説明

封緘箱

【課題】簡易な構成によって、且つ封緘装置を使用した簡単な工程によって、筒状本体の端部の開口部を、容易には開放されないように安定した状態で封緘することのできる封緘箱を提供する。
【解決手段】一枚のブランクを折り曲げることで、前後一対の正面板11a,11bを含む筒状本体11を形成し、一方の正面板11aの端縁部に連設する蓋フラップ片17aの差し込みフラップ片を、他方の正面板11bの内側面に沿って差し込むことで筒状本体11の開口部14が閉塞される封緘箱10であって、差し込みフラップ片には、両側縁部から外側に張り出す係止片19a,19bが設けられており、他方の正面板11bの側縁角部分には、係止切欠き20a,20bが設けられている。差し込みフラップ片の両側の係止片19a,19bの先端縁部の間の長さL1が、他方の正面板の幅L2よりも長くなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封緘箱に関し、特に、所定の形状に裁断されたブランクから前後一対の正面板を含む筒状本体を形成し、蓋フラップ片の差し込みフラップ片を差し込むことで筒状本体の両端の開口部を閉塞し、切断誘導線を破断させることにより開封して収容物を取り出す封緘箱に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、化粧品類、薬品類、菓子類、文房具類や、その他の日用品を包装する包装箱として、所定の形状に裁断された紙製やプラスチック製の薄板状のシート材料であるブランクを、折曲げ線に沿って折り曲げることで立体形状に組み立てたものが多用されている。ブランクを用いた包装箱は、一般に、前後一対の正面板や側面板を含む筒状本体の内部に収容物を収容すると共に、先端差し込みフラップ片を連設した蓋フラップ片によって筒状本体の両端の開口部を覆うことで、当該開口部を閉塞する。
【0003】
また、筒状本体の端部の開口部を蓋フラップ片によって閉塞した包装箱では、蓋フラップ片を開放することで収容物を取り出すことができるようになっているが、蓋フラップ片を開閉することが容易であると、例えば包装箱が店頭に陳列された際に、購入者以外の者が包装箱をいたずらに開けたり収容物を取り出したりして、改竄される畏れがある。このようなことから、筒状本体の端部の開口部を覆う蓋フラップ片が容易に開放されないようにし、包装箱の開封は、包装箱の周囲に設けられたミシン目等による切断誘導線を破断させて行われるようにして、包装箱が既に開封されたか否かを容易に判別可能にすることで、改竄防止機能が得られるようにした封緘箱が種々開発されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−31062号公報
【特許文献2】実用新案登録第3142471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1や特許文献2の改竄防止機能が得られる封緘箱では、フック片に設けられた係止片や、差し込み片に設けられたフックを、上蓋片に設けられた切込線や、正面板と内フラップとの折曲げ線に設けられたスリットに係合させて、メカニカルな構造により蓋フラップ片が容易に開放されないようになっているが、その構成が簡易ではなく、封緘装置を使用した際の封緘工程が複雑になる。また、特に封緘箱が紙製のブランクを用いて形成されている場合には、係止片や差し込み片を、切込線やスリットに無理押しながら押し込んでこれらを係合させる際に、係止片やフックの先端係合部分が押し潰されて、切込線やスリットへの係合が甘くなる場合がある。
【0006】
