説明

封入式遊技機

【課題】遊技機側に不測の事態が発生した場合でも常に遊技者の持ち球数を正確に把握することで、信頼性の高い遊技管理を維持することが可能な封入式遊技機を提供する。
【解決手段】カード残高を消費して球貸しを受けると、これがクレジット数に換算されて遊技機にクレジットされ、クレジット数を消費して遊技を行う際、入賞した入賞口の種類に対応する値(賞球数)がクレジット数に換算され積算されていく。また、遊技領域に発射された発射球を検出する毎にクレジット数が減算されていく。そして、所定の精算条件が成立したときに遊技を終了させ、そのときクレジット数を遊技用装置へ送信する。この場合、賞球数に対応してクレジット数が2以上の所定数だけ増加する毎に、また、発射球数に対応してクレジット数が2以上の所定数だけ減少する毎に、その旨の情報が遊技機から遊技用装置へ送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球の払い出しを行わない完全クレジット式の封入式遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の封入式遊技機としては、例えば特許文献1に示すような封入式パチンコ機が知られている。封入式パチンコ機は、これに併設された台間球貸し機へカード(例えば、プリペイドカード等)を挿入し、当該カードに記録されている遊技価値データ(例えば、遊技者が遊技できる遊技球の数、即ち、残高情報)を増減させることで遊技を可能にすると共に、精算スイッチの操作によって遊技を終了し、獲得した出玉(持ち球数)を所定の遊技価値へ変換してカードに書き込むようになっている。
【特許文献1】特開平10−192481号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記したような従来の封入式パチンコ機(以下、パチンコ機という)と、これに併設された台間球貸し機とにおいて、残高情報の管理は、台間球貸し機側で行われており、一方、出玉(持ち球数)の管理は、パチンコ機側で行われている。このように、残高管理と持ち球数管理との処理を台間球貸し機とパチンコ機とで分担することにより、遊技の進行に応じた迅速な遊技管理が可能になると共に、両者の処理負担を軽減することが可能になる。このため、かかる遊技管理処理が従来から一般的に採用されている。
【0004】
しかしながら、上記した遊技管理処理では、台間球貸し機から残高情報がパチンコ機へ送信された後において、例えば、停電によりパチンコ機への電力供給が停止したり、或いは、パチンコ機自体の電気的な故障などの不測の事態が発生した場合、当該パチンコ機側で管理している出玉(持ち球数)の管理データが消失したり、或いは、読取不能となってしまう虞がある。そうなると、遊技者の出玉(持ち球数)を正確に把握することができないため、カードの残高と出玉(持ち球数)との誤差の程度によっては、遊技者側或いは遊技店側のいずれかが損失を被る結果となり、信頼性の高い遊技管理を維持することができなくなってしまう。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされており、その目的は、遊技機側に不測の事態が発生した場合でも常に遊技者の持ち球数を正確に把握することで、信頼性の高い遊技管理を維持することが可能な封入式遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記したような目的を達成するために、第1の発明は、複数の遊技球が機内に封入されており、遊技領域へ発射させて遊技に使用された遊技球を再び遊技領域へ発射可能に循環させる封入式遊技機(即ち、封入式パチンコ機2)において、前記封入式遊技機に併設される遊技用装置(カードユニット4)から送信され、遊技者への貸し出し球数を特定可能な球貸し情報を受信する球貸し情報受信手段(例えば、主制御回路14のCPU16、インターフェイス回路群I/F)と、遊技者が所有する遊技球の数に対応する持ち球数を特定可能な持ち球数情報を記憶する持ち球数情報記憶手段(例えば、主制御回路のRAM)と、前記球貸し情報受信手段によって受信した前記球貸し情報に対応する貸球数を特定可能な貸球数情報を、前記持ち球数情報記憶手段に記憶されている前記持ち球数情報に加算する貸球数情報加算手段(例えば、主制御回路のCUP)と、前記遊技領域に発射された遊技球(即ち、発射球)を検出する発射球検出手段(例えば、発射通路に設置された発射球検出センサ)と、前記遊技領域に発射された遊技球が前記発射球検出手段によって検出されたときに、その発射された遊技球の発射球数を特定可能な発射球数情報を、前記持ち球数情報記憶手段に記憶されている前記持ち球数情報から減算する発射球数情報減算手段(例えば、主制御回路のCPU)と、前記遊技領域に設けられた入賞口へ遊技球が入賞したときに、その入賞した前記入賞口に対応する賞球数を特定可能な賞球数情報を、前記持ち球数情報記憶手段に記憶されている前記持ち球数情報に加算する賞球数情報加算手段(例えば、主制御回路のCPU)と、前記持ち球数情報記憶手段に記憶されている前記持ち球数情報が1以上ある場合に、遊技球の発射を行う発射手段(例えば、主制御回路のCPU、主制御回路によって制御される発射モータ)と、所定の精算条件(例えば、精算ボタンON、持ち球数ゼロ)が成立したときに、前記持ち球数情報記憶手段に記憶されている前記持ち球数情報を前記遊技用装置へ送信する持ち球数情報送信手段(例えば、主制御回路のCPU、インターフェイス回路群)と、前記持ち球数情報記憶手段に記憶されている前記持ち球数情報が、2以上の所定数だけ増減変化する毎に、その旨の情報を前記遊技用装置へ送信する持ち球数変化情報送信手段(例えば、主制御回路のCPU、インターフェイス回路群)とを備えている。
第1の発明では、遊技用装置へ挿入したカードの残高を消費して球貸しを受けると、遊技球の払い出しを受ける代わりに、これがクレジット数(持ち球数)に換算されて封入式遊技機にクレジットされる。遊技者は、クレジットされたクレジット数の範囲内で当該クレジット数を消費して遊技を行うことになる。遊技では、遊技球が入賞した入賞口の種類に対応する値(賞球数)がクレジット数に換算され積算されていく。また、遊技領域に発射された発射球を1個検出する毎にクレジット数から「1」が減算されていく。そして、所定の精算条件が成立したときに遊技を終了させ、そのときに遊技者が所有しているクレジット数を遊技用装置へ送信する。この場合、上記した遊技において、検出された賞球数に対応してクレジット数が2以上の所定数だけ増加する毎に、その旨の情報が封入式遊技機から遊技用装置へ送信されると共に、検出された発射球数に対応してクレジット数が2以上の所定数だけ減少する毎に、その旨の情報が封入式遊技機から遊技用装置へ送信される。
