説明

封緘装置

【課題】フラップの寸法が異なる各種の封筒を自在に封緘することができ、また、粘着シートの粘着剤のロスを回避することができる封緘装置を提供する。
【解決手段】封緘装置10は、封筒載置部20と、封筒を折り返す刃部24を有するフラップ折り返し機構14と、転写ローラ40と、非粘着性表面を有する補助ローラ62を備え、刃部24が、40転写ローラおよび補助ローラ62に先行して走行し、封筒のフラップを長手方向端部から順次折り返し、折り返されたフラップを転写ローラ40および補助ローラ62の間に挟持し、フラップに粘着剤を転写する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封緘装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、事務作業等における少部数の封筒の封緘作業は、水糊やスティックタイプの半固形の糊等を用いて、封筒のフラップ(糊付箇所を含む折り返し面全体を指す。以下、同じ。)に糊を付着させて、手でフラップを折り返した後に押さえてフラップを封筒本体(内容物収容部)に貼り付けることが封筒1枚毎に繰り返して行われていた。
しかしながら、小部数とはいえ、手作業による封緘作業を日常的に繰り返すことは作業効率上好ましくない。また、部数が多くなると封緘作業に時間がかかりすぎてしまう。
【0003】
これに対して、大量の封筒の封緘作業を行うために、糊の塗布手段として熱溶解性の接着剤を入れた糊容器と接着剤を溶解するためのヒータと塗布具等を設け、封緘作業を自動的に行う封緘装置が提案されている(例えば特許文献1)。
しかしながら、この封緘装置は、接着剤の保管や補充の作業が必要となるだけでなく、定期的に塗布手段部分の清掃を行わなければならず、装置の維持管理に多大な労力を払わなければならない。
【0004】
上記の封緘装置の不具合に鑑み、粘着膜を付着させたテープ状のセパレータを用いた貼着機構を設けた封緘装置も提案されている(例えば特許文献2)。この場合、移動中の封筒が所定の位置に来たことをセンサで検知し、粘着膜を封筒の貼着部に転移する構成とされている。
しかしながら、この封緘装置は、フラップの折り曲げ手段と粘着膜の付着手段がそれぞれ独立に設けられ、かつ独立して作用するように構成されており、また、センサで封筒の移動を検知して、各種制御手段を用いて制御するため、装置が複雑でコストが高くなる。
また、封緘する封筒の幅寸法が異なると、粘着膜を付着させたテープの幅寸法を変更する必要があるため、テープの幅寸法の異なる多種類の接着テープを準備する必要があり、さらにまた、接着テープの交換作業が煩雑である。
【0005】
本発明者は、上記従来の封緘装置の不具合に鑑み、フィルム基材上に粘着剤層を設けた粘着シートが掛け渡される、フラップの長手方向の幅とほぼ同じ幅寸法(軸長)の転写ローラと、転写ローラの直下に先端が位置するように転写ローラの下方に配置されるフラップ折り返し位置決め板と、転写ローラに対向して配置されるシリコンゴムからなる補助ローラと、フラップ折り返し位置決め板の下方に配置される、封筒を載せる載置板を備えた封緘装置を提案している(特許文献3)。
この封緘装置は、補助ローラがフラップ折り返し位置決め板の先端を中心点として回動して封筒のフラップを折り返し、さらにフラップを転写ローラに押圧して、フラップに粘着剤を転写するように構成しているため、フラップの長手方向全体に同時に粘着剤を転写することができるとともに、例えば封緘対象の各種の封筒のなかで最大幅寸法を有する封筒の幅寸法に合わせて粘着シートおよび各ローラの幅寸法を設定することで、幅寸法の小さな封筒についてもフラップに粘着剤を転写することができる。このとき、封筒のフラップの幅をはみ出した分の粘着シートの粘着剤は、フラップに転写されずに補助ローラに接するが、補助ローラがシリコンゴム製であるために実質的に補助ローラに付着することなく、そのまま粘着シートに残存して回収されるため、補助ローラ等を汚染する不都合はない。これにより、多様な寸法の封筒を、簡易な構造で安価な装置を用いて効率的に封緘することができる。
