説明

封入のためのロラタジンの医薬製剤およびその組合せ

本発明は、ロラタジンのin vitro溶解性およびバイオアベイラビリティーを向上させる機能性が改善された、ソフトゲルカプセルまたは適当な投与単位中への封入に適したロラタジン製剤に関する。本発明は、消費者受容性および許容される製造コストの助けとなるようにできるだけ小型のカプセルを製造するために、所与の充填体積内で高濃度の溶液として機能性が改善された製剤も提供する。本発明は、ソフトゲルカプセル投与単位と適合する充填用組成物を支持するのに適した最適な安定性を有する製剤にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般には、経口医薬製剤に関する。より詳細には、本発明は、ソフトゲルカプセルまたは他の適切な投与単位中への封入に適した、ロラタジンの改善された医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの同定されたヒスタミン受容体は、受容体H-1およびH-2である。H-1受容体は、従来の抗ヒスタミン薬により拮抗される応答に介在する。H-1受容体は、哺乳動物の皮膚、回腸および気管支平滑筋に存在する。
【0003】
ロラタジンなど、非麻薬性または非鎮静性の疎水性の抗ヒスタミン化合物は公知である。ロラタジンは、例えば、Vilaniに付与された米国特許第4,282,233号に記載された。ロラタジンは、Querciaら、Hosp. Formul.、28、137〜53頁、(1993)で論じられているように、末梢のH-1受容体と結合するH-1ヒスタミン受容体タンパク質拮抗剤である。ロラタジンは、抗ヒスタミン薬として有用であり、ほとんどまたは全く鎮静効果をもたない。したがって、ロラタジンは、抗ヒスタミン効果をもたらしながら、高レベルの濃度を必要とする使用者がそれまで通り精神的または身体的な機能を果たすことが可能である。季節性または通年性の鼻炎、アレルギー性喘息および動揺病の治療など、ロラタジンを単独でまたは他の活性成分との組合せで使用する、他の治療的な処置が提案されている。例えば、Abergら、米国特許第5,731,319号を参照のこと。Bucklandら、米国特許第6,110,927号に記載されているように、心房細動(AF)の治療など、抗不整脈薬としての使用も提案されている。
【0004】
ロラタジンの抗ヒスタミン特性を共有するロラタジン誘導体も開発されている。ロラタジンの脱アルコキシカルボニル化(decarbalkoxylated)形態などの活性代謝物が関心をもたれている。そのような代謝産物誘導体の1つが、8-クロロ-6,11-ジヒドロ-11-(4-ピペリジリジン)-5H-ベンゾ-[5,6]-シクロヘプタ-[1,2-b]ピリジン[別名デスカルボエトキシロラタジン(DCL)]であり、この誘導体は、Villaniに付与された米国特許第4,659,716号に記載されている。Abergらに付与された米国特許第5,595,997号には、有害な副作用を伴わずにアレルギー性鼻炎および他の障害の治療にDCLを利用する方法が開示されている。
【0005】
多様な剤形の、ロラタジンまたは化学的に関係のある抗ヒスタミン薬(その任意の薬学的に許容される塩を包含する)に関する他の特許としては、Choらに付与された米国特許第5,100,675号、Choらに付与された米国特許第4,990,535号およびKwanらに付与された米国特許第5,314,697号が挙げられる。
【0006】
ロラタジンを含有する錠剤およびシロップ剤などの経口剤形は公知であり、Claritin(登録商標)、Claritin Reditabs(登録商標)およびClaritin-D(登録商標)24-Hourなど(Schering-Plough Corporation、NJから市販されている)の名称で販売されている。
【0007】
これらの市販製品は、Villaniに付与された米国特許第4,282,233号、Villaniに付与された同第4,659,716号、Schumacherらに付与された同第4,863,931号およびMunayyerらに付与された同第6,132,758号に記載されている。米国特許第6,132,758号には、約0.05〜5mg/mLのアミノポリカルボン酸の添加により活性成分の分解に対し安定化させた抗ヒスタミンシロップ剤が開示されている。この特許は、一定の保管条件下では活性作用物質の損失が生じる可能性があることを教示している。