第1の発明によれば、クレジット数(持ち球数)が封入式遊技機の管理下に置かれている状態において、上記した賞球数及び発射球数に対応してクレジット数が2以上の所定数(例えば、10)だけ増減変化する毎に、その旨の情報が遊技用装置へ送信されるため、遊技者が所有するクレジット数の増減変化を把握可能なデータを遊技用装置側でも同時に管理(バックアップ)することができる。これにより、例えば、停電により遊技機への電力供給が停止したり、或いは、遊技機自体の電気的な故障などの不測の事態が発生した場合、遊技機側で管理しているクレジット数の管理データが消失したり、或いは、読取不能となっても、遊技用装置側で管理しているバックアップデータに基づいて、その不測の事態が発生するまでに遊技者が所有するクレジット数を正確に把握することができる。このため、信頼性の高い遊技管理を維持することが可能な封入式遊技機を実現することができる。
しかも、上記したように、クレジット数(持ち球数)が2以上の所定数だけ増減変化する毎に、その旨の情報を遊技機から遊技用装置へ送信するようにしているので、当該遊技機に対する処理負担もあまり大きくならない。これにより、遊技の進行に応じた迅速な遊技管理を行うことができる。
【0007】
第2の発明において、前記持ち球数情報送信手段は、所定の精算条件が成立してから所定時間経過後に、前記持ち球数情報記憶手段に記憶されている前記持ち球数情報を前記遊技用装置へ送信する。
第2の発明では、所定の精算条件が成立した後に、例えば、遊技領域に発射された遊技球がファール球となったり、或いは、入賞口への入賞により所定数の賞球がされたりする場合でも、かかるファール球や賞球の球数を反映した持ち球数情報が遊技用装置へ送信される。
第2の発明によれば、所定の精算条件が成立してから所定時間(例えば、10秒間)経過後に、持ち球数情報を遊技用装置へ送信するようにしているので、例えばファール球や賞球により持ち球数情報が増減変化する場合でも、これを反映した持ち球数情報(即ち、持ち球数情報が増減変化した後のクレジット数)を遊技用装置へ送信することができる。これにより、遊技者が所有するクレジット数(持ち球数)の管理を極めて正確に行うことができるため、より信頼性の高い遊技管理を維持することが可能な封入式遊技機を実現することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、遊技機側に不測の事態が発生した場合でも常に遊技者の持ち球数を正確に把握することで、信頼性の高い遊技管理を維持することが可能な封入式遊技機を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態に係る封入式遊技機について、添付図面を参照して説明する。なお、本実施の形態では、封入式遊技機の一例として、複数の遊技球が機内に封入されており、遊技領域へ発射させて遊技に使用された遊技球を再び遊技領域へ発射可能に循環させる封入式パチンコ機を想定して説明する。
【0010】
図1に示すように、封入式パチンコ機2(以下、パチンコ機という)は、これに隣接して遊技用装置4(即ち、カードユニット)が併設されており、カードユニット4には、カードM(例えば、プリペイドカード等の磁気カード)を挿入するカード挿入口6と、カード挿入口6に挿入したカードMに記録されている残高情報(例えば、遊技者が遊技できる持ち球数を特定可能な残度数)を表示するカード残高表示部8と、遊技球の払い出し(球貸し)を受ける際に押下する球貸しボタン10と、カード挿入口6に挿入してカードユニット4に受け付けられたカードMの返却を受ける際に押下する返却ボタン12とが設けられている。
【0011】
このようなカードユニット4において、カードMをカード挿入口6へ挿入すると、当該カードMが有効か否かの判定処理が実行される(図4(a)のT1)。かかる処理では、例えば当該カードMが偽造品であるか否か、或いは、有効期限切れか否かなど、球貸しを受け得るカードMであるか否かについての判定が行われる。そして、球貸しを受け得るカードMであると判定された場合、遊技者は、球貸しボタン10と返却ボタン12のいずれかを選択して押下することが可能となる。
【0012】
ここで、遊技者が、返却ボタン12を押下すること無く(図4(a)のT2)、球貸しボタン10を押下した場合(図4(a)のT3)、当該球貸しボタン10の押下操作に応じてカードMの残高が消費され、その消費残高に対応する遊技球数の球貸しを受けることが可能となる。例えば100円分の残高を消費したとすると、遊技球1個あたり4円換算として25個の球貸しを受けることが可能となる。このとき、カードユニット4では、球貸し信号送信処理が実行され、遊技者への100円分の貸し出し球数(25個)を特定可能な球貸し情報(即ち、球貸し信号)がパチンコ機2へ送信される(図4(a)のT4)。
【0013】
この場合、球貸し信号の送信方法としては、所定の消費残高毎に1パルスの信号をパチンコ機2へ送信するようにすればよいが、ここでは一例として、100円分の球貸し毎に1パルスの信号を送信することとする。従って、例えば500円分の球貸しを受ける場合には、5パルスの球貸し信号がパチンコ機2へ送信されることになる。
なお、遊技者が、返却ボタン12を押下すると(図4(a)のT2)、カードユニット4に受け付けられたカードMがカード挿入口6から排出され、これにより、カードMの返却を受けることができる(図4(a)のT6)。
【0014】
また、上記した球貸し信号送信処理に同期又は追従して、カードユニット4では、残高表示更新処理が実行され、上記した100円分の球貸しを受けた後の残高情報がカード残高表示部8に表示される(図4(a)のT5)。例えば、カードMに500円分の残高情報が記録されている場合、100円を1度数換算することで、遊技者が遊技できる持ち球数を特定可能な残度数「5」がカード残高表示部8に表示される。そして、100円分(即ち、1度数分)の残高を消費して球貸しを受けたとき、残高表示更新処理によって、残度数「5」から消費度数「1」が減算される。この結果、カード残高表示部8には、残度数「4」が表示されることになる。
【0015】