しかしながら、封緘対象の各種の封筒のフラップの寸法は、長方形の短辺にフラップが設けられる所謂和封筒(長形)であっても封筒サイズによって大きく異なり、また、長方形の長辺にフラップが設けられる所謂洋封筒(洋形)については和封筒に比べてフラップの長手方向の寸法が著しく大きいため、幅寸法が定まっている粘着シートを用いて確実に封緘できる封筒の種類には限界があるといわざるを得ない。また、粘着シートの幅寸法よりも小さな幅寸法のフラップが設けられる封筒を封緘するとき、フラップからはみ出した分の粘着シートの粘着剤は実質的にロスとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭60−172629号公報
【特許文献2】特開平7−16957号公報
【特許文献3】特許3821455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、フラップの寸法が異なる各種の封筒を自在に封緘することができ、また、粘着シートの粘着剤のロスを回避することができる封緘装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る封緘装置は、
封筒のフラップに粘着剤を転写し、フラップを折り返して封筒本体にフラップを貼着させて封緘する封緘装置において、
封筒が載置され、一端がフラップ折り返し位置部とされる封筒載置部と、封筒を該フラップ折り返し位置部においてフラップの短手側をほぼ直角に折り返すフラップ折り返し機構と、ほぼ直角に折り返されるフラップの該封筒載置部の側に配置され、フィルム基材上に粘着剤層を設けた粘着シートがフラップの長手方向に対応して掛け渡される転写ローラと、該転写ローラに対向して配置され、非粘着性表面を有する補助ローラを備え、
該フラップ折り返し機構が、フラップの短手方向の1辺に対して当接可能な刃面を有する折り返し刃部と、該折り返し刃部を走行させる折り返し刃部走行機構を備え、該折り返し刃部が、該転写ローラおよび該補助ローラに先行して走行し、フラップを長手方向端部から順次折り返し、該転写ローラおよび該補助ローラが走行機構によって走行して折り返されたフラップを該転写ローラおよび該補助ローラの間に挟持し、該フラップに粘着剤を転写することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る封緘装置は、好ましくは、前記折り返し刃部は、前記刃面が、フラップの1つの傾斜辺に対応して平面視エッジ状に形成されるとともに、フラップの折り返し方向に向けてフラップに対して後退するように曲線状に形成されてなる湾曲面状を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る封緘装置は、好ましくは、前記フラップ折り返し機構、前記転写ローラおよび前記補助ローラが実質的に一体に設けられ、前記折り返し刃部走行機構によって走行するように構成してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る封緘装置は、フラップ折り返し機構の折り返し刃部走行機構が、転写ローラおよび非粘着性表面を有する補助ローラに先行して走行し、フラップを長手方向端部から順次折り返し、転写ローラおよび補助ローラが走行機構によって走行して折り返されたフラップを転写ローラおよび補助ローラの間に挟持し、フラップに粘着剤を転写するため、フラップの寸法が異なる各種の封筒を自在に封緘することができ、また、粘着シートの粘着剤のロスを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は封緘装置の概略平面図である。
【図2】図2は粘着剤転写手段を本体テーブルから露出して示す封緘装置の概略平面図である。
【図3】図3は部品の一部を取り除いて示す封緘装置の左側面図である。
