説明

封止具

封止具において、とくに、内燃機関のシリンダヘッドに対するマニホルドの取付接続用として、平坦な支持体(1,3)と、成形シールリングを形成する環状体(17)の形式とした少なくとも1個の封止素子とを有し、これら支持体(1,3)および環状体(17)が、この環状体(17)を支持体(1,3)に拘束的に保持するユニットを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封止具に関し、とくに、内燃機関のシリンダヘッドへのマニホルドの接続用として、平坦な支持体と、成形シールリングを形成するリング素子の形式とした少なくとも1つの封止要素とを有している。
【背景技術】
【0002】
このタイプの封止具は、内燃機関のシリンダヘッドに対する排気ガス配管の接続に広く使用されている。発生する高い排気ガス熱に基づき、封止具の平坦な支持体、および通常この支持体に対応するリング素子は、双方とも小さい壁厚の金属製コンポーネントであり、リング素子は、通常輪郭形成した形態である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
不利なことに、このような多部分構成の封止具の組立工程は、比較的複雑な方法で行われ、シリンダヘッドとの取付接続中に、リング素子が実際に存在し、対応接続部間に適正に位置されているか否か、注意を払わなければならない。
【0004】
この従来技術に対して、本発明の目的は、とくに、マニホルドを内燃機関のシリンダヘッドに対して、取付接続するために設けた封止具を利用できるようにすることであり、組立工程が従来に比較して、より簡単かつ安全に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この目的は、請求項1の特徴を全体的に有する封止具によって達成できる。
【0006】
本発明による封止具は、各リング素子を拘束的に保持するユニットを形成するため、使用にあたり作業シーケンスを、とくに簡単かつ安全に行うことができ、これはすなわち、実際の組立て位置における封止具供給(製造業界で自動化されて行われる)中、または実際の取付接続中のいずれでも、対応するリング素子が存在するか否か、適正に配置されているか否かを確認する必要がないからである。
【0007】
好適な実施形態において、支持体は、ガス流、とくに排気ガス流のための、少なくとも1個の開口を有する平坦なプレートを備え、またリング素子は、対応する開口の端縁に沿って延在する構成にする。
【0008】
好ましくは、成形シールリングを形成するリング素子は、C字状輪郭の形状を有し、このC字状輪郭は半径方向外方が開放し、かつ支持体としてのプレートの平面から隆起する構成とする。この実施形態においては、プレートの平面に隣接するC字状輪郭の端部領域は、前記平面から隆起するC字状輪郭の端部とは反対側のプレートの側面にわずかな湾曲を形成する構成とする。
【0009】
リング素子を、対応する開口の端縁で前記プレートと一体に形成し、また前記プレートの平面から隆起する構成とすると、とくに好適である。したがって、1個または複数個のリング素子は、プレートとの一体コンポーネントを形成する。
【0010】
この実施形態での製造において、その手順は、最初に、プレートを打ち抜くことによって、1個または複数個の開口を形成し、各開口の端縁を隆起させ、その後、圧縮力を加えることによって、外方に曲げ返し、C字状輪郭を形成する。そのような、プレス加工または成形加工において、プレートに相互連結するC字状輪郭の下側端部領域は、プレート平面から隆起するC字状輪郭の端部とは反対側にあるプレートの側面に、わずかな湾曲を形成することができる。そのような例は、特に良好な封止作用が得られる特徴がある。
【0011】
リング素子がプレートの一体コンポーネントを形成せず、むしろ個別のコンポーネントであるとき、プレートとリング素子との間に、摩擦接合を生ずる保持手段を設け、プレートに対しリング素子を拘束的に固定できるよう、封止具を設計することができる。
【0012】
この点について、有利な実施形態において、半径方向外方にわずかに突出する保持突起を、C字状輪郭におけるプレートの平面から隆起するリング素子の端縁とは反対側の端縁に形成し、リング素子を取り付けるとき、前記保持突起は、プレートの対応する開口内で、半径方向内方に可撓的に変形し、これにより摩擦接合を生じるようにする。この摩擦接合の作用は保持力を生ずることである。
【0013】
排気ガスマニホルドを接続するための封止具において、従来の方法では、プレートは、それぞれ対応のガス流を通過させる数個の開口を互いにある距離だけ離して配置する。たとえば、プレートは、2個のプレート領域を有するいわゆるパッキンの形状とし、各プレート領域にそれぞれ1個の開口を設け、これらプレート領域を、プレート領域に比べて小さい幅のプレートアームによって連結する。
【0014】
シリンダヘッドと高温の排気ガスマニホルドとの間で、熱分離を促進するために、プレートには、望ましくは、ガス流のための各開口の周りに、分布させた孔を設け、各開口の周りに、丸い孔または三日月形の孔を設ける。
以下、本発明を図面に示される実施形態を用い詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】排ガスマニホルドとシリンダヘッドとの間における取付接続に使用する、いわゆるパッキンの形式とした本発明による封止具の頂面図であり、図の右側および左側に、異なる実施形態を示し、それぞれ熱分離のため異なる形状に成形した開口を設けた状態を示す。
【図2】図1におけるII−II線上の断面を示す。