本発明は、簡易な構成によって、且つ封緘装置を使用した簡単な工程によって、筒状本体の端部の開口部を、容易には開放されないように安定した状態で封緘することのできる封緘箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、所定の形状に裁断されたブランクを折曲げ線に沿って折り曲げることで、対向配置された前後一対の正面板を含む筒状本体を形成し、該前後一対の正面板の何れか一方の正面板の端縁部に連設する蓋フラップ片の差し込みフラップ片を、他方の正面板の内側面に沿って差し込むことで前記筒状本体の端部の開口部が閉塞されると共に、切断誘導線を破断させることにより開封して収容物を取り出す封緘箱であって、前記差し込みフラップ片には、両側の側縁部から外側に張り出す係止片が設けられており、前記他方の正面板の隣接する両側の側面板との間の側縁角部分には、前記係止片が係合される係止切欠きが設けられており、且つ前記差し込みフラップ片の幅方向における前記両側の係止片の先端縁部の間の長さが、前記他方の正面板の前記係止切欠きが設けられた部分の幅よりも長くなっている封緘箱を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0008】
また、本発明は、所定の形状に裁断されたブランクを折曲げ線に沿って折り曲げることで、対向配置された前後一対の正面板を含む筒状本体を形成し、該前後一対の正面板の何れか一方の正面板の端縁部に連設する蓋フラップ片の差し込みフラップ片を、他方の正面板の内側面に沿って差し込むことで前記筒状本体の端部の開口部が閉塞されると共に、切断誘導線を破断させることにより開封して収容物を取り出す封緘箱であって、前記差し込みフラップ片には、ロック穴が設けられており、前記他方の正面板には、前記ロック穴が係合される係止片が設けられている封緘箱を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0009】
さらに、本発明は、所定の形状に裁断されたブランクを折曲げ線に沿って折り曲げることで、対向配置された前後一対の正面板を含む筒状本体を形成し、該前後一対の正面板の何れか一方の正面板の端縁部に連設する蓋フラップ片の差し込みフラップ片を、一対の側面板の端縁部に連設する内フラップ片を内側に折り込んでから他方の正面板の内側面に沿って差し込むことで前記筒状本体の端部の開口部が閉塞されると共に、切断誘導線を破断させることにより開封して収容物を取り出す封緘箱であって、前記差し込みフラップ片には、ロック穴が設けられており、前記内フラップ片の縁部から突出して、前記ロック穴が係合される係止片が設けられている封緘箱を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の封緘箱によれば、簡易な構成によって、且つ封緘装置を使用した簡単な工程によって、筒状本体の端部の開口部を、容易には開放されないように安定した状態で封緘することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の好ましい一実施形態に係る封緘箱の構成を説明する斜視図である。
【図2】(a)、(b)は、本発明の好ましい一実施形態に係る封緘箱の構成を説明する要部斜視図である。
【図3】本発明の好ましい一実施形態に係る封緘箱を形成するためのブランクの展開図である。
【図4】他の好ましい形態に係る封緘箱を形成するためのブランクの展開図である。
【図5】他の好ましい形態に係る封緘箱を形成するためのブランクの展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1及び図2(a)、(b)に示す本発明の好ましい一実施形態に係る封緘箱10は、収容物として、例えば化粧品類、薬品類、菓子類、文房具類等の日用品を収容した縦長の六面体形状の包装箱である。本実施形態の封緘箱10は、前後一対の正面板11a,11bと、左右一対の側面板11c,11dとからなる筒状本体11と、後述する蓋フラップ片17a,17bによる天面板12a及び底面板12bとからなる六面体形状に形成される。また、本実施形態の封緘箱10は、蓋フラップ片17aによる天面板12aに切断誘導線13が設けられており、この切断誘導線13を破断させることにより開封して収容物を取り出せるようになっている。さらに、本実施形態の封緘箱10は、筒状本体11の端部の開口部14を、簡易な構成によって、容易には開放されない状態で強固に封緘する機能を備える。