【図4】図4は内部を露出して示す封緘装置正面図である。
【図5】図5は爪部の斜視図である。
【図6】図6はフラップの長手方向中央付近まで粘着剤が転写された状態を説明するための図である。
【図7】図7はフラップの長手方向全体が粘着剤が転写された状態を説明するための図である。
【図8】図8は粘着剤転写手段を図4中紙面左側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態(以下、本実施の形態例という。)について、図を参照して、以下に説明する。
【0014】
まず、本実施の形態例に係る封緘装置の構造について説明する。
本実施の形態例に係る封緘装置全体の概略構成について、図1および図2を参照して説明する。図1は封緘装置の概略平面図であり、図2は後述する粘着剤転写手段を本体テーブルから露出して示す封緘装置の概略平面図である。
【0015】
封緘装置10は、封筒載置部12と、フラップ折り返し機構14と、粘着剤転写手段16を備える。封緘装置10は、さらに、封筒固定兼送り出し機構17と、フラップ圧着機構18を備える。
【0016】
封筒載置部12は、本体テーブル20と、封筒ガイド22を備える。
本体テーブル20には、封緘するための封筒(図1中、矢印Fで示す。)が載せられる。本体テーブル20の図1中左側端は、本体テーブル20に載せられる封筒Fのフラップ(図1中、矢印Frで示す。なお、フラップを除く封筒Fの残りの部分を封筒本体Fbということがある。)が折り返されるフラップ折り返し位置部13である。
封筒ガイド22は、封筒Fの後端(フラップFrが設けられる側とは反対側の端 図1中、右端)をガイドするためのものであり、本体テーブル20の上に配置される平板部22aと、平板部22の図1中下側端に垂下する垂下面22bと、平板部22aの一端(図1中、右端)から立ち上がって設けられるガイド部22cで構成される(図4参照。)。封筒ガイド22は、本体テーブル20の側面に形成されるスリット23(図4参照。)に係合してネジ止めされる封筒サイズ変更ツマミ25を緩めることによって、図1中、矢印X1−X2方向にスライド可能に設けられるとともに、封筒サイズ変更ツマミ25を締め付けることによって本体テーブル20の側面に垂下面22bを圧着させることで封筒ガイド22を本体テーブル20に固定することができる。
【0017】
フラップ折り返し機構14について、図3〜図5をさらに参照して説明する。図3は説明の都合上フラップ圧着機構18や封筒固定兼送り出し機構17の一部を取り除いて示す装置左側面図であり、図4は装置内部を露出して示す装置正面図であり、図5は爪部の斜視図である。
フラップ折り返し機構14は、爪部(折り返し刃部)24と、爪部走行機構(折り返し刃部走行機構)を備える。
爪部24は、ほぼ直方体形状であるが、封筒Fに対向する側に形成される刃面24aが、平面視でほぼ台形状に形成されるフラップFrの1つの傾斜辺(図5中、矢印Sで示す。)に対して当接可能に設けられる。刃面24aは傾斜辺Sに対応して、図5中、傾斜辺Sとほぼ平行な、例えば挟角θが45°にカットされる平面視エッジ状に形成されるとともに、フラップFrの折り返し方向に向けてフラップFrに対して後退するように、すなわち爪部24の上方から下方に曲線状に形成された湾曲面状(図5中、矢印Rで示す。)を有する。ただし、刃面24aを直方体の一側面としての平面等の他の形状に形成することを排除するものではない。
爪部24の図1中右側側面には、フラップFrに向けて延出し、フラップFrに近接する先端部が立ち上がった折れ板状部材であるフラップガイド27が設けられる。
【0018】
爪部走行機構は、スライダー28a、28bと、ベルト部30と、モータ32を備える。
スライダー28a、28bは、爪部24の両側面に対向して固着される。図2中矢印Y1−Y2方向にそれぞれ延出して本体テーブル20に固着して設けられる、スライドシャフト34aにスライダー28aが、スライダー28bにスライドシャフト34bが、それぞれ移動可能に係合される。