【0008】
Koganらに付与された米国特許第4,910,205号には、有効量のロラタジンまたはその脱アルコキシカルボニル化製品と、約40〜70重量%の揮発性溶媒と、約5〜50重量%の脂肪酸エステルと、約2〜60%の精油とを含む、経皮投与が許容される組成物が開示されている。
【0009】
ロラタジンタイプの抗ヒスタミン薬については、シロップ剤形、固体剤形および速溶性の剤形を入手できるが、ソフトゲルカプセル剤形は、製剤化および販売がより難しいことがわかっている。ソフトゲルカプセル剤形には、当業者に公知の多くの利点がある。ゼラチン剤形中への封入に適した、疎水性薬物のための経口送達系は、Lacyらに付与された米国特許第6,096,338号に記載されている。しかし、ロラタジンなどの疎水性薬物を、ソフトゲルカプセル剤形中に封入するための溶液に製剤化すると、多くの問題が生じる可能性がある。
【0010】
ロラタジンなどの化合物は、再結晶化しやすい。したがって、ソフトゲルカプセル剤形中で使用するには、保管条件下での活性成分の再結晶および沈殿の原因になると考えられる充填物の親水性の性質を低下させるような疎水性溶媒が好ましい。理想的には、ロラタジンのための溶媒系は、疎水性、プロトン性および水分散性のものである。しかし、疎水性溶媒に伴う1つの問題は、こうした溶媒は、薬物のバイオアベイラビリティーに悪影響を及ぼすことが公知であることである。
【0011】
ソフトゲルカプセル剤形の使用におけるさらなる制限は、所望の投与量を送達し、経済的に適切で、患者による摂取が快適なソフトゲルカプセル剤形を作製するのに十分小さい体積の溶媒に所望の量の医薬作用物質を溶解することができないと考えられることである。
【0012】
ロラタジンおよびその誘導体の溶解性、長期保管安定性およびバイオアベイラビリティーを高めることを目指して、いくつかの製剤が開発されている。いくつかのそのような先行技術製剤は、Linらにより米国特許第7,201,921号および米国特許第6,720,002号において開示されており、両文献には、脱アルコキシカルボニル化されたロラタジン組成物の溶解性を向上させて、ソフトゲルカプセル剤中への封入に適したロラタジン誘導体の高濃度の溶液を作製するための、中鎖脂肪酸の混合物を含む溶媒系の使用が開示されている。こうした溶媒系は、中鎖脂肪酸のモノおよびジグリセリドの混合物を含んでおり、ソフトゲルカプセルなどの小型容器中への封入を可能にする高濃度の溶液を提供することで、容易な嚥下を可能にし、薬学的有効用量のロラタジン組成物をもたらす。
【0013】
Linらの参考文献において開示された製剤は、良好な溶解性および保管安定性を呈しながら薬物のバイオアベイラビリティーを維持するロラタジン組成物をもたらすとされる。Linらの参考文献のロラタジン製剤は、脱アルコキシカルボニル化されたロラタジン誘導体、またはロラタジンとロラタジン誘導体との混合物のいずれかを含むロラタジン組成物を含んでいる。しかし、これらの参考文献では、ソフトカプセル剤形中に封入するためのロラタジンを単独で含む充填用組成物の保管安定性および再結晶に伴う問題に具体的に対処していない。
【0014】
全体的な充填体積の増加を必要とする(また、それにより剤形の全体のサイズが増す)ことなく、かつ/またはロラタジンの不安定性を増すことなく、かつロラタジン誘導体を使用することなく、ソフトゲルカプセル剤形中でのロラタジンの量を増加させることは、当技術分野での達成が難しいことがわかっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第4,282,233号
【特許文献2】米国特許第5,731,319号
【特許文献3】米国特許第6,110,927号
【特許文献4】米国特許第4,659,716号
【特許文献5】米国特許第5,595,997号
【特許文献6】米国特許第5,100,675号
【特許文献7】米国特許第4,990,535号
【特許文献8】米国特許第5,314,697号
【特許文献9】米国特許第4,863,931号
【特許文献10】米国特許第6,132,758号
【特許文献11】米国特許第4,910,205号
【特許文献12】米国特許第6,096,338号
【特許文献13】米国特許第7,201,921号
【特許文献14】米国特許第6,720,002号
【特許文献15】米国特許第5,735,105号