【0013】
そして、本実施形態の封緘箱10は、図3に示すような、所定の形状に裁断された例えば紙製の薄板状のブランク15を、複数の折曲げ線16a,16bに沿って折り曲げることで、対向配置された前後一対の正面板11a,11bを含む筒状本体11を形成し(図1、図2(a)、(b)参照)、前後一対の正面板11a,11bの何れか一方の正面板の端縁部に連設する蓋フラップ片17a,17bの差し込みフラップ片18a,18bを、他方の正面板の内側面に沿って差し込むことで筒状本体11の両端の開口部14が閉塞されると共に、切断誘導線13を破断させることにより開封して収容物を取り出す包装箱である。差し込みフラップ片18a,18bには、両側の側縁部から外側に張り出す係止片19a,19bが設けられており、他方の正面板11bの隣接する両側の側面板11c,11dとの間の側縁角部分には、係止片19a,19bが係合される係止切欠き20a,20bが設けられており、且つ差し込みフラップ片18a,18bの幅方向における両側の係止片19a,19bの先端縁部の間の長さL1が、他方の正面板の係止切欠き20a,20bが設けられた部分の幅L2よりも長くなっている。
【0014】
また、本実施形態では、差し込みフラップ片18a,18bの両側の側縁部において、係止片19a,19bが、蓋フラップ片17a,17bとの間の折曲げ線16bからの離間長さa1,a2が異なるようにずれて設けられており、他方の正面板11bの隣接する両側の側面板11c,11dとの間の側縁角部分において、係止切欠き20a,20bが、係止片19a,19bと対応させて、開口部14の縁部からの離間長さa1,a2が異なるようにずれて設けられている。
【0015】
本実施形態の封緘箱10は、図3に示すような、一枚の紙製のブランク15を用いて形成される。ブランク15は、六面体形状の封緘箱10を展開した所定の形状となるように、例えば薄板状の紙製のシート材料を打ち抜いて裁断することで容易に得ることができる。ブランク15は、側縁部を把持して片持ち状に水平に延設させた場合でも、折れ曲がることなく滑らかに湾曲した状態を容易に保持できる程度の保形剛性及び弾性を備えると共に、手の力で容易に折り曲げることができる程度の変形性を備える。
【0016】
また、ブランク15には、例えば半切れ線や罫線からなる縦方向折曲げ線16aや横方向折曲げ線16b、或いは全切れ線からなる切込み21等が適宜の位置に設けられていることで、封緘箱10を六面体形状となるように容易に組み立てることができる。
【0017】
本実施形態のブランク15では、例えば縦長の略長方形の後方正面板11aの両側に、縦方向折曲げ線16aを介して縦長の略長方形の側面板11c,11dが各々連設している。図3の展開図における右側の側面板11dの側方には、縦方向折曲げ線16aを介して縦長の略長方形の前方正面板11bが連設している。前方正面板11bのさらに側方には、縦方向の折曲げ線16aを介して縦長帯状の接合板27が連設している。
【0018】
後方正面板11aの上方には、横方向折曲げ線16bを介して天面部蓋フラップ片17aが連設している。天面部蓋フラップ片17aの上方には、さらに、横方向折曲げ線16bを介して天面部差し込みフラップ18aが連設している。なお、本実施形態では、天面部蓋フラップ片17aと天面部差し込みフラップ18aとの間の横方向折曲げ線16bの両端部分には、天面部内フラップ片25aの基端部との間で公知のロック機構を構成するロック用切込み22が設けられていると共に、中央部分には、切断誘導線13を破断する際の操作開始部となるつば部23を形成するためのつば部用切込み24が設けられている。
【0019】
前方正面板11bの下方には、横方向折曲げ線16bを介して底面部蓋フラップ片17bが連設している。底面部蓋フラップ片17bの下方には、さらに、横方向折曲げ線16bを介して底面部差し込みフラップ18bが連設している。なお、本実施形態では、底面部蓋フラップ片17bと底面部差し込みフラップ18bとの間の横方向折曲げ線16bの両端部分には、底面部内フラップ片25bの基端部との間で公知のロック機構を構成する、ロック用切込み22が設けられている。
