説明

封入封緘装置

【課題】縦長封筒の開口部を確実に開口させて内容物の封入不良を防止する。
【解決手段】一対の搬送ローラからなり、内容物封入位置まで搬送した封筒EのフラップEcを保持するフラップ保持手段31と、一対の搬送ローラからなり、内容物封入位置まで搬送した封筒Eの底部Edを保持する底部保持手段32と、封筒EのフラップEc及び底部Edが保持された状態で封筒Eの開口部Eaを開口し、且つ開口部Eaの開口端Ebと底部Edの間に張力を付与しながら保持する開口部保持手段34とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙に印刷を施した内容物を封筒に封入封緘して封書を作製する封入封緘装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、封筒に各種内容物を封入封緘して封書を作成する封入封緘装置では、封筒に内容物を封入する際、スムーズに内容物を封入するよう事前に封筒の開口部を開口させた状態で内容物の封入動作を行っている。そして、このような封筒の開口端を開口する構成としては、例えば下記特許文献1〜3に開示される装置が知られている。
【0003】
下記特許文献1の装置では、傾斜面部を有する一対のインサートガイドを回転軸によって90°の範囲で左右対称的に、且つ逆位相で揺動させ、水平面部が封筒の開口端縁における幅方向中央位置から封筒内に入り込み、カマスと干渉することなく、封筒を大きく開口させることで、封筒に同封物を挿入する封筒の封入封緘機において、同封物挿入の際に封筒を拡開させている。
【0004】
また、下記特許文献2の装置では、フラップ開放用の爪部材で移動する封筒の後部のフラップを係止し、封筒の後端縁を支点としてフラップを起立させ、さらにフラップを折り返して開口部を開放し、さらにこの開口部の拡開用としての爪部材で封筒のフラップが設けられていない側の開口端部を下方に開くことで開口端部の拡開を行っている。
【0005】
さらに、下記特許文献3の装置では、封筒を吸着する吸着部材と、該吸着部材を封筒を開口させる方向に変位させる動作機構と、支点を中心として揺動する揺動腕と、該揺動腕の揺動により変位されて動作機構に揺動腕の動力を伝達する動力伝達部材と、該動力伝達部材から揺動腕の支点までの距離を移動させることが可能な調節機構と、からなる開口機構を備え、動力伝達部材から揺動腕の支点までの距離を無段階に移動させて動力伝達部材の変位量を変化させることにより、動作機構の変位量を変化させて、吸着部材の変位量を連続的に調節して封筒を拡開させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−191192号公報
【特許文献2】特開平7−172100号公報
【特許文献3】特開平10−287095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1又は特許文献2の装置では、開口部における口元周辺のみを開く構成であるため、例えばA4サイズの枚葉紙がそのまま封入可能な角形2号サイズのように開口部の長さよりも封入方向への長さ(深さ)が大きい縦長の封筒の場合に封筒の奥まで完全に開くことができなかった。
【0008】
従って、内容物が複数枚のときや折り畳まれている場合は、封筒の開口が不十分であっても紙の剛性である程度までは封入可能であるが、内容物に折り加工されていないときや腰のない軽量紙1枚のみのような場合は、縦長封筒の未開口部分に引っ掛かってしまいスムーズに封入することができず封入不良が起きる虞があった。
【0009】
また、特許文献3の装置では、開口部周辺のみならず、封筒全体を開口させることができるが、開口時に封筒の開口端及び本体の複数箇所を吸引する機構が必要となるため装置が複雑化して大掛かりなものとなってしまい、装置価格が嵩むという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、簡易的な構成で内容物を封入する封筒が縦長であっても確実に開口部を開口して内容物の封入不良を防止することができる封入封緘装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した目的を達成するため、請求項1記載の封入封緘装置は、印刷済みの内容物を封筒に封入封緘して封書を作製する封入封緘装置において、