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Querciaら、Hosp. Formul.、28、137〜53頁、(1993)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、ソフトゲルカプセル剤形中で使用するための、ロラタジンを可溶化し、再結晶化せずに周囲条件で長期保管安定性を呈する、ロラタジンを含有する改善された医薬製剤が必要である。有効な、より急速な吸収のために、ロラタジンのin vitro溶解性の増加が望ましい。また、活性成分のバイオアベイラビリティーに悪影響を及ぼさない充填用製剤も必要である。さらに、これらの基準を両方とも満足し、ロラタジンの充填濃度も増加させる製剤が望ましい。こうした製剤があれば、所与の用量の活性物質(active)に、より小さいサイズのカプセルを使用することが可能になろう。
【0018】
適切なサイズおよび許容される製造経済性を有するソフトゲルカプセル剤形中への封入に十分なロラタジン濃度を支持することが可能な、ロラタジンの改善された医薬製剤を得ることが、有利で望ましいと考えられよう。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一態様によれば、ロラタジン、1つまたは複数のモノおよびジグリセリド中鎖脂肪酸、1つまたは複数の分散剤ならびに1つまたは複数の界面活性剤を含む、ロラタジンのin vitro溶解性およびバイオアベイラビリティーを向上させるための医薬製剤が提供される。ロラタジン、1つまたは複数のモノ-ジ-トリグリセリド中鎖脂肪酸と1つまたは複数のトリグリセリド中鎖脂肪酸との混合物、1つまたは複数の分散剤および1つまたは複数の界面活性剤を含む、ロラタジンのin vitro溶解性およびバイオアベイラビリティーを向上させるための医薬製剤も提供される。
【0020】
本発明の別の態様によれば、薬物送達ビヒクルと、該薬物送達ビヒクル内に配置された、ロラタジン、1つまたは複数のモノおよびジグリセリド中鎖脂肪酸、1つまたは複数の分散剤ならびに1つまたは複数の界面活性剤を含む製剤とを含む、ロラタジンのin vitro溶解性およびバイオアベイラビリティーを向上させるためのロラタジン剤形が提供される。薬物送達ビヒクルと、該薬物送達ビヒクル内に配置された、ロラタジン、1つまたは複数のモノ-ジ-トリグリセリド中鎖脂肪酸と1つまたは複数のトリグリセリド中鎖脂肪酸との混合物、1つまたは複数の分散剤および1つまたは複数の界面活性剤を含む製剤とを含む、ロラタジンのin vitro溶解性およびバイオアベイラビリティーを向上させるためのロラタジン剤形も提供される。
【0021】
消費者受容性および許容される製造コストの助けとなるようにできるだけ小型のカプセルを製造するために、所与の充填体積内で高濃度の溶液として機能性が改善された製剤を作製することは、本発明のさらなる一態様である。
【0022】
本発明は、さらに、ソフトゼラチンカプセルまたは適切な剤形内で適合する充填用組成物を支持するのに適した最適な安定性を有する製剤を提供する。
【0023】
in vitro溶解性およびバイオアベイラビリティーが向上しており、ソフトゼラチンカプセルまたは適切な剤形中への封入に適した許容される安定性を有する、より高いロラタジン濃度を支持することが可能な改善された医薬製剤を開示する。さらに、他の活性医薬成分との組合せに適した医薬製剤も開示する。本発明のロラタジン製剤は、一般には、ロラタジン、モノおよびジグリセリド中鎖脂肪酸、分散剤ならびに界面活性剤を含んでいる。該ロラタジン製剤は、トリグリセリド中鎖脂肪酸をさらに含んでもよい。加えて、必要に応じて水が含まれていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の製剤と、参照製品である市販のClaritin(登録商標)Liqui-Gels(登録商標)との間での溶解プロファイルの比較を示すグラフである。試験品の溶解プロファイルは、実施例6において開示し、実施例23に記載する手順により実施した製剤のものである。図1は、参照製品と比較して、本発明の製剤のin vitro溶解性が改善されていることを示している。したがって、本発明の製剤は、参照製品より急速にin vitroでロラタジンを放出する。