【0020】
一対の側面板11c,11dの上方には、各々、横方向折曲げ線16bを介して天面部内フラップ片25aが連設している。天面部内フラップ片25aの基端部には、上述のロック用切込み22との間で公知のロック機構を構成するロック用突片26が設けられている。一対の側面板11c,11dの下方には、各々、横方向折曲げ線16bを介して底面部内フラップ片25bが連設している。底面部内フラップ片25bの基端部には、上述のロック用切込み22との間で公知のロック機構を構成する、ロック用突片26が設けられている。
【0021】
前方正面板11bの側方に連設する接合板27には、接着剤28が塗着されており、この接着剤28を介して接合板27を、側面板11cの側縁部に沿った内側面に接合することで、各縦方向折曲げ線16aに沿って折り曲げられた前後一対の正面板11a,11bと左右一対の側面板11c,11dとからなる、矩形中空の断面形状を有する筒状本体11が形成される。なお、本実施形態では、接合板27とは反対側に位置する側面板11cの上端部側縁部には、切欠き凹部29が設けられている。接合板27を側面板11cの内側面に接合することで筒状本体11を形成した際に、前方正面板11bと接合板27との側縁角部分において、縦方向折曲げ線16aから接合板27に食い込ませて形成した第1係止切欠き20aを、切欠き凹部29の部分で側面板11cに臨ませることで、当該第1係止切欠き20aを、前方正面板11bと側面板11cとの側縁角部分に設けることができる。
【0022】
そして、本実施形態では、天面部差し込みフラップ片18aは、一方の正面板としての後方正面板11aの上方に天面部蓋フラップ片17aを介在させて連設しており、この天面部差し込みフラップ片18aには、両側の側縁部から各々外側に張り出す第1係止片19a及び第2係止片19bが設けられている。本実施形態では、これらの係止片19a,19bは、天面部蓋フラップ片17aとの間の横方向折曲げ線16bからの離間長さa1,a2が異なるように、ずれて設けられており、横方向折曲げ線16bからの離間長さa1が短い方の係止片が第1係止片19aとなっており、横方向折曲げ線16bからの離間長さa2が短い方の係止片が第2係止片19bとなっている。また、本実施形態では、天面部差し込みフラップ片18aの幅方向における、両側の第1係止片19a及び第2係止片19bの先端縁部の間の長さL1が、他方の正面板としての前方正面板11bの、後述する第1係止切欠き20a及び第2係止切欠き20bが設けられた部分の幅L2よりも長くなっている。さらに、本実施形態では、第1係止片19a及び第2係止片19bの先端縁部は、円弧状に湾曲する湾曲角部30a,30bを介して天面部蓋フラップ片17aの先端辺部31と接続している。
【0023】
本実施形態では、他方の正面板としての前方正面板11bの上端部の隣接する両側の側面板11c,11dとの間の側縁角部分に、天面部差し込みフラップ片18aの第1係止片19aや第2係止片19bが各々係合される第1係止切欠き20aや第2係止切欠き20bが設けられている。本実施形態では、これらの係止切欠き20a,20bは、第1係止片19aや第2係止片19bと対応させて、開口部14aの縁部となる前方正面板11bの上辺32からの離間長さa1,a2が異なるように、ずれて設けられており、上辺32からの離間長さa1が短い方の切欠き第1係止切欠き20aとなっており、上辺32からの離間長さa2が長い方の切欠き第2係止切欠き20bとなっている。本実施形態では、係止切欠き20a,20bは、各々、縦方向折曲げ線16aに沿って切り込んだ角部切込み33aと、角部切込み33aの上端部からL字形に折れ曲がって側面板11c,11dに食い込んで設けられたL形切込み33bとからなる鉤形形状に形成されている。なお、係止切欠き20a,20bは、例えば縦方向折曲げ線16aに沿った部分から側面板11c,11dに食い込んで開口形成された切欠き開口等によって設けることもできる。
