説明

封筒裏付き防止装置

【課題】封筒に封入物を封入、封緘し、集積した際にフラップ部からはみ出した接着剤によって封筒同士が接着することを防止するための封筒裏付き防止装置を提供する。
【解決手段】封筒に封入物が封入され、接着剤が塗布されたフラップが折り畳まれて封緘された封筒が集積されたときにフラップからはみ出した接着剤によって封筒同士が接着し合わないように裏付き防止剤を塗布する装置であって、封入物が封入され封緘された封筒を搬送する封筒搬送部と、前記封筒搬送部内で封緘されたフラップ面に裏付き防止剤を塗布する裏付き防止剤塗布部と、塗布された裏付き防止剤を検査する裏付き防止剤検査部と、封筒排出部の少なくとも何れかを有する封筒裏付き防止装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封筒に封入物を封入封緘し、集積した際にフラップ部からはみ出した接着剤によって封筒同士が接着することを防止する封筒裏付き防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
封筒に封入物を封入する装置として、封入封緘装置が使用されている。
この装置は、複数種の封入物の棚を横又は縦に順次並べておき、棚から封入物を取り出して移動するコンベア上に順次積み重ね(以下、丁合ともいう)、最後にまとめて封筒に封入し、フラップの裏側に予め、又は装置内で塗布した接着剤によって封緘する装置である。
【0003】
このような封入封緘装置の一例として、可変情報が印刷された個々に切断する前の一連の単票から成る連続帳票を連続帳票移送部へ供給する連続帳票供給部と、前記連続帳票に印刷された制御コードを読み取る連続帳票コードリーダと、前記移送される連続帳票に対して冊子を綴じるための線糊を前記連続帳票の制御コードに基づいて所定部分に施す線糊部と、前記移送される連続帳票を隣接する前記単票の境界において切断し個々に切断した第1単票を得て第1単票移送部へ供給する切断部と、前記第1単票移送部において移送される前記第1単票に対して前記連続帳票の制御コードに基づいて1つの冊子に丁合すべき第1単票を特定し、その特定された第1単票が1つの冊子となるように丁合し冊子を得て冊子移送部へ供給する冊子丁合部と、可変情報とともに制御コードが印刷された第2単票から前記制御コードを読み取る第2単票コードリーダと、前記第2単票の制御コードに基づいて1つの帳票に丁合すべき第2単票を特定し、その特定された第2単票が1つの帳票となるように丁合位置へ供給し丁合する第2単票供給部と、前記丁合した帳票を前記丁合位置から帳票移送部へ供給する帳票供給部と、前記冊子移送部において移送される冊子に印刷された制御コードを読み取る冊子コードリーダと、前記冊子の制御コードと前記第2単票の制御コードに基づいて前記移送される帳票と前記移送される冊子との対応関係が適正となるように前記帳票と前記冊子を丁合し帳票冊子丁合物を得て帳票冊子移送部へ供給する帳票冊子丁合部と、前記制御コードに基づいて丁合すべき同封物を複数種類の同封物の中から選択し、その選択された同封物を前記移送される帳票と冊子の丁合物に供給して丁合し帳票と冊子と同封物の丁合物である全丁合物を得る同封物丁合部と、 封筒を封筒移送部へ供給する封筒供給部と、前記移送される全丁合物を前記封筒移送部において移送される封筒に封入し封緘する封入封緘部と、を具備するようにした製本封入インライン機が提供されている。また、前述の製本封入インライン機の冊子移送部は、前記冊子丁合部から所定数の冊子が供給される間は移送を停止し、所定数の冊子が供給された後に所定距離の移送を行う間欠移送を行ようにしている。
また、前述の製本封入インライン機の帳票冊子丁合部は前記冊子搬送部から丁合位置へと前記冊子の供給を行う冊子供給手段を有し、その冊子供給手段は移動機構と搬送ローラとゲートとから成り、前記移動機構は前記冊子搬送部に載置する前記冊子を真空吸着して一対のローラから成る搬送ローラの入口に設けられた前記ゲートに前記冊子を移動しそのゲートを通して真空吸着を解き、搬送ローラは前記ゲートを通った前記冊子を一対のローラによりニップして供給するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−221512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多用されている封入封緘装置も、特許文献1に記載されている「製本封入インライン機」も、封入物が封緘された封筒は、封入封緘装置の排出部で排出された後順次重ねられるか、または、封緘部を上に縦に並べられて一時保管される。