一方、図1及び図3に示すように、パチンコ機2には、上記した球貸し信号送信処理によってカードユニット4から送信された球貸し信号を受信する球貸し情報受信手段が設けられている。ここで、パチンコ機2は、当該パチンコ機2にて行われる遊技に関する処理や制御を実行する主制御回路14を備えており、カードユニット4から送信された球貸し信号は、主制御回路14に構築されたインターフェイス回路群I/Fを介してCPU16によって受信される。この場合、球貸し情報受信手段は、例えばCPU16とインターフェイス回路群I/Fの処理機能を合わせ持った技術思想として構成され得る。なお、かかる球貸し情報受信処理は、主制御回路14に構築されたROM18に記憶した球貸し情報受信処理プログラムが、主制御回路14に構築されたRAM20を作業領域としてCPU16によって実行される。
【0016】
ここで、パチンコ機2では、上記した球貸し信号を受信すると、これに同期して、球貸し処理が実行される(図5(a)のP1)。本実施の形態では、完全クレジット式のパチンコ機2を想定しており、実際に遊技球の払い出し(球貸し)を受ける代わりに、これがクレジット数(持ち球数)に換算されて当該パチンコ機2にクレジットされるようになっている。例えば、カードユニット4から1パルスの信号(遊技者への100円分の貸し出し球数(25個)を特定可能な球貸し信号)が上記した球貸し情報受信手段によって受信されたとき(図5(b)のP1−1)、当該1パルス分に対応する貸し出し球数がクレジット数に換算される。例えば貸し出し球数が25個であれば、これがクレジット数「25」に換算される。なお、かかる換算処理は、主制御回路14において、ROM18に記憶した換算処理プログラムがRAM20を作業領域としてCPU16によって実行される。
【0017】
このとき、パチンコ機2では、遊技者が遊技できる持ち球数を特定可能な持ち球数情報としてクレジット数「25」が新たにクレジットされると共に、主制御回路14にプログラムされた持ち球増カウンタ(図示しない)の値が当該クレジット数「25」だけ積算される(図5(b)のP1−2)。また、このクレジット加算処理に同期又は追従して、パチンコ機2では、クレジット表示処理が実行され、新たにクレジットされたクレジット数「25」を反映した合計のクレジット数がクレジット表示部22に表示される(図5(b)のP1−3)。例えば、遊技開始前に球貸しを受ける場合、その時点での遊技者の持ち球数が「0(ゼロ)」であれば、このときパチンコ機2に新たにクレジットされたクレジット数「25」が、そのままクレジット表示部22に「25」として表示される。これに対し、遊技継続中に球貸しを受ける場合、その時点での遊技者の持ち球数が「75」であれば、このときパチンコ機2に新たにクレジットされたクレジット数「25」を加えた合計のクレジット数「100」が、クレジット表示部22に「100」として表示される。
【0018】
なお、上記したクレジット加算処理は、主制御回路14において、ROM18に記憶した加算処理プログラムがRAM20を作業領域としてCPU16によって実行される。
また、上記したクレジット表示部22は、主制御回路14に構築されたインターフェイス回路群I/Fを介してCPU16によって制御されるようになっており、上記したクレジット表示処理は、ROM18に記憶したクレジット表示処理プログラムがRAM20を作業領域としてCPU16によって実行される。
【0019】
また、パチンコ機2には、遊技者が所有する遊技球の数に対応する持ち球数を特定可能な持ち球数情報(即ち、クレジット数)を記憶する持ち球数情報記憶手段と、上記した球貸し情報受信手段によって受信した球貸し情報に対応する貸球数を特定可能な貸球数情報を、持ち球数情報記憶手段に記憶されている持ち球数情報(クレジット数)に加算する貸球数情報加算手段とが設けられている。
【0020】
持ち球数情報記憶手段としては、例えば主制御回路14のRAM20を適用することが可能であり、例えば、遊技開始前に球貸しを受けた際の持ち球数や、遊技継続中に増減変化していく持ち球数などが、これに対応した持ち球数情報としてリアルタイムに当該RAM20に記憶されるようになっている。具体的に説明すると、例えば、遊技開始前に球貸しを受ける場合、その時点での遊技者の持ち球数が「0(ゼロ)」であれば、このときパチンコ機2に新たにクレジットされたクレジット数「例えば、25」が、そのまま持ち球数情報としてRAM20に記憶される。これに対し、遊技継続中に球貸しを受ける場合、その時点での遊技者の持ち球数が「例えば、75」であれば、このときパチンコ機2に新たにクレジットされたクレジット数「例えば、25」を加えた合計のクレジット数「100」が、持ち球数情報としてRAM20に記憶される。なお、このような持ち球数記憶処理は、ROM18に記憶した持ち球数記憶処理プログラムがRAM20を作業領域としてCPU16によって実行される。
【0021】
貸球数情報加算手段では、上記したカードユニット4から送信された1パルス分の球貸し信号に対応した貸球数(即ち、遊技者への貸し出し球数(25個))を、これを特定可能な貸球数情報として、上記したRAM20に記憶されている持ち球数情報(クレジット数)に加算する処理が実行される。ここで、貸球数情報加算手段としては、例えば主制御回路14のCPU16を適用することが可能であり、この場合、かかる貸球数情報加算処理は、ROM18に記憶した貸球数情報加算処理プログラムがRAM20を作業領域としてCPU16によって実行される。
【0022】
この後、図1〜図3に示すように、遊技者は、パチンコ機2に設けられた発射ハンドル24を操作して、遊技球を遊技領域に発射させることで、上記したようにクレジットされたクレジット数の範囲内で当該クレジット数を消費して遊技を行うことができる。この場合、パチンコ機2には、遊技領域に発射された遊技球(以下、発射球という)を検出する発射球検出手段と、上記したRAM20(持ち球数情報記憶手段)に記憶されている持ち球数情報(クレジット数)が1以上ある場合に、発射球の発射を行う発射手段とが設けられている。
【0023】
発射球検出手段は、例えば発射球の発射位置から遊技領域に亘って形成された発射通路(図示しない)の任意の箇所に、発射球検出センサ26(図3)を設置することで構成することができる。発射球検出センサ26は、インターフェイス回路群I/Fを介してCPU16によって制御されるようになっている。これにより、後述する発射球検出処理(図5(a)のP2)が実行される。なお、かかる発射球検出処理は、ROM18に記憶した発射球検出処理プログラムがRAM20を作業領域としてCPU16によって実行される。