【0024】
また、本実施形態では、天面部差し込みフラップ片18aを、例えばカートナー等の公知の封緘装置を使用して、他方の正面板である前方正面板11bの内側面に沿って差し込む際に、天面部差し込みフラップ片18aを斜めに差し込んで、天面部蓋フラップ片17aとの間の横方向折曲げ線16bからの離間長さa1が短い方の第1係止片19aを第1係止切欠き20aに係合した後に、これらの係合部分を中心に天面部差し込みフラップ片18aを回動させた時に(図2(a)参照)、天面部蓋フラップ片18aとの間の横方向折曲げ線16bからの離間長さa2が長い方の第2係止片19bの先端縁部が、上端部の開口部14における前方正面板11bと側面板11dとの角部内側を通過可能な位置関係で、各々の係止片19a,19b及び係止切欠き20a,20bが設けられている。
【0025】
すなわち、離間長さa1が短い方の第1係止切欠き20aの係合基端部となる角部切込み33aの上端部から開口部14における前方正面板11bと側面板11dとの角部内側までの長さs1と、離間長さa1が短い方の第1係止片19aの係合基端部から離間長さa2が長い方の第2係止片19bの先端縁部までの長さs2とが略合致するような位置関係で、各々の係止片19a,19b及び係止切欠き20a,20bが設けられている。
【0026】
一方、本実施形態では、底面部差し込みフラップ片18bは、一方の正面板としての前方正面板11bの下方に底面部蓋フラップ片17bを介在させて連設しており、この底面部差し込みフラップ片18bには、上述の天面部差し込みフラップ片18aと同様に、両側の側縁部から各々外側に張り出す第1係止片19a及び第2係止片19bが、底面部蓋フラップ片17bとの間の横方向折曲げ線16bからの離間長さが異なるように、ずれて設けられている。また、底面部差し込みフラップ片18aの幅方向における、両側の第1係止片19a及び第2係止片19bの先端縁部の間の長さが、他方の正面板としての後方正面板11bの第1係止切欠き20a及び第2係止切欠き20bが設けられた部分の幅よりも長くなっている。
【0027】
本実施形態では、他方の正面板としての後方正面板11aの下端部の隣接する両側の側面板11c,11dとの間の側縁角部分には、上述の前方正面板11bと同様に、底面部差し込みフラップ片18bの第1係止片19aや第2係止片19bが各々係合される第1係止切欠き20aや第2係止切欠き20bが、第1係止片19aや第2係止片19bと対応させて、開口部14aの縁部となる後方正面板11bの下辺34からの離間長さが異なるように、ずれて設けられている。
【0028】
また、本実施形態では、底面部差し込みフラップ片18bに設けられた第1係止片19a及び第2係止片19bや、後方正面板11aの隣接する両側の側面板11c,11dとの間の側縁角部分に設けられた第1係止切欠き20a及び第2係止切欠き20bが、天面部差し込みフラップ片18aに設けられた第1係止片19a及び第2係止片19bや、前方正面板11bの隣接する両側の側面板11c,11dとの間の側縁角部分に設けられた第1係止切欠き20a及び第2係止切欠き20bと同様に、離間長さが短い方の第1係止切欠き20aの係合基端部から開口部における後方正面板11aと側面板11dとの角部内側までの長さs1と、離間長さが短い方の第1係止片19aの係合基端部から離間長さが長い方の第2係止片19bの先端縁部までの長さs2とが略合致するような位置関係で、各々設けられている。
【0029】
本実施形態の封緘箱10は、上述のブランク15を用いて組み立てられて、収容物を封入収容した状態で製品化される。すなわち、収容物を収容した封緘箱10を得るには、上述のように、接合板27を側面板11cの内側面に接合することで筒状本体11を形成した後に、筒状本体11の下端の開口を一対の底面部内フラップ片25bと底面部差し込みフラップ片18bを用いて閉塞して、底面板12bを形成する。底面板12bは、後述する天面板12bを形成する方法と同様の方法により、好ましくは封緘装置(カートナー)を使用した簡単な工程によって、容易に形成することができる。