内容物封入位置まで搬送した前記封筒のフラップを保持するフラップ保持手段と、
前記内容物封入位置まで搬送した前記封筒の底部を保持する底部保持手段と、
前記封筒のフラップ及び底部が保持された状態で前記封筒の開口部を開口し、且つ前記開口部の開口端と前記封筒底部との間に、張力を付与しながら保持する開口部保持手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の封入封緘装置は、請求項1記載の封入封緘装置において、前記フラップ保持手段及び前記底部保持手段は一対の搬送ローラからなり、前記フラップ保持手段の回転駆動を停止した後、所定時間経過後に前記底部保持手段の回転駆動を停止することを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の封入封緘装置は、請求項1又は2記載の封入封緘装置において、前記開口部保持手段は、
前記封筒の開口端に沿って設けられた複数の爪部を有し、前記開口部を開口する際に退避位置から前記封筒の開口端に向けて回動自在に軸支され開口爪と、
前記封筒が内容物封入位置まで搬送されたときに前記封筒の開口端を前記開口爪とで狭持した状態で前記封筒の搬送方向と逆方向に回転して前記開口端に所定の張力を付与する張力付与ローラと、
で構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る請求項1の封入封緘装置によれば、内容物を封入する封筒が縦長封筒であっても確実に開口させることができるため、折り加工されていない1枚の内容物や軽量紙であってもスムーズに封入することができる。
【0015】
また、請求項2記載の封入封緘装置によれば、封筒のフラップを支点として底部を引張することで封筒の皺を伸ばした状態で開口部の開口を行うことができるため、より確実に開口部を開口することができる。
【0016】
さらに、請求項3記載の封入封緘装置によれば、開口爪と張力付与ローラとで封筒の開口端を挟持した状態で開口端に所定の張力を付与しているので、縦長封筒であっても確実に開口することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る封入封緘装置の設置例を示す概略構成図である。
【図2】同装置の第2搬送経路におけるガイド部材の説明図である。
【図3】(a)、(b) 同装置の開口爪の動作図である。
【図4】内容物封入位置で封筒が引張された状態を示す説明図である。
【図5】(a)〜(c) 封緘処理時の動作図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。また、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではなく、この形態に基づいて当業者などによりなされる実施可能な他の形態、実施例及び運用技術などはすべて本発明の範疇に含まれる。
【0019】
本例の封入封緘装置は、作製すべき封書に内容物となる枚葉状の用紙に対して印刷を行う周知の印刷装置(孔版印刷装置、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ等)と接続し、印刷装置で印刷処理された内容物と、既成の封筒とを異なる搬送経路で搬送して封入封緘手段で合流させ、内容物を封筒に封入・封緘して完成した封書として排出するものである。
【0020】
なお、本例の封入封緘装置は、上記構成に限定されず、内容物に印刷を行う印刷部と、封筒に印刷済みの内容物の封入封緘を行う封入封緘部とを一体にした封書作成装置における封入封緘部として具備した構成とすることもできる。
【0021】
また、本明細書中で使用される封筒の形態として、A4サイズの枚葉紙がそのまま封入可能な封筒(例えば角形2号)のように開口部における幅方向の長さよりも封入方向への長さ(深さ)が大きな封筒を「縦長封筒」、A4サイズの枚葉紙を横3つ折りして封入可能な封筒(例えば洋形0号)のように開口部における幅方向の長さより封入方向への長さ(深さ)が小さな封筒を「横長封筒」としてそれぞれ定義する。