【0024】
発射手段としては、例えば、発射ハンドル24の操作に応じて駆動させることが可能な発射モータ28(図3)と、当該発射モータ28を制御するCUP16との処理機能を合わせ持った技術思想として構成され得る。発射ハンドル24には、遊技者の手が当該発射ハンドル24を握持したことを感知するタッチセンサ30が設けられており、これら発射ハンドル24及びタッチセンサ30は、共に、インターフェイス回路群I/Fを介してCPU16に接続されている。この場合、遊技者が手で発射ハンドル24を握持すると、タッチセンサ30からその旨の信号がCPU16に出力され、その状態で、当該発射ハンドル24を操作(例えば、時計回りに回転操作)すると、その回転量(角度)に応じてCUP16が発射モータ28を制御することで、発射球を1個ずつ遊技領域に発射させることができる。なお、かかる発射処理は、ROM18に記憶した発射処理プログラムがRAM20を作業領域としてCPU16によって実行される。
【0025】
ここで、パチンコ機2には、上記した発射手段によって遊技領域に発射させた発射球が発射球検出手段(発射球検出センサ26)によって検出されたときに、その発射球数を特定可能な発射球数情報を、持ち球数情報記憶手段(RAM20)に記憶されている持ち球数情報(クレジット数)から減算する発射球数情報減算手段が設けられている。
発射球数情報減算手段では、発射球が発射球検出センサ26によって1個ずつ検出されると、これを発射球数情報として、遊技者が遊技できる持ち球数を特定可能な持ち球数情報(クレジット数)から「1」ずつ減算される。このとき、主制御回路14にプログラムされた持ち球減カウンタ(図示しない)の値が「1」ずつ積算される。また、このクレジット減算処理に同期又は追従して、上記したクレジット表示処理が実行され、「1」ずつ減算された後の残りのクレジット数がクレジット表示部22に表示される。なお、クレジット数の減算処理は、主制御回路14において、ROM18に記憶した減算処理プログラムがRAM20を作業領域としてCPU16によって実行される。
【0026】
また、上記した発射ハンドル24は、パチンコ機2の本体枠2aに対して回動自在に設けられており、当該本体枠2aには、遊技盤2bが組み込まれている。遊技盤2bには、その前面に、各種の入賞口(例えば、一般入賞口H1、始動入賞口H2、大入賞口H3など)が設けられている。また、各入賞口H1,H2,H3には、上記した発射手段によって遊技領域に発射された発射球が入賞したことを検出する入賞球検出センサ32(図3)がそれぞれ設置されている。また、各入賞球検出センサ32は、主制御回路14のインターフェイス回路群I/Fを介してCPU16に接続されている。これにより、後述する入賞球検出処理(図5(a)のP3)が実行される。なお、かかる入賞球検出処理は、ROM18に記憶した入賞球検出処理プログラムがRAM20を作業領域としてCPU16によって実行される。
【0027】
また、上記した発射通路には、上記した発射手段によって発射された発射球のうち、遊技領域に到達しないで再び発射位置に戻って来たもの(以下、ファール球という)を検出するためのファール球検出センサ34(図3)が設けられている。この場合、ファール球検出センサ34は、上記した発射通路の任意の箇所に設置すればよく、主制御回路14のインターフェイス回路群I/Fを介してCPU16に接続されている。これにより、後述するファール球検出処理(図5(a)のP4)が実行される。なお、かかるファール球検出処理は、ROM18に記憶したファール球検出処理プログラムがRAM20を作業領域としてCPU16によって実行される。
【0028】
また、上記した遊技盤2bには、その前面略中央に、複数の図柄を変動表示する演出表示装置36が設けられていると共に、当該演出表示装置36の上部中央には、例えば0から9までの数字や記号等の普通図柄を変動表示する図柄可変表示装置38が設けられている。演出表示装置36及び図柄可変表示装置38は、共に、主制御回路14のインターフェイス回路群I/Fを介してCPU16に接続されている。これにより、後述する画像表示処理(図5(a)のP5)が実行される。なお、かかる画像表示処理は、ROM18に記憶した画像表示処理プログラムがRAM20を作業領域としてCPU16によって実行される。
【0029】
また、上記した本体枠2aには、例えばその四隅に、音による遊技の演出を行うスピーカ40が設けられており、各スピーカ40は、インターフェイス回路群I/Fを介してCPU16によって制御されるようになっている。これにより、後述する音声表示処理(図5(a)のP6)が実行される。なお、かかる音声表示処理は、ROM18に記憶した音声表示処理プログラムがRAM20を作業領域としてCPU16によって実行される。
【0030】
また、上記した本体枠2aの上部には、光による遊技の演出を行う(例えば、大当り時或いはリーチ時にその旨を遊技者に示すべく点滅又は点灯する)装飾ランプ42が設けられている。また、上記した図柄可変表示装置38の両側には、上記した演出表示装置36に変動表示される図柄の組合せが有効となった回数を示す保留ランプ44が設けられている。各装飾ランプ42及び保留ランプ44は、それぞれ、インターフェイス回路群I/Fを介してCPU16によって制御されるようになっている。これにより、後述する電飾表示処理(図5(a)のP7)が実行される。なお、かかる電飾表示処理は、ROM18に記憶した電飾表示処理プログラムがRAM20を作業領域としてCPU16によって実行される。
【0031】
また、パチンコ機2には、遊技領域に設けられた入賞口H1,H2,H3へ発射球が入賞したときに、その入賞した入賞口に対応する賞球数を特定可能な賞球数情報を、持ち球数情報記憶手段(RAM20)に記憶されている持ち球数情報(クレジット数)に加算する賞球数情報加算手段が設けられている。
賞球数情報加算手段としてはCPU16が適用され、これにより、パチンコ機2での遊技において、上記した発射手段によって発射球を1個ずつ発射させる毎に、上記した発射球検出手段によって当該発射球が1個ずつ検出され、その検出された発射球毎に、当該パチンコ機2にクレジットされているクレジット数から「1」ずつ減算されていく。また、発射球が入賞すると、その入賞口(例えば、一般入賞口H1、始動入賞口H2、大入賞口H3など)の種類に対応する値(賞球数)がクレジット数に換算され積算されていく。そして、所定の精算条件が成立するまで(例えば、遊技者によって精算ボタンB1が押下されるか、或いは、クレジット数が「0(ゼロ)」になるまで)遊技を行うことができる。