スライダー28aは、底面がベルト部30のベルト30aにネジ36により固定される。
ベルト部30は、図2中矢印Y1−Y2方向に離間して配置される2つのプーリ38a、38b間に掛け渡される。プーリ38bはモータ32に直結される。
これにより、モータ32に付勢されてプーリ38bが図3中時計回り方向に回動すると、ベルト部30のベルト30aが走行し、スライダー28aが固定された爪部24が図3中矢印Y2方向に移動する。
【0019】
爪部24の刃面24aの上部がフラップFrの傾斜辺Sに当接し、さらにフラップFrの長手方向に向けて進行すると、当接したフラップFrの部分が、シワ等の不具合を生じることなく刃面24aに沿って下方に円滑に折り曲げられる。刃面24aがさらに進行を続けることで、当接したフラップFrの部分が順次連続的に、ほぼ直角に折り曲げられる(折り返される。)。
【0020】
粘着剤転写手段16について、上記各図とともに図8をさらに参照して説明する。図8は、粘着剤転写手段16を図4中紙面左側から見た図である。
粘着剤転写手段16は、テープ台39上に、転写ローラ40と、供給リール42と、巻取りリール44がそれぞれ軸止される。
転写ローラ40は、図2中、爪部24の刃面24aの後方(Y1方向)に配置される。
供給リール42には、フィルム基材上にほぼ全幅にわたって粘着剤を塗布して粘着層が形成される粘着テープ46が巻回される。
粘着テープ46はガイドリール48aおよびガイドリール48bを介して転写ローラ40に、さらにガイドリール48cを介して、巻取りリール44に、フラップの長手方向に対応して掛け渡される。なお、図4中参照符号49は供給リール42と巻取りリール44の間に掛けまわされる無端ベルトを示す。また、参照符号40は、巻取りリール44にテンションをかけながら粘着剤が剥がれた粘着テープ46を崩れることなく巻き取るためのブレーキドラムを示す。
図4中、テープ台39の下方には台基礎板50が配置される。台基礎板50は、転写ローラ40側の端部が固定ピン52によりスライダー28bに固定される。台基礎板50の転写ローラ40側とは反対側の端部にはスリット54が形成される。スリット54は、図2中Y1−Y2方向に延出して設けられ、テーブル本体20に固着されるシャフト56に形成される突起56aに係合する。さらに、台基礎板50には端部が下方に折り曲げられて折り曲げ部50aが形成されるとともに、テープ台39には端部が下方に折り曲げられて折り曲げ部39aが形成される。折り曲げ部50aおよび折り曲げ部39aにはコイルバネ60の両端が係止される。図8に示すように、台基礎板50の上方、テープ台39との間には、固定ピン35a、35bによって台基礎板50に固定されるテープ台スライド板37が設けられる。そして、転写ローラ40の下部がテープ台スライド板37に固定されることにより、転写ローラ40は台基礎板50と実質的に一体となり、動きが規制される。
さらに、粘着剤転写手段16は、スライダー28a上に固定される軸61に回動可能に係合する補助ローラ62を備える。
補助ローラ62は、転写ローラ40と対向して、図2中、爪部24の刃面24aの後方(Y1方向)に配置され、爪部24の側面に形成される開口29から露出して転写ローラ40に当接する。補助ローラ62は、テフロン(テフロンは登録商標名)樹脂、シロキサン系樹脂等の適宜の材料で形成され、あるいは表面がこれらの材料で形成され、非接着性表面を有する。
【0021】
これにより、爪部24の図2中矢印Y1−Y2方向への移動に応じて台基礎板50が移動する。このとき、台基礎板50の転写ローラ40側の端部が爪部24と一体となって移動するとともに、コイルバネ60によって爪部24の方向に付勢され、補助ローラ62に当接する、テープ台39上の転写ローラ40も爪部24の動きに合わせて移動する。一方、台基礎板50の転写ローラ40側とは反対側の端部は、突起56aによって動きが規制される。