【0022】
まず、本発明に係る封入封緘装置について図1〜4を参照しながら説明する。図1に示すように、封入封緘装置1は、内容物搬送部10と、封筒搬送部20と、封入封緘部30とを備えて概略構成されている。また、本例の封入封緘装置1は、付設する印刷装置100とで封書作製装置とする構成で説明するため、封入封緘装置1における各部の駆動制御を行う制御部40として印刷装置100に内蔵されたものを兼用している。なお、制御部40は、封入封緘装置1専用の構成要件として装置内に内蔵することも可能である
【0023】
内容物搬送部10は、印刷装置100から搬送された印刷済みの用紙である内容物Pを封入封緘部30へ搬送する搬送経路であり、内容物Pをそのままの状態で封入封緘部30へと搬送する第1搬送経路11と、内容物Pに対して所定の折り加工を施す折り手段13へと搬送する第2搬送経路12との2系統に分岐して構成されている。
【0024】
また、内容物搬送部10における第1搬送経路11と第2搬送経路12との分岐点には、内容物Pの形態に応じて各搬送経路を切り替える経路切替部材14が設けられている。この経路切替部材14は、封筒Eに封入される内容物Pの内容が折り加工されない1枚の印刷物のときに第1搬送経路11を経由し、内容物Pが複数枚のとき又は折り加工されるときに第2搬送経路12を経由するよう、制御部40の制御に基づき切り替え制御される。
【0025】
第1搬送経路11は、経路上に内容物搬送用の搬送ローラ対11aを複数配置し、印刷装置100の排出部から水平に延設され、さらにその下流側を斜め下方へ延設して終端が封入封緘部30に接続されている。第1搬送経路11は、封入する内容物Pが折り加工されない1枚の印刷物であったときに、印刷装置100から搬送された内容物Pを封入封緘部30まで搬送している。
【0026】
第2搬送経路12は、経路上に内容物搬送用の搬送ローラ対12aを複数配置し、第1搬送経路11における水平部分から分岐する形で斜め下方に延設され、その終端が内容物Pを封筒Eの形態に合わせて折り加工を施す折り手段13(主折りローラA、第1折りローラB、第2折りローラD及び搬送ローラCで構成)に接続され、さらに折り手段13の後段から上昇して再び第1搬送経路11へと合流するように接続されている。また、折り手段13では、複数枚の内容物Pに折り加工を施さない場合、図2に示すように搬送ローラDと第1折りローラBとの間及び第1折りローラBと第2折りローラCとの間に、内容物Pの搬送方向をガイドするガイド部材15が退避位置から移動して搬送経路を形成している。
【0027】
第2搬送経路12は、封筒Eに封入する内容物Pが複数枚又は折り加工する印刷物であったときに、印刷装置100から搬送された内容物Pを受け入れ、封入枚数に至るまでストックして必要であれば折り加工を施した後、封入封緘部30まで搬送している。
【0028】
封筒搬送部20は、既成の封筒Eを積載する載置台21と、載置台21に載置された封筒Eを1枚ずつ搬入する給送ローラ22と、封筒EのフラップEcが閉じた状態で搬送された際にそのフラップEcを捲って開くフラップ開き部材23と、経路に沿って封筒Eを搬送する複数の搬送ローラ対24とで構成されている。封筒搬送部20は、載置台21の封筒Eを給送ローラ22で搬入し、フラップ開き部材23で閉じているフラップEcを開き、フラップEcを開いた状態の封筒Eを1枚ずつ搬入して封入封緘部30まで搬送している。
【0029】
封入封緘部30は、フラップ保持手段31と、底部保持手段32と、封筒検知手段33と、開口部保持手段34と、加水手段35と、封緘処理手段36とで構成され、封筒搬送部20を経由して搬送された封筒Eに第1又は第2搬送経路11、12を経由して搬送された内容物Pを封入封緘して封書を作製している。
【0030】
フラップ保持手段31は、封筒搬送部20の終端近傍に設けられた一対の搬送ローラで構成されている。また、フラップ保持手段31は、封筒Eに内容物Pを封入する位置(以下、「内容物封入位置」という)まで封筒Eを搬送する搬送手段として機能する。フラップ保持手段31は、制御部40の制御に基づき、内容物封入位置まで搬送した封筒EのフラップEcを搬送し、底部保持手段32によって封筒Eの底部Edが挟持されると回転駆動を停止することで、図4に示すように封筒EのフラップEcを図中矢印方向へ引張した状態で保持している。