【図2】実施例6において開示する本発明の試験製剤および参照製品である市販のClaritin(登録商標)Liqui-Gels(登録商標)についての、ヒトにおいて血漿中のロラタジンの最大濃度に至る時間を示すグラフである。図2は、本発明により製剤化されたロラタジンは、参照製品より、血流中におよそ18%急速に吸収されることを示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明のロラタジン製剤を用いると、ロラタジン誘導体(脱アルコキシカルボニル化形態のロラタジンなど)の使用を必要とせずに、ソフトゲルカプセルまたは適切な剤形中への封入に適した、より高濃度の活性成分を入れることができる溶液が作製される。脱アルコキシカルボニル化形態のロラタジンを排除することにより、より経済的な製造工程が可能になる。
【0026】
本発明のロラタジン化合物は、Villaniに付与された米国特許第4,282,233号に記載された方法により調製できる。ロラタジンを調製するための出発物質および試薬は、当技術分野で周知であり容易に入手でき、ロラタジンは、従来の有機合成手法を用いて合成できる。本明細書に記載する製剤中では、任意の適切な医薬用ロラタジンを使用してもよい。該製剤中のロラタジンの量は、約3重量%〜約7重量%の範囲である。
【0027】
本発明により使用できる機能性充填用製剤は、中程度に親油性であり、かつ、水素結合能力を有するものである。好ましくは、該製剤の親水性-親油性バランス(HLB)値は、約3〜約7の範囲、より好ましくは約5〜約6の範囲である。好ましくは、該製剤は、モノグリセリド中鎖脂肪酸(HLB値が約5〜約6の範囲である)とトリグリセリド中鎖脂肪酸(HLB値が約11である)との混合物を、機能的な可溶化剤として有する。
【0028】
適切な機能性充填用製剤は、1つまたは複数のモノおよびジグリセリド中鎖脂肪酸を含んでもよい。適切なモノおよびジグリセリド中鎖脂肪酸としては、これらに限定されないが、モノおよびジカプリン酸グリセリル(Abitec Corporationから入手可能なCAPMUL(商標)MCMなど)、モノカプリル酸プロピレングリコール(Gattefosseから入手可能なCAPRYOL(商標)90など)、カプリル酸プロピレングリコール(Gattefosseから入手可能なCAPRYOL(商標)PGMCなど)、ラウリン酸プロピレングリコール(Gattefosseから入手可能なLAUROGLYCOL(商標)FCC)ならびにモノラウリン酸プロピレングリコール(Gattefosseから入手可能なLAUROGLYCOL(商標)90)が挙げられる。モノおよびジグリセリド中鎖脂肪酸は、該製剤中に、約33重量%〜約83重量%の合計量で存在してもよい。
【0029】
適切な機能性充填用製剤は、1つまたは複数のモノおよびジ-トリグリセリド中鎖脂肪酸と1つまたは複数のトリグリセリド中鎖脂肪酸との混合物を含むこともできる。適切なトリグリセリド中鎖脂肪酸としては、これらに限定されないが、トリカプリル酸/カプリン酸グリセリル[Abitec Corporationから入手可能なCAPTEX(商標)300など]、カプリル酸/カプリン酸グリセロール[Abitec Corporationから入手可能なCAPTEX(商標)355など]およびカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド[Gattefosseから入手可能なLABRAFAC(商標)CC、Sasolから入手可能なMIGLYOL(商標)810またはSasolから入手可能なMIGLYOL(商標)812など]が挙げられる。最も好ましいのは、モノグリセリド中鎖脂肪酸のCAPMUL(商標)MCMおよびトリグリセリド中鎖脂肪酸のCAPTEX(商標)355である。トリグリセリド中鎖脂肪酸は、該製剤中に、約8重量%〜約50重量%の合計量で存在してもよい。
【0030】
本発明の機能性充填用製剤は、水中での充填物の均一分散性を向上させるために、1つまたは複数の分散剤の分散剤組成物をさらに含むことができる。但し、追加的な分散剤の量は、充填物の体積をあまり増加させずに水または胃液中での充填物の均一な分散を向上させるだけ十分な量で存在する。分散剤は、約7重量%〜約12重量%の合計量で存在してもよい。使用できる適切な分散剤としてはポビドン(K-12、K-17またはK-30など)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明により使用される分散組成物は、ポビドンを、1つまたは複数の界面活性剤と組み合わせたものであってもよい。好ましい分散剤は、約1.75:1〜約2.5:1の比率で存在する、ポビドンK-12とPolysorbate(商標)80との混合物である。