【図3】図2におけるIIIで示す部分を拡大して描いた部分断面図を示す。
【図4】本発明による封止具の他の実施形態における、封止素子として使用するリング素子の頂面図を示す。
【図5】図4におけるVで示した部分を大きく拡大した部分詳細図を示す。
【図6】図4に示すリング素子を、図4に比べて大きく拡大して一部切除した、部分断面図であり、プレートの開口における関連する端縁部分およびリング素子をプレートに取り付ける前の状態を示す。
【図7】図6に対応し、リング素子をプレートにおける開口に挿入した後の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を、以下に実施例に基づき、詳細に説明し、以下の実施例において封止具はいわゆるパッキン形状とした、平坦な金属製のプレートを有し、このプレートは、2個のプレート領域1,3を有する封止具の支持体を形成し、これらプレート領域1,3は、比較的狭いアーム5により、一体的に連結し、アーム5はプレートの中心領域でプレート領域1,3相互を連結し、封止具の長手方向軸線7に沿って延びて存在(延在)する。円の中心9が長手方向軸線7上に位置する状態となるよう、シリンダヘッド(図示せず)の対応する排気開口から流出する排気ガス流を通過させる円形の開口11を、各プレート領域1、3に設ける。2個のプレート領域1,3に位置するねじ孔13は、ねじを固定するために設け、これらねじにより、マニホルド(図示せず)および封止具をシリンダヘッドに取り付ける。
【0017】
ねじ孔13の他に、封止具の熱伝導表面の減少、およびひいてはシリンダヘッドと排気ガスマニホルドとの間で熱分離を目的とした孔15を、プレート領域1,3に配置する。図1において、孔15に関する2つの異なる実施形態を示し、三日月形の孔15を、左のプレート領域1に設け、一方、丸孔の形式とした、孔15を右のプレート領域3に設ける。
【0018】
それぞれのケースで、図1〜3は、封止具のコンポーネントを形成する封止素子をリング素子17により形成した実施形態に関し、このリング素子17は、それぞれプレート領域1,3に一体的に形成し、したがって、開口の端縁は、それぞれ開口11の端縁で隆起する。C字状輪郭19を形成するため、隆起した端縁の端部領域は、圧縮力またはプレス力を加えることによって、半径方向外方曲げ、図3に明示する輪郭形状を形成する。この整形によって、わずかな湾曲23が、C字状輪郭19の隆起した端部側とは反対側の側面でプレート領域1、3に生じ、プレート領域1,3のこの反対側側面における湾曲が、平坦な折り曲げ層を形成し、この折り曲げ層がプレート領域1,3に対して突出し、またプレート領域1,3の周りに延在する。湾曲23は、プレート領域1,3に対してプレートの金属シート厚さの0.5〜3倍分、望ましくは、1倍分の大きさで突出するものとする。
【0019】
図4〜7につき、他の実施形態を説明し、この場合、各プレート領域1,3に一体である、上述のリング素子17の代わりに、別個の金属製のリング素子25を設け、このリング素子は、やはりC字状輪郭とする。プレート領域1,3を有するプレートの場合のように、リング素子25は、壁厚が、たとえば、0.3mm程度の薄い壁厚の金属コンポーネントとする。リング素子25を、関連するプレート領域1,3に形成した各開口11にそれぞれ拘束的に取り付けるため、リング素子25の輪郭端縁の外側端部21とは反対側に、3個の保持突起27を設け、これら保持突起27は、リング素子25の周縁に均等に分布させる(図4参照)。図5の拡大した図に最も明示するように、(変形していない)初期条件の保持突起27は、リング素子25の各周端縁26からわずかに半径方向に突出する爪状の突出部を形成する。
【0020】
図6は、リング素子25を各プレート領域1,3の開口11の端縁に取り付ける直前の初期状態を示し、図6から明らかなように、保持突起27は、開口11の端縁上にわずかに半径方向外方に突出する。リング素子に矢印29に対応する圧縮力を加えることによって開口11に押し込む場合、開口11内に押し込むときに保持突起27の可撓的な変形を生じ(図7参照)、それによって、保持力として作用する摩擦連結が開口11に生じ、またリング素子25は開口11に拘束的に保持され、そして、保持突起27の遊端が、開口11の輪郭を描く内壁または内側端縁と同一平面状に整列して支持される。保持突起27の傾斜配列に基づき、保持突起27の外側コーナー端縁(図7参照)は、プレート領域1,3に対して、開口11の内壁と線接触し、この点に関して、極めて高い端縁押圧力を生じ、このことにより保持突起の撓みにも係わらず、プレートの開口11にリング素子25を確実に取り付けることを可能にする。しかし、このリング素子25は、修理目的のために容易に取り外すこともできる。
【0021】
この点に関し、リング素子25は、新しい部品と簡単に交換することができる。さらに、共通の製造公差を含んでおり、3個の保持突起27における各保持突起構成により、リング素子25を開口11内に極めて精密に心出しすることができ、信頼性の高い封止システムを生ずることができる。好適には、保持突起27は、自由開口11の外側端縁に対して鋭角的角度で曲折する。
【0022】
リング素子25は、保持突起27を有する周端縁26でも同様に、リング素子17のために図3に示したように、リング素子を押し込むときに発生する圧縮力によって、わずかに変形することができ、わずかな湾曲23がこの圧縮力によって生じ、プレート領域1,3の下側におけるC字状輪郭を形成する。図7は、したがって、リング素子25の輪郭端部21の反対側端縁(図5における周端縁26)における湾曲23を示す。各保持突起27は、この湾曲23から開口11の内側端縁に対して、30゜〜60゜の間における傾斜支持角度、好適には45゜の角度をなして突出し、これにより、湾曲23は封止位置に保持され、この点で封止性を改善する。