【0031】
底部保持手段32は、封筒Eの底部Edを挟持する一対の搬送ローラであり、縦長封筒の長さに基づく位置に設置される縦長封筒用ローラ対32aと、これより上流側に設置される横長封筒用ローラ対32bとで構成されている。また、底部保持手段32は、封筒搬送部20から搬送される封筒Eを内容物封入位置まで搬送する搬送手段として機能する。底部保持手段32は、制御部40の制御に基づき、内容物封入位置まで搬送された封筒Eの底部Edを挟持し、フラップ保持手段31の回転駆動が停止してから所定時間経過後に回転停止することで、図4に示すように封筒Eの底部Edを図中矢印方向へ引張した状態で保持している。
【0032】
なお、横長封筒用ローラ対32bの一方のローラは、縦長封筒における開口部Eaを開口する際、封筒Eから離間する方向へ退避し、封筒Eの開口を妨げない構成となっている。
【0033】
封筒検知手段33は、封筒Eの底部Edが検出可能な周知の光電センサ(ライン型センサ、反射型フォトセンサ等)で構成され、フラップ保持手段31と底部保持手段32との間の搬送路上に配置されている。封筒検知手段33は、搬送された封筒Eの底部Edを光学的に検知すると、この検知情報を底部検知信号として制御部40に出力している。
【0034】
なお、封筒検知手段33は、上記光電センサに限らず、例えば封筒Eの底部Edに接触部材が接触したときにONとなり封筒Eが搬送されてきたことを検知する機械式のスイッチ機構等、封筒Eの底部Edが検知可能なセンサであればよい。
【0035】
開口部保持手段34は、開口爪34aと、張力付与ローラ34bとで構成され、内容物封入位置に搬送された封筒Eの開口部Eaに開口爪34aを挿入し、開口端Ebを開口爪34aと張力付与ローラ34bとで狭持した状態で開口端Ebに封筒Eの搬送方向と逆方向(図中上方向)への張力を付与して封筒Eを開口している。
【0036】
開口爪34aは、封筒Eの幅方向に並んだ複数の爪部を有し、開口部Eaを開口する際に退避位置から封筒Eの開口端Ebに向けて支持アーム34cにより回動自在に軸支されている。開口爪34aは、封筒Eが内容物封入位置まで搬送されたとき、図3(a)に示すように所定位置まで回動して爪部を封筒Eの開口部Eaに挿入し、封筒Eの開口端Ebを張力付与ローラ34bとで狭持している。なお、爪部の設置数や間隔は、使用する封筒Eの形状や大きさに応じた形状のものを任意に選択することができる。
【0037】
張力付与ローラ34bは、封筒Eの搬送方向と逆回転に回転するローラであり、制御部40の制御に基づき、図3(b)に示すように封筒Eが内容物封入位置まで搬送されたときに封筒Eの開口端Ebを開口爪34aとで狭持した状態で回転して開口端Ebに所定の張力を付与している。これにより、図4に示すように、封筒EのフラップEcと底部Edとが引張された状態でさらに開口部Eaの開口端Ebに適度な張力(図中太矢印方向)が付与されるため、封筒Eが完全に開口する。なお、張力付与ローラ34bは、封筒Eに一定の張力が付与された時点で回転を停止して開口端Ebに付与した張力を保持する。
【0038】
加水手段35は、封筒Eの再湿糊形成部分に加水する装置であって、加水用の水が貯留される水タンク35aと、水タンク35aの水に浸漬されたフェルト材等からなる吸水部35bと、搬送路を挟んで水タンク35aと対向する位置に回動自在に支持される揺動アーム35cとを備えている。加水手段35は、内容物P封入後の封筒Eの再湿糊形成部分が加水手段35の吸水部35bと対面した位置まで搬送されると、制御部40の制御に基づき、揺動アーム35cが揺動し、再湿糊が吸水部35bに押し付けられて加水されることで、再湿糊形成部分に水を付けて接着力を発揮させている。
【0039】
封緘処理手段36は、封筒Eの搬送方向を規制する規制板36aと、再湿糊への加水時に封筒Eが搬送される封緘用搬送路36bと、封緘用搬送路36bは搬入された封筒Eの底部Edと当接してその搬入位置を規制する封筒サイズに応じて摺動可能なエンドフェンス36cと、フラップEcと再湿糊形成部分とを挟持により接着して封緘する封緘用ローラ対36dとを備えている。