【0031】
使用できる適切な界面活性剤としては、これらに限定されないが、親水性-親油性バランス値が約14〜約17の範囲の非イオン性界面活性剤;Polysorbate(商標)40、Polysorbate(商標)80、Polysorbate(商標)60、Polysorbate(商標)20およびPolysorbate(商標)120などのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;Oleth-20(Croda、Inc.、Parsippany、N.J.から入手可能なVolpo(商標)20)、Ceteareth-20(Croda、Parsippany、N.J.から入手可能なVolpo(商標)CS-20)などのエトキシル化脂肪族アルコール;およびカプリロカプロイルマクロゴール-8グリセリド(Gattefosseから入手可能なLAUROGLYCOL(商標)90)が挙げられる。界面活性剤は、約2重量%〜約5重量%の総量で存在してもよい。
【0032】
本発明の機能性充填用製剤は、水を約1重量%〜約4重量%の量で含むこともできる。
【0033】
医薬組成物を含有するソフトゲルカプセルは、Stroudら、米国特許第5,735,105号に記載されているものなど、従来のおよび公知の封入手法を用いて調製できる。一般には、ソフトゲルカプセル剤形用のゲルカプセル製剤は、生ゼラチンと、該ゼラチンを可塑化させて、デザインによりまたは好みにより必要に応じた適当な硬度にカプセルを作製するために加える1つもしくは複数の原料とからなる。当業者には、どのようなカプセル材料組成物が適当であるか、理解されよう。
【0034】
適当な可塑剤としては、哺乳動物ゼラチンのカプセルの製造において同じ目的に使用される材料が挙げられる。代表的な可塑剤は、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど、さまざまな多価アルコールの任意のものである。他の可塑剤としては、単純多糖または複合多糖の加水分解および/または水素化により調製できる、糖および多糖を挙げることができる。
【0035】
他の成分を該ゼラチンカプセル組成物中に組み込むこともできるが、但し、そうした成分がフィルムの融点/融解点の特徴を変化させないことが条件である。該カプセル組成物の溶融状態の間に典型的に加えられるこれらの追加的な成分の代表的なものとしては、以下が挙げられる:香味剤、不透明化剤、保存剤、脆化阻害剤、着色料、染料および顔料、ならびに崩壊剤。機能目的、感覚刺激目的および外見目的のための従来の医薬用または食品用原料の使用は許容されるが、但し、そのような原料が、フィルムの特徴、および、ソフトゲルカプセルの機能的な特徴を変化させないことが条件である。
【0036】
本発明のロラタジン組成物を含有するソフトゲルカプセル剤形は、H1受容体拮抗剤または抗ヒスタミン治療を必要とする患者に経口投与できる。
【0037】
本発明により製剤化する際、10mgロラタジン用量は、5ミニム以下のサイズの楕円形のソフトゲルカプセルに入れることができる。10mgロラタジン用量は、カプセルサイズが2.3ミニムサイズもの小型である楕円形のソフトゲルカプセル内に含有させることができる。本発明のカプセルサイズの体積は、ミニム(1ミニム=0.0616cc)の用語で表現する。
【0038】
本発明の製剤に、比例による調節を行なって、5mg、15mgおよび20mgロラタジンなどの他の投与量を入れてもよい。本発明の製剤は、そのような投与量を適切なサイズおよび形状のソフトゲルカプセル剤または適当な剤形中に充填するのに適している。製造過程において備わるべきなのは、必要な量の充填材料を入れることのできる広範な形状およびサイズにわたりカプセル剤を製造する能力である。
【0039】
以下は、本発明により作製されるいくつかのロラタジン製剤を例証する実施例である。以下に示す実施例は、本発明の特定の実施形態を例証することを意図したものであり、特許請求の範囲を含め、本明細書の範囲を限定することを意図したものでは決してない。
【0040】
(実施例)
ロラタジンソフトゲルカプセル充填用製剤-ソフトゲルカプセル1個当たり
(実施例1)
【0041】
【表1】