【0030】
筒状本体11の下端の開口を閉塞して底面板12bを形成したら、上端の開口14から収容物を収容した後に、図1及び図2(a)、(b)に示すように、上端の開口14を、一対の天面部内フラップ片25aと天面部蓋フラップ片17aを用いて閉塞して、天面板12aを形成する。天面板12aを形成するには、好ましくは封緘装置(カートナー)を使用して、両側の天面部内フラップ片25aを内側に折り込んでから、天面部蓋フラップ片17aに連設する天面部差し込みフラップ片18aを、他方の正面板としての前方正面板11bの内側面に沿って差し込む。かかる差し込み工程においては、従来の封緘装置を使用した方法と同様に、天面部差し込みフラップ片18aを斜めに傾けた状態から差し込み始めることで、これの両側の側縁部に設けられた第1係止片19aや第2係止片19bを、前方正面板11bの両側の側縁角部分に設けられた第1係止切欠き20aや第2係止切欠き20bに各々係合する(図2(a)、(b)参照)。
【0031】
すなわち、天面部差し込みフラップ片18aを斜めに差し込んで、第1係止片19aを第1係止切欠き20aに係合させた後に、これらの係合部分を中心に、天面部差し込みフラップ片18aの第2係止片19bが設けられた側の部分を差込み方向に回動させれば、第2係止片19bは、その先端縁部を僅かに変形させつつ、開口部14における前方正面板11bと側面板11dとの角部内側から、前方正面板11bと側面板11dとの側縁角部分に設けられた第2係止切欠き20bまで、角部内側に沿ってスムーズに通過して、第2係止切欠き20bに係合する。これによって、天面部蓋フラップ片17aによって上端の開口14を閉塞した際に、第1係止片19a及び第2係止片19bは、前方正面板11bの両側に突出した状態で、第1係止切欠き20aや第2係止切欠き20bに強固に且つ安定した状態で係合される。またこれによって、天面部蓋フラップ片17aは、天面部差し込みフラップ片18aを引き抜くことで開放することが困難になると共に、天面部蓋フラップ片17aによる天面板12aの開放は、天面部蓋フラップ片17aに設けられた切断誘導線13を破断することによって行われることになる。
【0032】
したがって、本実施形態の封緘箱10によれば、簡易な構成によって、且つ封緘装置を使用した簡単な工程によって、筒状本体11の端部の開口部14を、容易には開放されないように安定した状態で封緘することが可能になる。
【0033】
また、本実施形態によれば、先端差し込みフラップ片18a,18bの両側の係止片19a,19bは、蓋フラップ片17a,17bとの間の折曲げ線16bからの離間長さa1,a2が異なるようにずれて設けられており、他方の正面板11bの両側の係止切欠き20a,20bは、係止片19a,19bと対応させて、開口部14の縁部からの離間長さa1,a2が異なるようにずれて設けられているので、両側の係止片19a,19bの先端縁部の間の長さL1を他方の正面板の幅L2よりも長くする量を、相当程度に大きくすることが可能になり、これによってさらに強固に且つ安定した状態で、筒状本体11の端部の開口部14を封緘することが可能になる。
【0034】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、封緘箱を形成するためのブランクは、紙製のブランクである必要は必ずしも無く、プラスチック製のブランクであっても良い。また、先端差し込みフラップ片の両側の係止片を、折曲げ線からの離間長さが異なるようにずらせて設けたり、他方の正面板の両側の係止切欠きを、開口部の縁部からの離間長さが異なるようにずらせて設ける必要は必ずしもない。例えば、プラスチック製のブランクを用いた場合、先端差し込みフラップ片の両側の係止片は相当の保形剛性を備えるので、両側の係止片の先端縁部の間の長さを他方の正面板の幅よりも長くする量を相当程度に大きくして、先端差し込みフラップ片を無理押しながら差し込んで係止片を係止切欠きに係合させる場合でも、係止片はその形状を容易に保持できるので、係止片を正面板の両側に相当の突出量で突出させて、強固に且つ安定した状態で、筒状本体を封緘することが可能になる。