【0032】
なお、パチンコ機2には、その背面に(図2)、入賞口集合桶46と、これに連通した球通路48とが構築されている。この場合、上記した各入賞口H1,H2,H3に入賞した発射球は、入賞口集合桶46に回収された後、球通路48を経由して球磨き装置50へ導入される。また、上記した各入賞口H1,H2,H3のいずれにも入賞すること無く遊技領域を流下した発射球は、遊技領域の最下端中央に形成された球排出口52から排出された後、球通路48を経由して球磨き装置50へ導入される。そして、これら発射球は、球磨き装置50で清掃された後、球送り装置54によって発射位置に送られることで、再び遊技領域へ発射可能に循環されている。
【0033】
ところで、上記したようなパチンコ機2とカードユニット4とは、主として、4つの信号線(図示しない)で接続されており、これら信号線を介して、遊技者が所有するクレジット情報のバックアップ処理が実行されるようになっている。以下、それぞれの信号線を介して送信される信号について列挙する。
【0034】
第1は、100円分の球貸し毎にカードユニット4からパチンコ機2へ1パルス送信される上記した球貸し信号である。
第2は、精算ボタンB1が押下されるか、或いは、クレジット数が「0(ゼロ)」になった際に、その旨の情報として、パチンコ機2からカードユニット4へ送信される信号(例えば、遊技終了を知らせる情報、そのときに遊技者が所有しているクレジット数を示す情報など)である。
第3は、上記した発射球検出手段によって発射球数が2以上の所定数(例えば、10)だけ検出される毎に(即ち、クレジット数が「10」減少する毎に)、その旨の情報として、パチンコ機2からカードユニット4へ1パルス送信される持ち球減信号である。
第4は、発射球が入賞して獲得した賞球数に応じてクレジット数が2以上の所定数(例えば、10)だけに加算される毎に(即ち、クレジット数が「10」増加する毎に)、その旨の情報として、パチンコ機2からカードユニット4へ1パルス送信される持ち球増信号である。
【0035】
以下、これら第1〜第4の各信号を用いたバックアップ処理について、図5(a)の遊技実行処理に沿って説明する。
上記した球貸し処理(図5(a)のP1)が実行された後、発射球検出処理(図5(a)のP2)が実行される。この発射球検出処理では、上記した発射手段によって遊技領域に発射させた発射球が、発射球検出センサ26によって1個ずつ検出されると(図5(d)のP2−1)、その検出毎に、遊技者が遊技できる持ち球数を特定可能な持ち球数情報(クレジット数)が「1」ずつ減算されと共に、主制御回路14にプログラムされた持ち球減カウンタ(図示しない)の値が、当該発射球数に対応して「1」ずつ積算される(図5(d)のP2−2)。
【0036】
続いて、入賞球検出処理(図5(a)のP3)が実行される。この入賞球検出処理では、遊技領域に発射された発射球が、各入賞口H1,H2,H3のいずれかに入賞すると、それが入賞球検出センサ32によって検出される(図5(c)のP3−1)。そして、その検出された入賞口H1,H2,H3の種類に対応する値(賞球数)がクレジット数に換算され加算されると共に、主制御回路14にプログラムされた持ち球増カウンタ(図示しない)の値が、当該賞球数に対応して積算される(図5(c)のP3−2)。このクレジット加算処理に同期又は追従して、クレジット表示処理が実行され、賞球数を反映した合計のクレジット数がクレジット表示部22に表示される(図5(c)のP3−3)。
【0037】
なお、上記した賞球数は、各入賞口H1,H2,H3の種類に応じて増減する。例えば、一般入賞口H1に入賞した場合の賞球数は「15」であり、また、始動入賞口H2に入賞した場合には、賞球数として「3」がクレジットへ加算されると共に、それに同期して、内部抽選処理がCPU16によって実行される。内部抽選処理では、CPU16が乱数発生部56(図3)に乱数を発生させ、そのとき発生した乱数は、抽選結果を示す内部抽選データとしてRAM20に記録される。そして、かかる記録がされる毎に保留ランプ44が点灯していく。ところで、所定の通過領域(図示しない)を遊技球が通過すると、図柄可変表示装置38において、普通図柄の変動表示を行い、所定の図柄が表示されたとき、CPU16がソレノイド58を制御し、一対の可動片Ha,Hbを駆動させて、始動入賞口H2に発射球が入り易い開放状態にさせる。これにより、始動入賞口H2への入賞が増加するため、その賞球数も増加することになる。また、内部抽選の結果、大当り状態に移行した場合には、CPU16がソレノイド58を制御し、シャッタHcを駆動させて、大入賞口H3を所定のタイミングで開閉にさせる。これにより、大入賞口H3への入賞が増加するため、その賞球数も増加することになる。なお、大入賞口H3に入賞した場合の賞球数は「12」である。
【0038】
次に、ファール球検出処理(図5(a)のP4)が実行される。このファール球検出処理では、上記した発射手段によって発射された発射球のうち、遊技領域に到達しないで再び発射位置に戻って来たファール球が、ファール球検出センサ34によって1個ずつ検出されと(図5(d)のP4−1)、その検出毎に、主制御回路14にプログラムされた持ち球増カウンタ(図示しない)の値が、当該ファール球数に対応して「1」ずつ積算される(図5(d)のP4−2)。
なお、上記した発射手段によって遊技領域に発射させた発射球が、発射球検出センサ26で1個検出された後、当該発射球がファール球となってファール球検出センサ34で1個検出された場合には、実質的にクレジット数の増減はないものとして処理される。
【0039】
また、上記した各処理P1〜P4とパラレルに、下記の、画像表示処理(図5(a)のP5)、音声表示処理(図5(a)のP6)、電飾表示処理(図5(a)のP7)がそれぞれ実行される。
画像表示処理では、CPU16によって所定の図柄が選択的に生成され、演出表示装置36及び図柄可変表示装置38上に表示される。
音声表示処理では、CPU16によって所定の音声が選択的に生成され、スピーカ40に供給される。
電飾表示処理では、CPU16によって装飾ランプ42及び保留ランプ44の制御が行われる。
【0040】
本実施の形態では、上記した遊技実行処理の際、下記のバックアップ処理が行われる。