【0042】
(実施例2)
【0043】
【表2】

【0044】
(実施例3)
【0045】
【表3】

【0046】
(実施例4)
【0047】
【表4】

【0048】
(実施例5)
【0049】
【表5】

【0050】
(実施例6)
【0051】
【表6】

【0052】
(実施例7)
【0053】
【表7】

【0054】
(実施例8)
【0055】
【表8】

【0056】
(実施例9)
【0057】
【表9】

【0058】
(実施例10)
【0059】
【表10】

【0060】
(実施例11)
【0061】
【表11】

【0062】
(実施例12)
【0063】
【表12】

【0064】
(実施例13)
【0065】
【表13】

【0066】
(実施例14)
【0067】
【表14】

【0068】
(実施例15)
【0069】
【表15】

【0070】
(実施例16)
【0071】
【表16】

【0072】
(実施例17)
【0073】
【表17】

【0074】
(実施例18)
【0075】
【表18】

【0076】
(実施例19)
【0077】
【表19】

【0078】
(実施例20)
【0079】
【表20】

【0080】
(実施例21)
【0081】
【表21】

【0082】
(実施例22)
【0083】
【表22】

【0084】
(実施例23)
ロラタジンソフトゲルカプセルの溶解プロファイル
サイズが3の楕円形のソフトゼラチンカプセル中に封入した、実施例6に記載した製剤の溶解プロファイルを、溶解媒体として37℃の水を使用したUSP溶解装置2番を50RPMのパドル速度で使用して、定量した。
【0085】
UV検出器を272nmで使用して、薬物の放出をHPLCにより定量した。
【0086】
溶解結果を、以下の表に示す。
【0087】
【表23】