上記のように、転写ローラおよび補助ローラは、爪部24と実質的に一体に設けられることにより、爪部走行機構26が転写ローラおよび補助ローラそれぞれの走行機構を兼ねる。このため、転写ローラおよび補助ローラそれぞれの専用の走行機構を設ける必要がない。ただし、これに限らず、転写ローラおよび補助ローラそれぞれの専用の走行機構を設けることを排除するものではない。
【0022】
上記のように構成される粘着剤転写手段16は、モータ32に付勢されて先行する爪部24の刃面24aによってフラップFrの端部が下方(図2中紙面貫通方向)に折り返されると、後に続く転写ローラ40が折り返されたフラップの裏面(内側面)に押圧、当接されて、補助ローラ62との間に挟持されるフラップに粘着テープ46の粘着剤が転写される。爪部24の走行によって順次折り返されるフラップFrの長手方向に粘着剤が順次転写される。
フラップFrの長手方向全長に粘着剤が転写されると、爪部24の動きに応じてさらに走行する転写ローラ40がフラップFrのない位置で補助ローラ62と直接接触する。このとき、粘着剤が補助ローラ62に転写されないため、転写ローラ40の回動が停止され、粘着テープ46の無駄な消費が回避される。
【0023】
封筒固定兼送り出し機構17について説明する。
封筒固定兼送り出し機構17は、封筒Fの長手方向に延出して配置されるベルト64と、モータ66、68を備える。
ベルト64は、2つのプーリ70a、70bの間に掛け渡される。プーリ70a、70bの上方には移動板74が立設される。
プーリ70aにはピン75aが固着され、ピン75aの端部はL字型アーム72aの一端に固定される。プーリ70aの他端にはピン76aが固着され、ピン76aはクランク78の一端を係止するとともに、ピン76aの端部にコイルバネ80の一端が係止される。コイルバネ80の他端は、移動板74に固着されるピン76bに係止される。
プーリ70bにはピン75bが固着され、ピン75bは、中間部がL字型アーム72bの一端に固着されるとともに、端部がギヤ82cの中心に固着され、これによりピン75aはギヤ82cの回動軸とされる。L字型アーム72bの屈曲部にはピン76cの端部が固着され、ピン76cの他の端部はギヤ82cに歯合するギヤ82aの中心に固着され、これによりピン76cはギヤ82aの回動軸とされる。ギヤ82aに歯合してギヤ82bが設けられる。ギヤ82bの回動軸(図示せず。)はモータ68に直結される。プーリ70bの他端にはピン76dが固着され、ピン76dはクランク78の他端を係止する。
移動板74のほぼ中央に、スリット74aが形成される下垂部74aが設けられる。一方、モータ66に直結されてホイール84が設けられる。ホイール84の主面の外周部分に突起86が形成され、突起86はスリット74aを挿通することで下垂部74aに係合する。
【0024】
上記のように構成される封筒固定兼送り出し機構17は、始動時に図4中上方に位置するホイール84の突起86が、モータ66に付勢されてホイール84が回動することにより、図4中反時計回り方向に移動することで、移動板74が図4中左方向(矢印X1方向)に移動する。このとき、コイルバネ80に係止されるクランク78が図4中左方向に付勢される。これにより、クランク78に係止されるプーリ70aおよびプーリ70bに掛け渡されるベルト64が図4中下方向に移動(下降)し、ベルト64によって封筒Fが押圧されテーブル本体20上に固定される。なお、モータ66稼動時、モータ68は停止状態にある。
一方、ベルト64が下降した状態でモータ66が停止するときに、モータ68に付勢されて、図4中、ギヤ82bが時計回り方向に、ギヤ82aが反時計回り方向に、およびギヤ82cが時計回り方向に回動することで、ベルト64が時計回り方向に回動し、ベルト64に押下される封筒Fが図4中左側方向、フラップ圧着機構18に向けて送り出される。
【0025】
フラップ圧着機構18について説明する。