【0035】
図4は、筒状本体の端部の開口部を、容易には開放されないように安定した状態で封緘することを可能にする、他の形態に係る封緘箱を形成するためのブランク40の展開図である。図4に示すブランク40では、図3に示すブランク15と略同様に、縦方向折曲げ線や横方向折曲げ線や全切れ線によって区画された、後方正面板41a、前方正面板41b、一対の側面板41c,41d、天面部蓋フラップ片42a、底面部蓋フラップ片42b、天面部差し込みフラップ片43a、底面部差し込みフラップ片43b、一対の天面部内フラップ片44a、一対の底面部内フラップ片44b、接合板45等を備えている。また、天面部差し込みフラップ片43aや底面部差し込みフラップ片43bには、ロック穴47が、係止部として設けられており、天面部蓋フラップ片42aには、ミシン目等による切断誘導線48が設けられている。さらに、後方正面板41aの下端部や前方正面板41bの上端部には、切り込みを入れることによって係止片46が設けられている。
【0036】
図4のブランク40を用いて形成された封緘箱では、収容物を収容して対向配置された前後一対の正面板41a,41bを含む六面体形状に形成された際に、天面部差し込みフラップ片43aや底面部差し込みフラップ片43bのロック穴47を、後方正面板41aや前方正面板41bの係止片46に係合することによって、天面部差し込みフラップ片43aを引き抜くことでは上端部の開口を開放することが困難になると共に、天面部蓋フラップ片42aによる天面板の開放は、天面部蓋フラップ片42aに設けられた切断誘導線48を破断することによって行わせることが可能になる。
【0037】
図5もまた、筒状本体の端部の開口部を、容易には開放されないように安定した状態で封緘することを可能にする、他の形態に係る封緘箱を形成するためのブランク50の展開図である。図5に示すブランク50では、図3に示すブランク15と略同様に、縦方向折曲げ線や横方向折曲げ線や全切れ線によって区画された、後方正面板51a、前方正面板51b、一対の側面板51c,51d、天面部蓋フラップ片52a、底面部蓋フラップ片52b、天面部差し込みフラップ片53a、底面部差し込みフラップ片53b、一対の天面部内フラップ片54a、一対の底面部内フラップ片54b、接合板55等を備えている。また、天面部差し込みフラップ片53aや底面部差し込みフラップ片5bには、ロック穴57a,57bが、係止部として設けられており、天面部蓋フラップ片52aには、ミシン目等による切断誘導線58が設けられている。さらに、天面部内フラップ片54aの外側縁部には、係止片46aが外側に突出して各々設けられており、底面部内フラップ片54bの内側縁部には、係止片46bが内側に突出して各々一対設けられている。
【0038】
図5のブランク50を用いて形成された封緘箱では、収容物を収容して対向配置された前後一対の正面板51a,51bを含む六面体形状に形成された際に、天面部差し込みフラップ片53aや底面部差し込みフラップ片53bのロック穴57a,57bを、天面部内フラップ片54aや底面部内フラップ片54bの係止片56a,56bに係合することによって、天面部差し込みフラップ片53aを引き抜くことでは上端部の開口を開放することが困難になると共に、天面部蓋フラップ片52aによる天面板の開放は、天面部蓋フラップ片52aに設けられた切断誘導線58を破断することによって行わせることが可能になる。
【符号の説明】
【0039】
10 封緘箱
11 筒状本体
11a 後方正面板
11b 前方正面板
11c,11d 側面板
12a 天面板
12b 底面板
13 切断誘導線
14 開口部
15 ブランク
16a 縦方向折曲げ線
16b 横方向折曲げ線
17a 天面部蓋フラップ片
17b 底面部蓋フラップ片
18a 天面部差し込みフラップ片
18b 底面部差し込みフラップ片
19a 第1係止片
19b 第2係止片
20a 第1係止切欠き