【0023】
この支持作用を強化するために、図5に示すように、C字状輪郭19の各保持突起27の両側に、各個に窪みを設け、これら窪みは隣接する輪郭壁に形成する。これら窪みは、各保持突起27のための可撓的保持作用を一層改善する。さらに、座屈ポイント(図7参照)で、断面(図6参照)で示した円弧状の輪郭19は、傾斜角度をなして、この座屈ポイントでまっすぐとなる保持突起27に移行し、この座屈ポイントは、それより上方に位置するC字状輪郭19の遊端よりも下方に、実質上、垂直方向に拡張して配置される。
【0024】
さらにまた、用語「封止リングまたは成形リング」は、楕円形のリング状実施形態を、または角丸めした長方形のデザインの実施形態にも敷衍する。他のリング形態も可能である。この目的のために、成形リングまたは封止リングの収容は、望ましくはそれぞれの構成配置(ジオメトリ)に従う。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
とくに、内燃機関のシリンダヘッドに対するマニホルドの取付接続用とした封止具において、平坦な支持体(1,3)と、成形シールリングを形成するリング素子(17;25)の形式とした少なくとも1個の封止素子とを有し、これら支持体(1,3)およびリング素子(17;25)が、このリング素子(17;25)を支持体(1,3)に拘束的に保持するユニットを形成することを特徴とする封止具。
【請求項2】
請求項1に記載の封止具において、前記支持体は、ガス流、とくに排気ガス流のための少なくとも1個の開口(11)を有する平坦なプレート(1,3)を備え、また前記リング素子(17;25)は、対応する前記開口(11)の端縁に沿って延在する構成としたことを特徴とする封止具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の封止具において、各リング素子(17;25)は、C字状輪郭(19)の形状を有し、このC字状輪郭(19)は半径方向外方が開放し、かつ前記支持体としてのプレート(1,3)の平面から隆起する構成としたことを特徴とする封止具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の封止具において、前記支持体としてのプレート(1,3)の平面に隣接するC字状輪郭(19)の端部領域は、前記平面から隆起するC字状輪郭(19)の端部(21)とは反対側のプレート(1,3)の側面にわずかな湾曲(23)を形成する構成としたことを特徴とする封止具。
【請求項5】
請求項2に記載の封止具において、リング素子(17)を、対応する開口(11)の端縁で前記プレート(1,3)と一体に形成し、また前記プレート(1,3)の平面から隆起する構成としたことを特徴とする封止具。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の封止具において、前記支持体としてのプレート(1,3)とリング素子(25)との間に摩擦接合を生じる保持手段(27)を設け、前記プレート(1,3)に前記リング素子(25)を拘束的に固定する構成としたことを特徴とする封止具。
【請求項7】
請求項6に記載の封止治具において、半径方向外方にわずかに突出する保持突起(27)を、C字状輪郭(19)におけるプレートの平面から隆起するリング素子(25)の端縁とは反対側の端縁に形成し、リング素子(25)を取り付けるとき、前記保持突起(27)は、プレート(1,3)の対応する開口(11)内で、半径方向内方に可撓的に変形し、これにより摩擦接合を生じることを特徴とする封止具。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の封止具において、前記支持体としてのプレート(1,3)は、それぞれ対応のガス流を通過させる数個の開口(11)を互いにある距離だけ離して配置したことを特徴とする封止具。
【請求項9】
請求項8に記載の封止具において、前記プレートは、2個のプレート領域(1,3)を有するいわゆるパッキンの形状とし、各プレート領域にそれぞれ1個の開口(11)を設け、これらプレート領域(1,3)を、これらプレート領域に比べて小さい幅のプレートアーム(5)によって連結したことを特徴とする封止具。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の封止具において、前記支持体としてのプレートは、ガス流のための各開口(11)の周りに分布させた孔(15)を有することを特徴とする封止具。
【請求項11】
請求項10に記載の封止具において、前記孔(15)は、開口(11)を包囲する三日月形の孔(15)としたことを特徴とする封止具。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−505068(P2010−505068A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529545(P2009−529545)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【国際出願番号】PCT/EP2007/006091
【国際公開番号】WO2008/037308
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(509016830)エルリングクリンガー アーゲー (6)
【Fターム(参考)】