【0040】
封緘処理手段36は、制御部40の制御に基づき、まず図5(a)に示すように内容物P封入後の封筒Eを一旦搬送方向と逆方向に所定距離戻し、封筒Eが封緘用搬送路36bへ搬送されるよう規制板36aを退避位置から搬送方向規制位置まで回動する。そして、図5(b)に示すように封筒Eを封緘用搬送路36bへ誘導して封筒Eの再湿糊を加水し、図5(c)に示すように再湿糊が加水された封筒Eを封緘用ローラ対まで搬送して封筒EのフラップEcと開口部Eaを挟持して封緘し、封緘後の封書を不図示の排出台へと搬送している。
【0041】
制御部40は、例えばCPUやROM、RAMなどで構成された各種制御処理や演算処理を行うマイクロコンピュータであり、封入封緘装置1を構成する各部の駆動制御を行っている。なお、本例の制御部40は、印刷装置100に付設される用紙後処理装置として機能する構成例であるため、印刷装置100の制御部を兼用しているが、封入封緘装置1本体に具備する構成でもよい。
【0042】
また、制御部40は、封筒Eのサイズや内容物Pの形状(枚数や折り加工の有無)に基づき、封筒Eや内容物Pの搬送制御を行っている。
具体的には、印刷装置100から搬送される内容物Pの搬送経路の選択とその搬送タイミングの制御、封筒Eの搬送タイミングの制御、封筒検知手段33からの底部検知信号の入力タイミングに基づき封筒Eの底部Edを底部保持手段32まで搬送する制御、封筒Eが内容物封入位置まで搬送されたときに開口爪34aを封筒Eの開口端Ebまで回動させる制御、内容物Pを封筒Eに封入する制御、封筒Eに内容物Pが封入された後に封筒Eの再湿糊形成部分が加水手段35の吸水部35bと対面した位置まで搬送する制御、内容物P封入後の封筒Eの封緘処理に関する制御等がある。なお、封筒E及び内容物Pの搬送距離は、搬送に用いる各ローラに付設する駆動モータ(不図示)のピニオンギアの回転数に基づき制御される。
【0043】
さらに、制御部40は、封筒Eを内容物封入位置に搬送したとき、フラップ保持手段31でフラップEcを保持してから所定時間経過後に底部保持手段32の駆動を停止する。このように、底部保持手段32よりも先にフラップ保持手段31の駆動が停止するよう制御することで、先に保持された封筒EのフラップEcを支点として封筒Eの底部Edを引張して封筒Eの皺が伸ばされ、確実に封筒Eの開口部Eaを開口することができる。
【0044】
次に、上記構成例の封入封緘装置1における一連の処理動作について説明する。ここでは、封筒Eとして縦長封筒を使用し、内容物Pとして折り加工を施さない1枚の用紙を封筒Eに封入封緘する例について説明する。
【0045】
まず、封筒搬送部20によって載置台21に載置された封入封緘部30まで搬送する。このとき、封筒EのフラップEcが開いていない場合は、フラップ開き部材23によってフラップEcが捲られて開く。そして、封筒検知手段33が搬送された封筒Eの底部Edを検知すると、その検知タイミングに基づき封筒Eを所定距離搬送し、底部保持手段32によって封筒Eの底部Edを挟持する。
【0046】
次に、封筒Eの底部Edを挟持した状態でフラップ保持手段31の回転を停止し、フラップEcが保持された状態で底部保持手段32の回転を所定時間継続して封筒Eを引張した状態とする。そして、底部保持手段32の回転を停止して底部Edを保持する。これにより、封筒Eに皺がよらず正しい内容物封入位置で保持される。
【0047】
封筒Eが内容物封入位置で保持されると、開口爪34aを封筒Eの開口部Eaまで回動して挿入し、開口部Eaの開口端Ebを開口爪34aと張力付与ローラ34bとで狭持する。そして、この状態で張力付与ローラ34bを搬送方向と逆方向に回転して開口端Ebに所定の張力を付与する。これにより、封筒Eの開口部Eaにおける開口端Ebに一定の張力が付与され、封筒Eの開口部Eaの口元のみならず全体を開口させることができる。そして、印刷装置100において印刷処理が完了した内容物Pは、第1搬送経路11を経由して搬送され、封筒Eに封入される。
【0048】