フラップ圧着機構18は、フラップFrの長手方向に対応して延出して配置され、順次当接される3つのローラ88a、88b、88cとモータ90を備える。モータ90にはギヤ92aが直結され、ローラ88cの軸94の端部にギヤ92aと歯合するギヤ92bが設けられる。モータ90に付勢されてギヤ92aが図4中反時計回り方向に回動することで、ローラ88cが時計回り方向に、ローラ88bが反時計回り方向に、ローラ88aが時計回り方向にそれぞれ回動する。
これにより、フラップFrが折り返された封筒Fの先端がローラ88a、88bの間に進入すると、フラップFrと封筒本体Frの重なり部分がローラ88a、88bに挟持されてプレスされ、粘着剤によって封緘された封筒Fが封緘装置10から排出される。
【0026】
つぎに、上記のように構成される本実施の形態例に係る封緘装置10の作用(動作)について、図6および図7をさらに参照して説明する。図6はフラップの長手方向中央付近まで粘着剤が転写された状態を説明するための図であり、図7はフラップの長手方向全体が粘着剤が転写された状態を説明するための図である。
【0027】
長手方向を図1中矢印X1−X2方向にして封筒Fを本体テーブル20上に置く。このとき、フラップFrの折り返し線(図1中、台形状のフラップの底辺)を本体テーブル20のフラップ折り返し位置部13に位置決めするとともに、封筒Fの長手方向寸法に合わせて封筒ガイド22のガイド部22cを移動させて封筒Fの下部(図1中右側端部)に当接する位置で封筒サイズ変更ツマミ25により封筒ガイド22を本体テーブル20に固定する。
これにより、同一寸法形状の封筒Fを多数部封緘するときには、封筒Fの下部をガイド部22cに当接させることで、フラップFrの折り返し線を本体テーブル20のフラップ折り返し位置部13に簡単に位置決めすることができる。
一方、異なる寸法形状の封筒Fを順次封緘するときには、その都度、上記の手順を繰り返す。
【0028】
封緘装置10の電源を入れた状態で封筒Fが本体テーブル20上の上記の所定の位置に置かれると、センサ(図1中矢印Sr1で示す。)が封筒Fを検知し、モータ66が作動する。これにより、移動板74が図1中左側方向(矢印X1方向)に移動しながら、ベルト64が降下して封筒Fを押さえ、本体テーブル20上に固定する。
【0029】
図1に示すように移動板74が移動を開始する前に2つのセンサ(図1中矢印Sr2で示す。)およびセンサ(図1中矢印Sr3で示す。)で検知されている状態から、図4に示すように移動板74が左側方向に移動してセンサSr2のみで検知される状態になると、モータ66が停止され、モータ32が作動する。
【0030】
モータ32に付勢されて爪部24が図1中矢印Y2方向に移動し、フラップFrの傾斜辺Sをフラップガイド27で抑えながら爪部24の刃面24aでフラップFrを図1中紙面裏側方向に折り返す(折り曲げる。)。ついで、刃面24aの後方から移動してくる転写ローラ40および補助ローラ62によって折り返されたフラップFrの部分が挟持され、フラップFrの裏面(内側の面)に粘着テープ46の粘着剤が転写される。図6に示すように爪部24がさらに移動するにつれて上記の作用が連続的に繰り返され、図7に示すようにフラップFrの長手方向(図1中Y1−Y2方向)全体に粘着剤が転写される。なお、図7中矢印Jは、粘着剤転写部分を示す。
【0031】
図7に示すようにフラップFrを超えてさらに移動する爪部24がセンサ(図4中矢印Sr34示す。)で検知されると、モータ32が停止すると同時にモータ90が作動を開始し、また、モータ68も作動を開始するので、モータ68に付勢されてベルト64の封筒Fを押している側が図1中矢印X1方向に走行し、フラップFrが折り返された封筒Fの先端を回転しているローラ88aとローラ88bの間に押し込む。封筒Fをローラ88a、88b間に押し込むときにスイッチ(図4中矢印Swで示す。)が作動してモータ68が停止してベルト64はフリーになり、封筒Fの自走力で回転する。続いて、封筒FのフラップFrと封筒本体Fbの重なり部分がローラ88a、88b間でプレスされ封筒Fが封緘される。