ここで、バックアップ処理を行うために、パチンコ機2には、上記した精算条件が成立したときに、持ち球数情報記憶手段(RAM20)に記憶されている持ち球数情報(クレジット数)をカードユニット4へ送信する持ち球数情報送信手段と、持ち球数情報記憶手段(RAM20)に記憶されている持ち球数情報(クレジット数)が、2以上の所定数だけ増減変化する毎に、その旨の情報をカードユニット4へ送信する持ち球数変化情報送信手段とが設けられている。
【0041】
持ち球数情報送信手段では、上記した精算条件が成立したときに、例えばCPU16によって、RAM20に記憶されている持ち球数情報(クレジット数を特定可能なクレジット情報)が読み出され、その読み出されたクレジット情報を、インターフェイス回路群I/Fを介してカードユニット4へ送信させる。この場合、持ち球数情報送信手段は、例えばCPU16とインターフェイス回路群I/Fの処理機能を合わせ持った技術思想として構成され得る。なお、かかる精算処理は、ROM18に記憶した精算処理プログラムが、RAM20を作業領域としてCPU16によって実行される。
【0042】
ここで、所定の精算条件が成立した後において、ファール球や入賞の可能性を有することから、上記した精算処理では、所定の精算条件が成立してから所定時間経過後に、持ち球数情報(クレジット情報)をカードユニット4へ送信するようにすることが好ましい。この場合、所定時間については、例えば10秒間或いは15秒間など、使用目的に応じて任意に設定することができる。なお、かかる時間設定は、予め主制御回路14(例えば、RAM20等)にプログラミングしておけばよい。
【0043】
持ち球数変化情報送信手段では、遊技領域に発射された発射球が各入賞口H1,H2,H3のいずれかに入賞した際、主制御回路14にプログラムされた持ち球増カウンタの値が上記した賞球数に対応して積算され、これにより、クレジット数及び持ち球増カウンタ値が2以上の所定数だけ増加する毎に、例えばCPUによって、その旨の情報(バックアップ用の持ち球増信号)をパチンコ機2からカードユニット4へ送信させる。
また、持ち球数変化情報送信手段では、遊技領域に発射された発射球が発射球検出センサ26によって1個ずつ検出される毎に、主制御回路14にプログラムされた持ち球減カウンタの値が「1」ずつ積算され、これにより、クレジット数は減少するが、持ち球減カウンタ値が2以上の所定数だけ増加する毎に、例えばCPUによって、その旨の情報(バックアップ用の持ち球減信号)をパチンコ機2からカードユニット4へ送信させる。
【0044】
この場合、持ち球数変化情報送信手段は、例えばCPU16とインターフェイス回路群I/Fの処理機能を合わせ持った技術思想として構成され得る。なお、かかるバックアップ信号送信処理は、ROM18に記憶したバックアップ信号送信処理プログラムが、RAM20を作業領域としてCPU16によって実行される。
【0045】
以下、バックアップ処理の動作について説明する。
ここでは一例として、100円で25個の球貸しを受けて遊技を開始した場合を想定する。このとき、遊技者が所有するクレジット数は「25」となり、この範囲内で遊技が行われる。そして、11個の発射球が遊技領域に打ち出される間に、入賞口H1に2回入賞し、合計30個の賞球を受けた段階で、精算ボタンB1が押下されたものとする。
【0046】
まず、球貸しによりクレジット数が「25」となった際に、持ち球増カウンタ値は「25」であり「10」以上となっている(図6(a)のS1)。この場合、上記した持ち球数変化情報送信手段によって、持ち球増カウンタ値「10」毎に1パルスの持ち球増信号がパチンコ機2からカードユニット4へ送信される。このとき、持ち球増信号が1パルス送信される毎に、持ち球増カウンタ値が「10」減算される(図6(a)のS2)。ここで、カードユニット4には、持ち球増信号が2パルス送信されることになり、この結果、持ち球増カウンタ値は「5」となる。
【0047】
この後、11個の発射球が遊技領域に打ち出されると、これが発射球検出センサ26によって1個ずつ検出される毎に、持ち球減カウンタの値が「1」ずつ積算された結果、持ち球減カウンタ値は「11」であり「10」以上となっている(図6(a)のS3)。この場合、上記した持ち球数変化情報送信手段によって、持ち球減カウンタ値「10」毎に1パルスの持ち球増信号がパチンコ機2からカードユニット4へ送信される。このとき、持ち球増信号が1パルス送信される毎に、持ち球減カウンタ値が「10」減算される(図6(a)のS4)。ここで、カードユニット4には、持ち球減信号が1パルス送信されることになり、この結果、持ち球減カウンタ値は「1」となる。
【0048】
この間に、入賞口H1に2回入賞し、合計30個の払い出しを受けたとき、持ち球増カウンタ値「5」に対して、賞球数に対応した「30」が積算された結果、持ち球増カウンタ値は「35」であり「10」以上となっている(図6(a)のS1)。このとき、持ち球増カウンタ値「10」毎に1パルスの持ち球増信号がカードユニット4へ送信されると共に、持ち球増信号が1パルス送信される毎に、持ち球増カウンタ値が「10」減算される(図6(a)のS2)。これにより、カードユニット4には、持ち球増信号が3パルス送信されることになり、この結果、持ち球増カウンタ値は「5」となる。
【0049】
ここで、持ち球増信号及び持ち球減信号の送信履歴をとると、カードユニット4へは、5パルスの持ち球増信号と、1パルスの持ち球減信号が送信されている。
この段階で、遊技者が精算ボタンB1を押下すると(図6(b)のS5)、精算条件が成立し、主制御回路14によって発射停止処理が実行される(図6(b)のS7)。なお、かかる発射停止処理は、ROM18に記憶した発射停止処理プログラムが、RAM20を作業領域としてCPU16によって実行される。このとき、主制御回路14によってウエイト処理が実行され(図6(b)のS7)、上記した精算条件が成立してから所定時間(例えば、10秒間)経過後に、持ち球数情報(クレジット情報)がカードユニット4へ送信される(図6(b)のS8)。なお、かかるウエイト処理は、ROM18に記憶したウエイト処理プログラムが、RAM20を作業領域としてCPU16によって実行される。
【0050】