何れも封筒同士、縦又は横に重ねられて一時保管されるために、ずれた状態で塗布された接着剤によって、また、事前に塗布され一旦乾燥され水などで再活性されて接着される際の水のはみ出しによって、封筒同士が裏付き(ブロッキングともいわれている)するという問題があった。完全に裏付きしていなくても、封筒の表側に印刷された配達情報などを不鮮明にしてしまい、封筒を配達する際に住所が読めなくなってしまうというトラブルがあった。
そこで本発明は、封筒に封入物を封入、封緘し、集積した際にフラップ部からはみ出した接着剤によって封筒同士が接着することを防止するための封筒裏付き防止装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の封筒裏付き防止装置の第一の態様は、封筒に封入物が封入され、接着剤が塗布されたフラップが折り畳まれて封緘された封筒が集積されたときにフラップからはみ出した接着剤によって封筒同士が接着し合わないように裏付き防止剤を塗布する装置であって、封入物が封入され封緘された封筒を搬送する封筒搬送部と、前記封筒搬送部内で封緘されたフラップ面に裏付き防止剤を塗布する裏付き防止剤塗布部と、塗布された裏付き防止剤を検査する裏付き防止剤検査部と、を少なくとも有することを特徴とするものである。
【0007】
また、第二の態様は、第一の態様において、封筒搬送部は、封入封緘装置の封筒排出部に連動されて使用されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
1)第一の態様のように、封筒に封入物が封入され、接着剤が塗布されたフラップが折り畳まれて封緘された封筒が集積されたときにフラップからはみ出した接着剤によって封筒同士が接着し合わないように裏付き防止剤を塗布する装置であって、封入物が封入され封緘された封筒を搬送する封筒搬送部と、前記封筒搬送部内で封緘されたフラップ面に裏付き防止剤を塗布する裏付き防止剤塗布部と、塗布された裏付き防止剤を検査する裏付き防止剤検査部と、を少なくとも有することによって、封入封緘装置の封筒排出部で封筒を取り出し、改めて本発明の封筒裏付き防止装置で裏付き防止処理を行なうことによって、裏付き防止処理後の封筒を積載して一時保管することができる。封入封緘装置の封筒排出部に空きスペースがない場合に好適である。
2)また、第二の態様のように、第一の態様において、封筒搬送部は、封入封緘装置の封筒排出部に連動されて使用されることによって、封入封緘装置の封筒排出部の周辺に空きスペースがある場合は、インラインで裏付き防止処理ができるために人手を介することなく封筒を集積できる。
3)上記1、2によって、封入封緘後の封筒検査を不要とし、また、配達情報が封筒の表面に印字された封筒に対しては、配達情報などが封筒の裏付きによって損傷することもなくなり安全に封筒を取り扱うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態の封筒裏付き防止装置について説明するための封筒裏付き防止装置の概略図である。
【図2】本実施形態の封筒裏付き防止装置の裏付き防止剤塗布部と検査部について説明するための断面を示す図である。
【図3】封筒のフラップ部の表面に封筒裏付き防止剤が塗布された状態について説明するための図である。
【図4】フラップ付き封筒について説明するための図である。
【図5】本実施形態の封筒裏付き防止装置を封入封緘装置に連動させて使用する際の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本実施形態の封筒裏付き防止装置について説明する。
本発明の封筒裏付き防止装置は、封筒に封入物が封入され、接着剤が塗布されたフラップが折り畳まれて封緘され、集積されたときにフラップからはみ出した接着剤によって封筒同士が接着し合わないように裏付き防止剤を塗布する装置である。
【0011】