次に、内容物Pを封入した封筒Eを搬送方向と逆方向に所定距離戻し、封筒Eが封緘用搬送路36bへ搬送されるよう規制板36aを退避位置から搬送方向規制位置まで回動する。そして、封筒Eを封緘用搬送路36bへ誘導して封筒Eの再湿糊を加水した後、封緘用ローラ対まで搬送して封筒EのフラップEcと開口部Eaを挟持搬送しながら封緘し、封緘後の封書を排出台へ搬送する。
【0049】
以上説明したように、上述した封入封緘装置1は、封筒搬送部20によって封入封緘部30に搬送された封筒Eの底部Edを底部保持手段32で保持し、フラップ保持手段31で保持する。そして、この状態で開口爪34aを封筒Eの開口部Eaまで回動して挿入し、開口部Eaの開口端Ebを開口爪34aと張力付与ローラ34bとで狭持し、張力付与ローラ34bを搬送方向と逆方向に回転して開口端Ebに所定の張力を付与する。
【0050】
これにより、封筒EのフラップEcと底部Edとが引張された状態でさらに開口部Eaの開口端Ebに張力が付与されることで封筒Eが完全に開口するため、折り加工されていない内容物Pや腰のない軽量紙1枚のみの用紙であってもスムーズに封入することができる。
【0051】
また、封筒Eを内容物封入位置に搬送したとき、フラップ保持手段31でフラップEcを保持してから所定時間経過後に底部保持手段32の駆動を停止するよう制御しているため、先に保持された封筒EのフラップEcを支点として封筒Eの底部Edが引張されて封筒Eの皺を伸ばして正しい位置で保持することができ、より確実に封筒Eの開口部Eaを開口することができる。
【符号の説明】
【0052】
1…封入封緘装置
10…内容物搬送部
11…第1搬送経路(11a…搬送ローラ対)
12…第2搬送経路(12a…搬送ローラ対)
13…折り手段
14…経路切替部材
15…ガイド部材
20…封筒搬送部
21…載置台
22…給送ローラ
23…フラップ開き部材
24…搬送ローラ対
30…封入封緘部
31…フラップ保持手段
32…底部保持手段(32a…縦長封筒用ローラ対、32b…横長封筒用ローラ対)
33…封筒検知手段
34…開口部保持手段(34a…開口爪34a、34b…張力付与ローラ、34c…支持アーム)
35…加水手段(35a…水タンク、35b…吸水部、35c…揺動アーム)
36…封緘処理手段(36a…規制板36a、36b…封緘用搬送路、36c…エンドフェンス、36d…封緘用ローラ対)
40…制御部
100…印刷装置
P…内容物
E…封筒(Ea…開口部、Eb…開口端、Ec…フラップ、Ed…底部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷済みの内容物を封筒に封入封緘して封書を作製する封入封緘装置において、
内容物封入位置まで搬送した前記封筒のフラップを保持するフラップ保持手段と、
前記内容物封入位置まで搬送した前記封筒の底部を保持する底部保持手段と、
前記封筒のフラップ及び底部が保持された状態で前記封筒の開口部を開口し、且つ前記開口部の開口端と前記封筒底部との間に、張力を付与しながら保持する開口部保持手段と、
を備えたことを特徴とする封入封緘装置。
【請求項2】
前記フラップ保持手段及び前記底部保持手段は一対の搬送ローラからなり、前記フラップ保持手段の回転駆動を停止した後、所定時間経過後に前記底部保持手段の回転駆動を停止することを特徴とする請求項1記載の封入封緘装置。
【請求項3】
前記開口部保持手段は、
前記封筒の開口端に沿って設けられた複数の爪部を有し、前記開口部を開口する際に退避位置から前記封筒の開口端に向けて回動自在に軸支され開口爪と、
前記封筒が内容物封入位置まで搬送されたときに前記封筒の開口端を前記開口爪とで狭持した状態で前記封筒の搬送方向と逆方向に回転して前記開口端に所定の張力を付与する張力付与ローラと、
で構成されることを特徴とする請求項1又は2記載の封入封緘装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−131543(P2012−131543A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286062(P2010−286062)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】