封緘された封筒Fが封緘装置10から排出されてスイッチSwがオフになると同時にモータ90が停止し、またモータ66が180°逆転してベルト64が上にあがり元の位置で停止する。それと同時にモータ32が逆転を始めて爪部24が最初の停止位置まで戻る。
なお、先に説明したように、フラップFrを超えてさらに移動する転写ローラ40と補助ローラ62との間には粘着力がないため、転写ローラ40は回動を停止し、粘着テープ46はそれ以上消費されない。
【0032】
以上説明した本実施の形態例に関わらず、封緘装置について、フラップ折り返し機構を例えばシャッター状に設けてフラップ折り返し機構が垂下することでフラップを折り返し、転写ローラおよび補助ローラをフラップ折り返し機構とは別に独立して走行させる走行機構を設ける構成としてもよい。
【符号の説明】
【0033】
10 封緘装置
12 封筒載置部
13 フラップ折り返し位置部
14 フラップ折り返し機構
16 粘着剤転写手段
17 封筒固定兼送り出し機構
18 フラップ圧着機構
20 本体テーブル
22 封筒ガイド
22a 平板部
22b 垂下面
22c ガイド部
24 爪部
24a 歯面
25 封筒サイズ変更ツマミ
27 フラップガイド
28a、28b スライダー
30 ベルト部
30a、64 ベルト
32、66、68、90 モータ
34a、34b スライドシャフト
35a、35b 固定ピン
36 ネジ
37 テープ台スライド板
38a、38b、70a、70b プーリ
39 テープ台
39a、50a 折り曲げ部
40 転写ローラ
42 供給リール
44 巻取りリール
46 粘着テープ
48a〜48c ガイドリール
49 無端ベルト
50 台基礎板
52 固定ピン
56 シャフト
56a、86 突起
60、80 コイルバネ
61、94 軸
62 補助ローラ
72a、72b L字型アーム
74 移動板
74a 下垂部
75a、75b、76a、76b ピン
78 クランク
82a、82b、82c、92a、92b ギヤ
84 ホイール
88a、88b、88c ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封筒のフラップに粘着剤を転写し、フラップを折り返して封筒本体にフラップを貼着させて封緘する封緘装置において、
封筒が載置され、一端がフラップ折り返し位置部とされる封筒載置部と、封筒を該フラップ折り返し位置部においてフラップの短手側をほぼ直角に折り返すフラップ折り返し機構と、ほぼ直角に折り返されるフラップの該封筒載置部の側に配置され、フィルム基材上に粘着剤層を設けた粘着シートがフラップの長手方向に対応して掛け渡される転写ローラと、該転写ローラに対向して配置され、非粘着性表面を有する補助ローラを備え、
該フラップ折り返し機構が、フラップの短手方向の1辺に対して当接可能な刃面を有する折り返し刃部と、該折り返し刃部を走行させる折り返し刃部走行機構を備え、該折り返し刃部が、該転写ローラおよび該補助ローラに先行して走行し、フラップを長手方向端部から順次折り返し、該転写ローラおよび該補助ローラが走行機構によって走行して折り返されたフラップを該転写ローラおよび該補助ローラの間に挟持し、該フラップに粘着剤を転写することを特徴とする封緘装置。
【請求項2】
前記折り返し刃部は、前記刃面が、フラップの1つの傾斜辺に対応して平面視エッジ状に形成されるとともに、フラップの折り返し方向に向けてフラップに対して後退するように曲線状に形成されてなる湾曲面状を有することを特徴とする請求項1記載の封緘装置。
【請求項3】
前記フラップ折り返し機構、前記転写ローラおよび前記補助ローラが実質的に一体に設けられ、前記折り返し刃部走行機構によって走行するように構成してなることを特徴とする請求項1記載の封緘装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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