20b 第2係止切欠き
25a 天面部内フラップ片
25b 底面部内フラップ片
27 接合板
32 前方正面板の上辺(開口部の縁部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の形状に裁断されたブランクを折曲げ線に沿って折り曲げることで、対向配置された前後一対の正面板を含む筒状本体を形成し、該前後一対の正面板の何れか一方の正面板の端縁部に連設する蓋フラップ片の差し込みフラップ片を、他方の正面板の内側面に沿って差し込むことで前記筒状本体の端部の開口部が閉塞されると共に、切断誘導線を破断させることにより開封して収容物を取り出す封緘箱であって、
前記差し込みフラップ片には、両側の側縁部から外側に張り出す係止片が設けられており、前記他方の正面板の隣接する両側の側面板との間の側縁角部分には、前記係止片が係合される係止切欠きが設けられており、
且つ前記差し込みフラップ片の幅方向における前記両側の係止片の先端縁部の間の長さが、前記他方の正面板の前記係止切欠きが設けられた部分の幅よりも長くなっている封緘箱。
【請求項2】
前記差し込みフラップ片の両側の側縁部において、前記係止片が、前記蓋フラップ片との間の折曲げ線からの離間長さが異なるようにずれて設けられており、前記他方の正面板の隣接する両側の側面板との間の側縁角部分において、前記係止切欠きが、前記係止片と対応させて、前記開口部の縁部からの離間長さが異なるようにずれて設けられている請求項1記載の封緘箱。
【請求項3】
前記差し込みフラップ片を、前記他方の正面板の内側面に沿って差し込む際に、前記差し込みフラップ片を斜めに差し込んで、前記蓋フラップ片との間の折曲げ線からの離間長さが短い方の前記係止片を前記係止切欠きに係合した後に、これらの係合部分を中心に前記差し込みフラップ片を回動させた時に、前記蓋フラップ片との間の折曲げ線からの離間長さが長い方の前記係止片の先端縁部が、前記開口部における前記他方の正面板と前記側面板との角部内側を通過可能なように、離間長さが短い方の前記係止切欠きの係合基端部から前記角部内側までの長さと、離間長さが短い方の前記係止片の係合基端部から離間長さが長い方の前記係止片の先端縁部までの長さとが略合致するような位置関係で、各々の前記係止片及び前記係止切欠きが設けられている請求項2記載の封緘箱。
【請求項4】
所定の形状に裁断されたブランクを折曲げ線に沿って折り曲げることで、対向配置された前後一対の正面板を含む筒状本体を形成し、該前後一対の正面板の何れか一方の正面板の端縁部に連設する蓋フラップ片の差し込みフラップ片を、他方の正面板の内側面に沿って差し込むことで前記筒状本体の端部の開口部が閉塞されると共に、切断誘導線を破断させることにより開封して収容物を取り出す封緘箱であって、
前記差し込みフラップ片には、ロック穴が設けられており、前記他方の正面板には、前記ロック穴が係合される係止片が設けられている封緘箱。
【請求項5】
所定の形状に裁断されたブランクを折曲げ線に沿って折り曲げることで、対向配置された前後一対の正面板を含む筒状本体を形成し、該前後一対の正面板の何れか一方の正面板の端縁部に連設する蓋フラップ片の差し込みフラップ片を、一対の側面板の端縁部に連設する内フラップ片を内側に折り込んでから他方の正面板の内側面に沿って差し込むことで前記筒状本体の端部の開口部が閉塞されると共に、切断誘導線を破断させることにより開封して収容物を取り出す封緘箱であって、
前記差し込みフラップ片には、ロック穴が設けられており、前記内フラップ片の縁部から突出して、前記ロック穴が係合される係止片が設けられている封緘箱。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−1424(P2013−1424A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134850(P2011−134850)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】