【0088】
本明細書において示した教示に照らせば、本発明の他の改変形態および変形形態は、当業者には容易に明らかとなろう。前述の論考および記載は、本発明のいくつかの実施形態を例証するものであるが、その実施についての限定であることを意図したものではない。したがって、あらゆる適当な改変形態、変形形態および均等物を用いてもよく、そのような改変形態、変形形態および均等物は、記載したとおりの本発明の範囲内および特許請求の範囲内に属することを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロラタジン、
1つまたは複数のモノおよびジグリセリド中鎖脂肪酸、
1つまたは複数の分散剤、ならびに
1つまたは複数の界面活性剤
を含む、ロラタジンの医薬製剤。
【請求項2】
1つまたは複数のトリグリセリド中鎖脂肪酸をさらに含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
水をさらに含む、請求項1または2に記載の製剤。
【請求項4】
ロラタジンの量が、約3重量%〜約7重量%の範囲である、請求項1から3のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項5】
モノおよびジグリセリド中鎖脂肪酸の量が、約33重量%〜約83重量%の範囲である、請求項1から4のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項6】
トリグリセリド中鎖脂肪酸の量が、約8重量%〜約50重量%の範囲である、請求項2から5のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項7】
分散剤の量が、約7重量%〜約12重量%の範囲である、請求項1から6のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項8】
界面活性剤の量が、約2重量%〜約5重量%の範囲である、請求項1から7のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項9】
水の量が、約1重量%〜約4重量%の範囲である、請求項3から7のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項10】
前記モノおよびジグリセリド中鎖脂肪酸が、モノおよびジカプリン酸グリセリル、モノカプリル酸プロピレングリコール、カプリル酸プロピレングリコール、ラウリン酸プロピレングリコールならびにモノラウリン酸プロピレングリコールからなる群から選択される、請求項1に記載の製剤。
【請求項11】
前記トリグリセリド中鎖脂肪酸が、トリカプリル酸/カプリン酸グリセリルおよびカプリル酸/カプリン酸グリセロールおよびカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドからなる群から選択される、請求項2に記載の製剤。
【請求項12】
前記分散剤がポビドンを含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項13】
前記ポビドンが、ポビドンK-12、ポビドンK-17およびポビドンK-30からなる群から選択される、請求項12に記載の製剤。
【請求項14】
前記界面活性剤が、非イオン性界面活性剤を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項15】
前記界面活性剤が、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、エトキシル化脂肪族アルコールおよびカプリロカプロイルマクロゴール-8グリセリドからなる群から選択される、請求項14に記載の製剤。
【請求項16】
分散剤の量対界面活性剤の量が、約1.75:1〜約2.5:1の比率で存在する、請求項1に記載の製剤。
【請求項17】
前記製剤の親水性-親油性バランス(HLB)値が、約3〜約7の間である、請求項1に記載の製剤。
【請求項18】
前記HLB値が、約5〜約6の間である、請求項17に記載の製剤。
【請求項19】
前記モノグリセリド中鎖脂肪酸のHLB値が、約5〜約6の間である、請求項1に記載の製剤。
【請求項20】
前記トリグリセリド中鎖脂肪酸のHLB値が、約11である、請求項2に記載の製剤。
【請求項21】
前記界面活性剤のHLB値が、約14〜約17の間である、請求項1に記載の製剤。
【請求項22】
薬物送達ビヒクルと、
前記薬物送達ビヒクル内に配置された、ロラタジン、1つまたは複数のモノおよびジグリセリド中鎖脂肪酸、1つまたは複数の分散剤ならびに1つまたは複数の界面活性剤を含む充填用製剤と
を含む、経口投与のためのロラタジン剤形。
【請求項23】
1つまたは複数のトリグリセリド中鎖脂肪酸をさらに含む、請求項22に記載の剤形。
【請求項24】
水をさらに含む、請求項22または23に記載の剤形。
【請求項25】
ロラタジンの量が、約3重量%〜約7重量%の範囲である、請求項22から24のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項26】
モノおよびジグリセリド中鎖脂肪酸の量が、約33重量%〜約83重量%の範囲である、請求項22から25のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項27】
トリグリセリド中鎖脂肪酸の量が、約8重量%〜約50重量%の範囲である、請求項22から26のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項28】
分散剤の量が、約7重量%〜約12重量%の範囲である、請求項22から27のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項29】
界面活性剤の量が、約2重量%〜約5重量%の範囲である、請求項22から28のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項30】
水の量が、約1重量%〜約4重量%の範囲である、請求項22から29のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項31】
前記モノおよびジグリセリド中鎖脂肪酸が、モノおよびジカプリン酸グリセリル、モノカプリル酸プロピレングリコール、カプリル酸プロピレングリコール、ラウリン酸プロピレングリコールならびにモノラウリン酸プロピレングリコールからなる群から選択される、請求項22に記載の剤形。
【請求項32】
前記トリグリセリド中鎖脂肪酸が、トリカプリル酸/カプリン酸グリセリルおよびカプリル酸/カプリン酸グリセロールおよびカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドからなる群から選択される、請求項23に記載の剤形。
【請求項33】
前記分散剤がポビドンを含む、請求項22に記載の剤形。
【請求項34】
前記ポビドンが、ポビドンK-12、ポビドンK-17およびポビドンK-30からなる群から選択される、請求項33に記載の剤形。
【請求項35】
前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤を含む、請求項22に記載の剤形。
【請求項36】
前記界面活性剤が、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、エトキシル化脂肪族アルコールおよびカプリロカプロイルマクロゴール-8グリセリドからなる群から選択される、請求項35に記載の剤形。
【請求項37】
分散剤の量対界面活性剤の量が、約1.75:1〜約2.5:1の比率で存在する、請求項22に記載の剤形。
【請求項38】
前記製剤の親水性-親油性バランス(HLB)値が、約3〜約7の間である、請求項22に記載の剤形。
【請求項39】
前記HLB値が、約5〜約6の間である、請求項38に記載の製剤。
【請求項40】
前記モノグリセリド中鎖脂肪酸のHLB値が、約5〜約6の間である、請求項22に記載の剤形。
【請求項41】
前記トリグリセリド中鎖脂肪酸のHLB値が、約11である、請求項23に記載の剤形。
【請求項42】
前記界面活性剤のHLB値が、約14〜約17の間である、請求項22に記載の剤形。
【請求項43】
前記薬物送達ビヒクルが、カプセルを含む、請求項22に記載の剤形。
【請求項44】
前記カプセルが、ソフトゼラチンカプセルを含む、請求項43に記載の剤形。
【請求項45】
前記カプセルが、ゼラチンから必須になる、請求項43に記載の剤形。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−517303(P2013−517303A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549213(P2012−549213)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【国際出願番号】PCT/CA2011/000052
【国際公開番号】WO2011/088550
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(512188030)アキュキャップス・インダストリーズ・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】