定し、前記係り受けのない固有名称に対応する検索範囲と、前記組み合わせごとの検索範囲とに基づいて、前記検索用文書情報の末尾に出現する最後の固有名称を検索対象とする前記地図上の最終検索範囲を決定し、
前記対象物検索装置の検索手段は、前記最終検索範囲内から、前記検索対象を検索する
ことを特徴とする処理方法。
【請求項18】
対象物検索装置のコンピュータを、
検索用文書情報に含まれる固有名称と、地理的特徴を示す抽象言語表現とを抽出する文書情報解析手段、
前記固有名称に対する前記抽象言語表現の係り受け関係に基づいて、当該係り受け関係のある前記固有名称と前記抽象言語表現との組み合わせを1つまたは複数特定し、それら組み合わせごとに、当該組み合わせに含まれる固有名称に対する地図上の検索範囲を、当該固有名称に対応する抽象言語表現に基づいて決定し、前記係り受けのない固有名称に対応する検索範囲と、前記組み合わせごとの検索範囲とに基づいて、前記検索用文書情報の末尾に出現する最後の固有名称を検索対象とする前記地図上の最終検索範囲を決定する検索範囲決定手段、
前記最終検索範囲内から、前記検索対象を検索する検索手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2010−277200(P2010−277200A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−127000(P2009−127000)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(397065480)エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社 (187)
【Fターム(参考)】