まず、図4を参照してフラップ付き封筒について説明する。
フラップ付き封筒2は、封筒の長辺又は短辺の一方にフラップ21が形成された封筒である。フラップ21の、折り畳まれて内側になる面には水などで再活性して接着させる接着剤3が形成され、封筒に封入物が封入された後活性化されてフラップ部が内側に折り畳まれ、フラップが閉じられ封緘される。そのときに、フラップ付き封筒2の点線で示したフラップの境界の外に水などで再活性された接着剤が、多すぎた水を伴ってはみ出すことがある。
【0012】
フラップ21への接着剤の形成方法として上述のように事前に接着剤を形成し乾燥させ、封緘時に再活性させる上述の方法以外に、フラップ21の、折り畳まれて内側になる面に封入封緘装置の封筒供給部で接着剤3を形成する方法がある。
この場合も、接着剤3の形成位置がフラップ21の所定の位置からずれて形成された場合や、接着剤の量が多すぎた場合は、封緘後フラップの外に接着剤がはみ出して封筒同士接着し合う裏付きが発生する。
【0013】
図5を参照して、封入封緘装置について説明する。
多くの封入封緘装置6は、図示しないが、複数の棚(ポケットともいう)を備え、棚に積載された封入物を一部ずつ移動するコンベア上に載置し、順次取り出して積載してゆき、最後の封入物が積載された段階でこれら封入物を束として摘み、矢印の方向に搬送されてきた封筒2の中に挿入する。これが封入作業である。
【0014】
封筒は移動して、フラップに形成された接着剤が活性化され、あるいは、フラップに接着剤が塗布されて、内側に折り畳まれ、フラップが閉じられる。これが封緘作業である。
【0015】
封筒裏付き防止装置1が封入封緘装置6に連動されている場合は、封入物を内包した封入物入り封筒20は配送情報表示部200が下向きになっている場合は表裏反転させられ、封筒裏付き防止装置1の封筒搬送部14に挿入される。
封筒排出部で配送情報表示部200が上向きになっている場合はそのまま封筒裏付き防止装置1の封筒搬送部14に挿入される。
封筒裏付き防止装置1が封入封緘装置6に連動されていない場合は、封入物を内包した封入物入り封筒20を配送情報表示部200が上向き(フラップ側が下向き)になるようにして封筒裏付き防止装置1の封筒搬送部14に挿入する。
【0016】
図1を参照して、本実施形態の封筒裏付き防止装置について説明する。
本実施形態の封筒裏付き防止装置1は、封入物が封入され封緘された封入物入り封筒20を搬送する封筒搬送部14と、前記封筒搬送部14内で封入物入り封筒20のフラップ面に裏付き防止剤を塗布する裏付き防止剤塗布部11と、塗布された裏付き防止剤を検査する裏付き防止剤検査部12と、を少なくとも備え、図1の例では封筒を集積する封筒排出部13が接続されている。
【0017】
また、封入封緘装置の封筒排出部の周辺に本発明の封筒裏付き防止装置を設置するスペースの余裕がある場合は、前述のように、封筒搬送部14は、図5で説明した封入封緘装置6の封筒排出部に連動させて使用することもできる。
【0018】
図1において、封入物入り封筒20は、封筒配達情報(図示せず)が表示された面を上にして、封筒裏付き防止装置1の封筒供給部14に供給される。
封筒搬送部14は、搬送ベルト140が封入物入り封筒を軽く抑える状態でエンドレスに回転している。封入物入り封筒20は矢印の方向に搬送され、図3に示すようにフラップ21の面に所定幅の帯状に裏付き防止剤4が塗布される。
裏付き防止剤4は、封入物入り封筒20の封筒配達情報(図示せず)が表示された面に塗布しても有効であるが、窓明き封筒のように封筒配達情報を透明なフィルム越しに確認する場合に、読みとり難くなる可能性があり好ましくない。
【0019】
図2を参照して封筒裏付き防止装置1の裏付き防止剤塗布部11と、裏付き防止剤検査部12について説明する。
裏付き防止剤塗布部11は、裏付き防止剤4を塗布するための塗布ローラ111と図示しないが裏付き防止剤4を適量に調節するためのドクター刃(図示せず)で構成され、ドクター刃はフラップの表面に適量の裏付き防止剤を塗布する役割を果たす。
前述の塗布ローラ111は、図1で説明した封筒搬送部14の封入物入り封筒20が移動するテーブル面より若干突出して回転する。
【0020】