なお、この段階で、貸球数「25」+賞球数「30」−発射球「11」なる演算によって、遊技者の所有するクレジット数は「44」となっており、当該クレジット数「44」に対応したクレジット情報がカードユニット4へ送信されることになる。また、ウエイト処理によって、ファール球や入賞が検出された場合には、それに応じて、持ち球増カウンタ値が積算されるので、かかる積算分を加えたクレジット情報がカードユニット4へ送信されることになる。そして、クレジット情報送信処理が終了したとき、当該クレジット数「44」がリセットされる(図6(b)のS8)。更に、遊技によってクレジット数が「0(ゼロ)」になったときも(図6(b)のS6)、精算条件が成立し、その後の処理は、上記同様の処理S7〜S8となる。
【0051】
一方、カードユニット4では、持ち球増信号を受信すると(図4(c)のT13)、その1パルス毎に、当該カードユニット4に構築されたCPU(図示しない)によって、持ち球増カウンタの値が「1」ずつ積算さる(図4(c)のT14)。ここでは、5パルスの持ち球増信号を受信したので、持ち球増カウンタの値は「5」となる。なお、この持ち球増カウンタ値「5」は、遊技場を管理するホールコンピュータ(図示しない)に出力され(図4(c)のT14)、ここで一括管理されている。
【0052】
同様に、カードユニット4では、持ち球減信号を受信すると(図4(c)のT15)、その1パルス毎に、当該カードユニット4に構築されたCPU(図示しない)によって、持ち球減カウンタの値が「1」ずつ積算さる(図4(c)のT16)。ここでは、1パルスの持ち球増信号を受信したので、持ち球減カウンタの値は「1」となる。なお、この持ち球減カウンタ値「1」は、遊技場を管理するホールコンピュータ(図示しない)に出力され(図4(c)のT16)、ここで一括管理されている。
【0053】
また、カードユニット4では、クレジット情報を受信すると(図4(b)のT7)、続いて、クレジット情報判定処理が実行され(図4(b)のT8)、受信したクレジット情報が正当か否かが判定される(図4(b)のT9)。この場合、判定処理は、5パルスの持ち球増信号及び1パルスの持ち球減信号に基づいて算出されたバックアップデータと、クレジット情報(精算条件成立時に遊技者の所有するクレジット数「44」)と、を比較して行われる。
【0054】
なお、バックアップデータは、5パルスの持ち球増信号に対応したクレジット数「5×10=50」から1パルスの持ち球減信号に対応したクレジット数「1×10=10」を減算した結果(=40)となる。一方、クレジット情報は、精算条件成立時に遊技者の所有するクレジット数「44」となる。かかる両者を比較すると、その誤差は「4」となり許容範囲と判定される。なお、持ち球増信号及び持ち球減信号の1パルスは、クレジット数「10」に相当するので、最大誤差は±10となる。従って、上記したバックアップデータが、当該誤差の範囲内であれば、これを正当であると判定することができる。
【0055】
ここで、クレジット情報が正当であると判定された場合(図4(b)のT9)、受信したクレジット情報がカードMに更新記録される(図4(b)のT10)。これに対して、クレジット情報が正当でないと判定された場合(図4(b)のT9)、上記したバックアップデータに基づいたクレジット情報がカードMに更新記録される(図4(b)のT11)。そして、かかるカード情報更新記録処理が終了したとき、持ち球増カウンタ値及び持ち球減カウンタ値がリセットされる(図4(b)のT12)。
【0056】
以上、本実施の形態によれば、クレジット数(持ち球数)がパチンコ機2の管理下に置かれている状態において、上記した賞球数及び発射球数に対応してクレジット数が2以上の所定数(例えば、10)だけ増減変化する毎に、その旨の情報がカードユニット4へ送信されるため、遊技者が所有するクレジット数の増減変化を把握可能なデータをカードユニット4側でも同時に管理(バックアップ)することができる。
【0057】
これにより、例えば、停電によりパチンコ機2への電力供給が停止したり、或いは、パチンコ機2自体の電気的な故障などの不測の事態が発生した場合、パチンコ機2側で管理しているクレジット数の管理データが消失したり、或いは、読取不能となっても、カードユニット4側で管理しているバックアップデータに基づいて、その不測の事態が発生するまでに遊技者が所有するクレジット数を正確に把握することができる。このため、信頼性の高い遊技管理を維持することが可能な封入式パチンコ機2を実現することができる。
【0058】
しかも、上記したように、クレジット数(持ち球数)が2以上の所定数だけ増減変化する毎に、その旨の情報をパチンコ機2からカードユニット4へ送信するようにしているので、当該パチンコ機2に対する処理負担もあまり大きくならない。これにより、遊技の進行に応じた迅速な遊技管理を行うことができる。
【0059】
また、本実施の形態によれば、所定の精算条件が成立してから所定時間(例えば、10秒間)経過後に、持ち球数情報をカードユニット4へ送信するようにしているので、例えばファール球や賞球により持ち球数情報が増減変化する場合でも、これを反映した持ち球数情報(即ち、持ち球数情報が増減変化した後のクレジット数)をカードユニット4へ送信することができる。これにより、遊技者が所有するクレジット数(持ち球数)の管理を極めて正確に行うことができるため、より信頼性の高い遊技管理を維持することが可能な封入式パチンコ機2を実現することができる。
【0060】
次に、本発明の他の実施の形態に係る封入式遊技機について、図7及び図8を参照して説明する。なお、本実施の形態は、上記した実施の形態の改良であり、上記した実施の形態に係るパチンコ機2(図1)では、カードユニット4側に設けられていた球貸しボタン10を、パチンコ機2側に設けたもの(図示しない)である。この場合、かかる改良に伴って、次の第1〜第4ステップからなる処理が新たに加えられている。即ち、カードユニット4にカードMが受け付けられた後(第1ステップ)、当該球貸しボタンが押下されると(第2ステップ)、パチンコ機2からカードユニット4へ球貸し要求が行われ(第3ステップ)、このとき、カードユニット4は、受信した球貸し要求に基づいて、上記した実施の形態と同様の球貸し信号をパチンコ機2へ送信する(第4ステップ)。
【0061】
第1ステップとして、カードMがカード挿入口6からカードユニット4に受け付けられると、そのカードMが有効か否かが判定され(図7のF1)、有効であれば、返却ボタン12が押下されたか否か(図7のF2)、続いて、カード残高の有無について判定が行われる(図7のF3)。ここで、返却ボタン12が押下されず、カード残高が有ると判定された場合、遊技可能信号が“ON”となる(図7のF4)。これに対して、カードMが無効の場合、返却ボタン12が押下された場合、カード残高がゼロの場合、遊技可能信号が“OFF”となる(図7のF5,F6)。