封入物入り封筒20が矢印の方向に移動して裏付き防止剤検査部12を通過する際に、投光部121から投光された光を受光部122で受光し、図3に示すごとくフラップ面に裏付き防止剤4が塗布されたことを確認する。
【0021】
裏付き防止剤4には、後述する材料を溶解させた水溶液で、封筒基紙に吸収され易くするための活性剤や、裏付き防止剤を分散させる分散剤を含有させた、無色の液体を使用する。また、裏付き防止剤4の塗布状態を検査し易くするために、例えば、裏付き防止剤に赤外線吸収剤を混入させる。裏付き防止剤4を使用して封入物入り封筒にコーティングしたときに、投光部121には、770〜800nmにピークを有する赤外フィルターを使用した光源を使用する。投光部121から赤外線を投光し、受光部122で所定の赤外線量を検知しない場合は良好と判断する。
【0022】
裏付き防止剤検査部12では、前述の赤外線センサーのほかに、水分検知センサーなどが使用される。
上述の結果、図3において、フラップ21の周辺に接着剤3がにじみ出ていたとしても、塗布された裏付き防止剤4によって対向する封入物入り封筒20の配達情報表示部(図示せず)の情報を裏付きによって破壊することはない。
【0023】
図3、図4を参照して本実施形態の封筒に塗布される接着剤と、封筒裏付き防止装置に使用される裏付き防止剤の一例について説明する。
まず、封筒2に使用される紙の内、非塗工紙としては上質紙、中質紙、更紙、再生紙等、塗工紙としてはアート紙、コート紙等が有りその中から選択して使用する。
水再活性型の接着剤(再湿接着剤ともいう)として、通常は水溶性高分子化合物で、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシドなどが好適に使用される。その他に、デキストリンベースの接着剤が好適に使用される。
【0024】
公知の裏付き防止剤4として、約75〜約99重量%のステアリン酸金属塩と、約1〜約25重量%のステアリン酸とを含んだアンチブロッキング組成物が好適に使用される。
また、淡黄色透明のポリエーテル変性シリコーンオイルや、ジメチルシリコーンオイル等のブロッキング防止剤が使用できる。また、ナフタロシアニンを1μm以下の粒子に粉砕し、分散剤と共に水溶液に添加したものを使用する。
具体的には、水溶性ブロッキング塗料として、サンノプコ(株)製、1245−M−SN、PEM−17、MS−40、LB−550等が好適である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
封筒に封入物を封入封緘し、集積した際にフラップ部からはみ出した接着剤によって封筒同士が接着することを防止する封筒裏付き防止装置に利用できる。
【符号の説明】
【0026】
1 封筒裏付き防止装置
2 フラップ付き封筒
3 接着剤
4 裏付き防止剤
5 封入物
6 封入封緘装置
11 裏付き防止剤塗布部
12 裏付き防止剤検査部
13 封筒排出部
14 封筒搬送部
20 封入物入り封筒
21 フラップ
111 塗布ローラ
121 投光部
122 受光部
200 配達情報表示部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
封筒に封入物が封入され、接着剤が塗布されたフラップが折り畳まれて封緘された封筒が集積されたときにフラップからはみ出した接着剤によって封筒同士が接着し合わないように裏付き防止剤を塗布する装置であって、
封入物が封入され封緘された封筒を搬送する封筒搬送部と、前記封筒搬送部内で封緘されたフラップ面に裏付き防止剤を塗布する裏付き防止剤塗布部と、塗布された裏付き防止剤を検査する裏付き防止剤検査部と、を少なくとも有することを特徴とする封筒裏付き防止装置。
【請求項2】
請求項1に記載の封筒裏付き防止装置において、
封筒搬送部は、封入封緘装置の封筒排出部に連動されて使用されることを特徴とする封筒裏付き防止装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−107658(P2013−107658A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252543(P2011−252543)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】