【0062】
一方、第2ステップとして、パチンコ機2に設けられた球貸しボタンが押下されたとき(図8(a)のF7)、カードユニット4側の遊技可能信号が“ON”となっていれば(図8(a)のF8)、第3ステップとして、球貸し要求信号送信処理が実行される(図8(a)のF9)。この場合、かかる球貸し要求信号送信処理は、ROM18に記憶した球貸し要求信号送信処理プログラムが、RAM20を作業領域としてCPU16によって実行される。これにより、パチンコ機2からカードユニット4へ球貸し要求信号が送信される。
【0063】
そして、第4ステップとして、カードユニット4では、上記した球貸し要求信号を受信すると(図8(a)のF10)、球貸し信号送信処理が実行され(図8(a)のF11)、当該カードユニット4からパチンコ機2へ球貸し信号が送信される。なお、かかる球貸し信号送信処理は、上記した処理(図4(a)のT4)と同様の球貸し信号送信処理である。また、残高表示更新処理も実行されるが(図8(a)のF12)、これも上記した処理(図4(a)のT5)と同様である。
【0064】
このとき、パチンコ機2では、球貸し信号を受信すると(図4(a)のF13)、例えば100円分の球貸し要求に対して、クレジット数「25」が新たにクレジットされると共に、持ち球増カウンタ(図示しない)の値が当該クレジット数「25」だけ積算される(図4(a)のF14)。
なお、これ以降の処理や、その他のパチンコ機2の構成、並びに、効果については、上記した実施の形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0065】
なお、本発明は、上述した各実施の形態に限定されることはなく、以下のような変形例も本発明の技術範囲に含めることができる。
第1の変形例として、カード残高表示部8、球貸しボタン10、返却ボタン12を共にパチンコ機2側に設け、当該パチンコ機2の主制御回路14を経由させずに、カードユニット4へ接続するようにしてもよい。
第2の変形例として、上記した各実施の形態では、カードMに更新記録されたクレジット情報について特に言及しなかったが、これを再プレイに用いることはできず、景品交換にのみ用いられるものとしてもよいし、或いは、再プレイ可能としてもよい。
第3の変形例として、上記した各実施の形態では、クレジット情報の増減にかかる情報をカードユニット4からホールコンピュータへ出力しているが、これに代えて、パチンコ機2から直接ホールコンピュータへ出力するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施の形態に係る封入式遊技機と、これに併設された遊技用装置の構成を示す外観斜視図。
【図2】図1に示された封入式遊技機の背面図。
【図3】封入式遊技機に設けられた主制御回路の構成を示すブロック図。
【図4】(a)は、カードユニット側での球貸し処理の動作フロー、(b)は、カードユニット側でのクレジット更新処理の動作フロー、(c)は、カードユニット側での持ち球カウンタ更新処理の動作フロー。
【図5】(a)は、パチンコ機側での遊技実行処理の動作フロー、(b)は、パチンコ機側での球貸し処理の動作フロー、(c)は、パチンコ機側での入賞球検出処理の動作フロー、(d)は、パチンコ機側での発射球/ファール球検出処理の動作フロー。
【図6】(a)は、パチンコ機側での持ち球増減信号送信処理の動作フロー、(b)は、パチンコ機側での精算処理の動作フロー。
【図7】本発明の他の実施の形態に係る封入式遊技機において、カードユニット側でのカード受付処理の動作フロー。
【図8】本発明の他の実施の形態に係る封入式遊技機において、(a)は、パチンコ機側での球貸し要求処理の動作フロー、(b)は、カードユニット側での球貸し処理の動作フロー、(c)は、パチンコ機側での球貸し処理の動作フロー。
【符号の説明】
【0067】
2 封入式遊技機(パチンコ機)
4 遊技用装置(カードユニット)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遊技球が機内に封入されており、遊技領域へ発射させて遊技に使用された遊技球を再び遊技領域へ発射可能に循環させる封入式遊技機において、
前記封入式遊技機に併設される遊技用装置から送信され、遊技者への貸し出し球数を特定可能な球貸し情報を受信する球貸し情報受信手段と、
遊技者が所有する遊技球の数に対応する持ち球数を特定可能な持ち球数情報を記憶する持ち球数情報記憶手段と、
前記球貸し情報受信手段によって受信した前記球貸し情報に対応する貸球数を特定可能な貸球数情報を、前記持ち球数情報記憶手段に記憶されている前記持ち球数情報に加算する貸球数情報加算手段と、
前記遊技領域に発射された遊技球を検出する発射球検出手段と、
前記遊技領域に発射された遊技球が前記発射球検出手段によって検出されたときに、その発射された遊技球の発射球数を特定可能な発射球数情報を、前記持ち球数情報記憶手段に記憶されている前記持ち球数情報から減算する発射球数情報減算手段と、
前記遊技領域に設けられた入賞口へ遊技球が入賞したときに、その入賞した前記入賞口に対応する賞球数を特定可能な賞球数情報を、前記持ち球数情報記憶手段に記憶されている前記持ち球数情報に加算する賞球数情報加算手段と、
前記持ち球数情報記憶手段に記憶されている前記持ち球数情報が1以上ある場合に、遊技球の発射を行う発射手段と、
所定の精算条件が成立したときに、前記持ち球数情報記憶手段に記憶されている前記持ち球数情報を前記遊技用装置へ送信する持ち球数情報送信手段と、
前記持ち球数情報記憶手段に記憶されている前記持ち球数情報が、2以上の所定数だけ増減変化する毎に、その旨の情報を前記遊技用装置へ送信する持ち球数変化情報送信手段とを備えていることを特徴とする封入式遊技機。
【請求項2】
前記持ち球数情報送信手段は、所定の精算条件が成立してから所定時間経過後に、前記持ち球数情報記憶手段に記憶されている前記持ち球数情報を前記遊技用装置へ送信することを特徴とする請求項1に記載の封入式遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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